以下、実施形態の直流電流遮断装置を、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る直流電流遮断装置の構成の一例を示す図である。図1には、複数の直流送電線LN(直流送電線LN-1~LN-n)の節点部分に構成する直流電流遮断装置1の一例を示している。直流電流遮断装置1では、それぞれの直流送電線LNが所定の箇所で補助線路Aと補助線路Bとに分岐し、補助線路A同士、あるいは補助線路B同士が接続されることによって、それぞれの直流送電線LNの間で直流電流(以下、単に「電流」という)を送電する。図1においては、直流電流遮断装置1が備えるそれぞれの構成要素が直流送電線LN-1~LN-nのいずれの直流送電線LNに対応する構成要素であるかを表すために、それぞれの符号の後に「-(ハイフン)」とハイフンに続く数字を付している。さらに、図1においては、直流電流遮断装置1が備えるそれぞれの構成要素が補助線路Aあるいは補助線路Bのいずれの補助線路に対応する構成要素であるかを表すために、それぞれの符号の後に「-(ハイフン)」とハイフンに続く「A」または「B」の符号を付している。以下の説明においては、いずれの直流送電線LN、あるいはいずれの補助線路に対応する構成要素であるかを区別しない場合には、それぞれの構成要素の符号に付したハイフンとハイフンに続く符号や数字を省略する。
直流電流遮断装置1は、例えば、複数の補助断路器10(補助断路器10-1~10-n)と、複数の直流リアクトル20(直流リアクトル20-1~20-n)と、複数の遮断器30(遮断器30-A-1~30-A-n、および遮断器30-B-1~30-B-n)と、複数の断路器40(断路器40-A-1~40-A-n、および断路器40-B-1~40-B-n)と、複数の転流回路50(転流回路50-A-1~50-A-n、および転流回路50-B-1~50-B-n)と、複数のインダクタ60(インダクタ60-A-1~60-A-n、およびインダクタ60-B-1~60-B-n)と、二つの直流バス70(直流バス70-Aおよび70-B)と、半導体遮断器80と、アレスタ90と、制御装置100と、を備える。
直流電流遮断装置1では、それぞれの直流送電線LNに補助断路器10と直流リアクトル20とが直列に接続され、送電側とは逆側で二つの補助線路(補助線路Aと補助線路B)に分岐されている。そして、直流電流遮断装置1では、それぞれの補助線路に遮断器30と断路器40とが直列に接続されている。例えば、直流送電線LN-1では、送電側に補助断路器10-1の第2極f-1が接続され、補助断路器10-1の第1極e-1と直流リアクトル20の第2端と接続され、直流リアクトル20の第1端側で補助線路A-1と補助線路B-1とに分岐されている。補助線路A-1には、直流リアクトル20の第1端側に遮断器30-A-1の第2極d-A-1が接続され、遮断器30-A-1の第1極c-A-1と断路器40-A-1の第2極b-A-1とが接続されている。一方、補助線路B-1には、直流リアクトル20の第1端側に遮断器30-B-1の第2極d-B-1が接続され、遮断器30-B-1の第1極c-B-1と断路器40-B-1の第2極b-B-1とが接続されている。直流送電線LN-2~直流送電線LN-nも同様である。補助線路Aは、特許請求の範囲における「第1の補助線路」の一例であり、補助線路Bは、特許請求の範囲における「第2の補助線路」の一例である。断路器40は、特許請求の範囲における「第1の機械式接点」の一例であり、遮断器30は、特許請求の範囲における「第2の機械式接点」の一例である。
直流電流遮断装置1では、それぞれの直流送電線LNの補助線路に接続された断路器40同士が、対応する直流バス70に接続されている。より具体的には、それぞれの直流送電線LNの補助線路A-1~A-nに接続された断路器40-A-1~40-A-nの第1極a-A-1~a-A-nが直流バス70-Aに接続されている。一方、それぞれの直流送電線LNの補助線路B-1~B-nに接続された断路器40-B-1~40-B-nの第1極a-B-1~a-B-nが直流バス70-Bに接続されている。直流電流遮断装置1における通常の送電においては、それぞれの直流送電線LNに属する補助断路器10と直流リアクトル20を通り、さらにそれぞれの直流送電線LNで分岐した補助線路において、遮断器30、断路器40、および直流バス70のそれぞれを通って電流が流れる。直流バス70-Aは、特許請求の範囲における「第1の直流バス」の一例であり、直流バス70-Bは、特許請求の範囲における「第2の直流バス」の一例である。
さらに、直流電流遮断装置1では、それぞれの補助線路において、遮断器30の第1極cと第2極dと両極間に、転流回路50とインダクタ60とが直列に接続されている。つまり、直流電流遮断装置1では、転流回路50とインダクタ60との直列回路が、遮断器30に並列に設けられている。例えば、補助線路A-1では、遮断器30-A-1の第1極c-A-1と断路器40-A-1の第2極b-A-1との間の箇所の補助線路A-1に、転流回路50-A-1の第1端g-A-1が接続され、転流回路50-A-1の第2端h-A-1にインダクタ60-A-1の第1端が接続され、インダクタ60-A-1の第2端が遮断器30-A-1の第2極d-A-1側の補助線路A-1に接続されている。補助線路A-2~A-nや、補助線路B-1~B-nも同様である。転流回路50は、特許請求の範囲における「転流回路」の一例である。遮断器30と転流回路50(インダクタ60を含んでもよい)との構成は、特許請求の範囲における「開閉転流部」の一例である。
直流電流遮断装置1では、それぞれの直流送電線LNにおいて分岐した補助線路同士が接続されたそれぞれの直流バス70が、半導体遮断器80およびアレスタ90を介して互いに接続されている。より具体的には、直流バス70-Aは、半導体遮断器80の第1端iおよびアレスタ90の第1端に接続され、直流バス70-Bは、半導体遮断器80の第2端jおよびアレスタ90の第2端に接続されている。これにより、直流電流遮断装置1では、それぞれの直流送電線LNにおいて分岐した二つの補助線路が、対応する直流バス70と、半導体遮断器80またはアレスタ90とを介して互いに接続されている。半導体遮断器80は、特許請求の範囲における「半導体遮断器」の一例であり、アレスタ90は、特許請求の範囲における「エネルギー消費要素」の一例である。半導体遮断器80とアレスタ90との構成は、特許請求の範囲における「遮断消費部」の一例である。
補助断路器10、遮断器30、および断路器40は、機械接点式のスイッチである。補助断路器10と、遮断器30と、断路器40とのそれぞれは、制御装置100によって開極または閉極のいずれかの状態に制御される。
直流リアクトル20は、直流送電線LNに事故が発生した場合に、対応する直流送電線LNにおける電流の変化を抑制する。
半導体遮断器80は、第1端i側から第2端j側に流れる電流を遮断する。半導体遮断器80は、例えば、互いに直列に接続された複数(図1には三つのみを示している)の半導体スイッチ部を備える。半導体スイッチ部のそれぞれは、互いに並列に接続された半導体スイッチング素子とダイオードとを備える。より具体的には、半導体スイッチ部では、ダイオードのカソードと半導体スイッチング素子のコレクタとが互いに接続され、ダイオードのアノードと半導体スイッチング素子のエミッタとが接続されている。半導体スイッチング素子のゲートは、制御装置100によって制御(制御電圧が印加)される。つまり、半導体遮断器80は、制御装置100によってオンまたはオフのいずれかの状態に制御される。半導体スイッチング素子は、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)などのスイッチング素子である。半導体スイッチング素子は、IGBTに限定されず、自己消弧を実現可能な半導体スイッチング素子であれば、いかなるスイッチング素子であってもよい。半導体遮断器80は、オン状態(導通状態)のときに直流バス70-Aと直流バス70-Bとの間に流れる電流を許容し、オフ状態(非導通状態)のときに流れる電流を遮断する。半導体遮断器80のオン状態は、特許請求の範囲における「導通状態」の一例である。
アレスタ90は、半導体遮断器80に並列に接続され、半導体遮断器80がオフ状態に制御された場合に、直流送電線LNや、補助線路A、補助線路Bのインダクタンス分のエネルギーに起因して発生するサージエネルギーを消費(吸収)する。
直流電流遮断装置1では、半導体遮断器80の第1端iとアレスタ90の第1端とが直流バス70-Aに接続され、半導体遮断器80の第2端jとアレスタ90の第2端とが直流バス70-Bに接続されている。直流電流遮断装置1では、半導体遮断器80とアレスタ90との構成で、制御装置100による半導体遮断器80が備える半導体スイッチ部のオンまたはオフのいずれかの状態への制御に応じて、直流バス70-A側から直流バス70-B側に流れる電流を許容、あるいは阻止(遮断)する。
直流電流遮断装置1が備える半導体遮断器80とアレスタ90との構成は、図1に示した構成に限定されない。図2Aおよび図2Bは、第1の実施形態の直流電流遮断装置1が備える半導体遮断器80およびアレスタ90の変形例の構成の一例を示す図である。図2Aには、複数(図2Aには二つのみを示している)の半導体スイッチ部81が互いに直列に接続されている構成(図1に示した半導体遮断器80と同様の構成)の半導体遮断器80aと、半導体遮断器80aが備える半導体スイッチ部81のそれぞれに対応する複数(図2Aには二つのみを示している)のアレスタ91を備えるアレスタ90aの一例を示している。図2Aに示した半導体遮断器80aとアレスタ90aとの構成では、図1に示した半導体遮断器80とアレスタ90との構成と同様に、半導体遮断器80aの第1端i側から第2端j側に流れる電流を遮断およびサージエネルギーの消費(吸収)をすることができる。図2Bには、複数(図2Bには四つのみを示している)の半導体スイッチ部81が互いに逆向きで直列に接続されている構成の半導体遮断器80bと、半導体遮断器80bが備える半導体スイッチ部81のそれぞれに対応する複数(図2Bには四つのみを示している)のアレスタ91を備えるアレスタ90bの一例を示している。図2Bに示した半導体遮断器80bとアレスタ90bとの構成では、図1に示した半導体遮断器80とアレスタ90との構成と同様の第1端i側から第2端j側に流れる電流の遮断およびサージエネルギーの消費(吸収)に加えて、第2端j側から第1端i側に流れる電流の遮断およびサージエネルギーの消費(吸収)も行うことができる。つまり、図2Bに示した半導体遮断器80bとアレスタ90bとの構成では、事故が発生した直流送電線LN(事故回線)において双方向に流れる電流(事故電流)の遮断およびサージエネルギーの消費(吸収)をすることができる。図2Aに示した半導体遮断器80aや、図2Bに示した半導体遮断器80bが備える半導体スイッチ部81は、図1に示した半導体遮断器80が備える半導体スイッチ部と同様の構成である。
ここで、図1に示した半導体遮断器80が備える半導体スイッチ部も含め、図2Aに示した半導体遮断器80aや、図2Bに示した半導体遮断器80bが備える半導体スイッチ部81は、別の構成に代えることもできる。図2Cおよび図2Dは、第1の実施形態の直流電流遮断装置1が備える半導体遮断器80における半導体スイッチ部81の変形例の構成の一例を示す図である。図2Cに示した半導体スイッチ部81aは、一つの半導体スイッチ部と一つのダイオードとが直列に接続された直列回路である二つのレグ部と、一つのコンデンサとを備え、これらの構成要素が互いに接続されたブリッジ回路である。半導体遮断器80や、半導体スイッチ部81a、半導体スイッチ部81bにおいて、半導体スイッチ部81を、図2Cに示した半導体スイッチ部81aに代えた場合には、第1端iと第2端jとの間に流れる双方向の事故電流を遮断することができる。図2Dに示した半導体スイッチ部81bは、一つのコンデンサで構成したものである。半導体遮断器80や、半導体スイッチ部81a、半導体スイッチ部81bにおいて、半導体スイッチ部81を、図2Dに示した半導体スイッチ部81bに代えた場合でも、第1端iと第2端jとの間に流れる電流を遮断することができる。ただし、図2Dに示した半導体スイッチ部81bでは、制御装置100が能動的にオン、オフを制御することはできず、コンデンサに蓄積された事故電流のエネルギーが飽和した後にアレスタ90がこのエネルギーを消費(吸収)することになるため、第1端iと第2端jとの間に流れる電流を遮断する際の速度は低下する。しかし、図2Dに示した半導体スイッチ部81bは、半導体スイッチング素子を備えるそれぞれの半導体スイッチ部81に比べて容易な構成であるため、半導体遮断器80や、半導体遮断器80a、半導体遮断器80bを構成する際のコストやサイズを低減することができる。
転流回路50は、第1端gと第2端hとの間に流れる電流の向きを選択的に切り替える(転流する)。転流回路50は、例えば、二つの半導体スイッチ部が互いに同じ向きで直列に接続された直列回路である二つのレグ部と、一つのコンデンサとを備え、これらの構成要素が互いに接続されたブリッジ回路である。転流回路50が備えるレグ部におけるそれぞれの半導体スイッチ部は、半導体遮断器80が備える半導体スイッチ部と同様に、例えば、互いに並列に接続された半導体スイッチング素子とダイオードとを備える。より具体的には、転流回路50が備える半導体スイッチ部では、ダイオードのカソードと半導体スイッチング素子のコレクタとが互いに接続され、ダイオードのアノードと半導体スイッチング素子のエミッタとが接続されている。半導体スイッチング素子のゲートは、制御装置100によって制御(制御電圧が印加)される。つまり、転流回路50が備える半導体スイッチ部は、半導体遮断器80が備える半導体スイッチ部と同様に、制御装置100によってオンまたはオフのいずれかの状態に制御される。転流回路50が備える半導体スイッチ部の半導体スイッチング素子は、半導体遮断器80が備える半導体スイッチ部の半導体スイッチング素子と同様に、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などのスイッチング素子である。ただし、転流回路50が備える半導体スイッチ部の半導体スイッチング素子は、半導体遮断器80が備える半導体スイッチ部の半導体スイッチング素子よりも耐圧が低いものであってもよい。転流回路50が備える半導体スイッチ部の半導体スイッチング素子は、IGBTに限定されず、自己消弧を実現可能な半導体スイッチング素子であれば、いかなるスイッチング素子であってもよい。転流回路50は、制御装置100による半導体スイッチ部のオンまたはオフのいずれかの状態への制御に応じて、第1端gと第2端hとの間に流れる電流の電流値を変化させることにより、第1端gと第2端hとの間に流れる電流を略ゼロの状態にさせる。これにより、転流回路50は、対応する遮断器30の両極間を電気的に遮断させる。直流電流遮断装置1では、インダクタ60の第2端が、対応する補助線路に属する遮断器30の第2極dと、この補助線路に分岐する前の直流送電線LNに属する直流リアクトル20の第1端との間に接続されている。インダクタ60は、直流送電線LNに事故が発生した場合に、対応する転流回路50が備えるコンデンサが破損してしまうのを防止する。コンデンサは、特許請求の範囲における「蓄電要素」の一例である。
制御装置100は、補助断路器10、遮断器30、断路器40、転流回路50、および半導体遮断器80を制御することにより、直流電流遮断装置1における直流送電線LNの遮断および導通を制御する。制御装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより以下の機能を実現するものである。制御装置100の機能のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。制御装置100の機能のうち一部または全部は、専用のLSIによって実現されてもよい。プログラムは、予め制御装置100が備えるHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体が制御装置100が備えるドライブ装置に装着されることで制御装置100が備える記憶装置にインストールされてもよい。
このような構成によって、直流電流遮断装置1では、高耐圧を実現するためにコストが高くなってしまう半導体遮断器80を全ての直流送電線LNで共通化した上で、いずれかの直流送電線LNに事故が発生した場合には、その直流送電線LNを遮断する。
[直流電流遮断装置1において直流送電線LNを遮断する第1の動作]
ここで、図3~図11を参照して、例えば、直流送電線LN-1~LN-nが直流バス70-Aおよび直流バス70-Bを介して互いに接続され、直流送電線LN-nから直流送電線LN-1および直流送電線LN-2に電流が流れているときに、直流送電線LN-1において事故が発生した場合を一例として、制御装置100が、直流送電線LN-1を遮断させる第1の動作について説明する。図3~図11には、制御装置100によってそれぞれの構成要素が制御された状態における、直流電流遮断装置1内の電流の流れを示している。
直流送電線LN-1~LN-nが直流バス70-Aおよび直流バス70-Bを介して互いに接続されて送電している定常の送電状態(初期状態)において、全ての補助断路器10、遮断器30、断路器40は閉極され、全ての転流回路50が備える半導体スイッチ部、および半導体遮断器80が備える半導体スイッチ部は全てオフ状態である。この場合、直流電流遮断装置1では、図3に示すように、直流送電線LN-nから、直流バス70-Aと直流バス70-Bとのそれぞれを介して直流送電線LN-1および直流送電線LN-2に電流が流れている状態である。ここで、直流送電線LN-1に事故が発生した場合、制御装置100は、以下のような手順でそれぞれの構成要素の開極、閉極、オン、オフを制御することにより、事故が発生した直流送電線LN-1を遮断する。以下の説明においては、事故が発生した直流送電線LNを「事故回線」ともいい、事故が発生した直流送電線LN以外の直流送電線LN、つまり、事故が発生していない直流送電線LNを「健全回線」ともいう。
(手順1-1):まず、制御装置100は、事故が発生した直流送電線LN-1(事故回線)の補助線路Aに属する遮断器30-A-1および断路器40-A-1を開極した状態にさせる。さらに、制御装置100は、事故が発生していない直流送電線LN-2(健全回線)の補助線路Bに属する遮断器30-B-2および断路器40-B-2と、直流送電線LN-n(健全回線)の補助線路Bに属する遮断器30-B-nおよび断路器40-B-nと、を開極した状態にさせる。つまり、制御装置100は、補助線路Aにおいて事故回線に属する機械接点式のスイッチを開極させ、補助線路Bにおいて健全回線に属する機械接点式のスイッチを開極させる。この場合でも、直流電流遮断装置1では、図4に示すように、直流送電線LN-nから、直流バス70-Aと直流バス70-Bとのそれぞれを介して直流送電線LN-1および直流送電線LN-2に電流(事故電流)が流れている状態である。これは、それぞれの機械接点式のスイッチを開極させただけでは、それぞれの機械接点式のスイッチにおけるそれぞれの接点間に生じたアークによって、直流送電線LNを電気的に遮断させた状態(遮断状態)にはならないからである。
(手順1-2):次に、制御装置100は、開極した状態にさせた遮断器30に対応する転流回路50を動作させる。つまり、制御装置100は、開極した状態にさせた遮断器30に対応する転流回路50が備える半導体スイッチ部をオン状態にさせる。これにより、半導体スイッチ部がオン状態にされた転流回路50が備えるコンデンサは電荷を放電し、第1端gと第2端hとの間に流れる電流の向きを切り替える(転流する)。図5には、開極した状態にさせた遮断器30-A-1、遮断器30-B-2、および遮断器30-B-nに対応するそれぞれの転流回路50を動作させた状態を示している。これにより、事故電流は転流回路50に転流し、開極した状態にされた遮断器30に流れる事故電流は、略ゼロの状態になる。ここで、手順1-1において機械接点式のスイッチを開極させた後、事故電流の流れる方向(潮流状態)によっては、遮断器30の両極間の事故電流が略ゼロの状態となることもあり得る。この場合、制御装置100は、手順1-2において、その遮断器30に対応する転流回路50を動作させなくてもよい。図6には、動作された転流回路50を介して事故電流が流れることにより、対応する遮断器30(遮断器30-A-1、遮断器30-B-2、および遮断器30-B-n)の接点間に生じたアークが消弧された状態を示している。
(手順1-3):次に、制御装置100は、半導体遮断器80が備える半導体スイッチ部をオン状態にさせ、動作させていた転流回路50の動作を停止させる。つまり、制御装置100は、開極した状態にさせた遮断器30に対応する転流回路50が備える半導体スイッチ部をオフ状態にさせる。これにより、直流電流遮断装置1では、図7に示すように、直流送電線LN-1における事故電流は半導体遮断器80に転流し、断路器40-A-1、断路器40-B-2、および断路器40-B-nに流れる事故電流は、略ゼロの状態になる。図7には、断路器40-A-1、断路器40-B-2、および断路器40-B-nの接点間に生じたアークが消弧された状態を示している。なお、断路器40-A-1、断路器40-B-2、および断路器40-B-nを開極させるタイミングは、手順1-3のタイミングであってもよい。
(手順1-4):次に、制御装置100は、半導体遮断器80が備える半導体スイッチ部をオフ状態にさせる。これにより、直流電流遮断装置1では、直流送電線LN-1の事故電流が遮断され、略ゼロの状態になる。その後も、直流電流遮断装置1では、線路中のインダクタンス成分に蓄積されたサージエネルギーによって、事故電流がしばらくの間流れ続けるが、このサージエネルギーは、アレスタ90によって消費される。図8には、直流送電線LN-1の事故電流がアレスタ90を通って流れている状態を示している。そして、図9には、直流送電線LN-1の事故電流がアレスタ90によって消費されて流れなくなっている状態を示している。
(手順1-5):次に、制御装置100は、直流送電線LN-1に流れる事故電流がゼロになった後(例えば、直流送電線LN-1に流れる事故電流がゼロになったと見なすことができる時間が経過した後)、事故が発生した直流送電線LN-1に属する補助断路器10-1と、遮断器30-B-1および断路器40-B-1を開極した状態にさせる。つまり、制御装置100は、事故が発生した直流送電線LN-1の補助線路Bにおいても、事故回線に属する機械接点式のスイッチを開極させる。図10には、直流送電線LN-1に事故電流が流れなくなった状態で、補助断路器10-1、遮断器30-B-1、および断路器40-B-1を開極した状態を示している。
(手順1-6):次に、制御装置100は、事故が発生していない直流送電線LN-2の補助線路Bに属する遮断器30-B-1および断路器40-B-1と、直流送電線LN-nの補助線路Bに属する遮断器30-B-nおよび断路器40-B-nと、を閉極した状態にさせる。つまり、制御装置100は、補助線路Bにおいて開極させていた健全回線の機械接点式のスイッチを閉極した状態に戻す。これにより、制御装置100は、事故が発生した直流送電線LN-1を電気的に遮断する動作を完了する。これにより、直流電流遮断装置1では、健全回線による直流電流の送電が維持される。図11には、健全回線である直流送電線LN-nから、直流バス70-Aと直流バス70-Bとのそれぞれを介して、健全回線である直流送電線LN-2に電流が流れている状態を示している。
このような手順によって、直流電流遮断装置1では、制御装置100が、事故回線の補助線路Aに属する遮断器30-A、断路器40-A、および転流回路50-Aと、健全回線の補助線路Bに属する遮断器30-B、断路器40-B、および転流回路50-Bと、を制御して事故電流によるアークを消弧させる。そして、直流電流遮断装置1では、制御装置100が、事故電流がゼロになった後に、事故回線の補助線路Bに属する遮断器30-B、断路器40-Bを制御する。これにより、直流電流遮断装置1では、事故回線を遮断し、健全回線における送電を維持することができる。
上述した第1の動作では、制御装置100が、事故回線の補助線路Aに属するそれぞれの構成要素と、健全回線の補助線路Bに属するそれぞれの構成要素とを制御して、事故電流が半導体遮断器80の第1端i側から第2端j側に流れるようにし、この事故電流を遮断することにより直流送電線LN-1(事故回線)を遮断する場合について説明した。これは、半導体遮断器80の構成が、第1端i側から第2端j側に流れる電流を遮断する構成であるためである。言い換えれば、第1の動作において制御装置100は、事故回線を流れる事故電流の上流側を半導体遮断器80の第1端i側とし、事故電流の下流側を半導体遮断器80の第2端j側とするように、補助線路Aと補助線路Bとに属するそれぞれの構成要素とを制御した。しかし、上述したように、半導体遮断器80は、例えば、図2Bに示した半導体遮断器80bや、半導体スイッチ部を図2Cに示した半導体スイッチ部81aに代えることにより、双方向の事故電流の遮断する構成にすることができる。この場合、直流電流遮断装置1では、事故回線を遮断する際に制御するそれぞれの構成要素を、補助線路Aと補助線路Bとで逆にしてもよい。つまり、制御装置100は、事故回線の補助線路Bに属するそれぞれの構成要素と、健全回線の補助線路Aに属するそれぞれの構成要素とを制御して、事故回線を遮断させてもよい。ただし、この場合でも、事故電流の上流側と下流側との考え方は、上述した第1の動作と同様である。つまり、事故電流の上流側で事故回線に属するそれぞれの構成要素を制御し、事故電流の下流側で健全回線に属するそれぞれの構成要素を制御することに変わりはない。この場合の制御装置100における手順は、上述した第1の動作と等価なものになるようにすればよい。従って、制御装置100における手順に関する再度の詳細な説明は省略する。
[直流電流遮断装置1において直流バス70を遮断する第2の動作]
上述した第1の動作では、直流送電線LN-1に事故が発生した場合において、この事故回線を遮断させる動作について説明した。しかし、事故は、例えば、直流電流遮断装置1の内部で発生する可能性もあり得る。例えば、図1に示した直流電流遮断装置1の構成において、直流バス70-Bに事故が発生することも考えられる。この場合、直流バス70-Bにおいて発生した事故により、直流送電線LN-1~直流送電線LN―nに事故電流が流れてしまう。
ここで、図3および図12~図17を参照して、例えば、直流送電線LN-1~LN-nが直流バス70-Aおよび直流バス70-Bを介して互いに接続され、直流送電線LN-nから直流送電線LN-1および直流送電線LN-2に電流が流れているときに、直流バス70-Bにおいて事故が発生した場合を一例として、制御装置100が、直流バス70-Bを遮断させる第2の動作について説明する。図12~図17には、制御装置100によってそれぞれの構成要素が制御された状態における、直流電流遮断装置1内の電流の流れを示している。
直流送電線LN-1~LN-nが直流バス70-Aおよび直流バス70-Bを介して互いに接続されて送電している定常の送電状態(初期状態)は、第1の動作と同様に、全ての補助断路器10、遮断器30、断路器40は閉極され、全ての転流回路50が備える半導体スイッチ部、および半導体遮断器80が備える半導体スイッチ部は全てオフ状態で直流電流の送電が行われている(図3参照)。ここで、直流バス70-Bに事故(例えば、地絡事故)が発生した場合、制御装置100は、以下のような手順でそれぞれの構成要素の開極、閉極、オン、オフを制御することにより、事故が発生した直流バス70-Bを遮断する。以下の説明においては、事故が発生した直流バス70-Bに接続されている直流送電線LNの補助線路Bを「事故回線」ともいい、事故が発生した直流バス70-B以外の直流バス70-A、つまり、事故が発生していない直流バス70-Aに接続されている直流送電線LNの補助線路Aを「健全回線」ともいう。
(手順2-1):まず、制御装置100は、事故が発生した直流バス70-Bに接続されている全ての直流送電線LNの補助線路B(事故回線)に属する遮断器30-Bおよび断路器40-Bを開極した状態にさせる。つまり、制御装置100は、補助線路Bに属する全ての機械接点式のスイッチを開極させる。この場合でも、直流電流遮断装置1では、図12に示すように、直流バス70-Bを介して補助線路Bに電流(事故電流)が流れている状態である。これは、上述した第1の動作において直流送電線LN-1に事故が発生した場合と同様に、それぞれの機械接点式のスイッチを開極させただけでは、それぞれの機械接点式のスイッチにおけるそれぞれの接点間に生じたアークによって、直流送電線LNを電気的に遮断させた状態(遮断状態)にはならないからである。
(手順2-2):次に、制御装置100は、開極した状態にさせた補助線路Bに属するそれぞれの遮断器30に対応する転流回路50を動作させる。これにより、半導体スイッチ部がオン状態にされた転流回路50が備えるコンデンサは電荷を放電し、第1端gと第2端hとの間に流れる電流の向きを切り替える(転流する)。図13には、開極した状態にさせた遮断器30-B-1、遮断器30-B-2、および遮断器30-B-nに対応するそれぞれの転流回路50を動作させた状態を示している。これにより、事故電流は転流回路50に転流し、補助線路Bに属するそれぞれの遮断器30に流れる事故電流は、略ゼロの状態になる。ここで、手順2-2でも、第1の動作と同様に、手順2-1において機械接点式のスイッチを開極させた後、事故電流の潮流状態によって遮断器30の両極間の事故電流が略ゼロの状態となる場合には、その遮断器30に対応する転流回路50を動作させなくてもよい。図14には、動作された転流回路50を介して事故電流が流れることにより、補助線路Bに属するそれぞれの遮断器30(遮断器30-B-1、遮断器30-B-2、および遮断器30-B-n)の接点間に生じたアークが消弧された状態を示している。
(手順2-3):次に、制御装置100は、半導体遮断器80が備える半導体スイッチ部をオン状態にさせ、動作させていた補助線路Bに属するそれぞれの遮断器30に対応する転流回路50の動作を停止させる。つまり、制御装置100は、補助線路Bに属する全ての遮断器30に対応する転流回路50が備える半導体スイッチ部をオフ状態にさせる。これにより、直流電流遮断装置1では、図15に示すように、直流バス70-Bに接続されている全ての直流送電線LNの事故電流は半導体遮断器80に転流し、断路器40-B-1、断路器40-B-2、および断路器40-B-nに流れる事故電流は、略ゼロの状態になる。図15には、断路器40-B-1、断路器40-B-2、および断路器40-B-nの接点間に生じたアークが消弧された状態を示している。なお、第2の動作でも、第1の動作と同様に、断路器40-B-1、断路器40-B-2、および断路器40-B-nを開極させるタイミングは、手順2-3のタイミングであってもよい。
(手順2-4):次に、制御装置100は、半導体遮断器80が備える半導体スイッチ部をオフ状態にさせる。これにより、直流電流遮断装置1では、直流バス70-Bの事故電流が遮断され、略ゼロの状態になる。その後も、直流電流遮断装置1では、線路中のインダクタンス成分に蓄積されたサージエネルギーによって、事故電流がしばらくの間流れ続けるが、このサージエネルギーは、アレスタ90によって消費される。図16には、直流バス70-Bの事故電流がアレスタ90を通って流れている状態を示している。そして、図17には、直流バス70-Bの事故電流がアレスタ90によって消費されて流れなくなっている状態を示している。
このような手順によって、直流電流遮断装置1では、制御装置100が、直流バス70-Bに接続された全ての補助線路Bに属する遮断器30-B、断路器40-B、および転流回路50-Bを制御して、事故回線となった直流バス70-Bを遮断し、健全回線である直流バス70-Aによって送電を維持する。
(手順2-5):その後、制御装置100は、直流バス70-Bが事故回線ではなくなった後(例えば、直流バス70-Bにおいて発生した事故に対する改修が完了した後)、直流バス70-Bに接続された全ての補助線路Bに属する遮断器30-Bおよび断路器40-Bを閉極した状態にさせる。つまり、制御装置100は、事故が発生した直流バス70-Bに接続されている補助線路Bにおいて開極させていた機械接点式のスイッチを閉極した状態に戻す。これにより、直流電流遮断装置1では、直流バス70-Aと直流バス70-Bとのそれぞれの直流バス70を介した送電状態(初期状態)で直流電流の送電が行われる(図3参照)。
このような手順によって、直流電流遮断装置1では、制御装置100が、事故回線となった直流バス70-Bに接続された補助線路Bに属する遮断器30-B、断路器40-B、および転流回路50-Bを制御して事故電流によるアークを消弧させる。これにより、直流電流遮断装置1では、直流バス70-Bを遮断し、直流バス70-Aを介した送電を維持することができる。しかも、この場合では、定常の送電状態(初期状態)におけるそれぞれの直流送電線LNの潮流状態は、いずれの方向であってもよい。その後、直流電流遮断装置1では、制御装置100が、直流バス70-Bが事故回線ではなくなった後に、それぞれの構成要素の状態を元に戻す。
上述した第2の動作では、直流バス70-Bが事故回線となった場合について説明した。つまり、事故電流が半導体遮断器80の第1端i側から第2端j側に流れる場合について説明した。これは、半導体遮断器80の構成が、第1端i側から第2端j側に流れる電流を遮断する構成であるためである。しかし、仮に直流バス70-Aが事故回線となった場合でも、半導体遮断器80の第1端i側から第2端j側に事故電流が流れる場合には、同様に直流バス70-Aを遮断し、直流バス70-Bを介した送電を維持することができる。さらに、上述したように、半導体遮断器80は、例えば、図2Bに示した半導体遮断器80bや、半導体スイッチ部を図2Cに示した半導体スイッチ部81aに代えることにより、双方向の事故電流の遮断する構成にすることができる。この場合、直流電流遮断装置1では、事故により流れる事故電流の方向にかかわらず、事故が発生した直流バス70を遮断し、事故が発生していない直流バス70を介した送電を維持することができる。この場合の制御装置100における手順は、上述した第2の動作と等価なものになるようにすればよい。従って、制御装置100における手順に関する再度の詳細な説明は省略する。
このような構成および手順によって、直流電流遮断装置1では、高耐圧を実現するためにコストが高くなってしまう半導体遮断器80を全ての直流送電線LNで共通化した上で、いずれかの直流送電線LNや直流バス70に事故が発生した場合において、事故が発生した直流送電線LNや直流バス70を遮断し、事故が発生していない直流送電線LNや直流バス70による直流電流の送電を維持する。
しかも、直流電流遮断装置1では、半導体遮断器80を双方向の事故電流の遮断する構成にすることにより、事故回線の潮流状態にかかわらずに事故回線を流れる事故電流を遮断し、健全回線における直流送電時の定常的な電力損失を生じない状態で送電を維持することができる。
[直流電流遮断装置1の変形例]
直流電流遮断装置1では、直流バス70に直流送電線LN以外の送電線が接続されることもある。さらに、この送電線には、直流電流遮断装置1の直近に配置される他の装置や機器が接続されることもある。ここで、このような場合の一例について説明する。図18は、第1の実施形態の直流電流遮断装置1の第1の変形例の構成の一例を示す図である。図19は、第1の実施形態の直流電流遮断装置1の第2の変形例の構成の一例を示す図である。図18および図19においては、直流電流遮断装置1と共通する機能を有する構成要素については同一の符号を付している。
図18に示した直流電流遮断装置1aでは、直流電流遮断装置1の直流バス70-Aに、一つの送電線PLが接続されている。直流電流遮断装置1aが備えるその他の構成要素やその接続は、直流電流遮断装置1と同様である。送電線PLは、直流電流遮断装置1aの直近に配置される他の装置や機器と直流バス70とを接続する。送電線PLは、直流バス70-Aの代わりに直流バス70-Bに接続されてもよいし、異なる送電線PLが直流バス70-Aおよび直流バス70-Bの両方に接続されてもよい。直流バス70-Aおよび直流バス70-Bの一方、あるいは両方に接続される送電線PLは、一つに限定されず、複数であってもよい。
図19に示した直流電流遮断装置1bでは、直流バス70-Bに接続された一つの送電線PLにおいて、直流バス70-Bが接続された側とは逆側に、電力変換器200が接続されている。直流電流遮断装置1bが備えるその他の構成要素やその接続は、直流電流遮断装置1と同様である。電力変換器200は、直流バス70-Bを介してそれぞれの直流送電線LNの間で送電する直流電流を変換する。電力変換器200は、直流バス70-Aに接続された送電線PLに接続されてもよいし、異なる送電線PLが直流バス70-Aおよび直流バス70-Bの両方に接続されている場合には、異なる電力変換器200がそれぞれの送電線PLに接続されてもよい。それぞれの送電線PLに接続される電力変換器200は、一つに限定されず、複数であってもよい。
直流電流遮断装置1aや直流電流遮断装置1bにおいて、いずれかの直流送電線LNに事故が発生した場合の制御装置100における制御の手順は、上述した第1の動作と同様である。直流電流遮断装置1aや直流電流遮断装置1bにおいて、例えば、送電線PLや電力変換器200に事故が発生した場合の制御装置100における制御の手順は、上述した第2の動作と同様である。例えば、直流電流遮断装置1bにおいて電力変換器200に事故が発生した場合の制御装置100における制御の手順は、図3および図12~図17を参照して説明した、直流バス70-Bにおいて事故が発生した場合の一例と同様である。従って、制御装置100における手順に関する再度の詳細な説明は省略する。
上記説明したように、第1の実施形態の直流電流遮断装置1によれば、多端子の直流送電システムに適用され、半導体遮断器80(半導体遮断器80aや半導体遮断器80bを含む)を共通化した上で、事故が発生した直流送電線LNや直流バス70を遮断し、事故が発生していない直流送電線LNや直流バス70による直流電流の送電を維持することができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について説明する。図20は、第2の実施形態に係る直流電流遮断装置の構成の一例を示す図である。図20においては、第1の実施形態の直流電流遮断装置1と共通する機能を有する構成要素については同一の符号を付している。図20には、複数の直流送電線LN(直流送電線LN-1~LN-n)の節点部分に構成する直流電流遮断装置2の一例を示している。
直流電流遮断装置2は、例えば、複数の補助断路器10(補助断路器10-1~10-n)と、複数の直流リアクトル20(直流リアクトル20-1~20-n)と、複数の遮断器30(遮断器30-A-1~30-A-n、および遮断器30-B-1~30-B-n)と、複数の断路器40(断路器40-A-1~40-A-n、および断路器40-B-1~40-B-n)と、複数の転流回路51(転流回路51-A-1~51-A-n)と、複数の転流回路50(転流回路50-B-1~50-B-n)と、複数のインダクタ60(インダクタ60-A-1~60-A-n、およびインダクタ60-B-1~60-B-n)と、二つの直流バス70(直流バス70-Aおよび70-B)と、半導体遮断器80と、アレスタ90と、制御装置100と、を備える。直流電流遮断装置2は、第1の実施形態の直流電流遮断装置1が備える補助線路A側のそれぞれの転流回路50が、転流回路51に代わった構成である。
転流回路51は、転流回路50と同様に、第1端gと第2端hとの間に流れる電流の向きを切り替える(転流する)。転流回路51は、転流回路50が備えるレグ部が代わっている。より具体的には、転流回路51が備えるレグ部は、一つの半導体スイッチ部と一つのダイオードとが直列に接続された直列回路に代わっている。そして、転流回路51でも、二つのレグ部と、一つのコンデンサとが互いに接続されたブリッジ回路となっている。転流回路51も、転流回路50と同様に、制御装置100による半導体スイッチ部のオンまたはオフのいずれかの状態への制御に応じて、第1端gと第2端hとの間に流れる電流の電流値を変化させることにより、第1端gと第2端hとの間に流れる電流を略ゼロの状態にさせる。これにより、転流回路51でも、転流回路50と同様に、対応する遮断器30の両極間を電気的に遮断させる。ダイオードは、特許請求の範囲における「電流整流素子」の一例である。
[直流電流遮断装置2における動作]
直流電流遮断装置2では、補助線路Aに対応する転流回路50が転流回路51に代わったことにより、直流送電線LNまたは直流バス70-Bで事故が発生した場合に、事故回線を遮断する構成となっている。しかし、直流電流遮断装置2において直流送電線LNや直流バス70を遮断させる動作を行う際の制御装置100の手順は、直流電流遮断装置1における制御装置100の手順と同様と等価なものになるようにすればよい。従って、直流電流遮断装置2における制御装置100の手順に関する再度の詳細な説明は省略する。
このような構成および手順によって、直流電流遮断装置2でも、直流電流遮断装置1と同様に、高耐圧を実現するためにコストが高くなってしまう半導体遮断器80を全ての直流送電線LNで共通化した上で、いずれかの直流送電線LNや直流バス70に事故が発生した場合において、事故が発生した直流送電線LNや直流バス70を遮断し、事故が発生していない直流送電線LNや直流バス70による直流電流の送電を維持する。そして、直流電流遮断装置2でも、直流電流遮断装置1と同様に、半導体遮断器80を双方向の事故電流の遮断する構成にすることにより、事故回線の潮流状態にかかわらずに事故回線を流れる事故電流を遮断し、健全回線における直流送電時の定常的な電力損失を生じない状態で送電を維持することができる。
しかも、直流電流遮断装置2では、補助線路Aに対応する転流回路50を転流回路51に代えている。これにより、直流電流遮断装置2では、直流送電線LNまたは直流バス70-Bで発生した事故に対応する構成になっているものの、転流回路51は転流回路50に比べて容易な構成であるため、直流電流遮断装置2を構成する際のコストを低減することができる。
直流電流遮断装置2においても、直流電流遮断装置1の変形例と同様に、直流バス70に送電線PLが接続され、さらに電力変換器200などの他の装置や機器が接続されてもよい。
上記説明したように、第2の実施形態の直流電流遮断装置2によれば、多端子の直流送電システムに適用され、半導体遮断器80(半導体遮断器80aや半導体遮断器80bを含む)を共通化した上で、事故が発生した直流送電線LNや直流バス70を遮断し、事故が発生していない直流送電線LNや直流バス70による直流電流の送電を維持することができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について説明する。図21は、第3の実施形態に係る直流電流遮断装置の構成の一例を示す図である。図21においては、第1の実施形態の直流電流遮断装置1あるいは第2の実施形態の直流電流遮断装置2と共通する機能を有する構成要素については同一の符号を付している。図21には、複数の直流送電線LN(直流送電線LN-1~LN-n)の節点部分に構成する直流電流遮断装置3の一例を示している。
直流電流遮断装置3は、例えば、複数の補助断路器10(補助断路器10-1~10-n)と、複数の直流リアクトル20(直流リアクトル20-1~20-n)と、複数の遮断器30(遮断器30-A-1~30-A-n、および遮断器30-B-1~30-B-n)と、複数の断路器40(断路器40-A-1~40-A-n、および断路器40-B-1~40-B-n)と、複数の転流回路51(転流回路51-A-1~51-A-n、および転流回路51-B-1~51-B-n)と、複数のインダクタ60(インダクタ60-A-1~60-A-n、およびインダクタ60-B-1~60-B-n)と、二つの直流バス70(直流バス70-Aおよび70-B)と、半導体遮断器80と、アレスタ90と、制御装置100と、を備える。直流電流遮断装置3は、第1の実施形態の直流電流遮断装置1が備える補助線路A側および補助線路B側のそれぞれの転流回路50が、転流回路51に代わった構成である。
直流電流遮断装置3では、補助線路Aおよび補助線路Bに対応するそれぞれの転流回路50が転流回路51に代わったことにより、直流送電線LNまたは直流バス70で事故が発生した場合に、事故回線に流れる事故電流を遮断することができる方向が一方向(つまり、単方向)である構成となっている。しかしながら、直流電流遮断装置3では、単方向の事故電流を遮断する構成になっているものの、転流回路51は転流回路50に比べて容易な構成であるため、直流電流遮断装置3を構成する際のコストを低減することができる。
[直流電流遮断装置3において直流送電線LNを遮断する第3の動作]
ここで、図22~図30を参照して、例えば、直流送電線LN-1~LN-nが直流バス70-Aおよび直流バス70-Bを介して互いに接続され、直流送電線LN-2および直流送電線LN-nから直流送電線LN-1に電流が流れているときに、直流送電線LN-1において事故が発生した場合を一例として、制御装置100が、直流送電線LN-1を遮断させる第3の動作について説明する。図22~図30には、制御装置100によってそれぞれの構成要素が制御された状態における、直流電流遮断装置3内の電流の流れを示している。
直流送電線LN-1~LN-nが直流バス70-Aおよび直流バス70-Bを介して互いに接続されて送電している定常の送電状態(初期状態)において、全ての補助断路器10、遮断器30、断路器40は閉極され、全ての転流回路50が備える半導体スイッチ部、および半導体遮断器80が備える半導体スイッチ部は全てオフ状態である。この場合、直流電流遮断装置3では、図22に示すように、直流送電線LN-2および直流送電線LN-nから、直流バス70-Aと直流バス70-Bとのそれぞれを介して直流送電線LN-1に電流が流れている状態である。ここで、直流送電線LN-1に事故が発生した場合、制御装置100は、以下のような手順でそれぞれの構成要素の開極、閉極、オン、オフを制御することにより、事故が発生した直流送電線LN-1を遮断する。以下の説明においては、事故が発生した直流送電線LNを「事故回線」ともいい、事故が発生した直流送電線LN以外の直流送電線LN、つまり、事故が発生していない直流送電線LNを「健全回線」ともいう。
(手順3-1):まず、制御装置100は、事故が発生した直流送電線LN-1(事故回線)の補助線路Aに属する遮断器30-A-1および断路器40-A-1を開極した状態にさせる。さらに、制御装置100は、事故が発生していない直流送電線LN-2(健全回線)の補助線路Bに属する遮断器30-B-2および断路器40-B-2と、直流送電線LN-n(健全回線)の補助線路Bに属する遮断器30-B-nおよび断路器40-B-nと、を開極した状態にさせる。つまり、制御装置100は、補助線路Aにおいて事故回線に属する機械接点式のスイッチを開極させ、補助線路Bにおいて健全回線に属する機械接点式のスイッチを開極させる。この場合でも、直流電流遮断装置3では、図23に示すように、直流送電線LN-2および直流送電線LN-nから、直流バス70-Aと直流バス70-Bとのそれぞれを介して直流送電線LN-1に電流(事故電流)が流れている状態である。これは、それぞれの機械接点式のスイッチを開極させただけでは、それぞれの機械接点式のスイッチにおけるそれぞれの接点間に生じたアークによって、直流送電線LNを電気的に遮断させた状態(遮断状態)にはならないからである。
(手順3-2):次に、制御装置100は、開極した状態にさせた遮断器30に対応する転流回路50を動作させる。つまり、制御装置100は、開極した状態にさせた遮断器30に対応する転流回路50が備える半導体スイッチ部をオン状態にさせる。これにより、半導体スイッチ部がオン状態にされた転流回路50が備えるコンデンサは電荷を放電し、機械接点式のスイッチに流れる電流と逆向きに電流を発生させる。図24には、開極した状態にさせた遮断器30-A-1、遮断器30-B-2、および遮断器30-B-nに対応するそれぞれの転流回路50を動作させた状態を示している。これにより、開極した状態にされた遮断器30に流れる事故電流は、略ゼロの状態になり、転流回路50に電流が移り替わる(転流する)。ここで、手順3-1において機械接点式のスイッチを開極させた後、事故電流の流れる方向(潮流状態)によっては、遮断器30の両極間の事故電流が略ゼロの状態となることもあり得る。この場合、制御装置100は、手順3-2において、その遮断器30に対応する転流回路50を動作させなくてもよい。図25には、動作された転流回路50を介して事故電流が流れることにより、対応する遮断器30(遮断器30-A-1、遮断器30-B-2、および遮断器30-B-n)の接点間に生じたアークが消弧された状態を示している。
(手順3-3):次に、制御装置100は、半導体遮断器80が備える半導体スイッチ部をオン状態にさせ、動作させていた転流回路50の動作を停止させる。つまり、制御装置100は、開極した状態にさせた遮断器30に対応する転流回路50が備える半導体スイッチ部をオフ状態にさせる。これにより、直流電流遮断装置3では、図26に示すように、直流送電線LN-1における事故電流は半導体遮断器80に転流し、断路器40-A-1、断路器40-B-2、および断路器40-B-nに流れる事故電流は、略ゼロの状態になる。図26には、断路器40-A-1、断路器40-B-2、および断路器40-B-nの接点間に生じたアークが消弧された状態を示している。なお、断路器40-A-1、断路器40-B-2、および断路器40-B-nを開極させるタイミングは、手順3-3のタイミングであってもよい。
(手順3-4):次に、制御装置100は、半導体遮断器80が備える半導体スイッチ部をオフ状態にさせる。これにより、直流電流遮断装置3では、直流送電線LN-1の事故電流が遮断され、略ゼロの状態になる。その後も、直流電流遮断装置3では、線路中のインダクタンス成分に蓄積されたサージエネルギーによって、事故電流がしばらくの間流れ続けるが、このサージエネルギーは、アレスタ90によって消費される。図27には、直流送電線LN-1の事故電流がアレスタ90を通って流れている状態を示している。そして、図28には、直流送電線LN-1の事故電流がアレスタ90によって消費されて流れなくなっている状態を示している。
(手順3-5):次に、制御装置100は、直流送電線LN-1に流れる事故電流がゼロになった後(例えば、直流送電線LN-1に流れる事故電流がゼロになったと見なすことができる時間が経過した後)、事故が発生した直流送電線LN-1に属する補助断路器10-1と、遮断器30-B-1および断路器40-B-1を開極した状態にさせる。つまり、制御装置100は、事故が発生した直流送電線LN-1の補助線路Bにおいても、事故回線に属する機械接点式のスイッチを開極させる。図29には、直流送電線LN-1に事故電流が流れなくなった状態で、補助断路器10-1、遮断器30-B-1、および断路器40-B-1を開極した状態を示している。
(手順3-6):次に、制御装置100は、事故が発生していない直流送電線LN-2の補助線路Bに属する遮断器30-B-1および断路器40-B-1と、直流送電線LN-nの補助線路Bに属する遮断器30-B-nおよび断路器40-B-nと、を閉極した状態にさせる。つまり、制御装置100は、補助線路Bにおいて開極させていた健全回線の機械接点式のスイッチを閉極した状態に戻す。これにより、制御装置100は、事故が発生した直流送電線LN-1を電気的に遮断する動作を完了する。これにより、直流電流遮断装置3では、健全回線による直流電流の送電が維持される。図30には、健全回線である直流送電線LN-2および直流送電線LN-nが、直流バス70-Aと直流バス70-Bとのそれぞれを介して接続され、それぞれの直流送電線LNの間で電流が流れている状態を示している。
このような手順によって、直流電流遮断装置3でも、直流電流遮断装置1と同様に、制御装置100が、事故回線の補助線路Aに属する遮断器30-A、断路器40-A、および転流回路50-Aと、健全回線の補助線路Bに属する遮断器30-B、断路器40-B、および転流回路50-Bと、を制御して事故電流によるアークを消弧させる。そして、直流電流遮断装置3でも、直流電流遮断装置1と同様に、制御装置100が、事故電流がゼロになった後に、事故回線の補助線路Bに属する遮断器30-B、断路器40-Bを制御する。これにより、直流電流遮断装置3でも、直流電流遮断装置1と同様に、事故回線を遮断し、健全回線における送電を維持することができる。
上述した第3の動作でも、直流電流遮断装置1における第1の動作と同様に、制御装置100が、事故回線の補助線路Aに属するそれぞれの構成要素と、健全回線の補助線路Bに属するそれぞれの構成要素とを制御して、事故電流が半導体遮断器80の第1端i側から第2端j側に流れるようにし、この事故電流を遮断することにより直流送電線LN-1(事故回線)を遮断する場合について説明した。しかし、直流電流遮断装置3でも、半導体遮断器80が双方向の事故電流の遮断する構成である場合には、直流電流遮断装置1と同様に、制御装置100が事故回線を遮断する際に制御するそれぞれの構成要素は、補助線路Aと補助線路Bとで逆にしてもよい。この場合の制御装置100における手順は、上述した第3の動作と等価なものになるようにすればよい。従って、制御装置100における手順に関する再度の詳細な説明は省略する。
[直流電流遮断装置3において直流バス70を遮断する動作]
直流電流遮断装置3において直流バス70を遮断させる動作を行う際の制御装置100の手順は、上述した第3の動作を考慮して、直流電流遮断装置1における制御装置100の手順と同様と等価なものになるようにすればよい。従って、直流電流遮断装置3において直流バス70を遮断する際の制御装置100の手順に関する再度の詳細な説明は省略する。
このような構成および手順によって、直流電流遮断装置3でも、直流電流遮断装置1と同様に、高耐圧を実現するためにコストが高くなってしまう半導体遮断器80を全ての直流送電線LNで共通化した上で、いずれかの直流送電線LNや直流バス70に事故が発生した場合において、事故が発生した直流送電線LNや直流バス70を遮断し、事故が発生していない直流送電線LNや直流バス70による直流電流の送電を維持する。そして、直流電流遮断装置3でも、直流電流遮断装置1と同様に、半導体遮断器80を双方向の事故電流の遮断する構成にすることにより、事故回線の潮流状態にかかわらずに事故回線を流れる事故電流を遮断し、健全回線における直流送電時の定常的な電力損失を生じない状態で送電を維持することができる。
しかも、直流電流遮断装置3では、補助線路Aと補助線路Bとの両方に対応する転流回路50を転流回路51に代えている。これにより、直流電流遮断装置3では、補助線路Aと補助線路Bとにおいて転流させる電流の方向(事故回線に流れる事故電流を遮断することができる方向)は単方向となるものの、直流電流遮断装置3を構成する際のコストを低減することができる。
直流電流遮断装置3においても、直流電流遮断装置1の変形例と同様に、直流バス70に送電線PLが接続され、さらに電力変換器200などの他の装置や機器が接続されてもよい。
上記説明したように、第3の実施形態の直流電流遮断装置3によれば、多端子の直流送電システムに適用され、半導体遮断器80(半導体遮断器80aや半導体遮断器80bを含む)を共通化した上で、事故が発生した直流送電線LNや直流バス70を遮断し、事故が発生していない直流送電線LNや直流バス70による直流電流の送電を維持することができる。
上記に述べたとおり、各実施形態の直流電流遮断装置では、多端子の直流送電システムの節点部分に構成する直流電流遮断装置において、それぞれの直流送電線LNを補助線路Aと補助線路Bとに分岐し、それぞれの補助線路に対応する直流バス70同士を、事故が発生した直流送電線LNを遮断するための共通化した半導体遮断器80を介して接続する。そして、各実施形態の直流電流遮断装置では、いずれかの直流送電線LNや直流バス70に事故が発生した場合に、制御装置が、事故電流の上流側で事故回線の補助線路に属する遮断器30および断路器40の開極または閉極を制御し、事故電流の下流側で健全回線の補助線路に属する遮断器30および断路器40の開極または閉極を制御することによって、事故回線を遮断する。これにより、各実施形態の直流電流遮断装置では、高耐圧を実現する半導体遮断器80を全ての直流送電線LNで共通化してコストを削減するとともに、事故回線の遮断と、健全回線による直流電流の正常な送電の維持とを行うことができる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、所定の分岐点で、第1の機械式接点(40)が設けられた第1の補助線路(A)と第2の補助線路(B)とに分岐された複数の直流送電線(LN)と、直流送電線に流れる電流を遮断可能な半導体遮断器(80)と、少なくとも半導体遮断器の第1端と第1端とは逆側の第2端との間のエネルギーを消費するエネルギー消費要素(90)とを有する遮断消費部と、それぞれの第1の補助線路あるいは第2の補助線路に対応する複数の開閉転流部(30,50,60)と、それぞれの第1の補助線路に属する第1の機械式接点の第1極(a)と、遮断消費部の第1端(i)とを接続する第1の直流バスと、それぞれの第2の補助線路に属する第1の機械式接点の第1極(a)と、遮断消費部の第1端と第1端とは逆側の第2端(j)とを接続する第2の直流バスと、を備えることにより、半導体遮断器を共通化した上で、事故が発生した直流送電線を遮断することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。