WO2021260998A1 - 燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Abstract
燃料噴射が正常に実行されたかを判定する異常判定において、誤判定を防止する。 通電用のコイルを有する複数の燃料噴射弁を制御する燃料噴射制御装置127であって、燃料噴射弁のコイルの通電電流又は印加電圧から燃料噴射弁の駆動状態を検出する駆動状態検出部211と、燃料噴射指令と燃料噴射弁の駆動状態を比較することで燃料噴射弁の噴射異常を検知する噴射異常検知部213と、内燃機関の状態に基づいて、噴射異常検知部213による噴射異常検知の実行可否を判定する噴射異常検知実行判定部212と、を備える。
Description
本発明は、燃料噴射制御装置に関する。
大気汚染を引き起こす排気ガス成分の一つである粒子状物質は、燃料噴射弁から噴射された燃料が、燃焼室内のピストン冠面やボアへ付着することで燃焼せず、粒子状物質となることが広く知られている。
このため、付着燃料を低減できれば粒子状物質(PN,PM)を抑制できるため、例えば、燃料噴射弁から噴射された燃料の噴霧長(ペネトレーション)を短くし、ピストン冠面やボアへ噴射燃料が当たらない様にするため、1燃焼サイクル中に複数回の噴射を行う分割噴射などが挙げられる。
分割噴射実行時の燃料噴射量演算は、1燃焼サイクル中に1回燃料噴射を行う場合の燃料噴射量を総噴射量として扱い、総噴射量を分割噴射回数に基づく分割比で除算した分割噴射回数毎の燃料噴射量にて燃料噴射弁の駆動制御を行う。
このような分割噴射では、算出した噴射要求(燃料噴射量や噴射開始タイミング、分割噴射回数など)に対して燃料噴射弁へ正常に通電が行われ、噴射要求通りに燃料噴射が実行されているかをモニタし、異常があるか否かを検出する機能を備えることが要望されている。
特許文献1では、1燃焼サイクル中に燃料噴射弁から複数回燃料を噴射させる分割噴射において、燃料噴射弁に流れる駆動電流や印加される駆動電圧の変化点をカウントし、噴射要求である分割噴射回数通りに燃料噴射が実行されているか否かを判定している。
また、特許文献2では、燃料噴射弁に流れる駆動電流を検出し、通電・非通電を検出して算出される通電開始タイミング、通電時間等と比較することで、分割噴射の異常検出を実行している。
しかしながら、上記特許文献1,2に記載の技術では、正常に分割噴射が実行されているにもかかわらず、異常と誤判定する可能性がある内燃機関の状態、例えば燃料噴射弁の駆動状態が考慮されていない。そのため、内燃機関の状態によっては、正常に分割噴射が実行されているにもかかわらず、異常と判定してしまうことで、燃料噴射を停止させる等、意図せずフェールセーフ制御が実行される可能性がある。
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、燃料噴射弁による燃料噴射が正常に実行されたかを判定する異常判定において、誤判定を防止することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様の燃料噴射制御装置は、通電用のコイルを有する複数の燃料噴射弁を制御する燃料噴射制御装置であって、燃料噴射指令に基づいて燃料噴射弁を駆動するための噴射パルス信号を出力する燃料噴射パルス出力部と、燃料噴射弁のコイルの通電電流又は印加電圧から当該燃料噴射弁の駆動状態を検出する駆動状態検出部と、燃料噴射指令と燃料噴射弁の駆動状態を比較することで、燃料噴射弁の噴射異常を検知する噴射異常検知部と、内燃機関の状態に基づいて、噴射異常検知部による噴射異常検知の実行可否を判定し、実行不可と判定した場合には噴射異常検知部による噴射異常検知を実行しない噴射異常検知実行判定部と、を備える。
本発明の少なくとも一態様によれば、燃料噴射弁による燃料噴射が正常に実行されたかを判定する異常判定において、誤判定を防止することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び添付図面において実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
<一実施形態>[内燃機関システム]
まず、本発明の一実施形態による燃料噴射制御装置を搭載する内燃機関システムの構成について説明する。図1は、一実施形態に係る燃料噴射制御装置を搭載する内燃機関システムの全体構成図である。
まず、本発明の一実施形態による燃料噴射制御装置を搭載する内燃機関システムの構成について説明する。図1は、一実施形態に係る燃料噴射制御装置を搭載する内燃機関システムの全体構成図である。
図1に示す内燃機関(エンジン)101は、吸入行程、圧縮行程、燃焼(膨張)行程、排気行程の4行程を繰り返す4サイクルエンジンであり、例えば、4つの気筒(シリンダ)を備えた多気筒エンジンである。なお、内燃機関101が有する気筒の数は、4つに限定されるものではなく、6つ又は8つ以上など任意の気筒数でもよい。
内燃機関101は、ピストン102、吸気弁103、排気弁104を備えている。内燃機関101への吸気(吸入空気)は、流入する空気の量を検出する空気流量計(AFM)120を通過して、スロットル弁119により流量が調整される。スロットル弁119を通過した空気は、分岐部であるコレクタ115に吸入され、その後、各気筒(シリンダ)に対して設けられた吸気管110、吸気弁103を介して、各気筒の燃焼室121に供給される。
一方、燃料は、燃料タンク123から低圧燃料ポンプ124によって高圧燃料ポンプ125へ供給され、高圧燃料ポンプ125によって燃料噴射に必要な圧力に高められる。すなわち、高圧燃料ポンプ125は、排気カム128の排気カム軸(不図示)から伝達される動力により、高圧燃料ポンプ125内に設けられたプランジャーを上下に可動し、高圧燃料ポンプ125内の燃料を加圧(昇圧)する。
高圧燃料ポンプ125の吸入口には、ソレノイドにより駆動する開閉バルブが設けられている。ソレノイドは、電子制御装置であるECU(Engine Control Unit)109内に設けられた燃料噴射制御装置127に接続されている。燃料噴射制御装置127は、ECU109からの制御指令に基づいて、ソレノイドを制御し、高圧燃料ポンプ125から吐出する燃料の圧力(以下「燃圧」と略記する。)が所望の圧力になるように開閉バルブを駆動する。ECU109(燃料噴射制御装置127)は、一例としてCPU141、メモリ142、及び不図示の入出力インターフェースを備える。
CPU141は、演算処理を行うプロセッサである。メモリ142は、揮発性又は不揮発性の半導体メモリ等よりなる記憶部である。メモリ142には、燃料噴射弁105を制御するためのコンピュータープログラムが格納されていてもよい。この場合、CPU141が、メモリ142に記録されたコンピュータープログラムを読み出して実行することにより、燃料噴射制御装置127の機能の全部又は一部が実現される。ECU109には、内燃機関101の始動(点火)を指令するためのイグニッションスイッチ信号が入力される。例えば、CPU141は、イグニッションスイッチ信号がオンであることを検知すると、燃料噴射制御のコンピュータープログラムの処理を開始する。なお、CPU141に代えてMPU(Micro Processing Unit)等の他の演算処理装置を用いてもよい。
高圧燃料ポンプ125によって昇圧された燃料は、高圧燃料配管129を介して燃料噴射弁105へ送られる。燃料噴射弁105は、燃料噴射制御装置127の指令に基づいて、燃料を燃焼室121へ直接噴射する。この燃料噴射弁105は、後述する電磁コイルに駆動電流が供給(通電)されることにより、弁体を動作させて、燃料噴射を行う電磁式の弁である。
また、内燃機関101には、高圧燃料配管129内の燃圧力を計測する燃圧力センサ(燃圧センサ)126が設けられている。ECU109は、燃圧力センサ126による計測結果に基づいて、高圧燃料配管129内の燃圧を所望の圧力にするための制御指令を燃料噴射制御装置127へ送る。すなわち、ECU109は、所謂フィードバック制御を行って、高圧燃料配管129内の燃圧を所望の圧力にする。
さらに、内燃機関101の各燃焼室121には、点火プラグ106と、点火コイル107と、水温センサ108が設けられている。点火プラグ106は、燃焼室121内に電極部を露出させ、燃焼室121内で吸入空気と燃料が混ざった混合気を放電によって引火する。点火コイル107は、点火プラグ106で放電するための高電圧を作り出す。水温センサ108は、内燃機関101の気筒を冷却する冷却水の温度を測定する。
ECU109は、点火コイル107の通電制御と、点火プラグ106による点火制御を行う。燃焼室121内で吸入空気と燃料が混ざった混合気は、点火プラグ106から放たれる火花により燃焼し、この圧力によりピストン102が押し下げられる。
燃焼により生じた排気ガスは、排気弁104を介して排気管111に排出される。そして、排気管111には、三元触媒112と、酸素センサ113が設けられている。三元触媒112は、排気ガス中に含まれる、例えば、窒素酸化物(NOx)等の有害物質を浄化する。酸素センサ113は、排気ガス中に含まれる酸素濃度を検出し、その検出結果をECU109に出力する。ECU109は、酸素センサ113の検出結果に基づいて、燃料噴射弁105から供給される燃料噴射量が目標空燃比となるように、フィードバック制御を行う。
また、ピストン102には、クランクシャフト131がコンロッド132介して接続されている。そして、ピストン102の往復運動がクランクシャフト131により回転運動に変換される。そして、クランクシャフト131には、クランク角度センサ116が取り付けられている。クランク角度センサ116は、クランクシャフト131の回転と位相を検出し、その検出結果をECU109に出力する。ECU109は、クランク角度センサ116の出力に基づいて、内燃機関101の回転速度を検出することができる。
ECU109には、クランク角度センサ116、空気流量計120、酸素センサ113、運転者が操作するアクセルの開度を示すアクセル開度センサ122、燃圧力センサ126等の信号が入力される。
ECU109は、アクセル開度センサ122から供給された信号に基づいて、内燃機関101の要求トルクを算出するとともに、アイドル状態であるか否かの判定等を行う。また、ECU109は、要求トルクなどから、内燃機関101に必要な吸入空気量を算出して、それに見合った開度信号をスロットル弁119に出力する。
また、ECU109は、クランク角度センサ116から供給された信号に基づいて、内燃機関101の回転速度(以下、エンジン回転数という)を演算する回転数検出部を有する。さらに、ECU109は、水温センサ108から得られる冷却水の温度と、内燃機関101の始動後の経過時間等から三元触媒112が暖機された状態であるか否かを判断する暖機判断部を有する。
燃料噴射制御装置127は、吸入空気量に応じた燃料量を算出して、それに応じた燃料噴射信号を燃料噴射弁105に出力する。さらに、燃料噴射制御装置127は、点火コイル107に通電信号を出力し、点火プラグ106に点火信号を出力する。
[燃料噴射制御装置の構成]
次に、図1に示す燃料噴射制御装置127の構成について、図2と図3を用いて説明する。
図2は、燃料噴射制御装置127の内部構成例を示すブロック図である。図3は、図2に示す燃料噴射駆動部の構成例を示す回路図である。
次に、図1に示す燃料噴射制御装置127の構成について、図2と図3を用いて説明する。
図2は、燃料噴射制御装置127の内部構成例を示すブロック図である。図3は、図2に示す燃料噴射駆動部の構成例を示す回路図である。
図2に示すように、燃料噴射制御装置127は、燃料噴射制御部としての分割噴射制御指令部201、燃料噴射パルス信号演算部202、及び燃料噴射駆動波形指令部203と、エンジン状態検知部214と、駆動IC208とを備える。また、燃料噴射制御装置127は、高電圧生成部(昇圧装置)206、燃料噴射駆動部207a,207b、燃料噴射弁駆動状態検出部211、分割噴射異常検知実行判定部212、及び分割噴射異常検知部213を備える。
エンジン状態検知部214は、前述のエンジン回転数、吸入空気量、冷却水温度、燃料圧力や内燃機関101の故障状態などの各種情報を集約及び提供する。
分割噴射制御指令部201は、エンジン状態検知部214から得られる各種情報に基づく内燃機関101の運転状態又は、運転シーン(例えば市街地走行、高速走行等)などから、分割噴射制御実行の判定を行う。分割噴射制御を許可した場合、分割噴射回数や、燃料噴射量の分割比、それぞれの噴射開始タイミングや燃料噴射量などが算出される。当然のことながら、分割噴射制御が実行されない場合は、1燃焼サイクル中に一度のみ燃料噴射を行う。
燃料噴射パルス信号演算部202(燃料噴射パルス出力部の一例)は、分割噴射制御指令部201から得られる前述の分割噴射回数や燃料噴射量の分割比、要求噴射量などの各種情報に基づいて、燃料噴射弁105の燃料噴射期間(通電期間)を規定する噴射パルス幅を演算する。そして、燃料噴射パルス信号演算部202は、演算した噴射パルス幅の噴射パルス信号を、噴射開始タイミングに応じて駆動IC208へ出力する。
燃料噴射駆動波形指令部203は、エンジン状態検知部214から得られる燃圧などの各種情報に基づいて、燃料噴射弁105の開弁及び開弁維持のために供給する駆動電流の指令値を算出し、駆動IC208へ出力する。
高電圧生成部206には、ヒューズ204とリレー205を介してバッテリ電圧209が供給される。この高電圧生成部206は、バッテリ電圧209を元に、電磁ソレノイド式の燃料噴射弁105が開弁する際に必要となる高い電源電圧210(VH)を生成する。以下、電源電圧210を「昇圧電圧210」という。燃料噴射弁105の電源としては、弁体の開弁力確保を目的とした昇圧電圧210と、開弁した後に弁体が閉弁しないように開弁を保持させるバッテリ電圧209の2系統を備えている。
燃料噴射駆動部207a(スイッチ部)は、燃料噴射弁105の上流側(電源側、ハイサイド)に設けられており、燃料噴射弁105を開弁させるために必要となる昇圧電圧210を燃料噴射弁105に供給する。また、燃料噴射駆動部207aは、燃料噴射弁105を開弁させた後に、燃料噴射弁105の開弁状態を保持するために必要となるバッテリ電圧209を燃料噴射弁105に供給する。
図3に示すように、燃料噴射駆動部207aは、ダイオード301,302と、高電圧側スイッチング素子303と、低電圧側スイッチング素子304とを有している。燃料噴射駆動部207aは、高電圧生成部206から供給された昇圧電圧210を、電流逆流防止のために設けたダイオード301を通し、高電圧側スイッチング素子303を用いて燃料噴射弁105に供給する。
また、燃料噴射駆動部207aは、リレー205を介して供給されたバッテリ電圧209を、電流逆流防止のために設けたダイオード302を通し、低電圧側スイッチング素子304を用いて燃料噴射弁105に供給する。
燃料噴射駆動部207b(スイッチ部)は、燃料噴射弁105の下流側(接地側、ローサイド)に設けられており、スイッチング素子305と、シャント抵抗306を有している。この燃料噴射駆動部207bは、スイッチング素子305をオンにすることで、上流側の燃料噴射駆動部207aから供給される電源を燃料噴射弁105に印加する。また、燃料噴射駆動部207bは、シャント抵抗306によって、燃料噴射弁105において消費した電流を検出する。
図2に示す駆動IC208は、燃料噴射パルス信号演算部202で演算された噴射パルス幅と、燃料噴射駆動波形指令部203で演算された駆動電流波形(駆動電流プロフィール)に基づいて、燃料噴射駆動部207a、207bを制御する。すなわち、駆動IC208は、燃料噴射弁105に印加される昇圧電圧210及びバッテリ電圧209を制御し、燃料噴射弁105へ供給する駆動電流を制御する。
また、ソレノイド407の下流側と高電圧生成部206との間にダイオード309が順方向に接続され、シャント抵抗306とソレノイド407の上流側との間にダイオード308が順方向に接続されている。高電圧側スイッチング素子303、低電圧側スイッチング素子304、及びスイッチング素子305をオフにすると、燃料噴射弁105のソレノイド407に生じる逆起電力によって、ダイオード308とダイオード309が通電する。それにより、電流が高電圧生成部206側へ帰還され、ソレノイド407に供給されていた駆動電流は急速に低下する。このとき、ソレノイド407の端子間には、逆起電力として、例えば昇圧電圧210に相当する大きさで逆極性の電圧(-VH)が生じる。
燃料噴射弁駆動状態検出部211(駆動状態検出部の一例)は、燃料噴射弁105(ソレノイド407)に流れる電流をモニタし、電流が所定の電流値へ到達したか否かを検出する。そして、燃料噴射弁駆動状態検出部211は、検出結果として通電検出信号を分割噴射異常検知部213へ出力する。なお、燃料噴射弁駆動状態検出部211は、燃料噴射弁105(ソレノイド407)の印加電圧を測定して燃料噴射弁の駆動状態を検出するようにしてもよい。
分割噴射異常検知実行判定部212(噴射異常検知実行判定部の一例)は、エンジン状態検知部214や燃料噴射パルス信号演算部202などから入力される情報に基づき、分割噴射異常検知部213による分割噴射異常検知の実行可否を判定する。そして、分割噴射異常検知実行判定部212は、分割噴射異常検知の実行可否の判定結果(許可信号、不許可信号)を分割噴射異常検知部213へ出力する。
分割噴射異常検知部213(噴射異常検知部の一例)は、分割噴射異常検知実行判定部212から許可された場合に分割噴射異常検知を実行する。分割噴射異常検知部213は、燃料噴射弁駆動状態検出部211によって検出された通電検出信号(通電状態)と、分割噴射制御指令部201で算出された噴射開始タイミング(燃料噴射指令)を比較して異常判定を行う。すなわち、燃料噴射指令どおりに燃料噴射弁105のソレノイド407へ電流が流れている、又はソレノイド407に電圧が印加されているかを判定する。
なお、燃料噴射弁駆動状態検出部211、分割噴射異常検知実行判定部212、及び分割噴射異常検知部213についての詳細は後述する。
[燃料噴射弁の駆動方法]
次に、燃料噴射弁105の駆動方法について、図4を参照して説明する。
図4は、燃料噴射弁105の駆動方法を説明するタイミングチャートである。横軸に時間、縦軸に噴射パルス、駆動電圧、及び駆動電流を示す。
次に、燃料噴射弁105の駆動方法について、図4を参照して説明する。
図4は、燃料噴射弁105の駆動方法を説明するタイミングチャートである。横軸に時間、縦軸に噴射パルス、駆動電圧、及び駆動電流を示す。
図4は、燃料噴射弁105から燃料を噴射する際の、噴射パルス、駆動電圧、駆動電流の一例を時系列で示している。燃料噴射弁105を駆動する場合は、燃料噴射弁105の特性に基づいて、電流設定値(ピーク電流Ipや保持電流Ihなど)を予め設定する。そして、電流設定値による燃料噴射弁105の噴射量特性をECU109内に設けられたメモリ142(例えば、RAM)に記憶しておく。燃料噴射制御装置127は、内燃機関101の運転状態と燃料噴射弁105の噴射量特性から、燃料噴射弁105の噴射パルスを算出する。
図4に示す時刻T400~T401では、燃料噴射パルス信号演算部202(図2参照)から出力される噴射パルスがオフ状態である。そのため、燃料噴射駆動部207a,207bがオフ状態となり、燃料噴射弁105に駆動電流が流れない。したがって、燃料噴射弁105から燃料が噴射されない。
次いで、時刻T401で、噴射パルスがオン状態となり、燃料噴射駆動部207a(スイッチング素子303)と燃料噴射駆動部207b(スイッチング素子305)がオン状態になる。これにより、ソレノイド407に昇圧電圧210(駆動電圧)が印加され、ソレノイド407(燃料噴射弁105)に駆動電流が流れる。燃料噴射弁105に駆動電流が流れると、弁体が開弁方向へ移動し始めて燃料噴射弁105が開弁する。その結果、燃料噴射弁105から燃料が噴射される。
駆動電流がピーク電流Ipに到達したときに(時刻T402)、燃料噴射駆動部207a,207bのスイッチング素子303,304をオフ状態にし、燃料噴射弁105に流れる駆動電流を減少させる。
そして、時刻T403から噴射パルスが立ち下がる時刻T404までは、燃料噴射駆動部207b(スイッチング素子305)のオン状態を維持して、燃料噴射駆動部207a(スイッチング素子304)を間欠的にオン状態にする。すなわち、燃料噴射駆動部207aをPMW(Pulse Width Modulation)制御し、燃料噴射弁105に印加される駆動電圧を間欠的にバッテリ電圧209にすることで、燃料噴射弁105に流れる駆動電流が保持電流Ihを中心に所定の範囲内に収まるようにする。
時刻T404において、噴射パルスがオフ状態となる。これにより、燃料噴射駆動部207a,207bが全てオフ状態となり、ソレノイド407へ印加される駆動電圧が減少し、流れる駆動電流も減少する。そして、弁体が閉弁方向へ移動して燃料噴射弁105が閉弁する。その結果、燃料噴射弁105から燃料が噴射されなくなる。
なお、噴射パルスがオフ状態となった時刻T404からは、燃料噴射弁105内の残留磁気を素早く抜いて燃料噴射弁105が早期に閉弁するように、燃料噴射弁105を駆動する際とは逆方向に昇圧電圧210を供給する。
[分割噴射制御]
次に、分割噴射制御について図5を参照して説明する。
図5は、1回噴射制御と分割噴射制御を説明する図である。図5において、1回噴射制御から分割噴射制御へ切り替わる際の噴射パルス511の波形を示し、n~(n+3)気筒の噴射パルスをそれぞれ噴射パルス511a~511dとしている。図内の時刻T501は、分割噴射制御が許可された時点を示している(例えば、分割噴射回数が1から3に変化)。
次に、分割噴射制御について図5を参照して説明する。
図5は、1回噴射制御と分割噴射制御を説明する図である。図5において、1回噴射制御から分割噴射制御へ切り替わる際の噴射パルス511の波形を示し、n~(n+3)気筒の噴射パルスをそれぞれ噴射パルス511a~511dとしている。図内の時刻T501は、分割噴射制御が許可された時点を示している(例えば、分割噴射回数が1から3に変化)。
まず、所定のクランク角に基づき燃料噴射弁105の駆動を行うため、角度制御の一般的な方法として、気筒毎の制御基準位置(T508a~T508d)を設け、この制御基準位置を基準に所望の角度にて、燃料噴射弁105の制御タイミングを計っている。
これを踏まえ、図5を説明すると、時刻T501より過去(時刻T501より左側)では、分割噴射制御は実行されておらず、1回噴射を実行する。時刻T508dで(n+3)気筒の噴射パルスT502、時刻T508aでn気筒の噴射パルス503が出力される。つまり、1燃焼サイクルに1回の燃料噴射を実行する。さらに、制御基準位置(時刻T501)に対し、将来(時刻T501より右側)である(n+1)気筒の噴射パルス504は左側にあり、この時点での噴射開始タイミング509により噴射制御を実行するため、ここも1回噴射となる。
これに対し、時刻T501から最初の制御基準位置となる時刻T508bから、分割噴射用の噴射開始タイミング510で噴射指令505(分割噴射指令505a,505b,505c)が生じる。そのため、噴射開始タイミング510以降に、分割噴射が実行される。以後、分割噴射制御が継続され、噴射指令505と同様の制御を行うことで、噴射指令506、噴射指令507も分割噴射が実行される。
なお、図5の分割噴射制御は、3回噴射(例えば分割噴射指令505a~505c)で実行されたものを示しているが、この回数が異なる場合においても、基本的な制御方法は変わらない。
また、分割噴射では、1燃焼サイクル中に少なくとも2回以上の燃料噴射を行うと定義する。1燃焼サイクルとは、気筒毎に位置(角度)は異なるものの、例えば4サイクル式内燃機関の燃焼行程(吸気、圧縮、膨張、排気)間の720degとしている。ただし、本発明の分割噴射機能の異常判定の対象は、分割噴射に限らず1燃焼サイクル中に燃料噴射を1回実施する場合も含まれる。
[分割噴射の異常状態]
次に、分割噴射の異常状態について説明する。
異常状態は、「燃料噴射が実行されない」、「指令値がないのに燃料噴射が実行される」、「指令値に対して燃料噴射のタイミングがずれる」などの噴射指令どおりに燃料噴射が実行されない状態をいう。
次に、分割噴射の異常状態について説明する。
異常状態は、「燃料噴射が実行されない」、「指令値がないのに燃料噴射が実行される」、「指令値に対して燃料噴射のタイミングがずれる」などの噴射指令どおりに燃料噴射が実行されない状態をいう。
「燃料噴射が実行されない」という異常は例えば、分割噴射制御指令部201で演算された噴射パラメータに対して、燃料噴射パルス信号演算部202から燃料噴射弁105の間の異常により、燃料噴射が実行されない場合を示している。つまり、燃料噴射弁105(ソレノイド407)に電圧が印加されず、燃料噴射弁105に電流が通電していない状態を表している。ただし、燃料噴射弁105の下流側でグラウンドにショートする等、燃料噴射弁105に電流が通電しているにもかかわらず、燃料噴射弁駆動状態検出部211で電流を検出できない場合も含む。
「指令値がないのに燃料噴射が実行される」という異常は、分割噴射制御指令部201で燃料噴射を要求していない(例えば、要求噴射量がゼロ)にもかかわらず、燃料噴射弁105に電圧が印加され、燃料噴射弁105に電流が流れている状態を表している。
つまり、「燃料噴射が実行されない」及び「指令値がないのに燃料噴射が実行される」という異常はそれぞれ、噴射指令どおりの回数で分割噴射が実行されない状態である。
「指令値に対して燃料噴射のタイミングがずれる」という異常は、分割噴射制御指令部201で演算された要求噴射タイミングよりも早く(進角方向にずれて)、又は、遅れて(遅角方向にずれて)燃料噴射弁105へ電圧が印加され、燃料噴射弁105に電流が流れる異常である。
[燃料噴射弁駆動状態検出部]
次に、燃料噴射弁駆動状態検出部211について図6を参照して説明する。
図6は、燃料噴射弁105の駆動電流検出信号を説明するタイミングチャートである。
次に、燃料噴射弁駆動状態検出部211について図6を参照して説明する。
図6は、燃料噴射弁105の駆動電流検出信号を説明するタイミングチャートである。
燃料噴射弁駆動状態検出部211は、燃料噴射弁105が燃料噴射を実行したか否かを検出する。1回の噴射毎に燃料噴射パルス信号演算部202より噴射パルスが出力される。そして、燃料噴射弁105には高電圧生成部206、又はバッテリ電圧209により電圧が印加され、電流が流れることにより燃料噴射が実行される。
図6に示すとおり、燃料噴射パルス信号演算部202において、分割噴射制御指令部201で演算された噴射開始タイミングINJSOIから噴射パルスINJPLSをオン状態にする。噴射パルスをオンすると、駆動IC208へHighレベルの信号が伝えられ(T601)、燃料噴射弁105へ電流が流れる。そして、所定の噴射時間が経過して、噴射出力を停止する際に駆動IC208へLowレベルの信号が伝えられる(T602)。
燃料噴射弁駆動状態検出部211では、例えばシャント抵抗306により燃料噴射弁105(ソレノイド407)に流れる駆動電流を計測し、駆動電流検出信号INJDETを生成する。ここで、駆動電流検出信号INJDETは、駆動電流が燃料噴射弁105に供給されたか否かを示す信号である。燃料噴射弁駆動状態検出部211は、生成した駆動電流検出信号INJDETを分割噴射異常検知部213へ出力する。
燃料噴射弁駆動状態検出部211は、燃料噴射弁105に流れる駆動電流が所定値(信号ON閾値)以上となったタイミングで駆動電流検出信号INJDETをHighレベルとし(T603)、駆動電流が所定値(信号OFF閾値)以下となったタイミングでLowレベルとする(T604)。
なお、駆動電流検出信号INJDETをHighレベル又はLowレベルに変化させる所定値は、予め実験等で求めておきメモリ142に設定する。燃圧に基づいて駆動電流(例えばピーク電流値)を変更する場合には、駆動電流検出信号INJDETを、Highレベルにする所定値を燃圧に応じて変化させるか、各燃圧条件におけるピーク電流値の最小値以下とするとよい。
また、駆動電流検出信号INJDETは、論理が逆になればよいので、HighレベルとLowレベルのどちらでもよい。以下、通電検出した場合の駆動電流検出信号INJDETをオン(Highレベル)、非通電状態をオフ(Lowレベル)とする。
[分割噴射異常検知部]
次に、分割噴射異常検知部213について図7を参照して説明する。
図7は、分割噴射異常検知部213の動作を説明するタイミングチャートである。噴射開始タイミングINJSOI_TRGは分割噴射制御指令部201から出力される目標の噴射開始タイミングであり、噴射パルスINJPLS_OUTは燃料噴射パルス信号演算部202から出力される噴射パルス信号である。
次に、分割噴射異常検知部213について図7を参照して説明する。
図7は、分割噴射異常検知部213の動作を説明するタイミングチャートである。噴射開始タイミングINJSOI_TRGは分割噴射制御指令部201から出力される目標の噴射開始タイミングであり、噴射パルスINJPLS_OUTは燃料噴射パルス信号演算部202から出力される噴射パルス信号である。
分割噴射異常検知部213は、前述した分割噴射異常の検知を行う。分割噴射異常検知部213は、分割噴射制御指令部201で算出された噴射開始タイミングINJSOI_TRGと、燃料噴射弁駆動状態検出部211で生成された駆動電流検出信号INJDETを比較して、両者の差に基づいて異常の有無を判断する。なお、異常検出処理は、生成された全ての噴射パルスに対して行われる。
前述したとおり、分割噴射制御指令部201で算出された噴射開始タイミングINJSOI_TRGや燃料噴射量の情報は、燃料噴射パルス信号演算部202に伝えられ、燃料噴射量が噴射パルス幅(通電時間)に変換される。そして、エンジンが回転してクランク角が噴射開始タイミングINJSOI_TRGの角度となったときに、燃料噴射パルス信号演算部202は、噴射パルスINJPLS_OUTをオン状態にして駆動IC208へ出力する(T701)。噴射パルスINJPLS_OUTに応じて燃料噴射弁105に駆動電流が流れ、燃料噴射弁駆動状態検出部211において駆動電流を計測し、電流値が所定値以上となると駆動電流検出信号INJDETをオン状態とする。燃料噴射弁駆動状態検出部211では、駆動電流検出信号INJDETがオンとなったタイミングを記憶する。なお、タイミングとは、噴射開始タイミングINJSOI_TRGや制御基準位置を基準としたクランク角とする。
駆動電流検出信号INJDETは燃料噴射弁105へ流れた電流を計測するが、燃料噴射弁105(ソレノイド407)のインダクタンスの影響により電流は時定数に応じた遅れをもって上昇する。したがって、駆動電流検出信号INJDETがオンになるタイミング(立ち上がりタイミング)は、異常がなくとも噴射開始タイミングINJSOI_TRGに対して遅れる。このように、正常時でも噴射開始タイミングINJSOI_TRGと、駆動電流検出信号INJDETがオンするタイミングには時間差が発生する。
上記理由により、異常の検出では、噴射開始タイミングINJSOI_TRGと駆動電流検出信号INJDETがオンになるタイミングとの差が、所定範囲703内にあるか否かを判定する。噴射開始タイミングINJSOI_TRGから所定範囲703内に駆動電流検出信号INJDETがオンとなった場合は“正常”と判定し、所定範囲703内に駆動電流検出信号INJDETがオンとならなかった場合は“異常”と判定する。
なお、上記駆動電流検出信号INJDETがオンするタイミングの遅れは、燃料噴射弁105へ印加される電圧、燃料噴射弁105の温度や抵抗、インダクタンスに応じて決まる。つまり、回路素子の定数や電圧値等がばらついても誤って分割噴射異常診断しないような範囲を、予め実験により決定してメモリ142に記憶しておくことが望ましい。
以上のとおり、噴射異常検知部(分割噴射異常検知部213)は、燃料噴射指令による噴射パルス信号の目標出力タイミング(噴射開始タイミングINJSOI_TRG)と、駆動状態検出部(燃料噴射弁駆動状態検出部211)から出力される燃料噴射弁の駆動状態を表す駆動電流検出信号(駆動電流検出信号INJDET)の立ち上がりタイミングとを比較し、両タイミングの差分に基づいて燃料噴射弁の噴射異常を検知する。
[分割噴射異常の検知方法]
次に、分割噴射異常の検知方法について図8を用いて説明する。
図8は、分割噴射異常検知部213で検出できる異常状態を説明する図である。破線は噴射正常のときの波形を表し、実線は噴射異常のときの波形を表す。
次に、分割噴射異常の検知方法について図8を用いて説明する。
図8は、分割噴射異常検知部213で検出できる異常状態を説明する図である。破線は噴射正常のときの波形を表し、実線は噴射異常のときの波形を表す。
「燃料噴射が実行されない」異常は、分割噴射制御指令部201で燃料噴射指令がある(例えば、燃料噴射量がゼロでない)にもかかわらず、噴射開始タイミングINJSOI_TRGから所定範囲703内に駆動電流検出信号INJDETがオンとならない場合である。燃料噴射パルス信号演算部202の異常により噴射パルスINJPLS_OUTが出力されない場合や駆動回路の異常、燃料噴射弁105の異常等により燃料噴射弁105へ電流が流れない。そのため、燃料噴射弁駆動状態検出部211で電流が計測できず、駆動電流検出信号INJDETがオンとならない(図8上段左)。なお、駆動回路には、例えば駆動IC208以降のブロック及び配線が含まれる。
「指令値がないのに燃料噴射が実行される」異常は、分割噴射制御指令部201で燃料噴射指令がない(例えば、要求噴射量がゼロ)にもかかわらず、駆動電流検出信号INJDETがオンとなる場合である。燃料噴射パルス信号演算部202の異常により噴射パルスINJPLS_OUTが出力された場合や、駆動回路の異常により燃料噴射弁105へ電流が流れる場合である(図8上段右)。この場合、前回噴射の噴射開始タイミングINJSOI_TRGと、駆動電流検出信号INJDETがオンとなるタイミングを比較することで、異常検出することができる。
「指令値に対して燃料噴射のタイミングがずれる」異常は、分割噴射制御指令部201で指令した噴射開始タイミングINJSOI_TRGに対して、燃料噴射弁105に早く又は遅く駆動電流が流れる場合に発生する。駆動電流検出信号INJDETが噴射開始タイミングINJSOI_TRGよりも早くオンとなったり(図8下段左)、駆動電流検出信号INJDETが所定範囲703よりも遅くオンとなったりする(図8下段右)。燃料噴射パルス信号演算部202の異常や、駆動回路の異常等により、燃料噴射弁105へ駆動電流が流れるタイミングが変化する。
上記状態(異常)を噴射パルス毎かつ駆動電流検出信号INJDET毎に判定することで、分割噴射異常の検出が可能となる。また、各情報をメモリ142(RAMなど)に一時的に保存しておき、制御基準位置などの一定間隔毎に分割噴射異常の判定を実施してもよい。
例えば、制御基準位置などのタイミングで1燃焼サイクルにおいて噴射する回数分の噴射開始タイミングINJSOI_TRGを保存しておく(3回分割噴射する場合は3つの噴射開始タイミングINJSOI_TRG)。さらに、駆動電流検出信号INJDETにおいてもオンとなる毎に、オンとなったタイミング情報(時間や角度)をRAMに保存しておく。そして、次の制御基準位置にてそれぞれを比較するようにすれば、逐次処理が不要となり、かつ進角異常と増加異常を区別することが可能となる。
[分割噴射異常検知実行判定部]
次に、分割噴射異常検知実行判定部212について図9を参照して説明する。
分割噴射異常検知実行判定部212は、分割噴射異常検知部213の実行可否を判定する。分割噴射異常検知実行判定部212により実行可と判定された場合は、分割噴射異常検知部213で分割噴射異常検知を実行する。そして、分割噴射異常検知部213は、噴射開始タイミングINJSOI_TRGと駆動電流検出信号INJDETがオンとなるタイミングとの差が大きい場合は“異常”と判定し、両者の差が小さい場合は“正常”と判定する。
次に、分割噴射異常検知実行判定部212について図9を参照して説明する。
分割噴射異常検知実行判定部212は、分割噴射異常検知部213の実行可否を判定する。分割噴射異常検知実行判定部212により実行可と判定された場合は、分割噴射異常検知部213で分割噴射異常検知を実行する。そして、分割噴射異常検知部213は、噴射開始タイミングINJSOI_TRGと駆動電流検出信号INJDETがオンとなるタイミングとの差が大きい場合は“異常”と判定し、両者の差が小さい場合は“正常”と判定する。
一方、実行不可と判定された場合は、噴射開始タイミングINJSOI_TRGと駆動電流検出信号INJDETがオンとなるタイミングを検出し、両者の差が所定範囲703より大きい場合でも異常と判定しない。また、両者の差が所定範囲703内と小さい場合でも正常と判定しない。なお、両者の差を比較する処理自体を実行しなくともよい。
前述のとおり、分割噴射機能に異常がなくとも、駆動電流検出信号INJDETがオンとなるタイミングが噴射開始タイミングINJSOI_TRGから所定範囲703内とならない場合がある。その場合、分割噴射機能に異常がないにもかかわらず、分割噴射異常検知部213が異常と判定してしまう可能性がある。
そこで、分割噴射異常検知実行判定部212では、分割噴射機能が正常な状態にもかかわらず、分割噴射機能の異常と判定する可能性のある場合を検出し、誤った異常判定を回避する制御を行う。
(噴射インターバルに応じた分割噴射異常判定)
まず、噴射インターバルに応じた分割噴射異常判定について図9を参照して説明する。
図9は、噴射インターバルに応じて分割噴射異常判定を実行しない場合を説明するタイミングチャートである。破線は噴射インターバルが短い場合の波形を表し、実線は噴射インターバルが長い場合の波形を表している。
まず、噴射インターバルに応じた分割噴射異常判定について図9を参照して説明する。
図9は、噴射インターバルに応じて分割噴射異常判定を実行しない場合を説明するタイミングチャートである。破線は噴射インターバルが短い場合の波形を表し、実線は噴射インターバルが長い場合の波形を表している。
噴射インターバルは、燃料噴射弁105の閉弁時間や昇圧電圧充電時間を考慮して決められる。分割噴射制御指令部201で演算された噴射開始タイミングINJSOI_TRGや燃料噴射量は、噴射パルス幅に変換されて、燃料噴射パルス信号演算部202から駆動IC208へ出力される。その際、前回の噴射パルス幅のOFFタイミングと、今回の噴射開始タイミングINJSOI_TRG#2との間隔が予め設定された噴射インターバル901よりも短い場合には、噴射インターバル901以上となるように噴射開始タイミングINJSOI_TRG#2を遅角側にずらして噴射開始タイミングINJSOI_OUT#2とする。これにより、昇圧電圧210低下時の通電開始による燃料噴射遅れや、前燃料噴射との結合(オーバーラップ)を回避することができる。
しかしながら、分割噴射制御指令部201で演算された噴射開始タイミングINJSOI_TRGに対して、実際の噴射開始タイミングが遅れるため、駆動電流検出信号INJDETがオンとなるタイミングも遅れる。これにより、駆動電流検出信号INJDETのオンタイミングが噴射開始タイミングINJSOI_TRGから所定範囲703内とならず、異常と判定してしまう可能性がある。したがって、噴射インターバルの調整により噴射パルスINJSOI_TRGのオンタイミングを遅らせた場合は、分割噴射機能の異常判定を実施しない。
なお、エンジン(内燃機関101)の回転速度が速いほど、噴射インターバルが短くなる。したがって、噴射異常検知実行判定部(噴射異常検知実行判定部212)は、内燃機関の回転速度が所定値以上に速い場合には、噴射異常検知部(分割噴射異常検知部213)による噴射異常検知を実行しないようにしてもよい。
以上のとおり、本実施形態に係る燃料噴射制御装置(燃料噴射制御装置127)では、噴射異常検知実行判定部(噴射異常検知実行判定部212)は、前回の噴射における噴射パルス信号の目標停止タイミングと、今回の噴射における噴射パルス信号の目標出力タイミング(噴射開始タイミングINJSOI_TRG)との間隔(噴射インターバル901)が所定値より短い場合には、噴射異常検知部(分割噴射異常検知部213)による噴射異常検知を実行しないように構成されている。
(噴射パルス幅に応じた分割噴射異常判定)
次に、噴射パルス幅に応じた分割噴射異常判定について図10を参照して説明する。
燃料噴射パルス信号演算部202で算出される噴射パルス幅は、分割噴射制御指令部201で算出される燃料噴射量を基に算出される。噴射パルス幅は燃料噴射弁105の通電時間であるため、通電時間が長いつまり噴射パルス幅が長ければ燃料噴射量が多く、噴射パルス幅が短ければ燃料噴射量が少ない。したがって、燃料噴射量が少ない場合は噴射パルス幅が短くなる。
次に、噴射パルス幅に応じた分割噴射異常判定について図10を参照して説明する。
燃料噴射パルス信号演算部202で算出される噴射パルス幅は、分割噴射制御指令部201で算出される燃料噴射量を基に算出される。噴射パルス幅は燃料噴射弁105の通電時間であるため、通電時間が長いつまり噴射パルス幅が長ければ燃料噴射量が多く、噴射パルス幅が短ければ燃料噴射量が少ない。したがって、燃料噴射量が少ない場合は噴射パルス幅が短くなる。
また、燃圧に応じても燃料噴射量が変化する。燃圧が高くなればなるほど単位時間当たりの燃料噴射量は増加する。そのため、通常、要求燃料噴射量を満足するために燃圧に応じて噴射パルス幅を変化させる。つまり、要求燃料噴射量に対して燃圧が高いほど噴射パルス幅を短くするように制御する。
図10は、噴射パルス幅に応じて分割噴射異常判定を実行しない場合を説明するタイミングチャートである。破線は噴射パルス幅が長い場合の波形を表し、実線は噴射パルス幅が短い場合の波形を表す。
図10に示すとおり、噴射パルス幅が短い場合、駆動電流が信号ON閾値に到達する前に燃料噴射弁105への通電が停止される可能性がある。噴射開始タイミングINJSOI_TRG#2で噴射パルスが出力され、燃料噴射弁105に駆動電流が流れ始める。タイミングT1001で噴射パルスの出力が停止されると、燃料噴射弁105への通電が停止する。駆動電流が信号ON閾値に到達する前に通電が停止するため、駆動電流通電信号INJDETはオンとならない。噴射開始タイミングINJSOI_TRGから所定範囲703内に駆動電流通電信号INJDETがオンとならないため、分割噴射機能に異常がないにもかかわらず、異常と判定される。
したがって、噴射パルス幅が所定値1002よりも短い場合には、分割噴射機能の異常判定を実施しない。所定値1002は、噴射開始タイミングINJSOI_TRGになってから駆動電流通電信号INJDETがオンするまでの時間以上である。この所定値1002は、予め実験により算出しメモリ142に記憶しておく。
以上のとおり、本実施形態に係る燃料噴射制御装置(燃料噴射制御装置127)では、噴射異常検知実行判定部(噴射異常検知実行判定部212)は、燃料噴射弁の通電時間指令である噴射パルス信号の幅(噴射パルス幅)が所定値より短い場合には、噴射異常検知部(分割噴射異常検知部213)による噴射異常検知を実行しないように構成されている。
(昇圧電圧に応じた分割噴射異常判定)
次に、昇圧電圧210に応じた分割噴射異常判定について図11を参照して説明する。
昇圧電圧210が低い場合、燃料噴射弁105へ駆動電流が流れ始めてからピーク電流に到達するまでの時間が長くなる。例えば、エンジン回転数が高い場合や分割噴射数が多い場合などにおいて、他気筒との噴射間隔が短くなることで昇圧電圧210の充放電バランスが崩れ、昇圧電圧210が低い状態で燃料噴射を開始する場合がある。また、高電圧生成部206の故障等により昇圧電圧210の供給ができなくなった場合も同様である。
なお、高電圧生成部206が故障した場合はバッテリ電圧209による供給となるため、駆動電流が大きくなるまでに時間を要する。
次に、昇圧電圧210に応じた分割噴射異常判定について図11を参照して説明する。
昇圧電圧210が低い場合、燃料噴射弁105へ駆動電流が流れ始めてからピーク電流に到達するまでの時間が長くなる。例えば、エンジン回転数が高い場合や分割噴射数が多い場合などにおいて、他気筒との噴射間隔が短くなることで昇圧電圧210の充放電バランスが崩れ、昇圧電圧210が低い状態で燃料噴射を開始する場合がある。また、高電圧生成部206の故障等により昇圧電圧210の供給ができなくなった場合も同様である。
なお、高電圧生成部206が故障した場合はバッテリ電圧209による供給となるため、駆動電流が大きくなるまでに時間を要する。
図11は、昇圧電圧210に応じて分割噴射異常判定を実行しない場合を説明するタイミングチャートである。破線は昇圧電圧210が高い場合の波形を表し、実線は昇圧電圧210が低い場合の波形を表す。
噴射開始タイミングINJSOI_TRGから噴射パルスを出力した場合、燃料噴射弁105に対して電圧が印加されて駆動電流が流れ始める。しかし、昇圧電圧210が低いことにより、駆動電流の上昇速度が遅く、電流値が信号ON閾値に到達するのが遅くなる。例えば、昇圧電圧210が高いときはタイミングT1101、低いときはより遅いタイミングT1102となる。そのため、駆動電流検出信号INJDETがオンとなるタイミングが噴射開始タイミングINJSOI_TRG#2から所定範囲703内とならず、分割噴射機能の異常と判定される。
したがって、燃料噴射弁105に印加する電圧(昇圧電圧210)が所定値以下の場合、又は昇圧装置が異常と判定されている場合には、分割噴射機能の異常判定を実施しない。
以上のとおり、本実施形態に係る燃料噴射制御装置(燃料噴射制御装置127)では、噴射異常検知実行判定部(噴射異常検知実行判定部212)は、燃料噴射弁に印加する電圧が所定値以下の場合には、噴射異常検知部(分割噴射異常検知部213)による噴射異常検知を実行しないように構成されている。
また、エンジン状態を表す情報の一つとして冷却水の温度がある。水温センサ108が測定する冷却水の温度が高いときは、内燃機関101の温度が高く駆動回路の抵抗値が小さくなるため、昇圧電圧210が低下する可能性がある。よって、冷却水の温度が閾値よりも高い場合も、分割噴射機能の異常判定を実施しないことが望ましい。
このように、本実施形態では、噴射異常検知実行判定部(噴射異常検知実行判定部212)は、内燃機関の冷却水の温度を測定する水温センサ108の測定値が所定値以上の場合には、噴射異常検知部(分割噴射異常検知部213)による噴射異常検知を実行しないように構成されている。
(強制終了タイミングに応じた分割噴射異常判定)
次に、燃料噴射の強制終了タイミングに応じた分割噴射異常判定について図12及び図13を参照して説明する。
次に、燃料噴射の強制終了タイミングに応じた分割噴射異常判定について図12及び図13を参照して説明する。
排気弁104の閉弁完了タイミングより以前に噴射開始タイミングINJSOI_TRGを設定した場合、燃料噴射弁105から噴射された燃料が燃焼することなく排気管111へ排出され、排気性能が悪化する。また、噴射パルスがオフとなるタイミングが点火タイミングと近くなると、噴射燃料の気化時間が十分に確保されず、混合気の形成が不十分となる。この場合、点火プラグ106に燃料が付着する恐れがある。したがって、通常は燃料の気化時間などを考慮し、点火タイミングから、進角側へ所定期間を設けた位置(強制終了タイミングT1201)までに噴射動作を完了させる。
しかしながら、噴射分割数の増加、前述の噴射インターバルやエンジン回転急変動などの過渡状態においては、燃料噴射終了タイミングが遅くなる。そのため、強制終了タイミングT1201以降も噴射パルス信号のオン状態が続く場合や、噴射開始タイミングINJSOI_TRGが強制終了タイミングT1201以降となる場合は、強制終了タイミングT1201で噴射パルスをオフとする。それにより、分割噴射制御指令部201から燃料噴射要求があるにもかかわらず燃料噴射が実行されない可能性があり、その場合は、駆動電流検出信号INJDETがオンとならない。
図12に、強制終了タイミングに応じて分割噴射異常判定を実行しない場合のタイミングチャート(その1)を示す。破線は本来出力される波形を表す。図12では、2回目の噴射開始タイミングINJSOI_TRG#2が強制終了タイミングT1201以降となっている。そのため、燃料噴射パルス信号演算部202から噴射パルスINJPLS_OUTが出力されず、駆動電流検出信号INJDETがオンとならない。
図13に、強制終了タイミングに応じて分割噴射異常判定を実行しない場合のタイミングチャート(その2)を示す。破線は本来出力される波形を表し、実線は実際に出力される波形を表す。図13では、2回目の噴射開始タイミングINJSOI_TRG#2で出力された噴射パルスINJPLS_OUTの噴射終了タイミング(T1301)が、強制終了タイミングT1201以降となっている。そのため、噴射パルスINJPLS_OUTが強制終了タイミングT1201でオフし、駆動電流検出信号INJDETがオンとならない。
したがって、噴射パルスがオンとなっている期間中もしくは噴射開始タイミングINJSOI_TRG前に強制終了タイミングT1201がある場合には、分割噴射機能の異常判定を実施しない。
以上のとおり、噴射異常検知実行判定部(分割噴射異常検知実行判定部212)は、少なくとも噴射パルス信号の目標出力タイミング(噴射開始タイミングINJSOI_TRG)及び目標停止タイミングの少なくともいずれか一方のクランク角が、内燃機関の制御基準位置から所定回転角度以上である場合には、噴射異常検知部(分割噴射異常検知部213)による噴射異常検知を実行しないように構成されている。ここで、クランク角の所定回転角度とは、クランクシャフト131が制御基準位置から所定角度回転した位置に相当するタイミングであって、強制終了タイミングT1201に相当する。
(燃料カット中の分割噴射異常判定)
次に、燃料カット中の分割噴射異常判定について説明する。
内燃機関が搭載された車両の減速時や燃料噴射に関わる部品の故障時などに燃料カット処理が実行される。通常、燃料カットに必要な各情報を集約し、分割噴射制御指令部201とは異なる制御指令部(図示せず)から燃料噴射パルス信号演算部202へ燃料カット指令が出力され、燃料噴射を停止する。また、燃料カット要求が分割噴射制御指令部201に出力され、分割噴射制御指令部201において要求噴射量をゼロとしてもよい。つまり、噴射パルスINJPLS_OUTがオンとなっている期間がゼロである場合、駆動電流検出信号INJDETがオンとならないため、分割噴射機能の異常判定を実施しない。
次に、燃料カット中の分割噴射異常判定について説明する。
内燃機関が搭載された車両の減速時や燃料噴射に関わる部品の故障時などに燃料カット処理が実行される。通常、燃料カットに必要な各情報を集約し、分割噴射制御指令部201とは異なる制御指令部(図示せず)から燃料噴射パルス信号演算部202へ燃料カット指令が出力され、燃料噴射を停止する。また、燃料カット要求が分割噴射制御指令部201に出力され、分割噴射制御指令部201において要求噴射量をゼロとしてもよい。つまり、噴射パルスINJPLS_OUTがオンとなっている期間がゼロである場合、駆動電流検出信号INJDETがオンとならないため、分割噴射機能の異常判定を実施しない。
このように、噴射異常検知実行判定部(分割噴射異常検知実行判定部212)は、燃料噴射弁の通電停止が指令されている場合には、噴射異常検知部(分割噴射異常検知部213)による噴射異常検知を実行しないように構成される。
ただし、上記のようにすると、「燃料噴射が実行されない」、「指令値に対して燃料噴射のタイミングがずれる」という異常に対しては誤った異常判定を回避することができるが、「指令値がないのに燃料噴射が実行される」という故障に対しては、異常検知ができなくなる。
したがって、燃料カット中の異常判定については、噴射開始タイミングINJSOI_TRGと駆動電流検出信号INJDETがオンとなるタイミングとの比較ではなく、燃料カット中に駆動電流検出信号INJDETがオンとなるか否かを検出する。これにより、「指令値がないのに燃料噴射が実行される」という故障に対して、正確に異常判定ができる。
このように、噴射異常検知部(分割噴射異常検知部213)は、燃料噴射弁の通電停止が指令されている場合には、燃料噴射弁の通電停止中に駆動状態検出部(燃料噴射弁駆動状態検出部211)から出力される燃料噴射弁の駆動電流検出信号(駆動電流検出信号INJDET)がオンとなるときに燃料噴射弁の噴射異常と判断するように構成されている。
以上のとおり、本実施形態に係る燃料噴射制御装置(燃料噴射制御装置127)は、通電用のコイルを有する複数の燃料噴射弁(105)を制御する燃料噴射制御装置であって、燃料噴射指令に基づいて燃料噴射弁を駆動するための噴射パルス信号を出力する燃料噴射パルス出力部(燃料噴射パルス信号演算部202)と、燃料噴射弁のコイルの通電電流又は印加電圧から当該燃料噴射弁の駆動状態を検出する駆動状態検出部(燃料噴射弁駆動状態検出部211)と、燃料噴射指令と燃料噴射弁の駆動状態を比較することで、燃料噴射弁の噴射異常を検知する噴射異常検知部(分割噴射異常検知部213)と、内燃機関の状態に基づいて、噴射異常検知部による噴射異常検知の実行可否を判定し、実行不可と判定した場合には噴射異常検知部による噴射異常検知を実行しない噴射異常検知実行判定部(分割噴射異常検知実行判定部212)と、を備える。
上記構成の本実施形態に係る燃料噴射制御装置によれば、燃料噴射弁による燃料噴射が正常に実行されたかを判定する異常判定において、噴射機能(例えば分割噴射機能)が正常な状態にもかかわらず、噴射機能の異常と判定する可能性のある場合を内燃機関の状態に基づいて検出し、誤った異常判定を回避する制御を行う。これにより、噴射機能の異常判定において、誤判定を防止することができる。それゆえ、正確に噴射機能の異常を判定することができ、誤った異常判定(又は正常判定)による排気性能の悪化や内燃機関のトルク変動等を回避することができる。
また、本実施形態に係る燃料噴射制御装置(燃料噴射制御装置127)において、上記内燃機関(内燃機関101)の状態とは、燃料噴射弁(燃料噴射弁105)の駆動状態であって、少なくとも連続する噴射パルス信号の間隔(噴射インターバル901)、噴射パルス信号の幅、コイル(ソレノイド407)に印加する電圧(昇圧電圧210)、又は、噴射パルス信号の立ち上がりタイミング(噴射開始タイミングINJSOI_TRG)若しくは立ち下がりタイミングのいずれかである。
また、本実施形態に係る燃料噴射制御装置(燃料噴射制御装置127)において、上記内燃機関の状態(内燃機関101)とは、少なくとも内燃機関の回転速度又は温度のいずれかである。
<変形例>
以上、本発明の燃料噴射制御装置の一実施形態について、その作用効果も含めて説明した。しかし、本発明は上述した一実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した一実施形態は本発明を分かりやすく説明するために燃料噴射制御装置の構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されない。また、一実施形態の構成の一部について、他の構成要素の追加又は置換、削除をすることも可能である。
以上、本発明の燃料噴射制御装置の一実施形態について、その作用効果も含めて説明した。しかし、本発明は上述した一実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した一実施形態は本発明を分かりやすく説明するために燃料噴射制御装置の構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されない。また、一実施形態の構成の一部について、他の構成要素の追加又は置換、削除をすることも可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。ハードウェアとして、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを用いてもよい。
101…内燃機関、 105…燃料噴射弁、 109…ECU、 127…燃料噴射制御装置、 201…分割噴射制御指令部、 202…燃料噴射パルス信号演算部、 203…燃料噴射駆動波形指令部、 211…燃料噴射弁駆動状態検出部、 212…分割噴射異常検知実行判定部、 213…分割噴射異常検知部、 214…エンジン状態検知部、 407…ソレノイド
Claims (12)
- 通電用のコイルを有する複数の燃料噴射弁を制御する燃料噴射制御装置であって、
燃料噴射指令に基づいて前記燃料噴射弁を駆動するための噴射パルス信号を出力する燃料噴射パルス出力部と、
前記燃料噴射弁の前記コイルの通電電流又は印加電圧から前記燃料噴射弁の駆動状態を検出する駆動状態検出部と、
前記燃料噴射指令と前記燃料噴射弁の駆動状態を比較することで、前記燃料噴射弁の噴射異常を検知する噴射異常検知部と、
内燃機関の状態に基づいて、前記噴射異常検知部による噴射異常検知の実行可否を判定し、実行不可と判定した場合には前記噴射異常検知部による噴射異常検知を実行しない噴射異常検知実行判定部と、を備える
燃料噴射制御装置。 - 前記内燃機関の状態とは、前記燃料噴射弁の駆動状態であって、少なくとも連続する噴射パルス信号の間隔、噴射パルス信号の幅、前記コイルに印加する電圧、又は、噴射パルス信号の立ち上がりタイミング若しくは立ち下がりタイミングのいずれかである
請求項1に記載の燃料噴射制御装置。 - 前記内燃機関の状態とは、少なくとも前記内燃機関の回転速度又は温度のいずれかである
請求項1に記載の燃料噴射制御装置。 - 前記噴射異常検知実行判定部は、前回の噴射における噴射パルス信号の目標停止タイミングと、今回の噴射における噴射パルス信号の目標出力タイミングとの間隔が所定値より短い場合には、前記噴射異常検知部による噴射異常検知を実行しない
請求項2に記載の燃料噴射制御装置。 - 前記噴射異常検知実行判定部は、前記燃料噴射弁の通電時間指令である噴射パルス信号の幅が所定値より短い場合には、前記噴射異常検知部による噴射異常検知を実行しない
請求項2に記載の燃料噴射制御装置。 - 前記噴射異常検知実行判定部は、前記燃料噴射弁に印加する電圧が所定値以下の場合には、前記噴射異常検知部による噴射異常検知を実行しない
請求項2に記載の燃料噴射制御装置。 - 前記噴射異常検知実行判定部は、少なくとも前記噴射パルス信号の目標出力タイミング及び目標停止タイミングのいずれか一方のクランク角が、前記内燃機関の制御基準位置から所定回転角度以上である場合には、前記噴射異常検知部による噴射異常検知を実行しない
請求項2に記載の燃料噴射制御装置。 - 前記噴射異常検知実行判定部は、前記燃料噴射弁の通電停止が指令されている場合には、前記噴射異常検知部による噴射異常検知を実行しない
請求項2に記載の燃料噴射制御装置。 - 前記噴射異常検知部は、前記燃料噴射弁の通電停止が指令されている場合には、前記燃料噴射弁の通電停止中に前記駆動状態検出部から出力される前記燃料噴射弁の駆動電流検出信号がオンとなるときに前記燃料噴射弁の噴射異常と判断する
請求項2に記載の燃料噴射制御装置。 - 前記噴射異常検知実行判定部は、前記内燃機関の回転速度が所定値以上の場合には、前記噴射異常検知部による噴射異常検知を実行しない
請求項3に記載の燃料噴射制御装置。 - 前記噴射異常検知実行判定部は、前記内燃機関の冷却水の温度を測定する水温センサの測定値が所定値以上の場合には、前記噴射異常検知部による噴射異常検知を実行しない
請求項3に記載の燃料噴射制御装置。 - 前記噴射異常検知部は、前記燃料噴射指令による噴射パルス信号の目標出力タイミングと、前記駆動状態検出部から出力される前記燃料噴射弁の駆動電流検出信号の立ち上がりタイミングとを比較し、両タイミングの差分に基づいて前記燃料噴射弁の噴射異常を検知する
請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
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