WO2022080123A1

WO2022080123A1 - 空気清浄機、空気清浄方法、空気清浄システム

Info

Publication number: WO2022080123A1
Application number: PCT/JP2021/035298
Authority: WO
Inventors: 文夫高橋
Original assignee: 文夫高橋
Priority date: 2020-10-16
Filing date: 2021-09-27
Publication date: 2022-04-21
Also published as: CN116367869A; JPWO2022080123A1; EP4230230A1

Abstract

空気清浄機は、外部の空気を吸い込むための吸い込み口が設けられた筐体（６）と、筐体（６）に収納されており、空気を清浄するためのフィルター（２）と、筐体（６）に収納されており、空気を送り出すための送風部材（３）と、送風部材（３）を回転駆動するための駆動部（４）と、フィルター（２）によって清浄された空気を外部へ吹き出すための吹き出し口として筐体（６）に備えられた拡散部材（７）とを有し、前記吸い込み口と前記吹き出し口とが隣り合っており、フィルター（２）で清浄された空気が拡散部材（７）によって拡散して吹き出される。これにより、人から人へのウイルスの感染防止に好適な空気清浄機等を提供することができる。

Description

空気清浄機、空気清浄方法、空気清浄システム

　本発明は、空気清浄機、空気清浄方法、空気清浄システムに関する。

　空気清浄機は、空気中に漂う埃、花粉、ウイルス等を除去して清浄な空気を供給する装置であり、吸い込んだ空気をフィルターに通して清浄な空気を吹き出すタイプや、清浄効果を高めるために清浄された空気にイオンを添加するタイプが知られている。

　一般に空気清浄機の技術課題は、空気清浄機１台で広範囲な空間を清浄することとされている。特許文献１には、広範囲の汚染空気を吸い込むことに適した構造が開示されている。特許文献２には、清浄された空気を広範囲に送出できる構造が開示されている。非特許文献１には、空気の吹き出しと吸い込みによって室内全体を空気が循環する流れを作り、遠方の埃を除去する概念が示されている。

特許第６７２４２２０号特開２０１７－１３３８２９号公報

ＳＨＡＲＰ空気清浄機パンフレット（ＫＣ－Ｊ５０／ＦＵ－Ｊ５０／ＦＵ－Ｊ３０）

　２０２０年、新型コロナウイルスの感染拡大が世界的な社会問題となった。感染症の流行は１００年前のペストを代表に何度も発生しており、世界がグローバル化し人と物が行き交う現代において感染症の流行のリスクは年々高まっている。新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスと同様に人のくしゃみ等で生じた飛沫を媒介に感染するとされている。微細な飛沫は空気の流れに乗って移流するため、空気を清浄に保つことが感染防止に有効となる。このため、空気中に漂う飛沫やウイルスを効果的に除去する空気清浄機が求められる。

　上述のように従来の空気清浄機は、総じて室内の広範囲を清浄することに適しており、空気清浄機で清浄された空気は勢いよく吹き出されて遠方まで達する。空気清浄機から吹き出された空気は室内の空気を巻き込みながら再び空気清浄機に戻ることにより、飛沫やウイルスが除去されて室内の空気は広範囲にわたって清浄される。

　しかしながら、室内の広範囲を清浄する従来の空気清浄機においては、室内に複数の人が集まる場合に感染者から発生した飛沫やウイルスが感染者の風下に位置する人に達して感染させてしまうおそれがある。即ち、従来の空気清浄機は人から人へのウイルスの感染を防止することに適していないという問題があった。

　そこで本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、人から人へのウイルスの感染防止に好適な空気清浄機、空気清浄方法、空気清浄システムを提供することを目的とする。

　上記課題を解決するために本発明は、
　外部の空気を吸い込むための吸い込み口が設けられた筐体と、
　前記筐体に収納されており、空気を清浄するためのフィルターと、
　前記筐体に収納されており、空気を送り出すための送風部材と、
　前記送風部材を回転駆動するための駆動部と、
　前記フィルターによって清浄された空気を外部へ吹き出すための吹き出し口として前記筐体に備えられた拡散部材とを有し、
　前記吸い込み口と前記吹き出し口とが隣り合っており、前記フィルターで清浄された空気が前記拡散部材によって拡散して吹き出されることを特徴とする空気清浄機を提供する。

　また本発明は、
　上記空気清浄機を人と人の間に配置することを特徴とする空気清浄方法を提供する。
　また本発明は、
　上記空気清浄機を複数台分散配置したことを特徴とする空気清浄システムを提供する。
　また本発明は、
　周辺の空気を局所的に清浄する空気清浄機を複数台分散配置したことを特徴とする空気清浄システムを提供する。

　本発明によれば、人から人へのウイルスの感染防止に好適な空気清浄機、空気清浄方法、空気清浄システムを提供することができる。

図１は本発明の第１実施形態に係る空気清浄機の構成を示す断面図である。図２は第１実施形態に係る空気清浄機の拡散部材の構成を示しており、図２Ａは拡散部材における孔の拡大断面図、図２Ｂは拡散部材の内側面の部分拡大図である。図３Ａは本発明の第２実施形態に係る空気清浄機の構成を示す断面図であり、図３Ｂは図３Ａの部分拡大図である。図４Ａは第２実施形態に係る空気清浄機の筐体内部を上方から見た図であり、図４Ｂは第２実施形態においてディフューザーガイドを支持する支持板の変形例を示す図である。図５は第２実施形態における筐体の変形例を示す断面図である。図６Ａは本発明の第３実施形態に係る空気清浄システムを示す図であり、図６Ｂは第３実施形態に係る空気清浄システムの変形例を示す図である。図７Ａは本発明の第４実施形態に係る空気清浄機の構成を示す断面図であり、図７Ｂは図７Ａの部分拡大図である。図８は第４実施形態に係る空気清浄機の拡散部材内部を上方から見た図である。図９Ａは本発明の第５実施形態に係る空気清浄機の構成を示す断面図であり、図９Ｂは第５実施形態に係る空気清浄機の拡散部材内部を上方から見た図である。図１０Ａは本発明の第６実施形態に係る空気清浄機の構成を示す断面図であり、図１０Ｂは第６実施形態に係る空気清浄機の筐体内部を上方から見た図である。

　本発明の目的は、主として空気清浄機に近接する空気を清浄する機能を有する空気清浄機によって達成される。この機能は空気清浄機の吹き出し口から空気を広角に拡散させて吹き出すこと、及び空気の吸い込み口を吹き出し口に近づけることで得られる。

　斯かる機能を有する空気清浄機の概念的な設計要件を詳しく説明する。空気清浄機は空気を吸い込み、吸い込んだ空気をフィルターで清浄後、吹き出す装置である。フィルターによって除去される不純物は微量であり、吸い込まれる空気と実質的に等量の空気が空気清浄機から噴出される。空気清浄機における空気の吹き出し及び吸い込みをそれぞれ１つの点で単純化すると、空気清浄機の外部の空気の流れは吹き出し点から吸い込み点に向かうポテンシャル流でモデル化される。このポテンシャル流では吹き出し点と吸い込み点の間の距離に比べて動径（２点の重心点からの距離）が十分大きくなると、動径位置での速度は動径の３乗に逆比例して減少する。動径が小さくなり概ね吹き出し点と吸い込み点の間の距離以下となると吹き出し点、吸い込み点それぞれの位置の影響を受け大きな速度が生じる近接場となる。ある有限の部屋を想定したとき、吸い込み口と吹き出し口を極力近づけて近接場の領域を減らすことが第１の設計要件となる。第２の設計要件は吹き出し部で噴流が生じることを防止することである。空気が広い空間に吹き出すとき、往々にして特定の方向に直進する噴流となって先のポテンシャル流よりも遠方に到達する。噴流が生じることを防止するために流れを広角に拡散させて空気を吹き出す。

　本発明の各実施形態に係る空気清浄機を添付図面に基づいて説明する。
（第１実施形態）
　図１は本発明の第１実施形態に係る空気清浄機の構成を示す断面図である。
　図１に示す空気清浄機１は、フィルター２、ファン３、駆動部４、仕切り部材５、これらを収納する筐体６、及び拡散部材７からなる。

　筐体６は、一端が閉塞された円筒形状をしており、側壁６ａと底壁６ｂとからなる。側壁６ａには、側壁６ａを貫通する多数の微孔８が側壁６ａの全面にわたって形成されており、筐体６外部の空気を吸い込むことが可能になっている。

　フィルター２は、筐体６よりも小径の円筒形状をしており、筐体６内に側壁６ａと同心円状に配置されている。フィルター２は、ガラス繊維等を束ねてなる多孔質材からなり、空気を清浄する、即ち空気中の埃、花粉、ウイルス等を除去するものである。なお、フィルター２の種類や構成はこれに限られるものではない。

　ファン３は、筐体６内の空気を上方へ送り出すものであり、フィルター２の上端付近に配置されている。

　駆動部４は、ファン３を回転軸９を介して駆動するモーター１０、モーター１０に電力を供給する電源１１からなる。駆動部４は筐体６内のフィルター２の内側に配置されており、ファン３の回転軸９、フィルター２、側壁６ａが同心となっている。なお、電源１１はコンセント式でもバッテリー式でもよい。

　仕切り部材５は、フィルター２の上端から筐体６の側壁６ａへ水平に延在してフィルター２と側壁６ａの間に形成された空間を上方から閉塞するための円環状の板部材からなる。仕切り部材５により、フィルター２を通過した空気とフィルター２を通過していない空気とが筐体６内で混ざり合ってしまうことを防ぐことができる。

　拡散部材７は、中空の半球形状をした多孔質材からなる。拡散部材７には、多数の孔１２が拡散部材７の全面にわたって形成されている。孔１２は、図２（ａ）及び図２（ｂ）に示すように拡散部材７の外側面７ａから内側面７ｂへ向かって先細りするように延びる六角形状の貫通孔であり、拡散部材７に蜂の巣状に設けられている。斯かる構成の拡散部材７により、ファン３で送り出された筐体６内の空気を拡散部材７の曲面の垂直方向へ均一化した流束で吹き出すことができる。なお、この効果をより高めるために拡散部材７の内側面７ｂに多孔質の抵抗体をさらに設けてもよい。また、斯かる拡散部材７の構成は一例を示したものであり、これに限られるものではない。

　以上の構成の下、本実施形態に係る空気清浄機１は、駆動部４によってファン３が回転することにより、空気清浄機１周辺の空気が筐体６の側壁６ａから吸い込まれる。この空気はフィルター２を通過することで埃、花粉、ウイルス等が除去、即ち清浄される。そして清浄された空気はファン３によって上方へ送り出され、拡散部材７を介して拡散されて空気清浄機１の外部へ吹き出される。このようにして本実施形態に係る空気清浄機１は周囲の空気を清浄することができる。

　ここで、本実施形態に係る空気清浄機１では、筐体６の側壁６ａが空気の吸い込み口を構成し、拡散部材７が清浄された空気の吹き出し口を構成しており、吸い込み口と吹き出し口とが隣接している。即ち、空気清浄機１は先に述べた吸い込み口と吹き出し口を極力近づけるという第１の設計要件を満足している。
　また、本実施形態に係る空気清浄機１では、清浄された空気は拡散部材７によって拡散部材７の曲面の垂直方向へ均一化した流束で吹き出される。したがって、吹き出し部で特定方向に直進する噴流が生じることを防止するという第２の設計要件を満足している。

　本実施形態に係る空気清浄機１は、第１及び第２の設計要件を満足することにより、空気清浄機１の周辺において空気が吹き出し口から吸い込み口へ循環する流れが生じ、即ち空気清浄機１に近接する空気を清浄することができる。これにより本実施形態に係る空気清浄機１は、従来の空気清浄機のように感染者から発生した飛沫やウイルスが感染者の風下に位置する人に達して感染させてしまうことがなく、人から人へのウイルスの感染を効果的に防止することができる。具体的には、例えば２人の人の間に空気清浄機１を配置した場合、２人の間の空気を空気清浄機１で局所的に清浄でき、即ち２人は空気清浄機１を挟んで清浄された空気で隔てられるため、ウイルスの感染を効果的に防止することができる。

（第２実施形態）
　図３Ａは本発明の第２実施形態に係る空気清浄機の構成を示す断面図である。
　図３Ａに示す空気清浄機１５について、上記第１実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
　図３Ａに示すように本実施形態に係る空気清浄機１５は、フィルター２、フィルター２の支持棒１３、フィルター２と支持棒１３を収納する筐体１４、回転軸９、駆動部４、筐体１４を支持する脚１６からなる。

　筐体１４は、中空の扁平球状をしており、詳細には中心軸に沿った断面が長さの等しい２辺（上辺及び下辺）と２つの半円形からなる角丸長方形状をしている。
　筐体１４の上壁１４ａ及び下壁１４ｂ（扁平球の上面及び下面）の中央部分には、上壁１４ａ及び下壁１４ｂを貫通する多数の微孔８が形成されており、筐体１４外部の空気を吸い込むことが可能になっている。なお、下壁１４ｂの中心部には、回転軸９を通すための円形開口１７も設けられている。
　筐体１４の半円形部分１４ｃ（扁平球の側面）は上記第１実施形態の拡散部材７と同様の構成になっており、六角形状の多数の孔１２が半円形部分１４ｃの全面にわたって蜂の巣状に形成されている。
　斯かる筐体１４には円筒状のフィルター２が回転可能に収納されている。

　フィルター２の上端及び下端には、フィルター２と同径なリング状の板状部材１８、１８が取り付けられている。図３Ａ及び図４Ａに示すようにフィルター２の上端側の板状部材１８は４本の支持棒１３を介して回転軸９に固定されており、フィルター２の下端側の板状部材１８もこれと同様である。この構成により、駆動部４によって回転軸９が回転することにより、回転軸９と一体的にフィルター２を回転させることができる。そしてフィルター２の回転によって生じる遠心力により、筐体１４内の空気を径方向外側へ向かって送り出すことができる。

　脚１６は、筐体１４の下壁１４ｂから下方へ向かって延びた４本の棒状部材からなる。駆動部４はこの４本の棒状部材の中心に位置している。脚１６で筐体１４を支持する構成としたことにより、筐体１４外部の空気が筐体１４の下壁１４ｂの微孔８から吸い込まれる際にこれを脚１６が妨げることがない。

　図３Ｂに示すように筐体１４内には、フィルター２と筐体１４の半円形部分１４ｃとの間に、筐体１４内の空気の流れを調節するためのディフューザーガイド１９が備えられている。ディフューザーガイド１９は、上下方向において等間隔に配置された水平方向幅の異なる複数の板状円環部材からなる。各板状円環部材は、フィルター２から筐体１４の半円形部分１４ｃへ向かって水平に延び、半円形部分１４ｃと略垂直をなすように外側縁部が傾斜している。斯かる構成のディフューザーガイド１９により、フィルター２で清浄された空気を拡散部材７の内側面全体へ均一に導くことができる。

　図４Ａに示すようにディフューザーガイド１９を構成する各板状円環部材は、筐体１４の上壁１４ａから下壁１４ｂへ架設された４枚の支持板２１によって支持されている。４枚の支持板２１は、上方から見てフィルター２の外周面に垂直な方向から所定角度傾けて配置されている。言い換えれば、４枚の支持板２１はフィルター２からの空気の吹き出し方向に沿うように斜めに配置されている。

　以上の構成の下、本実施形態に係る空気清浄機１５では、駆動部４によってフィルター２を回転させると、フィルター２内の空気がフィルター２とともに回転することで遠心力が発生し、フィルター２の内側面から外側面に向かう径方向外側の空気の流れが生じる。これにより、空気清浄機１５周辺の空気は筐体１４の上壁１４ａ及び下壁１４ｂから吸い込まれる。この空気はフィルター２を通過することで清浄される。そして清浄された空気は、ディフューザーガイド１９で案内されて筐体１４の半円形部分１４ｃへ達する。このとき、回転するフィルター２から吹き出された清浄された空気の流れは旋回成分を持っているが、ディフューザーガイド１９によって空気の流量を調節して筐体１４の半円形部分１４ｃへ均等に導くことができる。そして、半円形部分１４ｃへ達した清浄された空気は、半円形部分１４ｃを介して拡散されて空気清浄機１５の外部へ吹き出される。このようにして本実施形態に係る空気清浄機１５は周囲の空気を清浄することができる。

　ここで、本実施形態に係る空気清浄機１５では、筐体１４の上壁１４ａ及び下壁１４ｂが空気の吸い込み口を構成し、半円形部分１４ｃが清浄された空気の吹き出し口を構成しており、吸い込み口と吹き出し口とが隣接しており、第１の設計要件を満足している。
　また、本実施形態に係る空気清浄機１５では、清浄された空気は半円形部分１４ｃによって半円形部分１４ｃの曲面の垂直方向へ均一化した流束で吹き出されるため、第２の設計要件も満足している。

　本実施形態に係る空気清浄機１５は、第１及び第２の設計要件を満足しており、上記第１実施形態に係る空気清浄機１と同様の効果を奏することができる。
　特に、本実施形態に係る空気清浄機１５は、フィルター２が送風機構の役割を果たす構成であるため、送風機構としてファン３を備える上記第１実施形態に係る空気清浄機１に比して筐体１４内で送風機構が占める体積を減らすことができる。さらに、通常の空気清浄機では、圧力損失を低減するために空気がフィルターを通過する速度が小さいように設計される。本実施形態に係る空気清浄機１５では、フィルター２の側面から出た清浄された空気を筐体１４の半円形部分１４ｃへ直接的に導くことにより、空気の速度が小さく維持することができる。したがって、第１及び第２の設計要件を良好に満足することができる。

　なお、本実施形態に係る空気清浄機１５において、筐体１４内でディフューザーガイド１９を支持する支持板２１の構成は上述のものに限られない。例えば支持板２１の代わりに図４Ｂに示す翼型の支持板２２を用いることもできる。図４Ｂは第２実施形態に係る空気清浄機１５において筐体１４内でディフューザーガイド１９を支持する支持板２１の変形例を示す図である。

　図４Ｂに示す支持板２２は、支持板２１と同様、フィルター２からの空気の吹き出し方向に沿うように、上方から見てフィルター２の外周面に垂直な方向から所定角度傾けて配置されている。そして回転軸９から見て支持板２２の外側部分２２ａは、径方向外側へ向かって屈曲しているとともに外側先端へ向かって厚みが薄くなっている。斯かる形状により支持板２２は、回転するフィルター２から吹き出された空気を案内して当該空気に含まれている旋回成分を除去することができる。

　また、回転軸９から見て支持板２２の内側部分２２ｂは鈍頭形状をしている。本実施形態に係る空気清浄機１５においてフィルター２の回転数を変えることにより、フィルター２から吹き出される空気の風量が増減し、またフィルター２からの空気の吹き出し方向も変化する。フィルター２からの空気の吹き出し方向が変化した場合でも、支持板２２の内側部分２２ｂを鈍頭形状としたことにより、当該内側部分２２ｂにおいて空気の剥離が生じて空気の流れを阻害してしまうことを効果的に防止することができる。

　なお、本実施形態に係る空気清浄機１５において、筐体１４の構成は上述のものに限られない。例えば筐体１４の代わりに図５に示す筐体２３を用いることもできる。図５は第２実施形態に係る空気清浄機１５における筐体１４の変形例を示す図である。

　図５に示す筐体２３は、上述の筐体１４において円形の上壁１４ａの半径よりも上壁１４ａと同心で円形の下壁１４ｂの半径を大きくしたものである。詳しくは、筐体２３の中心軸に沿った断面が平行な上辺及び下辺とこれらを接続する２つの略半円形とからなる形状であり、かつ上辺よりも下辺が長くなっている。また、下壁１４ｂには微孔８が形成されておらず、上壁１４ａの多数の微孔８のみから筐体２３外部の空気を吸い込むことが可能である。なお、筐体６内には不図示のディフューザーガイド１９も備えられている。

　斯かる構成の筐体２３を用いることにより、図５に示すように半円形部分１４ｃの上部から吹き出された清浄された空気は小さな円を描いて循環し、半円形部分１４ｃの下部から吹き出された清浄された空気は大きな円を描いて循環することができるため、空気清浄機１５の周囲、特に上方の空気を効果的に清浄することができる。

（第３実施形態）
　図６Ａは本発明の第３実施形態に係る空気清浄システムを示す図である。
　図６Ａに示すように空気清浄システム２５は、空気清浄機周辺の空気を局所的に清浄可能な上記第２実施形態に係る空気清浄機１５を複数台床置き配置してなる。人が集まる空間において複数台の空気清浄機１５を複数の人の間に分散して配置することにより、人と人の間の空気を局所的に清浄できるため、人と人は空気清浄機１５を挟んで清浄された空気で隔てられる。これにより、室内全体へ及ぶ空気の循環流の発生を避けることができるため、感染者の下流に位置する人へのウイルスの感染が生じにくい。言い換えれば、室内の広い範囲を清浄する従来の空気清浄機は往々にして人のいない天井や部屋の隅まで清浄するのに対し、本実施形態の空気清浄システム２５は人が集まる空間に絞って清浄することができる。空気清浄機１５は吹き出しの流路が拡大されて流路断面積が増え、人が集まる空間で清浄される体積を大きく確保できるため、人から人へのウイルスの感染を効率良く低減することができる。

　なお、本実施形態に係る空気清浄システム２５では、複数台の空気清浄機１５に代えて上記第１実施形態に係る空気清浄機１、後述する第４～６実施形態に係る空気清浄機３０、３５、４０を複数台用いることも勿論可能である。

　また、本実施形態に係る空気清浄システム２５において、複数台の空気清浄機１５の配置は床置きに限られない。図６Ｂは第３実施形態に係る空気清浄システム２５の変形例を示す図である。図６Ｂに示すように、人が集まる空間の上方に空気清浄機１５を吊り下げ保持するための保持部材２６を設け、この保持部材２６に複数台の空気清浄機１５を吊り下げ配置する構成としてもよく、これにより上述の床置き配置と同様の効果を奏することができる。

（第４実施形態）
　図７Ａは本発明の第４実施形態に係る空気清浄機の構成を示す断面図である。
　図７Ａに示す空気清浄機３０について、上記第１、第２実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
　図７Ａに示すように空気清浄機３０は、フィルター２、フィルター２の上方に配置された遠心ファン３１、遠心ファン３１を駆動する駆動部３２、仕切り部材５、これらを収納する筐体６、及び拡散部材７からなる。

　上記第１実施形態に係る空気清浄機１では軸流型のファン３を採用している。これに対して本実施形態に係る空気清浄機３０では、空気の大流量化と低騒音化に有利な遠心型の遠心ファン３１を採用している。遠心ファン３１は、回転方向に沿って配置された複数枚の羽根３１ａ（図８を参照）を備えた環状の回転体が回転することにより、羽根３１ａ間の空気を連れ回して遠心力を発生させ、回転体の内側から外側へ向かう空気の流れを誘起するものである。なお、遠心ファン３１と仕切り部材５の間には、回転する遠心ファン３１が仕切り部材５に接触しないように間隙３３が設けられている。

　駆動部３２は、上記第１実施形態における駆動部４と同様、遠心ファン３１を駆動するモーター、該モーターに電力を供給する電源からなる。駆動部３２は遠心ファン３１の上部に配置されており、遠心ファン３１の回転中心、フィルター２、側壁６ａが同心となっている。

　拡散部材７は、上記第２実施形態における筐体１４と同様、中空の扁平球形状をしている。拡散部材７の上面は、第２実施形態と異なり空気を通さない上壁３４によって閉塞され、上壁３４の内側面には駆動部３２が固定されている。なお、拡散部材７の下面は開放されており、筐体６の上端に取り付けられている。

　図７Ｂに示すように拡散部材７内には、遠心ファン３１と拡散部材７の半円形部分７ｃとの間に、第２実施形態と同様のディフューザーガイド１９が備えられている。図８に示すようにディフューザーガイド１９は、第２実施形態の変形例として上述した図４Ｂに示す翼型の支持板２２によって支持されている。

　以上の構成の下、本実施形態に係る空気清浄機３０は、駆動部３２によって遠心ファン３１が回転することにより、空気清浄機３０周辺の空気が筐体６の側壁６ａから吸い込まれる。この空気はフィルター２を通過することで清浄される。そして清浄された空気（以下「清浄空気」ともいう）は遠心ファン３１によって上方へ導かれ、遠心ファン３１の内側から外側、即ち径方向外側へ送り出される。この清浄空気は、ディフューザーガイド１９で案内され、拡散部材７の半円形部分７ｃへ達する。なお、回転する遠心ファン３１から送り出された清浄空気の流れは旋回成分を持っているが、支持板２２により効果的に旋回成分を除去しつつ、ディフューザーガイド１９によって空気の流れを均一に減速し拡散部材７の半円形部分７ｃへ導くことができる。そして、半円形部分７ｃへ達した清浄空気は、半円形部分７ｃを介して拡散されて空気清浄機３０の外部へ吹き出される。このようにして本実施形態に係る空気清浄機３０は周囲の空気を清浄することができる。

　ここで、本実施形態に係る空気清浄機３０では、筐体６の側壁６ａが空気の吸い込み口を構成し、拡散部材７の半円形部分７ｃが清浄された空気の吹き出し口を構成しており、吸い込み口と吹き出し口とが隣接しており、第１の設計要件を満足している。
　また、本実施形態に係る空気清浄機３０では、清浄された空気は半円形部分７ｃによって半円形部分７ｃの曲面の垂直方向へ均一化した流束で吹き出されるため、第２の設計要件も満足している。

　本実施形態に係る空気清浄機３０は、第１及び第２の設計要件を満足しており、上記第１実施形態に係る空気清浄機１と同様の効果を奏することができる。
　特に、本実施形態に係る空気清浄機３０は、送風機構として遠心ファン３１を採用したことにより、軸流型のファン３を備える上記第１実施形態に係る空気清浄機１に比して、空気の大流量化即ち清浄能力の向上と低騒音化とを実現することができる。

（第５実施形態）
　図９Ａは本発明の第５実施形態に係る空気清浄機の構成を示す断面図である。
　図９Ａに示す空気清浄機３５について、上記第４実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
　図９Ｂに示すように空気清浄機３５は、第４実施形態に係る空気清浄機３０においてディフューザーガイド１９の代わりに、ディフューザーガイド３６とシェル（案内部材）３７を備えてなる。

　ディフューザーガイド３６は、ディフューザーガイド１９を構成する各板状円環部材を、上方から見て同じ箇所、詳細には任意の支持板２２の後ろ側近傍から２枚目と３枚目の支持板２２の間まで、より詳細には中心から見て約１３５度分を切り欠いてＣ字形状にしたものからなる。

　シェル３７は、断面が緩やかなＵ字形の板状部材を貝状に湾曲させてなるものである。シェル３７はディフューザーガイド３６を構成する各板状円環部材の切り欠かれた部分に、当該部分を覆うように配置されている。詳細には、図９Ｂに示すようにシェル３７の一端は上述した任意の支持板２２の内側端部近傍に配置され、シェル３７の他端は各板状円環部材の外側端部近傍に配置されている。

　以上の構成の下、本実施形態に係る空気清浄機３５は、上記第４実施形態に係る空気清浄機３０と同様の効果を奏することができる。

　特に、本実施形態に係る空気清浄機３５において、遠心ファン３１により送り出された清浄空気のうちシェル３７へ向かって進行する清浄空気は、シェル３７により遠心ファン３１の回転方向へ案内されてディフューザーガイド３６、詳しくは各板状円環部材の切り欠かれた端部へ導かれる。これにより清浄空気は、各板状円環部材で案内され、拡散部材７の半円形部分７ｃを介して拡散されて空気清浄機３５の外部へ吹き出される。このように空気清浄機３５は、シェル３７へ向かって進行する清浄空気をロスすることなくディフューザーガイド１９へ導き空気清浄機３５の外部へ吹き出すことができる。そして、遠心ファン３１の回転中心から見てシェル３７の背面側に空気の流れが生じることを防ぐことができる。したがって、空気清浄機３５を例えば壁や椅子の背もたれ等の近くに配置して使用する際に、シェル３７の背面側に壁や椅子の背もたれ等が位置するようにすることで、清浄空気が壁や椅子の背もたれ等に衝突して意図しない方向へ空気の流れが生じて結果としてウイルスを拡散してしまうことを効果的に防止することができる。

（第６実施形態）
　図１０Ａは本発明の第６実施形態に係る空気清浄機の構成を示す断面図である。
　図１０Ａに示す空気清浄機４０について、上記第２、５実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
　図１０Ａに示す空気清浄機４０は、図５に示す第２実施形態の変形例に係る空気清浄機に対して第５実施形態で述べたディフューザーガイド３６、シェル３７及び支持板２２を適用したものである。

　以上の構成の下、本実施形態に係る空気清浄機４０は、上記第２実施形態に係る空気清浄機１５と同様の効果を奏することができる。

　また、上記第５実施形態に係る空気清浄機３５と同様に、本実施形態に係る空気清浄機４０を例えば壁や椅子の背もたれ等の近くに配置して使用する際に、清浄空気が壁や椅子の背もたれ等に衝突して意図しない方向へ空気の流れが生じて結果としてウイルスを拡散してしまうことを効果的に防止することができる。

　以上、上記各実施形態によれば、人から人へのウイルスの感染防止に好適な空気清浄機、空気清浄方法、空気清浄システムを実現することができる。

１、１５、３０、３５、４０　　空気清浄機
２　　　　　　　フィルター
３　　　　　　　ファン
４、３２　　　　駆動部
６、１４、２３　筐体
７　　　　　　　拡散部材
８　　　　　　　微孔
９　　　　　　　回転軸
１０　　　　　　モーター
１１　　　　　　電源
１２　　　　　　孔
１３　　　　　　支持棒
１６　　　　　　脚
１８　　　　　　板状部材
１９、３６　　　ディフューザーガイド
２１、２２　　　支持板
２５　　　　　　空気清浄システム
３１　　　　　　遠心ファン
３１ａ　　　　　遠心ファンの羽根
３７　　　　　　シェル

Claims

　外部の空気を吸い込むための吸い込み口が設けられた筐体と、
　前記筐体に収納されており、空気を清浄するためのフィルターと、
　前記筐体に収納されており、空気を送り出すための送風部材と、
　前記送風部材を回転駆動するための駆動部と、
　前記フィルターによって清浄された空気を外部へ吹き出すための吹き出し口として前記筐体に備えられた拡散部材とを有し、
　前記吸い込み口と前記吹き出し口とが隣り合っており、前記フィルターで清浄された空気が前記拡散部材によって拡散して吹き出されることを特徴とする空気清浄機。
　拡散部材には、拡散部材の外側面から内側面へ向かって先細りするように延びる六角形状の貫通孔が蜂の巣状に形成されていることを特徴とする請求項１に記載の空気清浄機。
　前記筐体は円筒形状であり、
　前記吸い込み口は円筒形状の前記筐体の側面に設けられており、
　前記フィルターは前記筐体と同心かつ前記筐体より小径な円筒形状であり、
　前記送風部材は前記フィルター内に配置されたファンからなり、
　前記拡散部材は円筒形状の前記筐体の一端に配置されており中空の半球形状であることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の空気清浄機。
　前記筐体は円筒形状であり、
　前記吸い込み口は円筒形状の前記筐体の側面に設けられており、
　前記フィルターは前記筐体と同心かつ前記筐体より小径な円筒形状であり、
　前記送風部材は前記フィルターの上方に配置された遠心ファンからなり、
　前記拡散部材は円筒形状の前記筐体の上端に配置されており、前記遠心ファンを収納する中空の扁平球状であり、
　前記拡散部材の上面は空気を通さないように閉塞されていることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の空気清浄機。
　前記筐体は中空の扁平球状であり、
　前記吸い込み口は前記筐体の上面と下面のうちの少なくとも上面に設けられており、
　前記フィルターは前記筐体と同心かつ前記筐体より小径な円筒形状であり、
　前記送風部材は前記フィルターからなり、前記フィルターを前記駆動部で回転させることにより空気を径方向外側へ向かって送り出し、
　前記筐体の側面に前記拡散部材が配置されていることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の空気清浄機。
　前記筐体の中心軸に沿った断面が同じ長さの平行な上辺及び下辺とこれらを接続する２つの半円形とからなる形状であり、
　前記吸い込み口は前記筐体の上面及び下面に設けられていることを特徴とする請求項５に記載の空気清浄機。
　前記筐体の中心軸に沿った断面が平行な上辺及び下辺とこれらを接続する２つの略半円形とからなる形状で、かつ前記上辺よりも前記下辺が長く、
　前記吸い込み口は前記筐体の上面のみに設けられていることを特徴とする請求項５に記載の空気清浄機。
　前記フィルターと前記拡散部材との間又は前記遠心ファンと前記拡散部材との間に、前記フィルターで清浄された空気を前記拡散部材の内側面全体へ導くためのディフューザーガイドが備えられていることを特徴とする請求項４から請求項７のいずれか一項に記載の空気清浄機。
　前記ディフューザーガイドは、上下方向に間隔をあけて配置された複数の板状円環部材からなり、複数の前記板状円環部材は、水平に延びて前記拡散部材と垂直をなすように外側縁部が傾斜していることを特徴とする請求項８に記載の空気清浄機。
　複数の前記板状円環部材は上方から見て同じ箇所が切り欠かれたＣ字形状をしており、
　複数の前記板状円環部材の切り欠かれた部分には、径方向外側へ送り出された清浄された空気を前記送風部材の回転方向へ案内して複数の前記板状円環部材へ導く案内部材が備えられていることを特徴とする請求項９に記載の空気清浄機。
　前記ディフューザーガイドは、清浄された空気の旋回成分を除去する板状部材に支持されていることを特徴とする請求項８から１０のいずれか一項に記載の空気清浄機。
　請求項１から請求項１１のいずれか一項に記載の空気清浄機を人と人の間に配置することを特徴とする空気清浄方法。
　請求項１から請求項１１のいずれか一項に記載の空気清浄機を複数台分散配置したことを特徴とする空気清浄システム。
　周辺の空気を局所的に清浄する空気清浄機を複数台分散配置したことを特徴とする空気清浄システム。