WO2021251089A1 - 除細動用電気装置、及び除細動信号の発生方法 - Google Patents

除細動用電気装置、及び除細動信号の発生方法 Download PDF

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慎一郎 坂本
友美 河野
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  • the present invention relates to an electric device for defibrillation and a method for generating a defibrillation signal.

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Abstract

心電波形(50)のn番目のR波と推定されるイベント(E)からn+1番目のR波と推定されるイベント(En+1)までの時間間隔である第1の時間間隔(T)が第1の所定時間を超え、n+1番目のR波と推定されるイベント(En+1)の波形の高さが第1の所定値(C)を上回ってから第2の所定値(C)に到達するまでの立ち上がり時間が第3の所定時間以下であったとき以降に、許可信号発生部からn+1番目のR波と推定されるイベント(En+1)に対して許可信号を発生させ、第1の時間間隔(T)が第1の所定時間以下であったとき、または、n+1番目のR波と推定されるイベント(En+1)の立ち上がり時間が第3の所定時間を超えていたときには、心電波形(50)のn番目のR波と推定されるイベント(E)からn+2番目のR波と推定されるイベント(En+2)までの時間間隔である第2の時間間隔(T)が第2の所定時間を超え、n+2番目のR波と推定されるイベント(En+2)の波形の高さが第1の所定値(C)を上回ってから第2の所定値(C)に到達するまでの立ち上がり時間が第3の所定時間以下であったとき以降に、許可信号発生部からn+2番目のR波と推定されるイベント(En+2)に対し許可信号を発生させるように制御されている除細動用電気装置。

Description

除細動用電気装置、及び除細動信号の発生方法
 本発明は、除細動用電気装置、及び除細動信号の発生方法に関する。
 心房細動や心室細動等の不整脈の治療では、電気的刺激を付与することで心臓のリズムを正常に戻す除細動が行われる。除細動には、自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator:AED)、植え込み型除細動器(Implantable Cardioverter Defibrillator:ICD)、除細動パドルシステム、除細動カテーテルシステムが用いられる。
 特に、心房細動の治療では、心室筋が反応しないように絶対不応期に電圧を印加する必要がある。もし、絶対不応期以外に刺激を付与した場合、心室筋が反応すると心室細動に移行するおそれがある。このため、除細動カテーテルシステムでは、R波に同期させて電圧を印加する必要がある。
 このような治療で用いられる除細動カテーテルシステムの一例として特許文献1には、心腔内に挿入されて除細動を行う除細動カテーテルと、この除細動カテーテルの電極に直流電圧を印加する電源装置と、心電計とを備えたカテーテルシステムが開示されている。電源装置は、DC電源部と、エネルギー印加準備スイッチおよびエネルギー印加実行スイッチを含む外部スイッチと、DC電源部を制御する演算処理部とを備えている。除細動が行われるときには、DC電源部から、演算処理部の出力回路およびカテーテル接続コネクタを経由して、除細動カテーテルの第1電極群と第2電極群とに、互いに異なる極性の電圧が印加される。電源装置の演算処理部は、心電図入力コネクタを経由して心電計から入力された心電図からR波と推定されるイベントを逐次センシングする。印加実行スイッチの入力後にセンシングされたイベント(V)の極性が、少なくとも、その1つ前にセンシングされたイベント(Vn-1)の極性およびその2つ前にセンシングされたイベント(Vn-2)の極性と一致し、かつ、印加準備スイッチを入力してから印加実行スイッチを入力するまでの間に異常波高イベントが発生したときには、異常波高イベントの発生から一定の待機時間の経過後にイベント(V)がセンシングされている場合に限り、当該イベント(V)に同期して、第1電極群および第2電極群に電圧が印加されるように演算処理してDC電源部を制御する。
特開2018-68981号公報
 しかし、特許文献1に記載されている心腔内除細動カテーテルシステムにおいては、増高T波やドリフト(ベースラインの上昇)により見かけ上は高くなったT波が発生したときの上昇局面など、R波ではないがトリガレベルを超えた波形を誤ってR波として検出してしまう恐れがあった。また、特許文献1に記載されている心腔内除細動カテーテルシステムは、連続する3つのイベントを確認しなければならないものであり、R波の検出に時間を要し、心房細動の発生から電圧の印加までに時間を要することがあった。さらに、特許文献1に記載されている心腔内除細動カテーテルシステムは、R波と次のR波の間隔が狭い患者に対しては、除細動のための電圧を印加することができなかった。そのため、近年では新たな許可信号の発生機構を備えた除細動装置の開発が望まれている。
 本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、新たな除細動用電気装置、及び、除細動信号の発生方法を提供することにある。
 上記課題を解決することのできた本発明に係る除細動用電気装置は、以下の通りである。
[1]心電波形入力部と、
 除細動のための電圧の印加を許可する許可信号を発生させる許可信号発生部と、を有し、
 下記要件1または下記要件2を満たすことを特徴とする除細動用電気装置。
 ただし、下記n番目、n+1番目、n+2番目のR波と推定されるイベントはこの順で検出されるもので、nは1以上の整数である。
(要件1)
 心電波形のn番目のR波と推定されるイベントからn+1番目のR波と推定されるイベントまでの時間間隔である第1の時間間隔が第1の所定時間を超え、n+1番目のR波と推定されるイベントの波形の高さが第1の所定値を上回ってから第2の所定値に到達するまでの立ち上がり時間が第3の所定時間以下であったとき以降に、許可信号発生部からn+1番目のR波と推定されるイベントに対して許可信号を発生させるように制御されている。
(要件2)
 第1の時間間隔が第1の所定時間以下であったとき、または、n+1番目のR波と推定されるイベントの上記立ち上がり時間が第3の所定時間を超えていたときには、心電波形のn番目のR波と推定されるイベントからn+2番目のR波と推定されるイベントまでの時間間隔である第2の時間間隔が第2の所定時間を超え、n+2番目のR波と推定されるイベントの波形の高さが上記第1の所定値を上回ってから上記第2の所定値に到達するまでの立ち上がり時間が上記第3の所定時間以下であったとき以降に、許可信号発生部からn+2番目のR波と推定されるイベントに対して許可信号を発生させるように制御されている。
 上記除細動用電気装置では、R波と推定されるイベント同士の間隔が一定時間以上開いているときに許可信号を発生させる。通常、心電波形におけるR波と該R波の後に現れるT波との間隔は、R波と次のR波との間隔よりも短い。このため、まず要件1によって増高したT波やドリフトした上昇局面をR波と誤検出することを抑制でき、最短で2つの上記イベントを用いることで電圧の印加対象とすることができるR波を検出することができる。したがって、従来と比較してR波の検出時間を短縮することができる。また、要件1を満たさない場合、例えばR波同士の間隔が狭くなっているような場合であっても、要件2によりR波と推定されるイベントからR波を特定することが可能である。
 更に本発明には、下記[2]~[10]の除細動用電気装置も含まれる。
[2]上記第1の所定時間と上記第2の所定時間は、それぞれ100m秒以上300m秒以下である[1]に記載の除細動用電気装置。
[3]上記第1の所定時間と上記第2の所定時間は同じである[1]または[2]に記載の除細動用電気装置。
[4]上記第3の所定時間は、10m秒以上50m秒以下である[1]~[3]のいずれか一項に記載の除細動用電気装置。
[5]上記第1の時間間隔は、心電波形のn番目のR波と推定されるイベントのピークからn+1番目のR波と推定されるイベントのピークまでの時間間隔であり、
 上記第2の時間間隔は、心電波形のn番目のR波と推定されるイベントのピークからn+2番目のR波と推定されるイベントのピークまでの時間間隔である[1]~[4]のいずれか一項に記載の除細動用電気装置。
[6]下記要件3を満たしたとき以降に上記許可信号発生部から上記許可信号を発生させるように制御されている[1]~[5]のいずれか一項に記載の除細動用電気装置。
(要件3)
 心電波形入力部から入力される心電波形のn番目のR波と推定されるイベントの波形の高さが上記第1の所定値を上回ってから上記第2の所定値に到達するまでの立ち上がり時間が上記第3の所定時間以下である。
[7]心電波形を微分して微分値を算出する演算処理制御部をさらに有し、
 さらに下記要件4を満たしたとき以降に上記許可信号発生部から上記許可信号を発生させるよう制御されている[1]~[6]のいずれか一項に記載の除細動用電気装置。
(要件4)
 n+1番目のR波と推定されるイベントのピークを越えた後、且つ、n+1番目のR波と推定されるイベントから上記演算処理制御部で生成される微分値が第3の所定値以下である、または、n+2番目のR波と推定されるイベントのピークを越えた後、且つ、n+2番目のR波と推定されるイベントから上記演算処理制御部で生成される微分値が第3の所定値以下である。
[8]下記要件5を満たしたとき以降に上記許可信号発生部から上記許可信号を発生させるように制御されている[1]~[7]のいずれか一項に記載の除細動用電気装置。
(要件5)
 上記n番目のR波と推定されるイベントのピークを越えた後、且つ、n番目のR波と推定されるイベントから上記演算処理制御部で生成される微分値が第3の所定値以下である。
[9]上記第1の時間間隔が上記第1の所定時間を超え、n+1番目のR波と推定されるイベントの波形の高さが上記第1の所定値を上回ってから上記第2の所定値に到達するまでの立ち上がり時間が上記第3の所定時間以下であったとき以降に、n+1番目のR波と推定されるイベントに対して印を付与するための印表示信号を発生させるように制御され、
 上記第1の時間間隔が上記第1の所定時間以下であったとき、または、n+1番目のR波と推定されるイベントの上記立ち上がり時間が第3の所定時間を超えていたときであって、上記第2の時間間隔が上記第2の所定時間を超え、n+2番目のR波と推定されるイベントの波形の高さが上記第1の所定値を上回ってから上記第2の所定値に到達するまでの立ち上がり時間が上記第3の所定時間以下であったとき以降に、n+2番目のR波と推定されるイベントに対して印を付与するための印表示信号を発生させるように制御されている[1]~[8]のいずれか一項に記載の除細動用電気装置。
[10]心腔内除細動用電気装置である[1]~[9]のいずれか一項に記載の除細動用電気装置。
 また、本発明には、以下の[11]の心腔内除細動カテーテルシステムも含まれる。
[11]心腔内に挿入され、遠位端と近位端を有しているカテーテルであって、その遠位部に複数の電極が設けられているカテーテルと、
 上記複数の電極に電圧を印加する[1]~[10]のいずれか一項に記載の除細動用電気装置と、を備えた心腔内除細動カテーテルシステム。
 更に本発明には、以下の[12]の除細動信号の発生方法も含まれる。
[12]心電波形のn番目のR波と推定されるイベントからn+1番目のR波と推定されるイベントまでの時間間隔である第1の時間間隔が第1の所定時間を超えるか否かを判別するステップと、
 n+1番目のR波と推定されるイベントの波形の高さが第1の所定値を上回ってから第2の所定値に到達するまでの立ち上がり時間が第3の所定時間以下であるか否かを判別するステップと、
 上記第1の時間間隔が第1の所定時間を超え、n+1番目のR波と推定されるイベントの波形の高さが上記第1の所定値を上回ってから上記第2の所定値に到達するまでの立ち上がり時間が上記第3の所定時間以下であったとき以降にn+1番目のR波と推定されるイベントに同期して許可信号を発生させ、
 上記第1の時間間隔が上記第1の所定時間以下であったとき、または、n+1番目のR波と推定されるイベントの上記立ち上がり時間が上記第3の所定時間を超えていたときには、n番目のR波と推定されるイベントからn+2番目のR波と推定されるイベントまでの時間間隔である第2の時間間隔が第2の所定時間を超えるか否か、及び、n+2番目のR波と推定されるイベントの波形の高さが上記第1の所定値を上回ってから上記第2の所定値に到達するまでの立ち上がり時間が上記第3の所定時間以下であるか否かを判別し、上記第2の時間間隔が第2の所定時間を超え、n+2番目のR波と推定されるイベントの波形の高さが上記第1の所定値を上回ってから上記第2の所定値に到達するまでの立ち上がり時間が上記第3の所定時間以下であったとき以降にn+2番目のR波と推定されるイベントに同期して許可信号を発生させるステップと、を有することを特徴とする除細動信号の発生方法。
 ただし、上記n番目、n+1番目、n+2番目のR波と推定されるイベントはこの順で検出されるものであり、nは1以上の整数である。
 上記除細動信号の発生方法によれば、増高したT波やドリフトした上昇局面をR波と誤検出することを抑制でき、最短で2つのR波と推定されるイベントを用いることで電圧の印加対象とすることができるR波を検出することができる。したがって、従来と比較してR波の検出時間を短縮することができる。また、例えばR波同士の間隔が狭くなっているような場合であっても、R波と推定されるイベントからR波を検出することが可能である。
 上記除細動用電気装置、及び、除細動信号の発生方法によれば、増高したT波やドリフトした上昇局面をR波と誤検出することを抑制でき、最短で2つのR波と推定されるイベントを用いることで電圧の印加対象とすることができるR波を検出することができる。したがって、従来と比較してR波の検出時間を短縮することができる。また、例えばR波同士の間隔が狭くなっているような場合であっても、R波と推定されるイベントからR波を検出することが可能である。
本発明の第1の実施の形態に係る除細動用電気装置を含む除細動カテーテルシステムの構成を示す模式図である。 心電波形の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る除細動信号の発生方法を示すフローチャートである。 心電波形の一例を示す図である。 図3に示した除細動信号の発生方法の変形例を示すフローチャートである。 心電波形と、心電波形の微分値の集合体である微分波形の一例を示す図である。 図3に示した除細動信号の発生方法の他の変形例を示すフローチャートである。 図3に示した除細動信号の発生方法の他の変形例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係る除細動用電気装置を含む除細動カテーテルシステムのブロック図である。 本発明の第2の実施の形態に係る除細動用電気装置のブロック図である。
 以下、本発明に関して、図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定されることはなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。各図において、便宜上、ハッチングや符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図を参照するものとする。また、図面における種々部品の寸法は、本発明の特徴を理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
 本発明の一実施形態に係る除細動用電気装置は、心電波形入力部と、除細動のための電圧の印加を許可する許可信号を発生させる許可信号発生部と、を有し、下記要件1または下記要件2を満たすものである。ただし、下記n番目、n+1番目、n+2番目のR波と推定されるイベントはこの順で検出されるもので、nは1以上の整数である。
(要件1)
 心電波形のn番目のR波と推定されるイベントからn+1番目のR波と推定されるイベントまでの時間間隔である第1の時間間隔が第1の所定時間を超え、n+1番目のR波と推定されるイベントの波形の高さが第1の所定値を上回ってから第2の所定値に到達するまでの立ち上がり時間が第3の所定時間以下であったとき以降に、許可信号発生部からn+1番目のR波と推定されるイベントに対して許可信号を発生させるように制御されている。
(要件2)
 第1の時間間隔が第1の所定時間以下であったとき、または、n+1番目のR波と推定されるイベントの上記立ち上がり時間が上記第3の所定時間を超えていたときには、心電波形のn番目のR波と推定されるイベントからn+2番目のR波と推定されるイベントまでの時間間隔である第2の時間間隔が第2の所定時間を超え、n+2番目のR波と推定されるイベントの波形の高さが第1の所定値を上回ってから第2の所定値に到達するまでの立ち上がり時間が第3の所定時間以下であったとき以降に、許可信号発生部からn+2番目のR波と推定されるイベントに対して許可信号を発生させるように制御されている。
 上記除細動用電気装置では、R波と推定されるイベント同士の間隔が一定時間以上開いているときに許可信号を発生させる。通常、心電波形におけるR波と該R波の後に現れるT波との間隔は、R波と次のR波との間隔よりも短い。このため、まず要件1によって増高したT波やドリフトした上昇局面をR波と誤検出することを抑制でき、最短で2つの上記イベントを用いることで電圧の印加対象とすることができるR波を検出することができる。したがって、従来と比較してR波の検出時間を短縮することができる。また、要件1を満たさない場合、例えばR波同士の間隔が狭くなっているような場合であっても、要件2によりR波と推定されるイベントからR波を検出することが可能である。
 以下では、図1~図4を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る除細動用電気装置の構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る除細動用電気装置を含む除細動カテーテルシステムの構成を示す模式図である。図2は、心電波形の一例を表す図である。図3は、本発明の実施の形態に係る除細動信号の発生方法を示すフローチャートである。図4は、心電波形の一例を示す図である。図2及び図4中、時間軸方向に延びる実線Bは、心電波形のベースラインであり、破線Cは、第1の所定値を示す線、破線Cは、第2の所定値を示す線である。
 図1の除細動用電気装置2は、心電波形入力部3と許可信号発生部7とを備えるものである。除細動用電気装置2には、例えば、人体の体表面に配置された体表電極19から得られた心電波形が心電計40等を介して、心電波形入力部3から入力されるようになっている。更に、除細動用電気装置2は、上記要件1または要件2を満たす。詳細には、図2~図4に示すように、心電波形50のn番目のR波と推定されるイベントEからn+1番目のR波と推定されるイベントEn+1までの時間間隔である第1の時間間隔Tを計算し、第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超えるか否かを判別する(ステップS1)。第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超えた場合、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であるか否かを判別する(ステップS2)。n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったとき以降に、上記許可信号発生部7からn+1番目のR波と推定されるイベントEn+1に対して除細動のための許可信号を発生させるように制御されている(ステップS3)。上記第1の時間間隔Tが上記第1の所定時間以下であったとき、または、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の上記立ち上がり時間50wが上記第3の所定時間を超えていたときには、心電波形50のn番目のR波と推定されるイベントEからn+2番目のR波と推定されるイベントEn+2までの時間間隔である第2の時間間隔Tを計算し、第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超えるか否かを判別する(ステップS4)。第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超えた場合、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であるか否かを判別する(ステップS5)。n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったとき以降に、上記許可信号発生部7からn+2番目のR波と推定されるイベントEn+2に対して除細動のための許可信号を発生させるように制御されている(ステップS6)。図示していないが、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であるか否かを判別(ステップS2)した後に、第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超えるか否かを判別(ステップS1)してもよい。同様に、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であるか否かを判別(ステップS5)した後に、第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超えるか否かを判別(ステップS4)してもよい。
 図2に示すように、上記n番目、n+1番目、n+2番目のR波と推定されるイベントEは、この順で検出されるもので、nは1以上の整数である。
 心電波形50中、いずれの波形をR波と推定されるイベントEとして検出するのか、その方法は特に限定されない。図示していないが、例えば心電波形50のうち第4の所定値C(単位はmV)以上のイベントをR波と推定されるイベントEとして検出してもよい。第4の所定値Cは、心電計40によって取得された心電波形50から適宜設定されればよく、例えば、第4の所定値CはベースラインBよりも高い値であることが好ましい。心電波形50においてベースラインBの高さを0%、最大ピークの高さを100%としたときに、第4の所定値Cは50%以上、70%以上、または85%以上の値に設定されていてもよい。ベースラインBは、例えば、隣り合うP波の開始点同士を結んだ直線とすることや、隣り合うR波と推定されるイベントの開始点同士を結んだ直線とすることができる。また、他の方法として、心電波形50の複数の周期においてそれぞれ最大ピークを算出し、複数の最大ピークの平均高さを算出して、平均高さの70%以上、または80%以上の高さに到達したイベントを、R波と推定されるイベントEとして検出してもよい。
 第1の時間間隔Tは、心電波形50のうちのn番目のR波と推定されるイベントEからn+1番目のR波と推定されるイベントEn+1までの時間間隔(単位:秒)である。第1の時間間隔Tを設定する方法は特に限定されないが、図2に示すように、第1の時間間隔Tは、心電波形50のn番目のR波と推定されるイベントEのピーク51pからn+1番目のR波と推定されるイベントEn+1のピーク51pまでの時間間隔であることが好ましい。心電波形50のピーク位置は特定し易いため、このような方法により第1の時間間隔Tを短時間で計算することができる。その結果、電圧印加対象となるR波を早期に検出することができるようになり、患者に対して早期に電圧を印加することができる。
 第1の時間間隔Tの算出には、隣り合うR波と推定されるイベントEのピーク以外の特定の時間同士の間隔を用いることもできる。例えば、第1の時間間隔Tは、隣り合うR波と推定されるイベントEにおいてピークよりも前の時間同士を比較することによって算出してもよい。図示していないが、第1の時間間隔Tは、心電波形50のn番目のR波と推定されるイベントEの波形の高さが第5の所定値を上回る時点からn+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが上記第5の所定値を上回る時点までの時間間隔であることも好ましい。ここで、第5の所定値は、R波と推定されるイベントEの開始51sから当該イベントEのピーク51pまでの波形の高さの間にあるものとする。心電波形50においてベースラインBの高さを0%、最大ピークの高さを100%としたときに、第5の所定値は、例えば10%以上、50%以上、または90%以上の値に設定されていてもよい。このように第5の所定値を設定することによって、早い段階で第1の時間間隔Tを算出することができる。なお、第1の時間間隔Tは、心電波形50のn番目のR波と推定されるイベントEの開始51sからn+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の開始51sまでの時間間隔であってもよい。n番目のR波と推定されるイベントEの波形の高さが所定値を上回る時点とは、n番目のR波と推定されるイベントEの波形の高さが当該所定値を最初に上回る時点を意味する。以降の説明においても同様である。
 別の実施態様として、第1の時間間隔Tが、心電波形50のn番目のR波と推定されるイベントEの波形の高さが第6の所定値を下回る時点から、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが上記第6の所定値を下回る時点までの時間間隔であってもよい。ここで、第6の所定値は、R波と推定されるイベントEのピーク51pから終了51fまでの波形の高さの間にあるものとする。心電波形50においてベースラインBの高さを0%、最大ピークの高さを100%としたときに、第6の所定値は、例えば、95%以下、50%以下、または20%以下の値に設定されていてもよい。このように第6の所定値を設定することによっても、R波と推定されるイベントEの中から電圧印加対象とすることができるR波を特定することが可能である。なお、第1の時間間隔Tは、心電波形50のn番目のR波と推定されるイベントEの終了51fからn+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の終了51fまでの時間間隔であってもよい。n番目のR波と推定されるイベントEの波形の高さが所定値を下回る時点とは、n番目のR波と推定されるイベントEの波形の高さが当該所定値を最初に下回る時点を意味する。以降の説明においても同様である。
 第2の時間間隔Tは、心電波形50のうちのn番目のR波と推定されるイベントEからn+2番目のR波と推定されるイベントEn+2までの時間間隔(単位:秒)である。第2の時間間隔Tを設定する方法は特に限定されないが、図2に示すように、第1の時間間隔Tが、心電波形50のn番目のR波と推定されるイベントEのピーク51pからn+1番目のR波と推定されるイベントEn+1のピーク51pまでの時間間隔である場合、第2の時間間隔Tは、心電波形50のn番目のR波と推定されるイベントEのピーク51pからn+2番目のR波と推定されるイベントEn+2のピーク51pまでの時間間隔であることが好ましい。心電波形50のピーク位置は特定し易いため、第1の時間間隔Tの場合と同様に、上記方法により第2の時間間隔Tを短時間で計算することができる。
 第1の時間間隔Tと同様に、第2の時間間隔Tとして、ピーク以外の特定の時間同士の間隔を用いることもできる。図示していないが、例えば、第1の時間間隔Tが心電波形50のn番目のR波と推定されるイベントEの波形の高さが上記第5の所定値を上回る時点からn+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが上記第5の所定値を上回る時点までの時間間隔である場合、第2の時間間隔Tは、心電波形50のn番目のR波と推定されるイベントEの波形の高さが上記第5の所定値を上回る時点から、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の高さが上記第5の所定値を上回る時点までの時間間隔であることも好ましい。このように第5の所定値を設定することで、早い段階で第2の時間間隔Tを算出することができる。
 別の実施態様として、第1の時間間隔Tが、心電波形50のn番目のR波と推定されるイベントEの波形の高さが上記第6の所定値を下回る時点から、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが上記第6の所定値を下回る時点までの時間間隔である場合、第2の時間間隔Tは、心電波形50のn番目のR波と推定されるイベントEの波形の高さが上記第6の所定値を下回る時点から、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の高さが上記第6の所定値を下回る時点までの時間間隔であってもよい。このように第6の所定値を設定することによっても、第2の時間間隔Tを算出することが可能である。
 第1の時間間隔Tが、心電波形50のn番目のR波と推定されるイベントEの開始51sからn+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の開始51sまでの時間間隔である場合、第2の時間間隔Tは、心電波形50のn番目のR波と推定されるイベントEの開始51sからn+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の開始51sまでの時間間隔であってもよい。また、第1の時間間隔Tが、心電波形50のn番目のR波と推定されるイベントEの終了51fからn+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の終了51fまでの時間間隔である場合、第2の時間間隔Tは、心電波形50のn番目のR波と推定されるイベントEの終了51fからn+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の終了51fまでの時間間隔であってもよい。
 第1の時間間隔Tと第2の時間間隔Tは、後述する演算処理制御部8によって計算することができる。
 第1の所定時間は、患者に応じて設定することができるが、例えば、100m秒以上であることが好ましく、150m秒以上であることがより好ましく、200m秒以上であることがさらに好ましい。また、第1の所定時間は、300m秒以下であることが好ましく、290m秒以下であることがより好ましく、280m秒以下であることがさらに好ましい。
 第2の所定時間は、第1の所定時間と同様に患者に応じて設定することができるが、例えば、100m秒以上であることが好ましく、150m秒以上であることがより好ましく、200m秒以上であることがさらに好ましい。また、第2の所定時間は、300m秒以下であることが好ましく、290m秒以下であることがより好ましく、280m秒以下であることがさらに好ましい。
 第1の所定時間と第2の所定時間は、それぞれ100m秒以上であることが好ましく、それぞれ150m秒以上であることがより好ましく、それぞれ200m秒以上であることがさらに好ましい。また、第1の所定時間と第2の所定時間は、それぞれ300m秒以下であることが好ましく、それぞれ290m秒以下であることがより好ましく、それぞれ280m秒以下であることがさらに好ましい。このように第1の所定時間と第2の所定時間を設定することにより、R波と推定されるイベントEの中からR波を特定し易くなる。
 第1の所定時間と第2の所定時間が同じであることが好ましい。これにより、R波同士の間隔が狭くなっているような場合であっても、R波と推定されるイベントEの中からR波を特定し易くなる。なお、第1の所定時間と第2の所定時間は、互いに異なっていてもよい。
 図4で示すように、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の立ち上がり時間50wは、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでにかかる時間である。
 図4で示すように、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の立ち上がり時間50wは、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでにかかる時間である。
 第1の所定時間、第2の所定時間、第3の所定時間は、後述するメモリに記憶されていることが好ましい。またこれらは同じメモリに記憶されている必要はなく、それぞれ別のメモリに記憶されていてもよい。なお、第1の実施の形態に係る除細動用電気装置2では、第1の所定時間、第2の所定時間、第3の所定時間がメモリ5に記憶されている。
 要件1において許可信号発生部7から許可信号が発生されるのは、第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超え、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったとき以降であればよい。例えば、第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超えたときから60m秒以内に許可信号が発生されることが好ましく、50m秒以内に許可信号が発生されることがより好ましく、10m秒以内に許可信号が発生されることがさらに好ましい。第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超え、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったときに許可信号を発生させることも好ましい。
 要件2において許可信号発生部7から許可信号が発生されるのは、上記第1の時間間隔が上記第1の所定時間以下であったとき、または、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の上記立ち上がり時間50wが上記第3の所定時間を超えていたときであって、第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超え、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったとき以降であればよい。例えば、第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超えたときから60m秒以内に許可信号が発生されることが好ましく、50m秒以内に許可信号が発生されることがより好ましく、10m秒以内に許可信号が発生されることがさらに好ましい。第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超え、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったときに許可信号を発生させることも好ましい。
 第2の時間間隔Tが第2の所定時間以下であったときは、許可信号発生部7から許可信号が発生しないように制御されていることが好ましい。また、第2の時間間隔Tが第2の所定時間以下であったときは、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2をn番目のR波と推定されるイベントEと認識しなおして、第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超えたか否かを判別してもよい。あるいは、第2の時間間隔Tが第2の所定時間以下であったときは、図3に示すように、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の次に検知されたR波と推定されるイベントEをn番目のR波と推定されるイベントEと認識しなおして、第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超えたか否かを判別してもよい。このように検知されたR波と推定されるイベントEが要件1または要件2に記載の所定時間を満たすか否かを繰り返し判別することによってR波に対して適切に電圧を印加することができる。
 許可信号は、除細動のための電圧の印加に関する信号であれば特に限定されず、例えば後述する電源部9に対する充電の許可信号、パルス電圧の生成の許可信号、電圧印加の許可信号、後述する切替部10に対するスイッチオンの許可信号等が挙げられる。上記要件1または要件2において、許可信号発生部7は、これらの許可信号のうち少なくとも一つの許可信号を発生させればよい。一方、後述する操作部6の操作等により、これらの許可信号のうちの一部の許可信号を発生させてもよい。なお許可信号発生部7は、後述する演算処理制御部8に限らず、電源部9等に設けられていてもよい。
 図2に示すような心電波形50は、例えば心電計の表示部に表示される。心電波形50は、R波と推定されるイベントEを検出し易い第II誘導により得られた波形であることが好ましい。但し、心電波形50は第II誘導に限らず、患者の心臓の向きによって他の誘導によって得てもよい。例えば12誘導で心電波形50を得る場合、心電波形50は、V1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導、V6誘導、第I誘導、第II誘導、第III誘導、aVR誘導、aVL誘導、又はaVF誘導で得られた波形であってもよい。また心電波形50は、2つ以上の誘導の平均の波形であってもよく、3つ以上の誘導の平均の波形であってもよく、12誘導の平均の波形であってもよい。
 次に、図4~図5を参照して、R波を精度よく検出するための構成について説明する。図5は、図3に示した除細動信号の発生方法の変形例を示すフローチャートである。図4~図5に示すように、本発明の実施の形態に係る除細動用電気装置2は、下記要件3を満たしたとき以降に上記許可信号発生部7から許可信号を発生させるように制御されていることが好ましい。より詳細には、上記除細動用電気装置2は下記要件3を満たしたとき以降に、上記要件1、または、上記要件2における許可信号を発生させるように制御されていることが好ましい。
(要件3)
 心電波形入力部3から入力される心電波形50のn番目のR波と推定されるイベントEの波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下である。
 例えば、図5に示すように、まず検出されたn番目のR波と推定されるイベントEが要件3を満たすかどうかを判別し(ステップS7)、その後第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超えたかどうかを判別している(ステップS1)。このように要件3を用いてn番目のR波と推定されるイベントEをスクリーニングすることで、R波の検出精度を高めることができる。なお、図示していないが、第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超えたかどうかを判別(ステップS1)した後、または、第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超えたかどうかを判別(ステップS4)した後に、R波と推定されるイベントEが要件3を満たすかどうかを判別(ステップS7)してもよい。
 このように要件3を用いることにより、要件1または要件2の適用対象となるR波と推定されるイベントEの中から増高したT波やドリフトした上昇局面を除くことができ、R波の誤検出に伴う電圧の印加を回避し易くすることができる。R波の幅は、通常、T波の幅よりも狭いが、増高T波の場合であっても同様の傾向が見られる。このため、要件3を用いることより、増高したT波やドリフトした上昇局面に対する誤印加を回避し易くなる。
 波形の高さは、心電波形50の縦軸の電位の値を示している。波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wは、図4に示すように、波形の高さが第1の所定値Cより大きく、第2の所定値C以下となっている時間軸方向における長さをいう。立ち上がり時間50wは後述する演算処理制御部8によって計算することができる。
 第1の所定値Cは、心電計40によって取得された心電波形50を基に適宜設定されればよい。第1の所定値Cは、図4に示すように、ベースラインBよりも高い値であることが好ましい。心電波形50においてベースラインBの高さを0%、最大ピークの高さを100%としたときに、第1の所定値Cは、15%以下、10%以下、5%以下の値に設定されていてもよい。なお、第1の所定値Cの単位はmVである。
 第2の所定値Cは、心電計40によって取得された心電波形50を基に適宜設定されればよい。図4に示すように、心電波形50においてベースラインBの高さを0%、最大ピークの高さを100%としたときに、第2の所定値Cは、60%以上、80%以上、90%以上の値に設定されていてもよい。なお、第2の所定値Cの単位はmVである。
 第3の所定時間は、10m秒以上であることが好ましく、15m秒以上であることがより好ましく、20m秒以上であることがさらに好ましい。これにより、立ち上がり時間が10m秒未満である高周波ノイズに対する電圧の印加を回避することができる。また、第3の所定時間は、60m秒以下であることが好ましく、55m秒以下であることがより好ましく、50m秒以下であることがさらに好ましい。一般に、T波の立ち上がり時間は60m秒を超える傾向にある。このため、第3の所定時間を60m秒以下に設定することで、増高したT波やドリフトした上昇局面をR波と誤検出することを防ぐことができる。
 第1の所定値C、第2の所定値C及び第3の所定時間は、後述するメモリに記憶されていることが好ましい。またこれらは同じメモリに記憶されている必要はなく、それぞれ別のメモリに記憶されていてもよい。
 図6~図8を参照して、R波を精度よく検出するための他の構成について説明する。図6は、心電波形(上段)と、心電波形の微分値の集合体である微分波形(下段)の一例を示す図である。図7及び図8は、図3に示した除細動信号の発生方法の変形例を示すフローチャートである。図6中、時間軸方向に延びる破線は、縦軸の値(微分値)が第3の所定値Cを示している。図6中、時間軸方向に延びる実線Bは、微分波形のベースラインを示している。
 図1に示すように、除細動用電気装置2は、心電波形50を微分して微分値を算出する演算処理制御部8をさらに有し、図6~図7に示すように、さらに下記要件4を満たしたとき以降に許可信号発生部7が許可信号を発生させるように制御されていることが好ましい。より詳細には、下記除細動用電気装置2は、上記要件1において下記要件4を満たしたとき以降、または、上記要件2において下記要件4を満たしたとき以降に許可信号を発生させるように制御されていることが好ましい。
(要件4)
 n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1のピーク51pを越えた後、且つ、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1から演算処理制御部8で生成される微分値が第3の所定値C以下である、または、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2のピーク51pを越えた後、且つ、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2から演算処理制御部8で生成される微分値が第3の所定値C以下である。
 図7では、まず第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超えたか否かを判別し(ステップS1)、第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超えたときは、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であるか否かを判別する(ステップS2)。n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったときは、検出されたR波と推定されるイベントEn+1が要件4を満たすかどうかを判別する(ステップS8)。第1の時間間隔Tが第1の所定時間以下であったとき、または、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の上記立ち上がり時間50wが第3の所定時間を超えていたときには、第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超えたか否かを判別する(ステップS4)。第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超えたときは、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であるか否かを判別する(ステップS5)。n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったときは、検出されたn+2番目のR波と推定されるイベントEn+2が要件4を満たすかどうかを判別する(ステップS9)。このように要件4を用いてR波と推定されるイベントEをスクリーニングすることで、R波の検出精度を高めることができる。なお、図示しないが、第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超えたかどうかを判別(ステップS1)した後、または、第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超えたかどうかを判別(ステップS4)した後に、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1またはn+2番目のR波と推定されるイベントEn+2が要件4を満たすかどうかを判別(ステップS8またはステップS9)してもよい。
 図1に示すように、除細動用電気装置2は、心電波形50を微分して微分値を算出する演算処理制御部8を有し、図6及び図8に示すように、下記要件5を満たしたとき以降に上記許可信号発生部7から許可信号を発生させるように制御されていることも好ましい。より詳細には、下記除細動用電気装置2は下記要件5を満たしたとき以降に、上記要件1、または、上記要件2における許可信号を発生させるように制御されていることが好ましい。
(要件5)
 上記n番目のR波と推定されるイベントEのピーク51pを越えた後、且つ、n番目のR波と推定されるイベントEから上記演算処理制御部8で生成される微分値が第3の所定値C以下である。
 図8では、まずn番目のR波と推定されるイベントEのピークを越えた後、且つ、n番目のR波と推定されるイベントEから演算処理制御部8で生成される微分値が第3の所定値C以下であるか否かを判別した後(ステップS10)、第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超えたか否かを判別する(ステップS1)。このように要件5を用いてR波と推定されるイベントEをスクリーニングすることで、R波の検出精度を高めることができる。なお、図示していないが、第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超えたかどうかを判別(ステップS1)した後、または、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であるか否かを判別(ステップS2)した後、または、第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超えたかどうかを判別(ステップS4)した後、または、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であるか否かを判別(ステップS5)した後に、R波と推定されるイベントEが要件5を満たすかどうかを判別(ステップS10)してもよい。
 図6の微分波形60は、心電波形50から生成される微分値の集合体の一例である。微分波形61は、微分波形60のうち、R波と推定される一のイベントEから生成される部分を示している。微分波形60の陰性波61Nは、心電波形50のR波と推定されるイベントEのピーク51pよりも後の下降局面51dのR波と推定されるイベントEから生成される微分値の集合体に相当するものである。以下では図6の微分波形60を参照しながら許可信号の発生のタイミングについて説明する。微分波形60のG点は微分値が第3の所定値Cに至った時点に相当し、G点以降のタイミングで許可信号を発生させるように除細動用電気装置2が制御されていればよい。図6中、G点を下回る波形は、R波と推定されるイベントEから生成される陰性波61N以外に存在していないため、印加対象の波形がR波であるか否かについて判別し易くすることができる。このような閾値(第3の所定値C)を設定することにより、R波の誤検出に伴う電圧の印加を回避し易くすることができる。一方、除細動用電気装置2は、陰性波61Nのピーク61b以前に許可信号を発生させるように制御されていることが好ましい。これにより絶対不応期内に除細動を完了し易くすることができる。また除細動用電気装置2は、微分値が第3の所定値Cに至ったとき(G点)から60m秒以内に許可信号を発生させるように制御されていることが好ましく、50m秒以内に許可信号を発生させるように制御されていることがより好ましく、10m秒以内に許可信号を発生させるように制御されていることが更に好ましく、微分値が第3の所定値Cに至ったときに許可信号を発生させるように制御されていることが特に好ましい。なお陰性波61Nのピーク61bは、R波と推定されるイベントEの下降局面51dにおける変曲点51cに相当する。
 上記R波と推定されるイベントEから生成される微分値として、後述する微分回路4を通して得られた微分値や、一般的な微分計算により得られた微分値等が挙げられる。また上記R波と推定されるイベントEから生成される微分値は、一次微分値であることが好ましい。一次微分値は、二次微分値よりも生成するまでの時間が短いため、心電情報取得から許可信号発生までの時間を短くすることができる。
 上記第3の所定値Cとは、例えば図6の微分波形60においては、ベースラインBの縦軸の値(微分値)を下回る値で、第3の所定値Cは負の値であることが好ましい。なお、ベースラインBの縦軸の値(微分値)は、R波と推定されるイベントEのピーク51pに相当する部分である微分波形60のO点の縦軸の値(微分値)と同じである。また第3の所定値Cは、微分回路4等の種類に応じて異なる値であってもよい。
 上記のように除細動用電気装置2は、心電波形50のR波と推定されるイベントEのピーク51pを超えた後の下降局面に相当する部分のR波と推定されるイベントEの微分値に対して閾値(第3の所定値C)が設けられていることが好ましい。当該構成を備えることにより、印加対象の波形がR波であるか否かについて判別し易くなり、R波の誤検出に伴う電圧の印加を回避し易くすることができる。
 第3の所定値Cは、後述するメモリに記憶されているか又は後述する比較器に設定されていることが好ましい。
 心電波形50中のいずれのR波と推定されるイベントEが電圧印加対象となり得るR波と推定されるイベントEに該当するものであるかを操作者が確認可能な構成としてもよい。例えば、上記第1の時間間隔Tが上記第1の所定時間を超え、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったとき以降に、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1に対して印を付与するための印表示信号を発生させるように制御され、上記第1の時間間隔Tが上記第1の所定時間以下であったとき、または、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の上記立ち上がり時間50wが第3の所定時間を超えていたときであって、上記第2の時間間隔Tが上記第2の所定時間を超え、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったとき以降に、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2に対して印を付与するための印表示信号を発生させるように制御されていることが好ましい。
 第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超え、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったとき以降であって、除細動のための許可信号を発生させるよりも前に、印表示信号を発生させるように制御されていることが好ましい。また、上記第1の時間間隔Tが上記第1の所定時間以下であったとき、または、n+1番目のR波と推定されるEn+1の上記立ち上がり時間50wが第3の所定時間を超えていたときであって、第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超え、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったとき以降であって、除細動のための許可信号を発生させるよりも前に、印表示信号を発生させるように制御されていることが好ましい。
 R波と推定されるイベントEに対して付与される上記印は、心電波形を表示する表示部において表示されるようになっていてもよい。これらの表示部や印については、後述する第2の実施の形態の表示部73の記載を参照することができる。
 上記のようにすることで、例えばR波と推定されるイベントEに付された印を目印としてR-R間隔等を目視で確認して心臓の状態を把握してから、除細動の非許可モードを許可モードに切り替えることができる。これにより除細動を実施し易くすることができ、安全性を高めることができる。
 除細動用電気装置2は、心腔内除細動用電気装置であることが好ましい。心腔内除細動用電気装置は、体外式除細動器に比べて低エネルギーの電圧波形を用いることができるため、患者の負担が軽減され、さらには不整脈のカテーテル検査や焼灼手術中に使用することもできる。
 以上、除細動用電気装置2の許可信号の発生に関する構成について主に説明したが、以下では、図1および図9を参照しながら、第1の実施の形態に係る除細動用電気装置2、及びそれを含む除細動カテーテルシステム1の構成について詳述する。図9は、本発明の実施の形態に係る除細動用電気装置2を含む除細動カテーテルシステム1のブロック図である。
 図9に示すように、本発明には、心腔内に挿入され、遠位端と近位端を有しているカテーテル20であって、その遠位部に複数の電極が設けられているカテーテル20と、複数の電極に電圧を印加する上記除細動用電気装置2と、を備えた心腔内除細動カテーテルシステム1が含まれる。
 ここで、カテーテルの近位側とはカテーテルの延在方向に対して操作者(術者)の手元側を指し、遠位側とは近位側の反対方向(即ち、処置対象側の方向)を指す。また、カテーテルの近位部とはカテーテルの延在方向に対して操作者(術者)の手元側半分を指し、カテーテルの遠位部とは近位部以外の部分(即ち、カテーテルの処置対象側半分)を指す。
 図1および図9の除細動カテーテルシステム1では、人体の体表面に配置された体表電極19から得られた心電情報が、第1導線31を介して心電計40に伝達されるようになっている。心電情報を取得する電極は、体表電極に限定されず、心内電位測定用の電極であってもよいが、体表電極がR波の検出感度に優れるため好ましい。体表電極としては12誘導用の電極が好ましい。
 図1および図9の除細動用電気装置2は、カテーテル20の遠位部に設けられる複数の電極に接続される第1接続部11と、心電計40に接続される第2接続部12と、印加電圧を発生させる電源部9と、電源部9に接続されており、電圧を印加する印加モードに切り替える切替部10とを有している。また第1接続部11は、切替部10を介して電源部9に接続されており、第1接続部11が、切替部10を介さずに第2接続部12に接続されている。第1接続部11が、切替部10を介さずに第2接続部12に接続されていることにより、除細動時であっても各電極における局所電位を測定することができる。
 また除細動用電気装置2は、心電波形入力部3を備えており、心電計40から出力された心電波形の情報が第2導線32等を介して心電波形入力部3から内部に入力されるようになっている。
 心電波形入力部3から入力された心電波形は、演算処理制御部8に伝達されてもよい。演算処理制御部8は、伝達された心電波形50において、第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超えたか否か、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であるか否か、第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超えたか否か、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であるか否か、を判別することができる。演算処理制御部8内には許可信号発生部7が設けられている。許可信号発生部7は、第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超え、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったとき以降にn+1番目のR波と推定されるイベントEn+1に対して電圧印加の許可信号を発生させることができる。また、許可信号発生部7は、上記第1の時間間隔Tが上記第1の所定時間以下であったとき、または、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の上記立ち上がり時間が第3の所定時間を超えていたときには、第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超え、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったとき以降にn+2番目のR波と推定されるイベントEn+2に対して電圧印加の許可信号を発生させることができる。当該許可信号は電源部9に伝達され、第1電極群21と第2電極群22に対して正負異なる極性の直流電圧を印加することができる。通電波形は、途中で極性が反転する二相性であってもよく、極性が一定である一相性であってもよいが、二相性の方がより少ないエネルギーで刺激することができるとされているため好ましい。生体に付与される通電エネルギーは、例えば1J以上30J以下に設定することができる。
 メモリ5としては公知のものを用いることができ、例えばランダムアクセスメモリ等の揮発性メモリや、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含むことができる。メモリ5は演算処理制御部8内に設けられていてもよい。なお除細動用電気装置2は、図示していないが心電波形を表示する表示部を有していてもよく、また表示部においてR波と推定されるイベントに対して印が表示されるようになっていてもよい。これらの表示部や印については、第2の実施の形態の表示部73の記載を参照することができる。
 微分回路4としては公知のものを用いることができる。微分回路4は、演算処理制御部8内に設けられていてもよい。微分回路4とメモリ5は、例えば後述するFPGA内で一体化されていてもよい。
 心電波形入力部3から入力された心電波形は、微分回路4を通じて、演算処理制御部8に伝達されてもよい。演算処理制御部8は、伝達された微分波形60がメモリ5に記憶された第3の所定値C以下であり、第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超え、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったとき以降に、許可信号発生部7はn+1番目のR波と推定されるイベントEn+1に対して電圧印加の許可信号を発生させることができる。また、演算処理制御部8は、第1の時間間隔Tが第1の所定時間以下であったとき、または、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の上記立ち上がり時間が第3の所定時間を超えていたときには、第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超え、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったとき以降に、許可信号発生部7はn+2番目のR波と推定されるイベントEn+2に対して電圧印加の許可信号を発生させることができる。
 電源部9は、例えば電源、直流電圧を昇圧する昇圧回路、充電回路、印加電圧を充電するコンデンサ、パルス電圧を生成する波形生成回路等を備えることが好ましい。なおこれらの少なくとも一部は電源部9外に設けられていてもよい。電源部9の位置は特に限定されず、例えば図9のように演算処理制御部8外に設けられていてもよいし、演算処理制御部8内に設けられていてもよい。
 要件1と要件2の少なくともいずれか一方において、許可信号発生部7は、スイッチオンの許可信号を発生するように制御されていてもよい。当該許可信号は切替部10の第1スイッチ10A、第2スイッチ10Bに伝達され、第1スイッチ10A、第2スイッチ10Bをオフ状態からオンの状態にすることができ、これにより第1電極群21、第2電極群22へ通電することができる。なお図9に示すように切替部10を構成するスイッチがオフ状態のときは、第1電極群21および第2電極群22は電源部9から絶縁されているため、除細動を行わずに第1電極群21および第2電極群22を用いて心内電位を測定することができる。
 除細動用電気装置2が備える少なくともいずれか1つの機能、例えば、心電波形入力部3、微分回路4、メモリ5、許可信号発生部7、演算処理制御部8、電源部9、切替部10の機能は、ハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアによって実現されてもよい。ハードウェアとしては、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路に形成された論理回路を挙げることができる。
 除細動用電気装置2は、心電波形入力部3、微分回路4、メモリ5、許可信号発生部7、演算処理制御部8、電源部9、切替部10の少なくともいずれか1つの機能を実現するためのソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えていてもよい。コンピュータは、プロセッサと、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えていることが好ましい。プロセッサがコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されたプログラムを実行することによって、上記機能が実現される。プロセッサとしては、CPU(Central Processing Unit)を用いることができる。記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)等を用いることができる。また、記録媒体には、RAM(Random Access Memory)を含むこともできる。上記プログラムは、このプログラムを伝送可能な任意の伝送媒体を介して上記コンピュータに供給されてもよい。伝送媒体としては、通信ネットワークや通信回線等が挙げられる。
 また図1および図9の除細動用電気装置2には、除細動用電気装置2の起動、停止、印加エネルギー量の設定、充電、電圧の印加、印加電極の選択等の各種操作を行うための操作部6が設けられていることが好ましい。操作部6としてはボタンスイッチ、レバー等の公知の入力手段を用いることができる。操作部6は演算処理制御部8と接続されていることが好ましく、これにより操作部6からの入力信号は演算処理制御部8に伝達される。なお、操作部6の操作により、上記許可信号のうちの一部の許可信号を発生させてもよい。
 切替部10は、1または2以上のスイッチを有していてもよい。図9に示すように切替部10は、互いに並列接続されている複数の第1スイッチ10Aと、互いに並列接続されている複数の第2スイッチ10Bとを有していることが好ましい。カテーテル20が、第1電極群21と第2電極群22とを有している場合、第1電極群21がそれぞれ第1スイッチ10Aを介して電源部9に接続されており、第2電極群22がそれぞれ第2スイッチ10Bを介して電源部9に接続されていることが好ましい。すなわち、第1電極群21と第2電極群22は、それぞれ異なるスイッチを介して電源部9に接続されていることが好ましい。これにより各電極群を電気的に分離することができるため、各電極群で独立して心内電位を取得することができる。
 除細動用電気装置2は、図1に示すように第1電極群21と第2電極群22よりも近位側に、心内電位の測定の専用電極である第3電極群23を有していてもよい。第3電極群23は近位側に位置するため、例えば上大動脈に対応する位置に配置することができる。第3電極群23は電源部9に接続されていないことが好ましい。これにより、第3電極群23を心内電位の測定の専用電極として使用し易くすることができる。
 各電極群を構成する電極の数は特に限定されず、各電極群共に同じであっても異なっていてもよい。中でも第1電極群21を構成する電極の数と、第2電極群22を構成する電極の数は同じことが好ましい。これにより、第1電極群21と第2電極群22の表面積を容易に同じにすることができる。各第1電極群21と各第2電極群22の表面積が同じであり、同じ数の電極が均等に配置されていることで、効率の良い除細動を行うことができ、かつ、心内心電図の計測の精度を向上することができる。
 第3電極群23を構成する電極の数は、第1電極群21を構成する電極の数、及び第2電極群22を構成する電極の数のそれぞれの数以下であることが好ましい。例えば、第1電極群21と第2電極群22の電極の数を各8つ、第3電極群23の電極の数を4つにすることができる。このように第3電極群23の数を設定することにより、上大動脈に対応する位置の電位を好適に測定することができる。
 カテーテル20としては、例えば樹脂チューブ27を挙げることができる。第1電極群21や第2電極群22は、樹脂チューブ27の遠位部に設けることができる。各電極群は、樹脂チューブ27の外周の半分以上の領域に存在していることが好ましく、リング状に形成されていることがより好ましい。このように電極を形成することにより、心臓との接触面積が増大するため、心内電位の測定や電気刺激の付与が行い易くなる。
 各電極群は、白金、ステンレス等の導電材料を含有していればよいが、X線透視下で電極の位置を把握し易くするためには、白金等のX線不透過材料を含有していることが好ましい。
 図1に示すように、カテーテル20の遠位端部には、先端チップ25が設けられていてもよい。先端チップ25は、遠位側に向かって外径が小さくなっているテーパ部を有していることが好ましい。先端チップ25は導電材料を含有していてもよい。これにより、先端チップ25を電極として機能させることができる。また、先端チップ25は高分子材料から構成されていてもよい。カテーテル20との接触から体内組織を保護するために、先端チップ25の硬度を樹脂チューブ27の硬度よりも低くしてもよい。
 樹脂チューブ27の内腔には、カテーテル20の遠位側を曲げるための操作ワイヤやばね部材が配置されていてもよい。具体的には、操作ワイヤの遠位端部が樹脂チューブ27の遠位端部または先端チップ25に固定されており、操作ワイヤの近位端部が後述するハンドル26に固定されていることが好ましい。
 図9に示す通り、各電極群には第3導線33(リード線)がそれぞれ接続されていることが好ましい。第1電極群21と第2電極群22に接続されている第3導線33の他方端部は、除細動用電気装置2の第1接続部11に好ましく接続される。第3電極群23に接続されている第3導線33の他方端部は、除細動用電気装置2の第3接続部13に好ましく接続される。第3導線33は、コネクタ等の接続部材で連結されている複数の導線であってもよい。
 第3接続部13と第4接続部14は、第7導線37を介して接続されていることが好ましい。ここで、第7導線37は、配線材であってもよく、プリント基板に設けられた配線パターンの一部であってもよい。
 第1接続部11と切替部10は第5導線35を介して接続されていることが好ましい。これにより、第1電極群21および第2電極群22が電源部9に接続されるため、電圧の印加が行える。第1電極群21および第2電極群22と電源部9とは、コネクタなど異なる接続部材を介して接続されてもよい。
 第2接続部12には、第1電極群21および第2電極群22に対応する心電計40の入力端子に接続されている第4導線34の他方端が接続されていることが好ましい。また、第2接続部12は第6導線36によって第5導線35に接続されていることが好ましい。第5導線35および第6導線36にはスイッチ部を設けないことが好ましい。これにより、除細動時であっても第1電極群21および第2電極群22を通じて心内電位を測定することができる。ここで第5導線35、第6導線36は、配線材であってもよく、プリント基板に設けられた配線パターンの一部であってもよい。
 図1に示すように樹脂チューブ27の近位側には、カテーテル20を作動させる際に操作者が把持するハンドル26が設けられてもよい。ハンドル26の形状は、特に制限されないが、樹脂チューブ27とハンドル26の接続箇所への応力集中を緩和するためには遠位側に向かって外径が小さくなる錐台形状部を有していることが好ましい。
 心電計40は、各種電極を通じて心内電位を測定する。心電計40としては公知のものを使用することができる。
 図示していないが、除細動用電気装置2は、電圧を印加する電極を選択する電極選択スイッチを有していてもよい。これにより、特定の電極にのみ電気刺激を付与することができる。電極選択スイッチが設けられる位置は特に限定されないが、電源部9に電極選択スイッチが接続されていることが好ましく、演算処理制御部8内に電極選択スイッチが設けられることがより好ましい。電極選択スイッチは、切替部10を構成するスイッチ(例えば第1スイッチ10Aと第2スイッチ10B)とは別に設けられていてもよく、切替部10を構成するスイッチの少なくとも1つが電極選択スイッチであってもよい。また図示していないが、除細動用電気装置2には安全用のスイッチが設けられていてもよい。これにより、切替部10が故障したときなどに、意図せず患者に電圧が印加されることを抑制できるフェールセーフ機能を付与することができる。安全スイッチは、切替部10と電源部9の間に接続されていることが好ましく、演算処理制御部8と切替部10の間に接続されていることがより好ましい。また図示していないが、除細動用電気装置2には、スイッチの遮断時に発生する高電圧を吸収する保護回路が設けられていてもよい。これにより、各スイッチの破損を防ぐことができる。また図示していないが、除細動用電気装置2には、電源部9と心電計40の間に、過電圧から心電計40を保護する過電圧保護回路が設けられていてもよい。これにより、心電計40が過電圧の印加によって破損するのを防ぐことができる。また図示していないが、除細動用電気装置2は、インピーダンス測定回路を有していてもよい。インピーダンス測定回路は、例えば第1電極群21と第2電極群22の間に、第1電極群21と第2電極群22の間のインピーダンスを測定するように接続されることが好ましい。
 次に、図10を参照しながら、第2の実施の形態に係る除細動用電気装置70の構成について詳述する。図10は、第2の実施の形態に係る除細動用電気装置70のブロック図である。なお第1の実施の形態に係る除細動用電気装置2と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
 第2の実施の形態に係る除細動用電気装置70は、図10に示す通り、心電波形入力部3から入力された心電情報がA/D変換器71、第1の演算処理制御部72(CPU)を経て、表示部73に心電波形が表示されるようになっていることが好ましい。一方、心電波形入力部3から入力された心電情報は、波形の高さを比較する比較器(コンパレータ)74に伝達され、心電波形が設定された所定値を越えたときに、第1の所定時間と第2の所定時間等が設定された第2の演算処理制御部75(FPGA)に信号が伝達される。第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超え、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったとき、または、第1の時間間隔Tが上記第1の所定時間以下であったとき、または、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の上記立ち上がり時間50wが第3の所定時間を超えていたときであって、第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超え、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の高さが前記第1の所定値Cを上回ってから前記第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが前記第3の所定時間以下であったときに、第2の演算処理制御部75(FPGA)に信号が伝達され、第2の演算処理制御部75(FPGA)から印表示信号が発生し、印表示信号が第1の演算処理制御部72(CPU)に伝達された後、表示部73においてR波と推定されるイベントEに対して印が表示されるようになっていることが好ましい。印の形状としては、丸形、三角形、四角形等の多角形、線状等が挙げられる。印が表示される位置としては、R波と推定されるイベントEのピーク等が挙げられる。また印表示信号は、表示部73においてR波と推定されるイベントEに対して印が表示されるものであればよく、第1の演算処理制御部72(CPU)から発生してもよい。
 上記のように除細動用電気装置70は、心電波形を表示する表示部73を備えることが好ましい。その場合、第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超え、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったとき以降、または、第1の時間間隔Tが上記第1の所定時間以下であったとき、または、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の前記立ち上がり時間50wが第3の所定時間を超えていたときには、第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超え、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったとき以降に、表示部73においてR波と推定されるイベントに対して印を付与するための印表示信号が印表示信号発生部76から発生するように制御されていることが好ましい。このように表示部73においてR波と推定されるイベントに対して印が付与されると、操作者はR波の状態を目視で確認することができる。
 また除細動用電気装置70は、操作部6を操作することにより、第2の演算処理制御部75(FPGA)内を非許可モードから許可モードに切り替えることができるようになっていることが好ましい。また当該モードを切り替えると同時に、印加エネルギー量が設定できるようになっていてもよいし、印加エネルギーのコンデンサへのチャージが開始されるようになっていてもよいし、チャージが完了するようになっていてもよい。更にチャージが完了した後に、パルス電圧が自動的に生成されるようになっていてもよい。非許可モードは、R波と推定されるイベントE同士の時間間隔が上記要件1または上記要件2に記載の所定時間等を満たしても除細動に係る許可信号を発生させないモードである。許可モードは、R波と推定されるイベントE同士の時間間隔が上記要件1または上記要件2に記載の所定時間等を満たすと除細動に係る許可信号を発生させるモードである。これにより操作者は、患者の状態が悪いときには非許可モードとし、患者の状態が良くなってから許可モードに切り替えることができるため、除細動を実施し易くすることができる。除細動に係る許可信号については、第1の実施の形態の説明を参照することができる。
 また除細動用電気装置70は、心電波形入力部3から入力された心電情報が第1の所定値C、第2の所定値C等が設定された比較器(コンパレータ)74に伝達され、第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超え、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったとき以降である場合、または、第1の時間間隔Tが上記第1の所定時間以下であったとき、または、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の上記立ち上がり時間が第3の所定時間を超えていたときには、第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超え、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったとき以降である場合に、第2の演算処理制御部75(FPGA)に信号が伝達され、第2の演算処理制御部75(FPGA)から許可信号が発生するように構成されていることが好ましい。
 即ち、心電波形入力部3から許可信号発生部7までに至るまでの間はハードウェア回路により構成されていることが好ましい。当該ハードウェア回路は、ソフトウェアによって信号処理されない回路であるため信号の処理が早くなる。その結果、心電情報取得から許可信号発生までの時間を短くすることができる。なお心電波形入力部3から許可信号発生部7までの信号は、アナログ信号であってもよく、デジタル信号であってもよい。
 なお除細動用電気装置70が備える少なくともいずれか1つの機能、例えば、心電波形入力部3、微分回路4、比較器74、許可信号発生部7、第1の演算処理制御部72、第2の演算処理制御部75、演算処理制御部8、電源部9、切替部10等の機能は、ハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアによって実現されてもよい。詳細については、第1の実施の形態の記載を参照することができる。
 本発明には除細動信号の発生方法も含まれる。本発明の一実施形態に係る除細動信号の発生方法は、例えば図2及び図3に示すように心電波形のn番目のR波と推定されるイベントEからn+1番目のR波と推定されるイベントEn+1までの時間間隔である第1の時間間隔Tを計算し、第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超えるか否かを判別するステップ(ステップS1)と、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であるか否かを判別するステップ(ステップS2)と、上記第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超え、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったとき以降にn+1番目のR波と推定されるイベントEn+1に同期して許可信号を発生させ(ステップS3)、上記第1の時間間隔Tが上記第1の所定時間以下であったとき、または、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の上記立ち上がり時間50wが第3の所定時間を超えていたときには、第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超えるか否か(ステップS4)、及び、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であるか否かを判別し(ステップS5)、上記第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超え、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったとき以降にn+2番目のR波と推定されるイベントEn+2に同期して許可信号を発生させるステップ(ステップS6)と、を有するものである。ただし、R波と推定されるイベントは、n番目、n+1番目、n+2番目の順で検出されるもので、nは1以上の整数である。
 上記除細動信号の発生方法は、例えば図4、図5に示すように、人体から得られる心電波形50のn番目のR波と推定されるイベントEの波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であるか否かを判別するステップを有することが好ましい。
 上記除細動信号の発生方法は、例えば図6、図7、図8に示すように、人体から得られる心電波形50のR波と推定されるイベントEのピーク51pを超えた後、且つ、心電波形50の微分値が第3の所定値C以下であるか否かを判別するステップを有することが好ましい。例えば、図7に示すように、第1の時間間隔Tが第1の所定時間を超え、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったときには、n+1番目のR波と推定されるイベントEn+1の微分値が第3の所定値C以下であるか否かを判別するステップ(ステップS8)を有することが好ましい。また、上記第2の時間間隔Tが第2の所定時間を超え、n+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の波形の高さが第1の所定値Cを上回ってから第2の所定値Cに到達するまでの立ち上がり時間50wが第3の所定時間以下であったとき以降にn+2番目のR波と推定されるイベントEn+2の微分値が第3の所定値C以下であるか否かを判別するステップ(ステップS9)を有することが好ましい。さらに、図8に示すように、n番目のR波と推定されるイベントEのピークを越えた後、且つ、n番目のR波と推定されるイベントEから演算処理制御部8で生成される微分値が第3の所定値C以下であるか否かを判別するステップ(ステップS10)を有することも好ましい。
 上記各ステップは、例えば除細動用電気装置2、除細動用電気装置70の微分回路、演算処理制御部、メモリ、比較器、電源部等を用いることにより実行することができる。詳細については、除細動用電気装置2、除細動用電気装置70の各要件の記載を参照することができる。
 上記除細動信号の発生方法は、各ステップを一つの除細動用電気装置内で実行する必要は無く、それぞれ別個の装置で実行してもよい。
 本願は、2020年6月8日に出願された日本国特許出願第2020-099559号に基づく優先権の利益を主張するものである。2020年6月8日に出願された日本国特許出願第2020-099559号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
1:除細動カテーテルシステム
2:除細動用電気装置
3:心電波形入力部
4:微分回路
5:メモリ
6:操作部
7:許可信号発生部
8:演算処理制御部
9:電源部
10:切替部
10A:第1スイッチ
10B:第2スイッチ
11:第1接続部
12:第2接続部
13:第3接続部
14:第4接続部
19:体表電極
20:カテーテル
21:第1電極群
22:第2電極群
23:第3電極群
25:先端チップ
26:ハンドル
27:樹脂チューブ
31:第1導線
32:第2導線
33:第3導線
34:第4導線
35:第5導線
36:第6導線
37:第7導線
40:心電計
50:心電波形
50w:立ち上がり時間
E:R波と推定されるイベント
:n番目のR波と推定されるイベント
n+1:n+1番目のR波と推定されるイベント
n+2:n+2番目のR波と推定されるイベント
51c:R波と推定されるイベントの下降局面における変曲点
51d:R波と推定されるイベントの下降局面
51f:R波と推定されるイベントの終了
51p:R波と推定されるイベントのピーク
51r:R波と推定されるイベントの上昇局面
51s:R波と推定されるイベントの開始
60:微分波形
61:R波と推定されるイベントから生成される微分波形
61P:陽性波
61N:陰性波
61b:陰性波のピーク
70:除細動用電気装置
71:A/D変換器
72:第1の演算処理制御部
73:表示部
74:比較器(コンパレータ)
75:第2の演算処理制御部
76:印表示信号発生部
:第1の時間間隔
:第2の時間間隔
:第1の所定値
:第2の所定値
:第3の所定値

Claims (12)

  1.  心電波形入力部と、
     除細動のための電圧の印加を許可する許可信号を発生させる許可信号発生部と、を有し、
     下記要件1または下記要件2を満たすことを特徴とする除細動用電気装置。
     ただし、下記n番目、n+1番目、n+2番目のR波と推定されるイベントはこの順で検出されるもので、nは1以上の整数である。
    (要件1)
     心電波形のn番目のR波と推定されるイベントからn+1番目のR波と推定されるイベントまでの時間間隔である第1の時間間隔が第1の所定時間を超え、n+1番目のR波と推定されるイベントの波形の高さが第1の所定値を上回ってから第2の所定値に到達するまでの立ち上がり時間が第3の所定時間以下であったとき以降に、前記許可信号発生部からn+1番目のR波と推定されるイベントに対して許可信号を発生させるように制御されている。
    (要件2)
     前記第1の時間間隔が前記第1の所定時間以下であったとき、または、n+1番目のR波と推定されるイベントの前記立ち上がり時間が前記第3の所定時間を超えていたときには、心電波形のn番目のR波と推定されるイベントからn+2番目のR波と推定されるイベントまでの時間間隔である第2の時間間隔が第2の所定時間を超え、n+2番目のR波と推定されるイベントの波形の高さが前記第1の所定値を上回ってから前記第2の所定値に到達するまでの立ち上がり時間が前記第3の所定時間以下であったとき以降に、前記許可信号発生部からn+2番目のR波と推定されるイベントに対して許可信号を発生させるように制御されている。
  2.  前記第1の所定時間と前記第2の所定時間は、それぞれ100m秒以上300m秒以下である請求項1に記載の除細動用電気装置。
  3.  前記第1の所定時間と前記第2の所定時間は同じである請求項1または2に記載の除細動用電気装置。
  4.  前記第3の所定時間は、10m秒以上50m秒以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の除細動用電気装置。
  5.  前記第1の時間間隔は、心電波形のn番目のR波と推定されるイベントのピークからn+1番目のR波と推定されるイベントのピークまでの時間間隔であり、
     前記第2の時間間隔は、心電波形のn番目のR波と推定されるイベントのピークからn+2番目のR波と推定されるイベントのピークまでの時間間隔である請求項1~4のいずれか一項に記載の除細動用電気装置。
  6.  下記要件3を満たしたとき以降に前記許可信号発生部から前記許可信号を発生させるように制御されている請求項1~5のいずれか一項に記載の除細動用電気装置。
    (要件3)
     前記心電波形入力部から入力される心電波形のn番目のR波と推定されるイベントの波形の高さが前記第1の所定値を上回ってから前記第2の所定値に到達するまでの立ち上がり時間が前記第3の所定時間以下である。
  7.  心電波形を微分して微分値を算出する演算処理制御部をさらに有し、
     下記要件4を満たしたとき以降に前記許可信号発生部から前記許可信号を発生させるよう制御されている請求項1~6のいずれか一項に記載の除細動用電気装置。
    (要件4)
     n+1番目のR波と推定されるイベントのピークを越えた後、且つ、n+1番目のR波と推定されるイベントから前記演算処理制御部で生成される微分値が第3の所定値以下である、または、n+2番目のR波と推定されるイベントのピークを越えた後、且つ、n+2番目のR波と推定されるイベントから前記演算処理制御部で生成される微分値が前記第3の所定値以下である。
  8.  下記要件5を満たしたとき以降に前記許可信号発生部から前記許可信号を発生させるように制御されている請求項1~7のいずれか一項に記載の除細動用電気装置。
    (要件5)
     前記n番目のR波と推定されるイベントのピークを越えた後、且つ、n番目のR波と推定されるイベントから前記演算処理制御部で生成される微分値が第3の所定値以下である。
  9.  前記第1の時間間隔が前記第1の所定時間を超え、n+1番目のR波と推定されるイベントの波形の高さが前記第1の所定値を上回ってから前記第2の所定値に到達するまでの立ち上がり時間が前記第3の所定時間以下であったとき以降に、n+1番目のR波と推定されるイベントに対して印を付与するための印表示信号を発生させるように制御され、
     前記第1の時間間隔が前記第1の所定時間以下であったとき、または、n+1番目のR波と推定されるイベントの前記立ち上がり時間が前記第3の所定時間を超えていたときであって、前記第2の時間間隔が前記第2の所定時間を超え、n+2番目のR波と推定されるイベントの波形の高さが前記第1の所定値を上回ってから前記第2の所定値に到達するまでの立ち上がり時間が前記第3の所定時間以下であったとき以降に、n+2番目のR波と推定されるイベントに対して印を付与するための印表示信号を発生させるように制御されている請求項1~8のいずれか一項に記載の除細動用電気装置。
  10.  心腔内除細動用電気装置である請求項1~9のいずれか一項に記載の除細動用電気装置。
  11.  心腔内に挿入され、遠位端と近位端を有しているカテーテルであって、その遠位部に複数の電極が設けられているカテーテルと、
     前記複数の電極に電圧を印加する請求項1~10のいずれか一項に記載の除細動用電気装置と、を備えた心腔内除細動カテーテルシステム。
  12.  心電波形のn番目のR波と推定されるイベントからn+1番目のR波と推定されるイベントまでの時間間隔である第1の時間間隔が第1の所定時間を超えるか否かを判別するステップと、
     n+1番目のR波と推定されるイベントの波形の高さが第1の所定値を上回ってから第2の所定値に到達するまでの立ち上がり時間が第3の所定時間以下であるか否かを判別するステップと、
     前記第1の時間間隔が前記第1の所定時間を超え、n+1番目のR波と推定されるイベントの波形の高さが前記第1の所定値を上回ってから前記第2の所定値に到達するまでの立ち上がり時間が前記第3の所定時間以下であったとき以降にn+1番目のR波と推定されるイベントに同期して許可信号を発生させ、
     前記第1の時間間隔が前記第1の所定時間以下であったとき、または、n+1番目のR波と推定されるイベントの前記立ち上がり時間が前記第3の所定時間を超えていたときには、n番目のR波と推定されるイベントからn+2番目のR波と推定されるイベントまでの時間間隔である第2の時間間隔が第2の所定時間を超えるか否か、及び、n+2番目のR波と推定されるイベントの波形の高さが前記第1の所定値を上回ってから前記第2の所定値に到達するまでの立ち上がり時間が前記第3の所定時間以下であるか否かを判別し、前記第2の時間間隔が前記第2の所定時間を超え、n+2番目のR波と推定されるイベントの波形の高さが前記第1の所定値を上回ってから前記第2の所定値に到達するまでの立ち上がり時間が前記第3の所定時間以下であったとき以降にn+2番目のR波と推定されるイベントに同期して許可信号を発生させるステップと、を有することを特徴とする除細動信号の発生方法。
     ただし、前記n番目、n+1番目、n+2番目のR波と推定されるイベントはこの順で検出されるものであり、nは1以上の整数である。
     
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