WO2023084616A1 - チャイルドシート - Google Patents

Abstract

分離型であり強度を確保しながら重量を抑え得るようにする。 チャイルドシート(１)は、使用状態において、チャイルドシート本体(２)における座部(１１)の座側係合部(２３)と背部(１２)の背側係合部(７６)とを係合させる。また、チャイルドシート(１)は、金属部品等の組み合わせでなる車両係合部(２４)が、車両の取付金具(５０)に係合される。チャイルドシート(１)は、当該車両が前進中に急停車した場合等に、背部(１２)の背側当接部(７４)及び衝撃吸収材(７５)を座部(１１)におけるアームレスト(２２)の後当接部(３４)に当接させ、補強部(３３)を介してこの力を下当接部(３５)から車両係合部(２４)に伝達する。これにより、チャイルドシート(１)は、車両係合部(２４)により背部(１２)からの力を受け止めて該背部(１２)の回動を阻止できるので、座部(１１)に対する背部(１２)の位置や角度を殆ど変化させることなく、着座している乳幼児を保護できる。

Description

チャイルドシート

　本発明はチャイルドシートに関し、例えば自動車に取り付けて使用される場合に適用して好適なものである。

　従来、チャイルドシートは、例えば自動車等の車両に乳幼児を乗せる場合に、当該車両のシートに取り付けて使用されるものが広く普及している。またチャイルドシートとしては、乳幼児が着座する座部と当該乳幼児の頭部や背中部分等を支持する背部とが一体化された一体型の他、当該頭部及び当該背部が分離及び接続し得るように構成された分離型も普及している。

　このうち分離型のチャイルドシートでは、不使用時に、座部と背部とを分離し、例えば該座部の座面又はその裏面を該背部の前面又は後面と対向させることにより、比較的小型にまとめた状態として収納することが可能となっている（例えば、特許文献１参照）。

特開２０１４－２１０４４６号公報（図３等）

　ところで、かかる構成のチャイルドシートでは、車両が衝突事故に遭遇し衝撃が加えられた場合であっても、着座している乳幼児を保護する必要がある。しかしながら、特に分離型のチャイルドシートでは、座部と背部とが分離可能に構成されているために、両者の接続箇所における強度が不十分になりやすい。

　このため、分離型のチャイルドシートとして、比較的大型の金属部品を用いて強度を確保したものも提案されている。しかしながらこのような分離型のチャイルドシートでは、大型の金属部品を有することに起因して全体の重量が大きくなり、運搬や設置等における負担が増加してしまう、という問題があった。

　本発明は以上の点を考慮してなされたもので、分離型であり強度を確保しながら重量を抑えたチャイルドシートを提案しようとするものである。

　かかる課題を解決するため本発明のチャイルドシートにおいては、乳幼児が着座する座部と、乳幼児の背中部分を支える背部と、座部に設けられ、車両と係合する車両係合部と、座部に設けられ、金属部品を有し、背部と係合する座側係合部と、背部に設けられ、座側係合部と係合する背側係合部と、座部に設けられ、樹脂材料により成形され、所定の大きさの外力が加えられた場合に座側係合部に対する位置及び形状を保持する保持部と、保持部に設けられ、背部と当接する第１当接部と、保持部に設けられ、車両係合部と当接する第２当接部とを設けるようにした。

　本発明は、チャイルドシートが車両係合部により車両と係合した状態で、当該車両が急停車した場合等に、背部が座部側へ倒れようとするところ、保持部の第１当接部を背部に当接させ、該保持部の第２当接部を車両係合部に当接させる。すなわち本発明は、背部及び車両係合部にそれぞれ当接された保持部が、樹脂材料により成形されながらもその位置及び形状を保持するため、重量を増加させることなく、背部を支えることができる。

　本発明によれば、分離型であり強度を確保しながら重量を抑えたチャイルドシートを実現できる。

図１は、チャイルドシートの構成を示す略線的斜視図である。 図２は、チャイルドシート本体の構成を示す略線的斜視図である。 図３は、座部の構成を示す略線的斜視図である。 図４は、座部上部品の構成を示す略線的斜視図である。 図５は、車両係合部の構成を示す略線的斜視図である。 図６は、背部の構成を示す略線図である。 図７は、チャイルドシート本体の構成を示す略線的正面図である。 図８は、チャイルドシート本体の構成を示す略線的右側面図である。 図９は、チャイルドシート本体の構成を示す略線的断面図である。 図１０は、チャイルドシート本体の構成を示す略線的断面図である。

　以下、発明を実施するための形態（以下実施の形態とする）について、図面を用いて説明する。

［１．チャイルドシートの全体構成］
　図１は、本実施の形態によるチャイルドシート１の全体を示す略線的な斜視図である。チャイルドシート１は、大きく分けて、十分な強度を有するチャイルドシート本体２と、該チャイルドシート本体２において乳幼児と接する部分の表面を覆うカバー３と、乳幼児を着座状態に拘束するシートベルト４とにより構成されている。

　カバー３（図１）は、布やスポンジ材等の組み合わせにより、部分ごとに分割された構成となっており、それぞれ十分な柔軟性を有している。また、カバー３は、複数の部分に分割されており、各部分がチャイルドシート本体２やシートベルト４に対して着脱可能に構成されている。シートベルト４（図１）は、複数のベルトや部品の組み合わせにより構成されており、その一部がチャイルドシート本体２に取り付けられ、又は組み込まれている。

　本明細書中では、各構成部材の説明において、チャイルドシート１に着座する乳幼児から見た場合の前方向、後方向、上方向及び下方向を、それぞれ「前」、「後」、「上」及び「下」と称する。また、チャイルドシート１に着座する乳幼児を正面から見た場合の左方向及び右方向を、それぞれ「左」及び「右」と称する。なお、以降の各図においては、構造を明確に示すために、カバー３及びシートベルト４を省略している。

　図２は、本実施の形態によるチャイルドシート本体２の全体を示す略線的な斜視図である。チャイルドシート本体２は、大きく分けて、主に座面を形成する座部１１と、主に乳幼児の頭部分、肩部分や背中部分などの上半身を支える背部１２とにより構成されている。

　このチャイルドシート本体２は、座部１１と背部１２との分離及び結合が容易に行い得るように構成されている。このため、チャイルドシート本体２は、使用時に、図２に示したように、座部１１と背部１２とが結合された使用状態となる。また、チャイルドシート本体２は、例えば不使用時に車両のトランク等に収納される場合に、座部１１と背部１２とを分離して適宜組み合わせた状態することにより、省スペース化を図ることができる。

［２．座部の構成］
　図３は、座部１１を示す略線的な斜視図である。座部１１は、座本体部２１を中心に構成されており、左右それぞれにアームレスト２２（２２Ｌ及び２２Ｒ）、座側係合部２３（２３Ｌ及び２３Ｒ）及び車両係合部２４（２４Ｌ及び２４Ｒ）が設けられている。ただし図３では、作図の都合上、車両係合部２４Ｒを省略している。

　また、座部１１のうち座本体部２１、アームレスト２２及び座側係合部２３は、主に上側の座部上部品１１Ｕと下側の座部下部品１１Ｌとの組み合わせを中心に構成されている。図４は、座部上部品１１Ｕを示す略線的な斜視図である。

　座部上部品１１Ｕ及び座部下部品１１Ｌは、何れも所定の樹脂材料による成形部品である。この座部上部品１１Ｕ及び座部下部品１１Ｌは、互いに嵌め合わせた場合に、外周の大部分を閉塞すると共に内部に空間を設けるように形成されており、さらに該空間内に梁や柱のような補強部分が複数形成されている。

　座本体部２１（図３）は、乳幼児が着座した際に当該乳幼児の下半身を支える部分である。座本体部２１の上面である座面２１Ｓは、乳幼児の体型に合わせた緩やかな曲面状に形成されている。この座面２１Ｓは、前側の約１／３の範囲が、前側へ進むに連れて下降する傾斜面であり、後側の約２／３の範囲が、後側へ進むに連れて少しずつ下降する緩やかな傾斜面となっている。

［２－１．アームレスト及び座側係合部の構成］
　アームレスト２２Ｌ及び２２Ｒ、座側係合部２３Ｌ及び２３Ｒ、並びに車両係合部２４Ｌ及び２４Ｒは、それぞれ互いに左右対称に構成されている。以下では、右側のアームレスト２２Ｒ、座側係合部２３Ｒ及び車両係合部２４Ｒを例に説明し、左側のアームレスト２２Ｌ、座側係合部２３Ｌ及び車両係合部２４Ｌについての説明を省略する。

　保持部としてのアームレスト２２Ｒは、座本体部２１における右辺の後寄りに設けられている。このアームレスト２２Ｒは、大きく分けて、後下側部分であるアームレスト本体部３１と、前上側部分である腕支持部３２とにより構成されている。

　アームレスト本体部３１は、座本体部２１における右辺のうち後側の約１／３の範囲において、座面２１Ｓよりも上方へ突出するように設けられている。また、アームレスト本体部３１は、左右方向から見た場合の形状がほぼ台形状となっており、当該台形の前側辺がほぼ鉛直な平面状である一方、当該台形の後側辺が前上側と後下側とを結ぶ傾斜面となっている。

　腕支持部３２は、アームレスト２２Ｒのうち前上側部分であり、全体として、前後方向に長い直方体の前側部分を下方へ向けて傾斜させたような形状となっている。腕支持部３２の後半部分は、アームレスト本体部３１の上側に位置しており、上述した台形における上底部分と接続されている。腕支持部３２の前半部分は、アームレスト本体部３１よりも前側へ突出している。この腕支持部３２は、チャイルドシート１に着座した乳幼児の腕部が上側に載せられるようになっている。

　またアームレスト２２Ｒの内部には、補強部３３が設けられている。補強部３３は、いわゆるリブであり、法線を前後方向、左右方向又は上下方向等に向けた薄板状の部分を複数組み合わせた構成となっている。このため、アームレスト２２Ｒは、比較的大きい外力が加えられた場合に、座本体部２１に対する位置や各部分の形状を殆ど変化させること無く、良好に保持することができる。

　さらにアームレスト２２Ｒには、他の部分と当接するための後当接部３４及び下当接部３５が設けられている。第１当接部としての後当接部３４は、腕支持部３２の後面に設けられている。この後当接部３４は、概ね平坦な平面状に形成されており、その法線がほぼ後方向を向いている。第２当接部としての下当接部３５は、座部上部品１１Ｕ（図４）におけるアームレスト本体部３１の下端に相当する箇所に設けられている。この下当接部３５は、補強部３３を構成する複数の板状部分における下辺の組み合わせにより、ほぼ水平な平面状に形成されている。説明の都合上、以下では、後当接部３４を第１当接部とも呼び、下当接部３５を第２当接部とも呼ぶ。

　座側係合部２３Ｒ（図３）は、座本体部２１の後端部分における中央からやや右側に位置しており、主に係合空間４１及び係合軸４２により構成されている。係合空間４１は、座本体部２１の後辺から前方へ向けて切り欠かれたような形状であり、該座本体部２１を上下方向に貫通している。

　柱状部品としての係合軸４２は、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に構成されている。この係合軸４２は、金属材料でなる係合補強軸４３（図４）の周囲を、樹脂材料でなる座部上部品１１Ｕ及び座部下部品１１Ｌの一部分により被覆した構成となっている。係合補強軸４３は、中心軸を左右方向に沿わせた細長い円柱状の部材であり、座本体部２１の後端近傍において、左端近傍から右端近傍までを貫通している。

［２－２．車両係合部の構成］
　車両係合部２４Ｒ（図３）は、座本体部２１の内部における右辺近傍の後下側であって、アームレスト２２Ｒの直下となる位置に組み込まれている。この車両係合部２４Ｒは、ＩＳＯＦＩＸ（ＩＳＯ　１３２１６－１：１９９９）と呼ばれる規格に準拠したものであり、車両のシートに設けられた取付金具（ロウアンカレッジとも呼ばれる）と係合するための部分である。

　図５は、車両係合部２４Ｒを主な構成部品ごとに分解した様子を示す略線的な斜視図である。車両係合部２４Ｒは、大きく分けて、ホルダ５１、変位係合部５２、レバー保持部５３、変位レバー５４及び複数のリベット５５により構成されている。また、図５には、車両側の取付金具５０の一部を示している。取付金具５０は、中心軸を左右方向に沿わせた細長い円柱状に形成されている。

　ホルダ５１は、下側板５１Ａに対し内側板５１Ｂ及び外側板５１Ｃがそれぞれ接続されることにより、全体として中空の直方体から上側面、前側面及び後側面を取り除いたような形状となっている。このホルダ５１は、比較的厚い鋼板に切削や屈曲等の加工を施すことによって製造されており、十分な剛性を有している。

　下側板５１Ａは、前後方向に長い長方形の板状に形成されている。内側板５１Ｂは、概ね正方形の板状に形成されており、その下辺が下側板５１Ａの左辺と接続されている。外側板５１Ｃは、内側板５１Ｂと同様の正方形から前上側の頂点近傍を矩形に切り欠いたような形状となっており、その下辺が下側板５１Ａの右辺と接続されている。内側板５１Ｂ及び外側板５１Ｃには、上述した係合補強軸４３（図４）や複数のリベット５５をそれぞれ挿通させるための複数の孔部が設けられている。

　変位係合部５２は、ホルダ５１と比較して、前後方向に関して十分に長く、左右方向に関して僅かに短く、上下方向に関して半分程度の長さの直方体状に構成されている。この変位係合部５２は、内部に設けられる金属部品と外周の大部分を覆う樹脂部品との組み合わせにより構成されている。また、変位係合部５２は、大きく分けて後側の後端部６１、中央の中央部６２及び前側の前端部６３により構成されている。

　後端部６１は、後側に、前方向に向けて切り欠かれると共に左右方向に貫通する溝部分６１Ａが形成されており、その内部に係合爪６１Ｂや図示しない付勢部材等が設けられている。この後端部６１は、溝部分６１Ａに取付金具５０が入り込むと、係合爪６１Ｂを該取付金具５０に係合させ、付勢部材の作用により係合した状態を維持する。

　中央部６２は、内部における左側に、法線を左右方向に向けた金属製の板状部品である中央板６２Ａが組み込まれている。この中央板６２Ａには、上下方向の中央寄りもやや下側における、前後方向に沿って所定間隔ごとに並んだ複数箇所に、左右方向に貫通する丸孔でなる位置決め孔６２ＡＨがそれぞれ穿設されている。また、中央部６２には、上下方向の中央寄りもやや下側に前後方向に沿った長孔６２Ｈが設けられている。長孔６２Ｈは、中央板６２Ａ以外の部分において、左右方向に貫通するように形成されている。

　前端部６３には、係合解除レバー６３Ａが設けられている。この係合解除レバー６３Ａは、前後方向へ変位し得るように構成されており、中央部６２内に設けられた連動部材（図示せず）を介して、後端部６１の係合爪等と連動している。変位係合部５２は、後端部６１において係合爪６１Ｂを取付金具５０に係合させた状態で、前端部６３の係合解除レバー６３Ａが操作されると、該係合爪６１Ｂと該取付金具５０との係合を解除することができる。

　レバー保持部５３は、所定の樹脂材料による成形部品であり、前後方向に長い直方体状に形成された本体部５３Ａの右側面における前寄りに、上下方向に長く左右方向に薄い板状のレバー対応部５３Ｂを接合させたような形状となっている。本体部５３Ａは、ホルダ５１と比較して、前後方向の長さが同等であり、左右方向の長さが僅かに短く、上下方向の長さが約半分となっている。この本体部５３Ａは、内部に複数の補強部材が設けられており、特に上下方向から比較的大きい外力が加えられた場合に、その形状を殆ど変形させることなく維持し得るようになっている。レバー対応部５３Ｂは、左右方向に短い扁平な中空の直方体から右側面を省略したような形状となっている。またレバー保持部５３には、ホルダ５１と同様に、上述した係合補強軸４３（図３）や複数のリベット５５をそれぞれ挿通させるための複数の孔部が設けられている。

　変位レバー５４は、レバー本体部５４Ａ、角柱部５４Ｂ及び円柱部５４Ｃにより構成されている。レバー本体部５４Ａは、レバー保持部５３のレバー対応部５３Ｂと比較して、上下方向及び前後方向に僅かに短く、左右方向にやや長い直方体状に形成されている。角柱部５４Ｂは、レバー本体部５４Ａの左側面における上寄りから、左方向に向けて突出した四角柱となっている。この角柱部５４Ｂには、スプリング５４ＢＳ等が組み込まれている。

　円柱部５４Ｃは、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状であり、レバー本体部５４Ａの左側面における下寄りから、左方向に向けて突出している。円柱部５４Ｃの直径は、中央部６２の中央板６２Ａに設けられた各位置決め孔６２ＡＨの直径よりも僅かに小さくなっている。この円柱部５４Ｃは、所定の金属材料により構成されており、十分な強度を有している。

　リベット５５は、所定の金属材料によって構成されている。このリベット５５は、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状の円柱部５５Ａを中心に構成されており、該円柱部５５Ａの一端に円板状ないし半球状の頭部５５Ｂが予め設けられている。また、円柱部５５Ａの他端は、カシメ部５５Ｃとなっている。カシメ部５５Ｃは、当初の形状が円柱部５５Ａと同様の円柱状であるものの、所定の工具を用いてカシメ加工が行われることにより、円板状ないし半球状に変形される。頭部５５Ｂの直径及び変形後のカシメ部５５Ｃの直径は、円柱部５５Ａの直径よりも大きくなっている。

　車両係合部２４Ｒは、製造時に、ホルダ５１における内側板５１Ｂ及び外側板５１Ｃの間に、変位係合部５２が挿入され、さらにレバー保持部５３の本体部５３Ａが挿入される。続いて、車両係合部２４Ｒは、ホルダ５１及びレバー保持部５３に設けられた各丸孔に各リベット５５がそれぞれ挿通され、カシメ部５５Ｃにカシメ加工が施される。

　さらに、車両係合部２４Ｒは、レバー保持部５３の右側から変位レバー５４が取り付けられる。このとき変位レバー５４の円柱部５４Ｃは、中央部６２の中央板６２Ａに設けられた何れかの位置決め孔６２ＡＨに挿通される。また、変位レバー５４は、スプリング５４ＢＳの作用により、左方向へ、すなわちレバー保持部５３に近接する方向へ付勢される。

　その後、車両係合部２４Ｒは、ホルダ５１及びレバー保持部５３に係合補強軸４３（図３）が挿通されると共に、該ホルダ５１及び該レバー保持部５３が座部上部品１１Ｕ（図４）に取り付けられる。

　このようにして組み立てられた車両係合部２４Ｒは、変位レバー５４の円柱部５４Ｃが中央板６２Ａの位置決め孔６２ＡＨに挿通されるため、ホルダ５１に対して変位係合部５２の位置を固定した状態となる。また、車両係合部２４Ｒは、変位レバー５４に右方向へ向かう力が加えられ、該変位レバー５４が右方向へ変位すると、円柱部５４Ｃが中央板６２Ａの位置決め孔６２ＡＨから引き抜かれた状態となる。

　このとき、車両係合部２４Ｒでは、変位係合部５２を前後方向へ変位させ得る状態となり、所望の位置に変位される。その後、車両係合部２４Ｒでは、変位レバー５４に加えられた力が開放されると、スプリング５４ＢＣの作用により変位レバー５４が左方向へ変位し、円柱部５４Ｃが中央板６２Ａの位置決め孔６２ＡＨに挿通され、変位係合部５２の位置が固定される。

　ところで、車両係合部２４Ｒは、上述したように、ホルダ５１が十分な強度を有する金属材料により構成され、レバー保持部５３の強度が補強部材によって高められている。また車両係合部２４Ｒは、複数のリベット５５によりホルダ５１に対しレバー保持部５３が固定されると共に、該ホルダ５１及び該レバー保持部５３に係合補強軸４３が挿通されている。このため、車両係合部２４Ｒは、仮にレバー保持部５３の上側から比較的大きい外力が加えられた場合、殆ど変形することなく、リベット５５及び係合補強軸４３を介して、ホルダ５１によりこの外力を受け止めることができる。

　また、車両係合部２４Ｒは、座部上部品１１Ｕ（図４）に取り付けられた際に、レバー保持部５３（図５）の上面を、アームレスト２２Ｒの下当接部３５に当接させる。このため、車両係合部２４Ｒは、仮にアームレスト２２Ｒの下当接部３５から下方向へ向けて比較的大きい力が加えられた場合、この力をレバー保持部５３からリベット５５及び係合補強軸４３を介して金属製のホルダ５１に伝達し、受け止めることができる。

［３．背部の構成］
　図６は、本実施の形態による背部１２を示す略線的な斜視図である。背部１２は、座部１１に取り付けられる背基体部７１と、該背基体部７１の前側において上下方向のスライド（変位）が可能な背変位部７２とにより構成されている。

　背基体部７１は、全体として上下方向に長く、左右方向にやや短く、前後方向にさらに短い直方体状に構成されている。この背基体部７１は、その大部分が樹脂材料で構成されており、主に前側や内側の面を形成する部品と、主に後側や外側を形成する部品との組み合わせにより、その内部に空間が形成されている。背基体部７１の各部には、種々の部品を挿通させるための孔や通気性を確保するための通気孔が適宜設けられている。

　また、背基体部７１は、左右両辺における上側部分に、前方へ突出した側方保護部７３が形成されている。さらに、背基体部７１の左右両辺の下端近傍の前面、すなわち側方保護部７３の下側には、背側当接部７４がそれぞれ設けられている。背側当接部７４は、概ね平坦な平面状に形成されており、当該平面の法線がほぼ前方向を向いている。この背側当接部７４には、衝撃吸収材７５がそれぞれ貼り付けられている。衝撃吸収材７５は、例えば密度が比較的高いウレタンフォームを使用することができる。因みに図６では、作図の都合上、右側のみ衝撃吸収材７５を表している。

　背基体部７１の下端部分には、左右方向の中央からやや離れた２箇所に、座部１１と係合する背側係合部７６がそれぞれ形成されている。背側係合部７６は、全体として上下方向に長く左右方向に短い直方体状に構成されており、左右方向から見た場合における下側部分の形状が半円状となっている。

　また、背側係合部７６には、上下方向の中央付近に、後側面から前後方向の中央付近に渡る範囲がえぐられることにより、係合溝７７が形成されている。係合溝７７は、背側係合部７６の左側面から右側面に至る範囲に渡って貫通しており、その前端付近が左右方向から見て半円状に形成されている。

　背変位部７２は、上側に乳幼児の頭部を保護する部分が形成されると共に、下側に該乳幼児の肩や背中等を支持する部分が形成されている。また背変位部７２には、シートベルト４を挿通させるための孔や通気性を確保するための通気孔等も形成されている。

［４．使用状態における各部の位置関係］
　ところでチャイルドシート本体２は、使用状態（図２）において、座部１１の座側係合部２３（図３等）と背部１２の背側係合部７６（図６）とが係合される。ここで、図７は、チャイルドシート本体２を前側から見た正面図である。図８は、チャイルドシート本体２を右側から見た場合の下側部分を示す側面図である。図９は、図７におけるＡ１－Ａ２断面を右側から見た場合の下側部分を示す断面図である。図１０は、図７におけるＢ１－Ｂ２断面を右側から見た場合の下側部分を示す断面図である。

　図１０に示したように、チャイルドシート本体２は、使用状態において、座部１１の係合空間４１に背部１２の背側係合部７６が入り込み、且つ、背部１２の係合溝７７に座部１１の係合軸４２が入り込んだ状態となっている。さらに、チャイルドシート本体２は、使用状態において、車両の座席に取り付けられると共に使用される（乳幼児が着座する）場合、図９に示したように、座部１１の車両係合部２４が当該車両の取付金具５０に係合される。

　因みに、チャイルドシート本体２は、使用状態において、座部１１の所定箇所に形成された突起（図示せず）と背部１２の所定箇所に形成された突起（図示せず）を係合させている。これにより、チャイルドシート本体２は、使用状態を良好に維持できる。また、チャイルドシート本体２は、背部１２の上側部分に後方へ向けて比較的大きい力が加えられると、突起同士の係合を解除し、座部１１から該背部１２を分離することができる。

　この使用状態において、チャイルドシート本体２では、背部１２における背側当接部７４及び衝撃吸収材７５の直前に、座部１１におけるアームレスト２２の後当接部３４が位置している。また、座部１１では、アームレスト２２の補強部３３により、後当接部３４及び下当接部３５の間における剛性が確保されており、且つ、図９に示したように、アームレスト２２の下当接部３５が、車両係合部２４のレバー保持部５３に当接している。さらに、車両係合部２４では、レバー保持部５３がリベット５５等を介してホルダ５１に固定されており、且つ、変位レバー５４によりレバー保持部５３と変位係合部５２とが係合している。

　また、図９に示したように、チャイルドシート本体２の座部１１では、座側係合部２３の係合軸４２及び後当接部３４を結ぶ後仮想当接線Ｘ３４と、該係合軸４２及び下当接部３５を結ぶ下仮想当接線Ｘ３５とのなす角度αが、９０度未満の鋭角となっている。説明の都合上、以下では、後仮想当接線Ｘ３４を第１仮想当接線とも呼び、下仮想当接線Ｘ３５を第２仮想当接線とも呼ぶ。

［５．効果等］
　以上の構成において、本実施の形態によるチャイルドシート１は、チャイルドシート本体２を座部１１と背部１２とに分離可能に構成し、使用状態（図２等）において、座部１１の座側係合部２３と背部１２の背側係合部７６とを係合させる。

　チャイルドシート１が座席に搭載された車両は、前進中に急停車する場合や衝突する場合がある。この場合、当該車両が停止しようとするものの、当該チャイルドシート１が慣性モーメントにより前進を継続しようとする。このとき、チャイルドシート本体２では、互いに分離可能な座部１１及び背部１２において、それぞれの重心の位置に対し、前方向へ向かう力が作用すると考えられる。

　座部１１は、後側に位置する車両係合部２４により車両の取付金具５０と係合しているため、前方向への移動が規制される。背部１２は、下側において、背側係合部７６の前側部分が座部１１における係合空間４１の内壁に当接する等して、前方向への移動が規制されるものの、上側において、前方向への移動が規制されていない。このため、背部１２は、上側を前下方へ倒すように、詳細には、座部１１の係合軸４２を中心として、図１０等における反時計回りに回動するように、動作しようとする。

　このとき、背部１２は、背側当接部７４に取り付けられた衝撃吸収材７５を座部１１におけるアームレスト２２の後当接部３４に当接させ、前下方向に向かう力Ｆ１２（図９）を加える。座部１１は、補強部３３が組み込まれたアームレスト２２により、この力Ｆ１２を下当接部３５から車両係合部２４に伝達する。

　ここで、座部１１は、車両係合部２４が金属部品等の組み合わせにより構成され、且つ車両の取付金具５０と係合している。また座部１１は、その下面が、車両における座席の座面により支持されている。このため、座部１１は、補強部３３が組み込まれたアームレスト２２及び金属部品等が組み込まれた車両係合部２４により、該アームレスト２２及び車両係合部２４の位置や形状を維持したまま、背部１２からの力を受け止め、該背部１２の回動を阻止できる。これにより、チャイルドシート１は、座部１１に対する背部１２の位置や角度を殆ど変化させることなく、着座している乳幼児を保護することができる。

　特に、座部１１のアームレスト２２は、背部１２と当接する後当接部３４から車両係合部２４と当接する下当接部３５までの範囲に補強部３３を設けた。このため、アームレスト２２は、背部１２から比較的大きい力が後当接部３４に加えられたとしても、該アームレスト２２を殆ど変形させることなく、この力を該後当接部３４から補強部３３を介して下当接部３５に伝えることができる。

　このため、チャイルドシート１では、座部１１及び背部１２を分離及び結合が可能な構成としながらも、該座部１１において該背部１２と当接する箇所における金属部品の追加や、車両係合部２４における金属部品の大型化等をする必要が無い。これにより、チャイルドシート１では、これらの金属部品を用いて背部１２の力を受け止める構成と比較して、必要な強度を確保しながら、金属部品の点数削減や小型化等が可能となり、軽量化やコストの低廉化等を図ることができる。

　また座部１１では、係合軸４２から下当接部３５までの距離と比較して、該係合軸４２から後当接部３４までの距離を十分に大きく、例えば約４倍程度となるようにした。これにより、チャイルドシート１では、背部１２が座部１１の係合軸４２を中心として回動しようとする際に、梃子の原理により、該係合軸４２から比較的遠方に位置する後当接部３４に対し、比較的小さい力が加えられることになる。

　このため、チャイルドシート１では、座部１１のアームレスト２２を樹脂材料による成形部品とし、金属部品を用いる場合よりも強度が低くなっているものの、適切に補強された補強部３３により、背部１２から加えられる力を十分に支えることができる。これと同様に、チャイルドシート１では、背部１２側についても、背側当接部７４やその近傍を樹脂材料による成形部品とし、且つ内部に樹脂材料による補強部分を適宜設けることにより、必要な強度を確保しながら、軽量に構成することができる。

　さらに、座部１１では、係合軸４２を補強する係合補強軸４３の端部近傍を車両係合部２４のホルダ５１に挿通させるようにした（図４及び図５）。このためチャイルドシート１では、車両の衝突等により背部１２が上側を前下方へ倒すような力が作用した際に、その反作用として係合補強軸４３が後方向へ逃げようとする力を、車両係合部２４のホルダ５１により確実に受け止めることができる。すなわち、チャイルドシート１では、背部１２から座部１１に対して後当接部３４及び係合補強軸４３を介してそれぞれ加えられる力を、金属部品が組み込まれた車両係合部２４により、最終的に何れも受け止めることができる。

　他の観点から見ると、チャイルドシート１では、車両の衝突等により背部１２が上側を前下方へ倒すような力が作用した際に、該背部１２から加えられる前方向へ向かう力を、座部１１における何れかの箇所によって受け止める必要がある。また、チャイルドシート１では、上述したように、梃子の原理を考慮すると、係合軸４２から比較的遠い箇所において、背部１２からの力を受け止めることが望ましい。

　そこで、チャイルドシート１では、座部１１において座面２１Ｓから上方向に突出しているアームレスト２２に着目し、アームレストとしての本来の機能を損なわない範囲で、該アームレスト２２を通常よりも高く構成した。このためチャイルドシート１は、背部１２からの力を受け止める後当接部３４を、係合軸４２から遠方に配置できると共に、十分な面積を確保できる。これによりチャイルドシート１は、後当接部３４に加えられる力を小さく抑えると共に、単位面積当たりに作用する力も小さく抑えることができ、金属部品を使用すること無く、樹脂材料により必要な強度を容易に確保できる。

　これに加えて座部１１では、左右方向から見た場合に、係合軸４２及び後当接部３４を結ぶ後仮想当接線Ｘ３４と、該係合軸４２及び下当接部３５を結ぶ下仮想当接線Ｘ３５とのなす角度を、９０度未満の鋭角とした（図９）。このため座部１１は、背部１２が係合軸４２を中心として回動しようとする際に、当該背部１２から後当接部３４に加えられる力Ｆ１２の一部分を、車両係合部２４に向かう成分とし、下当接部３５から該車両係合部２４に伝えることができる。

　以上の構成によれば、本実施の形態によるチャイルドシート１は、使用状態において、チャイルドシート本体２における座部１１の座側係合部２３と背部１２の背側係合部７６とを係合させる。また、チャイルドシート１は、金属部品等の組み合わせでなる車両係合部２４が、車両の取付金具５０に係合される。チャイルドシート１は、当該車両が前進中に急停車した場合等に、背部１２の背側当接部７４及び衝撃吸収材７５を座部１１におけるアームレスト２２の後当接部３４に当接させ、補強部３３を介してこの力を下当接部３５から車両係合部２４に伝達する。これにより、チャイルドシート１は、車両係合部２４により背部１２からの力を受け止めて該背部１２の回動を阻止できるので、座部１１に対する背部１２の位置や角度を殆ど変化させることなく、着座している乳幼児を保護できる。

［６．他の実施の形態］
　なお、上述した実施の形態においては、座部１１におけるアームレスト２２に後当接部３４を設ける場合について述べた（図３等）。しかし、本発明はこれに限らず、例えばアームレスト２２の後側に、座本体部２１から上方に立設する背支持部（図示せず）を設け、この背支持部の後面に後当接部３４を形成しても良い。この場合、当該背支持部の内部に補強部３３を設けると共に、その下部に下当接部３５を設け、該下当接部３５を車両係合部２４に当接させれば良い。

　また、上述した実施の形態においては、車両係合部２４により係合補強軸４３を支持すると共に、該車両係合部２４にアームレスト２２の下当接部３５を当接させる場合について述べた（図９等）。しかし、本発明はこれに限らず、例えば車両係合部２４と異なる部品により係合補強軸４３を支持すると共に、当該部品にアームレスト２２の下当接部３５を当接させるようにしても良い。この場合、当該部品が金属等により構成され、十分な強度を有していれば良い。

　さらに、上述した実施の形態においては、車両係合部２４のホルダ５１等により係合補強軸４３を支持する場合について述べた。しかし、本発明はこれに限らず、例えば車両係合部２４と異なる他の部品により係合補強軸４３を支持するようにしても良い。

　さらに、上述した実施の形態においては、座部１１において、係合軸４２から下当接部３５までの距離と比較して、該係合軸４２から後当接部３４までの距離を約４倍程度に大きくする場合について述べた。しかし、本発明はこれに限らず、例えば係合軸４２から後当接部３４までの距離を、係合軸４２から下当接部３５までの距離に対する種々の比率としても良い。或いは、係合軸４２から下当接部３５までの距離を、該係合軸４２から後当接部３４までの距離よりも小さくしても良い。

　さらに、上述した実施の形態においては、座部１１において、座側係合部２３の係合軸４２及び後当接部３４を結ぶ後仮想当接線Ｘ３４と、該係合軸４２及び下当接部３５を結ぶ下仮想当接線Ｘ３５とのなす角度αを、９０度未満の鋭角とする場合について述べた。しかし、本発明はこれに限らず、当該角度αを９０度以上としても良い。

　さらに、上述した実施の形態においては、使用状態において、座部１１の座側係合部２３に設けた係合軸４２を、背部１２の背側係合部７６に設けた係合溝７７に挿通させることにより、該座部１１及び該背部１２を連結させる場合について述べた（図１０等）。しかし、本発明はこれに限らず、例えば座部１１における座面２１Ｓの後端近傍に孔部を設け、背部１２の背側係合部７６を当該孔部に挿入させる等、種々の構造を利用することにより、該座部１１及び該背部１２を連結させるようにしても良い。

　さらに、本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち、本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。

　さらに、上述した実施の形態においては、座部としての座部１１と、背部としての背部１２と、車両係合部としての車両係合部２４と、座側係合部としての座側係合部２３と、背側係合部としての背側係合部７６と、保持部としてのアームレスト２２と、第１当接部としての後当接部３４と、第２当接部としての下当接部３５とによってチャイルドシートとしてのチャイルドシート１を構成する場合について述べた。しかし、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる座部と、背部と、車両係合部と、座側係合部と、背側係合部と、保持部と、第１当接部と、第２当接部とによってチャイルドシートを構成しても良い。

　本発明は、例えば座部と背部とを分離可能なチャイルドシートで利用できる。

　１……チャイルドシート、２……チャイルドシート本体、１１……座部、１２……背部、２１……座本体部、２１Ｓ……座面、２２……アームレスト、２３……座側係合部、２４……車両係合部、３１……アームレスト本体部、３２……腕支持部、３３……補強部、３４……後当接部、３５……下当接部、４１……係合空間、４２……係合軸、４３……係合補強軸、５０……取付金具、５１……ホルダ、５２……変位係合部、５３……レバー保持部、５４……変位レバー、５５……リベット、７１……背基体部、７２……背変位部、７３……側方保護部、７４……背側当接部、７５……衝撃吸収材、７６……背側係合部、７７……係合溝、Ｘ３４……後仮想当接線、Ｘ３５……下仮想当接線。

 

Claims (6)

1. 　乳幼児が着座する座部と、
   　前記乳幼児の背中部分を支える背部と、
   　前記座部に設けられ、金属部品を有し、車両と係合する車両係合部と、
   　前記座部に設けられ、前記背部と係合する座側係合部と、
   　前記背部に設けられ、前記座側係合部と係合する背側係合部と、
   　前記座部に設けられ、樹脂材料により成形され、所定の大きさの外力が加えられた場合に前記座側係合部に対する位置及び形状を保持する保持部と、
   　前記保持部に設けられ、前記背部と当接する第１当接部と、
   　前記保持部に設けられ、前記車両係合部と当接する第２当接部と
   　を具えることを特徴とするチャイルドシート。
2. 　前記保持部は、アームレストであり、
   　前記保持部の前記第１当接部は、前記アームレストにおいて前記背部と対向する箇所に設けられている
   　ことを特徴とする請求項１に記載のチャイルドシート。
3. 　前記保持部は、前記第１当接部と前記第２当接部との間を補強する補強部を有する
   　ことを特徴とする請求項１に記載のチャイルドシート。
4. 　前記座部は、前記座側係合部から前記第１当接部までの距離が、当該座側係合部から前記第２当接部までの距離よりも大きい
   　ことを特徴とする請求項１に記載のチャイルドシート。
5. 　前記座側係合部は、前記乳幼児から見た場合の左右方向に沿った柱状部品を有し、
   　前記車両係合部は、前記柱状部品と係合する
   　ことを特徴とする請求項１に記載のチャイルドシート。
6. 　前記座側係合部は、前記乳幼児を左右方向から見た場合における、前記座側係合部及び前記第１当接部を結ぶ仮想的な第１仮想当接線と、前記座側係合部及び前記第２当接部を結ぶ仮想的な第２仮想当接線とのなす角度が、９０度未満である
   　ことを特徴とする請求項５に記載のチャイルドシート。
   
    

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