WO2023145008A1

WO2023145008A1 - 気密端子

Info

Publication number: WO2023145008A1
Application number: PCT/JP2022/003363
Authority: WO
Inventors: 寛村田; 孝史戸田; 伸夫弓川
Original assignee: 株式会社生方製作所
Priority date: 2022-01-28
Filing date: 2022-01-28
Publication date: 2023-08-03
Also published as: JPWO2023145008A1

Abstract

気密端子（１）は、複数の貫通穴（１２）が形成された金属基板（１０）と、各貫通穴に通された複数の導電端子と、電気絶縁性を有し貫通穴と導電端子との間に充填されて貫通穴と導電端子との間を封着するガラス充填材（３０）と、電気絶縁性及び弾性を有する材料で構成され、内側に導電端子が通されて導電端子の周囲を覆う保護部材（６０）と、導電端子又はガラス充填材に設けられた係止部（２、３）と、を備える。保護部材は、保護部材のうち金属基板側とは反対側に設けられて導電端子の外径よりも小さい内径に形成されて導電端子を保持する保持部（６３）と、保持部に対して金属基板側に設けられ保護部材が導電端子に装着された場合に金属基板又はガラス充填材のいずれか一方又は両方に接して圧縮される方向へ弾性変形可能な変形部（６２１）と、保護部材が導電端子に装着された場合に係止部に接触して保護部材が金属基板側へ移動することを規制する規制部（６５）と、を有している。

Description

気密端子

　本発明の実施形態は、気密端子に関する。

　気密端子は、金属基板に導電端子を通して構成されている。そして、金属基板と導電端子との間の隙間には、電気絶縁性を有するガラス充填材が充填されて、気密状態に封着されている。このような気密端子の適用先としては、例えば電気自動車用の電動圧縮機等がある。従来、電気自動車用の電動圧縮機は、例えば３００Ｖ～６００Ｖの高電圧で駆動するものが主流であったが、近年、例えば４８Ｖの低電圧で駆動するものも出回り始めている。低電圧駆動の電動圧縮機の場合、気密端子に掛かる電圧が低い。このため、導電端子と金属基板との間の絶縁距離を短くできる、つまり金属基板と導電端子との間の隙間を小さくすることができ、これにより気密端子を小型化することができる。

　しかしながら、金属基板と導電端子との絶縁距離が短くなると、導電性異物の堆積による絶縁不良が問題となる。すなわち、例えばガラス充填材の表面に導電性を有する異物が付着し堆積すると、その堆積した異物によって金属基板と導電端子との間が導通してしまい、絶縁不良を起こすことが懸念される。

特開２０１９－２１２４１８号公報

　本実施形態は上記した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、気密端子の絶縁不良の要因となる導電性異物が導電端子の周辺に付着し堆積することを抑制することができる気密端子を提供することにある。

　実施形態の気密端子は、複数の貫通穴が形成された金属基板と、各前記貫通穴に通された複数の導電端子と、電気絶縁性を有し前記貫通穴と前記導電端子との間に充填されて前記貫通穴と前記導電端子との間を封着するガラス充填材と、電気絶縁性及び弾性を有する材料で構成され、内側に前記導電端子が通されて前記導電端子の周囲を覆う保護部材と、前記導電端子又は前記ガラス充填材に設けられた係止部と、を備える。前記保護部材は、前記保護部材のうち前記金属基板側とは反対側に設けられて前記導電端子の外径よりも小さい内径に形成されて前記導電端子を保持する保持部と、前記保持部に対して前記金属基板側に設けられ前記保護部材が前記導電端子に装着された場合に前記金属基板又は前記ガラス充填材のいずれか一方又は両方に接して圧縮される方向へ弾性変形可能な変形部と、前記保護部材が前記導電端子に装着された場合に前記係止部に接触して前記保護部材が前記金属基板側へ移動することを規制する規制部と、を有している。

第１実施形態による気密端子の一例を示す正面図第１実施形態による気密端子の一例を示す平面図第１実施形態による気密端子の一例について断面を拡大して示す図第１実施形態による気密端子が備える導電端子の一例を示す断面図第１実施形態による気密端子について、図３に示した図よりも更に拡大して示す断面図で、保護部材が導電端子に装着されてない状態を示す図。第１実施形態による気密端子について、図３に示した図よりも更に拡大して示す断面図で、保護部材が導電端子に装着された状態を示す図。第２実施形態による気密端子の一例について断面を拡大して示す図第２実施形態による気密端子について、図７に示した図よりも更に拡大して示す断面図で、保護部材が導電端子に装着されてない状態を示す図。第１実施形態による気密端子について、図７に示した図よりも更に拡大して示す断面図で、保護部材が導電端子に装着された状態を示す図。他の実施形態による気密端子の一例を示す平面図

　以下、気密端子の複数の例について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態において同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。

　（第１実施形態）
　第１実施形態について図１から図６を参照しながら説明する。図１から図３に示す気密端子１は、例えば電気自動車用の電動圧縮機に取り付けて利用される。なお、本実施形態の気密端子１は、例えば低電圧駆動の電動圧縮機により適しているが、高電圧駆動の電動圧縮機や、電動圧縮機以外の電気機器にも用いることができる。

　図１から図３に示すように、気密端子１は、金属基板１０、接続端子２０、ガラス充填材３０、絶縁部材４０、導電端子５０、及び保護部材６０を備えている。金属基板１０は、気密端子１の土台となる部材であり、電動圧縮機等の取付対象に取り付けるための部材である。金属基板１０は、炭素鋼やステンレス等の金属製であって、例えば板状の部材を含んで構成されている。本実施形態の場合、金属基板１０は、全体として平坦な板状に形成されている。なお、金属基板１０は、後述する貫通穴１２及び取付穴１３の周辺が平坦であればよく、全体的に平坦な板状である必要はない。

　金属基板１０は、図２に示すように、平面視で金属基板１０の中心Ｐ０に対して点対称に形成されている。金属基板１０は、例えば平面方向の一方向に長く、かつ、長手方向の両端部が金属基板１０の幅方向において相互に逆方向へ膨出した２つの膨出部１１を有する形状に形成されている。金属基板１０は、複数の貫通穴１２及び複数の取付穴１３を有している。貫通穴１２の数は、導電端子５０の数に対応している。そして、貫通穴１２及び導電端子５０の数は、気密端子１が取り付けられる電気機器に応じて調整される。本実施形態の場合、金属基板１０は、２つの取付穴１３及び３つの貫通穴１２を有している。

　貫通穴１２は、金属基板１０を厚み方向に円形に貫いて形成されている。貫通穴１２は、導電端子５０を通すためのものである。本実施形態の場合、３つの貫通穴１２は、図２に示すように、金属基板１０の長手方向に沿って直線上に並んで配置されている。この場合、３つの貫通穴１２は、金属基板１０の幅方向の中心を通りかつ金属基板１０の長手方向に延びる中心線Ｊ１上に沿って配置されている。

　取付穴１３は、気密端子１を取付対象に取り付ける際に用いるものである。取付穴１３は、例えば金属基板１０を貫いて形成されている。例えば図示しないねじ等の締結部材が、取付穴１３を通して取付対象となる電気機器にねじ込まれる。これにより気密端子１の金属基板１０は、取付対象に固定される。本実施形態の場合、取付穴１３は、膨出部１１に形成されている。２つの取付穴１３は、各貫通穴１２を結ぶ直線Ｊ１に対してずれた位置、つまり２つの取付穴１３を結ぶ直線Ｊ２が直線Ｊ１と交差する位置に配置されている。この場合、２つの取付穴１３を結ぶ直線Ｊ２は、金属基板１０の中心Ｐ０を通るように設定されている。

　気密端子１を取り付け対象に取り付けた場合、接続端子２０は、取り付け対象の容器の外側に位置する。接続端子２０は、図３に二点鎖線で示す回路基板やバスバー等の外部部品９１と、導電端子５０とを電気的に接続する機能を有する。接続端子２０は、例えば金属板をＬ字状に直角方向に曲げて形成されている。接続端子２０は、鋼板、銅合金、鋼板と銅又は銅合金の複合材等の金属板で構成されている。接続端子２０は、例えば銅板の両面を鉄板で挟んで構成された低抵抗のクラッド材で構成することができる。

　接続端子２０のうちＬ字形状の屈曲部分を挟んだ一方側の面２０１は、導電端子５０の外周面に溶接やろう付け等によって電気的及び物理的に接続されている。また、接続端子２０のうちＬ字形状の屈曲部分を挟んだ他方側の面２０２は、外部部品９１にねじ止め、溶接、ろう付け等によって電気的及び物理的に接続される。この場合、接続端子２０のうち外部部品９１と接触する面２０２は、導電端子５０の端部よりも金属基板１０から離れた位置に設けられている。すなわち、導電端子５０の延伸方向つまり導電端子５０の軸方向に見た場合に、接続端子２０は、導電端子５０の端部よりも更に金属基板１０から離れた位置で外部部品９１に接続されている。

　また、本実施形態の場合、接続端子２０は、図３に示すように、弾性部２１を有している。弾性部２１は、接続端子２０のうち導電端子５０に接続される領域２０１と外部部品９１に接続される領域２０２との間に位置しており、接続端子２０において他の領域２０１、２０２に比べて弾性変形し易く構成されている。本実施形態の場合、弾性部２１は、接続端子２０のうち導電端子５０に接続される領域２０１と外部部品９１に接続される領域２０２との間に位置してほぼ直角に折り曲げられた部分である。弾性部２１は、外部部品９１と導電端子５０との間で伝わるひずみや振動を吸収し緩和する機能を有する。

　ガラス充填材３０は、例えばソーダバリウムガラス等の電気絶縁性を有する軟質ガラスで構成することができる。ガラス充填材３０は、金属基板１０の貫通穴１２と導電端子５０との間に充填されて固化することで、貫通穴１２の内径部分と導電端子５０の外径部分との間を封着している。これにより、ガラス充填材３０は、導電端子５０の周囲を気密状態で封止するとともに、導電端子５０と金属基板１０とを絶縁した状態で導電端子５０を支持固定する。

　絶縁部材４０は、電気絶縁性及び剛性を有する部材、例えばエンジニアリングプラスチックやセラミックス等で構成されている。絶縁部材４０は、金属基板１０のうち、気密端子１が電動圧縮機等に取り付けられた場合に圧縮機容器の外側となる位置に設けられている。絶縁部材４０は、いわゆる段付きのフランジ形状に形成されている。絶縁部材４０の内側には、導電端子５０が通されている。また、絶縁部材４０は、絶縁部材４０の一部が貫通穴１２に入り込んでいるとともに、ガラス充填材３０の外側表面及び金属基板１０における貫通穴１２の周囲を覆っている。

　導電端子５０は、導電性を有する金属材料によって全体として円柱棒状に構成されている。導電端子５０は、貫通穴１２に通されて金属基板１０を厚み方向に貫いている。導電端子５０と金属基板１０とは、ガラス充填材３０によって絶縁されている。導電端子５０は、気密端子１が取り付けられた密閉容器の内部と外部とを電気的に接続する機能を有する。導電端子５０のうち電動圧縮機の外部側の端部には上述した外部部品９１が接続される。また、導電端子５０のうち電動圧縮機の内部側の端部は、例えばリセプタクル端子９２に挿入される。リセプタクル端子９２は、例えば電動圧縮機のモータ巻き線等に接続されている。

　導電端子５０は、図４にも示すように、異なる外径の大径部５１及び小径部５２を有することで、段差部５３を有するいわゆる段付きの円柱棒状に形成されている。大径部５１は、図３に示すように、ガラス充填材３０に覆われた領域を含んで構成されている。大径部５１は、気密端子１が取付対象に取り付けられた場合に、導電端子５０のうち取付対象の外部に露出する部分を含んでいる。すなわち、導電端子５０のうち外部部品９１が取り付けられる部分は、大径部５１に形成されている。また、小径部５２は、気密端子１が取付対象に取り付けられた場合に、導電端子５０のうち取付対象の内部に位置する部分を含んでいる。すなわち、導電端子５０のうちリセプタクル端子９２に挿入される部分は、小径部５２に形成されている。

　図４にも示すように、小径部５２の外径Ｄａ２は、大径部５１の外径Ｄａ１よりも小さく設定されている。大径部５１の外径Ｄａ１は、例えば４．６ｍｍ～６．０ｍｍの範囲内に設定することができる。この場合、小径部５２の外径Ｄａ２は、３．０ｍｍ～３．４ｍｍの範囲内に設定することができる。

　また、導電端子５０は、抜け止め部５４を更に有している。抜け止め部５４は、導電端子５０に装着された保護部材６０が、導電端子５０から抜け落ちることを抑制する機能を有する。抜け止め部５４は、小径部５２の全長の途中部分に設けられている。抜け止め部５４は、図３に示すように、保護部材６０に対して金属基板１０とは反対側すなわち導電端子５０の先端側に設けられており、導電端子５０の径方向の外側へ突出して形成されている。抜け止め部５４は、小径部５２と継ぎ目の無い一体構造としても良い。また、抜け止め部５４は、例えば小径部５２とは別に構成された円環状の部材を、溶接等により小径部５２に固定した構成としても良い。

　導電端子５０は、銅を芯材にした複合材で構成されている。本実施形態の場合、導電端子５０は、芯材５０１と外皮材５０２とを有して構成されている。芯材５０１は、導電端子５０の径方向の中心に設けられている。芯材５０１は、外皮材５０２よりも電気抵抗が小さい部材、例えば無酸素銅等で構成されている。図４に示すように、芯材５０１の外径Ｅは導電端子５０の全長に亘って一定となっている。

　外皮材５０２は、導電端子５０の径方向の外側に位置しており、芯材５０１の周囲を覆って導電端子５０の外側面を構成している。外皮材５０２は、芯材５０１に比べて電気抵抗は大きいが外皮材５０２に比べて強度つまり剛性や耐熱性が高く、めっき加工性や溶接作業性等に優れる部材で構成されている。また、外皮材５０２は、熱膨張係数がガラス充填材３０と同等、もしくはガラス充填材３０と芯材５０１との間の値となる部材で構成されている。外皮材５０２は、例えばFe-Ni合金やFe-Cr合金等で構成することができる。

　小径部５２、段差部５３、及び抜け止め部５４は、例えば外径Ｄａ１で一定の円柱棒状の部材から、図４の二点鎖線部分で示す部分の外皮材５０２を切削して除去することで製造することができる。この場合、外皮材５０２は、大径部５１における厚みｔ１よりも小径部５２における厚みｔ２の方が薄い。換言すると、大径部５１における外皮材５０２の厚み寸法ｔ１は、小径部５２における外皮材５０２の厚み寸法ｔ２よりも大きい。

　ここで、導電端子５０の周囲をガラス充填材３０によって封着する際、ガラス充填材３０の温度は９００℃から１０００℃程度に達する。そのため、例えば導電端子５０が外皮材５０２を有さない構成つまり芯材５０１のみの構成とした場合、冷却時に芯材５０１とガラス充填材３０との膨張係数の差によって接合界面に隙間が生じることが懸念される。そして、このような隙間は、気密端子１に気密不良を起こす原因となる。そのため、本実施形態の導電端子５０は、外皮材５０２を有している。外皮材５０２は、芯材５０１とガラス充填材３０との膨張係数の差を緩和する緩衝部材として機能する。また、芯材５０１の外径Ｅは、大径部５１の外径Ｄａ１の５０％未満に設定されている。これにより、芯材５０１とガラス充填材３０との膨張係数の差を十分に緩和できるようにすることができる。

　この場合、芯材５０１の外径Ｅは、大径部５１の外径Ｄａ１の４２％以下であることが好ましい。また、大径部５１における外皮材５０２の厚み寸法ｔ１は、小径部５２における外皮材５０２の厚み寸法ｔ２の２倍以上に設定されている。そして、大径部５１における外皮材５０２の厚み寸法ｔ１は１ｍｍ以上に設定されており、小径部５２における外皮材５０２の厚み寸法ｔ２は、０．５ｍｍ以上に設定されている。

　気密端子１は、係止部２を更に備えている。係止部２は、ガラス充填材３０又は導電端子５０に設けられており、保護部材６０に係止して保護部材６０の位置を規定する機能を有する。本実施形態の場合、係止部２は、導電端子５０の大径部５１と小径部５２との境界部分に形成された段差部５３で構成されている。

　保護部材６０は、電気絶縁性及び弾性を有する材料、例えば水素化ニトリルゴム等のゴム材で構成されている。保護部材６０は、導電端子５０のうち取付け対象の圧縮機容器の内部側となる部分に着脱可能に取り付けられている。保護部材６０は、全体として筒状に形成されており、筒状の内側に導電端子５０が通されて導電端子５０の周囲を覆っている。保護部材６０のうち金属基板１０側の端部は金属基板１０又はガラス充填材３０に密着する。保護部材６０は、冷媒や潤滑油に含まれる圧縮機構の摩耗などで生じた金属粉等の導電性異物がガラス充填材３０の表面における導電端子５０の周囲に侵入することを抑制する機能を有する。すなわち、保護部材６０は、導電性異物の堆積による絶縁不良から気密端子１を保護する機能を有する。

　図５にも示すように、保護部材６０は、全体として段付きの円筒形状に形成されている。保護部材６０は、先端部６１及び基端部６２を有している。先端部６１は、保護部材６０のうち金属基板１０とは反対側に位置する部分である。基端部６２は、保護部材６０のうち金属基板１０側に位置する部分である。先端部６１の外径Ｄｂ１は、基端部６２の外径Ｄｂ２よりも小さい。保護部材６０は、先端部６１と基端部６２との外径の差によって全体として段付きの円筒形状に形成されている。

　また、保護部材６０は、保持部６３、非接触部６４、規制部６５、及び受け部６６を有している。保持部６３、非接触部６４、及び規制部６５は、保護部材６０の筒状の内側に設けられている。保持部６３は、保護部材６０のうち金属基板１０側とは反対側、すなわち規制部６５に対して金属基板１０とは反対側に設けられている。保持部６３は、先端部６１の内側の全域と基端部６２の内側の一部に亘って設けられている。保持部６３の内径ｄ１は、導電端子５０の外径、この場合、小径部５２の外径Ｄａ２よりも小さい。また、保持部６３の内側面には、複数の凹凸形状又は溝形状が形成されている。これにより、保護部材６０が導電端子５０に装着された場合に、保持部６３は、導電端子５０の小径部５２を締め付けて保持する。

　非接触部６４は、基端部６２の内側部分に設けられており、保持部６３に繋がる円筒形状に形成されている。非接触部６４の内径ｄ２は、保持部６３の内径ｄ１よりも大きく、かつ導電端子５０の外径、この場合、大径部５１の外径Ｄａ１よりも大きい。そのため、保護部材６０が導電端子５０に装着された場合、非接触部６４の内側面は、導電端子５０の外側面に接触せずに、非接触部６４と導電端子５０との間に隙間Ｓ１が形成されている。

　規制部６５は、保持部６３に対して金属基板１０側に設けられている。規制部６５は、保護部材６０が導電端子５０に装着された場合に係止部２に接触して保護部材６０が金属基板１０側へ移動することを規制する機能を有する。本実施形態の場合、規制部６５は、非接触部６４の底部分、すなわち保持部６３と非接触部６４との間に形成された段差部分によって構成されている。

　受け部６６は、保護部材６０の外側に位置しており、先端部６１と基端部６２との外径の差によって形成された段差部分に形成されている。受け部６６は、図３に示すように導電端子５０の小径部５２がリセプタクル端子９２に所定量を超えて挿入されると、リセプタクル端子９２に接触する。これにより、導電端子５０がリセプタクル端子９２に対して過度に挿入されることを抑制できる。

　また、基端部６２は、変形部６２１を含んで構成されている。すなわち、保護部材６０は、変形部６２１を一体に有している。変形部６２１は、保護部材６０において保持部６３に対して金属基板１０側に設けられている。すなわち、変形部６２１は、基端部６２のうち金属基板１０側に位置しており、保護部材６０が導電端子５０に装着された場合に金属基板１０又はガラス充填材３０のいずれか一方又は両方に接触する部分である。

　変形部６２１は、図６に示すように、保護部材６０が導電端子５０に装着されて金属基板１０側へ押し込まれると、主に保護部材６０が圧縮される方向、つまり保護部材６０が金属基板１０に対して押し込まれる方向へ弾性変形する。また、変形部６２１の内径は、導電端子５０の外径、この場合、大径部５１の外径Ｄａ１よりも大きい。また、変形部６２１の内径は、非接触部６４の内径ｄ２よりも大きい。

　本実施形態の場合、変形部６２１は、保護部材６０のうち変形部６２１以外の部分に比べて薄く形成されている。このため、保護部材６０が、保護部材６０の軸方向に圧縮する荷重を受けた場合に、変形部６２１は、保護部材６０のうち変形部６２１以外の部分に比べて弾性変形し易い。換言すると、保護部材６０のうち変形部６２１以外の部分は、保護部材６０の軸方向に圧縮する荷重を受けた場合でも変形し難い。

　変形部６２１は、図５等に示すように、先端部６１側から基端部６２側へ向かうほど導電端子５０の径方向の外側へ向かって広がるような漏斗形状若しくは円錐台形状に形成されている。このため、変形部６２１は、保護部材６０が導電端子５０に装着されて金属基板１０側へ押し込まれると、保護部材６０が圧縮される方向だけでなく、基端部６２の径方向の外側つまり導電端子５０の径方向の外側へ広がるように弾性変形する。これにより保護部材６０が導電端子５０に装着されると、変形部６２１は、金属基板１０又はガラス充填材３０のいずれか一方又は両方に強固に密着する。

　ここで、保護部材６０に荷重が加わっておらず保護部材６０が弾性変形していない場合における保護部材６０の自然長における長さ寸法をＨ１、保持部６３の長さ寸法をＨ２とする。金属基板１０又はガラス充填材３０のうち変形部６２１が接触する部分と抜け止め部５４との間の距離寸法Ｌ１は、保護部材６０の自然長における長さ寸法Ｈ１以下に設定されている。本実施形態の場合、変形部６２１は主に金属基板１０に接触する。そのため、金属基板１０と抜け止め部５４との間の距離寸法Ｌ１は、保護部材６０の自然長における長さ寸法Ｈ１以下に設定されている。また、係止部２と抜け止め部５４との間の距離寸法Ｌ２は、保持部６３の長さ寸法Ｈ２よりも長く設定されている。この場合、図６に示すように、保持部６３が係止部２と抜け止め部５４との間に配置されて、規制部６５が係止部２に接触するまで保護部材６０が金属基板１０側へ押し込まれると、保護部材６０と抜け止め部５４との間に隙間Ｓ２が形成される。

　また、保護部材６０は、溝部６７を更に有する構成とすることができる。溝部６７は、先端部６１と基端部６２との間に設けられている。溝部６７は、先端部６１の外周を囲み、先端部６１と基端部６２との外径の差によって形成された段差部分を変形部６２１側つまり基端部６２側へ掘り下げた溝形状に形成されている。すなわち、この溝部６７によって、受け部６６は、先端部６１の周囲を囲む円環状の凸形状に形成される。

　次に、保護部材６０の着脱の手順について説明する。上記構成において、保護部材６０は、例えばガラス充填材３０による封着を行った後に、導電端子５０に装着される。保護部材６０は、小径部５２の先端側から小径部５２に通されて、金属基板１０側へ押し込まれる。保持部６３が抜け止め部５４を超えると、保持部６３は、係止部２と抜け止め部５４との間に入り込む。これにより、保持部６３は、保持部６３の弾性力によって小径部５２を径方向の内側へ向かって押さえつけて保持する。

　そして、保護部材６０が更に金属基板１０側へ押し込まれると、変形部６２１が、金属基板１０又はガラス充填材３０の一方又は両方に接触して弾性変形する。これにより変形部６２１が、金属基板１０又はガラス充填材３０の一方又は両方に強固に密着する。そして、規制部６５が係止部２に接触すると、金属基板１０側へ向かう保護部材６０の移動が規制される。これにより、金属基板１０及び導電端子５０に対する保護部材６０の位置が定まり、保護部材６０が導電端子５０に装着される。この場合、規制部６５及び係止部２は、変形部６２１の変形量つまり押しつぶし量を規定する。また、保護部材６０を取り外す場合、作業者は、例えば変形部６２１を引っ張って保護部材６０全体を広げることで、導電端子５０から保護部材６０を引き抜くことができる。

　以上説明した実施形態によれば、気密端子１は、金属基板１０、複数の導電端子５０、ガラス充填材３０、保護部材６０、及び係止部２を備えている。金属基板１０は、複数の貫通穴１２が形成されている。導電端子５０は、　各貫通穴１２に通されている。ガラス充填材３０は、電気絶縁性を有し、貫通穴１２と導電端子５０との間に充填されて貫通穴１２と導電端子５０との間を封着している。保護部材６０は、電気絶縁性及び弾性を有する材料で構成されており、内側に導電端子５０が通されて導電端子５０の周囲を覆っている。係止部２は、導電端子５０又はガラス充填材３０のいずれか１つに設けられている。

　また、保護部材６０は、保持部６３及び変形部６２１を有している。保持部６３は、保護部材６０のうち金属基板１０側とは反対側に設けられている。保持部６３は、導電端子５０の外径、この場合、小径部５２の外径Ｄａ２よりも小さい内径に形成されており、導電端子５０を保持する機能を有する。変形部６２１は、金属基板１０側の端部に設けられており、保護部材６０が導電端子５０に装着された場合に金属基板１０又はガラス充填材３０のいずれか一方又は両方に接して圧縮される方向へ弾性変形可能に構成されている。

　これによれば、変形部６２１が金属基板１０又はガラス充填材３０のいずれか一方又は両方に密着して保護部材６０が導電端子５０の周囲を覆うため、気密端子１の絶縁不良の要因となる導電性異物が導電端子５０の周辺に付着し堆積することを抑制することができる。

　ここで、本願発明者は、保護部材６０を導電端子５０に取り付ける際に保護部材６０を金属基板１０側へ押し込み過ぎると、変形部６２１の変形が過度となり、変形部６２１が反転するつまり反り返ってしまうことを発見した。そして、変形部６２１が反り返ってしまうと、金属基板１０又はガラス充填材３０と変形部６２１との間に隙間が生じ、その結果、保護部材６０の内側に異物が入り込み易くなることがある。

　そこで、本実施形態において、保護部材６０は、規制部６５を更に有している。規制部６５は、保護部材６０が導電端子５０に装着された場合に係止部２に接触して保護部材６０が金属基板１０側へ移動することを規制する。これによれば、保護部材６０を導電端子５０に取り付ける際に、保護部材６０を金属基板１０側へ押し込み過ぎて変形部６２１が反り返ってしまうこと抑制できる。これにより、導電端子５０に対して保護部材６０を適切に装着することができる。その結果、本実施形態によれば、導電性異物が導電端子５０の周辺に付着し堆積することを、より確実に抑制することができる。

　保護部材６０は、導電端子５０に着脱可能に構成されている。これによれば、例えば保護部材６０が劣化した場合等において、保護部材６０を簡単に取り換えることができる。

　変形部６２１は、導電端子５０の外径、この場合、大径部５１の外径Ｄａ１よりも大きい内径に形成されている。また、変形部６２１は、保護部材６０が導電端子５０に装着された場合に、導電端子５０の径方向の外側へ広がる方向へ弾性変形可能に構成されている。そのため、本実施形態によれば、金属基板１０又はガラス充填材３０に対して変形部６２１が接触する部分において、変形部６２１をより強固に密着させることができる。これにより、導電性異物が保護部材６０の内側に侵入することを更に効果的に抑制することができる。

　また、保護部材６０は、先端部６１及び基端部６２を有している。先端部６１の外径Ｄｂ１は、基端部６２の外径Ｄｂ２よりも小さく設定されている。先端部６１は、保持部６３を有しており、基端部６２に対して金属基板１０とは反対側に設けられる。また、基端部６２は、変形部６２１を含んで構成されている。

　ここで、保護部材６０を金属基板１０側へ押し付けると、基端部６２に設けられた変形部６２１が変形して金属基板１０に密着する。しかし、変形部６２１の変形が先端部６１の保持部６３に及んで保持部６３の内側が広がると、導電端子５０に対する保持部６３の保持力が低下し、保護部材６０が外れやすくなってしまう。

　そこで、本実施形態の保護部材６０は、溝部６７を更に有している。溝部６７は、先端部６１と基端部６２との間に設けられている。溝部６７は、先端部６１の外周を囲み、先端部６１と基端部６２との外径の差によって形成された段差部分、この場合、受け部６６を形成する面を変形部６２１側へ掘り下げた溝形状に形成されている。

　これによれば、保持部６３を有する先端部６１と変形部６２１を有する基端部６２との間に溝部６７を設けることで、変形部６２１における変形が保持部６３にまで及んでしまうことを抑制できる。その結果、保護部材６０が外れてしまうことをより確実に防ぐことができる。

　導電端子５０は、抜け止め部５４を更に有している。抜け止め部５４は、保護部材６０に対して金属基板１０とは反対側に設けられている。抜け止め部５４は、導電端子５０の径方向の外側へ突出し、保持部の外径よりも大きい外径に形成されている。抜け止め部５４は、導電端子５０に装着された保護部材６０が、振動等を受けて金属基板１０とは反対側つまり小径部５２の先端側へ移動しようとした場合に、保護部材６０に接触して保護部材６０の更なる移動を規制する。

　すなわち、抜け止め部５４は、導電端子５０から保護部材６０が抜け落ちてしまうことを抑制する機能を有する。これにより、気密端子１を取り扱う場合や気密端子１が取り付けられた装置の通常の使用時等において、保護部材６０が導電端子５０から外れてしまうことを抑制できる。したがって、本実施形態によれば、導電端子５０に対する保護部材６０の装着を確実なものとすることができ、その結果、気密端子１の絶縁不良の要因となる導電性異物が導電端子５０の周辺に付着し堆積することを、更に確実に抑制することができる。

　係止部２と抜け止め部５４との間の距離寸法Ｌ２は、保持部６３の長さ寸法Ｈ２よりも長く設定されている。これによれば、保持部６３を、係止部２と抜け止め部５４との間に確実に配置させることができる。すなわち、保持部６３の内側に抜け止め部５４が位置して保持部６３の内側面が導電端子５０の外側面から浮いてしまうことを抑制できる。これにより、保護部材６０を導電端子５０に装着した際に、保持部６３の内側面を、導電端子５０の外側面に確実に接触させることができる。その結果、保持部６３は、導電端子５０の外側面を強固に保持することができる。

　金属基板１０は、２つの取付穴１３を更に有している。取付穴１３は、金属基板１０を貫いて形成されており、金属基板１０を取付対象に取り付けるための図示しない締結部材が通される。また、各取付穴１３は、図２に示すように、２つの取付穴１３を結ぶ直線Ｊ２が各貫通穴１２を結ぶ直線Ｊ１に対して交差する位置に配置されている。

　これによれば、例えば気密端子１を取り付けた電動圧縮機等の容器が、圧力や発熱等によって膨張又は収縮して変形し、その変形に伴って金属基板１０に歪みが生じた場合に、ガラス充填材３０で封着された部分が受ける影響を極力小さくすることができる。

　すなわち、電動圧縮機等の容器の変形は、容器との接続箇所である取付穴１３部分に伝わり、取付穴１３を結ぶ直線Ｊ２に沿って湾曲する方向に金属基板１０を変形させようとする。この場合、金属基板１０のうち直線Ｊ２と交差する直線Ｊ１に沿った部分は変形し難い。そのため、２つの取付穴１３を結ぶ直線Ｊ２が各貫通穴１２を結ぶ直線Ｊ１に対して交差するように各取付穴１３を配置することで、ガラス充填材３０で封着された部分つまり貫通穴１２周辺が受ける影響を極力小さくすることができる。これにより、ガラス充填材３０で封着された部分に気密不良が生じることを効果的に抑制することができる。

　ここで、気密端子１の取付け対象を例えば４８Ｖの低電圧で駆動する電動圧縮機とした場合、取付け対象が従来の３００Ｖ～６００Ｖの高電圧で駆動する圧縮機である場合に比べて、気密端子１に対する通電電流が大きくなる。例えば３００Ｖ～６００Ｖで駆動する電動圧縮機の場合、気密端子１に対する通電電流は１０Ａ～２０Ａ程度である。これに対し、４８Ｖで駆動する電動圧縮機の場合、気密端子１に対する通電電流は１００Ａ～１２０Ａにもなる。

　上記の事情から、気密端子１を低電圧の電動圧縮機に対応させるためには、導電端子５０を大電流に対応させる必要がある。しかし、導電端子５０を銅合金やアルミ合金等の低抵抗の素材で構成した場合、ガラス充填材３０によって封着する際に、導電端子５０の耐熱性や熱膨張係数の差が課題となる。そのため、封着時の熱の影響を低減するために、導電端子５０に、Fe-Ni合金やFe-Cr合金等のいわゆるガラス封着用の素材を用いることが考えられる。しかしながら、ガラス封着用の素材は銅合金やアルミ合金等の低抵抗の素材に比べて電気抵抗が大きいため、導電端子５０を大電流に対応させようとすると、導電端子５０が太くなって気密端子１が大型化してしまう。

　そこで、本実施形態の導電端子５０は、芯材５０１と、外皮材５０２と、を有している。すなわち、導電端子５０は、芯材５０１と外皮材５０２とを有する複合材で構成されている。芯材５０１は、外径Ｅが一定に形成されている。外皮材５０２は、芯材５０１よりも剛性及び耐熱性が高くかつ熱膨張係数がガラス充填材３０と同等、もしくは、ガラス充填材３０と芯材５０１との間の値となる部材で構成されている。

　これによれば、電気抵抗の低い芯材５０１を、芯材５０１よりも剛性及び耐熱性の高い外皮材５０２で覆うことで、導電端子５０全体として電気抵抗を極力小さくしつつ、封着時の熱の影響を極力低減することができる。これによれば、導電端子５０をガラス封着用の素材のみで構成した場合に比べて導電端子５０を細くできて導電端子５０の大型化を抑制できるとともに、導電端子５０を低抵抗の素材のみで構成した場合に比べて封着時に導電端子５０が受ける熱の影響を低減できる。

　上記構成によれば、導電端子５０を大電流に対応させつつ導電端子５０の大型化を極力抑制できるが、それでも従来構成に比べて導電端子５０は太くなりがちである。そして、導電端子５０が太くなると、例えばモータの巻き線に繋がるリセプタクル端子９２に対する挿抜荷重が大きくなり、気密端子１を取り付ける際の作業性が低下するという課題が生じる。

　これに対し、本願発明者は、気密端子１の通電経路が、主に図３の破線Ｉで示すような経路となることに着目した。破線Ｉで示す経路は、電流は、導電端子５０の一方の端部の外周面から外皮材５０２を通って芯材５０１に入り、芯材５０１を伝わって他方の端部に至った後、外皮材５０２を通って導電端子５０の他方の端部の外周面から外部に出る。すなわち、電流は、外皮材５０２を介して芯材５０１に出入りする。この着目により、本願発明者は、リセプタクル端子９２に接する部分の外皮材５０２のみの厚み寸法を薄くすることで、破線Ｉで示す通電経路上の抵抗成分の低減と、導電端子５０を細くすることによる挿抜荷重の低減を両立できることを見出した。

　すなわち、実施形態の導電端子５０は、大径部５１と、小径部５２と、を更に有している。大径部５１は、導電端子５０のうちガラス充填材３０に覆われた部分を含む部分である。本実施形態の場合、大径部５１は、気密端子１が取り付けられた容器の外側に露出する部分及びガラス充填材３０で封着される部分を含んでいる。小径部５２は、導電端子５０において大径部５１に対して金属基板１０とは反対側に設けられている。小径部５２は、大径部５１よりも外径が小さく設定されている。すなわち、小径部５２の外径Ｄａ２は、大径部５１の外径Ｄａ１よりも小さい。

　そして、小径部５２は、大径部５１に比べて外皮材５０２の厚みを薄くすることで形成されている。すなわち、小径部５２における外皮材５０２の厚み寸法ｔ２は、大径部５１における外皮材５０２の厚み寸法ｔ１よりも小さい。

　これによれば、導電端子５０においてガラス充填材３０に覆われた部分は、小径部５２よりも外径が大きい大径部５１で構成されている。このため、本実施形態によれば、導電端子５０においてガラス充填材３０に覆われた部分を太くしているため、封着時に導電端子５０が受ける熱の影響を極力低減することができる。また、導電端子５０のうち大径部５１に対して金属基板１０とは反対側を小径部５２としている。これによれば、導電端子５０を例えばリセプタクル端子９２に挿入する際に、その挿入部分を小径部５２とすることで、大径部５１を挿入する場合に比べて挿抜荷重を小さくすることができる。これによれば、導電端子５０に複合材を用いた場合に、封着時の熱の影響を低減しつつ気密端子１の取付け時の作業性の向上を図ることができる。

　ここで、従来からある低電圧駆動の電動圧縮機が備えるリセプタクル端子は、例えば３．０ｍｍ～３．４ｍｍの導電端子の挿入を受け付けるものが多い。そこで、小径部５２の外径Ｄａ２は、３．０ｍｍ～３．４ｍｍの範囲内に設定されている。これによれば、導電端子５０が接続されるリセプタクル端子９２に、従来からあるリセプタクル端子と同様のものを用いることができる。

　芯材５０１の外径Ｅは、大径部５１の外径Ｄａ１の５０％未満に設定されている。これによれば、封着時に熱の影響を受けやすい大径部５１において、その熱の影響をより効果的に低減することができる。その結果、ガラス充填材３０の封着部分に気密不良が生じることをより確実に抑制することができる。

　大径部５１における外皮材５０２の厚み寸法ｔ１は１ｍｍ以上に設定され、小径部５２における外皮材５０２の厚み寸法ｔ２は０．５ｍｍ以上に設定されている。これによれば、大径部５１に比べて外皮材５０２が薄い小径部５２においても、外皮材５０２の厚みｔ２による効果を適切に得ることができる。

　（第２実施形態）
　次に、第２実施形態について、図７から図９を参照して説明する。本実施形態の気密端子１ａは、第１実施形態の気密端子１に対して、導電端子５０及び保護部材６０の具体的構成が異なる。本実施形態の気密端子１ａは、気密端子１の導電端子５０及び保護部材６０に代えて、導電端子５０ａ及び保護部材６０ａを備えている。また、本実施形態の気密端子１ａは、第１実施形態に気密端子１における溝部６７を備えない構成としている。

　導電端子５０ａは、本体部５５及び抜け止め部５４ａを有している。本体部５５は、導電端子５０ａの主要部を構成するもので、外径が本体部５５の全長の全域に亘って一定に形成された円柱棒状に形成されている。すなわち、本体部５５は、段差部を有さない形状、いわゆるストレートピンに形成されている。また、抜け止め部５４ａは、第１実施形態の抜け止め部５４に相当する構成である。本実施形態の抜け止め部５４ａは、本体部５５とは別に構成された例えば円環状の部品を、溶接等によって本体部５５に固着して設けられている。この場合、抜け止め部５４ａは、本体部５５と同一の材料で構成されていても良いし、異なる材料で構成されていても良い。

　保護部材６０ａは、第１実施形態の規制部６５に代えて、規制部６５ａを有している。そして、本実施形態の場合、ガラス充填材３０の表面のうち規制部６５ａが接触する部分を、係止部３としている。規制部６５ａは、第１実施形態の規制部６５と同様に、保持部６３に対して金属基板１０側に設けられている。規制部６５ａは、第１実施形態の規制部６５と同様に、保護部材６０が導電端子５０に装着された場合に係止部３に接触して保護部材６０が金属基板１０側へ移動することを規制する機能を有する。本実施形態の場合、規制部６５ａは、非接触部６４の底部分を金属基板１０側へ円筒形状に突出させ、その円筒形状における金属基板１０側の端部によって構成されている。

　本実施形態によっても、上記第１実施形態と同様の作用効果が得られる。また、本実施形態によれば、導電端子５０ａは、導電端子５０ａの主要部分である本体部５５をいわゆるストレートピンに構成することができる。このため、小径部５２及び抜け止め部５４を切削加工により形成する場合に比べて、導電端子５０ａの製造工数を削減することができる。

　（他の実施形態）
　なお、上記各実施形態において、気密端子１、１ａは、金属基板１０に代えて、図１０に示す金属基板１０ｂを備える構成でもよい。図１０の例において、金属基板１０ｂは、上記各実施形態の金属基板１０に対して２つの取付穴１３の位置が異なる。この場合、２つの取付穴１３は、各貫通穴１２を結ぶ直線Ｊ１の延長線上に設けられている。各貫通穴１２を結ぶ直線Ｊ１と、２つの取付穴１３を結ぶ直線Ｊ２とは重なっている。

　また、上記各実施形態は、各実施形態の特徴部分を相互に組み合わせ又は置換して構成することができる。例えば第２実施形態の気密端子１ａは、第１実施形態の気密端子１の溝部６７を備える構成とすることができる。

　以上説明した各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

Claims

　複数の貫通穴が形成された金属基板と、
　各前記貫通穴に通された複数の導電端子と、
　電気絶縁性を有し前記貫通穴と前記導電端子との間に充填されて前記貫通穴と前記導電端子との間を封着するガラス充填材と、
　電気絶縁性及び弾性を有する材料で構成され、内側に前記導電端子が通されて前記導電端子の周囲を覆う保護部材と、
　前記導電端子又は前記ガラス充填材に設けられた係止部と、
　を備え、
　前記保護部材は、
　前記保護部材のうち前記金属基板側とは反対側に設けられて前記導電端子の外径よりも小さい内径に形成されて前記導電端子を保持する保持部と、
　前記保持部に対して前記金属基板側に設けられ前記保護部材が前記導電端子に装着された場合に前記金属基板又は前記ガラス充填材のいずれか一方又は両方に接して圧縮される方向へ弾性変形可能な変形部と、
　前記保護部材が前記導電端子に装着された場合に前記係止部に接触して前記保護部材が前記金属基板側へ移動することを規制する規制部と、を有している、
　気密端子。
　前記保護部材は、前記導電端子に着脱可能に構成されている、
　請求項１に記載の気密端子。
　前記変形部は、前記導電端子の外径よりも大きい内径に形成され、かつ前記保護部材が前記導電端子に装着された場合に前記導電端子の径方向の外側へ広がる方向へ弾性変形可能に構成されている、
　請求項１又は２に記載の気密端子。
　前記保護部材は、
　前記変形部を含んで構成された基端部と、
　前記保持部を有し、外径が前記基端部の外径よりも小さく設定されて前記基端部に対して前記金属基板とは反対側に設けられた先端部と、
　前記先端部と前記基端部との間に設けられて前記先端部の外周を囲み前記先端部と前記基端部との外径の差によって形成された段差部分を前記変形部へ掘り下げた形状の溝部と、を有している、
　請求項１から３のいずれか一項に記載の気密端子。
　前記導電端子は、前記保護部材に対して前記金属基板とは反対側に設けられ、前記導電端子の径方向の外側へと突出した、前記保持部の外径よりも大きい外径に形成された抜け止め部を更に有している、
　請求項１から４のいずれか一項に記載の気密端子。
　前記係止部と前記抜け止め部との間の距離寸法は、前記保持部の長さ寸法よりも長く設定されている、
　請求項５に記載の気密端子。
　前記金属基板は、前記金属基板を貫いて形成され前記金属基板を取付対象に取り付けるための締結部材が通される２つの取付穴を更に有し、
　前記取付穴は、２つの前記取付穴を結ぶ直線が各前記貫通穴を結ぶ直線に対して交差する位置に配置されている、
　請求項１から６のいずれか一項に記載の気密端子。
　前記導電端子は、
　外径が一定に形成された芯材と、
　前記芯材よりも剛性及び耐熱性が高くかつ熱膨張係数が前記ガラス充填材と同等、もしくは前記ガラス充填材と前記芯材との間の値となる部材で構成された外皮材と、を有する、
　請求項１から７のいずれか一項に記載の気密端子。
　前記導電端子は、
　前記ガラス充填材に覆われた部分を含む大径部と、
　前記大径部に対して前記金属基板とは反対側に設けられて前記大径部よりも外径が小さく設定された小径部と、を更に有し、
　前記小径部は、前記大径部に比べて前記外皮材の厚みを薄くすることで形成されている、
　請求項８に記載の気密端子。
　前記小径部の外径は３．０ｍｍ～３．４ｍｍの範囲内に設定されている、
　請求項９に記載の気密端子。
　前記芯材の外径は前記大径部の外径の５０％未満に設定されている、
　請求項９又は１０に記載の気密端子。
　前記大径部における前記外皮材の厚み寸法は１ｍｍ以上に設定され、
　前記小径部における前記外皮材の厚み寸法は０．５ｍｍ以上に設定されている、
　請求項９から１１のいずれか一項に記載の気密端子。