WO2023112375A1 - 顔料組成物、着色剤、及びインクジェットインク - Google Patents

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Abstract

本発明が解決しようとする課題は、IJ用インクに好適であり、分散安定性が高く、貯蔵安定性に優れた顔料組成物及びこれらを有する着色剤、特にIJ用インクを提供することにある。 本発明の顔料組成物は、キナクリドン顔料と、下記式(I)で表される化合物を含有する。 式(I) [式(I)中、nは1~8の整数である] 前記キナクリドン顔料として少なくともC.I.ピグメントレッド122を含むことが好ましい。

Description

顔料組成物、着色剤、及びインクジェットインク
 本発明は、キナクリドン顔料を含む顔料組成物、当該顔料組成物を含有する着色剤、及び当該着色剤を含有するインクジェット(IJ)インクに関する。
 キナクリドン顔料は、現在IJインクのマゼンタ色の着色成分として使用されている。IJ印刷の世界市場は2023年には対前年比+9.4%と、印刷業界全体の+0.8%(Smithers Pira社予測)と比較し、引き続き急成長が見込まれる成長市場である。よって、キナクリドン顔料は、今後も堅調に需要は伸びると推定されており、大変重要な製品群である。
 IJインクで使用されるキナクリドンの顔料組成物としては、分散性確保のため、キナクリドン顔料にスルホン酸処理をした誘導体を使用することが知られている。例えば下記特許文献1では、分子内に酸性基が1つ以上化学修飾された酸性顔料誘導体が記載され、酸性基としてスルホン酸基を有する化合物が記載されている(請求項1、2)。また、酸性顔料誘導体として、C.I.ピグメントレッド122-スルホン酸が記載されている([0022])。
 また、従来からキナクリドン顔料のスルホン酸誘導体として、ジクロロキナクリドン-スルホン酸金属塩も使用されている。しかし近年、環境・安全性の問題から顔料組成物の脱ハロゲン化が求められており、脱ハロゲン化を達成するにはジクロロキナクリドン-スルホン酸金属塩以外の処理剤を使用する必要がある。
特開2011-225834号公報
 本発明者らは、上記特許文献1におけるC.I.ピグメントレッド122-スルホン酸について検討したところ、IJインク用の分散体としたとき、初期粘度は低いが、貯蔵試験後に増粘が見られ、分散安定性が不十分であることが分かった(本願比較例2)。そこで、本発明者らは、スルホン酸基を何らかの金属塩とすることで誘導体の性能を変え、初期分散性に加えて分散安定性も確保することを考えた。特に、誘導体と樹脂のアニオン性置換基間で相互作用する多価金属カチオンに注目し、価数が安定し、安価の金属であるアルミニウムを選択し、C.I.ピグメントレッド122-スルホン酸アルミニウム塩を試したところ、ジクロロキナクリドン-スルホン酸金属塩以上に優れた分散性を示す上に、脱ハロゲン化を達成できることが分かった。
 本発明は、IJ用インクに好適であり、分散安定性が高く、貯蔵安定性に優れた顔料組成物及びこれらを有する着色剤、特にIJ用インクを提供する。
 即ち本発明は、
『項1. キナクリドン顔料と、下記式(I)で表される化合物を含有する顔料組成物。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
   式(I)
[式(I)中、nは1~8の整数である]
項2. 前記キナクリドン顔料として少なくともC.I.ピグメントレッド122を含む項1に記載の顔料組成物。
項3. 前記式(I)で表される化合物として、レーザー脱離イオン化質量分析法のネガティブモードでm/z値が541の分子を含有する項1又は2に記載の顔料組成物。
項4. 前記キナクリドン顔料100質量部に対して、前記式(I)で表される化合物の含有量が0.5質量部以上20.0質量部以下である項1~3のいずれか1項に記載の顔料組成物。
項5. 項1~4のいずれか1項に記載の顔料組成物を含む着色剤。
項6. 項5に記載の着色剤を含有するインクジェット(IJ)インク。』
に関する。
 本発明の顔料組成物は、分散安定性が高く、IJ用の分散体としたときの貯蔵安定性に優れる。そのため、IJ用インクとして好適である。
 以下、本発明を詳細に説明する。
[顔料組成物]
 本発明の顔料組成物は、キナクリドン顔料と、下記式(I)で表される化合物を含有する。以下、式(I)で表される化合物を、顔料誘導体(I)と称する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
   式(I)
[式(I)中、nは1~8の整数である]
 顔料誘導体(I)は、キナクリドン構造を構成するベンゼン環における水素原子の何れかがスルホン酸アルミニウム塩に置換された構造であり、置換基数をnで表している。通常このような化合物は、置換位置について特定することは極めて困難である。顔料誘導体(I)の同定は主に質量分析法で行われる。
 本発明の顔料組成物は、キナクリドン顔料100質量部に対して、顔料誘導体(I)を0.5質量部以上20.0質量部以下含むことが好ましい。また、当該含有量は、1.0質量部以上15.0質量部以下がより好ましく、1.5質量部以上10.0質量部以下がさらに好ましい。含有量が上記範囲であると、より分散安定性が高く、IJ用の分散体としたとき、貯蔵安定性に優れた効果が得られる。
 本発明の顔料組成物は、カルボン酸基を持つアクリル樹脂をバインダー樹脂とするとき、顔料誘導体(I)のスルホン酸アルミニウム塩とカルボン酸基が相互作用することで、顔料に対するバインダー樹脂の吸着量が増し、分散体中における顔料粒子間の距離が樹脂の立体障害により保たれるため、分散安定性が向上すると考えられる。
<キナクリドン顔料の説明>
 本発明に用いるキナクリドン顔料としては、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209などが挙げられる。特に、工業的にはC.I.ピグメントレッド122が重要であり、本発明では少なくともC.I.ピグメントレッド122を含むことが好ましい。また、キナクリドン顔料は、複数の前記C.I.ピグメントナンバーの顔料よりなる固溶体顔料であってもよく、C.I.ピグメントレッド122/C.I.ピグメントバイオレット19固溶体、C.I.ピグメントレッド122/C.I.ピグメントレッド202固溶体、C.I.ピグメントレッド202/C.I.ピグメントバイオレット19固溶体などが挙げられ、特に、C.I.ピグメントレッド122/C.I.ピグメントバイオレット19固溶体が重要である。
 このようなC.I.ピグメントレッド122は、市販品を用いても良いし、公知慣用の方法で製造して用いても良い。公知慣用の方法としては、例えば、2,5-ジアニリノテレフタル酸(C.I.ピグメントバイオレット19の原料)や、2,5-ジ-トルイジノテレフタル酸(C.I.ピグメントレッド122の原料)等の粗製キナクリドン顔料の原料を、ポリリン酸中で脱水環化し、水中に投入した後、析出させる方法などが挙げられる。前述のキナクリドン粗顔料を液媒体中で加熱することにより粒子径制御を行い、キナクリドン顔料を得ることができる。本発明に用いるキナクリドン顔料は前記製造後に適宜公知の処理を加えたものを用いても良い。C.I.ピグメントレッド122以外のキナクリドン顔料も市販品を用いても良いし、公知慣用の方法で製造して用いても良い。
<顔料誘導体(I)の説明>
 顔料誘導体(I)としては、式(I)中のnが1~3が好ましく、1~2がより好ましい。nが1の化合物は、下記の式(I-1)で表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
   式(I-1)
 本発明の顔料組成物は、レーザー脱離イオン化質量分析法のネガティブモードでm/z値が541の分子を含有することが好ましい。このレーザー脱離イオン化質量分析法のネガティブモードでm/z値が541の分子は、上記式(I-1)構造の分子からプロトン(H+)が脱離した分子(M-H)-と推定される。よって、このm/z値が541の分子を含む場合、上記式(I-1)で表される化合物を含有することが分かる。本発明の顔料組成物は、m/z値が541の分子を含む場合、該分子がインキ中で硫酸イオンを放出し2価の正電荷を帯びるため、顔料によりバインダー樹脂が吸着しやすくなり、より分散安定性に優れる分散体となる。
 以下に、顔料誘導体(I)の製造方法の一例を示す。顔料誘導体(I)として、上記式(I-1)で表される化合物を含有する場合を例として記載するが、式(I-1)で表される化合物以外の顔料誘導体(I)を含む場合も硫酸や硫酸アルミニウムの添加量を適宜調製することで同様に製造することができる。
 まず、C.I.ピグメントレッド122に高濃度の硫酸を加えて加熱反応させ、キナクリドン顔料のスルホン酸処理物を得る。その後、スルホン酸処理物と硫酸アルミニウムなどのアルミニウム塩を反応させて、顔料誘導体(I)を得る。
 C.I.ピグメントレッド122と硫酸との反応は、20~100℃の温度で、1~48時間加熱撹拌することで行う。使用する硫酸(例えば98質量%硫酸)の量は、例えばC.I.ピグメントレッド122 100質量部に対して、200~2000質量部である。反応後にエタノールなどのアルコールや純水で洗浄、濾過、遠心分離を行うことにより、ウェットケーキとしてスルホン酸処理物を得ることができる。
 その後、ウェットケーキとして得られたスルホン酸処理物に純水を加えて加熱撹拌し、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH8~12程度に調整し、さらに硫酸アルミニウム水和物を加えて撹拌して反応させる。このときの反応は20~90℃の温度で、10~60分程度で行うことができる。使用する硫酸アルミニウムとしては、硫酸アルミニウム無水物や硫酸アルミニウム14~18水和物を用いることができ、使用量は、例えばC.I.ピグメントレッド122のスルホン酸処理物100質量部に対して、10~100質量部程度である。反応後に水酸化ナトリウム水溶液でpHを5.0~7.0程に調整し、純水で洗浄、濾過して、ウェットケーキとしてC.I.ピグメントレッド122のスルホン酸アルミニウム塩が得られる。さらにこのウェットケーキを乾燥および粉砕して、粉体としてもよい。
<顔料組成物の製造方法>
 次に、本発明の顔料組成物を得る方法の一例を以下に述べるが、本発明はこれらに限定して解釈されるべきものではない。
 市販または公知慣例の方法で製造したキナクリドン顔料(例えばC.I.ピグメントレッド122)のウェットケーキを、水または有機溶剤に添加、撹拌してキナクリドン顔料スラリーを作製する。このキナクリドン顔料スラリーに、上記で得られた顔料誘導体(I)の乾燥粉体、ウェットケーキ、または水/有機溶剤に溶解させたスラリーを添加し、撹拌する。これを適宜、濾過、乾燥、粉砕することで本発明の顔料組成物が得られる。さらに水酸化ナトリウム水溶液などで適宜、顔料組成物のpH調整を行ってもよい。
[着色剤]
 本発明の着色剤は、本発明の顔料組成物を含む限り特に制限されない。本発明の着色剤としては、特にIJインク用途が好ましい。
[IJインク]
 上記IJインクは、本発明の顔料組成物とそれを分散させるための溶媒、バインダー樹脂とを含むことが好ましい。さらに本発明のIJインクは、必要に応じて湿潤剤(乾燥抑止剤)、浸透剤、界面活性剤など、また、その他の添加剤として防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを含んでいてもよい。
 上記溶媒としては、有機溶媒、水、水溶性溶媒などいずれであっても良いが、水及び/または水溶性溶媒が好ましい。すなわち、本発明のIJインクは、上述の本発明の顔料組成物の効果を発揮しやすい点から水性顔料分散液であることが好ましい。水溶性溶媒としては、アルコール成分などが挙げられ、アルコール成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどが挙げられる。水溶性溶媒としては、アルコール成分以外にもジエチレングリコールや、プロピレングリコール、トリエチレングリコールなどのグリコール類やグリセリン、多価アルコールの低級アルキルエーテル類などの成分を含んでいても良い。
 上記バインダー樹脂は、印字物の塗膜耐性を向上させる目的で使用される樹脂であり、本発明の顔料組成物の効果が得られやすい点で、カルボン酸基を持つアクリル樹脂を含むことが好ましい。このようなアクリル樹脂としては、例えば水分散性アクリル樹脂、水溶性アクリル樹脂が挙げられる。アクリル樹脂以外に、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどを含んでもよい。バインダー樹脂は、IJインクの全量に対して2~10質量%の範囲で使用することが好ましい。
 上記湿潤剤は、インクの乾燥防止を目的として添加する。乾燥防止を目的とする湿潤剤のIJインク中の含有量は3~50質量%であることが好ましい。本発明で使用する湿潤剤としては特に限定はないが、水との混和性がありインクジェットプリンターのヘッドの目詰まり防止効果が得られるものが好ましい。例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール、等が挙げられる。中でも、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールを含むことが安全性を有し、かつインク乾燥性、吐出性能に優れた効果が見られる。
 上記浸透剤は、被記録媒体への浸透性改良や記録媒体上でのドット径調整を目的として添加する。浸透剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、エチレングリコールヘキシルエーテルやジエチレングリコールブチルエーテル等のアルキルアルコールのエチレンオキシド付加物やプロピレングリコールプロピルエーテル等のアルキルアルコールのプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。
 上記界面活性剤は、表面張力等のインク特性を調整するために添加する。このために添加することのできる界面活性剤は特に限定されるものではなく、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、これらの中では、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
 アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられ、これらの具体例として、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩などを挙げることができる。
 ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルアルカノールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、等を挙げることができ、これらの中では、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマーが好ましい。
 その他の界面活性剤として、ポリシロキサンオキシエチレン付加物のようなシリコーン系界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルのようなフッ素系界面活性剤;スピクリスポール酸、ラムノリピド、リゾレシチンのようなバイオサーファクタント等も使用することができる。
 これらの界面活性剤は、単独で用いることもでき、また2種類以上を混合して用いることもできる。界面活性剤を添加する場合は、その添加量はインクの全質量に対し、0.001~2質量%の範囲が好ましく、0.001~1.5質量%であることがより好ましく、0.01~1質量%の範囲であることがさらに好ましい。界面活性剤の添加量が0.001質量%未満の場合は、界面活性剤添加の効果が得られない傾向にあり、2質量%を超えて用いると、画像が滲むなどの問題を生じやすくなる。
 防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等のその他の添加剤は、IJ用途に通常使用させる成分を適度に含有させることができる。
 インクの物理特性については特に限定はされないが、IJインクとしての吐出性に考慮して、測定温度25℃において、粘度は1~10(mPa・s)が好ましく、表面張力は20~50(mN/m)が好ましく、顔料濃度は1~10質量%であることが好ましい。
 IJインクは、上記本発明の顔料組成物に、水溶性溶媒及び/または水、バインダー目的のアニオン性基含有有機高分子化合物等を加えて顔料分散体を得た後、所望の物性に必要に応じて湿潤剤(乾燥抑止剤)、浸透剤、あるいはその他の添加剤を添加して調製することにより得られる。さらにインクの調整後に、遠心分離あるいは濾過処理工程を加えてもよい。
 本発明の着色剤は、IJインク以外の用途として、印刷インキ、塗料、プラスチック用着色剤、文具・筆記具用着色剤、捺染剤、トナー、カラーフィルタ用分散液・レジスト、及び化粧料などの用途でも使用することができる。
 上記印刷インキとしては、グラビア印刷インキ、オフセット印刷インキ、フレキソ印刷インキが挙げられる。このような印刷インキとしては、キナクリドン顔料、キナクリドン顔料以外の顔料、染料、樹脂、油脂、溶剤、各種添加剤など一般的な印刷インキ用途の材料を含む。キナクリドン顔料以外の顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどの有機顔料、酸化チタン、カーボンブラックなどの合成無機顔料、パール顔料、金属粉などの特殊顔料などが挙げられる。樹脂としては、インキの種類や用途に応じて、ポリウレタン(PU)樹脂、ニトロセルロース(NC)、ポリアミド(PA)樹脂、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂などが挙げられる。溶剤としては、トルエン、キシレンなどの芳香族有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノールなどのアルコール系溶剤、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-i-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-i-プロピルエーテルなどの(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどの(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート系溶剤、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどの他のエーテル系溶剤、水などが挙げられる。油脂としては、動植物油、加工油、鉱油などが挙げられる。各種添加剤としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性などの界面活性剤、ガムロジン、重合ロジン、不均化ロジン、水添ロジン、マレイン化ロジン、硬化ロジン、フタル酸アルキッド樹脂などロジン類、顔料誘導体、分散剤、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、ワックス成分などが挙げられる。
 上記塗料としては、キナクリドン顔料、キナクリドン顔料以外の顔料、樹脂、溶剤、各種添加剤など一般的な塗料(金属、プラスチック)用途の材料を使用することができる。キナクリドン顔料以外の顔料としては、上記と同じものが使用できる。樹脂としては、各種用途に応じてアクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂などが使用できる。溶剤としては、水、アルコールなどの水性溶剤、トルエン、キシレン、エステル、ケトン系の有機溶剤、ターペン系溶剤などが使用できる。各種添加剤としては、用途に応じて艶消し剤、界面活性剤、たれ防止剤、消泡剤、色別れ防止剤、防腐剤・防カビ剤、可塑剤、皮張り防止剤、レベリング剤などが使用できる。
 上記プラスチック用着色剤としては、キナクリドン顔料、キナクリドン顔料以外の顔料、染料、各種添加剤など一般的なプラスチック着色剤用途の材料を使用することができる。キナクリドン顔料以外の顔料としては、上記と同じものが使用できる。染料としては、アゾ系やアントラキノン系が挙げられる。各種添加剤としては、ワックス、重金属不活性剤、アルカリ金属、アルカリ土類金属または亜鉛の金属石けん、ハイドロタルサイト、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤などからなる帯電防止剤、ハロゲン系、リン系または金属酸化物等の難燃剤、エチレンビスアルキルアマイド等の滑剤、フェノール系やリン酸系などの酸化防止剤、サリチル酸系、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光安定剤、軟化剤、可塑剤、気泡防止剤、光安定剤、抗菌剤、増核剤、架橋助剤、シランカップリング剤、アンチブロッキング剤、銅害防止剤、中和剤、加工助剤、充填剤などが挙げられる。
 本発明の着色剤を使用して着色するプラスチック樹脂としては、例えば、ポリアミド(ナイロン)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、アクリロニトリル-スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル-スチレン樹脂、ABS樹脂が挙げられる。これらのプラスチック樹脂への着色方法としては、マスターバッチ、着色ペレット、ドライカラー(カラーコンパウンド)、ペーストカラーなどいずれの方法であってもよい。
 上記文具・筆記具用着色剤としては、キナクリドン顔料、キナクリドン顔料以外の顔料、染料、各種添加剤など一般的な文具・筆記具用途の材料を使用することができる。キナクリドン顔料以外の顔料としては、上記と同じものが使用できる。染料としては、アゾ系やアントラキノン系などが挙げられる。各種添加剤としては、紫外線吸収剤、抗酸化剤等の耐久性向上剤、沈降防止材、剥離剤又は剥離性向上剤、芳香剤、抗菌剤、防黴剤、可塑剤、乾燥防止剤などが挙げられる。文具・筆記具としては、色彩ボールペン、マーカー、色鉛筆、絵の具、クレヨンなどいずれであってもよい。
 上記捺染剤としては、キナクリドン顔料、キナクリドン顔料以外の顔料、アクリル系やウレタン系のバインダー樹脂、水や有機溶剤などの溶剤、各種添加剤など一般的な捺染剤用途の材料を使用することができる。キナクリドン顔料以外の顔料としては、上記と同じものが使用できる。各種添加剤としては、架橋剤、増粘剤、目詰まり防止剤、遅乾剤、商法剤などが挙げられる。捺染剤を用いた捺染方法は、手捺染(ハンドプリント・ターンテーブル)、機械捺染(フラットスクリーン、ロータリースクリーン)、浸染等のプリント方式などいずれであってもよく、化学繊維の原料(原液、溶液、ポリマーなど)を直接着色する(いわゆる原液着色)であってもよい。
 上記トナーとしては、キナクリドン顔料、キナクリドン顔料以外の顔料、バインダー樹脂、磁性粉、各種添加剤など一般的なトナー用途の材料を使用することができる。キナクリドン顔料以外の顔料としては、上記と同じものが使用できる。バインダー樹脂としては、熱、または圧力の適用下で接着性を示す天然樹脂、合成樹脂、天然ゴム、合成ゴム、合成ワックスなどが挙げられる。各種添加剤としては、電荷制御剤(CCA)、離型剤などが挙げられる。トナーは、トナー中に磁性体を含有する1成分色磁性トナー、磁性体を含有しない非磁性1成分色トナー、またはキャリアを混合した2成分色現像剤用トナーなどいずれであってもよい。
 上記カラーフィルタ用分散液・レジストにおける分散液は、具体的には、液晶などのカラーフィルタに使用される顔料と、これを分散させる溶剤を含む液体であり、レジストは当該分散液とさらに感光剤、光開始剤、レベリング剤などの各種添加剤を含む液体である。顔料としては、キナクリドン顔料、キナクリドン顔料以外の顔料が挙げられ、キナクリドン顔料以外の顔料としては、特にカラーフィルタ用途に通常用いられるフタロシアニン、ジオキサジン、アントラキノン、ジケトピロロピロールなどが挙げられる。
 上記化粧料としては、キナクリドン顔料、キナクリドン顔料以外の有機顔料、染料などの有機合成色素、天然色素、無機顔料、パール剤、ラメ剤、溶剤、各添加剤など一般的な化粧料用途の材料を使用することができる。キナクリドン顔料以外の有機顔料としては、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号、赤色202号、赤色226号、黄色401号、カルサミン、シコニン、アントシアニンなどが挙げられる。染料としては、タール色素などが挙げられる。天然色素としては、βカロテン、パプリカ色素、クチナシ青などが挙げられる。無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ベンガラ、酸化クロム、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青などが挙げられる。パール剤としては、マイカチタン、酸化マイカチタン、オキシ塩化ビスマスなどが挙げられる。ラメ剤としては、アルミ蒸着フィルム末、積層樹脂フィルム末などが挙げられる。溶剤としては、ワックス、オイル、鉱油などの油性成分、水、エタノールなどの水性成分が挙げられる。各添加剤としては、キレート剤、湿潤剤、レオロジー改質剤、乳化剤、皮膚軟化剤、増粘剤、防腐剤、抗界面活性剤、界面活性剤、安定剤、中和剤、ビタミン剤、酸化防止剤、皮膚保護剤、皮膚感触増進剤、光沢増進剤、香料、結合剤などが挙げられる。
 上記化粧料は、種類や用途・目的は問わず、ファンデーション(フェイスカラー、コンシーラーなど)、化粧下地(メークアップベース、プレメークアップなど)、おしろい(フェイスパウダー)、口紅(リップスティック、リップルージュ、リップカラー、リップペンシル、練紅、リップグロス、リップライナーなど)、アイメークアップ(アイシャドウ、アイカラー 、アイライナー、眉墨、アイブローペンシル、アイブローブラッシュ、マスカラ、まつげ化粧料など)、頬化粧料(頬紅、チークカラー、チークルージュなど)、爪化粧料(ネイルエナメル、マニキュア、ネイルカラー、ネイルポリッシュ、ペディキュア、ネイルラッカー、トップコート、ベースコートなど)、毛髪着色料(染毛料、ヘアカラースプレー、ヘアカラースティック、カラーリンス、ヘアマニキュアなど)などいずれであってもよい。
 以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例及び比較例において特に断りの無い限り、「%」は「質量%」を表すものとする。
 本実施例において、レーザー脱離イオン化質量分析法のネガティブモードにおけるm/z値は、下記方法により測定した。測定は日本電子株式会社製マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析計JMS-S3000を用いた。サンプル20mgをエタノール(関東化学株式会社製)10mLに加え、超音波にて懸濁させたものを測定溶液に使用した。
[測定条件]
 測定試料:HST社製の384スポット測定プレートに、測定溶液1μLをスポットし風乾させる
 測定モード:スパイラルTOF・ネガティブモード
 レーザー強度:50%
 遅延引き出し時間(DelayTime):200ナノ秒
 Detector:50%
 トレース回数:200~250ショット
(調整例1)[PR122SAの合成]
 C.I.ピグメントレッド122(DIC株式会社製)10部を98%硫酸(関東化学株式会社製)100部に加え、100℃で24時間撹拌した。反応液を室温まで冷やした後、エタノール(関東化学株式会社製)500部を加えて1時間撹拌し、濾過、エタノール500部により洗浄した。得られた濾物を純水100部に加えて撹拌し懸濁させた後、遠心分離により液相と固相に分けた。液相を捨てて固相を取り出し、C.I.ピグメントレッド122スルホン酸(PR122SA)のウェットケーキを得た。レーザー脱離イオン化質量分析法のネガティブモードでこのPR122SAの測定を行ったが、m/z値が541の分子は検出できなかった。このPR122SAは、以下の化合物であると推測される(以下、PR122SAにおけるnは1又は2である)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
    PR122SA
(調整例2)[PR122SA-Alの合成]
 PR122SAのウェットケーキ(固形分18.5%)27部を純水200部に加え、撹拌しながら80℃に昇温した。ウェットケーキの塊が消滅した後、25%水酸化ナトリウム水溶液でpH11.5に調整し、30分間撹拌、さらに硫酸アルミニウム14~18水和物(関東化学株式会社製)3.3部を加えて30分間撹拌した。これを25%水酸化ナトリウム水溶液でpH6.0に調整し、濾過して、化学式(I-1)で表されるC.I.ピグメントレッド122スルホン酸のアルミニウム塩(PR122SA-Al)のウェットケーキを得た。レーザー脱離イオン化質量分析法のネガティブモードでこのPR122SA-Alの測定を行い、m/z値が541の分子を確認した。
(調整例3)[PR209SAの合成]
 C.I.ピグメントレッド209(DIC株式会社製)20部を98%硫酸(関東化学株式会社製)200部に加え、110℃で5時間撹拌した。反応液を室温まで冷やした後、冷水1000部に反応液を注いで1時間撹拌し、濾過、水洗した。得られた濾物を800mLのエタノールに加え、撹拌し懸濁させた後、遠心分離により液相と固相に分けた。液相を捨てて固相を取り出し、C.I.ピグメントレッド209スルホン酸(PR209SA)のウェットケーキを得た。
(調整例4)[PR209SA-Alの合成]
 前記調整例2のPR122SAのウェットケーキをPR209SAのウェットケーキ(固形分17.1%)29部に変更した以外は同様の操作を行い、C.I.ピグメントレッド209スルホン酸のアルミニウム塩(PR209-SA)のウェットケーキを得た。レーザー脱離イオン化質量分析法のネガティブモードでこのPR209SA-Alの測定を行ったが、m/z値が541の分子は検出できなかった。
(合成例1)[キナクリドン顔料組成物(QA-1)の合成]
 PR122SA-Alのウェットケーキ(固形分11.8%)8.47部を純水30部に加え、30分間撹拌し、PR122SA-Alの水スラリーを作製した。これとは別に、C.I.ピグメントレッド122(DIC株式会社製,固形分21.3%)93.9部を純水400部に加え、撹拌しながら80℃に昇温し、25%水酸化ナトリウム水溶液でpH8.5に調整した。ここに、PR122SA-Alの水スラリーを加え、30分間撹拌し、25%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に調整した。次に、反応液を濾過し、純水2000部で洗浄、送風乾燥(98℃、18時間)、粉砕し、キナクリドン顔料組成物(QA-1)を得た。
(合成例2)[キナクリドン顔料組成物(QA-1’)の合成]
C.I.ピグメントレッド122(DIC株式会社製,固形分21.3%)93.9部を、送風乾燥(98℃、18時間)、粉砕し、キナクリドン顔料組成物(QA-1’)を得た。
(合成例3)[キナクリドン顔料組成物(QA-2’)の合成]
 PR122SAのウェットケーキ(固形分18.5%)5.41部を純水30部に加え、30分間撹拌し、PR122SAの水スラリーを作製した。これとは別に、C.I.ピグメントレッド122(DIC株式会社製,固形分21.3%)93.9部を純水400部に加え、撹拌しながら80℃に昇温し、25%水酸化ナトリウム水溶液でpH8.5に調整した。ここに、PR122SAの水スラリーを加え、30分間撹拌し、25%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に調整した。次に、反応液を濾過し、純水2000部で洗浄、送風乾燥(98℃、18時間)、粉砕し、キナクリドン顔料組成物(QA-2’)を得た。
(合成例4)[キナクリドン顔料組成物(QA-3’)の合成]
 PR209SA-Alのウェットケーキ(固形分17.1%)5.85部を純水30部に加え、30分間撹拌し、PR209SA-Alの水スラリーを作製した。これとは別に、C.I.ピグメントレッド122(DIC株式会社製,固形分21.3%)93.9部を純水400部に加え、撹拌しながら80℃に昇温し、25%水酸化ナトリウム水溶液でpH8.5に調整した。ここに、PR209SA-Alの水スラリーを加え、30分間撹拌し、25%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に調整した。次に、反応液を濾過し、純水2000部で洗浄、送風乾燥(98℃、18時間)、粉砕し、キナクリドン顔料組成物(QA-3’)を得た。
(実施例1、比較例1~3)[評価用水性IJインクの作製]
 下記表1に示す通り、上記合成例1~4で得られたキナクリドン顔料組成物それぞれについて、キナクリドン顔料組成物10.0部、スチレン-アクリル樹脂(DIC株式会社製)7部(樹脂分3部)、イソプロパノール(関東化学株式会社製)1.0部、5%水酸化カリウム水溶液9.7部、純水72.3部、0.5mmジルコニアビーズ250部を100mLポリエチレン製広口瓶に入れ、ペイントシェーカー(株式会社東洋精機製作所製)で2時間分散し、顔料分散液を得た。続いて、得られた顔料分散液を、高速遠心機H-2000B(コクサン株式会社製)を用いて6000Gで30分間遠心分離し、上澄みを採取することで顔料濃度9.5%の水性顔料分散体を得た。
 上記水性顔料分散体42.1部、界面活性剤としてサーフィノール465(エボニックインダストリーズ製)1.0部、保湿剤としてグリセリン(関東化学株式会社製)15.0部、プロピレングリコール(関東化学株式会社製)を10.0部、さらに合計質量が100部となるよう純水を混合した。次に、MF-Milipore SCWP(Merck株式会社製)および、GLASS FIBER PREFILTERS AP25(Merck株式会社製)を用いて減圧濾過することで、顔料濃度が4.0%の評価用水性IJインクを得た。
[インク粘度安定性(粘度変化率)の評価]
 上記方法で作製した直後の評価用水性IJインクの粘度を、20℃の環境下でE型粘度計を用いて測定した(初期粘度)。次に、水性インク10mLをガラス容器に密閉し、70℃で2週間静置し、静置後のIJインクの粘度を、E型粘度計を用いて測定した(経時粘度)。
IJインクの貯蔵試験前後の変化率を下記式に基づき算出し、以下の基準に基づき分散安定性を評価した。
粘度変化率(%)=(経時粘度-初期粘度)/初期粘度×100
分散安定性A:粘度変化率±10%未満
分散安定性B:粘度変化率±10%以上、±50%未満
分散安定性C:粘度変化率±50%以上
 得られた各評価用水性IJインクの初期粘度、経時粘度、粘度変化率、分散安定性を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 上記表1より、実施例1の本発明の顔料組成物は、比較例1の顔料誘導体なしの顔料組成物、比較例2のC.I.ピグメントレッド122スルホン酸で処理された顔料組成物、及び比較例3のC.I.ピグメントレッド209スルホン酸のアルミニウム塩で処理された顔料組成物に比べて、粘度変化率が小さく、分散安定性が良いことが分かる。よって、本発明の顔料組成物は、着色剤、特にIJ用インク用途に好適である。

Claims (6)

  1.  キナクリドン顔料と、下記式(I)で表される化合物を含有する顔料組成物。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
       式(I)
    [式(I)中、nは1~8の整数である]
  2.  前記キナクリドン顔料として少なくともC.I.ピグメントレッド122を含む請求項1に記載の顔料組成物。
  3.  前記式(I)で表される化合物として、レーザー脱離イオン化質量分析法のネガティブモードでm/z値が541の分子を含有する請求項1又は2に記載の顔料組成物。
  4.  前記キナクリドン顔料100質量部に対して、前記式(I)で表される化合物の含有量が0.5質量部以上20.0質量部以下である請求項1又は2に記載の顔料組成物。
  5.  請求項1又は2に記載の顔料組成物を含む着色剤。
  6.  請求項5に記載の着色剤を含有するインクジェットインク。
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