WO2023095923A1 - コーティング組成物および物品 - Google Patents

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Abstract

無機化合物粒子と、バインダー成分と、溶媒と、抗菌/抗ウイルス剤と、を含み、前記酸化ケイ素粒子を100質量部としたとき、前記バインダー成分の含有量が1質量部以上25質量部以下であることを特徴とするコーティング組成物。

Description

コーティング組成物および物品
 本発明は、抗菌/抗ウイルス性を有する層を形成するためのコーティング組成物および抗菌/抗ウイルス性を有する層を有する物品に関する。
 衛生上の配慮やウイルス感染対策として、様々な物品に抗菌/抗ウイルス性を付与するためのコーティングが開発されている。
 例えば、トイレや浴室、洗面台といった水回り設備では、空気中に浮遊しているカビの胞子や酵母が水滴に付着し、有機物汚れを栄養に成長・増殖することで黒ずみや赤シミが発生しやすい。このような水回り設備には、主に抗菌性が求められる。
 また、医療機器の部品外装、タッチパネル付表示装置、階段や電車の手すり等の不特定多数の人が触れる可能性のある物品の場合、ウイルスや菌が付着する可能性が高く、繁殖して人体に影響をおよぼす恐れがある。このような物品には抗菌性と抗ウイルス性が求められる。
 特許文献1には、5~100nmナノシリカとシリケートオリゴマーと低温焼成用ガラス粉末とカルボキシメチルセルロースナトリウムと合成洗剤とを混合した親水性コーティング剤が開示されている。この親水性コーティング剤を用いて得られる塗膜には、親水性、防汚性、抗菌性、耐水性、耐候性を付与することができる。
 特許文献2には、酸化ケイ素系マトリクス原料成分を主体とするバインダー成分と、銀や銅などの抗菌活性物質と、を含む液状組成物を塗布して、抗菌性を有するコーティング膜を形成する技術が開示されている。
特開2020-29549号公報 国際公開第2015/166858号
 特許文献1や特許文献2に記載の抗菌性を有する膜は、膜を形成するための塗工液の成分から、多孔質構造を有していないと推測される。このような多孔質構造でない緻密な膜の場合、抗菌成分が膜中を移動することは困難であるため、膜表面の抗菌成分が消失してしまうと抗菌効果を発現できなくなり、長期にわたって抗菌効果を持続させることができない。
 本発明では、抗菌/抗ウイルス作用を長期にわたって持続可能な部品、およびそのような部品を得ることのできるコーティング組成物を提供することを目的とする。
 発明にかかるコーティング組成物は、無機化合物粒子と、バインダー成分と、抗菌/抗ウイルス剤と、を含み、前記無機化合物粒子を100質量部としたとき、前記バインダー成分の含有量が1質量部以上25質量部以下であることを特徴とする。
 また、本発明にかかる物品は、基材と、前記基材の少なくとも一方の主面に多孔質層を有し、前記多孔質層がバインダーによって互いに結着された複数の無機化合物粒子と、抗菌/抗ウイルス剤と、を含むことを特徴とする。
 本発明によれば、抗菌/抗ウイルス作用を長期にわたって持続可能な層を得ることのできるコーティング組成物およびコーティング組成物から層を有する物品を提供することができる。
コーティング組成物を塗工する前の基材を表す図である。 本発明にかかる物品を部分的に拡大した模式図である。 コーティング組成物の一例を説明する模式図である。
 図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明するが、本発明は以下に示す具体例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で変更が可能である。以下の説明および図面において、複数の図面に共通する構成については、同一の符号を付している。また、同一の符号を付した構成については、説明を省略する場合がある。
 [物品の構成]
 図1Aはコーティング組成物を塗工する前の基材21を表す図であり、図1Bは本発明にかかるコーティング組成物を塗工した基材21であって、本発明にかかる物品を部分的に拡大した模式図である。コーティング組成物を塗工する前の基材(下地)21の表面には、環境中のカビや菌、ウイルス等の汚染物22が存在する(図1A)。
 本発明にかかるコーティング組成物は、無機化合物粒子とバインダー成分と抗菌/抗ウイルス剤と溶媒とを含んでいる。基材21の表面にコーティング組成物が塗工されると、溶媒に分散もしくは溶解している抗菌/抗ウイルス剤が、基材21の表面に存在する汚染物22に働きかけ、それらの繁殖を抑制したり破壊あるいは不活性化したりする。基材21の上に塗布されたコーティング組成物が乾燥すると、抗菌/抗ウイルスの効果を発現する層31として機能する。
 基材21の材質は、特に限定されるものではなく、ステンレス、陶器、ガラス、樹脂でありうる。また基材21の形状は、コーティング組成物が塗工できればよく、平面、曲面、凹凸面、これらを組み合わせた様々な形状を取り得る。基材21の具体的としては、タッチパネル表示装置、ドアノブや吊革や手すり、シンクやトイレなどの水回り設備、窓ガラス、車のボディーなどが挙げられる。
 また、樹脂、ガラス、金属などのフィルムや板の上にコーティング組成物を塗工して層を形成した後、前述の物品の表面に貼り付けて、部品に抗菌/抗ウイルス性を与える方法を用いても良い。
 基材21に塗布されたコーティング組成物に含まれる溶媒が揮発・乾燥すると、バインダー成分の硬化物(バインダー)12によって複数の無機化合物粒子11が互いに結着され、多孔質構造を有する層(多孔質層)31が形成される。図1Bに示すように、層31に含まれる細孔15は、複数の無機化合物粒子間11の隙間が互いにつながって連通したものである。抗菌/抗ウイルス剤14は、細孔15の壁面に付着して層31の内部に保持される。
 層31を構成する無機化合物粒子が親水性を有しているため、細孔15表面が親水性となり、空気中の水分26を細孔15の内部に取り込むことができる。取り込まれた水分26が、細孔15の壁面に付着している抗菌/抗ウイルス剤14に起因する抗菌/抗ウイルス成分を膜の表面へと随時供給するため、膜31は長期にわたって抗菌/抗ウイルス性を維持することが可能となる。
 また、無機化合物粒子の親水性により、層31の表面も親水性を有するため、水洗いをしたり、水やアルコールを含んだ不織布等で拭き取りをしたりすることで、層31の表面から汚染物22を容易に除去することができる。拭き取りの際、汚染物22と共に層31の表面に存在する抗菌/抗ウイルス成分が減少しても、層31の内部に保持された抗菌/抗ウイルス剤14から、細孔15を介して抗菌/抗ウイルス成分が層31の表面に供給される。これにより、長期にわたって抗菌/抗ウイルス性を維持することが可能となる。
 抗菌/抗ウイルス成分は、用いる抗菌/抗ウイルス剤によって異なる。抗菌/抗ウイルス剤そのものが抗菌/抗ウイルス成分となる場合もあれば、抗菌/抗ウイルス剤から発生する物質が抗菌/抗ウイルス成分となる場合もある。例えば、後述する有機系抗菌/抗ウイルス剤の場合は、抗菌/抗ウイルス剤そのものが抗菌/抗ウイルス成分として機能する。無機系抗菌/抗ウイルス剤の場合は、細孔15に取り込まれた水との反応によって活性酸素(ヒドロキシラジカル等)を発生させ、この活性酸素が抗菌/抗ウイルス成分として機能する。
 一定期間の使用に耐えうる強度を有し、且つ抗菌/抗ウイルス性に優れた層31を実現するためには、層31の膜厚方向の断面において、膜厚の半分を超える径を有する空隙が含まれていないのが好ましい。空隙の径は、層31の膜厚方向の断面において、走査型顕微鏡を用いて観察される空隙に相当する複数の領域の円相当径の平均値とする。層31の膜厚方向の断面を5か所切り出し、走査型顕微鏡で拡大する。走査型電子顕微鏡像によって観察した観察画像を画像処理によって粒子やバインダー、抗菌剤に相当する領域と、空隙に相当領域とに分ける。各空隙に相当する領域の面積から円相当径を算出し、その平均値から空隙の径を測定する。画像処理方法としては、image Pro PLUS(メディアサイバネティクス社製)など市販の画像処理を用いることができる。所定の画像領域において、必要であれば適宜コントラスト調整を行い、市販の粒子測定ソフトによって各空隙の円相当径を計測し、平均値を求めることができる。
 層31の好ましい膜厚を考慮すると、膜31に径100nmを超える大きな空隙が含まれていない状態が好ましい。
 層31の膜厚は、特に制限されないが、0.02μm以上10μm以下とすることが好ましい。より好ましくは0.04μm以上5μm以下である。
 膜厚が0.02μmより小さいと、抗菌/抗ウイルス剤14の量が不足して十分な抗菌/抗ウイルス性が得られない場合がある。その対策として、抗菌/抗ウイルス剤14の配合量を増やすと、コーティング膜の強度が低下して水や人との接触等により摩滅し、膜厚の減少により抗菌/抗ウイルス剤14の量が不足するおそれがある。膜厚が10μmを超えると、コーティング組成物の乾燥後に膜割れを起こしやすくなる傾向があり、基材21の表面から剥がれ落ち易くなってしまう。
 (抗菌/抗ウイルス剤)
 抗菌/抗ウイルス剤は特に制限されず、公知のものを用いることができる、無機系、有機系いずれであってもよい。
 有機系の抗菌/抗ウイルス剤は、無機系のものよりも無機化合物粒子11と結合しにくい傾向にあり、層31内を移動しやすい。そのため、無機系の抗菌/抗ウイルス剤に比べると持続期間が短くなる可能性があるが、高い抗菌効果が得られる。有機系の抗菌/抗ウイルス剤を使用する際は、コーティング組成物を塗りなおすことで、高い効果を持続させることができる。必要に応じて、コーティング組成物を塗布する前に、基材21に付着している層31を除去してもよい。
 有機系抗菌/抗ウイルス剤としては、例えば、チモール、イソプロピルメチルフェノールなどのC1014Oで表されるモノテルペン誘導体、パラベン、チアペンタゾール、第4アンモニウム塩、フェノールエーテル誘導体、イミダゾール誘導体、カルバミン酸エステル誘導体、スルホン誘導体、有機チッ素系化合物、N-ハロアルキルチオ化合物、有機ハロゲン化物、アニリド誘導体、ピロール誘導体、ピリジン系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾイソチアゾリン系化合物、及び、イソチアゾリン系化合物、アルコール類等が挙げられ、これらからなる群より選択される少なくとも1種を好ましく用いることができる。コーティング組成物あるいは層に含まれる有機系抗菌/抗ウイルス剤14は、元素分析やイオン排除クロマトグラフィ等による有機の分離定量分析などにより特定することができる。
 有機系抗菌/抗ウイルス剤には、アルコールや水に対する溶解性を有するものが存在するが、水に接する機会の多い部材の場合は、水に対する溶解性が低いものを用いるとよい。有機系抗菌/抗ウイルス剤の水に対する溶解性が低いと、層31が流水に晒されても多量に流れ出さないため、層31の内部に留まりやすく抗菌/抗ウイルス性を持続することができる。
 無機系抗菌/抗ウイルス剤としては、銅、銀、亜鉛、ニッケルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を好ましく用いることができる。無機系抗菌/抗ウイルス剤としては、例えば、特開平6-271472号公報、特開2012-210557号公報、特開2012-229424号公報、特表2014-519504号公報、特開2014-122457号公報、国際公開第2014/132606号、国際公開第2015/166858号公報、国際公開2016/042913号公報、特開2020-40935号公報、あるいは、特開2020-12214号公報に記載された物質を用いることができる。ここに、これらの文献の開示内容を援用して本明細書の開示内容の一部とする。コーティング組成物や層に含まれる無機系抗菌/抗ウイルス剤14は、元素分析や、イオンクロマトグラフィ等による定量分析などにより特定することができる。
 層31に含まれる抗菌/抗ウイルス剤の量は特に制限されないが、0.01質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上40質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上30質量%以下が更に好ましく、1質量%以上30質量%以下が特に好ましい。0.01質量%より少ないと十分な抗菌性が得られない傾向がみられ、50質量%より多いと膜強度が弱くなるため、流水に曝されたり人が触れたりすることで容易に膜が消失する傾向がみられる。層31に含まれる抗菌/抗ウイルス剤の量は蛍光X線分析によって算出することができる。
 抗菌/抗ウイルス剤は1種だけを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の抗菌/抗ウイルス剤を用いる場合、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
 抗菌/抗ウイルス剤14の平均粒子径は1nm以上200nm以下が好ましく、5nm以上20nm以下がより好ましい。平均粒子径が1nm以下の粒子は、また平均粒子径が5nmより小さいと、流水に曝された際に層31の内部の抗菌/抗ウイルス剤が流出しやすく、抗菌性が持続しない。また200nmより大きいと、層31の内部の抗菌/抗ウイルス剤14の単位体積あたりの表面積が小さくなることで、細孔を介して抗菌/抗ウイルス成分が層表面に供給されにくく、抗菌/抗ウイルス性が不十分となる。層31の内部の抗菌/抗ウイルス剤14の平均粒子径は、層31の膜厚方向の断面を透過電子顕微鏡にて観察することで計測可能であり、観察画像から算出した平均フェレ径を用いる。
 (無機化合物粒子)
 コーティング組成物に含まれる無機化合物粒子としては、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどを用いることができるが、親水性に優れるという観点から、酸化ケイ素粒子が特に好ましい。無機化合物粒子11には、真球、繭型、俵型、円盤、棒状、針状、角型、鎖状、中空など、さまざまな形状の粒子を用いることができる。1種類の無機化合物粒子を用いても良いし、複数種類の無機化合物粒子を組み合わせて用いても良い。ここでいう複数種類とは、組成が同じで形状が異なる粒子の組み合わせでもよいし、形状が同じで組成が異なる粒子の組み合わせでもよい。
 真球、繭型、俵型、中空などの複数の粒子が連結していない無機化合物粒子11の平均粒子径は10nm以上1000nm以下であることが好ましい。無機化合物粒子11の平均粒子径が10nm以下の場合、層31に形成される細孔15が小さくなりすぎて抗菌/抗ウイルス成分が移動しづらくなる。平均粒子径が1000nmを超える溶媒への分散性が低下し、均質な層31が得られなくなる。ここでの粒子の平均粒子径とは、平均フェレ径である。この平均フェレ径は透過電子顕微鏡像によって観察したものを画像処理によって測定することができる。画像処理方法としては、image Pro PLUS(メディアサイバネティクス社製)など市販の画像処理を用いることができる。所定の画像領域において、必要であれば適宜コントラスト調整を行い、各粒子の平均フェレ径を求めることができる。
 鎖状粒子の場合、鎖状粒子を構成する一次粒子の平均粒子径は、8nm以上20nm以下であることが好ましい。一次粒子の平均粒子径が8nm未満であると、層31に形成される細孔が小さくなりすぎる。また、平均が20nmを超えると、溶媒への分散が不安定になり、均一にコーティングできなくなるなど塗工性が悪化する懸念がある。鎖状粒子を構成する一次粒子の平均粒子径も、透過電子顕微鏡像による観察像を画像処理して、平均フェレ径として測定することができる。
 本発明のコーティング組成物に含まれる無機化合物粒子11は、層になった際に無機バインダーを介して互いに結着可能な表面状態を有していることが好ましい。無機化合物粒子として特に好ましい酸化ケイ素粒子は、もともと表面に多くのシラノール(Si-OH)基を有している。後述のシリカバインダと混合する方法によって表面のシラノール基の数をさらに増やし、より酸化ケイ素粒子どうしが結着しやすい表面状態とすることが可能である。コーティング組成物を塗工および乾燥させて、複数の粒子が互いに接した状態となった時に、酸化ケイ素粒子が互いに結着すると、膜の強度を高めることができる。
 また、酸化ケイ素粒子11は酸化ケイ素を主成分とする粒子であるが、Si元素の一部をAl、Ti、Zn、Zr、Bなどの他の元素で置き換えたり、Si元素に有機基を結合させたりしてもよい。その場合、酸素と水素を除く元素の中でSi以外の元素が5原子%以下であることが好ましい。Si以外の元素が5原子%を超えると粒子表面のSi-OH基が減少し、親水性が失われる可能性がある。
 (バインダー)
 無機化合物粒子どうしを結合させるバインダーは、特に限定されるものではなく、有機バインダー、無機バインダーのどちらを用いてもよく、それらを組み合わせて用いてもよい。有機バインダーとしてはアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、メラニン樹脂等を用いることができ、無機バインダーとしては酸化ケイ素化合物や酸化アルミニウム化合物を用いることができる。中でも、酸化ケイ素化合物が好ましい。バインダーが無機化合物粒子と同様の無機化合物材料であることにより、粒子間の結合強度が強くなるとともに、使用環境によって変質しにくい多孔質層を実現することができる。酸化ケイ素化合物として好ましい例は、ケイ酸エステルを加水分解・縮合することにより得られる酸化ケイ素オリゴマーの硬化物である。
 多孔質層中のバインダー量は、多孔質層に含まれる無機化合物粒子に対して、1質量部以上25質量部以下が望ましく、1質量部以上15質量部以下がより望ましい。バインダー量が1質量部より少ないと、膜の強度が低下する傾向にあり、20質量部を超えると、抗菌/抗ウイルス成分が移動するのに十分な空隙が層31に含まれなくなる可能性がある。
 [コーティング組成物]
 本発明にかかるコーティング組成物10は、図2に示すように、無機化合物粒子11、バインダー成分12、溶媒13、抗菌/抗ウイルス剤14を含む。
 (抗菌/抗ウイルス剤)
 コーティング組成物10に含まれる抗菌/抗ウイルス剤14は、前述のとおりである。
 抗菌/抗ウイルス剤14は、無機化合物粒子11あるいはバインダー成分の表面に結合した状態でコーティング組成物10の中に存在していても良いが、少なくとも一部はコーティング組成物10の中に分散もしくは溶解しているのが好ましい。コーティング組成物10を膜にした際、層中の抗菌/抗ウイルス剤14が移動しやすい状態となるため、高い除菌効果あるいはウイルス不活性効果が得られ易くなるからである。
 抗菌/抗ウイルス剤14の平均粒子径は1nm以上200nm以下が好ましく、1nm以上20nm以下がより好ましい。平均粒子径が1nmより小さいと、抗菌/抗ウイルス剤14を物理的に溶剤などに分散させることが難しくなる傾向がある。平均粒子径が200nmより大きいと、抗菌/抗ウイルス剤14どうしが凝集したり、無機化合物粒子あるいはバインダー成分12と凝集したりして、安定して分散させることが難しくなる傾向がみられる。
 抗菌/抗ウイルス剤14のサイズは、乾式粉砕や湿式粉砕等の公知の方法を用いて調節することができる。乾式粉砕においては、例えば、乳鉢、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、ハンマーミル、ピンミル、回転ミル、振動ミル、遊星ミル等が適宜用いられる。また、湿式粉砕においては、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、高速回転粉砕機、超音波ホモジナイザー、及び、高圧ホモジナイザー等が適宜用いられる。例えば、ビーズミルにおいては、メディアとなるビーズの径、種類、及び、混合量等を調節することで粒子サイズを制御できる。
 コーティング組成物10に含まれる抗菌/抗ウイルス剤の量は特に制限されないが、組成物の全固形分100質量部に対して、0.01質量部上50質量部以下が好ましく、0.1質量部以上40質量部以下がより好ましい。また、0.5質量部以上30質量部以下が更に好ましく、1質量部以上30質量部以下が特に好ましい。コーティング組成物10に含まれる抗菌/抗ウイルス剤が0.01質量部より少ないと、得られる層31の抗菌性が不足する傾向があり、50質量部より多いと層31の膜強度が弱く、流水に曝されたり人が触れたりすることで容易に消失してしまう傾向がある。また、コーティング組成物中における抗菌剤の含有量は、コーティング組成物の全固形分100質量部に対して、0.0001質量部以上20質量部以下が好ましく、0.001質量部以上10質量部以下がより好ましい。0.0001質量部より少ないと層31が十分な抗菌性が得られず、20質量部より多いとコーティング組成物の分散安定性が悪くなる傾向がある。
 なお、抗菌/抗ウイルス剤は1種だけを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の抗菌/抗ウイルス剤を用いる場合、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
 (無機化合物粒子)
 コーティング組成物10に含まれる無機化合物粒子11は前述のとおりである。コーティング組成物10から形成される膜31に含まれる空隙の大きさは、コーティング組成物における無機化合物粒子の分散状態、およびコーティング組成物を基材21に塗工してから乾燥するまでの無機化合物粒子の分散状態によって変化する。無機化合物粒子が凝集していると空隙の径は大きくなり、粒子が個々に分散していると径の小さな空隙となる。無機化合物粒子に表面処理を施したり、コーティング組成物に分散剤を添加したりする等により、粒子どうしが反発する状態に制御すると、個々の無機化合物粒子が分散した状態を実現することができる。
 コーティング組成物10の無機化合物粒子11の含有量は、コーティング組成物の全固形分100質量部に対して2質量部以上10質量部以下であることが好ましい。無機化合物粒子の含有量が2質量部より少ないと、連続した多孔質層を形成することが難しく、10質量部を超えるとコーティング組成物10の粘度が増大してしまい、塗工性が低下してしまう。
 (溶媒)
 コーティング組成物10に用いることができる溶媒は、抗菌/抗ウイルス剤14や無機化合物粒子11が析出せず、無機化合物粒子11が凝集してコーティング組成物10が急激に増粘しない溶媒であれば良い。例えば水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチルプロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、シクロペンタノール、2-メチルブタノール、3-メチルブタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-エチルブタノール、2,4-ジメチル-3-ペンタノール、3-エチルブタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノールなどの1価のアルコール類。エチレングリコール、トリエチレングリコールなどの2価以上のアルコール類。メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、イソプロポキシエタノール、ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-プロポキシ-2-プロパノールなどのエーテルアルコール類、ジメトキシエタン、ジグライム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルのようなエーテル類。ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類。n-ヘキサン、n-オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタンのような各種の脂肪族系ないしは脂環族系の炭化水素類。トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの各種の芳香族炭化水素類。アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどの各種のケトン類。クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、テトラクロロエタンのような、各種の塩素化炭化水素類。N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルフォルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、エチレンカーボネートのような、非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらの溶媒のうち、2種類以上の溶媒を混ぜて使用することもできる。
 無機化合物粒子の分散性、コーティング特性の観点から、コーティング組成物10に含まれる溶媒は、30%以上が炭素数4以上6以下の水酸基を有する水溶性溶媒であることが好ましい。特に、溶媒として、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、イソプロポキシエタノール、ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-プロポキシ-2-プロパノール、乳酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種以上を含むことが好ましい。
 (バインダー成分)
 コーティング組成物10に含まれるバインダー成分12は、塗膜になった際に無機化合物粒子11同士を結着させるバインダーとなる成分である。本発明のバインダー成分としては、有機あるいは無機のバインダーを用いることができるが、親水性の層31が得られやすいという点で無機のバインダーが好ましい。無機バインダー成分は、ケイ酸エステルを加水分解・縮合することにより得られる酸化ケイ素オリゴマーが好ましい。酸化ケイ素オリゴマーが硬化すると、酸化ケイ素化合物のバインダーとなり、多孔質であっても機械的強度の高い膜31を形成することができる。
 本発明において、バインダー成分12の含有量は、無機化合物粒子100質量部に対して1質量部以上25質量部以下が好ましく、より好ましくは1質量部以上15質量部以下である。このような状態にあることにより、流水に曝されたり多くの人が触れたりする環境での使用で一定の期間は耐え、かつ掃除・清掃により膜をはがして再塗布が容易なリペア性に優れた膜強度に調整することができる。バインダー成分12の含有量が、無機化合物粒子11に対して1質量部より少ないと、層31の強度が不足しやすくなる傾向がある。バインダー成分12の含有量が、無機化合物粒子11に対して25質量部より多い場合は、無機化合物粒子間の隙間がバインダーで埋まって細孔が少なくなり、抗菌/抗ウイルス成分の層中での移動が困難になる。その結果、短時間で抗菌性が低下しやすくなる。
 (その他の成分)
 コーティング組成物10には、本来の目的が損なわれない範囲内で添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、分散剤、表面処理剤、界面活性剤、帯電防止剤、酸化防止剤、増粘剤、色素、香料、消臭剤などの物質が挙げられる。これらの添加剤は単独でも複数種の併用であっても構わない。ただし、抗菌剤14と反応して抗菌機能を低下させないものを用いる。
 コーティング組成物10に添加する分散剤としては酸が好ましい。酸を添加することにより無機化合物粒子11の表面が酸性基で修飾され、酸性基の存在によって無機化合物粒子11同士が反発して均一に分散した状態とすることができる。その結果、形成される層31に大きな空隙が形成されるのを抑制することができる。分散剤として酸を添加した場合のコーティング組成物10のpH値は、好ましくは2以上8以下であり、より好ましくは3以上7以下である。
 (コーティング組成物の製造方法)
 コーティング組成物10は、溶媒中に抗菌剤と無機化合物粒子を添加し混合・分散・溶解させてもよく、溶媒に分散された抗菌/抗ウイルス剤の溶液と、溶媒に分散された無機化合物粒子の分散液とを混合してもよい。好ましくは、抗菌/抗ウイルス剤と無機化合物粒子それぞれを別々に溶媒中に溶解もしくは分散させ、これらを混合して得られるコーティング組成物10が、分散安定性の観点より好ましい。逆に分散安定性に問題がなければ、無機化合物粒子を分散あるいは溶解させた溶媒に、抗菌/抗ウイルス剤を添加させることも可能である。
 コーティング組成物10において、抗菌/抗ウイルス剤および無機化合物粒子が溶媒に溶解もしくは分散されていれば、公知の方法により原材料を混合、分散、溶解し作製することができる。より簡易的に全ての構成材料を同一容器に混入し、プロペラ等により撹拌を行うことで混合、分散、溶解しても良い。超音波撹拌装置、ミキサー、ホモジナイザー、遊星回転装置、衝突分散装置、ディスクミル、サンドミル、ビーズミル、ボールミル等公知の分散手法により混合、分散、溶解し作製することができる。
 [コーティング組成物の塗工方法]
 (スプレー法)
 コーティング組成物10の塗工方法としては、簡易的で塗りムラが少ない点でスプレー法が特に好ましい。図2に示すように、吐出部41と材料収容部42とを有するスプレー容器の材料収容部42にコーティング組成物10を充填したスプレー塗料40として取り扱えば、必要な時に気軽に塗工しやすくなるため好ましい。コーティング組成物10を塗工する前に、基材の表面を中性洗剤やアルコールなどを用いた洗浄や、表面研磨効果のあるスポンジなどで磨いておくことも好ましい。
 (その他の方法)
 スプレー以外に本発明のコーティング組成物10を塗工する方法としては、グラビアコート、ダイコート、スピンコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スリットコート法、印刷法やディップコート法などが挙げられる。凹凸面などの立体的に複雑な形状を有する部材を製造する場合に限らず、本発明のコーティング組成物10の抗菌/抗ウイルス性の持続的な効果を実現できれば、塗工方法は特に限定されない。
 以下、実施例により本発明を具体的に説明する。本発明はその要旨を超えない範囲で適宜変更することが可能であり、以下で説明する実施例は、発明をこれらに限定するものではない。
 <抗菌/抗ウイルス性および持続性の評価>
 (カビに対する抗菌/抗ウイルス性)
 カビに対する抗菌/抗ウイルス性の評価は、JIS Z 2911かび抵抗試験を参考にして実施した。
 コーティング組成物を50mm角のPETフィルム(厚さ0.1mm)に対してスプレー法にて塗布して試験片を作成した。カビの胞子を含む懸濁液を調整し、3%グルコース添加無機塩寒天培地にコーティング組成物を塗布した面を上面として試験片をのせて、混合胞子懸濁液0.1mlを試料と培地の全面に接種した。接種後、培地を29±1℃、相対湿度95%以上で4週間培養した後、培養後の試料表面を目視または顕微鏡で観察した。カビの発育状態を0から4の5段階で評価した。なお評価基準の発育状態の概要を以下に示す。なお、発育状態が0、及び1の場合は防カビ性能、すなわち抗菌/抗ウイルス性を有すると判定した。
 1)発育状態が0
  肉眼評価でカビ無、顕微鏡評価でカビ無、試料に発生したカビ面積0%
 2)発育状態が1
  肉眼評価でカビ無、顕微鏡評価でカビ有、試料に発生したカビ面積25%未満
 3)発育状態が2
  肉眼評価でカビ有、顕微鏡評価でカビ有、試料に発生したカビ面積25%未満
 4)発育状態が3
  肉眼評価でカビ有、顕微鏡評価でカビ有、試料に発生したカビ面積50%以上
 5)発育状態が4
  肉眼評価でカビ有、顕微鏡評価でカビ有、試料に発生したカビ面積全面
 (カビに対する抗菌/抗ウイルス性の持続性評価)
 持続性の評価は、水に晒され続けた後も抗菌/抗ウイルス性を有するかどうかで判断した。試料を7日間水に晒し、その後、上述した抗菌/抗ウイルス性の評価を実施した。評価の判定は、発育状態が0、1、及び2の場合は防カビ性能が有ると判定し、初期の評価と比較して持続性の有無を判定した。
 (ウイルスに対する抗菌/抗ウイルス性の評価)
 ウイルスに対する抗菌/抗ウイルス性の評価は、ISO 21702抗ウイルス性試験を参考にして実施した。
 コーティング組成物を50mm角のガラス板(厚さ1mm)に対してスプレー法にて塗布して試験片を作成した。インフルエンザウイルスを含む懸濁液を調整し、インフルエンザウイルス液0.1mlを試験片のコーティング組成物を塗布した面に接種し、40mm角のPETフィルム片を被せて被覆した。その後、25±1℃、24時間静置した後、洗い出し液10mlを添加し、ウイルスを洗い出した。洗い出し液中のウイルス感染価(LogPFU/cm)をプラーク法にて測定した。
 次式より抗ウイルス活性値を算出し、抗ウイルス性を評価した。
 R=Ut-At
  R:抗ウイルス活性値
  Ut:コーティング組成物を塗布していない試験片(未塗布品)の24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm)の常用対数の平均
  At:コーティング組成物を塗布した試験片(塗布品)の24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm)の常用対数の平均
 なお、抗ウイルス活性値が2以上の場合は抗ウイルス性、すなわち抗菌/抗ウイルス性能を有すると判定した。
 <ウイルスに対する抗菌/抗ウイルス性の持続性の評価>
 ウイルスに対する抗菌/抗ウイルス性の持続性の評価は、試験片を温度60℃湿度90%の環境に100H放置した後に、上述したウイルスに対する抗菌/抗ウイルス性の評価を実施した。評価の判定は、抗ウイルス活性値で評価し、初期の評価と比較して持続性の有無を判定した。
 <親水性の評価>
 親水性の評価は、50mm角のPETフィルム(厚さ0.1mm)に対してスプレー法にてコーティング組成物を塗布して層を形成し、コーティング組成物を塗布した面の純水接触角から評価した。室温23℃湿度40~45%RHにおける純水の接触角が3°以上20°以下であれば親水性であると判定した。接触角の測定は、全自動接触角計(DM-701、協和界面科学製)を用いて評価した。
 尚、測定条件は、純水2μlの液滴を接触し1秒後の接触角を23℃40%RHの環境で測定した。
 <多孔質性の評価>
 各コーティング組成物から得られる層の多孔質性を確認するために、膜厚および屈折率を評価した。
 分光エリプソメータ(VASE、ジェー・エー・ウーラム・ジャパン製)を用い、波長380nmから800nmまで測定し、解析から膜厚を求めた。また、屈折率の測定も同様に分光エリプソメータ(VASE、ジェー・エー・ウーラム・ジャパン製)を用い、波長380nmから800nmまで測定した。屈折率は波長550nmの屈折率とした。尚、膜厚と屈折率の測定サンプルはΦ30mm、厚み1mmの合成石英ガラス基板上にコーティング組成物を滴下し、回転数2000rpm/20secの条件でスピンコート成膜した。
 <膜強度の評価>
 各コーティング組成物から得られる層の膜強度を確認するために、拭き試験による評価を実施した。
 膜厚および屈折率を評価したものと同様のサンプルを用いて評価した。それぞれ100g、300g、500g/cm2の荷重をかけ、シルボン紙でサンプル表面上を50回往復させ、乾拭きにより膜がはがれるかを確認した。尚、層31に求められる膜強度は、用いられる抗菌/抗ウイルス剤の種類や使用環境、用途等によって異なる。例えば、シンクや便器などの水回り設備等における使用が想定され、有機系抗菌/抗ウイルス剤を用いた物品の場合、流水に曝される状態で一定期間(7日間)以上の使用に耐え、かつ掃除・清掃により膜がはがれ、再塗布が容易なリペア性が求められる。また、多数の人によって触れられる機会の多い物品の場合は、層31には高い耐擦傷性が求められる。膜強度は以下の基準で評価した。
A:100g/cmの荷重で膜がはがれる
B:300g/cmの荷重で膜がはがれる
C:500g/cmの荷重で膜がはがれる
D:500g/cmの荷重で膜がはがれない
 Aはリペア性に優れ、Dは耐擦傷性に優れているといえる。
 <分散安定性の評価>
 コーティング組成物の分散安定性の評価は以下の通り実施した。コーティング組成物を調整した直後と1ヶ月経過した後の分散状態を評価する指標として、それぞれのコーティング組成物から形成される層の屈折率を評価した。分散性が低下するとコーティング組成物に含まれる成分が凝集するため、屈折率の変化として現れる。
 分散安定性は、下記の基準に従って評価した。屈折率の変化量は絶対値を表す。
A:屈折率の変化量が0.3以下
B:屈折率の変化量が0.3より大きく0.5以下
C:屈折率の変化量が0.5より大きい
 <コーティング組成物の作製>
 [実施例1]
 0.1%の希塩酸10gと、イソプロピルアルコール30gとメチルポリシリケート(コルコート株式会社製 メチルシリケート53A)12gをゆっくり加え、室温環境下で240分間攪拌し、シリカゾル(以下、シリカゾル1)を調整した。
 固形分濃度が5質量%になるように、酸化ケイ素粒子のイソプロピルアルコール分散シリカゾル(日産化学株式会社製 IPA-ST-UP、平均粒子径約12nm、固形分濃度15%)50gをイソプロピルアルコールで希釈した。その後、酸化ケイ素粒子:シリカゾル成分の質量比が100/10となるようにシリカゾル1を添加し、酸化ケイ素粒子と無機バインダー成分と溶媒との混合液を調製した。
 さらに、有機系抗菌/抗ウイルス剤である3-メチル-4-イソプロピルフェノール(商品名:イソプロピルメチルフェノール、大阪化成株式会社製)をコーティング組成物全量に対して0.5wt%となるように添加し、室温で2時間混合攪拌することでコーティング組成物1を得た。得られたコーティング組成物1を用いて上述した各種評価を実施した。
 [実施例2]
 酸化ケイ素粒子:シリカゾル成分の比が100/10となるようにシリカゾル1を添加した点を除いて、実施例1と同様に酸化ケイ素粒子と無機バインダー成分と溶媒との混合液を調製した。
 さらに、有機系抗菌/抗ウイルス剤である3-メチル-6-イソプロピルフェニール(商品名:マルカレップRM、大阪化成株式会社製)を、コーティング組成物全量に対して1.0wt%となるように添加し、室温で2時間混合攪拌することでコーティング組成物2を得た。得られたコーティング組成物2を用いて上述した各種評価を実施した。
 [実施例3]
 酸化ケイ素粒子:シリカゾル成分の比が100/15となるようにシリカゾル1を添加した点を除いて、実施例1と同様に酸化ケイ素粒子と無機バインダー成分と溶媒との混合液を調製した。
 さらに、有機系抗菌/抗ウイルス剤であるパラオキシ安息香酸ブチル(商品名:メッキンス-B、上野製薬株式会社製)をコーティング組成物全量に対して1.0wt%となるように添加し、室温で2時間混合攪拌することでコーティング組成物3を得た。得られたコーティング組成物3を用いて上述した各種評価を実施した。
 [実施例4]
 酸化ケイ素粒子:シリカゾル成分の比が100/25となるようにシリカゾル1を添加した点を除いて、実施例1と同様に酸化ケイ素粒子と無機バインダー成分と溶媒との混合液を調製した。
 さらに、実施例1と同じ有機系抗菌/抗ウイルス剤、3-メチル-6-イソプロピルフェニールをコーティング組成物全量に対して2.0wt%となるように添加し、室温で2時間混合攪拌することでコーティング組成物4を得た。得られたコーティング組成物4を用いて上述した各種評価を実施した。
 [実施例5]
 固形分濃度が5質量%になるように、親水性酸化ケイ素粒子のイソプロピルアルコール分散シリカゾル(扶桑化学株式会社製 PL-1-IPA、平均粒子径約15nm、固形分濃度12.5%)50gをイソプロピルアルコールで希釈し、酸化ケイ素粒子:シリカゾル成分の比が100/10となるように、シリカゾル1を添加した。
 さらに、有機系抗菌/抗ウイルス剤である有機ハロゲン化物(商品名:マルカタキノンKD-29、大阪化成株式会社製)をコーティング組成物全量に対して1.0wt%となるように添加し、室温で2時間混合攪拌することでコーティング組成物5を得た。得られたコーティング組成物5を用いて上述した各種評価を実施した。
 [実施例6]
 0.1%の希塩酸10gと、イソプロピルアルコール30gとケイ酸エチルのオリゴマー(コルコート株式会社製 エチルシリケート40、平均5量体)10gをゆっくり加え、室温環境下で240分間攪拌し、シリカゾル(以下、シリカゾル2)を調整した。
 固形分濃度が5質量%になるように、親水性酸化ケイ素粒子のイソプロピルアルコール分散シリカゾル(日産化学株式会社製 IPA-ST-UP、平均粒子径約12nm、固形分濃度15%)50gをイソプロピルアルコールで希釈し、酸化ケイ素粒子:シリカゾル成分の比が100/15となるように、シリカゾル2を添加した。
 さらに、有機系抗菌/抗ウイルス剤である3-メチル-4-イソプロピルフェノール(商品名:イソプロピルメチルフェノール、大阪化成株式会社製)をコーティング組成物全量に対して4.0wt%となるように添加し、室温で2時間混合攪拌することでコーティング組成物6を得た。得られたコーティング組成物6を用いて上述した各種評価を実施した。
 [実施例7]
 酸化ケイ素粒子:シリカゾル成分の比が100/20となるようにシリカゾル2を添加した点を除いて、実施例6と同様に酸化ケイ素粒子と無機バインダー成分と溶媒との混合液を調製した。
 さらに、有機系抗菌/抗ウイルス剤であるチアペンタゾール(商品名:マルカサイドM101、大阪化成株式会社製)をコーティング組成物全量に対して1.0wt%となるように添加し、室温で2時間混合攪拌することでコーティング組成物7を得た。得られたコーティング組成物7を用いて上述した各種評価を実施した。
 [実施例8]
 酸化ケイ素粒子:シリカゾル成分の比が100/5となるようにシリカゾル2を添加した点を除いて、実施例6と同様に酸化ケイ素粒子と無機バインダー成分と溶媒との混合液を調製した。
 さらに、有機系抗菌/抗ウイルス剤であるパラオキシ安息香酸ブチル(商品名:メッキンス-B、上野製薬株式会社製)をコーティング組成物全量に対して1.0wt%となるように添加し、室温で2時間混合攪拌することでコーティング組成物8を得た。得られたコーティング組成物8を用いて上述した各種評価を実施した。
 [実施例9]
 実施例1と同様に酸化ケイ素粒子と無機バインダー成分と溶媒との混合液を調製した。
 さらに、有機系抗菌/抗ウイルス剤である有機チッ素系化合物(商品名:マルカサイドTB、大阪化成株式会社製)をコーティング組成物全量に対して0.5wt%となるように添加し、室温で2時間混合攪拌することでコーティング組成物9を得た。得られたコーティング組成物9を用いて上述した各種評価を実施した。
 [実施例10]
 固形分濃度が10質量%になるように酸化ケイ素粒子のイソプロピルアルコール分散シリカゾルを希釈し、酸化ケイ素粒子:シリカゾル成分の比が100/5とした点を除いて、実施例1と同様に酸化ケイ素粒子と無機バインダー成分と溶媒との混合液を調製した。
 さらに、有機系抗菌/抗ウイルス剤であるパラオキシ安息香酸ブチル(商品名:メッキンス-P、上野製薬株式会社製)をコーティング組成物全量に対して10.0wt%となるように添加した。さらに第4級アンモニウム塩(カチオン系の界面活性剤)をコーティング組成物全量に対して0.1wt%となるように添加し、室温で2時間混合攪拌することでコーティング組成物10を得た。得られたコーティング組成物10を用いて上述した各種評価を実施した。
 [実施例11]
 固形分濃度が0.5質量%になるように、親水性酸化ケイ素粒子のイソプロピルアルコール分散シリカゾル(日産化学株式会社製 IPA-ST-UP、平均粒子径約12nm、固形分濃度15%)50gをイソプロピルアルコールで希釈し、酸化ケイ素粒子:シリカゾル成分の質量比が100/2.5となるようにシリカゾル1を添加し、酸化ケイ素粒子と無機バインダー成分と溶媒との混合液を調製した。
 さらに、有機系抗菌/抗ウイルス剤である1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン(商品名:1,2-Benzisothiazol-3(2H)-one、東京化成工業株式会社製)をコーティング組成物全量に対して0.2wt%となるように添加し、室温で2時間混合攪拌することでコーティング組成物11を得た。得られたコーティング組成物11を用いて上述した各種評価を実施した。
 [実施例12]
 酸化ケイ素粒子:シリカゾル成分の比が100/10となるようにシリカゾル1を添加した点を除いて、実施例11と同様に酸化ケイ素粒子と無機バインダー成分と溶媒との混合液を調製した。
 さらに、有機系抗菌/抗ウイルス剤であるN-ブチルカルバミン酸3-ヨード-2-プロピニル(商品名:3-Iodo-2-propynyl N-Butylcarbamate、東京化成工業株式会社製)をコーティング組成物全量に対して0.1wt%となるように添加し、室温で2時間混合攪拌することでコーティング組成物12を得た。得られたコーティング組成物12を用いて上述した各種評価を実施した。
 [比較例1]
 酸化ケイ素粒子:シリカゾル成分の比が100/15となるようにシリカゾル1を添加した点を除いて、実施例5と同様に酸化ケイ素粒子とバインダー成分と溶媒との混合液を調製してコーティング組成物17を得た。コーティング組成物17には抗菌/抗ウイルス剤を添加しなかった。
 得られたコーティング組成物17を用いて上述した各種評価を実施した。
 [比較例2]
 固形分濃度が5質量%になるように、酸化ケイ素粒子のイソプロピルアルコール分散シリカゾル(扶桑化学株式会社製 PL-1-IPA、平均粒子径約15nm、固形分濃度12.5%)50gをイソプロピルアルコールで希釈した。その後、酸化ケイ素粒子:シリカゾル成分の比が100/30となるように、シリカゾル2を添加した。
 さらに、有機系抗菌/抗ウイルス剤であるパラオキシ安息香酸ブチル(商品名:メッキンス-P、上野製薬株式会社製)をコーティング組成物全量に対して1.0wt%となるように添加し、室温で2時間混合攪拌することでコーティング組成物17を得た。得られたコーティング組成物14を用いて上述した各種評価を実施した。
 [比較例3]
 イソプロパノール30gとシリコーン樹脂10gをゆっくり加え、室温環境下で240分間攪拌し、シリコーン樹脂希釈液を調整した。
 固形分濃度が5質量%になるように、酸化ケイ素粒子のイソプロピルアルコール分散シリカゾル(日産化学株式会社製 IPA-ST-UP、平均粒子径約12nm、固形分濃度15%)50gをイソプロピルアルコールで希釈した。その後、酸化ケイ素粒子:シリコーン樹脂の質量比が100/10となるように、シリコーン樹脂希釈液を添加した。
 さらに、有機系抗菌/抗ウイルス剤であるチアペンタゾール(商品名:マルカサイドM101、大阪化成株式会社製)をコーティング組成物全量に対して0.5wt%となるように添加し、室温で2時間混合攪拌することでコーティング組成物18を得た。得られたコーティング組成物18を用いて上述した各種評価を実施した。
 [比較例4]
 固形分濃度が0.5質量%になるように、親水性酸化ケイ素粒子のイソプロピルアルコール分散シリカゾル(日産化学株式会社製 IPA-ST-UP、平均粒子径約12nm、固形分濃度15%)50gをイソプロピルアルコールで希釈した。つづいて、酸化ケイ素粒子:シリカゾル成分の質量比が100/0.5となるように、シリカゾル2を添加し、酸化ケイ素粒子と無機バインダー成分と溶媒との混合液を調製した。
 室温で2時間混合攪拌することでコーティング組成物19を得た。コーティング組成物19には抗菌/抗ウイルス剤を添加しなかった。
 [比較例5]
 固形分濃度が10質量%になるように、酸化ケイ素粒子のイソプロピルアルコール分散シリカゾル(日産化学株式会社製 IPA-ST-UP、平均粒子径約12nm、固形分濃度15%)50gをイソプロピルアルコールで希釈した。その後、酸化ケイ素粒子:シリカゾル成分の質量比が100/10となるようにシリカゾル1を添加し、酸化ケイ素粒子と無機バインダー成分と溶媒との混合液を調製した。
 有機系抗菌/抗ウイルス剤をコーティング組成物全量に対して30wt%となるように添加した点を除いて、実施例1と同様に酸化ケイ素粒子と無機バインダー成分と溶媒との混合液を調製してコーティング組成物20を得た。
 上述の方法で実施例1~12、比較例1~5を作成した。実施例2、11については、カビおよびインフルエンザウイルスに対する抗菌/抗ウイルス性と膜強度の評価を行った。実施例1、3~10、12と比較例1~4については、カビに対する抗菌/抗ウイルス性と膜強度の評価を行った。比較例5については、インフルエンザウイルスに対する抗菌/抗ウイルス性と膜強度の評価を実施した。分散安定性、親水性、接触角、屈折率、膜厚の評価は全ての実施例と比較例について行った。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1の実施例1~12の評価結果に示されるように、本発明にかかるコーティング組成物から得られる膜は優れた抗菌/抗ウイルス性を示した。実施例1~12の構成の場合は、水に晒された後でも抗菌/抗ウイルス性を持続できることが確認された。さらに、水に対する接触角が低く親水性も高いため、防汚性にも優れる。そのため水回り設備等の水が頻繁にかかる用途において高い防汚性と抗菌/抗ウイルス性が得られる。
 また、触れた程度では膜が損傷しない耐擦傷性の高い膜であることが確認された。さらに、水に対する接触角が低く親水性も高いため、防汚性にも優れる。そのため製品外装などの人が触れる物品等に適用することで高い防汚性と抗菌/抗ウイルス性が得られる。
 以上の実施形態の開示は、以下の項を含む。
 (項1)
 無機化合物粒子と、バインダー成分と、溶媒と、抗菌/抗ウイルス剤と、を含み、
 前記無機化合物粒子を100質量部としたとき、前記バインダー成分の含有量が1質量部以上25質量部以下であることを特徴とするコーティング組成物。
 (項2)
 前記抗菌/抗ウイルス剤が、ベンゾイソチアゾリン系化合物またはカルバミン酸エステル誘導体であることを特徴とする項1に記載のコーティング組成物。
 (項3)
 前記抗菌/抗ウイルス剤が、銅、銀、亜鉛、ニッケルそれぞれの化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする項1に記載のコーティング組成物。
 (項4)
 前記抗菌/抗ウイルス剤の含有量が、前記コーティング組成物の全固形分100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることを特徴とする項1乃至3のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
 (項5)
 前記抗菌/抗ウイルス剤の含有量が、前記コーティング組成物の全固形分100質量部に対して0.0001質量部以上20質量部以下であることを特徴とする項1乃至4のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
 (項6)
 前記無機化合物粒子の含有量が、前記コーティング組成物の全固形分100質量部に対して2質量部以上10質量部以下であることを特徴とする項1乃至5のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
 (項7)
 前記無機化合物粒子が、酸化ケイ素粒子であることを特徴とする項1乃至6のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
 (項8)
 前記無機化合物粒子が、鎖状粒子であることを特徴とする項1乃至7のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
 (項9)
 前記無機化合物粒子の平均粒子径が、10nm以上1000nm以下であることを特徴とする項1乃至8のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
 (項10)
 前記バインダー成分が、酸化ケイ素オリゴマーであることを特徴とする項1乃至9のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
 (項11)
 前記溶媒として、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、イソプロポキシエタノール、ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-プロポキシ-2-プロパノール、乳酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする項1乃至10のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
 (項12)
 さらに酸を含んでおり、pHが2以上8以下であることを特徴とする項1乃至11のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
 (項13)
 材料収容部と吐出部とを有し、
 前記材料収容部に項1乃至12のいずれか一項に記載のコーティング組成物が充填されたスプレー塗料。
 (項14)
 基材と、前記基材の少なくとも一方の主面に多孔質層を有し、
 前記多孔質層がバインダーによって互いに結着された複数の無機化合物粒子と抗菌/抗ウイルス剤とを含むことを特徴とする物品。
 (項15)
 前記抗菌/抗ウイルス剤が、ベンゾイソチアゾリン系化合物またはカルバミン酸エステル誘導体であることを特徴とする項14に記載の物品。
 (項16)
 前記抗菌/抗ウイルス剤が、銅、銀、亜鉛、ニッケルそれぞれに化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする項14に記載の物品。
 (項17)
 前記抗菌/抗ウイルス剤の含有量が、1質量%以上30質量%以下であることを特徴とする項14乃至16のいずれか一項に記載の物品。
 (項18)
 前記無機化合物粒子が、酸化ケイ素粒子であることを特徴とする項14乃至17のいずれか一項に記載の物品。
 (項19)
 前記無機化合物粒子の平均粒子径が、10nm以上1000nm以下であることを特徴とする項14乃至18のいずれか一項に記載の物品。
 (項20)
 膜厚が0.02μm以上10μm以下であることを特徴とする項14乃至19のいずれか一項に記載の物品。
 本発明のコーティング組成物は、トイレや浴室、洗面台といった水回り設備、エアコン周辺、窓ガラス、車のボディーや車体の下回り、建材の内装材、海水環境下などで使用する水中ドローン窓などにも適応可能である。さらに、製品外装やタッチパネル表示装置、ドアノブや吊革や手すり、パネルや内装材にも適用可能である。
 本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために以下の請求項を添付する。
 本願は、2021年11月29日提出の日本国特許出願特願2021-193331と2022年11月28日提出の日本国特許出願特願2022-189345を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てをここに援用する。
 10 コーティング組成物
 11 無機化合物粒子
 12 バインダー
 13 溶媒
 14 抗菌/抗ウイルス剤
 21 基材
 31 層(塗膜)

Claims (20)

  1.  無機化合物粒子と、バインダー成分と、溶媒と、抗菌/抗ウイルス剤と、を含み、
     前記無機化合物粒子を100質量部としたとき、前記バインダー成分の含有量が1質量部以上25質量部以下であることを特徴とするコーティング組成物。
  2.  前記抗菌/抗ウイルス剤が、ベンゾイソチアゾリン系化合物またはカルバミン酸エステル誘導体であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
  3.  前記抗菌/抗ウイルス剤が、銅、銀、亜鉛、ニッケルそれぞれの化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
  4.  前記抗菌/抗ウイルス剤の含有量が、前記コーティング組成物の全固形分100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  5.  前記抗菌/抗ウイルス剤の含有量が、前記コーティングの全固形分組成物100質量部に対して0.0001質量部以上20質量部以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  6.  前記無機化合物粒子の含有量が、前記コーティング組成物の全固形分100質量部に対して2質量部以上10質量部以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  7.  前記無機化合物粒子が、酸化ケイ素粒子であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  8.  前記無機化合物粒子が、鎖状粒子であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  9.  前記無機化合物粒子の平均粒子径が、10nm以上1000nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  10.  前記バインダー成分が、酸化ケイ素オリゴマーであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  11.  前記溶媒として、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、イソプロポキシエタノール、ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-プロポキシ-2-プロパノール、乳酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  12.  さらに酸を含んでおり、pHが2以上8以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  13.  材料収容部と吐出部とを有し、
     前記材料収容部に請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコーティング組成物が充填されたスプレー塗料。
  14.  基材と、前記基材の少なくとも一方の主面に多孔質層を有し、
     前記多孔質層がバインダーによって互いに結着された複数の無機化合物粒子と抗菌/抗ウイルス剤とを含むことを特徴とする物品。
  15.  前記抗菌/抗ウイルス剤が、ベンゾイソチアゾリン系化合物またはカルバミン酸エステル誘導体であることを特徴とする請求項14に記載の物品。
  16.  前記抗菌/抗ウイルス剤が、銅、銀、亜鉛、ニッケルそれぞれに化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項14に記載の物品。
  17.  前記抗菌/抗ウイルス剤の含有量が、1質量%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項14乃至16のいずれか一項に記載の物品。
  18.  前記無機化合物粒子が、酸化ケイ素粒子であることを特徴とする請求項14乃至16のいずれか一項に記載の物品。
  19.  前記無機化合物粒子の平均粒子径が、10nm以上1000nm以下であることを特徴とする請求項14乃至16のいずれか一項に記載の物品。
  20.  膜厚が0.02μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項14乃至16のいずれか一項に記載の物品。
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