WO2022064594A1 - 電子デバイスの製造方法 - Google Patents

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敏浩 大賀
光一 藤井
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Abstract

本開示の一観点に係る電子デバイスの製造方法は、ウエハのスキャンフィールド内で形成されたパターンからスキャン方向に対して直交するスキャン幅方向のディストーション成分である倍率を求めることと、スキャンフィールド内の複数点でウエハ高さを計測し、スキャン幅方向のウエハ高さの平均値を求めることと、ウエハ高さの平均値に基づくフォーカス位置の場合に許容CD値となるパルスレーザ光の波長範囲を求めることと、求めた倍率となるパルスレーザ光の第1の波長を求め、波長範囲と第1の波長とから目標波長を求めることと、レーザ装置からパルス毎の波長が目標波長となるように制御されたパルスレーザ光を出力し、ウエハのスキャンフィールドに露光することとを含む。

Description

電子デバイスの製造方法
 本開示は、電子デバイスの製造方法に関する。
 近年、半導体露光装置においては、半導体集積回路の微細化及び高集積化につれて、解像力の向上が要請されている。このため、露光用光源から放出される光の短波長化が進められている。例えば、露光用のガスレーザ装置としては、波長約248nmのレーザ光を出力するKrFエキシマレーザ装置、並びに波長約193nmのレーザ光を出力するArFエキシマレーザ装置が用いられる。
 KrFエキシマレーザ装置及びArFエキシマレーザ装置の自然発振光のスペクトル線幅は、350~400pmと広い。そのため、KrF及びArFレーザ光のような紫外線を透過する材料で投影レンズを構成すると、色収差が発生してしまう場合がある。その結果、解像力が低下し得る。そこで、ガスレーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル線幅を、色収差が無視できる程度となるまで狭帯域化する必要がある。そのため、ガスレーザ装置のレーザ共振器内には、スペクトル線幅を狭帯域化するために、狭帯域化素子(エタロンやグレーティング等)を含む狭帯域化モジュール(Line Narrow Module:LNM)が備えられる場合がある。以下では、スペクトル線幅が狭帯域化されるガスレーザ装置を狭帯域化ガスレーザ装置という。
特開2001-076995号公報 米国特許出願公開第2018/0159297号 米国特許出願公開第2015/0070673号 米国特許出願公開第2011/0205512号
概要
 本開示の1つの観点に係る電子デバイスの製造方法は、露光装置内でウエハ上にパルスレーザ光をスキャン露光することを含む電子デバイスの製造方法であって、ウエハのスキャンフィールド内でウエハに形成されたパターンからスキャン方向に対して直交するスキャン幅方向のディストーション成分である倍率を求めることと、ウエハのスキャンフィールド内の複数点でウエハ高さを計測し、ウエハ高さの計測結果を基に、スキャンフィールド内のスキャン幅方向についてのウエハ高さの平均値を求めることと、ウエハ高さの平均値に基づくフォーカス位置の場合に許容クリティカルディメンジョン(CD)値となるパルスレーザ光の波長範囲を求めることと、倍率となるパルスレーザ光の第1の波長を求めることと、波長範囲と第1の波長とからパルスレーザ光の目標波長を求めることと、レーザ装置によってパルス毎の波長が目標波長となるようにパルスレーザ光を生成し、露光装置に出力することと、パルスレーザ光をウエハのスキャンフィールドに露光することとを含む。
 本開示の他の1つの観点に係る電子デバイスの製造方法は、露光装置内でウエハ上にパルスレーザ光をスキャン露光することを含む電子デバイスの製造方法であって、ウエハのスキャンフィールド内でウエハに形成されたパターンからスキャン方向に対して直交するスキャン幅方向のディストーション成分である倍率を求めることと、ウエハのスキャンフィールド内の複数点でフォーカス位置を計測し、フォーカス位置の計測結果を基に、スキャンフィールド内のスキャン幅方向についてのフォーカス位置の平均値を求めることと、フォーカス位置の平均値の場合に許容クリティカルディメンジョン(CD)値となるパルスレーザ光の波長範囲を求めることと、倍率となるパルスレーザ光の第1の波長を求めることと、波長範囲と第1の波長とからパルスレーザ光の目標波長を求めることと、レーザ装置によってパルス毎の波長が目標波長となるようにパルスレーザ光を生成し、露光装置に出力することと、パルスレーザ光をウエハのスキャンフィールドに露光することとを含む。
 本開示の他の1つの観点に係る電子デバイスの製造方法は、露光装置内でウエハ上にパルスレーザ光をスキャン露光することを含む電子デバイスの製造方法であって、ウエハのスキャンフィールド内でウエハに形成されたパターンからスキャン方向に対して直交するスキャン幅方向のディストーション成分である倍率を求めることと、ウエハのスキャンフィールド内の複数点でフォーカス位置を計測し、フォーカス位置の計測結果を基に、スキャンフィールド内のスキャン方向に対して直交する方向についてのフォーカス位置の平均値を求めることと、倍率となるパルスレーザ光の第1の波長を求めることと、パルスレーザ光の目標波長を第1の波長とすることと、パルスレーザ光の波長が第1の波長である場合にクリティカルディメンジョン(CD)値が許容範囲となる目標フォーカス位置を求めることと、目標フォーカス位置に基づいて、露光装置のウエハステージを制御することと、レーザ装置によってパルス毎の波長が目標波長となるようにパルスレーザ光を生成し、露光装置に出力することと、パルスレーザ光をウエハのスキャンフィールドに露光することとを含む。
 本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1は、ディストーションのイメージを示す。 図2は、倍率ディストーションのイメージを示す。 図3は、例示的な半導体製造プロセスにおける露光及び計測フローのイメージを示す。 図4は、比較例に係る露光システムの構成を概略的に示す。 図5は、露光制御部からレーザ制御部に送信される発光トリガ信号Trの出力パターンの例を示す。 図6は、ウエハ上でのステップアンドスキャン露光の露光パターンの例を示す。 図7は、ウエハ上の1つのスキャンフィールドとスタティック露光エリアとの関係を示す。 図8は、スタティック露光エリアの説明図である。 図9は、レーザ装置の構成例を概略的に示す。 図10は、スキャンフィールド内におけるウエハ高さのY軸方向依存性と、X軸方向の倍率のY軸方向依存性とを例示的に示す説明図である。 図11は、実施形態1に係るリソグラフィシステムの構成例を概略的に示す。 図12は、実施形態1におけるリソグラフィ制御部の処理内容の例を示すフローチャートである。 図13は、実施形態1における露光制御部の処理内容の例を示すフローチャートである。 図14は、スキャンフィールド内のY軸方向の各位置におけるX軸方向の倍率βcyを例示的に示す説明図である。 図15は、スキャンフィールド内のY軸方向の各位置におけるウエハの高さのX軸方向の平均値とフォーカス位置との関係を例示的に示す説明図である。 図16は、図12のステップS13に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。 図17は、スキャンフィールド内のパルス番号nごとに計算される倍率βcy(n)のイメージ図である。 図18は、ファイルA1に保存されるデータの例を示す図表である。 図19は、図12のステップS14に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。 図20は、スキャンフィールドSF内におけるウエハ高さ測定点のイメージ図である。 図21は、ファイルA2に保存されるデータの例を示す図表である。 図22は、密集パターンを露光した場合のCDとフォーカス位置との関係の例を示すグラフである。 図23は、孤立パターンを露光した場合のCDとフォーカス位置との関係の例を示すグラフである。 図24は、図12のステップS15に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。 図25は、ファイルA0に保存される露光条件パラメータと、倍率βcyと、CD値との関係の一覧表の例を示す。 図26は、図12のステップS16に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。 図27は、図26のステップS62に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。 図28は、ファイルBに保存されるデータテーブルの例を示す図表である。 図29は、図27のステップS71に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。 図30は、ファイルCに保存されるテーブルデータの例を示す図表である。 図31は、図30のステップS82で得られるCD曲線の例を示すグラフである。 図32は、図27のステップS72に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。 図33は、ファイルDに保存されるテーブルデータの例を示す図表である。 図34は、図32のステップS92で得られる近似曲線Fの例を示すグラフである。 図35は、実施形態2に係るリソグラフィシステムの露光装置内に配置されるフォーカスセンサによるウエハ上の測定点の例を模式的に示す説明図である。 図36は、実施形態2に係るリソグラフィシステムの露光装置に適用されるAFセンサユニットの構成例を概略的に示す側面図である。 図37は、実施形態2に係るリソグラフィシステムにおけるリソグラフィ制御部の処理内容の例を示すフローチャートである。 図38は、実施形態2に係るリソグラフィシステムにおける露光制御部の処理内容の例を示すフローチャートである。 図39は、図38のステップS104に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。 図40は、実施形態3に係るリソグラフィシステムの構成例を概略的に示す。 図41は、実施形態3に係るリソグラフィシステムにおける露光制御部の処理内容の例を示すフローチャートである。 図42は、図41のステップS106Aに適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。 図43は、図42のステップS141及びステップS142に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。 図44は、実施形態4に係るリソグラフィシステムの構成例を概略的に示す。 図45は、実施形態4に係るリソグラフィシステムにおける露光制御部の処理内容の例を示すフローチャートである。 図46は、図45のステップS106Bに適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。 図47は、図46のステップS146及びステップS147に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。 図48は、ファイルEに保存されるテーブルデータの例を示す図表である。 図49は、図47のステップS172で得られる近似曲線Gの例を示すグラフである。 図50は、実施形態4の変形例に係る露光制御部の処理内容の例を示すフローチャートである。 図51は、図50のステップS106Cに適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。 図52は、実施形態5に係るリソグラフィシステムの構成例を概略的に示す。 図53は、実施形態5に係るリソグラフィシステムにおける露光制御部の処理内容の例を示すフローチャートである。 図54は、図53のステップS106Eに適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。 図55は、CD値とドーズとの関係の例を示すグラフである。 図56は、図53のステップS107に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。 図57は、レーザ装置の他の構成例を概略的に示す。 図58は、半導体レーザシステムの構成例を概略的に示す。 図59は、チャーピングによって実現されるスペクトル線幅の概念図である。 図60は、半導体レーザに流れる電流とチャーピングによる波長変化とスペクトル波形と光強度との関係を示す模式図である。 図61は、半導体光増幅器の立ち上がり時間を説明するためのグラフである。 図62は、露光装置の構成例を概略的に示す。
実施形態
 -目次-
1.用語の説明
2.半導体製造プロセスにおける露光及び計測フローの概要
3.比較例に係る露光システムの概要
 3.1 構成
 3.2 動作
 3.3 ウエハ上への露光動作の例
 3.4 スキャンフィールドとスタティック露光エリアとの関係
 3.5 レーザ装置の例
  3.5.1 構成
  3.5.2 動作
  3.5.3 その他
4.課題
5.実施形態1
 5.1 構成
 5.2 動作
  5.2.1 リソグラフィシステムの動作の概要
  5.2.2 リソグラフィ制御部の処理内容の例
  5.2.3 露光制御部の処理内容の例
  5.2.4 X軸方向の倍率βcy及びフォーカス位置Fcyの説明
  5.2.5 X軸方向の倍率βcyの計算及び保存を行うサブルーチンの例
  5.2.6 フォーカス位置Fcyの計算及び保存を行うサブルーチンの例
  5.2.7 ウエハ高さの平均値について
  5.2.8 露光条件とCD値との関係を記憶するサブルーチンの例
  5.2.9 倍率βcy、フォーカス位置Fcy及びCDから各パルスの目標波長λtを求めるサブルーチンの例
 5.3 効果
6.実施形態2
 6.1 構成
 6.2 動作
  6.2.1 リソグラフィ制御部の処理内容の例
  6.2.2 露光制御部の処理内容の例
 6.3 効果
7.実施形態3
 7.1 構成
 7.2 動作
 7.3 効果
 7.4 変形例
8.実施形態4
 8.1 構成
 8.2 動作
 8.3 効果
 8.4 変形例1
 8.5 変形例2
9.実施形態5
 9.1 構成
 9.2 動作
 9.3 効果
 9.4 変形例
 9.5 その他
10.固体レーザ装置を発振器として用いるエキシマレーザ装置の例
 10.1 構成
 10.2 動作
 10.3 半導体レーザシステムの説明
  10.3.1 構成
  10.3.2 動作
 10.4 効果
 10.5 変形例
 10.6 その他
11.各種の制御部のハードウェア構成について
12.電子デバイスの製造方法
13.その他
 以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
 1.用語の説明
 本開示において使用される用語を以下のように定義する。
 クリティカルディメンジョン(Critical Dimension:CD)とは、半導体等のウエハ上に形成された微細パターンの寸法をいう。
 重ね合わせ(オーバーレイ)とは、半導体等のウエハ上に形成された微細パターンの重ね合わせをいう。
 スペクトル線幅Δλとは、露光性能に影響を及ぼすスペクトル線幅の指標値である。スペクトル線幅Δλは、例えば、レーザスペクトルの積分エネルギが95%となる帯域幅であってもよい。
 光学的近接効果(Optical Proximity Effect:OPE)とは、ウエハに露光されるパターンの寸法が、そのパターン同士の距離によって変わる現象である。分かりやすい例では、例えばマスク上同じ寸法のラインパターンが、密集した状態と孤立した状態で存在する場合、ウエハ上に露光した後寸法が異なる現象である。
 ディストーション(Distortion)及びその成分である倍率ディストーションについて図1及び図2を参照して説明する。図1は、ディストーションのイメージを示す。図1の実線はウエハ上における理想グリッド(露光されるべき位置)を表し、破線は実際に露光される位置を表す。露光装置で半導体等のウエハ上に露光を行う際、様々な原因で、スキャンフィールドの形状が正確な長方形ではなくなる。スキャンフィールドの内部でも変形が起こり、パターンが元々あるべき位置、例えばグリッドから外れることがある。これをディストーションと言う。ディストーションの原因は、例えば、投影光学系の収差、スキャン露光時のウエハステージとレチクルステージとの同期精度、ウエハチャックによるウエハの変形等である。
 倍率ディストーションとは、上記ディストーションのうち、位置ずれがそのパターンの座標に比例する成分のことである。倍率ディストーションのことを単に「倍率」とも呼ぶ。一般的に、ディストーションを「単純シフト」、「倍率」及び「高次うねり」などの成分に分解することで「倍率」の情報が得られる。つまり、倍率はディストーション成分の1つである。図2に倍率ディストーションのイメージを示す。図2において横方向がX軸方向、縦方向がY軸方向とする。図2の破線で示す位置(実際に露光される位置)は、実線で示す理想グリッドに対するX軸方向のずれ量が、X軸方向の中心からの距離に比例している。Y軸方向も同様だが、X軸方向とY軸方向とが必ずしも同じ方向、同じ比例係数とは限らない。
 本明細書における「平行」という用語には、技術的意義において実質的に平行と同等の範囲と見做しうる略平行の概念が含まれてよい。また、本明細書における「垂直」又は「直交」という用語には、技術的意義において実質的に垂直又は実質的に直交と同等の範囲と見做しうる略垂直又は略直交の概念が含まれてよい。
 2.半導体製造プロセスにおける露光及び計測フローの概要
 図3は、例示的な半導体製造プロセスにおける露光及び計測フローのイメージを示す。前レイヤーの露光及び現像後のウエハWFに対して、露光装置14によって新しいレイヤーを露光する場合、この露光しようとするウエハWFに対して高さ情報と、倍率を含むディストーション情報とを取得するための計測が行われ、その計測結果を基にフィードフォワード制御が行われる。ウエハWFの計測は、前レイヤーの露光を実施した露光装置の計測機能又は専用計測器によって行われる。
 計測項目には、ウエハWFの高さ情報と、前レイヤーの重ねマーク位置情報とが含まれる。ウエハWFの高さ情報は、ウエハWFの厚さ方向、すなわちZ方向の位置(高さ)情報であり、Z情報ともいう。前レイヤーの重ねマーク位置情報からディストーションの倍率が算出される。
 フィードフォワード制御のノブは、例えば、ウエハの上下位置(Z方向位置)、ウエハとレチクル(マスク)との相対スキャン速度及び投影光学系の倍率などの制御である。
 一方で、CD情報は、これから露光するので、前のウエハからのフィードバック情報をもとに制御することになる。フィードバック制御のノブは、例えば、ウエハの上下位置や露光量などであるが、実際はほとんどの場合、露光量のみである。
 CDの計測は、露光装置14によって露光されたウエハWFの一部がサンプルされ、例えば、CD-SEM(Critical Dimension-Scanning Electron Microscope)を用いて行われる。
 3.比較例に係る露光システムの概要
 3.1 構成
 図4は、比較例に係る露光システム10の構成を概略的に示す。本開示の比較例とは、出願人のみによって知られていると出願人が認識している形態であって、出願人が自認している公知例ではない。露光システム10は、レーザ装置12と、露光装置14とを含む。レーザ装置12は、波長可変の狭帯域発振のArFレーザ装置であり、レーザ制御部20と、図示しないレーザチャンバと狭帯域化モジュールとを含む。
 露光装置14は、露光制御部40と、ビームデリバリユニット(BDU)42と、高反射ミラー43と、照明光学系44と、レチクル46と、レチクルステージ48と、投影光学系50と、ウエハホルダ52と、ウエハステージ54とを含む。「レチクル」は「マスク」と同義である。
 ウエハホルダ52には、ウエハWFが保持される。照明光学系44は、パルスレーザ光をレチクル46に導光する光学系である。照明光学系44は、レーザビームを概ね長方形状の光強度分布が均一化されたスキャンビームに整形する。また、照明光学系44は、レチクル46へのレーザビームの入射角度を制御する。投影光学系50は、レチクルパターンをウエハWFに結像させる。
 露光制御部40は、レチクルステージ48及びウエハステージ54と接続される。また、露光制御部40は、レーザ制御部20と接続される。露光制御部40とレーザ制御部20とのそれぞれは、図示しないプロセッサを用いて構成され、メモリなどの記憶装置を含む。記憶装置はプロセッサに搭載されてもよい。
 3.2 動作
 露光制御部40は、バースト毎に、レーザ装置12に目標波長λtを送信する。
 レーザ制御部20は、レーザ装置12から出力されるパルスレーザ光の波長λが目標波長λtとなるように、狭帯域化モジュールの選択波長を制御し、かつパルスエネルギEが目標パルスエネルギEtとなるように励起強度を制御して、発光トリガ信号Trに従ってパルスレーザ光を出力させる。また、レーザ制御部20は、発光トリガ信号Trに従って出力したパルスレーザ光の各種計測データを露光制御部40に送信する。各種計測データには、例えば、波長λ及びパルスエネルギEなどが含まれる。
 露光制御部40は、ステップアンドスキャンの方式で、バースト毎にレーザ制御部20に目標レーザ光の制御パラメータを送信し、発光トリガ信号Trを送信しながらレチクルステージ48とウエハステージ54とを制御し、レチクル46の像をウエハWF上にスキャン露光する。目標レーザ光の制御パラメータには、例えば、目標波長λtと目標パルスエネルギEtとが含まれる。なお、「目標レーザ光」という記載は「目標パルスレーザ光」を意味している。「パルスレーザ光」は単に「レーザ光」と記載される場合がある。
 3.3 ウエハ上への露光動作の例
 図5は、露光制御部40からレーザ制御部20に送信される発光トリガ信号Trの出力パターンの例を示す。図5に示す例では、ウエハWF毎に、調整発振を実施した後、実露光パターンに入る。すなわち、レーザ装置12は、最初に調整発振を行い、所定の時間間隔を空けた後、1枚目のウエハ(Wafer#1)露光のためのバースト運転を行う。
 調整発振は、ウエハWFに対してパルスレーザ光を照射しないものの、調整用のパルスレーザ光を出力する発振を行うことである。調整発振は、露光できる状態にレーザが安定するまで、所定の条件にて発振を行うものであり、ウエハ生産のロット前に実施される。パルスレーザ光は、例えば数百Hz~数kHz程度の所定の周波数で出力される。ウエハ露光時には、バースト期間と発振休止期間とを繰り返すバースト運転を行うのが一般的である。調整発振においても、バースト運転が行われる。
 図5において、パルスが密集している区間は、所定期間連続してパルスレーザ光を出力するバースト期間である。また、図5において、パルスが存在していない区間は、発振休止期間である。なお、調整発振では、パルスの各連続出力期間の長さは一定である必要はなく、調整のため、各連続出力期間の長さを異ならせて連続出力動作を行うようにしてもよい。調整発振を行った後、比較的大きな時間間隔を空けて、露光装置14において1枚目のウエハ(Wafer#1)露光が行われる。
 図6は、ウエハWF上でのステップアンドスキャン露光の露光パターンの例を示す。図6のウエハWF内に示す多数の矩形領域のそれぞれはスキャンフィールドSFである。スキャンフィールドSFは、1回のスキャン露光の露光領域であり、スキャン領域とも呼ばれる。ウエハ露光は、図6に示すように、ウエハWFを複数の所定サイズの露光領域(スキャンフィールド)に分割して、ウエハ露光の開始(Wafer START)と終了(Wafer END)との間の期間に、各露光領域をスキャン露光することにより行われる。
 すなわち、ウエハ露光では、ウエハWFの第1の所定の露光領域を1回目のスキャン露光(Scan#1)で露光し、次いで、第2の所定の露光領域を2回目のスキャン露光(Scan#2)で露光するというステップを繰り返す。1回のスキャン露光中は、複数のパルスレーザ光(Pulse#1,Pulse#2,…)が連続的にレーザ装置12から出力され得る。このスキャン露光を順次繰り返し、1枚目のウエハWFの全露光領域をスキャン露光し終えたら、再度、調整発振を行った後、2枚目のウエハWFのウエハ露光(Wafer#2)が行われる。
 図6に示す破線矢印の順番で、Wafer START→Scan#1→Scan#2→・・・・・・・→Scan#126→Wafer ENDまでステップアンドスキャン露光される。ウエハWFはレジストが塗布された半導体基板(感光基板)の一例である。
 3.4 スキャンフィールドとスタティック露光エリアとの関係
 図7に、ウエハWF上の1つのスキャンフィールドSFとスタティック露光エリアSEAとの関係を示す。スタティック露光エリアSEAは、スキャンフィールドSFに対するスキャン露光に用いられる概ね長方形の光強度分布が略均一なビーム照射領域である。照明光学系44によって整形された概ね長方形の略均一なスキャンビームがレチクル46上に照射され、スキャンビームの短軸方向(ここではY軸方向)に、レチクル46とウエハWFとが投影光学系50の縮小倍率に応じて、Y軸方向に互いに異なる向きで移動しながら露光が行われる。これにより、ウエハWF上の各スキャンフィールドSFにレチクルパターンがスキャン露光される。スタティック露光エリアSEAは、スキャンビームによる一括露光可能エリアと理解してよい。一括露光可能エリアは静止露光可能エリアと言い換えてもよい。
 図7において、縦方向の上向きのY軸方向マイナス側に向かう方向がスキャン方向であり、Y軸方向プラス側に向かう方向がウエハ移動方向(ステージ移動方向)である。図7の紙面に平行でY軸方向と直交する方向(X軸方向)をスキャン幅方向という。ウエハWF上でのスキャンフィールドSFのサイズは、例えば、Y軸方向が33mm、X軸方向が26mmである。
 図8は、スタティック露光エリアSEAの説明図である。スタティック露光エリアSEAのX軸方向の長さをBx、Y軸方向の幅をByとすると、BxはスキャンフィールドSFのX軸方向のサイズに対応しており、ByはスキャンフィールドSFのY軸方向のサイズよりも十分に小さいものとなっている。スタティック露光エリアSEAのY軸方向の幅ByをNスリットという。ウエハWF上のレジストに露光されるパルス数NSLは、次式となる。
 NSL=(By/Vy)・f
  Vy:ウエハのY軸方向のスキャン速度
  f:レーザの繰り返し周波数(Hz)
 3.5 レーザ装置の例
 3.5.1 構成
 図9は、レーザ装置12の構成例を概略的に示す。図9に示すレーザ装置12は、狭帯域化ArFレーザ装置であって、レーザ制御部20と、発振器22と、増幅器24と、モニタモジュール26と、シャッタ28とを含む。発振器22は、チャンバ60と、出力結合ミラー62と、パルスパワーモジュール(PPM)64と、充電器66と、狭帯域化モジュール(LNM)68とを含む。
 チャンバ60は、ウインドウ71,72と、一対の電極73,74と、電気絶縁部材75とを含む。PPM64は、スイッチ65と図示しない充電コンデンサとを含み、電気絶縁部材75のフィードスルーを介して電極74と接続される。電極73は、接地されたチャンバ60と接続される。充電器66は、レーザ制御部20からの指令に従い、PPM64の充電コンデンサを充電する。
 狭帯域化モジュール68と出力結合ミラー62とは光共振器を構成する。この共振器の光路上に一対の電極73,74の放電領域が配置されるように、チャンバ60が配置される。出力結合ミラー62には、チャンバ60内で発生したレーザ光の一部を反射し、他の一部を透過する多層膜がコートされている。
 狭帯域化モジュール68は、2つのプリズム81,82と、グレーティング83と、プリズム82を回転させる回転ステージ84とを含む。狭帯域化モジュール68は、回転ステージ84を用いてプリズム82を回転させることによってグレーティング83への入射角度を変化させて、パルスレーザ光の発振波長を制御する。回転ステージ84は、パルス毎に応答するように、高速応答が可能なピエゾ素子を含む回転ステージであってもよい。
 増幅器24は、光共振器90と、チャンバ160と、PPM164と、充電器166とを含む。チャンバ160、PPM164及び充電器166の構成は、発振器22の対応する要素の構成と同様である。チャンバ160は、ウインドウ171,172と、一対の電極173,174と、電気絶縁部材175とを含む。PPM164は、スイッチ165と図示しない充電コンデンサとを含む。
 光共振器90は、ファブリペロ型の光共振器であって、リアミラー91と出力結合ミラー92とで構成される。リアミラー91は、レーザ光の一部を部分反射し、かつ他の一部を透過する。出力結合ミラー92は、レーザ光の一部を部分反射し、かつ他の一部を透過する。リアミラー91の反射率は、例えば80%~90%である。出力結合ミラー92の反射率は、例えば10%~30%である。
 モニタモジュール26は、ビームスプリッタ181,182と、スペクトル検出器183と、レーザ光のパルスエネルギEを検出する光センサ184とを含む。スペクトル検出器183は、例えばエタロン分光器等であってよい。光センサ184は、例えばフォトダイオード等であってよい。
 3.5.2 動作
 レーザ制御部20は、露光制御部40から目標波長λt及び目標パルスエネルギEtのデータを受信すると、出力波長が目標波長λtとなるようにLNM68の回転ステージ84と、目標パルスエネルギEtとなるように少なくとも増幅器24の充電器166とを制御する。
 レーザ制御部20は、露光制御部40から発光トリガ信号Trを受信すると、発振器22から出力されたパルスレーザ光が増幅器24のチャンバ160の放電空間に入射した時に放電するように、PPM164のスイッチ165とPPM64のスイッチ65とにそれぞれトリガ信号を与える。その結果、発振器22から出力されたパルスレーザ光は増幅器24で増幅発振される。増幅されたパルスレーザ光は、モニタモジュール26のビームスプリッタ181によってサンプルされ、パルスエネルギEと、波長λとが計測される。
 レーザ制御部20は、モニタモジュール26を用いて計測されたパルスエネルギE及び波長λのデータを取得し、パルスエネルギEと目標パルスエネルギEtとの差、ならびに波長λと目標波長λtとの差がそれぞれ0に近づくように、充電器166の充電電圧と、発振器22の発振波長とを制御する。
 レーザ制御部20は、パルス単位でパルスエネルギE及び波長λを制御し得る。
 モニタモジュール26のビームスプリッタ181を透過したパルスレーザ光は、シャッタ28を介して露光装置14に入射する。レーザ装置12から出力されるパルスレーザ光のスペクトル線幅Δλの制御は、発振器22のチャンバ60と増幅器24のチャンバ160の放電タイミングの遅延時間Δtを制御することによって可能となる。
 3.5.3 その他
 図9では、光共振器90としてファブリペロ共振器の例を示したが、リング共振器を備えた増幅器であってもよい。
 4.課題
 比較例に係る露光システム10の場合、Scan#kのスキャン露光におけるバーストパルスの目標波長λtは、バースト毎に、ウエハWFの平均高さに対応するフォーカス位置となるように計算される。レーザ制御部20に目標波長データが送信され、スキャン露光が行われる。
 ところが、Scan#kのスキャンフィールドSFにおいて、スキャン方向(Y軸方向)のウエハ高さHcyに変化があるため(図10の中段に示すグラフG1参照)、平均値(平均高さ)からずれた領域ではフォーカス位置ずれが発生することがある。
 さらに、重ね合わせ精度を高精度化する場合に、スキャン方向と直交する方向(X軸方向)の倍率βcyの変化もあり(図10の下段に示すグラフG2参照)、このX軸方向の倍率βcyの補正も必要となる。
 図10は、スキャンフィールドSF内におけるウエハ高さHcyのY軸方向依存性と、X軸方向の倍率βcyのY軸方向依存性とを例示的に示す説明図である。
 図10の上段にはScan#kのスキャンフィールドSFをスキャン露光する様子が模式的に示されている。図10の中段には、実際に計測されたScan#kのスキャンフィールドSFにおけるウエハ高さHcyのY軸方向依存性を示すグラフG1と、ウエハ平均高さとが示されている。ここでいうウエハ平均高さは、Scan#kのスキャンフィールドSF内の高さの平均値であってもよいし、ウエハWF全体の高さの平均値であってもよい。
 図10の下段には、実際に計測されたScan#kのスキャンフィールドSFにおけるX軸方向の倍率βcyのY軸方向依存性を示すグラフG2と、標準倍率とが示されている。
 図10に示すように、レーザ光のパルス毎の波長変更によるスキャンフィールドSF内での倍率βcyの補正とフォーカス位置の補正との両立が課題となっている。
 5.実施形態1
 5.1 構成
 図11は、実施形態1に係るリソグラフィシステム100の構成例を概略的に示す。図11に示す構成について、図4と異なる点を説明する。図11に示すリソグラフィシステム100は、図4に示す露光システム10の構成に、ウエハ検査装置310と、リソグラフィ制御部110とが追加された全体システムである。
 ウエハ検査装置310は、ウエハWF上に光を照射してその反射光又は回折光を測定することによって、CD、ウエハWFの高さ、及び重ね合わせの測定が可能である。また、このウエハ検査装置310は高分解能スキャン電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)であってもよい。ウエハ検査装置310は、ウエハ検査制御部320と、ウエハホルダ352と、ウエハステージ354とを含む。ウエハ検査装置310は本開示における「検査装置」の一例である。ウエハ検査装置310は複数の計測器を含んでもよい。
 リソグラフィ制御部110は、図示しないプロセッサを用いて構成される。リソグラフィ制御部110は、メモリなどの記憶装置を含む。プロセッサは記憶装置を含んでいてよい。リソグラフィ制御部110には、ウエハ検査制御部320と、露光制御部40と、レーザ制御部20とのそれぞれにデータ等を送受信する信号ラインが接続されている。
 さらに、リソグラフィシステム100における露光装置14は、ウエハWFの高さを計測するフォーカスセンサ58を含む。フォーカスセンサ58は、露光制御部40と接続されている。
 5.2 動作
 5.2.1 リソグラフィシステムの動作の概要
 ウエハ検査装置310は、露光する前のウエハWFを検査して、各スキャンフィールドSF及びそのスキャンフィールドSF内のウエハWFの高さ及び加工パターンの位置寸法等を計測し、ウエハWFの各スキャンフィールドSFに対応した計測データを、リソグラフィ制御部110に送信する。
 リソグラフィ制御部110は、ウエハWFの各スキャンフィールドSFのスキャン方向と直交する方向に対して、それぞれ、ウエハWFの高さの平均値と、パターンの位置からフォーカス位置Fcyと、倍率βcyとを計算する。
 リソグラフィ制御部110は、各スキャンフィールドSFのスキャン方向の位置に依存するフォーカス位置Fcyと、倍率βcyと、CD値とに基づいて、目標波長λtを計算する。なお、露光システム10のCD値は波長依存性を持つ。
 リソグラフィ制御部110は、露光装置14の露光制御部40を介して、各パルスの目標波長λtをレーザ装置12に送信する。
 露光の動作は、図4に示した露光システム10と同様である。
 5.2.2 リソグラフィ制御部の処理内容の例
 図12は、実施形態1におけるリソグラフィ制御部110の処理内容の例を示すフローチャートである。図12に示すステップは、リソグラフィ制御部110として機能するプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
 ステップS11において、リソグラフィ制御部110は次に露光するウエハWFのウエハ検査装置310による検査が終了したか否かを判定する。ウエハ検査装置310はウエハWFの検査が終了するとウエハ検査の終了信号をリソグラフィ制御部110に送信する。リソグラフィ制御部110はウエハ検査装置310から次に露光するウエハWFのウエハ検査が終了したことを示す終了信号を受信したか否かを判定することによって検査が終了したか否かを判定する。
 ステップS11の判定結果がNo判定である場合、リソグラフィ制御部110はステップS11を繰り返す。
 ステップS11の判定結果がYes判定である場合、リソグラフィ制御部110はステップS12に進む。
 ステップS12において、リソグラフィ制御部110はウエハ検査装置310から露光前のウエハWFの検査データを受信し、スキャンフィールドSF毎にデータDを記憶する。データDは、計測されたウエハ高さ情報と、ウエハWF上のマークの位置情報と、CD値の情報と、どのプロセスのCD値であるかの情報とを含み、これらの各情報と、計測されたスキャンフィールドSFの位置を特定する情報とが関連付けされたデータ群である。
 次いで、ステップS13において、リソグラフィ制御部110はデータDから各スキャンフィールドSF内のスキャン方向と直交する方向の倍率βcyの計算と保存とを行う。
 また、ステップS14において、リソグラフィ制御部110はデータDから各スキャンフィールドSF内のスキャン方向と直交する方向のフォーカス位置の平均値であるフォーカス位置Fcyの計算と保存とを行う。
 さらにステップS15において、リソグラフィ制御部110はデータDから露光条件とCD値との関係を記憶する。なお、ステップS13~S15の処理の順番は、図12に示す例に限らず、適宜入れ替えが可能であり、また、複数のステップが並行して処理されてもよい。
 次いで、ステップS16において、リソグラフィ制御部110は倍率βcy、フォーカス位置Fcy及びCDに基づいて各スキャンフィールドSF内の各パルスの目標波長λtを求める。このステップS16で使用するCD値は、前に露光した異なるウエハWFについて記憶しておいた露光結果のCD値から持ってくるフィードバックデータである。
 ステップS17において、リソグラフィ制御部110は露光制御部40に、各スキャンフィールドSF内の各パルスの目標波長λtを送信する。本実施形態では、リソグラフィ制御部110は、露光制御部40に、各スキャンフィールドSF内の各パルスの目標波長λtのデータをまとめて送信する。
 次いで、ステップS18において、リソグラフィ制御部110は次に露光するウエハWFがあるか否かを判定する。ステップS18の判定結果がYes判定である場合、リソグラフィ制御部110はステップS11に戻る。
 その一方、ステップS18の判定結果がNo判定である場合、リソグラフィ制御部110は図12のフローチャートを終了する。
 5.2.3 露光制御部の処理内容の例
 図13は、実施形態1における露光制御部40の処理内容の例を示すフローチャートである。図13に示すステップは、露光制御部40として機能するプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
 ステップS21において、露光制御部40はリソグラフィ制御部110から各スキャンフィールドSF内の各パルスの目標波長λtを受信する。本実施形態では、露光制御部40は、リソグラフィ制御部110から、各スキャンフィールドSF内の各パルスの目標波長λtのデータをまとめて受信する。
 次いで、ステップS22において、露光制御部40はレーザ制御部20に各パルスの目標波長λtと発光トリガ信号Trとを送信しながら、スキャンフィールドSF内を露光する。すなわち、露光制御部40は、レーザ制御部20に、パルス毎に目標波長λtの送信と発光トリガ信号Trの送信とを行う。このとき、露光制御部40は、発光トリガ信号Trと同期して、レチクル46とウエハWFとを互いに逆向きに移動させてスキャン露光する。
 次いで、ステップS23において、露光制御部40は現在露光中のスキャンフィールドSFについて露光終了するか否かを判定する。現在露光中のスキャンフィールドSFがスキャン途中であり、当該スキャンフィールドSF内に未露光の領域が残っている場合にはステップS23の判定結果がNo判定となる。ステップS23の判定結果がNo判定である場合、露光制御部40はステップS22に戻り、当該スキャンフィールドSFのスキャン露光を継続する。
 当該スキャンフィールドSFのスキャン露光が完了し、ステップS23の判定結果がYes判定である場合、露光制御部40はステップS24に進む。
 ステップS24において、露光制御部40は次のスキャンフィールドSFを露光するか否かを判定する。ウエハWF内に未露光のスキャンフィールドSFが残っている場合にはステップS24の判定結果がYes判定となる。ステップS24の判定結果がYes判定である場合、露光制御部40はステップS25に進む。
 ステップS25において、露光制御部40は次のスキャンフィールドSFにウエハWFを移動させる。ステップS25の後、露光制御部40はステップS21に戻る。
 その一方、ステップS24の判定結果がNo判定である場合、露光制御部40は図13のフローチャートを終了する。
 5.2.4 X軸方向の倍率βcy及びフォーカス位置Fcyの説明
 ここで、スキャンフィールドSF内のX軸方向の倍率βcyとX軸方向のウエハ高さ平均値Havyから計算されるフォーカス位置Fcyとについて説明する。
 図14は、スキャンフィールドSF内のY軸方向の各位置におけるX軸方向の倍率βcyを例示的に示す説明図である。図14の上段にはウエハWFのスキャンフィールドSFがスキャンビームSBによってスキャン露光される様子が模式的に示されている。スキャンフィールドSFのX軸方向の端部に表示した波線は、ディストーション成分であるX軸方向の倍率βcyによって変化した位置を表している。
 図14の中段に示すグラフG3は、上段に示したスキャンフィールドSFについて、ウエハ検査装置310の検査結果から求まるX軸方向の倍率βcyの例である。図14の下段に示すグラフG4は、中段に示したグラフG3の横軸をスキャン露光パルスのパルス番号に変換したものである。スキャン露光パルスのパルス番号は、スキャンフィールドSF内で照射されるパルスの順番を示す番号である。
 図15は、スキャンフィールドSF内のY軸方向の各位置におけるウエハWFの高さのX軸方向の平均値(以下、「ウエハ高さ平均値」という。)Havyとフォーカス位置Fcとの関係を例示的に示す説明図である。図15の上段には、図14の上段と同じスキャンフィールドSFを示す。図15においてスキャンフィールドSFの下方に示すグラフG5は、上段に示したスキャンフィールドSFについて、ウエハ検査装置310の検査結果から求まるウエハ高さ平均値Havyの例である。グラフG5の下方に示すグラフG6は、グラフG5の横軸をスキャン露光パルスのパルス番号に変換したものである。図15の最下段に示すグラフG7は、ウエハ高さ平均値Havyと基準フォーカス位置F0とから計算されるフォーカス位置Fcyの例である。
 図14のグラフG3及び図15のグラフG5に示すように、リソグラフィ制御部110は、ウエハ検査装置310の検査結果から、各スキャンフィールドSF内のY軸方向の位置(Y座標)におけるX軸方向の倍率βcyと、ウエハWFの高さのX軸方向についての平均値(ウエハ高さ平均値Havy)とを求める。
 そして、リソグラフィ制御部110は、Y軸方向の位置をスキャンフィールドSF内のスキャン露光パルスのパルス番号に置き換え、パルス番号に対する倍率βcyとウエハ高さ平均値Havyとのデータに置き換える(図14のグラフG4及び図15のグラフG6参照)。
 さらに、リソグラフィ制御部110は、ウエハ高さ平均値Havyと基準フォーカス位置F0とから、投影光学系50とウエハWF表面との距離のX軸方向の平均値であるフォーカス位置Fcyを次式(1)によって求め、置き換える(図15のグラフG7参照)。
 Fcy=F0-Havy     (1)
 5.2.5 X軸方向の倍率βcyの計算及び保存を行うサブルーチンの例
 図16は、図12のステップS13に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。図16のステップS31において、リソグラフィ制御部110は1スキャン中に照射するパルスレーザ光のパルス番号を表すインデックスnを1に設定する。インデックスnが「1」とは1スキャン中に照射する最初のパルスのパルス番号である。
 次いで、ステップS32において、リソグラフィ制御部110はウエハWFの加工パターンのデータからX軸方向の倍率βcy(n)を計算する。ここで、測定点のY軸方向の間隔は、スキャンビームSBのパルス間隔の時間にウエハWFが移動する距離Lと一致させるのが好ましい。ウエハWFの移動速度をV、スキャンビームSBのレーザの繰り返し周波数をfとすると、距離Lは次式(2)で表される。
 L=V・(1/f)       (2)
 ステップS33において、リソグラフィ制御部110はファイルA1に倍率βcy(n)のデータを書き込む。
 次いで、ステップS34において、リソグラフィ制御部110はインデックスnがN以上であるか否かを判定する。ここでの比較基準となるNは、1スキャン中に照射する最後のパルスのパルス番号である。
 ステップS34の判定結果がNo判定である場合、リソグラフィ制御部110はステップS35に進む。ステップS35において、リソグラフィ制御部110はインデックスnの値をインクリメントし、ステップS32に戻る。
 一方、ステップS34の判定結果がYes判定である場合、リソグラフィ制御部110は図16のフローチャートを終了し、図12のメインフローに復帰する。
 図17は、スキャンフィールドSF内のパルス番号nごとに計算される倍率βcy(n)のイメージ図である。パルス番号1からNまでの各番号に対応した倍率βcy(n)が計算される。
 図18は、ファイルA1に保存されるデータの例を示す図表である。図18に示すように、ファイルA1には、パルス番号nに対応した倍率βcy(n)のデータが保存される。
 5.2.6 フォーカス位置Fcyの計算及び保存を行うサブルーチンの例
 図19は、図12のステップS14に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。図19のステップS41において、リソグラフィ制御部110は1スキャン中に照射するパルスレーザ光のパルス番号を表すインデックスnを1に設定する。
 次いで、ステップS42において、リソグラフィ制御部110はスキャンフィールドSF内におけるn番目のパルスの照射位置に対応するY軸方向位置のウエハ高さHc(n,m)のX軸方向の平均値Havy(n)を計算する。mはウエハ検査装置310によってウエハ高さを測定した測定点のX軸方向位置を示すインデックスである(図20参照)。測定点のY軸方向の間隔は、既述のとおり、スキャンビームSBのパルス間隔の時間にウエハWFが移動する距離Lと一致させるのが好ましい。
 スキャンフィールドSF内のパルス番号n(n=1~N)に対応したY軸方向位置ごとにX軸方向についてM箇所の測定点が設定されている場合、mは1からMの値を取り得る。
 ウエハ高さ平均値Havy(n)は次式(3)によって求められる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
 ここではウエハ高さ平均値Havy(n)としてHc(n,m)の単純平均値が計算される例を示すが、後述のように加重平均値を採用してもよい。
 次いで、ステップS43において、リソグラフィ制御部110は、ウエハ高さ平均値Havy(n)と基準フォーカス位置F0から式(4)に従い、フォーカス位置Fcy(n)を計算する。
 Fcy(n)=F0-Havy(n)     (4)
 そして、ステップS44において、リソグラフィ制御部110は、ファイルA2にフォーカス位置Fcy(n)のデータを書き込む。
 次いで、ステップS45において、リソグラフィ制御部110はインデックスnがN以上であるか否かを判定する。
 ステップS45の判定結果がNo判定である場合、リソグラフィ制御部110はステップS46に進む。ステップS46において、リソグラフィ制御部110はインデックスnの値をインクリメントし、ステップS42に戻る。
 一方、ステップS45の判定結果がYes判定である場合、リソグラフィ制御部110は図19のフローチャートを終了し、図12のメインフローに復帰する。
 図20は、スキャンフィールドSF内におけるウエハ高さ測定点のイメージ図である。図20中に示す多数の黒丸のそれぞれがウエハ高さ測定点を示している。図20では、ウエハ高さ測定点の個数を省略して図示されているが、スキャンフィールドSF内にはN×M個のウエハ高さ測定点が設けられている。ウエハ高さHc(n,m)は、測定点(n,m)で測定されたウエハ高さを表している。図20において(n,m)で表される複数の測定点は本開示における「複数点」の一例である。
 図21は、ファイルA2に保存されるデータの例を示す図表である。図21に示すように、ファイルA2には、パルス番号nに対応したフォーカス位置Fcy(n)のデータが保存される。
 5.2.7 ウエハ高さの平均値について
 図22及び図23に示されるように、露光するマスクパターンの形状によって、フォーカスの感度が異なる。図22は、密集パターンを露光した場合のCDとフォーカス位置との関係の例を示すグラフである。横軸はベストフォーカス位置(0.0)からのデフォーカス量を表し、縦軸はCD値を表す。図22に示すグラフは、密集パターンとしての65nmライン/130ピッチのCD-フォーカス曲線の一例である。図23は、孤立パターンを露光した場合のCDとフォーカス位置との関係の例を示すグラフである。横軸はベストフォーカス位置からのデフォーカス量を表し、縦軸はCD値を表す。図23に示すグラフは、孤立パターンとしての65nmライン/600ピッチのCD-フォーカス曲線の一例である。なお、CD-フォーカス曲線は、露光装置14の設定によって変わるものである。
 図22及び図23に示されるように、露光するマスクパターンによってCD-フォーカス曲線の傾向が変わる。密集パターンの場合、図22のように、デフォーカスが±210の範囲では、CD-フォーカス曲線が平らになっており、つまりフォーカス位置が変わってもCD値がほとんど変わらない。一方、孤立パターンの場合、図23のように、CD-フォーカス曲線が上凸形状になっており、フォーカス位置が変わるとCD値も大きく変わる。
 そこで、ウエハ高さの平均を計算する際、単純平均ではなく、例えば、孤立パターンが配置されている部分の重み(ウエイト)を上げ、密集パターンが配置されている部分の重みを下げて加重平均を取ることで、ウエハ高さをフォーカスに敏感なパターンを重視した制御が可能になり、全体のCDバラツキを抑えることが可能である。
 加重平均は、このようにパターンのフォーカス位置に対する敏感度だけでなく、例えばチップの性能に影響が大きいパターンが配置されている部分の重みを上げて行うことも可能である。本明細書での「平均値」という用語は、特に明示がない限り、単純平均値に限らず、加重平均値も含む。
 5.2.8 露光条件とCD値との関係を記憶するサブルーチンの例
 図24は、図12のステップS15に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。図24のステップS51において、リソグラフィ制御部110はデータDからウエハ検査装置310によって計測されたウエハWF上での各スキャンフィールドSF内におけるCD値を読み込む。図11で説明したとおり、ウエハ検査装置310によって、ウエハWFのそれぞれのスキャンフィールドSF内のCD値が計測される。リソグラフィ制御部110は、これらのデータDを読み込む。
 次いで、ステップS52において、リソグラフィ制御部110は計測したウエハWFの各スキャンフィールドSFにおける露光条件パラメータのデータFを読み込む。このデータFは、対象としているウエハWFのウエハ露光時の露光条件を、露光制御部40からリソグラフィ制御部110が受信したデータである。
 ステップS53において、リソグラフィ制御部110は露光条件パラメータとCD値との関係をファイルA0に記憶する。つまり、リソグラフィ制御部110はデータDとデータFとから露光条件パラメータとCD値との関係をファイルA0に記憶する。
 次いで、ステップS54において、リソグラフィ制御部110はファイルA0から露光条件とCD値との関係に整理して、それぞれのデータをファイルに分けて記憶する。例えば、リソグラフィ制御部110は、ファイルA0から露光条件のパラメータごとにCD値との関係を整理して、それぞれのデータを後述するファイルB、ファイルC、ファイルD及びファイルEなどに保存する。
 ステップS54の後、リソグラフィ制御部110は図24のフローチャートを終了し、図12のメインフローに復帰する。
 図25は、ファイルA0に保存される露光条件パラメータと、倍率βcyと、CD値との関係の一覧表の例を示す。
 ここで露光条件パラメータは、例えば、照明光学系44のパラメータILと、投影光学系50のパラメータPJと、マスクのパラメータMと、ドーズDと、波長λと、スペクトル線幅Δλと、フォーカス位置Fcy等を含む。
 照明光学系44のパラメータILの例は、通常照明のσ(シグマ)、輪帯照明のσ、輪帯比、4重極照明の角度、位置、大きさなどである。
 投影光学系50のパラメータPJの例は、色収差補正、開口数NAなどである。
 マスクのパラメータMの例は、マスクの寸法、材質、マスクの種類などである。
 図25に示す、照明光学系44のパラメータIL、投影光学系50のパラメータPJ、マスクのパラメータM及びドーズDは、露光装置14から受信した露光条件パラメータである。スペクトル線幅Δλ及び波長λは、露光装置14又はレーザ装置12から受信した露光条件パラメータである。倍率βcy及びフォーカス位置Fcyは、露光装置14又はウエハ検査装置310から受信したパラメータである。CD値はウエハ検査装置310から受信したパラメータである。
 図24のステップS54は、例えば、ファイルA0のデータから、共通する露光条件パラメータのデータを抽出して、ファイルB、ファイルC、ファイルD及びファイルEなどのデータ等を作成するステップである。
 なお、露光条件パラメータとしては、上記に例示したものに限らず、例えば、レジストのパラメータが含まれてもよい。パラメータとしては、レジストの種類、感度、厚み、ベーク条件なども含まれてもよい。
 5.2.9 倍率βcy、フォーカス位置Fcy及びCDから各パルスの目標波長λtを求めるサブルーチンの例
 図26は、図12のステップS16に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。
 ステップS61において、リソグラフィ制御部110は1スキャン中に照射するパルスレーザ光のパルス番号を表すインデックスnを1に設定する。
 次いで、ステップS62において、リソグラフィ制御部110は倍率βcy(n)、フォーカス位置Fcy(n)及びCDに基づいて、スキャンフィールドSF内のn番目のパルスの目標波長λt(n)を求める。
 次いで、ステップS63において、リソグラフィ制御部110はインデックスnがNと等しいか否かを判定する。
 ステップS63の判定結果がNo判定である場合、リソグラフィ制御部110はステップS64に進む。ステップS64において、リソグラフィ制御部110はインデックスnの値をインクリメントし、ステップS62に戻る。
 一方、ステップS63の判定結果がYes判定である場合、リソグラフィ制御部110は図26のフローチャートを終了し、図12のメインフローに復帰する。
 図27は、図26のステップS62に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。図27のステップS71において、リソグラフィ制御部110はフォーカス位置Fcy(n)の場合の許容CD値となる波長範囲の最短波長λ(n)と最長波長λ(n)とを求める。
 次いで、ステップS72において、リソグラフィ制御部110は倍率βcy(n)となる波長λ(n)を求める。なお、ステップS71とステップS72の順番は入れ替え可能であり、これらのステップが並行して行われてもよい。
 次いで、ステップS74において、リソグラフィ制御部110は波長λ(n)がλ(n)≦λ(n)≦λ(n)を満たしているか、λ(n)<λs(n)であるか、又はλ(n)<λ(n)であるかを判定する。
 ステップS74の判定結果がλ(n)≦λ(n)≦λ(n)を満たしている場合、リソグラフィ制御部110はステップS75に進み、目標波長λt(n)をλ(n)に決定する。
 ステップS74の判定結果がλ(n)<λs(n)である場合、リソグラフィ制御部110はステップS76に進み、目標波長λt(n)をλ(n)に決定する。
 ステップS74の判定結果がλ(n)<λ(n)である場合、リソグラフィ制御部110はステップS77に進み、目標波長λt(n)をλ(n)に決定する。
 ステップS75、ステップS76又はステップS77の後、リソグラフィ制御部110はステップS78に進む。
 ステップS78において、リソグラフィ制御部110はファイルBにFcy(n)、λ(n)、λ(n)、βcy(n)、λ(n)及びλt(n)のデータを書き込む。
 ステップS78の後、リソグラフィ制御部110は図27のフローチャートを終了し、図26のフローチャートに復帰する。
 図28は、ファイルBに保存されるデータテーブルの例を示す図表である。図28に示すように、パルス番号n毎にFcy(n)、λ(n)、λ(n)、βcy(n)、λ(n)及びλt(n)の各データを含むレコードが作成される。
 図29は、図27のステップS71に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。図29のステップS81において、リソグラフィ制御部110はフォーカス位置Fcyと波長λとCD値との関係のファイルCを読み込む。光学シミュレーション又はテスト露光の結果から各フォーカス位置Fcyと波長λとCD値との関係データを予めファイルCに保存しておく。図30にファイルCの例を示す。リソグラフィ制御部110は予め保存しておいたファイルCの読み込みを行う。
 ステップS82において、リソグラフィ制御部110はファイルCからフォーカス位置Fcy(n)の場合のCD値と波長λとの関係を表す近似曲線(CD曲線)を求める。
 次いで、ステップS83において、リソグラフィ制御部110は、ステップS82で求めたCD曲線に基づいて、フォーカス位置Fcy(n)の場合の所定の許容CD値となる波長範囲の最短波長λ(n)と最長波長λ(n)とを求める。
 ステップS83の後、リソグラフィ制御部110は図29のフローチャートを終了し、図27のフローチャートに復帰する。
 図31は、図29のステップS82で得られるCD曲線の例を示すグラフである。図31には、図29のステップS83に用いられる所定の許容CD値の例と、許容CD値とCD曲線とから求まる最短波長λ(n)及び最長波長λ(n)の例が示されている。最適波長λbは、例えば、最短波長λ(n)と最長波長λ(n)とで規定される波長範囲の中央の値であってよい。図31に示すCD曲線は本開示における「第1の近似曲線」の一例である。
 図32は、図27のステップS72に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。図32のステップS91において、リソグラフィ制御部110は倍率βcyと波長λとの関係のファイルDを読み込む。光学シミュレーション又はテスト露光の結果から倍率βcyと波長λとの関係データを予めファイルDに保存しておく。図33にファイルDの例を示す。リソグラフィ制御部110は予め保存しておいたファイルDの読み込みを行う。
 次いで、ステップS92において、リソグラフィ制御部110はファイルDから倍率βcyと波長λとの関係を規定する近似曲線Fを求める。
 次いで、ステップS93において、リソグラフィ制御部110は近似曲線Fの関数を用いて、倍率βcy(n)となる波長λ(n)を計算する。近似曲線Fの関数をλ=F{βcy}とすると、リソグラフィ制御部110はλ(n)=F{βcy(n)}により波長λ(n)を計算する。
 ステップS93の後、リソグラフィ制御部110は図32のフローチャートを終了し、図27のフローチャートに復帰する。
 図34は、図32のステップS92で得られる近似曲線Fの例を示すグラフである。また、図34には、近似曲線Fの関数を用いて倍率βcy(n)となる波長λ(n)を求める計算方法の考え方が示されている。波長λ(n)は本開示における「第1の波長」の一例である。近似曲線Fは本開示における「第2の近似曲線」の一例である。
 5.3 効果
 実施形態1に係るリソグラフィシステム100によれば、ウエハWFに加工されたパターンの高さと倍率βcyの値に近づくような各パルスの目標波長λtを計算し、その目標波長λtのパルスレーザ光で、スキャンフィールドSF内をスキャン投影露光しているので、スキャン方向と直交する方向の倍率とフォーカス位置との両方の補正が可能となる。その結果、重ね合わせの精度とCD精度が同時に改善される。
 6.実施形態2
 6.1 構成
 実施形態1では、ウエハ検査装置310を用いてウエハ高さHcを計測し、その計測結果を基にフォーカス位置Fcyを求める例を説明した。これに対し、実施形態2では、露光装置14内に配置されたフォーカスセンサ58を用いて、フォーカス位置Fcyを露光直前に計測する構成となっている。
 図35は、実施形態2に係るリソグラフィシステム100の露光装置14内に配置されるフォーカスセンサ58によるウエハWF上の測定点の例を模式的に示す説明図である。実施形態2に適用されるフォーカスセンサ58は、ウエハWF内の複数の位置のウエハ高さを計測し得る複数のオートフォーカス(Autofocus:AF)センサを含む。複数のAFセンサのそれぞれは、発光素子と受光素子とを含む。
 図35には、スキャンビームSBによってスキャン露光中のスキャンフィールドSFが示されており、スキャンフィールドSFに対してスキャンビームSBがY軸プラス方向に相対移動する様子が図示されている。図35中のスキャンフィールドSF内に並ぶ複数のドットマークのそれぞれは、図示しない複数のAFセンサのそれぞれの測定点を模式的に表している。図35では、図示の簡略化のために、測定点の数を減らして示すが、実際の測定点の数はもっと多い構成であってよい。
 AFセンサによるウエハWFの高さ計測にはウエハWF上のマークが不要であり、ウエハWFにおけるパターン有り無しに関係なく計測可能である。AFセンサの計測はスキャン露光中にリアルタイムで行われる。
 複数のAFセンサは、役割によって3種類に分類される。第1のAFセンサは、スキャンビームSBによる露光中のエリア内のウエハ高さを計測するために使われる。第2のAFセンサは、Y軸プラス方向のスキャン時にウエハ高さの先読みをするために使われる。第3のAFセンサは、Y軸方向マイナス方向のスキャン時にウエハ高さの先読みをするために使われる。「先読み」は、露光動作に先行してスキャンフィールドSF内の未露光領域のウエハ高さの計測を行うことを意味しており、ここでは、露光直前にウエハ高さの計測が行われることを含意する。
 図36は、実施形態2に係るリソグラフィシステムの露光装置14に適用されるAFセンサユニット580の構成例を概略的に示す側面図である。実施形態2の露光装置14は、フォーカスセンサ58として、複数のAFセンサを含むAFセンサユニット580を備える。AFセンサユニット580は、AF発光部582とAF受光部584とを含む。AF発光部582とAF受光部584とは、投影光学系50を挟んでY軸方向に並ぶように配置される。
 AF発光部582は、第1のAFセンサの発光素子群と、第2のAFセンサの発光素子群と、第3のAFセンサの発光素子群とを含む。AF受光部584は、第1のAFセンサの受光素子群と、第2のAFセンサの受光素子群と、第3のAFセンサの受光素子群とを含む。
 図36において、太線矢印はY軸プラス方向のスキャン中に先読みを行う第2のAFセンサの発光素子から出射された光を表している。図36において、細線矢印は第1のAFセンサの発光素子から出射された光を表している。図36において、破線矢印はY軸マイナス方向のスキャン中に先読みを行う第3のAFセンサの発光素子から出射された光を表している。
 6.2 動作
 6.2.1 リソグラフィ制御部の処理内容の例
 図37は、実施形態2に係るリソグラフィシステム100におけるリソグラフィ制御部110の処理内容の例を示すフローチャートである。図37において、図12に示すステップと共通するステップには同一のステップ番号を付し、重複する説明は省略する。図37について、図12と異なる点を説明する。
 図37に示すフローチャートは、図12のステップS14、ステップS16及びステップS17が削除されており、ステップS13の後にステップS15に進み、ステップS15の後にステップS18に進む。他のステップは図12と同様である。
 実施形態2に係るリソグラフィシステム100の場合、ファイルA1、ファイルC及びファイルDのそれぞれのファイルデータは、リソグラフィ制御部110と露光制御部40とにおいて書き込み及び閲覧が可能なものとする。ファイルA1は、パルス番号nと倍率βcyとのテーブルデータを含む。ファイルCは、各フォーカス位置Fcと波長λとCD値との関係のテーブルデータを含む。ファイルDは、波長λと倍率βとの関係のテーブルデータを含む。
 6.2.2 露光制御部の処理内容の例
 図38は、実施形態2に係るリソグラフィシステム100における露光制御部40の処理内容の例を示すフローチャートである。露光制御部40は、図13で説明したフローチャートに代えて、図38に示すフローチャートの処理を実行し得る。
 ステップS101において、露光制御部40はスキャン露光開始の準備を行う。
 次いで、ステップS102において、露光制御部40は1スキャン中に照射するスキャン露光パルスのパルス番号のインデックスnを「1」に設定する。
 次いで、ステップS103において、露光制御部40はスキャンフィールドSF内のパルス番号と倍率βcy(n)とを保存するファイルA1のデータを読み込む。
 次いで、ステップS104において、露光制御部40はフォーカスセンサ58によって露光直前のスキャン方向と直交する方向のフォーカス位置の計測とその平均値であるフォーカス位置Fcy(n)の計算とを行う。
 次いで、ステップS106において、露光制御部40は倍率βcy(n)、フォーカス位置Fcy(n)及びCDに基づいてスキャンフィールド内のn番目のパルスの目標波長λt(n)を求める。ステップS106の処理は、図27のフローチャートと同様であってよい。
 次いで、ステップS108において、露光制御部40はレーザ制御部20に、n番目のパルスの目標波長λt(n)を送信する。
 次いで、ステップS112において、露光制御部40はスキャンフィールドSF内のn番目のパルスとして照射されるように発光トリガ信号Trをレーザ制御部20に送信する。
 次いで、ステップS114において、露光制御部40はパルス番号nが1スキャン中に照射する最後のパルスのパルス番号Nに一致しているか否かを判定する。
 ステップS114の判定結果がNo判定である場合、露光制御部40はステップS115に進み、インデックスnの値をインクリメントして、ステップS103に戻る。
 一方、ステップS114の判定結果がYes判定である場合、露光制御部40はステップS116に進む。ステップS116において、露光制御部40はウエハWF内に次のスキャン露光の対象とするスキャンフィールドSFがあるか否かを判定する。
 ステップS116の判定結果がYes判定である場合、露光制御部40はステップS118に移行して次のスキャンフィールド位置にウエハWFをステップ移動させた後、ステップS101に戻る。一方、ステップS116の判定結果がNo判定である場合、露光制御部40は図38のフローチャートを終了する。
 図39は、図38のステップS104に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。ステップS121において、露光制御部40はフォーカスセンサ58によりX軸上でのM点のウエハ高さHc(n,m)を計測する。例えば、図35のようにスキャン方向がY軸プラス方向である場合、スキャンビームSBの露光可能エリアのY軸プラス方向に先行するY軸プラス方向先読みAFセンサ(第2のAFセンサ)により、露光直前のウエハ高さHc(n,m)を、X軸上のM個の各点にて計測する。
 次いで、ステップS122において、露光制御部40はウエハ高さの平均値Havy(n)を計算する。Havy(n)の計算式は、既述した式(3)であってよい。
 次いで、ステップS123において、露光制御部40は基準フォーカス位置F0とウエハ高さの平均値Havy(n)との差からフォーカス位置Fcy(n)を求める。
 次いで、ステップS124において、露光制御部40はファイルA2にフォーカス位置Fcy(n)のデータを書き込む。
 ステップS124の後、露光制御部40は図39のフローチャートを終了し、図38のフローチャートに復帰する。
 6.3 効果
 実施形態2に係るリソグラフィシステム100によれば、ウエハWFの高さを露光直前に計測し、リアルタイムでフォーカス位置が制御可能となるので、スキャン方向と直交する方向の倍率とフォーカス位置とのそれぞれの補正精度がさらに改善する。
 7.実施形態3
 7.1 構成
 図40は、実施形態3に係るリソグラフィシステム103の構成例を概略的に示す。図40に示す構成について、図11と異なる点を説明する。図40に示すリソグラフィシステム103は、図11に示す構成に追加して、投影光学系50中の、投影光学系50全体の倍率制御が可能かつ、波面収差をはじめとする結像性能に影響が小さいレンズ502を一枚又は複数枚選定し、そのレンズ502に光軸上を高速に駆動させるピエゾアクチュエータ504を含む。この一枚又は複数枚のレンズ502を「倍率補正レンズ502」と呼ぶ。
 露光制御部40には、スキャン露光中に、倍率補正レンズ502を光軸方向に移動させるようにピエゾアクチュエータ504を制御するための信号ラインが接続されている。
 7.2 動作
 実施形態3に係るリソグラフィシステム103は、目標波長λtによって倍率を補正することに加え、目標波長λtによって十分に補正できない領域、すなわち、フォーカス位置がずれる波長領域では、投影光学系50の倍率補正レンズ502で補正を行う。
 リソグラフィ制御部110又は露光制御部40には、レーザ装置12から出力されるレーザ光の目標波長λtによって補正しきれなかった倍率差が小さくなるように倍率補正レンズ502の位置を制御する機能が追加される。
 リソグラフィ制御部110の処理内容は、図37のフローチャートと同様であってよい。
 図41は、実施形態3に係るリソグラフィシステム103における露光制御部40の処理内容の例を示すフローチャートである。露光制御部40は、図38で説明したフローチャートに代えて、図41に示すフローチャートの処理を実行し得る。図41において、図38に示すステップと共通するステップには同一のステップ番号を付し、重複する説明は省略する。図41に示すフローチャートについて、図38と異なる点を説明する。
 図41に示すフローチャートは、図38のステップS106に代えてステップS106Aを含み、さらに、ステップS108とステップS112との間にステップS109を含む。
 図41のステップS106Aにおいて、露光制御部40は倍率βcy(n)、フォーカス位置Fcy(n)及びCDに基づいて、スキャンフィールドSF内のn番目のパルスの目標波長λt(n)と投影光学系50の倍率補正レンズ502の制御値γc(n)とを求める。
 ステップS108の後、ステップS109において、露光制御部40は投影光学系50の倍率補正レンズ502を駆動するピエゾアクチュエータ504に制御値γc(n)を送信する。他のステップは、図38と同様であってよい。
 図42は、図41のステップS106Aに適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。図42におけるステップS71~ステップS77は図27のフローチャートと同様である。図42に示すフローチャートについて、図27と異なる点を説明する。図42に示すフローチャートは、図27のステップS78に代えて、ステップS140、ステップS141、ステップS142及びステップS148を含む。
 図42に示すように、ステップS75の後、露光制御部40はステップS140に進む。ステップS140において、露光制御部40は倍率補正レンズ502の制御値γc(n)を「0」とする。
 ステップS76の後、露光制御部40はステップS141に進む。ステップS141において、露光制御部40は倍率βcy(n)と波長λt(n)の場合の倍率βλt(n)との差が0に近づく倍率補正レンズ502の制御値γc(n)を計算する。
 ステップS77の後、露光制御部40はステップS142に進む。ステップS142の処理内容はステップS141と同様であってよい。
 ステップS140、ステップS141又はステップS142の後、露光制御部40はステップS148に進む。
 ステップS148において、露光制御部40はファイルBにFcy(n)、λ(n)、λ(n)、βcy(n)、λ(n)、λt(n)及びγc(n)のデータを書き込む。実施形態3に適用されるファイルBは、図28に例示したファイルBのデータテーブルに倍率補正レンズ502の制御値γc(n)のデータが追加されたものとなる。
 ステップS148の後、露光制御部40は図42のフローチャートを終了し、図41のフローチャートに復帰する。
 図43は、図42のステップS141及びステップS142に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。図43のステップS161において、露光制御部40はファイルDから目標波長λt(n)の場合の倍率βλt(n)を求める。
 次いで、ステップS162において、露光制御部40は倍率βcy(n)と倍率βλt(n)との差Δβ(n)を次式(5)により計算する。
 Δβ(n)=βλt(n)-βcy(n)    (5)
 式(5)によって求められるΔβ(n)は、倍率補正値に相当し得る。
 次いで、ステップS163において、露光制御部40はΔβ(n)が0に近づく倍率補正レンズ502の制御値γc(n)を計算する。露光制御部40は、Δβと倍率補正レンズ502の制御値γcとの関係を、予め例えばテーブルデータ又は関数として記憶部に記憶しておき、このテーブルデータ又は関数を呼び出して、倍率補正レンズ502の制御値yc(n)を計算してもよい。
 ステップS163の後、露光制御部40は図43のフローチャートを終了し、図42のフローチャートに復帰する。
 7.3 効果
 実施形態3に係るリソグラフィシステム103によれば、実施形態1の構成では倍率補正できない領域、すなわち、λ(n)<λ(n)又はλ(n)<λ(n)の領域において、倍率補正レンズ502を制御することによって目標倍率に近づけることができ、重ね合わせが一層改善する。
 7.4 変形例
 実施形態3においては、ウエハWFの高さの計測は露光装置14のフォーカスセンサ58によって行っているが、この例に限定されることなく、実施形態1と同様に、ウエハ検査装置310によってウエハ高さを予め計測して、処理を行ってもよい。この場合、リソグラフィ制御部110において、図41で説明したステップS106Aと同様の計算処理を実行して、スキャンフィールドSFで1番目のパルスから最終パルスまでの目標波長λt(n)のデータを、露光制御部40を介してレーザ制御部20に送信し、倍率補正レンズ502の制御値γc(n)のデータを露光制御部40に予め送信してもよい。そして、レーザ制御部20は、パルス毎に目標波長λt(n)のレーザ光を出力し、露光制御部40は、パルス毎に倍率補正レンズ502の制御値γc(n)となるように倍率補正レンズ502を制御してもよい。
 8.実施形態4
 8.1 構成
 図44は、実施形態4に係るリソグラフィシステム104の構成例を概略的に示す。図44に示す構成について、図11と異なる点を説明する。図44に示すリソグラフィシステム104は、図11の露光制御部40に代えて、露光制御部40Dを含む。他の構成は図11と同様である。
 露光制御部40Dは、図11の露光制御部40と同様に目標波長λtによって倍率を補正し、さらに、フォーカス位置がずれる波長領域ではウエハステージ54のZ軸ステージを制御することによりフォーカス位置を変更する制御を行う。
 8.2 動作
 リソグラフィ制御部110又は露光制御部40Dは、レーザ装置12から出力されるレーザ光の目標波長λtによって倍率を補正する。この補正を実施してもCD値が許容範囲から外れる領域では、露光制御部40Dはウエハステージ54のZ軸ステージを制御して、CD値が許容範囲内となるようにフォーカス位置を制御する。リソグラフィ制御部110が実施し得るフローチャートは、図37と同様であってよい。
 図45は、実施形態4に係るリソグラフィシステム104における露光制御部40Dの処理内容の例を示すフローチャートである。露光制御部40Dは、図38で説明したフローチャートに代えて、図45に示すフローチャートの処理を実行し得る。図45において、図38に示すステップと同様のステップには同一のステップ番号を付し、その説明は省略する。図45に示すフローチャートについて、図38と異なる点を説明する。
 図45に示すフローチャートは、図38のステップS106に代えて、ステップS106Bを含み、さらに、ステップS108とステップS112との間にステップS110を含む。
 ステップS106Bにおいて、露光制御部40Dは倍率βcy(n)、フォーカス位置Fcy(n)及びCDに基づいて、スキャンフィールドSF内のn番目のパルスの目標波長λt(n)とフォーカス位置Fc(n)とを求める。ここでのフォーカス位置Fc(n)は、目標フォーカス位置に相当する。
 ステップS108の後、ステップS110において、露光制御部40Dはフォーカス位置がFc(n)となるようにウエハステージ54を制御する。ステップS110の後、露光制御部40DはステップS112に進む。他のステップは、図38と同様であってよい。
 図46は、図45のステップS106Bに適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。図46に示すフローチャートについて、図27と異なる点を説明する。図46に示すフローチャートは、ステップS72とステップS74との間にステップS73を含む。また、図27のステップS75~ステップS77に代えて、ステップS145~ステップS147を含み、図27のステップS78に代えて、ステップS149を含む。
 図46のステップS72の後、露光制御部40DはステップS73に進む。
 ステップS73において、露光制御部40Dは目標波長λt(n)を波長λ(n)に設定する。ステップS73の後、露光制御部40DはステップS74に進む。
 ステップS74の判定結果がλ(n)≦λ(n)≦λ(n)を満たしている場合、露光制御部40DはステップS145に進む。
 ステップS145において、露光制御部40Dは目標フォーカス位置Fc(n)を基準フォーカス位置F0とする。
 ステップS74の判定結果がλ(n)<λ(n)である場合、露光制御部40DはステップS146に進む。ステップS146において、露光制御部40Dは波長がλ(n)の場合にCD値が許容範囲となるように、フォーカス位置Fc(n)を計算する。
 ステップS74の判定結果がλ(n)<λ(n)である場合、露光制御部40DはステップS147に進む。ステップS147は、ステップS146と同様のステップであってよい。
 ステップS145、ステップS146又はステップS147の後、露光制御部40DはステップS149に進む。ステップS149において、露光制御部40DはファイルBにFcy(n)、λ(n)、λ(n)、βcy(n)、λ(n)、λt(n)及びFc(n)のデータを書き込む。
 ステップS149の後、露光制御部40Dは図46のフローチャートを終了し、図45のフローチャートに復帰する。
 図47は、図46のステップS146及びステップS147に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。図47のステップS171において、露光制御部40Dは波長λとフォーカス位置Fbとの関係のファイルEを読み込む。なお、ステップS171に先立ち、波長λと投影光学系50のフォーカス位置Fbとの関係のファイルEを予め計算又は計測して保存しておく。図48にファイルEの例を示す。露光制御部40Dは予め保存しておいたファイルEの読み込みを行う。なお、フォーカス位置Fbでは許容範囲でのCD値が維持できる。
 次いで、ステップS172において、露光制御部40DはファイルEから近似曲線Gを求める。
 次いで、ステップS173において、露光制御部40Dは近似曲線Gの関数を用いて、波長λ(n)のフォーカス位置Fc(n)を計算する。近似曲線Gの関数をFb=G{λ}とすると、露光制御部40DはFc(n)=G{λ(n)}によりフォーカス位置を計算する。
 ステップS173の後、露光制御部40Dは図47のフローチャートを終了し、図46のフローチャートに復帰する。
 図49は、図47のステップS172で得られる近似曲線Gの例を示すグラフである。横軸は波長λ、縦軸はフォーカス位置Fbを表す。図49には、近似曲線Gの関数を用いて波長λ(n)に対応するフォーカス位置としてのFc(n)を求める計算方法の考え方が示されている。
 8.3 効果
 実施形態4に係るリソグラフィシステム104によれば、実施形態1の構成では倍率補正できない領域、すなわち、λ(n)<λ(n)又はλ(n)<λ(n)の領域において、フォーカス位置を制御することによって目標倍率に近づけることができ、CDが許容範囲内に維持されるので、重ね合わせが一層改善する。
 8.4 変形例1
 図50は、実施形態4の変形例に係る露光制御部40Dの処理内容の例を示すフローチャートである。図45のフローチャートに代えて、図50に示すフローチャートを適用し得る。図50に示すフローチャートについて、図45と異なる点を説明する。図50に示すフローチャートは、図45のステップS106Bに代えて、ステップS106Cを含む。他のステップは図45と同様であってよい。
 図50のステップS106Cにおいて、露光制御部40Dは倍率βcy(n)に基づいて、スキャンフィールドSF内のn番目のパルスの目標波長λt(n)とフォーカス位置Fc(n)とを求める。
 図51は、図50のステップS106Cに適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。図51に示すフローチャートについて、図46と異なる点を説明する。図51に示すフローチャートは、図46のステップS71、ステップS74及びステップS145が削除されており、ステップS73の後にステップS146に進む。他のステップは図46と同様であってよい。
 8.5 変形例2
 実施形態4においては、ウエハWFの高さの計測は露光装置14のフォーカスセンサ58によって行っているが、この例に限定されることなく、実施形態1と同様に、ウエハ検査装置310によってウエハ高さを予め計測して、処理を行ってもよい。
 すなわち、リソグラフィ制御部110において、図45のステップS106Bの計算処理を実行して、スキャンフィールドSFで1番目のパルスから最終パルスまでのそれぞれの目標波長λt(n)のデータを、露光制御部40Dを介してレーザ制御部20に送信し、フォーカス位置Fc(n)のデータを露光制御部40Dに予め送信してもよい。
 そして、レーザ制御部20は、パルス毎に目標波長λt(n)のレーザ光を出力し、露光制御部40Dは、パルス毎にフォーカス位置Fc(n)となるようにウエハステージ54を制御してもよい。
 9.実施形態5
 9.1 構成
 図52は、実施形態5に係るリソグラフィシステム105の構成例を概略的に示す。図52に示す構成について、図11と異なる点を説明する。図52に示すリソグラフィシステム105は、図11に示す構成に追加して、ウエハ表面でのドーズを計測するためのパルスエネルギセンサユニット45を含む。また、図11の露光制御部40に代えて、露光制御部40Eを含む。
 パルスエネルギセンサユニット45は、照明光学系44とレチクルステージ48との間の光路上に配置されたビームスプリッタ451と、ビームスプリッタ451でサンプルされたパルスレーザ光を受光するパルスエネルギセンサ452とを含む。パルスエネルギセンサ452は、信号ラインを介して露光制御部40Eと接続される。
 9.2 動作
 リソグラフィ制御部110又は露光制御部40Eは、レーザ装置12から出力されるレーザ光の目標波長λtによって倍率を補正する。この補正を実施してもCD値が許容範囲から外れる領域では、露光制御部40EはCD値が許容範囲内となるようにウエハWF面上でのドーズを制御する。
 露光制御部40Eは、ウエハWF面上でのドーズをパルス毎に制御するために、レーザ制御部20に目標パルスエネルギEtを送信する。
 リソグラフィ制御部110が実施し得るフローチャートは、図37と同様であってよい。
 図53は、実施形態5に係るリソグラフィシステム105における露光制御部40Eの処理内容の例を示すフローチャートである。露光制御部40Eは、図38で説明したフローチャートに代えて、図53に示すフローチャートの処理を実行し得る。図53に示すフローチャートについて、図38と異なる点を説明する。図53に示すフローチャートは、図38のステップS106及びステップS108に代えて、ステップS106E及びステップS108Eを含み、さらにステップS106EとステップS108Eとの間にステップS107を含む。
 ステップS106Eにおいて、露光制御部40Eは倍率βcy(n)、フォーカス位置Fcy(n)及びCDに基づいて、スキャンフィールドSF内のn番目のパルスの目標波長λt(n)と目標ドーズDt(n)とを求める。
 次いで、ステップS107において、露光制御部40Eは目標ドーズDt(n)から次のパルスの目標パルスエネルギEt(n)を計算する。
 そして、ステップS108Eにおいて、露光制御部40Eはレーザ制御部20に、n番目のパルスの目標波長λt(n)と目標パルスエネルギEt(n)とを送信する。他のステップは図38と同様であってよい。
 図54は、図53のステップS106Eに適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。図54のステップS71~ステップS74は図46と同様である。図54に示すフローチャートについて、図46と異なる点を説明する。
 図54に示すフローチャートは、図46のステップS145、ステップS146、ステップS147及びステップS149に代えて、ステップS155、ステップS156、ステップS157及びステップS159を含む。
 図54におけるステップS74の判定結果がλ(n)≦λ(n)≦λ(n)を満たしている場合、露光制御部40EはステップS155に進む。
 ステップS155において、露光制御部40Eは目標ドーズDt(n)を基準ドーズDsに定める。
 ステップS74の判定結果がλ(n)<λ(n)である場合、露光制御部40EはステップS156に進む。ステップS156において、露光制御部40Eは波長がλ(n)の場合にCD値が許容範囲となるように目標ドーズDt(n)を計算する。
 ステップS74の判定結果がλ(n)<λ(n)である場合、露光制御部40EはステップS157に進む。ステップS157は、ステップS156と同様のステップであってよい。
 ステップS155、ステップS156又はステップS157の後、露光制御部40EはステップS159に進む。ステップS159において、露光制御部40EはファイルBにFcy(n)、λ(n)、λ(n)、βcy(n)、λ(n)、λt(n)及びDt(n)のデータを書き込む。
 ステップS159の後、露光制御部40Eは図54のフローチャートを終了し、図53のフローチャートに復帰する。
 図55は、CD値とドーズDとの関係の例を示すグラフである。横軸はドーズD、縦軸はCD値を表す。図55のような関係を示す曲線は「CD-ドーズ曲線」と呼ばれる。露光制御部40Eは、例えば、図31で説明したファイルA0のデータから、今回露光するウエハWFと同じ露光条件で過去に露光されたウエハについてのCD値とドーズDとの関係のデータに整理して、その関係データをファイルFに保存しておく。
 そして、露光制御部40Eは、ファイルFからCD値とドーズDとの関係を表す近似曲線を作成し、この近似曲線(すなわち、CD-ドーズ曲線)の関数から目標CD値とするための目標ドーズDtの値を求めることができる。なお、このCD値とドーズDとの関係の近似曲線は、露光のシミュレータソフトを用いても算出可能である。図55に示すCD-ドーズ曲線は本開示における「第3の近似曲線」の一例である。
 図56は、図53のステップS107に適用されるサブルーチンの例を示すフローチャートである。ステップS181において、露光制御部40EはウエハWF表面上での次のパルスの目標パルスエネルギ密度Ew(n)を次式(6)により計算する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000002
 式中のNSLはレジストに照射されるパルス数である。Ed(k)は各パルスのウエハ上でのエネルギ密度である。Ed(k)は、露光装置14内に配置されたパルスエネルギセンサ452によって計測され、図示しない記憶部によってデータが保存されている。
 次いで、ステップS182において、露光制御部40Eはレーザ装置12から出力される目標パルスエネルギEt(n)を次式(7)により計算する。
 Et(n)=(1/T)Bx・By・Ew(n) (7)
 式中のTはレーザ装置12のレーザ出口からウエハWFまでの露光装置14内におけるパルスレーザ光の透過率である。また、Bx・Byは、ウエハWF上に照射されるレーザビームのスタティック露光エリアSEAの面積である(図8参照)。
 ステップS182の後、露光制御部40Eは図56のフローチャートを終了し、図53のフローチャートに復帰する。
 9.3 効果
 実施形態5に係るリソグラフィシステム105によれば、実施形態1の構成では倍率補正できない領域、すなわち、λ(n)<λ(n)又はλ(n)<λ(n)の領域において、ドーズを制御することによって目標倍率に近づけることができ、さらにCDもドーズ制御によって許容範囲に維持されるので、重ね合わせ及びCD均一性が改善する。
 9.4 変形例
 実施形態5においては、ウエハWFの高さの計測は露光装置14のフォーカスセンサ58によって行っているが、この例に限定されることなく、実施形態1と同様に、ウエハ検査装置310によってウエハ高さを予め計測して、処理を行ってもよい。
 すなわち、リソグラフィ制御部110において、図53のステップS106E及びステップS107の計算処理を実行して、スキャンフィールドSFで1番目のパルスから最終パルスまでの目標波長λt(n)及び目標パルスエネルギEt(n)のデータを、露光制御部40Eを介してレーザ制御部20に予め送信してもよい。そして、レーザ制御部20は、パルス毎に目標波長λt(n)と目標パルスエネルギEt(n)とに制御されたレーザ光を出力する構成であってよい。
 9.5 その他
 実施形態3、実施形態4及び実施形態5の各実施形態で説明したように、倍率補正レンズ502による補正制御、フォーカス位置の補正制御及びドーズの補正制御を行うことによって、CD値が許容範囲となるように制御可能であるが、これらの3つの補正制御をそれぞれ組み合わせることによっても、CD値を許容範囲内に維持したまま、スキャン方向と直交する方向(スキャン幅方向)の倍率補正がさらに改善される。
 10.固体レーザ装置を発振器として用いるエキシマレーザ装置の例
 10.1 構成
 図9で説明したレーザ装置12は、発振器22として狭帯域化ガスレーザ装置を用いる構成を例示したが、レーザ装置の構成は図9の例に限定されない。図9に示すレーザ装置12に代えて、図57に示すレーザ装置212を用いてもよい。図57に示す構成について、図9と共通又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
 図57に示すレーザ装置212は、固体レーザ装置を発振器として用いるエキシマレーザ装置であって、固体レーザシステム222と、エキシマ増幅器224と、レーザ制御部220とを含む。
 固体レーザシステム222は、半導体レーザシステム230と、チタンサファイヤ増幅器232と、ポンピング用パルスレーザ234と、波長変換システム236と、固体レーザ制御部238とを含む。
 半導体レーザシステム230は、波長約773.6nmのCWレーザ光を出力する分布帰還型(Distributed Feedback:DFB)の半導体レーザ250と、CWレーザ光をパルス化する半導体光増幅器(Semiconductor Optical Amplifier:SOA)260とを含む。半導体レーザシステム230の構成例については図58を用いて後述する。
 チタンサファイヤ増幅器232は、チタンサファイヤ結晶を含む。チタンサファイヤ結晶は、半導体レーザシステム230のSOAでパルス増幅されたパルスレーザ光の光路上に配置される。ポンピング用パルスレーザ234は、YLFレーザの第2高調波光を出力するレーザ装置であってもよい。YLF(イットリウムリチウムフルオライド)は、化学式LiYFで表される固体レーザ結晶である。
 波長変換システム236は、複数の非線形光学結晶を含み、入射したパルスレーザ光を波長変換して4倍高調波のパルスレーザ光を出力する。波長変換システム236は、例えば、LBO結晶と、KBBF結晶とを含む。LBO結晶は化学式LiBで表される非線形光学結晶である。KBBF結晶は、化学式KBeBOで表される非線形光学結晶である。各結晶は、図示しない回転ステージ上に配置され、結晶への入射角度を変更できるように構成される。
 固体レーザ制御部238は、レーザ制御部220からの指令に従い、半導体レーザシステム230、ポンピング用パルスレーザ234及び波長変換システム236を制御する。
 エキシマ増幅器224は、チャンバ160と、PPM164と、充電器166と、凸面ミラー241と、凹面ミラー242とを含む。チャンバ160は、ウインドウ171,172と、一対の電極173,174と、電気絶縁部材175とを含む。チャンバ160にはArFレーザガスが導入される。PPM164はスイッチ165と充電コンデンサとを含む。
 エキシマ増幅器224は、一対の電極173、174の間の放電空間に、波長193.4nmのシード光を3回通して増幅を行う構成である。ここで、波長193.4nmのシード光は固体レーザシステム222から出力されるパルスレーザ光である。
 凸面ミラー241と凹面ミラー242は、チャンバ160の外側における固体レーザシステム222から出力されたパルスレーザ光が3パスしてビーム拡大するように配置される。
 エキシマ増幅器224に入射した波長約193.4nmのシード光は、凸面ミラー241及び凹面ミラー242で反射することにより、一対の放電電極412、413の間の放電空間を3回通過する。これにより、シード光のビームが拡大されて増幅される。
 10.2 動作
 レーザ制御部220は、露光制御部40から目標波長λt、目標スペクトル線幅Δλt、及び目標パルスエネルギEtを受信すると、これらの目標値となるような半導体レーザシステム230からのパルスレーザ光の目標波長λ1chtと目標スペクトル線幅Δλ1chtを、例えばテーブルデータ又は近似式から計算する。
 レーザ制御部220は、目標波長λ1chtと目標スペクトル線幅Δλ1chtとを固体レーザ制御部238に送信し、エキシマ増幅器224から出力されるパルスレーザ光が目標パルスエネルギEtとなるように充電器166に充電電圧を設定する。
 固体レーザ制御部238は、半導体レーザシステム230から出力されるパルスレーザ光が目標波長λ1chtと目標スペクトル線幅Δλ1chtに近づくように、半導体レーザシステム230を制御する。固体レーザ制御部238が実施する制御の方式については図58~図61を用いて後述する。
 また、固体レーザ制御部238は、波長変換システム236のLBO結晶とKBBF結晶との波長変換効率が最大となるような入射角度となるように、図示しない2つの回転ステージを制御する。
 露光制御部40からレーザ制御部220に発光トリガ信号Trが送信されると、この発光トリガ信号Trに同期して、半導体レーザシステム230と、ポンピング用パルスレーザ234と、エキシマ増幅器224のPPM164のスイッチ165にトリガ信号が入力される。その結果、半導体レーザシステム230のSOAにパルス電流が入力され、SOAからパルス増幅されたパルスレーザ光が出力される。
 半導体レーザシステム230からパルスレーザ光が出力され、チタンサファイヤ増幅器232においてさらにパルス増幅される。このパルスレーザ光は、波長変換システム236に入射する。その結果、波長変換システム236から目標波長λtのパルスレーザ光が出力される。
 レーザ制御部220は、露光制御部40から発光トリガ信号Trを受信すると、固体レーザシステム222から出力されたパルスレーザ光がエキシマ増幅器224のチャンバ160の放電空間に入射した時に放電が生じるように、半導体レーザシステム230の後述するSOA260と、PPM164のスイッチ165と、ポンピング用パルスレーザ234と、にそれぞれトリガ信号を送信する。
 その結果、固体レーザシステム222から出力されたパルスレーザ光はエキシマ増幅器224で3パス増幅される。エキシマ増幅器224により増幅されたパルスレーザ光は、モニタモジュール26のビームスプリッタ181によってサンプルされ、光センサ184を用いてパルスエネルギEが計測され、スペクトル検出器183を用いて波長λとスペクトル線幅Δλが計測される。
 レーザ制御部220は、モニタモジュール26を用いて計測されたパルスエネルギE、波長λ、及びスペクトル線幅Δλを基に、パルスエネルギEと目標パルスエネルギEtとの差と、波長λと目標波長λtとの差と、スペクトル線幅Δλと目標スペクトル線幅Δλtとの差と、がそれぞれ0に近づくように、充電器166の充電電圧と、半導体レーザシステム230から出力されるパルスレーザ光の波長λ1chと、スペクトル線幅Δλ1chと、をそれぞれ補正制御してもよい。
 10.3 半導体レーザシステムの説明
 10.3.1 構成
 図58は、半導体レーザシステム230の構成例を示す。半導体レーザシステム230は、シングル縦モードの分布帰還型の半導体レーザ250と、SOA260と、関数発生器(Function Generator:FG)262と、ビームスプリッタ264と、スペクトルモニタ266と、半導体レーザ制御部268とを含む。分布帰還型半導体レーザを「DFBレーザ」という。
 DFBレーザ250は、波長約773.6nmのCW(Continuous Wave)レーザ光を出力する。DFBレーザ250は、電流制御及び/又は温度制御により、発振波長を変更することができる。
 DFBレーザ250は、半導体レーザ素子251と、ペルチェ素子252と、温度センサ253と、温度制御部254と、電流制御部256と、関数発生器257とを含む。半導体レーザ素子251は、第1のクラッド層271、活性層272、及び第2のクラッド層273を含み、活性層272と第2のクラッド層273の境界にグレーティング274を含む。
 10.3.2 動作
 DFBレーザ250の発振中心波長は、半導体レーザ素子251の設定温度T及び/又は電流値Aを変化させることによって波長を変更できる。
 高速でDFBレーザ250の発振波長をチャーピングさせて、スペクトル線幅を制御する場合は、半導体レーザ素子251に流れる電流の電流値Aを高速に変化させることによってスペクトル線幅を制御可能である。
 すなわち、半導体レーザ制御部268から関数発生器257に、電流制御パラメータとして、DC成分値A1dcと、AC成分の変動幅A1acと、AC成分の周期A1との各パラメータの値を送信することによって、半導体レーザシステム230から出力されるパルスレーザ光の中心波長λ1chとスペクトル線幅Δλ1chを高速に制御することが可能となる。
 スペクトルモニタ266は、例えば、分光器又はヘテロダイン干渉計を用いて波長を計測してもよい。
 関数発生器257は、半導体レーザ制御部268から指定された電流制御パラメータに応じた波形の電気信号を電流制御部256に出力する。電流制御部256は関数発生器257からの電気信号に応じた電流を半導体レーザ素子251に流すように電流制御を行う。なお、関数発生器257は、DFBレーザ250の外部に設けられてもよい。例えば、関数発生器257は、半導体レーザ制御部268に含まれてもよい。
 図59は、チャーピングによって実現されるスペクトル線幅の概念図である。スペクトル線幅Δλ1chは、チャーピングによって生成される最長波長と最短波長との差として計測される。
 図60は、DFBレーザ250に流れる電流とチャーピングによる波長変化とスペクトル波形と光強度との関係を示す模式図である。図60の下段左部に表示したグラフGAは、半導体レーザ素子251に流れる電流の電流値Aの変化を示すグラフである。図60の下段中央部に表示したグラフGBは、グラフGAの電流によって発生するチャーピングを示すグラフである。図60の上段に表示したグラフGCは、グラフGBのチャーピングによって得られるスペクトル波形の模式図である。図60の下段右部に表示したグラフGDは、グラフGAの電流によって半導体レーザシステム230から出力されるレーザ光の光強度の変化を示すグラフである。
 半導体レーザシステム230の電流制御パラメータは、グラフGAに示すように、次の値を含む。
 A1dc:半導体レーザ素子に流れる電流のDC成分値
 A1ac:半導体レーザ素子に流れる電流のAC成分の変動幅(電流の極大値と極小値との差)
 A1:半導体レーザ素子に流れる電流のAC成分の周期
 図60に示す例では、電流制御パラメータのAC成分の例として、三角波の例が示されており、三角波の電流の変動によって、DFBレーザ250から出力されるCWレーザ光の光強度の変動が少ない場合の例を示す。
 ここで、SOA260の増幅パルスの時間幅DTWとAC成分の周期A1との関係は次の式(8)を満足するのが好ましい。
 DTW=n・A1          (8)
 式(8)中のnは1以上の整数である。
 この式(8)の関係を満足させることによって、SOA260で、どのようなタイミングでパルス増幅を行っても、増幅されたパルスレーザ光のスペクトル波形の変化を抑制できる。
 また、式(8)を満足しなくても、SOA260でのパルス幅の範囲は、例えば10ns~50nsである。半導体レーザ素子251に流れる電流のAC成分の周期A1は、SOA260のパルス幅(増幅パルスの時間幅DTW)よりも十分短い周期である。例えば、この周期A1はSOA260でのパルス幅に対して、1/1000以上1/10以下であることが好ましく、さらに好ましくは1/1000以上1/100以下である。
 また、SOA260の立ち上がり時間は、例えば2ns以下であることが好ましく、さらに好ましくは1ns以下である。ここでいう立ち上がり時間とは、図61に示すように、パルス電流の波形における振幅が、最大振幅の10%から90%まで増加するのに要する時間Rtをいう。
 10.4 効果
 固体レーザシステム222を発振器として用いるレーザ装置212は、エキシマレーザを発振器として用いる場合と比較して、以下のような利点がある。
 [1]固体レーザシステム222は、DFBレーザ250の電流値Aを制御することによって、波長λとスペクトル線幅Δλを高速かつ高精度に制御できる。すなわち、レーザ装置212は、目標波長λtと目標スペクトル線幅Δλtのデータを受信すれば、直ちに、DFBレーザ250の電流値Aを制御して、高速に発振波長とスペクトル線幅Δλを制御できるので、高速でかつ高精度に、レーザ装置212から出力されるパルスレーザ光の波長λとスペクトル線幅Δλを毎パルス変更制御できる。
 [2]さらに、DFBレーザ250の電流値Aを制御してチャーピングさせることによって、通常のスペクトル波形と異なる様々な関数のスペクトル波形を生成することができる。
 [3]このため、レーザ制御パラメータとしてスペクトル波形の移動積算値のスペクトル波形から求めた波長やスペクトル線幅を制御する場合には、DFBレーザ250を含む固体レーザシステム222を用いた発振器とエキシマ増幅器224とを備えたレーザ装置が好ましい。
 10.5 変形例
 図60に示した例では、電流のAC成分の波形の例として三角波を示したが、この例に限定されることなく、例えば、一定周期で変化する波形であればよい。三角波以外の例として、AC成分の波形は、正弦波や矩形波などであってもよい。このAC成分の波形を制御することによって、様々な目標のスペクトル波形を生成することができる。
 10.6 その他
 固体レーザ装置の実施形態として、図57から図61に示した例に限定されることなく、例えば、波長約1547.2nmのDFBレーザとSOAとを含む固体レーザシステムであって、波長変換システムは8倍高調波の193.4nm光を出力するレーザ装置であってもよい。また、その他の固体レーザ装置であって、CW発振のDFBレーザとSOAとを含み、波長はDFBレーザに流す電流の電流値を制御し、SOAにパルス電流を流すことによってパルス増幅するシステムがあればよい。
 図57の例では、エキシマ増幅器としてマルチパス増幅器の例を示したが、この実施形態に限定されることなく、例えば、ファブリペロ共振器又はリング共振器などの光共振器を備えた増幅器であってもよい。
 11.各種の制御部のハードウェア構成について
 レーザ制御部20、露光制御部40、リソグラフィ制御部110、固体レーザ制御部238、半導体レーザ制御部268及びその他の各制御部として機能する制御装置は、1台又は複数台のコンピュータのハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって実現することが可能である。ソフトウェアはプログラムと同義である。プログラマブルコントローラはコンピュータの概念に含まれる。コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)及びメモリなどの記憶装置を含んで構成され得る。CPUはプロセッサの一例である。
 記憶装置は、有体物たる非一時的なコンピュータ可読媒体であり、例えば、主記憶装置であるメモリ及び補助記憶装置であるストレージを含む。コンピュータ可読媒体は、例えば、半導体メモリ、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)装置、若しくはソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)装置又はこれらの複数の組み合わせであってよい。プロセッサが実行するプログラムはコンピュータ可読媒体に記憶されている。
 また、制御装置の処理機能の一部又は全部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)に代表される集積回路を用いて実現してもよい。
 また、複数の制御装置の機能を1台の制御装置で実現することも可能である。さらに本開示において、制御装置は、ローカルエリアネットワークやインターネットといった通信ネットワークを介して互いに接続されてもよい。分散コンピューティング環境において、プログラムユニットは、ローカル及びリモート両方のメモリストレージデバイスに保存されてもよい。
 12.電子デバイスの製造方法
 図62は、露光装置14の構成例を概略的に示す。露光装置14は、照明光学系44と、投影光学系50とを含む。照明光学系44は、レーザ装置12から入射したレーザ光によって、図示しないレチクルステージ48上に配置されたレチクル46のレチクルパターンを照明する。投影光学系50は、レチクル46を透過したレーザ光を、縮小投影してワークピーステーブルWT上に配置された図示しないワークピースに結像させる。ワークピースはレジストが塗布された半導体ウエハ等の感光基板であってよい。ワークピーステーブルWTは、ウエハステージ54であってよい。
 露光装置14は、レチクルステージ48とワークピーステーブルWTとを同期して平行移動させることにより、レチクルパターンを反映したレーザ光をワークピース上に露光する。以上のような露光工程によって半導体ウエハにレチクルパターンを転写後、複数の工程を経ることで半導体デバイスを製造することができる。半導体デバイスは本開示における「電子デバイス」の一例である。
 図62におけるレーザ装置12は、図57で説明した固体レーザシステム222を含むレーザ装置212などであってもよい。
 13.その他
 上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図している。したがって、特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかである。また、本開示の実施形態を組み合わせて使用することも当業者には明らかである。
 本明細書及び特許請求の範囲全体で使用される用語は、明記が無い限り「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」、「有する」、「備える」、「具備する」などの用語は、「記載されたもの以外の構成要素の存在を除外しない」と解釈されるべきである。また、修飾語「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。また、「A、B及びCの少なくとも1つ」という用語は、「A」「B」「C」「A+B」「A+C」「B+C」又は「A+B+C」と解釈されるべきである。さらに、それらと「A」「B」「C」以外のものとの組み合わせも含むと解釈されるべきである。

Claims (19)

  1.  露光装置内でウエハ上に前記パルスレーザ光をスキャン露光することを含む電子デバイスの製造方法であって、
     前記ウエハのスキャンフィールド内で前記ウエハに形成されたパターンからスキャン方向に対して直交するスキャン幅方向のディストーション成分である倍率を求めることと、
     前記ウエハの前記スキャンフィールド内の複数点でウエハ高さを計測し、前記ウエハ高さの計測結果を基に、前記スキャンフィールド内の前記スキャン幅方向についての前記ウエハ高さの平均値を求めることと、
     前記ウエハ高さの平均値に基づくフォーカス位置の場合に許容クリティカルディメンジョン(CD)値となる前記パルスレーザ光の波長範囲を求めることと、
     前記倍率となる前記パルスレーザ光の第1の波長を求めることと、
     前記波長範囲と前記第1の波長とから前記パルスレーザ光の目標波長を求めることと、
     前記レーザ装置によってパルス毎の波長が前記目標波長となるように前記パルスレーザ光を生成し、前記露光装置に出力することと、
     前記パルスレーザ光を前記ウエハの前記スキャンフィールドに露光することと、
     を含む電子デバイスの製造方法。
  2.  請求項1に記載の電子デバイスの製造方法であって、
     前記波長範囲の最短波長をλ、最長波長をλ、前記第1の波長をλ、前記目標波長をλtとする場合、
     λ≦λ≦λ であれば、λt=λ
     λ<λS    であれば、λt=λ
     λ<λM    であれば、λt=λ
    とするように前記目標波長が決定される、
     電子デバイスの製造方法。
  3.  請求項1に記載の電子デバイスの製造方法であって、
     前記波長範囲は、CD値と前記パルスレーザ光の波長との関係を表す第1の近似曲線を基に決定される、
     電子デバイスの製造方法。
  4.  請求項1に記載の電子デバイスの製造方法であって、
     前記第1の波長は、前記倍率と前記パルスレーザ光の波長との関係を表す第2の近似曲線を基に決定される、
     電子デバイスの製造方法。
  5.  請求項1に記載の電子デバイスの製造方法であって、
     前記ウエハ高さは、ウエハ検査装置を用いて計測される、
     電子デバイスの製造方法。
  6.  請求項1に記載の電子デバイスの製造方法であって、
     前記ウエハ高さの平均値は、前記スキャンフィールド内で照射される前記パルスレーザ光の各パルスの照射の順番を示すパルス番号毎に求められる、
     電子デバイスの製造方法。
  7.  請求項1に記載の電子デバイスの製造方法であって、
     前記ウエハ高さの平均値に基づく前記フォーカス位置は、基準フォーカス位置から前記ウエハ高さの平均値を減算して求められる、
     電子デバイスの製造方法。
  8.  露光装置内でウエハ上に前記パルスレーザ光をスキャン露光することを含む電子デバイスの製造方法であって、
     前記ウエハのスキャンフィールド内で前記ウエハに形成されたパターンからスキャン方向に対して直交するスキャン幅方向のディストーション成分である倍率を求めることと、
     前記ウエハの前記スキャンフィールド内の複数点でフォーカス位置を計測し、前記フォーカス位置の計測結果を基に、前記スキャンフィールド内の前記スキャン幅方向についての前記フォーカス位置の平均値を求めることと、
     前記フォーカス位置の平均値の場合に許容クリティカルディメンジョン(CD)値となる前記パルスレーザ光の波長範囲を求めることと、
     前記倍率となる前記パルスレーザ光の第1の波長を求めることと、
     前記波長範囲と前記第1の波長とから前記パルスレーザ光の目標波長を求めることと、
     前記レーザ装置によってパルス毎の波長が前記目標波長となるようにパルスレーザ光を生成し、前記露光装置に出力することと、
     前記パルスレーザ光を前記ウエハの前記スキャンフィールドに露光することと、
     を含む電子デバイスの製造方法。
  9.  請求項8に記載の電子デバイスの製造方法であって、
     前記波長範囲の最短波長をλ、最長波長をλ、前記第1の波長をλ、前記目標波長をλtとする場合、
     λ≦λ≦λ であれば、λt=λ
     λ<λS    であれば、λt=λ
     λ<λM    であれば、λt=λ
    とするように前記目標波長が決定される、
     電子デバイスの製造方法。
  10.  請求項9に記載の電子デバイスの製造方法であって、
     前記露光装置は投影光学系を含み、前記投影光学系の一部のレンズが倍率補正レンズとして用いられ、
     さらに、
     λ<λである場合に、λとλとの差が0に近づく前記倍率補正レンズの制御値を求めることと、
     λ<λである場合に、λとλとの差が0に近づく前記倍率補正レンズの制御値を求めることと、
     前記倍率補正レンズの制御値に基づいて、前記倍率補正レンズを制御することと、
     を含む電子デバイスの製造方法。
  11.  請求項8に記載の電子デバイスの製造方法であって、
     前記波長範囲の最短波長をλ、最長波長をλ、前記第1の波長をλ、前記目標波長をλtとする場合、
     前記目標波長λtをλとし、
     さらに、
     λ<λ又はλ<λであれば、CD値が許容範囲となる目標フォーカス位置を求めることと、
     前記求めた前記目標フォーカス位置に基づいて、前記露光装置のウエハステージを制御することと、
     を含む電子デバイスの製造方法。
  12.  請求項8に記載の電子デバイスの製造方法であって、
     前記波長範囲の最短波長をλ、最長波長をλ、前記第1の波長をλ、前記目標波長をλtとする場合、
     前記目標波長λtをλとし、
     さらに、
     λ<λ又はλ<λであれば、CD値が許容範囲となる目標ドーズを求めることと、
     前記目標ドーズに基づいて、前記パルスレーザ光のパルスエネルギを制御することと、
     を含む電子デバイスの製造方法。
  13.  請求項12に記載の電子デバイスの製造方法であって、
     前記露光装置は、
     前記ウエハの表面でのドーズを計測するためのパルスエネルギセンサユニットを含む、
     電子デバイスの製造方法。
  14.  請求項13に記載の電子デバイスの製造方法であって、
     前記露光装置は、
     レチクルステージと、
     前記レチクルステージ上のレチクルに前記パルスレーザ光を照射する照明光学系と、を含み、
     前記パルスエネルギセンサユニットは、前記照明光学系と前記レチクルとの間の光路上に配置されたビームスプリッタと、パルスエネルギセンサと、
     を含む電子デバイスの製造方法。
  15.  請求項13に記載の電子デバイスの製造方法であって、
     前記目標ドーズは、CD値と前記ドーズとの関係を表す第3の近似曲線を基に決定される、
     電子デバイスの製造方法。
  16.  請求項8に記載の電子デバイスの製造方法であって、
     前記露光装置は、
     前記ウエハの前記スキャンフィールド内における前記複数点でフォーカス位置を計測するフォーカスセンサを含み、
     前記フォーカスセンサによって前記フォーカス位置の計測が行われる、
     電子デバイスの製造方法。
  17.  請求項16に記載の電子デバイスの製造方法であって、
     前記フォーカスセンサは、
     前記パルスレーザ光による前記露光に先行して前記スキャンフィールドにおける未露光領域内の前記複数点でフォーカス位置を計測する先読みオートフォーカスセンサを含む、
     電子デバイスの製造方法。
  18.  露光装置内でウエハ上に前記パルスレーザ光をスキャン露光することを含む電子デバイスの製造方法であって、
     前記ウエハのスキャンフィールド内で前記ウエハに形成されたパターンからスキャン方向に対して直交するスキャン幅方向のディストーション成分である倍率を求めることと、
     前記ウエハの前記スキャンフィールド内の複数点でフォーカス位置を計測し、前記フォーカス位置の計測結果を基に、前記スキャンフィールド内の前記スキャン幅方向についての前記フォーカス位置の平均値を求めることと、
     前記倍率となる前記パルスレーザ光の第1の波長を求めることと、
     前記パルスレーザ光の目標波長を前記第1の波長とすることと、
     前記パルスレーザ光の波長が前記第1の波長である場合にクリティカルディメンジョン(CD)値が許容範囲となる目標フォーカス位置を求めることと、
     前記求めた前記目標フォーカス位置に基づいて、前記露光装置のウエハステージを制御することと、
     前記レーザ装置によってパルス毎の波長が前記目標波長となるようにパルスレーザ光を生成し、前記露光装置に出力することと、
     前記パルスレーザ光を前記ウエハの前記スキャンフィールドに露光することと、
     を含む電子デバイスの製造方法。
  19.  請求項18に記載の電子デバイスの製造方法であって、
     前記露光装置は、
     前記ウエハの前記スキャンフィールド内における前記複数点でフォーカス位置を計測するフォーカスセンサを含み、
     前記フォーカスセンサによって前記フォーカス位置の計測が行われる、
     電子デバイスの製造方法。
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