WO2023007764A1

WO2023007764A1 - パンツ型吸収性物品

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Publication number: WO2023007764A1
Application number: PCT/JP2021/045861
Authority: WO
Inventors: 光宇高; 和也藤本; 良宏伊藤
Original assignee: ユニ・チャーム株式会社
Priority date: 2021-07-30
Filing date: 2021-12-13
Publication date: 2023-02-02
Also published as: CN114732598B; CN115670798A; CN114732598A; EP4353211A1; JPWO2023007764A1

Abstract

パルプ及び高吸収性ポリマーの少なくとも何れかを含んだ吸収性本体（１０）と、ベルト部（３２）と、を有し、胴回り開口部（ＢＨ）と一対の脚回り開口部（ＬＨ）とを備え、ベルト部（３２）が、胴回り開口部（ＢＨ）から脚回り開口部（ＬＨ）に向かって上下方向の上側から下側且つ左右方向の内側から外側へ傾斜した接合部（４０）によって、吸収性本体（１０）と接合されている、パンツ型吸収性物品（１）であって、吸収性本体（１０）を伸長させた状態において、左右向において、吸収性本体（１０）は、隣接する部分と比較して単位面積当たりに含まれるパルプ及び高吸収性ポリマーの合計の坪量が異なる坪量相異部（５０）を有している。

Description

パンツ型吸収性物品

　本発明は、パンツ型吸収性物品に関する。

　従来、背腹の胴回りベルト部の左右方向中央部に吸収性本体が接合されたパンツ型吸収性物品が広く知られている。例えば、特許文献１には、吸収性本体３の前側に接着された前側帯部材２Ａ、及び、吸収性本体３の後側に接着された後側帯部材２Ｂを有し、前側帯部材２Ａと後側帯部材２Ｂとがサイド部１ａにて接着されることでパンツ型に形成されたパンツ型おむつ１が開示されている。

特開２００４－３２９２３８号公報

　特許文献１のような従来のパンツ型吸収性物品（おむつ）では、着用時等において、胴回りベルト部が左右方向の一方側に引っ張られると、当該胴回りベルト部に接合されている吸収性本体もそれに連動して左右方向の一方側に引っ張られやすい構造となっていた。この場合、吸収性本体が全体的に変形したり位置ずれを生じたりすることにより、フィット性が悪化してしまうという問題があった。

　本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、着用時において吸収性本体のフィットが良好なパンツ型吸収性物品を提供することにある。

　上記目的を達成するための主たる発明は、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、パルプ及び高吸収性ポリマーの少なくとも何れかを含んだ吸収性本体と、前記吸収性本体の前側上端部と後側上端部とを連結するベルト部と、を有し、胴回り開口部と一対の脚回り開口部とを備え、前記ベルト部が、前記胴回り開口部から前記脚回り開口部に向かって前記上下方向の上側から下側且つ前記左右方向の内側から外側へ傾斜した接合部によって、前記吸収性本体と接合されている、パンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体を伸長させた状態において、
　前記左右方向において、前記吸収性本体は、隣接する部分と比較して単位面積当たりに含まれるパルプ及び高吸収性ポリマーの合計の坪量が異なる坪量相異部を有している、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
である。
　本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。

　本発明によれば、着用時において吸収性本体のフィットが良好なパンツ型吸収性物品を提供することができる。

おむつ１を腹側から見た概略正面図である。図２Ａは、吸収性本体１０及びベルト部３２を長手方向に伸長させた状態のおむつ１の平面図である。図２Ｂは、図２Ａの状態のおむつ１のＡ－Ａ断面図である。図３Ａは、図２Ａの第１接合部４１及び第２接合部４２を分離して展開したおむつ１の平面図である。図３Ｂは、図３Ａの状態のおむつ１のＢ－Ｂ断面図である。図４Ａは、伸長させた状態における吸収性本体１０を肌側から見たときの概略平面図である。図４Ｂは、図４Ａの吸収性本体１０のＣ－Ｃ断面図である。図５Ａ及び図５Ｂは、坪量相異部５０の他の例について説明する図である。従来型のパンツ型おむつと、本実施形態のパンツ型おむつ１とで、着用時における吸収性本体１０のフィット性の違いについて説明する図である。図７Ａ～図７Ｃは、坪量相異部５０の変形例について表す図である。図８Ａ及び図８Ｂは、吸収性本体１０に圧搾部６０が設けられる場合の例について表す図である。おむつ１の背側における、坪量相異部５０の配置について説明する概略平面図である。

　本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。

　互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、パルプ及び高吸収性ポリマーの少なくとも何れかを含んだ吸収性本体と、前記吸収性本体の前側上端部と後側上端部とを連結するベルト部と、を有し、胴回り開口部と一対の脚回り開口部とを備え、前記ベルト部が、前記胴回り開口部から前記脚回り開口部に向かって前記上下方向の上側から下側且つ前記左右方向の内側から外側へ傾斜した接合部によって、前記吸収性本体と接合されている、パンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体を伸長させた状態において、
　前記左右方向において、前記吸収性本体は、隣接する部分と比較して単位面積当たりに含まれるパルプ及び高吸収性ポリマーの合計の坪量が異なる坪量相異部を有している、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、吸収性本体において左右方向の一方側から他方側に作用する力が、坪量相異部によって分散したり弱められたりするため、左右方向の反対側まで力が伝達され難くなる。したがって、吸収性本体のうち、左右方向における一方側の部分が一方側に引っ張られたとしても、左右方向において坪量相異部を挟んだ他方側の部分は、一方側には引っ張られ難く、位置ずれや変形を生じ難くすることができる。これにより、着用時において吸収性本体のフィットが良好なパンツ型吸収性物品を実現することができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、１以上の前記坪量相異部からなる連動抑制領域を有し、前記連動抑制領域の前記上下方向における長さは、前記左右方向における長さよりも長い、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、吸収性本体の左右方向において、連動抑制領域によって区分される一方側の部分と他方側の部分とが長手方向に広く形成されやすくなる。これにより、吸収性本体の変形や位置ずれが左右方向に連動し難くなり、着用時におけるフィット性の悪化を抑制することができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記坪量相異部は、前記上下方向において連続する部分を有している、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、坪量相異部が長手方向に連続していることによって、連続していない場合と比較して、吸収性本体の左右の連動が抑制され易くなる。これにより、着用時における吸収性本体のフィット性の悪化が抑制される。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体は、前記上下方向に沿って間隔を空けて配置された複数の前記坪量相異部を有している、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、上下方向に隣り合う坪量相異部の間に隙間が形成され、当該隙間の部分で生じる剛性差が折れ曲がりの起点となって吸収性本体が長手方向（上下方向）に変形しやすくなる。これにより、吸収性本体が着用者の身体の凹凸に応じて柔軟に変形しやすくなり、フィット性を向上させることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記坪量相異部は、前記左右方向の中央部に設けられ、前記中央部の前記左右方向の両側に隣接する部分よりも単位面積当たりに含まれるパルプ及び高吸収性ポリマーの合計の坪量が高い、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、左右方向の中央部において吸収性本体の坪量が高くなっている部分（坪量相異部）が折れ曲がり起点となって、吸収性本体が左右方向に二つ折りの状態となり、着用者の臀部の溝や排泄口等にフィットしやすくなる。したがって、吸収性本体のフィット性が向上すると共に、排泄漏れを生じ難くすることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記坪量相異部は、前記左右方向の中央部に設けられ、前記中央部の前記左右方向の両側に隣接する部分よりも単位面積当たりに含まれるパルプ及び高吸収性ポリマーの合計の坪量が低い、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、左右方向の中央部において吸収性本体の坪量が低くなっている部分（坪量相異部）が折れ曲がり起点となって、吸収性本体が左右方向に二つ折りの状態となり、着用者の臀部の溝や排泄口等にフィットしやすくなる。したがって、吸収性本体のフィット性が向上すると共に、排泄漏れを生じ難くすることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体は、液吸収性の吸収性コアを備えており、前記坪量相異部の前記左右方向の両側には、前記上下方向に所定の長さを有し、前記吸収性コアを厚さ方向に圧搾する圧搾部が設けられている、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、吸収性コアのうち圧搾部が形成されている部分は局所的に剛性が高まることから、当該圧搾部に沿って吸収性コアが一体的に変形しやすくなる。すなわち、吸収性コア（吸収性本体）のうち坪量相異部によって分割された左右の領域の各々が、長手方向（上下方向）に連動しやすくなる。これにより、吸収性本体の左右方向における両側の領域が、それぞれ着用者の身体の動きに追従しやすくなり、フィット性が向上する。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記ベルト部は、前記脚回り開口部に沿って伸縮可能な面状の弾性部材を有している、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、面状の弾性部材が発現する伸縮性によって、脚回り開口部に沿ってベルト部が着用者の肌に面でピタッとフィットしやすくなる。したがって、着用者がパンツ型吸収性物品を着用した状態で歩行等を行った場合でも、良好なフィット性を維持しやすい。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体は、前記左右方向に沿って間隔を空けて配置された複数の前記坪量相異部を有している、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、左右方向に隣り合う２つの坪量相異部の間の隙間によって、左右方向の力がより伝達され難くなる。また、坪量相異部の間の隙間に生じる剛性差により、当該隙間が折れ曲がり起点となって吸収性本体が左右方向に折れ曲がり変形しやすくなる。これらのことにより、吸収性本体のフィット性をより向上させることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体を伸長させた状態において、前記接合部の前記上下方向における下端よりも上側の領域に、前記坪量相異部の少なくとも一部が配置されている、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、ベルト部を左右方向の外側に引っ張る力が作用した際に、当該力が直接作用しやすい領域である接合部の下端よりも上側の領域において、坪量相異部が配置されていることによって吸収性本体の左右方向への連動を効率的に抑制することができる。これにより、吸収性本体のフィット性が悪化することを抑制することができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記前後方向の後側において、前記接合部の上下方向における下端よりも上側の領域に、前記坪量相異部の少なくとも一部が配置されている、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、前後方向の後側（背側）で、坪量相異部を起点として折れ曲がり変形した吸収性本体が臀部の割れ目にはまるようにフィットして、左右方向への位置ずれや変形をより生じ難くすることができる。これにより、吸収性本体のフィット性が悪化することをより抑制しやすくすることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記前後方向の前側において、前記接合部の前記上下方向における下端よりも下側に偏移して前記坪量相異部が配置されている、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、前後方向の前側（腹側）は、背側と比較して着用者の身体の凹凸が小さく、吸収性本体を折れ曲がり変形させる必要性が少ない。また、着用者の排泄口が前側（腹側）寄りに設けられている。これらのことから、接合部の下端よりも下側に偏移して坪量相異部が配置されていることにより、吸収性本体の良好なフィット性や吸収性を維持しやすくすることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体を伸長させた状態において、前記ベルト部の前記左右方向の外側端における下端よりも下側の領域に、前記坪量相異部の少なくとも一部が配置されている、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、接合部の上下方向における下端よりも上側、且つ、ベルト部の左右方向の外側端における下端よりも下側の領域で、脚回り開口部にたくれ等が生じた場合に、坪量相異部によってたくれの影響が左右方向に連動することを抑制できる。これにより、吸収性本体のフィット性が悪化することをより抑制しやすくすることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記坪量相異部は、背側において、前記上下方向の下側から上側、且つ、前記左右方向の内側から外側に傾斜した第１傾斜部を有し、前記第１傾斜部と水平方向とのなす角度の絶対値は、前記接合部と前記ベルト部の上端とのなす角度の絶対値以下である、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、第１傾斜部の水平方向に対する傾斜角度が過度に大きくならないため、吸収性本体が上下方向（長手方向）に折れ曲がり変形を生じやすくなり、臀部の上部から背中へ続く緩やかな凹凸に沿って吸収性本体のフィット性を向上させることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記坪量相異部は、背側において、前記上下方向の上側から下側、且つ、前記左右方向の内側から外側に傾斜した第２傾斜部を有し、前記第２傾斜部と水平方向とのなす角度の絶対値は、前記接合部と前記ベルト部の上端とのなす角度の絶対値以下である、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、第２傾斜部の水平方向に対する傾斜角度が過度に大きくならないため、吸収性本体が上下方向（長手方向）に折れ曲がり変形を生じやすくなり、臀部下部の丸みに沿って吸収性本体のフィット性を向上させることができる。

　＝＝＝実施形態＝＝＝
　＜おむつ１の基本構成＞
　本実施形態で扱うパンツ型吸収性物品の一例として、パンツ型使い捨ておむつ１（以下、「おむつ１」とも呼ぶ）の基本的な構成について説明する。図１は、おむつ１を腹側から見た概略正面図である。図２Ａは、吸収性本体１０及びベルト部３２を長手方向に伸長させた状態のおむつ１の平面図である。図２Ｂは、図２Ａの状態のおむつ１のＡ－Ａ断面図である。図３Ａは、図２Ａの第１接合部４１及び第２接合部４２を分離して展開したおむつ１の平面図である。図３Ｂは、図３Ａの状態のおむつ１のＢ－Ｂ断面図である。なお、図２Ｂ及び図３Ｂの断面図では、後述する坪量相異部５０の表示を省略している。

　おむつ１は、着用時において図１に示すようなパンツ型の状態となる。パンツ型状態のおむつ１は、互いに直交する「上下方向」と「左右方向」と「前後方向」を有する。以下では、上下方向の上側を「胴回り開口側」又は「開口側」、下側を「股下側」とも呼ぶ。また、前後方向のうち前側を「腹側」、後側を「背側」とも呼ぶ。

　おむつ１は、胴回り開口ＢＨと、一対の脚回り開口部ＬＨ，ＬＨと、上下方向に沿った吸収性本体１０、一対のレッグギャザー部３７と、左右方向に沿った一対のベルト部３２とを有する。

　吸収性本体１０の長手方向（上下方向）の各端部１０ｅＬｆ、１０ｅＬｂと、左右方向の両側にそれぞれ配された各ベルト部３２、３２とが接合部４０（第１接合部４１及び第２接合部４２）でそれぞれ接続されている。おむつ１の腹側は、吸収性本体１０の端部１０ｅＬｆとベルト部３２が、胴回り開口ＢＨから脚回り開口ＬＨに向かって、上下方向の上側から下側且つ左右方向の内側から外側へ傾斜した一対の第１接合部４１，４１によって接続されている。同様に、背側は、吸収性本体１０の端部１０ｅＬｂとベルト部３２が、胴回り開口ＢＨから脚回り開口ＬＨに向かって、上下方向の上側から下側且つ左右方向の内側から外側へ傾斜した一対の第２接合部４２，４２によって接続されている。また、レッグギャザー部３７、３７の腹側の端部３７ｅＬｆとベルト部３２の腹側の端部３２ｅＬｆとが第１接合部４１で接続されており、背側の端部３７ｅＬｂとベルト部３２の端部３２ｅＬｂとが第２接合部４２で接続されている（図３Ａ参照）。第１接合部４１及び第２接合部４２での接続方法としては、例えば、接着剤、ヒートシール、超音波シール、これらの組み合わせ等、公知の接続方法を例示できる。

　また、おむつ１の第１接合部４１は、ベルト部３２の上端縁（内側端３２ｅｗ）とのなす角度のうち小さい方の角度（傾斜角度）がθｆとなるように配置されている。同様に、第２接合部４２は、ベルト部３２の上端縁（内側端３２ｅｗ）とのなす角度のうち小さい方の角度（傾斜角度）がθｂとなるように配置されている。本実施形態において、第１接合部４１の傾斜角度θｆと第２接合部４２の傾斜角度θｂとは、同じでも良いし異なっていても良い。

　おむつ１の胴回り開口ＢＨの端（開口側の端）は、吸収性本体１０の腹側の端１０ｅｆと背側の端１０ｅｂ、及び一対のベルト部の端３２ｅｗ，３２ｅｗから構成されている。吸収性本体の端１０ｅｆ、端１０ｅｂは、それぞれ左右方向における中央部に設けられている。

　おむつ１の各ベルト部３２、３２には、それぞれ、左右方向に沿った糸ゴム等からなる複数の胴回り弾性部材３３、３３・・・が上下方向に並んで配置され（図１参照）、ベルト部３２に左右方向への伸縮性を付与し、胴回り開口ＢＨにフィット性を付与している。また、各レッグギャザー部３７、３７は吸収性本体１０の左右方向の両側に設けられている。各レッグギャザー部３７は、それぞれ、吸収性本体１０の長手方向に沿った糸ゴム等からなる脚回り弾性部材３８、３８が左右方向に複数並んで配置されており、レッグギャザー部３７に長手方向への伸縮性を付与し、脚回り開口ＬＨにフィット性を付与している。さらに、ベルト部３２とレッグギャザー部３７とを跨ぐ領域に、伸縮性シート３９が配置されている（図３Ａ等参照）。伸縮性シート３９は、吸収性本体１０の長手方向に沿って伸縮可能なシート部材であり、伸縮性不織布や伸縮性フィルムが用いられる。図３Ａに示されるように、伸縮性シート３９は脚回り開口ＬＨの周囲を取り囲むように配置され、当該領域に伸縮性を付与している。これにより、脚回り開口ＬＨの周囲で、ベルト部３２及びレッグギャザー部３７が着用者の肌に、面でフィットしやすくなる。

　おむつ１は、製造過程の最終段階では、図２Ａに示されるような平面状態である。平面状態のおむつ１は、互いに直交する三方向として、「長手方向」と「左右方向」と「厚さ方向」を有している。この長手方向は、吸収性本体１０の長手方向に沿った方向であり、パンツ型状態（図１）での上下方向に対応する方向である。なお、図２Ａの「おむつ１を長手方向に伸長させた状態」とは、胴回り弾性部材３３や脚回り弾性部材３８等、長手方向に配置された弾性部材による収縮力に抗しておむつ１を長手方向に伸長させた場合に、各弾性部材３３，３８が配置されている部分において実質的に皺やギャザーが視認できなくなる程度まで伸長した状態のことを言う。したがって、長手方向に伸長した状態におけるおむつ１の形状は、各弾性部材による収縮力が発現していない状態において平坦に延びているおむつ１の形状と同じである。

　図２Ａに示す平面状態のおむつ１では、吸収性本体１０と一対のレッグギャザー部３７と一対のベルト部３２の各長手方向が揃い、吸収性本体１０及び一対のレッグギャザー部３７の肌面側に一対のベルト部３２が重なると共に、一対のレッグギャザー部３７及び一対のベルト部３２が長手方向に伸長されている。図２Ａに示される平面状態のおむつ１の各ベルト部３２の各左右方向の内側端３２ｅｗを左右方向の外側に開き、各ベルト部３２をそれぞれ長手方向における中央位置ＣＬ３０で二つ折りしつつ、吸収性本体１０及びレッグギャザー部３７をそれぞれおむつ１の長手方向における中央位置ＣＬ１０で二つ折りすることで、パンツ型状態のおむつ１（図１）になる。

　図２Ａに示すように、吸収性本体１０は、長手方向に沿った略矩形の部材が第１接合部４１、第２接合部４２に沿って切断され、長手方向の各端部１０ｅＬｆ、１０ｅＬｂがそれぞれ平面視略Ｖ字形に先細った形状のシート部材である。図２Ｂに示すように、吸収性本体１０は、厚さ方向の肌側から順に、不織布等からなる液透過性のトップシート１２と、吸収性コア１１と、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等からなる液不透過性のバックフィルム１４と、不織布等のバックシート１６とが重ねられている。また、本実施形態の吸収性本体１０には、後述する坪量相異部５０（５１～５３）が設けられている（図２Ｂでは不図示）。

　吸収性コア１１は、液体吸収性素材を所定の形状に成形したものであり、本実施形態では、長手方向の両端部が湾曲した楕円形状である。液体吸収性素材としては、パルプ繊維等の液体吸収性繊維や、高吸収性ポリマー（所謂ＳＡＰ）等を例示できる。また、吸収性コア１１の外周面が、コアラップシート（不図示）によって被覆されていても良い。コアラップシートとしては、ティッシュペーパーや不織布等の液透過性シートを例示できる。

　ベルト部３２及びレッグギャザー部３７は、同一のシート部材３０で形成される。図３Ａ及び図３Ｂに示すように、吸収性本体１０の左右方向の両側には、それぞれシート部材３０、３０が配置されている。シート部材３０は、例えば不織布等の柔軟なシート３０ａ、３０ａを厚さ方向に２枚重ね、シート３０ａ同士の間に胴回り弾性部材３３、脚回り弾性部材３８、及び、伸縮性シート３９が長手方向に伸長された状態で固定されたものである。各シート部材３０、３０の左右方向の内側の端部３０ｅＷ、３０ｅＷは、吸収性本体１０を構成するトップシート１２（吸収性コア１１）とバックフィルム１４（バックシート１６）との間に介挿されて、接着剤等により接合されている。

　また、図３Ｂに示すように、シート部材３０のうち、ベルト部３２となる部分とレッグギャザー部３７となる部分との間には、長手方向に沿った折り返し線ＦＬが設定されている。各シート部材３０は、それぞれ折り返し線ＦＬを左右方向に跨ぐように脚回り開口部ＬＨが厚さ方向に貫通されている。よって、折り返し線ＦＬでシート部材３０を左右方向の内側に折り返すことによって、ベルト部３２とレッグギャザー部３７が形成される。そして、第１接合部４１、４１及び第２接合部４２、４２で、吸収性本体１０の端部１０ｅＬｆ、１０ｅＬｂ及びレッグギャザー部３７の端部３７ｅＬｆ、３７ｅＬｂとベルト部３２の左右方向の端部３２ｅＬｆ、３２ｅＬｂとを接続して、図２Ａに示す平面状態のおむつ１が形成される。

　また、図２Ｂ及び図３Ｂに示すように、ベルト部３２の左右方向外側の端部領域には、シート部材３０の一部を左右方向の内側に２回折り返し、ホットメルト接着剤等で折り返し状態に固定した折り返し部ＦＬＢが設けられている。この折り返し部ＦＬＢは、パンツ型状態のおむつ１において、ベルト部３２の開口側の端部に位置しており、胴回り開口部ＨＢの一部を形成し、着用者の胴回りにおける締め付け過ぎ等によるストレスを緩和させる。

　＜吸収性本体１０の坪量相異部５０について＞
　続いて、おむつ１の吸収性本体１０に設けられる坪量相異部５０について説明する。図４Ａは、伸長させた状態における吸収性本体１０を肌側から見たときの概略平面図である。図４Ｂは、図４Ａの吸収性本体１０のＣ－Ｃ断面図である。

　本実施形態の吸収性本体１０は、左右方向において隣接する部分と比較した場合に坪量が異なる部分である坪量相異部５０を有している。図４Ａでは、長手方向において、後側（背側）から前側（腹側）に向かって、第１坪量相異部５１、第２坪量相異部５２、及び第３坪量相異部５３の３つの坪量相異部５０が、間隔を空けて断続的に配置されている。
この坪量相異部５０は、吸収性本体１０の所定の領域において、当該吸収性本体１０の単位面積あたりに含まれる液体吸収性素材の量を増減させることによって形成される。例えば図４Ｂでは、吸収性本体１０の左右方向における中央部にて、吸収性コア１１を構成している液体吸収性素材の量を、左右方向の両側に隣接する部分よりも少なくすることによって、坪量相異部５０（第１坪量相異部５１）が形成されている。すなわち、図４Ｂに示される坪量相異部５０（第１坪量相異部５１）は、吸収性本体１０（吸収性コア１１）の単位面積当たりに含まれるパルプ及び高吸収性ポリマー（ＳＡＰ）の合計の重量を、隣接する部分と比較して小さくした低坪量部である。

　但し、坪量相異部５０は、図４Ｂに示されるように、吸収性コア１１の液体吸収性素材の坪量を小さくした部分には限られない。図５Ａ及び図５Ｂは、坪量相異部５０の他の例について説明する図である。図５Ａでは、図４Ｂの場合とは逆に、吸収性本体１０の左右方向における中央部にて、吸収性コア１１を構成している液体吸収性素材の合計の重量を、左右方向の両側に隣接する部分よりも大きくすることによって、坪量相異部５０が形成されている。一方、図５Ｂでは、吸収性コア１１の坪量は均一であるが、左右方向における中央部にて、トップシート１２と吸収性コア１１との厚さ方向の間にパルプもしくはＳＡＰ等の吸収性樹脂や吸水紙、吸水不織布を含んだシート部材１３（セカンドシート１３）が設けられている。この場合も、吸収性本体１０のうち、当該セカンドシート１３が設けられる部分において、単位面積あたりに含まれるパルプや高吸収性ポリマー（ＳＡＰ）等の合計の重量が大きい坪量相異部５０が形成される。すなわち、図５Ａや図５Ｂに示される坪量相異部５０は、吸収性本体１０（吸収性コア１１）の単位面積当たりに含まれるパルプ及び高吸収性ポリマー（ＳＡＰ）の合計の重量を、隣接する部分と比較して大きくした高坪量部である。

　なお、坪量相異部５０は、図４や図５で例示した以外の構成によって形成されていても良い。すなわち、吸収性本体１０の所定の領域における坪量が、左右方向に隣接する領域の坪量と比較して異なっていればよく、例えば、ＳＡＰシートや、ＳＡＰが親水化された所謂セルロールアセテートトウなどを含んだ吸収性本体１０において、それらの含有量を所定の領域において増減させることで坪量相異部５０が形成されていても良い。

本実施形態のおむつ１では、この坪量相異部５０が設けられていることにより、着用時における吸収性本体１０のフィット性を向上させることができる。図６は、従来型のパンツ型おむつと、本実施形態のパンツ型おむつ１とで、着用時における吸収性本体１０のフィット性の違いについて説明する図である。図６Ａでは、比較例とし、従来型のパンツ型おむつ２を着用した状態で、着用者が身体を動かした場合について、着用者の背側（臀部側）から見たときの様子について表している。一方、図６Ｂでは、本実施形態のパンツ型おむつ１を着用した状態で、着用者が身体を動かした場合について、着用者の背側（臀部側）から見たときの様子について表している。

　図６Ａに示される比較例のおむつ２は、吸収性本体１０に坪量相異部５０が設けられていない。その他の構成は、本実施形態のおむつ１とほぼ同様である。このようなおむつ２を着用した状態で、例えば、着用者が図６Ａのように左右方向における一方側の脚（右脚）を動かすと、当該脚の動きに伴って一方側に設けられているベルト部３２が一方側へ引っ張られる。すると、第２接合部４２を介して一方側のベルト部３２と接合されている吸収性本体１０がベルト部３２に連動して全体的に左右方向の一方側へ引っ張られる。すなわち、着用者の身体にフィットしていた吸収性本体１０に位置ずれが生じたり変形が生じたりすることによって、吸収性本体１０のフィット性が損なわれてしまうおそれがある。

　これに対して、本実施形態のおむつ１では、着用者が図６Ｂのように左右方向における一方側の脚（右脚）を動かすと、図６Ａの場合と同様に当該脚の動きに伴って一方側に設けられているベルト部３２が一方側へ引っ張られる。そして、第２接合部４２を介して一方側のベルト部３２と接合されている吸収性本体１０がベルト部３２に連動して左右方向の一方側へ引っ張られる。但し、おむつ１では、図６Ａの場合と異なり、一方側のベルト部３２と接合されている吸収性本体１０の左右方向における一方側部分１０ｓｒは一方側に引っ張られるが、吸収性本体１０の左右方向における他方側部分１０ｓｌは、一方側には引っ張られ難くなっている。これは、吸収性本体１０に坪量相異部５０が設けられていることによって、坪量相異部５０を挟んで吸収性本体１０の左右方向の一方側の部分（１０ｓｒ）と他方側の部分（１０ｓｌ）との連動が抑制されるためである。

　従来のおむつ２では、吸収性本体１０の左右方向において一方側の部分に力が作用した場合、当該力は、左右方向の他方側へ伝達されやすい構造となっていた。一方、本実施形態のおむつ１では、力が左右方向に伝達される途中で坪量の異なる坪量相異部５０が存在し、伝達される力が分散したり弱められたりする。そのため、坪量相異部５０を超えて左右方向の反対側まで力が伝達され難くなる。そのため、図６Ｂでは、吸収性本体１０のうち、左右方向における一方側の部分（１０ｓｒ）が一方側に引っ張られたとしても、左右方向において坪量相異部５０を挟んだ他方側の部分（１０ｓｌ）は、一方側には引っ張られ難く、位置ずれや変形を生じ難くすることができる。これにより、おむつ１着用時において、吸収性本体１０のフィット性が悪化することを抑制することができる。

　特に、本実施形態のおむつ１のように、左右に独立した一対のベルト部３２，３２を備えたパンツ型おむつでは、坪量相異部５０によって吸収性本体１０の左右方向における連動性を弱めることにより、吸収性本体１０のうち坪量相異部５０を挟んだ左右両側の部分がそれぞれ独立して変形可能となる。したがって、吸収性本体１０が着用者の身体の動きにより追従しやすくなり、フィット性を高めるのに効果的である。

　また、おむつ１では、１以上の坪量相異部５０によって連動抑制領域が形成され、吸収性本体１０の左右方向における連動性をより抑制しやすくなっている。図４では、第１坪量相異部５１～第３坪量相異部５３の３つの坪量相異部５０が分散して配置されることにより、吸収性コア１１の広範囲に亘る連動抑制領域ＩＳＡが形成されている（図４Ａの斜線部で示されている領域）。そして、この連動抑制領域ＩＳＡの長手方向における長さＬｉの最大値は、左右方向における長さ（幅）Ｗｉの最大値よりも大きいことが望ましい（Ｌｉ＞Ｗｉ）。すなわち、吸収性本体１０の長手方向（上下方向）に沿った広い範囲に、１以上の坪量相異部５０が設けられていることが望ましい。

　長手方向（上下方向）の広い範囲に連動抑制領域ＩＳＡが形成されていることにより、吸収性本体１０が左右方向の一方側の部分（図６Ｂにおける１０ｓｒ）と他方側の部分（図６Ｂにおける１０ｓｌ）とに分断されやすくなる。すなわち、吸収性本体１０のうち、当該連動抑制領域ＩＳＡによって区分される一方側の部分（１０ｓｒ）と他方側の部分（１０ｓｌ）とが長手方向に広く形成されやすくなる。これにより、吸収性本体１０の変形や位置ずれの影響が左右方向により連動し難くなり、着用時におけるフィット性の悪化を抑制しやすくすることができる。

　また、坪量相異部５０は、長手方向（上下方向）に連続する部分を有していることが望ましい。仮に、吸収性本体１０において、左右方向に沿って延びる細い帯状の坪量相異部５０が形成されていた場合、吸収性本体１０は実質的に左右方向に分断され難い状態となるため、変形や位置ずれの左右方向への連動を抑制する効果は著しく低くなる。これに対して、本実施形態では、第１坪量相異部５１～第３坪量相異部５３の各々が、何れも長手方向（上下方向）に連続して所定の長さを有するように構成されている。これにより、少なくとも第１坪量相異部５１～第３坪量相異部５３が設けられている部分では、吸収性本体１０の左右方向における一方側の部分一方側の部分（１０ｓｒ）と他方側の部分（１０ｓｌ）とが連動し難くなる。すなわち、坪量相異部５０の各々が長手方向（上下方向）に連続していることによって、連続していない場合と比較して、吸収性本体１０の左右の連動が抑制され易くなる。これにより、おむつ１の着用時における吸収性本体１０のフィット性の悪化が抑制される。

　また、連動抑制領域ＩＳＡが複数の坪量相異部５０によって構成されている場合、坪量相異部５０は長手方向（上下方向）に沿って間隔を空けて配置されるようにすると良い。図４Ａの場合、第１坪量相異部５１～第３坪量相異部５３が長手方向（上下方向）に沿って所定の間隔を空けて断続的に配置されている。上述したように、１以上の坪量相異部５０によって構成される連動抑制領域ＩＳＡは、長手方向（上下方向）における長さＬｉが長いことが望ましい。しかしながら、仮に、連動抑制領域ＩＳＡを構成する坪量相異部５０が長さＬｉの範囲で連続していた場合、吸収性本体１０が長手方向において変形し難くなり、例えば、着用者の股下部に沿って曲面状に変形し難く、フィット性が悪化するおそれがある。

　これに対して、本実施形態の吸収性本体１０では、連動抑制領域ＩＳＡを構成している第１坪量相異部５１～第３坪量相異部５３の間に隙間が設けられており、当該隙間の部分で生じる剛性差が折れ曲がりの起点となって吸収性本体１０が長手方向（上下方向）に変形しやすくなる。したがって、おむつ１では、長手方向（上下方向）の長さＬｉの領域において吸収性本体１０の左右の連動が抑制され、且つ、長手方向（上下方向）に変形しやすくなる。これにより、吸収性本体１０が着用者の身体の凹凸に応じて柔軟に変形しやすくなり、フィット性を向上させることができる。

　また、連動抑制領域ＩＳＡが複数の坪量相異部５０によって構成されている場合、坪量相異部５０は左右方向に沿って間隔を空けて配置されるようにしても良い。例えば、吸収性本体１０に設けられる第２坪量相異部５２は、図１４の５２拡大図に示されるように、細かい坪量相異部５２ｆが上下方向及び左右方向に間隔を空けて複数並ぶことによって形成されている。このような構成であれば、第２坪量相異部５２において、左右方向に隣り合う２つの坪量相異部５２ｆ，５２ｆの間の隙間によって、左右方向において力がより伝達され難くなるため、吸収性本体１０の変形や位置ずれの影響が左右方向に連動し難くなる。また、坪量相異部５２ｆ，５２ｆの間の隙間に生じる剛性差により、当該隙間が折れ曲がり起点となって吸収性本体１０が左右方向に折れ曲がり変形しやすくなる。これらのことにより、吸収性本体１０のフィット性を向上させることができる。

　なお、坪量相異部５０は、上述したように、吸収性本体１０の所定の領域において、該吸収性本体１０を構成しているパルプ及び高吸収性ポリマーの合計の坪量（単位面積当たりの重量）が、左右方向に隣接する他の部分と比較して小さくなっている領域若しくは大きくなっている領域である。このような坪量相異部５０が左右方向の中央部に設けられている場合、つまり、吸収性本体１０の左右方向中央部において液体吸収性素材の坪量が、その両側における坪量よりも高くなっている若しくは低くなっている部分を有している場合には、吸収性本体１０のフィット性をより高めることが可能となる。

　例えば、図４に示される第２坪量相異部５２や第３坪量相異部５３は、吸収性本体１０の前後方向の後側（背側）において、左右方向の中央部に配置されている。この第２坪量相異部５２や第３坪量相異部５３が配置されている部分は、おむつ１の着用時において、着用者の臀部の溝に当接する部位である。そして、この場合、左右方向の中央部において、吸収性本体１０の坪量が増減している部分（坪量相異部５０）が折れ曲がり起点となって、吸収性本体１０が左右方向に二つ折りの状態となり、着用者の臀部の溝や排泄口等にフィットしやすくなる。したがって、吸収性本体１０のフィット性が向上すると共に、排泄漏れを生じ難くすることができる。

　図７Ａ～図７Ｃは、坪量相異部５０の変形例について表す図である。坪量相異部５０は、図４に示される以外に、図７Ａ～図７Ｃのように変形しても良い。図７Ａでは、長手方向に沿って延びる直線状部分と、当該直線状部分から、左右方向の両側に延出する湾曲部によって坪量相異部５０が構成されている。このような坪量相異部５０は、図４における第１坪量相異部５１～第３坪量相異部５３が一体的に形成されたような形状であり、上述したものと近い効果が得られる。また、図７Ａに示される坪量相異部５０が長手方向において所定の箇所で分断されていれば、上述したように、吸収性本体１０が長手方向に折れ曲がり変形を生じやすくなり、フィット性を向上させることができる。
　図７Ｂでは、幅方向中央部において、長手方向に長く延びる直線状部分と、その両側に配置された短い直線状部とによって坪量相異部５０が構成されている。この場合、吸収性本体１０の変形や位置ずれの影響が左右方向に連動し難くなると共に、吸収性本体１０の左右方向への折れ曲がり起点が形成されやすくなり、股下部において吸収性本体１０が鼠径部の間に挟まれた際のフィット性を高めることができる。図７Ｃでは、長手方向の前側（腹側）において、長手方向に沿って短く延びる直線状の坪量相異部５０が左右に一対設けられている。この場合、吸収性本体１０の変形や位置ずれの影響が左右方向に連動し難くなると共に、前側両側部において左右方向への折れ曲がり起点が形成されやすく、着用者が歩行等で脚を前方に動かした際に、吸収性本体１０が脚の動きに追従して変形することで、フィット性を向上させることができる。

　なお、坪量相異部５０は、上述したように左右方向に隣接する部分と比較して吸収性本体１０を構成している液体吸収性素材の坪量が異なることにより、吸収性本体１０の変形や位置ずれの影響が左右方向に連動し難くなるようになっていれば、図７Ａ～図７Ｃに示される変形例以外の構成を有していても良い。また、これらを組み合わせた構成であっても良い。

　また、坪量相異部５０に加えて、吸収性コア１１（吸収性本体１０）の所定の領域を厚さ方向に圧搾する圧搾部６０が設けられていても良い。図８Ａ及び図８Ｂは、吸収性本体１０に圧搾部６０が設けられる場合の例について表す図である。図８Ａでは、長手方向に延びる直線状の坪量相異部５０から、左右方向の両側に延出する複数の圧搾部６０が設けられている。また、図８Ｂでは、長手方向に延びる直線状の坪量相異部５０の左右方向に両側に、一対の直線状の圧搾部６０，６０が設けられている。いずれの場合も、坪量相異部５０を挟んで左右両側の領域に、長手方向（上下方向）に所定の長さを有する圧搾部６０が設けられている。吸収性コア１１のうち圧搾部６０が形成されている部分は局所的に剛性が高まることから、当該圧搾部６０に沿って吸収性コア１１が一体的に変形しやすくなる。すなわち、吸収性コア１１（吸収性本体１０）は、坪量相異部５０を挟んで左右方向における連動性が抑制されるが、坪量相異部５０によって分割された左右の領域は、それぞれ長手方向（上下方向）に連動しやすくなる。これにより、吸収性本体１０の左右方向における両側の領域が、それぞれ着用者の身体の動きに追従しやすくなり、フィット性が向上する。

　また、おむつ１のベルト部３２には、脚回り開口部ＬＨに沿って伸縮可能な面状の弾性部材である伸縮性シート３９が設けられている。伸縮性シート３９が発現する伸縮性によって、脚回り開口部ＬＨに沿ってベルト部３２（及びレッグギャザー部３７）が着用者の肌に面でピタッとフィットしやすくなる。したがって、着用者がおむつ１を着用した状態で歩行等を行った場合でも、良好なフィット性を維持しやすい。すなわち、歩行時など左右交互に中殿筋付近に窪み部が発生するような場合も、脚回り開口部ＬＨ付近において、ベルト部３２を左右それぞれ独立して面で着用者の肌に当接させることができるため、当該窪み部での浮き等の違和感を着用者に生じさせ難くなる。

　図９は、おむつ１の背側における、坪量相異部５０の配置について説明する概略平面図である。同図９では、パンツ型形状のおむつ１を伸長状態として、背側から見たときの様子について表している。

　おむつ１を伸長状態としたきに、坪量相異部５０の少なくとも一部が、接合部４０の上下方向における下端よりも上側に設けられていることが望ましい。図９では、おむつ１の背側における第２接合部４２の下端４２ｅｂよりも上側の領域に、第１坪量相異部５１の一部が配置されている。おむつ１を着用する際には、一対のベルト部３２を左右方向の両側に引っ張って胴回り開口部ＢＨを広げながら、ベルト部３２を着用者の胴回りにフィットさせる動作が行われる。このとき、吸収性本体１０のうち、接合部４０によってベルト部３２と接合されている領域に対して左右方向外側に向かう力が作用する。すなわち、上下方向において、第２接合部４２（接合部４０）の上端４２ｅａと下端４２ｅｂとの間の領域（図９においてＬ３２で表される領域)が左右方向に引っ張られる。そのため、図９のＬ３０の範囲において、吸収性本体１０が左右方向に移動したり変形したりするおそれがある。

　そこで、上下方向においてＬ３２の範囲と重複する領域（第２接合部４２の下端４２ｅｂよりも上側の領域）において、坪量相異部５０を配置することにより、吸収性本体１０の変形や位置ずれの影響を左右方向に連動させ難くすることができる。すなわち、ベルト部３２を左右方向の外側に引っ張る力が作用した際に、当該力が直接作用しやすい領域（接合部４０の下端よりも上側の領域）において、吸収性本体１０の左右方向への連動を効率的に抑制することができる。これにより、吸収性本体１０のフィット性が悪化することを抑制することができる。

　おむつ１では、少なくとも前後方向の後側（背側）において、第２接合部４２の下端４２ｅｂよりも上側の領域に、第１坪量相異部５１の一部が配置されている。着用者の身体の背側には臀部の割れ目があるため、おむつ１の着用時において、吸収性本体１０は坪量相異部５０（第１坪量相異部５１）を折れ曲がり起点として臀部の割れ目に沿って左右方向に折れ曲がり変形を生じやすくなる。したがって、前後方向の後側（背側）では、坪量相異部５０を起点として折れ曲がり変形した吸収性本体１０が臀部の割れ目にはまるようにフィットして、左右方向への位置ずれや変形をより生じ難くすることができる。これにより、吸収性本体１０のフィット性が悪化することをより抑制しやすくすることができる。

　また、おむつ１を伸長状態としたきに、坪量相異部５０の少なくとも一部が、接合部４０の上下方向の下端よりも上側、且つ、ベルト部３２の左右方向外側における下端よりも下側に設けられていることがより望ましい。図９では、おむつ１の背側における第２接合部４２の下端４２ｅｂよりも上側、且つ、ベルト部３２の左右方向外側における下端３２ｓｅｂとの間のＬ３２ｂで表わされる領域に、第１坪量相異部５１の一部が配置されている。このＬ３２ｂの領域は、おむつ１の着用動作時にベルト部３２を介して左右方向の外側に引っ張られる領域であるが、当該Ｌ３２ｂの領域に作用する力は、Ｌ３２ｂの上側に隣接する領域（図９においてＬ３２ａで示される領域）に作用する力よりも弱くなる。これは、ベルト部３２のうち、Ｌ３２ａの領域は着用者の手で掴まれた状態で左右方向の外側に直接引っ張られるのに対して、Ｌ３２ｂの領域は着用者の手で掴まれ難く、Ｌ３２ａが引っ張られるのに追従して直接左右方向の外側に引っ張られるためである。したがって、ベルト部３２のうち、Ｌ３２ｂの領域に作用する張力は、Ｌ３２ａの領域に作用する張力よりも小さくなり、おむつ１の着用動作時に、Ｌ３２ｂの領域において、張力差に基づいて脚回り開口部ＬＨ及びＬ３２ｂの左右方向の全域にたくれが生じたり、非肌側に捲れ上がってしまったりするおそれがある。

　これに対して、本実施形態のように、Ｌ３２ｂの領域の領域に坪量相異部５０が設けられていれば、左右方向の一方側でたくれ等が発生したとしても、そのようなたくれの影響を左右方向の他方側に連動し難くすることができる。これにより、吸収性本体１０のフィット性が悪化することをより抑制しやすくすることができる。

　なお、前後方向の前側（腹側）においては、接合部４０（第１接合部４１の下端）よりも上側の領域に、必ずしも坪量相異部５０が設けられていなくても良い。おむつ１の前側（腹側）では、第１接合部４１の下端４１ｅｂよりも上下方向の上側の領域には坪量相異部５０が設けられておらず、第１接合部４１の下端４１ｅｂよりも下側に偏移して坪量相異部５０が配置されている（図２Ａ参照）。着用者の身体の腹側には臀部の割れ目等が無く、背側と比較して凹凸が小さいため、吸収性本体１０を折れ曲がり変形させて身体の凹凸形状にフィットさせる必要は無い。また、着用者の排泄口が、前後方向の前側（腹側）寄りに設けられているため、吸収性本体１０の腹側においては、尿等の吸収量を低下させないために、坪量相異部５０の面積はなるべく小さくしておくことが望ましい。したがって、おむつ１の腹側では、第１接合部４１の下端４１ｅｂよりも下側に偏移して坪量相異部５０が配置されていることにより、吸収性本体１０の良好なフィット性や吸収性を維持しやすくすることができる。

　また、第１坪量相異部５１は、図９等に示されるように略Ｘ字状に形成されており、上下方向の下側から上側、且つ、左右方向の内側から外側に傾斜した第１傾斜部５１ａと、上下方向の上側から下側、且つ、左右方向の内側から外側に傾斜した第２傾斜部５１ｂとを備えている。そして、このような構成において、第１傾斜部５１ａの水平方向に対する傾斜角度θ１の絶対値が、ベルト部３２の上端縁と第２接合部４２とのなす角度のうち小さい方の角度θｂの絶対値以下であることが望ましい（θｂ≧θ１）。

　第１坪量相異部５１のうち第１傾斜部５１ａは、着用者の背側において、臀部の上部から背中へ続く緩やかな凹凸に沿って吸収性本体１０が身体にフィットするように、吸収性本体１０を上下方向に折れ曲がり変形させやすくする機能を有している。そして、吸収性本体１０を上下方向（長手方向）に折れ曲がりやすくするためには、第１傾斜部５１ａの水平方向に対する傾斜角度θ１が過度に大きくならないようにしておく必要がある。したがって、仮に、第１傾斜部５１ａの水平方向に対する傾斜角度θ１が、ベルト部３２の上端縁と第２接合部４２とのなす角度θｂよりも大きい場合、傾斜が大きくなりすぎて、吸収性本体１０が上下方向（長手方向）に折れ曲がり変形を生じ難くなるおそれがある。これに対して、本実施形態のおむつ１では、第１傾斜部５１ａの水平方向に対する傾斜角度θ１が、ベルト部３２の上端縁と第２接合部４２とのなす角度θｂ以下となっていることにより、吸収性本体１０が上下方向（長手方向）に折れ曲がり変形を生じやすく、着用者の臀部の上部領域におけるフィット性を向上させることができる。

　同様に、第１坪量相異部５１のうち第２傾斜部５１ｂの水平方向に対する傾斜角度θ２の絶対値が、ベルト部３２の上端縁と第２接合部４２とのなす角度のうち小さい方の角度θｂの絶対値以下であることが望ましい（θｂ≧θ２）。第１坪量相異部５１のうち第２傾斜部５１ｂは、着用者の背側において、臀部下部の丸みに沿って吸収性本体１０をフィットさせるために、第１傾斜部５１ａとは反対側に傾斜するように配置されている。このとき、吸収性本体１０を上下方向（長手方向）に折れ曲がりやすくするために、第２傾斜部５１ｂの水平方向に対する傾斜角度θ２も過度に大きくならないようにしておく必要がある。本実施形態のおむつ１では、第２傾斜部５１ｂの水平方向に対する傾斜角度θ２が、ベルト部３２の上端縁と第２接合部４２とのなす角度θｂ以下となっていることにより、吸収性本体１０が上下方向（長手方向）に折れ曲がり変形を生じやすく、着用者の臀部下部の丸みに沿ってフィット性を向上させることができる。

　＝＝＝その他の実施の形態＝＝＝
　以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのは言うまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。

　上述の実施形態では、パンツ型吸収性物品の一例としてパンツ型おむつ１について説明されていたが、本発明は、パンツ型おむつ以外の他のパンツ型吸収性物品にも適用可能である。例えば、子供用や成人用のパンツ型ナプキン（ショーツ型ナプキン）や、パンツ型（ショーツ型）吸収パッド等であっても良い。

　上述の実施形態において、吸収性本体１０の左右方向における中央部に、長手方向に沿って伸縮する弾性部材が設けられていても良い。例えば、吸収性コア１１よりも肌側若しくは非肌側に、糸ゴム等からなる股下弾性部材（不図示）を長手方向に沿って複数配置する。このような股下弾性部材が配置されていれば、当該股下弾性部材の収縮力に基づいて吸収性本体１０が収縮した部分に高剛性部が形成され、上述の坪量相異部５０と同様の効果が得られる。すなわち、吸収性本体１０の左右方向の一方側に作用する力が、股下弾性部材が配置されている部分（高剛性部）を挟んで左右方向の反対側に伝達され難くなる。したがって、吸収性本体１０の位置ずれや変形を生じ難くすることができる。これにより、着用時において吸収性本体１０のフィットを向上させることが可能となる。

１　おむつ（パンツ型吸収性物品）、
１０　吸収性本体、
１０ｅｆ、１０ｅｂ　端、１０ｅＬｆ、１０ｅＬｂ　端部、
１０ｓｒ　部分（一方側）、１０ｓｌ　部分（他方側）、
１１　吸収性コア、
１２　トップシート、１３　セカンドシート、
１４　バックフィルム、１６　バックシート、
３０　シート部材、３０ａ　シート、３０ｅＷ　端部、
３２　ベルト部、
３２ｅｗ　端、３２ｅＬｆ、３２ｅＬｂ　端部、３２ｓｅｂ　下端、
３３　胴回り弾性部材（糸ゴム）、
３７　レッグギャザー部、
３７ｅＬｆ、３７ｅＬｂ　端部、
３８　脚回り弾性部材（糸ゴム）、
３９　伸縮性シート、
４０　接合部、
４１　第１接合部、
４２　第２接合部、４２ｅａ　上端、４２ｅｂ　下端、
５０　坪量相異部、
５１　第１坪量相異部、５１ａ　第１傾斜部、５１ｂ　第２傾斜部、
５２　第２坪量相異部、５２ｆ　坪量相異部、
５３　第３坪量相異部、
６０　圧搾部、
ＩＳＡ　連動抑制領域、
θｆ　角度、θ１　角度、θ２　角度、
ＢＨ　胴回り開口部、ＬＨ　脚回り開口部、
ＣＬ１０　中央位置（吸収性本体）

Claims

　互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、
　パルプ及び高吸収性ポリマーの少なくとも何れかを含んだ吸収性本体と、前記吸収性本体の前側上端部と後側上端部とを連結するベルト部と、を有し、
　胴回り開口部と一対の脚回り開口部とを備え、
　前記ベルト部が、前記胴回り開口部から前記脚回り開口部に向かって前記上下方向の上側から下側且つ前記左右方向の内側から外側へ傾斜した接合部によって、前記吸収性本体と接合されている、パンツ型吸収性物品であって、
　前記吸収性本体を伸長させた状態において、
　前記左右方向において、前記吸収性本体は、隣接する部分と比較して単位面積当たりに含まれるパルプ及び高吸収性ポリマーの合計の坪量が異なる坪量相異部を有している、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　１以上の前記坪量相異部からなる連動抑制領域を有し、
　前記連動抑制領域の前記上下方向における長さは、前記左右方向における長さよりも長い、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１または２に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記坪量相異部は、前記上下方向において連続する部分を有している、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～３の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記吸収性本体は、前記上下方向に沿って間隔を空けて配置された複数の前記坪量相異部を有している、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～４の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記坪量相異部は、前記左右方向の中央部に設けられ、前記中央部の前記左右方向の両側に隣接する部分よりも単位面積当たりに含まれるパルプ及び高吸収性ポリマーの合計の坪量が高い、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～４の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記坪量相異部は、前記左右方向の中央部に設けられ、前記中央部の前記左右方向の両側に隣接する部分よりも単位面積当たりに含まれるパルプ及び高吸収性ポリマーの合計の坪量が低い、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～６の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記吸収性本体は、液吸収性の吸収性コアを備えており、
　前記坪量相異部の前記左右方向の両側には、前記上下方向に所定の長さを有し、前記吸収性コアを厚さ方向に圧搾する圧搾部が設けられている、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～６の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記ベルト部は、前記脚回り開口部に沿って伸縮可能な面状の弾性部材を有している、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～８の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記吸収性本体は、前記左右方向に沿って間隔を空けて配置された複数の前記坪量相異部を有している、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～９の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記吸収性本体を伸長させた状態において、
　前記接合部の前記上下方向における下端よりも上側の領域に、前記坪量相異部の少なくとも一部が配置されている、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１０に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記前後方向の後側において、前記接合部の上下方向における下端よりも上側の領域に、前記坪量相異部の少なくとも一部が配置されている、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１０または１１に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記前後方向の前側において、前記接合部の前記上下方向における下端よりも下側に偏移して前記坪量相異部が配置されている、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１０～１２の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記吸収性本体を伸長させた状態において、
　前記ベルト部の前記左右方向の外側端における下端よりも下側の領域に、前記坪量相異部の少なくとも一部が配置されている、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～１３の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記坪量相異部は、背側において、前記上下方向の下側から上側、且つ、前記左右方向の内側から外側に傾斜した第１傾斜部を有し、
　前記第１傾斜部と水平方向とのなす角度の絶対値は、前記接合部と前記ベルト部の上端とのなす角度の絶対値以下である、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～１４の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記坪量相異部は、背側において、前記上下方向の上側から下側、且つ、前記左右方向の内側から外側に傾斜した第２傾斜部を有し、
　前記第２傾斜部と水平方向とのなす角度の絶対値は、前記接合部と前記ベルト部の上端とのなす角度の絶対値以下である、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。