WO2023145155A1

WO2023145155A1 - 吸収性物品

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Publication number: WO2023145155A1
Application number: PCT/JP2022/038603
Authority: WO
Inventors: 涼子栗原
Original assignee: 大王製紙株式会社
Priority date: 2022-01-27
Filing date: 2022-10-17
Publication date: 2023-08-03
Also published as: JP2023109564A; TW202329900A

Abstract

トップシートからバックシートへ向かって凹む溝が形成され、前記溝が、前記長手方向に延在する中央溝と、前記中央溝より前記長手方向の端部側の領域に、互いの距離が前記中央溝から離れる程大きくなるように形成された左斜方向溝及び右斜方向溝とを含み、前記左斜方向溝内に、前記長手方向に離間して複数の左高圧搾部が形成され、且つ前記右斜方向溝内に、前記長手方向に離間して複数の右高圧搾部が形成され、前記左高圧搾部及び前記右高圧搾部を前記長手方向に平行な直線上に投影した時に、前記左高圧搾部の投影範囲と前記右高圧搾部の投影範囲とが、少なくとも部分的に、互い違いに位置する。

Description

吸収性物品

　本発明は、吸収性物品に関する。

　生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品は、排出された体液を誘導すること、身体の合わせた変形を促すこと等を目的として、肌側に溝が設けられているものが多い。

　例えば、特許文献１には、本体の表面シート側に本体圧搾溝が設けられた吸収性物品が記載されている。同文献には、本体圧搾溝が中間溝部及び前後溝部を有し、且つ各溝部に、溝部各々の延在方向に相互に離間して配置された高圧搾部と、高圧搾部間に介在する低圧搾部とを含むことが記載されている。

特開２０２１－４１０４２号公報

　特許文献１に記載されているような圧搾溝は、外周面に設けられた低圧搾部形成用凸部と、低圧搾部形成用凸部からさらに突出する高圧搾部形成用凸部とを備えたエンボスロールを用いて形成される。例えば、表面シート及び吸収体を含む積層体を、当該エンボスロールと外周面が平坦なフラットロールとのロール対の間で加圧することで形成される（特許文献１の段落００３０等）。ロール対は通常、その軸線方向が吸収性物品の左右方向に対応するように配置され、圧搾溝は長手方向に沿って形成される。また従来、特許文献１に記載の前後溝部のような左右一対の溝のそれぞれに設けられた高圧搾部は、長手方向の同じ位置に形成される。その場合、圧搾溝の形成工程では、長手方向に沿って、左側の高圧搾部及び右側の高圧搾部が同時形成される期間と、高圧搾部が形成されない期間とが交互に繰り返される。そして、高圧搾部が形成される時と高圧搾部が形成されない時とでは吸収性物品が受ける圧力が異なるため、溝の形成工程中で圧力変動が繰り返されることになる。そのような圧力の変動が大きいと、溝の形成条件（ロール圧、搬送速度、圧搾前の吸収体の剛性等）によっては、ロール対の挙動が不安定となり、高圧搾部を所望の深さに形成できなかったり、圧搾深さにムラが生じたりすることがある。

　上記の点に鑑みて、本発明の一態様は、肌側に設けられた左右一対の溝内にそれぞれ、離間した高圧搾部が形成された吸収性物品において、高圧搾部をより確実に形成することを課題とする。

　本発明の一態様は、透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に設けられた吸収体とを備え、長手方向と前記長手方向に直交する横方向とを有する吸収性物品であって、前記トップシートから前記バックシートへ向かって凹む溝が形成され、前記溝が、前記長手方向に延在する中央溝と、前記中央溝より前記長手方向の端部側の領域に、互いの距離が前記中央溝から離れる程大きくなるように形成された左斜方向溝及び右斜方向溝とを含み、前記左斜方向溝内に、前記左斜方向溝の延在方向に離間して複数の左高圧搾部が形成され、且つ前記右斜方向溝内に、前記右斜方向溝の延在方向に離間して複数の右高圧搾部が形成され、前記左高圧搾部及び前記右高圧搾部を前記長手方向に平行な直線上に投影した時に、前記左高圧搾部の投影範囲と前記右高圧搾部の投影範囲とが、少なくとも部分的に、互い違いに位置する。

　本発明の一態様によれば、上記の点に鑑みて、本発明の一態様は、肌側に設けられた左右一対の溝内にそれぞれ、離間した高圧搾部が形成された吸収性物品において、高圧搾部をより確実に形成することができる。

一実施形態による吸収性物品の平面図である。図１のＩ－Ｉ線断面図である。図１のＩＩ－ＩＩ線断面図である。左斜方向溝及び右斜方向溝を含む部分の拡大図である。変形例による左斜方向溝及び右斜方向溝を示す。別の変形例による左斜方向溝及び右斜方向溝を示す。さらに別の変形例による左斜方向溝及び右斜方向溝を示す。

　以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。

　＜吸収性物品の基本構造＞
　図１に、一実施形態による吸収性物品１の平面図を示す。また、図２に、図１のＩ－Ｉ断面図、図３に図１のＩＩ－ＩＩ断面図を示す。図１～図３に示すように、吸収性物品１は、透液性のトップシート３と、不透液性のバックシート２と、両シートの間に配置された吸収体４とを備えていて、装着前の状態では全体として概ね扁平形状となっている（図２及び図３）。吸収性物品１の装着時には、トップシート３側が肌に触れる側（肌側若しくは表側）となり、バックシート２側が下着に固定される側（下着側若しくは裏側）となる。図１は、吸収性物品１を肌側から見た図である。

　吸収性物品１は、平面視で細長形状を有しており、長手方向（前後方向）Ｄ１と、長手方向Ｄ１に直交する横方向（幅方向若しくは左右方向）Ｄ２とを有する。吸収性物品１の装着時には、長手方向Ｄ１が装着者の身体の前後方向に対応し、横方向Ｄ２が装着者の身体の左右方向に対応する。図１に示す形態では、吸収性物品１は、平面視で、長手方向Ｄ１に沿って延びる中心線（吸収性物品１を横方向Ｄ２に二分する中心線、若しくは長手方向中心線）ＣＬに対して略線対称の形状を有しているが、形状は線対称でなくともよい。また、吸収性物品１の形状以外の構成（吸収体４の密度、材質、及び圧搾部の大きさ等を含む）も、中心線ＣＬを対称軸として略対称であってもよいし、非対称であってもよい。

　バックシート２は、少なくとも遮水性を有するシートであってよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂製のシート等であってよい。また、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布の積層シート等を用いることができる。また、ムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられることがさらに望ましい。このような遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シート等を用いることができる。

　トップシート３は、尿、経血、おりもの等の体液を透過可能なシートとすることができる。トップシート３としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシート等が好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、及びこれらの混紡繊維、並びに綿等の天然繊維を単独で又は２種以上組み合わせて用いることができる。また、不織布の加工法としては、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等が挙げられる。これらの加工法のうち、スパンレース法は柔軟性、スパンボンド法はドレープ性に富む不織布を製造できる点で好ましく、サーマルボンド法は嵩高でソフトな不織布を製造できる点で好ましい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維を用いることもできる。

　吸収体４は、体液を吸収して保持できる材料であれば限定されないが、綿状パルプと吸水性ポリマーとを含むことが好ましい。吸水性ポリマーとしては、高吸水ポリマー粒状粉（ｓｕｐｅｒａｂｓｏｒｂｅｎｔ　ｐｏｌｙｍｅｒ（ＳＡＰ））、高吸水ポリマー繊維（ｓｕｐｅｒａｂｓｏｒｂｅｎｔ　ｆｉｂｅｒ（ＳＡＦ））、及びこれらの組合せを用いることができる。パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられる。化学パルプの原料材としては、広葉樹材、針葉樹材等が用いられるが、繊維長が長いこと等から針葉樹材が好適に使用される。

　吸収体４には合成繊維を混合してもよい。合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、及びこれらの共重合体を使用でき、これらのうちの２種を混合して使用することもできる。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。なお、疎水性繊維を親水化剤で表面処理し、体液に対する親和性を付与したものを用いることもできる。吸収体４は、積繊又はエアレイド法によって製造されたものが好ましい。

　吸収体４は、吸収体４の本体部分をクレープ紙又は不織布等からなる被包シートで包んだものであってよい。吸収体４が被包シートを備えていることで、吸収体４のよれや割れを防止でき、形状を保持できる。被包シートとしては、無着色（すなわち、白色）のクレープ紙や不織布を用いることもできるし、着色（例えば体液の色と同系色又は体液の色の補色に着色）されたものを用いることもできる。

　吸収体４は平面視形状は、図１に示すように、略一定の幅を有する細長形状であってよいが、吸収体４の幅は長手方向Ｄ１に沿って変動していてもよい。吸収体４は全体として、全面にわたり均一な厚みを有してもよいが、吸収体４の厚みは均一でなくともよく、局所的に薄く又は厚くしてもよい。

　吸収体４の長手方向Ｄ１の両端縁においては、バックシート２の縁部とトップシート３の縁部とが、接着剤、ヒートシール等によって接合されていてよい（図１にはハッチングで図示）。また、吸収性物品１の両側部、すなわち横方向Ｄ２の両側には、表側（トップシート３側）に、長手方向Ｄ１に沿って、一対のサイドシート７、７が配置されていてよい。

　サイドシート７は、体液の浸透を防止する、或いは肌触りを高める等の目的に応じて、適切な撥水処理又は親水処理を施した不織布素材を用いて構成されたものであってよい。サイドシート７の素材は、天然繊維、合成繊維、再生繊維等であってよい。また、サイドシート７が撥水処理されている場合、その処理には、シリコーン系、パラフィン系等の撥水剤を用いることができる。なお、吸収性物品は、サイドシート７を使用せずに、トップシート３が、吸収性物品１の横方向Ｄ２の端部まで延在してバックシート２と接合された構成を有していてもよい。また、サイドシート７は、各側で、折り返すこと又は別体のサイドシートを追加で重ねることによって２層とし、その２層間に糸ゴム等の伸縮性部材を伸長状態で長手方向に沿って延在するように配置して間欠的に固定することによって、立上がりギャザー部を形成してもよい。そして、例えば、ギャザーシート７が幅方向Ｄ２の内端又は外端で固定されていることで、両側部の立上がりギャザーは、伸縮性部材の伸長が緩められた時に、幅方向Ｄ２の外端又は内端が肌側に立ち上がり得る。

　吸収性物品１は、装着時に装着者の股間に主として対応させる中間領域Ｍと、中間領域Ｍに前方に隣接し、吸収性物品１の前方の端部までの領域である前方領域Ｆと、中間領域Ｍの後方に隣接し、吸収性物品１の前方の端部までの領域である後方領域Ｒとを有する。中間領域Ｍは、体液排出口対向領域Ｑを含む。体液排出口対向領域Ｑは、装着時に装着者の尿道口、膣口等の体液排出口に対向する領域であり、その中心が、長手方向中心線ＣＬ上にする。図１に示す例では、体液排出口対向領域Ｑは、尿道口に対応する領域として楕円状に描かれているが、図示の体液排出口対向領域Ｑの大きさ及び形状は、本形態による吸収性物品を説明するための例示にすぎない。

　なお、前方領域Ｆ及び後方領域Ｒは、吸収性物品が個装される際には、長手方向Ｄ１に肌側に折り返すことができる。図１の例では、前方領域Ｆの折返しは、前方領域Ｆと中間領域Ｍとの境界線に沿った折り線にて、また後方領域Ｒの折返しは、後方領域Ｒと中間領域Ｍとの境界線に沿った折り線にて、行うことができる。前方領域Ｆ及び後方領域Ｒはどちらを先に折り返してもよい。このような折り畳みにより、吸収性物品１を３つ折り以上に折り畳むことができる。

　吸収性物品１の全体の長手方向Ｄ１の長さ（全長）は、好ましくは１７０～３６０ｍｍであり、より好ましくは２００～２７０ｍｍであってよい。吸収性物品１の横方向Ｄ２の長さ（ウィングを備えている場合はウィング部分を除いた本体の幅）は、好ましくは５０～１５０ｍｍ、より好ましくは７０～１２０ｍｍであってよい。また、トップシート３とバックシート２との間に挟まれている吸収体４の幅は、５０～１００ｍｍであってよい。さらに、吸収性物品１の全体の厚みは、好ましくは１～３０ｍｍ、より好ましくは２～１５ｍｍであってよい。

　図１～図３に示す吸収性物品１はウィングを備えていないが、吸収性物品１は、中間領域Ｍの両側縁から側方にそれぞれ延出する一対のウィングを有していてもよい。ウィングは、サイドシート７の延出部分とバックシート２の延出部分とが接合することによって形成できる。

　また、吸収性物品１のバックシート２側には、装着時に吸収性物品１を下着により確実に固定して吸収性物品１のズレを防止するためのズレ止め部が形成されていてもよい（図示せず）。ズレ止め部は粘着性ズレ止め部であることが好ましい。粘着性のズレ止め部は、例えば流動物である粘着剤が塗布されるか、又は予め形成された粘着剤の層（粘着テープ等）が被着されることによって形成されている。ズレ止め部として用いられる粘着剤は、公知の粘着剤、例えばホットメルトタイプの粘着剤を用いることができる。その主成分としては、スチレン系ポリマー、粘着付与剤、及び可塑剤、並びにこれらの組合せが挙げられる。

　＜肌側の溝＞
　吸収性物品１の肌側には、肌側から非肌側へと凹む（すなわちトップシート３からバックシート２へ向かって凹む）溝が設けられている。図１に示す例では、溝は、中央溝１１と、中央溝１１の前方に形成された一対の斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆと、中央溝１１の後方に形成された一対の斜方向溝１２Ｌｒ、１２Ｒｒとを含むが、前方の一対の斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ及び後方の一対の斜方向溝１２Ｌｒ、１２Ｒｒのいずれかが省略された形態としてもよい。

　溝は、圧搾により形成された圧搾溝であると好ましい。圧搾溝は、圧搾溝の形状に対応した凸部を外周面に有するエンボスロールと、外周面が平坦なフラットロールとのロール対の間で、少なくともトップシート及び吸収体を含む積層体を加圧することで形成できる。なお、溝の底部が高圧搾部を有する場合には、エンボスロールの外周面は、高圧搾部以外の部分である低圧搾部に対応する低圧搾部形成用凸部と、低圧搾部形成用凸部よりもさらに突出した高圧搾部形成用凸部とを備えていてよい。なお、吸収性物品１の肌側において圧搾溝が形成されていない領域は非圧搾部１４として示す。

　＜中央溝＞
　中央溝１１は、吸収性物品１の横方向Ｄ２の中央に、長手方向Ｄ１に沿って形成された溝である。中央溝１１がトップシート３側からバックシート２側へと凹む溝となっていることで、装着時に、吸収性物品１が横方向Ｄ２の両側から力を受けた際、横方向Ｄ２の中央の部分がバックシート２側（非肌側）へ突出するように変形しやすくなる。その突出により形成された肌側の窪みに、体液を少なくとも一時的に貯留させることができる。また、中央溝１１が圧搾により形成されている場合には、中央溝１１の領域は、中央溝１１の周囲の圧搾されていない領域よりも密度が高くなっているので、体液は中央溝１１内に保持されやすくなる。

　中央溝１１は、長手方向Ｄ１に沿って延在しているので、上述のように体液を受け止めて一時的に貯留するだけでなく、体液を長手方向Ｄ１に誘導する機能を有する。特に中央溝１１が圧搾により形成されている場合には、中央溝１１が形成されている領域の密度がその横方向Ｄ２の両側の圧搾されていない領域の密度よりも大きくなっているので、体液を横方向Ｄ２よりも長手方向Ｄ１に誘導しやすくなる。長手方向Ｄ１にわたって体液を誘導することで、体液の横方向Ｄ２の漏れを防止することができる。

　また、中央溝１１は、横方向Ｄ２の中央において体液排出口対向領域Ｑに重なるように、好ましくは吸収性物品１の長手方向中心線ＣＬに重なるように形成されている。図示の例では、中央溝１１の長手方向Ｄ１に沿って延びる中心線（中央溝１１の幅の中央を通る線）が、吸収性物品１の長手方向中心線ＣＬに一致している。

　中央溝１１は、吸収性物品１の中間領域Ｍを含むように形成されていると好ましく、体液排出口対向領域Ｑを長手方向Ｄ１に含むように形成されているとより好ましい。また、中央溝１１は、中間領域Ｍ内に形成されていると好ましい。これにより、吸収性物品１の前方領域Ｆ及び後方領域Ｒを、身体の前方及び後方の面の丸みに沿ってフィットさせやすくなる。

　中央溝１１の長手方向Ｄ１の長さ（前端１１ｆから後端１１ｒまでの長さ）は、５０～１６０ｍｍであると好ましく、５５～８０ｍｍであるとより好ましい。上記範囲の長さとすることで、体液を長手方向Ｄ１にわたって十分に誘導できると共に、前方領域Ｆ及び後方領域Ｒの幅方向Ｄ２の中央付近に溝が形成されることを回避し、前方領域Ｆ及び後方領域Ｒを、装着者の身体の前方及び後方の面のよりフィットさせやすくなる。

　中央溝１１の横方向Ｄ２の長さ（幅）は、３～１５ｍｍであると好ましく、４～８ｍｍであるとより好ましい。上記範囲の長さ（幅）とすることで、多量の体液でも中央溝１１内に貯留しやすくなり、また横方向Ｄ２の両側から強い力が掛かって中央溝１１が多少変形しても、中央溝１１の溝としての形状及び機能を維持できる。

　＜斜方向溝＞
　本形態では、中央溝１１より長手方向Ｄ１の端部側に、対をなす斜方向溝（左斜方向溝及び右斜方向溝）が形成されている。より具体的には、中央溝１１より前方に対をなす左斜方向溝１２Ｌｆ及び右斜方向溝１２Ｒｆが形成され、且つ／又は中央溝１１より後方に対をなす左斜方向溝１２Ｌｒ及び右斜方向溝１２Ｒｒが形成されている。この対をなす斜方向溝は、中央溝１１の長手方向Ｄ１の端部から、長手方向Ｄ１の外方に（吸収性物品１０１の長手方向Ｄ１の端部に向かって）延び、且つ互いの距離が中央溝１１から離れる程大きくなるように形成されている。例えば、前方の左斜方向溝１２Ｌｆ及び右斜方向溝１２Ｒｆは、前方に向かうほど互いの距離が離れるように形成されている。対をなす左右の斜方向溝は、長手方向中心線ＣＬを対称線として左右対称であると好ましい。

　中央溝１１の前方及び／又は後方に、対をなす左斜方向溝及び右斜方向溝が形成されていることで、装着者の身体の形状に適合した吸収性物品の三次元的な変形を促すことができる。例えば、前方の左斜方向溝１２Ｌｆ及び右斜方向溝１２Ｒｆについては、左斜方向溝１２Ｌｆと右斜方向溝１２Ｒｆとの間の領域が前方にいくほど幅広になるので、身体の前方の恥骨付近の左右にわたる曲面に沿わせることができる。そして、前方の左斜方向溝１２Ｌｆ及び右斜方向溝１２Ｒｆは、中央溝１１に近付くほど幅狭になり、横方向Ｄ２で次第に中央溝１１に近付くので、対をなす左斜方向溝１２Ｌｆと右斜方向溝１２Ｒｆから中央溝１１へと溝が自然に連続し、前方領域Ｆから中間領域Ｍにかけての変形が容易になる。後方の左斜方向溝１２Ｌｒ及び右斜方向溝１２Ｒｒについても同様の作用・効果を奏する。後方の左斜方向溝１２Ｌｒ及び右斜方向溝１２Ｒｒの場合には、左斜方向溝１２Ｌｒと右斜方向溝１２Ｒｒとの間の領域を装着者の臀部の丸みに沿わせることができる。

　なお、図示の例では、中央溝１１より前方に形成された左斜方向溝１２Ｌｆ及び右斜方向溝１２Ｒｆはそれぞれ、中央溝１１の前端１１ｆから連続して延びているが、必ずしも連続していなくてもよい。しかしながら、中央溝１１と左斜方向溝１２Ｌｆ及び右斜方向溝１２Ｒｆとが連続していると、溝の組合せによってより明確なＹ字形状の溝が形成できるので、このＹ字形状の溝を基軸（折りの基軸）として吸収性物品１を変形させて、装着者の身体の形状に適合した三次元的な変形がより一層容易となる。中央溝１１より後方に形成された左斜方向溝１２Ｌｒ及び右斜方向溝１２Ｒｒについても同様である。

　各斜方向溝の溝の幅は、１～４ｍｍであってよい。また、斜方向溝の長手方向Ｄ１の長さは、中央溝１１の長手方向Ｄ１の長さに対して３０～６０％であってよい。

　＜高圧搾部＞
　本形態では、少なくとも斜方向溝内に、溝の底面より深く圧搾された部分である高圧搾部が形成されている。高圧搾部は、図面においては黒色で示す。なお、斜方向溝が圧搾により形成されている場合には、斜方向溝の底面は低圧搾部となる。低圧搾部は、圧搾がされていない領域（非圧搾部１４）よりも１～１０ｍｍ、好ましくは２～５ｍｍ凹んだ部分であり、高圧搾部は、斜方向溝内の低圧搾部よりもさらに０．２～１ｍｍ深く圧搾された部分であってよい。以下においては、中央溝１１より前方の対をなす斜方向溝（左斜方向溝１２Ｌｆ及び右斜方向溝１２Ｒｆ）について主として説明するが、中央溝１１より後方の対をなす斜方向溝（左斜方向溝１２Ｌｒ及び右斜方向溝１２Ｒｒ）の構成及び効果も同様である。

　図４に、図１の吸収性物品１の、前方の斜方向溝（左斜方向溝１２Ｌｆ及び右斜方向溝１２Ｒｆ）から中央溝１１にかけての部分の拡大図を示す。図４に示すように、平面視で左斜方向溝１２Ｌｆ内には、左斜方向溝１２Ｌｆの延在方向若しくは長手方向Ｄ１に離間した複数の左高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…が形成されており、右斜方向溝１２Ｒｆ内には、右斜方向溝１２Ｒｆの延在方向若しくは長手方向Ｄ１に離間した複数の右高圧搾部２５Ｒｆ、２５Ｒｆ、…が形成されている。斜方向溝内に高圧搾部が形成されていることで、溝が補強されて、装着時に吸収性物品１を変形させた時に、左斜方向溝１２Ｌｆ及び右斜方向溝１２Ｒｒが変形の基軸として良好に機能できる。また、高圧搾部は斜方向溝内で不連続に、すなわち斜方向溝の延在方向に沿って離間して形成されているので、溝の部分が過度に硬くならずに柔軟性を確保でき、前方領域Ｆを長手方向Ｄ１にも自然に湾曲させることができる。

　このような、左高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…を備えた左斜方向溝１２Ｌｆと、右高圧搾部２５Ｒｆ、２５Ｒｆ、…を備えた斜方向溝１２Ｒｆは、上述のようにエンボスロールとフラットロールとのロール対によって形成できる。ロール対はその軸線方向が吸収性物品１の横方向（左右方向）Ｄ２に対応するよう配置されて、吸収性物品１が長手方向Ｄ１に搬送されると好ましい。その場合、左斜方向溝１２Ｌｆ及び右斜方向溝１２Ｒｆは、長手方向Ｄ１に沿って形成される。

　さらに本形態では、左高圧搾部及び右高圧搾部を、長手方向Ｄ１に平行な直線上に投影した時に、左高圧搾部の投影範囲と右高圧搾部の投影範囲とが、少なくとも部分的に、互い違いになっている。例えば、図４に示すように、左高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…を長手方向中心線ＣＬに投影した投影範囲２６Ｌｆ、２６Ｌｆ、…と、右高圧搾部２５Ｒｆを長手方向中心線ＣＬに投影した投影範囲２６Ｒｆ、２６Ｒｆ、…とが、互い違いに表れるようになっている。そのため、長手方向Ｄ１に沿った溝の形成工程において、圧力の大きな変動、例えば左高圧搾部２５Ｌｆと右高圧搾部２５Ｒｆとが同時に形成される期間と高圧搾部が形成されない期間が繰り返し現れる際に生じ得る変動が抑えられる。よって、様々な溝形成条件（ロール圧、搬送速度、圧搾前の吸収体の剛性等）においても、装置（ロール対）の安定的な運転を維持できる。これにより、長手方向Ｄ１に沿って、高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…及び２５Ｒｆ、２５Ｒｆ、…を所望の配置、所望の圧搾深さで的確に形成することができる。所望の配置及び深さでの高圧搾部が形成できることで、左斜方向溝１２Ｌｆ及び右斜方向溝１２Ｒｆの機能がより確実となり、身体の形状に沿った吸収性物品１の変形がより容易になって、漏れの防止及び装着感の向上を図ることができる。

　図４に示す例では、全ての左高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…及び右高圧搾部２５Ｒｆ、２５Ｒｆ、…について、投影範囲２６Ｌｆ、２６Ｌｆ、…と投影範囲２６Ｒｆ、２６Ｒｆ、…とが互い違いになるようになっている。しかしながら、本形態では、斜方向溝全体の少なくとも一部において、投影範囲２６Ｌｆ、２６Ｌｆ、…と投影範囲２６Ｒｆ、２６Ｒｆ、…とが、互い違いになっていればよい。例えば、左斜方向溝１２Ｌｆ及び右斜方向溝１２Ｒｆにおいて、投影範囲２６Ｌｆ、２６Ｌｆ、…と投影範囲２６Ｒｆ、２６Ｒｆ、…とで互い違いとなっている高圧搾部の数が、全高圧搾部の数の８割以上、好ましくは９割以上であってよく、より好ましくは全ての高圧搾部が互い違いになっていてよい。

　また、投影範囲２６Ｌｆ、２６Ｌｆ、…と投影範囲２６Ｌｆ、２６Ｌｆ、…を互い違いにした構成では、高圧搾部の形成時にロール対の押付力が左右に分散されにくいので、左高圧搾部及び右高圧搾部を長手方向Ｄ１の同じ位置で形成されている構成に比べて、高圧搾部の形成のための線圧が高くなり、各高圧搾部を明確に形成できる。

　左高圧搾部２５Ｌｆの投影範囲２６Ｌｆと右高圧搾部２５Ｒｆの投影範囲２６Ｒｆとの間隔は、ゼロであるか、又は両投影範囲２６Ｌｆ、２６Ｒｆが重なっていると好ましい。別の言い方をすると、上記の左高圧搾部２５Ｌｆの投影範囲２６Ｌｆと右高圧搾部２５Ｒｆの投影範囲２６Ｒｆとが離れていないことが好ましい。これにより、左斜方向溝１２Ｌｆ及び右斜方向溝１２Ｒｆの形成工程で、高圧搾部が形成されない期間がなくなるので、吸収性物品１が受ける圧力が長手方向Ｄ１でより均一になり、高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…及び２５Ｒｆ、２５Ｒｆ、…を安定的に確実に（例えば、より明確な輪郭で）形成することができる。

　左高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…は左斜方向溝１２Ｌｆの延在方向に沿って等間隔で配置されていてよく、同様に、右高圧搾部２５Ｒｆ、２５Ｒｆ、…は右斜方向溝１２Ｒｆの延在方向に沿って等間隔で配置されていてよい。図４に示す例では、右斜方向溝１２Ｒｆの溝幅の中心線（部分円弧状の曲線）Ｌに沿った、右高圧搾部２５Ｒｆ、２５Ｒｆ同士の間隔ｄ２は、右斜方向溝１２Ｒｆ全体にわたって等しくなっている。左高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ同士の間隔についても同様である。これにより、斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆがそれぞれその延在方向全体にわたって高圧搾部による斜方向溝の補強効果が得られ、且つ延在方向全体にわたって斜方向溝の柔軟性も確保できる。なお、ｄ２は、１．５～２．５ｍｍ、好ましくは２．０～２．３ｍｍであってよい。

　高圧搾部が斜方向溝の延在方向に沿って等間隔に配置されている場合、長手方向Ｄ１に沿った高圧搾部同士の間隔は、長手方向Ｄ１にわたって必ずしも均一となっていない。これは、斜方向溝が長手方向Ｄ１の端部に向かうほど横方向Ｄ２外方に湾曲することに起因する。例えば、右斜方向溝１２Ｒｆは平面視で前方に向かうほど横方向Ｄ２外方に湾曲しているため、右高圧搾部２５Ｒｆ、２５Ｒｆ同士の、長手方向Ｄ１に沿った間隔ｄ１は、右斜方向溝１２Ｒｆ全体にわたって均一ではなく、前方に向かうほど小さくなっている。その場合、左高圧搾部２５Ｌｆの投影範囲２６Ｌｆと右高圧搾部２５Ｒｆの投影範囲２６Ｒｆとは、中央溝１１に近い位置では互いに接しているが、中央溝１１から離れるにつれ、両投影範囲２６Ｌｆ、２６Ｒｆが長手方向Ｄ１で重なるようになり、その重なりが増えていく。

　上記形態は、溝形成工程において吸収性物品１の横方向Ｄ２の位置ズレ誤差が生じた場合に利点を有する。吸収性物品１の位置ズレ誤差は、例えば吸収性物品１が微小に回転することで横方向Ｄ２及び長手方向Ｄ１で生じやすいが、特に長手方向Ｄ１の端部に近い領域の方が位置ズレは大きくなる。よって、吸収性物品１の長手方向Ｄ１の端部に近い位置で、左高圧搾部２５Ｌｆの投影範囲２６Ｌｆと右高圧搾部２５Ｒｆの投影範囲２６Ｒｆとが重なっていることで、吸収性物品１の位置ズレ誤差が生じた場合であっても、左高圧搾部２５Ｌｆの投影範囲２６Ｌｆと右高圧搾部２５Ｒｆの投影範囲２６Ｒｆとの間に間隔が生じにくく、又は間隔が生じても小さく抑えることができる。すなわち、そのため、本形態は、溝形成工程における位置ズレ誤差が生じやすい長手方向Ｄ１の長さが長い吸収性物品において好適である。

　なお、図４に示す例では、左高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…は、互いに同じ形状及び大きさで形成され、右高圧搾部２５Ｒｆ、２５Ｒｆ、…も、互いに同じ形状及び大きさで形成されており、左高圧搾部２５Ｌｆと右高圧搾部２５Ｒｆとも互いに同じ形状及び大きさで形成されている。しかしながら、高圧搾部の形状及び大きさは、左斜方向溝１２Ｌｆ内で、且つ／又は右斜方向溝１２Ｒｆ内で、互いに異ならせてもよいし、左右で異ならせてもよい。

　また、左高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…及び右高圧搾部２５Ｒｆ、２５Ｒｆ、…はドット状に形成され、各高圧搾部の平面視形状は円形となっているが、平面視形状は円形に限らず、楕円形、多角形、又はそれ以外の任意の形状とすることができる。左高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…及び右高圧搾部２５Ｒｆ、２５Ｒｆ、…の１つの大きさは、平面視形状が円形である場合には直径１．２～２ｍｍ、また円形以外の平面視形状である場合には同面積を有する大きさであってよい。

　＜変形例＞
　図５に、高圧搾部の変形例を示す。図６に示す例では、左斜方向溝１２Ｌｆの左高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…及び右斜方向溝１２Ｒｆの右高圧搾部２５Ｒｆ、２５Ｒｆ、…がそれぞれ、長手方向Ｄ１に沿って等間隔で形成されている。すなわち、長手方向Ｄ１に沿った右高圧搾部２５Ｒｆ、２５Ｒｆ同士の間隔ｄ１が、右斜方向溝１２Ｒｆにわたって一定である。その一方で、右斜方向溝１２Ｒｆの延在方向に沿った右高圧搾部２５Ｒｆ、２５Ｒｆ同士の間隔ｄ２は、右斜方向溝１２Ｒｆ内で一定ではない。左斜方向溝１２Ｌｆの左高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…の間隔についても、右斜方向溝１２Ｒｆと同様である。

　図５に示す変形例においても、左斜方向溝１２Ｌｆの左高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…の長手方向Ｄ１に平行な直線上への投影範囲２６Ｌｆ、２６Ｌｆ、…と、右斜方向溝１２Ｒｆの右高圧搾部２５Ｒｆ、２５Ｒｆ、…の長手方向Ｄ１に平行な直線上への投影範囲２６Ｒｆ、２６Ｒｆ、…とが互い違いになっている。さらに、本変形例では、左高圧搾部２５Ｌｆの投影範囲２６Ｌｆは、長手方向Ｄ１で隣接する右高圧搾部２５Ｒｆの投影範囲２６Ｒｆと接していて、長手方向Ｄ１で見て高圧搾部が形成されない範囲がない。そのため、溝形成工程では、長手方向Ｄ１全体にわたって圧力が均一になり、ロール対の挙動が安定するという点で、好ましい。よって、本形態は、溝形成工程における位置ズレ誤差が生じにくい長手方向Ｄ１の長さが短い吸収性物品において好適である。

　さらに、図６及び図７に、斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆの先端部（吸収性物品の長手方向Ｄ１の端部側の端部）の変形例を示す。図６及び図７に示す左斜方向溝１２Ｌｆ及び右斜方向溝１２Ｒｆは、図４に示したものと基本的な構成は同じであるが、左高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…のうち最も先端の左高圧搾部２５ＬｆＴと、右高圧搾部２５Ｒｆ、２５Ｒｆ、…のうち最も先端の右高圧搾部２５ＲｆＴとの位置が揃っている。より具体的には、左高圧搾部２５ＬｆＴ及び右高圧搾部２５ＲｆＴが、最も先端の左高圧搾部２５ＬｆＴの前方の端縁と、右高圧搾部２５ＲｆＴの前方の端縁とが、幅方向Ｄ２に平行な線ＥＬ上に位置するように、形成されている。

　図６及び図７に示す例のように、最も先端の左高圧搾部２５ＬｆＴと最も先端の右高圧搾部２５ＲｆＴとの位置を揃えることで、左斜方向溝１２Ｌｆと右斜方向溝Ｒｆとで剛性をより左右対称にすることができ、装着時の吸収性物品１の変形の左右対称性も高めることができる。

　図６に示す例では、図４に示す例と同様に形成された左高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…及び右高圧搾部２５Ｒｆ、２５Ｒｆ、…において、右斜方向溝１２Ｒｆの先端に、図４に示されている右高圧搾部２５Ｒｆと同じ形状及び大きさを有する右高圧搾部２５ＲｆＴが追加された構成となっている。図６に示す例では、先端の左高圧搾部２５ＬｆＴを含む左高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…、及び先端の右高圧搾部２５ＲｆＴを含む右高圧搾部２５Ｒｆ、２５Ｒｆ、…のそれぞれの形状及び大きさは同じとなっている。

　斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆの先端部に形成される高圧搾部は、長手方向Ｄ１で、圧搾がされない非圧搾部が近接していることから、圧搾前の厚みが大きく且つ柔らかい吸収体を有する場合等には、他の高圧搾部よりも深く形成される傾向がある。これに対し、図６に示す例では、斜方向溝の最も先端の高圧搾部の形成においてロール対の力を左右に分散させることができる。よって、最も先端の左高圧搾部２５ＬｆＴ及び最も先端の右高圧搾部２５ＲｆＴが、他の位置にある高圧搾部に対して過度に深く形成されてしまうことを防止できる。

　図７に示す例では、先端の左高圧搾部２５ＬｆＴは、他の左高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…と形状が異なっており、先端の右高圧搾部２５ＲｆＴも、他の右高圧搾部２５Ｒｆ、２５Ｒｆ、…と形状が異なっている。左高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…及び右高圧搾部２５Ｒｆ、２５Ｒｆ、…が円形であるのに対し、先端の左高圧搾部２５ＬｆＴ及び先端の右高圧搾部２５ＲｆＴはいずれも楕円形となっている。また、先端の右高圧搾部２５ＲｆＴが右斜方向溝１２Ｒｆの延在方向に沿ったより長い楕円である。さらに、図７に示す例では、先端の左高圧搾部２５ＬｆＴ及び先端の右高圧搾部２５ＲｆＴの幅（斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆの幅方向の長さ）はいずれも、他の左高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…及び他の右高圧搾部２５Ｒｆ、２５Ｒｆ、…よりも狭く形成されている。先端の左高圧搾部２５ＬｆＴ及び先端の右高圧搾部２５ＲｆＴが、他の高圧搾部よりも深く形成される傾向が小さい場合には、図７に示すように、先端の左高圧搾部２５ＬｆＴ及び先端の右高圧搾部２５ＲｆＴの幅方向Ｄ２の幅を狭くしておき、先端の左高圧搾部２５ＬｆＴ及び先端の右高圧搾部２５ＲｆＴが形成される際の線圧を、他の左高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…及び他の右高圧搾部２５Ｒｆ、２５Ｒｆ、…が形成される際の線圧と同程度とすることができる。

　＜中央溝内の高圧搾部＞
　本形態では、図１及び図４に示すように、中央溝１１内にも高圧搾部が形成されていてよい。これにより、中央溝１１及びその周囲の剛性が高められ、装着時に両側から脚の力を受けた場合であっても、中央溝１１が潰れることを防止できる。中央溝１１内の高圧搾部の形態は特に限定されないが、図４に示すように、中央溝１１内の高圧搾部は、長手方向Ｄ１に延在する第１仮想波線ＷＬ１に沿った不連続な第１高圧搾部分３１、３１、…と、第２仮想波線ＷＬ２に沿った不連続な第２高圧搾部分３２、３２、…とを有していてよい。第１仮想波線ＷＬ１と第２仮想波線ＷＬ２とは、規則的なパターンを有し、長手方向中心線ＣＬを対称線として線対称に形成されていてよい。

　中央溝１１内における第１高圧搾部分３１、３１、…と第２高圧搾部分３２、３２、…との長手方向Ｄ１の配置も特に限定されない。但し、図４に示すように、第１高圧搾部分３１、３１、…を長手方向Ｄ１に平行な直線（図示の例では長手方向中心線ＣＬ）に投影した投影範囲と、第１高圧搾部分３１、３１、…を同様に投影した投影範囲とが、互い違いになっていると好ましい。これにより、溝形成工程におけるロール対から受ける圧力の変動を低減できるので、安定的に高圧搾部を形成することができる。また、ロール対の押付力が左右に分散されにくいので、第１高圧搾部分３１、３１、…と第２高圧搾部分３２、３２、…とが長手方向Ｄ１の同じ位置に形成されている形態と比べて、高圧搾部の形成のための線圧が高くなり、各高圧搾部を明確に形成できる。

　中央溝１１においては、第１高圧搾部分３１、３１、…の上記投影範囲と第１高圧搾部分３１、３１、…の上記投影範囲とが接している領域、両者が互いに重なっている領域、及び互いに離間している領域が含まれていてよい。

　図示の例では、第１高圧搾部分３１、３１、…及び第２高圧搾部分３２、３２、…は、互いに同じ大きさの円形状に形成されている。また、斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆにおける高圧搾部２５Ｌｆ、２５Ｌｆ、…、及び２５Ｒｆ、２５Ｒｆ、…の１つの大きさは、中央溝１１における第１高圧搾部分３１、３１、…及び第２高圧搾部分３２、３２、…の１つの大きさよりも、大きくなっていてよい。これにより、吸収性物品１の装着時に大きく曲げる必要のある前方及び後方の領域の変形を促すことができる。中央溝１１における高圧搾部の大きさを、斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ、１２Ｌｒ、１２Ｒｒにおける高圧搾部よりも小さくした場合、中央溝１１において第１高圧搾部分３１、３１、…の投影範囲と第１高圧搾部分３１、３１、…の投影範囲とが重なる領域を設けることで、溝形成工程において、斜方向溝内の高圧搾部の形成時の線圧と、中央溝１１内の高圧搾部の形成時の線圧との差を低減することができる。これにより、中央溝１１と斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ、１２Ｌｒ、１２Ｒｒとで、高圧搾部の深さの差を低減することができ、好ましい。

　以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。また、上記実施形態は、特許請求の範囲に記載された範囲内において、様々な変更、修正、置換、付加、削除、及び組合せ等が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に属する。

　さらに以下、本発明の具体的な態様を記載する。

　（付記１）
　付記１に係る態様は、透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に設けられた吸収体とを備え、長手方向と前記長手方向に直交する横方向とを有する吸収性物品であって、前記トップシートから前記バックシートへ向かって凹む溝が形成され、前記溝が、前記長手方向に延在する中央溝と、前記中央溝より前記長手方向の端部側の領域に、互いの距離が前記中央溝から離れる程大きくなるように形成された左斜方向溝及び右斜方向溝とを含み、前記左斜方向溝内に、前記左斜方向溝の延在方向に離間して複数の左高圧搾部が形成され、且つ前記右斜方向溝内に、前記右斜方向溝の延在方向に離間して複数の右高圧搾部が形成され、前記左高圧搾部及び前記右高圧搾部を前記長手方向に平行な直線上に投影した時に、前記左高圧搾部の投影範囲と前記右高圧搾部の投影範囲とが、少なくとも部分的に、互い違いに位置する。

　上記付記１に係る態様によれば、中央溝より長手方向の端部側の領域に一対の斜方向溝（左斜方向溝及び右斜方向溝）が形成されていることで、身体の形状に適合した吸収性物品の三次元的な変形を促すことができる。より具体的には、一対の斜方向溝を基軸として吸収性物品が折れ曲がり、左右一対の斜方向溝間の領域を、身体の前方及び／又は後方の面に沿って当接させることが容易になる。また、左右一対の斜方向溝内に高圧搾部が設けられているので溝が補強され、左斜方向溝及び右斜方向溝が装着時の変形の基軸として一層良好に機能できるとともに、高圧搾部が離間していることで溝の底部及び周囲が過度に硬くならず、必要に応じて長手方向Ｄ１に自然に湾曲できる。

　また、本態様では、左高圧搾部及び右高圧搾部を長手方向に平行な直線上に投影した時に、左高圧搾部の投影範囲と右高圧搾部の投影範囲とが、少なくとも部分的に、互い違いになっている。これにより、溝の形成工程において、圧力の大きな変動が抑えられ、装置のより安定した動作（運転）を維持することができる。よって、長手方向に沿って、高圧搾部を所望の配置、所望の圧搾深さで的確に形成することができる。これにより、左斜方向溝及び右斜方向溝の機能がより確実となり、身体の形状に沿った吸収性物品の変形がより容易になる。

　（付記２）
　付記２に係る態様では、前記左高圧搾部の投影範囲と、当該左高圧搾部の投影範囲と長手方向で隣り合う前記右高圧搾部の投影範囲との間隔がゼロであるか、又は前記両投影範囲が重なっている。

　上記付記２に係る態様によれば、左高圧搾部の投影範囲と、当該左高圧搾部の投影範囲と隣り合う右高圧搾部の投影範囲との間で、左高圧搾部及び右高圧搾部のいずれも形成されない期間がなくなるため、圧搾溝形成工程における圧力の変動をさらに抑制でき、装置の安定した圧搾挙動を維持できる。そのため、溝全体にわたって高圧搾部を所望の配置、深さで形成することができ、左斜方向溝及び右斜方向溝の機能を高めることができる。

　（付記３）
　付記３に係る態様では、前記左高圧搾部同士の、前記左斜方向溝の延在方向に沿った間隔が一定であり、且つ／又は前記右高圧搾部同士の、前記右斜方向溝の延在方向に沿った間隔が一定である。

　上記付記３に係る態様によれば、高圧搾部同士の間隔が斜方向溝の延在方向に沿って一定であることで、斜方向溝がその延在方向全体にわたって高圧搾部によって均一に補強され、吸収性物品の前方及び／又は後方の三次元的な変形を促す効果を高めることができる。

　（付記４）
　付記４に係る態様では、前記左斜方向溝における前記中央溝から最も離れた左高圧搾部と、前記右斜方向溝における前記中央溝から最も離れた右高圧搾部とが、前記長手方向で揃って配置されている。

　上記付記４に係る態様によれば、左斜方向溝及び右斜方向溝の先端（中央溝から離れた端部）における剛性を左右対称にできる。これにより、左斜方向溝及び右斜方向溝の機能の左右対称性を高めることができるので、吸収性物品の変形の左右対称性も高めることができ、漏れの防止及び装着感が向上する。

　（付記５）
　付記５に係る態様では、前記中央溝内に、前記長手方向に延在する第１仮想波線に沿って前記長手方向に離間した複数の第１高圧搾部分と、前記第１仮想波線と交差する前記長手方向に延在する第２仮想波線に沿って前記長手方向に離間した複数の第２高圧搾部分とが形成され、前記第１高圧搾部分及び前記第２高圧搾部分を前記長手方向に平行な直線上に投影した時に、前記第１高圧搾部分の投影範囲と前記第２圧搾部分の投影範囲とが互い違いに位置する。

　上記付記５に係る態様によれば、中央溝内にも所定の配置で高圧搾部を形成することによって、中央溝の形成においても、吸収性物品が受ける圧力の大きな変動が抑えられるので、ロール対の安定的な動作を維持でき、斜方向溝及び中央溝全体にわたって高圧搾部を的確に形成することができる。これにより中央溝の、特に装着時に吸収性物品の変形を促す機能を向上できる。また、中央溝内の高圧搾部は、長手方向で不連続になっているので、中央溝の部分が過度に硬くならず、装着時に吸収性物品を、身体の前後方向の丸みに沿うよう湾曲させることが容易になる。

　（付記６）
　付記６に係る態様では、透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に設けられた吸収体とを備え、長手方向と前記長手方向に直交する横方向とを有し、前記トップシートから前記バックシートへ向かって凹む溝を備えた吸収性物品の製造方法であって、前記長手方向に延在する中央溝を形成し、前記中央溝より前記長手方向の端部側の領域に、互いの距離が前記中央溝から離れる程大きくなるように左斜方向溝及び右斜方向溝を形成し、前記左斜方向溝の形成において、前記左斜方向溝内に、前記左斜方向溝の延在方向に離間して複数の左高圧搾部を形成し、前記左斜方向溝の形成において、前記右斜方向溝内に、前記右斜方向溝の延在方向に離間して複数の右高圧搾部を形成し、前記左高圧搾部及び前記右高圧搾部を前記長手方向に平行な直線上に投影した時に、前記左高圧搾部の投影範囲と前記右高圧搾部の投影範囲とが、少なくとも部分的に、互い違いに位置するようになっている。

　上記付記６に係る態様によれば、上記第一の態様と同様の効果を奏する吸収性物品の製造方法を提供できる。

　本出願は、２０２２年１月２７日に出願された日本国特許出願２０２２－０１１１３１号に基づく優先権を主張するものであり、その全内容をここに援用する。

１　吸収性物品
２　バックシート
３　トップシート
４　吸収体
７　サイドシート
１１　中央溝
１１ｆ　中央溝の前端
１１ｒ　中央溝の後端
１２Ｌｆ　前方の左斜方向溝
１２Ｒｆ　前方の右斜方向溝
１２Ｌｒ　後方の左斜方向溝
１２Ｒｒ　後方の右斜方向溝
１４　非圧搾部
２５Ｌｆ　前方の左高圧搾部
２５ＬｆＴ　先端の（最も前方の）左高圧搾部
２５Ｒｆ　前方の右高圧搾部
２５ＲｆＴ　先端の（最も前方の）右高圧搾部
２６Ｌｆ　前方の左高圧搾部の投影範囲
２６Ｒｆ　前方の右高圧搾部の投影範囲
３１　第１高圧搾部分
３２　第２高圧搾部分
ＣＬ　長手方向中心線
Ｄ１　第１方向（長手方向）
Ｄ２　第２方向（横方向）
Ｆ　前方領域
Ｍ　中間領域
Ｒ　後方領域
Ｑ　体液排出口対向領域
ＷＬ１　第１仮想波線
ＷＬ２　第２仮想波線

Claims

　透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に設けられた吸収体とを備え、長手方向と前記長手方向に直交する横方向とを有する吸収性物品であって、
　前記トップシートから前記バックシートへ向かって凹む溝が形成され、
　前記溝が、
　　前記長手方向に延在する中央溝と、
　　前記中央溝より前記長手方向の端部側の領域に、互いの距離が前記中央溝から離れる程大きくなるように形成された左斜方向溝及び右斜方向溝とを含み、
　前記左斜方向溝内に、前記左斜方向溝の延在方向に離間して複数の左高圧搾部が形成され、且つ前記右斜方向溝内に、前記右斜方向溝の延在方向に離間して複数の右高圧搾部が形成され、
　前記左高圧搾部及び前記右高圧搾部を前記長手方向に平行な直線上に投影した時に、前記左高圧搾部の投影範囲と前記右高圧搾部の投影範囲とが、少なくとも部分的に、互い違いに位置する、吸収性物品。
　前記左高圧搾部の投影範囲と、当該左高圧搾部の投影範囲と長手方向で隣り合う前記右高圧搾部の投影範囲との間隔がゼロであるか、又は前記両投影範囲が重なっている、請求項１に記載の吸収性物品。
　前記左高圧搾部同士の、前記左斜方向溝の延在方向に沿った間隔が一定であり、且つ／又は前記右高圧搾部同士の、前記右斜方向溝の延在方向に沿った間隔が一定である、請求項１又は２に記載の吸収性物品。
　前記左斜方向溝における前記中央溝から最も離れた左高圧搾部と、前記右斜方向溝における前記中央溝から最も離れた右高圧搾部とが、前記長手方向で揃って配置されている、請求項１から３のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　前記中央溝内に、前記長手方向に延在する第１仮想波線に沿って前記長手方向に離間した複数の第１高圧搾部分と、前記第１仮想波線と交差する前記長手方向に延在する第２仮想波線に沿って前記長手方向に離間した複数の第２高圧搾部分とが形成され、
　前記第１高圧搾部分及び前記第２高圧搾部分を前記長手方向に平行な直線上に投影した時に、前記第１高圧搾部分の投影範囲と前記第２高圧搾部分の投影範囲とが互い違いに位置する、請求項１から４のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に設けられた吸収体とを備え、長手方向と前記長手方向に直交する横方向とを有し、前記トップシートから前記バックシートへ向かって凹む溝を備えた吸収性物品の製造方法であって、
　前記長手方向に延在する中央溝を形成し、
　前記中央溝より前記長手方向の端部側の領域に、互いの距離が前記中央溝から離れる程大きくなるように左斜方向溝及び右斜方向溝を形成し、
　前記左斜方向溝の形成において、前記左斜方向溝内に、前記左斜方向溝の延在方向に離間して複数の左高圧搾部を形成し、前記左斜方向溝の形成において、前記右斜方向溝内に、前記右斜方向溝の延在方向に離間して複数の右高圧搾部を形成し、
　前記左高圧搾部及び前記右高圧搾部を前記長手方向に平行な直線上に投影した時に、前記左高圧搾部の投影範囲と前記右高圧搾部の投影範囲とが、少なくとも部分的に、互い違いに位置するようになっている、吸収性物品の製造方法。