WO2022050084A1 - 撮像装置用カバー、撮像装置、及び撮影方法 - Google Patents

Abstract

撮像装置用カバー（１００）は、少なくとも一部の領域が入射される光に対して透過性を有するカバー部材（１０１）と、カバー部材（１０１）の周縁部であるカバー周縁部（１０１ｃ）に設けられた第１の接着層（１０４）と、を備える。カバー部材（１０１）は、撮像装置のレンズに対象からの反射光を導く対物カバー（４０）を覆った状態で、対物カバー（４０）を含む撮像装置に、第１の接着層（１０４）を介して剥離可能に接着されている。

Description

撮像装置用カバー、撮像装置、及び撮影方法

　本発明は、撮像装置用カバー、撮像装置、及び撮影方法に関する。

　非侵襲で人体を検査するための種々の検査装置が実用化されている。例えば引用文献１は、アダプタを皮膚に接触させた状態で撮影することで、患部の診断を支援するための画像を撮像するダーモスコピーカメラを開示する。このようなダーモスコピーカメラでは、カメラの一部を患者の皮膚に接触させて使用するため、異なる患者間で使用をするにあたっては衛生面に配慮する必要がある。そこで、患者の皮膚と接触する部分、具体的にはダーモスコピーカメラの透明な対物カバーに剥離可能な透明シートを取付けて撮影を行い、撮影する患者ごとに透明シートを張り替えて撮影することが考えられる。

特開２０１６－２１４５５２号公報

　しかしながら、この場合において、透明シートに設けられた接着層を、対物カバー全体を覆うように設けたときには、接着層の影響により撮像画像の品質低下が懸念される。また、透明シートを剥離する際に接着層の一部が対物カバーに、特に、対物カバーの中央部に残ると、その上から透明シートを貼付するとによって、さらなる撮像画像の品質低下が懸念される。

　本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、撮像装置の衛生面にも配慮しつつ、適切な画像を撮影することができる撮像装置用カバー、撮像装置、及び撮影方法を提供することを目的とする。

　上記目的を達成するため、本発明の撮像装置用カバーは、少なくとも一部の領域が入射される光に対して透過性を有するカバー部材と、前記カバー部材の周縁部であるカバー周縁部に設けられた第１の接着層と、を備え、前記カバー部材は、撮像装置のレンズに対象からの反射光を導く対物カバーを覆った状態で、前記対物カバーを含む前記撮像装置に、前記第１の接着層を介して剥離可能に接着されている。

　本発明によれば、撮像装置の衛生面にも配慮しつつ、適切な画像を撮影することができる。

本発明の実施の形態１に係る撮像装置と撮像装置用カバーの斜視図。 本発明の実施の形態１に係る撮像装置の内部構成を概略的に示したブロック図。 本発明の実施の形態１に係る撮像装置用カバーとカバー構造体の断面図。 本発明の実施の形態１に係る撮像装置の液晶モニタに撮影の際に映し出される画像の説明図。 本発明の実施の形態１に係る撮像装置用カバーの平面図。 図５中の断面線ＶＩ－ＶＩからみた撮像装置用カバーの断面図。 本発明の実施の形態１に係る撮像装置用カバーを撮像装置に取り付ける様子を工程順に示した概略図。 本発明の実施の形態１に係る撮像装置用カバーを撮像装置に取り付ける様子を工程順に示した概略図。 本発明の実施の形態１に係る撮像装置用カバーを撮像装置に取り付ける様子を工程順に示した概略図。 本発明の実施の形態１に係る撮像装置用カバーを撮像装置に取り付け際に液晶モニタに映し出される画像の説明図であり、撮像装置用カバーが正規の取付位置に取り付けられた場合の図。 本発明の実施の形態１に係る撮像装置用カバーを撮像装置に取り付け際に液晶モニタに映し出される画像の説明図であり、撮像装置用カバーが正規の取付位置からずれた位置に取り付けられた場合の図。 本発明の実施の形態１に係る撮像装置の撮影方法を示したフローチャート。 本発明の実施の形態２に係る撮像装置用カバーの断面図。 本発明の実施の形態２に係る撮像装置用カバーを撮像装置に取り付けた様子を示した断面図。 本発明の実施の形態３に係る撮像装置用カバーの断面図。 本発明の実施の形態３に係る撮像装置用カバーを撮像装置に取り付けた様子を示した断面図。 本発明の実施の形態４に係る撮像装置の対物カバーに着目した断面図。 本発明の実施の形態４に係る撮像装置の対物カバーに着目した図であり、撮像装置用カバーが取り付けられた様子を示した断面図。 本発明の実施の形態５に係る撮像装置のカバー構造体及びアタッチメントに着目した断面図。 本発明の実施の形態５に係る撮像装置の対物カバーに着目した断面図。 本発明の実施の形態５に係る撮像装置の対物カバーに着目した図であり、撮像装置用カバーが取り付けられた様子を示した断面図。 本発明の実施の形態６に係る撮像装置用カバーの平面図。 図１５中の断面線ＸＶＩ－ＸＶＩからみた撮像装置用カバーの断面図。 本発明の実施の形態６に係る撮像装置用カバーのカバー部材の決定方法を示したフローチャート。 カバー部材を決定するにあたり、カバー部材をプッシュプルゲージで押圧している様子を工程順に示した説明図。 カバー部材を決定するにあたり、カバー部材をプッシュプルゲージで押圧している様子を工程順に示した説明図。 本発明の実施の形態７に係る撮像装置用カバーの平面図。 本発明の実施の形態８に係る撮像装置の撮影方法を示したフローチャート。 本発明の実施の形態８に係る撮像装置用カバーを撮像装置に取り付ける様子を工程順に示した概略図。 本発明の実施の形態８に係る撮像装置用カバーを撮像装置に取り付ける様子を工程順に示した概略図。 本発明の実施の形態８に係る撮像装置用カバーを撮像装置に取り付ける様子を工程順に示した概略図。 本発明の実施の形態に係る撮像装置の画像処理を示した図であり、処理前の画像を示した図。 本発明の実施の形態に係る撮像装置の画像処理を示した図であり、処理後の画像を示した図。 本発明の実施の形態に係る撮像装置の他の画像処理を示した図であり、処理前の画像を示す図。 本発明の実施の形態に係る撮像装置の他の画像処理を示した図であり、処理後の画像を示した図。

　以下、本発明の実施の形態に係る撮像装置用カバー、撮像装置、及び撮影方法について、図面を参照しながら説明する。

（実施の形態１）
　図１に示すように、撮像装置１は、例えば、被写体である皮膚の状態を診察するための画像を撮像するダーモスコピーカメラである。撮像装置１は、コントローラ２と、コントローラ２の前方に設けられたカメラ本体３とを有している。また、撮像装置用カバー１００は、撮影時に撮像装置１に貼付されて、カバー構造体１０の先端にある対物カバー４０を覆う。

　コントローラ２には、タッチパネル式の液晶モニタ６（図２）と、シャッタボタン４、電源ボタン５等の操作ボタンとが設けられている。

　カメラ本体３は、図２に示すように撮像レンズ系７と、撮像素子８と、光源として複数のＬＥＤ（Light Emitting Diode）とを有している。撮像素子８は、可視光の波長領域を含む変換可能波長領域の光を電気信号に変換可能に構成されている。また、上記の複数のＬＥＤは、撮像装置１を一般的なカメラとして皮膚疾患部を撮影（通常撮影）するときに光を出射するＬＥＤと、ダーモスコピー撮影をするときに光を出射するＬＥＤとを含む。また、カメラ本体３には、画像処理プロセッサ１１と、内部メモリ１２とが設けられている。画像処理プロセッサ１１は、プロセッサとしてのＣＰＵ（Central Processing Unit）を備える。画像処理プロセッサ１１は、フラッシュメモリ、ＲＯＭ（Read Only Memory）等である内部メモリ１２に保存したプログラムを実行してカメラ本体３の制御動作を行う。画像処理プロセッサ１１は、撮像素子８から送られてきた電気信号に対して、レベル変換等の必要な各種処理を施し画像信号を生成する。画像処理プロセッサ１１は、画像処理を行うあいだ溢れたデータや処理済データを内部メモリ１２へと送り、画像処理が終了すると内部メモリ１２から処理済データを取り出す。画像処理プロセッサ１１は作成した画像データをメモリカード１３で記録する。また、画像処理プロセッサ１１は液晶モニタ６に画像データを出力して、図示しないドライバにより液晶モニタ６に画像を表示する。液晶モニタ６はファインダとして機能し、撮影前に構図を決めるための画像を表示する。なお、画像処理プロセッサ１１は、複数のプロセッサを備えたマルチプロセッサ構成としてもよい。また、画像処理プロセッサ１１の構成としては、ＣＰＵと他の電気回路との組み合わせにより構成されていてもよい。

　また、カメラ本体３は、図１に示すように、被写体側に設けられたカバー構造体１０を有している。カバー構造体１０は、図１，３に示すように、円錐台形の筒状に形成された支持部２０と、支持部２０の頂部（前端部）に形成された開口２１（図３）を塞ぐように接着されて支持部２０に支持される対物カバー４０と、を有している。支持部２０は、透過した光が撮像素子８（図２）で電気信号に変換されないように光を透過させない材料から構成されており、例えば、ポリ塩化ビニル誘導体、アクリル系樹脂等の樹脂から構成されている。また支持部２０の表面に光の透過を防止するための塗料を塗布してもよい。支持部２０の内周面は、光の反射を抑制するためのシボ加工または反射防止塗装が施されている。なお、支持部２０の底部（後端部）には、図３に示すように、おねじ２０ａが形成されている。このおねじ２０ａは、カバー構造体１０をカメラ本体３に着脱するための着脱手段として機能する。また、対物カバー４０は、光を透過可能な部材、例えばガラスカバーを含み、円板状に形成されている。なお、撮像装置１を用いて撮像する際は、撮像装置用カバー１００が取り付けられ、対物カバー４０の前面を撮像装置用カバー１００で覆う。

　皮膚疾患部をダーモスコピー撮影する場合（第２撮影状態）、皮膚表面での光の乱反射を抑制することが重要である。この光の乱反射を抑制するために、皮膚疾患部にジェルが塗られ、その上に撮像装置用カバー１００を介して対物カバー４０が押し当てられる。これにより、皮膚疾患部との間の空気層が遮断され、皮膚表面での光の乱反射を抑制することができる。このように、皮膚疾患部に押し当てられた撮像装置用カバー１００及び対物カバー４０は、カメラ本体３の内部に設けられた上述のＬＥＤ（不図示）からの光を透過させて、皮膚疾患部に光を照射する。また、撮像装置用カバー１００及び対物カバー４０は、皮膚疾患部で反射した光を、撮像装置１内に入射させ、カメラ本体３の内部に設けられた上述の撮像レンズ系７（図２）に導き、撮像素子８（図２）は、撮像レンズ系７（図２）からの光を受光する。これにより、ダーモスコピー撮影をすることができる。

　また、皮膚疾患部を通常撮影する場合（第１撮影状態）、撮像装置用カバー１００及び対物カバー４０を皮膚疾患部から離した状態で、図１に示すカバー構造体１０の周囲に形成された複数の光出射孔３ａから光を出射し、皮膚疾患部に照射する。撮像装置用カバー１００及び対物カバー４０は、皮膚疾患部で反射した光を撮像装置１内に入射させ、カメラ本体３の内部に設けられた上述の撮像レンズ系７（図２）に導き、撮像素子８（図２）は、撮像レンズ系（図２）からの光を受光する。これにより、通常撮影をすることができる。このように、撮像装置１でダーモスコピー撮影と通常撮影をすることにより、皮膚疾患部の診断を支援するための画像を撮像する。

　上述のように、支持部２０は、光を透過させない材料から構成されていることから、図４に示すように撮影時において液晶モニタ６に暗く（黒く）映しだされる。図４においては、液晶モニタ６に暗く映し出される支持部２０にハッチングを施している。一方、図３に示すように、支持部２０にあけられた開口２１は、対物カバー４０を介して入射した光により撮影することが可能な領域である。そこで、開口２１があけられた領域を、撮像装置１により撮影することが可能な領域として、撮影可能領域Ｒ１と定義する。撮影可能領域Ｒ１は、図４に示すように、撮影時において液晶モニタ６の中央に明るく映し出される。また、図３に示すように、撮影可能領域Ｒ１内には、撮像した画像に生じる歪みが小さく光学的に適切な画像が撮像することができる領域として、撮影保証領域Ｒ２が定義されている。撮像対象である皮膚疾患部は、この撮影保証領域Ｒ２内で撮影されることが推奨される。そのため、ファインダとして画像を表示する液晶モニタ６には、撮影保証領域Ｒ２を示す円が表示される。撮影保証領域Ｒ２は、図４に示すように、撮影可能領域Ｒ１よりも小さい円形状の領域であり、その中心は撮影可能領域Ｒ１の中心と一致している。

　撮像装置用カバー１００は、図６に示すように、透明なシート材からなるカバー部材１０１と、カバー部材１０１の一方の面に貼付された両面テープ１０２と、両面テープ１０２を介してカバー部材１０１に接着された土台シート１０６と、カバー部材１０１の他方の面に第３の接着層１０８を介して接着された保護部材１０７とを備えている。なお、両面テープ１０２は、カバー部材１０１の周縁部であるカバー周縁部１０１ｃに設けられている。ここで、両面テープ１０２の形状が容易に理解できるように、図５において、カバー部材１０１や第３の接着層１０８等により覆われた両面テープ１０２にハッチングを施している。したがって、当該ハッチングは、部材の断面を表しているものではない。このハッチングを施した範囲は、カバー周縁部１０１ｃでもある。また、図６に示す撮像装置用カバー１００の断面図においては、その構成が理解できるように、各構成要素の厚みを実際のものよりも厚く図示している。このことは、図６以降における撮像装置用カバー１００の断面図においても同様である。

　カバー部材１０１は、例えば厚み１８８μｍのポリカーボネート製の透明なシート材から構成されている。カバー部材１０１は、図１及び図３に示す対物カバー４０の直径と同等程度の直径を有する円形部１０１ａと、円形部１０１ａの外縁から外側に突出した突出部１０１ｂとを有している。突出部１０１ｂは、対象者（ユーザ）が撮像装置用カバー１００を貼付したり剥離したりする際に、つまむための部分である。

　両面テープ１０２は、基材としての着色層１０３と、再剥離可能なアクリル系粘着剤からなる第１の接着層１０４と、第１の接着層１０４よりも強い接着強度を有するアクリル系粘着剤からなる第２の接着層１０５とを有している。着色層１０３は、例えば黒色に着色された厚み１６μｍのポリエステルである。この着色層１０３の一方の面には接着強度の強い第２の接着層１０５が設けられている。着色層１０３は、この第２の接着層１０５を介してカバー部材１０１に強く接着されている。一方、着色層１０３の他方の面には第２の接着層１０５よりも接着強度が弱い第１の接着層１０４が設けられている。着色層１０３は、第１の接着層１０４を介して土台シート１０６に剥離可能に接着している。

　両面テープ１０２は、図５に示すように、円形の孔が中央に設けられた円環状の平面形状を有し、その外径はカバー部材１０１の円形部１０１ａ（図６）の外径と同じである。両面テープ１０２は、その中心がカバー部材１０１の中心と一致した状態で貼付されている。これにより、両面テープ１０２の外縁は、カバー部材１０１の外縁と一致している。また、図６に示すように、この両面テープ１０２の幅Ｗ１は、両面テープ１０２の接着強度に影響する。両面テープ１０２は、撮像装置用カバー１００が撮影時に撮像装置１から剥がれてしまうことがない接着強度を有する必要がある一方で、撮像装置用カバー１００の貼り換えの際は容易に剥がすことができる接着強度を有する必要がある。両面テープ１０２の幅Ｗ１は、この２つの条件を満足するように設定されており、例えば１．５ｍｍに設定されている。また、両面テープ１０２の内径Ｄ１は、図３に示す撮影可能領域Ｒ１の直径よりも小さい値であり、撮影保証領域Ｒ２の直径よりも大きい値に設定されている。

　土台シート１０６は、第１の接着層１０４にごみや埃等が付着するのを防ぐためのものである。撮像装置用カバー１００は、未使用時には土台シート１０６が取り付けられた状態で保管される。土台シート１０６は、例えば厚みが７５μｍのポリエチレン製のシート材で構成され、矩形状に形成されている。図６に示すように、カバー部材１０１は、周縁部に設けられた両面テープ１０２を介して土台シート１０６に貼付されているが、カバー部材１０１の突出部１０１ｂには両面テープ１０２が貼付されていない。そのため、対象者は、土台シート１０６に接着されていない突出部１０１ｂを容易に指でつまむことができる。

　保護部材１０７は、透光性を有する材料から構成されており、例えば厚み７０μｍのポリエチレン製のシート材で構成され、円形状に形成されている。保護部材１０７は、その直径がカバー部材１０１の直径と同じであり、撮影時に取り外されるまでカバー部材１０１を覆い保護する。なお、保護部材１０７は、カバー部材１０１よりも透過率及び透光率が低い材料で形成されるか、あるいはそのような部材となるように加工される。また、保護部材１０７は、明るい色で着色されており、例えば、淡い緑色に着色されている。

　第３の接着層１０８は、保護部材１０７の一面にコーティングされており、保護部材１０７をカバー部材１０１に剥離可能に接着する。第３の接着層１０８は、例えばシリコーン系の接着剤であり、保護部材１０７を剥がした際にカバー部材１０１に残りにくく、かつ生体適合性のある接着剤から選定される。

　次に、撮像装置用カバー１００を用いた撮像装置１の撮像方法について説明する。まず、図９に示すように撮像装置用カバー１００から土台シート１０６を剥離する（ステップＳ１１）。対象者は、図６に示す突出部１０１ｂを指でつまんで土台シート１０６から引きはがすことにより、接着力が弱い第１の接着層１０４を土台シート１０６から剥離させることができる。

　次に、図１に示す撮像装置１の電源ボタン５をＯＮにする（ステップＳ１２）。これにより、撮像素子８（図２）を介して取得した画像が液晶モニタ６（図８Ａ）に表示される。

　続いて、撮像装置用カバー１００を正規の取付位置に取り付けるために、撮像装置用カバー１００の位置合わせを行う（ステップＳ１３）。具体的には、液晶モニタ６が表示する画像を確認しながら、図７Ａに示すように、撮像装置用カバー１００をカバー構造体１０に近づける。

　ここで、撮像装置用カバー１００の正規の取付位置とは、図８Ａに示すように、円環状に形成された着色層１０３（両面テープ１０２）の中心Ｏ（中心Ｏはカバー部材１０１の円形部１０１ａの中心でもある）が、撮影可能領域Ｒ１の中心Ｏ´（中心Ｏ´は撮影保証領域Ｒ２の中心でもある）と一致する位置である。この撮像装置用カバー１００の正規の取付位置への位置合わせは、図８Ａ，Ｂに示す液晶モニタ６に映し出される画像を見ながら実行する。撮像装置用カバー１００が正規の取付位置に取り付けられたとすると、図８Ａに示すように、撮影可能領域Ｒ１の外縁１０９から内側にはみ出る着色層１０３の幅Ｗ２は、撮影可能領域Ｒ１の外縁１０９の全周にわたって一定となる。そのため、撮像装置用カバー１００が正規の取付位置にあるか、あるいは正規の取付位置からずれているかの判断は、液晶モニタ６の画像を見ることで直感的に判断することができる。対象者は、撮影可能領域Ｒ１の外縁１０９から着色層１０３の内側へのはみ出し量が一定となるように、液晶モニタ６の画像で確認しながら、撮像装置用カバー１００の位置合わせをすればよい。

　ステップＳ１３で適切な位置合わせをした後、撮像装置用カバー１００を撮像装置１に貼付する（ステップＳ１４）。撮像装置用カバー１００は、図７Ｂに示すように、第１の接着層１０４を、その外縁が対物カバー４０の外縁と一致するように接着する。これにより、対物カバー４０の皮膚疾患部と対向する側の面を、撮像装置用カバー１００で覆うことができる。

　ステップＳ１４で撮像装置用カバー１００を貼付した後、保護部材１０７をカバー部材１０１から剥離する（ステップＳ１５）。保護部材１０７とカバー部材１０１の突出部１０１ｂとの間には、図７Ｂに示すように、保護部材１０７と第３の接着層１０８との合計の厚み分の段差ｈが形成されている。この段差ｈが形成された箇所から、容易に保護部材１０７を剥がすことができる。以上により、図７Ｃに示すように、撮像装置用カバー１００の取付けが完了し、撮像装置用カバー１００の皮膚疾患部と対向する側にカバー部材１０１を配置することができる。

　次に、皮膚疾患部の撮影を行う（ステップＳ１６）。皮膚疾患部をダーモスコピー撮影する場合、上述したように、皮膚疾患部にジェルを塗り、その上から撮像装置用カバー１００を取付けた対物カバー４０を押し当てる。そして、撮像対象である皮膚疾患部が、図８Ａに示す撮影保証領域Ｒ２内に位置していることを確認して、対象者がシャッタボタン４（図１）を操作する。これにより、皮膚疾患部のダーモスコピー撮影を行うことができる。また、皮膚疾患部を通常撮影する場合、撮像装置用カバー１００及び対物カバー４０を皮膚疾患部から離して、シャッタボタン４（図１）を操作する。これにより、皮膚疾患部の通常撮影を行うことができる。

　このようにして、一人の患者の皮膚疾患部の撮影がすべて終了すると、撮像装置用カバー１００を撮像装置１から取り外す（ステップＳ１７）。これにより、撮像装置１の撮影が終了する。なお、撮像装置用カバー１００の取り外しは、図７Ｃに示す突出部１０１ｂを指でつまむことで容易に行うことができる。これにより、第１の接着層１０４は対物カバー４０から剥離する。このように、撮像装置用カバー１００が取り外された対物カバー４０は、撮影時に皮膚疾患部と接触していないため、衛生状態が保持されている。そして、別の患者の皮膚疾患部を撮影する場合には、再度、図９に示すフローチャートに従って撮影を行えばよい。

　上記実施の形態１によれば、撮像装置用カバー１００により対物カバー４０を覆った状態で皮膚疾患部に近接させてダーモスコピー撮影を実行できる。これにより、対物カバー４０が皮膚疾患部に接触することがなく、撮像装置１の衛生状態を保持することができる。これにより、撮影を終えるたびに撮像装置１を清掃する必要がなく、撮影をスムーズに行うことができる。

　また、患者ごとに、皮膚疾患部に接触する撮像装置用カバー１００を交換することができるため、衛生面に配慮しながら皮膚疾患部の撮影及び診察を行うことができる。

　また、撮像装置用カバー１００を接着する両面テープ１０２は、撮像装置用カバー１００の周縁部であるカバー周縁部１０１ｃにのみ設けられている。これにより、撮影保証領域Ｒ２内に接着層を設けることがないため、接着層により撮影画像が劣化することを防止することができ、適切な患部の画像を撮影することができる。

　また、撮像装置用カバー１００を撮像装置１から取り外した際に、第１の接着層１０４の一部が対物カバー４０に残ったとしても、残った第１の接着層１０４は撮影保証領域Ｒ２の外にあるため撮影画像の品質に影響を与えない。そのため、撮像装置用カバー１００を繰り返し交換したとしても、適切な患部の画像を撮影し続けることができる。

　また、撮像装置用カバー１００の周縁部に沿って、黒色に着色した着色層１０３を配置し、撮像装置用カバー１００の取付の際に液晶モニタ６で、着色層１０３を確認できるようにした。これにより、液晶モニタ６に映し出される着色層１０３の状況を確認することで直感的に、撮像装置用カバー１００を正規の位置へと導くことができる。これにより、撮像装置用カバー１００の取付けを容易に行うことができる。また、着色層１０３に色を付加することより、液晶モニタ６の画像で着色層１０３を視認するのが容易になり、撮像装置用カバー１００の位置合わせを行いやすい。

　また、着色層１０３を黒色としたことにより、図８Ａに示すように、液晶モニタ６に暗く映し出される支持部２０と同系色で着色層１０３を映し出すことができる。これにより、違和感を覚えにくい撮像画像を取得することができる。

　また、淡い緑色の保護部材１０７を用いることで、撮像装置用カバー１００を取付ける際に、液晶モニタ６に映る撮影可能領域を淡い緑色とすることができる。これにより、黒色の着色層１０３との識別が容易となり、液晶モニタ６の表示画像を見ながらの撮像装置用カバー１００の取付けを容易に行うことができる。

　また、図８Ａに示すように、撮像装置用カバー１００が正規の取付位置に取り付けられると、着色層１０３の内縁１０３ａと撮影保証領域Ｒ２の外縁１１０との間に幅Ｗ３を有する円環状の隙間が形成される。これにより、撮像装置用カバー１００の取付位置が正規の位置からずれた場合であったとしても、着色層１０３が撮影保証領域Ｒ２を塞いでしまうのを防ぐことができる。例えば、図８Ｂに示すように、撮像装置用カバー１００の取付位置が、正規の位置から図中左側にずれた場合、円環状に形成された着色層１０３の中心Ｏは、撮影可能領域Ｒ１の中心Ｏ´と一致しない。この場合であっても、正規の位置からのずれ量が幅Ｗ３よりも小さければ、着色層１０３が撮影保証領域Ｒ２を覆うことがなく、撮像画像に支障をきたすことがない。

　また、第１の接着層１０４を再剥離可能なアクリル系の粘着剤から構成している。これにより、撮像装置用カバー１００の取付けの際に、着色層１０３が撮影保証領域Ｒ２に重なったとしても、撮像装置用カバー１００を剥離し、再度撮像装置用カバー１００を取付けることができる。

　また、撮像装置用カバー１００を構成するカバー部材１０１は、厚み１８８μｍの厚みを有しているポリカーボネート製のシート材から構成していることから、撮像装置用カバー１００の取付け時や撮影時にしわが生じにくい。これにより、撮影画像にカバー部材１０１に生じたシワが写りこむといった不具合が生じにくく、皮膚疾患部を適切に撮影することができる。

（実施の形態２）
　次に本発明の実施の形態２について説明する。なお、本実施の形態では、上記実施の形態１と共通する構成も多いため、共通する構成については、同じ符号を付している。図１０Ａに示すように、撮像装置用カバー２００は、上記実施の形態１の撮像装置用カバー１００と比較して、カバー部材１０１と土台シート１０６とに挟まれた構成、具体的には着色層２０３と第１の接着層２０４とからなる構成のみが異なるが他の構成は同様である。すなわち、撮像装置用カバー２００は、図６に示す両面テープ１０２の代わりに、カバー部材１０１に印刷された着色層２０３と、着色層２０３上にシール印刷された第１の接着層２０４とを有している。

　着色層２０３は、カバー部材１０１の保護部材１０７が設けられた側とは反対側の面に、赤色のインクでインクジェット印刷されて構成されている。着色層２０３が形成された範囲は、図５においてハッチングで示した両面テープ１０２の領域（カバー周縁部１０１ｃ）と同じであり、円環状に形成されている。

　第１の接着層２０４は、再剥離可能な例えばアクリル系粘着剤からなる。第１の接着層２０４は、着色層２０３上に円環状にシール印刷されている。

　なお、撮像装置用カバー２００の撮像装置１（図１）への取付け方法は、実施の形態１の撮像装置用カバー１００と同様である。まず、土台シート１０６を剥離し、次に撮像装置用カバー２００の位置合わせを行い、続いて撮像装置用カバー２００を対物カバー４０に貼付し、最後に保護部材１０７を剥離する。これにより、図１０Ｂに示すように、撮像装置用カバー２００は、第１の接着層２０４を介して対物カバー４０に取り付けられる。

　本実施の形態においても、実施の形態１と同様の作用効果を奏する。また、着色層２０３は、赤色のインクで形成されているため、撮像装置用カバー２００を取付ける際に液晶モニタ６（図８Ａ，Ｂ）に表示される画像においても、赤色で表示される。そのため、液晶モニタ６（図８Ａ，Ｂ）の画像で、着色層２０３を認識しやすくなり、撮像装置用カバー２００の位置合わせを容易に行うことができる。

（実施の形態３）
　次に、本発明の実施の形態３について説明する。図１１Ａに示すように、撮像装置用カバー３００は、上記実施の形態１の撮像装置用カバー１００と比較して、カバー部材３０１が図６に示すカバー部材１０１と異なるだけであり、その他の構成は同じである。

　カバー部材３０１は、透明なポリカーボネート製であり、図６に示すカバー部材１０１と比較して、より厚みのあるシート材から構成されている。カバー部材３０１は、図１１Ａ，Ｂに示すように、対物カバー４０の直径と同等程度の直径を有する円形部３０１ａと、円形部３０１ａの外縁から外側に突出した突出部３０１ｂとを有している。また、円形部３０１ａには、その周縁部に沿って両面テープ１０２を収容するための収容部３０１ｃが形成されている。収容部３０１ｃは、ポリカーボネート製のシート材にＮＣ（Numerical Control）加工を施すことにより形成される。収容部３０１ｃは、周縁部全体に連続して延びた凹部であって、対物カバー４０の反対側に凹んでいる。収容部３０１ｃは、平面で見て図５に示すカバー周縁部１０１ｃに対応し円環状に形成されており、その深さｄ１は、両面テープ１０２の厚みと同程度である。そのため、収容部３０１ｃに収容された両面テープ１０２は、カバー部材３０１から突出しないか、突出したとしても、そのカバー部材３０１に対する突出量を小さくすることができる。

　なお、撮像装置用カバー３００の撮像装置１（図１）への取付け方法は、実施の形態１の撮像装置用カバー１００と同様である。まず、土台シート１０６を剥離し、次に撮像装置用カバー３００の位置合わせを行い、続いて撮像装置用カバー３００を対物カバー４０に貼付し、最後に保護部材１０７を剥離する。これにより、図１１Ｂに示すように、撮像装置用カバー３００は、第１の接着層１０４を介して対物カバー４０に取り付けられる。

　本実施の形態においても、実施の形態１と同様の作用効果を奏する。また、カバー部材３０１の周縁部全体に連続して延びた凹部である収容部３０１ｃを形成し、カバー部材３０１からの両面テープ１０２の突出量をなくすか、小さくしたことにより、図１１Ｂに示すように、カバー部材３０１と対物カバー４０とを接触させたり、両者３０１、４０の間の隙間を小さくしたりすることができる。これにより、カバー部材３０１を対物カバー４０に沿った状態で保持することができ、カバー部材３０１に反りが生じるのを防止することができる。これにより、意図しない光源が写りこんだり、撮像画像にゆがみが生じたりするのを防止することができる。

（実施の形態４）
　次に本発明の実施の形態４について説明する。図１２Ａに示すように、本実施の形態において撮像装置４０１の対物カバー４４０の構成のみが、実施の形態１の対物カバー４０（図７Ｃ）の構成と異なるだけであり、他の構成は同じである。

　対物カバー４４０は、対物カバー４０（図３）と同様に、円形状に形成されたガラスカバーから構成されている。対物カバー４４０は、図１２Ａ，Ｂに示すように、その周縁部に沿って両面テープ１０２を収容するための収容部４４０ａが形成されている。収容部４４０ａは、対物カバー４４０の周縁部全体に連続して延びた凹部であって、平面で見て、円環状に形成されており、その深さｄ２は、両面テープ１０２の厚みと同程度である。なお、収容部４４０ａが形成された領域は、撮影保証領域Ｒ２よりも外側に形成されている。

　撮像装置用カバー１００の撮像装置４０１への取付け方法は、実施の形態１の撮像装置用カバー１００の取付け方法と同様である。まず、図６に示す土台シート１０６を剥離し、次に撮像装置用カバー１００の位置合わせを行い、続いて撮像装置用カバー１００を対物カバー４４０に貼付し、最後に図６に示す保護部材１０７を剥離する。これにより、図１２Ｂに示すように、撮像装置用カバー１００は、第１の接着層１０４を介して対物カバー４４０に取り付けられる。

　本実施の形態においても、実施の形態１と同様の作用効果を奏する。また、対物カバー４４０に両面テープ１０２を収容する収容部４４０ａを形成したことから、対物カバー４４０の周縁部以外の部分とカバー部材１０１とを接触させた状態、又は、対物カバー４４０の周縁部以外の部分とカバー部材１０１との間の隙間を小さくした状態で、撮像装置用カバー１００を取付けることができる。これにより、カバー部材１０１を対物カバー４４０に沿った状態で保持することができ、カバー部材１０１に反りが生じるのを防止することができる。これにより、意図しない光源が写りこんだり、撮像画像にゆがみが生じたりするのを防止することができる。

　また、対物カバー４４０の表面に両面テープ１０２を収容する収容部４４０ａを形成したことから、撮像装置用カバー１００を取付ける際に、両面テープ１０２を一致させるべき収容部４４０ａを目視できるので、撮像装置用カバー１００の位置合わせを容易に行うことができる。

（実施の形態５）
　上述した各実施の形態では、撮像装置用カバーを取り付けるための第１の接着層を、撮像装置の対物カバーに取り付けたが、実施の形態５では、図１４Ｂに示すように、カバー構造体５１０に取り付けられたアタッチメント５５０に第１の接着層が接着されている。

　図１３に示すように、カバー構造体５１０の外周面であり、かつ、対物カバー４０の周囲には、アタッチメント５５０を取付けるためのおねじ５１０ａが形成されている。また、アタッチメント５５０の内周面には、めねじ５５０ａが形成されている。このめねじ５５０ａがおねじ５１０ａに螺合されることにより、アタッチメント５５０がカバー構造体５１０に取り付けられる。

　アタッチメント５５０は、カメラ本体３側に向けて拡径した筒状部材であり、カバー構造体５１０の外周面の一部を覆う。アタッチメント５５０は、前端部に図１４Ａに示す撮像装置用カバー５００の第１の接着層５０４が接着させられる接着面部５５０ｂと、接着面部５５０ｂから立設した立設部５５０ｃとを有している。

　接着面部５５０ｂは、円環状に形成された第１の接着層５０４の形状に合わせて、円環状に形成されている。接着面部５５０ｂは、図１４Ｂに示すように、対物カバー４０の皮膚疾患部側の面から深さｄ３だけ奥まった位置に形成されている。すなわち、接着面部５５０ｂは、対物カバー４０よりも、撮像レンズ系７（図２）側に凹んだ位置に形成されている。この深さｄ３は、撮像装置用カバー５００の両面テープ５０２の厚みと同程度である。

　立設部５５０ｃは、接着面部５５０ｂの外縁から皮膚疾患部側に立設した円筒状に形成された部分であり、その内部に撮像装置用カバー５００が収容される。立設部５５０ｃで囲まれた領域は、撮像装置用カバー５００の外形と概ね一致することから、対象者は立設部５５０ｃを確認することにより、撮像装置用カバー５００の取付け位置を認識することができる。また、立設部５５０ｃは、撮像装置用カバー５００の外縁と接触して、撮像装置用カバー５００の位置ずれを防止する。

　アタッチメント５５０が取り付けられたカバー構造体５１０への撮像装置用カバー５００の取付けは、まず、図１４Ｂに示すように、土台シート（不図示）を剥離した撮像装置用カバー５００をカバー構造体５１０に近づけながら位置決めをする。撮像装置用カバー５００の位置決めは、撮像装置用カバー５００を立設部５５０ｃに囲まれた領域に一致させることにより行うことができる。そして、第１の接着層５０４を、アタッチメント５５０の接着面部５５０ｂに接着する。最後に、図１４Ａに示す保護部材１０７を剥離する。これにより、図１４Ｂに示すように、撮像装置用カバー５００を、第１の接着層５０４を介してアタッチメント５５０が取り付けられたカバー構造体５１０に取り付けることができる。

　なお、本実施の形態では、カバー構造体５１０とアタッチメント５５０とが別体である構成を説明したが、カバー構造体５１０がアタッチメント５５０に相当する構成を備えた一体の構成のものとしてもよい。これにより、アタッチメント５５０の着脱作業を省略することができる。また、接着面部５５０ｂから立ち上がった立設部５５０ｃを省略してもよい。この場合であっても、円環状の接着面部５５０ｂは、奥まった位置に形成されていることから目視で認識しやすい。そのため、第１の接着層５０４を接着面部５５０ｂに一致させることで、撮像装置用カバー５００を正規の位置に容易に位置合わせすることができる。

　本実施の形態においても、実施の形態１と同様の作用効果を奏する。また、アタッチメント５５０に形成した接着面部５５０ｂを、対物カバー４０の皮膚疾患部側の面から深さｄ３だけ奥まった位置に形成されている。これにより、図１４Ｂに示すように、両面テープ５０２をこの奥まった領域に設けることができ、カバー部材５０１を対物カバー４０に接触させた状態で、あるいは、両者５０１、４０の間の隙間を小さくした状態で、撮像装置用カバー５００を取付けることができる。これにより、カバー部材５０１に反りが生じるのを防止することができ、撮像画像に意図しない光源が写りこんだり、ゆがみが生じたりするのを防止することができる。

　また、撮像装置用カバー５００を位置合わせする際に、撮像装置用カバー５００を一致させる立設部５５０ｃで囲まれた領域を目視することができ、位置合わせを容易に行うことができる。また、位置合わせをして載置した撮像装置用カバー５００を立設部５５０ｃで取り囲むことができることから、位置合わせをした撮像装置用カバー５００が位置ずれすることがない。そのため、撮像装置用カバー５００の取付け作業を容易に確実に実行することができる。

（実施の形態６）
　実施の形態６の撮像装置用カバー６００は、実施の形態１の撮像装置用カバー１００と共通する構成も多い。そのため、以下では実施の形態１の構成と異なる点を中心に説明する。上記の実施の形態１において、カバー部材はポリカーボネート製であると説明したが、図１６に示すように、実施の形態６における撮像装置用カバー６００は、異なる２つの材料からなるカバー部材６０１を有している。すなわちカバー部材６０１は、ポリカーボネートからなる第１層６０９と、アクリル樹脂からなる第２層６１０とが一体化した積層体から構成されている。第１層６０９は、両面テープ６０２側に配置され、厚みが例えば２６５μｍである。第２層６１０は、保護部材６０７側に配置され、厚みが例えば３５μｍである。これにより、カバー部材６０１の総厚は、例えば３００μｍである。第１層６０９と第２層６１０は、互いに同形状に形成されており、対物カバー４０（図１８）の直径と同等程度の直径Ｄ２を有する円形部６０１ａと、円形部６０１ａの外縁から外側に突出した突出部６０１ｂとを有しており、この点は、上記の実施の形態１と同様である。円形部６０１ａの直径Ｄ２は、例えば３２．４ｍｍである。また、突出部６０１ｂの外側への突出量Ｗ５は、例えば６．８ｍｍである。また、図１５に示すように、突出部６０１ｂにおいて、突出する方向に直交する方向における幅Ｗ４は、例えば７ｍｍである。

　両面テープ６０２は、実施の形態１の両面テープ１０２（図６）と同様に、それぞれが円環状に形成された第２の接着層６０５と着色層６０３と第１の接着層６０４とを有している。両面テープ６０２は、第２の接着層６０５を介してカバー部材６０１の第１層６０９に接着されている。着色層６０３は例えば１６μｍの厚みを有し、第１の接着層６０４及び第２の接着層６０５は、例えばそれぞれ１７μｍの厚みを有している。すなわち、両面テープ６０２の総厚は、例えば５０μｍである。また、両面テープ６０２の幅Ｗ１は、例えば４．５５ｍｍに設定されている。また、両面テープ６０２の内径Ｄ１は、例えば２３．３ｍｍである。この内径Ｄ１の値は、図３に示す撮影可能領域Ｒ１の直径よりも小さい値であり、かつ、撮影保証領域Ｒ２の直径よりも大きい値である。両面テープ６０２は、第１の接着層６０４を介して土台シート６０６に剥離可能に接着している。

　なお、土台シート６０６の構成は、図６に示す実施の形態１の土台シート１０６の構成と同様である。

　保護部材６０７は、透光性を有する材料から構成されており、例えば厚み５０μｍのポリエチレンテレフタレート製のシート材で構成されている。保護部材６０７は円形状に形成されており、その直径はカバー部材６０１の円形部６０１ａの直径Ｄ２と同じである。保護部材６０７は、例えば、青色に着色されており、撮影時に取り外されるまでカバー部材６０１を覆い保護する。

　第３の接着層６０８は、図６に示す保護部材１０７と同様の構成及び機能を有し、保護部材６０７をカバー部材６０１に剥離可能に接着する。第３の接着層６０８は、例えば厚み３０μｍを有している。

　このような、撮像装置用カバー６００を用いた撮像装置の撮影については、図９を参照しながら説明した撮像装置１の撮影と同じ方法を用いることができる。

　次に、カバー部材６０１の厚みを、３００μｍに設定した理由について説明する。例えば図６に示す実施の形態１の撮像装置用カバー１００を、図７Ａ～図７Ｃに示す順で撮像装置１に取り付けると、図７Ｃに示すように、カバー部材１０１は、円環状の両面テープ１０２に支持された状態で対物カバー４０に設置される。このとき、カバー部材１０１と対物カバー４０との間には、両面テープ１０２によって囲まれた空隙Ｓが形成される。すなわち、カバー部材１０１と対物カバー４０との間には、両面テープ１０２の厚み分の空隙Ｓが形成されることになる。このことは、円環状の両面テープ６０２を用いて対物カバー４０に取り付けられる実施の形態６における撮像装置用カバー６００においても同様である。すなわち図１６に示す撮像装置用カバー６００を撮像装置１に取り付けると、両面テープ６０２の厚み５０μｍに相当する空隙Ｓが、両面テープ６０２の内径Ｄ１、すなわち直径２３．３ｍｍを有する円形状の領域内にわたって形成される。

　皮膚疾患部をダーモスコピー撮影すると、皮膚疾患部に押し当てたカバー部材６０１は空隙Ｓ側にたわむ。このとき、カバー部材６０１に生じる最大のたわみが、両面テープ６０２の厚み（例えば５０μｍ）に達すると、図１８Ｂに示す状態と同様に、カバー部材６０１は対物カバー４０に接触する。このようにカバー部材６０１が対物カバー４０に接触した領域では、カバー部材６０１と対物カバー４０との間の空気層が極めて薄くなり、透過する光の波長に近づく。その結果、カバー部材６０１で反射した光と対物カバー４０で反射した光とが干渉し合い、干渉縞が発生することがある。そこで、ダーモスコピー撮影時に、カバー部材６０１が対物カバー４０に接触することがないように、カバー部材６０１に所望の曲げ剛性を確保して、空隙Ｓ側へ生じるたわみを抑制する必要がある。そこで、以下に示すように、カバー部材６０１に用いる部材を決定した。

　まず、図１７に示すように、曲げ剛性が異なる複数の撮像装置用カバーを準備する（ステップＳ２１）。具体的には、カバー部材の曲げ剛性のみを異ならせ、その他は同条件の複数の撮像装置用カバーを用意する。なお、曲げ剛性の異ならせ方は、カバー部材の厚みを異ならせたり、材質を異ならせたりすることによって実現することができる。なお、同条件に設定するその他の条件とは、両面テープ６０２の材質や各種寸法、カバー部材の平面寸法である。

　次に、準備した複数の撮像装置用カバーを撮影装置１（図１）に取り付けて、皮膚疾患部のダーモスコピー撮影を行い（ステップＳ２２）、カバー部材が対物カバー４０に接触するか否かを確認する。なお、撮像装置１（図１）を用いたダーモスコピー撮影の方法は、図９を参照しながら説明した通りである。このとき、準備した複数の撮像装置用カバーのうち、曲げ剛性がより小さいものから撮像装置１に取り付けて撮影すると、対物カバー４０に接触しない最小の曲げ剛性を有するカバー部材を見つけやすい。

　続いて、ステップＳ２２において、ダーモスコピー撮影時に、対物カバー４０に接触しなかった撮像装置用カバーを選定する（ステップＳ２３）。ここで、カバー部材が対物カバー４０に接触したか否かの判断は、図２に示す液晶モニタ６に映しだされる撮像画像に基づいて判断することができる。

　次に、ステップＳ２３において選定された撮像装置用カバーを計測機器で押圧する（ステップＳ２４）。撮像装置用カバーの押圧は、図１８Ａに示すように、ステップＳ２３において選定された撮像装置用カバー１０００のカバー部材１００１の中央を、対物カバー４０に取り付けた状態のままで、プッシュプルゲージ１００３の押圧部１００４で押圧する。カバー部材１００１の中央を押圧する理由としては、円環状の両面テープ６０２に支持されたカバー部材１００１では、その中央が最もたわみやすいからである。

　そして、徐々に押圧部１００４をカバー部材１００１に押し込んでいき、図１８Ｂに示すように、カバー部材１００１がたわみ対物カバー４０に接触した時点での押圧荷重を測定する（ステップ２５）。なお、押圧されたカバー部材１００１が対物カバー４０に接触すると、カバー部材１００１に加えて対物カバー４０もプッシュプルゲージ１００３の押圧に抵抗するようになる。これにより、プッシュプルゲージ１００３が示す押圧荷重が、対物カバー４０へのカバー部材１００１の接触前よりも大きな傾きで増加する。このようなプッシュプルゲージ１００３が示す押圧荷重の単位時間当たりの変化率に基づいて、カバー部材１００１が対物カバー４０に接触したか否かの判断をすることができる。そして、カバー部材１００１が対物カバー４０に接触した時点での押圧荷重は、プッシュプルゲージ１００３が示す値が増加する直前の値から読み取る。このようにして得られた押圧荷重のなかで最も小さい押圧荷重は、ダーモスコピー撮影時に、対物カバー４０に接触することがない撮影装置用カバーの中で最も小さい曲げ剛性を有するものから得られたものである。そこで、その最も小さい押圧荷重を、カバー部材が対物カバー４０に接触するときに必要な必要押圧荷重（基準の押圧荷重）に設定する。すなわち、計測機器で押圧されたカバー部材が対物カバー４０に接触するのに、必要押圧荷重以上の押圧荷重が必要であった場合には、計測したカバー部材は所望の曲げ剛性を有しているものと判断することができる。

　次に、ダーモスコピー撮影時に対物カバー４０に接触するか否かが不明であるカバー部材を撮像装置用カバーに採用しようとする場合には、図１８Ａ、Ｂを参照しながら説明したようにカバー部材が対物カバー４０に接触する時の押圧荷重を測定し、測定された押圧荷重が必要押圧荷重を上回るものを、撮像装置用カバーのカバー部材として採用する（ステップＳ２６）。このように、予めカバー部材の必要押圧荷重を求めておくことで、カバー部材が対物カバー４０に接触する時の押圧荷重を測定するだけで、所望の曲げ剛性を有するカバー部材であるか否かを判断することができる。

　本実施の形態における撮像装置用カバーにおいて、図１７に示すステップＳ２１～ステップ２５を実行し、カバー部材が対物カバー４０に接触するときに必要な必要押圧荷重として、例えば２．０Ｎが得られた。そして、図１６に示すポリカーボネートからなる第１層６０９と、アクリル樹脂からなる第２層６１０とが一体化した総厚３００μｍのカバー部材６０１では、対物カバー４０に接触するときの押圧荷重は２．２Ｎであり、必要押圧荷重２．０Ｎを上回っていた。そのため、カバー部材６０１は、対物カバー４０に接触することがない所望の曲げ剛性を有していると判断できる。確認のため、撮像装置用カバー６００を撮像装置１に取り付けてダーモスコピー撮影を行ったが、カバー部材６０１が対物カバー４０に接触することはなかった。一方、同じくポリカーボネートからなる層とアクリル樹脂からなる層とが一体化した総厚２００μｍのカバー部材（カバー部材６０１よりも薄い）では、対物カバー４０に接触したときの押圧荷重は１．４Ｎであり、必要押圧荷重２．０Ｎを下回っていた。そのため、この厚み２００μｍのカバー部材は、所望の曲げ剛性を有しておらず、ダーモスコピー撮影時に対物カバー４０に接触して、撮影画像に支障を生じさせる恐れがあると判断できる。確認のため、この厚み２００μｍのカバー部材を用いた撮像装置用カバーを撮像装置１に取り付けてダーモスコピー撮影を行うと、カバー部材は対物カバー４０に接触することが確認された。

　なお、図１７のステップＳ２１において、実際に使用する撮像装置用カバーが用意され、ステップＳ２３において、実際のダーモスコピー撮影で対物カバー４０に接触しない撮像装置用カバーが選定できれば、その撮像装置用カバーを撮影に使用することができ、ステップＳ２４以降は不要である。

　また、図１７に示すステップＳ２２において、カバー部材が対物カバー４０に接触するか否かは撮像画像に基づいて判断すると説明したが、ファインダとして機能する液晶モニタ６（図２）が構図を決めるために表示する画像（いわゆるライブビュー画像）に基づいて判断してもよい。

　また、図１７に示すステップＳ２５において、カバー部材１００１が対物カバー４０に接触したか否かの判断を、プッシュプルゲージ１００３が示す押圧荷重の変化に基づいて判断すると説明したが、押圧されるカバー部材１００１を見て実際に接触した否かを判断してもよいし、押圧荷重の変化と押圧されるカバー部材１００１を見た様子との両方から判断してもよい。

　また、カバー部材の曲げ剛性以外の条件、例えば両面テープの材質や各種寸法、カバー部材の平面寸法が異なれば、図１７のステップＳ２５で求めた必要押圧荷重も異なる値となる。特に、両面テープの厚みを変更することで、容易にカバー部材と対物カバーとのクリアランスを変更することができる。したがって、これらの条件を変更する場合には、改めて図１７に示す工程を実行してカバー部材を決定する必要がある。

　上記実施の形態によれば、カバー部材６０１には、ダーモスコピー撮影をする際、対物カバー４０に接触することがない所望の曲げ剛性が確保されている（例えば、厚み３００μｍに設定することで確保）。そのため、カバー部材６０１が対物カバー４０に接触することで生じる光の干渉縞を防止でき、これにより撮像画像の質の低下を抑制することができる。

　また、カバー部材６０１の空隙Ｓ側へのたわみを抑制できるので、撮像画像に視認可能なゆがみが生じるのを抑制することができる。

　また、カバー部材の空隙Ｓ側へのたわみが大きいと、両面テープにより密封された空隙内の内圧が高まり、やがて空隙内の空気が外部へと押しだされることがある。このように、一旦空隙内の空気が外部へ押し出されると、皮膚疾患部に押し当てられた状態から解放されたとしても、カバー部材は元の状態に復帰せずにたわんだままの状態、すなわち吸着状態のままとなる場合がある。一方、上記実施の形態では、カバー部材６０１に生じるたわみを抑制できるので、吸着状態を発生させにくい。これにより、吸着状態が発生することによって、撮像画像に常に干渉縞が写りこんだり、撮影画像に常に視認可能なゆがみが生じたりするといった現象を抑制することができる。

　また、図１７のステップＳ２５において、予めカバー部材６０１の必要押圧荷重を求めておくことで、異なる材料からなるカバー部材が適切な曲げ剛性を有しているか否かを、プッシュプルゲージを用いて押圧するだけで判断することができる。これにより、撮像画像の質の低下を、簡単な確認作業を行うだけで抑制することができる。

　また、カバー部材６０１を、ポリカーボネートからなり両面テープ６０２側に配置された第１層６０９と、アクリル樹脂からなり保護部材６０７側に配置された第２層６１０とが一体化した積層体から構成している。これによりカバー部材６０１は、ポリカーボネートにより耐衝撃性を高め、アクリル樹脂により表面硬度や曲げ剛性を高めるといった相反しそうな両物性を合わせ持つことができる。また、表面硬度が高いアクリル樹脂からなる第２層６１０を撮像対象側に配置していることから、撮影時にカバー部材６０１の表面に傷がつきにくく、撮像画像の質の低下を抑制することができる。

（実施の形態７）
　次に、本発明の実施の形態７について説明する。上記実施の形態では、例えば図１５に示すように、１枚の土台シート６０６に、１つの接着カバー６１１が設けられた撮像装置用カバー６００について説明した。なお、接着カバー６１１とは、図１６に示すように、撮像装置用カバー６００から土台シート６０６を除いた部分のことである。一方、本実施の形態に係る撮像装置用カバー７００では、図１９に示すように、１枚の土台シート７０６に６つの接着カバー６１１が設けられている。

　図１９に示す土台シート７０６は矩形状であり、例えば、図中縦方向に１０５ｍｍ、図中横方向に１００ｍｍの長さを有している。土台シート７０６上には、縦方向に３列、横方向に２列の合計６つの接着カバー６１１がマトリクス上に配置されている。なお、６つの接着カバー６１１に形成された突出部６０１ｂは、全て図中左方向に向けられており同一の方向を向いている。

　上記実施の形態によれば、１枚の土台シート７０６に複数の接着カバー６１１が設けられているため、撮像装置用カバーを貼りかえる度に土台シート７０６を交換するといった手間が減り、異なる患者の皮膚疾患部の撮影をスムーズに実行することができる。また、接着カバー６１１に形成された突出部６０１ｂは、全てが同一の方向を向いているため対象者（ユーザ）に認識されやすく、接着カバー６１１を土台シート７０６から剥離する際に容易に突出部６０１ｂをつまむことができる。これにより、皮膚疾患部の撮影をスムーズに実行することができる。

（実施の形態８）
　次に、本発明の実施の形態８について、図２０、２１を参照しながら説明する。本実施の形態では、撮像装置用カバーと対物カバーとの間に、塗布した光学液状材を介在させて撮影する点が上記実施の形態と異なっており、すなわち、図２０に示すフローチャートにおいて、図９に示すフローチャートと比較して、ステップＳ１１～Ｓ１７に加えて、ステップＳ１０とステップＳ１８とを有する点が異なっている。なお、本実施の形態では、カバー部材と対物カバーとを接触させた状態、あるいは両者の隙間を小さい状態とすることができる実施の形態４の撮像装置４０１（図１２）に、実施の形態６の撮像装置用カバー６００（図１６）を取り付けた場合について説明する。

　撮像装置用カバー６００を用いた撮像装置１の撮像方法は、まず、図２０に示すように、対物カバー４４０に光学液状材８０１を塗布する（ステップＳ１０）。図２１Ａに示すように、光学液状材８０１は、対物カバー４４０の中央を中心とした領域に塗布され、この領域は撮像装置用カバー６００の両面テープ６０２が形成されていない領域（対物カバー４４０の周縁部以外の領域）に対応する。塗布する光学液状材８０１は、ポリカーボネートからなる第１層６０９の屈折率（例えば１．５８４）に近い屈折率を有する材料から選定されるのが好ましく、例えばエポキシ製である。

　続いて、図２０に示すように、図９に示すステップＳ１１～Ｓ１７の工程を順次実行する。すなわち、撮像装置用カバー６００から土台シート６０６を剥離し（ステップＳ１１）、撮像装置１の電源ボタン５をＯＮにする（ステップＳ１２）。次に、撮像装置用カバー６００を正規の取付位置に取り付けるために、撮像装置用カバー６００の位置合わせを行い（ステップＳ１３）、撮像装置用カバー６００を対物カバー４４０に貼付する（ステップＳ１４）。このとき、余分な光学液状材８０１を押し出しながら撮像装置用カバー６００を貼り付け、押し出された光学液状材は拭き取る。このように、撮像装置用カバー６００が対物カバー４４０に貼付されると、対物カバー４４０に塗布していた光学液状材８０１は、図２１Ｂに示すように、対物カバー４４０とカバー部材６０１と両面テープ６０２とで囲まれた隙間に入り込み充填される。

　次に、保護部材６０７をカバー部材６０１から剥離する（ステップＳ１５）。これにより、図２１Ｃに示すように、対物カバー４４０とカバー部材６０１との間に空気層を形成させることなく光学液状材８０１を介在させた状態で、撮像装置用カバー６００の取付けを完了させることができる。

　続いて皮膚疾患部の撮影を行い（ステップＳ１６）、１人の患者の皮膚疾患部の撮影がすべて終了すると、撮像装置用カバー６００を撮像装置１から取り外す（ステップＳ１７）。最後に、対物カバー４４０に残った光学液状材８０１を拭き取り（ステップＳ１８）、これにより、撮像装置１の撮影が終了する。

　なお、光学液状材は、エポキシ製によるものだけでなく、光透過性が高く、屈折率が第１層の屈折率（１．５８４）に近い屈折率を有する材料から任意に選択することができ、例えばアクリル製のものであってもよい。

　上記実施の形態によれば、対物カバー４４０とカバー部材６０１との間を第１層６０９に近い屈折率を有する光学液状材８０１で充填した。これにより、第１層６０９の屈折率と、第１層６０９に隣接する部材（すなわち光学液状材８０１）の屈折率との差が小さくなり、第１層６０９の表面での光の反射を最小限とすることができる。そのため、撮像画像の質の向上を図ることができる。

　また、対物カバー４４０とカバー部材６０１との間に光学液状材８０１が充填されて空気層が形成されないことから、光の干渉縞が生じるのを抑制することができ、撮像画像の質の低下を抑制することができる。

　この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。上記の実施の形態では、撮像され、かつ、メモリカード１３（図２）に保存される画像、及びファインダとして液晶モニタ６に映し出される画像において、例えば図８Ａ，Ｂに示すように撮影保証領域Ｒ２よりも外側の領域にある着色層１０３、及び支持部２０等もそのまま映し出されていた。しかしながら、撮像装置用カバーが正規の位置からずれた位置に取り付けられると、着色層１０３もずれて映り込み、撮像画像に違和感を覚えやすい。このような違和感を与えないように、撮影保証領域Ｒ２よりも外側に映ったものを認識できないように画像を処理してもよい。

　例えば、図２２Ａに示すように、撮影保証領域Ｒ２よりも外側に着色層１０３等が写りこんだ画像５０において、画像処理プロセッサ１１（図２）が撮影保証領域Ｒ２よりも外側の領域を単色で塗りつぶす処理を施してもよい。図２２Ｂは、撮影保証領域Ｒ２の外側を黒色で塗りつぶした画像を示している。画像処理プロセッサ１１がこのような処理を施すことにより、撮影保証領域Ｒ２よりも外側が気にならなくなり、それよりも内側に映し出された皮膚６０の画像に注目することができる。これにより、違和感を与えにくい画像を生成することができる。このような処理を施した画像を、撮像画像としてメモリカード１３（図２）等に保存してもよいし、撮像装置用カバーを取り付けた後にファインダとして液晶モニタ６が映し出す画像に採用してもよい。

　また、他の画像の処理方法として、図２３Ａに示すように、撮影保証領域Ｒ２よりも外側に着色層１０３等が写りこんだ画像５０において、撮影保証領域Ｒ２内の画像のみを切り出してもよい。このように切り出す領域Ｒ３は、例えば対角の画角が撮影保証領域Ｒ２と一致するような画角とし、デジタルズームして切り出して、図２３Ｂに示す画像５２を生成する。これにより、図２３Ｂに示すように、皮膚６０のみが映し出された画像５２を生成することができる。このような処理を施すことにより、対象者に違和感を与えにくい画像５２を生成することができる。このような処理を施した画像は、撮像画像としてメモリカード１３（図２）等に保存してもよいし、撮像装置用カバーを取り付けた後にファインダとして液晶モニタ６が映し出す画像に採用してもよい。

　また、他の画像の処理方法として、図２３Ａに示すように、例えば対角の画角が撮影可能領域Ｒ１と一致するような画角とした領域Ｒ４をデジタルズームとして切り出してもよい。これにより、撮像対象ではない支持部２０を画像に映し出すことないため、違和感を与えにくい画像を生成することができる。また、画像の四隅に着色層１０３を小さく映し出すことができるため、液晶モニタ６に映る画像を見ながら撮像装置用カバー１００の位置決めを実行することができる。また、画像の四隅に小さく着色層１０３が映し出されるだけであるので、着色層１０３が映りこむことによる画像の違和感を与えにくい。

　また、ファインダとして画像を表示する液晶モニタ６には、撮影保証領域Ｒ２を示す円を表示して、撮像対象が撮影保証領域Ｒ２内で撮影されるようにサポートするものとして説明したが、撮影保証領域Ｒ２を液晶モニタ６に表示するか否かは任意である。撮影保証領域Ｒ２を表示しないことにより、液晶モニタ６に表示された画像の視認性を高めることができる。また、撮影保証領域Ｒ２を表示するか否かを、対象者が液晶モニタ６のタッチパネルを操作して選択できるようにしてもよい。

　なお、撮像装置用カバー１００に形成した着色層の色として、赤色と黒色とを例に挙げて説明したが、着色層をどのような色にするのかは任意である。すなわち、作業性を重視するために視認しやすい色を採用してもよいし、撮影画像の見栄えを重視して目立たない色を採用してもよい。このような判断が容易にできるように、予め異なる色の着色層からなる撮像装置用カバー１００を準備しておき、対象者が用いる撮像装置用カバー１００の着色層の色を選択できるようにしてもよい。

　また、各接着層に用いる材料は、上記の材料に限定されず、その機能を満足できるのであれば任意に選択できる。例えば、保護部材１０７を剥離可能に接着する第３の接着層１０８は、撮影時に皮膚と接触するカバー部材１０１に接着していることから、糊残りしない材料であるとともに、生体適合性のある接着剤から採用するのが好ましい。

　また、保護部材１０７は、ポリエチレン製であると説明したが、撮影時には取り外されることから、カバー部材１０１を保護できる材質のものであればよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート製としてもよいし、ポリプロピレン製としてもよい。また、保護部材１０７は、淡い緑色であると説明したが、撮像装置用カバーの取付け時に背景が暗い場合にも、液晶モニタに明るく表示されるように、明度の高い色で着色すれば、色は任意に選択できる。

　また、カバー部材１０１は光学透過面として使用するため、皺になりにくい材料から構成するのが好ましい。また、上記実施の形態において、カバー部材１０１は、シート材から形成されていると説明したが、より高い曲げ剛性を有するプレート材から形成してもよい。また、カバー部材１０１は、撮像装置の偏光性能に影響を与えないようにするため、複屈折率の小さい材料であり、色の変化の少ないフラットな分光透過率なる材料であり、かつ生体適合性のある材料から選択するのが好ましい。さらに、カバー部材１０１（その周縁部１０１ａの着色層１０３以外の領域）は、前述した撮像素子８の変換可能波長領域の光を透過する材料から選択するのが好ましい。例えば、ポリカーボネート製の他、アクリル製、トリアセチルセルロース製とするのが好ましい。

　また、カバー部材１０１の周縁部に設けられた着色層は、円環状に連なった状態で形成されている必要はなく、カバー部材１０１の周縁部に断続的に形成されていてもよい。例えば断続的に形成されている場合であっても、撮像装置用カバー１００の位置合わせの際に、位置ずれが直感的に認識できる程度に、カバー部材１０１の周縁部に形成されている必要がある。

　また、上記実施の形態において、カバー部材１０１を対物カバー４０に接着するための第１の接着層１０４と、画像において識別容易となるように着色された着色層１０３とは別々の構成であると説明したが、第１の接着層１０４自体を着色して、第１の接着層１０４が着色層１０３としての機能を兼ね備える構成としてもよい。すなわち、第１の接着層１０４は、着色層１０３を有している場合と、着色層１０３を有していない場合とを含んでいる。

　また、カバー部材１０１と着色層１０３とは別々の構成であると上記では説明したが、例えばカバー部材１０１の周縁部を着色して、カバー部材１０１が着色層１０３の機能を兼ね備える構成としてもよい。すなわち、カバー部材１０１は、着色層を有している場合と、着色層を有していない場合とを含んでいる。カバー部材１０１が周縁部に例えば黒色の着色層を有している場合、この周縁部では光を透過しない。この場合、カバー部材１０１は、周縁部を除く一部の領域で光を透過する。

　また、撮像装置として、赤外カメラや、紫外カメラといった特定の波長の光を可視化する撮像装置である場合には、カバー部材１０１はこれらの波長を通す材料から構成されていればよく、透明なシート材から構成されている必要はなく、半透明な材料から構成してもよい。

　また、保護部材１０７は、カバー部材１０１の突出部１０１ｂに対応する部分を有しておらず、両者は同じ形状ではないと説明したが、保護部材１０７にも突出部１０１ｂに対応する部分を設け、保護部材１０７とカバー部材１０１とを同じ形状としてもよい。保護部材１０７とカバー部材１０１とを同じ形状とすることにより、図７Ｂに示すような段差ｈが生じなくなり、この段差ｈを起点に意図せずにカバー部材１０１が剥がれてしまうといった不具合を生じにくくすることができる。

　また、図１６に示す撮像装置用カバー６００において、カバー部材６０１はポリカーボネートからなる層と、アクリル樹脂からなる層との積層構造を有すると説明したが、積層構造を構成する材質はこれらのものに限定されない。異なる物性のものを適切に組み合わせることにより、種々の特性を備えるカバー部材を実現できる。また、２層のそれぞれの厚みも任意に設定することができる。さらに、カバー部材は２層以上の積層体であってもよい。

　また、実施の形態８において、対物カバーに光学液状材を塗布して、実施の形態６に係る撮像装置用カバー６００を実施の形態４の撮像装置４０１に取付ける方法について説明したが、その他の撮像装置用カバーを取り付ける際にもこの方法を採用することができる。例えば、同様に、対物カバーとカバー部材とを接触させ、あるいは両者の間を小さくすることができる実施の形態３、５に係る撮像装置用カバー３００（図１１）、５００（図１４）に適用することができる。また、対物カバーとカバー部材との間に空隙が形成される実施の形態１、２の撮像装置用カバー１００（図６）、２００（図１０）に適用することもできる。これにより、対物カバーとカバー部材との間の空気層をよりなくすことができる。なお、カバー部材が１層からなる場合、光学液状材は、カバー部材の屈折率に近い屈折率を有する材料から選定することが好ましい。これにより、カバー部材の表面での光の反射を最小限とすることができ、撮像画像の質の向上を図ることができる。

　また、１枚の土台シートに設置する接着カバーの数は任意であり、上述した１つあるいは６つ以下の数にしてもよい。一方で、土台シートを扱いやすい大きさの範囲内に接着カバーの数を制限するのが好ましい。

　また、撮像装置としては、ダーモスコピーカメラに限定されず、様々な撮像装置を対象とすることができる。例えば、動植物の表面を撮影する撮像装置、防犯カメラ、水中を撮影する撮像装置、宇宙空間で使用する撮像装置、建物や橋などのコンクリート製や鋼製の構造物の検査に用いられる撮像装置、地中や地下空間で用いられる撮像装置等である。これらの撮像装置においては、対物カバーに汚れが付着する場面で、対物カバーの衛生状態を保ちたい場合に本発明を適用することができる。また、撮像装置とは、静止画を撮影する装置だけでなく、動画を撮影する装置も含まれる。

　また、本発明は、他の装置に取り付けられた撮像装置にも適用可能であり、例えば、コンピュータ、テレビ、ゲーム機、スマートフォン、タブレット端末等に搭載された撮像装置に適用することができる。

　また、対物カバー４０は円形状に限定されず、四角形、三角形、五角形等の多角形状であってもよい。また、対物カバー４０を覆う撮像装置用カバー１００の形状も、同様に円形状に限定されない。また、対物カバー４０と撮像装置用カバー１００は同形状でなくてもよく、一方が円形状で、他方が多角形状であってもよい。

　本発明は、本発明の広義の精神と範囲とを逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、前述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。

　本発明は、２０２０年９月７日に出願された日本国特許出願２０２０－１４９９８９号、及び２０２１年１月２６日に出願された日本国特許出願２０２１－０１０４０５号に基づく。本明細書中に日本国特許出願２０２０－１４９９８９号及び日本国特許出願２０２１－０１０４０５号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。

　本発明は、撮像装置の衛生面にも配慮しつつ、適切な画像を撮影する上で、特に有用である。

１・・・撮像装置、２・・・コントローラ、３・・・カメラ本体、３ａ・・・光出射孔、４・・・シャッタボタン、５・・・電源ボタン、６・・・液晶モニタ、７・・・撮像レンズ系、８・・・撮像素子、１０・・・カバー構造体、１１・・・画像処理プロセッサ、１２・・・内部メモリ、１３・・・メモリカード、２０・・・支持部、２０ａ・・・ねじ、２１・・・開口、４０・・・対物カバー、５０・・・画像、５２・・・画像、６０・・・皮膚、１００・・・撮像装置用カバー、１０１・・・カバー部材、１０１ａ・・・円形部、１０１ｂ・・・突出部、１０１ｃ・・・カバー周縁部、１０２・・・両面テープ、１０３・・・着色層、１０３ａ・・・内縁、１０４・・・第１の接着層、１０５・・・第２の接着層、１０６・・・土台シート、１０７・・・保護部材、１０８・・・第３の接着層、１０９・・・外縁、１１０・・・外縁、２００・・・撮像装置用カバー、２０３・・・着色層、２０４・・・第１の接着層、３００・・・撮像装置用カバー、３０１・・・カバー部材、３０１ａ・・・円形部、３０１ｂ・・・突出部、３０１ｃ・・・収容部、４０１・・・撮像装置、４４０・・・対物カバー、４４０ａ・・・収容部、５００・・・撮像装置用カバー、５０１・・・カバー部材、５０２・・・両面テープ、５０４・・・第１の接着層、５０７・・・保護部材、５１０・・・カバー構造体、５１０ａ・・・おねじ、５２０・・・支持部、５５０・・・アタッチメント、５５０ａ・・・めねじ、５５０ｂ・・・接着面部、５５０ｃ・・・立設部、６００・・・撮像装置用カバー、６０１・・・カバー部材、６０１ａ・・・円形部、６０１ｂ・・・突出部、６０２・・・両面テープ、６０３・・・着色層、６０４・・・第１の接着層、６０５・・・第２の接着層、６０６・・・土台シート、６０７・・・保護部材、６０８・・・第３の接着層、６０９・・・第１層、６１０・・・第２層、６１１・・・接着カバー、７００・・・撮像装置用カバー、７０６・・・土台シート、８０１・・・光学液状材、１０００・・・撮像装置用カバー、１００１・・・カバー部材、１００３・・・プッシュプルゲージ、１００４・・・押圧部、Ｄ１・・・内径、Ｄ２・・・直径、ｄ１，ｄ２，ｄ３・・・深さ、ｈ・・・段差、Ｏ，Ｏ´・・・中心、Ｒ１・・・撮影可能領域、Ｒ２・・・撮影保証領域、Ｒ３，Ｒ４・・・領域、Ｓ・・・空隙、Ｗ１，Ｗ２，Ｗ３，Ｗ４・・・幅、Ｗ５・・・突出量

Claims (25)

1. 　少なくとも一部の領域が入射される光に対して透過性を有するカバー部材と、
   　前記カバー部材の周縁部であるカバー周縁部に設けられた第１の接着層と、を備え、
   　前記カバー部材は、撮像装置のレンズに対象からの反射光を導く対物カバーを覆った状態で、前記対物カバーを含む前記撮像装置に、前記第１の接着層を介して剥離可能に接着されている、
   　撮像装置用カバー。
2. 　前記カバー周縁部には、着色された着色層が設けられている、
   　請求項１に記載の撮像装置用カバー。
3. 　前記着色層は、前記カバー周縁部に円環状に印刷されている、
   　請求項２に記載の撮像装置用カバー。
4. 　前記着色層を、前記カバー周縁部に接着する第２の接着層をさらに備え、
   　前記カバー周縁部には、前記第２の接着層、前記着色層、及び前記第１の接着層が、前記カバー周縁部側からこの順で、前記カバー部材の厚さ方向に積層された状態で設けられている、
   　請求項２に記載の撮像装置用カバー。
5. 　前記第２の接着層の接着強度は、前記第１の接着層の接着強度よりも強い、
   　請求項４に記載の撮像装置用カバー。
6. 　前記第２の接着層、前記着色層、及び前記第１の接着層は、前記着色層を基材とする両面テープを形成しており、
   　前記両面テープは、前記カバー周縁部に円環状に形成されている、
   　請求項４または５に記載の撮像装置用カバー。
7. 　前記カバー部材は、貼付したり剥離したりする際に対象者がつまむための、外縁から外側に突出した突出部を有している、
   　請求項１から６のいずれか１項に記載の撮像装置用カバー。
8. 　前記カバー部材は、シート材から形成されている、
   　請求項１から７のいずれか１項に記載の撮像装置用カバー。
9. 　前記カバー部材は、互いの材質が異なる少なくとも第１層と第２層とを有し、前記第１層と前記第２層とが一体化した積層体から構成されている、
   　請求項１から８のいずれか１項に記載の撮像装置用カバー。
10. 　前記第２層は前記第１層よりも曲げ剛性が高い材料から構成されており、
    　前記第１層は、前記第２層よりも前記第１の接着層側に配置されている、
    　請求項９に記載の撮像装置用カバー。
11. 　前記第１層は、ポリカーボネートから構成され、
    　前記第２層は、アクリル樹脂から構成されている、
    　請求項９または１０に記載の撮像装置用カバー。
12. 　前記カバー部材は、前記撮像装置により前記対物カバーを患部に当接させて撮影する場合に、前記対物カバーに接触することのない曲げ剛性を有する、
    　請求項１から１１のいずれか１項に記載の撮像装置用カバー。
13. 　前記撮像装置が使用されるまで前記カバー部材を覆って保護し、前記撮像装置による撮影時には前記カバー部材から剥がされる、前記カバー部材よりも透光性の低い材料からなる保護部材と、
    　前記カバー部材の前記第１の接着層側の面とは反対側の面に、前記保護部材を剥離可能に接着する第３の接着層と、
    　前記第１の接着層に剥離可能に接着され、前記撮像装置に取り付ける際に前記第１の接着層から剥がされる土台シートと、を備える、
    　請求項１から１２のいずれか１項に記載の撮像装置用カバー。
14. 　前記保護部材は着色されている、
    　請求項１３に記載の撮像装置用カバー。
15. 　前記カバー周縁部は、前記カバー部材の前記カバー周縁部以外の部分よりも、前記対物カバーと反対側に凹んだ位置に形成されている、
    　請求項１から１４のいずれか１項に記載の撮像装置用カバー。
16. 　請求項１から１５のいずれか１項に記載の撮像装置用カバーが取り付けられる撮像装置であって、
    　通常の撮影状態である第１撮影状態と、前記対物カバーを患部に近接させて撮影する第２撮影状態とで、患部の診断を支援するための画像を撮像し、
    　前記カバー部材は、前記第１の接着層を介して前記対物カバーに剥離可能に接着されている、
    　撮像装置。
17. 　請求項１から１４のいずれか１項に記載の撮像装置用カバーが取り付けられる撮像装置であって、
    　通常の撮影状態である第１撮影状態と、前記対物カバーを患部に近接させて撮影する第２撮影状態とで、患部の診断を支援するための画像を撮像し、
    　前記第１の接着層は、前記撮像装置における前記対物カバーよりも外側の部分に接着され、前記第１の接着層が接着される部分は、前記対物カバーよりも、前記レンズ側に凹んだ位置に形成されている、
    　撮像装置。
18. 　前記撮像装置における前記対物カバーよりも外側の部分に、前記第１の接着層を接着するためのアタッチメントが着脱可能である、
    　請求項１７に記載の撮像装置。
19. 　請求項２から６のいずれか１項に記載の撮像装置用カバーが前記第１の接着層を介して取り付けられる撮像装置であって、
    　通常の撮影状態である第１撮影状態と、前記対物カバーを患部に近接させて撮影する第２撮影状態とで、患部の診断を支援するための画像を撮像し、
    　前記撮像装置用カバーを正規の取付位置に取り付けた場合、前記対物カバーを通して撮像される画像において、前記着色層の画像は、撮像画像の中心に設定される撮影保証領域の外側に撮像される、
    　撮像装置。
20. 　前記撮像画像における前記撮影保証領域よりも外側の領域を、単一の色に塗りつぶした画像を生成する、
    　請求項１９に記載の撮像装置。
21. 　前記撮像画像から、対角の画角が前記撮影保証領域と一致する画角の画像を切り出す、
    　請求項１９に記載の撮像装置。
22. 　請求項１から１５のいずれか１項に記載の撮像装置用カバーを撮像装置に取り付けて撮影する撮影方法であって、
    　前記第１の接着層を介して前記撮像装置用カバーを前記対物カバーに取り付ける工程と、
    　前記撮像装置用カバーを取り付けた状態で、前記対物カバーを患部に近接させてダーモスコピー撮影をする工程と、
    　撮影が終了した後に、前記撮像装置用カバーを前記対物カバーから取り外す工程と、を備える、
    　撮影方法。
23. 　請求項１から１５のいずれか１項に記載の撮像装置用カバーを撮像装置に取り付けて撮影する撮影方法であって、
    　前記対物カバーの前記第１の接着層が接着される領域よりも内側に光透過性を有する光学液状材を塗布し、前記第１の接着層を介して前記撮像装置用カバーを前記対物カバーに取り付ける工程と、
    　前記撮像装置用カバーを取り付けた状態で、前記対物カバーを患部に近接させてダーモスコピー撮影をする工程と、
    　撮影が終了した後に、前記撮像装置用カバーを前記対物カバーから取り外す工程と、を備える、
    　撮影方法。
24. 　前記光学液状材は、隣接するカバー部材の屈折率に近い屈折率を有している、
    　請求項２３に記載の撮影方法。
25. 　請求項２から６のいずれか１項に記載の撮像装置用カバーを撮像装置に取り付けて撮影する撮影方法であって、
    　前記第１の接着層を介して前記撮像装置用カバーを前記対物カバーに取り付ける工程と、
    　前記撮像装置用カバーを取り付けた状態で、前記対物カバーを患部に近接させてダーモスコピー撮影をする工程と、
    　撮影が終了した後に、前記撮像装置用カバーを前記対物カバーから取り外す工程と、を備え、
    　前記撮像装置用カバーを取り付ける際に、前記撮像装置が有する液晶モニタの画像に映し出された前記着色層が、撮像画像の中心に設定される撮影保証領域の外側となるように、前記撮像装置用カバーの位置合わせを行う、
    　撮影方法。

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