WO2022190697A1

WO2022190697A1 - 鞍乗り型車両

Info

Publication number: WO2022190697A1
Application number: PCT/JP2022/003225
Authority: WO
Inventors: 雅長山; 憲太郎久保
Original assignee: 本田技研工業株式会社
Priority date: 2021-03-12
Filing date: 2022-01-28
Publication date: 2022-09-15
Also published as: CN220662720U; JP7463612B2; JPWO2022190697A1

Abstract

この鞍乗り型車両は、車輪（４）を上方から覆う泥除けカバー（３１）を備える鞍乗り型車両において、前記泥除けカバー（３１）は、車幅方向両側部で車両前後方向に延びる一対の側壁（３１ｍ）と、前記一対の側壁（３１ｍ）の間で車幅方向に延びるクロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）と、前記一対の側壁（３１ｍ）および前記クロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）の設置領域（Ｒ１）を上方から覆い、下面（３１ｐ）側に前記一対の側壁（３１ｍ）および前記クロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）を突出させるベース部（３１ｋ）と、を備えている。

Description

鞍乗り型車両

　本発明は、鞍乗り型車両に関する。
　本願は、２０２１年３月１２日に、日本に出願された特願２０２１－０４０３３１号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

　従来、鞍乗り型車両において、リアフェンダ（泥除けカバー）にリブを設けたものが知られている（例えば、特許文献１参照）。
　上記リブは、例えば車体フレームに当てられ、リアフェンダを補強している。

特許第６５０１４３１号公報

　ところで、リアフェンダは、後輪が巻き上げた泥水などの飛散を抑える機能を有している。一方、リアフェンダ（泥除けカバー）のリブなどを利用して風の流れの向きを調整することができれば好ましい。すなわち、泥除けカバーの泥水などの飛散抑制と、風の流れの向きの調整と、を効率よく実現することができれば好ましい。
　そこで本発明は、鞍乗り型車両において、泥除けカバーの泥水などの飛散抑制と、風の流れの向きの調整と、を効率よく実現することを目的とする。

　上記課題の解決手段として、本発明の一態様は、車輪（４）を上方から覆う泥除けカバー（３１）を備える鞍乗り型車両において、前記泥除けカバー（３１）は、車幅方向両側部で車両前後方向に延びる一対の側壁（３１ｍ）と、前記一対の側壁（３１ｍ）の間で車幅方向に延びるクロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）と、前記一対の側壁（３１ｍ）および前記クロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）の設置領域（Ｒ１）を上方から覆い、下面（３１ｐ）側に前記一対の側壁（３１ｍ）および前記クロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）を突出させるベース部（３１ｋ）と、を備えている。

　この構成によれば、一対の側壁とクロスリブ部とによって、泥除けカバーを補強することができる。また、一対の側壁およびクロスリブ部の設置領域をベース部で覆って閉塞し、このベース部の下面に一対の側壁およびクロスリブ部を突出させるので、以下の効果を奏する。すなわち、車輪に巻き上げられた泥水などが泥除けカバーの上方に至り難くすることができる。また、側壁とクロスリブ部とにより、車輪からフェンダ裏に巻き上げる風を車幅方向外側に流すことができる。このため、車両前方から流れてくる風と車輪で巻き上げる風とが衝突することを抑制することができる。

　上記態様において、前記一対の側壁（３１ｍ）の各々と前記クロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）の車幅方向端部との間には、車幅方向の隙間（６１）が設けられてもよい。
　この構成によれば、側壁およびクロスリブ部の間の隙間によって、泥水などをフェンダ前方まで隙間を通して排出しやすくすることができる。すなわち、側壁の途中で泥水などが落ちると、フェンダ外側に泥水などが飛散する可能性がある。これに対し、フェンダ前方まで泥水などを通してから排出しやすくすることで、フェンダ外側への泥水などの飛散を抑えることができる。

　上記態様において、前記一対の側壁（３１ｍ）の間の車幅方向の間隔は、車両前後方向の前方側ほど広くなり、前記クロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）は、車両前後方向に並んで複数設けられ、複数の前記クロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）は、車両前後方向の前方側に位置するものほど車幅方向の幅が広くなってもよい。
　この構成によれば、車輪が巻き込む風の流路となる一対の側壁間の間隔の幅が、車輪前方側（車輪回転方向下流側）ほど広くなる。このため、車輪が巻き込む風の流れを車幅方向外側に流しやすくすることができる。また、車輪前方側のベース部が広がるので、泥水などを受け止めやすくなり、泥水などの飛散を効果的に抑えることができる。

　上記態様において、前記クロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）は、前記ベース部（３１ｋ）の下面（３１ｐ）から斜め下前方に傾斜して延びてもよい。
　この構成によれば、クロスリブ部が鉛直下方に延びる場合に比べて、泥除けカバーの上下方向厚さを抑え、車両外観への影響を抑えることができる。また、車輪の上方側で斜め下前方に傾斜したクロスリブ部は、垂直に延びる場合に比べて、前傾斜によってクロスリブ部に付着した泥水などを車幅方向外側に流しやすい。このため、側壁およびクロスリブ部の間の隙間から泥水などを送りやすくすることができる。

　上記態様において、前記ベース部（３１ｋ）と別体をなし、前記ベース部（３１ｋ）の上面（３１ｖ）を覆う別体カバー（３８）を備えてもよい。
　この構成によれば、側壁およびクロスリブ部等の形成によりベース部の上面にヒケが生じたとしても、このヒケを別体カバーで隠すことができる。このため、泥除けカバーの外観性を向上させることができる。

　上記態様において、前記泥除けカバー（３１）および前記別体カバー（３８）の少なくとも一方に、電装部品（５２，５３）が支持されてもよい。
　この構成によれば、電装部品に至るワイヤハーネスを泥除けカバーおよび別体カバーの間に隠すことができる。このため、ワイヤハーネスを保護するとともに、泥除けカバーの外観性を向上させることができる。

　上記態様において、前記クロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）は、車幅方向に延びる板状のクロスリブ本体（３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４）と、前記クロスリブ本体（３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４）から前記ベース部（３１ｋ）の下面（３１ｐ）に延びる支持部（３１ｙ）と、を備えてもよい。
　この構成によれば、クロスリブ部が板状のクロスリブ本体と支持部とで構成されるため、泥除けカバーの重量を抑えることができる。すなわち、クロスリブ部が中実のブロック状とされる場合に比べて、クロスリブ部の重量を抑えることができる。また、規定角度のクロスリブ部を構成することができる。

　上記態様において、吸気口（１０９ａ）を有するエアクリーナ（１０９）の上方に、前記泥除けカバー（３１）の前記一対の側壁（３１ｍ）および前記クロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）を備えてもよい。
　この構成によれば、車両前方から流れてくる風と車輪で巻き上げる風とが衝突することを抑えることができる。また、この効果によって、エアクリーナに吸入される空気量への影響を抑えることができる。また、泥除けカバーの側壁とクロスリブ部との間に隙間を有する構成であれば、以下の効果を奏する。すなわち、フェンダ前方まで泥水などを送りやすく、泥水などが側壁の途中で落ちることを抑制する。このため、途中で落ちた泥水などがエアクリーナの吸気口に至ることを抑制することができる。

　本発明によれば、車輪を上方から覆う泥除けカバーを備える鞍乗り型車両において、側壁およびクロスリブ部によって泥除けカバーを補強することができる。また、車輪に巻き上げられた泥水などの飛散を側壁およびクロスリブ部で抑えることができる。また、フェンダ裏の風の流れの向きの調整を実現することができる。

本発明の実施形態の自動二輪車の左側面図である。上記自動二輪車の車体後部の斜視図である。上記自動二輪車のリアフェンダアッシーの分解斜視図である。上記リアフェンダアッシーを下方から見た下面図である。上記リアフェンダアッシーを斜め下方から見た斜視図である。上記自動二輪車の車体後部の車体左右中心面に沿う断面図である。本発明の第二実施形態の自動二輪車の左側面図である。

　以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印ＦＲ、車両左方を示す矢印ＬＨ、車両上方を示す矢印ＵＰが示されている。

＜車両全体＞
　図１は、本実施形態の鞍乗り型車両の一例としての自動二輪車１を示す。なお、本発明における「エアクリーナに吸入される空気量への影響を抑える」の効果については、図７に示す第二実施形態で説明する。
　自動二輪車１は、ハンドル２によって操舵される前輪３と、パワーユニット２０によって駆動される後輪（車輪）４と、を備えている。自動二輪車１は、運転者が車体を跨いで乗車する鞍乗り型車両である。自動二輪車１は、前後輪３，４の接地点を基準に車体を左右方向（ロール方向）に揺動（バンク）可能である。実施形態の車両は、自動二輪車のように車体をバンクさせた方向に旋回する車両であるが、これに限らない。実施形態の車両は、車体をバンクさせずに操舵輪の操舵によって旋回する車両を含んでもよい。

　自動二輪車１は、ハンドル２および前輪３を含むステアリング系部品１０と、自動二輪車１の骨格となる車体フレーム５と、を備えている。ステアリング系部品１０は、車体フレーム５の前端部のヘッドパイプ６に操舵可能に支持されている。前輪３は、ステアリング系部品１０における左右一対のフロントフォーク１１の下端部に支持されている。車体フレーム５の周囲は、車体カバー１２で覆われている。

　車体フレーム５は、ヘッドパイプ６、左右一対のメインフレーム７、左右一対のピボットフレーム８、シートフレーム１４、ダウンフレーム１５を備えている。
　ヘッドパイプ６は、ステアリング系部品１０を操舵可能に支持している。左右のメインフレーム７は、ヘッドパイプ６の上部から斜め後下方に延びている。左右のピボットフレーム８は、左右のメインフレーム７の各後端部からそれぞれ下方に延びている。

　シートフレーム１４は、左右一対の前シートフレーム１４ａおよび左右一対の後シートフレーム１４ｂを備えている。左右の前シートフレーム１４ａは、左右のメインフレーム７の各後部からそれぞれ後方に延びている。左右の後シートフレーム１４ｂは、左右のピボットフレーム８から斜め後上方に延びている。左右の後シートフレーム１４ｂの長さ方向の途中には、左右の前シートフレーム１４ａの各後端部が接続されている。ダウンフレーム１５は、ヘッドパイプ６の下部から左右のメインフレーム７の下方を斜め後下方に延びている。

　左右のピボットフレーム８には、車幅方向（車両左右方向）に延びるピボット軸８ａが渡設されている。また、左右のピボットフレーム８には、ピボット軸８ａを介して、スイングアーム１８の前端部が上下揺動可能に支持されている。後輪４は、スイングアーム１８の後端部に支持されている。

　車体フレーム５とスイングアーム１８との間には、緩衝器であるクッションユニット２１が渡設されている。
　左右のメインフレーム７の上部には、燃料タンク１７が支持されている。燃料タンク１７の後方には、シートフレーム１４によって支持されたシート２２が支持されている。

　自動二輪車１のパワーユニット２０は、左右のピボットフレーム８およびダウンフレーム１５に支持されている。パワーユニット２０の出力軸は、チェーン式伝動機構（不図示）を介して、後輪４に動力伝達可能に接続されている。
　パワーユニット２０は、原動機となるエンジン３４と、エンジン３４の後方に連なる変速機３５と、を一体に備えている。

　車体カバー１２は、車体後部に、左右一対のリアサイドカバー２４と、左右のリアサイドカバー２４間に配置されてシート２２の後部周囲を覆うリアアッパーカバー２５と、を備えている。左右のリアサイドカバー２４の後端部間には、テールランプ２７が配置されている。左右のリアサイドカバー２４間であって後輪４の後部の上方には、泥除けカバーとしてのリアフェンダ３１が配置されている。

＜リアフェンダ＞
　図２～図４に示すように、リアフェンダ３１は、別体のカバーアッシー（別体カバー）３８に上方から覆われている。カバーアッシー３８は、複数のカバーからなる。リアフェンダ３１およびカバーアッシー３８は、リアフェンダアッシー４１を構成している。
　図２を参照し、左右のリアサイドカバー２４の後部の間には、下方に向けて開口する車体後部開口部３７が設けられている。リアフェンダアッシー４１は、車体後部開口部３７から後下方に突出するように設けられている。

　リアフェンダ３１は、略水平に配置される前カバー３１ａと、前カバー３１ａの後端から斜め後下方に延びる後傾斜カバー３１ｂと、を一体に備えている。前カバー３１ａは、前方側ほど左右幅を広げるように形成されている。後傾斜カバー３１ｂは、下方側ほど左右幅を狭めるように形成されている。後傾斜カバー３１ｂの上下方向の中間部には、他の部位に対して車幅方向で幅広のライセンスプレート取付部３１ｃが形成されている。実施形態で用いる「中間」とは、対象の両端間の中央に限らず、対象の両端間の内側の範囲を含む意とする。ライセンスプレート取付部３１ｃには、ライセンスプレート５１が取り付けられている。ライセンスプレート５１の上方には、リフレクタ４６が配置されている。

　リアフェンダ３１は、後輪４の上方から後方に渡る範囲を、後輪４の外周側から覆う（図１参照）。
　図４を参照し、リアフェンダ３１は、一対のサイドステー部（側壁）３１ｍと、複数のクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４と、カバー壁（ベース部）３１ｋと、を備えている。一対のサイドステー部３１ｍは、車幅方向両側部で車両前後方向に延びる。複数のクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、一対のサイドステー部３１ｍの間で車幅方向に延びる。カバー壁３１ｋは、一対のサイドステー部３１ｍおよび複数のクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４の設置領域Ｒ１を上方から覆う。カバー壁３１ｋは、下面３１ｐ側に一対のサイドステー部３１ｍおよび複数のクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４を突出させる。
　実施形態の設置領域Ｒ１は、前カバー３１ａの後部から後傾斜カバー３１ｂの上部に渡って設けられている。実施形態のカバー壁３１ｋは、前カバー３１ａおよび後傾斜カバー３１ｂに渡って設けられている。

　図３を参照し、リアフェンダ３１は、前カバー３１ａの前端部の上側に、前上部壁３１ｆを備えている。前上部壁３１ｆは、左右一対の側壁３１ｄと、前壁３１ｅと、を備えている。左右一対の側壁３１ｄは、前カバー３１ａの略水平な前端部の左右端から上方に立ち上がる。前壁３１ｅは、前カバー３１ａの前端から上方に立ち上がり、左右の側壁３１ｄの前端の間を接続する。前上部壁３１ｆは、前カバー３１ａの前端部に立体形状を形成し、リアフェンダ３１の前端部の剛性を確保する。前上部壁３１ｆの左右の側壁３１ｄは、フェンダブラケット４８（図６参照）に対する締結部とされる。フェンダブラケット４８は、シートフレーム１４の後端部に備えられる。

　図４を参照し、リアフェンダ３１のカバー壁３１ｋの車幅方向両端部には、左右一対のサイドステー部３１ｍが設けられている。左右のサイドステー部３１ｍは、例えば、上方に開放するＵ字状の断面形状を有し、車両前後方向に延びている。左右のサイドステー部３１ｍは、カバー壁３１ｋの下面３１ｐから下方に突出している。

　リアフェンダ３１のカバー壁３１ｋの車幅方向中間部には、複数のクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４が設けられている。複数のクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、この記載順で後方側から前方側へ間隔を開けて並んでいる。

　各クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、車幅方向に延びる板状のクロスリブ本体３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４と、各クロスリブ本体３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４からカバー壁３１ｋの下面３１ｐに延びる脚部（支持部）３１ｙと、を備えている。

　図５、図６を併せて参照し、カバー壁３１ｋは、ネジ挿通孔を除いて開口などが無く、左右のサイドステー部３１ｍの間を閉塞している。カバー壁３１ｋの下面３１ｐは、前カバー３１ａ側の前下面３１ｑと、後傾斜カバー３１ｂ側の後下面３１ｒと、前カバー３１ａおよび後傾斜カバー３１ｂの間で凹状に湾曲して形成された凹状下面３１ｓと、を備えている。前下面３１ｑと後下面３１ｒとは、凹状下面３１ｓを介して連続するように設けられている。

　前下面３１ｑの前後方向中間部の左右両側には、左右一対の締結部３１ｈが設けられている。左右一対の締結部３１ｈは、ベースカバー４２（図３参照）の下部に締結されて固定される。
　凹状下面３１ｓの左右中央には、締結部３１ｔが設けられている。締結部３１ｔは、前記締結部３１ｈと同じく、ベースカバー４２の下部に締結されて固定される。後下面３１ｒの上部の左右両側には、締結部３１ｊが設けられている。締結部３１ｊは、ベースカバー４２の垂下部４２ｅに締結されて固定される。

　最も後方側のクロスリブ部３１ｎ１は、凹状下面３１ｓから斜め下前方に延びる板状のクロスリブ本体３１ｗ１と、クロスリブ本体３１ｗ１の左右両端から上方に延び、凹状下面３１ｓに接続される一対の板状の脚部３１ｙと、を備えている。一対の脚部３１ｙは、車幅方向に広がるように傾斜して上方に延びている。

　同様に、各クロスリブ部３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、前下面３１ｑから斜め下前方に延びる板状のクロスリブ本体３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４と、各クロスリブ本体３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４から上方に延び、前下面３１ｑに接続される複数の板状の脚部３１ｙと、を備えている。複数の板状の脚部３１ｙは、車幅方向に広がるように傾斜して上方に延びている。
　各クロスリブ本体３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４は、後端（基端）の全幅をカバー壁３１ｋの下面３１ｐに接続している。

　各クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４の各脚部３１ｙは、左右中央を境に傾斜の向きが変わる。すなわち、各クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４の各脚部３１ｙは、何れも車幅方向に広がるように傾斜している。このように脚部３１ｙの傾きを設定することで、各クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４の車幅方向の剛性を確保している。

　図４を参照し、左右のサイドステー部３１ｍは、前記設置領域Ｒ１において、以下のように傾斜している。すなわち、左右のサイドステー部３１ｍは、前カバー３１ａの後方側から前方側に向かうにつれて、次第に車幅方向の間隔を広げるように傾斜している。
　複数のクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、前方側に配置されるものほど、車幅方向の幅が広くなるように設けられている。各クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４の車幅方向の幅は、左右のサイドステー部３１ｍの間の間隔に合わせるように変化している。

　左右のサイドステー部３１ｍと各クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４の左右端部との間には、それぞれ車幅方向の隙間６１が設けられている。
　図中矢印Ｈ１は、カバー壁３１ｋの車幅方向一側（左側）に位置する複数の隙間６１を後方側から順に結ぶ矢印である。この矢印Ｈ１で示すように、カバー壁３１ｋの車幅方向一側には、同側のサイドステー部３１ｍに沿った一側通路６２が形成される。図中矢印Ｈ２は、カバー壁３１ｋの車幅方向他側（右側）に位置する複数の隙間６１を後方側から順に結ぶ矢印である。この矢印Ｈ２で示すように、カバー壁３１ｋの車幅方向他側には、同側のサイドステー部３１ｍに沿った他側通路６３が形成される。

　一側通路６２および他側通路６３の途中には、それぞれ前記締結部３１ｈが配置されている。左右の締結部３１ｈは、リアフェンダ３１の前カバー３１ａの前後方向中間部の左右両側に一対設けられている。左右の締結部３１ｈは、ベースカバー４２（図３参照）の下部に締結されて固定される。締結部３１ｈは、一側通路６２および他側通路６３において凹状に形成されている。

　リアフェンダ３１の後傾斜カバー３１ｂの上部の左右両側には、ウインカ取付下部３１ｕを一体に備えている。ウインカ取付下部３１ｕは、アッパーカバー４３の左右のウインカ取付部４３ｂの車幅方向内側に連なる。ウインカ取付下部３１ｕは、ベースカバー４２の空間５５とリアウインカ（電装部品）５３とを連通させる。ウインカ取付下部３１ｕは、空間５５を通るワイヤハーネス（不図示）をリアウインカ５３に至らしめる。ベースカバー４２の空間５５には、ライセンスランプ（電装部品）５２に至るワイヤハーネス７５（図６参照）も配索されている。

　図３を参照し、カバーアッシー３８は、リアフェンダ３１の上部に複数のカバーを重ねて構成されている。カバーアッシー３８は、下方側（リアフェンダ３１側）から順に、ベースカバー４２、アッパーカバー４３、トップカバー４４（図２参照）を備えている。

　ベースカバー４２は、前端部の左右両側の上下に、締結部４２ａ，４２ｂを備えている。各締結部４２ａ，４２ｂは、車体フレーム５（図１参照）の後端部に設けられたフェンダブラケット４８（図６参照）に対し、車幅方向外側から取り付けたボルトによって締結されている。ベースカバー４２は、下方側にリアフェンダ３１を支持するとともに、上方側にアッパーカバー４３およびトップカバー４４を支持している。

　ベースカバー４２は、他の部位よりも上方に高く立ち上がった前部起立部４２ｃと、前部起立部４２ｃの後下部から後方に延びる後方延出部４２ｄと、後方延出部４２ｄの後端から下方に延びる垂下部４２ｅと、を一体に備えている。ベースカバー４２は、全体的に前方側ほど左右幅を広げるように形成されている。

　前部起立部４２ｃの前端部の左右両側の上下には、フェンダブラケット４８（図６参照）に締結される前記締結部４２ａ，４２ｂを備えている。後方延出部４２ｄの平面視の内側には、車両前後方向に長い空間５５を形成する凹部４２ｆを備えている。後方延出部４２ｄの後端部には、ライセンスランプ５２が取り付けられている。垂下部４２ｅは、リアフェンダ３１の後傾斜カバー３１ｂの上部に、後方から重なって締結されている。垂下部４２ｅの後面には、リフレクタ４６が取り付けられている。ベースカバー４２における車両前後方向の中間部から後端に渡る適宜の箇所には、リアフェンダ３１を締結して固定する締結部を備えている。

　アッパーカバー４３は、全体的に前方側ほど左右幅を広げるように形成されている。アッパーカバー４３の後端部には、ライセンスランプカバー部４３ａを備えている。ライセンスランプカバー部４３ａは、リアフェンダ３１の前カバー３１ａの後端よりも後方に突出する。アッパーカバー４３におけるライセンスランプカバー部４３ａの前部の車幅方向両側には、左右一対のウインカ取付部４３ｂを備えている。左右のウインカ取付部４３ｂは、ライセンスランプカバー部４３ａの車幅方向外側に突出する。

　ライセンスランプカバー部４３ａは、ライセンスランプ５２（図６参照）を上方から覆っている。ライセンスランプ５２は、ライセンスプレート取付部３１ｃに取り付けたライセンスプレート５１を照らす。左右のウインカ取付部４３ｂは、左右同側のリアウインカ５３の根本（車幅方向内側の端部）を支持している。
　アッパーカバー４３における左右のウインカ取付部４３ｂよりも後方の部位の車幅方向両側には、左右一対の延長部４３ｆを備えている。各延長部４３ｆは、リアフェンダ３１の前カバー３１ａの左右端よりも車幅方向外側に突出する。

　アッパーカバー４３は、前端部の車幅方向内側に、斜め上後方に向けて延びる板状の立上げ部４３ｃを備えている。立上げ部４３ｃは、前記車体後部開口部３７（図２参照）の後端部を覆っている。立上げ部４３ｃの後下方には、アッパーカバー４３を上下に貫通する開口部４３ｄが形成されている。開口部４３ｄは、ベースカバー４２の空間５５を上方に露出させる。開口部４３ｄおよび空間５５は、トップカバー４４に上方から覆われて閉塞されている。アッパーカバー４３およびトップカバー４４は、ベースカバー４２の適宜の箇所に対して、締結されて固定される。

　トップカバー４４は、前方側ほど左右幅を広げるように形成されている。トップカバー４４は、車幅方向内側で平坦状に形成される中央部４４ａと、中央部４４ａの車幅方向外側で左右側縁に沿って車両前後方向に延びる左右一対の上部リブ部４４ｂと、を備えている。左右の上部リブ部４４ｂは、前方側ほど車幅方向外側に開くように設けられている。
　トップカバー４４は、アッパーカバー４３の前部（ライセンスランプカバー部４３ａよりも前方の部位）を上方から覆っている。

　図６は、自動二輪車１の車体後部の車体左右中心面に沿う断面を示している。
　左右の後シートフレーム１４ｂの後端部の間は、車幅方向に延びるクロスパイプ７１で接続されている。クロスパイプ７１には、フェンダブラケット４８が取り付けられている。フェンダブラケット４８は、クロスパイプ７１から上方に延びる上部ブラケット４８ａと、上部ブラケット４８ａの下部から後方に延びる後部ブラケット４８ｂと、を備えている。

　上部ブラケット４８ａには、シート２２をロックするシートロック装置７３が設けられている。
　下部ブラケット４８ｂには、ベースカバー４２が適宜締結されて固定されている。ベースカバー４２の前部起立部４２ｃの後部には、テールランプ２７が支持されている。

　ベースカバー４２の後端部には、ライセンスランプ５２が取り付けられている。ベースカバー４２の前後方向中間部に設けられた空間５５には、ライセンスランプ５２に至るワイヤハーネス７５が通される。空間５５には、左右リアウインカ５３に至るワイヤハーネス（不図示）も通される。リアフェンダ３１の前方には、後輪４の前部の上方を覆うインナーフェンダ７７が連なっている。

　リアフェンダ３１の前カバー３１ａの下面３１ｐは、ほぼ水平に配置されている。複数のクロスリブ部３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４のクロスリブ本体３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４は、前下面３１ｑに対して、角度θだけ斜め前下方に向けて傾斜している。例えば、角度θは、４５°よりも小さい。凹状下面３１ｓにあるクロスリブ部３１ｎ１は、車両側面視で、以下のように傾斜している。すなわち、クロスリブ部３１ｎ１は、例えばクロスリブ本体３１ｗ１の基端位置における凹状下面３１ｓの接線に対して、角度θだけ斜め前下方に向けて傾斜している。リアフェンダ３１における前記設置領域Ｒ１に設けたカバー壁３１ｋの上面３１ｖは、カバーアッシー３８によって覆われている。

　次に、リアフェンダ３１の作用について、図４および図６を参照して説明する。
　自動二輪車１の走行時、後輪４の回転に巻き込まれる風、ならびに路面から巻き上げられる泥および水（以下、「泥水など」と記す。）は、図６中矢印Ａで示すように流れる。すなわち、前記風および泥水などは、まず、後傾斜カバー３１ｂに向かって流れる。後下面３１ｒに当たった前記風および泥水などは、その後、図６中矢印Ｂで示すように、後下面３１ｒに沿って斜め前上方に流れる。

　この風および泥水などは、次に、リアフェンダ３１の車幅方向内側において、クロスリブ部３１ｎ１のクロスリブ本体３１ｗ１に当たる。クロスリブ部３１ｎ１に当たった泥水などは、図６中矢印Ｃで示すように、クロスリブ本体３１ｗ１の傾斜に沿って斜め下前方に方向を変えて落下する。後輪４に巻き上げられて直接クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４に当たる泥水なども同様に、図６中矢印Ｃ，Ｄ，Ｅ，Ｆで示すように、クロスリブ本体３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４に沿って斜め下前方に方向を変えて落下する。

　リアフェンダ３１下方の空間（タイヤハウス）には、後輪４の回転に巻き込まれる空気の流れが発生する。この空気の流れ（風）は、クロスリブ本体３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４に当たることで適宜乱される。これにより、リアフェンダ３１の下面が平坦な場合に比べて、以下の効果を奏する。すなわち、後輪４の回転に巻き込まれる風の流速が抑えられ、車輪前方側における圧力上昇が抑えられる。したがって、車輪前方側における空気抵抗およびリフト作用を抑えることができる。また、泥水などが車幅方向外側等に飛散することを抑えることができる。

　クロスリブ部３１ｎ１の両側方の隙間６１においては、後輪４の回転により発生した風と共に、泥水などの一部が一側通路６２および他側通路６３を通る（図４参照）。この風および泥水などは、途中で勢いが弱まる。この風および泥水などは、図６中矢印Ｇで示すように、リアフェンダ３１の上部から落下するか、リアフェンダ３１前方のインナーフェンダ７７に受け止められて落下する。このとき、前記風および泥水などは、共に一側通路６２および他側通路６３内を移動する。このため、泥水などを周囲に飛散させずにタイヤハウス内で落下させることができる。

　一側通路６２および他側通路６３の途中には、それぞれ締結部３１ｈが配置されている。各締結部３１ｈは凹状に形成されており、ボルト等の突出が抑えられる。このため、一側通路６２および他側通路６３における風および泥水などの流れが阻害されることはない。
　左右のサイドステー部３１ｍの間の車幅方向の間隔は、後傾斜カバー３１ｂから前カバー３１ａに向かうにつれて次第に広くなっている。このため、風が左右のサイドステー部３１ｍ間を前方に流れるときに、次第に風の流速が遅くなり、風の流れが乱れやすくなる。

　複数のクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、前方側ほど車幅方向の幅が広くなっている。このため、さらに風の流れを乱しやすくし、かつ泥水などを受け止めやすくする。すなわち、左右のサイドステー部３１ｍ間で車幅方向に広がった風は、同じく車幅方向に広がったクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４に広範囲で当たる。このため、さらに風の流れが乱れやすくなる。また、後輪４が巻き上げた泥水などは、次第に幅が広くなるクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４によって良好に受け止められる。したがって、泥水などの飛散する勢いを効果的に抑制することができる。

　以上説明したように、上記実施形態における鞍乗り型車両は、後輪４を上方から覆うリアフェンダ３１を備える自動二輪車１である。リアフェンダ３１は、車幅方向両側部で車両前後方向に延びる一対のサイドステー部３１ｍと、一対のサイドステー部３１ｍの間で車幅方向に延びるクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４と、一対のサイドステー部３１ｍおよびクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４の設置領域Ｒ１を上方から覆うカバー壁３１ｋと、を備えている。カバー壁３１ｋは、下面３１ｐ側に、一対のサイドステー部３１ｍおよびクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４を突出させている。

　この構成によれば、一対のサイドステー部３１ｍとクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４とによって、リアフェンダ３１を補強することができる。また、一対のサイドステー部３１ｍおよびクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４の設置領域Ｒ１をカバー壁３１ｋで覆って閉塞する。このカバー壁３１ｋの下面３１ｐに、一対のサイドステー部３１ｍおよびクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４を突出させる。これにより、以下の効果を奏する。すなわち、後輪４に巻き上げられた泥水などがリアフェンダ３１の上方に至り難くすることができる。また、一対のサイドステー部３１ｍおよびクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４によって、泥水などが車幅方向外側および前方側（車輪回転方向下流側）に飛散することを抑えることができる。
　このように、サイドステー部３１ｍおよびクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、リアフェンダ３１の補強と泥水などの飛散抑制とを兼ねる。これにより、リアフェンダ３１の補強と泥水などの飛散抑制とを効率よく実現することができる。

　また、上記鞍乗り型車両において、一対のサイドステー部３１ｍの各々とクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４の車幅方向端部との間には、車幅方向の隙間６１が設けられている。これにより、後輪４が巻き込む風の流れを、クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４によって適宜乱す。このため、後輪４前方側の圧力上昇を抑え、空気抵抗およびリフト作用を抑えることができる。また、サイドステー部３１ｍおよびクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４の間の隙間６１によって、適量の風を流す。この風の流れによって、泥水などをサイドステー部３１ｍに沿って前方側に排出することができる。
　このように、クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４によって、後輪４周りの気流の影響を抑えることができる。また、サイドステー部３１ｍおよびクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４の間の隙間６１によって、泥水などを排出しやすくすることができる。

　また、上記鞍乗り型車両において、一対のサイドステー部３１ｍの間の車幅方向の間隔は、車両前後方向の前方側ほど広くなる。クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、車両前後方向に並んで複数設けられる。複数のクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、車両前後方向の前方側に位置するものほど車幅方向の幅が広くなる。後輪４が巻き込む風の流路となる一対のサイドステー部３１ｍ間の間隔の幅が、後輪４前方側（車輪回転方向下流側）ほど広くなることで、以下の効果を奏する。すなわち、後輪４が巻き込む風の流れを乱しやすくなり、後輪４前方側の圧力上昇を効率よく抑えることができる。また、後輪４前方側のカバー壁３１ｋが広がるので、泥水などを受け止めやすくなり、泥水などの飛散を効果的に抑えることができる。

　また、上記鞍乗り型車両において、クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４（詳しくはクロスリブ本体３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４）は、カバー壁３１ｋの下面３１ｐから斜め下前方に傾斜して延びている。これにより、クロスリブ部が鉛直下方に延びる場合に比べて、以下の効果を奏する。すなわち、リアフェンダ３１の上下方向厚さを抑え、車両外観への影響を抑えることができる。また、後輪４の上方側で斜め下前方に傾斜したクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、後輪４に連れ回る風および泥水などを衝突させやすい。このため、風の流れを乱しやすく、かつ泥水などを受け止めやすい構造とすることができる。

　また、上記鞍乗り型車両において、カバー壁３１ｋと別体をなし、カバー壁３１ｋの上面３１ｖを覆うカバーアッシー３８を備えている。これにより、リアフェンダ３１の外観性を向上させることができる。すなわち、サイドステー部３１ｍおよびクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４等の形成によりカバー壁３１ｋの上面３１ｖにヒケが生じたとしても、このヒケを別体のカバーアッシー３８で隠すことができる。

　また、上記鞍乗り型車両において、リアフェンダ３１およびカバーアッシー３８の少なくとも一方に、リアウインカ５３およびライセンスランプ５２が支持されている。これにより、ライセンスランプ５２およびリアウインカ５３に至るワイヤハーネス７５を、リアフェンダ３１およびカバーアッシー３８の間に隠すことができる。このため、ワイヤハーネス７５を保護するとともに、リアフェンダ３１の外観性を向上させることができる。

　また、上記鞍乗り型車両において、クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、車幅方向に延びる板状のクロスリブ本体３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４と、クロスリブ本体３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４からカバー壁３１ｋの下面３１ｐに延びる脚部３１ｙと、を備えている。クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、板状のクロスリブ本体３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４と脚部３１ｙとで構成される。このため、クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４が中実のブロック状とされる場合に比べて、以下の効果を奏する。すなわち、クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４の重量を抑えることができる。また、規定角度のクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４を構成することができる。これにより、リアフェンダ３１の重量を抑えるとともに、後輪に連れ回る風および泥水などを受け止めやすくすることができる。

＜第二実施形態＞
　次に、本発明の第二実施形態について、図２～図６を援用し図７を参照して説明する。
　この実施形態は、前記第一実施形態に対して、スイング式のパワーユニット１０５を備える自動二輪車１０１にリアフェンダ３１を適用した点で特に異なる。その他の、前記実施形態と同一構成には同一符号を付して詳細説明は省略する。

＜車両全体＞
　図７は、第二実施形態の車両の一例として、スクータ型の自動二輪車（鞍乗り型車両）１０１を示している。自動二輪車１０１は、操向輪である前輪１０３と、駆動輪である後輪１０４と、を備えている。前輪１０３は、フロントフォーク１０３ａに支持され、バーハンドル１０２によって操向可能である。後輪１０４は、スイング式のパワーユニット１０５に支持され、パワーユニット１０５によって駆動可能である。図中符号１０４ａは、パワーユニット１０５の後端部を支持するリアクッションを示している。

　バーハンドル１０２、フロントフォーク１０３ａおよび前輪１０３を含むステアリング系部品は、車体フレーム１２１の前端部のヘッドパイプ１２１ａに操向可能に支持されている。パワーユニット１０５の前部は、車体フレーム１２１の下部に上下揺動可能に支持されている。
　車体フレーム１２１は、ヘッドパイプ１２１ａと、ヘッドパイプ１２１ａから下後方へ延びるダウンフレーム１２１ｂと、ダウンフレーム１２１ｂの下端部から後方へ延びるロアフレーム１２１ｃと、ロアフレーム１２１ｃの後端部から後上方へ延びるリアフレーム１２１ｄと、リアフレーム１２１ｄに下方から支持されるシートフレーム１２１ｅと、を備えている。自動二輪車１０１の車体フレーム１２１の周囲は、車体カバー１２２で覆われている。車体カバー１２２の後端部には、第一実施形態と同様のリアフェンダ３１を備えている。

　前輪１０３と後輪１０４との間には、運転者が足を置くステップフロア１０６が設けられている。例えば、ステップフロア１０６は、左右一対に設けられている。左右ステップフロア１０６の間には、センタトンネル１０７が設けられている。ステップフロア１０６の前方には、フロントボディ１１４が設けられている。ステップフロア１０６の後方には、リアボディ１１５が設けられている。フロントボディ１１４およびリアボディ１１５の間でステップフロア１０６の上方の空間は、運転者が車体を跨ぐ際の跨ぎ空間とされている。フロントボディ１１４の上方には、ハンドル１０２が配置されている。リアボディ１１５の上方には、乗員が着座するシート１０８が配置されている。

　パワーユニット１０５は、内燃機関であるエンジン１０５ａと、エンジン１０５ａで生じた駆動力を後輪１０４に伝達する伝動装置（例えばベルト式無段変速機）１０５ｂと、を備えている。伝動装置１０５ｂは、伝動ケース１０５ｃを備えている。伝動ケース１０５ｃは、エンジン１０５ａのクランクケースの車幅方向（左右方向）の一側（左側）から後方へ延びる。伝動ケース１０５ｃの上方には、エンジン吸気系のエアクリーナ１０９が配置されている。エアクリーナ１０９は、車両側面視で後部が後輪１０４の前上部と重なるように配置されている。エアクリーナ１０９は、リアフェンダ３１の前下方に配置されている。エアクリーナ１０９は、外気を吸入する吸気口１０９ａを備えている。

　図４および図６を参照し、自動二輪車１０１においても、その走行時の作用は、第一実施形態の作用と同様である。すなわち、後輪１０４の回転に巻き込まれる風、および路面から巻き上げられる泥水などは、クロスリブ本体３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４に当たって、斜め下前方に方向を変えて落下する。エアクリーナ１０９の吸気口１０９ａは、例えば、車両側面視で後輪１０４のディスクブレーキと重なる領域で、車両後方を指向して開口している。吸気口１０９ａは、外装カバーの内側に配置される。サイドステー部３１ｍの途中で泥水などが落ちると、この泥水などが吸気口１０９ａに至ることがある。

　リアフェンダ３１下方の空間（タイヤハウス）には、後輪１０４の回転に巻き込まれる空気の流れ（風）が発生する。この風は、クロスリブ本体３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４に当たって斜め下前方に流れる。または、前記風は、クロスリブ本体３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４に沿って車幅方向外側に流れる。このため、フェンダ前方（後輪１０４の前上方）まで至る風が低減される。

　タイヤハウス内には、車両前方からの走行風が侵入する。エアクリーナ１０９の吸気口１０９ａは、タイヤハウス内の走行風を取り込みやすい態様とされる。後輪１０４が巻き込む風が走行風に衝突すると、エアクリーナ１０９の吸入空気量に影響することがある。したがって、クロスリブ本体３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４によって、フェンダ前方まで至る巻き込み風を低減することで、以下の効果を奏する。すなわち、エアクリーナ１０９の吸入空気量への影響を抑えることができる。また、巻き込み風とともに流れる泥水などの吸気口１０９ａへの侵入を抑制することができる。

　以上説明したように、第二実施形態における鞍乗り型車両（自動二輪車１０１）においても、第一実施形態と同様のリアフェンダ３１を備えている。これにより、後輪１０４に巻き上げられた泥水などがリアフェンダ３１の上方に至り難くすることができる。また、サイドステー部３１ｍとクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４とにより、後輪１０４からフェンダ裏（下面側）に巻き上げる風を車幅方向外側に流すことができる。このため、車両前方から流れてくる風と後輪１０４で巻き上げる風とが衝突することを抑制することができる。

　また、第二実施形態の鞍乗り型車両において、一対のサイドステー部３１ｍの各々とクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４の車幅方向端部との間には、車幅方向の隙間６１が設けられている。これにより、泥水などをフェンダ前方まで隙間を通して排出しやすくすることができる。すなわち、サイドステー部３１ｍの途中で泥水などが落ちると、フェンダ外側に泥水などが飛散する可能性がある。これに対し、フェンダ前方まで泥水などを通してから排出しやすくすることで、フェンダ外側への泥水などの飛散を抑えることができる。

　また、第二実施形態の鞍乗り型車両において、一対のサイドステー部３１ｍの間の車幅方向の間隔は、車両前後方向の前方側ほど広くなる。クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、車両前後方向に並んで複数設けられる。複数のクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、車両前後方向の前方側に位置するものほど車幅方向の幅が広くなる。後輪１０４が巻き込む風の流路となる一対のサイドステー部３１ｍ間の間隔の幅が、後輪１０４前方側（車輪回転方向下流側）ほど広くなることで、以下の効果を奏する。すなわち、後輪１０４が巻き込む風の流れを、車幅方向外側に流しやすくすることができる。また、後輪１０４前方側のカバー壁３１ｋが広がるので、泥水などを受け止めやすくなり、泥水などの飛散を効果的に抑えることができる。

　また、第二実施形態の鞍乗り型車両において、クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４（詳しくはクロスリブ本体３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４）は、カバー壁３１ｋの下面３１ｐから斜め下前方に傾斜して延びている。これにより、クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４が鉛直下方に延びる場合に比べて、以下の効果を奏する。すなわち、リアフェンダ３１の上下方向厚さを抑え、車両外観への影響を抑えることができる。また、後輪１０４の上方側で斜め下前方に傾斜したクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、垂直に延びる場合に比べて、前傾斜によってクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４に付着した泥水などを車幅方向外側に流しやすくなる。このため、サイドステー部３１ｍおよびクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４の間の隙間から、泥水などを送りやすくすることができる。

　また、第二実施形態の鞍乗り型車両において、カバー壁３１ｋと別体をなし、カバー壁３１ｋの上面３１ｖを覆うカバーアッシー３８を備えている。これにより、リアフェンダ３１の外観性を向上させることができる。すなわち、サイドステー部３１ｍおよびクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４等の形成によりカバー壁３１ｋの上面３１ｖにヒケが生じたとしても、このヒケを別体のカバーアッシー３８で隠すことができる。

　また、第二実施形態の鞍乗り型車両において、リアフェンダ３１およびカバーアッシー３８の少なくとも一方に、リアウインカ５３およびライセンスランプ５２が支持されている。これにより、ライセンスランプ５２およびリアウインカ５３に至るワイヤハーネス７５を、リアフェンダ３１およびカバーアッシー３８の間に隠すことができる。このため、ワイヤハーネス７５を保護するとともに、リアフェンダ３１の外観性を向上させることができる。

　また、第二実施形態の鞍乗り型車両において、クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、車幅方向に延びる板状のクロスリブ本体３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４と、クロスリブ本体３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４からカバー壁３１ｋの下面３１ｐに延びる脚部３１ｙと、を備えている。クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、板状のクロスリブ本体３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４と脚部３１ｙとで構成される。このため、クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４が中実のブロック状とされる場合に比べて、以下の効果を奏する。すなわち、クロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４の重量を抑えることができる。また、規定角度のクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４を構成することができる。これにより、リアフェンダ３１の重量を抑えることができる。

　また、第二実施形態の鞍乗り型車両において、吸気口１０９ａを有するエアクリーナ１０９の上方に、リアフェンダ３１の一対のサイドステー部３１ｍおよびクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４を備えている。これにより、車両前方から流れてくる風と後輪１０４で巻き上げる風とが衝突することを抑える。この効果によって、エアクリーナ１０９に吸入される空気量への影響を抑えることができる。また、リアフェンダ３１のサイドステー部３１ｍとクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４との間に隙間６１を有する構成であれば、以下の効果を奏する。すなわち、フェンダ前方まで泥水などを送りやすく、泥水などがサイドステー部３１ｍの途中で落ちることを抑制する。このため、途中で落ちた泥水などがエアクリーナ１０９の吸気口１０９ａに至ることを抑制することができる。

　なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、リアフェンダ３１のサイドステー部３１ｍは、上方に開放するＵ字状の断面形状を有して車両前後方向に延びる構成としたが、これに限らない。例えば、サイドステー部３１ｍは、単にカバー壁３１ｋの両側部から下方に起立する板状（壁状）の構成としてもよい。
　複数のクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、一対のサイドステー部３１ｍとの間に隙間６１を空ける構成としたが、これに限らない。例えば、複数のクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、一対のサイドステー部３１ｍに渡って延びる（一対のサイドステー部３１ｍに接続される）構成でもよい。また、複数のクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、基端部が全てカバー壁３１ｋに接続される構成としたが、これに限らない。例えば、複数のクロスリブ部３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４は、基端部の少なくとも一部がカバー壁３１ｋから離間して風等を流す構成としてもよい。

　前記鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車（原動機付自転車およびスクータ型車両を含む）のみならず、三輪（前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む）又は四輪の車両も含まれる。また、原動機に電気モータを含む車両も含まれる。
　そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。

　１，１０１　自動二輪車（鞍乗り型車両）
　４，１０４　後輪（車輪）
　３１　リアフェンダ（泥除けカバー）
　３１ｋ　カバー壁（ベース部）
　３１ｍ　サイドステー部（側壁）
　３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４　クロスリブ部
　３１ｐ　下面
　３１ｖ　上面
　３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４　クロスリブ本体
　３１ｙ　脚部（支持部）
　３８　カバーアッシー（別体カバー）
　５２　ライセンスランプ（電装部品）
　５３　リアウインカ（電装部品）
　６１　隙間
　Ｒ１　設置領域

Claims

　車輪（４）を上方から覆う泥除けカバー（３１）を備える鞍乗り型車両において、
　前記泥除けカバー（３１）は、
　車幅方向両側部で車両前後方向に延びる一対の側壁（３１ｍ）と、
　前記一対の側壁（３１ｍ）の間で車幅方向に延びるクロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）と、
　前記一対の側壁（３１ｍ）および前記クロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）の設置領域（Ｒ１）を上方から覆い、下面（３１ｐ）側に前記一対の側壁（３１ｍ）および前記クロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）を突出させるベース部（３１ｋ）と、を備えている鞍乗り型車両。
　前記一対の側壁（３１ｍ）の各々と前記クロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）の車幅方向端部との間には、車幅方向の隙間（６１）が設けられている請求項１に記載の鞍乗り型車両。
　前記一対の側壁（３１ｍ）の間の車幅方向の間隔は、車両前後方向の前方側ほど広くなり、
　前記クロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）は、車両前後方向に並んで複数設けられ、
　複数の前記クロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）は、車両前後方向の前方側に位置するものほど車幅方向の幅が広くなっている請求項１又は２に記載の鞍乗り型車両。
　前記クロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）は、前記ベース部（３１ｋ）の下面（３１ｐ）から斜め下前方に傾斜して延びている請求項１から３の何れか一項に記載の鞍乗り型車両。
　前記ベース部（３１ｋ）と別体をなし、前記ベース部（３１ｋ）の上面（３１ｖ）を覆う別体カバー（３８）を備えている請求項１から４の何れか一項に記載の鞍乗り型車両。
　前記泥除けカバー（３１）および前記別体カバー（３８）の少なくとも一方に、電装部品（５２，５３）が支持されている請求項５に記載の鞍乗り型車両。
　前記クロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）は、
　車幅方向に延びる板状のクロスリブ本体（３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４）と、
　前記クロスリブ本体（３１ｗ１，３１ｗ２，３１ｗ３，３１ｗ４）から前記ベース部（３１ｋ）の下面（３１ｐ）に延びる支持部（３１ｙ）と、を備えている請求項１から６の何れか一項に記載の鞍乗り型車両。
　吸気口（１０９ａ）を有するエアクリーナ（１０９）の上方に前記泥除けカバー（３１）の前記一対の側壁（３１ｍ）および前記クロスリブ部（３１ｎ１，３１ｎ２，３１ｎ３，３１ｎ４）を備えている請求項１から７の何れか一項に記載の鞍乗り型車両。