WO2022004241A1

WO2022004241A1 - 受信装置、信号処理システム、及び人解析システム

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Publication number: WO2022004241A1
Application number: PCT/JP2021/020773
Authority: WO
Inventors: 博文中島
Original assignee: パナソニックＩｐマネジメント株式会社
Priority date: 2020-06-29
Filing date: 2021-06-01
Publication date: 2022-01-06

Abstract

本発明の課題は、トイレ室内における人の状態を解析する人解析システムを、トイレ室の検出機器の数を抑えて容易に実現することである。受信装置（１）は、トイレ室（９）内に設置される受信装置である。受信装置（１）は、トイレ室（９）内の人の動きに応じて生成され、トイレ室（９）内を伝搬してトイレ室（９）内の被制御機器である便器装置（２）及び照明装置（５）に送信されている無線信号を、人の状態を解析するための監視情報を含む監視信号として傍受する受信部（１ａ）を備える。

Description

受信装置、信号処理システム、及び人解析システム

　本開示は、受信装置、信号処理システム、及び人解析システムに関する。

　特許文献１の認知機能判定システムは、検出部、解析部、及び判定部を備える。

　検出部は、使用者の動作に係る情報である動作情報、及び使用者の操作に係る情報である操作情報を検出する。動作情報は、使用者による便器への着座等のトイレ室内における使用者の動作に係る情報である。操作情報は、局部洗浄装置のリモコン、洗浄レバー等のトイレ室内に設けられた各種機器を操作するための使用者の操作に係る情報である。

　検出部は、例えば人体検知センサ、着座検知センサ、入退室検知センサ、あるいは操作部などを備える。人体検知センサは、トイレ室内の使用者の人体を検知する。着座検知センサは、使用者による便器への着座又は離座を検知する。入退室検知センサは、使用者によるトイレ室への入退室を検知する。操作部には、例えば、汚物流しボタン、局部洗浄ボタン等の複数のボタンが設けられ、有線又は無線を介して、操作情報を検出する。

　解析部は、動作情報及び操作情報に基づいて、トイレ室内で使用者がとった行動を解析する。判定部は、解析部による解析結果に基づいて、使用者の認知機能を判定する。

特開２０２０－２２７４４号公報

　特許文献１の認知機能判定システムのような人解析システムは、トイレ室内における人の動きに基づいて、人の状態を解析する。すなわち、人解析システムは、トイレ室内における人の動きを検出するために、トイレ室内における人の動きを検出する検出機器を必要とする。

　そこで、人解析システムを実現するために、人解析システムの専用の検出機器を、便器装置を制御するための検出機器とは別にトイレ室に設置することが考えられる。しかしながら、トイレ室には、人解析システムの専用の検出機器、及び便器装置を制御するための検出機器の両方が設置されて、トイレ室の検出機器の数が多くなってしまう。

　また、既設のトイレ室を利用して人解析システムを実現することは困難であった。

　本開示の目的は、トイレ室内における人の状態を解析する人解析システムを、トイレ室の検出機器の数を抑えて容易に実現できる受信装置、信号処理システム、及び人解析システムを提供することである。

　本開示の一態様に係る受信装置は、トイレ室内に設置される受信装置である。前記受信装置は、前記トイレ室内の人の動きに応じて生成され、前記トイレ室内を伝搬して前記トイレ室内の被制御機器に送信されている無線信号を、前記人の状態を解析するための監視情報を含む監視信号として傍受する受信部を備える。

　本開示の一態様に係る信号処理システムは、上述の受信装置が傍受した前記監視信号に含まれる前記監視情報に基づいて、前記人の状態を解析する解析処理を行う解析部、を備える。

　本開示の一態様に係る人解析システムは、上述の受信装置と、前記監視情報に基づいて、前記人の状態を解析する解析処理を行う解析部と、を備える。

　本開示の一態様に係る人解析システムは、上述の受信装置と、前記監視情報に基づいて、前記人の状態を解析する解析処理を行う解析部と、を備え、前記受信装置は、前記被制御機器及び前記検出機器と別体に構成されている。

実施形態の受信装置が設置されるトイレ室を示す概略図である。同上の受信装置の構成を示すブロック図である。同上の人解析システムを示すブロック図である。

　本実施形態は、一般に、受信装置、信号処理システム、及び人解析システムに関する。より詳細には、本開示は、トイレ室内に設置される受信装置、並びに当該受信装置を用いる信号処理システム及び人解析システムに関する。

　なお、以下に説明する実施形態は、本開示の実施形態の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。

　また、以下の説明では、特に断りのない限り、便宜的に図１において、互いに直交する上下方向、前後方向、及び左右方向を規定する。なお、図１において、左右方向は紙面に直交する方向であり、手前側が左、向こう側が右である。

　（実施形態）
　（１）トイレ室の概略
　図１は、本開示の受信装置１が設置されるトイレ室９の概略を示す。トイレ室９を有する施設は、例えば戸建て住宅、集合住宅の各住戸、高齢者施設、デイサービス施設、医療施設、又はサービス付き高齢者向け住宅などである。

　トイレ室９は、平面視が矩形状になるように形成されている。トイレ室９の前壁９１には、トイレ室９に人Ｈ１が出入りするための出入口９２が設けられている。出入口９２には、扉９３が開閉自在に設けられている。

　トイレ室９の床面９４には、被制御機器に相当する便器装置２が設置されている。便器装置２は、ボウル形状の便器本体２１、並びに便器本体２１の上面に配置されて、便器本体２１に対して開閉自在に構成された便座２２及び便蓋２３を備える。なお、図１では、便座２２及び便蓋２３が開いており、開状態の便座２２及び便蓋２３を示す。

　便器本体２１は、略錘状の凹部を有するボウル部２１１を備える。便器本体２１は、水洗装置、局部洗浄装置、及び開閉装置を内蔵している。水洗装置は、ボウル部２１１内に水を供給する給水、ボウル部２１１内の水を排出する排水を行う。局部洗浄装置は、ボウル部２１１内に突出して人体の局部を洗浄する洗浄ノズルを有しており、洗浄ノズルから局部洗浄用の水が吐出される。開閉装置は、モータ等を用いて、便座２２及び便蓋２３の開閉制御を行う。

　また、便器本体２１は、便座２２に着座した人Ｈ１を検出する着座センサを有している。着座センサは、焦電センサ、光センサ、又は超音波センサなどである。この場合、便器本体２１の水洗装置は、着座センサの検出結果に基づいて、人Ｈ１が便座２２から立ち上がってから所定時間（例えば１０秒）経過後に、動作してもよい。また、水洗装置は、人Ｈ１が便座２２に着座している時間を計時し、計時時間に基づいて、水洗装置の動作を小便時の動作及び大便時の動作のいずれかに切り替えることができる。

　便座２２及び便蓋２３は、便器本体２１の上面側において、開閉装置によって開閉自在に構成される。便座２２は、ヒータ装置を内蔵している。ヒータ装置は、着座センサが便座２２に着座した人Ｈ１を検出すると、便座２２を温める。

　トイレ室９の右壁９５には、検出機器に相当するリモコン操作器３が設置されている。リモコン操作器３には、水洗装置、局部洗浄装置、ヒータ装置、及び開閉装置の各操作を行う操作スイッチが設けられており、操作スイッチの操作に応じた無線信号を操作信号として送信する。便器本体２１は、無線信号を受信する受信部２４を備え、受信部２４は、リモコン操作器３から送信された操作信号を受信する。便器本体２１に内蔵されているトイレコントローラは、受信部２４が受信した操作信号に応じて、水洗装置、局部洗浄装置、ヒータ装置、及び開閉装置の各動作を制御する。

　トイレ室９の天井９６には、検出機器に相当する人感センサ４が設置されている。人感センサ４は、トイレ室９内の人Ｈ１の存在を検出し、検出結果を含む無線信号を人検出信号として送信する。人感センサ４は、焦電センサ、光センサ、又は超音波センサなどである。便器本体２１の受信部２４は、人感センサ４から送信された人検出信号を受信する。便器本体２１のトイレコントローラは、受信部２４が受信した人検出信号に基づいて、トイレ室９内に人Ｈ１が存在すると判断すれば、開閉装置を動作させて、便蓋２３を開状態にする。また、トイレコントローラは、受信部２４が受信した人検出信号に基づいて、トイレ室９から人Ｈ１が退出したと判断した後、一定時間が経過すれば、開閉装置を動作させて、便蓋２３を閉状態にする。

　また、人感センサ４から送信された人検出信号に基づいて、被制御機器に相当するトイレ室９の照明装置５の動作を制御してもよい。照明装置５は、人検出信号に基づいてトイレ室９内に人Ｈ１が存在していると判断すれば、光源を点灯させて、トイレ室９内を照明する。照明装置５は、人検出信号に基づいて、トイレ室９から人Ｈ１が退出したと判断した後、一定時間が経過すれば、光源を消灯させる。なお、施設がＨＥＭＳ（Home Energy Management System）コントローラなどの統合コントローラを備えていれば、統合コントローラが、人検出信号に基づいて光源の点灯及び消灯を制御してもよい。

　本実施形態では、上述のリモコン操作器３及び人感センサ４はトイレ室９に既設の機器である。すなわち、リモコン操作器３及び人感センサ４は、トイレ室９における人Ｈ１の動きを検出する既設の検出機器に相当する。具体的に、リモコン操作器３は、便器装置２の動作を制御するために、人Ｈ１の動きとしてリモコン操作器３のボタン及びスイッチなどの操作を検出する検出機器である。人感センサ４は、便器装置２及び照明装置５の動作を制御するために、人Ｈ１の動きとしてトイレ室９の入退室を検出する検出機器である。このように、リモコン操作器３及び人感センサ４は、トイレ室９内における人Ｈ１の動きに応じた無線信号（操作信号、及び人検出信号）を、被制御機器である便器装置２及び照明装置５に送信することを目的として、トイレ室９に設置された機器である。

　なお、本実施形態では、上述の無線信号を赤外線信号とする。すなわち、リモコン操作器３が送信する操作信号、及び人感センサ４が送信する人検出信号は赤外線信号である。赤外線信号は、例えば各国の規格（日本国の一般財団法人家電製品協会（AEHA：Association for Electric Home Appliances）が定めた規格など）、又は機器のメーカなどが定めた規格に沿って生成されることが好ましい。規格は、赤外線信号の搬送波周波数、副搬送波周波数、変調方式、及び信号フォーマットなどを定めている。

　なお、無線信号は、赤外線信号に限定されず、電波信号、又は可視光信号などの他の無線信号であってもよい。無線信号が電波信号であれば、受信部１ａは、電波を受信するアンテナなどを備える。電波信号は、無線ＬＡＮ（Local Area Network）、Bluetooth（登録商標）、又はZig Bee（登録商標）などの規格に準拠していることが好ましい。

　（２）受信装置
　上述のように、トイレ室９には、便器装置２及び照明装置５の制御のために無線信号を送出するリモコン操作器３及び人感センサ４などの検出機器が予め設置されている。したがって、トイレ室９には、トイレ室９内における人Ｈ１の動きに応じた無線信号が伝搬している。そこで、本実施形態では、リモコン操作器３及び人感センサ４が既に設置されているトイレ室９に、無線信号を傍受（intercept）する受信装置１を後付けする。

　そして、受信装置１は、リモコン操作器３及び人感センサ４から便器装置２及び照明装置５に向かって送信されている無線信号を、トイレ室９内の人Ｈ１の状態を解析するための監視情報を含む監視信号として傍受する。すなわち、受信装置１は、リモコン操作器３から送信された操作信号、及び人感センサ４から送信された人検出信号を、監視信号として受信する。監視情報は、後述の信号処理システム６（図３参照）がトイレ室９を利用した人Ｈ１の状態を解析するための情報であり、トイレ室９における人Ｈ１の動作に関する情報である。本実施形態では、操作信号に含まれる監視情報は、人Ｈ１によるリモコン操作器３のボタン及びスイッチなどの操作内容である。人検出信号に含まれる監視情報は、トイレ室９における人Ｈ１の入退室の状況である。なお、受信装置１が収集した監視情報は、信号処理システム６が人Ｈ１の認知機能を解析するための情報であることが好ましい。また、受信装置１が収集した監視情報は、信号処理システム６が人Ｈ１の状態に応じたサービスを提供するための情報であってもよい。

　例えば、人Ｈ１は、便器装置２で用を足した後、リモコン操作器３の大便用洗浄ボタン又は小便用洗浄ボタンを押操作することで、便器装置２の水洗装置を動作させる。人Ｈ１が大便用洗浄ボタンを押操作した場合、監視情報は、大便用洗浄ボタンの操作の発生、及び人Ｈ１が大便用洗浄ボタンの押操作を行った時刻の情報を含む。人Ｈ１が小便用洗浄ボタンを押操作した場合、監視情報は、小便用洗浄ボタンの操作の発生、及び人Ｈ１が小便用洗浄ボタンの押操作を行った時刻の情報を含む。

　また、人Ｈ１は、リモコン操作器３の洗浄強さ設定ボタンを押操作することで、便器装置２の局部洗浄装置が吐出する水の勢い（洗浄強さ）を設定する。この場合、監視情報は、人Ｈ１が洗浄強さ設定ボタンの押操作を行った時刻、及び設定された洗浄強さの情報を含む。

　また、人Ｈ１は、リモコン操作器３の便座開ボタン又は便座閉ボタンを押操作することで、便器装置２の開閉装置を動作させる。人Ｈ１が便座開ボタンを押操作した場合、監視情報は、便座開ボタンの操作の発生、及び人Ｈ１が便座開ボタンの押操作を行った時刻の情報を含む。人Ｈ１が便座閉ボタンを押操作した場合、監視情報は、便座閉ボタンの操作の発生、及び人Ｈ１が便座閉ボタンの押操作を行った時刻の情報を含む。

　また、人Ｈ１は、リモコン操作器３の便蓋開ボタン又は便蓋閉ボタンを押操作することで、便器装置２の開閉装置を動作させる。この場合、監視情報は、人Ｈ１が便蓋開ボタン又は便蓋閉ボタンの押操作を行った時刻の情報を含む。

　また、人Ｈ１は、リモコン操作器３の温水温度設定ボタンを押操作することで、便器装置２の局部洗浄装置が吐出する水の温度を設定する。この場合、監視情報は、人Ｈ１が温水温度設定ボタンの押操作を行った時刻、及び設定温度の情報を含む。

　また、人Ｈ１は、リモコン操作器３の便座温度設定ボタンを押操作することで、便座２２のヒータ装置の動作温度を設定する。この場合、監視情報は、人Ｈ１が便座温度設定ボタンの押操作を行った時刻、及び設定温度の情報を含む。

　なお、監視情報は、上述の各情報以外であってもよい。監視情報は、トイレ室９内の人Ｈ１の動きに応じて生成され、トイレ室９内を伝搬してトイレ室９内の被制御機器（便器装置２、及び照明装置５など）に送信されている無線信号に含まれ、かつ、人の状態を解析するための情報であればよい。

　上述の受信装置１は、被制御機器である便器装置２及び照明装置５、並びに検出機器であるリモコン操作器３及び人感センサ４に含まれない。また、受信装置１は、便器装置２及び照明装置５の制御のための無線信号を受信しても、受信した無線信号に応答する動作を行わない。すなわち、受信装置１は、リモコン操作器３の操作及び人感センサ４の検出結果に応じて機器の動作を制御するために用いられるものではなく、単に便器装置２及び照明装置５の制御のための無線信号を傍受するものである。

　このような受信装置１は、トイレ室９に後付けされる装置として用いられることが想定される。したがって、受信装置１は、被制御機器である便器装置２及び照明装置５と別体に構成される。また、受信装置１は、検出機器であるリモコン操作器３及び人感センサ４とも別体に構成される。

　本実施形態の受信装置１は、トイレ室９の後壁９７に設置されている。具体的に、受信装置１は、便器本体２１の後端と後壁９７との間に位置しており、トイレ室９内で目立たないように設置されることが好ましい。

　以下、受信装置１の構成について説明する。受信装置１は、図２に示すように、受信部１ａ、及び通信部１ｂを備える。受信装置１は、コンピュータシステムを具備することが好ましく、コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。そして、メモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、受信装置１の機能の一部又は全部が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路（ＩＣ）又は大規模集積回路（ＬＳＩ）を含む１乃至複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、１つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。

　受信部１ａは、無線信号を受信する機能を有する。受信部１ａは、無線信号が赤外線信号であれば、赤外線を受光するフォトダイオードなどの赤外線検出素子を備え、受光した赤外線を、監視情報を含む電気信号に変換する。また、受信部１ａは、無線信号が電波であれば、電波を受信する受信アンテナを備え、受信した電波を、監視情報を含む電気信号に変換する。

　通信部１ｂは、受信部１ａが生成した電気信号を、監視情報を含む通知信号に変換し、通知信号を後述の信号処理システム６へ送信する。通信部１ｂは、図示しないルータなどを介して、インターネットを含む外部の広域ネットワークＮＴ１に接続されている。広域ネットワークＮＴ１には、信号処理システム６も接続されている。通信部１ｂは、広域ネットワークＮＴ１を介して信号処理システム６へ監視情報を含む通知信号を送信することができる。

　通信部１ｂと広域ネットワークＮＴ１との間の通信は、無線通信及び有線通信のいずれでもよい。無線通信は、無線ＬＡＮ、Bluetooth、又はZig Beeなどの規格に準拠していることが好ましい。有線通信は、イーサネット（Ethernet）（登録商標）などの有線ＬＡＮの規格に準拠していることが好ましい。

　そして、受信装置１と信号処理システム６とは、後述の人解析システムＡ１に含まれる。人解析システムＡ１では、トイレ室９に受信装置１を設置するだけで、便器装置２及び照明装置５の制御のために設置されているリモコン操作器３及び人感センサ４を、人解析システムＡ１の検出機器としても兼用できる。したがって、人解析システムＡ１を実現するために、人解析システムＡ１の専用の検出機器をトイレ室９に新たに設置する必要がないので、トイレ室９の検出機器の数を抑えることができる。また、既設のトイレ室９に受信装置１を設置するだけで、人解析システムＡ１を容易に実現することができる。したがって、受信装置１は、トイレ室９内における人Ｈ１の状態を解析する人解析システムＡ１を、トイレ室９の検出機器の数を抑えて容易に実現できる。また、受信装置１は、トイレ室９に既設の便器装置２及び照明装置５を人解析システムＡ１の検出機器としても兼用するので、人解析システムＡ１のコストを低減することができる。

　受信装置１は、指向性調整部１ｃを更に備えることが好ましい（図２参照）。指向性調整部１ｃは、受信部１ａの指向性を可変とする機能を有する。なお、本実施形態において指向性は、受信部１ａが無線信号を受信可能な方向、及び受信部１ａが無線信号を受信可能な指向角の少なくとも一方を指す。

　具体的に、指向性調整部１ｃは、モータなどの駆動機構を用いて受信部１ａを機械的に変位させることで、受信部１ａの指向性を可変とする。また、指向性調整部１ｃは、無線信号が赤外線又は可視光であれば、受信部１ａが有する光学レンズを機械的に変位させてもよい。また、指向性調整部１ｃは、無線信号が電波であれば、受信部１ａが有する受信アンテナを機械的に変位させてもよい。また、無線信号が電波であれば、受信部１ａが有する誘電体レンズを機械的に変位させてもよい。

　また、無線信号が電波であれば、受信部１ａが有する受信アンテナをアレイアンテナとしてもよい。この場合、指向性調整部１ｃは、受信部１ａの機能を実現するためのソフトウェアで、受信部１ａの指向性を可変とできる。

　施工業者は、実際のトイレ室９の大きさ及び形状、並びにリモコン操作器３及び人感センサ４などの検出機器の位置及び数に応じて、指向性調整部１ｃによって受信部１ａの指向性を調整する。あるいは、受信装置１は、指向性調整部１ｃを自動的に動作させることで、トイレ室９内を伝搬する無線信号をスキャンしてもよい。

　したがって、指向性調整部１ｃが、リモコン操作器３及び人感センサ４などの検出機器の位置及び数などに応じて、受信部１ａの指向性を可変とすることによって、検出機器からの無線信号をより確実に受信できる。

　また、トイレ室９における人Ｈ１の監視情報を取得する行為は、人Ｈ１の許可を予め得ておく必要がある。そこで、受信装置１は、人Ｈ１の許可の有無を示す許可データをメモリに格納しておき、受信部１ａは、許可データに基づいて、無線信号の傍受の可否を判断する。すなわち、受信部１ａは、無線信号の傍受が許可されていれば、無線信号を傍受し、無線信号の傍受が許可されていなければ、無線信号を傍受しない。受信装置１のメモリに対する許可データの書き込み及び消去は、特定の作業者が専用のツールを用いることで可能であり、許可データを容易に書き換えることはできない。したがって、受信装置１は、人Ｈ１のプライバシーを尊重しながら、監視情報の収集を行うことができる。

　（３）人解析システム
　図３は、人解析システムＡ１の構成を示すブロック図である。人解析システムＡ１は、受信装置１と、信号処理システム６とを備える。人解析システムＡ１は、通知端末７を更に備えることが好ましい。

　信号処理システム６は、通信部６ａ、情報取得部６ｂ、解析部６ｃ、及び記憶部６ｄを備える。信号処理システム６は、コンピュータシステムを具備しており、コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。そして、メモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、信号処理システム６の機能の一部又は全部が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路（ＩＣ）又は大規模集積回路（ＬＳＩ）を含む１乃至複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、１つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、１つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。例えば、信号処理システム６は、クラウドコンピューティングの技術を利用して実現される。あるいは、信号処理システム６は、少なくとも１つのサーバ装置を備える。

　通信部６ａは、広域ネットワークＮＴ１を介して、広域ネットワークＮＴ１に接続している受信装置１及び通知端末７などと通信を行う。そして、通信部６ａは、監視情報を含む通知信号を受信装置１から受け取ることができる。

　ここで、操作信号及び人検出信号などの無線信号が赤外線信号であれば、赤外線信号は、例えば各国の規格（日本国の一般財団法人家電製品協会が定めた規格など）、又は機器のメーカなどが定めた規格に沿って生成されている。したがって、通知信号から監視情報を取得するためには、規格に基づいた復調処理が必要になる。そこで、記憶部６ｄは、赤外線信号の規格に関するデータを予め記憶しており、情報取得部６ｂは、記憶部６ｄを参照して、規格に基づく復調処理を通知信号に施す。すなわち、情報取得部６ｂは、赤外線信号の規格に基づいて通知信号から監視情報を取得する。

　また、記憶部６ｄが異なる複数の規格に関する各データを予め記憶していれば、情報取得部６ｂは、複数の規格のそれぞれに基づく各復調処理を通知信号に施すことができる。したがって、リモコン操作器３のメーカと人感センサ４のメーカとが異なり、赤外線信号の規格が互いに異なる場合でも、情報取得部６ｂは、リモコン操作器３による監視情報、及び人感センサ４による監視情報の両方を取得することができる。

　情報取得部６ｂが取得した監視情報は、記憶部６ｄに格納される。すなわち、記憶部６ｄは、監視情報の履歴を記憶する。

　解析部６ｃは、記憶部６ｄの監視情報に基づいて、人Ｈ１の状態を解析する解析処理を行う。具体的に、解析部６ｃは、人Ｈ１の認知機能の評価を行う。本実施形態において人の認知機能の評価とは、ＭＣＩ（Mild Cognitive Impairment：軽度認知機能障害）の程度（進行度合）の評価、及び認知機能障害の程度（進行度合）の評価である。認知機能評価の対象となる人Ｈ１は、主として高齢者を想定しているが、若年性アルツハイマー症の疑いがある人でもよい。認知機能評価の対象となる高齢者としては、福祉施設に入居している高齢者、デイサービスセンターを利用する高齢者、独居の高齢者、あるいはサービス付き高齢者向け住宅に居住する高齢者などが想定される。

　解析部６ｃの解析処理は、例えば以下のように行われる。

　解析部６ｃは、監視情報に基づいて、人Ｈ１のトイレ室９の利用パターンを導出する。そして、解析部６ｃは、導出したトイレ室９の利用パターンが、過去の利用パターンから外れるほど、認知機能が低下している可能性が高い、と評価する。

　具体的に、解析部６ｃは、監視情報に基づいて、人Ｈ１がトイレ室９を利用した時刻、頻度、及び回数などのパターンを導出する。そして、解析部６ｃは、トイレ室９の利用時刻、利用頻度、及び利用回数のパターンが、過去の利用パターンから外れるほど、認知機能が低下している可能性が高い、と評価する。

　また、解析部６ｃは、監視情報に基づいて、洗浄強さの設定、便座２２の開閉、便蓋２３の開閉、水の温度設定、及び便座２２の温度設定などのパターンを導出する。解析部６ｃは、洗浄強さの設定、便座２２の開閉、便蓋２３の開閉、水の温度設定、及び便座２２の温度設定のパターンが、過去の利用パターンから外れるほど、認知機能が低下している可能性が高い、と評価する。

　あるいは、監視情報に基づく認知機能の評価アルゴリズムの学習モデルを、ディープラーニングなどの機械学習によって予め作成しておく。そして、解析部６ｃは、全ての監視情報を学習モデルに入力し、学習モデルに認知機能の評価結果を出力させてもよい。また、解析アルゴリズムは、例えば主成分分析によるパターン認識処理、ＫＬ変換によるパターン認識処理、重回帰分析を用いた認識処理、又はニューラルネットワークによる認識処理等を用いたアルゴリズムであってもよい。

　通信部６ａは、解析部６ｃによる認知機能の評価結果を、広域ネットワークＮＴ１を介して通知端末７へ送信する。通知端末７は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、又は携帯電話などである。通知端末７は、人Ｈ１の家族、介護関係者、医療関係者などが所持しており、人Ｈ１の認知機能の解析結果を取得して、画面上に表示する。したがって、居住する人Ｈ１の家族などは、人Ｈ１の認知機能の解析結果を取得して、人Ｈ１の認知機能の状態を確認できる。なお、通知端末７は、光、音などを用いて認知機能の解析結果を示してもよい。また、通知端末７は、人解析システムＡ１の専用端末でもよい。

　（４）信号処理システムの変形例
　本変形例では、解析部６ｃは、人Ｈ１の状態として人Ｈ１の安否を解析し、当該解析の結果に基づいて、人Ｈ１の見守りサービスを提供する。解析部６ｃは、解析処理として、監視情報に基づいてトイレ室９の利用時刻、利用頻度、及び利用回数などを求め、人Ｈ１の安否（人Ｈ１の生存、病気、及び怪我など）を解析する。

　通信部６ａは、解析部６ｃによる人Ｈ１の安否の解析結果を、広域ネットワークＮＴ１を介して通知端末７へ送信する。通知端末７は、人Ｈ１の家族、介護関係者、医療関係者などが所持しており、人Ｈ１の安否の解析結果を取得して、画面上に表示する。したがって、遠隔地に居住する人Ｈ１の家族などは、人Ｈ１の見守り結果を取得して、人Ｈ１の安否を確認できる。

　（５）その他の変形例
　検出機器は、リモコン操作器３及び人感センサ４に限定されず、トイレ室９内における人Ｈ１の動きに応じた無線信号を、被制御機器（受信装置１を含まない）に送信する機器であればよい。

　被制御機器は、便器装置２及び照明装置５に限定されず、検出機器からの無線信号を受信し、受信した無線信号に応じて動作を制御される機器（受信装置１を含まない）であればよい。

　（６）まとめ
　上述の実施形態に係る第１の態様の受信装置（１）は、トイレ室（９）内に設置される受信装置である。受信装置（１）は、トイレ室（９）内の人（Ｈ１）の動きに応じて生成され、トイレ室（９）内を伝搬してトイレ室（９）内の被制御機器（２、５）に送信されている無線信号を、人（Ｈ１）の状態を解析するための監視情報を含む監視信号として傍受する受信部（１ａ）を備える。

　上述の受信装置（１）は、トイレ室（９）内における人（Ｈ１）の状態を解析する人解析システム（Ａ１）を、トイレ室（９）の検出機器（３、４）の数を抑えて容易に実現できる。

　上述の実施形態に係る第２の態様の受信装置（１）では、第１の態様において、受信部（１ａ）は、トイレ室（９）内の検出機器（３、４）が生成した無線信号を監視信号として傍受することが好ましい。

　上述の実施形態に係る第３の態様の受信装置（１）では、第２の態様において、検出機器は、人（Ｈ１）によって操作されるリモコン操作器（３）、及び人（Ｈ１）の動きを検出するセンサ（４）の少なくとも一方であることが好ましい。

　上述の実施形態に係る第４の態様の受信装置（１）は、第２又は第３の態様において、検出機器（３、４）に含まれないことが好ましい。

　上述の受信装置（１）は、検出機器（３、４）を既に設置しているトイレ室（９）に、後付けすることができる。

　上述の実施形態に係る第５の態様の受信装置（１）は、第１乃至第４の態様のいずれか１つにおいて、被制御機器（２、５）に含まれないことが好ましい。

　上述の受信装置（１）は、被制御機器（２、５）を既に設置しているトイレ室（９）に、後付けすることができる。

　上述の実施形態に係る第６の態様の受信装置（１）は、第１乃至第５の態様のいずれか１つにおいて、無線信号に応答する動作を行わないことが好ましい。

　上述の受信装置（１）は、検出機器（３、４）及び被制御機器（２、５）を既に設置しているトイレ室（９）に後付けすることができる。

　上述の実施形態に係る第７の態様の受信装置（１）は、第１乃至第６の態様のいずれか１つにおいて、受信部（１ａ）の指向性を可変とする指向性調整部（１ｃ）を更に備えることが好ましい。

　上述の受信装置（１）は、検出機器（３、４）からの無線信号をより確実に受信できる。

　上述の実施形態に係る第８の態様の受信装置（１）では、第１乃至第７の態様のいずれか１つにおいて、受信部（１ａ）は、無線信号として赤外線信号を受信することが好ましい。

　上述の受信装置（１）は、トイレ室（９）に一般に設置される検出機器（３、４）に対応できる。

　上述の実施形態に係る第９の態様の受信装置（１）では、第１乃至第８の態様のいずれか１つにおいて、監視情報は、人（Ｈ１）の状態として認知機能を解析するための情報であることが好ましい。

　上述の受信装置（１）は、人（Ｈ１）の認知機能を解析する人解析システム（Ａ１）に使用可能となる。

　上述の実施形態に係る第１０の態様の受信装置（１）では、第１乃至第９の態様のいずれか１つにおいて、受信部（１ａ）は、無線信号の傍受が許可されていれば、無線信号を傍受し、無線信号の傍受が許可されていなければ、無線信号を傍受しない。

　上述の受信装置（１）は、人（Ｈ１）のプライバシーを尊重しながら、監視情報の収集を行うことができる。

　上述の実施形態に係る第１１の態様の信号処理システム（６）は、第１乃至第１０の態様のいずれか１つの受信装置（１）が傍受した監視信号に含まれる監視情報に基づいて、人（Ｈ１）の状態を解析する解析処理を行う解析部（６ｃ）を備える。

　上述の信号処理システム（６）は、受信装置（１）が収集した監視情報に基づいて、人（Ｈ１）の状態を解析する。したがって、信号処理システム（６）は、トイレ室（９）内における人（Ｈ１）の状態を解析する人解析システム（Ａ１）を、トイレ室（９）の検出機器（３、４）の数を抑えて容易に実現できる。

　上述の実施形態に係る第１２の態様の人解析システム（Ａ１）は、第１乃至第１０の態様のいずれか１つの受信装置（１）と、監視情報に基づいて、人（Ｈ１）の状態を解析する解析処理を行う解析部（６ｃ）と、を備える。

　上述の人解析システム（Ａ１）は、受信装置（１）が収集した監視情報に基づいて、人（Ｈ１）の状態を解析する。したがって、信号処理システム（６）は、トイレ室（９）の検出機器（３、４）の数を抑えて容易に実現される。

　上述の実施形態に係る第１３の態様の人解析システム（Ａ１）では、第１２の態様において、受信装置（１）は、被制御機器（２、５）と別体に構成されていることが好ましい。

　上述の人解析システム（Ａ１）は、被制御機器（２、５）を既に設置しているトイレ室（９）に受信装置（１）を後付けすることができる。

　上述の実施形態に係る第１４の態様の人解析システム（Ａ１）は、第２又は第３の態様の受信装置（１）と、監視情報に基づいて、人（Ｈ１）の状態を解析する解析処理を行う解析部（６ｃ）と、を備える。受信装置（１）は、被制御機器（２、５）及び検出機器（３、４）と別体に構成されている。

　上述の人解析システム（Ａ１）は、検出機器（３、４）及び被制御機器（２、５）を既に設置しているトイレ室（９）に受信装置（１）を後付けすることができる。

　上述の実施形態に係る第１５の態様の人解析システム（Ａ１）は、第１２乃至第１４の態様のいずれか１つにおいて、情報取得部（６ｂ）を更に備えることが好ましい。無線信号は、所定の規格に沿って生成された信号である。受信装置（１）は、監視情報を含む通知信号を生成する。情報取得部（６ｂ）は、規格に基づいて通知信号から監視情報を取得する。

　上述の人解析システム（Ａ１）は、複数の検出機器（３、４）のメーカが互い異なり、赤外線信号の規格が互いに異なる場合でも、複数の検出機器（３、４）のそれぞれによる複数の監視情報を取得することができる。

　上述の実施形態に係る第１６の態様の人解析システム（Ａ１）は、第１２乃至第１５の態様のいずれか１つにおいて、解析部（６ｃ）は、人（Ｈ１）の状態として、人（Ｈ１）の認知機能を解析することが好ましい。

　上述の人解析システム（Ａ１）は、受信装置（１）が収集した監視情報に基づいて、人（Ｈ１）の認知機能を解析することができる。

　上述の実施形態に係る第１７の態様の人解析システム（Ａ１）は、第１２乃至第１６の態様のいずれか１つにおいて、解析部（６ｃ）は、人（Ｈ１）の状態として、人（Ｈ１）の安否を解析し、当該解析の結果に基づいて、人（Ｈ１）の見守りサービスを提供することが好ましい。

　上述の人解析システム（Ａ１）は、受信装置（１）が収集した監視情報に基づいて、見守りサービスを提供することができる。

　Ａ１　人解析システム
　Ｈ１　人
　１　受信装置
　１ａ　受信部
　１ｃ　指向性調整部
　２　便器装置（被制御機器）
　３　リモコン操作器（検出機器）
　４　人感センサ（検出機器）
　５　照明装置（被制御機器）
　６　信号処理システム
　６ｂ　情報取得部
　６ｃ　解析部
　９　トイレ室

Claims

　トイレ室内に設置される受信装置であって、
　前記トイレ室内の人の動きに応じて生成され、前記トイレ室内を伝搬して前記トイレ室内の被制御機器に送信されている無線信号を、前記人の状態を解析するための監視情報を含む監視信号として傍受する受信部を備える
　受信装置。
　前記受信部は、前記トイレ室内の検出機器が生成した前記無線信号を前記監視信号として傍受する
　請求項１の受信装置。
　前記検出機器は、前記人によって操作されるリモコン操作器、及び前記人の動きを検出するセンサの少なくとも一方である
　請求項２の受信装置。
　前記検出機器に含まれない
　請求項２又は３の受信装置。
　前記被制御機器に含まれない
　請求項１乃至４のいずれか１つの受信装置。
　前記無線信号に応答する動作を行わない
　請求項１乃至５のいずれか１つの受信装置。
　前記受信部の指向性を可変とする指向性調整部を更に備える
　請求項１乃至６のいずれか１つの受信装置。
　前記受信部は、前記無線信号として赤外線信号を受信する
　請求項１乃至７のいずれか１つの受信装置。
　前記監視情報は、前記人の状態として認知機能を解析するための情報である
　請求項１乃至８のいずれか１つの受信装置。
　前記受信部は、前記無線信号の傍受が許可されていれば、前記無線信号を傍受し、前記無線信号の傍受が許可されていなければ、前記無線信号を傍受しない
　請求項１乃至９のいずれか１つの受信装置。
　請求項１乃至１０のいずれか１つの受信装置が傍受した前記監視信号に含まれる前記監視情報に基づいて、前記人の状態を解析する解析処理を行う解析部、を備える
　信号処理システム。
　請求項１乃至１０のいずれか１つの受信装置と、
　前記監視情報に基づいて、前記人の状態を解析する解析処理を行う解析部と、を備える
　人解析システム。
　前記受信装置は、前記被制御機器と別体に構成されている
　請求項１２の人解析システム。
　請求項２又は３の受信装置と、
　前記監視情報に基づいて、前記人の状態を解析する解析処理を行う解析部と、を備え、
　前記受信装置は、前記被制御機器及び前記検出機器と別体に構成されている
　人解析システム。
　情報取得部を更に備え、
　前記無線信号は、所定の規格に沿って生成された信号であり、
　前記受信装置は、前記監視情報を含む通知信号を生成し、
　前記情報取得部は、前記規格に基づいて前記通知信号から前記監視情報を取得する
　請求項１２乃至１４のいずれか１つの人解析システム。
　前記解析部は、前記人の状態として、前記人の認知機能を解析する
　請求項１２乃至１５のいずれか１つの人解析システム。
　前記解析部は、前記人の状態として、前記人の安否を解析し、当該解析の結果に基づいて、前記人の見守りサービスを提供する
　請求項１２乃至１６のいずれか１つの人解析システム。