WO2022044652A1 - コイル部品 - Google Patents

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Abstract

コイル部品1は、素体10と、素体10の内部に設けられたコイル30と、素体10の表面上に設けられ、かつ、コイル30に電気的に接続された第1外部電極21と、素体10の表面上で第1外部電極21と離隔された位置に設けられ、かつ、コイル30に電気的に接続された第2外部電極22と、を備え、コイル30のコイル軸Cの方向は、素体10の実装面に平行であり、素体10には、Fe、Zn、Cu、及び、Niを含む磁性体相と、Zn及びSiを含む非磁性体相と、気孔50と、が存在し、磁性体相及び非磁性体相の合計体積に対する非磁性体相の体積割合は、14体積%以上、60体積%以下であり、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔50の合計体積に対する気孔50の体積割合は、10体積%以上、50体積%以下である。

Description

コイル部品
 本発明は、コイル部品に関する。
 コイル部品の構成材料として、例えば、特許文献1には、主成分と副成分とを有するフェライト組成物であって、主成分として、Feの化合物、Cuの化合物、Znの化合物、及び、Niの化合物を所定の比率で各々含有し、副成分として、Siの化合物、Coの化合物、及び、Biの化合物を主成分に対して所定の比率で各々含有する、フェライト組成物が開示されている。
特許第6569834号公報
 特許文献1に記載のフェライト組成物によれば、インダクタンス特性が改善され、比抵抗及び透磁率μ’(複素透磁率の実部)が高く、直流重畳特性及び交流抵抗も良好となる、とされている。本発明者が検討したところ、特許文献1に記載のフェライト組成物によれば、直流重畳特性に優れたコイル部品は実現されると考えられるが、比誘電率が高いために高周波特性に優れたコイル部品は実現されないことが分かった。
 本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、直流重畳特性及び高周波特性に優れたコイル部品を提供することを目的とするものである。
 本発明のコイル部品は、素体と、上記素体の内部に設けられたコイルと、上記素体の表面上に設けられ、かつ、上記コイルに電気的に接続された第1外部電極と、上記素体の表面上で上記第1外部電極と離隔された位置に設けられ、かつ、上記コイルに電気的に接続された第2外部電極と、を備え、上記コイルのコイル軸の方向は、上記素体の実装面に平行であり、上記素体には、Fe、Zn、Cu、及び、Niを含む磁性体相と、Zn及びSiを含む非磁性体相と、気孔と、が存在し、上記磁性体相及び上記非磁性体相の合計体積に対する上記非磁性体相の体積割合は、14体積%以上、60体積%以下であり、上記磁性体相、上記非磁性体相、及び、上記気孔の合計体積に対する上記気孔の体積割合は、10体積%以上、50体積%以下である、ことを特徴とする。
 本発明によれば、直流重畳特性及び高周波特性に優れたコイル部品を提供できる。
本発明の実施形態1のコイル部品を示す斜視模式図である。 図1中の線分A1-A2に対応する部分を示す断面模式図である。 図2に示した素体の一例を示す分解斜視模式図である。 図2に示した素体の一例を示す分解平面模式図である。 本発明の実施形態2のコイル部品を示す断面模式図である。 本発明の実施形態3のコイル部品を示す斜視模式図である。 図6中の線分B1-B2に対応する部分を示す断面模式図である。 本発明の実施形態4のコイル部品を示す断面模式図である。
 以下、本発明のコイル部品について説明する。なお、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更されてもよい。また、以下において記載する個々の好ましい構成を複数組み合わせたものもまた本発明である。
 以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示す構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。実施形態2以降では、実施形態1と共通の事項についての記載は省略し、異なる点を主に説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態毎に逐次言及しない。以下の説明において、各実施形態を特に区別しない場合、単に「本発明のコイル部品」と言う。
[実施形態1]
 図1は、本発明の実施形態1のコイル部品を示す斜視模式図である。
 図1に示すように、コイル部品1は、素体10と、第1外部電極21と、第2外部電極22と、を有している。図1に示していないが、後述するように、コイル部品1は、素体10の内部に設けられたコイルも有している。
 本明細書中、長さ方向、高さ方向、及び、幅方向を、図1等に示すように、各々、L、T、及び、Wで定められる方向とする。ここで、長さ方向Lと高さ方向Tと幅方向Wとは、互いに直交している。
 素体10は、略直方体状であり、長さ方向Lに対向する第1端面11a及び第2端面11bと、高さ方向Tに対向する第1主面12a及び第2主面12bと、幅方向Wに対向する第1側面13a及び第2側面13bと、を有している。
 コイル部品1を基板に実装する場合、素体10の第1主面12a又は第2主面12bが実装面となる。以下では、第1主面12aが実装面である場合について説明するが、第2主面12bが実装面である場合についても同様である。
 素体10の第1端面11a及び第2端面11bは、長さ方向Lに厳密に直交している必要はない。また、素体10の第1主面12a及び第2主面12bは、高さ方向Tに厳密に直交している必要はない。更に、素体10の第1側面13a及び第2側面13bは、幅方向Wに厳密に直交している必要はない。
 素体10は、角部及び稜線部に丸みが付けられていることが好ましい。素体10の角部は、素体10の3面が交わる部分である。素体10の稜線部は、素体10の2面が交わる部分である。
 第1外部電極21は、素体10の表面上に設けられている。より具体的には、第1外部電極21は、素体10の第1端面11aから、第1主面12a、第2主面12b、第1側面13a、及び、第2側面13bの各面の一部にわたって延在している。
 第1外部電極21は、素体10の第1端面11aから、第1主面12a、第2主面12b、第1側面13a、及び、第2側面13bの一部の面における、各面の一部にわたって延在していてもよい。
 第2外部電極22は、素体10の表面上で第1外部電極21と離隔された位置に設けられている。より具体的には、第2外部電極22は、素体10の第2端面11bから、第1主面12a、第2主面12b、第1側面13a、及び、第2側面13bの各面の一部にわたって延在している。
 第2外部電極22は、素体10の第2端面11bから、第1主面12a、第2主面12b、第1側面13a、及び、第2側面13bの一部の面における、各面の一部にわたって延在していてもよい。
 第1外部電極21及び第2外部電極22は、各々、単層構造であってもよいし、複層構造であってもよい。
 第1外部電極21及び第2外部電極22が、各々、単層構造である場合、各外部電極の構成材料としては、例えば、Ag、Au、Cu、Pd、Ni、Al、これらの金属の少なくとも1種を含有する合金等が挙げられる。
 第1外部電極21及び第2外部電極22が、各々、複層構造である場合、各外部電極は、素体10の表面側から順に、例えば、Agを含む下地電極層と、Niめっき層と、Snめっき層と、を有していてもよい。
 図2は、図1中の線分A1-A2に対応する部分を示す断面模式図である。
 図2に示すように、素体10は、複数の絶縁層15が長さ方向Lに積層されてなる。つまり、絶縁層15の積層方向は、長さ方向Lに沿っており、素体10の実装面である第1主面12aに平行である。なお、図2では、説明の便宜上、これらの絶縁層15の境界が示されているが、実際には境界が明瞭に現れていなくてもよい。
 素体10の内部には、コイル30が設けられている。コイル30は、複数のコイル導体31が絶縁層15とともに長さ方向Lに積層されつつ電気的に接続されてなり、例えば、ソレノイド状である。なお、図2では、コイル30の形状、コイル導体31の位置、コイル導体31の接続等が厳密に示されていない。例えば、長さ方向Lに隣り合うコイル導体31は、図2に示していないビア導体を介して互いに電気的に接続されている。
 コイル30は、コイル軸Cを有している。コイル30のコイル軸Cは、長さ方向Lに延伸し、かつ、素体10の第1端面11aと第2端面11bとの間を貫通している。つまり、コイル30のコイル軸Cの方向は、素体10の実装面である第1主面12aに平行である。また、コイル30のコイル軸Cは、長さ方向Lから見たときのコイル30の形状の重心を通る。
 図2では、絶縁層15の積層方向とコイル30のコイル軸Cの方向とは、長さ方向Lに沿って平行であるが、平行でなくてもよい。例えば、絶縁層15の積層方向が幅方向Wに沿っており、かつ、コイル30のコイル軸Cの方向が長さ方向Lに沿っていてもよい。この場合でも、絶縁層15の積層方向とコイル30のコイル軸Cの方向とは、素体10の実装面である第1主面12aに平行になる。
 コイル部品1は、第1連結導体41及び第2連結導体42を更に有していてもよい。
 第1連結導体41は、図2に示していないビア導体が絶縁層15とともに長さ方向Lに積層されつつ電気的に接続されてなる。第1連結導体41は、素体10の第1端面11aから露出している。
 第1外部電極21は、第1連結導体41を介して、コイル30に電気的に接続されている。ここで、複数のコイル導体31のうち、素体10の第1端面11aに最も近い位置には、コイル導体31aが設けられている。よって、第1外部電極21は、第1連結導体41を介して、コイル導体31aに電気的に接続されている。
 第1連結導体41は、第1外部電極21とコイル30とを接続している。第1連結導体41は、第1外部電極21とコイル30との間、ここでは、第1外部電極21とコイル導体31aとの間を直線状に接続することが好ましい。また、長さ方向Lから見たとき、第1連結導体41は、コイル導体31aと重なり、かつ、コイル軸Cよりも、素体10の実装面である第1主面12a側に位置していることが好ましい。これらにより、第1外部電極21とコイル30との電気的な接続が容易になる。
 第1連結導体41が第1外部電極21とコイル30との間を直線状に接続するとは、長さ方向Lから見たとき、第1連結導体41を構成するビア導体同士が重なっていることを示す。なお、第1連結導体41を構成するビア導体同士は、厳密に直線状に並んでいなくてもよい。
 第1連結導体41は、コイル導体31aにおける、素体10の第1主面12aに最も近い部分に接続されていることが好ましい。これにより、第1外部電極21における素体10の第1端面11a上の部分の面積を小さくできる。その結果、第1外部電極21とコイル30との間の浮遊容量が小さくなるため、コイル部品1の高周波特性が向上する。
 第1連結導体41は、1つのみ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。
 第2連結導体42は、図2に示していないビア導体が絶縁層15とともに長さ方向Lに積層されつつ電気的に接続されてなる。第2連結導体42は、素体10の第2端面11bから露出している。
 第2外部電極22は、第2連結導体42を介して、コイル30に電気的に接続されている。ここで、複数のコイル導体31のうち、素体10の第2端面11bに最も近い位置には、コイル導体31dが設けられている。よって、第2外部電極22は、第2連結導体42を介して、コイル導体31dに電気的に接続されている。
 第2連結導体42は、第2外部電極22とコイル30とを接続している。第2連結導体42は、第2外部電極22とコイル30との間、ここでは、第2外部電極22とコイル導体31dとの間を直線状に接続することが好ましい。また、長さ方向Lから見たとき、第2連結導体42は、コイル導体31dと重なり、かつ、コイル軸Cよりも、素体10の実装面である第1主面12a側に位置していることが好ましい。これらにより、第2外部電極22とコイル30との電気的な接続が容易になる。
 第2連結導体42が第2外部電極22とコイル30との間を直線状に接続するとは、長さ方向Lから見たとき、第2連結導体42を構成するビア導体同士が重なっていることを示す。なお、第2連結導体42を構成するビア導体同士は、厳密に直線状に並んでいなくてもよい。
 第2連結導体42は、コイル導体31dにおける、素体10の第1主面12aに最も近い部分に接続されていることが好ましい。これにより、第2外部電極22における素体10の第2端面11b上の部分の面積を小さくできる。その結果、第2外部電極22とコイル30との間の浮遊容量が小さくなるため、コイル部品1の高周波特性が向上する。
 第2連結導体42は、1つのみ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。
 素体10には、磁性体相と非磁性体相とが存在している。
 磁性体相は、Fe、Zn、Cu、及び、Niを含んでいる。
 磁性体相は、Fe換算で40mol%以上、49.5mol%以下のFeと、ZnO換算で5mol%以上、35mol%以下のZnと、CuO換算で4mol%以上、12mol%以下のCuと、残部であるNiと、を含むことが好ましい。
 磁性体相は、Mn、Bi、Co、Sn等を更に含んでいてもよい。
 磁性体相は、Ni-Cu-Zn系フェライト材料で構成されることが好ましい。磁性体相がNi-Cu-Zn系フェライト材料で構成されることにより、コイル部品1のインダクタンスが高まる。
 Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、40mol%以上、49.5mol%以下のFeと、5mol%以上、35mol%以下のZnOと、4mol%以上、12mol%以下のCuOと、残部であるNiOと、を含むことが好ましい。これらの酸化物は、不可避不純物を含んでいてもよい。
 Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、Mn、Bi、Co、SnO等の添加剤を更に含んでいてもよい。
 非磁性体相は、コイル部品1の直流重畳特性を向上させるのに寄与する。
 非磁性体相は、Zn及びSiを含んでいる。
 非磁性体相は、aZnO・SiO(aは、1.8以上、2.2以下)で表される酸化物で構成されることが好ましい。このような酸化物としては、例えば、ウィルマイトと呼ばれるZnSiO等が挙げられる。このような酸化物において、Znの一部は、Cuで置換されていてもよい。
 磁性体相及び非磁性体相については、以下のようにして区別される。まず、コイル部品の素体に対して、図2に示すような積層方向に沿う断面を研磨により露出させた後、走査型透過電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析(STEM-EDX)で元素マッピングを行う。そして、Fe元素が存在する領域を磁性体相、Si元素が存在する領域を非磁性体相として、両相を区別する。
 磁性体相及び非磁性体相の合計体積に対する非磁性体相の体積割合は、14体積%以上、60体積%以下である。磁性体相及び非磁性体相の合計体積に対する非磁性体相の体積割合が14体積%以上、60体積%以下であることにより、コイル部品1において、直流重畳特性が向上するとともにインダクタンスが高まる。
 磁性体相及び非磁性体相の合計体積に対する非磁性体相の体積割合が14体積%よりも小さい場合、非磁性体相の量が少なすぎるため、コイル部品1の直流重畳特性が低下する。
 一方、磁性体相及び非磁性体相の合計体積に対する非磁性体相の体積割合が60体積%よりも大きい場合、非磁性体相の量が多すぎるため、コイル部品1において、比透磁率が低下することでインダクタンスが低下する。
 コイル部品1の直流重畳特性を向上させる観点から、磁性体相及び非磁性体相の合計体積に対する非磁性体相の体積割合は、好ましくは26.5体積%以上、60体積%以下である。
 磁性体相及び非磁性体相の合計体積に対する非磁性体相の体積割合は、以下のようにして定められる。まず、コイル部品の素体に対して、積層方向に対して直交方向における中央部まで研磨を施すことにより、図2に示すような積層方向に沿う断面を露出させる。次に、露出した断面の中央付近において50μm角の領域を3箇所抽出した後、走査型透過電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析で元素マッピングを行うことにより、上述したように磁性体相と非磁性体相とを区別する。そして、上述した3箇所の各領域について、得られた元素マッピング画像から、磁性体相及び非磁性体相の合計面積に対する非磁性体相の面積割合を、画像解析ソフトにより測定する。その後、これらの面積割合の測定値から平均値を算出し、この平均値を、磁性体相及び非磁性体相の合計体積に対する非磁性体相の体積割合とする。
 素体10には、気孔50が更に存在している。気孔50は、コイル部品1の比誘電率を低くするのに寄与する。また、素体10に気孔50が存在していることにより、コイル部品1では、直流電流を重畳しても自己共振周波数が変動しにくい。
 気孔50は、素体10において、複数存在することが好ましい。
 気孔50は、図2では素体10の内部に存在しているが、素体10の内部に加えて表面にも存在していてもよい。
 磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計体積に対する気孔の体積割合は、10体積%以上、50体積%以下である。磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計体積に対する気孔の体積割合が10体積%以上、50体積%以下であることにより、コイル部品1において、高周波特性が向上するとともにインダクタンスが高まり、更に、機械的強度が確保される。
 磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計体積に対する気孔の体積割合が10体積%よりも小さい場合、気孔の量が少なすぎるため、コイル部品1において、比誘電率が充分低くならずに高周波特性が低下する。
 磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計体積に対する気孔の体積割合が50体積%よりも大きい場合、気孔の量が多すぎるため、コイル部品1において、比透磁率が低下することでインダクタンスが低下するとともに、機械的強度も低下する。
 コイル部品1の高周波特性を向上させる観点から、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計体積に対する気孔の体積割合は、好ましくは30体積%以上、50体積%以下である。
 磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計体積に対する気孔の体積割合は、以下のようにして定められる。まず、コイル部品の素体に対して、積層方向に対して直交方向における中央部まで研磨を施すことにより、図2に示すような積層方向に沿う断面を露出させる。次に、露出した断面の中央付近において50μm角の領域を3箇所抽出した後、各領域について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて断面写真を撮影する。そして、得られた各断面写真について、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計面積に対する気孔の面積割合を、画像解析ソフトにより測定する。その後、これらの面積割合の測定値から平均値を算出し、この平均値を、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計体積に対する気孔の体積割合とする。
 以上のように、コイル部品1では、磁性体相及び非磁性体相の合計体積に対する非磁性体相の体積割合が14体積%以上、60体積%以下であり、かつ、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計体積に対する気孔の体積割合が10体積%以上、50体積%以下であるため、直流重畳特性及び高周波特性が優れたものになる。
 気孔の平均気孔径は、好ましくは1μm以上、10μm以下であり、より好ましくは3μm以上、7μm以下である。
 気孔の平均気孔径は、以下のようにして定められる。まず、コイル部品の素体に対して、積層方向に対して直交方向における中央部まで研磨を施すことにより、図2に示すような積層方向に沿う断面を露出させる。次に、露出した断面の中央付近において50μm角の領域を3箇所抽出した後、各領域について、走査型電子顕微鏡を用いて断面写真を撮影する。そして、得られた各断面写真から、各領域に存在するすべての気孔の気孔径を、画像解析ソフトにより測定する。そして、すべての気孔径の測定値から平均値を算出し、この平均値を気孔の平均気孔径とする。
 素体10は、Fe、ZnO、CuO、NiO、及び、SiOの合計を100mol%としたとき、Feを16.6mol%以上、39.9mol%以下、ZnOを27.7mol%以上、50.5mol%以下、CuOを3.1mol%以上、7.5mol%以下、NiOを8.0mol%以上、19.2mol%以下、SiOを5.7mol%以上、21.8mol%以下含むことが好ましい。
 素体の組成は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP-AES)による分析を行うことにより確認される。
 図3は、図2に示した素体の一例を示す分解斜視模式図である。図4は、図2に示した素体の一例を示す分解平面模式図である。
 図3及び図4に示すように、素体10は、絶縁層15としての、絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、絶縁層15d、及び、絶縁層15eが、積層方向、ここでは、長さ方向Lに積層されてなる。
 本明細書中、絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、絶縁層15d、及び、絶縁層15eを特に区別しない場合、単に、絶縁層15と言う。
 絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、及び、絶縁層15dの主面上には、各々、コイル導体31としての、コイル導体31a、コイル導体31b、コイル導体31c、及び、コイル導体31dが設けられている。コイル導体31a、コイル導体31b、コイル導体31c、及び、コイル導体31dは、絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、及び、絶縁層15dとともに長さ方向Lに積層されつつ、電気的に接続されている。これにより、図2に示したコイル30が構成される。
 本明細書中、コイル導体31a、コイル導体31b、コイル導体31c、及び、コイル導体31dを特に区別しない場合、単に、コイル導体31と言う。
 コイル導体31a、コイル導体31b、コイル導体31c、及び、コイル導体31dの長さは、各々、コイル30の3/4ターンの長さである。つまり、コイル30の3ターンを構成するためのコイル導体の積層数は、4である。素体10では、コイル導体31a、コイル導体31b、コイル導体31c、及び、コイル導体31dが1つの単位(3ターン分)として繰り返し積層されている。
 コイル導体31の両端には、ランド部が設けられていてもよい。より具体的には、コイル導体31a、コイル導体31b、コイル導体31c、及び、コイル導体31dの各両端には、ランド部が設けられていてもよい。
 長さ方向Lから見たとき、コイル導体31のランド部は、円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。
 絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、及び、絶縁層15dには、各々、ビア導体34a、ビア導体34b、ビア導体34c、及び、ビア導体34dが長さ方向Lに貫通するように設けられている。
 ビア導体34a、ビア導体34b、ビア導体34c、及び、ビア導体34dは、各々、コイル導体31a、コイル導体31b、コイル導体31c、及び、コイル導体31dの一端に接続されている。上述したように、コイル導体31a、コイル導体31b、コイル導体31c、及び、コイル導体31dの各両端にランド部が設けられている場合、ビア導体34a、ビア導体34b、ビア導体34c、及び、ビア導体34dは、各々、コイル導体31aのランド部、コイル導体31bのランド部、コイル導体31cのランド部、及び、コイル導体31dのランド部に接続されていることになる。
 コイル導体31a及びビア導体34a付きの絶縁層15aと、コイル導体31b及びビア導体34b付きの絶縁層15bと、コイル導体31c及びビア導体34c付きの絶縁層15cと、コイル導体31d及びビア導体34d付きの絶縁層15dとは、1つの単位(図3及び図4中の点線で囲まれた部分)として繰り返し積層されている。これにより、コイル導体31aと、コイル導体31bと、コイル導体31cと、コイル導体31dとは、ビア導体34a、ビア導体34b、ビア導体34c、及び、ビア導体34dを介して電気的に接続される。つまり、長さ方向Lに隣り合うコイル導体は、ビア導体を介して互いに電気的に接続される。
 以上により、素体10の内部に設けられたソレノイド状のコイル30が構成される。
 長さ方向Lから見たとき、コイル30は、円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。
 絶縁層15eには、ビア導体34eが長さ方向Lに貫通するように設けられている。
 絶縁層15eの主面上には、ビア導体34eに接続されたランド部が設けられていてもよい。
 ビア導体34e付きの絶縁層15eは、コイル30の一端側に位置する、コイル導体31a及びビア導体34a付きの絶縁層15aに重なるように複数積層されている。これにより、ビア導体34e同士が電気的に接続されて第1連結導体41を構成し、第1連結導体41が素体10の第1端面11aから露出する。その結果、第1外部電極21とコイル導体31aとが、第1連結導体41を介して互いに電気的に接続される。
 ビア導体34e付きの絶縁層15eは、コイル30の他端側に位置する、コイル導体31d及びビア導体34d付きの絶縁層15dに重なるように複数積層されている。これにより、ビア導体34e同士が電気的に接続されて第2連結導体42を構成し、第2連結導体42が素体10の第2端面11bから露出する。その結果、第2外部電極22とコイル導体31dとが、第2連結導体42を介して互いに電気的に接続される。
 コイル導体31a、コイル導体31b、コイル導体31c、コイル導体31d、ビア導体34a、ビア導体34b、ビア導体34c、ビア導体34d、及び、ビア導体34eの構成材料としては、例えば、Ag、Au、Cu、Pd、Ni、Al、これらの金属の少なくとも1種を含有する合金等が挙げられる。
 コイル部品1は、例えば、以下の方法で製造される。
<磁性材料作製工程>
 まず、Fe、ZnO、CuO、及び、NiOを所定の比率になるように秤量する。各酸化物には、不可避不純物が含まれていてもよい。次に、これらの秤量物を湿式で混合した後、粉砕することにより、スラリーを作製する。この際、Mn、Bi、Co、SiO、SnO等の添加剤を添加してもよい。そして、得られたスラリーを乾燥させた後、仮焼成する。仮焼成温度については、例えば、700℃以上、800℃以下とする。このようにして、粉末状の磁性材料、より具体的には、粉末状のフェライト材料を作製する。
 フェライト材料は、40mol%以上、49.5mol%以下のFeと、5mol%以上、35mol%以下のZnOと、4mol%以上、12mol%以下のCuOと、残部であるNiOと、を含むことが好ましい。
<非磁性材料作製工程>
 まず、ZnO及びSiOを所定の比率になるように秤量する。次に、これらの秤量物を湿式で混合した後、粉砕することにより、スラリーを作製する。この際、CuOを添加してもよい。そして、得られたスラリーを乾燥させた後、仮焼成する。仮焼成温度については、例えば、1000℃以上、1300℃以下とする。このようにして、粉末状の非磁性材料を作製する。
 非磁性材料は、aZnO・SiO(aは、1.8以上、2.2以下)で表される酸化物であることが好ましい。このような酸化物において、Znの一部は、Cuで置換されていてもよい。
<グリーンシート作製工程>
 まず、磁性材料、非磁性材料、及び、消失材を所定の比率になるように秤量する。次に、これらの秤量物と、ポリビニルブチラール系樹脂等の有機バインダと、エタノール、トルエン等の有機溶剤と、可塑剤と、等を混合した後、粉砕することにより、スラリーを作製する。そして、得られたスラリーをドクターブレード法等で、所定の厚みのシート状に成形した後、所定の形状に打ち抜くことにより、グリーンシートを作製する。
 消失材は、後の焼成時に消失することで気孔を形成するものである。
 消失材としては、例えば、架橋ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂が挙げられ、中でも、架橋ポリメタクリル酸メチルが好ましい。
 消失材は、球状であることが好ましく、球状の樹脂であることがより好ましい。球状の樹脂は、表面積が大きく、保形性に優れている。また、球状の樹脂は、バインダに対する接着性に優れているため、スラリー中のバインダの含有量を減らして消失材の含有量を増やすことができる。
 消失材が球状である場合、その平均粒径は、好ましくは1μm以上、10μm以下、より好ましくは3μm以上、7μm以下である。
 消失材の平均粒径が1μmよりも小さい場合、消失材がスラリー中で分散しにくく凝集しやすくなるため、後に形成される気孔の大きさがばらつきやすくなり、結果的に、コイル導体間の短絡が意図しない位置で生じるおそれがある。
 消失材の平均粒径が10μmよりも大きい場合、後に形成される気孔が大きくなりすぎるため、コイル導体間の短絡が意図しない位置で生じるおそれがある。
 グリーンシートを作製する際、磁性材料、非磁性材料、及び、消失材の配合量を調整することにより、後に形成される、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の体積を調整する。より具体的には、磁性材料、非磁性材料、及び、消失材の配合比率を調整することにより、後に形成される素体において、磁性体相及び非磁性体相の合計体積に対する非磁性体相の体積割合が、14体積%以上、60体積%以下となるようにし、更に、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計体積に対する気孔の体積割合が、10体積%以上、50体積%以下となるようにする。
<導体パターン形成工程>
 まず、グリーンシートの所定の箇所にレーザー照射を行うことにより、ビアホールを形成する。
 次に、Agペースト等の導電性ペーストを、スクリーン印刷法等により、ビアホールに充填しつつグリーンシートの表面に塗工する。これにより、グリーンシートに対して、ビア導体用導体パターンをビアホールに形成しつつ、ビア導体用導体パターンに接続されたコイル導体用導体パターンを表面上に形成する。このようにして、グリーンシートにコイル導体用導体パターン及びビア導体用導体パターンが形成されたコイルシートを作製する。コイルシートについては複数枚作製し、各コイルシートに対して、図3及び図4に示したコイル導体に相当するコイル導体用導体パターンと、図3及び図4に示したビア導体に相当するビア導体用導体パターンとを形成する。
 また、Agペースト等の導電性ペーストを、スクリーン印刷法等により、ビアホールに充填することにより、グリーンシートにビア導体用導体パターンが形成されたビアシートを、コイルシートとは別に作製する。ビアシートについても複数枚作製し、各ビアシートに対して、図3及び図4に示したビア導体に相当するビア導体用導体パターンを形成する。
<積層体ブロック作製工程>
 コイルシート及びビアシートを、図3及び図4に相当する順序で積層方向に積層した後、熱圧着することにより、積層体ブロックを作製する。
<素体・コイル作製工程>
 まず、積層体ブロックをダイサー等で所定の大きさに切断することにより、個片化されたチップを作製する。
 次に、個片化されたチップを焼成する。焼成温度については、例えば、900℃以上、920℃以下とする。また、焼成時間については、例えば、4時間以上、15時間以下とする。
 個片化されたチップを焼成することにより、コイルシート及びビアシートのグリーンシートは、絶縁層となる。その結果、複数の絶縁層が、積層方向、ここでは、長さ方向に積層されてなる素体が作製される。この際、グリーンシートに含まれる消失材は消失し、その痕跡が気孔となる。気孔の形状は、消失材の形状がほぼそのまま反映されたものとなる。また、素体には、気孔に加えて、Fe、Zn、Cu、及び、Niを含む磁性体相と、Zn及びSiを含む非磁性体相とが形成される。上述したように、グリーンシートを作製する際に、磁性材料、非磁性材料、及び、消失材の配合比率を調整しているため、素体においては、磁性体相及び非磁性体相の合計体積に対する非磁性体相の体積割合が、14体積%以上、60体積%以下となり、更に、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計体積に対する気孔の体積割合が、10体積%以上、50体積%以下となる。
 個片化されたチップを焼成することにより、コイルシートのコイル導体用導体パターン及びビア導体用導体パターンは、各々、コイル導体及びビア導体となる。その結果、複数のコイル導体が長さ方向に積層されつつ、ビア導体を介して電気的に接続されてなるコイルが作製される。
 以上により、素体と、素体の内部に設けられたコイルとが作製される。絶縁層の積層方向とコイルのコイル軸の方向とは、素体の実装面である第1主面に平行になり、ここでは、長さ方向に沿って平行になる。
 個片化されたチップを焼成することにより、ビアシートのビア導体用導体パターンは、ビア導体となる。その結果、複数のビア導体が長さ方向に積層されつつ電気的に接続されてなる、第1連結導体及び第2連結導体が作製される。第1連結導体は、素体の第1端面から露出することになる。第2連結導体は、素体の第2端面から露出することになる。
 素体に対しては、例えば、バレル研磨を施すことにより、角部及び稜線部に丸みを付けてもよい。
<外部電極形成工程>
 まず、Ag及びガラスフリットを含む導電性ペーストを、素体の第1端面及び第2端面に塗工する。次に、得られた各塗膜を焼き付けることにより、素体の表面上に下地電極層を形成する。より具体的には、素体の第1端面から、第1主面、第2主面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延在する下地電極層を形成する。また、素体の第2端面から、第1主面、第2主面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延在する下地電極層を形成する。各塗膜の焼き付け温度については、例えば、800℃以上、820℃以下とする。
 その後、電解めっき等により、各下地電極層の表面上に、Niめっき層とSnめっき層とを順に形成する。
 このようにして、第1連結導体を介してコイルに電気的に接続された第1外部電極と、第2連結導体を介してコイルに電気的に接続された第2外部電極とを形成する。
 以上により、コイル部品1が製造される。
[実施形態2]
 本発明のコイル部品において、気孔には、比誘電率が磁性体相よりも低い充填硬化物が充填されていることが好ましい。このような本発明のコイル部品の一例を、本発明の実施形態2のコイル部品として以下に説明する。本発明の実施形態2のコイル部品は、気孔に充填硬化物が充填されていること以外、本発明の実施形態1のコイル部品と同様である。
 図5は、本発明の実施形態2のコイル部品を示す断面模式図である。
 図5に示すように、コイル部品2において、気孔50には、比誘電率が磁性体相よりも低い充填硬化物60が充填されている。気孔50に充填硬化物60が充填されていても、コイル部品2の比誘電率が高まりすぎることはなく、高周波特性の低下が抑制される。
 気孔50の体積には、気孔50に充填されている充填硬化物60の体積も含める。
 気孔50が複数存在する場合、充填硬化物60は、すべての気孔50に充填されていてもよいし、一部の気孔50に充填されていてもよい。また、充填硬化物60は、1つの気孔50に対して、全体に充填されていてもよいし、一部に充填されていてもよい。
 充填硬化物60は、樹脂の硬化物であることが好ましい。気孔50に、充填硬化物60としての樹脂の硬化物が充填されていることにより、コイル部品2では、直流電流を重畳しても、自己共振周波数が変動しにくいのはもちろんのこと、インピーダンスの低下も抑制される。
 充填硬化物60を構成する樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂等が挙げられる。
 エポキシ樹脂としては、例えば、シクロアルケンオキサイド型脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。
 シクロアルケンオキサイド型脂環式エポキシ樹脂としては、例えば、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビシクロヘキシル-3,3’-ジエポキシド、3,4:7,8-ジエポキシビシクロ[4.3.0]ノナン、4,5:10,11-ジエポキシテトラシクロ[6.5.1.02,7.06,13]テトラデカン、4,5:10,11-ジエポキシペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン等が挙げられる。
 充填硬化物60を構成する樹脂としては、上述したエポキシ樹脂のうち、1種のみが用いられてもよいし、2種以上が用いられてもよい。
 上述したエポキシ樹脂等の樹脂には、硬化剤、硬化促進剤、酸化防止剤、重合開始剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、消泡剤、粘度調整剤等の添加剤が添加されていてもよい。
 充填硬化物60としては、上述した樹脂の硬化物以外に、ガラス等も挙げられる。
 コイル部品2は、素体・コイル作製工程と外部電極形成工程との間、又は、外部電極形成工程の後で、以下に例示するような充填硬化物形成工程を行うこと以外、コイル部品1と同様に製造される。
<充填硬化物形成工程>
 まず、上述したエポキシ樹脂等の樹脂に、素体を所定の時間浸漬することにより、素体の気孔に樹脂を充填する。
 樹脂には、硬化剤、硬化促進剤、酸化防止剤、重合開始剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、消泡剤、粘度調整剤等の添加剤を添加してもよい。
 素体を樹脂に浸漬する際、減圧下又は真空下で行うことが好ましい。これにより、樹脂が素体の気孔に充填されやすくなる。また、樹脂への素体の浸漬時間を調整することにより、気孔に充填される樹脂の体積を調整でき、結果的に、後に形成される充填硬化物の体積を調整できる。
 次に、素体に対して熱処理を行うことにより、気孔に充填された樹脂を硬化させる。その結果、気孔に充填された樹脂の硬化物が、充填硬化物として形成される。素体の熱処理温度については、例えば、190℃以上、250℃以下とする。また、素体の熱処理時間については、例えば、0.5時間以上、24時間以下とする。
[実施形態3]
 本発明のコイル部品において、好ましくは、第1外部電極は、実装面上に設けられた第1電極部分を有し、第2外部電極は、実装面上に設けられた第2電極部分を有し、素体は、実装面に対して平行方向及び垂直方向に延び、かつ、第1電極部分と第2電極部分との対向方向に並んだ、第1部分、第2部分、及び、第3部分を有し、第1部分は、実装面側から見たときに、第1電極部分に重なり、かつ、第2電極部分に重ならず、第2部分は、実装面側から見たときに、第2電極部分に重なり、かつ、第1電極部分に重ならず、第3部分は、実装面側から見たときに、第1部分と第2部分との間に位置し、かつ、第1電極部分及び第2電極部分に重ならず、第1部分の気孔率及び第2部分の気孔率は、各々、第3部分の気孔率よりも低い。このような本発明のコイル部品の一例を、本発明の実施形態3のコイル部品として以下に説明する。本発明の実施形態3のコイル部品は、気孔の配置態様が異なること以外、本発明の実施形態1のコイル部品と同様である。
 図6は、本発明の実施形態3のコイル部品を示す斜視模式図である。図7は、図6中の線分B1-B2に対応する部分を示す断面模式図である。
 図6及び図7に示すように、コイル部品3は、コイル部品1と同様な位置に設けられた第1外部電極21及び第2外部電極22を有している。
 第1外部電極21は、素体10の実装面である第1主面12a上に設けられた第1電極部分21aを有している。
 第2外部電極22は、素体10の実装面である第1主面12a上に設けられた第2電極部分22aを有している。
 素体10は、第1部分10a、第2部分10b、及び、第3部分10cを有している。
 第1部分10a、第2部分10b、及び、第3部分10cは、素体10の実装面である第1主面12aに対して平行方向、ここでは、長さ方向L及び幅方向Wに延びている。また、第1部分10a、第2部分10b、及び、第3部分10cは、素体10の実装面である第1主面12aに対して垂直方向、ここでは、高さ方向Tにも延びている。
 第1部分10a、第2部分10b、及び、第3部分10cは、第1電極部分21aと第2電極部分22aとの対向方向、ここでは、長さ方向Lに並んでいる。より具体的には、長さ方向Lにおいて、第1部分10a、第3部分10c、及び、第2部分10bが順に並んでいる。
 第1部分10aは、素体10の実装面である第1主面12a側から見たときに、第1電極部分21aに重なり、かつ、第2電極部分22aに重なっていない。
 第2部分10bは、素体10の実装面である第1主面12a側から見たときに、第2電極部分22aに重なり、かつ、第1電極部分21aに重なっていない。
 第3部分10cは、素体10の実装面である第1主面12a側から見たときに、第1部分10aと第2部分10bとの間に位置し、かつ、第1電極部分21a及び第2電極部分22aに重なっていない。
 コイル部品に対しては、基板に実装された状態で取り扱われる際に、曲げ力が加わることがある。このように、基板に実装されたコイル部品に対して曲げ力が加わると、素体に対して、第1外部電極の近傍と第2外部電極の近傍とに負荷がかかりやすくなる。例えば、基板に実装されたコイル部品3に対して曲げ力が加わると、素体10に対して、第1外部電極21の近傍と第2外部電極22の近傍とに、より具体的には、第1部分10aと第2部分10bとに負荷がかかりやすくなる。これに対して、コイル部品3では、第1部分10aの気孔率及び第2部分10bの気孔率が、各々、第3部分10cの気孔率よりも低くなっている。これにより、コイル部品3では、第1部分10aの機械的強度及び第2部分10bの機械的強度が、各々、第3部分10cの機械的強度よりも高くなるため、第1部分10a及び第2部分10bに負荷がかかりやすくなっても、素体10が破壊しにくくなる。
 第1部分10aの気孔率と第3部分10cの気孔率との差、及び、第2部分10bの気孔率と第3部分10cの気孔率との差は、各々、好ましくは10体積%以上、50体積%以下である。
 第1部分10aの気孔率及び第2部分10bの気孔率は、第3部分10cの気孔率よりも低ければ、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
 本明細書中、気孔率は、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計体積に対する気孔の体積割合を意味する。例えば、第1部分10aの気孔率は、第1部分10aにおける、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔50の合計体積に対する気孔50の体積割合を意味する。第2部分10bの気孔率、及び、第3部分10cの気孔率についても同様である。
 第1部分の気孔率、第2部分の気孔率、及び、第3部分の気孔率は、各々、測定対象となる断面を、第1部分の断面、第2部分の断面、及び、第3部分の断面とすること以外、上述した磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計体積に対する気孔の体積割合を定める方法と同様にして定められる。
 コイル部品3は、グリーンシート作製工程、導体パターン形成工程、及び、外部電極形成工程で以下のようにすること以外、コイル部品1と同様に製造される。
 ・グリーンシート作製工程で、消失材を配合しないこと以外、上述したグリーンシートと同様にして、別種類のグリーンシートも作製する。
 ・導体パターン形成工程で、別種類のグリーンシートを用いてビアシートを作製する。
 ・外部電極形成工程で、第1外部電極及び第2外部電極の各々を、素体の実装面である第1主面上の電極部分が、第1主面側から見たときに、ビアシートのグリーンシートに由来する絶縁層に重なるように形成する。
[実施形態4]
 本発明の実施形態3のコイル部品においても、本発明の実施形態2のコイル部品と同様に、気孔には、比誘電率が磁性体相よりも低い充填硬化物が充填されていることが好ましい。このような本発明のコイル部品の一例を、本発明の実施形態4のコイル部品として以下に説明する。本発明の実施形態4のコイル部品は、気孔に充填硬化物が充填されていること以外、本発明の実施形態3のコイル部品と同様である。また、本発明の実施形態4のコイル部品における充填硬化物の特徴については、本発明の実施形態2のコイル部品における充填硬化物の特徴と同様である。
 図8は、本発明の実施形態4のコイル部品を示す断面模式図である。
 図8に示すように、コイル部品4において、気孔50には、比誘電率が磁性体相よりも低い充填硬化物60が充填されている。気孔50に充填硬化物60が充填されていても、コイル部品4の比誘電率が高まることはなく、高周波特性の低下が抑制される。
 コイル部品4は、素体・コイル作製工程と外部電極形成工程との間、又は、外部電極形成工程の後で、コイル部品2の製造時と同様に充填硬化物形成工程を行うこと以外、コイル部品3と同様に製造される。
 以下、本発明のコイル部品用の素体をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1~7、及び、比較例1~4]
 実施例1~7、及び、比較例1~4のコイル部品用の素体を、以下の方法で製造した。
<磁性材料作製工程>
 まず、Feが48.2mol%、ZnOが19.7mol%、CuOが9.0mol%、NiOが23.1mol%の比率になるように、主成分を秤量した。また、添加剤としてのBiを、主成分100重量部に対して0.8重量部になるように秤量した。次に、これらの秤量物と、純水と、分散剤とを、PSZメディアとともにボールミルに入れて混合した後、粉砕することにより、スラリーを作製した。そして、得られたスラリーを乾燥させた後、800℃で2時間仮焼成した。このようにして、粉末状の磁性材料、より具体的には、粉末状のフェライト材料を作製した。
<非磁性材料作製工程>
 まず、ZnO及びSiOがmol比で2:1になるように、各酸化物を秤量した。次に、これらの秤量物と、純水と、分散剤とを、PSZメディアとともにボールミルに入れて混合した後、粉砕することにより、スラリーを作製した。そして、得られたスラリーを乾燥させた後、1100℃で2時間仮焼成した。このようにして、粉末状の非磁性材料を作製した。
<グリーンシート作製工程>
 まず、後に形成される、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の体積割合が、後に示す表1の通りになるように、磁性材料、非磁性材料、及び、消失材を秤量した。消失材としては、架橋ポリメタクリル酸メチル製で、平均粒径が5μmの球状の樹脂ボールを用いた。次に、これらの秤量物と、有機バインダとしてのポリビニルブチラール系樹脂と、有機溶剤としてのエタノール及びトルエンとを、PSZメディアとともにボールミルに入れて混合した後、粉砕することにより、スラリーを作製した。そして、得られたスラリーをドクターブレード法で、所定の厚みのシート状に成形した後、所定の形状に打ち抜くことにより、グリーンシートを作製した。
<積層体ブロック作製工程>
 後に形成される素体の厚みが0.5mm程度になるように、グリーンシートを積層方向に所定の枚数積層して熱圧着した後、積層方向に直径10mmの円板状に打ち抜くことにより、円板状の積層体ブロックを作製した。また、積層方向に外径20mmで内径12mmの環状にも打ち抜くことにより、円板状の積層体ブロックとは別に、環状の積層体ブロックも作製した。
<素体作製工程>
 円板状の積層体ブロック及び環状の積層体ブロックを、910℃で5時間焼成した。このように各積層体ブロックを焼成することにより、グリーンシートが絶縁層となるとともに、磁性材料、非磁性材料、及び、消失材が、各々、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔となった。
 以上により、各例で円板状及び環状の2種類の形状を有する、実施例1~7、及び、比較例1~4のコイル部品用の素体を製造した。
[評価]
 実施例1~7、及び、比較例1~4のコイル部品用の素体について、以下の評価を行った。結果を、表1、表2、及び、表3に示す。
<磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の体積割合>
 まず、円板状の素体の周囲を樹脂で封止した後、積層方向に対して直交方向における素体の中央部まで研磨を施すことにより、積層方向に沿う断面を露出させた。そして、露出した断面の中央付近において50μm角の領域を3箇所抽出した後、日立ハイテク社製の走査型透過電子顕微鏡「HD-2300A」を用いたエネルギー分散型X線分析で元素マッピングを行った。その結果、Fe元素が存在する領域とSi元素が存在する領域とは、互いに重なることなく異なる位置に存在することを確認した。このようにして、Fe元素が存在する領域を磁性体相、Si元素が存在する領域を非磁性体相として、両相を区別した。
 次に、上述した3箇所の各領域について、得られた元素マッピング画像から、磁性体相及び非磁性体相の合計面積に対する非磁性体相の面積割合を、画像解析ソフトにより測定した。そして、これらの面積割合の測定値から平均値を算出し、この平均値を、磁性体相及び非磁性体相の合計面積に対する非磁性体相の面積割合とした。このようにして得られた非磁性体相の面積割合は、素体を作製する過程で秤量した磁性材料及び非磁性材料の合計体積に対する非磁性材料の体積割合と略一致したことから、この非磁性体相の面積割合を、磁性体相及び非磁性体相の合計体積に対する非磁性体相の体積割合とした。なお、表1では、磁性体相及び非磁性体相の合計体積に対する磁性体相の体積割合を、100-「非磁性体相の体積割合」として示した。
 また、上述した3箇所の各領域について、走査型電子顕微鏡を用いて断面写真を撮影した。そして、得られた各断面写真について、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計面積に対する気孔の面積割合を、画像解析ソフトにより測定した。その後、これらの面積割合の測定値から平均値を算出し、この平均値を、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計面積に対する気孔の面積割合とした。このようにして得られた気孔の面積割合は、素体を作製する過程で秤量した磁性材料、非磁性材料、及び、消失材の合計体積に対する消失材の体積割合と略一致したことから、この気孔の面積割合を、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計体積に対する気孔の体積割合とした。
<気孔の平均気孔径>
 上述した3箇所の各領域について走査型電子顕微鏡で撮影された断面写真から、各領域に存在するすべての気孔の気孔径を、画像解析ソフトにより測定した。そして、すべての気孔径の測定値から平均値を算出し、この平均値を気孔の平均気孔径とした。
<組成>
 円板状の素体について、誘導結合プラズマ発光分光法による分析を行うことにより、組成を確認した。なお、表2では、Fe、ZnO、CuO、NiO、及び、SiOの合計を100mol%としたときの各成分の組成を示した。
<比誘電率>
 円板状の素体の両主面上にIn-Ga合金からなる電極を形成した後、周波数1MHz、電圧1Vrmsの条件下で静電容量を測定した。そして、静電容量の測定値を基に、円板状の素体の直径及び厚みから比誘電率を算出した。
<初透磁率>
 環状の素体を、アジレント・テクノロジー社製の透磁率測定治具「16454A-s」に収容した後、アジレント・テクノロジー社製のインピーダンスアナライザ「E4991A」を用いて、周波数1MHzでの初透磁率を測定した。なお、表3では、初透磁率の測定値を比透磁率の形式で示した。
<直流重畳特性1>
 環状の素体に、磁界が4000A/mとなるように電流を流した状態で、透磁率を測定した。そして、上述した初透磁率に対する透磁率の変化率(単位:%)を、100×(「初透磁率」-「透磁率」)/「初透磁率」で算出することにより、直流重畳特性を評価した。評価基準については、以下の通りとした。
 ○(優):透磁率の変化率が30%以下であった。
 ×(不良):透磁率の変化率が30%よりも高かった。
<直流重畳特性2>
 環状の素体に、磁界が6000A/mとなるように電流を流した状態で、透磁率を測定した。そして、上述した初透磁率に対する透磁率の変化率(単位:%)を、100×(「初透磁率」-「透磁率」)/「初透磁率」で算出することにより、直流重畳特性を評価した。評価基準については、以下の通りとした。
 ○(優):透磁率の変化率が30%以下であった。
 △(良):透磁率の変化率が30%よりも高く、50%以下であった。
 ×(不良):透磁率の変化率が50%よりも高かった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表1に示すように、実施例1~7のコイル部品用の素体では、磁性体相及び非磁性体相の合計体積に対する非磁性体相の体積割合が14体積%以上、60体積%以下であり、かつ、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計体積に対する気孔の体積割合が10体積%以上、50体積%以下であった。そのため、表3に示すように、実施例1~7のコイル部品用の素体では、比誘電率が低く、直流重畳特性1及び直流重畳特性2が優れていた。よって、実施例1~7のコイル部品用の素体を有するコイル部品では、直流重畳特性及び高周波特性が優れたものになると考えられる。
 表1及び表3に示すように、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計体積に対する気孔の体積割合がともに同じである、実施例1のコイル部品用の素体と実施例2のコイル部品用の素体とを比較すると、磁性体相及び非磁性体相の合計体積に対する非磁性体相の体積割合が14体積%から26.5体積%に増えることで、直流重畳特性2が向上することが分かった。よって、直流重畳特性を向上させる観点からは、磁性体相及び非磁性体相の合計体積に対する非磁性体相の体積割合が、好ましくは26.5体積%以上、60体積%以下であることが分かった。
 表1及び表3に示すように、磁性体相及び非磁性体相の合計体積に対する非磁性体相の体積割合がともに同じである、実施例6のコイル部品用の素体と実施例3のコイル部品用の素体とを比較すると、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計体積に対する気孔の体積割合が10体積%から30体積%に増えることで、比誘電率が低下することが分かった。よって、比誘電率を低くする観点からは、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計体積に対する気孔の体積割合が、好ましくは30体積%以上、50体積%以下であることが分かった。
 表2に示すように、実施例1~7のコイル部品用の素体は、Fe、ZnO、CuO、NiO、及び、SiOの合計を100mol%としたとき、Feを16.6mol%以上、39.9mol%以下、ZnOを27.7mol%以上、50.5mol%以下、CuOを3.1mol%以上、7.5mol%以下、NiOを8.0mol%以上、19.2mol%以下、SiOを5.7mol%以上、21.8mol%以下含んでおり、素体の組成がこのような範囲であることが好ましいことが分かった。
 表1に示すように、比較例1のコイル部品用の素体では、磁性体相及び非磁性体相の合計体積に対する非磁性体相の体積割合が14体積%よりも小さかった。そのため、表3に示すように、比較例1のコイル部品用の素体では、直流重畳特性1及び直流重畳特性2が、実施例1~7のコイル部品用の素体よりも劣っていた。
 表1に示すように、比較例2のコイル部品用の素体では、磁性体相及び非磁性体相の合計体積に対する非磁性体相の体積割合が60体積%よりも大きかった。そのため、表3に示すように、比較例2のコイル部品用の素体では、比透磁率が、実施例1~7のコイル部品用の素体よりも低かった。
 表1に示すように、比較例3のコイル部品用の素体では、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計体積に対する気孔の体積割合が10体積%よりも小さかった。そのため、表3に示すように、比較例3のコイル部品用の素体では、比誘電率が、実施例1~7のコイル部品用の素体よりも高かった。
 表1に示すように、比較例4のコイル部品用の素体では、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔の合計体積に対する気孔の体積割合が50体積%よりも大きかった。そのため、表3に示すように、比較例4のコイル部品用の素体では、比透磁率が、実施例1~7のコイル部品用の素体よりも低かった。また、比較例4のコイル部品用の素体では、機械的強度も実施例1~7のコイル部品用の素体よりも低かった。
 以下、本発明のコイル部品をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[実施例8]
 実施例8のコイル部品を、以下の方法で製造した。
 磁性材料作製工程、非磁性材料作製工程、及び、グリーンシート作製工程については、実施例3のコイル部品用の素体の製造時と同様に行った。なお、グリーンシート作製工程では、スラリーをドクターブレード法で、厚みが20μm以上、30μm以下のシート状に成形した後、矩形状に打ち抜くことにより、グリーンシートを作製した。
<導体パターン形成工程>
 まず、グリーンシートの所定の箇所にレーザー照射を行うことにより、ビアホールを形成した。
 次に、Agペーストを、スクリーン印刷法により、ビアホールに充填しつつグリーンシートの表面に塗工した。これにより、グリーンシートに対して、ビア導体用導体パターンをビアホールに形成しつつ、ビア導体用導体パターンに接続されたコイル導体用導体パターンを表面上に形成した。このようにして、グリーンシートにコイル導体用導体パターン及びビア導体用導体パターンが形成されたコイルシートを作製した。
 また、Agペーストを、スクリーン印刷法により、ビアホールに充填することにより、グリーンシートにビア導体用導体パターンが形成されたビアシートを、コイルシートとは別に作製した。
<積層体ブロック作製工程>
 コイルシート及びビアシートを、所定の順序で積層方向に積層した後、熱圧着することにより、積層体ブロックを作製した。
<素体・コイル作製工程>
 まず、積層体ブロックをダイサーで所定の大きさに切断することにより、個片化されたチップを作製した。
 次に、個片化されたチップを、900℃以上、920℃以下で4時間以上、15時間以下焼成した。
 個片化されたチップを焼成することにより、グリーンシートが絶縁層となるとともに、磁性材料、非磁性材料、及び、消失材が、各々、磁性体相、非磁性体相、及び、気孔となった。このようにして、複数の絶縁層が、積層方向、ここでは、長さ方向に積層されてなる素体が作製された。
 個片化されたチップを焼成することにより、コイルシートのコイル導体用導体パターン及びビア導体用導体パターンは、各々、コイル導体及びビア導体となった。その結果、複数のコイル導体が長さ方向に積層されつつ、ビア導体を介して電気的に接続されてなるコイルが作製された。
 以上により、素体と、素体の内部に設けられたコイルとが作製された。絶縁層の積層方向とコイルのコイル軸の方向とは、素体の実装面である第1主面に平行になり、ここでは、長さ方向に沿って平行になった。
 個片化されたチップを焼成することにより、ビアシートのビア導体用導体パターンは、ビア導体となった。その結果、複数のビア導体が長さ方向に積層されつつ電気的に接続されてなる、第1連結導体及び第2連結導体が作製された。第1連結導体は、素体の第1端面から露出した。第2連結導体は、素体の第2端面から露出した。
 そして、素体をメディアとともに回転バレル機に入れて、素体にバレル研磨を施すことにより、角部及び稜線部に丸みを付けた。
<外部電極形成工程>
 まず、Ag及びガラスフリットを含む導電性ペーストを、素体の第1端面及び第2端面に塗工した。次に、得られた各塗膜を、800℃以上、820℃以下で焼き付けることにより、素体の表面上に下地電極層を形成した。より具体的には、素体の第1端面から、第1主面、第2主面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延在する下地電極層を形成した。また、素体の第2端面から、第1主面、第2主面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延在する下地電極層を形成した。下地電極層の厚みは、5μmであった。
 その後、電解めっきにより、各下地電極層の表面上に、Niめっき層とSnめっき層とを順に形成した。Niめっき層とSnめっき層の厚みは、各々、3μmであった。
 このようにして、第1連結導体を介してコイルに電気的に接続された第1外部電極と、第2連結導体を介してコイルに電気的に接続された第2外部電極とを形成した。
 以上により、実施例8のコイル部品を製造した。実施例8のコイル部品は、本発明の実施形態1のコイル部品に相当し、図1及び図2に示すような構成を有していた。実施例8のコイル部品は、長さ方向における長さが1.00mm、高さ方向における長さが0.50mm、幅方向における長さが0.50mmであった。
[実施例9]
 実施例9のコイル部品を、グリーンシート作製工程、導体パターン形成工程、及び、外部電極形成工程で以下のようにすること以外、実施例8のコイル部品と同様に製造した。実施例9のコイル部品は、本発明の実施形態3のコイル部品に相当し、図6及び図7に示すような構成を有していた。
 ・グリーンシート作製工程で、消失材を配合せず、磁性材料及び非磁性材料を体積比率が62:38になるように配合したこと以外、上述したグリーンシートと同様にして、別種類のグリーンシートも作製した。
 ・導体パターン形成工程で、別種類のグリーンシートを用いてビアシートを作製した。
 ・外部電極形成工程で、第1外部電極及び第2外部電極の各々を、素体の実装面である第1主面上の電極部分が、第1主面側から見たときに、ビアシートのグリーンシートに由来する絶縁層に重なるように形成した。
[評価]
 実施例8及び実施例9のコイル部品について、直流重畳特性及び高周波特性(高周波領域におけるインピーダンス)を評価したところ、各例のコイル部品で同等の特性を有することが確認された。
 また、実施例8及び実施例9のコイル部品について、JIS C60068-2-21:2009に準拠した「試験Ue1:耐プリント板曲げ性試験」を行ったところ、実施例9のコイル部品において、実施例8のコイル部品に対して、素体が破壊したときの曲げ深さが約10%大きくなることが確認された。つまり、実施例9のコイル部品の機械的強度は、実施例8のコイル部品の機械的強度よりも高いことが確認された。
1、2、3、4 コイル部品
10 素体
10a 第1部分
10b 第2部分
10c 第3部分
11a 第1端面
11b 第2端面
12a 第1主面
12b 第2主面
13a 第1側面
13b 第2側面
15、15a、15b、15c、15d、15e 絶縁層
21 第1外部電極
21a 第1電極部分
22 第2外部電極
22a 第2電極部分
30 コイル
31、31a、31b、31c、31d コイル導体
34a、34b、34c、34d、34e ビア導体
41 第1連結導体
42 第2連結導体
50 気孔
60 充填硬化物
C コイル軸
L 長さ方向
T 高さ方向
W 幅方向

Claims (8)

  1.  素体と、
     前記素体の内部に設けられたコイルと、
     前記素体の表面上に設けられ、かつ、前記コイルに電気的に接続された第1外部電極と、
     前記素体の表面上で前記第1外部電極と離隔された位置に設けられ、かつ、前記コイルに電気的に接続された第2外部電極と、を備え、
     前記コイルのコイル軸の方向は、前記素体の実装面に平行であり、
     前記素体には、Fe、Zn、Cu、及び、Niを含む磁性体相と、Zn及びSiを含む非磁性体相と、気孔と、が存在し、
     前記磁性体相及び前記非磁性体相の合計体積に対する前記非磁性体相の体積割合は、14体積%以上、60体積%以下であり、
     前記磁性体相、前記非磁性体相、及び、前記気孔の合計体積に対する前記気孔の体積割合は、10体積%以上、50体積%以下である、ことを特徴とするコイル部品。
  2.  前記気孔には、比誘電率が前記磁性体相よりも低い充填硬化物が充填されている、請求項1に記載のコイル部品。
  3.  前記充填硬化物は、樹脂の硬化物である、請求項2に記載のコイル部品。
  4.  前記磁性体相及び前記非磁性体相の合計体積に対する前記非磁性体相の体積割合は、26.5体積%以上、60体積%以下である、請求項1~3のいずれかに記載のコイル部品。
  5.  前記磁性体相、前記非磁性体相、及び、前記気孔の合計体積に対する前記気孔の体積割合は、30体積%以上、50体積%以下である、請求項1~4のいずれかに記載のコイル部品。
  6.  前記気孔の平均気孔径は、1μm以上、10μm以下である、請求項1~5のいずれかに記載のコイル部品。
  7.  前記第1外部電極は、前記実装面上に設けられた第1電極部分を有し、
     前記第2外部電極は、前記実装面上に設けられた第2電極部分を有し、
     前記素体は、前記実装面に対して平行方向及び垂直方向に延び、かつ、前記第1電極部分と前記第2電極部分との対向方向に並んだ、第1部分、第2部分、及び、第3部分を有し、
     前記第1部分は、前記実装面側から見たときに、前記第1電極部分に重なり、かつ、前記第2電極部分に重ならず、
     前記第2部分は、前記実装面側から見たときに、前記第2電極部分に重なり、かつ、前記第1電極部分に重ならず、
     前記第3部分は、前記実装面側から見たときに、前記第1部分と前記第2部分との間に位置し、かつ、前記第1電極部分及び前記第2電極部分に重ならず、
     前記第1部分の気孔率及び前記第2部分の気孔率は、各々、前記第3部分の気孔率よりも低い、請求項1~6のいずれかに記載のコイル部品。
  8.  前記素体は、Fe、ZnO、CuO、NiO、及び、SiOの合計を100mol%としたとき、Feを16.6mol%以上、39.9mol%以下、ZnOを27.7mol%以上、50.5mol%以下、CuOを3.1mol%以上、7.5mol%以下、NiOを8.0mol%以上、19.2mol%以下、SiOを5.7mol%以上、21.8mol%以下含む、請求項1~7のいずれかに記載のコイル部品。
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