WO2022131338A1 - ウイルス不活化剤 - Google Patents

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    • A01PBIOCIDAL, PEST REPELLANT, PEST ATTRACTANT OR PLANT GROWTH REGULATORY ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR PREPARATIONS
    • A01P1/00Disinfectants; Antimicrobial compounds or mixtures thereof

Definitions

  • the pH of the virus inactivating agent of this embodiment is preferably 10-13, more preferably 11.5-12.5 (12 ⁇ 0.5). For unknown reasons, it is possible to effectively inactivate the virus while reducing the effect on human skin when humans touch the virus inactivating agent.
  • the virus inactivating agent contains purified water.
  • Purified water refers to water whose purity has been increased by purification such as distillation, ion exchange, and filtration. Examples of purified water include distilled water, ion-exchanged water, filtered water, and pure water.
  • Objects that the human body may come into contact with are textiles such as clothing, hats, towels, masks, bedding, sofas, squeezers, cushions; decorations such as rings, necklaces, earrings, piercings and hair fasteners.
  • textiles such as clothing, hats, towels, masks, bedding, sofas, squeezers, cushions
  • decorations such as rings, necklaces, earrings, piercings and hair fasteners.
  • Goods ; residential materials such as floors, walls, windows, doors; kitchen stands, toilet seats, door knobs, tubs, faucets, washbasins, home appliances, kitchen utensils and other household products; desks, chairs, shelves, counters, etc. Furniture; Electronic devices such as compound machines, personal computers, keyboards; Ticket vending machines, vending machines, automatic cash deposit machines (Automatic Teller Machine), automatic ticket gates, hanging leather, equipment operation panels, shopping carts, handrails, etc. Public equipment, nursing equipment in general, and medical equipment in general.
  • the dilution ratio is the weight ratio of the virus inactivating solution to the undiluted solution.
  • Drug inactivating agent SCDLP (Soybean-Casein Disease Brost with Lecithin & Polysorbate 80) diluted 10-fold with DMEM containing 2% by weight of FBS was used as a drug inactivating agent.
  • Virus suspension EMEM was added to a host cell infected with the SARS-CoV-2 virus, cultured at 37 ° C. for a predetermined time, and then centrifuged at 4 ° C. at 1000 ⁇ g for 15 minutes. The supernatant was used as a test virus suspension.
  • the weight ratio of phosphorus to silicon in the stock solution is 10-50, even 20-40, and / and. It has been found that even better virus inactivation can be achieved when the ratio of the total weight of sodium and potassium to the total weight of phosphorus, silicon and chlorine is 1-3, even 1.5-2.5.

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Abstract

本開示の1つの局面におけるウイルス不活化剤は、i)精製水と、含有物としての少なくともナトリウム、ケイ素、および塩素とを含有し、精製水を99.5重量%より多く含有するアルカリイオン電解水、または、ii)前記アルカリイオン電解水を、前記アルカリイオン電解水の2倍以下の容量の精製水で希釈した希釈液、である。

Description

ウイルス不活化剤 関連出願の相互参照
 本国際出願は、2020年12月16日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第2020-208804号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2020-208804号の全内容を本国際出願に参照により援用する。
 本開示は、ウイルスを不活化するウイルス不活化剤に関する。
 昨今、ウイルス名:SARS-CoV-2という新型コロナウイルスが流行している。ウイルス感染を防止するために、非特許文献1に示すように、水及び石鹸による洗浄、アルコール消毒などが行われている。
 本発明者は、さらに効果的にウイルスを不活化するものについて鋭意探求した。
The National Institute of Technology and Evaluation(NITE)"Final Report on Efficacy Assessment of Disinfecting Substances Alternative to Alcohol for Use Against Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 (SARS-CoV-2)" The Committee on Efficacy Assessment of Disinfecting Substances Alternative to Alcohol for Use Against Severe Acute Respiratory Syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2)June, 2020
 本開示の1つの局面は、新型コロナウイルスを不活化できるウイルス不活化剤を提供することが好ましい。
 本開示のもう1つの局面は、新型コロナウイルスを不活化でき、かつ、人肌に対しても優しいウイルス不活化剤を提供することが好ましい。
 本開示の第1の態様は、
 i)精製水と、含有物としての少なくともナトリウム、ケイ素、および塩素とを含有し、前記精製水を99.5重量%より多く含有するアルカリイオン電解水、または、
 ii)前記アルカリイオン電解水を、前記アルカリイオン電解水の2倍以下の容量の前記精製水で希釈した希釈液、
である、ウイルスの不活化が可能なウイルス不活化剤である。
 本開示の第二の態様は、アルカリイオン水を有する、ウイルスの不活化が可能なウイルス不活化剤であって、
 前記アルカリイオン水は、含有物としての少なくともナトリウム、ケイ素、および塩素を有する、ウイルス不活化剤である。
実施例1において、試験サンプルの対象サンプルをプラーク測定法で測定する様子を示す写真である。 実施例1において、試験サンプルをプラーク測定法で測定する様子を示す写真である。
 本開示の例示的な実施形態(以下、「本実施形態」という。)について説明する。
 本実施形態のウイルス不活化剤は、ウイルス、例えば、病名COVID-19(新型コロナウイルス感染症)を引き起こすSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)を不活化する。「不活化」とは、ウイルスを死滅させる又はウイルスの感染力及び毒性を失わせることをいう。
 本実施形態のウイルス不活化剤は、i)精製水と、含有物としての少なくともナトリウム、ケイ素、および塩素とを含有し、精製水を99.5重量%より多く含有するアルカリイオン電解水、または、ii)アルカリイオン電解水を、アルカリイオン電解水の2倍以下の容量の精製水で希釈した希釈液、である。アルカリイオン電解水における精製水の含有量が99.7重量%以上であることがよい。
 本実施形態のウイルス不活化剤は、アルカリイオン水を有し、アルカリイオン水は、含有物としての少なくともナトリウム、ケイ素、および塩素を有する。
 アルカリイオン水は、一般に生体に良好な働きをするといわれている。アルカリイオン水は、例えば、胃腸症状改善効果を有するとされており、医薬用に用いられていた。発明者は、このような生体に良好なアルカリイオン水を独自で開発している中、ある特別なアルカリイオン水が、ウイルスに対して不活化させる働きを有することを発見した。このことは、アルカリイオン水が生体の働きを良好にするという発明者の予想から大きく外れるものであった。そこで、発明者は、アルカリイオン水をウイルス不活化剤として利用することに思い至った。
 本実施形態のウイルス不活化剤は、洗剤、消毒液、エタノールに匹敵する、またはそれ以上に優れたウイルス不活化性能を有する。本実施形態のウイルス不活化剤は、洗剤、消毒液、エタノールなどといった公知のウイルス感染抑制剤を含まなくても、優れたウイルス不活化効果を発揮する。
 本実施形態のアルカリイオン水は、含有物としての少なくともナトリウム、ケイ素、および塩素を含む点を特徴としている。本実施形態のアルカリイオン水は、この特徴によって、他のアルカリイオン水とは異なって、優れたウイルス不活化効果を発揮することができる。
 アルカリイオン水は、アルカリ性の水をいい、例えば、陽イオンとOHイオンとを含む。アルカリイオン水は還元性イオン水ともいい、電子量の多い水であるということもできる。このようなアルカリイオン水は、電子量が多く、生体に正常な働きを促すといわれている。
 アルカリイオン水は、アルカリ性の水であればよく、好ましくは、電気分解により生成したアルカリイオン電解水であるとよい。アルカリイオン電解水は、電解質を有する元水を電気分解することにより得られ、陽イオンを含む。アルカリイオン電解水は、陽イオンを陰イオンよりも多く含み、アルカリ性を呈している。
 本実施形態のアルカリイオン水は、含有物としての少なくともナトリウム、ケイ素、および塩素を含む。本実施形態において「含有物」とは、アルカリイオン水に含まれる溶質をいう。アルカリイオン水の中の水(HO)を溶媒としたときに、含有物は溶質としてアルカリイオン水に含まれている。含有物の多くは無機物であり、水に溶解している。アルカリイオン水は、これらの含有物を含むことで、これらの含有物を含まない場合に比べて、よりウイルス不活化効果が高くなる。
 本実施形態のアルカリイオン水は、さらに含有物としてのリン及びカリウムの少なくとも1種を含んでいてもよい。また、本実施形態のアルカリイオン水は、含有物としてのカルシウム及びマグネシウムの少なくとも1種を含んでいてもよい。ここで、含有物は、陽イオン、陰イオン、又は水酸化物の状態で、または、塩の状態で、ウイルス不活化剤に含まれていてもよい。含有物は、電解質の電気分解、または塩の精製水への添加により、生成されてもよい。
 本実施形態のウイルス不活化剤によれば、ウイルスを不活化することができる。
 本実施形態のウイルス不活化剤は、細胞毒性が弱い、すなわち、人肌への影響が少ないことが確認されている。
 本実施形態のウイルス不活化剤のpHは10-13がよく、さらに、11.5-12.5(12±0.5)が好ましい。理由は不明であるが、ヒトがウイルス不活化剤に触ったとき人肌への影響を低減させつつ、ウイルスを効果的に不活化できる。
 ウイルス不活化剤に含まれているアルカリイオン水のpHは12±0.5であることがよい。アルカリイオン水の中でもアルカリイオン電解水は、pH12.0±0.5となるよう調整されているとよい。理由は不明であるが、アルカリイオン電解水を希釈して形成された希釈液のpHが安定するからである。
 ウイルス不活化剤は、精製水を含む。精製水は、蒸留、イオン交換、ろ過などの精製により水の純度を高めた水をいう。精製水には、蒸留水、イオン交換水、ろ過水、純水などがあげられる。
 ウイルス不活化剤において、精製水の含有量が98重量%以上であってもよく、さらに、99.5重量%よりも多いことがよく、さらには99.7重量%以上であることが好ましい。このようなウイルス不活化剤によれば、ウイルスを効果的に不活化できる。
 本実施形態のウイルス不活化剤は、アルカリイオン電解水などのアルカリイオン水を有する。このような本実施形態のウイルス不活化剤を100重量%としたときに、ウイルス不活化剤に含まれる含有物の含有量の合計は0.001重量%以上がよく、更には0.01重量%以上が好ましく、特に、0.1重量%以上が望ましい。ウイルス不活化剤に含まれる含有物の含有量の合計は、2重量%以下であってもよく、さらに、0.5重量%以下であることが好ましい。この場合には、ウイルスを効果的に不活化できる。
 含有物の含有量の合計が多すぎると、ヒトがウイルス不活化剤を触ったときに皮膚細胞に対して影響を与えるおそれがある。「含有物の含有量の合計」とは、本実施形態のウイルス不活化剤に含まれるすべての含有物の含有量の合計をいい、具体的には、ナトリウム、ケイ素、塩素、リン、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムといったウイルス不活化剤に含まれるすべての含有物の含有量の合計をいう。
 ウイルス不活化剤を100重量%としたときに、ナトリウムの含有量は0.0001-1重量%であることもあり、また、0.0001-0.3重量%であってもよく、さらに、0.001-0.2重量%であるとよく、0.01-0.2重量%であることが好ましい。ウイルス不活化剤中の含有物の合計を100重量%としたときに、ナトリウムの含有量は10-60重量%がよく、さらに、20-50重量%が好ましい。「含有物の合計」とは、ウイルス不活化剤に含まれるすべての含有物の合計をいう。ナトリウムの含有量が過少の場合には、ウイルス不活化が低下するおそれがあり、ナトリウムの含有量が多すぎると皮膚細胞に対して影響を与えるおそれがある。
 ウイルス不活化剤を100重量%としたときに、ケイ素の含有量は0.00001-0.01重量%であることもあり、また、0.00001-0.001重量%であってもよく、さらに、0.00005-0.005重量%がよく、更には0.0001-0.005重量%が好ましい。ウイルス不活化剤中の含有物の合計を100重量%としたときに、ケイ素の含有量は0.2-5重量%がよく、さらに、0.5-0.9重量%が好ましい。この場合には、ウイルス不活化剤によるウイルス不活化が更に高くなる。ケイ素の含有量が過少の場合には、ウイルス不活化低下のおそれがあり、ケイ素の含有量が多すぎると皮膚細胞に対して影響を与えるおそれがある。
 ウイルス不活化剤を100重量%としたときに、塩素の含有量は0.0001-0.1重量%であってもよく、さらに、0.001-0.05重量%であるとよく、0.005-0.05重量%であることが好ましい。ウイルス不活化剤中の含有物の合計を100重量%としたときに、塩素の含有量は5-15重量%がよく、さらに、7-12重量%が好ましい。塩素の含有量が過少の場合には、ウイルス不活化低下のおそれがあり、塩素の含有量が多すぎると皮膚細胞に対して影響を与えるおそれがある。
 ウイルス不活化剤を100重量%としたときに、カリウムの含有量は0-1重量%であることもあり、また、0-0.2重量%であってもよく、さらに0.003-0.15重量%であるとよく、0.01-0.15重量%であることが好ましい。ウイルス不活化剤中の含有物の合計を100重量%としたときに、カリウムの含有量は0-50重量%がよく、さらに、20-40重量%が好ましい。カリウムの含有量が過少の場合には、ウイルス不活化低下のおそれがあり、カリウムの含有量が多すぎると皮膚細胞に対して影響を与えるおそれがある。
 ウイルス不活化剤を100重量%としたときに、リンの含有量は0-0.1重量%であってもよく、さらに、0.002―0.1重量%がよく、更には0.01―0.1重量%が好ましい。ウイルス不活化剤中の含有物の合計を100重量%としたときに、リンの含有量は0-40重量%がよく、さらに、10-30重量%が好ましい。この場合には、ウイルス不活化剤によるウイルス不活化が更に高くなる。リンの含有量が過少の場合には、ウイルス不活化低下のおそれがあり、リンの含有量が多すぎると皮膚細胞に対して影響を与えるおそれがある。
 ウイルス不活化剤を100重量%としたときに、カルシウムの含有量は0-0.002重量%であってもよく、さらに、0-0.0002重量%であることが好ましい。ウイルス不活化剤中の含有物の合計を100重量%としたときに、カルシウムの含有量は0-20重量%がよく、さらに、0-2重量%が好ましい。この場合には、ウイルス不活化剤によるウイルス不活化が良好になる。
 ウイルス不活化剤を100重量%としたときに、マグネシウムの含有量は0-0.001重量%であってもよく、さらに、0-0.0001重量%であることが好ましい。ウイルス不活化剤中の含有物の合計を100重量%としたときに、マグネシウムの含有量は0-10重量%がよく、さらに、0-1重量%が好ましい。この場合には、ウイルス不活化剤によるウイルス不活化が良好になる。
 本実施形態のウイルス不活化剤の組成は、ウイルス不活化剤を100重量%としたときに、以下のいずれかの組合せを含むことが好ましい。
 i)ナトリウム0.0001-1重量%、ケイ素0.00001-0.01重量%、塩素0.0001-0.1重量%、カリウム0-1重量%、及びリン0-0.1重量%;
 ii)ナトリウム0.0001-0.3重量%、ケイ素0.00001-0.001重量%、塩素0.0001-0.1重量%、カリウム0-0.2重量%、及びリン0-0.1重量%;
iii)ナトリウム0.001-0.2重量%、ケイ素0.00005-0.005重量%、塩素0.001-0.05重量%、カリウム0.003-0.15重量%、及びリン0.002-0.1重量%;または
iv)ナトリウム0.01-0.2重量%、ケイ素0.0001-0.005重量%、塩素0.005-0.05重量%、カリウム0.01-0.15重量%、及びリン0.01-0.1重量%。
 本実施形態のウイルス不活化剤の組成は、ウイルス不活化剤中の含有物の合計を100重量%としたときに、
v)ナトリウム10-60重量%、ケイ素0.2-5重量%、塩素5-15重量%、カリウム0-50重量%、及びリン0-40重量%;または
vi)ナトリウム20-50重量%、ケイ素0.5-0.9重量%、塩素7-12重量%、カリウム20-40重量%、及びリン10-30重量%
を含むことがよい。
 本実施形態のウイルス不活化剤において、リンとケイ素と塩素との合計重量に対するナトリウムとカリウムとの合計重量の比率は、1-3がよく、さらに1.5-2.5が好ましい。リンとケイ素と塩素は任意に酸素とともに主として陰イオン(例えば、PO 3―、SiO 4-、Cl、ClO)を形成する元素であり、ナトリウムとカリウムは陽イオン(Na、K)を形成する元素である。リンとケイ素と塩素との合計重量に対するナトリウムとカリウムとの合計重量の比率が1よりも大きい場合には、ウイルス不活化剤は、ウイルスを不活化するに適したアルカリ性を呈することができる。リンとケイ素と塩素との合計重量に対するナトリウムとカリウムとの合計重量の比率が過剰に大きいと、アルカリ性が強すぎて、ウイルス不活化剤が肌に触れて肌に影響を与えるおそれがある。
 本実施形態のウイルス不活化剤において、ウイルス不活化を高めるために、ケイ素に対するリンの重量比は、10-50がよく、20-40が好ましい。
 本実施形態のウイルス不活化剤に含まれる含有物の成分及び含有量は、例えば、原子吸光光度法、ICP発光分析法、燃焼-電量滴定法により特定できる。
 本実施形態のウイルス不活化剤は、上記の組成を有すれば特に限定しないが、例えば、株式会社エー・アイ・システムプロダクト製のiW-100、S-100を用いることができる。iW-100は、pH11.5-12.5で、ナトリウム、ケイ素、塩素、リン、カリウムを有し、これらの含有量の合計が0.5重量%以下で、水の含有量を99.5重量%以上であるアルカリイオン電解水である。S-100は、pH11.5-12.5で、ケイ素、ナトリウム、塩素、カルシウム、カリウム、リン、マグネシウムを含み、これらの合計が1.2重量%であり、水の含有量が99.7重量%のアルカリイオン電解水である。市販のS-100については、SARS-CoV-2ウイルス及びインフルエンザウイルスを不活化させることができた。また、iW-100については、後述の実験例に示すように、SARS-CoV-2ウイルスを不活化させることができる。
 本実施形態のウイルス不活化剤を製造する方法は、少なくともナトリウム、ケイ素、及び塩素を含有し、任意にカリウム、リン、カルシウム及びマグネシウムの少なくとも1種をさらに含有するアルカリイオン水を生成する工程を有する。
 さらに、本実施形態のウイルス不活化剤を製造する方法は、少なくともナトリウム、ケイ素、及び塩素を含有し、任意にカリウム、リン、カルシウム及びマグネシウムの少なくとも1種をさらに含有する元水を電解槽内において電気分解することにより、アルカリイオン電解水を得る工程を有することがよい。アルカリイオン電解水は、陰極と陽極とを備える電解槽において、電解処理後に陰極近傍から回収されることがよい。
 元水は、精製水に含有物を添加することで生成される。含有物は、電解質、若しくは海水由来の成分、又は/及び土砂若しくは岩石から溶出した成分であってもよい。
 電解質は、電気分解により陽イオンと陰イオンとに電離し得る物質をいい、このような物質としては、例えば塩が挙げられる。電解質となり得る塩としては、少なくとも塩化ナトリウムを含むとよく、さらに、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムを含んでいてもよいが、これらに限定されるものではない。また、電解質として、そのほかの様々な塩、例えば、珪酸ナトリウムなどの珪酸塩、リン酸ナトリウムなどのリン酸塩を用いてもよい。
 海水は、水を主成分とし、塩及び微量金属を3.5重量%程度含む。海水は、塩として、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カリウムなどを含む。土砂及び岩石は、多くのケイ素を含む。土砂及び岩石は、その種類により異なるが、ケイ素の他、カルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、リンを含むものがある。どのような種類の土砂や岩石を採用するかについては、生成しようとするアルカリイオン水の組成になるように選択するとよい。
 元水について電気分解を行うために、元水に印加する電気エネルギーは100~300Wであるとよい。電気分解は、電解槽内を密閉空間にして行うとよい。電解槽内は、窒素、二酸化炭素などの不活性化雰囲気であるとよい。または、電解槽に酸素除去剤を投入しても良い。酸素除去剤としては、電解槽内の酸素を除去することに貢献する性質を有するものであればよく、例えば、エージレス(登録商標、三菱ガス化学株式会社)があげられる。
 アルカリイオン電解水は、それ自体を原液としてそのままウイルス不活化剤として用いてもよく、または、希釈して用いても良い。本明細書において、アルカリイオン電解水自体を原液ともいう。アルカリイオン電解水の希釈は精製水を添加することで行うとよい。アルカリイオン電解水の重量に対するウイルス不活化剤の重量の比率をアルカリイオン電解水の希釈倍率としたときに、アルカリイオン電解水の希釈倍率は、10倍以下がよく、さらには5倍以下が好ましく、3倍以下が望ましい。アルカリイオン電解水の希釈倍率がこの範囲であるウイルス不活化剤は、高いウイルス不活化性能を発揮できる。
 本実施形態のウイルス不活化剤は、更に、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、色素、香料、安定化剤、保湿剤、防腐剤、界面活性剤、エタノール等が挙げられる。
 本実施形態の別の態様は、含有物としての少なくともナトリウム、ケイ素、および塩素を含有するアルカリイオン水を有するウイルス不活化剤である。
 本実施形態の別の態様は、アルカリイオン水を有する溶液のウイルス不活化のための使用であって、アルカリイオン水は、含有物としての少なくともナトリウム、ケイ素、および塩素を有する、使用である。
 本実施形態の別の態様は、アルカリイオン水を有する溶液を用いてウイルスを不活化させる方法であって、アルカリイオン水は、含有物としての少なくともナトリウム、ケイ素、および塩素を有する、方法である。
 本実施形態の別の態様は、アルカリイオン水を有する、ウイルス不活化剤を製造するための使用であって、アルカリイオン水は、含有物としての少なくともナトリウム、ケイ素、および塩素を有する、使用である。
 本実施形態のウイルス不活化剤は、ウイルスを不活化するために用いることができる。本実施形態のウイルス不活化剤は、例えば、病名COVID-19(新型コロナウイルス感染症)を引き起こすSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)を不活化するために好適に用いることができる。
 本実施形態のウイルス不活化剤は、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)だけでなくインフルエンザウイルスや殆どのウイルスを不活化するために用いることもできる。
 本実施形態のウイルス不活化剤は、ウイルス不活化液であってもよい。本実施形態のウイルス不活化剤は、例えば、ウイルス不活化液のような液体であってもよく、ジェル状などの半流動体、または固体であってもよい。ジェル状のウイルス不活化剤は、さらに、増粘剤を含むとよく、固体のウイルス不活化剤はさらにゲル化剤を含むとよい。増粘剤としては、ウイルス不活化剤を半流動体にするものであれば特に限定されず、例えば、多糖類を用いるとよい。増粘剤として用い得る多糖類としては、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、プロピレングリコールが挙げられる。ゲル化剤としては、ウイルス不活化剤を固体にさせるものであれば特に限定されず、例えば、寒天、シリカゲル、ゼラチンが挙げられる。
 本実施形態のウイルス不活化剤を使用するにあたっては、単独で用いても良いし、製品に混ぜて用いてもよい。ウイルス不活化剤を混ぜることが可能な製品は、例えば、洗濯用洗剤、消毒液、台所用洗剤、エタノール、化粧品、点鼻薬、鼻洗浄液、うがい薬などである。
 本実施形態のウイルス不活化剤を使用するにあたっては、ウイルス感染が懸念されるヒトの体の少なくとも一部(例えば、手や指)をウイルス不活化剤に接触させるとよい。ヒトの体が接触する可能性のある対象物表面にウイルス不活化剤を塗布又は散布してもよく、ヒトの居住空間に散布してもよい。
 本実施形態のウイルス不活化剤、例えば、ウイルス不活化液を塗布する場合の塗布量は、0.005-5.0ml/1cmがよく、更に、0.01-1.0ml/1cmが好ましく、0.1ml/1cmの程度が望ましい。また、本実施形態のウイルス不活化液を散布する場合の散布量は15-6000ml/16mがよく、さらに、30-3000ml/16mが好ましく、300ml/16mの程度が望ましい。
 ウイルス不活化剤に接触する時間は、2秒以上がよく、さらに10秒以上が好ましい。ウイルス不活化剤に接触する時間は、2分以内でもよい。
 ヒトの体が接触する可能性のある対象物は、例えば、衣類、帽子、タオル、マスク、寝具、ソファ、おしぼり、クッションなどの繊維製品;指輪、ネックレス、イヤリング、ピアス、髪留め具などの装飾品;床、壁、窓、扉などの居住用部材;キッチン台、トイレの便座、ドアノブ、浴槽、蛇口、洗面台、家電製品、キッチン道具などの家庭用製品;机、椅子、棚、カウンターなどの家具;複合機、パーソナルコンピュータ、キーボードなどの電子機器;券売機、自動販売機、現金自動預け払い機(Automatic Teller Machine)、自動改札機、吊革、機器の操作パネル、ショッピングカート、手摺りなどの公衆用器機、介護用具全般、医療用器具全般が挙げられる。
(実施例1)
1.ウイルス不活化液
 本実施例のウイルス不活化液は、製造過程において、精製水を、含有物としてのナトリウム、ケイ素、塩素、リン、カリウムなどを適宜含む濾過層に通して、これらの含有物を含む元水を生成する。そして、pH12をターゲットとして元水を電気分解すると、アルカリイオン電解水からなる原液が生成される。
 濾過層は、濾過及び電気分解をした後のアルカリイオン電解水中の精製水が99.5重量%以上、含有物が0.5重量%以下となるものであれば、その主な構成(土砂や岩石など濾過層を構成可能なものであればどのようなものでもよい)は自由である。濾過層は、濾過後の元水に、少なくとも、ナトリウム、ケイ素、塩素が含まれるように主な構成を攪拌し、かつ、その大きさを調整したものを使用する。
 含有物の原料として、リン及びケイ素を含む岩石、並びに、ナトリウム、塩素及びカリウムを含む海水を用いている。このため、ウイルス不活化液は、人体や自然環境に対して影響の少ないやさしい液体である。
 ところで、上記含有物(ナトリウム、ケイ素、塩素、リン、及びカリウム)の精製水に対する割合は、濾過の状態に応じて変化し、元水と含有物の割合も同様である。pHも精製水に対する含有物の量や割合によって変化する。
 発明者の数十年の経験に基づいて、このたび、精製水が99.5重量%より多く、含有物としての少なくともナトリウム、ケイ素、及び塩素を含有する元水を、pH12.0をターゲットとして電気分解して生成されたアルカリイオン電解水からなる原液が、ナチュラルで肌に優しいことが、自らおよび協力者に付着させるなどしてわかった。
 このたび、上述した原液が、抗ウイルス作用、特に、SARS-CoV-2ウイルスに対する抗ウイルス作用(新たな用途)があることが下記の実験で発見された。
 そこで、この発見により、上記原液を、SARS-CoV-2ウイルスの不活化液として利用できることを証明するための下記の実験を行った。以下の実験は、ウイルスの不活化等の性能を確かめるために行われる一般的な方法で行われている。以下、原液の製造方法及び実験方法について説明する。
<原液の製造方法>
 精製水を、含有物としてのナトリウム、ケイ素、塩素、リン、カリウムなどを適宜含む濾過層に通して、精製水内にこれらの含有物を含む元水を生成した。濾過層は、平均直径0.1mmに粉砕した岩石をタンク(内径60cm)内に高さ10cmまで充填したものである。岩石の種類は、火成岩であった。岩石を充填した濾過層を備えた濾過槽(タンク)に80Lの元水と海水80Lとを導入し、24時間、適宜攪拌しつつ貯留した。導入した海水の組成比は、海水に含まれる溶質全体の合計を100重量%としたときに、ナトリウム30重量%、塩素55重量%、カリウム1重量%、残部微量成分であった。
 元水を濾過層から取り出し、電気分解を行った。電気分解を行うにあたっては、電解槽の中を隔膜で区画された陰極室と陽極室とに、それぞれ陰極と陽極とを配置した。電解槽に、元水を導入した。電気分解の条件は、電圧200V、電気エネルギー200Wとした。電気分解後の陰極近傍に存在するアルカリイオン電解水からなる原液を回収した。アルカリイオン電解水からなる原液のpHは12.0であった、
<試験概要>
1:試験場所 一般財団法人 日本繊維製品品質技術センター 神戸試験センター
2:試験ウイルス 国立感染症研究所より分与されたNIID分離株:JPN/TY/WK-521(SARS-CoV-2ウイルス)
3:宿主細胞:VeroE6/TMPRSS2
4:細胞培養液:EMEM(Minimum Essential Medium Eagle)
        DMEM(Dulbecco’s modified Eagle’s medium)(low-glucise)
5:ウシ胎児血清:FBS(Fetal Bovine Serum)
6:対象サンプル(Negative control):PBS(Phosphate buffered saline)
7:試験サンプル(本実施例) :1)ウイルス不活化液(原液)
               :2)ウイルス不活化液(2倍希釈液)
               :3)ウイルス不活化液(3倍希釈液)
 ※原液は、iW-100(アルカリイオン電解水)であり、原液の希釈は精製水による。希釈倍率は、原液に対するウイルス不活化液の重量比率である。
8:薬剤不活化剤:SCDLP(Soybean-Casein Digest Broth with Lecithin & Polysorbate 80)を2重量%のFBSを含むDMEMで10倍希釈したものを薬剤不活化剤とした。
9:感染価測定法:プラーク測定法(JIS L 1922)
10:ウイルス懸濁液:SARS-CoV-2ウイルスを感染させた宿主細胞に、EMEMを加え、37℃で所定時間培養後、4℃、1000×gの遠心力で15分間遠心分離して得た上清を試験用のウイルス懸濁液とした。ウイルス懸濁液中のウイルス濃度は、2.5×108PFU/mlとした。
<試験内容及び試験結果>
〔試験1:細胞毒性確認試験〕
《試験内容》(試験サンプルの毒性の有無を確認する試験)
 1.EMEM0.1mLと試験サンプル1.9mLとを十分に混合し、これを毒性試験液とした。 
 2.薬剤不活化剤0.9mLに毒性試験液0.1mLを添加し、十分に撹拌した。
 3.2重量%のFBSを含むDMEMを用いて、10倍、10倍、10倍、10倍、10倍に希釈した希釈系列を作製した。
 4.プラーク測定法にて各希釈系列の細胞毒性の有無を確認した。
《試験結果》細胞毒性確認試験は、体内組織や血液に直接触れる医療機器の安全性試験では必須とされる試験である。表1に、細胞毒性確認試験を示した。表1において、細胞毒性確認試験で毒性を有しなかった場合には、「無」と表記した。本実施例の試験サンプルは、原液でも、毒性を有しなかった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
〔試験2:ウイルスへの細胞の感受性確認試験〕(薬剤不活化剤の反応停止機能の有無を確認する試験)
《試験内容》
 1.EMEM0.1mLと試験サンプル1.9mLとを十分に混合し、これを試験液とした。 
 2.薬剤不活化剤4.5mLに試験液0.5mLを添加し、十分に撹拌した。
 3.2重量%のFBSを含むDMEMを用いて、10倍、10倍、10倍、10倍、10倍の希釈系列を作製した。 
 4.EMEMを用いて4.3×10 PFU/mlに調整した上述のウイルス懸濁液を、各希釈系列に、該希釈系列の1/100容量添加した。
 5.上記4.の各希釈系列を室温で10分間静置した。
 6.プラーク測定法にて各希釈系列1mL当たりのウイルス感染価を測定し、ウイルスへの細胞の感受性を確認した。
《試験結果》
 表1に、ウイルスへの細胞の感受性を確認する試験の結果を示した。感受性の有無は、ウイルス感染価の常用対数平均値をもとめ、この常用対数平均値に基づいて、計算式・Ig(PBSのウイルス感染価(PFU/mL))-Ig(試験サンプルのウイルス感染価(PFU/mL))≦0.5の条件に合致するか否かについて判断した。この計算式の条件に合致する場合は、ウイルスの増殖が停止状態にあることを示しており、合致しない場合には、ウイルスが不活化されたことを示している。
 本実施例の原液、2倍希釈液、3倍希釈液のいずれのウイルス感染価も、PBSのウイルス感染価との差が0.5以下となった。このことから、薬剤不活化剤がSARS-CoV-2ウイルスの増殖を停止させていることが確認された。
〔試験3:本試験〕(ウイルスの不活化の有無を確認する試験)
《試験内容》
 1.ウイルス懸濁液0.1mLに対象サンプルまたは試験サンプル1.9mLを混合し、温度25℃で20秒、1分、5分間静置したものを感染試験液とした。 
 2.薬剤不活化剤0.9mLに感染試験液0.1mLを添加して十分に撹拌し、感染試験液でのウイルスの増加を停止させた。これを反応停止液とした。
 3.上記2.の反応停止液を10として、2重量%のFBSを含むDMEMで10倍、10倍、10倍、10倍、10倍の希釈系列を作製した。各希釈系列について、感染試験液0.1ml当たりのウイルス感染価をプラーク測定法にて測定し、感染試験液1ml当たりのウイルス感染価を算出した。
 4.表2に、ウイルスの不活化の有無を確認する試験の結果を示した。表2において、n1、n2、n3は、各対象サンプルまたは試験サンプルについて、3回試験を行ったことを示している。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
《試験結果》
 表2に示すように、対象サンプル(PBS)については、ウイルス感染価の常用対数値がほぼ一定であった。このことは薬剤不活化剤が有効に機能していることを示している。これに対し、試験サンプルについては、iW-100(アルカリイオン電解水)の原液は、ウイルス懸濁液に混合してから20秒経過後には、99.99%以上のウイルスを不活化させた。2倍希釈液では1分経過後に99.99%以上のウイルスを不活化させた。3倍希釈液でも、1分経過後には99.99%近くウイルスを不活化させた。このことから、アルカリイオン電解水(原液)はもちろん、アルカリイオン電解水をアルカリイオン電解水の2倍以下の容量の精製水で希釈した希釈液についても、優れたウイルス不活化性能を有していることがわかった。
<プラーク測定法による測定の様子>
 図1は、試験2について、シャーレ内の試験ウイルスの様子を撮影した写真である。図2は、試験3について、シャーレ内の試験ウイルスの様子を撮影した写真である。
 図1に示すように、PBSでは、反応停止液を希釈しない場合(希釈系列10倍)ではプラーク数が多すぎてカウントできず、10000倍希釈した場合(希釈系列10倍)にカウント可能なプラーク数となった。このように、PBSでは、ウイルスの増殖が著しかった。
 一方、本実施例のiW-100(アルカリイオン電解水)は、図2に示すように、原液はもとより3倍希釈液ですら、反応停止液による希釈をしない場合(10倍)でも、プラーク測定法によるプラーク数のカウントが可能であった。このことから、本実施例のiW-100は、ウイルスを不活化していることがわかった。
 以上説明したように、本実施例のiW-100は、原液でも細胞毒性を示さず、すなわち、人体への影響は確認されなかった。3倍希釈液でも、希釈液1分後には、99.99%近いウイルスが不活化させた。このことから、本実施例のウイルス不活化液によれば、1分以内にウイルス感染価の常用対数平均値で抗ウイルス活性値が3以上上がるレベルまで、SARS-CoV-2の不活化ができることがわかった。本実施例のiW-100の原液を、原液の2倍以下の容量で希釈した希釈液によれば、新型コロナウイルスを不活性でき、かつ、人肌に対しても優しいウイルス不活化液が得られることわかった。
 したがって、本実施例のiW-100を人肌に吹き付けることにより、人肌へ影響を低減させつつ新型コロナウイルスを不活化できる。
(実施例2)
<ウイルス不活化液の組成>
 実施例1の<原液の製造方法>に記載の原液の製造方法と同じ方法でiW-100(アルカリイオン電解水からなる原液)を製造し、原液中の含有物としてのナトリウム(Na)、リン(P)、カリウム(K)、ケイ素(Si)、塩素(Cl)について測定した。測定は、一般財団法人日本食品分析センターに依頼した。iW-100に含まれるナトリウム及びカリウムについては原子吸光光度法により測定し、リン及びケイ素についてはICP発光分析法により測定し、塩素については燃焼-電量滴定法により測定した。また、原液中のケイ素に対するリンの重量比、並びに、リン、ケイ素及び塩素の合計重量に対するナトリウム及びカリウムの合計重量の比を求めた。含有物には微量成分が含まれている可能性もあるが、含有物の合計は、ナトリウム、リン、カリウム、ケイ素及び塩素の重量の合計値としてもとめた。iW-100のサンプル数(n数)は5つとした。測定結果を表3に示した。
 また、各iW-100のpHを発明者において測定したところ、すべて12.0であった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 
 表3に示した5つのiW-100から、原液、2倍希釈液及び3倍希釈液の3種類のウイルス不活化液を調製した。これらのウイルス不活化液の中の各含有物及びその合計の各平均値を表4に示した。調製した3種類(原液、2倍希釈液、3倍希釈液)のウイルス不活化液はいずれもpHが12.0であった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 a)以上の結果から、ウイルス不活化液を100重量%としたときに、
 ナトリウム0.0001-1重量%、ケイ素0.00001-0.01重量%、塩素0.0001-0.1重量%、カリウム0-1重量%、及びリン0-0.1重量%であるとき、さらに、
 ナトリウム0.0001-0.3重量%、ケイ素0.00001-0.001重量%、塩素0.0001―0.1重量%、カリウム0-0.2重量%、及びリン0―0.1重量%であるとき、さらに、
 ナトリウム0.001-0.2重量%、ケイ素0.00005-0.005重量%、塩素0.001―0.05重量%、カリウム0.003―0.15重量%、及びリン0.002―0.1重量%であるとき、特に、
 ナトリウム0.01-0.2重量%、ケイ素0.0001-0.005重量%、塩素0.005―0.05重量%、カリウム0.01―0.15重量%、及びリン0.01―0.1重量%であるとき、あるいは、
 b)ウイルス不活化液中の含有物の合計を100重量%としたときに、
 ナトリウム10-60重量%、ケイ素0.2-5重量%、塩素5-15重量%、カリウム0-50重量%、及びリン0-40重量%であるとき、または
 ナトリウム20-50重量%、ケイ素0.5-0.9重量%、塩素7-12重量%、カリウム20―40重量%、及びリン10―30重量%であるとき
には、優れたウイルス不活化を実現できることがわかった。
 さらに、原液中のケイ素に対するリンの重量比が、10-50、さらには20-40であるとき、または/および、
 リン、ケイ素及び塩素の合計重量に対するナトリウム及びカリウムの合計重量の比が、1-3、さらには1.5-2.5であるとき
には、さらに優れたウイルス不活化を実現できることがわかった。

Claims (18)

  1.  i)精製水と、含有物としての少なくともナトリウム、ケイ素、および塩素とを含有し、前記精製水を99.5重量%より多く含有するアルカリイオン電解水、または、
     ii)前記アルカリイオン電解水を、前記アルカリイオン電解水の2倍以下の容量の前記精製水で希釈した希釈液、
    である、ウイルスの不活化が可能なウイルス不活化剤。
  2.  前記アルカリイオン電解水は、pH12.0±0.5である、請求項1に記載のウイルス不活化剤。
  3.  前記含有物としてのリン及びカリウムの少なくとも1種をさらに含む、請求項1または2に記載のウイルス不活化剤。
  4.  前記アルカリイオン電解水における前記精製水の含有量が99.7重量%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のウイルス不活化剤。
  5.  アルカリイオン水を有する、ウイルスの不活化が可能なウイルス不活化剤であって、
     前記アルカリイオン水は、含有物としての少なくともナトリウム、ケイ素、および塩素を有する、ウイルス不活化剤。
  6.  更に、前記含有物としてのリン及びカリウムの少なくとも1種を含有する、請求項5に記載のウイルス不活化剤。
  7.  前記ウイルス不活化剤のpHは12±0.5である、請求項5又は6に記載のウイルス不活化剤。
  8.  前記アルカリイオン水は、アルカリイオン電解水である、請求項5~7のいずれか1項に記載のウイルス不活化剤。
  9.  前記ウイルス不活化剤を100重量%としたときに、前記ウイルス不活化剤に含まれる含有物の合計は0.001重量%以上2重量%以下である、請求項5~8のいずれか1項に記載のウイルス不活化剤。
  10.  前記ウイルス不活化剤を100重量%としたときに、ナトリウム0.0001-1重量%、ケイ素0.00001-0.01重量%、塩素0.0001-0.1重量%、カリウム0-1重量%、及びリン0-0.1重量%である、請求項3又は6に記載のウイルス不活化剤。
  11.  前記ウイルス不活化剤を100重量%としたときに、ナトリウム0.0001-0.3重量%、ケイ素0.00001-0.001重量%、塩素0.0001-0.1重量%、カリウム0-0.2重量%、及びリン0-0.1重量%である、請求項10に記載のウイルス不活化剤。
  12.  前記ウイルス不活化剤を100重量%としたときに、ナトリウム0.001-0.2重量%、ケイ素0.00005-0.005重量%、塩素0.001-0.05重量%、カリウム0.003-0.15重量%、及びリン0.002-0.1重量%である、請求項11に記載のウイルス不活化剤。
  13.  前記ウイルス不活化剤を100重量%としたときに、ナトリウム0.01-0.2重量%、ケイ素0.0001-0.005重量%、塩素0.005-0.05重量%、カリウム0.01-0.15重量%、及びリン0.01-0.1重量%である、請求項12に記載のウイルス不活化剤。
  14.  前記ウイルス不活化剤中の含有物の合計を100重量%としたときに、ナトリウム10-60重量%、ケイ素0.2-5重量%、塩素5-15重量%、カリウム0-50重量%、及びリン0-40重量%である、請求項3、6及び10~13のいずれか1項に記載のウイルス不活化剤。
  15.  前記ウイルス不活化剤中の含有物の合計を100重量%としたときに、ナトリウム20-50重量%、ケイ素0.5-0.9重量%、塩素7-12重量%、カリウム20-40重量%、及びリン10-30重量%である、請求項14に記載のウイルス不活化剤。
  16.  前記ウイルス不活化剤において、ケイ素に対するリンの重量比は、10-50である、請求項3、6及び10~15のいずれか1項に記載のウイルス不活化剤。
  17.  前記ウイルス不活化剤において、リンとケイ素と塩素との合計重量に対するナトリウムとカリウムとの合計重量の比率は、1-3である、請求項3、6及び10~16のいずれか1項に記載のウイルス不活化剤。
  18.  前記ウイルス不活化剤はウイルス不活化液である、請求項1~17のいずれか1項に記載のウイルス不活化剤。
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