WO2022162868A1 - 物体透視装置、制御回路、記憶媒体、および物体透視方法 - Google Patents
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Abstract
物体透視装置(10)が、物体(T)に送信する電波に対応する送信信号を出力する送信機(1)と、物体(T)で反射されて受信された電波を複素数で表現された受信信号に変換する受信機(4)と、受信信号を複数の受信信号に分離する信号分離部(5)と、分離された受信信号のそれぞれから、複素数で表現された複素画像を生成する複素画像生成部(6)と、複素画像のそれぞれを合成して物体の透視画像を生成する複素画像合成部(7)と、を備える。
Description
本開示は、物体を透視する物体透視装置、制御回路、記憶媒体、および物体透視方法に関する。
食品検査において食品を透視すること、または空港でのセキュリティーゲートなどで物体を透視することで、検査対象の物体内から異物または危険物を検出する装置が求められている。従来、物体内から異物などを検出する際には、X線を用いた物体透視装置が使われているが、被曝の問題が有るので、使用は限定的である。
被曝の問題がない検出方法としては、電波を利用した検出方法が有効である。電波を利用した検出方法の場合、回折限界があるので、分解能は電波の波長程度に制限される。このため、電波を利用した検出方法の場合、周波数が低く波長が長い電波では、透視画像の解像度が低く物体の識別が困難である。
特許文献1に記載の検査方法は、マイクロ波を用いてタイヤ内部の欠陥を検出することで、安定した測定データを取得している。
しかしながら、上記特許文献1の技術で数メートル以内の近距離の物体を観測する場合、可視光での写真機で考えると1mm以下の極近距離での接写による写真撮影と同じで、焦点を合わせるのが極めて困難となり、容易に物体の画像を生成することができない。また、上記特許文献1の技術では、欠陥の検出に用いる電波の波長が長いので、回折限界により高い分解能の画像を生成すること自体が困難である。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、検出対象物である物体に対して高い分解能の画像を容易に生成することができる物体透視装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の物体透視装置は、物体に送信する電波に対応する送信信号を出力する送信機と、物体で反射されて受信された電波を複素数で表現された受信信号に変換する受信機とを備える。また、物体透視装置は、受信信号を複数の受信信号に分離する信号分離部と、分離された受信信号のそれぞれから、複素数で表現された複素画像を生成する複素画像生成部と、複素画像のそれぞれを合成して物体の透視画像を生成する複素画像合成部とを備える。
本開示にかかる物体透視装置は、検出対象物である物体に対して高い分解能の画像を容易に生成することができるという効果を奏する。
以下に、本開示の実施の形態にかかる物体透視装置、制御回路、記憶媒体、および物体透視方法を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態.
図1は、実施の形態にかかる物体透視装置を有した物体透視システムの構成を示す図である。物体透視システム100は、物体透視装置10と、物体透視装置10によって回転が制御される回転台8とを有している。
図1は、実施の形態にかかる物体透視装置を有した物体透視システムの構成を示す図である。物体透視システム100は、物体透視装置10と、物体透視装置10によって回転が制御される回転台8とを有している。
物体透視装置10は、数メートル以内の近距離に配置されている物体Tを観測することで検査対象物である物体Tを透視し、物体T内に入っている異物などを検出するコンピュータを有している。
物体透視装置10は、回転台8に載置された物体Tに電波を送信し、物体Tで反射された電波を受信し、受信した電波に基づいて物体Tを画像化する。物体透視装置10は、物体Tを画像化することによって物体Tを可視化する。
物体透視装置10は、送信機1と、送信アンテナ2と、受信アンテナ3と、受信機4とを備えている。また、物体透視装置10は、信号分離部5と、複数の複素画像生成部6と、複素画像合成部7と、制御部9とを備えている。
制御部9は、送信機1と、受信機4と、信号分離部5と、複素画像生成部6と、複素画像合成部7と、回転台8とを制御する。送信機1は、制御部9からの指示に従って送信アンテナ2に送信信号を出力する。送信アンテナ2は、送信機1から出力された送信信号に対応する送信電波W1を発射し、物体Tに送信する。
図2は、実施の形態にかかる物体透視装置が発射する送信電波の周波数の例を示す図である。図2の横軸は時間[μsec]であり、縦軸は周波数[GHz]である。物体透視装置10は、複数の周波数の電波で検査対象物を検出するために、時分割で周波数をステップ状に掃引する。この図2に示す例では、ステップ状の掃引であるが、物体透視装置10は、連続的な直線の掃引であるチャープ信号の送信電波W1を発射してもよい。送信電波W1は、物体Tで反射される。
受信アンテナ3は、物体Tで反射された受信電波W2を受信し、受信機4に送る。受信アンテナ3が受信する受信電波W2は、送信電波W1のうち物体Tで反射された電波である。
受信機4は、送信とは逆の周波数変換によって受信電波W2をベースバンド信号のI信号およびQ信号に変換し、変換後のI信号およびQ信号を信号分離部5に出力する。受信信号であるI信号およびQ信号は、以下の式(1)の複素数のrで表現される。ここでは、jを虚数単位とする。
物体Tは、回転台8の上に置かれている。回転台8は、制御部9からの回転指示に従って回転することで、物体Tを回転させる。制御部9は、回転台8に送る回転指示に基づいて、物体Tの実際の回転位置に対応する回転角度を得る。この回転角度と、物体Tから受信した受信電波W2とは対応しているので、物体透視装置10は、回転角度毎の受信信号を得ることができる。
信号分離部5は、受信機4から出力されたI信号およびQ信号を周波数毎に分離して複素画像生成部6に出力する。信号分離部5が、例えば、I信号およびQ信号をそれぞれ、N(Nは自然数)個の周波数に分離する場合、物体透視装置10には、N個の複素画像生成部6を配置しておく。図2に示す送信電波W1の場合、Nは20である。物体透視装置10が、連続的な直線のチャープ信号を発射する場合、信号分離部5は、I信号およびQ信号をそれぞれ、N個の周波数領域に分離する。
信号分離部5は、分離したI信号およびQ信号のそれぞれを、複素画像生成部6に出力する。すなわち、信号分離部5は、分離によって得られた、第M(Mは1~Nの自然数)のI信号および第MのQ信号を、第Mの複素画像生成部6に出力する。
複素画像生成部6は、それぞれ信号分離部5から受け付けたI信号およびQ信号を用いて複素画像を生成する。これにより、複素画像生成部6は、周波数毎の複素画像を生成する。複素画像とは各画素が複素数で表現された画像である。
物体透視装置10では、複素画像生成部6へのある周波数に対する入力をrθとする。θは、回転台8の回転角度[rad]である。複素画像生成部6は、ある周波数に対し、信号分離部5からrを受け付け、制御部9からθを受け付ける。複素画像生成部6は、回転台8上の高さであるz座標で、回転台8の回転軸を中心とするx,y座標での複素画素Ix,yを計算する際には、以下の式(2)を用いる。ここでは、送信アンテナ2の座標を(XT,YT,ZT)、受信アンテナ3の座標を(XR,YR,ZR)、波長をλ、としている。
式(2)では、送信アンテナ2から送信電波W1の反射点までの距離と、反射点から受信アンテナ3までの距離との和をLθとし、この距離による位相回転の複素共役をAθとしている。総和Σのθの範囲は、例えば1回転である。このような計算は、一般にマッチドフィルタもしくは整合濾波と呼ばれる。複素画像生成部6は、画像として計算する全てのx,yに対して、式(2)を用いて複素画素Ix,yを計算することで物体Tの複素画像を得る。
各複素画像生成部6は、計算した複素画像を複素画像合成部7に出力する。複素画像合成部7は、それぞれの複素画像生成部6から複素画像を受け付ける。複素画像合成部7は、周波数毎の複素画像を合成することで物体Tの透視画像を計算し、計算した透視画像を、表示装置などの外部装置に出力する。
ここで複素画像合成部7による合成処理の例について説明する。インデックスi(iは自然数)番目の周波数の複素画像の複素画素を複素画素Ix,y,iとすると、複素画像合成部7は、最終的な透視画像である画素Bx,yを、以下の式(3)を用いて計算することができる。
これにより、複素画像合成部7は、複素画像を電力合成することで位相誤差による画像の劣化を抑えることができ、フォーカスがずれている場合、または周波数得によって位相誤差がある場合の画質を改善できる。
なお、複素画像合成部7は、式(3)を用いて、複素画像の振幅を2乗した総和を計算し平方根を計算することで画素Bx,yを計算しているが、以下の式(4)を用いて振幅の総和を計算することで画素Bx,yを計算してもよい。すなわち、複素画像合成部7は、複素画像のそれぞれを実数に変換してから合成してもよい。この場合、複素画像合成部7は、2乗の計算をする必要がなくなるので、計算量を削減できる。
また、複素画像合成部7は、以下の式(5)を用いて複素数の総和を計算してから振幅を計算することで画素Bx,yを計算してもよい。この場合、複素画像合成部7は、複素数で位相をコヒーレントに合成することでサイドローブおよびノイズを抑圧することができる。
また、複素画像合成部7は、以下の式(6)を用いて画素Bx,yを計算してもよい。すなわち、複素画像合成部7は、周波数特性を補正する重みWiを用いて画素Bx,yを補正してもよい。この場合、複素画像合成部7は、複素画像のそれぞれに複素数の重み付けを行ったうえで複素画像を合成する。複素画像合成部7は、式(6)を用いて画素Bx,yを計算する場合、送信機1または受信機4の周波数特性によって透視画像が乱れる場合であっても、透視画像の乱れを補正できる。
また、複素画像合成部7は、式(3)と式(6)とを組み合わせた式(7)を用いて画素Bx,yを計算してもよい。
複素画像合成部7は、式(7)を用いる場合、複数の複素画像の一部を複素数で加算してから振幅の2乗を計算し、2乗した総和の平方根を計算することで画素Bx,yを計算する。これにより、複素画像合成部7は、式(3)および式(6)の両方を用いた場合の効果を得ることができる。
このように、複素画像合成部7による複素画像の合成方法は種々あるが、何れの合成方法も複素画像を合成するという点は同じである。本実施の形態の複素画像合成部7による複素画像の合成方法は、上述した複素画像の合成方法に限られるものではなく、複素画像合成部7は、何れの合成方法によって複素画像を合成してもよい。複素画像合成部7は、特に複素画像の合成において振幅、または振幅の2乗を合成することで、画素Bx,yは、位相誤差の影響を受けなくなり、焦点位置の誤差による画素Bx,yの劣化を防ぐことができる。
なお、本実施の形態における複素画像生成部6は、マッチドフィルタによる計算方法を実行したが、この計算方法は、伝送路行列Hを用いて以下の式(8)の行列計算の逆演算としても表現できる。
式(8)において「I」の真上にハット記号が乗っている部分は、理想的なIx,yをベクトルにして示した部分であり、rはrθをベクトルにして示した部分である。式(2)で表されるマッチドフィルタは、式(8)の逆演算を、以下の式(9)を用いて行う処理である。式(9)における「’」は共役転置を表している。
一般にこのような逆演算としては、以下の式(10)で示されるMMSE(Minimum Mean Square Error)等がある。式(10)における「ε」はノイズ電力を示している。
複素画像生成部6は、式(10)を用いることで2乗誤差を最小化することができるので、画質を改善することができる。また、複素画像生成部6は、式(9)または式(10)で表現される線形演算を用いる場合に限らず、逆演算を行う方法としてニューラルネットワークに代表される非線形演算を用いても複素画像を計算することができる。また、複素画像生成部6は、式(10)の「ε」を、0または、0に近い値とすることでゼロフォーシングと呼ばれる演算とすることができる。ゼロフォーシングでは、ノイズ電力は上昇するがサイドローブを抑えることができる。
このように、複素画像生成部6による複素画像の生成方法は種々あるが、何れの生成方法も複素数の入力信号から複素画像を生成するという点は同じである。本実施の形態の複素画像生成部6による複素画像の生成方法は、上述した複素画像の生成方法に限られるものではなく、複素画像生成部6は、何れの生成方法によって複素画像を生成してもよい。
透視画像を得るための計算は、検出対象物が存在する領域の画素数が多いほど膨大となり、短時間で透視画像を得ることは困難である。本実施の形態の物体透視装置10は、複数の複素画像生成部6を備えているので、複素画像の生成処理を分散することができる。これにより、物体透視装置10は、複素画像を生成する際の計算時間を短縮できる。
なお、本実施の形態では、複素画像生成部6および複素画像合成部7が、(x,y)の2次元複素画像を計算する例について説明したが、複素画像生成部6が(x,y,z)の3次元複素画像を生成し、複素画像合成部7が3次元複素画像を合成してもよい。
また、本実施の形態では、物体透視装置10が、回転台8を用いた逆合成開口レーダに適用される例について説明したが、物体透視装置10は、送信アンテナ2および受信アンテナ3が移動する合成開口レーダにも適用可能である。
また、本実施の形態では、物体透視装置10が、送信アンテナ2、受信アンテナ3、送信機1、および受信機4を1つずつ備える場合について説明したが、物体透視装置10は、これらの構成要素の何れかまたは全部を複数備えていてもよい。例えば、物体透視装置10は、複数の送信アンテナ2を備えていてもよいし、複数の受信アンテナ3を備えていてもよい。また、物体透視装置10は、複数の送信機1を備えていてもよいし、複数の受信機4を備えていてもよい。
物体透視装置10が、送信アンテナ2、受信アンテナ3、送信機1、および受信機4の少なくとも1種類を複数備えている場合であっても、物体透視装置10に配置される複素画像生成部6の数を増やしておけばよい。これにより、複素画像生成部6は、各受信アンテナ3が受信した受信電波W2に対応する複素画像を生成することができる。例えば、物体透視装置10は、送信アンテナ2および受信アンテナ3を複数備えていることによって、合成する複素画像が増えるので画質を改善することが可能となる。
また、本実施の形態では、信号分離部5が、I信号およびQ信号を周波数毎に分離する場合について説明したが、信号分離部5は、I信号およびQ信号を角度方向毎に分離してもよい。角度方向は、物体Tの回転角度、すなわち回転台8の回転角度である。この場合も、信号分離部5は、角度方向毎に分離したI信号およびQ信号を複素画像生成部6に出力する。信号分離部5が、例えば、I信号およびQ信号をそれぞれ、A(Aは自然数)個の角度方向に分離する場合、物体透視装置10には、A個の複素画像生成部6を配置しておく。
信号分離部5は、分離したI信号およびQ信号のそれぞれを、複素画像生成部6に出力する。すなわち、信号分離部5は、分離によって得られた、第B(Bは1~Aの自然数)のI信号および第BのQ信号を、第Bの複素画像生成部6に出力する。
この場合も複素画像生成部6は、それぞれ信号分離部5から受け付けたI信号およびQ信号を用いて複素画像を生成する。また、複素画像合成部7が、角度方向毎の複素画像を合成する。これにより、物体透視装置10は、物体Tの細かい構造が原因で出力される角度方向の散乱波の影響を抑えることができる。
信号分離部5が、I信号およびQ信号を周波数毎または角度方向毎に分離して、複数の複素画像生成部6が複素画像を生成することで、複素画像の生成処理を分散して並列に計算することができるので、複素画像の生成処理時間を短縮することができるとともに広帯域化が容易になる。広帯域化は、合成される複素画像の枚数が増えるので、分解能が向上する。また、I信号およびQ信号を周波数毎または角度方向毎に分離することで、物体透視装置10による周波数特性(誤差)の補正が容易になる。
なお、図2の例では、送信電波W1の周波数が270~290[GHz]である場合を示しているが、送信電波W1の周波数は、100[GHz]以上であればよい。送信電波W1の周波数は、例えばテラヘルツまたはサブテラヘルツである。これにより、物体透視装置10は、物体Tを透視するために電波を用いた場合であっても、回折限界による分解能の低下を抑えることができる。したがって、物体透視装置10は、透視画像の解像度を高くすることができるので、物体Tの識別が容易になる。また、送信電波W1の周波数がテラヘルツまたはサブテラヘルツであるので、物体Tが従来よりも小さい場合であっても物体Tを検出できる。
ここで、複素画像を合成して透視画像を生成することで、なぜ物体Tに対して高い分解能の透視画像を生成できるかの理由について説明する。合成前の複素画像には、ノイズおよびサイドローブによる誤差が多く含まれている。このノイズおよびサイドローブは、複数の複素画像でそれぞれ異なっている。一方、物体Tのイメージは複数の複素画像で共通である。このため、物体透視装置10が、複素画像の合成を行うことで、物体Tのイメージは強調されるが、ノイズおよびサイドローブは強調されず物体Tのイメージに対して相対的に減少する。このノイズおよびサイドローブの減少が分解能の改善になるので、物体透視装置10は、透視画像の解像度を高くすることができる。
図3は、実施の形態にかかる物体透視装置が生成する透視画像の生成処理手順を示すフローチャートである。物体透視装置10では、送信アンテナ2が、送信機1から出力された送信信号に対応する送信電波W1を、物体Tに送信する(ステップS10)。
受信アンテナ3は、物体Tで反射された受信電波W2を受信し(ステップS20)、受信機4に送る。受信機4は、送信とは逆の周波数変換によって受信電波W2を受信信号に変換する。受信機4は、変換後の受信信号を信号分離部5に出力する。ここでの受信信号は、ベースバンド信号のI信号およびQ信号である。
信号分離部5は、受信機4から出力された受信信号を周波数毎に分離し(ステップS30)、複素画像生成部6に出力する。複数からなる複素画像生成部6は、分離された受信信号から複数の複素画像を生成する(ステップS40)。具体的には、複素画像生成部6のそれぞれは、周波数毎に分離された受信信号から、周波数毎の複素画像を生成する。各複素画像生成部6は、生成した複素画像を複素画像合成部7に出力する。
複素画像合成部7は、周波数毎の複数の複素画像を合成して物体Tの透視画像を生成する(ステップS50)。複素画像合成部7は、生成した透視画像を、表示装置などの外部装置に出力する。
つづいて、物体透視装置10のハードウェア構成について説明する。物体透視装置10において、送信機1、受信機4、信号分離部5、複素画像生成部6、複素画像合成部7、および制御部9は、処理回路により実現される。処理回路は、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサおよびメモリであってもよいし、専用のハードウェアであってもよい。処理回路は制御回路とも呼ばれる。
図4は、実施の形態に係る物体透視装置が備える処理回路をプロセッサおよびメモリで実現する場合の処理回路の構成例を示す図である。図4に示す処理回路90は制御回路であり、プロセッサ91およびメモリ92を備える。処理回路90がプロセッサ91およびメモリ92で構成される場合、処理回路90の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ92に格納される。処理回路90では、メモリ92に記憶されたプログラムをプロセッサ91が読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、処理回路90は、物体透視装置10の処理が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ92を備える。このプログラムは、処理回路90により実現される各機能を物体透視装置10に実行させるためのプログラムであるともいえる。このプログラムは、プログラムが記憶された記憶媒体により提供されてもよいし、通信媒体など他の手段により提供されてもよい。
上記プログラムは、送信機1および受信機4による電波送受信ステップと、信号分離部5による信号分離ステップと、複素画像生成部6による複素画像生成ステップと、複素画像合成部7による複素画像合成ステップと、を物体透視装置10に実行させるプログラムであるとも言える。
電波送受信ステップでは、送信機1が制御部9からの指示に従って送信信号を出力し、受信機4が制御部9からの指示に従って、受信電波W2から受信信号であるI信号およびQ信号を生成する。信号分離ステップでは、信号分離部5が制御部9からの指示に従って受信信号を周波数毎に分離する。複素画像生成ステップでは、複素画像生成部6が制御部9からの指示に従って周波数毎の複素画像を生成する。複素画像合成ステップでは、複素画像合成部7が周波数毎の複素画像を合成することで物体Tの透視画像を生成する。
ここで、プロセッサ91は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはDSP(Digital Signal Processor)などである。また、メモリ92は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
図5は、実施の形態に係る物体透視装置が備える処理回路を専用のハードウェアで構成する場合の処理回路の例を示す図である。図5に示す処理回路93は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。処理回路93については、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、処理回路93は、専用のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
このように実施の形態では、受信機4が、受信アンテナ3が受信した受信電波W2を複素数で表現された受信信号に変換し、信号分離部5が、受信信号を周波数毎に分離している。そして、複素画像生成部6が、周波数毎に分離された受信信号から、複素数で表現された複数の複素画像を生成し、複素画像合成部7が、複数の複素画像を合成して物体Tの透視画像を生成している。これにより、物体透視装置10は、検出対象物である物体Tに対して高い分解能の透視画像を容易に生成することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 送信機、2 送信アンテナ、3 受信アンテナ、4 受信機、5 信号分離部、6 複素画像生成部、7 複素画像合成部、8 回転台、9 制御部、10 物体透視装置、90,93 処理回路、91 プロセッサ、92 メモリ、100 物体透視システム、T 物体。
Claims (7)
- 物体に送信する電波に対応する送信信号を出力する送信機と、
前記物体で反射されて受信された前記電波を複素数で表現された受信信号に変換する受信機と、
前記受信信号を複数の受信信号に分離する信号分離部と、
分離された前記受信信号のそれぞれから、複素数で表現された複素画像を生成する複素画像生成部と、
前記複素画像のそれぞれを合成して前記物体の透視画像を生成する複素画像合成部と、
を備えることを特徴とする物体透視装置。 - 前記信号分離部は、前記受信信号を周波数毎に分離し、
前記複素画像生成部は、前記周波数毎に分離された前記受信信号のそれぞれから、前記複素画像を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の物体透視装置。 - 前記複素画像合成部は、前記複素画像のそれぞれを実数に変換してから合成する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の物体透視装置。 - 前記複素画像合成部は、前記複素画像のそれぞれに複素数の重み付けを行ったうえで前記複素画像を合成する、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1つに記載の物体透視装置。 - 物体に送信する電波に対応する送信信号を出力する出力処理と、
前記物体で反射されて受信された前記電波を複素数で表現された受信信号に変換する変換処理と、
前記受信信号を複数の受信信号に分離する分離処理と、
分離された前記受信信号のそれぞれから、複素数で表現された複素画像を生成する複素画像生成処理と、
前記複素画像のそれぞれを合成して前記物体の透視画像を生成する複素画像合成処理と、
を前記物体を透視する物体透視装置に実施させることを特徴とする制御回路。 - 物体に送信する電波に対応する送信信号を出力する出力処理と、
前記物体で反射されて受信された前記電波を複素数で表現された受信信号に変換する変換処理と、
前記受信信号を複数の受信信号に分離する分離処理と、
分離された前記受信信号のそれぞれから、複素数で表現された複素画像を生成する複素画像生成処理と、
前記複素画像のそれぞれを合成して前記物体の透視画像を生成する複素画像合成処理と、
を前記物体を透視する物体透視装置に実施させるプログラムを記憶することを特徴とする記憶媒体。 - 送信アンテナが、物体に電波を送信する送信ステップと、
受信アンテナが、前記物体で反射された前記電波を受信する受信ステップと、
制御回路が、前記受信アンテナが受信した前記電波を複素数で表現された受信信号に変換する変換ステップと、
前記制御回路が、前記受信信号を複数の受信信号に分離する信号分離ステップと、
前記制御回路が、分離された前記受信信号のそれぞれから、複素数で表現された複素画像を生成する複素画像生成ステップと、
前記制御回路が、前記複素画像のそれぞれを合成して前記物体の透視画像を生成する複素画像合成ステップと、
を含むことを特徴とする物体透視方法。
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