WO2023228780A1 - 表示装置及び表示用光学部品 - Google Patents

Abstract

表示装置（１０）は、視認側へ向けた表示を行なうように構成される。表示装置（１０）は、表示光を発光する複数の表示ユニット（１１ａ～ｅ）と、複数の表示ユニット（１１ａ～ｅ）に対して１つ設けられ、各表示ユニット（１１ａ～ｅ）からの表示光を視認側へ指向させるように配置される部品であって、積層状態の複数の層を備えるミラー板（２１）と、を備える。複数の層は、母材層（２２）と、母材層（２２）よりも収縮しやすい加熱寸法変化特性をもち、ミラー板（２１）に光学機能を付与する光学機能付与層（２３）と、光学機能付与層（２３）とは母材層（２２）を挟んだ反対側に配置され、光学機能付与層（２３）側との応力バランスを取るように、母材層（２２）よりも光学機能付与層（２３）に近い加熱寸法変化特性をもたせたバランサー層（２５ａ，２５ｂ）と、を有する。

Description

表示装置及び表示用光学部品 関連出願の相互参照

　この出願は、２０２２年５月２７日に日本に出願された特許出願第２０２２－８６８５３号を基礎としており、基礎の出願の内容を、全体的に、参照により援用している。

　この明細書による開示は、表示の技術に関する。

　特許文献１には、反射鏡と称される表示用光学部品及び当該部品を用いた表示装置が開示されている。反射鏡は、母材層と、ミラーコート層と呼ばれる光学機能付与層とが積層状態で構成されている。

特開２０２１－８９３１８号公報

　しかしながら、特許文献１の構成では、反射鏡に熱が加わると、各層の収縮性の違い等により、本来意図した形状又は構造の維持が困難な場合がある。形状又は構造の変化により、表示において要求され得る品質を保てないことが懸念される。

　この明細書の開示による目的のひとつは、表示において要求され得る品質を実現することができる表示用光学部品、及び当該部品を備える表示装置を提供することにある。

　ここに開示された態様のひとつは、視認側へ向けた表示を行なうように構成される表示装置であって、
　表示光を発光する複数の表示ユニットと、
　複数の表示ユニットに対して１つ設けられ、各表示ユニットからの表示光を視認側へ指向させるように配置される部品であって、積層状態の複数の層を備える表示用光学部品と、を備え、
　複数の層は、
　母材層と、
　母材層よりも収縮しやすい加熱寸法変化特性をもち、表示用光学部品に光学機能を付与する光学機能付与層と、
　光学機能付与層とは母材層を挟んだ反対側に配置され、光学機能付与層側との応力バランスを取るように、母材層よりも光学機能付与層に近い加熱寸法変化特性をもたせたバランサー層と、を有する。

　ここに開示された態様の他のひとつは、表示に用いられる表示用光学部品であって、
　積層状態の複数の層を備え、
　複数の層は、
　母材層と、
　母材層よりも収縮しやすい加熱寸法変化特性をもち、光学機能を付与する光学機能付与層と、
　光学機能付与層とは母材層を挟んだ反対側に配置され、光学機能付与層側との応力バランスを取るように、母材層よりも光学機能付与層に近い加熱寸法変化特性をもたせたバランサー層と、を有する。

　これらの態様によると、積層状態の複数の層を備える表示用光学部品において、光学機能付与層とは母材層を挟んだ反対側には、バランサー層が配置される。バランサー層によって、光学機能付与層側との応力バランスが取られる。故に、光学機能付与層が母材層よりも収縮しやすい加熱寸法変化特性をもっていても、加熱時の母材層を挟んだ両側の応力バランスの均衡が得られるため、表示用光学部品の形状及び構造が維持されやすくなる。したがって、表示において要求され得る品質を実現することができる。

　なお、請求の範囲の括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。

表示装置の車両への搭載状態を示す図である。 図１のII－II線断面図である。 表示装置及び制御装置の概略構成を示す構成図である。 ミラー板の分解図である。 図２のV－V線におけるミラー板の断面図である。 ミラー板の構成の一例を示す、図５のVI部の拡大図である。 ミラー板の構成の一例を示す、図５のVII部の拡大図である。 ドライバモニタユニットの概略構成を示す構成図である。 ミラー板の分解図である。 第２実施形態における図５に相当する図である。 図１０のXI－XI線断面の拡大図である。 図１０のXII－XII線断面の拡大図である。 運転席視点でのコンテンツ表示例を示す図である。 助手席視点でのコンテンツ表示例を示す図である。 照明の切り替えを説明するための図である。 アイコン表示例を示す図である。 アイコン表示例を示す図である。 アイコン表示例を示す図である。

　以下、複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。

　（第１実施形態）
　本開示の第１実施形態による表示装置１０は、図１～３に示すように、車両１に搭載されている。表示装置１０は、視認者としての乗員（ドライバＤＲＶ含む）が着座する座席とは車両１の前後方向に対向するインストルメントパネル２に設置されている。

　図１，２に示されるインストルメントパネル２には、表示装置１０を収容する収容室２ａが設けられている。収容室２ａは、運転席と対向する運転席対向部から助手席と対向する助手席対向部へ向かって車両１の左右方向に延伸するように形成されている。

　収容室２ａの天井部には、バイザフード３が設けられている。バイザフード３は、例えば遮光性をもつ合成樹脂により形成されている。バイザフード３は、車両１の左側のＡピラーから右側のＡピラーまで、車両１の左右方向の全体に渡って直線上に延伸するように形成されている。バイザフード３は、フロントウインドシールド４等を通じて車室内へ入射する外光が表示装置１０の表示の視認性を低下させることを抑制する。このためバイザフード３の後端部は、フロントウインドシールド４の下端部から表示装置１０よりも運転席側となる位置まで、車両１の前後方向に沿って突出するように形成されている。

　さらにバイザフード３は、車両１の下側を向く下面部に、後述する表示パネル１４を嵌め込み可能に形成された凹部を有している。このようにバイザフード３は、表示装置１０の筐体を収容するケースとしての機能も有している。

　収容室２ａの下部に対応する位置は、ステアリングホイール５が保持されている。ステアリングホイール５のうち上部は、表示装置１０と運転席のヘッドレストとの間に位置している。ステアリングホイール５は、車両１を操舵するステアリングシステムにおいて、運転席に着座するドライバＤＲＶに操作される操作部を構成している。ステアリングホイール５は、円環状のリム部、及びリム部をステアリングシャフトに接続する接続部を有している。接続部は、ステアリングシャフトの軸上に配置されたセンターパット部、及びセンターパット部とリム部とを接続するためにリム部の径方向に伸びるスポーク部等を有している。

　そして、ステアリングホイール５には、リム部及び接続部に囲まれて開口する開口部５ａが形成されている。開口部５ａは、ステアリングホイール５の正姿勢（すなわち、車両１が直進する操舵核に対応する姿勢）において、当該ステアリングホイール５のうち上部に位置する。これにより、ドライバＤＲＶは、開口部５ａを通じて表示装置１０の表示のうち運転席の正面位置の表示を視認することが可能である。

　本実施形態の表示装置１０は、運転席に着座したドライバＤＲＶ及び助手席に着座した乗員を含む複数の乗員に向けて虚像表示を行なうことが可能である。ここで表示装置１０を基準として運転席及び助手席が存在する側は、視認側と定義される。表示装置１０は、複数の画像表示ユニット１１ａ～ｅ、ミラー板２１及び背面ユニット３１等を含む構成である。

　画像表示ユニット１１ａ～ｅは、上述のようにバイザフード３によって保持されている。画像表示ユニット１１ａ～ｅは、車両１の左側のＡピラーから右側のＡピラーに渡るように、複数並べられて配置されている。

　各画像表示ユニット１１ａ～ｅは、回路基板１２、フレキシブル配線板１３及び表示パネル１４等を含む構成である。図１に示すように回路基板１２は、例えばガラスエポキシ樹脂等の合成樹脂により、平板状に形成されている。回路基板１２は、少なくとも一方の面に導通パターンが形成されている。回路基板１２には、複数の電子部品及び導通パターンにより構成された制御回路が設けられている。制御回路は、有線通信又は無線通信により制御装置５０（図３参照）と通信可能となっており、当該制御装置５０からの入力信号に基づいて、表示パネル１４を制御することが可能である。

　制御装置５０は、表示装置１０の内部に設けられ、複数の画像表示ユニット１１ａ～ｅを連携させるように制御する連携機能を備えていてもよい。一方、制御装置５０は、表示装置１０の外部に設けられた車載ＥＣＵ等であってもよい。

　フレキシブル配線板１３は、例えばポリイミド等から形成されたベースフィルムに、導通パターンが形成された薄膜状のシールが貼り付けられて形成されている。フレキシブル配線板１３の一端は、回路基板１２と電気的に接続されている。フレキシブル配線板１３の他端は、表示パネル１４と電気的に接続されている。

　表示パネル１４は、例えばＯＬＥＤディスプレイ、液晶ディスプレイ等を採用しており、パネル状を呈している。図２に示すように表示パネル１４は、バイザフード３とは反対側である車両１の下方を向く平面状の表示画面１４ａを有している。表示画面１４ａは、長手方向及び短手方向に画素を配列した矩形状の外形を呈している。制御回路により、各画素の表示状態が制御されることで、表示画面１４ａは、下方へ向けて画像を発光表示可能である。表示画面１４ａは、カラー画像を表示可能であるが、モノクロ画像や単色の画像を表示可能な構成であってもよい。

　画像表示ユニット１１ａ～ｅは、例えば５つ設けられていてよい。各画像表示ユニット１１ａ～ｅの表示画面１４ａは、互いに共通の仮想平面上に沿って配置されていてよい。この配置では、各画像表示ユニット１１ａ～ｅにより表示可能となる各虚像ＶＩは連続的な位置に結像されるため、全体の表示の一体感を向上させることができる。他方、各表示画面１４ａは、互いに段差を形成するように配置されていてもよい。この配置では、各画像表示ユニット１１ａ～ｅにより表示可能となる各虚像ＶＩは互いに前後した位置に結像されるため、全体の表示に立体感を付与することができる。

　車両１が左ハンドル車の場合、５つの画像表示ユニット１１ａ～ｅのうち、左側から数えて２つ目の画像表示ユニット１１ｂが運転席の正面位置における表示を担当してもよい。すなわち、左側から数えて２つ目の画像表示ユニット１１ｂがステアリングホイール５の開口部５ａを通じて視認される虚像ＶＩを表示してよい。

　左ハンドル車における各画像表示ユニット１１ａ～ｅが表示するコンテンツは、例えば以下に示す割り当てに基づいてよい。左側から数えて１つ目の画像表示ユニット１１ａによるコンテンツは、車両１の左後方を撮影する左後方カメラにより撮影された画像を表示する、いわゆる電子ミラーコンテンツであってよい。左側から数えて２つ目の画像表示ユニット１１ｂによるコンテンツは、車両１の各種走行情報（例えば走行速度、走行モード、走行距離及びバッテリ残量等）を表示する、いわゆるメータコンテンツであってよい。左側から数えて３つ目の画像表示ユニット１１ｃによるコンテンツは、ナビゲーション情報（例えば車両１の現在地及び目的地までの経路を案内する画像、道路情報等）を表示する、いわゆるナビゲーションコンテンツであってよい。左側から数えて４つ目の画像表示ユニット１１ｄによるコンテンツは、エンターテイメント映像、車載エアコンディショナに関する情報を表示するコンテンツであってよい。左側から数えて５つ目の画像表示ユニット１１ｅによるコンテンツは、車両１の右後方を撮影する右後方カメラにより撮影された画像を表示する、いわゆる電子ミラーコンテンツであってよい。

　車両１が右ハンドル車の場合には、上述の左ハンドル車の場合に対して左右の順序を反転させたコンテンツが各画像表示ユニットに割り当てられてよい。また、コンテンツの割り当ては、例えば乗員による設定操作に応じて、乗員の好みの割り当てに変更することが可能であってよい。

　ミラー板２１は、例えばアクリル樹脂の合成樹脂等を用いて、光透光性を有する板状に形成されている光学部品である。ミラー板２１は、バイザフード３及び各表示画面１４ａと対面するように配置されている。ミラー板２１は、車両上方から車両下方へ向かう程運転席側へ向かうように、傾斜した姿勢で配置されている。

　ミラー板２１は、例えばバイザフード３と同様に、車両１の左側のＡピラーから右側のＡピラーまで、車両１の左右方向の全体に渡って延伸するように形成されている。すなわちミラー板２１は、複数の画像表示ユニット１１ａ～ｅに対して１つ設けられている。画像表示ユニット１１ａ～ｅは複数設けられることで一般的なアスペクト比の表示パネル１４を流用することが可能となる。さらに、乗員により直接視認されるミラー板２１は１つ設けられることで、左右のピラー間での一体感を向上させることが可能となる。一方で、ミラー板２１の大型化により、後述するようなバランサー層２５ｂを設けた構成による変形対策等が必要となる。

　ミラー板２１は、各表示画面１４ａから発光された表示光を、視認側へ指向させる。具体的にミラー板２１は、各表示画面１４ａから発光された表示光を視認側へ反射する。そしてミラー板２１は、ミラー板２１を挟んで運転席及び助手席とは反対側（これを背面側と定義する）となる位置に、運転席に着座するドライバＤＲＶ及び助手席に着座する乗員から視認可能な虚像ＶＩを結像させる。ここでミラーにおいて各表示画面並びに運転席及び助手席と対面し、表示光を反射する反射面は、運転席に着座するドライバＤＲＶ及び助手席に着座する乗員から虚像ＶＩを視認し易い曲面形状を備えている。

　図２，４，５に示すように、例えば反射面の曲面形状は、凹状に湾曲した凹シリンドリカル面であってよい。より詳細に、ミラー板２１の断面のうち車両１の左右方向に沿った断面ＣＳ１において、反射面は、緩い曲線を描くように湾曲している。断面ＣＳ１は、ミラー板２１の長手方向に沿った断面といってよい。ここでいう緩い曲線とは、表示装置１０が収容室２ａに収容可能なとなるようなミラー板２１の形状を実現する曲線である。例えば緩い曲線とは、車両１の左右方向の全体に渡って延伸するように形成された曲線がなすミラー板２１の奥行きが、インストルメントパネル２において収容室２ａの奥行きよりも小さくなるような曲線である。一方、ミラー板２１の断面のうち断面ＣＳ１とは直交する、ミラー板２１の短手方向に沿った断面ＣＳ２において、反射面は、直線を描くように延伸している。

　このような反射面の曲面形状により、ミラー板２１の車両１への搭載性及びインストルメントパネル２に組み込まれた際のデザイン性が向上する。さらには、各虚像ＶＩは、左右方向に湾曲する曲面上に配置されるように連続的に並ぶ。このような各虚像ＶＩの結像位置により、虚像表示は、運転席に着座するドライバＤＲＶ及び助手席に着座する乗員を囲むように、当該ドライバ及び乗員に指向する。

　特に本実施形態のミラー板２１は、光透過性をもっている。ここでいう光透過性とは、可視光を透過する性質及び近赤外光を透過する性質のうち、少なくとも１つを含んでいてよい。ここでいう可視光を透過する性質とは、可視光のうち全ての波長の光を透過する性質であってもよく、可視光のうち一部の波長の光を透過する性質であってもよい。ミラー板２１に光透過性を持たせることにより、背面側に配置される背面ユニット３１に光を利用した機能を付加することが可能である。

　ミラー板２１は、図４～７に示すように、積層状態の複数の層を含む構造によって板状部を形成している。例えば複数の層は、母材層２２、光学機能付与層２３、保護層２４及びバランサー層２５ａ（２５ｂ）を含む。

　母材層２２は、例えばＰＭＭＡ樹脂、ＰＣ樹脂等の光透過性を有する合成樹脂材料により板状に形成されている。母材層２２は、例えば射出成形により形成される。母材層２２により、ミラー板２１の基礎的な強度が確保される。母材層２２は、例えば１～５ｍｍの厚さに設定されていてよい。母材層２２は、例えば可視光に対する透過率が９０％以上の無色透明に形成されていてもよい。母材層２２は、例えば可視光に対する透過率が３～９０％のスモーク調に形成されていてもよい。なお、本実施形態で示される透過率はエネルギー透過率であり、反射率はエネルギー反射率である。

　光学機能付与層２３は、ミラー板２１に光学機能を付与する層である。光学機能付与層２３は、母材層２２よりも視認側に配置される。光学機能付与層２３がミラー板２１に付与する機能は、反射機能である。光学機能付与層２３による表示光の反射率は、例えば３０％以上に設定されるとよい。これにより、本実施形態のミラー板２１は、ハーフミラーのように乗員から認識され得る。

　反射機能を付与する光学機能付与層２３は、樹脂フィルムに金属薄膜を蒸着形成したフィルム材又はシート材であってよい。フィルム材又はシート材は、母材層２２に対して貼り付けられた状態で配置されてよい。また、反射機能を付与する光学機能付与層２３は、無機化合物ないし金属酸化物等を多層形成した光学多層膜であってよい。光学多層膜は、例えばフィルム材又はシート材の形態にて形成され、母材層２２に対して貼り付けられた状態で配置されてよい。

　こうしたフィルム材又はシート材は、原材料を圧延及び伸展して薄く形成し、その後、ロール状に巻き取りされる製造方法によって製造されている。しがたって、光学機能付与層２３の厚さは、母材層２２の厚さよりも十分小さく設定されている。

　また、伸展方向に分子鎖が配向した結果、残留応力がフィルム材又はシート材の内部に残存している。したがって、光学機能付与層２３は、母材層２２よりも収縮しやすい加熱寸法変化特性をもっている。ミラー板２１の製造時に、フィルム材又はシート材に対して熱が加わると、残留応力の変化が起こることがあり、これによりフィルム材又はシート材を収縮変形させる可能性がある。こうした現象は、製造時ほどではないものの、環境に応じて車室内が高温となった場合にも起こる可能性がある。

　ここでいう加熱寸法変化特性は、ＪＩＳＫ７１３３：１９９９に記載されたフィルム及びシートの加熱寸法変化測定方法によって測定された、寸法変化（試験片の縦方向及び横方向の標線間距離の変化）を、最初の標線間距離に対する百分率で表した値によって数値化されてよい。この数値化によれば、負の値が加熱により収縮する特性を示し、正の値が加熱により伸びる特性を示す。２つの材料について値を比較した場合に、より値が小さな材料は、値が大きな材料よりも十分に収縮しやすい加熱寸法特性を持っているといえる。２つの材料についての値の差の絶対値が小さければ、これら２つの材料は、近い加熱寸法特性をもっているといえる。本開示の各実施形態では、ＪＩＳＫ７１３３：１９９９の内容を、全体的に、参照により援用している。

　保護層２４は、ミラー板２１において外部に露出する表面を構成する層である。保護層２４は、光学機能付与層２３よりも視認側に配置される。保護層２４は、光学機能付与層２３を保護する。保護層２４の厚さは、母材層２２の厚さよりも十分小さく設定されている。また、保護層２４の厚さは、光学機能付与層２３の厚さと同程度でもよく、光学機能付与層２３の厚さよりも大きく設定されていてよい。

　保護層２４は、ハードコート液をディップすること又は印刷することにより、形成されてよい。また、保護層２４は、ＰＭＭＡフィルムを積層したフィルム材又はシート材であってよく、光学機能付与層２３に対して貼り付けられた状態で配置されてよい。保護層２４がフィルム材又はシート材を用いて形成される場合、保護層２４は、母材層２２よりも十分に収縮しやすい加熱寸法変化特性をもつ。

　バランサー層２５ａ（２５ｂ）は、光学機能付与層２３とは母材層２２を挟んだ反対側、すなわち母材層２２よりも背面側に配置される。バランサー層２５ａ（２５ｂ）は、バランサー層２５ａ（２５ｂ）とは母材層２２を挟んだ反対側、すなわち光学機能付与層２３側との応力バランスを取るように設けられた層である。

　応力バランスは、光学機能付与層２３単体との間で取るようにしてもよい。応力バランスは、光学機能付与層２３及び保護層２４を一体の層とみなし、当該一体の層との間で取るようにしてもよい。すなわち光学機能付与層２３以外の保護層２４等の構成に応じて、保護層２４等の残留応力を考慮するか否かを検討すべきである。応力バランスを取ることにより、設計上、母材層の厚さを低減し、ミラー板２１を軽量化することも可能となる。

　バランサー層２５ａ（２５ｂ）は、光学機能付与層２３と、加熱寸法変化特性ないし残留応力特性が同じ又は近いフィルム材又はシート材の形態にて形成され、母材層２２に対して貼り付けられた状態で配置されてよい。すなわち、バランサー層２５ａ（２５ｂ）の厚さは、母材層２２の厚さよりも十分に小さく設定されている。また、バランサー層２５ａ（２５ｂ）は、母材層２２よりも十分に収縮しやすい加熱寸法変化特性をもつ。より詳細に、バランサー層２５ａ（２５ｂ）は、母材層２２よりも光学機能付与層２３に近い加熱寸法変化特性をもつ。

　図６に示すように、応力バランスを取るために、バランサー層２５ａには、光学機能付与層２３と実質的に同じ材料が採用されてもよい。そして、バランサー層２５ａは、光学機能付与層２３と同等の残留応力を再現するために、光学機能付与層２３と実質的に同じ圧延及び伸展負荷を与えられて、光学機能付与層２３の厚さと実質的に同じ厚さにて形成されてよい。バランサー層２５ａは、例えば１０～５００μｍの厚さに設定されていてよい。

　また、図７に示すように、バランサー層２５ｂには、光学機能付与層２３を構成する材料とは異なる材料（例えばＰＭＭＡ樹脂、ＰＣ樹脂、ＰＥＴ樹脂等の光透過性を有する安価な合成樹脂材料）が採用されてもよい。この場合、バランサー層２５ｂは、光学機能付与層２３と同等の残留応力を実現するために、光学機能付与層２３の厚さとは異なる厚さにて形成されてよい。

　具体的に、仮にバランサー層２５ｂと光学機能付与層２３とが同じ厚さだと、光学機能付与層２３の方が大きな残留応力をもってしまう場合には、バランサー層２５ｂの厚さが光学機能付与層２３の厚さよりも大きくなるように設定され得る。仮にバランサー層２５ｂと光学機能付与層２３とが同じ厚さだと、バランサー層２５ｂの方が大きな残留応力をもってしまう場合には、バランサー層２５ｂの厚さが光学機能付与層２３の厚さよりも小さくなるように設定され得る。

　背面ユニット３１は、図２に示すように、ミラー板２１の背面側に、ミラー板２１とは離間して配置される。背面ユニット３１は、表示装置１０において光を利用した機能を付加するユニットである。背面ユニット３１は、１つ設けられてもよく、複数設けられてもよい。背面ユニット３１は、図３に示すように、ドライバモニタユニット３２、アンビエント照明ユニット３６及び実像表示ユニット３８のうち、少なくとも１種類を含む構成であってよい。

　ドライバモニタユニット３２は、ドライバＤＲＶの状態を監視するドライバモニタシステムに用いられる。ドライバＤＲＶの状態とは、居眠り状態、よそ見状態等である。ドライバモニタユニット３２は、図８に詳細を示すように、カメラ３３、照明デバイス３４及び専用コンピュータ３５を含む構成である。カメラ３３は、例えば近赤外光を結像してドライバＤＲＶを撮影するように構成されている。照明デバイス３４は、例えば近赤外ＬＥＤであり、ドライバＤＲＶへ向けて発光することによりカメラ撮影における適正露出を実現する。発光は、常時発光でもよく、撮影タイミングと連動した発光でもよい。専用コンピュータ３５は、照明デバイス３４を制御し、また、カメラ３３により撮影された画像データを処理してドライバＤＲＶの状態を分析する。

　専用コンピュータ３５は、メモリ３５ａ及びプロセッサ３５ｂを少なくとも１つずつ有している。メモリ３５ａは、プロセッサ３５ｂにより読み取り可能なプログラム及びデータ等を非一時的に記憶する、例えば半導体メモリ、磁気媒体、及び光学媒体等のうち、少なくとも１種類の非遷移的実態的記憶媒体であってよい。さらにメモリ３５ａとして、例えばＲＡＭ（Random Access Memory）等の書き換え可能な揮発性の記憶媒体が設けられていてもよい。プロセッサ３５ｂは、例えばＣＰＵ（Central Processing Unit）、ＧＰＵ（Graphics Processing Unit）、及びＲＩＳＣ（Reduced Instruction Set Computer）－ＣＰＵ等のうち、少なくとも１種類をコアとして含む。

　アンビエント照明ユニット３６は、図２，３に示すように、ミラー板２１の背面側から照明効果を提供することにより、表示装置１０の視認性及び見栄えを向上させる。アンビエント照明ユニット３６は、複数の光源３７を含む構成である。光源３７は、ＬＥＤ、ＯＬＥＤ等により構成され、単色又は複数色に発光可能である。複数の光源３７は、同時にオン状態とオフ状態を切り替える仕様であってもよい。複数の光源３７は、個別にオン状態とオフ状態とを切り替え制御可能となっていてもよい。

　実像表示ユニット３８は、表示パネル３９を含む構成である。表示パネル３９は、例えばＯＬＥＤディスプレイ、液晶ディスプレイであり、表示画面を運転席又は助手席へ向けた姿勢で配置されている。実像表示ユニット３８は、上述の虚像ＶＩを表示する各画像表示ユニット１１ａ～ｅと連携し、あるいは各画像表示ユニット１１ａ～ｅを補完する形態で、実像によるコンテンツを表示可能である。また、実像表示ユニット３８は、機械式のインジケータを含んでいてもよい。

　図３に示される制御装置５０は、各画像表示ユニット１１ａ～ｅによる虚像表示を制御する。制御装置５０は、背面ユニット３１における、アンビエント照明ユニット３６による照明及び実像表示ユニット３８による実像表示のうち少なくとも１種類を、さらに制御してもよい。

　制御装置５０は、インターフェース５２及び専用コンピュータ５１を含む構成である。インターフェース５２は、外部の制御対象と有線通信又は無線通信により通信するための端子及び通信機のうち、少なくとも１種類を含む構成である。

　専用コンピュータ５１は、メモリ５１ａ及びプロセッサ５１ｂを少なくとも１つずつ有している。メモリ５１ａは、プロセッサ５１ｂにより読み取り可能なプログラム及びデータ等を非一時的に記憶する、例えば半導体メモリ、磁気媒体、及び光学媒体等のうち、少なくとも１種類の非遷移的実態的記憶媒体であってよい。さらにメモリ５１ａとして、例えばＲＡＭ（Random Access Memory）等の書き換え可能な揮発性の記憶媒体が設けられていてもよい。プロセッサ５１ｂは、例えばＣＰＵ（Central Processing Unit）、ＧＰＵ（Graphics Processing Unit）、及びＲＩＳＣ（Reduced Instruction Set Computer）－ＣＰＵ等のうち、少なくとも１種類をコアとして含む。

　なお、本実施形態における画像表示ユニット１１ａ～ｅは「表示ユニット」に相当する。また、実像表示ユニット３８が「表示ユニット」に相当していてもよい。ミラー板２１は「表示用光学部品」に相当する。ドライバモニタユニット３２は「モニタユニット」に相当する。アンビエント照明ユニット３６は「照明ユニット」に相当する。

　（作用効果）
　以上説明した第１実施形態の作用効果を以下に改めて説明する。

　第１実施形態によると、積層状態の複数の層を備えるミラー板２１において、光学機能付与層２３とは母材層２２を挟んだ反対側には、バランサー層２５ａ（２５ｂ）が配置される。バランサー層２５ａ（２５ｂ）によって、光学機能付与層２３側との応力バランスが取られる。故に、光学機能付与層２３が母材層２２よりも収縮しやすい加熱寸法変化特性をもっていても、加熱時の母材層２２を挟んだ両側の応力バランスの均衡が得られるため、ミラー板２１の形状及び構造が維持されやすくなる。したがって、表示において要求され得る品質を実現することができる。

　また、第１実施形態によると、ミラー板２１が光透過性をもっていても、バランサー層２５ａ（２５ｂ）は複数の層の１つを構成しているだけなので、ミラー板２１の見栄え低下は抑制される。

　また、第１実施形態によると、バランサー層２５ｂは、光学機能付与層２３とは異なる材料により形成され、かつ、光学機能付与層２３の厚さとは異なる厚さに形成されている。材料と厚さとを複合的に調整することにより、容易に応力バランスを取ることができる。

　また、第１実施形態によると、光学機能付与層２３は、光学機能として表示光の反射機能を付与することにより、ミラー板２１の背面側に虚像ＶＩを結像させる。これにより、斬新な表示を実現することができる。

　（第２実施形態）
　図９～１２に示すように、第２実施形態は第１実施形態の変形例である。第２実施形態について、第１実施形態とは異なる点を中心に説明する。

　第２実施形態において、複数の層は、追加調整層２６をさらに含む構成である。追加調整層２６は、応力バランスを局所的に調整する層である。追加調整層２６は、光学機能付与層２３及び保護層２４とは母材層２２を挟んだ反対側に配置される。追加調整層２６は、バランサー層２５ａよりも背面側に配置され、バランサー層２５ａの面がなす領域のうち一部分の領域に積層される。

　追加調整層２６は、光透過性をもつフィルム材又はシート材の形態にて形成され、バランサー層２５ａの一部分の領域に対して貼り付けられた状態で配置されてよい。これにより、バランサー層２５ａ側において一部分の領域のバランサー層２５ａ及び追加調整層２６を合計した厚さが、他の領域の厚さよりも大きくなる。この一部分の領域は、例えばミラー板２１のうち中央部２１ａ（又は内周部）に相当する領域であってよい。

　このような態様によって、面積の大きなミラー板２１において、光学機能付与層２３のうち中央部２１ａと端部との間又は内周部と外周部との間で、熱収縮による変形において異なる潜在的な傾向があったとしても、追加調整層２６が局所的な調整を実現する。したがって、母材層２２を挟んだ両側の応力バランスを、ミラー板２１の全体に亘って均衡させることができる。

　（第３実施形態）
　図１３～１８に示すように、第３実施形態は第１実施形態の変形例である。第３実施形態について、第１実施形態とは異なる点を中心に説明する。

　第３実施形態のバランサー層２５ａは、光学機能付与層２３とは異なる機能を、ミラー板２１に付与する。光学機能付与層２３とは異なる機能は、光学機能であってもよく、光学機能とは異なる他の機能であってもよい。

　機能の例として、バランサー層２５ａに波長選択透過性を有するフィルム材又はシート材が採用される。これにより、バランサー層２５ａは、波長を選択して透過させる波長選択透過機能をミラー板２１に付与してもよい。

　表示装置１０は、近赤外光の波長を透過し、可視光を透過させない特性を有するバランサー層２５ａと、背面ユニット３１としてドライバモニタユニット３２とを両方含むように構成されてもよい。そうすると、ドライバＤＲＶがドライバモニタユニット３２を視認困難となり表示装置１０の見栄え低下が抑制されつつ、ドライバモニタユニット３２によってドライバＤＲＶの状態を監視することができる。

　機能の他の例として、バランサー層２５ａに視野角制御性又は偏光性を有するフィルム材又はシート材（例えばＬＣＦ、ＶＣＦ）が採用されてもよい。そして、表示装置１０は、背面ユニット３１として複数の実像表示ユニット３８を含む構成であってよい。この構成では、実像表示ユニット３８による実像表示を、運転席及び助手席に対して選択的に可視化し、情報提示することができる。

　例えば運転席の正面位置に配置された実像表示ユニット３８にドライバＤＲＶが運転に必要とするコンテンツを表示し、助手席の正面位置に配置された実像表示ユニット３８にエンタテインメントに関するコンテンツを表示する。バランサー層２５ａがミラー板２１の面を斜め方向に透過する光を規制することにより、図１３に示すように、運転席視点ＰＶ１では、運転に必要なコンテンツが視認できる一方、エンタテインメントに関するコンテンツが視認困難となる。また図１４に示すように、助手席視点ＰＶ２では、エンタテインメントに関するコンテンツが視認できる一方、運転に必要なコンテンツが視認困難となる。

　機能の他の例として、バランサー層２５ａに光透過性を有する加飾フィルム材又はシート材が採用されることにより、バランサー層２５ａは、加飾機能をミラー板２１に付与してもよい。そして、表示装置１０は、背面ユニット３１としてアンビエント照明ユニット３６を含む構成であってよい。この構成では、アンビエント照明ユニット３６による照明のオン／オフを切り替えることにより、表示装置１０が醸し出す雰囲気を変更することができる。

　例えば図１５に示すように、加飾フィルム材が木目調の模様ＷＧＰを有するものとする。ここで第１状態として、アンビエント照明ユニット３６の照明がオン状態になると、ミラー板２１に木目調の模様ＷＧＰが浮かび上がるように視認されるようになり、インストルメントパネル２の高級感を演出することができる。一方、第２状態として、アンビエント照明ユニット３６の照明がオフ状態になると、ミラー板２１の木目調の模様ＷＧＰは視認困難となり、ミラー板２１に反射されて結像される虚像ＶＩの視認性を高めることができる。

　照明のオン状態とオフ状態とは、制御装置５０により制御されてよい。例えばステアリング等に設けられた操作スイッチがドライバＤＲＶにより操作され、信号が制御装置５０に入力されると、制御装置５０が照明のオン／オフによって第１状態と第２状態とを切り替える構成であってもよい。

　また例えば、制御装置５０が車両１の運転状態に基づいて自動的に照明のオン状態とオフ状態とを切り替えてもよい。より詳細に、制御装置５０が、車両１の現在の自動運転レベルに関する情報を車両１から取得し、当該情報に基づいて第１状態と第２状態とを切り替えてもよい。自動運転レベルは、例えばＳＡＥ　Ｊ３０１６に規定される。車両１が手動運転状態（例えば自動運転レベル２以下に相当する状態）にある場合には、照明をオフ状態にして虚像ＶＩの視認性を高めるとよい。車両１が自動運転状態（例えば自動運転レベル３以上に相当する状態）にある場合には、照明をオン状態にするとよい。

　機能の他の例として、バランサー層２５ａに光透過性を有する表示フィルム材又はシート材が採用されることにより、バランサー層２５ａは、表示機能をミラー板２１に付与してもよい。そして、表示装置１０は、背面ユニット３１としてアンビエント照明ユニット３６を含む構成であってよい。

　図１６～１７に示すように、例えば表示フィルム材に印刷された複数のアイコンＩＣ１～３が設けられる。そして、各アイコンＩＣ１～３の真裏となる位置に、アンビエント照明ユニット３６の各光源３７が各アイコンＩＣ１～３に個別に対応するように配置されていてもよい。そして、制御装置５０は、車両１の状態と連動して各光源３７のオン状態とオフ状態とを個別に切り替えて、複数のアイコンＩＣ１～３を選択的に表示してもよい。ここでいう車両１の状態とは、例えば追い越し車両の接近有無、車間距離、空気清浄度、ドライバＤＲＶの脇見状態、ドライバＤＲＶの居眠り状態等である。アイコンＩＣ１は、追い越し車両接近の警告灯である。アイコンＩＣ２は、燃料残量警告灯である。アイコンＩＣ３は、ウインカー灯である。

　さらに図１８に示すように、アイコンＩＣ４は、例えば自車速の数値表示を実施するための８セグメントパターンである。各セグメントに個別に対応する光源３７を点灯させて、数字等の文字が表示される。

　機能の他の例として、バランサー層２５ａに電磁波ノイズ低減性能を有する導電フィルム材、シート材又は金属メッシュが採用される。これにより、バランサー層２５ａは、例えば背面ユニット３１に設けられた回路基板１２等から発生する電磁波ノイズが表示装置１０の外部へ漏れることを抑制する、電磁波ノイズ低減機能をミラー板２１に付与してもよい。

　機能の他の例として、バランサー層２５ａに光透過性を有するタッチパネル、アンテナ機能を有するフィルム状のＦＰＣ（Flexible Printed Circuits）が採用される。これにより、バランサー層２５ａは、タッチパネル機能をミラー板２１に付与してもよい。これにより、表示装置１０は、例えばカーナビゲーション、エンタテインメント、オーディオ、ＧＰＳ等の表示装置１０が表示するコンテンツに関するタッチ操作を受け付けることが可能となる。

　機能の他の例として、バランサー層２５ａに反射低減性を有するモスアイフィルム材又はシート材、ＡＲフィルム材又はシート材が採用される。これにより、バランサー層２５ａは、外光による見栄え低下を抑制する機能をミラー板２１に付与してもよい。

　さらに、バランサー層２５ａは、上述のフィルム材又はシート材を積層して形成することにより、複数の機能をミラー板２１に付与してもよい。

　さらに、バランサー層２５ａは、バランサー層２５ａの面がなす領域を複数の分割領域に分割し、当該分割領域毎に互いに異なるフィルム材又はシート材をタイリングした構成であってよい。これにより、分割領域毎に異なる機能をミラー板２１に付与する構成としてもよい。

　（他の実施形態）
　以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。

　具体的に変形例１としては、ミラー板２１は、各画像表示ユニット１１ａ～ｃに対して個別に対応するように複数設けられてもよい。

　変形例２としては、画像表示ユニットは１つでもよい。

　変形例３としては、ミラー板２１には、各種の形状を採用可能である。ミラー板２１は、平板状に形成されてもよい。ミラー板２１は、トロイダル曲面、自由曲面等の曲面を表面に備えた曲板状に形成されてもよい。

　変形例４としては、ミラー板２１は、近赤外光及び可視光のすべての波長の光に対して遮光性をもっていてもよい。

　変形例５としては、光学機能付与層２３が表示用光学部品に付与する光学機能は、反射機能以外の機能でもよい。第３実施形態にバランサー層２５ａの機能として示された種々の光学機能を、光学機能付与層２３が表示用光学部品に付与してもよい。

　変形例６としては、光学機能付与層２３は、金属、ガラス、無機材、有機材、合成樹脂材、それらの複合材等、薄い形状でインサート成形できる材料が用いられていればよい。光学機能付与層２３は、さらに表面又は他の層との界面に、塗装、コーティング等が施された構成であってもよい。

　変形例７としては、表示用光学部品は、ヘッドアップディスプレイ装置から発光された表示光を反射する車両のウインドシールドであってもよい。表示用光学部品は、ヘッドアップディスプレイ装置から発光された表示光を反射するコンバイナであってもよい。表示用光学部品は、車載の表示装置に設けられるデコレーションプレート（化粧板）であってもよい。

　変形例８としては、表示用光学部品及びこれを備えた表示装置は、車両１に用いられなくてもよく、テレビジョン、スマートフォン等の民生品、デジタルサイネージに用いられてもよい。

　本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウエア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウエア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。

　（技術的思想の開示）
　この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式（a multiple dependent form）により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。

　＜技術的思想１＞
　視認側へ向けた表示を行なうように構成される表示装置であって、
　表示光を発光する複数の表示ユニット（１１ａ～ｅ）と、
　前記複数の表示ユニットに対して１つ設けられ、各前記表示ユニットからの前記表示光を視認側へ指向させるように配置される部品であって、積層状態の複数の層を備える表示用光学部品（２１）と、を備え、
　前記複数の層は、
　母材層（２２）と、
　前記母材層よりも収縮しやすい加熱寸法変化特性をもち、前記表示用光学部品に光学機能を付与する光学機能付与層（２３）と、
　前記光学機能付与層とは前記母材層を挟んだ反対側に配置され、前記光学機能付与層側との応力バランスを取るように、前記母材層よりも前記光学機能付与層に近い加熱寸法変化特性をもたせたバランサー層（２５ａ，２５ｂ）と、を有する、表示装置。

　＜技術的思想２＞
　前記表示用光学部品は、光透過性をもつ、技術的思想１に記載の表示装置。

　＜技術的思想３＞
　前記バランサー層は、前記光学機能付与層とは異なる材料により形成され、かつ、前記光学機能付与層の厚さとは異なる厚さに形成されている技術的思想１又は２に記載の表示装置。

　＜技術的思想４＞
　前記複数の層は、前記バランサー層の面がなす領域のうちの一部分に積層され、前記応力バランスを局所的に調整する追加調整層（２６）を、さらに有する、技術的思想１から３のいずれか１項に記載の表示装置。

　＜技術的思想５＞
　前記バランサー層は、前記表示用光学部品に前記光学機能付与層とは異なる機能を付与する、技術的思想１から４のいずれか１項に記載の表示装置。

　＜技術的思想６＞
　前記光学機能付与層は、前記光学機能として前記表示光の反射機能を付与することにより、視認側とは前記表示用光学部品を挟んだ反対側である背面側に虚像（ＶＩ）を結像させる、技術的思想１から５のいずれか１項に記載の表示装置。

　＜技術的思想７＞
　視認側とは前記表示用光学部品を挟んだ反対側である背面側に配置され、視認側をモニタリングするモニタユニット（３２）をさらに備え、
　前記モニタユニットは、
　所定波長の光を結像して視認側を撮影するカメラ（３３）と、
　視認側へ向けて前記所定波長の光を発光し、撮影における適正露出を実現する照明デバイス（３４）と、を有し、
　前記バランサー層は、前記カメラ及び前記照明デバイスに用いられる前記所定波長の光を選択して透過させる波長選択透過性を有する、技術的思想１から６のいずれか１項に記載の表示装置。

　＜技術的思想８＞
　複数の座席が配置された車両（１）に搭載され、
　視認側とは前記表示用光学部品を挟んだ反対側である背面側に配置され、背面側から表示を行なう、前記表示ユニットとは別の背面ユニット（３８）をさらに備え、
　前記表示用光学部品は、光透過性をもち、
　前記光学機能付与層は、前記光学機能として前記表示ユニットによる前記表示光の反射機能を付与することにより、背面側に、複数の座席から視認可能な虚像（ＶＩ）を結像させる一方、前記バランサー層が視野角制御性又は偏光性を有することにより、所定の座席のうち一部の座席に対して選択的に前記背面ユニットによる表示を可視化する、技術的思想１から７のいずれか１項に記載の表示装置。

　＜技術的思想９＞
　視認側とは前記表示用光学部品を挟んだ反対側である背面側に配置され、前記背面側から照明効果を提供する照明ユニット（３６）を、さらに備え、
　前記表示用光学部品は、光透過性をもち、
　前記バランサー層が加飾模様（ＷＧＰ）を有することにより、前記照明ユニットのオン状態において前記加飾模様が視認側から視認困難となる第１状態と、前記照明ユニットのオフ状態において前記加飾模様が視認側から視認可能となる第２状態とを、切り替え可能に構成されている、技術的思想１から８のいずれか１項に記載の表示装置。

　＜技術的思想１０＞
　表示に用いられる表示用光学部品であって、
　積層状態の複数の層を備え、
　前記複数の層は、
　母材層（２２）と、
　前記母材層よりも収縮しやすい加熱寸法変化特性をもち、光学機能を付与する光学機能付与層（２３）と、
　前記光学機能付与層とは前記母材層を挟んだ反対側に配置され、前記光学機能付与層側との応力バランスを取るように、前記母材層よりも前記光学機能付与層に近い加熱寸法変化特性をもたせたバランサー層（２５ａ，２５ｂ）と、を有する、表示用光学部品。

　＜技術的思想１１＞
　前記複数の層は、積層状態において光透過性をもつ、技術的思想１０に記載の表示用光学部品。

Claims (11)

1. 　視認側へ向けた表示を行なうように構成される表示装置であって、
   　表示光を発光する複数の表示ユニット（１１ａ～ｅ）と、
   　前記複数の表示ユニットに対して１つ設けられ、各前記表示ユニットからの前記表示光を視認側へ指向させるように配置される部品であって、積層状態の複数の層を備える表示用光学部品（２１）と、を備え、
   　前記複数の層は、
   　母材層（２２）と、
   　前記母材層よりも収縮しやすい加熱寸法変化特性をもち、前記表示用光学部品に光学機能を付与する光学機能付与層（２３）と、
   　前記光学機能付与層とは前記母材層を挟んだ反対側に配置され、前記光学機能付与層側との応力バランスを取るように、前記母材層よりも前記光学機能付与層に近い加熱寸法変化特性をもたせたバランサー層（２５ａ，２５ｂ）と、を有する、表示装置。
2. 　前記表示用光学部品は、光透過性をもつ、請求項１に記載の表示装置。
3. 　前記バランサー層は、前記光学機能付与層とは異なる材料により形成され、かつ、前記光学機能付与層の厚さとは異なる厚さに形成されている請求項１又は２に記載の表示装置。
4. 　前記複数の層は、前記バランサー層の面がなす領域のうちの一部分に積層され、前記応力バランスを局所的に調整する追加調整層（２６）を、さらに有する、請求項１又は２に記載の表示装置。
5. 　前記バランサー層は、前記表示用光学部品に前記光学機能付与層とは異なる機能を付与する、請求項１又は２に記載の表示装置。
6. 　前記光学機能付与層は、前記光学機能として前記表示光の反射機能を付与することにより、視認側とは前記表示用光学部品を挟んだ反対側である背面側に虚像（ＶＩ）を結像させる、請求項１又は２に記載の表示装置。
7. 　視認側とは前記表示用光学部品を挟んだ反対側である背面側に配置され、視認側をモニタリングするモニタユニット（３２）をさらに備え、
   　前記モニタユニットは、
   　所定波長の光を結像して視認側を撮影するカメラ（３３）と、
   　視認側へ向けて前記所定波長の光を発光し、撮影における適正露出を実現する照明デバイス（３４）と、を有し、
   　前記バランサー層は、前記カメラ及び前記照明デバイスに用いられる前記所定波長の光を選択して透過させる波長選択透過性を有する、請求項１に記載の表示装置。
8. 　複数の座席が配置された車両（１）に搭載され、
   　視認側とは前記表示用光学部品を挟んだ反対側である背面側に配置され、背面側から表示を行なう、前記表示ユニットとは別の背面ユニット（３８）をさらに備え、
   　前記表示用光学部品は、光透過性をもち、
   　前記光学機能付与層は、前記光学機能として前記表示ユニットによる前記表示光の反射機能を付与することにより、背面側に、複数の座席から視認可能な虚像（ＶＩ）を結像させる一方、前記バランサー層が視野角制御性又は偏光性を有することにより、所定の座席のうち一部の座席に対して選択的に前記背面ユニットによる表示を可視化する、請求項１に記載の表示装置。
9. 　視認側とは前記表示用光学部品を挟んだ反対側である背面側に配置され、前記背面側から照明効果を提供する照明ユニット（３６）を、さらに備え、
   　前記表示用光学部品は、光透過性をもち、
   　前記バランサー層が加飾模様（ＷＧＰ）を有することにより、前記照明ユニットのオン状態において前記加飾模様が視認側から視認困難となる第１状態と、前記照明ユニットのオフ状態において前記加飾模様が視認側から視認可能となる第２状態とを、切り替え可能に構成されている、請求項１に記載の表示装置。
10. 　表示に用いられる表示用光学部品であって、
    　積層状態の複数の層を備え、
    　前記複数の層は、
    　母材層（２２）と、
    　前記母材層よりも収縮しやすい加熱寸法変化特性をもち、光学機能を付与する光学機能付与層（２３）と、
    　前記光学機能付与層とは前記母材層を挟んだ反対側に配置され、前記光学機能付与層側との応力バランスを取るように、前記母材層よりも前記光学機能付与層に近い加熱寸法変化特性をもたせたバランサー層（２５ａ，２５ｂ）と、を有する、表示用光学部品。
11. 　前記複数の層は、積層状態において光透過性をもつ、請求項１０に記載の表示用光学部品。

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