WO2023233827A1 - 位相画像取得方法及び定量データ取得方法 - Google Patents

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Abstract

底面が曲面である凹部を有する容器の前記凹部に対象物を収容した状態で、対象物のホログラム画像を取得する。ホログラム画像から位相画像を生成する。凹部の底面の形状を示す多項式から導出される位相成分を位相画像から減算する処理を行って、処理済み位相画像を取得する。

Description

位相画像取得方法及び定量データ取得方法
 開示の技術は、位相画像取得方法及び定量データ取得方法に関する。
 ホログラフィー技術を利用して細胞を監視する技術として以下の技術が知られている。例えば、特表2018-516591号公報には、細胞培養容器内における細胞のインキュベーションのための内部チャンバを含むインキュベータキャビネットと、内部チャンバ内の細胞を撮像するように構成されたホログラフィックイメージャと、を含む、細胞培養インキュベータが記載されている。
 細胞を透過した物体光と、物体光に対してコヒーレントな参照光との干渉によって形成されるホログラム画像(干渉像)に基づいて生成される位相画像は、細胞を透過した物体光の位相分布を示す画像であり、細胞の状態が反映される。従って、位相画像に基づいて細胞の品質評価を行うことが可能である。例えば、位相画像の画素毎の位相量を積算して得られる総位相量を、当該細胞の評価するための定量データとして用いることが可能である。
 細胞の位相画像は、底面が傾斜した凹部(ウェル)を有するディッシュ(容器)の上記凹部に細胞を収容した状態で取得され得る。この状態で取得される細胞の位相画像には、凹部底面の傾斜に由来する位相成分が重畳される。凹部底面に由来する位相成分は、いわばノイズであり、位相画像から得られる定量データの精度を低下させる原因となる。
 開示の技術は、上記の点に鑑みてなされたものであり、対象物の位相画像から不要な位相成分を適切に除去することを目的とする。
 開示の技術に係る位相画像取得方法は、底面が曲面である凹部を有する容器の凹部に対象物を収容した状態で、対象物のホログラム画像を取得し、ホログラム画像から位相画像を生成し、凹部の底面の形状を示す多項式から導出される位相成分を位相画像から減算する処理を行って、処理済み位相画像を取得することを含む。
 多項式の次数は、2以上7以下であることが好ましい。位相画像内における凹部の底面の高さの変化量が10μm以上であることが好ましい。
 対象物は、例えば細胞又は細胞集合体であってもよい。細胞又は細胞集合体は、動物の受精卵であってもよい。
 開示の技術の実施形態に係る位相画像取得方法において、凹部に収容した状態で培養された細胞又は細胞集合体の位相画像を取得してもよい。
 開示の技術に係る定量データの取得方法は、上記の位相画像取得方法を用いた定量デー
タの取得方法であって、処理済みの位相画像に基づいて細胞又は細胞集合体の状態を示す定量データを導出することを含む。
 開示の技術によれば、対象物の位相画像から不要な位相成分を適切に除去することが可能となる。
開示の技術の実施形態に係る受精卵の培養状態の一例を示す図である。 開示の技術の実施形態に係るホログラフィー装置の構成の一例を示す図である。 開示の技術の実施形態に係る受精卵のアンラッピング前の位相画像の一例を示す図である。 開示の技術の実施形態に係る位相画像の概念を示す図である。 開示の技術の実施形態に係る凹部の底面の形状について行った関数フィッティングの一例を示す図である。 開示の技術の実施形態に係る処理済み位相画像の一例を示す図である。 開示の技術の実施形態に係る処理済み位相画像の一例を示す図である。 開示の技術の実施形態に係る処理済み位相画像の一例を示す図である。 比較例に係る容器の構成の一例を示す図である。 開示の技術の実施形態に係る凹部の底面の高さの変化量を示す図である。
 以下、開示の技術の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
 開示の技術の実施形態に係る位相画像取得方法は、底面が曲面である凹部を有する容器の凹部に対象物を収容した状態で、対象物のホログラム画像を取得する第1のステップと、ホログラム画像から位相画像を生成する第2のステップと、凹部の底面の形状に応じた多項式から導出される位相成分を、位相画像から減算する処理(バックグラウンド除去処理)を行って、処理済み位相画像を取得する第3のステップを含む。
 上記第1乃至第3のステップの各々について、以下に詳細に説明する。なお、本実施形態においては、位相画像を取得する対象となる対象物が、動物の受精卵である場合を例に説明する。受精卵は胚の状態にまで発育したものであってもよい。開示の技術に係る位相画像取得方法は、例えば、受精卵の品質管理、品質評価、品質検査又は品質予測等の目的で使用することが可能である。
<第1のステップ:ホログラム画像の取得>
 図1は、受精卵200の培養状態の一例を示す図である。受精卵200は、凹部110を有する容器100の凹部110に収容した状態で培養される。容器100は、複数の凹部110を含んでいてもよく、複数の凹部110の各々に、受精卵200が収容されていてもよい。容器100は、例えば市販のディッシュ又はシャーレであってもよい。凹部110は、ディッシュ又はシャーレに設けられたウェルであってもよい。容器100として、例えば、CooperSurgical社製の38Special GPS(登録商標)を好適に用いることが可能
である。
 凹部110には、受精卵200とともに培地210が収容されており、受精卵200は、凹部110内において培地210に浸漬された状態で培養される。凹部110の底面1
20は、曲面とされており、中心部121の高さが最も低く、中心部121から外側に向けて緩やかに上昇する方向に傾斜している。凹部110の底面120の形状は球面状であってもよい。
 受精卵200のホログラム画像を取得する際には、受精卵200を顕微鏡で捉える必要がある。顕微鏡の視野内に受精卵200を収めた状態を維持するために、受精卵200の移動量を抑制することが好ましい。仮に、受精卵200を平坦面上に配置した場合には、培地の加温に伴う対流等によって受精卵200が揺動し、受精卵200を顕微鏡の視野内に収めた状態を維持することが困難となる。凹部110の底面120が、中心部121の高さが最も低くなるような傾斜を有することで、中心部121の近傍に受精卵200を配置することができ、更に、受精卵200の移動量を抑制することが可能となる。
 第1のステップでは、受精卵200のホログラム画像が取得される。受精卵200のホログラム画像は、凹部110に受精卵200を収容した状態で取得される。図2は、ホログラム画像の取得に用いられるホログラフィー装置10の構成の一例を示す図である。
 ホログラフィー装置10は、分波器21、反射ミラー22、24、対物レンズ23、結像レンズ25、合波器26及び撮像装置30を含んで構成されている。撮像対象の受精卵200は、容器100の凹部110内に培地とともに収容された状態で反射ミラー22と対物レンズ23との間に配置される。
 レーザ光源20には、例えば波長632.8nmのHeNeレーザを用いることが可能である。レーザ光源20から出射された直線偏光であるレーザ光L0は、分波器21によって2つのレーザ光に分割される。2つのレーザ光の一方は物体光L1とされ、他方は参照光L2とされる。分波器21としてビームスプリッタを用いることができる。物体光L1は、反射ミラー22に入射する。反射ミラー22によって進行方向が曲げられた物体光L1は、受精卵200に照射される。物体光L1は、凹部110の底面120を貫く方向に照射される。
 受精卵200を透過した物体光L1による像は、対物レンズ23によって拡大される。対物レンズ23を透過した物体光L1は、反射ミラー24によって進行方向が曲げられて、結像レンズ25を介して合波器26に入射する。一方、参照光L2も合波器26に入射する。物体光L1及び参照光L2は合波器26によって合波され、撮像装置30の撮像面に結像される。合波器26としてビームスプリッタを用いることができる。
 物体光L1と参照光L2との干渉によって生じる干渉像であるホログラム画像が撮像装置30によって撮像される。撮像装置30は、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子を備え、ホログラム画像の画像データを生成
する。
<第2のステップ:位相画像の取得>
 ホログラム画像から位相画像を取得する方法の一例について以下に説明する。はじめに、撮像装置30によって取得された受精卵200のホログラム画像を、例えば、2048×2048のサイズとなるようにトリミングを行った後、二次元フーリエ変換する。この処理によって得られるフーリエ変換画像は、直接光、物体光、共役光に基づく像を含み得る。
 次に、フーリエ変換画像における直接光に対する物体光のずれ量を特定することで物体光の位置を特定し、例えば、半径250pixelの円形開口のマスクを用いた周波数フィルタリング処理により、物体光のみの複素振幅成分を抜き出す。
 次に、例えば、角スペクトル法を適用して任意の空間位置の受精卵200の位相を示す画像を復元する。具体的には、撮像装置30の撮像面で捉えた波面u(x,y;0)のフーリエ変換画像の角スペクトルU(f,f;0)を求める。次に、下記の(1)式に示すように、角スペクトルU(f,f;0)に伝達関数H(f,f;z)を乗算することで、光軸方向(z方向)の任意の位置zにおける波面を再生する。ここで、伝達関数H(f,f;z)は、周波数応答関数(インパルス応答関数(グリーン関数)のフーリエ変換)である。
 次に、下記の(2)式に示すように、光軸方向(z方向)の位置zにおける波面U(f,f;z)について逆フーリエ変換を実施することで、位置zにおける解u(x,y;z)を導出する。
 次に、下記の(3)式に示すように、u(x,y;z)についての位相φを導出することで位相画像を生成する。
 上記の処理によって得られるアンラッピング前の位相画像における位相は、0~2πの値に畳みこまれている。そこで、例えば、Unweighted Least Squares(重みなし最小2乗法)またはFlynn's Algorithm(フリンのアルゴリズム)などの位相接続(アンラッピン
グ)手法を適用して2π以上の部分を接続する。なお、アンラッピングの手法は数多く提案されており、位相不整合を生じない適切なものを適宜選択すればよい。
 図3は、受精卵200のアンラッピング前の位相画像の一例を示す図である。位相画像には、凹部110の底面120の傾斜に由来する位相成分が重畳される。凹部110の底面120に由来する位相成分は、いわばノイズであり、位相画像から得られる定量データの精度を低下させる原因となる。凹部110の底面120に由来する位相成分は、以下に説明するバックグラウンド除去処理によって除去される。
<第3のステップ:バックグラウンドの除去>
 図4は、位相画像Iの概念を示す図である。図4下段は、位相画像Iの各画素kにおける位相量を三次元表示したものである。図4上段は、位相画像Iの各画素jにおける位相量を平面上にグレースケールで示したものである。
 ここで、位相画像Iの各画素jにおける位相量をPとし、同一焦点面内に存在するバックグラウンド(受精卵200の存在しない領域)の位相をPとした場合、バックグ
ラウンド除去処理は、下記(4)式によって表すことができる。なお、本明細書中における「位相」という用語は、光を電磁波とみなした場合の電場振幅の位相であり、より一般的な意味で使用される。
 バックグラウンドの位相Pは、凹部110の底面120に由来する位相成分である。したがって、凹部110の底面120の形状を特定することで、バックグラウンドの位相Pを算出することが可能である。凹部110の底面120は、曲面とされていることから、凹部110の底面120の形状について、次数が2以上である多項式による関数フィッティングを行うことが可能である。関数フィッティングは、例えば、凹部110の底面120の形状のプロファイルを実測によって取得し、取得したプロファイルに近似する多項式を探索することにより行うことができる。
 図5は、凹部110の底面120の形状について行った関数フィッティングの一例を示す図である。図5において、横軸は、凹部110の平面方向における位置を示し、縦軸は凹部110の高さ方向における位置を示す。図5において、点線は凹部110の底面120の形状を示す2次多項式によって規定される曲線であり、実線は凹部110の底面120の形状の実測によるプロファイルである。実線と点線は、略一致しているのがわかる。このように、凹部110の底面120の形状は、次数が2以上の多項式によって記述することが可能である。
 バックグラウンドの位相P、すなわち、凹部110の底面120に由来する位相成分は、凹部110の底面120の形状を示す多項式から導出することが可能である。バックグラウンドの位相Pは、下記の(5)式によって表される。(5)式において、xは凹部110の中心部121からの距離である。mは多項式の次数である。aは各項の係数であり、凹部110の底面120の形状を示す多項式から求めることが可能である。
 なお、底面120の形状を示す多項式をC(x)としたとき、下記の(6)式によって示される換算処理を行うことによってバックグラウンドの位相Pに換算することが可能である。(6)式において、nは容器100の屈折率であり、nは培地の屈折率であり、λはホログラム光学系における物体光の波長である。
 バックグラウンド除去処理においては、(4)式に示すように、凹部110の底面120の形状を示す多項式から導出される位相成分が、第2のステップにおいて得られた位相画像における各画素の位相量から減算される。これにより、凹部110の底面120に由来する位相成分が除去された位相画像が取得される。バックグラウンドの位相P、すなわち、凹部110の底面120に由来する位相成分が除去された位相画像を以下において「処理済み位相画像」と呼ぶこととする。
 図6A、図6B及び図6Cは、それぞれ、処理済み位相画像の一例を示す図である。図6Aは、凹部110の底面120の形状を示す多項式の次数を3として関数フィッティングを行った場合の処理済み位相画像である。図6Bは、凹部110の底面120の形状を示す多項式の次数を5として関数フィッティングを行った場合の処理済み位相画像である。図6Cは、凹部110の底面120の形状を示す多項式の次数を7として関数フィッティングを行った場合の処理済み位相画像である。図6A~図6Cに示すように、バックグラウンド除去処理を行うことで、凹部110の底面120に由来する位相成分が除去されて、受精卵200のみが抽出された処理済み位相画像を取得することができる。
 図7は、比較例に係る容器100Xの一例を示す図である。容器100Xは、凹部110Xの底面120が非曲面である点が、上記した開示の技術の実施形態に係る容器100(図1参照)と異なる。すなわち、比較例に係る凹部110Xの底面120Xの傾斜は直線的である。
 比較例に係る容器100Xによれば、凹部110Xの底面120Xの中心部121Xにおける高さの変化が急激となるため、底面120Xの形状について関数フィッティングを行った場合、誤差が大きくなる。関数フィッティングにおける誤差は、当該多項式に基づいて導出されるバックグラウンドの位相Pの誤差となるので、比較例に係る容器100Xを用いた場合、凹部110Xの底面120Xに由来する位相成分の除去を適切に行うことが困難となる。
 一方、開示の技術の実施形態に係る容器100の凹部110の底面120は、中心部121における高さが最も低く、中心部121から外側に向けて緩やかに傾斜している曲面とされているので、凹部110の底面120の形状について高精度な関数フィッティングを行うことが可能である(図5参照)。すなわち、開示の技術の実施形態に係る位相画像取得方法によれば、対象物の位相画像から不要な位相成分を適切に除去することが可能となる。
 なお、凹部110の底面120の形状を示す多項式の次数は2以上7以下であることが好ましい。多項式の次数を2以上とすることで、多項式によって曲面を記述することが可能となる。多項式の次数を7以下とすることで、凹部110の底面120の形状について、高精度な関数フィッティングを行うことが可能となり、凹部110の底面120に由来する位相成分の除去を適切に行うことが可能となる。多項式の次数が8以上となると、関数フィッティングにおける誤差が生じやすくなる傾向がある。なお、8次以上でフィッティングを行った場合でも、その係数の寄与分 (a×x) が、2次~7次の係数の寄与分の総和(Σk=2~7 a×x)の10%よりも小さい場合、実質的に7次でフィ
ッティングしているものとする 。また、位相画像内(位相画像の描出範囲内)における
凹部110の底面120の高さの変化量Δh(図8参照)が10μm以上であることが好ましい。変化量Δhが10μm以上となることで、凹部110の底面120の形状の関数フィッティングを精度よく行うことが可能となり、凹部110の底面120に由来する位相成分の除去を適切に行うことが可能となる。
<定量データの取得>
 開示の技術の実施形態に係る定量データの導出方法は、上記した位相画像取得方法を用いるものである。すなわち、定量データ導出方法は、上記した位相画像取得方法を実施することで取得される処理済み位相画像に基づいて、受精卵200の状態を示す定量データを導出する、というものである。本実施形態に係る定量データ導出方法について、以下に詳細に説明する。
 処理済み位相画像の各画素jにおける位相量Pは、下記(7)式によって表わすこと
ができる。但し、nは処理済み位相画像の各画素jに対応する部位における受精卵200の屈折率であり、dは処理済み位相画像の各画素jに対応する部位における受精卵200の厚さであり、λはホログラム光学系における物体光の波長である。
 受精卵200の処理済み位相画像は、受精卵200を透過した物体光L1の位相分布を示す画像であり、受精卵200を透過した物体光の光路長分布を示した画像でもある。受精卵200内における光路長は、受精卵200の屈折率と受精卵200の厚さの積に相当することから、受精卵200の処理済み位相画像は、(7)式にも示されているように、受精卵200の屈折率及び厚さ(形状)の情報を含んでいる。受精卵200の処理済み位相画像には、受精卵200の内部の状態が反映されるので、処理済み位相画像に基づいて受精卵200の品質評価を行うことが可能である。具体的には、下記の(8)式によって表される総位相量Pを受精卵200の状態を示す定量データとして用いることが可能である。(8)式において、sは処理済み位相画像の各画素jの面積であり、vは処理済み位相画像の各画素jに対応する部位における受精卵200の体積である。(8)式に示されるように、総位相量Pは、処理済み位相画像の画素毎の位相量Pを、全ての画素jについて積算したものに相当する。処理済み位相画像の画素値は位相量Pに対応している。
 例えば、処理済み位相画像に基づいて導出した総位相量Pについて閾値判定を行うことで、受精卵200の良否判定を行うことが可能である。開示の技術の実施形態に係る位相画像取得方法を実施することで取得される処理済み位相画像に基づいて、受精卵200の状態を示す定量データを導出することで、定量データの精度を高めることができ、受精卵200の評価を適切に行うことが可能となる。
 なお、位相画像に基づいて導出される定量データは、総位相量Pに限定されるものではない。例えば、処理済み位相画像の画素値(位相量P)の最大値、最小値、中央値、平均値、分散及び標準偏差等の統計値を定量データとして用いることも可能である。また、総位相量Pを当該受精卵200の体積で割った値である位相密度を、定量データとして用いることも可能である。
 以上の説明では、位相画像を取得する対象物が、受精卵である場合を例示したが、この態様に限定されない。対象物は、受精卵以外の細胞又は細胞集合体であってもよい。例えば、iPS細胞(induced pluripotent stem cell)又はその集合体であるスフェロイド
の位相画像を取得する場合に開示の技術を適用することが可能である。また、位相画像を取得する対象物は、人工物であってもよい。
[実施例]
 下記の表1に示すディッシュを用いてマウス胚を5日間培養した。各ディッシュに設けられた凹部(ウェル)の底面の形状を表1に示す。実施例1及び実施例2に係るディッシュの凹部の底面は、図1に例示するような曲面である。比較例1に係るディッシュは、凹部を有さない底面が平坦なディッシュである。比較例2に係るディッシュの凹部の底面は、図7に例示するような傾斜が直線的である非曲面である。各ディッシュにマウス胚が収
容された状態で、マウス胚のホログラム画像を取得し、ホログラム画像から位相画像を取得した。
<底面の高さの変化量Δhの測定>
 各ディッシュについて、断面の画像を撮影し、位相画像内における凹部(ウェル)の底面の高さの変化量Δh(図8参照)を測定した。変化量Δhの測定値を表1に示す。
<バックグラウンド除去処理>
 各実施例及び各比較例について取得したマウス胚の位相画像について、バックグラウンド除去処理を行った。凹部(ウェル)の底面が曲面である実施例1及び実施例2については、凹部の底面の形状について、5次多項式による関数フィッティングを行った。凹部の底面が非曲面である比較例2については、凹部の底面の形状について1次多項式による関数フィッティングを行った。これらの多項式から導出される位相成分を、位相画像から除去することで、処理済み位相画像を取得した。なお、ディッシュの底面が平坦である比較例1については、バックグランド除去処理は未実施である。
<移動量の測定>
 各実施例及び各比較例について、培養期間中におけるマウス胚の移動量を測定した。培養開始時点におけるマウス胚の位置を初期位置とし、培養期間中においてマウス胚が初期位置から最も離れた位置に移動したときのマウス胚の位置の、初期位置からの距離を移動量とした。移動量の測定値を表1に示す。実施例1、実施例2及び比較例2に係るディッシュは、底面が傾斜している凹部を備えることから、マウス胚の移動量が抑制されている。一方、底面が平坦な比較例1に係るディッシュを用いた場合、マウス胚の移動量が最も大きくなった。
<位相測定誤差の測定>
 各実施例及び各比較例について取得した処理済み位相画像について、位相測定誤差を取得した。同一のマウス胚に対し、培養開始直後に(8)式によって示される総位相量Pの測定を100回繰り返し行った。総位相量Pのバラツキが±1σとなる位相量の幅を、総位相量Pの平均値で割ったものを位相測定誤差とした。なおσは標準偏差である。位相測定誤差の測定値を表1に示す。
 凹部(ウェル)の底面が曲面である実施例1及び実施例2に係るディッシュにおいては、凹部の底面の形状について高精度な関数フィッティングを行うことができるので、バックグランド除去処理を適切に行うことができる。これにより、位相測定誤差を5%以下にすることができた。一方、凹部の底面の形状が非曲面である比較例2に係るディッシュにおいては、凹部の底面の形状について高精度な関数フィッティングを行うことが困難であり、バックグラウンド除去処理を適切に行うことが困難である。これにより、位相測定誤差は、実施例1及び実施例2と比較して顕著に大きくなった。
 以上のように、実施例1及び実施例2に係るディッシュを用いて、バックグラウンド除去処理を行うことで、マウス胚の移動量を抑制し、誤差の小さい定量データ(総位相量P)を取得することができた。
 以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
 底面が曲面である凹部を有する容器の前記凹部に対象物を収容した状態で、前記対象物のホログラム画像を取得し、
 前記ホログラム画像から位相画像を生成し、
 前記凹部の底面の形状を示す多項式から導出される位相成分を前記位相画像から減算する処理を行って、処理済み位相画像を取得する
 位相画像取得方法。
(付記2)
 前記多項式の次数が2以上7以下である
 付記1に記載の位相画像取得方法。
(付記3)
 前記位相画像内における前記凹部の底面の高さの変化量が10μm以上である
 付記1又は付記2に記載の位相画像取得方法。
(付記4)
 前記対象物が細胞又は細胞集合体である
 付記1から付記3のいずれか1つに記載の位相画像取得方法。
(付記5)
 前記細胞又は前記細胞集合体は、動物の受精卵である
 付記4に記載の位相画像取得方法。
(付記6)
 前記凹部に収容した状態で培養された前記細胞又は前記細胞集合体の位相画像を取得する
 付記4又は付記5に記載の位相画像取得方法。
(付記7)
 付記4又は付記5に記載の位相画像取得方法を用いた定量データの取得方法であって、
 前記処理済みの位相画像に基づいて前記細胞又は細胞集合体の状態を示す定量データを導出する
 定量データ取得方法。
 なお、2022年6月3日に出願された日本国特許出願2022-091056の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。また、本明細書に記載された全ての文献、特許出願および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (7)

  1.  底面が曲面である凹部を有する容器の前記凹部に対象物を収容した状態で、前記対象物のホログラム画像を取得し、
     前記ホログラム画像から位相画像を生成し、
     前記凹部の底面の形状を示す多項式から導出される位相成分を前記位相画像から減算する処理を行って、処理済み位相画像を取得する
     位相画像取得方法。
  2.  前記多項式の次数が2以上7以下である
     請求項1に記載の位相画像取得方法。
  3.  前記位相画像内における前記凹部の底面の高さの変化量が10μm以上である
     請求項2に記載の位相画像取得方法。
  4.  前記対象物が細胞又は細胞集合体である 
     請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の位相画像取得方法。
  5.  前記細胞又は前記細胞集合体は、動物の受精卵である
     請求項4に記載の位相画像取得方法。
  6.  前記凹部に収容した状態で培養された前記細胞又は前記細胞集合体の位相画像を取得する
     請求項4に記載の位相画像取得方法。
  7.  請求項4に記載の位相画像取得方法を用いた定量データの取得方法であって、
     前記処理済みの位相画像に基づいて前記細胞又は前記細胞集合体の状態を示す定量データを導出する
     定量データ取得方法。
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