WO2023047594A1 - フィルム状接着剤、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム、並びに半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

フィルム状接着剤、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム、並びに半導体装置及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

フィルム状接着剤が開示される。当該フィルム状接着剤は、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、エラストマーと、平均粒径が400nm以下である無機フィラーとを含有する。無機フィラーの含有量は、フィルム状接着剤の全量を基準として、18~40質量%である。

Description

フィルム状接着剤、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム、並びに半導体装置及びその製造方法
 本開示は、フィルム状接着剤、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム、並びに半導体装置及びその製造方法に関する。
 近年、半導体素子(半導体チップ)を多段に積層した積層MCP(Multi Chip Package)が普及しており、携帯電話、携帯オーディオ機器用のメモリ半導体パッケージ等として搭載されている。また、携帯電話等の多機能化に伴い、半導体パッケージの高速化、高密度化、高集積化等も推し進められている。それに伴い、半導体ウェハの薄膜化も進行しており、加工時のウェハ割れ等の不具合が発生し易くなることで歩留まりの低下が問題になる場合がある。そのため、半導体ウェハの厚さが薄くなる(例えば、50μm以下)につれて、従来の物理的な研削方法から新しい加工方法への移行が進んでいる。
 新しい加工方法の1つとして、切断予定ライン上の半導体ウェハ内部にレーザー光を照射して改質領域を形成し、その後、外周部をエキスパンドによって半導体ウェハを切断する方法が近年提案されている(例えば、特許文献1、2)。この方法は、ステルスダイシングと呼ばれる。新しい加工方法の開発に伴い、これに適合可能な半導体材料の開発が必要となっている。このような半導体材料として、ダイシングテープとダイボンディングフィルムとの性能を併せ持つダイシング・ダイボンディング一体型フィルムが報告されている(例えば、特許文献3、4)。
特開2002-192370号公報 特開2003-338467号公報 特開2015-211080号公報 特開2016-115775号公報
 ところで、半導体装置の製造プロセスにおいて、ステルスダイシングによって改質領域を形成して分断する場合、冷却条件下におけるエキスパンド(以下、「冷却エキスパンド」という場合がある。)を実施することがある。しかし、従来のダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを冷却エキスパンドに適用すると、フィルム状接着剤からなる接着剤層において未分断が発生する場合がある。接着剤層の未分断が発生すると、歩留まりの低下及び未分断品を選別するための生産時間効率の低下が問題になる。
 また、積層MCPにおいては、半導体素子が多段に積層されることから、使用されるフィルム状接着剤には、薄膜化(例えば、厚さ20μm以下)が求められている。しかしながら、従来のフィルム状接着剤を薄膜化すると、ダイシェア強度が確保できない場合があり、未だ改善の余地がある。
 そこで、本開示は、冷却エキスパンドによる分断性に優れるとともに、薄膜化したときに充分なダイシェア強度を有するフィルム状接着剤を提供することを主な目的とする。
 本開示の一側面は、フィルム状接着剤に関する。当該フィルム状接着剤は、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、エラストマーと、平均粒径が400nm以下である無機フィラーとを含有する。無機フィラーの含有量は、フィルム状接着剤の全量を基準として、18~40質量%である。無機フィラーの含有量が、フィルム状接着剤の全量を基準として、18質量%以上であると、フィルム状接着剤の冷却エキスパンドによる分断性に優れる傾向にある。無機フィラーの含有量が、フィルム状接着剤の全量を基準として、40質量%以下であると、フィルム状接着剤を薄膜化したときに充分なダイシェア強度を有する傾向にある。
 フィルム状接着剤の厚さは、20μm以下であってよい。
 フィルム状接着剤は、複数の半導体素子を積層してなる半導体装置の製造プロセスに用いられるものであってよい。この場合、半導体装置は、半導体素子(半導体チップ)を多段に積層した積層MCP(Multi Chip Package)であってよく、三次元NAND型メモリであってもよい。
 本開示の他の一側面は、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムに関する。当該ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムは、基材層と、粘着剤層と、上記のフィルム状接着剤からなる接着剤層とをこの順に備える。
 本開示の他の一側面は、半導体装置に関する。当該半導体装置は、半導体素子と、半導体素子を搭載する支持部材と、半導体素子及び支持部材の間に設けられ、半導体素子と支持部材とを接着する接着部材とを備える。接着部材は、上記のフィルム状接着剤の硬化物である。半導体装置は、半導体素子の表面上に積層された他の半導体素子をさらに備えていてもよい。
 本開示の他の一側面は、半導体装置の製造方法に関する。当該半導体装置の製造方法の一態様は、半導体素子と支持部材との間、又は、第1の半導体素子と第2の半導体素子との間に上記のフィルム状接着剤を介在させ、半導体素子及び支持部材、又は、第1の半導体素子及び第2の半導体素子を接着する工程を備える。
 当該半導体装置の製造方法の他の態様は、上記のダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの接着剤層に半導体ウェハを貼り付ける工程と、接着剤層を貼り付けた半導体ウェハをダイシングする工程と、基材層を冷却条件下エキスパンドすることによって、複数の個片化された接着剤片付き半導体素子を作製する工程と、接着剤片付き半導体素子を粘着剤層からピックアップする工程と、接着剤片付き半導体素子を支持部材に接着剤片を介して接着する工程とを備える。半導体装置の製造方法は、他の接着剤片付き半導体素子を、支持部材に接着された半導体素子の表面に接着剤片を介して接着する工程をさらに備えていてもよい。
 本開示によれば、冷却エキスパンドによる分断性に優れるとともに、薄膜化したときに充分なダイシェア強度を有するフィルム状接着剤が提供される。また、本開示によれば、このようなフィルム状接着剤を用いたダイシング・ダイボンディング一体型フィルム、並びに半導体装置及びその製造方法が提供される。さらに、本開示によれば、このようなダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを用いた半導体装置の製造方法が提供される。
図1は、フィルム状接着剤の一実施形態を示す模式断面図である。 図2は、割断試験における冶具に固定された状態の試料を模式的に示す斜視図である。 図3は、割断試験における押し込み冶具によって試料に荷重を加えている状態を模式的に示す断面図である。 図4は、割断試験の結果の一例を模式的に示すグラフである。 図5は、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。 図6は、半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。 図7は、半導体装置の他の実施形態を示す模式断面図である。 図8は、半導体装置の他の実施形態を示す模式断面図である。
 以下、図面を適宜参照しながら、本開示の実施形態について説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。各図における構成要素の大きさは概念的なものであり、構成要素間の大きさの相対的な関係は各図に示されたものに限定されない。
 本開示における数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
 本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味する。(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリル共重合体等の他の類似表現についても同様である。
 本明細書に例示する各成分及び材料は、特に断らない限り、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用して使用してもよい。
[フィルム状接着剤]
 フィルム状接着剤は、熱硬化性樹脂(以下、「(A)成分」という場合がある。)と、硬化剤(以下、「(B)成分」という場合がある。)と、エラストマー(以下、「(C)成分」という場合がある。)と、平均粒径が400nm以下である無機フィラー(以下、「(D)成分」という場合がある。)とを含有する。フィルム状接着剤は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分に加えて、カップリング剤(以下、「(E)成分」という場合がある。)、硬化促進剤(以下、「(F)成分」という場合がある。)、その他の成分等をさらに含有していてもよい。
 フィルム状接着剤は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分、並びに必要に応じて添加される他の成分((E)成分、(F)成分、その他の成分等)を含有する接着剤組成物を、フィルム状に成形することによって得ることができる。フィルム状接着剤(接着剤組成物)は、半硬化(Bステージ)状態を経て、硬化処理後に完全硬化(Cステージ)状態となり得るものであってよい。
(A)成分:熱硬化性樹脂
 (A)成分は、接着性の観点から、エポキシ樹脂を含んでいてもよく、1種又は2種以上のエポキシ樹脂からなるものであってもよい。
 エポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基を有するものであれば、特に制限なく用いることができる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;ビスフェノールS型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;トリアジン骨格含有エポキシ樹脂;フルオレン骨格含有エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂;ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;多官能フェノール類、アントラセン等の多環芳香族類のジグリシジルエーテル化合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、エポキシ樹脂は、フィルムのタック性、柔軟性等の観点から、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂又はフルオレン骨格含有エポキシ樹脂を含んでいてもよい。
 エポキシ樹脂のエポキシ当量は、特に制限されないが、90~300g/eq、110~290g/eq、又は130~280g/eqであってよい。エポキシ樹脂のエポキシ当量がこのような範囲にあると、より良好な反応性及び流動性が得られる傾向にある。
 (A)成分の含有量は、フィルム状接着剤の全質量を基準として、1質量%以上、3質量%以上、又は5質量%以上であってよく、30質量%以下、20質量%以下、又は15質量%以下であってよい。(A)成分の含有量がこのような範囲にあると、硬化後の弾性率により優れる傾向にある。(A)成分の含有量がこのような範囲にあると、硬化前の柔軟性により優れる傾向にある。
(B)成分:硬化剤
 (A)成分の硬化剤として一般的に使用されているものを用いることができる。(A)成分がエポキシ樹脂を含む(1種又は2種以上のエポキシ樹脂からなる)場合、(B)成分としては、例えば、フェノール樹脂、エステル化合物、芳香族アミン、脂肪族アミン、酸無水物等が挙げられる。これらの中でも、反応性及び経時安定性の観点から、(B)成分はフェノール樹脂を含んでいてもよく、1種又は2種以上のフェノール樹脂からなるものであってもよい。
 フェノール樹脂は、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類と、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類との重縮合生成物であり得る。重縮合は、通常、酸、塩基等の触媒存在下で行われる。酸触媒を用いた場合に得られるフェノール樹脂は、特にノボラック型フェノール樹脂と呼ばれる。ノボラック型フェノール樹脂としては、例えば、フェノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、キシレノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、レゾルシノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、フェノール-ナフトール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂等が挙げられる。また、フェノール樹脂としては、例えば、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化ナフタレンジオール、フェノールノボラック、フェノール等のフェノール類及び/又はナフトール類と、ジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、フェニルアラルキル型フェノール樹脂なども挙げられる。
 フェノール樹脂の水酸基当量は、80~300g/eq、90~280g/eq、又は100~250g/eqであってよい。フェノール樹脂の水酸基当量が80g/eq以上であると、貯蔵弾性率がより向上する傾向にあり、300g/eq以下であると、発泡、アウトガス等の発生による不具合を防ぐことが可能となる。
 フェノール樹脂の軟化点は、50~140℃、55~130℃、又は60~120℃であってよい。なお、軟化点とは、JIS K7234に準拠し、環球法によって測定される値を意味する。
 (B)成分の含有量は、フィルム状接着剤の全質量を基準として、1質量%以上、2質量%以上、又は3質量%以上であってよく、20質量%以下、15質量%以下、又は10質量%以下であってよい。
 (A)成分がエポキシ樹脂であり、(B)成分がフェノール樹脂である場合、エポキシ樹脂のエポキシ当量とフェノール樹脂の水酸基当量との比(エポキシ樹脂のエポキシ当量/フェノール樹脂の水酸基当量)は、硬化性の観点から、0.30/0.70~0.70/0.30、0.35/0.65~0.65/0.35、0.40/0.60~0.60/0.40、又は0.45/0.55~0.55/0.45であってよい。当該当量比が0.30/0.70以上である(エポキシ樹脂のエポキシ当量が0.30以上である)と、より充分な硬化性が得られる傾向にある。当該当量比が0.70/0.30以下である(エポキシ樹脂のエポキシ当量が0.70以下である)と、粘度が高くなり過ぎることを防ぐことができ、より充分な流動性を得ることができる。
 (A)成分及び(B)成分の合計の含有量は、フィルム状接着剤の全質量を基準として、1質量%以上、5質量%以上、又は10質量%以上であってよい。(A)成分及び(B)成分の合計の含有量がこのような範囲にあると、接着性がより向上する傾向にある。(A)成分及び(B)成分の合計の含有量は、取り扱い性の観点から、フィルム状接着剤の全質量を基準として、40質量%以下、30質量%以下、又は20質量%以下であってよい。
(C)成分:エラストマー
 (C)成分としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ブタジエン樹脂;これら樹脂の変性体等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、(C)成分は、イオン性不純物が少なく耐熱性により優れること、半導体装置の接続信頼性をより確保し易いこと、流動性により優れることから、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を主成分として有するアクリル樹脂(アクリルゴム)であってよい。(C)成分における(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量は、構成単位全量を基準として、例えば、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であってよい。アクリル樹脂(アクリルゴム)は、エポキシ基、アルコール性又はフェノール性水酸基、カルボキシル基等の架橋性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含むものであってよい。
 (C)成分のガラス転移温度(Tg)は、-50~50℃又は-30~30℃であってよい。(C)成分のTgが-50℃以上であると、接着剤組成物の柔軟性が高くなり過ぎることを防ぐことができる傾向にある。これによって、ウェハダイシング時にフィルム状接着剤を切断し易くなり、バリの発生を防ぐことが可能となる。(C)成分のTgが50℃以下であると、フィルム状接着剤の柔軟性の低下を抑えることができる傾向にある。これにより、フィルム状接着剤を半導体ウェハに貼り付ける際に、ボイドを充分に埋め込み易くなる傾向にある。また、半導体ウェハの密着性の低下によるダイシング時のチッピングを防ぐことが可能となる。ここで、ガラス転移温度(Tg)は、DSC(熱示差走査熱量計)(例えば、株式会社リガク製「Thermo Plus 2」)を用いて測定した値を意味する。(C)成分のTgは、(C)成分を構成する構成単位((C)成分がアクリル樹脂(アクリルゴム)である場合、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位)の種類及び含有量を調整することによって、所望の範囲に調整することができる。
 (C)成分の重量平均分子量(Mw)は、10万~300万又は20万~100万であってよい。(C)成分のMwがこのような範囲にあると、フィルム形成性、フィルム強度、可撓性、タック性等を適切に制御することができるとともに、リフロー性に優れ、埋め込み性を向上することができる。ここで、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンによる検量線を用いて換算した値を意味する。
 (C)成分の市販品としては、SG-70L、SG-708-6、WS-023 EK30、SG-P3、SG-280 EK23、SG-80H、HTR-860P、HTR-860P-3、HTR-860P-3CSP、HTR-860P-3CSP-3DB、HTR-860P-30B(いずれもナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
 (C)成分の含有量は、フィルム状接着剤の全質量を基準として、40質量%以上、45質量%以上、又は50質量%以上であってよい。(C)成分の含有量がこのような範囲にあると、薄膜塗工性により優れる傾向にある。(C)成分の含有量は、フィルム状接着剤の全質量を基準として、80質量%以下、75質量%以下、又は70質量%以下であってよい。(C)成分の含有量がこのような範囲にあると、(A)成分及び(B)成分の含有量を充分に確保することができ、他の特性との両立できる傾向にある。
(D)成分:平均粒径が400nm以下である無機フィラー
 (D)成分としての無機フィラーとしては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミウィスカ、窒化ホウ素、シリカ等が挙げられる。これらは、平均粒径が400nm以下であれば、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、無機フィラーは、溶融粘度の調整の観点から、シリカであってもよい。無機フィラーの形状は、特に制限されないが、球状であってよい。
 (D)成分の平均粒径は、薄膜塗工性及び接着性の観点から、400nm以下であり、350nm以下又は300nm以下であってもよい。(D)成分としての無機フィラーの平均粒径は、例えば、10nm以上、30nm以上、100nm以上、又は150nm以上であってよい。ここで、平均粒径は、動的光散乱法によって求められる平均粒径を意味する。なお、(D)成分の平均粒径は、(D)成分が含有されるフィルム状接着剤を用いることによっても求めることができる。この場合、フィルム状接着剤を加熱して樹脂成分を分解することによって得られる残渣を溶媒に分散して分散液を作製し、これに動的光散乱法を適用して得られる粒度分布から、(D)成分の平均粒径を求めることができる。
 (D)成分は、例えば、1種又は2種以上の平均粒径400nm以下の無機フィラーから構成されるものであってよく、1種又は2種以上の、平均粒径10~400nm、平均粒径30~400nm、平均粒径100~400nm、平均粒径150~400nm、平均粒径10~350nm、平均粒径30~350nm、平均粒径100~350nm、平均粒径150~350nm、平均粒径10~300nm、平均粒径30~300nm、平均粒径100~300nm、又は平均粒径150~300nmの無機フィラーから構成されるものであってもよい。
 (D)成分の含有量は、フィルム状接着剤の全量を基準として、18~40質量%である。(D)成分の含有量は、フィルム状接着剤の全質量を基準として、18質量%以上であり、20質量%以上、22質量%以上、又は24質量%以上であってもよい。(D)成分の含有量が、フィルム状接着剤の全量を基準として、18質量%以上であると、フィルム状接着剤の冷却エキスパンドによる分断性に優れる傾向にある。(D)成分の含有量は、フィルム状接着剤の全質量を基準として、40質量%以下であり、38質量%以下、35質量%以下、又は32質量%以下であってもよい。(D)成分の含有量、フィルム状接着剤の全量を基準として、40質量%以下であると、フィルム状接着剤を薄膜化したときに充分なダイシェア強度を有する傾向にある。フィルム状接着剤の全量を基準とする(D)成分の含有量は、(D)成分が含有されるフィルム状接着剤を用いることによっても求めることができる。この場合、フィルム状接着剤の質量及びフィルム状接着剤を加熱して樹脂成分を分解することによって得られる残渣の質量を求め、これらの質量関係から(D)成分の含有量を求めることができる。フィルム状接着剤を加熱して樹脂成分を分解することによって得られる残渣の質量は、残渣を溶媒で洗浄し、乾燥した後に測定される質量であってもよい。
 フィルム状接着剤は、(D)成分に加えて、平均粒径が400nm超である無機フィラーを含有していてもよい。他方、フィルム状接着剤は、本開示の効果がより顕著に奏される傾向にあることから、平均粒径が400nm超である無機フィラーを実質的に含有していない(添加していない)ことが好ましい。ここで、「実質的に含有していない」とは、平均粒径が400nm超である無機フィラーの含有量が、(D)成分及び平均粒径が400nm超である無機フィラーの全質量を基準として、5質量%以下、3質量%以下、1質量%以下、又は0.1質量%以下であることを意味する。
(E)成分:カップリング剤
 (E)成分は、シランカップリング剤であってよい。シランカップリング剤としては、例えば、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(F)成分:硬化促進剤
 (F)成分としては、例えば、イミダゾール類及びその誘導体、有機リン系化合物、第二級アミン類、第三級アミン類、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、反応性の観点から(F)成分はイミダゾール類及びその誘導体であってもよい。
 イミダゾール類としては、例えば、2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 フィルム状接着剤は、その他の成分をさらに含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、顔料、イオン補捉剤、酸化防止剤等が挙げられる。
 (E)成分、(F)成分、及びその他の成分の合計の含有量は、フィルム状接着剤の全質量を基準として、0.1質量%以上、0.3質量%以上、又は0.5質量%以上であってよく、20質量%以下、10質量%以下、又は5質量%以下であってよい。
 図1は、フィルム状接着剤の一実施形態を示す模式断面図である。図1に示すフィルム状接着剤1は、接着剤組成物をフィルム状に成形してなるものである。フィルム状接着剤1は、通常、半硬化(Bステージ)状態で、硬化処理後に完全硬化(Cステージ)状態となるものであり得る。フィルム状接着剤1は、接着剤組成物を支持フィルムに塗布することによって形成することができる。フィルム状接着剤1の形成においては、接着剤組成物のワニス(接着剤ワニス)を用いてもよい。接着剤ワニスを用いる場合は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分、並びに必要に応じて添加される成分を溶剤中で混合又は混練して接着剤ワニスを調製し、得られた接着剤ワニスを支持フィルムに塗布し、溶剤を加熱乾燥して除去することによってフィルム状接着剤1を得ることができる。
 支持フィルムは、上記の加熱乾燥に耐えるものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム等であってよい。支持フィルムは、2種以上を組み合わせた多層フィルムであってもよく、表面がシリコーン系、シリカ系等の離型剤などで処理されたものであってもよい。支持フィルムの厚さは、例えば、10~200μm又は20~170μmであってよい。
 混合又は混練は、通常の撹拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を用い、これらを適宜組み合わせて行うことができる。
 接着剤ワニスの調製に用いられる溶剤は、各成分を均一に溶解、混練、又は分散できるものであれば制限はなく、従来公知のものを使用することができる。このような溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドン、トルエン、キシレン等が挙げられる。溶剤は、乾燥速度及び価格の観点から、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノンであってよい。
 接着剤ワニスを支持フィルムに塗布する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等を用いることができる。加熱乾燥は、使用した溶剤が充分に揮散する条件であれば特に制限されないが、50~150℃の範囲で、1~30分の範囲で行うことができる。加熱乾燥は、異なる加熱温度で異なる加熱時間で段階的に行うことができる。
 フィルム状接着剤の厚さは、20μm以下であってよく、18μm以下、15μm以下、12μm以下、又は10μm以下であってもよい。フィルム状接着剤の厚さの下限は、特に制限されないが、例えば、1μm以上であってよい。
 支持フィルム上に作製されたフィルム状接着剤は、損傷又は汚染を防ぐ観点から、フィルム状接着剤の支持フィルムとは反対側の面にカバーフィルムを備えていてもよい。カバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面はく離剤処理フィルム等が挙げられる。カバーフィルムの厚さは、例えば、15~200μm又は30~170μmであってよい。
 フィルム状接着剤は、薄膜化が可能であることから、複数の半導体素子を積層してなる半導体装置の製造プロセスに好適に用いることができる。この場合、半導体装置は、積層MCPであってよく、三次元NAND型メモリであってもよい。
 フィルム状接着剤1は、以下の条件下で実施される割断試験の結果を利用した分断性評価方法(冷却エキスパンドが実施される低温条件(例えば、-15℃~0℃の範囲)下におけるフィルム状接着剤の分断性評価方法)において、割断係数mが70以下であるフィルム状接着剤であってよい。
<条件>
 試料の幅:5mm
 試料の長さ:23mm
 押し込み冶具と試料との相対速度:10mm/分
 以下、割断試験について説明する。割断試験は抗折強度試験に分類されるものであり、試料の両端を固定した状態で試料が破断するまで試料の中央部を押し込む工程を含む。図2に示すように、試料Sは一対の試料固定用冶具20に挟まれて固定された状態で割断試験に供される。一対の試料固定用冶具20は、例えば、充分な強度を有する厚紙からなり、中央に矩形の開口20aをそれぞれ有する。固定された状態の試料Sの中央部に、押し込み冶具21を用いて荷重を加える(図3参照)。
 試料Sは、評価対象のフィルム状接着剤を切り出したものであればよく、フィルム状接着剤から切り出した複数の接着剤片を積層して試料を作製しなくてもよい。すなわち、試料Sの厚さは、フィルム状接着剤の厚さと同じであってもよい。試料Sの幅(図2におけるWs)は、例えば、1~30mmであり、3~8mmであってもよい。測定装置の状況に応じて適当な幅に設定すればよい。試料Sの長さ(図2におけるLs)は、例えば、5~50mmであり、10~30mm又は6~9mmであってもよい。試料Sの長さは試料固定用冶具20の開口20aのサイズに依存する。なお、試料固定用冶具20の形状及び試料Sのサイズは、割断試験を実施できる限り、上記のもの以外であってもよい。
 押し込み冶具21は、円錐状の先端部21aを有する円柱状部材からなる。押し込み冶具21の直径(図3におけるR)は、例えば、3~15mmであり、5~10mmであってもよい。先端部21aの角度(図3におけるθ)は、例えば、40~120°であり、60~100°であってもよい。
 割断試験は、所定の温度に設定された恒温槽内で実施される。恒温槽は、-15℃~0℃の範囲の一定の温度(想定される冷却エキスパンドの温度)に設定すればよい。恒温槽として、例えば、株式会社アイテック社製、TLF-R3-F-W-PL-Sを使用できる。オートグラフ(例えば、株式会社エーアンドデイ製のAZT-CA01、ロードセル50N、圧縮モード)を使用し、割断仕事W、割断強度P、及び割断伸びLを得る。
 押し込み冶具21と試料Sとの相対速度は、例えば、1~100mm/分であり、5~20mm/分であってもよい。この相対速度が速すぎると割断過程のデータが充分に取得できない傾向にあり、遅すぎると応力が緩和して割断に至りにくい傾向にある。押し込み冶具21の押し込み距離は、例えば、1~50mmであり、5~30mmであってもよい。押し込み距離が短すぎると割断に至らない傾向にある。評価対象のフィルム状接着剤について、複数の試料を準備し、割断試験を複数回行って試験結果の安定性を確認することが好ましい。
 図4は、割断試験の結果の一例を示すグラフである。図4に示すように、割断仕事Wは、縦軸を荷重とし、横軸を試料Sが破断するまでの押し込み量でグラフを作成したときに囲まれた面積である。割断強度Pは、試料Sが破断したときの荷重である。割断伸びLは試料Sが破断したときの試料Sの伸び量である。割断伸びLは、試料Sが破断したときの押し込み距離と試料固定用冶具20の開口20aの幅から三角関数を用いて算出すればよい。
 割断試験によって得られた割断仕事W(N・mm)、割断強度P(N)、及び割断伸びL(mm)の値から、式(1)及び式(2)より割断係数m(無次元)及び割断抵抗R(N/mm)を求める。
 m=W/[1000×(P×L)] (1)
 R=P/A (2)
 本発明者らの検討によると、以下の条件下で割断試験を実施したとき、割断係数mが90以下であるフィルム状接着剤は、実際にステルスダイシングにおいて冷却エキスパンドによる分断性に優れる傾向にある。
<条件>
 試料の幅:5mm
 試料の長さ:23mm
 押し込み冶具と試料との相対速度:10mm/分
 割断係数m(無次元)は、90以下であってよく、80以下、70以下、65以下、又は60以下であってもよい。割断係数mは低温条件下におけるフィルム状接着剤の延伸性に関するパラメータである。割断係数mが90以下であると、フィルム状接着剤の適度な延伸性により、冷却エキスパンドによる分断性が充分となる傾向にある。この傾向は割断係数mの数値が小さくなるほど、より顕著である。割断係数m(無次元)は、0超であってよく、10以上又は15以上であってもよい。割断係数mが15以上であると、応力の伝播性が良好となる傾向にある。割断係数mがこのような範囲にあるフィルム状接着剤は、冷却エキスパンドが実施される半導体装置の製造プロセスに好適に用いることができる。
 割断抵抗Rは、0N/mm超45N/mm以下であってよく、10N/mm以上又は20N/mm以上であってもよく、40N/mm以下又は35N/mm以下であってもよい。割断抵抗Rが45N/mm以下であると、フィルム状接着剤の強度が過度となり過ぎず、充分な分断性が得られる傾向にある。割断抵抗Rが0N/mm超であると、冷却エキスパンドにおいて良好な応力伝播が生じ、より優れた分断性が得られる傾向にある。割断抵抗Rが20N/mm以上であると、この傾向がより一層顕著となる傾向にある。
[ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム]
 図5は、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。図5に示されるダイシング・ダイボンディング一体型フィルム10は、基材層2と、粘着剤層3と、上記の接着剤組成物からなる接着剤層1Aとをこの順に備える。接着剤層1Aは、フィルム状接着剤1であり得る。基材層2及び粘着剤層3は、ダイシングテープ4であり得る。このようなダイシング・ダイボンディング一体型フィルム10を用いると、半導体ウェハへのラミネート工程が1回となることから、作業の効率化が可能である。ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムは、フィルム状、シート状、テープ状等であってもよい。
 ダイシングテープ4は、基材層2と、基材層2上に設けられた粘着剤層3とを備えている。
 基材層2としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルムなどが挙げられる。これらの基材層2は、必要に応じて、プライマー塗布、UV処理、コロナ放電処理、研磨処理、エッチング処理等の表面処理が行われていてもよい。
 粘着剤層3は、粘着剤からなる層である。粘着剤は、ダイシング時には半導体素子が飛散しない充分な粘着力を有し、その後の半導体素子のピックアップ工程においては半導体素子を傷つけない程度の低い粘着力を有するものであれば特に制限なく、ダイシングテープの分野で従来公知のものを使用することができる。粘着剤は、感圧型又は放射線硬化型のいずれであってもよい。感圧型粘着剤は、短時間の加圧で一定の粘着性を示す粘着剤である。一方、放射線硬化型粘着剤は、放射線(例えば、紫外線)の照射によって、粘着性が低下する性質を有する粘着剤である。放射線硬化型粘着剤は、例えば、紫外線硬化型粘着剤であってよい。
 ダイシングテープ4(基材層2及び粘着剤層3)の厚さは、経済性及びフィルムの取扱い性の観点から、60~150μm又は70~130μmであってよい。
 ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム10は、例えば、フィルム状接着剤1及びダイシングテープ4を準備し、フィルム状接着剤1とダイシングテープ4の粘着剤層3とを貼り合わせることによって得ることができる。また、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム10は、例えば、ダイシングテープ4を準備し、上記のフィルム状接着剤1を形成する方法と同様に、接着剤組成物(接着剤ワニス)をダイシングテープ4の粘着剤層3上に塗布することによっても得ることができる。
 フィルム状接着剤1とダイシングテープ4の粘着剤層3とを貼り合わせる場合、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム10は、ロールラミネーター、真空ラミネーター等を用いて所定条件(例えば、室温(20℃)又は加熱状態)でダイシングテープ4にフィルム状接着剤1をラミネートすることによって形成することができる。ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム10は、連続的に製造ができ、効率に優れることから、加熱状態でロールラミネーターを用いて形成してもよい。
 フィルム状接着剤及びダイシング・ダイボンディング一体型フィルムは、半導体装置の製造プロセスに用いられるものであってよく、複数の半導体素子を積層してなる半導体装置の製造プロセスに用いられるものであってもよい。
 フィルム状接着剤は、半導体素子と半導体素子を搭載する支持部材とを接着するため接着剤としても好適に用いられる。
 また、フィルム状接着剤は、複数の半導体素子を積層してなる半導体装置である積層MCP(例えば、三次元NAND型メモリ)において、半導体素子同士を接着するための接着剤としても好適に用いられる。
 フィルム状接着剤は、例えば、フリップチップ型半導体装置の半導体素子の裏面を保護する保護シート、フリップチップ型半導体装置の半導体素子の表面と被着体との間を封止するための封止シート等としても用いることできる。
 フィルム状接着剤及びダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを用いて製造された半導体装置について、以下、図面を用いて具体的に説明する。なお、近年は様々な構造の半導体装置が提案されており、本実施形態のフィルム状接着剤及びダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの用途は、以下に説明する構造の半導体装置に限定されるものではない。
[半導体装置]
 図6は、半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。図6に示される半導体装置100は、半導体素子11と、半導体素子11を搭載する支持部材12と、接着部材15とを備えている。接着部材15は、半導体素子11及び支持部材12の間に設けられ、半導体素子11と支持部材12とを接着している。接着部材15は、接着剤組成物の硬化物(フィルム状接着剤の硬化物)である。半導体素子11の接続端子(図示せず)はワイヤ13を介して外部接続端子(図示せず)と電気的に接続され、封止材14によって封止されている。
 図7は、半導体装置の他の実施形態を示す模式断面図である。図7に示される半導体装置110において、一段目の半導体素子11aは、接着部材15a(接着剤組成物の硬化物(フィルム状接着剤の硬化物))によって、端子16が形成された支持部材12に接着され、一段目の半導体素子11a上にさらに接着部材15b(接着剤組成物の硬化物(フィルム状接着剤の硬化物))によって二段目の半導体素子11bが接着されている。一段目の半導体素子11a及び二段目の半導体素子11bの接続端子(図示せず)は、ワイヤ13を介して外部接続端子と電気的に接続され、封止材14によって封止されている。図7に示される半導体装置110は、図6に示される半導体装置100において、半導体素子(11a)の表面上に積層された他の半導体素子(11b)をさらに備えているともいえる。
 図8は、半導体装置の他の実施形態を示す模式断面図である。図8に示される半導体装置120は、支持部材12と、支持部材12上に積層された半導体素子11a,11b,11c,11dとを備える。四つの半導体素子11a,11b,11c,11dは、支持部材12の表面に形成された接続端子(図示せず)との接続のために、横方向(積層方向と直交する方向)に互いにずれた位置に積層されている(図8参照)。半導体素子11aは、接着部材15a(接着剤組成物の硬化物(フィルム状接着剤の硬化物))によって支持部材12に接着されており、三つの半導体素子11b,11c,11dの間にも、接着部材15b,15c,15d(接着剤組成物の硬化物(フィルム状接着剤の硬化物))がそれぞれ介在している。図8に示される半導体装置120は、図6に示される半導体装置100において、半導体素子(11a)の表面上に積層された他の半導体素子(11b,11c,11d)をさらに備えているともいえる。
 以上、本開示の実施形態について半導体装置(パッケージ)を詳細に説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、図8においては、四つの半導体素子が積層された態様の半導体装置を例示したが、積層する半導体素子の数はこれに限定されるものではない。また、図8においては、半導体素子が横方向(積層方向と直交する方向)に互いにずれた位置に積層されている態様の半導体装置を例示したが、半導体素子が横方向(積層方向と直交する方向)に互いにずれていない位置に積層されている態様の半導体装置であってもよい。
[半導体装置の製造方法]
 図6、図7、及び図8に示される半導体装置(半導体パッケージ)は、半導体素子と支持部材との間、又は、半導体素子(第1の半導体素子)と半導体素子(第2の半導体素子)との間に上記のフィルム状接着剤を介在させ、半導体素子及び支持部材、又は、半導体素子(第1の半導体素子)及び半導体素子(第2の半導体素子)を接着させる工程を備える方法によって得ることができる。より具体的には、半導体素子と支持部材との間、又は、半導体素子(第1の半導体素子)と半導体素子(第2の半導体素子)との間に上記のフィルム状接着剤を介在させ、これらを加熱圧着して両者を接着させ、その後、必要に応じてワイヤボンディング工程、封止材による封止工程、はんだによるリフローを含む加熱溶融工程等を経ることによって得ることができる。
 半導体素子と支持部材との間、又は、半導体素子(第1の半導体素子)と半導体素子(第2の半導体素子)との間にフィルム状接着剤を介在させる方法としては、後述のように、予め接着剤片付き半導体素子を作製した後、支持部材又は半導体素子に貼り付ける方法であってよい。
 次に、図5に示されるダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを用いて半導体装置の製造方法の一実施形態について説明する。なお、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムによる半導体装置の製造方法は、以下に説明する半導体装置の製造方法に限定されるものではない。
 半導体装置は、例えば、上記のダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの接着剤層に半導体ウェハを貼り付ける工程(ラミネート工程)と、接着剤層を貼り付けた半導体ウェハをダイシングする工程(ダイシング工程)と、基材層を冷却条件下エキスパンドすることによって、複数の個片化された接着剤片付き半導体素子を作製する工程(冷却エキスパンド工程)と、接着剤片付き半導体素子を粘着剤層からピックアップする工程(ピックアップ工程)と、ピックアップされた接着剤片付き半導体素子を支持部材に接着剤片を介して接着する工程(第1の接着工程)とを備える方法によって得ることができる。半導体装置の製造方法は、他の接着剤片付き半導体素子を、支持部材に接着された半導体素子の表面に接着剤片を介して接着する工程(第2の接着工程)をさらに備えていてもよい。
 ラミネート工程は、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム10における接着剤層1Aに半導体ウェハを圧着し、これを接着保持させて貼り付ける工程である。本工程は、圧着ロール等の押圧手段によって押圧しながら行ってもよい。なお、半導体ウェハは、上記と同様の半導体ウェハを例示することができる。
 半導体ウェハとしては、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、各種セラミック、ガリウムヒ素等の化合物半導体などが挙げられる。
 ダイシング工程は、半導体ウェハのダイシングを行う工程である。ダイシングは、例えば、半導体ウェハの回路面側から常法に従って行うことができる。また、本工程では、例えば、半導体ウェハに半分切込みを設けるハーフカットと呼ばれる方式、レーザーによって改質領域を形成し分断する方式(ステルスダイシング)等を採用できる。上記のダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの接着剤層は、冷却エキスパンドによる分断性に優れることから、ステルスダイシングを採用することが好ましい。本工程で用いるダイシング装置としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。
 冷却エキスパンド工程は、基材層を冷却条件下エキスパンドする工程である。これにより、複数の個片化された接着剤片付き半導体素子を得ることができる。冷却条件下におけるエキスパンドの条件は、任意に設定することができるが、例えば、冷却温度-30~5℃、冷却時間30秒~5分、突き上げ量5~20mm、突き上げ速度50~300mm/秒とすることができる。
 半導体素子(半導体チップ)としては、例えば、IC(集積回路)等が挙げられる。支持部材としては、例えば、42アロイリードフレーム、銅リードフレーム等のリードフレーム;ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等のプラスチックフィルム;ガラス不織布等基材にポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等のプラスチックを含浸、硬化させた変性プラスチックフィルム;アルミナ等のセラミックスなどが挙げられる。
 ピックアップ工程は、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムに接着固定された接着剤片付き半導体素子を剥離するために、接着剤片付き半導体素子同士を離間させつつ、接着剤片付き半導体素子のピックアップを行う工程である。接着剤片付き半導体素子同士を離間させるためのエキスパンドの方法としては、特に限定されず、従来公知の種々の方法を採用できる。接着剤片付き半導体素子同士を離間させる方法としては、例えば、基材層をエキスパンドする方法が挙げられる。エキスパンドは、必要に応じて、冷却条件下におけるエキスパンドであってよい。ピックアップの方法としては、特に限定されず、従来公知の種々の方法を採用できる。このような方法としては、例えば、個々の接着剤片付き半導体素子をダイシング・ダイボンディング一体型フィルム側からニードルによって突き上げ、突き上げられた接着剤片付き半導体素子をピックアップ装置によってピックアップする方法等が挙げられる。
 ここでピックアップ工程は、粘着剤層が放射線(例えば、紫外線)硬化型の場合、該粘着剤層に放射線を照射した後に行うことができる。これによって、粘着剤層の接着剤片に対する粘着力が低下し、接着剤片付き半導体素子の剥離が容易になる。その結果、接着剤片付き半導体素子を損傷させることなく、ピックアップが可能となる。
 第1の接着工程は、ピックアップされた接着剤片付き半導体素子を、半導体素子を搭載するための支持部材に接着剤片を介して接着する工程である。また、必要に応じて、他の接着剤片付き半導体素子を、支持部材に接着された半導体素子の表面に接着剤片を介して接着する工程(第2の接着工程)を備えていてもよい。接着はいずれも圧着によって行うことができる。圧着条件としては、特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。圧着条件は、例えば、80~160℃の温度条件、5~15Nの荷重条件、1~10秒の時間条件であってよい。なお、支持部材は、上記と同様の支持部材を例示することができる。
 半導体装置の製造方法は、必要に応じて、接着剤片を熱硬化させる工程を備えていてもよい。上記接着工程によって、半導体素子及び支持部材、又は、半導体素子(第1の半導体素子)と半導体素子(第2の半導体素子)を接着している接着剤片を熱硬化させることによって、より強固に接着固定が可能となる。熱硬化を行う場合、圧力を同時に加えて硬化させてもよい。本工程における加熱温度は、接着剤片を構成成分によって適宜変更することができる。加熱温度は、例えば、60~200℃であってよい。なお、温度又は圧力は、段階的に変更しながら行ってもよい。
 半導体装置の製造方法は、必要に応じて、支持部材の端子部(インナーリード)の先端と半導体素子上の電極パッドとをボンディングワイヤで電気的に接続する工程(ワイヤボンディング工程)を備えていてもよい。ボンディングワイヤとしては、例えば、金線、アルミニウム線、銅線等が用いられる。ワイヤボンディングを行う(ボンディングワイヤを設ける)際の温度は、80~250℃又は80~220℃の範囲内であってよい。加熱時間は数秒~数分であってよい。ボンディングワイヤを設ける際は、上記温度範囲内で加熱された状態で、超音波による振動エネルギーと印加加圧とによる圧着エネルギーの併用によって行ってもよい。
 半導体装置の製造方法は、必要に応じて、封止材によって半導体素子を封止する工程(封止工程)を備えていてもよい。本工程は、支持部材に搭載された半導体素子又はボンディングワイヤを保護するために行われる。本工程は、封止用の樹脂(封止樹脂)を金型で成型することによって行うことができる。封止樹脂としては、例えばエポキシ系の樹脂であってよい。封止時の熱及び圧力によって支持部材及び残渣が埋め込まれ、接着界面での気泡による剥離を防止することができる。
 半導体装置の製造方法は、必要に応じて、封止工程で硬化不足の封止樹脂を完全に硬化させる工程(後硬化工程)を備えていてもよい。封止工程において、接着剤片が熱硬化されない場合でも、本工程において、封止樹脂の硬化とともに接着剤片を熱硬化させて接着固定が可能になる。本工程における加熱温度は、封止樹脂の種類よって適宜設定することができ、例えば、165~185℃の範囲内であってよく、加熱時間は0.5~8時間程度であってよい。
 半導体装置の製造方法は、必要に応じて、支持部材に接着された接着剤片付き半導体素子に対して、リフロー炉を用いて加熱する工程(加熱溶融工程)を備えていてもよい。本工程では支持部材上に、樹脂封止した半導体装置を表面実装してもよい。表面実装の方法としては、例えば、プリント配線板上に予めはんだを供給した後、温風等によって加熱溶融し、はんだ付けを行うリフローはんだ付けなどが挙げられる。加熱方法としては、例えば、熱風リフロー、赤外線リフロー等が挙げられる。また、加熱方法は、全体を加熱するものであってもよく、局部を加熱するものであってもよい。加熱温度は、例えば、240~280℃の範囲内であってよい。
 以下に、本開示を実施例に基づいて具体的に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
[フィルム状接着剤の作製]
(実施例1~19及び比較例1~3)
<接着剤ワニスの調製>
 表1、表2、及び表3に示す成分及び含有量(単位:質量部)で、(A)成分、(B)成分、及び(D)成分からなる混合物にシクロヘキサノンを加え、撹拌混合した。これに、表1、表2、及び表3に示す成分及び含有量(単位:質量部)で、(C)成分を加えて撹拌し、さらに(E)成分及び(F)成分を加えて、各成分が均一になるまで撹拌して、接着剤ワニスを調製した。なお、表1、表2、及び表3に示す各成分は下記のものを意味し、表1、表2、及び表3に示す数値は固形分の質量部を意味する。
(A)成分:エポキシ樹脂
(A-1)N-500P-10(商品名、DIC株式会社製、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量:203g/eq)
(A-2)PG-100(商品名、大阪ガスケミカル株式会社製、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、エポキシ当量:260g/eq)
(B)成分:硬化剤
(B-1)MEH-7800M(商品名、明和化学株式会社製、フェノールノボラック型フェノール樹脂、水酸基当量:167~180g/eq、軟化点:61~90℃)
(B-2)GPH-103(商品名、日本化薬株式会社製、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、水酸基当量:220~240g/eq、軟化点:99~106℃)
(B-3)PSM-4326(商品名、群栄化学工業株式会社製、フェノールノボラック型フェノール樹脂、水酸基当量:105g/eq、軟化点:118~122℃)
(C)成分:エラストマー
(C-1)HTR-860P(商品名、ナガセケムテックス株式会社製、アクリルゴム、重量平均分子量:80万、Tg:-12℃)
(C-2)HTR-860P-30B:ナガセケムテックス株式会社製、アクリルゴム、重量平均分子量:30万、Tg:-12℃)
(D)成分:平均粒径が400nm以下である無機フィラー
(D-1)アエロジルR972(商品名(「アエロジル」は登録商標)、日本アエロジル株式会社製、シリカ粒子、平均粒径:16nm)
(D-2)YA050C-HHG(商品名、アドマテックス株式会社製、シリカフィラー分散液、平均粒径:50nm)
(D-3)K180ST(商品名、アドマテックス株式会社製、シリカフィラー分散液、平均粒径:180nm)
(D-4)3GF(商品名、アドマテックス株式会社製、シリカフィラー分散液、平均粒径:300nm)
(d)成分:平均粒径が400nm超である無機フィラー
(d-1)SC2050-HLG(商品名、アドマテックス株式会社製、シリカフィラー分散液、平均粒径:500nm)
(E)成分:カップリング剤
(E-1)A-189(商品名、日本ユニカー株式会社製、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)
(E-2)Y-9669(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製、3-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン)
(F)成分:硬化促進剤
(F-1)2PZ-CN(商品名、四国化成工業株式会社製、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール)
<フィルム状接着剤の作製>
 調製した接着剤ワニスを500メッシュのフィルターでろ過し、真空脱泡した。支持フィルムとして、厚さ38μmの離型処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、真空脱泡後の接着剤ワニスをPETフィルム上に塗布した。塗布した接着剤ワニスを、90℃で5分の条件、続いて140℃で5分の条件の2段階で加熱乾燥し、Bステージ状態にある実施例1~19及び比較例1~3のフィルム状接着剤(厚さ:7μm)を得た。フィルム状接着剤においては、接着剤ワニスの塗布量によって、フィルム状接着剤の厚さが7μmになるように調整した。
[冷却エキスパンドによる分断性評価]
 実施例1~19及び比較例1~3のフィルム状接着剤からそれぞれ接着剤片(幅5mm×長さ100mm)を切り出した。接着剤片を一対の冶具(厚紙)に固定するとともに、冶具からはみ出している接着剤片の箇所を除去した。これにより、評価対象の試料(幅5mm×長さ23mm)を得た。-15℃に設定された恒温槽(株式会社アイテック社製、TLF-R3-F-W-PL-S)内において割断試験を実施した。すなわち、オートグラフ(株式会社エーアンドデイ社製、AZT-CA01、ロードセル50N)を用いて圧縮モード、速度10mm/分、押し込み距離5mmの条件で割断試験を実施し、フィルム状接着剤が破断したときの割断仕事W、割断強度P、及び割断伸びLを求めた。また、上記の式(1)及び式(2)にから、割断係数m及び割断抵抗Rを算出した。なお、割断係数m及び割断抵抗Rは、各実施例及び各比較例について8回以上の割断試験を実施し、その平均値である。割断係数mはその数値が小さくなるにつれて、冷却エキスパンドによる分断性に優れる傾向にある。割断係数mが70以下である場合を、冷却エキスパンドによる分断性に特に優れるとして「A」、割断係数mが70超90以下である場合を「B」、割断係数mが90超である場合を「C」と評価した。結果を表1、表2、及び表3に示す。また、割断係数m及び割断抵抗Rの数値も併せて表1、表2、及び表3に示す。
[薄膜性の評価(ダイシェア強度の測定)]
(ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの作製)
 基材と粘着層とを有するダイシングテープ(商品名:6363-45、昭和電工マテリアルズ株式会社製)を用意し、実施例1~19及び比較例1~3のフィルム状接着剤のそれぞれに、ダイシングテープの粘着層をゴムロールにて張り合わせて、基材、粘着層、及び接着剤層(フィルム状接着剤)をこの順に備える実施例1~19及び比較例1~3のダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを作製した。
(ダイシェア強度の測定)
 上記で作製した実施例1~19及び比較例1~3のダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを用いて、厚さ7μmのフィルム状接着剤のダイシェア強度を測定した。ダイシェア強度を測定するための評価用サンプルは、以下のようにして作製した。厚さ400μmの半導体ウェハを用意し、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムのフィルム状接着剤側を、ステージ温度70℃で半導体ウェハにラミネートし、ダイシング用サンプルを作製した。フルオートダイサーDFD-6361(株式会社ディスコ製)を用いて、得られたダイシング用サンプルを切断した。切断には、2枚のブレードを用いるステップカット方式で行い、ダイシングブレードZH05-SD2000-N1-70-FF、及びZH05-SD4000-N1-70-EE(いずれも株式会社ディスコ製)を用いた。切断条件は、ブレード回転数:4000rpm、切断速度:50mm/秒、チップサイズ:3mm×3mmとした。切断は、半導体ウェハが200μm程度残るように1段階目の切断を行い、ダイシングテープに20μm程度の切り込みが入るように2段階目の切断を行った。次いで、紫外線硬化型粘着剤からなる粘着剤層に紫外線を照射して、粘着剤層を硬化させ、接着剤片付き半導体素子をピックアップした。続いて、接着剤片付き半導体素子の接着剤片を温度120℃、圧力0.1MPa、時間1.0秒の条件で、AUS410基板(ソルダーレジスト付き有機基板)に圧着し、評価用サンプルを作製した。万能ボンドテスター(ノードソン・アドバンスト・テクノロジー株式会社製)を用いて、AUS410基板と接着剤片とのダイシェア強度を室温(25℃)下で測定した。ダイシェア強度が6MPa以上である場合を、薄膜性に特に優れるとして「A」、ダイシェア強度が4MPa以上6MPa未満である場合を「B」、ダイシェア強度が4MPa未満である場合を「C」と評価した。結果を表1、表2、及び表3に示す。また、ダイシェア強度の数値も併せて表1、表2、及び表3に示す。
[耐リフロー性の評価]
 ダイシェア強度の測定で作製した接着剤片付き半導体素子を用いて、以下の方法で耐リフロー性を作製した。まず、接着剤片付き半導体素子を用いて、図8に示すような、四段に積層された積層体をモールド用封止材(日立化成株式会社製、商品名「CEL-9750ZHF10」)で封止することによって、評価用パッケージを得た。なお、封止材の封止条件は175℃/6.7MPa/90秒とし、硬化の条件は175℃、5時間とした。評価用パッケージを20個準備し、これらをJEDECで定めた環境下(レベル3、30℃、60RH%、192時間)に曝して吸湿させた。続いて、IRリフロー炉(260℃、最高温度265℃)に吸湿後の評価用パッケージを3回通過させた。以下の基準で評価を行った。結果を表1、表2、及び表3に示す。
 A:評価用パッケージの破損、厚さの変化、接着剤片と半導体素子との界面での剥離等が20個の評価用パッケージのうち1個も観察されなかった。
 B:評価用パッケージの破損、厚さの変化、接着剤片と半導体素子との界面での剥離等が20個の評価用パッケージのうち少なくとも1個観察された。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表1、表2、及び表3に示すとおり、実施例1~19のフィルム状接着剤は、冷却分断性及び薄膜性の点で優れていた。一方で、比較例1~3のフィルム状接着剤は、薄膜性及び冷却分断性の少なくとも一方で充分でなかった。これらのことから、本開示のフィルム状接着剤が、冷却エキスパンドによる分断性に優れるとともに、薄膜化したときに充分なダイシェア強度を有することが確認された。
 1…フィルム状接着剤、1A…接着剤層、2…基材層、3…粘着剤層、4…ダイシングテープ、10…ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム、11,11a,11b,11c,11d…半導体素子、12…支持部材、13…ワイヤ、14…封止材、15,15a,15b,15c,15d…接着部材、16…端子、20…試料固定用冶具、20a…開口、21…押し込み冶具、21a…先端部、100,110,120…半導体装置。

Claims (10)

  1.  熱硬化性樹脂と、硬化剤と、エラストマーと、平均粒径が400nm以下である無機フィラーとを含有し、
     前記無機フィラーの含有量が、フィルム状接着剤の全量を基準として、18~40質量%である、
     フィルム状接着剤。
  2.  厚さが20μm以下である、
     請求項1に記載のフィルム状接着剤。
  3.  複数の半導体素子を積層してなる半導体装置の製造プロセスに用いられる、
     請求項1又は2に記載のフィルム状接着剤。
  4.  前記半導体装置が三次元NAND型メモリである、
     請求項3に記載のフィルム状接着剤。
  5.  基材層と、粘着剤層と、請求項1又は2に記載のフィルム状接着剤からなる接着剤層とをこの順に備える、
     ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム。
  6.  半導体素子と、
     前記半導体素子を搭載する支持部材と、
     前記半導体素子及び前記支持部材の間に設けられ、前記半導体素子と前記支持部材とを接着する接着部材と、
    を備え、
     前記接着部材が、請求項1又は2に記載のフィルム状接着剤の硬化物である、
     半導体装置。
  7.  前記半導体素子の表面上に積層された他の半導体素子をさらに備える、
     請求項6に記載の半導体装置。
  8.  半導体素子と支持部材との間、又は、第1の半導体素子と第2の半導体素子との間に請求項1又は2に記載のフィルム状接着剤を介在させ、前記半導体素子及び前記支持部材、又は、前記第1の半導体素子及び前記第2の半導体素子を接着させる工程を備える、
     半導体装置の製造方法。
  9.  請求項5に記載のダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの前記接着剤層を半導体ウェハに貼り付ける工程と、
     前記接着剤層を貼り付けた前記半導体ウェハをダイシングする工程と、
     前記基材層を冷却条件下エキスパンドすることによって、複数の個片化された接着剤片付き半導体素子を作製する工程と、
     前記接着剤片付き半導体素子を前記粘着剤層からピックアップする工程と、
     ピックアップされた前記接着剤片付き半導体素子を支持部材に接着剤片を介して接着する工程と、
    を備える、
     半導体装置の製造方法。
  10.  他の前記接着剤片付き半導体素子を、前記支持部材に接着された前記半導体素子の表面に接着剤片を介して接着する工程をさらに備える、
     請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
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