WO2023195409A1 - 弾性波装置および弾性波装置の製造方法 - Google Patents

弾性波装置および弾性波装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

弾性波装置が、一方主面に空洞部を有する支持基板と、支持基板の一方主面上に設けられた圧電体層と、圧電体層に設けられた機能電極とを備える。空洞部が、支持基板および圧電体層の積層方向に沿って見た平面視で機能電極の一部と重なる位置にあり、支持基板において空洞部を構成し積層方向に沿って見た平面視で機能電極に対向する対向部が、誘電率の異なる複数の誘電体膜で構成されている。

Description

弾性波装置および弾性波装置の製造方法
 本開示は、圧電層(圧電体層)を備える弾性波装置および弾性波装置の製造方法に関する。
 例えば、特許文献1には、板波を利用する弾性波装置が開示されている。特許文献1に記載の弾性波装置は、支持体と、圧電基板と、IDT電極とを備えている。支持体には、空洞部が設けられている。圧電基板は、支持体の上に空洞部と重なるように設けられている。IDT電極は、圧電基板の上に空洞部と重なるように設けられている。弾性波装置では、IDT電極により板波が励振される。空洞部の端縁部は、IDT電極により励振される板波の伝搬方向と平行に延びる直線部を含まない。
特開2012-257019号公報
 近年、メンブレン部を含む弾性波装置において、スティッキングおよびクラックの発生を防止可能な弾性波装置が求められている。
 本開示は、スティッキングおよびクラックの発生を防止可能な弾性波装置および弾性波装置の製造方法を提供することを目的とする。
 本開示の一態様の弾性波装置は、
 一方主面に空洞部を有する支持基板と、
 前記支持基板の一方主面上に設けられた圧電体層と、
 前記圧電体層に設けられた機能電極と
を備え、
 前記空洞部が、前記支持基板および前記圧電体層の積層方向に沿って見た平面視で前記機能電極の一部と重なる位置にあり、
 前記支持基板において前記空洞部を構成し前記平面視で前記機能電極に対向する対向部が、誘電率の異なる複数の誘電体膜で構成されている。
 本開示の一態様の弾性波装置の製造方法は、
 支持基板および接合層を有する支持基板と、前記接合層に設けられた圧電体層と、前記圧電体層に設けられた機能電極とを含み、前記支持基板、前記接合層、前記圧電体層および前記機能電極が積層方向に沿って順に積層されており、前記接合層の内部に前記積層方向に沿って見た平面視において前記機能電極の一部と重なる空洞部が設けられ、前記空洞部を構成する前記接合層の前記積層方向において前記機能電極に対向する対向部が、誘電率の異なる複数の誘電体膜で構成されている、弾性波装置の製造方法であって、
 前記圧電体層上に、無機物で構成された無機犠牲層を形成し、前記無機犠牲層上に、有機物で構成され前記積層方向に延びる貫通穴を有する有機犠牲層を形成する工程と、
 前記圧電体層と共に前記無機犠牲層および前記有機犠牲層を覆うように前記接合層を形成する工程と、
 前記有機犠牲層を除去した後、前記無機犠牲層を除去して、前記空洞部を構成する工程と
を備える。
 本開示によれば、メンブレン部を含む弾性波装置において、スティッキングおよびクラックの発生を防止可能な弾性波装置および弾性波装置の製造方法を提供できる。
第1,第2の態様の弾性波装置の外観を示す略図的斜視図。 圧電層上の電極構造を示す平面図。 図1A中のA-A線に沿う部分の断面図。 従来の弾性波装置の圧電膜を伝搬するラム波を説明するための模式的正面断面図。 本開示の弾性波装置の波を説明するための模式的正面断面図。 第1の電極と第2の電極との間に、第2の電極が第1の電極よりも高電位となる電圧が印加された場合のバルク波を示す模式図。 本開示の一実施形態に係る弾性波装置の共振特性を示す図。 d/2pと、弾性波装置の共振子としての比帯域との関係を示す図。 本開示の一実施形態に係る別の弾性波装置の平面図。 弾性波装置の共振特性の一例を示す参考図。 多数の弾性波共振子を構成した場合の比帯域と、スプリアスの大きさとしての180度で規格化されたスプリアスのインピーダンスの位相回転量との関係を示す図。 d/2pと、メタライゼーション比MRと、比帯域との関係を示す図。 d/pを限りなく0に近づけた場合のLiNbO3のオイラー角(0°,θ,ψ)に対する比帯域のマップを示す図。 本開示の一実施形態に係る弾性波装置を説明するための部分切り欠き斜視図。 本開示の一実施形態の弾性波装置を示す平面図。 図13のXIV-XIV線に沿った断面図。 図13の弾性波装置の製造方法を説明するための第1の図。 図13の弾性波装置の製造方法を説明するための第2の図。 図13の弾性波装置の製造方法を説明するための第3の図。 図13の弾性波装置の製造方法を説明するための第4の図。 図13の弾性波装置の製造方法を説明するための第5の図。 図13の弾性波装置の製造方法を説明するための第6の図。 図13の弾性波装置の製造方法を説明するための第7の図。 図13の弾性波装置の変形例を示す断面図。 図22の弾性波装置の製造方法を説明するための第1の図。 図22の弾性波装置の製造方法を説明するための第2の図。 図22の弾性波装置の製造方法を説明するための第3の図。 図22の弾性波装置の製造方法を説明するための第4の図。 図22の弾性波装置の製造方法を説明するための第5の図。 図22の弾性波装置の製造方法を説明するための第6の図。 図22の弾性波装置の製造方法を説明するための第7の図。 対向部を備えていない弾性波装置の一例を示す断面図。
 以下、本開示の一例を添付図面に従って説明する。以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、本開示の適用物、または、本開示の用途を制限することを意図するものではない。図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは必ずしも合致していない。
 図1A~図12を参照して、本開示の基礎となる第1~第4の態様の弾性波装置について説明する。
 本開示における第1,第2,第3の態様の弾性波装置は、例えば、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムからなる圧電層と、圧電層の厚み方向に交差する方向において対向する第1電極及び第2電極とを備える。
 第1の態様の弾性波装置では、厚み滑り1次モードのバルク波が利用されている。
 また、第2の態様の弾性波装置では、第1電極及び前記第2電極は隣り合う電極同士であり、圧電層の厚みをd、第1電極及び第2電極の中心間距離をpとした場合、d/pが0.5以下とされている。それによって、第1,第2の態様では、小型化を進めた場合であっても、Q値を高めることができる。
 また、第3の態様の弾性波装置では、板波としてのラム波が利用される。そして、上記ラム波による共振特性を得ることができる。
 本開示における第4の態様の弾性波装置は、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムからなる圧電層と、圧電層を挟んで圧電層の厚み方向に対向する上部電極及び下部電極とを備え、バルク波を利用する。
 以下、図面を参照しつつ、第1~第4の態様の弾性波装置の具体的な実施形態を説明することにより、本開示を明らかにする。
 なお、本明細書に記載の各実施形態は、例示的なものであり、異なる実施形態間において、構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることを指摘しておく。
 図1Aは、第1,第2の態様についての一実施形態に係る弾性波装置の外観を示す略図的斜視図であり、図1Bは、圧電層上の電極構造を示す平面図であり、図2は、図1A中のA-A線に沿う部分の断面図である。
 弾性波装置1は、LiNbOからなる圧電層2を有する。圧電層2は、LiTaOからなるものであってもよい。LiNbOやLiTaOのカット角は、本実施形態では、Zカットであるが、回転YカットやXカットであってもよい。好ましくは、Y伝搬及びX伝搬±30°の伝搬方位が好ましい。圧電層2の厚みは、特に限定されないが、厚み滑り1次モードを効果的に励振するには、50nm以上、1000nm以下が好ましい。
 圧電層2は、対向し合う第1,第2の主面2a,2bを有する。第1の主面2a上に、電極3及び電極4が設けられている。ここで電極3が「第1電極」の一例であり、電極4が「第2電極」の一例である。図1A及び図1Bでは、複数の電極3が、第1のバスバー5に接続されている複数の第1の電極指である。複数の電極4は、第2のバスバー6に接続されている複数の第2の電極指である。複数の電極3及び複数の電極4は、互いに間挿し合っている。
 電極3及び電極4は、矩形形状を有し、長さ方向を有する。この長さ方向と直交する方向において、電極3と、隣りの電極4とが対向している。これら複数の電極3,4、及び第1のバスバー5,第2のバスバー6によりIDT(Interdigital Transuducer)電極が構成されている。電極3,4の長さ方向、及び、電極3,4の長さ方向と直交する方向はいずれも、圧電層2の厚み方向に交差する方向である。このため、電極3と、隣りの電極4とは、圧電層2の厚み方向に交差する方向において対向しているともいえる。
 また、電極3,4の長さ方向が図1A及び図1Bに示す電極3,4の長さ方向に直交する方向と入れ替わってもよい。すなわち、図1A及び図1Bにおいて、第1のバスバー5及び第2のバスバー6が延びている方向に電極3,4を延ばしてもよい。その場合、第1のバスバー5及び第2のバスバー6は、図1A及び図1Bにおいて電極3,4が延びている方向に延びることとなる。
 そして、一方電位に接続される電極3と、他方電位に接続される電極4とが隣り合う1対の構造が、上記電極3,4の長さ方向と直交する方向に、複数対設けられている。ここで電極3と電極4とが隣り合うとは、電極3と電極4とが直接接触するように配置されている場合ではなく、電極3と電極4とが間隔を介して配置されている場合を指す。
 また、電極3と電極4とが隣り合う場合、電極3と電極4との間には、他の電極3,4を含む、ホット電極やグランド電極に接続される電極は配置されない。この対数は、整数対である必要はなく、1.5対や2.5対などであってもよい。電極3,4間の中心間距離すなわちピッチは、1μm以上、10μm以下の範囲が好ましい。また、電極3,4間の中心間距離とは、電極3の長さ方向と直交する方向における電極3の幅寸法の中心と、電極4の長さ方向と直交する方向における電極4の幅寸法の中心とを結んだ距離となる。さらに、電極3,4の少なくとも一方が複数本ある場合(電極3,4を一対の電極組とし、1.5対以上の電極組がある場合)、電極3,4の中心間距離は、1.5対以上の電極3,4のうち隣り合う電極3,4それぞれの中心間距離の平均値を指す。また、電極3,4の幅、すなわち電極3,4の対向方向の寸法は、150nm以上、1000nm以下の範囲が好ましい。なお、電極3,4間の中心間距離とは、電極3の長さ方向と直交する方向における電極3の寸法(幅寸法)の中心と、電極4の長さ方向と直交する方向における電極4の寸法(幅寸法)の中心とを結んだ距離となる。
 また、本実施形態では、Zカットの圧電層を用いているため、電極3,4の長さ方向と直交する方向は、圧電層2の分極方向に直交する方向となる。圧電層2として他のカット角の圧電体を用いた場合には、この限りでない。ここにおいて、「直交」とは、厳密に直交する場合のみに限定されず、略直交(電極3,4の長さ方向と直交する方向と分極方向とのなす角度が例えば90°±10°)でもよい。
 圧電層2の第2の主面2b側には、絶縁層7を介して支持部材8が積層されている。絶縁層7及び支持部材8は、枠状の形状を有し、図2に示すように、開口部7a,8aを有する。それによって、空洞部9が形成されている。空洞部9は、圧電層2の励振領域Cの振動を妨げないために設けられている。従って、上記支持部材8は、少なくとも1対の電極3,4が設けられている部分と重ならない位置において、第2の主面2bに絶縁層7を介して積層されている。なお、絶縁層7は設けられずともよい。従って、支持部材8は、圧電層2の第2の主面2bに直接または間接に積層され得る。
 絶縁層7は、酸化ケイ素からなる。もっとも、酸化ケイ素の他、酸窒化ケイ素、アルミナなどの適宜の絶縁性材料を用いることができる。支持部材8は、Siからなる。Siの圧電層2側の面における面方位は(100)や(110)であってもよく、(111)であってもよい。好ましくは、抵抗率4kΩ以上の高抵抗のSiが望ましい。もっとも、支持部材8についても適宜の絶縁性材料や半導体材料を用いて構成することができる。支持部材8の材料としては、例えば、酸化アルミニウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、水晶などの圧電体、アルミナ、マグネシア、サファイア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライトなどの各種セラミック、ダイヤモンド、ガラスなどの誘電体、窒化ガリウムなどの半導体などを用いることができる。
 上記複数の電極3,4及び第1,第2のバスバー5,6は、Al、AlCu合金などの適宜の金属もしくは合金からなる。本実施形態では、電極3,4及び第1,第2のバスバー5,6は、Ti膜上にAl膜を積層した構造を有する。なお、Ti膜以外の密着層を用いてもよい。
 駆動に際しては、複数の電極3と、複数の電極4との間に交流電圧を印加する。より具体的には、第1のバスバー5と第2のバスバー6との間に交流電圧を印加する。それによって、圧電層2において励振される厚み滑り1次モードのバルク波を利用した、共振特性を得ることが可能とされている。
 また、弾性波装置1では、圧電層2の厚みをd、複数対の電極3,4のうちいずれかの隣り合う電極3,4の中心間距離をpとした場合、d/pは0.5以下とされている。そのため、上記厚み滑り1次モードのバルク波が効果的に励振され、良好な共振特性を得ることができる。より好ましくは、d/pは0.24以下であり、その場合には、より一層良好な共振特性を得ることができる。
 なお、本実施形態のように電極3,4の少なくとも一方が複数本ある場合、すなわち、電極3,4を1対の電極組とし、電極3,4が1.5対以上ある場合、隣り合う電極3,4の中心間距離pは、各隣り合う電極3,4の中心間距離の平均距離となる。
 本実施形態の弾性波装置1では、上記構成を備えるため、小型化を図ろうとして、電極3,4の対数を小さくしたとしても、Q値の低下が生じ難い。これは、両側に反射器を必要としない共振器であり、伝搬ロスが少ないためである。また、上記反射器を必要としないのは、厚み滑り1次モードのバルク波を利用していることによる。
 従来の弾性波装置で利用したラム波と、上記厚み滑り1次モードのバルク波の相違を、図3A及び図3Bを参照して説明する。
 図3Aは、従来の弾性波装置の圧電膜を伝搬するラム波を説明するための模式的正面断面図である。従来の弾性波装置については、例えば、特許文献1(特開2012-257019号公報)に記載されている。図3Aに示すように、従来の弾性波装置においては、圧電膜201中を矢印で示すように波が伝搬する。ここで、圧電膜201では、第1の主面201aと、第2の主面201bとが対向しており、第1の主面201aと第2の主面201bとを結ぶ厚み方向がZ方向である。X方向は、IDT電極の電極指が並んでいる方向である。図3Aに示すように、ラム波では、波が図示のように、X方向に伝搬していく。板波であるため、圧電膜201が全体として振動するものの、波はX方向に伝搬するため、両側に反射器を配置して、共振特性を得ている。そのため、波の伝搬ロスが生じ、小型化を図った場合、すなわち電極指の対数を少なくした場合、Q値が低下する。
 これに対して、図3Bに示すように、本実施形態の弾性波装置1では、振動変位は厚み滑り方向であるから、波は、圧電層2の第1の主面2aと第2の主面2bとを結ぶ方向、すなわちZ方向にほぼ伝搬し、共振する。すなわち、波のX方向成分がZ方向成分に比べて著しく小さい。そして、このZ方向の波の伝搬により共振特性が得られるため、反射器を必要としない。よって、反射器に伝搬する際の伝搬損失は生じない。従って、小型化を進めようとして、電極3,4からなる電極対の対数を減らしたとしても、Q値の低下が生じ難い。
 なお、厚み滑り1次モードのバルク波の振幅方向は、図4に示すように、圧電層2の励振領域Cに含まれる第1領域451と、励振領域Cに含まれる第2領域452とで逆になる。図4は、電極3と電極4との間に、電極4が電極3よりも高電位となる電圧が印加された場合のバルク波を模式的に示している。第1領域451は、励振領域Cのうち、圧電層2の厚み方向に直交し圧電層2を2分する仮想平面VP1と、第1の主面2aとの間の領域である。第2領域452は、励振領域Cのうち、仮想平面VP1と、第2の主面2bとの間の領域である。
 上記のように、弾性波装置1では、電極3と電極4とからなる少なくとも1対の電極が配置されているが、X方向に波を伝搬させるものではないため、この電極3,4からなる電極対の対数は複数対ある必要は必ずしもない。すなわち、少なくとも1対の電極が設けられてさえおればよい。
 例えば、上記電極3がホット電位に接続される電極であり、電極4がグラウンド電位に接続される電極である。もっとも、電極3がグラウンド電位に、電極4がホット電位に接続されてもよい。本実施形態では、少なくとも1対の電極は、上記のように、ホット電位に接続される電極またはグラウンド電位に接続される電極であり、浮き電極は設けられていない。
 図5は、本開示の一実施形態の弾性波装置の共振特性を示す図である。なお、この共振特性を得た弾性波装置1の設計パラメータは以下の通りである。
 圧電層2:オイラー角(0°,0°,90°)のLiNbO、厚み=400nm。
 電極3と電極4の長さ方向と直交する方向に視たときに、電極3と電極4とが重なっている領域、すなわち励振領域Cの長さ=40μm、電極3,4からなる電極の対数=21対、電極間中心距離=3μm、電極3,4の幅=500nm、d/p=0.133。
 絶縁層7:1μmの厚みの酸化ケイ素膜。
 支持部材8:Si。
 なお、励振領域Cの長さとは、励振領域Cの電極3,4の長さ方向に沿う寸法である。
 本実施形態では、電極3,4からなる電極対の電極間距離は、複数対において全て等しくした。すなわち、電極3と電極4とを等ピッチで配置した。
 図5から明らかなように、反射器を有しないにもかかわらず、比帯域が12.5%である良好な共振特性が得られている。
 ところで、上記圧電層2の厚みをd、電極3と電極4との電極の中心間距離をpとした場合、前述したように、本実施形態では、d/pは0.5以下、より好ましくは0.24以下である。これを、図6を参照して説明する。
 図5に示した共振特性を得た弾性波装置と同様に、但しd/2pを変化させ、複数の弾性波装置を得た。図6は、このd/2pと、弾性波装置の共振子としての比帯域との関係を示す図である。
 図6から明らかなように、d/2pが0.25を超えると、すなわちd/p>0.5では、d/pを調整しても、比帯域は5%未満である。これに対して、d/2p≦0.25、すなわちd/p≦0.5の場合には、その範囲内でd/pを変化させれば、比帯域を5%以上とすることができ、すなわち高い結合係数を有する共振子を構成することができる。また、d/2pが0.12以下の場合、すなわちd/pが0.24以下の場合には、比帯域を7%以上と高めることができる。加えて、d/pをこの範囲内で調整すれば、より一層比帯域の広い共振子を得ることができ、より一層高い結合係数を有する共振子を実現することができる。従って、本開示の第2の態様の弾性波装置のように、d/pを0.5以下とすることにより、上記厚み滑り1次モードのバルク波を利用した、高い結合係数を有する共振子を構成し得ることがわかる。
 なお、前述したように、少なくとも1対の電極は、1対でもよく、上記pは、1対の電極の場合、隣り合う電極3,4の中心間距離とする。また、1.5対以上の電極の場合には、隣り合う電極3,4の中心間距離の平均距離をpとすればよい。
 また、圧電層の厚みdについても、圧電層2が厚みばらつきを有する場合、その厚みを平均化した値を採用すればよい。
 図7は、本開示の一実施形態に係る別の弾性波装置の平面図である。弾性波装置31では、圧電層2の第1の主面2a上において、電極3と電極4とを有する1対の電極が設けられている。なお、図7中のKが交差幅となる。前述したように、本開示の弾性波装置31では、電極の対数は1対であってもよい。この場合においても、上記d/pが0.5以下であれば、厚み滑り1次モードのバルク波を効果的に励振することができる。
 弾性波装置1では、好ましくは、複数の電極3,4において、いずれかの隣り合う電極3,4が対向している方向に視たときに重なっている領域である励振領域に対する、上記隣り合う電極3,4のメタライゼーション比MRが、MR≦1.75(d/p)+0.075を満たすことが望ましい。つまり、隣り合う複数の第1電極指と複数の第2電極指とが対向している方向に視たときに複数の第1電極指と複数の第2電極指とが重なっている領域が励振領域(交叉領域)であり、励振領域に対する、複数の第1電極指及び複数の第2電極指のメタライゼーション比をMRとしたときに、MR≦1.75(d/p)+0.075を満たすことが好ましい。その場合には、スプリアスを効果的に小さくすることができる。
 これを、図8及び図9を参照して説明する。図8は、上記弾性波装置1の共振特性の一例を示す参考図である。矢印Bで示すスプリアスが、共振周波数と反共振周波数との間に現れている。なお、d/p=0.08として、かつLiNbOのオイラー角(0°,0°,90°)とした。また、上記メタライゼーション比MR=0.35とした。
 メタライゼーション比MRを、図1Bを参照して説明する。図1Bの電極構造において、1対の電極3,4に着目した場合、この1対の電極3,4のみが設けられるとする。この場合、一点鎖線Cで囲まれた部分が励振領域となる。この励振領域とは、電極3と電極4とを、電極3,4の長さ方向と直交する方向すなわち対向方向に視たときに電極3における電極4と重なり合っている領域、電極4における電極3と重なり合っている領域、及び、電極3と電極4との間の領域における電極3と電極4とが重なり合っている領域である。そして、この励振領域の面積に対する、励振領域C内の電極3,4の面積が、メタライゼーション比MRとなる。すなわち、メタライゼーション比MRは、メタライゼーション部分の面積の励振領域の面積に対する比である。
 なお、複数対の電極が設けられている場合、励振領域の面積の合計に対する全励振領域に含まれているメタライゼーション部分の割合をMRとすればよい。
 図9は本実施形態に従って、多数の弾性波共振子を構成した場合の比帯域と、スプリアスの大きさとしての180度で規格化されたスプリアスのインピーダンスの位相回転量との関係を示す図である。なお、比帯域については、圧電層の膜厚や電極の寸法を種々変更し、調整した。また、図9は、ZカットのLiNbOからなる圧電層を用いた場合の結果であるが、他のカット角の圧電層を用いた場合においても、同様の傾向となる。
 図9中の楕円Jで囲まれている領域では、スプリアスが1.0と大きくなっている。図9から明らかなように、比帯域が0.17を超えると、すなわち17%を超えると、スプリアスレベルが1以上の大きなスプリアスが、比帯域を構成するパラメータを変化させたとしても、通過帯域内に現れる。すなわち、図8に示す共振特性のように、矢印Bで示す大きなスプリアスが帯域内に現れる。よって、比帯域は17%以下であることが好ましい。この場合には、圧電層2の膜厚や電極3,4の寸法などを調整することにより、スプリアスを小さくすることができる。
 図10は、d/2pと、メタライゼーション比MRと、比帯域との関係を示す図である。上記弾性波装置において、d/2pと、MRが異なる様々な弾性波装置を構成し、比帯域を測定した。図10の破線Dの右側のハッチングを付して示した部分が、比帯域が17%以下の領域である。このハッチングを付した領域と、付していない領域との境界は、MR=3.5(d/2p)+0.075で表される。すなわち、MR=1.75(d/p)+0.075である。従って、好ましくは、MR≦1.75(d/p)+0.075である。その場合には、比帯域を17%以下としやすい。より好ましくは、図10中の一点鎖線D1で示すMR=3.5(d/2p)+0.05の右側の領域である。すなわち、MR≦1.75(d/p)+0.05であれば、比帯域を確実に17%以下にすることができる。
 図11は、d/pを限りなく0に近づけた場合のLiNbOのオイラー角(0°,θ,ψ)に対する比帯域のマップを示す図である。図11のハッチングを付して示した部分が、少なくとも5%以上の比帯域が得られる領域であり、当該領域の範囲を近似すると、下記の式(1)、式(2)及び式(3)で表される範囲となる。
 (0°±10°,0°~20°,任意のψ)  …式(1)
 (0°±10°,20°~80°,0°~60°(1-(θ-50)/900)1/2) または (0°±10°,20°~80°,[180°-60°(1-(θ-50)/900)1/2]~180°)  …式(2)
 (0°±10°,[180°-30°(1-(ψ-90)/8100)1/2]~180°,任意のψ)  …式(3)
 従って、上記式(1)、式(2)または式(3)のオイラー角範囲の場合、比帯域を十分に広くすることができ、好ましい。
 図12は、本開示の一実施形態の変形例に係る弾性波装置を説明するための部分切り欠き斜視図である。弾性波装置81は、支持基板82を有する。支持基板82には、上面に開いた凹部が設けられている。支持基板82上に圧電層83が積層されている。それによって、空洞部9が構成されている。この空洞部9の上方において圧電層83上に、IDT電極84が設けられている。IDT電極84の弾性波伝搬方向両側に、反射器85,86が設けられている。図12において、空洞部9の外周縁を破線で示す。ここでは、IDT電極84は、第1,第2のバスバー84a,84bと、複数本の第1の電極指としての電極84c及び複数本の第2の電極指としての電極84dとを有する。複数本の電極84cは、第1のバスバー84aに接続されている。複数本の電極84dは、第2のバスバー84bに接続されている。複数本の電極84cと、複数本の電極84dとは間挿し合っている。
 弾性波装置81では、上記空洞部9上のIDT電極84に、交流電界を印加することにより、板波としてのラム波が励振される。そして、反射器85,86が両側に設けられているため、上記ラム波による共振特性を得ることができる。
 このように、本開示の弾性波装置は、板波を利用するものであってもよい。
 図13および図14を参照して、本開示の一実施形態の弾性波装置1について説明する。以下の説明において、第1~第4の態様の弾性波装置と重複する内容については適宜、説明を省略する。以下の説明には、第1~第4の態様の弾性波装置について説明した内容を適用できる。
 図13および図14に示すように、弾性波装置1は、内部に空洞部9を有する支持基板110と、支持基板110上に設けられた圧電層2と、圧電層2に設けられた機能電極120とを備える。空洞部9は、支持基板110の一方主面111に設けられ、圧電層2は、支持基板110の一方主面111上に設けられている。
 空洞部9は、支持基板110および圧電層2の積層方向(例えば、Z方向)に沿って見た平面視において機能電極120の一部と重なる位置にある。空洞部9を構成する支持基板110の積層方向Zにおいて機能電極120に対向する(言い換えると、支持基板110において空洞部9を構成し積層方向Zに沿って見た平面視で機能電極120に対向する)対向部91が、誘電率の異なる複数の誘電体膜で構成されている。
 本実施形態では、支持基板110は、支持部材8と、支持部材8上に設けられた絶縁層(接合層の一例)7とを含む。空洞部9は、絶縁層7に設けられ、絶縁層7および圧電層2で構成されている。対向部91は、絶縁層7で構成された空洞部9の底部に位置し、第1誘電体膜としての絶縁層7と、絶縁層7とは誘電率が異なる第2誘電体膜92とを含む平坦面で構成されている。つまり、絶縁層7は、対向部91を構成する複数の誘電体膜の1つで構成されている。一例として、対向部91には、3つの第2誘電体膜92が含まれている。第2誘電体膜92は、樹脂で構成されている。
 圧電層2は、メンブレン部21を有している。メンブレン部21は、例えば、積層方向Zにおいて少なくとも部分的に空洞部9を重なる圧電層2の一部を構成している。メンブレン部21には、機能電極120が位置し、励振領域を形成する。圧電層2には、圧電層2を積層方向Zに貫通する貫通穴22が2つ設けられている。各貫通穴22は、弾性波装置1の外部と空洞部9とに接続されている。2つの貫通穴22の間に機能電極120が位置している。
 機能電極120は、例えば、複数の電極指121、122を有するIDT電極であり、図13に示すように、2つの配線電極130の間に位置している。機能電極120の複数の電極指121、122は、積層方向Zに交差する第1方向(例えば、X方向)に沿って間隔を空けて位置し、それぞれが第1方向Xおよび積層方向Zに交差する第2方向Yに沿って延びている。2つの配線電極130は、第2方向Yに沿って隙間を空けて位置し、それぞれに一方の電極指121、122が接続されている。機能電極120は、圧電層2の第1の主面23に設けられているが、積層方向Zにおいて第1の主面23とは反対側の第2の主面24に設けられていてもよい。
 図15~図21を参照して、図13および図14の弾性波装置1の製造方法の一例を説明する。ここでは、犠牲層を用いて空洞部9を形成する方法を用いた弾性波装置1の製造方法について説明しているが、これに限らず、支持部材8および絶縁層7を底面からエッチングする方法を用いた弾性波装置1の製造方法を含む他の製造方法を用いることもできる。
 図15に示すように、圧電層2に犠牲層190を成膜し、犠牲層190上に第2誘電体膜92を成膜する。犠牲層190および第2誘電体膜92は、例えば、犠牲層材料を圧電層2表面全面に成膜後、その表面をレジストパターニングし、露出した犠牲層をエッチングし、レジスト除去する処理を複数回行うことにより形成される。
 図16に示すように、犠牲層190および第2誘電体膜92が成膜された圧電層2に絶縁層7を成膜し、研削により平坦化する。これにより、犠牲層190および第2誘電体膜92が絶縁層7に埋め込まれる。
 図17に示すように、犠牲層190および第2誘電体膜92が埋め込まれた絶縁層7に支持部材8を接合して、積層部材210を形成する。
 図18に示すように、積層部材210の圧電層2を研削して薄化し、図19に示すように、リフトオフより機能電極120および配線電極130を薄化した圧電層2上に形成して、積層部材220を形成する。
 図20に示すように、積層部材220の圧電層2に犠牲層190除去用の貫通穴22を形成して、積層部材230を形成する。貫通穴22は、例えば、レジストパターニング、圧電層2のドライエッチングおよびレジスト除去により形成される。
 図21に示すように、積層部材220に空洞部9を形成し、弾性波装置1を形成して、弾性波装置1の製造工程が終了する。空洞部9は、レジストパターニング後、犠牲層エッチングにより犠牲層190を除去し、レジスト除去することで形成される。空洞部9の対向部91には、第1方向Xに沿って交互に並んで位置する絶縁層7および第2誘電体膜92が設けられている。対向部91は、誘電率の異なる複数の誘電体膜で構成されていればよく、対向部91に含まれる第2誘電体膜92の数は、任意に設定できる。図21では、対向部91には、2つの第2誘電体膜92が含まれている。空洞部9を形成することにより、圧電層2にメンブレン部21が形成される。
 図30に対向部91を備えていない弾性波装置100の一例を示す。弾性波装置100は、対向部91を備えていないことを除いて、弾性波装置1と同じ構成を備えているとする。通常、圧電層2のメンブレン部21は薄く、容易に変形する可能性がある。このため、メンブレン部21が空洞部9の底部95と接触した際に発生する静電気力等により剥がれない現象(スティッキング)が発生し、弾性波装置100の特性が劣化する場合がある。図30において、スティッキングが発生する箇所を符号96で示している。スティッキングを回避するために、空洞部9の深さ(積層方向Zの大きさ)を大きくすると、弾性波装置100が機械的な衝撃を受けた際、メンブレン部21が空洞部9の底部95に接触した衝撃でクラックが発生することが考えられる。また、空洞部9の底部95に凹凸を設けた場合でも同様に、メンブレン部21が底部95の凸部と接触した衝撃でクラックが発生することが考えられる。
 弾性波装置1は、内部に空洞部9を有する支持基板110と、支持基板110上に設けられた圧電層2と、圧電層2に設けられた機能電極120とを備える。空洞部9が、支持基板110および圧電層2の積層方向に沿って見た平面視において機能電極120の一部と重なる位置にある。空洞部9を構成する支持基板110の積層方向において機能電極120に対向する対向部91が、誘電率の異なる複数の誘電体膜で構成されている。このような構成により、メンブレン部21が空洞部9の底部、つまり、対向部91に接触した際に発生する静電気力を軽減し、スティッキングの発生を防止できる。
 対向部91が平坦面で構成されているので、メンブレン部21が対向部91に接触することによるクラックの発生を防止できる。
 複数の誘電体膜の1つであり、絶縁層7とは誘電率が異なる第2誘電体膜92が、樹脂で構成されている。これにより、メンブレン部21が対向部91に接触する際の衝撃力を吸収し、メンブレン部21が対向部91に接触することによるクラックの発生をより確実に防止できる。
 本実施形態の弾性波装置1は、次のように構成することもできる。
 図22に示すように、対向部91は、空洞部9の側面93に沿って設けられた凹部94を有していてもよい。図22に示す弾性波装置1は、例えば、図23~図29に示すように製造される。
 図23に示すように、圧電層2に無機物で構成された無機犠牲層191を形成し、無機犠牲層191上に、有機物で構成された貫通穴193を有する有機犠牲層192を形成する。貫通穴193は、積層方向Zに延びて有機犠牲層192を貫通し、無機犠牲層191が露出するように構成される。図23では、有機犠牲層192は、3つの貫通穴193を有しているが、これに限らず、1つ以上の任意の数の貫通穴193を有することができる。無機犠牲層191は、例えば、無機犠牲層材料を圧電層2表面全面に成膜後、その表面をレジストパターニングし、露出した無機犠牲層材料をエッチングし、レジスト除去することにより形成される。有機犠牲層192は、例えば、有機犠牲層材料を無機犠牲層191表面全面に成膜後、その表面をキュアおよびレジストパターニングし、有機犠牲層材料を除去して貫通穴193を形成し、レジスト除去することにより形成される。有機犠牲層192は、例えば、樹脂で構成され、絶縁層7とは誘電率が異なっている。
 図24に示すように、無機犠牲層191および有機犠牲層192が成膜された圧電層2に絶縁層7を成膜し、研削により平坦化する。これにより、無機犠牲層191および有機犠牲層192が絶縁層7に埋め込まれる。
 図25に示すように、無機犠牲層191および有機犠牲層192が埋め込まれた絶縁層7に支持部材8を接合して、積層部材230を形成する。
 図26に示すように、積層部材230の圧電層2を研削して薄化し、図27に示すように、リフトオフより機能電極120および配線電極130を薄化した圧電層2上に形成して、積層部材240を形成する。
 図28に示すように、積層部材240の圧電層2に無機犠牲層191および有機犠牲層192の一部を除去するための貫通穴22を形成して、積層部材250を形成する。例えば、機能電極120の第1電極指121および第2電極指122の対向方向(例えば、第1方向X)に沿った断面視において、積層部材250には、2つの貫通穴22が設けられている。各貫通穴22は、無機犠牲層191の第1方向Xの両側(言い換えると、最外周)に位置する有機犠牲層192に接続されている。貫通穴22は、例えば、レジストパターニング、圧電層2のドライエッチングおよびレジスト除去により形成される。
 図29に示すように、積層部材250に空洞部9を形成し、弾性波装置1を形成して、弾性波装置1の製造工程が終了する。空洞部9は、レジストパターニング後、無機犠牲層191の第1方向Xの両側に位置する有機犠牲層192を除去し、無機犠牲層191を除去した後、レジスト除去することで形成される。空洞部9の対向部91には、第1方向Xに沿って交互に並んで位置する絶縁層7および有機犠牲層192が設けられている。有機犠牲層192は、第2誘電体膜92の一例である。空洞部9を形成することにより、圧電層2にメンブレン部21が形成される。
 支持基板110は、例えば、支持部材8のみで構成されていてもよいし、支持部材8と、支持部材8上に設けられた絶縁層7とを含むように構成されていてもよい。
 第1~第4の態様の弾性波装置に、本開示の弾性波装置1の構成の少なくとも一部を追加してもよいし、本開示の弾性波装置1に、第1~第4態様の弾性波装置の構成の少なくとも一部を追加してもよい。
 以上、図面を参照して本開示における種々の実施形態を詳細に説明したが、最後に、本開示の種々の態様について説明する。
 第1態様の弾性波装置は、
 一方主面に空洞部を有する支持基板と、
 前記支持基板の一方主面上に設けられた圧電体層と、
 前記圧電体層に設けられた機能電極と
を備え、
 前記空洞部が、前記支持基板および前記圧電体層の積層方向に沿って見た平面視で前記機能電極の一部と重なる位置にあり、
 前記支持基板において前記空洞部を構成し前記平面視で前記機能電極に対向する対向部が、誘電率の異なる複数の誘電体膜で構成されている。
 第2態様の弾性波装置は、第1態様の弾性波装置において、
 前記対向部が平坦面で構成されている。
 第3態様の弾性波装置は、第1態様または第2態様の弾性波装置において、
 前記支持基板が、支持部材と、前記支持部材上に設けられた接合層とを含む。
 第4態様の弾性波装置は、第3態様の弾性波装置において、
 前記空洞部が、前記接合層に設けられている。
 第5態様の弾性波装置は、第3態様または第4態様の弾性波装置において、
 前記接合層が、前記複数の誘電体膜の1つで構成されている。
 第6態様の弾性波装置は、第1態様~第5態様のいずれかの弾性波装置において、
 前記複数の誘電体膜の1つが、樹脂で構成されている。
 第7様の弾性波装置は、第1態様~第6態様のいずれかの弾性波装置において、
 前記機能電極がIDT電極である。
 第8態様の弾性波装置は、第7態様の弾性波装置において、
 前記圧電体層が、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムを含み、
 前記IDT電極が、前記積層方向に交差する方向において対向する第1電極指および第2電極指を有し、
 前記第1電極指および前記第2電極指は隣り合う電極同士であり、
 前記圧電体層の厚みをd、前記第1電極指および前記第2電極指との中心間距離をpとした場合、d/pが0.5以下である。
 第9態様の弾性波装置は、第8態様の弾性波装置において、
 d/pが0.24以下である。
 第10態様の弾性波装置は、第7態様~第9態様のいずれかの弾性波装置において、
 前記IDT電極が、前記積層方向に交差する方向において対向する第1電極指および第2電極指を有し、
 前記積層方向に交差する方向において、前記第1電極指および前記第2電極指が重なり合っている領域である励振領域に対する、前記励振領域内の前記第1電極指および前記第2電極指の面積の割合であるメタライゼーション比MRが、MR≦1.75(d/p)+0.075を満たす。
 第11態様の弾性波装置は、第7態様~第10態様のいずれかの弾性波装置において、
 前記圧電体層が、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムを含み、
 前記ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムのオイラー角(φ,θ,ψ)が、以下の式(1)、式(2)または式(3)の範囲にある。
 (0°±10°,0°~20°,任意のψ)  …式(1)
 (0°±10°,20°~80°,0°~60°(1-(θ-50)/900)1/2) または (0°±10°,20°~80°,[180°-60°(1-(θ-50)/900)1/2]~180°)  …式(2)
 (0°±10°,[180°-30°(1-(ψ-90)/8100)1/2]~180°,任意のψ)  …式(3)
 第12態様の弾性波装置は、第1態様~第11態様のいずれかの弾性波装置において、
 前記圧電体層が、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムを含み、
 厚み滑りモードのバルク波を利用可能に構成されている。
 第13態様の弾性波装置は、第1態様~第7態様のいずれかの弾性波装置において、
 前記圧電体層が、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムを含み、
 板波を利用可能に構成されている。
 第14態様の製造方法は、
 支持部材および接合層を有する支持基板と、前記接合層に設けられた圧電体層と、前記圧電体層に設けられた機能電極とを含み、前記支持基板、前記接合層、前記圧電体層および前記機能電極が積層方向に沿って順に積層されており、前記接合層の内部に前記積層方向に沿って見た平面視において前記機能電極の一部と重なる空洞部が設けられ、前記空洞部を構成する前記接合層の前記積層方向において前記機能電極に対向する対向部が、誘電率の異なる複数の誘電体膜で構成されている、弾性波装置の製造方法であって、
 前記圧電体層上に、無機物で構成された無機犠牲層を形成し、前記無機犠牲層上に、有機物で構成され前記積層方向に延びる貫通穴を有する有機犠牲層を形成する工程と、
 前記圧電体層と共に前記無機犠牲層および前記有機犠牲層を覆うように前記接合層を形成する工程と、
 前記有機犠牲層を除去した後、前記無機犠牲層を除去して、前記空洞部を構成する工程と
を備える。
 第15態様の製造方法は、第14態様の製造方法において、
 前記対向部が平坦面で構成されている。
 第16態様の製造方法は、第14態様または第15態様の製造方法において、
 前記接合層とは誘電率の異なる誘電体膜が、樹脂で構成されている。
 前記様々な実施形態または変形例のうちの任意の実施形態または変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせまたは実施例同士の組み合わせまたは実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態または実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
 本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。

Claims (16)

  1.  一方主面に空洞部を有する支持基板と、
     前記支持基板の一方主面上に設けられた圧電体層と、
     前記圧電体層に設けられた機能電極と
    を備え、
     前記空洞部が、前記支持基板および前記圧電体層の積層方向に沿って見た平面視で前記機能電極の一部と重なる位置にあり、
     前記支持基板において前記空洞部を構成し前記平面視で前記機能電極に対向する対向部が、誘電率の異なる複数の誘電体膜で構成されている、弾性波装置。
  2.  前記対向部が平坦面で構成されている、請求項1に記載の弾性波装置。
  3.  前記支持基板が、支持部材と、前記支持部材上に設けられた接合層とを含む、請求項1または2に記載の弾性波装置。
  4.  前記空洞部が、前記接合層に設けられている、請求項3に記載の弾性波装置。
  5.  前記接合層が、前記複数の誘電体膜の1つで構成されている、請求項3または4に記載の弾性波装置。
  6.  前記複数の誘電体膜の1つが、樹脂で構成されている、請求項1~5のいずれかに記載の弾性波装置。
  7.  前記機能電極がIDT電極である、請求項1~6のいずれかに記載の弾性波装置。
  8.  前記圧電体層が、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムを含み、
     前記IDT電極が、前記積層方向に交差する方向において対向する第1電極指および第2電極指を有し、
     前記第1電極指および前記第2電極指は隣り合う電極同士であり、
     前記圧電体層の厚みをd、前記第1電極指および前記第2電極指との中心間距離をpとした場合、d/pが0.5以下である、請求項7に記載の弾性波装置。
  9.  d/pが0.24以下である、請求項8に記載の弾性波装置。
  10.  前記IDT電極が、前記積層方向に交差する方向において対向する第1電極指および第2電極指を有し、
     前記積層方向に交差する方向において、前記第1電極指および前記第2電極指が重なり合っている領域である励振領域に対する、前記励振領域内の前記第1電極指および前記第2電極指の面積の割合であるメタライゼーション比MRが、MR≦1.75(d/p)+0.075を満たす、請求項7~9のいずれかに記載の弾性波装置。
  11.  前記圧電体層が、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムを含み、
     前記ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムのオイラー角(φ,θ,ψ)が、以下の式(1)、式(2)または式(3)の範囲にある、請求項7~10のいずれかに記載の弾性波装置。
     (0°±10°,0°~20°,任意のψ)  …式(1)
     (0°±10°,20°~80°,0°~60°(1-(θ-50)/900)1/2) または (0°±10°,20°~80°,[180°-60°(1-(θ-50)/900)1/2]~180°)  …式(2)
     (0°±10°,[180°-30°(1-(ψ-90)/8100)1/2]~180°,任意のψ)  …式(3)
  12.  前記圧電体層が、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムを含み、
     厚み滑りモードのバルク波を利用可能に構成されている、請求項1~11のいずれかに記載の弾性波装置。
  13.  前記圧電体層が、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムを含み、
     板波を利用可能に構成されている、請求項1~7のいずれかに記載の弾性波装置。
  14.  支持基板および接合層を有する支持基板と、前記接合層に設けられた圧電体層と、前記圧電体層に設けられた機能電極とを含み、前記支持基板、前記接合層、前記圧電体層および前記機能電極が積層方向に沿って順に積層されており、前記接合層の内部に前記積層方向に沿って見た平面視において前記機能電極の一部と重なる空洞部が設けられ、前記空洞部を構成する前記接合層の前記積層方向において前記機能電極に対向する対向部が、誘電率の異なる複数の誘電体膜で構成されている、弾性波装置の製造方法であって、
     前記圧電体層上に、無機物で構成された無機犠牲層を形成し、前記無機犠牲層上に、有機物で構成され前記積層方向に延びる貫通穴を有する有機犠牲層を形成する工程と、
     前記圧電体層と共に前記無機犠牲層および前記有機犠牲層を覆うように前記接合層を形成する工程と、
     前記有機犠牲層を除去した後、前記無機犠牲層を除去して、前記空洞部を構成する工程と
    を備える、製造方法。
  15.  前記対向部が平坦面で構成されている、請求項14に記載の製造方法。
  16.  前記接合層とは誘電率の異なる誘電体膜が、樹脂で構成されている、請求項14または15に記載の製造方法。
PCT/JP2023/013141 2022-04-06 2023-03-30 弾性波装置および弾性波装置の製造方法 WO2023195409A1 (ja)

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