WO2022070592A1 - 密封装置 - Google Patents

密封装置 Download PDF

Info

Publication number
WO2022070592A1
WO2022070592A1 PCT/JP2021/028598 JP2021028598W WO2022070592A1 WO 2022070592 A1 WO2022070592 A1 WO 2022070592A1 JP 2021028598 W JP2021028598 W JP 2021028598W WO 2022070592 A1 WO2022070592 A1 WO 2022070592A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
inner peripheral
outer peripheral
peripheral side
facing surface
axis
Prior art date
Application number
PCT/JP2021/028598
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
亮輔 野村
Original Assignee
Nok株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nok株式会社 filed Critical Nok株式会社
Priority to JP2022553505A priority Critical patent/JPWO2022070592A1/ja
Priority to CN202180064446.9A priority patent/CN116209838A/zh
Priority to EP21874895.2A priority patent/EP4224028A1/en
Publication of WO2022070592A1 publication Critical patent/WO2022070592A1/ja

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16JPISTONS; CYLINDERS; SEALINGS
    • F16J15/00Sealings
    • F16J15/16Sealings between relatively-moving surfaces
    • F16J15/32Sealings between relatively-moving surfaces with elastic sealings, e.g. O-rings
    • F16J15/3248Sealings between relatively-moving surfaces with elastic sealings, e.g. O-rings provided with casings or supports
    • F16J15/3252Sealings between relatively-moving surfaces with elastic sealings, e.g. O-rings provided with casings or supports with rigid casings or supports
    • F16J15/3256Sealings between relatively-moving surfaces with elastic sealings, e.g. O-rings provided with casings or supports with rigid casings or supports comprising two casing or support elements, one attached to each surface, e.g. cartridge or cassette seals
    • F16J15/3264Sealings between relatively-moving surfaces with elastic sealings, e.g. O-rings provided with casings or supports with rigid casings or supports comprising two casing or support elements, one attached to each surface, e.g. cartridge or cassette seals the elements being separable from each other
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/72Sealings
    • F16C33/76Sealings of ball or roller bearings
    • F16C33/80Labyrinth sealings
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/72Sealings
    • F16C33/76Sealings of ball or roller bearings

Abstract

軸受の内部空間の温度の上昇及び圧力の上昇を抑制しつつ、シール性能をより向上させる。 密封装置(1)は、外輪に取り付けられる環状の外周部材(10)と、内輪に取り付けられる環状の内周部材(20)とを備えている。外周部材(10)は、軸線(x)に沿って延びる軸線(x)周りに環状の面である外周対向面(30)を有しており、内周部材(20)は、軸線(x)に沿って延びる軸線(x)周りに環状の面である内周対向面(40)を有している。外周対向面(30)と内周対向面(40)とは、内周対向面(40)が外周対向面(30)に内周側から対向して環状の空間(g)を形成するように設けられている。内周対向面(40)には、内周対向面(40)から外周側に突出する、軸線(x)に沿って延びる突起である内周側突起(50)が複数形成されている。

Description

密封装置
 本発明は、軸受の密封装置に関する。
 軸受には、軸受内の潤滑剤の漏洩を防止すると共に、転動体が収容されている外輪と内輪との間の空間である内部空間へのダストや泥水、水等の異物の進入を防止するために、密封装置が用いられている。内部空間は、軸方向における両端部が開放されており、密封装置は、この両端部に夫々取り付けられて、内部空間の密封を図っている。
 軸受が支持する軸の回転に伴って軸受の内部空間の温度は上昇し、内部空間の圧力は上昇する。特に、鉄道車両の車軸用の軸受等の回転速度の速い軸を支える軸受においては、軸の回転に伴って、内部空間の温度が高くなり、また、内部空間の圧力が高くなる。
 このような内部空間の温度や圧力の上昇を抑制するための構成を有する密封装置は従来から提案されており、例えば、リップシールタイプの密封装置において、内部空間の空気を排出可能にするベントが設けられた密封装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、ラビリンスシールタイプの密封装置も提案されている。
特開2008-232301号公報
 軸の回転による軸受の内部空間の温度や圧力の上昇を抑制するための構成を有する密封装置は従来から提案されているが、ベントを有する密封装置においては、ベントのつまりによってベントが作用しない虞がある。また、ラビリンスシールタイプの密封装置に対しては、シール性能の更なる向上が求められている。
 このように、従来の軸受に用いられる密封装置に対しては、軸受の内部空間の温度の上昇及び圧力の上昇を抑制しつつ、シール性能をより向上させることができる構成が求められていた。
 本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、軸受の内部空間の温度の上昇及び圧力の上昇を抑制しつつ、シール性能をより向上させることができる密封装置を提供することにある。
 上記目的を達成するために、本発明に係る密封装置は、軸受の内輪と外輪との間の空間を密封するための密封装置であって、前記外輪に取り付けられる軸線周りに環状の外周部材と、前記内輪に取り付けられる前記軸線周りに環状の内周部材とを備え、前記外周部材は、前記軸線に沿って延びる前記軸線周りに環状の面である外周対向面を有しており、前記内周部材は、前記軸線に沿って延びる前記軸線周りに環状の面である内周対向面を有しており、前記外周対向面と前記内周対向面とは、前記内周対向面が前記外周対向面に内周側から対向して環状の空間を形成するように設けられており、前記内周対向面には、前記内周対向面から外周側に突出する、前記軸線に沿って延びる突起である内周側突起が複数形成されていることを特徴とする。
 本発明の一態様に係る密封装置において、前記内周側突起の前記軸線周りの方向の幅は、前記空間側に向かうに連れて細くなっている。
 本発明の一態様に係る密封装置において、前記内周側突起の前記内周対向面からの突出量は、前記空間側に向かうに連れて小さくなっている。
 本発明の一態様に係る密封装置において、前記外周対向面は、前記空間側に向かうに連れて拡径している。
 本発明の一態様に係る密封装置において、前記内周側突起は弾性材料から形成されている。
 本発明の一態様に係る密封装置において、前記外周対向面には、前記外周対向面から内周側に突出する、前記軸線に沿って延びる突起である外周側突起が複数形成されている。
 本発明の一態様に係る密封装置において、前記外周側突起は弾性材料から形成されている。
 本発明の一態様に係る密封装置において、前記内周部材の外周側の端面には、ダストリップが設けられており、前記ダストリップは、前記外周部材に接触するように形成されている。
 本発明に係る密封装置によれば、軸受の内部空間の温度の上昇及び圧力の上昇を抑制しつつ、シール性能をより向上させることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る密封装置の概略構成を示す、軸線に沿う断面における断面図である。 図1に示す密封装置の断面の片側を示す拡大断面図である。 図1に示す密封装置の部分拡大断面図である。 径方向外周側から見た図1に示す密封装置の内周部材の内周対向面を概略的に示す部分拡大図であり、内周側突起を示す図である。 図4に示す内周側突起を拡大して示す部分拡大斜視図である。 図5に示す内周側突起の延び方向に沿う断面図である。 図5に示す内周側突起の延び方向に直交する幅方向に沿う断面図である。 軸受に取り付けられた使用状態における本発明の第1の実施の形態に係る密封装置の断面図である。 使用状態における潤滑剤の動きを示すための図である。 使用状態における潤滑剤の動きを示すための図である。 本発明の第2の実施の形態に係る密封装置の軸線に沿う断面における断面の片側を示す拡大断面図である。 図11に示す密封装置の部分拡大断面図である。 外周側突起を拡大して示す部分拡大斜視図である。 軸受に取り付けられた使用状態における密封装置の断面図である。 本発明の第1,2の実施の形態に係る密封装置における内周部材の変形例を示す断面図である。 本発明の第1,2の実施の形態に係る密封装置における内周部材の変形例を示す断面図である。 本発明の第1,2の実施の形態に係る密封装置における内周側突起の変形例を示す断面図である。
 以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
 本実施の第1の形態に係る密封装置1は、軸受の内輪と外輪との間の空間を密封するための密封装置である。密封装置1は、例えば、後述するように、鉄道車両の車軸用の軸受に用いられ、内輪と外輪との間の空間である内部空間内の転動体の潤滑剤の漏洩を防止し、また、外部から内部空間内へのダストや泥水、水等の異物の進入を防止するために、内部空間の密封を図る。なお、密封装置1が適用される対象(取付対象)は、鉄道車両の車軸用の軸受に限られない。
 図1は、密封装置1の概略構成を示す、軸線xに沿う断面における断面図である。図2は、図1に示す密封装置1の断面の片側を示す拡大断面図である。図3は、密封装置1の部分拡大断面図であり、後述する外周対向面30及び内周対向面40を拡大して示している。以下、説明の便宜上、軸線x方向において矢印a(図1,2参照)方向の側を内側とし、軸線x方向において矢印b(図1,2参照)方向の側を外側とする。より具体的には、内側とは、軸受の内部空間側であり、密封対象物である潤滑剤が存在する空間側(密封対象物側)であり、外側とは、密封対象物側とは反対の側であり、密封対象物が漏洩しないようにする側であり、大気側である。また、軸線xに垂直な方向(以下、「径方向」ともいう。)において、軸線xから離れる方向(図1,2の矢印c方向)側を外周側とし、軸線xに近づく方向(図1,2の矢印d方向)側を内周側とする。
 図1,2に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1は、外輪に取り付けられる軸線x周りに環状の外周部材10と、内輪に取り付けられる軸線x周りに環状の内周部材20とを備えている。外周部材10は、軸線xに沿って延びる軸線x周りに環状の面である外周対向面30を有しており、内周部材20は、軸線xに沿って延びる軸線x周りに環状の面である内周対向面40を有している。外周対向面30と内周対向面40とは、内周対向面40が外周対向面30に内周側から対向して環状の空間gを形成するように設けられている。内周対向面40には、内周対向面40から外周側に突出する、軸線xに沿って延びる突起である内周側突起50が複数形成されている。以下、密封装置1の構成について、具体的に説明する。
 外周部材10は、軸線x周りに環状である中空の部材であり、外周側において、上述のように、軸受の外輪に取り付け可能に形成されており、また、内周側において内輪が挿入可能に形成されている。具体的には、図1,2に示すように、外周部材10は、外周側から、外輪に取り付け可能に形成された取付部11と、外周側ラビリンスシール形成部12と、内周側ラビリンスシール形成部13とを有している。外周側ラビリンスシール形成部12は、内周部材20と密封装置1の外周側においてラビリンスシールL1を形成する部分である。また、内周側ラビリンスシール形成部13は、内周部材20と密封装置1の内周側においてラビリンスシールL2を形成する部分であり、外周対向面30を有する部分である。
 取付部11は、後述するように使用状態において、取付対象の軸受の外輪の開口に固定可能に形成されており、例えば外輪の開口に圧入可能に形成されている。取付部11は、具体的には図1,2に示すように、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円筒状又は略円筒状の部分である。取付部11は、図1,2に示すように、内側(矢印a方向側)の一部が外輪の開口に固定可能に形成されていてもよく、また、軸線x方向に亘る全体が外輪の開口に固定可能に形成されていてもよい。
 外周側ラビリンスシール形成部12は、後述するように使用状態において、内周部材30の一部と対向して環状の隙間を形成し、ラビリンスシールL1を形成する部分である。外周側ラビリンスシール形成部12は、取付部11の外側(矢印b方向側)の端部(端部11a)に続いて形成されており、本実施の形態においては、段差部14を介して端部11aに繋がっている。段差部14は、図1,2に示すように、外周側ラビリンスシール形成部12を取付部11よりも内周側に位置するように取付部11と外周側ラビリンスシール形成部12とを接続する部分であり、段差部14は、外周部材10において取付部11と外周側ラビリンスシール形成部12との間に段差を形成している。段差部14は、例えば、径方向に延びる軸線xを中心又は略中心とする円盤状又は略円盤状の部分である。なお、外周部材10は、段差部14を有しておらず、外周側ラビリンスシール形成部12が直接取付部11に接続されていてもよい。
 外周側ラビリンスシール形成部12は、例えば図1,2に示すように、軸線方向シール部15と、径方向シール部16とを有している。軸線方向シール部15は、段差部14の内周側の端部(端部14a)から外側に延びる筒状の部分であり、径方向シール部16は、軸線方向シール部15の外側の端部(端部15a)から内周側に延びる環状の板状の部分である。軸線方向シール部15は、例えば図1,2に示すように、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円筒状又は略円筒状の部分である。径方向シール部16は、例えば図1,2に示すように、軸線xを中心又は略中心とする円盤状又は略円盤状の部分である。
 軸線方向シール部15は、後述するように、内周部材20の一部に内周側から対向して軸線xに沿って延びる環状の隙間を形成し、内周部材20との間に軸線xに沿って延びるラビリンスシール部L1aを形成する。また、径方向シール部16は、後述するように、内周部材20の一部に内側から対向して径方向に沿って延びる環状の隙間を形成し、内周部材20との間に径方向に沿って延びるラビリンスシール部L1bを形成する。ラビリンスシール部L1aとラビリンスシール部L1bとは互いに連通しており、ラビリンスシールL1を形成している。
 内周側ラビリンスシール形成部13は、後述するように使用状態において、内周部材20の一部と対向して環状の隙間を形成し、ラビリンスシールL2を形成する部分である。内周側ラビリンスシール形成部13が形成するラビリンスシールL2は、軸線xに沿って延びる。内周側ラビリンスシール形成部13は、外周側ラビリンスシール形成部12の径方向シール部16の内周側の端部(端部16a)から内側に向かって延びている。内周側ラビリンスシール形成部13は、上述のように、外周対向面30を有しており、内周側ラビリンスシール形成部13の内周側に面する筒状の面が外周対向面30を形成している。外周対向面30は、例えば図1,2に示すように、内側に向かうに連れて拡径しており、例えば軸線xを中心軸又は略中心軸とする円錐台面状又は略円錐台面状の部分である。また、内周側ラビリンスシール形成部13は、例えば図1,2に示すように、内側に向かうに連れて拡径しており、例えば軸線xを中心軸又は略中心軸とする円錐台筒状又は略円錐台筒状の部分である。円錐台面とは、円錐台の側面であり、円錐台筒とは、円錐台の側面に沿って延びる中空の筒である。
 内周側ラビリンスシール形成部13の外周対向面30が、後述するように、内周部材20の内周対向面40と対向して、ラビリンスシールL2を形成する。ラビリンスシールL2は、ラビリンスシールL1と連通しており、具体的には、ラビリンスシールL1の内周側を延びるラビリンスシールL2の内周側の端部(端部L1c)に接続している。
 内周部材20は、軸線x周りに環状である中空の部材であり、内周側において、上述のように、軸受の内輪が挿入可能に形成されていると共に内輪に取り付け可能に形成されている。具体的には、図1,2に示すように、内周部材20は、外周側から、外周側ラビリンスシール形成部21と、内周側ラビリンスシール形成部22とを有している。外周側ラビリンスシール形成部21は、外周部材10の外周側ラビリンスシール形成部12に対向して、密封装置1の外周側においてラビリンスシールL1を形成する部分である。また、内周側ラビリンスシール形成部22は、外周部材10の内周側ラビリンス形成部13と対向してラビリンスシールL2を形成する部分であり、内周対向面40を有する部分である。また、内周側ラビリンスシール形成部22は、軸受の内輪に取り付け可能に形成されている取付部でもある。
 外周側ラビリンスシール形成部21は、例えば図1,2に示すように、軸線方向シール部23と、径方向シール部24とを有している。軸線方向シール部23は、内周部材20の外周側の端部を形成する部分であり、軸線xに沿って延びる筒状の部分であり、径方向シール部24は、軸線方向シール部23の外側の端部(端部23a)から内周側に延びる環状の板状の部分である。軸線方向シール部23は、例えば図1,2に示すように、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円筒状又は略円筒状の部分である。径方向シール部24は、例えば図1,2に示すように、軸線xを中心又は略中心とする円盤状又は略円盤状の部分である。
 軸線方向シール部23は、外周部材10の軸線方向シール部15に外周側から対向して軸線xに沿って延びる環状の隙間を形成し、外周部材10との間に軸線xに沿って延びるラビリンスシール部L1aを形成する。また、径方向シール部24は、外周部材10の径方向シール部16に外側から対向して径方向に沿って延びる環状の隙間を形成し、外周部材10との間に径方向に沿って延びるラビリンスシール部L1bを形成する。
 内周側ラビリンスシール形成部22は、外周側ラビリンスシール形成部21の径方向シール部24の内周側の端部(端部24a)から内側に向かって延びている。内周側ラビリンスシール形成部22は、上述のように、内周対向面40を有しており、内周側ラビリンスシール形成部22の外周側に面する筒状の面が内周対向面40を形成している。内周側ラビリンスシール形成部22の内周対向面40が、内周側から外周部材10の外周対向面30と対向して、上述のようにラビリンスシールL2を形成する。内周側ラビリンスシール形成部22は、例えば図1,2に示すように、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円筒状又は略円筒状の部分であり、内周対向面40は、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円筒面又は略円筒面である。
 また、上述のように、内周側ラビリンスシール形成部22は、内周部材20を軸受の内輪に取り付けるための取付部として形成されている。具体的には、内周側ラビリンスシール形成部22の内周側に面する面である取付面22aは、内周側に内輪が挿入可能な空間(貫通孔)を形成し、また、取付面22aは、内輪が圧入されて内輪に固定可能に形成されている。内周側ラビリンスシール形成部22の取付面22aは、例えば図1,2に示すように、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円筒面又は略円筒面である。
 また、図1~3に示すように、内周部材20の内周側ラビリンスシール形成部22の内周対向面40には、内周対向面40から外周側に突出する突起であって、軸線xに沿って延びる突起である内周側突起50が複数形成されている。内周側突起50は、内周対向面40において周方向に並んで設けられており、例えば、図4に示すように、内周対向面40の外側縁41において間隔を空けずに周方向に平行又は略平行に並べられている。図4は、径方向外周側から見た密封装置1の内周部材20の内周対向面40を概略的に示す部分拡大図であり、内周側突起50を示す図である。内周側突起50は、内周対向面40において軸線xを中心に等角度間隔又は略等角度間隔に隙間を空けて並んで設けられていてもよい。内周側突起50は、内周対向面40において軸線xを中心に等角度間隔に設けられていなくてもよい。また、内周側突起50は、例えば、図4に示すように、軸線xに平行又は略平行に延びている。
 図5は、内周側突起50を拡大して示す部分拡大斜視図であり、図6は、内周側突起50の延び方向に沿う断面図であり、図7は、内周側突起50の延び方向に直交する幅方向に沿う断面図である。図6は、幅方向の中央又は略中央における延び方向に沿う断面を示しており、図7は、延び方向の任意の点における幅方向に沿う断面を示している。図示の例においては、内周側突起50は、軸線xに平行又は略平行に延びており、内周側突起50の延び方向は、軸線x方向又は軸線xに略平行な方向となっている。また、内周側突起50の幅方向は、軸線xを中心とする円周方向又は略円周方向となっている。
 図4~7に示すように、内周側突起50は、内側に向かって先細になる形状に形成されており、内周側突起50の幅方向の寸法(幅)は、内側に向かうに連れて小さくなっており、また、内周側突起50の内周対向面40からの突出量は、内側に向かうに連れて小さくなっている。内周側突起50は、図5に示すように、周方向に面する一対の側面51,52を有しており、側面51は、周方向の一方の側に面しており、側面52は、周方向の他方の側に面している。側面51は、周方向の他方の側に傾斜し、また、軸線x方向において内側に向かって周方向の他方側に傾斜する斜面を形成しており、同様に、側面52は、周方向の一方の側に傾斜し、また、軸線x方向において内側に向かって周方向の一方側に傾斜する斜面を形成している。
 内周側突起50は、幅方向の中央又は略中央における延び方向に沿う面に対して対称に又は略対称となっており、例えば図5に示すように、軸線xに平行又は略平行に内側に延びる三角錐状又は略三角錐状に形成されている。具体的には、図6に示すように、内周側突起50の延び方向に沿う断面における断面形状は、直角三角形又略直角三角形となっており、また、図7に示すように、内周側突起50の幅方向に沿う断面における断面形状は、頂角を2つの等辺又は略等辺が挟む断面形状となっている。内周側突起50の延び方向に沿う断面における断面形状は、内周側突起50の幅方向のいずれの点において同じ又は略同じとなっている。また、内周側突起50の幅方向に沿う断面における断面形状は、内周側突起50の延び方向のいずれの点において同じ又は略同じとなっている。
 図3に示すように、内周側のラビリンスシールL2は、外周側が内側に向かうに連れて拡径して、内側に向かうに連れて径方向の幅が増す環状の空間となっている。また、ラビリンスシールL2には、軸線x方向において外側に内周側突起50が存在する。内周側突起50は、外周部材10の外周対向面30に接触しないように、内周側突起50と外周対向面30との間に隙間が形成されている。
 外周部材10は金属材料から形成されており、また、内周部材20は、内周側突起50を除いて金属材料から形成されている。内周側突起50は、弾性材料から形成されており、例えばゴムや樹脂から形成されている。また、外周部材10は金属材料ではない材料から形成されていてもよく、同様に、内周部材20の内周側突起50を除く部分は金属材料ではない材料から形成されていてもよい。また、内周部材20の内周側突起50は、弾性材料から形成されておらず金属材料や他の材料から形成されていてもよく、例えば、他の内周部材20の部分と一体に同一の材料から形成されていてもよい。
 次いで、上述の構成を有する密封装置1の作用について説明する。図8は、軸受100に取り付けられた使用状態における密封装置1の断面図である。図8に示すように、密封装置1は、外周部材10が軸受100の外輪110に取り付けられ、内周部材20が軸受100の内輪120に取り付けられて、使用状態となる。密封装置1は、使用状態において、軸受100の内部空間101の密封を図り、内部空間101に存在する潤滑剤の内部空間101外への漏洩の防止を図り、内部空間101内へのダストや泥水、水等の異物の進入の防止を図る。なお、軸受100の内部空間101には図示しない転動体が設けられており、潤滑剤は、転動体の潤滑のために設けられている。軸受100は、例えば、鉄道車両の車軸用の軸受である。
 外周部材10は、取付部11が外輪110の開口111に外側から圧入されて、外輪110に固定される。内周部材20は、内周側ラビリンスシール形成部22内に内輪120が挿入されて圧入されて、内輪120に固定される。外周部材10が外輪110に固定され、内周部材20が内輪120に固定されて、密封装置1が軸受100に取り付けられ、密封装置1が使用状態となる。使用状態において、密封装置1の軸線xは、軸受100の軸心と一致又は略一致するようになる。また、使用状態において、外周部材10と内周部材20とは、上述した相対位置関係となる(図1~3参照)。図8に示すように、内周部材20は、外側から外周部材10の一部を覆うように取り付けられる。
 また、使用状態において、上述のように、内周部材20の外周側ラビリンスシール形成部21が、外側から外周部材10の外周側ラビリンスシール形成部12を覆うように外周側ラビリンスシール形成部12に対向し、ラビリンスシールL1を形成する。具体的には、内周部材20の外周側ラビリンスシール形成部21の軸線方向シール部23が、外周側から外周部材10の外周側ラビリンスシール形成部12の軸線方向シール部15に隙間を介して対向し、軸線x方向に延びるラビリンスシール部L1aを形成する。また、内周部材20の外周側ラビリンスシール形成部21の径方向シール部24が、外側から外周部材10の外周側ラビリンスシール形成部12の径方向シール部16に隙間を介して対向し、径方向に延びるラビリンスシール部L1bを形成する。
 また、使用状態において、上述のように、外周部材10の内周側ラビリンスシール形成部13が、外周側から内周部材20の内周側ラビリンスシール形成部22を覆うように内周側ラビリンスシール形成部22に隙間を介して対向し、ラビリンスシールL2を形成する。具体的には、外周部材10の内周側ラビリンスシール形成部13の外周対向面30が、外周側から内周部材20の内周側ラビリンスシール形成部22の内周対向面40に隙間を介して対向し、軸線x方向に延びるラビリンスシールL2を形成する。
 このように、使用状態において、密封装置1には、軸受100の外部と内部空間101との間に、2つのラビリンスシールL1,L2が形成されており、密封装置1による内部空間101の高い密封性が得られる。また、ラビリンスシールL1は、軸線x方向に延びるラビリンスシール部L1aと径方向に延びるラビリンスシール部L1bによって屈曲するラビリンスシールとなっており、ラビリンスシールL1のシール性能を高めている。また、ラビリンスシールL2は、ラビリンスシールL1のラビリンスシール部L1bに対して屈曲しており、この屈曲によって、ラビリンスシールL1,L2のシール性能を高めている。このように、密封装置1の形成するラビリンスシールL1,L2は、2つの屈曲点を有しており、密封性能の向上がなされている。
 また、内周側のラビリンスシールL2には、内周対向面40に沿って内周側突起50が複数存在している。このため、内輪120の回転に伴って内部空間101から外部に向かって移動する潤滑剤は、図9,10に破線mで示すように、主として回転方向側に面する内周側突起50の側面51又は側面52に沿って移動し又は当たって跳ね返り、遠心力を受けて外周側に飛ばされる。外周側に飛ばされた潤滑剤は、外周部材10の外周対向面30に当たり、外周対向面30に当たった潤滑剤は、外周対向面30に直交する方向の反力を受けて、内周側に飛ばされる。外周対向面30は、図10に示すように、内側に向かうに連れて拡径しており、内側に向かって外周側に傾いている。このため、外周対向面30に当たった潤滑剤は、径方向に向かって内側に傾斜する方向の反力を受け、この方向に飛ばされる。このため、潤滑剤は、内部空間101の内部側に向かって戻される。
 また、内輪120の回転と共に、内周側突起50も回転するため、内部空間101から外部に向かって移動する潤滑剤は、内周側突起50のネジ効果により、内周側突起50の側面51又は側面52に沿って内側に移動され(図9参照)、内部空間101の内部側に戻される。
 このように、密封装置1は、内輪120の回転に伴って内部空間101から外部に向かって移動する潤滑剤を、内周側突起50及び外周対向面30によって、内部空間101に戻すことができる。このため、ラビリンスシールL2の作用に加えて、内周側突起50及び外周対向面30によっても、潤滑剤の漏洩の防止を図ることができ、密封装置1の密封性能をより高めることができる。
 また、内周側突起50の側面51,52は、上述のように、周方向のいずれかの側に傾斜していると共に、軸線x方向において内側に向かって周方向のいずれかの側に傾斜する斜面となっている。つまり、内周側突起50の側面51,52に直交する線又は側面51,52の法線は、径方向に対して内側に傾いている。このため、使用状態において、内周側突起50の側面51,52に当たった潤滑剤は、内部空間101側に跳ね返され、または、側面51,52に沿って内部空間101側に導かれる。このため、潤滑剤のシール性能をより高めることができる。
 また、内周側突起50の側面51及び側面52は、延び方向に沿う面に対して対称又は略対称となっており、このため、内周側突起50は、内輪120がいずれの方向に回転しても、上述の潤滑剤の漏洩を防止するように作用することができる。
 また、密封装置1は、接触シールを有しておらず、非接触のラビリンスシールL1,L2を有しているので、軸受100の内部空間101の温度の上昇及び圧力の上昇を抑制することができる。
 このように、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1によれば、軸受100の内部空間101の温度の上昇及び圧力の上昇を抑制しつつ、シール性能をより向上させることができる。
 なお、密封装置1において、外周対向面30は、内側に向かうに連れて拡径する面となっており、外側に向かう傾斜面を形成するものとしたが、外周対向面30は、軸線xを中心又は略中心とする円筒面又は略円筒面であってもよい。特に、内周側突起50の側面51,52が、上述のように、周方向のいずれかの側に傾斜していると共に、軸線x方向において内側に向かって周方向のいずれかの側に傾斜する斜面となっている場合は、内周側突起50の側面51,52に当たった潤滑剤を、内部空間101側に向かって移動させることができ、この潤滑剤が円筒面状又は略円筒面状の外周対向面30に当たったとしても、潤滑剤を内部空間101側に向かって移動させることができる。
 また、密封装置1において、内周側突起50は、内周対向面40の外側縁41から内側に延びているものとしたが、内周側突起50は、内周対向面40の外側縁41よりも内側の位置から延びていてもよい。例えば、外周対向面30の外側縁31に径方向において対向する内周対向面40の位置である対向位置42から、内周側突起50は内側に延びていてもよい(図3参照)。
 次いで、本発明の第2の実施の形態に係る密封装置2について説明する。本発明の第2の実施の形態に係る密封装置2は、上述の本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1に対して、外周部材の内周側ラビリンスシール形成部の形態が異なっている。以下、本第2の実施の形態に係る密封装置2について、上述の第1の実施の形態に係る密封装置1と同じ構成又は同様に作用する構成については、同一の符号を付してその説明を省略し、異なる構成について説明する。
 図11は、密封装置2の軸線xに沿う断面における断面の片側を示す拡大断面図であり、図12は、密封装置2の部分拡大断面図であり、後述する外周部材17の内周側ラビリンスシール形成部18及び内周部材20の内周側ラビリンスシール形成部22を拡大して示している。
 図11,12に示すように、密封装置2は、密封装置1の外周部材10に変えて外周部材17を有している点で、密封装置1とは異なる。密封装置2の外周部材17は、密封装置1の外周部材10の内周側ラビリンスシール形成部13に変えて内周側ラビリンスシール形成部18を有している点で、密封装置1の外周部材10とは異なる。内周側ラビリンスシール形成部18は、密封装置1の内周側ラビリンスシール形成部13の外周対向面30とは異なる外周対向面35を有している。外周対向面35は、内周側ラビリンスシール形成部18の内周側に面する筒状の面が形成する面である。
 図11,12に示すように、外周対向面35は、軸線xに沿って延びる軸線x周りに環状の面であり、密封装置1の外周対向面30と同様に、内周部材20の内周対向面40に外周側から対向して環状の空間g1を形成して、軸線xに沿って延びる環状のラビリンスシールL3を形成するように設けられている。外周対向面35は、密封装置1の外周対向面30とは異なり、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円筒面又は略円筒面となっている。このため、外周対向面35と内周対向面40との間に形成されるラビリンスシールL3は、円筒状又は略円筒状の隙間となっている。ラビリンスシールL3は、密封装置1のラビリンスシールL2と同様にラビリンスシールL1と連通している。内周側ラビリンスシール形成部18は、例えば図11,12に示すように、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円筒状又は略円筒状になっている。
 また、外周対向面35には、内周対向面40の内周側突起50に径方向において対向して、外周側突起55を複数有している。外周側突起55は、外周対向面35から内周側に突出する突起であって、軸線xに沿って延びる突起である。外周側突起55は、外周対向面35において周方向に並んで設けられており、例えば、内周側突起50と同様に、外周対向面35の外側縁36において間隔を空けずに周方向に平行又は略平行に並べられている(図4,12参照)。外周側突起55は、外周対向面35において軸線xを中心に等角度間隔又は略等角度間隔に隙間を空けて並んで設けられていてもよい。外周側突起55は、外周対向面35において軸線xを中心に等角度間隔に設けられていなくてもよい。また、外周側突起55は、例えば、軸線xに平行又は略平行に延びている。
 図13は、外周側突起55を拡大して示す部分拡大斜視図である。外周側突起55は、上述の内周側突起50と同様の形状となっている。具体的には、外周側突起55は、軸線xに平行又は略平行に延びており、外周側突起55の延び方向は、軸線x方向又は軸線xに略平行な方向となっている。また、外周側突起55の幅方向は、軸線xを中心とする円周方向又は略円周方向となっている。
 図13に示すように、外周側突起55は、内側に向かって先細になる形状に形成されており、外周側突起55の幅方向の寸法(幅)は、内側に向かうに連れて小さくなっており、また、外周側突起55の外周対向面35からの突出量は、内側に向かうに連れて小さくなっている。外周側突起55は、図13に示すように、周方向に面する一対の側面56,57を有しており、側面56は、周方向の一方の側に面しており、側面57は、周方向の他方の側に面している。側面56は、周方向の他方の側に傾斜し、また、軸線x方向において内側に向かって周方向の他方に傾斜しており、同様に、側面57は、周方向の一方の側に傾斜し、また、軸線x方向において内側に向かって周方向の一方に傾斜している。
 外周側突起55は、幅方向の中央又は略中央における延び方向に沿う面に対して対称に又は略対称となっており、例えば図13に示すように、軸線xに平行又は略平行に内側に延びる三角錐状又は略三角錐状に形成されている。具体的には、図13に示すように、外周側突起55の延び方向に沿う断面における断面形状は、直角三角形又略直角三角形となっており(図6参照)、また、外周側突起55の幅方向に沿う断面における断面形状は、頂角を2つの等辺又は略等辺が挟む断面形状となっている(図7参照)。外周側突起55の延び方向に沿う断面における断面形状は、外周側突起55の幅方向のいずれの点において同じ又は略同じとなっている。また、外周側突起55の幅方向に沿う断面における断面形状は、外周側突起55の延び方向のいずれの点において同じ又は略同じとなっている。
 図11,12に示すように、内周側のラビリンスシールL3は、軸線xに平行又は略平行に延びる円筒状又は略円筒状の空間となっている。また、ラビリンスシールL3には、軸線x方向において外側に、径方向において互いに対向する内周側突起50及び外周側突起55が存在する。内周側突起50及び外周側突起55は、互いに接触しないように、内周側突起50と外周側突起55との間に隙間が形成されている。
 次いで、上述の構成を有する密封装置2の作用について説明する。図14は、軸受100に取り付けられた使用状態における密封装置2の断面図である。図14に示すように、密封装置2は、密封装置1と同様に、外周部材17が軸受100の外輪110に取り付けられ、内周部材20が軸受100の内輪120に取り付けられて、使用状態となる。
 使用状態において、密封装置1と同様に、内周部材20の外周側ラビリンスシール形成部21が、外側から外周部材17の外周側ラビリンスシール形成部12を覆うように外周側ラビリンスシール形成部12に対向し、ラビリンスシールL1を形成する。また、使用状態において、外周部材17の内周側ラビリンスシール形成部18が、外周側から内周部材20の内周側ラビリンスシール形成部22を覆うように内周側ラビリンスシール形成部22に隙間を介して対向し、ラビリンスシールL3を形成する。具体的には、外周部材17の内周側ラビリンスシール形成部18の外周対向面35が、外周側から内周部材20の内周側ラビリンスシール形成部22の内周対向面40に隙間を介して対向し、軸線x方向に延びるラビリンスシールL3を形成する。
 このように、使用状態において、密封装置2には、軸受100の外部と内部空間101との間に、2つのラビリンスシールL1,L3が形成されており、密封装置2による内部空間101の高い密封性が得られる。また、ラビリンスシールL1は屈曲しており、ラビリンスシールL1のシール性能が高められており、また、ラビリンスシールL3は、ラビリンスシールL1のラビリンスシール部L1bに対して屈曲しており、この屈曲によって、ラビリンスシールL1,L3のシール性能が高められている。このように、密封装置2の形成するラビリンスシールL1,L3は、2つの屈曲点を有しており、密封性能の向上がなされている。
 また、内周側のラビリンスシールL3には、内周対向面40に沿って内周側突起50が複数存在しており、外周対向面35に沿って外周側突起55が複数存在している。このため、内輪120の回転に伴って内部空間101から外部に向かって移動する潤滑剤は、上述の密封装置1の場合と同様に、主として回転方向側に面する内周側突起50の側面51又は側面52に沿って移動し又は当たって跳ね返り、遠心力を受けて外周側に飛ばされる。外周側に飛ばされた潤滑剤は、外周部材10の外周対向面35に当たり、または、外周対向面35の外周側突起55に当たる。外周対向面35に当たった潤滑剤は、外周対向面35からの反力を受けて、内周側に飛ばされる。外周側突起55に当たった潤滑剤は側面56,57から反力を受けて、内部側に飛ばされる。また、外周側突起55に当たった潤滑剤は、外周側突起55のネジ効果により、側面56,57に沿って内側に移動される。このように、潤滑剤は、内部空間101の内部側に向かって戻される。
 また、内輪120の回転と共に、内周側突起50も回転するため、内部空間101から外部に向かって移動する潤滑剤は、内周側突起50のネジ効果により、内周側突起50の側面51又は側面52に沿って内側に移動され、内部空間101の内部側に戻される。
 同様に、内輪120の回転に伴い、外周側突起55が相対的に回転するため、内部空間101から外部に向かって移動する潤滑剤は、外周側突起55のネジ効果により、外周側突起55の側面56又は側面57に沿って内側に移動され、内部空間101の内部側に戻される。
 このように、密封装置2は、内輪120の回転に伴って内部空間101から外部に向かって移動する潤滑剤を、内周側突起50、外周対向面35、及び外周側突起55によって、内部空間101に戻すことができる。このため、ラビリンスシールL3の作用に加えて、内周側突起50、外周対向面35、及び外周側突起55によっても、潤滑剤の漏洩の防止を図ることができ、密封装置2の密封性能をより高めることができる。
 また、内周側突起50の側面51及び側面52は、延び方向に沿う面に対して対称又は略対称となっており、また、外周側突起55の側面56及び側面57は、延び方向に沿う面に対して対称又は略対称となっている。このため、内周側突起50及び外周側突起55は、内輪120がいずれの方向に回転しても、上述の潤滑剤の漏洩を防止するように作用することができる。
 また、密封装置2は、接触シールを有しておらず、非接触のラビリンスシールL1,L3を有しているので、軸受100の内部空間101の温度の上昇及び圧力の上昇を抑制することができる。
 このように、本発明の第2の実施の形態に係る密封装置2によれば、軸受100の内部空間101の温度の上昇及び圧力の上昇を抑制しつつ、シール性能をより向上させることができる。
 次いで、上述の密封装置1,2における内周部材20の変形例について説明する。図15は、密封装置1,2における内周部材20の変形例を示す断面図である。変形例に係る内周部材20は、外周側ラビリンスシール形成部21の軸線方向シール部23にダストリップ25が設けられている。ダストリップ25は、軸線方向シール部23の外周面23bにおいて、内側の端部23cに固定されており、内側及び外周側に向かって延びる軸線x周りに環状のリップ部26を形成している。リップ部26は、先端部26aにおいて、外周部材10の段差部14に接触するように形成されている。リップ部26の先端部26aは、外周部材10の段差部14に軽く接触するように形成されており、これにより、ダストリップ25による摺動抵抗の軽減が図られており、また、軸受100の内部空間101に負圧が発生することの抑制が図られている。
 また、図16に示すように、ダストリップ25のリップ部26の先端部26aの内周面26bには、軸線x方向(径方向)に沿って延びるリブ27が設けられていてもよい。リブ27は、1つでもよく、また複数であってもよい。リブ27は、例えば、軸線x周りに等角度間隔に設けられている。このリブ27により、リップ部26の先端部26aの全体が段差部14に接触することはなく、ダストリップ26による摺動抵抗の軽減をより図ることができ、また、軸受100の内部空間101に負圧が発生することの抑制をより図ることができる。
 次いで、上述の密封装置1,2における内周側突起50の変形例について説明する。図17は、密封装置1,2における内周側突起50の変形例を示す断面図である。変形例に係る内周側突起50は、内周対向面40に固定された筒状の段部53に形成されていてもよい。段部53は、例えば、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円筒形状又は略円筒形状の部分である。段部53と内周側突起50とは、弾性材料等の同一の材料から一体に形成される。段部53と内周側突起50とは、別体に形成されて取り付けられていてもよい。また、図17に示すように、密封装置2における外周側突起55も、上述の変形例に係る内周側突起50と同様に、外周対向面35に固定された筒状の段部53に形成されていてもよい。
 以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に係る密封装置1,2に限定されるものではなく、本発明の概念及び請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
 また、上述の説明において、本発明の実施の形態に係る密封装置1,2は、鉄道車両の車軸の軸受に用いられるものとしたが、本発明に係る密封装置の取付対象は鉄道車両の車軸の軸受に限られない。本発明に係る密封装置は、自動車の軸受や産業機械の軸受等、本発明の奏する作用を利用できるあらゆるものに用いることができる。
 1…密封装置、10,17…外周部材、11…取付部、11a…端部、12…外周側ラビリンスシール形成部、13,18…内周側ラビリンスシール形成部、14…段差部、14a…端部、15…軸線方向シール部、15a…端部、16…径方向シール部、16a…端部、20…内周部材、21…外周側ラビリンスシール形成部、22…内周側ラビリンスシール形成部、22a…取付面、23…軸線方向シール部、23a,23c…端部、23b…外周面、24…径方向シール部、24a…端部、25…ダストリップ、26…リップ部、26a…先端部、26b…内周面、27…リブ、30,35…外周対向面、31,36…外側縁、40…内周対向面、41…外側縁、42…対向位置、50…内周側突起、51,52…側面、53…段部、55…外周側突起、56,57…側面、100…軸受、101…内部空間、110…外輪、111…開口、120…内輪、g,g1…空間、L1,L2,L3…ラビリンスシール、L1a,L1b…ラビリンスシール部、L1c…端部、x…軸線

Claims (8)

  1.  軸受の内輪と外輪との間の空間を密封するための密封装置であって、
     前記外輪に取り付けられる軸線周りに環状の外周部材と、
     前記内輪に取り付けられる前記軸線周りに環状の内周部材とを備え、
     前記外周部材は、前記軸線に沿って延びる前記軸線周りに環状の面である外周対向面を有しており、
     前記内周部材は、前記軸線に沿って延びる前記軸線周りに環状の面である内周対向面を有しており、
     前記外周対向面と前記内周対向面とは、前記内周対向面が前記外周対向面に内周側から対向して環状の空間を形成するように設けられており、
     前記内周対向面には、前記内周対向面から外周側に突出する、前記軸線に沿って延びる突起である内周側突起が複数形成されていることを特徴とする密封装置。
  2.  前記内周側突起の前記軸線周りの方向の幅は、前記空間側に向かうに連れて細くなっていることを特徴とする請求項1記載の密封装置。
  3.  前記内周側突起の前記内周対向面からの突出量は、前記空間側に向かうに連れて小さくなっていることを特徴とする請求項1又は2記載の密封装置。
  4.  前記外周対向面は、前記空間側に向かうに連れて拡径していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の密封装置。
  5.  前記内周側突起は弾性材料から形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の密封装置。
  6.  前記外周対向面には、前記外周対向面から内周側に突出する、前記軸線に沿って延びる突起である外周側突起が複数形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の密封装置。
  7.  前記外周側突起は弾性材料から形成されていることを特徴とする請求項6記載の密封装置。
  8.  前記内周部材の外周側の端面には、ダストリップが設けられており、
     前記ダストリップは、前記外周部材に接触するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の密封装置。
PCT/JP2021/028598 2020-09-29 2021-08-02 密封装置 WO2022070592A1 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022553505A JPWO2022070592A1 (ja) 2020-09-29 2021-08-02
CN202180064446.9A CN116209838A (zh) 2020-09-29 2021-08-02 密封装置
EP21874895.2A EP4224028A1 (en) 2020-09-29 2021-08-02 Sealing device

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020-163990 2020-09-29
JP2020163990 2020-09-29

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2022070592A1 true WO2022070592A1 (ja) 2022-04-07

Family

ID=80951307

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2021/028598 WO2022070592A1 (ja) 2020-09-29 2021-08-02 密封装置

Country Status (4)

Country Link
EP (1) EP4224028A1 (ja)
JP (1) JPWO2022070592A1 (ja)
CN (1) CN116209838A (ja)
WO (1) WO2022070592A1 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02150576A (ja) * 1987-11-23 1990-06-08 Timken Co:The 封止面とシールとの組み合わせ
JP2003172367A (ja) * 2001-12-04 2003-06-20 Koyo Seiko Co Ltd 転がり軸受の密封装置
JP2006132684A (ja) * 2004-11-08 2006-05-25 Uchiyama Mfg Corp 軸受用シール部材
WO2008018765A1 (en) * 2006-08-09 2008-02-14 Il Jin Global Co., Ltd. Seal integrated with encoder for bearing
JP2008232301A (ja) 2007-03-20 2008-10-02 Ntn Corp 鉄道車両車軸用軸受装置
JP2013217455A (ja) * 2012-04-10 2013-10-24 Jtekt Corp 車両用転がり軸受装置
JP2020085074A (ja) * 2018-11-20 2020-06-04 Nok株式会社 密封装置

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02150576A (ja) * 1987-11-23 1990-06-08 Timken Co:The 封止面とシールとの組み合わせ
JP2003172367A (ja) * 2001-12-04 2003-06-20 Koyo Seiko Co Ltd 転がり軸受の密封装置
JP2006132684A (ja) * 2004-11-08 2006-05-25 Uchiyama Mfg Corp 軸受用シール部材
WO2008018765A1 (en) * 2006-08-09 2008-02-14 Il Jin Global Co., Ltd. Seal integrated with encoder for bearing
JP2008232301A (ja) 2007-03-20 2008-10-02 Ntn Corp 鉄道車両車軸用軸受装置
JP2013217455A (ja) * 2012-04-10 2013-10-24 Jtekt Corp 車両用転がり軸受装置
JP2020085074A (ja) * 2018-11-20 2020-06-04 Nok株式会社 密封装置

Also Published As

Publication number Publication date
CN116209838A (zh) 2023-06-02
JPWO2022070592A1 (ja) 2022-04-07
EP4224028A1 (en) 2023-08-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8308370B2 (en) Sealing device for bearing
JP6771739B2 (ja) 密封構造
JP4654779B2 (ja) シール部材及びシール部材付き転がり軸受ユニット
JP2007064459A (ja) 密封装置
JP2010071323A (ja) 密封装置
JP2004263730A (ja) 等速ジョイント用ブーツ
WO2022070592A1 (ja) 密封装置
JP2006145015A (ja) 密封装置
JP2007002884A (ja) 軸受ユニット
JP2008232404A (ja) 車両用ハブユニット
JP2017015213A (ja) 密封装置
JP2009074589A (ja) 密封装置
JP5103345B2 (ja) クラッチレリーズ軸受装置
JP4531541B2 (ja) 密封装置
JP7401974B2 (ja) 車輪用軸受装置
KR102040731B1 (ko) 휠 베어링용 밀봉 장치 및 이를 포함하는 휠 베어링 조립체
JP7123658B2 (ja) 密封装置
WO2020045071A1 (ja) 密封装置
JP2018071739A (ja) 車輪用軸受装置
JP2017106574A (ja) 密封装置及び密封装置付ハブユニット軸受
WO2020045073A1 (ja) 密封装置
WO2022244839A1 (ja) 密封装置
JP2008075677A (ja) 密封装置と密封装置を備えた車輪支持用ハブユニット
JP7273963B2 (ja) 密封装置、密封構造および密封構造の固定方法
JP7011716B2 (ja) 密封装置

Legal Events

Date Code Title Description
121 Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application

Ref document number: 21874895

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1

ENP Entry into the national phase

Ref document number: 2022553505

Country of ref document: JP

Kind code of ref document: A

NENP Non-entry into the national phase

Ref country code: DE

ENP Entry into the national phase

Ref document number: 2021874895

Country of ref document: EP

Effective date: 20230502