WO2023145154A1

WO2023145154A1 - 吸収性物品

Info

Publication number: WO2023145154A1
Application number: PCT/JP2022/038602
Authority: WO
Inventors: 涼子栗原
Original assignee: 大王製紙株式会社
Priority date: 2022-01-27
Filing date: 2022-10-17
Publication date: 2023-08-03
Also published as: TW202344234A; JP2023109563A

Abstract

透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に設けられた吸収体とを備え、長手方向と前記長手方向に直交する横方向とを有する吸収性物品であって、前記トップシートから前記バックシートへ向かって凹む、長手方向に沿って延在する中央溝を備え、平面視で前記中央溝内に高圧搾部が形成され、前記高圧搾部が、前記長手方向に延在する第１仮想波線に沿った不連続な第１高圧搾部と、前記第１仮想波線と交差する前記長手方向に延在する第２仮想波線に沿った不連続な第２高圧搾部とを含み、前記第１仮想波線と前記第２仮想波線とは、前記吸収性物品の前記長手方向に沿って延びる長手方向中心線を対称線として線対称となっている。

Description

吸収性物品

　本発明は、吸収性物品に関する。

　失禁パッド、生理用ナプキン、パッドタイプのおむつ等の吸収性物品として、一度に大量に排出された体液を前後方向に速やかに拡散させることを目的として、本体の肌側に長手方向に沿って延在する溝を形成されたものが知られている（例えば、特許文献１）。

　特許文献１には、凹溝の底部に高圧搾部が形成され、当該高圧搾部が、凹溝を長手方向に区画した単位区間において、溝横方向に延び溝長手方向に傾斜するとともに、凹溝の一方側の側端から他方側の側端まで横断して形成され、単位区間を溝長手方向に繰り返し正反転させたパターンで形成された第１エンボスと、第１エンボスが横方向外側に突出する凸部と反対側の側縁部に形成された第２エンボスとから構成されたものが記載されている。

特開２０１６－２０９８号公報

　特許文献１に記載の構成では、高圧搾部によって凹溝が補強され、凹溝が潰れにくくなっている。しかしながら、高圧搾部の形状、形成時の圧搾強さ等によっては、高圧搾部が設けられた部分の吸収体が過度に硬くなってしまい、吸収体の自然な変形を妨げる場合がある。吸収性物品は通常、装着者の身体の前後方向の丸みに沿うよう長手方向に湾曲させて使用されるが、上述の従来の吸収性物品では、身体の形に沿った湾曲が得にくくなり、十分なフィット性が得られない場合がある。

　上記の点に鑑みて、本発明の一態様は、長手方向に沿って延在する溝が肌側に形成された吸収性物品において、装着者の身体の形に沿った変形を容易にし、フィット性を高めることを課題とする。

　本発明の一態様は、透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に設けられた吸収体とを備え、長手方向と前記長手方向に直交する横方向とを有する吸収性物品であって、前記トップシートから前記バックシートへ向かって凹む、長手方向に沿って延在する中央溝を備え、平面視で前記中央溝内に高圧搾部が形成され、前記高圧搾部が、前記長手方向に延在する第１仮想波線に沿った不連続な第１高圧搾部と、前記第１仮想波線と交差する前記長手方向に延在する第２仮想波線に沿った不連続な第２高圧搾部とを含み、前記第１仮想波線と前記第２仮想波線とは、前記吸収性物品の前記長手方向に沿って延びる長手方向中心線を対称線として線対称となっている。

　本発明の一態様によれば、長手方向に沿って延在する溝が肌側に形成された吸収性物品を、装着者の身体の形に沿って変形を容易にし、フィット性を高めることができる。

一実施形態による吸収性物品の平面図である。図１のＩ－Ｉ断面図である。図１に示す中央溝の部分拡大図である。図３の部分ＩＩの拡大図である。高圧搾部の変形例を示す。高圧搾部区分の好ましい形状の一例について説明する図である。図６に対応する、高圧搾部区分の形状の一例について説明する図である。第２実施形態による吸収性物品の平面図である。図８に示す中央溝の部分拡大図である。

　以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。

　［第１実施形態］
　＜吸収性物品の基本構造＞
　図１に、第１実施形態による吸収性物品１の平面図を示す。また、図２に、図１のＩ－Ｉ断面図を示す。図１及び図２に示すように、吸収性物品１は、透液性のトップシート３と、不透液性のバックシート２と、両シートの間に配置された吸収体４とを備えていて、装着前の状態では全体として概ね扁平形状である（図２）。吸収性物品１の装着時には、トップシート３側が肌に触れる側（肌側若しくは表側）となり、バックシート２側が下着に固定される側（下着側若しくは裏側）となる。図１は、吸収性物品１を肌側から見た図である。

　吸収性物品１は、平面視で細長形状を有しており、長手方向（前後方向）Ｄ１と、長手方向Ｄ１に直交する横方向（幅方向若しくは左右方向）Ｄ２とを有する。吸収性物品１の装着時には、長手方向Ｄ１が装着者の身体の前後方向に対応し、横方向Ｄ２が装着者の身体の左右方向に対応する。図１に示す形態では、吸収性物品１は、平面視で、長手方向Ｄ１に沿って延びる中心線（吸収性物品１を横方向Ｄ２に二分する中心線、若しくは長手方向中心線）ＣＬに対して略線対称の形状を有しているが、形状は線対称でなくともよい。また、吸収性物品１の形状以外の構成（吸収体４の密度、材質、及び圧搾部の大きさ、等を含む）も、中心線ＣＬを対称軸として略対称であってもよいし、非対称であってもよい。

　バックシート２は、少なくとも遮水性を有するシートであってよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂製のシート等であってよい。また、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布の積層シート等を用いることができる。また、ムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられることがさらに望ましい。このような遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シート等を用いることができる。

　トップシート３は、尿、経血、おりもの等の体液を透過可能なシートとすることができる。トップシート３としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシート等が好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、及びこれらの混紡繊維、並びに綿等の天然繊維を単独で又は２種以上組み合わせて用いることができる。また、不織布の加工法としては、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等が挙げられる。これらの加工法のうち、スパンレース法は柔軟性、スパンボンド法はドレープ性に富む不織布を製造できる点で好ましく、サーマルボンド法は嵩高でソフトな不織布を製造できる点で好ましい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維を用いることもできる。

　吸収体４は、体液を吸収して保持できる材料であれば限定されないが、綿状パルプと吸水性ポリマーとを含むことが好ましい。吸水性ポリマーとしては、高吸水ポリマー粒状粉（ｓｕｐｅｒａｂｓｏｒｂｅｎｔ　ｐｏｌｙｍｅｒ（ＳＡＰ））、高吸水ポリマー繊維（ｓｕｐｅｒａｂｓｏｒｂｅｎｔ　ｆｉｂｅｒ（ＳＡＦ））、及びこれらの組合せを用いることができる。パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられる。化学パルプの原料材としては、広葉樹材、針葉樹材等が用いられるが、繊維長が長いこと等から針葉樹材が好適に使用される。

　吸収体４には合成繊維を混合してもよい。合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、及びこれらの共重合体を使用でき、これらのうちの２種を混合して使用することもできる。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。なお、疎水性繊維を親水化剤で表面処理し、体液に対する親和性を付与したものを用いることもできる。吸収体４は、積繊又はエアレイド法によって製造されたものが好ましい。

　吸収体４は、吸収体４の本体部分をクレープ紙又は不織布等からなる被包シートで包んだものであってよい。吸収体４が被包シートを備えていることで、吸収体４のよれや割れを防止でき、形状を保持できる。被包シートとしては、無着色（すなわち、白色）のクレープ紙や不織布を用いることもできるし、着色（例えば体液の色と同系色又は体液の色の補色に着色）されたものを用いることもできる。

　吸収体４は平面視形状は、図１に示すように、略一定の幅を有する細長形状であってよいが、吸収体４の幅は長手方向Ｄ１に沿って変動していてもよい。吸収体４は全体として、全面にわたり均一な厚みを有してもよいが、吸収体４の厚みは均一でなくともよく、局所的に薄く又は厚くしてもよい。

　吸収体４の長手方向Ｄ１の両端縁においては、バックシート２の縁部とトップシート３の縁部とが、接着剤、ヒートシール等によって接合されていてよい（図１にはハッチングで図示）。また、吸収性物品１の両側部、すなわち横方向Ｄ２の両側には、表側（トップシート３側）に、長手方向Ｄ１に沿って、一対のサイドシート７、７が配置されていてよい。

　サイドシート７は、体液の浸透を防止する、或いは肌触りを高める等の目的に応じて、適切な撥水処理又は親水処理を施した不織布素材を用いて構成されたものであってよい。サイドシート７の素材は、天然繊維、合成繊維、再生繊維等であってよい。また、サイドシート７が撥水処理されている場合、その処理には、シリコーン系、パラフィン系等の撥水剤を用いることができる。なお、吸収性物品は、サイドシート７を使用せずに、トップシート３が、吸収性物品１の横方向Ｄ２の端部まで延在してバックシート２と接合された構成を有していてもよい。また、サイドシート７は、各側で、折り返すこと又は別体のサイドシートを追加で重ねることによって２層とし、その２層間に糸ゴム等の伸縮性部材を伸長状態で長手方向に沿って延在するように配置して間欠的に固定することによって、立上がりギャザー部を形成してもよい。そして、例えば、サイドシート７が幅方向Ｄ２の内端又は外端で固定されていることで、両側部の立上がりギャザーは、伸縮性部材の伸長が緩められた時に、幅方向Ｄ２の外端又は内端が肌側に立ち上がり得る。

　吸収性物品１は、装着時に装着者の股間に主として対応させる中間領域Ｍと、中間領域Ｍに前方に隣接し、吸収性物品１の前方の端部までの領域である前方領域Ｆと、中間領域Ｍの後方に隣接し、吸収性物品１の前方の端部までの領域である後方領域Ｒとを有する。中間領域Ｍは、体液排出口対向領域Ｑを含む。体液排出口対向領域Ｑは、装着時に装着者の尿道口、膣口等の体液排出口に対向する領域であり、その中心が、長手方向中心線ＣＬ上にする。図１に示す例では、体液排出口対向領域Ｑは、尿道口に対応する領域として楕円状に描かれているが、図示の体液排出口対向領域Ｑの大きさ及び形状は、本形態による吸収性物品を説明するための例示にすぎない。

　なお、前方領域Ｆ及び後方領域Ｒは、吸収性物品が個装される際には、長手方向Ｄ１に肌側に折り返すことができる。図１の例では、前方領域Ｆの折返しは、前方領域Ｆと中間領域Ｍとの境界線に沿った折り線にて、また後方領域Ｒの折返しは、後方領域Ｒと中間領域Ｍとの境界線に沿った折り線にて、行うことができる。前方領域Ｆ及び後方領域Ｒはどちらを先に折り返してもよい。このような折り畳みにより、吸収性物品１を３つ折り以上に折り畳むことができる。

　吸収性物品１の全体の長手方向Ｄ１の長さ（全長）は、好ましくは１７０～３６０ｍｍであり、より好ましくは２００～２７０ｍｍであってよい。吸収性物品１の横方向Ｄ２の長さ（ウィングを備えている場合はウィング部分を除いた本体の幅）は、好ましくは５０～１５０ｍｍ、より好ましくは７０～１２０ｍｍであってよい。また、トップシート３とバックシート２との間に挟まれている吸収体４の幅は、５０～１００ｍｍであってよい。さらに、吸収性物品１の全体の厚みは、好ましくは１～３０ｍｍ、より好ましくは２～１５ｍｍであってよい。

　図１及び図２に示す吸収性物品１はウィングを備えていないが、吸収性物品１は、中間領域Ｍの両側縁から側方にそれぞれ延出する一対のウィングを有していてもよい。ウィングは、サイドシート７の延出部分とバックシート２の延出部分とが接合することによって形成できる。

　また、吸収性物品１のバックシート２側には、装着時に吸収性物品１を下着により確実に固定して吸収性物品１のズレを防止するためのズレ止め部が形成されていてもよい（図示せず）。ズレ止め部は粘着性ズレ止め部であることが好ましい。粘着性のズレ止め部は、例えば流動物である粘着剤が塗布されるか、又は予め形成された粘着剤の層（粘着テープ等）が被着されることによって形成されている。ズレ止め部として用いられる粘着剤は、公知の粘着剤、例えばホットメルトタイプの粘着剤を用いることができる。その主成分としては、スチレン系ポリマー、粘着付与剤、及び可塑剤、並びにこれらの組合せが挙げられる。

　吸収性物品１の肌側には、肌側から非肌側へと凹む（すなわちトップシート３からバックシート２へ向かって凹む）溝が設けられている。図１に示す例では、溝は、中央溝１１、中央溝１１の前方に形成された一対の斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆと、中央溝１１の後方に形成された一対の斜方向溝１２Ｌｒ、１２Ｒｒとを含むが、一形態による吸収性物品１は、斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ、１２Ｌｒ、１２Ｒｒを省略した吸収性物品であってもよい。

　溝は、圧搾により形成された圧搾溝であると好ましい。圧搾溝は、少なくとも吸収体４とトップシート３とを重ね合せた積層物を一対の加圧ロールに通すことによって形成できる。例えば、所望の圧搾溝の形状に対応する凸部を表面に有するロールと、当該ロールに対向させる、表面が平坦なロールとを準備し、凸部を有するロールをトップシート３側に配置して、吸収体４とトップシート３とを含む積層物をロール間に通過させることができる。なお、圧搾溝が形成されていない領域は非圧搾部１４として示す。

　＜中央溝＞
　中央溝１１は、吸収性物品１の横方向Ｄ２の中央に、長手方向Ｄ１に沿って形成された溝である。中央溝１１がトップシート３側からバックシート２側へと凹む溝となっていることで、装着時には、吸収性物品１が横方向Ｄ２の両側から力を受けると、横方向Ｄ２の中央の部分がバックシート２側（非肌側）へ突出するように変形しやすくなる。その突出により形成された肌側の窪みに、体液を少なくとも一時的に貯留させることができる。また、中央溝１１が圧搾により形成されている場合には、中央溝１１の領域は、中央溝１１の周囲の圧搾されていない領域よりも密度が高くなっているので、体液は中央溝１１内に保持されやすくなる。

　中央溝１１は、長手方向Ｄ１に沿って延在しているので、上述のように体液を受け止めて一時的に貯留するだけでなく、体液を長手方向Ｄ１に誘導する機能を有する。特に中央溝１１が圧搾により形成されている場合には、中央溝１１が形成されている領域の密度がその横方向Ｄ２の両側の圧搾されていない領域の密度よりも大きくなっているので、体液を横方向Ｄ２よりも長手方向Ｄ１に誘導しやすくなる。長手方向Ｄ１にわたって体液を誘導することで、体液の横方向Ｄ２の漏れを防止することができる。

　また、中央溝１１は、横方向Ｄ２の中央において体液排出口対向領域Ｑに重なるように、好ましくは吸収性物品１の長手方向中心線ＣＬに重なるように形成されている。図示の例では、中央溝１１の長手方向Ｄ１に沿って延びる中心線（中央溝１１の幅の中央を通る線）が、吸収性物品１の長手方向中心線ＣＬに一致している。

　中央溝１１は、吸収性物品１の中間領域Ｍを含むように形成されていると好ましく、体液排出口対向領域Ｑを長手方向Ｄ１に含むように形成されているとより好ましい。また、中央溝１１は、中間領域Ｍ内に形成されていると好ましい。これにより、吸収性物品１の前方領域Ｆ及び後方領域Ｒを、身体の前方及び後方の面の丸みに沿ってフィットさせやすくなる。

　中央溝１１の長手方向Ｄ１の長さは、５０～１６０ｍｍであると好ましく、５５～８０ｍｍであるとより好ましい。上記範囲の長さとすることで、体液を長手方向Ｄ１にわたって十分に誘導できると共に、前方領域Ｆ及び後方領域Ｒの幅方向Ｄ２の中央付近に溝が形成されることを回避し、前方領域Ｆ及び後方領域Ｒを、装着者の身体の前方及び後方の面のよりフィットさせやすくなる。

　中央溝１１の横方向Ｄ２の長さ（幅）は、３～１５ｍｍであると好ましく、４～８ｍｍであるとより好ましい。上記範囲の長さ（幅）とすることで、多量の体液でも中央溝１１内に貯留しやすくなり、また横方向Ｄ２の両側から強い力が掛かって中央溝１１が多少変形しても、中央溝１１の溝としての形状及び機能を維持できる。

　＜高圧搾部＞
　本形態では、図１に示すように、中央溝１１内に高圧搾部２０が形成されている。高圧搾部２０は、中央溝１１の底面より深く圧搾された部分である。本明細書における高圧搾部２０は、図面においては黒色で示す。但し、図２の断面図においては、高圧搾部２０の図示は省略する。中央溝１１自体が圧搾により形成されている場合、中央溝１１は、高圧搾部２０と高圧搾部２０以外の低圧搾部とを有することになる。図示の例では、中央溝１１内の高圧搾部２０以外の部分は低圧搾部となる。なお、低圧搾部は、圧搾のない周囲の領域（図示の例では、中央溝１１及び斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ、１２Ｌｒ、１２Ｒｒ以外の本体の領域）よりも１～１０ｍｍ、好ましくは２～５ｍｍ凹んだ部分であり、高圧搾部２０は、中央溝１１内の低圧搾部よりもさらに０．２～１ｍｍ深く圧搾された部分であってよい。

　中央溝１１内に高圧搾部２０が形成されていると、中央溝１１の底部、及び場合によっては側部の剛性が高められ、装着時に両側から脚の力を受けた場合であっても、中央溝１１が潰れること、すなわち中央溝１１の横方向Ｄ２縁部が近付いて当該縁部間の幅が小さくなったり、場合によっては閉じてしまったりすることを防止できる。また、高圧搾部２０は、中央溝１１の領域の全体でなく、中央溝１１の領域内に部分的に分散して形成されているので、中央溝１１の底部が過度に硬くなることを回避でき、吸収性物品１の柔軟性を確保できる。

　高圧搾部２０は、図１に示すように、長手方向Ｄ１に延在する第１仮想波線ＷＬ１に沿った不連続な第１高圧搾部２１と、第２仮想波線ＷＬ２に沿った不連続な第２高圧搾部２２とを有する。図３に、図１の高圧搾部２０の部分拡大図を示す。また、図４に、図３の部分ＩＩの拡大図を示す。

　図３及び図４に示すように、高圧搾部２０（第１高圧搾部２１及び第２高圧搾部２２）は仮想波線（第１仮想波線ＷＬ１及び第２仮想波線ＷＬ２）に沿って形成されているので、装着時に中央溝１１が横方向Ｄ２の両側から受ける力は、中央溝１１内で仮想波線に沿って長手方向Ｄ１に伝搬させやすくなる。そのため、中央溝１１に長手方向Ｄ１において局所的な箇所に力が掛かっても、その力を長手方向Ｄ１に分散させることができ、中央溝１１が潰れにくくなる。なお、中央溝１１内の高圧搾部は、仮想波線（第１仮想波線ＷＬ１及び第２仮想波線ＷＬ２）のいずれかに重なるようになっている、すなわち、中央溝１１内には、仮想波線に重ならない高圧搾部がないことで、上記効果を向上させることができる。

　仮想波線（第１仮想波線ＷＬ１及び第２仮想波線ＷＬ２）はいずれも、幅方向Ｄ２の端において曲率半径を有する形状を有する形状、別の言い方をすれば、波の幅方向Ｄ２の最も外側の位置での形状が丸められた形状を有する。これにより、脚からの強い力が掛かっても応力の所定箇所への過度な集中を抑え、トップシート３がヨレたり破れたりすることを防止できる。

　さらに、図３及び図４に示すように、第１仮想波線ＷＬ１に沿った第１高圧搾部２１、及び第２仮想波線ＷＬ２に沿った第２高圧搾部２２はいずれも不連続になっている。より具体的には、第１高圧搾部２１は、長手方向Ｄ１に離間した複数の第１高圧搾部区分３１Ａ、３１Ｂ、３１Ｃ、３１Ｄ、…を含み、第２高圧搾部２２は、長手方向Ｄ１に離間した複数の第２高圧搾部区分３２Ａ、３２Ｂ、３２Ｃ、３２Ｄ、…を含んでいる（図４）。第１高圧搾部２１において、第１高圧搾部区分３１Ａ、３１Ｂ、３１Ｃ、３１Ｄ、…間の部分（不連続部）４１、４１、…は低圧搾部となっており、第２高圧搾部２２において、第２高圧搾部区分３２Ａ、３２Ｂ、３２Ｃ、３２Ｄ、…間の部分（不連続部）４２、４２、…は低圧搾部となっている。

　このように、第１高圧搾部２１及び第２高圧搾部２２をいずれも不連続に形成することで、中央溝１１の底部が長手方向Ｄ１に連続して過度に硬くなることを防止できる。これにより、吸収性物品１を長手方向Ｄ１に曲げることが容易になり、装着時に装着者の身体の前後方向に沿って、例えば恥骨付近から股下を通って臀部まで、吸収性物品１を当てた際、身体の前後方向に沿った丸みに沿って密着させることができる。よって、本形態の高圧搾部の構成によれば、中央溝１１を潰れにくくしつつ、吸収性物品１の装着時における身体の前後方向にわたるフィット性を向上できる。

　第１仮想波線ＷＬ１及び第２仮想波線ＷＬ２はそれぞれ、ランダムな波形状であってもよいし、規則的な波形状であってもよいが、長手方向Ｄ１に規則的なパターンが繰り返される形状であると、仮想波線に沿って形成される高圧搾部も規則的なパターンで形成でき、それにより中央溝１１の長手方向Ｄ１の曲げ易さが長手方向Ｄ１に沿って均一になるので、好ましい。また、第１仮想波線ＷＬ１及び第２仮想波線ＷＬ２はそれぞれ、中央溝１１の長さにわたって一定の振幅及び一定の波長を有していることが好ましい。第１仮想波線ＷＬ１と第２仮想波線ＷＬ２とで、振幅及び／又は波長は互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。図３では、第１仮想波線ＷＬ１及び第２仮想波線ＷＬ２の波長（若しくは凹凸のピッチ）は同じであり、Ｐで表される。Ｐは、１５～３５ｍｍであってよい。

　さらに、図３に示すように、第１高圧搾部２１が沿って形成されている第１仮想波線ＷＬ１と、第２高圧搾部２２が沿って形成されている第２仮想波線ＷＬ２とは、長手方向中心線ＣＬを対称線として線対称に形成されている。そのため、第１高圧搾部２１及び第２高圧搾部２２も、全体の形状としては線対称になり得る。そのため、吸収性物品１の横方向Ｄ２の両側から脚の力が掛かった場合に、高圧搾部２０にて生じる長手方向Ｄ１での応力分布が、左右でおおよそ対称となるので、溝の捩じれ又は歪みも回避できる。なお、図３に示す例では、第１仮想波線ＷＬ１及び第２仮想波線ＷＬ２は、同じ振幅及び波長を有し、且つ位相が１８０°ずれて形成された形状を有している。

　図３及び図４に示すように、第１仮想波線ＷＬ１と第２仮想波線ＷＬ２との交差点ＩＰ、ＩＰ、…は複数あってよい。そして、交差点ＩＰ、ＩＰ、…には高圧搾部２０は配置されていない。これにより、高圧搾部２０が密集して、中央溝１１の底部が過度に硬くなることを防止できる。

　さらに、隣り合う交差点ＩＰ、ＩＰ間の長手方向Ｄ１の範囲内に含まれる、第１高圧搾部区分の数は複数であってよく、２～５個であると好ましい。同様に、隣り合う交差点ＩＰ、ＩＰ間の長手方向Ｄ１の範囲内に含まれる、第２高圧搾部区分の数は複数であってよく、２～５個であると好ましい。これにより、不連続部４１、４１…及び４２、４２、…を増やすことができ、長手方向Ｄ１のより滑らかで自然な湾曲が可能となる一方、高圧搾部区分同士が近接して柔軟性を損なうことを防止できる。

　なお、１つの高圧搾部区分（第１高圧搾部区分３１Ａ、３１Ｂ、…及び第２高圧搾部区分３２Ａ、３２Ｂ、…）の面積は、１．０～２．２ｍｍ^２であってよい。これにより、中央溝１１を補強する高圧搾部の機能を維持しつつ、吸収性物品１の長手方向Ｄ１の湾曲を妨げない構成を得ることができる。

　１つの交差点ＩＰの２つ隣りの交差点ＩＰまでの範囲に含まれる高圧搾部２０（第１高圧搾部２１及び第２高圧搾部２２）の形状は、両交差点ＩＰ、ＩＰ間の交差点ＩＰを対称点として点対称に形成されていてよい。また、隣り合う２つの交差点ＩＰ、ＩＰ間の範囲の高圧搾部２０の形状は、交差点ＩＰ、ＩＰの中間の位置で幅方向Ｄ２に平行に引いた直線を対称線として線対称になっていてよい。

　図４に示すように、第１高圧搾部２１は、一定幅を有する波形帯体ＷＢ（点線で図示）が、横方向Ｄ２に沿った仮想切断線によって切り欠かれた形状であってよい。より具体的には、波形帯体ＷＢから、仮想切断線Ｘ１、Ｘ２間の部分、及び仮想切断線Ｘ３、Ｘ４間の部分が除かれた形状であってよい。この場合、第１仮想波線ＷＬ１は、波形帯体ＷＢの幅の中央を通る中心線であってよい。このように第１高圧搾部２１が波形帯体ＷＢに基づいて形成された形状を有することで、第１高圧搾部区分３１Ａ、３１Ｂ、３１Ｃ、…は、長手方向Ｄ１に離間していても、力学的な挙動においては第１高圧搾部区分同士の関係性がある程度維持される。そのため、第１高圧搾部２１の一部に力が掛かっても、その力を波形帯体ＷＢに沿うように長手方向Ｄ１に伝搬させることができる。

　一方、第２高圧搾部２２は、第２高圧搾部区分３２Ａ、３２Ｂ、３２Ｃ、３２Ｄ、…がそれぞれ、長手方向Ｄ１の端部が第２仮想波線ＷＬ２に収束するような形状を有していてよい。第２高圧搾部区分は、図３及び図４に示す例では、アーモンド形状若しくは木の葉形状の部分が、横方向Ｄ２に沿った仮想切断線、好ましは横方向Ｄ２に平行な仮想切断線によって切り欠かれた形状を有している。より具体的には、長手方向Ｄ１の両端が第２仮想波線ＷＬ２に収束するアーモンド形状若しくは木の葉形状の部分から、仮想切断線Ｘ１、Ｘ２間の部分が除かれた形状を有している。本形態では、第２高圧搾部２２の面積が、第１高圧搾部２１の面積より小さくなっているので、中央溝１１内の領域における高圧搾部の面積の合計を減らすことができる。そのため、高圧搾部の形成の際に高い圧力で圧搾を行った場合でも、中央溝１１内の領域の剛性が過度に高まることを防止でき、装着時の吸収性物品１の湾曲の妨げを回避できる。また、高圧搾部によって描かれる模様の自由度が増し、デザイン性も向上する。

　なお、第２高圧搾部２２も、第１高圧搾部２１と同様に波形帯体に基づく形状を有していてもよい。図５に、本形態の変形例として、第２高圧搾部２２が第１高圧搾部２１と同様の形状を有する形態を示す。本例では、高圧搾部区分の形状も、長手方向中心線ＣＬを対称線として線対称にすることができるので、幅方向Ｄ２両側から力を受けた時に溝の捩じれ若しくは歪みを回避するという効果を向上させるという観点から、好ましい。

　仮想切断線Ｘ１、Ｘ２間の長手方向Ｄ１の間隔ｄ１（図４）は１～２ｍｍ、好ましくは１．５～１．８ｍｍであってよい。仮想切断線Ｘ１、Ｘ２と異なる位置に形成された仮想切断線Ｘ３、Ｘ４間の長手方向Ｄ１の間隔ｄ２（図４）も、長さｄ１と同様の長さを有していてよい。間隔ｄ１は、第１高圧搾部区分３１Ａ、３１Ｂの向かい合う端縁３１Ａｅ、３１Ｂｅ同士の長手方向Ｄ１の離間距離、又は第２高圧搾部区分３２Ａ、３２Ｂの向かい合う端縁３２Ａｅ、３２Ｂｅの長手方向Ｄ１の離間距離である。また、間隔ｄ２は、第１高圧搾部区分３１Ｂ、３１Ｃの向かい合う端縁３１Ｂｅ、３１Ｃｅの長手方向Ｄ１の離間距離、又は第２高圧搾部区分３２Ｂ、３２Ｃの向かい合う端縁３２Ｂｅ、３２Ｃｅの長手方向Ｄ１の離間距離である。このように、仮想切断線間で切り欠かれる部分の長手方向Ｄ１の長さ、すなわち不連続部４１、４１、…の長手方向Ｄ１の長さを、第１高圧搾部２１の全体にわたって等しくすることで、中央溝１１の長手方向Ｄ１全体にわたって、複数の長手方向Ｄ１の曲げの基軸が確実に形成されるので、吸収性物品１の長手方向Ｄ１の湾曲が容易に、また自然にできる。

　また、中央溝１１内の１つの高圧搾部区分の長手方向Ｄ１の長さ（高圧搾部区分の最前縁から最後縁までの長さ）は均一であってもよいし、場所によっても異なっていてよいが、１．２～１．９ｍｍとすると好ましい。

　図４に示すように、第１高圧搾部２１及び第２高圧搾部２２は、共通の仮想切断線、例えば仮想切断線Ｘ１、Ｘ２、及び仮想切断線Ｘ３、Ｘ４で切り欠かれていてよい。すなわち、第１高圧搾部２１における不連続部４１、４１、…と、第２高圧搾部２２における不連続部４２、４２、…との位置が、長手方向Ｄ１で揃っていてよい。これにより、中央溝１１内に比較的柔らかい低圧搾部が、中央溝１１の横方向Ｄ２の端から端に横断するように配置されることになる。そのため、長手方向Ｄ１に曲げるための中央溝１１の幅にわたる複数の基軸が確実に形成され、身体の前後方向の形状に沿った長手方向Ｄ１の湾曲がより容易になる。

　＜高圧搾部区分の形状＞
　少なくとも第１高圧搾部２１においては、第１高圧搾部区分３１Ａ、３１Ｂ、３１Ｃ、３１Ｄ、…は、長手方向Ｄ１の端縁の少なくとも一方が、好ましくは両方の端縁が、幅方向Ｄ２に平行な辺を有していてよい。本明細書において「平行」とは、厳密な平行のみならず、平行から１０°以内で、好ましくは５°以内で逸脱した方向を含むものとする。

　第１高圧搾部区分の所定形状による上述の効果について、図６及び図７を参照して説明する。図６に、第１高圧搾部区分３１Ｂ、３１Ｃ（図４）の拡大図を示す。吸収性物品１の装着中に中央溝１１に横方向Ｄ２外側から力ＬｇＦが掛かった場合には（図６（ａ））、中央溝１１内で剛性の高い第１高圧搾部区分３１Ｂ、３１Ｃに力が掛かりやすい。しかしながら、第１高圧搾部区分３１Ｂ、３１Ｃの長手方向Ｄ１の端縁３１Ｂｅ、３１Ｃｅは横方向Ｄ２に沿っている（力ＬｇＦの方向に沿っている）ので、力ＬｇＦが大きかったとしても、第１高圧搾部区分３１Ｂ、３１Ｃ自体の向きは変わりにくい。そのため、第１高圧搾部区分３１Ｂと第１高圧搾部区分、３１Ｃとの間の領域（低圧搾部）には変形が生じにくく、中央溝１１の変形としては、第１高圧搾部区分３１Ｂ、３１Ｃと中央溝１１の縁部との間の領域が横方向Ｄ２に収縮するに留まる（図６（ｂ））。

　一方、図７に、高圧搾部区分３１Ｂ'、３１Ｃ'の長手方向Ｄ１の端縁（第１高圧搾部区分３１Ｂ'の端縁３１Ｂｅ'及び第１高圧搾部区分３１Ｃ'の端縁３１Ｃｅ'）の辺が横方向Ｄ２に平行に沿っていない例を示す。このような高圧搾部区分３１Ｂ'、３１Ｃ'に横方向Ｄ２外側から力ＬｇＦが掛かった場合（図７（ａ））、その力ＬｇＦは、図示の例では特に第１高圧搾部区分３１Ｂ'の端縁３１Ｂｅ'の突出した角隅に掛かりやすい。そのため、中央溝１１は、第１高圧搾部区分３１Ｂの向きが変わるように変形し得る。そうすると、第１高圧搾部区分３１Ｂ'と第１高圧搾部区分３１Ｃ'との間の領域（低圧搾部）が歪み（図７（ｂ））、この歪みが中央溝１１全体の歪みに繋がり得る。

　このように、高圧搾部区分の長手方向Ｄ１の端縁の形状を、横方向Ｄ２に沿って、好ましくは横方向Ｄ２に平行に形成することで、中央溝１１内の高圧搾部の形状を安定的に維持でき、ひいては中央溝１１を潰れにくくするという効果を向上させることができる。

　なお、高圧搾部２０の輪郭と、中央溝１１の輪郭とは接していても離間していてもよい。離間している場合、横方向Ｄ２の離間距離は０．５～２ｍｍであってよい。これにより、高圧搾部２０と、圧搾のない非圧搾部１４との間に低圧搾部が形成されることになり、非圧搾部１４から高圧搾部２０にかけての厚さを段階的に小さくすることができ、中央溝１１の輪郭における大きな応力集中を回避し、トップシート３の破れや吸収体４の不都合な変形を防止できる。

　＜斜方向溝＞
　本形態では、図１に示すように、中央溝１１の前端部１１ｆから長手方向Ｄ１の外方に（吸収性物品１０１の長手方向Ｄ１の端部に向かって）に延び、互いの距離が中央溝１１から離れる程大きくなるように形成された一対の斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆが形成され、中央溝１１の後端部１１ｒから長手方向Ｄ１の外方に（吸収性物品１０１の長手方向Ｄ１の端部に向かって）に延び、互いの距離が中央溝１１から離れる程大きくなるように形成された一対の斜方向溝１２Ｌｒ、１２Ｒｒが形成されている。図１では、中央溝１１の前方及び後方の両方に、一対の斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ及び一対の斜方向溝１２Ｌｒ、１２Ｒｒが形成されているが、いずれかの一対の斜方向溝のみが形成されていてもよい。一対の斜方向溝は、中央溝１１と同様に、圧搾により形成されていることが好ましい。また、一対の斜方向溝は、長手方向中心線ＣＬを対称線として左右対称であると好ましい。

　中央溝１１と一対の斜方向溝との組み合わせにより、Ｙ字形状の溝が形成できるので、このＹ字形状の溝を基軸として吸収性物品１を変形させて、装着者の身体の形状に適合した三次元的な変形が可能となる。例えば、中央溝１１と前方の一対の斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆとの組合せであるＹ字形状の溝によれば、一対の斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ間の領域を、装着者の身体の前方の面（恥骨付近の面）の丸みに沿ってフィットさせることができ、且つ股間に対応させる領域では、中央溝１１に沿って非肌側へと窪む窪みが形成されて、体液を良好に受け止め、拡散させることができる。同様に、中央溝１１と後方の一対の斜方向溝１２Ｌｒ、１２Ｒｒとの組合せであるＹ字形状の溝によれば、装着者の身体の後方の面（臀部付近の面）に沿わせることができ、且つ股間に対応させる領域で、体液を良好に受け止め、拡散させることができる。よって、吸収性物品１のフィット性が向上し、体液の漏れを防ぐ効果を高められる。

　なお、一対の斜方向溝（一対の斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ及び／又は一対の斜方向溝１２Ｌｒ、１２Ｒｒ）は中央溝１１と連続していてもよいし連続していなくてもよいが、連続していることで、中央溝１１と一対の斜方向溝とでより明確なＹ字状を確実に形成できるので、装着者の身体の形状に適合した三次元的変形が可能になるという上記効果を向上させることができる。

　一対の斜方向溝（一対の斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ及び／又は一対の斜方向溝１２Ｌｒ、１２Ｒｒ）内にはそれぞれ、高圧搾部２５（２０）が形成されていてよい。高圧搾部２５は、各斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ、１２Ｌｒ、１２Ｒｒにおいて、それぞれの延在方向に不連続に形成されている。斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ、１２Ｌｒ、１２Ｒｒ内にも高圧搾部２５が形成されていることで、斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ、１２Ｌｒ、１２Ｒｒに適度な剛性を付与でき、各溝が補強されるので、装着時に吸収性物品１が変形した場合でも斜方向溝が潰れにくくなる。

　このように、本形態では、中央溝１１内に形成されている高圧搾部２１、２２も、斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ、１２Ｌｒ、１２Ｒｒ内に形成されている高圧搾部２５も共に、長手方向Ｄ１に不連続となっている。この構成は、中央溝１１内の高圧搾部２１、２２、又は斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ、１２Ｌｒ、１２Ｒｒ内の高圧搾部２５を長手方向Ｄ１に連続させた場合に対し、以下のような利点を有する。例えば、中央溝１１内の高圧搾部２１、２２のいずれかを長手方向Ｄ１に連続させて形成した場合には、圧搾の圧力によっては、中央溝１１の底部が長手方向Ｄ１に連続して過度に硬く押し固められることがある。その場合に装着時に脚等から強い力が掛かると、高圧搾部と低圧搾部との境界で損傷する可能性（例えばトップシート３又は吸収体４が切れる可能性）があり、そのような可能性を低減するために、圧搾時の圧力を小さくすることがある。しかしながら、圧搾の圧を小さくすると、連続していない高圧搾部が十分に形成されず、高圧搾部としての機能を成さないことがある。これに対し、中央溝１１内の高圧搾部２１、２２と、斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ、１２Ｌｒ、１２Ｒｒ内の高圧搾部２５とを共に、長手方向Ｄ１に不連続に形成することで、吸収性物品１の損傷も防ぎつつ、高圧搾部を確実に形成することができる。

　なお、図１に示すように、斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ、１２Ｌｒ、１２Ｒｒ内の高圧搾部２５における各高圧搾部区分の平面視形状は、円形又は楕円形であると好ましい。高圧搾部区分の平面視形状を角のない形状とすることで、高圧搾部区分自体の剛性がやや小さくなるので、斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ、１２Ｌｒ、１２Ｒｒの柔軟性が向上する。斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ、１２Ｌｒ、１２Ｒｒが形成されている前方領域Ｆ及び後方領域Ｒは、中間領域Ｍに比べて身体により密に密着させるので、斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ、１２Ｌｒ、１２Ｒｒ及びその周囲の柔軟性が高いことによって、装着感が向上する。

　また、斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ、１２Ｌｒ、１２Ｒｒ内の高圧搾部２５における各高圧搾部区分の平面視面積は、中央溝１１における高圧搾部区分同士の間隔と同様とすることができる。斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆ、１２Ｌｒ、１２Ｒｒ内の高圧搾部２５における各高圧搾部区分同士の間隔（斜方向溝の延在方向に沿った間隔）ｄ３（図３）も、中央溝１１における高圧搾部区分同士の間隔と同様とすることができ、好ましくは１～２ｍｍ、より好ましくは１．５～１．８ｍｍであってよい。この構成は、溝形成工程において、斜方向溝と中央溝とでの高圧搾部の深さの隔たりを小さくすることに寄与する。

　［第２実施形態］
　図８に、第１実施形態による吸収性物品１０１を示す。図８は、図１に対応する図であり、肌側から見た平面図である。また、図９に、図８に示す吸収性物品１０１における中央溝１１の部分的な拡大図を示す。

　吸収性物品１０１の基本的な構成は、吸収性物品１（図１）と同様である。図８及び図９に示すように、本実施形態においても、中央溝１１内に、長手方向Ｄ１に延在する第１仮想波線ＷＬ１に沿った不連続な第１高圧搾部１２１と、第１仮想波線と交差する長手方向Ｄ１に延在する第２仮想波線ＷＬ２に沿った不連続な第２高圧搾部１２２とが形成されている。このため、中央溝１１の領域が長手方向Ｄ１に連続して過度に硬くなることを防止できる。よって、吸収性物品１０１の長手方向の曲げが容易になり、吸収性物品１０１を、装着者の身体の前後方向の形状に沿って自然に湾曲させることができる。また、第１実施形態と同様に、第１仮想波線ＷＬ１と第２仮想波線ＷＬ２とは、長手方向中心線ＣＬを対称線として線対称に形成されているので、中央溝１１が潰れにくくなっている。したがって、中央溝１１を横方向に潰れにくくできる効果を維持しつつ、吸収性物品の身体へのフィット性を向上できる。さらに、第１実施形態と同様に、中央溝１１の前方に形成された一対の斜方向溝１２Ｌｆ、１２Ｒｆと、中央溝１１の後方に形成された一対の斜方向溝１２Ｌｒ、１２Ｒｒとが設けられ、これらの斜方向溝内にはそれぞれ、高圧搾部１２５（２０）が形成されていてよい。

　本実施形態は、溝内に形成された高圧搾部２０が異なる点で、第１実施形態（吸収性物品１）と異なっている。より具体的には、第１高圧搾部１２１に含まれる第１高圧搾部区分１３１Ａ、１３１Ｂ、…、及び第２高圧搾部１２２に含まれる第２高圧搾部区分１３２Ａ、１３２Ｂ、…はそれぞれ、平面視で円形となっている。このように、本発明の実施形態においては、高圧搾部区分（第１高圧搾部及び／又は第２高圧搾部）の形状は、角を有する形状（図３～図５）に限られず、円形、楕円形等であってよい。高圧搾部区分の平面視形状を円形等の角のない形状とした場合、角のある平面視形状を有する高圧搾部区分を含む高圧搾部に比べて柔軟性が高まるので、装着感を向上させるという観点では好ましい。

　図示の例では、第１高圧搾部１２１に含まれる第１高圧搾部区分１３１Ａ、１３１Ｂ、…と、第２高圧搾部１２２に含まれる第２高圧搾部区分１３２Ａ、１３２Ｂ、…とは、長手方向Ｄ１にずれて配置されている。本明細書において、第１高圧搾部区分の位置と第２高圧搾部区分の位置とが長手方向Ｄ１にずれているとは、第１高圧搾部区分と第２高圧搾部区分とで、前端及び／若しくは後端の位置が長手方向Ｄ１で揃っていないか、且つ／又は長手方向Ｄ１の中央の位置が長手方向Ｄ１で揃っていないことを指す。図８及び図９に示す例では、第１高圧搾部区分１３１Ａ、１３１Ｂ、…と、第２高圧搾部１２２に含まれる第２高圧搾部区分１３２Ａ、１３２Ｂ、…とで、長手方向Ｄ１の両端縁の位置も、長手方向Ｄ１の中央の位置も、長手方向Ｄ１で揃っていない。

　上述のような１高圧搾部区分１３１Ａ、１３１Ｂ、…と、第２高圧搾部１２２に含まれる第２高圧搾部区分１３２Ａ、１３２Ｂ、…との配置は、製造時に高圧搾部を形成する際に有利となる。高圧搾部は、例えば、横方向Ｄ２に沿った軸を有する一対のロール間に吸収性物品を長手方向Ｄ１に通過させることによって形成でき、その場合、一回の通過で、第１高圧搾部１２１と第２高圧搾部１２２とを共に形成できる。その際、第１高圧搾部区分と第２高圧搾部区分との長手方向Ｄ１の位置がずれていれば、どちらかの高圧搾部区分が主として圧搾される、或いはどちらかの高圧搾部区分のみが圧搾されるので、ロールの圧が分散することなく、１つの高圧搾部区分をより確実に明確な輪郭で形成できる。

　さらに、１高圧搾部１２１に含まれる第１高圧搾部区分１３１Ａ、１３１Ｂ、…と、第２高圧搾部１２２に含まれる第２高圧搾部区分１３２Ａ、１３２Ｂ、…とは、長手方向Ｄ１で互い違いに配置されていると好ましい。

　以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。また、上記実施形態は、特許請求の範囲に記載された範囲内において、様々な変更、修正、置換、付加、削除、及び組合せ等が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に属する。よって、本明細書において説明した一の特徴は、別の特徴と組み合せることもできる。例えば、第２実施形態における中央溝２１１の構成を、図１に示す吸収性物品１の中央溝１１に代えて適用することができる。

　さらに以下、本発明の具体的な態様を記載する。

　（付記１）
　付記１に係る態様は、透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に設けられた吸収体とを備え、長手方向と前記長手方向に直交する横方向とを有する吸収性物品であって、前記トップシートから前記バックシートへ向かって凹む、長手方向に沿って延在する中央溝を備え、平面視で前記中央溝内に高圧搾部が形成され、前記高圧搾部が、前記長手方向に延在する第１仮想波線に沿った不連続な第１高圧搾部と、前記第１仮想波線と交差する前記長手方向に延在する第２仮想波線に沿った不連続な第２高圧搾部とを含み、前記第１仮想波線と前記第２仮想波線とは、前記吸収性物品の前記長手方向に沿って延びる長手方向中心線を対称線として線対称となっている。

　上記付記１に係る態様では、溝を補強する高圧搾部が、長手方向に延在する第１仮想波線に沿った第１高圧搾部と、第１仮想波線と交差する長手方向に延在する第２仮想波線に沿った第２高圧搾部とを含む。このように、高圧搾部が、長手方向に延在する仮想波線に沿って形成されていることで、中央溝が横方向の両側から力を受けた場合に、その力を仮想波線に沿って長手方向に伝搬させやすくなり、中央溝１１が潰れにくくなっている。

　また、第１高圧搾部及び第２高圧搾部はいずれも長手方向に沿って不連続に形成されているので、中央溝の領域内の部分が長手方向に連続して過度に硬くなることを防止できる。そのため、吸収性物品の長手方向の曲げが容易になり、吸収性物品を、装着者の身体の前後方向の形状（恥骨付近から股下を通って臀部まで続く形状）に沿って自然に湾曲させることができる。すなわち、中央溝を横方向に潰れにくくできる効果を維持しつつ、吸収性物品の身体へのフィット性も向上させることができる。

　さらに、第１高圧搾部が沿って形成されている第１仮想波線と、第２高圧搾部が沿って形成されている第２仮想波線とが、長手方向中心線を対称線として線対称に形成されている。そのため、高圧搾部の配置若しくは高圧搾部の全体的な形状は、第１高圧搾部と第２高圧搾部とで線対称となり、吸収性物品の横方向の両側から脚の力が掛かった場合に、高圧搾部にて生じる長手方向での応力分布を横方向の両側でおおよそ対称にでき、溝の歪みを防止できる。

　　（付記２）
　付記２に係る態様では、前記第１高圧搾部が、前記長手方向に離間した複数の第１高圧搾部区分から形成され、前記第２高圧搾部が、前記長手方向に離間した複数の第２高圧搾部区分から形成され、隣り合う、前記第１仮想波線と前記第２仮想波線との交差点の間において、前記第１高圧搾部区分及び第２高圧搾部区分がそれぞれ２～５個配置されている。

　上記付記２に係る態様によれば、第１高圧搾部の不連続部分及び第２高圧搾部の不連続部分の数を長手方向に沿った適切な数として、溝が形成されている部分がより滑らに長手方向に湾曲でき、吸収性物品の身体へのフィット性を高めることができる

　　（付記３）
　付記３に係る態様では、前記交差点に高圧搾部が配置されていない。

　上記付記３に係る態様によれば、高圧搾部の密集を回避して、溝内に過度に硬い部分が形成されることを防止できる。

　　（付記４）
　付記４に係るの態様では、少なくとも前記第１高圧搾部区分の端縁が、前記長手方向に直交する横方向に平行な辺を有する。

　上記付記４に係る態様においては、高圧搾部区分の端縁が横方向に平行になっているので、中央溝に横方向外側から力が掛かっても高圧搾部自体の向き等が変わりにくい。そのため、高圧搾部区分間の領域（低圧搾部）が捩れたり歪んだりする可能性を低減できる。これにより、中央溝全体の歪みを防止でき、ひいては中央溝を潰れにくくするという上記効果を向上できる。

　（付記５）
　付記５に係る態様では、前記横方向に並ぶ前記第１高圧搾部区分の一端縁と前記第２高圧搾部区分の一端縁とが、前記横方向に沿った共通の直線上に位置している。

　上記付記５に係る態様によれば、第１高圧搾部と第２高圧搾部とで、高圧搾部区分の端縁の位置が長手方向で見て揃っている。すなわち、高圧搾部区分のない非連続部の位置が長手方向で見て揃っている。このため、吸収性物品を長手方向に湾曲させるための横方向に沿った曲げの基軸が形成されやすくなり、長手方向の湾曲が容易になるので、吸収性物品の身体へのフィット性をより一層向上できる。

　（付記６）
　付記６に係る態様では、前記長手方向で見て、前記第１高圧搾部区分の位置と前記第２高圧搾部区分の位置とがずれている。

　上記付記６に係る態様によれば、吸収性物品の製造時に長手方向に沿って高圧搾部を形成する際、圧搾のための押付力が第１高圧搾部区分と第２高圧搾部区分とで横方向に分散されにくくなる。そのため、高い圧力を掛けなくとも、第１高圧搾部の第１高圧搾部区分と第２高圧搾部の第２高圧搾部区分とをそれぞれ確実に形成できる。

　（付記７）
　付記７に係るの態様では、前記中央溝の前記長手方向の少なくとも一方の端部から前記長手方向外方に延び、互いの距離が前記中央溝から離れる程大きくなるように形成された一対の斜方向溝をさらに備え、前記一対の斜方向溝内に不連続な高圧搾部が形成されている。

　上記付記７に係る態様によれば、中央溝と一対の斜方向溝とで、Ｙ字形状を形成することができる。このＹ字形状の溝を基軸として吸収性物品を変形させやすくなり、装着者の身体の形状に沿った三次元的な変形が可能となる。例えば、中央溝が非肌側に窪み、中央溝の両側部は身体に密着し、さらに中央溝よりも前方の領域を身体の前方の面に密着させる、又は中央溝よりも後方の領域を身体の後方の面に密着させることができる。これにより、多量の体液が一気に排出された場合であっても、長手方向及び横方向の外側への漏れを防止できる。

　本出願は、２０２２年１月２７日に出願された日本国特許出願２０２２－０１１１３０号に基づく優先権を主張するものであり、その全内容をここに援用する。

１、１０１　吸収性物品
２　バックシート
３　トップシート
４　吸収体
７　サイドシート
１１　中央溝
１４　非圧搾部
２０　高圧搾部
２１、１２１　第１高圧搾部
３１Ａ、３１Ｂ、３１Ｃ、３１Ｄ、…、１３１Ａ、１３１Ｂ、…　第１高圧搾部区分
２２、１２２　第２高圧搾部
３２Ａ、３２Ｂ、３２Ｃ、３２Ｄ…、１３２Ａ、１３２Ｂ、…　第２高圧搾部区分
１２Ｌｆ、１２Ｒｆ、１２Ｌｒ、１２Ｒｒ　斜方向溝
ＣＬ　長手方向中心線
Ｄ１　長手方向
Ｄ２　横方向
Ｆ　前方領域
ＩＰ　仮想波線の交差点
Ｍ　中間領域
Ｒ　後方領域
Ｑ　体液排出口対向領域
ＷＬ１　第１仮想波線
ＷＬ２　第２仮想波線

Claims

　透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に設けられた吸収体とを備え、長手方向と前記長手方向に直交する横方向とを有する吸収性物品であって、
　前記トップシートから前記バックシートへ向かって凹む、前記長手方向に沿って延在する中央溝を備え、
　平面視で前記中央溝内に高圧搾部が形成され、
　前記高圧搾部が、前記長手方向に延在する第１仮想波線に沿った不連続な第１高圧搾部と、前記第１仮想波線と交差する前記長手方向に延在する第２仮想波線に沿った不連続な第２高圧搾部とを含み、
　前記第１仮想波線と前記第２仮想波線とは、前記吸収性物品の前記長手方向に沿って延びる長手方向中心線を対称線として線対称となっている、吸収性物品。
　前記第１高圧搾部が、前記長手方向に離間した複数の第１高圧搾部区分から形成され、
　前記第２高圧搾部が、前記長手方向に離間した複数の第２高圧搾部区分から形成され、
　隣り合う、前記第１仮想波線と前記第２仮想波線との交差点の間において、前記第１高圧搾部区分及び第２高圧搾部区分がそれぞれ２～５個配置されている、請求項１に記載の吸収性物品。
　前記交差点に高圧搾部が配置されていない、請求項２に記載の吸収性物品。
　少なくとも前記第１高圧搾部区分の端縁が、前記長手方向に直交する横方向に平行な辺を有する、請求項２又は３に記載の吸収性物品。
　前記横方向に並ぶ前記第１高圧搾部区分の一端縁と前記第２高圧搾部区分の一端縁とが、前記横方向に沿った共通の直線上に位置している、請求項４に記載の吸収性物品。
　前記長手方向で見て、前記第１高圧搾部区分の位置と前記第２高圧搾部区分の位置とがずれている、請求項２又は３に記載の吸収性物品。
　前記中央溝の前記長手方向の少なくとも一方の端部から前記長手方向外方に延び、互いの距離が前記中央溝から離れる程大きくなるように形成された一対の斜方向溝をさらに備え、
　前記一対の斜方向溝内に不連続な高圧搾部が形成されている、請求項１から６のいずれか一項に記載の吸収性物品。