WO2023140221A1 - アンテナモジュール、無線通信装置 - Google Patents

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Abstract

アンテナとしての導体パターンは、逆F型に形成された放射素子(7a)と、当該放射素子に対して間接的に給電するための給電素子(8a)とを備える。放射素子(7a)は、本体部(71a)と短絡部(72a)と被給電部(73a)とを備える。本体部(71a)は短絡部(72a)及び被給電部(73a)よりも長い部材であり、短絡部(72a)は本体部(71a)の一端において、本体部(71a)と直角に接続されている。被給電部(73a)は、例えば短絡部(72a)と所定の間隔を有するように本体部(71a)の途中から、本体部(71a)に直交する方向に延出されている。給電素子(8a)は、被給電部(73)の下側において、被給電部(73)と対向するように形成されている。

Description

アンテナモジュール、無線通信装置 関連出願の相互参照
 この出願は、2022年1月18日に日本に出願された特許出願第2022-005953号を基礎としており、基礎の出願の内容を、全体的に、参照により援用している。
 本開示は、小型化可能なアンテナモジュール、無線通信装置に関する。
 特許文献1には、2つの周波数の信号を装置間で送受信することによって得られる周波数ごとの受信位相の差である2周波位相差をもとに、装置間の距離を推定する通信システムが開示されている。
特開平11-183602号公報
 装置間で送受信される無線信号は、車体や地面等の反射物で反射され、多様な伝播経路を取りうる。当然、反射物で反射された信号の伝播経路は、実際の装置間の距離よりも長くなる。そのような事情から、2周波位相差など、無線信号の飛行時間(ToF:Time of Flight)を利用した測距方式では、反射波の影響を受けた測距誤りが生じうる。測距誤り(誤測)の発生確率を抑制するためには複数のアンテナを使用することが好適であるが、通信装置に設けるアンテナ数を増やそうとすると、通信装置のサイズが増大しうる。故に、個々のアンテナを小型化可能な構成が求められている。なお、測距通信用のアンテナに限らず、データ通信用のアンテナにおいても小型化は求められうる。
 本開示は、上記の検討又は着眼点に基づいて成されたものであり、その目的の1つは、小型化が可能なアンテナモジュール、無線通信装置を提供することにある。
 ここに開示されるアンテナモジュールは、基板と、所定の周波数帯の電波を送信又は受信するためのアンテナと、アンテナにとってのグランド電位を提供する導体であるグランド部と、を備えるアンテナモジュールであって、アンテナは、
 逆F型に形成された導体である放射素子と、放射素子に電磁界結合で非接触に給電するための導体である給電素子と、を有し、放射素子は、線状導体である本体部と、本体部の一端をグランド部に接続する短絡部と、一端が本体部の途中に接続され、他端が開放端となっている被給電部と、を備え、給電素子は、被給電部の少なくとも一部と平行に形成されている。
 上記の構成によれば、被給電部と給電素子の電磁結合によって生じるインダクタンス成分が動作周波数の低周波化に寄与するため、アンテナ自体を小型可能となる。
 ここに開示される無線通信装置は、基板と、所定の周波数帯の電波を送受信するための第1アンテナと、周波数帯の電波を送受信するための第2アンテナと、第1、第2アンテナにとってのグランド電位を提供する導体であるグランド部と、第1、第2アンテナのそれぞれを用いて対象装置と測距用信号を送受信する信号処理部と、を備える無線通信装置であって、第1、第2アンテナは何れも、逆F型に形成された導体である放射素子と、放射素子に電磁界結合で非接触に給電するための導体である給電素子と、を有し、放射素子は、線状導体である本体部と、本体部の一端をグランド部に接続する短絡部と、一端が本体部の途中に接続され、他端が開放端となっている、被給電部と、を備え、給電素子は、被給電部の一部と対向するように形成されており、信号処理部は、第1アンテナを用いて対象装置と測距用信号を送受信することにより、対象装置までの距離を示すパラメータである測距値としての第1測距値を生成することと、第2アンテナを用いて対象装置と測距用信号を送受信することで、測距値としての第2測距値を生成することと、第1測距値と第2測距値のうちの小さい方を対象装置との距離情報として、対象装置の位置を判定する装置に向けて出力することと、を実施可能に構成されている。
 上記無線通信装置は、上記アンテナモジュールを用いてなる通信装置であって、上記アンテアモジュールと同様の作用により、小型化が可能となる。
 なお、請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
無線機の分解斜視図である。 回路基板に設けられている構成を説明するための図である。 アンテナの構成を説明するための図である。 アンテナの構成を説明するための図である。 図3に示すV-V線での断面図である。 図3に示すVI-VI線での断面図である。 給電素子を回路基板の内部層に設けた構成を説明するための概念図である。 本開示にて提案されるアンテナの構成を簡略的に示す図である。 第1比較構成を示す図である。 第2比較構成を示す図である。 信号処理部の作動を説明するための図である。 信号処理部の作動を説明するための図である。 回路基板に対するアンテナの配置態様の変形例を示す図である。 回路基板に対するアンテナの配置態様の変形例を示す図である。 アンテナ構造の変形例を示す図である。 給電素子の変形例を示す図である。 アンテナを立体的に形成した構成の一例を示す図である。 アンテナを立体的に形成した構成の他の例を示す図である。 アンテナを立体的に形成した構成の他の例を示す図である。 立体的に形成された第2アンテナの車両に対する指向性を概念的に示す図である。 第2アンテナがモノポールアンテナとして回路基板に対して立設されている場合を示す図である。 第2アンテナが立体的な逆Lアンテナとして形成されている場合を示す図である。 測距値の選択アルゴリズムの変形例を示すフローチャートである。
 以下、本開示の実施形態について図を用いて説明する。なお、以降において同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、構成の一部のみに言及している場合、他の部分については先に説明した実施形態の構成を適用することができる。
 なお、本開示での「平行」とは完全な平行状態に限らない。数度から15度程度傾いていても良い。つまり概ね平行である状態(いわゆる略平行な状態)を含みうる。本開示における「垂直」という表現についても、完全に垂直な状態に限らず、数度~15度程度傾いている態様も含まれる。本開示において対向とは、所定の間隔を有して向き合っている状態を示す。対向状態には、部材同士が15°程度傾いて向き合っている態様など、部材同士が概ね向き合っている状態も含まれる。
 <用途の一例>
 図1等に示す無線機100は、車両のユーザによって携帯される通信装置(以降、携帯端末)と所定の通信方式で無線通信を実施可能に構成されている。携帯端末としては、スマートフォンやウェアラブルデバイス等の汎用的な情報処理端末の他、車両の電子キーであるスマートキーなどが挙げられる。無線機100は、車両に搭載されているスマートECUと接続されて使用される。ECUは、Electronic Control Unitの略であって電子制御装置を意味する。携帯端末が対象装置に相当する。
 無線機100は、携帯端末の所在を示す情報として、携帯端末からの無線信号の受信強度、及び、携帯端末との距離を示すデータをスマートECUに報告する。距離を示すデータは、距離そのものを直接的に示すデータの他に、携帯端末までの距離を間接的に示すデータであってもよい。携帯端末との距離を間接的に示すデータとは、後述するラウンドトリップ時間(RTT:Round-Trip Time)や2周波位相差などである。無線機100が無線通信装置に相当する。
 無線機100は、車両の複数箇所に配置されうる。無線機100は、ドア側BピラーやCピラーの室内側面などに取り付けられてよい。ここでのピラーとは、ルーフを支える柱を指し、Bピラーとは前から2番目のピラーを、Cピラーとは前から3番目のピラーを指す。ドア側Bピラーとは、ドアの窓枠部のうち、車体のBピラーに当接する部分を指す。
 なお、他の態様として無線機100は、運転席又は助手席用の外側ドアハンドルや、ルーフ、バックミラー、サイドミラー、リアバンパ、トランクドアハンドル付近などに配置されることを前提として構成されていても良い。無線機100は、後述する回路基板3が、取り付け先に相当する車体部分である取付対象部と対向するように取り付けられる。
 スマートECUは、無線機100を介して携帯端末と無線通信を実施することで、パッシブエントリ&パッシブスタートシステムを実現するECUである。スマートECUは車両に搭載されている複数の無線機100から入力される携帯端末からの信号の受信強度及び距離情報に基づいて、車両に対する携帯端末の位置を判定する。そして、スマートECUは、携帯端末との無線通信によって、携帯端末が車両のドア付近に存在することを確認できている場合、ドアボタンの押下をトリガとしてドアを開錠/施錠する。また、スマートECUは、携帯端末との無線通信によって携帯端末が車室内に存在することを確認できている場合には、図示しないスタートボタンに対するユーザ操作に基づいて、走行用電源のオン/オフを切り替える。走行用電源は、車両が走行するための電源であって、車両がエンジン車である場合にはイグニッション電源を指す。車両が電気自動車やハイブリッド車といった電動車である場合、走行用電源とはシステムメインリレーを指す。
 <全体構成の概要>
 図1は、無線機100の概略的な構成の一例を示す図である。無線機100は、図1に示すように、ロアケース1、アッパーケース2、回路基板3、第1アンテナ4a、及び、第2アンテナ4bを備える。第1アンテナ4aと第2アンテナ4bは、略同一の構成を備える。本開示では、第1アンテナ4aと第2アンテナ4bとを区別しない場合には、それらをアンテナ4とも称する。各アンテナ4は、後述するように逆F型の放射素子7を備える。
 本開示では回路基板3に直交する方向のことを上下方向と記載する。回路基板3からロアケース1に向かう方向が、無線機100にとっての下方向に相当し、回路基板3からアッパーケース2に向かう方向が上方向に相当する。上方向は、回路基板3が備える2つの面のうち、取付対象部に向けられる面である下側面から、反対側の面である上側面に向かう方向に相当する。上側面は、放射素子7が形成されている方の面に相当する。
 また、本開示では無線機100の構成について、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を有する右手系の3次元座標系の概念を導入して説明する。図1等の種々の図に示すX軸は回路基板3の短手方向を、Y軸は回路基板3の長手方向を、Z軸は上下方向をそれぞれ表している。なお、他の態様として回路基板3が正方形状である場合には、任意の1辺に沿う方向をX軸とすることができる。
 これらX軸、Y軸、及びZ軸を備える3次元座標系は、無線機100の構成を説明するための概念である。無線機100がCピラーなどの車室内の側面部に取り付けられている状態においては、例えばX軸は車両の前後方向に、Y軸は車両の上下方向に、Z軸は車幅方向にそれぞれ対応する。
 ロアケース1は、アッパーケース2と組み合わされることで全体として、扁平な直方体状のケース(換言すればハウジング)を形成する。ロアケース1は、回路基板3を下方から覆い、回路基板3を収容及び支持する部材である。ロアケース1は、無線機100のハウジングの底部を提供する部材に相当する。ロアケース1は、回路基板3の下側面を保護する役割を担う。ロアケース1は、ポリカーボネート(PC:polycarbonate)などの合成樹脂を用いて形成されている。
 ロアケース1は、上側の面が開口している扁平な(換言すれば底が浅い)箱型に形成されている。すなわち、ロアケース1は、回路基板3と所定の間隔をおいて対向する底面部11と、底面部11の縁部から上方に向けて延設された下壁部12と、を備える。なお、下壁部12は任意の要素であって省略されても良い。底面部11には、回路基板3に設けられたネジ穴32と対応する位置に、ネジを通すための貫通孔13が形成されている。複数のネジ止め用の貫通孔13は底面部11の四隅に設けられていてよい。
 なお、ロアケース1は、金属製であってもよい。金属製のロアケース1によれば、装置としての強度向上といった効果や、車体との電気的接続、換言すれば回路グランドの安定性向上といった効果が期待できる。さらに、ロアケース1は、金属部材と樹脂とを組み合わせて実現されていても良い。ロアケース1は金属製のフレームを樹脂で覆った部材であってもよい。ロアケース1は外観形状を提供する樹脂部材の内部に金属フレームが埋め込まれた構成を有していても良い。
 アッパーケース2は、回路基板3を上方から覆い、回路基板3を収容及び保護する部材である。アッパーケース2は、電波を透過させるべく、ポリカーボネートなどの樹脂材料で構成されている。アッパーケース2は、回路基板3を収容しつつロアケース1と嵌合可能に構成されている。
 アッパーケース2は、下側の面が開口している略箱型に形成されている。具体的には、回路基板3の上側面と所定の間隔をおいて対向する天井部21と、天井部21の縁部から下方に向けて延設された側壁部22と、を備える。天井部21は、無線機100のハウジングの上面部を提供する構成に相当する。側壁部22は、その下端部が下壁部12の上端部と組み合わさる寸法及び形状に形成されている。側壁部22の外側面が側面部に相当する。
 アッパーケース2の側壁部22において、コネクタ5に対応する部分には、コネクタ5の先端付近を露出させるための切り欠き部23が形成されている。その他、アッパーケース2の内側には、ネジ穴32と対応する位置に、ネジを収容するための穴が設けられた段差部等が形成されている。側壁部22又は底面部11には、無線機100を車体に取り付けるための金具などが付与されていても良い。無線機100を車体に固定するための機構である取り付け機構としては多様なものを採用可能である。
 回路基板3は、プリント基板に種々の電子部品が実装されてなる板状部材である。プリント基板としてはガラスエポキシ基板(FR4:Flame Retardant Type 4)などの絶縁層をベースにして、複数の導体層をビルドアップした多層基板を利用可能である。ここでは一例として回路基板3は、比誘電率4.3~4.9程度のガラスエポキシ樹脂を用いて実現されている。回路基板3は、内部導体層を備えない、片面基板又は両面基板である。なお、回路基板3は、内部導体層を備える多層基板を用いて実現されていてもよい。
 回路基板3は、ロアケース1の形状に適合するよう、略矩形状に形成されている。図中の3xpは、回路基板3が備える4つの縁部(辺)のうち、相対的にX軸正方向側に位置する、Y軸平行な縁部を示している。図中の3xnは、回路基板3において、X軸負方向側に位置する、Y軸に平行な縁部を示している。図中のypは、回路基板3が備えるX軸平行な2つの縁部のうち、相対的にY軸正方向側に位置する縁部を指し、ynは相対的にY軸負方向側に位置する縁部を示している。
 回路基板3は、電源ケーブルの接地側線とコネクタ等を介して電気接続される導体層であるグランド層を備える。グランド層は各種回路のグランド電位を提供する。ここでは一例としてグランド層は回路基板3の下側面に形成されている。グランド層に形成されている、グランド電位を提供する導体パターンをグランド部31と称する。グランド部31は、板状の導体部材である。ここでの板状には、銅箔などの薄膜状も含まれる。
 回路基板3の四隅には、回路基板3をロアケース1及びアッパーケース2にネジ止めするためのネジ穴32が形成されている。ネジ穴32の位置は適宜変更可能であって、ロアケース1、アッパーケース2、及び回路基板3のそれぞれにおいて互いに対応する位置に形成されていればよい。互いに対応する位置とは上面視において重なる位置に相当する。ネジ穴32、換言すれば回路基板3をロアケース1やアッパーケース2に固定するための固定部は、4箇所以上設けられていても良い。また、ロアケース1、アッパーケース2、及び回路基板3が組み合わさった状態を維持するための方法としては、ネジ止めの他、スナップフィットなど多様な係止構造を採用可能である。ネジ穴32は任意の要素である。
 回路基板3の上側面には、図2に示すように、第1アンテナ4a、第2アンテナ4b、コネクタ5、及び制御回路6が形成されている。第1アンテナ4a及び第2アンテナ4bは何れも、所定の対象周波数帯の電波を送受信するためのアンテナ4である。各アンテナ4は、送受信兼用アンテナであってもよいし、受信専用アンテナであっても良い。本開示において、或る周波数帯の無線信号を送受信するためのアンテナとの表現には、送信と受信の両方に使用されるアンテナだけでなく、受信のみに供されるアンテナを含めることができる。つまり、送受信との表現は、送受信と受信の少なくとも何れか一方と解する事ができる。通信IC63などの記載についても同様である。アンテナの動作として電波の送信と受信には可逆性があるため、或る電波を受信可能なアンテナとは、当該電波を送信可能なアンテナと解することができる。
 アンテナ4は、Bluetooth(登録商標)や、Wi-Fi(登録商標)等といった、近距離無線通信で使用される周波数帯の電波を送受信可能に構成されている。無線機100は、携帯端末とBLE(Bluetooth Low Energy)通信を実施するように構成されている。それに伴い、アンテナ4は、2400MHzから2500MHzまでの帯域(以降、2.4GHz帯)に属する周波数の電波を送受信可能に構成されている。
 もちろん、アンテナ4の動作周波数である対象周波数は、700MHz帯や5GHz帯など、その他の周波数帯であってもよい。また、アンテナ4は、セルラー通信で使用される周波数帯の電波(換言すれば無線信号)を送受信するためのアンテナであってもよい。すなわち4Gや5Gの移動体通信システムを構成する無線基地局とデータ通信を行うためのアンテナであってもよい。アンテナ4が形成された回路基板3がアンテナモジュールに相当する。アンテナ4の構成の詳細は別途後述する。
 コネクタ5は、電源ケーブルやスマートECUとの通信ケーブルなど、種々のケーブルが接続されるための部品である。コネクタ5は、一例として回路基板3のY軸負方向側の縁部に取り付けられている。
 制御回路6は、無線機100の作動を制御する回路モジュールであって、多様な電子部品を含む。制御回路6は、スイッチ61、電源回路62、通信IC63、メモリ64、ストレージ65、及びプロセッサ66を備える。
 スイッチ61は、通信IC63の入出力端子が接続するアンテナ4を切り替えるためのスイッチ回路である。スイッチ61は、接続状態として、第1アンテナ4aが通信IC63と接続している第1接続状態と、第2アンテナ4bが通信IC63と接続している第2接続状態とを取りうる。スイッチ61の接続状態は通信IC63によって切り替えられる。なお、スイッチ61は、通信IC63が何れのアンテナ4とも接続していない中立状態を採用可能な、3状態スイッチとして構成されていても良い。
 電源回路62は、電源ケーブルから入力された電圧を、通信IC63等の動作に適した所定の電圧に変換して出力する回路モジュールである。通信IC63は、信号の送信、及び、信号の受信の少なくとも何れか一方に係る信号処理を実施する回路モジュールである。通信IC63は、変調、復調、周波数変換、増幅、デジタルアナログ変換、及び検波の少なくとも何れか1つを実施する。通信IC63は、受信強度や受信信号の位相を検出する機能を備える。また、通信IC63は、後述する送受信位相差を検出する機能を備えうる。
 メモリ64は、RAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。ストレージ65は不揮発性の記憶装置であって、プロセッサ66によって実行されるプログラムや、通信IC63の動作設定値などのデータが保存されている。プロセッサ66は、CPU(Central Processing Unit)などの演算コアである。プロセッサ66は、通信IC63が取得したデータをもとに、携帯端末からの信号の受信強度や測距値などの情報を生成し、スマートECUに送信する。プロセッサ66と通信IC63は統合されていてもよく、何れか一方が省略されていても良い。
 本開示では、通信IC63やメモリ64、ストレージ65、プロセッサ66など、信号処理を行うモジュール群をまとめて信号処理部6xとも称する。信号処理部6xは、システムオンチップ(SoC:System-on-Chip)として1つのチップとして構成されていても良い。信号処理部6xは、携帯端末の位置判定機能など、スマートECUとしての機能を備えていても良い。
 <アンテナの構成について>
 ここでは第1アンテナ4a及び第2アンテナ4bの構成について説明する。以降における「λ」は、対象周波数の電波の波長(以降、対象波長とも記載)を表す。例えば「λ/2」及び「0.5λ」は対象波長の半分の長さを指し、「λ/4」及び「0.25λ」は対象波長の4分の1の長さを指す。なお、真空中及び空気中における2.4GHzの電波の波長(つまりλ)は125mmである。無線機100を構成する部材の寸法の例示において、λを用いた表現は、電気的な長さと解する事ができる。ここでの電気的な長さとは、フリンジング電界や、誘電体による波長短縮効果などを考慮した、実効的な長さである。電気的な長さは実効長と呼ばれることもある。もちろん、波長の短縮効果等を受けない部分については、λは真空中あるいは空気中の長さと解することができる。
 回路基板3には、前述の通り、第1アンテナ4aと第2アンテナ4bとグランド部31とが形成されている。第1アンテナ4aは、図3に示すように基板表面上に逆F型にパターン形成された放射素子7aと、当該放射素子7aに電磁結合で非接触に給電する給電素子8bを含む。放射素子7aは、本体部71aと、短絡部72aと、被給電部73aとを備える。第2アンテナ4bもまた、基板表面上に逆F型にパターン形成された放射素子7bと、放射素子7bに間接給電する給電素子8bを含む。放射素子7bもまた、本体部71bと、短絡部72bと、被給電部73bとを備える。基板表面に放射素子7a、7b等をパターン形成する方法としては、電気めっきや、金属蒸着、導電塗料の塗布などがある。
 第2アンテナ4bは、第1アンテナ4aと略同一の構成を備える。本開示では、第1アンテナ4aの給電素子7aと、第2アンテナ4bの給電素子7bを区別しない場合には、それらを給電素子7とも称する。同様に、本体部71aと本体部71b、短絡部72aと短絡部72b、被給電部73aと被給電部73b、給電素子8aと給電素子8bの組み合わせに関しても、両者を区別しない場合には本体部71、短絡部72、被給電部73、給電素子8と総称する。
 第1アンテナ4aは、スイッチ61のY軸正方向側に配置されている。第2アンテナ4bは、スイッチ61のX軸正方向側に配置されている。第1アンテナ4aと第2アンテナ4bは互いの長手方向が直交する姿勢で配置されている。
 放射素子7a、7bは、基板表面に形成されている。一方、給電素子8a、8bは、回路基板3の下側面、すなわち、グランド部31と同じ層に形成されている。グランド部31は、図4に示すように、回路基板3の下側面の大部分に渡って形成されている。グランド部31は、給電素子8aから2mm以上の離隔を有するように形成されている。グランド部31は、給電素子8aが形成される部分に切り欠き部が形成されている。なお、給電素子8a用の切り欠き部は任意の要素であって、省略可能である。グランド部31はアンテナ4にとっての地板に相当する。
 第1アンテナ4aの本体部71aは、線状の導体素子である。本開示における「線状」との表現には、一定の幅/厚みを有する形状も含まれる。「線状」との表現には、長手方向の長さに比べて幅や厚みが十分に小さい帯状や棒状も含まれる。本実施形態では一例として本体部71aは直線状に形成されている。他の態様として本体部71aはL字型やミアンダ状など、1つ以上の屈曲部を備えていても良い。
 本体部71aはスイッチ61のY軸正方向側となる位置に、X軸に平行な姿勢で形成されている。より具体的には本体部71aは、回路基板3のY軸正方向側の縁部3ypから2cm以内となる範囲において、X軸と平行となる姿勢で配置されている。本体部71aの長さは例えば13.5mmに設定されている。もちろん、本体部71aの長さは、12.5mmや15.0mmなど、他の値であっても良い。本体部71aの長さは、回路基板3の材料の影響を受けうる。
 短絡部72aは、本体部71aの一端をグランド部31に接続する導体である。短絡部72aは、本体部71aのX軸負方向側の端部から、Y軸負方向側に向かってY軸に平行に配置されている。短絡部72aの他端は、図5に示すようにビア33などを介して回路基板3の下側面に形成されているグランド部31と電気的に接続されている。短絡部72aの長さは例えば5mmに設定されている。もちろん、短絡部72aの長さは、4mmや6mmなど、他の値であっても良い。短絡部72a及び本体部71aの長さは、それぞれの長さの和が、対象周波数帯で共振するように設計されている。対象周波数帯で共振する短絡部72a及び本体部71aの合計長は、λ/4を基準としてシミュレーションにより求めることができる。例えば短絡部72a及び本体部71aの合計長は、λ/4よりも10mm程度小さく設定されている。
 被給電部73aは、一端が本体部71aの途中に接続され、他端が開放端となっている線状導体である。ここでの開放端とは、他の導体と電気的に接続されていない端部を指す。被給電部73aは、短絡部72aと平行に形成されている。被給電部73aと短絡部72との間隔(D11)は、3mmや5mmなどに設定されていて良い。回路基板3上における各部材の位置関係、換言すればレイアウトは適宜変更可能である。被給電部73aの長さは、短絡部72aと同じである。なお、被給電部73aは、短絡部72aよりも所定量(1~2mm)短く形成されていても良い。また、被給電部73aは、短絡部72aよりも所定量長く形成されていても良い。
 被給電部73aの幅(D12)は、給電素子8aの幅よりも所定量大きく設定されている。例えば被給電部73aは、給電素子8aよりも1.0mm程度太く形成されている。なお、本体部71aや、短絡部72a、給電素子8aの幅は1.0mmに設定されていても良い。各パターンの幅は適宜変更可能であり、また、部材ごとの幅は異なっていても良い。被給電部73は、本体部71や短絡部72と同じ幅(例えば1.0mm)に形成されていてもよい。
 給電素子8aは、回路基板3の下側面において、被給電部73aと重なる位置に配置されている線状素子である。給電素子8aは、回路基板3の下側面にパターン形成された導体パターンである。図6に示すように給電素子8aは、被給電部73aと平行に形成されている。本実施形態の給電素子8aは、被給電部73aの全区間と対向するように形成されている。給電素子8aは、上面視において被給電部73aの少なくとも一部と重なるように形成されていればよい。
 給電素子8の幅は、0.5mmなど、被給電部73のパターン幅の半分程度に設定されている。給電素子8は被給電部73と同じ幅で形成されていても良い。ただし、給電素子8を被給電部73よりも細く形成した構成によれば、給電素子8が被給電部73よりも太い構成に比べて給電効率を高める効果が期待できる。
 給電素子8aと被給電部73aとの離隔(D13)、換言すれば回路基板3の厚みは、1.0mmなどに設定されている。給電素子8aと被給電部73aとの離隔(D13)は、給電素子8aが被給電部73aと電磁結合可能な値に設定されていればよい。給電素子8aが被給電部73aと電磁結合しうる離隔の限界値の一例としてはλ/20が想定される。D13は、0.5mmや1.5mm、2.0mmなどであっても良い。給電素子8aと被給電部73aとの離隔は小さいほど電磁結合度は大きくなるため好ましい。
 給電素子8aの一端は開放端であり、他端はスイッチ61が備える1つの接点と電気的に接続されている。スイッチ61と電気的に接続されている方の端部は、給電点9aとして作用する。給電点は、マイクロストリップ線路などの配線やスイッチ61を介してアンテナ4と通信IC63の信号用端子とが電気的に接続する部分である。給電点は、通信IC63又は給電線との接続箇所と解することができる。給電点9aから給電素子8aに流入した電気的エネルギーは、被給電部73aとの電磁結合により放射素子7aに伝搬し、共振を生じさせる。
 第2アンテナ4bの構成は、第1アンテナ4aと搭載姿勢が異なる点を除き同一とする事ができる。第2アンテナ4bの本体部71bは、線状の導体素子である。本体部71bはスイッチ61のX軸正方向側となる位置に、Y軸に平行な姿勢で形成されている。より具体的には本体部71bは、回路基板3のX軸正方向側の縁部3xpから2cm以内となる範囲において、Y軸と平行となる姿勢で配置されている。本体部71bの長さは13.5mmに設定されている。もちろん、本体部71bの長さは、その他の値であっても良い。本体部71a、71bの延設方向は互いに直交している。当該構成は、本体部71aを90度回転させた方向に沿って本体部71bを形成した構成に相当する。
 短絡部72bは、本体部71bの一端をグランド部31に接続する導体である。短絡部72bは、本体部71bのY軸正方向側の端部から、X軸負方向側に向かってY軸に平行に配置されている。短絡部72bの他端は、ビア33を介して回路基板3の下側面に形成されているグランド部31と電気的に接続されている。短絡部72bの長さは5mmに設定されている。短絡部72bの長さは、その他の値であっても良い。短絡部72b及び本体部71bの長さは、放射素子7aと同様に、それぞれの長さの和が対象周波数帯で共振するように設計されている。
 被給電部73bは、線状導体であって、一端が本体部71bの途中に接続され、他端が開放端となっている。被給電部73bは、短絡部72bよりもY軸負方向側において短絡部72bと平行に形成されている。被給電部73bと短絡部72との間隔(D21)は、3mmや5mmなどであってよい。D21は適宜変更可能である。被給電部73bの長さは、短絡部72bと同じである。被給電部73bは、短絡部72bよりも所定量(例えば1~2mm)短く/長く形成されていても良い。
 被給電部73bの幅(D22)は、給電素子8bの幅よりも所定量大きく設定されている。被給電部73bは、給電素子8bよりも1.0mm程度太く形成されていてよい。なお、本体部71bや、短絡部72b、給電素子8bの幅は1.0mm程度である。
 給電素子8bは、回路基板3の下側面において、被給電部73bと重なる位置に配置されている線状素子である。給電素子8bは、回路基板3の下側面にパターン形成された導体パターンであってよい。給電素子8bは、被給電部73bと平行に形成されている。給電素子8bと被給電部73bとの離隔は、1.0mmなどに設定されている。給電素子8bと被給電部73bとの離隔は、給電素子8bが被給電部73bと電磁結合可能な値に設定されていればよい。給電素子8の長さは、被給電部73と同じであっても良いし、被給電部73よりも短くとも良い。
 給電素子8bの一端は開放端であり、他端はスイッチ61が備える1つの接点と電気的に接続されている。スイッチ61と電気的に接続されている方の端部は、給電点9bとして作用する。給電点9bから給電素子8bに流入した電気的エネルギーは、電磁結合により被給電部73bを介して放射素子7bに伝搬し、共振を生じさせる。
 上記の回路基板3は、1つの局面において、所定の厚み及び比誘電率を有する誘電体板の一方の面に2つの無給電逆Fアンテナを配置するとともに、反対側の面に給電素子8a、8bを付与した構成に相当する。
 以上では、給電素子8aをグランド部31と同一面に形成した態様を述べたが、回路基板3の構成はこれに限定されない。図7に示すように、給電素子8はグランド部31とは異なる層に形成されていても良い。給電素子8は内部層に形成されていてもよい。その場合、グランド部31は給電素子8aとの電気的接続を避けるための切り欠き部を備える必要はない。また、地板としてのグランド部31は、基板内部に形成されていても良い。
 ところで逆F型の放射素子は反対側から見るとF型に見える。逆Fアンテナとの表現は、アンテナの技術分野における慣習的な呼称に倣ったものである。逆Fアンテナとの表現は、逆向きではないF字型のアンテナも含まれる。つまり逆FアンテナはF型アンテナと呼ぶこともできる。後述する逆Lアンテナについても同様にL型アンテナと呼ぶことができる。
 <上記アンテナ構造の効果>
 ここでは、上記実施形態のアンテナ構造(以降、提案構成)の効果について、第1、第2比較構成を用いて説明する。図8は提案構成を模式的に示したものである。図9は、第1比較構成を示した図である。第1比較構成は逆Fアンテナにおいて、被給電部に直接給電する構成である。第2比較構成は、図10に示すように第1比較構成の本体部の一部をミアンダ状に形成した構成を指す。
 まずは、第1比較構成に対する提案構成の利点について述べる。本開示の開発者らは、第1比較構成及び提案構成のそれぞれにおいて2.4GHzで共振が生じる本体部の長さをシミュレーションしたところ、第1比較構成では23.55mmが必要となる一方、提案構成では13.5mmでよいことがわかった。なお、シミュレーションにおいて、短絡部及び被給電部の長さ及び幅など、本体部の長さ、及び、給電方法以外の部分は、第1比較構成と提案構成とで同じに設定されている。
 上記の結果が得られた理由は次のように推測される。すなわち、提案構成のように被給電部73と給電素子8との電磁結合で給電する構成では、被給電部73と給電素子8とが相互インダクタンスを形成し、当該相互インダクタンス成分が動作周波数の決定に寄与する。具体的には、相互インダクタンス成分をMとすると、動作周波数(f)は、f∝1/√{(M+L)C}で定まる。提案構成によれば、アンテナが備えるインダクタンスを増加させることができるため、小型化を実現可能となる。
 ところで、アンテナの小型化にかかる構成としては第2比較構成も考えられる。第1比較構成に対し、第2比較構成によれば、本体部をミアンダ状とすることでアンテナのサイズを抑制する効果が期待できる。しかしながら、第2比較構成では、ミアンダ部分が互いに容量結合したり、ミアンダ部の一部がグランド部と容量結合したりすることにより、アンテナ全体が形成するキャパシタ(C)が増大する。アンテナのインダクタンスをLとすると、アンテナとしての利得(G)はL/Cに比例する。すなわちG∝L/Cの関係を有するため、キャパシタの増大は利得の低下に繋がりうる。そのような課題に対し、本実施形態の構成によれば、第2比較構成に比べてキャパシタンス成分の増大を抑制できるため、利得の低下を抑制できる。つまり、アンテナの小型化と利得の維持/向上を両立可能となる。
 <信号処理部6xの作動について>
 信号処理部6xは、携帯端末と測距用信号を送受信することで、通信相手(携帯端末)との距離を間接的に示す距離対応値を取得する機能を備える。ここでの距離対応値とは、携帯端末から送信された信号が無線機100で受信されるまでの信号の飛行時間を示すパラメータである。距離対応値は、受信強度とは異なるパラメータである。
 距離対応値とは、具体的には、RTTまたは2周波位相差である。本開示ではRTT又は2周波位相差を測定するための通信を測距通信とも称する。測距用信号とは、RTT又は2周波位相差を測定するための無線信号である。距離対応値は、片道分又は往復分の信号飛行時間(ToF:Time of Flight)を示すため、ToF関連値と呼ぶことができる。
 なお、RTTは、通信相手に向けて応答要求信号を送信してから、通信相手からの応答信号を受信するまでの時間として計測される。信号処理部6xは、実際に信号を送信してから受信するまでの経過時間に対して、携帯端末で生じる応答処理時間の想定値や無線機100で生じうる遅延時間の想定値を減算するなどの所定の補正処理を施した値をRTTとして用いてもよい。
 2周波位相差は、無線機100と携帯端末とが連続波(CW:Continuous Wave)信号を送受信することで特定されるパラメータであって、2つの周波数のそれぞれで観測された送受信位相差の差である。或る周波数での送受信位相差は、ターゲットに向けて送信した対象周波数のCW信号と、ターゲットから返ってくる対象周波数のCW信号の位相差に相当する。
 送受信位相差は、単純に位相角とも呼ばれうる。送受信位相差は、無線機100と携帯端末とがCW信号を互いに送受信し合うことで各々が送信信号と受信信号との位相差を検出し、両者で観測された位相差の平均値を求めることで特定可能である。信号処理部6xは、デバイス間での初期位相/ローカル発振器が同期していることを前提として、携帯端末から送信されたCW信号の受信位相をそのまま送受信位相差として採用してもよい。デバイス間での初期位相/ローカル発振器の同期は、所定の同期用信号を送信することで実現されうる。2周波位相差は、周波数の変化による送受信位相差の変位量に対応する。
 信号処理部6xは、スマートECUからの要求に基づき/自発的に、携帯端末と測距通信を実施し、距離対応値を生成してスマートECUに報告する。本実施形態の信号処理部6xは、距離対応値として、BLE通信に供される周波数の組み合わせごとに2周波位相差を算出する。なお、受信強度は測距用信号からも観測可能である。信号処理部6xは一例として、測距用信号を用いて、送受信位相差の特定と受信強度の特定を並列的に実施する。
 ところで、信号処理部6x内における役割分担は適宜変更可能である。通信IC63が周波数ごとの送受信位相差を特定し、プロセッサ66が周波数ごとの送受信位相差に基づいて、周波数の組み合わせごとの2周波位相差を算出してもよい。信号処理部6xは2周波位相差に加えて/代わりに、RTTを算出するように構成されていても良い。
 信号処理部6xは、図11に示すようにスイッチ61の接続状態を交互に切り替えることにより、第1アンテナ4aと第2アンテナ4bとを時分割で使用する。信号処理部6xは、第1アンテナ4aを介して取得した携帯端末からの信号の受信強度を第1受信強度としてメモリ64に保存する。また、信号処理部6xは、第2アンテナ4bを介して取得した携帯端末からの信号の受信強度を第2受信強度としてメモリ64に保存する。
 また、信号処理部6xは、通信に使用するアンテナを切り替える度/使用周波数を変更するたびに、測距通信を実施し、距離対応値及び測距値の算出処理を実施する。信号処理部6xは、第1アンテナ4aを用いた測距通信により得られた距離対応値を第1距離対応値として、メモリ64に保存する。また、信号処理部6xは、第2アンテナ4bを用いた測距通信により得られた距離対応値を第2距離対応値として、メモリ64に保存する。
 BLE通信では、コネクション確立後、周波数ホッピングが行われる。周波数の変更が行われうる間隔を定めるホッピング周期(Thp)はネットワークにより異なる値/任意の値に設定可能である。ホッピング周期は固定値であってもよいし、所定の通信シーケンスに従い、通信接続ごと/データ通信ごとに動的に決定されても良い。
 アンテナ4の切替間隔(Tsw)は、ホッピング周期よりも短く設定されていても良いし、ホッピング周期よりも長く設定されていても良い。図11では切替間隔がホッピング周期の半分に設定されている場合を例示している。なお、図11に示すf1は2.4GHz帯に属する任意の周波数である第1周波数を示している。また、f2は2.4GHz帯に属する周波数のうち第1周波数とは異なる周波数である第2周波数を示している。
 仮にホッピング周期が100ミリ秒程度に設定されている場合、切替間隔は、20ミリ秒や50ミリ秒などに設定されていても良い。切替間隔がホッピング周期の半分に設定されている構成においては、1つのチャネルが維持されている間に各アンテナ4を用いた測距通信が順に実行される。
 ここでは、一例としてアンテナ4の切替間隔(Tsw)は、ホッピング周期の半分以下に設定されており、信号処理部6xは1つのチャネルが維持されている間に、アンテナごとの測距通信が実施する。なお、信号処理部6xは、周波数が切り替わったタイミングと、周波数変更からホッピング周期の半分が経過したタイミングでスイッチ61の接続状態を切り変え、切替後の接続状態に応じたアンテナ4を用いて測距通信を実施するように構成されていても良い。
 また、仮にホッピング周期が10ミリ秒程度に設定されている場合、切替間隔は、50ミリ秒や100ミリ秒などに設定されていても良い。切替間隔がホッピング周期の2倍以上に設定されている構成においては、信号処理部6xは周波数が2回切り替わるごとに測距用信号の送受信を実施してもよい。なお、周波数ホッピングが採用されていない通信方式においては、信号処理部6xは、携帯端末と所定の制御信号をやり取りすることで、通信周波数を意図的に変更してもよい。使用周波数の変更は、アンテナ4ごとの測距通信を実施するたびに実施されても良い。
 図12は信号処理部6xが実施する距離報告処理を説明するためのフローチャートであって、ステップS11~S17を含みうる。距離報告処理は、自装置(自分自身)としての無線機100から携帯端末までの距離に関連するデータをスマートECUに報告するための一連の処理である。信号処理部6xは、自装置としての無線機100、又は、車両に搭載されている他の無線機100である他装置が携帯端末と通信接続している場合に、所定の間隔で距離報告処理を実施する。なお、本開示に示すフローチャートは何れも一例であって、フローチャートを構成するステップの数や、処理の実行順、実行条件は適宜変更可能である。信号処理部6xは車両のドアハンドルやスタートボタンがユーザによって操作されたことを示すセンサ信号が外部から入力されたことに基づいて距離報告処理を実施しても良い。
 ステップS11は、第1アンテナ4aを用いて測距通信を実施するステップである。ステップS11は、スイッチ61の接続状態を第1接続状態に設定することと、携帯端末に向けて測距用信号を送信することと、携帯端末からの応答を受信することと、を含む。携帯端末とやり取りする測距用信号は、応答の返送を要求する所定のコマンド信号であってもよいし、CW信号であっても良い。
 ステップS12は、携帯端末からの応答の受信結果に基づいて、受信強度、距離対応値、及び、測距値を取得するステップである。本実施形態における距離対応値は2周波位相差であるが、RTTであってもよい。測距値は、時間又は角度の次元で表現される距離対応値を、距離の次元に換算したパラメータに相当する。測距値は、片道分の距離として算出される。他の態様として測距値は、往復分の距離であってもよい。なお、2周波位相差をΔφ、電波の伝搬速度をC(3×10^8m/sec)、2つの周波数の差をΔf、携帯デバイス2までの片道分の距離をLとすると、L=C・Δφ/(4πΔf)の関係を有する。測距値は、当該関係式を用いて算出可能である。また距離対応値としてRTTを用いる場合も、L=RTT・C/2の関係式を用いて、測距値は算出されうる。
 距離対応値を測距値への換算は、通信IC63が実施しても良いし、プロセッサ66が実施していても良い。本開示における「取得」には、他の装置/センサから入力されたデータなどを元に内部演算によって生成/検出/判定することも含まれる。システム内の機能配置は適宜変更であるためである。
 ここでは一例としてプロセッサ66が測距値の算出機能を備えている。なお、信号処理部6xは、時間又は角度の次元で表現された2周波位相差やRTTといった距離対応値を、そのまま測距値として使用しても良い。測距値の概念には、2周波位相差やRTTといった距離対応値を含めることができる。
 また、2周波位相差の算出に際しては、複数の周波数での送受信位相差が必要となる。切替時間がホッピング周期よりも短い構成においては、信号処理部6xは過去に観測された他の周波数での送受信位相差をもとに、2周波位相差を算出しうる。2周波位相差の算出に使用する周波数である測距用周波数の組み合わせは、予め設定されていても良いし、動的に決定されても良い。信号処理部6xは、通信に使用される周波数が切り替わることに現行周波数での送受信位相差を取得してもよい。現行周波数とは、その時点で使用されている(つまり使用中の)周波数を指す。第1アンテナ4aを用いた測距通信にて観測された距離対応値に由来する測距値を、本開示では第1測距値とも称する。
 信号処理部6xは、測距用周波数として、周波数の差である差分周波数Δfが10MHz以上、70MHz未満となる組み合わせを動的に選択して2周波位相差及び測距値を算出する。信号処理部6xは、複数の周波数の組み合わせにおいて2周波位相差及び測距値を算出しても良い。4以上の周波数を母集団とする周波数の組み合わせごとに測距値を算出し、それらを組み合わせることにより、最終的な測距値を決定しても良い。
 ステップS13は第2アンテナ4bを用いて測距通信を実施するステップである。ステップS13は、スイッチ61の接続状態を第2接続状態に設定することと、携帯端末に向けて測距用信号を送信することと、携帯端末からの応答を受信することと、を含む。
 ステップS14は、信号処理部6xが携帯端末からの応答の受信結果に基づいて、受信強度、距離対応値(2周波位相差)、及び、測距値を取得するステップである。ステップS14は、距離対応値をもとに測距値に算出する工程を含む。第2アンテナ4bを用いた測距通信により観測された距離対応値に由来する測距値を、本開示では第2測距値とも称する。
 ステップS15は、第1測距値と第2測距値のうち、スマートECU等の外部装置に出力する測距値である出力用測距値を選択するステップである。出力用測距値は、携帯端末が車両近傍にいるか否か、車室内に存在するか否かといったデバイス位置の判定に使用されうる。そのため、出力用測距値は、位置判定用測距値と呼ぶこともできる。逆説的に、第1測距値や第2測距値は、位置判定に使用する測距値の候補と解することもできる。ステップS15は、第1アンテナ4aを用いて観測された測距値と、第2アンテナ4bを用いて観測された測距値のうち、デバイス位置の判定に使用する測距値を選択するステップと解することもできる。なお、ここでのデバイス位置とは、車両に対する携帯端末の相対位置を指す。デバイス位置は、車室内、運転席ドア付近、助手席付近、トランク付近その他といったエリアで表現されうる。もちろん、デバイス位置は、車両の所定位置を原点とする相対座標で表現されてもよい。
 信号処理部6xは、第1測距値と第2測距値のうち、小さい方を出力用測距値として採用する。携帯端末がマルチパス環境下にあって、携帯端末からの信号が他の物体で反射されて無線機100に到達している場合、測距値は実際の距離よりも長く算出されることがある。2つの測距値のうち、より小さい方の値は、マルチパスの影響を受けている可能性が相対的に小さい。上記制御は、このような事情に着眼して創出されたものであって、第1測距値と第2測距値のうち、小さい方を出力用測距値として採用することにより、誤った測距値に基づいて携帯端末の位置が判定される恐れを低減可能となる。なお、他の態様として信号処理部6xは、今回の距離報告処理で取得した2つの測距値のうち、前回の処理で採用した測距値からの変化量が小さい方を、今回の出力用測距値として選択してもよい。
 ステップS16は、第1受信強度と、第2受信強度のうち、スマートECU等の外部装置に出力する受信強度である出力用受信強度を選択するステップである。出力用受信強度もまた、デバイス位置の判定に使用されうる。そのため、出力用受信強度は、位置判定用受信強度と呼ぶこともできる。また、ステップS16は第1受信強度と、第2受信強度のうち、デバイス位置の判定に使用する受信強度を選択するステップと解することもできる。
 信号処理部6xは、第1受信強度と第2受信強度のうち、大きい方を出力用受信強度として採用する。他の態様として、信号処理部6xは、複数のアンテナ4のうち、算出された測距値が最も小さいアンテナ4で観測された受信強度を、スマートECUに出力するように構成されていても良い。測距値が最も小さいアンテナ4は、携帯端末からの直接波を受信できている可能性が高く、マルチパスフェージングの影響を受けている可能性が相対的に小さい。測距値がより小さいアンテナ4で観測された受信強度を出力用受信強度として採用する構成によれば、受信強度に基づく携帯端末の位置判定精度を高める効果が期待できる。
 ステップS17は、観測結果として、ステップS15で決定された出力用測距値と、ステップS16で決定された出力用受信強度とを含むデータセットを観測結果データとしてスマートECUに出力するステップである。ステップS17が完了すると本フローが終了する。観測結果データには、受信強度と測距値の他、送信元を示す情報として無線機100の識別番号である無線機IDや、観測時刻を示すタイムスタンプなどを含みうる。
 <信号処理部の作動のまとめと効果>
 上記信号処理部6xは、2つのアンテナのそれぞれを用いて観測された、2つの測距値のうち、相対的に小さい方の値を測距値として採用する。換言すれば、アンテナごとの測距値のうち、相対的に大きい方は破棄する。当該構成によれば、マルチパスの影響を受けた距離情報をデバイス位置の判定に使用する恐れを低減できる。ひいては、デバイス位置の判定精度を高めることができる。
 また、信号処理部6xは、2つのアンテナのそれぞれを用いて観測された、2つの受信強度のうち、相対的に大きい方の値を出力用受信強度として採用する。デバイス位置の判定に複数のアンテナで観測された受信強度を使用可能な構成においては、一般的には、各アンテナで観測された受信強度の平均値を使用する構成が考えられる。しかしながら、アンテナごとに偏波面が異なる場合には、携帯端末の姿勢に応じて、アンテナごとの感度が異なりうる。各アンテナの偏波面が異なる構成においては、複数アンテナでの受信強度を平均化してしまうと、デバイス位置の誤判定を誘引しうる。当該事情に対し、筐体内に設けられた複数のアンテナで観測された受信強度のうち最も大きいものを出力用受信強度として採用する構成によれば、アンテナと携帯端末の偏波面のミスマッチに由来してデバイス位置が誤判定される恐れを低減する効果が期待できる。
 以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、以降で述べる種々の変形例も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。下記の種々の補足や変形例などは、技術的な矛盾が生じない範囲において適宜組み合わせて実施することができる。
 <アンテナ構造に係る補足:変形例(1)>
 図2等に示した第1アンテナ4a、第2アンテナ4bの構造や位置関係は一例であり、適宜変更可能である。第1アンテナ4aは、図13に示すように図2に例示する姿勢を、X軸を対称軸として反転した姿勢で形成されていても良い。また、図14に示すように第1アンテナ4aと第2アンテナ4bは、互いの本体部71が略同一直線状に並ぶように配置されていても良い。アイソレーション確保のため、第1アンテナ4aと第2アンテナ4bとの離隔(D3)は、λ/8以上に設定されていることが好ましい。
 <アンテナ構造に係る補足:変形例(2)>
 アンテナ4の本体部71は図15に示すように屈曲部711を有していても良い。本開示の1つの特徴的な構成である電磁結合を利用した逆Fアンテナへの間接給電は、本体部71の一部がミアンダ状に形成されている構成にも適用可能である。間接給電とミアンダ形状を組み合わせることにより、アンテナ4をより一層小型化する効果が期待できる。また、給電素子8は必ずしも直線状である必要はなく、屈曲形状を有していても良いし、ループ状に形成されていても良い。図16に示すように給電素子8a、8bはグランド部31につながるループ状に形成されていても良い。
 <アンテナ構造にかかる補足:変形例(3)>
 第2アンテナ4bは立体形状を有していてもよい。第2アンテナ4bは、図17に示すように、本体部71bが基板に対して垂直となるように立設された、立体的な逆Fアンテナとして構成されていてもよい。
 図17に示す例では、第2アンテナ4bの短絡部72bは、グランド部31と同一面に形成されており、本体部71bは、当該短絡部72bの端部から上方向に向かって立設されている。被給電部73bは、回路基板3の上側面に形成されている給電素子8bと所定の間隔をおいて対向するように、本体部71bから延設されている。
 このような立体形状を有する第2アンテナ4bは、所定値以上の比誘電率を有する誘電体を材料とする、直方体状あるいは板状の支持部34によって固定されうる。第2アンテナ4bの本体部71bは、支持部34の表面にパターン形成されていても良い。被給電部73bは、支持部34の内部に設けられていても良いし、支持部34の側面部に設けられていても良い。
 なお、支持部34は、回路基板3と一体的に成形されていてもよい。そのような支持部34は段差部と称することもできる。また、支持部34は、回路基板3とは別に製造された誘電体ブロック/板であってもよい。支持部34は、回路基板3の表面に組み付けられた部材であってもよい。支持部34は、回路基板3の表面に固定されていれば良い。
 また、本体部71bの開放端側には、高さ抑制のための屈曲部711が形成されていても良い。本体部71bの開放端側は電流強度が相対的に小さいため、屈曲部711を設けることによるアンテナ特性への影響は許容範囲に収まることが期待できる。ここでのアンテナ特性とは、指向性や偏波面の偏り/劣化を指す。屈曲部711は、本体部71b全体の25%~50%程度の長さを有していても良い。
 放射素子7bに対して電磁結合を利用して間接給電する構成によれば、先の説明の通り、第1比較構成等に比べて本体部71bの長さを抑制できる。ひいては、図17に示すように、本体部71bを回路基板3に対して立設する構成において、第2アンテナ4bの高さを抑制する効果を得ることができる。
 図17では、短絡部72bをグランド部31と同一面に形成する態様を示したが、図18に示すように、短絡部72bは回路基板3の上側面に形成されていても良い。立体的な間接給電型逆Fアンテナとしての第2アンテナ4bは、支持部34としての樹脂ブロックと一体化されたモジュールとして形成されていても良い。図18に示す構成例では、短絡部72bは支持部34の底面に、本体部71bは支持部34の側面に、それぞれパターン形成された導体とすることができる。また、被給電部73bは支持部34の内部又は側面部に付加された導体である。当該被給電部37bは、支持部34において短絡部72bと所定の間隔を有する位置に、板金/導体ピンを挿入したり、パターン形成したりすることにより実現されうる。給電素子8bもまた、支持部34において被給電部73bと対向する位置に板金/導体ピンを挿入したり、内部にパターン形成したりすることにより、実現されうる。なお、給電素子8bは、支持部34内部に形成されている部分とスイッチ61の端子とを接続するための引き出し部81bを備えうる。引き出し部81bは支持部34の側面部にパターン形成されている。引き出し部81bは、ジャンパ線などであってもよい。
 <アンテナ構造にかかる補足:変形例(4)>
 立体的な第2アンテナ4bの構成例としては、図19に示す構成も採用可能である。図19に示す第2アンテナ4bは、短絡部72bと被給電部73bが回路基板3に対して垂直となり、且つ、本体部71bが回路基板3に対して平行となる姿勢で配置された構成に相当する。給電素子8bは、被給電部73bと所定の間隔をおいて対向する姿勢で、回路基板3に対して立設されている。当該第2アンテナ4bは、支持部34によって支持されうる。なお、第2アンテナ4b単体で十分な強度を確保可能である場合には、支持部34は省略されても良い。支持部34は任意の要素である。なお、短絡部72bは回路基板3に設けられたビア33を用いてグランド部31と電気的に接続されている。
 無線機100は回路基板3が取付対象部に対向する姿勢で取り付けられるため、第2アンテナ4bを立体アンテナとする構成によれば、第2アンテナ4bが車体に対して垂直な姿勢となる。故に、第2アンテナ4bからの電波を取付対象部から車体に沿うように伝搬させることが可能となる。無線機100をBピラーの外側面に取り付けた構成によれば、図20において破線で示すように、車体の側面部に沿う方向、すなわち、車両前後方向及び車両上下方向に向けて良好な通信エリアを形成可能となる。なお、図20の破線は回路基板3に対して立設された第2アンテナ4bが形成するビームを概念的に示しており、点線は、回路基板3の表面に平面状に形成された第1アンテナ4aが形成するビームを概念的に示している。各ビームの大きさや形状は、図の視認性を確保するために誇張して示している。
 また、逆Fアンテナではその形状設定によっては、短絡部72に強い電流が流れることがある。短絡部72と被給電部73とを近づけるほど、短絡部72に電流が集中しやすくなる。また、モノポールアンテナ等においては相対的に電流分布が密となる部分が、メインビームを形成しうる。当該事情を踏まえると、短絡部72に強電流が流れる設定においては短絡部72に直交する方向にメインビームが形成されうる。図19に示す構成においては、短絡部72bが回路基板3に対して垂直であるため、車両の側面部に沿う方向に強電界エリアを形成可能となる効果が期待できる。
 <アンテナ構造にかかる補足:変形例(5)>
 以上では第2アンテナ4bを間接給電型の逆Fアンテナとする構成について述べたが、第2アンテナ4bは、図21、図22に示すようにモノポールアンテナとして構成されていても良いし、逆Lアンテナとして構成されていてもよい。
 また、変形例(3)~(4)では第2アンテナ4bを立体アンテナとする構成について述べたが、第1アンテナ4aが立体的に構成されていても良い。第2アンテナ4bの立体構造にかかる上記説明は、回路基板3に対して立設するように形成された第1アンテナ4aの構造の説明として援用可能である。また、第1アンテナ4a、第2アンテナ4bの両方が立体アンテナとして構成されていても良い。ここでの立体アンテナとは、回路基板3の上側面に対して立設された部分を有するアンテナを指す。その他、第1アンテナ4aと第2アンテナ4bの形状/寸法は異なっていても良い。無線機100には3つ以上のアンテナ4が設けられていても良い。
 <アンテナ切り替えのための構成にかかる補足:変形例(6)>
 スイッチ61に相当する機能は通信IC63に内蔵されていても良い。信号処理部6xは、通信IC63において高周波信号を出力させるポート(端子)を切り替えることにより、測距等に使用するアンテナ4を切り替えるように構成されていても良い。
 <信号処理部の作動の補足:変形例(7)>
 取付対象部がドア側Bピラーなどの車両側面部であって、かつ、第2アンテナ4bを立体アンテナとする構成においては、信号処理部6xは、第2アンテナ4bで観測された受信強度を出力用受信強度として採用するように構成されていても良い。第2アンテナ4bは回路基板3に対して立設されていることから、第2アンテナ4bは、第1アンテナ4aよりも、車両近傍、ドアから1m以内に存在する携帯端末からの信号を受信しやすい。故に、第2アンテナ4bにおける受信強度は、第1アンテナ4aでの受信強度よりも、携帯端末が車室外のドア付近に存在するか否かの判断材料として好適でありうる。そのような事情から、信号処理部6xは、ステップS16として、第1アンテナ4aでの受信強度によらずに、第2アンテナ4bでの受信強度を出力用受信強度として選択するように構成されていてもよい。
 <信号処理部の作動の補足:変形例(8)>
 信号処理部6xは、図23に示すように受信強度がより強いアンテナ4と、測距値がより小さいアンテナ4とが一致しなかった場合には、測距値の出力を停止するか、または、エラー値を出力するように構成されていても良い。受信強度が大きいアンテナ4と測距値が小さいアンテナ4が一致しなかった場合とは、例えば、第1受信強度が第2受信強度よりも所定値以上大きく、かつ、第2測距値のほうが第1測距値よりも所定値以上小さい場合である。エラー値は、妥当性のある測距結果が得られていないことを示す所定値である。エラー値は、測距エラーコードと呼ぶこともできる。
 一般的には、受信強度が大きいほど、携帯端末からの信号を良好に受信できていることを意味する。携帯端末からの信号を良好に受信できている場合には、測距値も実際の携帯端末との距離に対する誤差が小さいことが期待できる。よって、複数のアンテナ4のうち受信強度が最も大きいアンテナと、測距値が最も小さいアンテナ4は一致することが期待できる。一方、マルチパス環境下においては反射波同士の干渉により、受信強度が本来の観測されるべき直接波の受信強度よりも高く評価される事が起こりうる。つまり、受信強度がより強いアンテナ4と、測距値がより小さいアンテナ4とが一致しないということは、通信環境が良好ではなく、相対的に距離の誤測定が生じやすい状況であることを示唆する。
 上記の構成は当該着想に基づいて創出されたものである。受信強度が最も大きいアンテナ4と、測距値が最も小さいアンテナ4とが一致しなかった場合には、測距値データの出力を停止するか、エラー値を出力する構成によれば、誤った測距値をもとに、システムを誤作動させる恐れを低減可能となる。なお、本開示における直接波とは、車体や地面などで反射されずに到達した信号を指す。直接波には、回り込み(回折)によって到達した信号である回折波を含めることができる。図23に示すフローチャートは、例えばステップS15のサブフローとして実行されうる。
 <付言>
 本開示に記載の信号処理部6xとしての装置、及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つ又は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路を用いて実現されてもよい。さらに、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。信号処理部6xが備える機能の一部又は全部はハードウェアとして実現されても良い。或る機能をハードウェアとして実現する態様には、1つ又は複数のICなどを用いて実現する態様が含まれる。プロセッサ(演算コア)としては、CPUや、MPU、GPU、DFP(Data Flow Processor)などを採用可能である。また、信号処理部6xが備える機能の一部又は全部は、複数種類の演算処理装置を組み合わせて実現されていてもよい。信号処理部6xが備える機能の一部又は全部は、FPGA、ASICなどを用いて実現されていても良い。FPGAはField-Programmable Gate Arrayの略である。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略である。コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な被遷移有形記録媒体(non- transitory tangible storage medium)に記憶されていてもよい。プログラムの保存媒体としては、HDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等を採用可能である。上述した無線機100の他、複数の無線機100とスマートECUを構成要素とする携帯端末の位置判定システムなど、種々の形態も本開示の範囲に含まれる。また、コンピュータを信号処理部6xとして機能させるための制御プログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の被遷移的実態的記録媒体等の形態も本開示の範囲に含まれる。

Claims (14)

  1.  基板(3)と、
     所定の周波数帯の電波を送信又は受信するためのアンテナ(4)と、
     前記アンテナにとってのグランド電位を提供する導体であるグランド部(31)と、を備えるアンテナモジュールであって、
     前記アンテナは、
     逆F型に形成された導体である放射素子(7)と、
     前記放射素子に電磁界結合で非接触に給電するための導体である給電素子(8)と、を有し、
     前記放射素子は、
     線状導体である本体部(71)と、
     前記本体部の一端を前記グランド部に接続する短絡部(72)と、
     一端が前記本体部の途中に接続され、他端が開放端となっている被給電部(73)と、を備え、
     前記給電素子は、前記被給電部の少なくとも一部と平行に形成されているアンテナモジュール。
  2.  請求項1に記載のアンテナモジュールであって、
     前記給電素子の幅は、前記被給電部の幅よりも所定量小さく設定されているアンテナモジュール。
  3.  請求項1又は2に記載のアンテナモジュールであって、
     前記本体部は屈曲形状を有するアンテナモジュール。
  4.  請求項1から3の何れか1項に記載のアンテナモジュールであって、
     前記給電素子はループ状であるアンテナモジュール。
  5.  請求項1から4の何れか1項に記載のアンテナモジュールであって、
     前記アンテナとして、第1アンテナ(4a)と第2アンテナ(4b)を備え、
     前記第1アンテナの本体部は、前記第2アンテナの本体部に対して直角となる方向に沿って形成されているアンテナモジュール。
  6.  請求項5に記載のアンテナモジュールであって、
     前記第1アンテナの前記本体部は、前記基板の表面にパターン形成されており、
     前記第2アンテナの前記本体部は、前記基板の表面に対して立設されているアンテナモジュール。
  7.  請求項5に記載のアンテナモジュールであって、
     前記第1アンテナの前記被給電部は、前記基板の表面にパターン形成されており、
     前記第2アンテナの前記被給電部は、前記基板の表面に対して立設されているアンテナモジュール。
  8.  基板(3)と、
     所定の周波数帯の電波を送受信するための第1アンテナ(4a)と、
     前記周波数帯の電波を送受信するための第2アンテナ(4b)と、
     前記第1、第2アンテナにとってのグランド電位を提供する導体であるグランド部(31)と、
     前記第1、第2アンテナのそれぞれを用いて対象装置と測距用信号を送受信する信号処理部(6x)と、を備える無線通信装置であって、
     前記第1、第2アンテナは何れも、
     逆F型に形成された導体である放射素子(7a、7b)と、
     前記放射素子に電磁界結合で非接触に給電するための導体である給電素子(8a、8b)と、を有し、
     前記放射素子は、
     線状導体である本体部(71a、71b)と、
     前記本体部の一端を前記グランド部に接続する短絡部(72a、72b)と、
     一端が前記本体部の途中に接続され、他端が開放端となっている、被給電部(73a、73b)と、を備え、
     前記給電素子は、前記被給電部の一部と対向するように形成されており、
     前記信号処理部は、
     前記第1アンテナを用いて前記対象装置と測距用信号を送受信することにより、前記対象装置までの距離を示すパラメータである測距値としての第1測距値を生成することと、
     前記第2アンテナを用いて前記対象装置と測距用信号を送受信することで、前記測距値としての第2測距値を生成することと、
     前記第1測距値と前記第2測距値のうちの小さい方を前記対象装置との距離情報として、前記対象装置の位置を判定する装置に向けて出力することと、を実施可能に構成されている無線通信装置。
  9.  請求項8に記載の無線通信装置であって、
     前記第2アンテナは、前記第2アンテナの前記本体部が、前記第1アンテナの前記本体部に対して垂直となる姿勢で設けられている無線通信装置。
  10.  請求項8又は9に記載の無線通信装置であって、
     前記第2アンテナは、その本体部または被給電部が前記基板の表面に対して立設されている無線通信装置。
  11.  請求項8から10の何れか1項に記載の無線通信装置であって、
     前記信号処理部は、
     前記第1アンテナで受信した前記対象装置からの信号の受信強度である第1受信強度を取得することと、
     前記第2アンテナで受信した前記対象装置からの信号の受信強度である第2受信強度を取得することと、
     前記第1受信強度と前記第2受信強度のうちの大きい方を、前記装置に向けて出力することと、を実施可能に構成されている無線通信装置。
  12.  請求項8から10の何れか1項に記載の無線通信装置であって、
     前記第2アンテナの前記本体部又は前記被給電部は、前記基板の表面に対して立設されており、
     前記信号処理部は、
     前記第2アンテナで受信した前記対象装置からの信号の受信強度である第2受信強度を取得することと、
     前記第2受信強度を、前記装置に向けて出力することと、を実施可能に構成されている無線通信装置。
  13.  請求項8から10の何れか1項に記載の無線通信装置であって、
     前記信号処理部は、
     前記第1アンテナで受信した前記対象装置からの信号の受信強度を取得することと、
     前記第2アンテナで受信した前記対象装置からの信号の受信強度を取得することと、
     前記第1アンテナと前記第2アンテナのうち、より小さい前記測距値が得られている方のアンテナで観測された前記受信強度を前記装置に向けて出力することと、を実施可能に構成されている無線通信装置。
  14.  請求項8から10の何れか1項に記載の無線通信装置であって、
     前記第1アンテナと前記第2アンテナのうち、より小さい前記測距値が得られているアンテナと、より大きい受信強度が得られているアンテナとが一致しなかった場合には、前記装置に向けて前記距離情報を出力することを停止するか、所定のエラー値を出力するように構成されている無線通信装置。
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