WO2022264804A1 - 急性腎不全の予防または治療剤 - Google Patents

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悦男 大島
伸哉 松野
恒代 西野
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Definitions

  • preventive or therapeutic agents and methods of the present invention may be administered or applied to humans.
  • One embodiment of the present invention relates to a preventive or therapeutic agent for acute renal failure containing glutathione trisulfide or a pharmacologically acceptable salt thereof.
  • a sample was administered intraperitoneally to a rat whose right kidney had been removed using a polypropylene disposable syringe with an injection needle.
  • the day on which the ischemic treatment is performed is day 0, and for 4 days from 4 days before the ischemic treatment (day (-4)) to 1 day before the ischemic treatment (day (-1)), It was administered once a day, 4 times in total.
  • the volume of the administered liquid was calculated at 8 mL/kg based on the body weight on the first day of administration. The same amount of physiological saline was administered to the sham operation group and the control group.
  • the GDF-15 concentration decreased slightly in the 50 mg/kg group.
  • the correlation between the UN concentration and CRE concentration, which are indices of renal function, and the GDF-15 concentration was examined. The results are shown in FIGS.
  • the correlation coefficient between the UN concentration and the GDF-15 concentration in the 20 mg/kg administration group was 0.82, indicating a correlation between the two (Fig. 3(a)).
  • the correlation coefficient between the CRE concentration and the GDF-15 concentration in the 20 mg/kg administration group was 0.75, indicating a correlation between the two (Fig. 3(b)).

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Abstract

グルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩を含む、急性腎不全の予防または治療剤、ならびに、血中GDF-15濃度に基づいてグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の投与可否、用法および用量の少なくとも一つを決定する方法。

Description

急性腎不全の予防または治療剤
 本発明は、急性腎不全の予防または治療剤に関する。
 急性腎不全は、外傷、熱傷、膵炎、肝炎、血栓症、敗血症、心肺機能異常、感染症、臓器移植および薬剤投与等を端緒とする炎症反応、虚血性循環障害による低酸素低栄養障害、ミトコンドリア機能不全によるエネルギー枯渇および組織傷害性活性酸素種の生成等が急激かつ複合的に関与することにより惹起される。急性腎不全の発症は、患者のQOLを著しく損なうとともに、非常に高い死亡率を示すことから恐れられている。急性腎不全の治療としては、炎症性サイトカインの産生抑制を目的とした大量ステロイド療法、全身の末梢循環の改善を目的とした抗凝固療法などの薬物療法、あるいは病因物質の除去などを目的とした急性血液浄化療法、持続的腎補助療法、血漿交換等が行われている。しかしながら、依然として患者の予後、特に生命予後を改善する治療法はなく、急性腎不全に対する有効な新規予防剤/治療剤の開発は医療上の大きな課題となっている。
 急性腎不全は、上記に記載した原因が複合的に関与して、結果として重篤な腎機能破綻を招いていくものと考えられる。上記の原因は生体に加わる多様なストレスと表現できるが、近年そうした多様なストレスが生体に負荷した状態に鋭敏に反応するストレスマーカーとして増殖分化因子-15(Growth Differentiation Factor-15、GDF-15)が注目されている(非特許文献3)。虚血性腎障害においても、GDF-15が虚血再灌流後速やかに上昇することが報告されている(非特許文献4)。また、血液中のGDF-15の濃度が、腎不全の予後不良の予測マーカーになることも報告されている(非特許文献5)。
 グルタチオントリスルフィド(GSSSG)のようなポリスルフィド類は、老化防止などの生理機能を有する可能性が報告されている(例えば非特許文献1,2)。ポリスルフィド類の中には、ミトコンドリアのエネルギー産生等のミトコンドリア機能に関わるものがあることも報告されている(非特許文献6)。また、トリスルフィド化合物の製造方法として、特許文献1に記載された方法などが知られている。
国際公開第2018/117186号
T.Ida,et al,.PNAS,May27,2014,111(21)7606-7611 T.Akaike,et al,,Nature Communications,2017,Oct27;8(1):1177 Y.Fujita,et al.,Geriatr.Gerontol.Int,2016,Mar;16,Suppl,1:17-29. J.Liu,et al.,J.Am.So.c Nephrol,2020,Apr;31(4):701-715. J-H.Lim,et al.,J.Clin Med,2021,Aug,18;10(16):3660. S.Fujii,et al.,Br.J.Pharmacol,2019,Feb;176(4):607-615.
 本発明は、予防効果または治療効果を有する、急性腎不全の予防または治療剤を提供することを目的とする。
 本発明者らは、急性腎不全モデル動物において、グルタチオントリスルフィドの効果を評価した。その結果、投与群において、血中尿素窒素(UN)濃度および血中クレアチニン(CRE)濃度の上昇を抑制することを見出し、本発明を完成させた。また、血液中のGDF-15の濃度を測定することが、グルタチオントリスルフィドの投与の可否、用法および/または用量を選択する上で有用である可能性を見出し、本発明を完成させた。
 本発明は以下の[1]~[12]を提供する。
[1]グルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩を含む、急性腎不全の予防または治療剤。
[2]グルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与する、急性腎不全の予防または治療方法。
[3]急性腎不全の予防または治療における使用のためのグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩。
[4]急性腎不全の予防または治療剤の製造のためのグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の使用。
[5]対象の血中GDF-15濃度を測定する測定工程と、前記血中GDF-15濃度に基づいて、前記対象に対するグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の、投与可否、用法および用量の少なくとも一つを予測または決定する予測または決定工程と、を備える、対象に対するグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の投与可否、用法または用量を予測または決定する方法。
[6]前記予測または決定工程が、前記血中GDF-15濃度に基づいて、前記対象の血中尿素窒素濃度および/または血中クレアチニン濃度を推定することと、前記血中尿素窒素濃度および/または前記血中クレアチニン濃度に基づいて、前記対象に対するグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の、投与可否、用法および用量の少なくとも一つを予測または決定することと、を含む、[5]に記載の方法。
[7]急性腎不全の患者の血中GDF-15濃度を測定する測定工程と、前記血中GDF-15濃度に基づいて、前記急性腎不全の患者に対するグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の、投与可否、用法および用量の少なくとも一つを予測または決定する、予測または決定工程と、を備える、急性腎不全の患者に対するグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の投与可否、用法または用量を予測または決定する方法。
[8]グルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩を含む、急性腎不全の予防または治療剤の調製方法であって、対象の血中GDF-15濃度を測定する測定工程と、前記血中GDF-15濃度に基づいて、前記予防または治療剤中のグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の含有量を予測または決定する、予測または決定工程と、を備える方法。
[9]急性腎不全の予後判定および/または診断のための指標を試験管内で測定する方法であって、対象から得られた試料について、前記指標としてGDF-15濃度を測定する測定工程を備える、方法。
[10]急性腎不全の患者に対するグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の、投与可否、用法および用量の少なくとも一つを予測または決定するための方法であって、前記急性腎不全の患者の血中GDF-15濃度を測定する測定工程を備える、方法。
[11]急性腎不全の患者に対するグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の、投与可否、用法および用量の少なくとも一つを予測または決定するために前記急性腎不全の患者の血中GDF-15濃度を提供する方法であって、前記急性腎不全の患者の血中GDF-15濃度を測定する測定工程を備える、方法。
[12]上記急性腎不全は、ミオグロビン尿症横紋筋融解症、ヘモグロビン尿症、アテローム塞栓症、腎動脈閉塞、血管炎、溶血性尿毒症症候群、血栓溶解血小板減少性紫斑病、ヴェグナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、グッドパスチャー症候群、急性糸球体腎炎、急性過敏性間質性腎炎、高カルシウム血症、尿路閉塞、急性尿酸腎症、腎盂腎炎、乳頭壊死、肝腎障害症候群、高血圧、細菌性敗血症、全身性炎症ショック、真菌血症、急性ウイルス性疾患、重度の体液量減少、火傷、虚血再灌流、産後合併症、外科的処置、および薬剤性腎炎からなる群から選択される少なくとも一つの疾患、障害または状態から生じ、腎臓における虚血または虚血再灌流が関与する急性腎不全である、[1]~[4]、[7]~[11]のいずれかに記載の急性腎不全の予防または治療剤、予防または治療方法、使用のためのグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩、使用、または方法。
 本発明によれば、予防効果または治療効果を有する、急性腎不全の予防または治療剤を提供することができる。また、急性腎不全を予防または治療する場合に、血液中の増殖分化因子―15(GDF-15)濃度を指標として、グルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の投与の可否および用法・用量を選択する方法を提供することができる。
図1は、片腎摘出ラット虚血性急性腎障害モデルにおける血中尿素窒素濃度の推移を示すグラフである。 図2は、片腎摘出ラット虚血性急性腎障害モデルにおける血中クレアチニン濃度の推移を示すグラフである。 図3(a)は、ラット両腎同時結紮虚血性急性腎障害モデルにおける、血中尿素窒素濃度とGDF-15値との相関を示すグラフである。図3(b)は、ラット両腎同時結紮虚血性急性腎障害モデルにおける、血中クレアチニン濃度とGDF-15値との相関を示すグラフである。 図4(a)は、ラット両腎同時結紮虚血性急性腎障害モデルにおける、血中尿素窒素濃度とGDF-15値との相関を示すグラフである。図4(b)は、ラット両腎同時結紮虚血性急性腎障害モデルにおける、血中クレアチニン濃度とGDF-15値との相関を示すグラフである。
 以下、本発明の内容について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
 本発明の予防または治療剤、および、予防または治療方法、ならびに本明細書に記載されたその他の方法は、ヒトに対して投与または適用されるものであってよい。
 本発明の一実施形態は、グルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩を含む、急性腎不全の予防または治療剤に関する。
 本発明において、薬理学的に許容される塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸との塩;酢酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ステアリン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などの有機酸との塩;ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属との塩;カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩;アンモニウム塩;アルギニンなどのアミノ酸との塩などを挙げることができる。
 本発明において、グルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩には、結晶多形が存在することもあるがいずれにも限定されず、いずれかの結晶形の単一物であっても混合物であってもよい。また、本発明におけるグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩には、非晶質体も含まれる。そして、本発明におけるグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩には、無水物と溶媒和物(特に水和物)とが包含される。
 本発明の一実施形態に係る急性腎不全の予防または治療剤は、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤もしくはシロップ剤として経口的に、または、注射剤、輸液、もしくは坐剤として非経口的に投与することが出来る。公知の製剤技術によってこれらの剤型に製剤化することができる。固形剤の場合には、製剤化に際して薬理学的に認容し得る賦形剤、例えば澱粉、乳糖、精製白糖、グルコース、結晶セルロース、カルボキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、燐酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、アラビアゴムなどを配合することができ、必要であれば滑沢剤、結合剤、崩壊剤、被覆剤、着色剤などを配合することができる。また、液剤の場合には、安定剤、溶解助剤、懸濁化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤などを配合することができる。
 本発明の急性腎不全の予防または治療剤の投与量は、治療的に有効な量であって、症状、年齢、投与法、剤型などにより異なるが、通常の場合には、成人に対し上記の化合物として1日当たり0.5~2000mg投与することができ、1~800mgを1日当たり1回または数回に分けて、連日投与するのが好ましい。グルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の投与量がこの範囲にあると、急性腎不全に対する予防効果または治療効果が示されると考えられる。
 本発明の一実施形態は、対象の血中GDF-15濃度を測定する測定工程と、血中GDF-15濃度に基づいて、対象に対するグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の、投与可否、用法および用量の少なくとも一つを予測または決定する、予測または決定工程と、を備える、対象に対するグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の投与可否、用法または用量を、予測または決定する方法に関する。
 上記予測または決定工程は、血中GDF-15濃度に基づいて、対象の血中尿素窒素濃度および/または血中クレアチニン濃度を推定することと、血中尿素窒素濃度および/または血中クレアチニン濃度に基づいて、対象に対するグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の、投与可否、用法および用量の少なくとも一つを予測または決定することと、を含んでいてよい。
 本発明の一実施形態は、グルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩を含む、急性腎不全の予防または治療剤の調製方法であって、対象の血中GDF-15濃度を測定する測定工程と、血中GDF-15濃度に基づいて、予防または治療剤中のグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の含有量を予測または決定する、予測または決定工程と、を備える方法に関する。
 上記予防または治療剤の調製方法には、上記予防または治療剤を投与される対象が、予防または治療剤中のグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の含有量を予測または決定する行為も含まれ得る。上記予防または治療剤は単一の製剤に限られず、複数の製剤の組み合わせであってもよい。上記予防または治療剤が単一の製剤である場合、対象は、GDF-15の測定値に基づいた適切な量のグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩を含む製剤を選択することができる。上記予防または治療剤が複数の製剤の組み合わせである場合、当該複数の製剤の組み合わせを変えることで、対象自身が上記予防または治療剤中のグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の含有量を予測または決定することができる。
 本発明の一実施形態は、急性腎不全の予後判定および/または診断のための指標を試験管内で測定する方法であって、対象から得られた試料について、指標としてGDF-15濃度を測定する測定工程を備える方法に関する。本実施形態に係る方法は、血中GDF-15濃度に基づいて、対象の血中尿素窒素濃度および/または血中クレアチニン濃度を推定することと、血中尿素窒素濃度および/または血中クレアチニン濃度に基づいて、対象に対するグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の、投与可否、用法および用量の少なくとも一つを予測または決定する予測または決定工程を更に備えていてよい。
 本発明の一実施形態は、急性腎不全の患者に対するグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の、投与可否、用法および用量の少なくとも一つを予測または決定するための方法であって、上記急性腎不全の患者の血中GDF-15濃度を測定する測定工程を備える、方法に関する。本実施形態に係る方法は、血中GDF-15濃度に基づいて、対象の血中尿素窒素濃度および/または血中クレアチニン濃度を推定することと、血中尿素窒素濃度および/または血中クレアチニン濃度に基づいて、対象に対するグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の、投与可否、用法および用量の少なくとも一つを予測または決定する予測または決定工程を更に備えていてよい。
 本発明の一実施形態は、急性腎不全の患者に対するグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の、投与可否、用法および用量の少なくとも一つを予測または決定するために上記急性腎不全の患者の血中GDF-15濃度を提供する方法であって、上記急性腎不全の患者の血中GDF-15濃度を測定する測定工程を備える、方法に関する。本実施形態に係る方法は、血中GDF-15濃度に基づいて、対象の血中尿素窒素濃度および/または血中クレアチニン濃度を推定することと、血中尿素窒素濃度および/または血中クレアチニン濃度に基づいて、対象に対するグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の、投与可否、用法および用量の少なくとも一つを予測または決定する予測または決定工程を更に備えていてよい。
 本明細書において、「対象」は、急性腎不全と診断された患者であってよく、急性腎不全と診断される前の人であってもよい。本明細書において、「対象」は、高血圧、糖尿病等の持病を有する人であってもよい。
 グルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の投与可否、用法および用量の少なくとも一つを予測または決定する基準となる血中GDF-15濃度は、症状、年齢、投与法、剤型などにより異なるが、通常の成人の場合、0.05ng/mL~100ng/mL、より好ましくは0.1ng/mL~10ng/mLが挙げられる。血中GDF-15濃度がこれらの範囲にあれば、グルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩を投与するほうがよいと判断することができ、その場合、本明細書に記載した用法および/または用量を適用することができる。
 本発明における急性腎不全としては、ミオグロビン尿症横紋筋融解症、ヘモグロビン尿症、アテローム塞栓症、腎動脈閉塞、血管炎、溶血性尿毒症症候群、血栓溶解血小板減少性紫斑病、ヴェグナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、グッドパスチャー症候群、急性糸球体腎炎、急性過敏性間質性腎炎、高カルシウム血症、尿路閉塞、急性尿酸腎症、腎盂腎炎、乳頭壊死、肝腎障害症候群、高血圧、細菌性敗血症、全身性炎症ショック、真菌血症、急性ウイルス性疾患、重度の体液量減少、火傷、虚血再灌流、産後合併症、外科的処置、および薬剤性腎炎からなる群から選択される少なくとも一つの疾患、障害または状態から生じ、腎臓における虚血または虚血再灌流が関与するものを例示できる。
 以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<実施例1:片腎摘出ラット虚血性急性腎障害モデルでのグルタチオントリスルフィド(GSSSG)の効果の評価>
 特許文献1に記載された方法で製造したGSSSG二水和物を乳鉢で10分以上入念に粉砕した。GSSSG二水和物1333mg(無水物換算1250mg)を秤量した。生理食塩液40mLに粉砕したGSSSG二水和物1333mgを加え、懸濁状態で5分間撹拌した。懸濁液に炭酸水素ナトリウム0.25~0.50gを添加して溶解させた。このGSSSG溶液をメスシリンダーに移し、生理食塩液を加えて50mLにメスアップして調整液とした(最終濃度:25mg/mL)。得られた調製液をフィルター(0.22μmフィルター)でろ過し、投与検体とした。
 試験には、SD系ラット、雄性、4週齢(体重99~113g)を用いた。入手した動物は16日間の予備飼育期間を設けた。体重推移および一般状態に異常が認められなかったラットを、群分けに用いた。
 予備飼育期間を経て異常が認められなかったラットから、以下の方法で片腎を摘出した。イソフルラン麻酔下で左側臥位に固定し、右腰背部を毛刈りした。酒石酸ブトルファノール1mg/kg(1mL/kg)の皮下投与によって鎮痛処置後、右腰背部を切開して右腎臓を取り出し、腎動静脈を結紮後に摘出した。右腎臓を摘出後に切開部を縫合した。
 右腎臓を摘出したラットの腹腔内に、注射針を取り付けたポリプロピレン製ディスポーザブル注射筒を用いて投与検体を投与した。虚血処理を行う日をday0とし、虚血処理を行う日の4日前(day(-4))から虚血処理を行う日の1日前(day(-1))までの4日間に、一日一回、計4回投与した。投与液量は投与初日の体重を基準として、8mL/kgで算出した。なお、疑似手術群およびControl群には、同量の生理食塩水を投与した。
 群構成、GSSSGの投与量および使用動物匹数を、表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 虚血・再灌流処置は、以下のように行った。ペントバルビタールナトリウム45mg/kg(1mL/kg)の腹腔内投与と酒石酸ブトルファノール1mg/kg(1mL/kg)の皮下投与による麻酔を行った。腎臓の位置する左背側部を剃毛した。以降、ヒーターマットの上で動物を処置した。術部を約70%アルコールにて消毒後、剪刀を用いて切開した。左腎臓を露出後、腎動静脈をクレンメ(クリップパワー120g)を用いて40分間クランプした。クランプ中は腎臓の乾燥を防ぐために腎臓を体内に戻した。再灌流時は、腎臓の血色が正常(赤色)に戻ることを確認し、開腹創を閉鎖しイソジンで消毒した。疑似手術群のラットは左腎臓を露出し、虚血処置を施さずに腹腔内に戻して、切開40分後に開腹創を閉鎖しイソジンで消毒した。縫合後のラットは元の飼育ケージに戻した。
 片腎摘出日(摘出前)、投与開始日の前日、最終投与日(投与後4時間以上空けた)、処置完了から24、48時間後[Control群、GSSSG群では左腎臓のクレンメを外した時点(再灌流)を処置完了の時点とし、疑似手術群では閉腹した時点を処置完了の時点とした]に、無麻酔下で尾静脈からEDTA-2K処理キャピラリーを用いて約0.25mLの血液を採取した。処置72時間後にイソフルラン麻酔下で腹大動脈から翼付き注射針およびEDTA-2K処理真空採血管を用いて血液を全量採取した。採血時間の許容範囲は±1時間とした。採取した血液(EDTA-2K添加)は、氷冷後、遠心機を用いて分離した(4℃、2200×g、15分間)。処置72時間後の血液は、遠心機を用いて分離した(4℃、2150×g、15分間)。得られた血漿を用いて尿素窒素(UN)およびクレアチニン(CRE)の濃度を測定した。試験項目および測定法は、表2の通りである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表1に示す群分けで、血漿中のUNおよびCREの濃度を測定したところ、当該測定値は、疑似手術群に対して、虚血・再灌流を行ったControl群で上昇した。一方、GSSSGの200mg/kg投与群において、UN値(図1)およびCRE値(図2)は低下した。
<実施例2:ラット両腎同時結紮虚血性急性腎障害モデルでのGSSSGの効果の評価>
 特許文献1に記載された方法で製造したGSSSG二水和物を乳鉢で10分以上入念に粉砕した。GSSSG二水和物を必要量秤量した。粉砕したGSSSG二水和物に0.5w/v%メチルセルロース(以下MCと略す)を加え、10mg/mLとなるように懸濁液を調製し、高用量投与群の投与検体とした。10mg/mLの懸濁液を、0.5w/v% MCを用いて希釈し、4mg/mLの懸濁液を調製し、低用量投与群の投与検体とした。
 試験には、SD系ラット、雄性、5週齢(体重136~154g)を用いた。入手した動物は8日間の予備飼育期間を設けた。体重推移および一般状態に異常が認められなかったラットを、群分けに用いた。
 投与方法は、経口投与とした。ラット用金属製経口ゾンデを取り付けたポリプロピレン製ディスポーザブル注射筒を用いて強制経口投与した。
 投与液量は、投与日に最も近い体重を基準として、高用量群、低用量群とも5mL/kgとした。投与時期は、虚血処理を行う日の1日前、2日前、および3日前、虚血処理の1時間前ならびに再灌流処理の2時間後の計5回とした。
 群構成、GSSSGの投与量および使用動物匹数を、表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 虚血・再灌流処置は、以下のように行った。ペントバルビタールナトリウム45mg/kg(1mL/kg)の腹腔内投与と酒石酸ブトルファノール1mg/kg(1mL/kg)の皮下投与による麻酔を行った。腎臓の位置する両背側部を剃毛した。以降、ヒーターマットの上で動物を処置した。術部を約70%アルコールにて消毒後、剪刀を用いて切開した。表3の第2~4群の動物は両腎臓を露出後、左腎臓、右腎臓の順に腎動静脈をクレンメ(クリップパワー 120 g)を用いて40分間クランプした。クランプ中は腎臓の乾燥を防ぐために腎臓を体内に戻した。再灌流時は、腎臓の血色が正常(赤色)に戻ることを確認し、開腹創を閉鎖しイソジンで消毒した。第1群の動物は両腎臓を露出し、虚血処置を施さずに腹腔内に戻して、切開40分後に開腹創を閉鎖しイソジンで消毒した。縫合後のラットは元の飼育ケージに戻した。
 投与前日に無麻酔下で尾静脈からヘパリンNa処理キャピラリー(DRUMMOND)を用いて約0.25 mLの血液を採取した。採取した血液は、氷冷後、遠心機を用いて分離(4°C、2200×g、15分間)し、得られた血漿を用いてUN濃度およびCRE濃度を測定した。
 再灌流処置48時間後にイソフルラン麻酔下で腹大動脈から翼付き注射針およびヘパリンNa処理真空採血管を用いて血液を全量採取した。採取した血液は、氷冷後、遠心機を用いて分離(4°C、2150×g、15分間)し、得られた血漿を用いてUN、CREおよびGDF-15(Mouse/Rat GDF-15 Quantikine ELISA Kit、R&D Systems, Inc)を測定した。試験項目および測定法は、表4の通りである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 表3に示す群分けで、血漿中のUNおよびCREの濃度を測定したところ、当該測定値は、疑似手術群に対して、虚血・再灌流を行ったControl群で上昇した。一方、GSSSGの投与群において、UN値(表5)およびCRE値(表6)は用量依存的に低下した。また、GDF-15値(表7)は、疑似手術群に対して、虚血・再灌流を行ったControl群で上昇した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 一方、GSSSGの投与群において、GDF-15濃度は、50mg/kg群でやや低下した。表7の20mg/kg投与群と50mg/kg群において、腎機能の指標であるUN濃度およびCRE濃度とGDF-15濃度との相関を調べた。結果を図3,4に示す。20mg/kg投与群におけるUN濃度とGDF-15濃度との相関係数は0.82となり、両者には相関が認められた(図3(a))。20mg/kg投与群におけるCRE濃度とGDF-15濃度との相関係数は0.75となり、両者には相関が認められた(図3(b))。治療効果が見られた50mg/kg投与群における、UN濃度とGDF-15濃度との相関係数は0.95となり、両者には高い相関が認められた(図4(a))。治療効果が見られた50mg/kg群におけるCRE濃度とGDF-15濃度との相関係数は0.98となり、両者には高い相関が認められた(図4(b))。これらの結果から、腎機能障害の重篤度およびGSSSGの治療効果とGDF-15濃度とが相関を示すことが示された。
 腎臓機能が低下または悪化した場合、血中GDF-15濃度は、従来腎機能の指標として用いられてきた血中UN濃度および血中CRE濃度に比べて速やかに上昇する。また、血中GDF-15濃度の上昇幅は、血中UN濃度および血中CRE濃度の上昇幅に比べて大きい。このことと、本実施例の結果とから、血中GDF-15濃度が、腎疾患のより好ましいマーカーとして使用することができることが示唆された。加えて、本実施例では、GSSSGの治療効果とGDF-15濃度との相関も示された。このことから、GDF-15の濃度を、GSSSGの投与量等を予測または決定する指標にすることができることが示唆された。
 図3,4は、GDF-15血中濃度が、虚血再灌流による臓器の機能障害との相関、および薬剤の効果との相関を示す可能性を示唆する。このことは腎臓のように明確な臓器の機能障害の指標が定義されていない臓器においても、臓器の機能障害との相関および薬剤の効果を、GDF-15を指標に把握できる可能性を示唆する。より具体的には、薬剤としてポリスルフィド類を用いる場合、更に具体的には、薬剤としてグルタチオントリスルフィドを用いる場合の可能性を示唆する。虚血再灌流により障害を受ける臓器としては、腎以外では、脳、脊髄、肺、感覚器神経、運動神経、心臓、肝臓などがあげられるが、これらに限定されるものではない。

 

Claims (16)

  1.  グルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩を含む、急性腎不全の予防または治療剤。
  2.  前記急性腎不全が、ミオグロビン尿症横紋筋融解症、ヘモグロビン尿症、アテローム塞栓症、腎動脈閉塞、血管炎、溶血性尿毒症症候群、血栓溶解血小板減少性紫斑病、ヴェグナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、グッドパスチャー症候群、急性糸球体腎炎、急性過敏性間質性腎炎、高カルシウム血症、尿路閉塞、急性尿酸腎症、腎盂腎炎、乳頭壊死、肝腎障害症候群、高血圧、細菌性敗血症、全身性炎症ショック、真菌血症、急性ウイルス性疾患、重度の体液量減少、火傷、虚血再灌流、産後合併症、外科的処置、および薬剤性腎炎からなる群から選択される少なくとも一つの疾患、障害または状態から生じ、腎臓における虚血または虚血再灌流が関与する急性腎不全である、請求項1に記載の予防または治療剤。
  3.  グルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与する、急性腎不全の予防または治療方法。
  4.  前記急性腎不全が、ミオグロビン尿症横紋筋融解症、ヘモグロビン尿症、アテローム塞栓症、腎動脈閉塞、血管炎、溶血性尿毒症症候群、血栓溶解血小板減少性紫斑病、ヴェグナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、グッドパスチャー症候群、急性糸球体腎炎、急性過敏性間質性腎炎、高カルシウム血症、尿路閉塞、急性尿酸腎症、腎盂腎炎、乳頭壊死、肝腎障害症候群、高血圧、細菌性敗血症、全身性炎症ショック、真菌血症、急性ウイルス性疾患、重度の体液量減少、火傷、虚血再灌流、産後合併症、外科的処置、および薬剤性腎炎からなる群から選択される少なくとも一つの疾患、障害または状態から生じ、腎臓における虚血または虚血再灌流が関与する急性腎不全である、請求項3に記載の予防または治療方法。
  5.  急性腎不全の予防または治療における使用のためのグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩。
  6.  前記急性腎不全が、ミオグロビン尿症横紋筋融解症、ヘモグロビン尿症、アテローム塞栓症、腎動脈閉塞、血管炎、溶血性尿毒症症候群、血栓溶解血小板減少性紫斑病、ヴェグナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、グッドパスチャー症候群、急性糸球体腎炎、急性過敏性間質性腎炎、高カルシウム血症、尿路閉塞、急性尿酸腎症、腎盂腎炎、乳頭壊死、肝腎障害症候群、高血圧、細菌性敗血症、全身性炎症ショック、真菌血症、急性ウイルス性疾患、重度の体液量減少、火傷、虚血再灌流、産後合併症、外科的処置、および薬剤性腎炎からなる群から選択される少なくとも一つの疾患、障害または状態から生じ、腎臓における虚血または虚血再灌流が関与する急性腎不全である、請求項5に記載の使用のためのグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩。
  7.  急性腎不全の予防または治療剤の製造のためのグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の使用。
  8.  前記急性腎不全が、ミオグロビン尿症横紋筋融解症、ヘモグロビン尿症、アテローム塞栓症、腎動脈閉塞、血管炎、溶血性尿毒症症候群、血栓溶解血小板減少性紫斑病、ヴェグナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、グッドパスチャー症候群、急性糸球体腎炎、急性過敏性間質性腎炎、高カルシウム血症、尿路閉塞、急性尿酸腎症、腎盂腎炎、乳頭壊死、肝腎障害症候群、高血圧、細菌性敗血症、全身性炎症ショック、真菌血症、急性ウイルス性疾患、重度の体液量減少、火傷、虚血再灌流、産後合併症、外科的処置、および薬剤性腎炎からなる群から選択される少なくとも一つの疾患、障害または状態から生じ、腎臓における虚血または虚血再灌流が関与する急性腎不全である、請求項7に記載の使用。
  9.  対象の血中GDF-15濃度を測定する測定工程と、
     前記血中GDF-15濃度に基づいて、前記対象に対するグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の、投与可否、用法および用量の少なくとも一つを決定する決定工程と、を備える、
    対象に対するグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の投与可否、用法または用量を決定する方法。
  10.  前記決定工程が、
      前記血中GDF-15濃度に基づいて、前記対象の血中尿素窒素濃度および/または血中クレアチニン濃度を推定することと、
      前記血中尿素窒素濃度および/または前記血中クレアチニン濃度に基づいて、前記対象に対するグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の、投与可否、用法および用量の少なくとも一つを決定することと、を含む、
    請求項9に記載の方法。
  11.  急性腎不全の患者の血中GDF-15濃度を測定する測定工程と、
     前記血中GDF-15濃度に基づいて、前記急性腎不全の患者に対するグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の、投与可否、用法および用量の少なくとも一つを決定する決定工程と、を備える、
    急性腎不全の患者に対するグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の投与可否、用法または用量を決定する方法。
  12.  前記急性腎不全が、ミオグロビン尿症横紋筋融解症、ヘモグロビン尿症、アテローム塞栓症、腎動脈閉塞、血管炎、溶血性尿毒症症候群、血栓溶解血小板減少性紫斑病、ヴェグナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、グッドパスチャー症候群、急性糸球体腎炎、急性過敏性間質性腎炎、高カルシウム血症、尿路閉塞、急性尿酸腎症、腎盂腎炎、乳頭壊死、肝腎障害症候群、高血圧、細菌性敗血症、全身性炎症ショック、真菌血症、急性ウイルス性疾患、重度の体液量減少、火傷、虚血再灌流、産後合併症、外科的処置、および薬剤性腎炎からなる群から選択される少なくとも一つの疾患、障害または状態から生じ、腎臓における虚血または虚血再灌流が関与する急性腎不全である、請求項11に記載の方法。
  13.  グルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩を含む、急性腎不全の予防または治療剤の調製方法であって、
      対象の血中GDF-15濃度を測定する測定工程と、
      前記血中GDF-15濃度に基づいて、前記予防または治療剤中のグルタチオントリスルフィドまたはその薬理学的に許容される塩の含有量を決定する決定工程と、を備える方法。
  14.  前記急性腎不全が、ミオグロビン尿症横紋筋融解症、ヘモグロビン尿症、アテローム塞栓症、腎動脈閉塞、血管炎、溶血性尿毒症症候群、血栓溶解血小板減少性紫斑病、ヴェグナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、グッドパスチャー症候群、急性糸球体腎炎、急性過敏性間質性腎炎、高カルシウム血症、尿路閉塞、急性尿酸腎症、腎盂腎炎、乳頭壊死、肝腎障害症候群、高血圧、細菌性敗血症、全身性炎症ショック、真菌血症、急性ウイルス性疾患、重度の体液量減少、火傷、虚血再灌流、産後合併症、外科的処置、および薬剤性腎炎からなる群から選択される少なくとも一つの疾患、障害または状態から生じ、腎臓における虚血または虚血再灌流が関与する急性腎不全である、請求項13に記載の方法。
  15.  急性腎不全の予後判定および/または診断のための指標を試験管内で測定する方法であって、対象から得られた試料について、前記指標としてGDF-15濃度を測定する測定工程を備える、方法。
  16.  前記急性腎不全が、ミオグロビン尿症横紋筋融解症、ヘモグロビン尿症、アテローム塞栓症、腎動脈閉塞、血管炎、溶血性尿毒症症候群、血栓溶解血小板減少性紫斑病、ヴェグナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、グッドパスチャー症候群、急性糸球体腎炎、急性過敏性間質性腎炎、高カルシウム血症、尿路閉塞、急性尿酸腎症、腎盂腎炎、乳頭壊死、肝腎障害症候群、高血圧、細菌性敗血症、全身性炎症ショック、真菌血症、急性ウイルス性疾患、重度の体液量減少、火傷、虚血再灌流、産後合併症、外科的処置、および薬剤性腎炎からなる群から選択される少なくとも一つの疾患、障害または状態から生じ、腎臓における虚血または虚血再灌流が関与する急性腎不全である、請求項15に記載の方法。

     
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