WO2021234966A1 - インプラント、及び処置方法 - Google Patents

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    • A61F2/00Filters implantable into blood vessels; Prostheses, i.e. artificial substitutes or replacements for parts of the body; Appliances for connecting them with the body; Devices providing patency to, or preventing collapsing of, tubular structures of the body, e.g. stents
    • A61F2/02Prostheses implantable into the body
    • A61F2/30Joints
    • A61F2/38Joints for elbows or knees

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  • Arrows X attached to FIGS. 1 to 4 indicate the longitudinal direction of the implant 100
  • arrow Y indicates the width direction orthogonal to the longitudinal direction of the implant 100
  • arrow Z indicates the height direction (thickness direction) of the implant 100.
  • the implant 100 is arranged in a state where the implant 100 is placed in the knee joint, and the longitudinal direction of the implant 100 is arranged along the anterior-posterior direction of the knee joint (vertical direction in the cross-sectional view shown in FIG. 6).
  • the width direction of the implant 100 is arranged along the left-right direction of the knee joint (the left-right direction of the cross-sectional view shown in FIG. 6), and the height direction of the implant 100 is arranged along the up-down direction of the knee joint (up-down direction of FIG. 5). Will be done.
  • the cross-sectional shape of the support portion 130 is not limited to the shape shown in FIG.
  • the support portion 130 may extend between the first surface 121a and the second surface 121b with a substantially constant cross-sectional area.
  • the support portion 130 extends substantially vertically between the first surface 121a and the second surface 121b, but the support portion 130 extends with the first surface 121a. It may extend diagonally between the second surfaces 121b, or may be partially curved or bent.
  • the cross-sectional shape may be different for each support portion 130.
  • one end portion 131 and / or the other end portion 132 may not be connected to the covering portion 120.

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Abstract

簡単な構成を備えるとともに、低侵襲な手技により大腿骨(B1)と脛骨(B2)との間に留置することのできる変形性膝関節症用のインプラント(100)。インプラント(100)は、内部空間(110)と、内部空間(110)を覆う被覆部(120)とを備える。内部空間(110)は、充填材(f)を収容することができる。内部空間(110)内には複数の支持部(130)が存在する。大腿骨(B1)と脛骨(B2)との間にインプラント(100)を留置すると、インプラント(100)がスペーサーとして機能し、大腿骨(B1)と脛骨(B2)との間の隙間(g)を維持する。このため、変形性膝関節症の症状を緩和し、又は変形性膝関節症の進行を抑制することができる。

Description

インプラント、及び処置方法
 本開示は、インプラント、及び処置方法に関する。
 「変形性膝関節症」とは、膝関節の軟骨がすり減り、最終的に骨の変形をきたす疾患である。変形性関節症が進行すると、関節軟骨の下側に位置する大腿骨・脛骨の一部が硬くなる軟骨下骨硬化や、関節の隙間が小さくなる関節烈隙の狭小化が発生する。また、棘状の骨棘や骨の空洞(骨のう胞)が発生し、次第に、膝関節が変形する。このような状態になると、患者は、膝を動かした際に痛みを感じたり、膝の曲げ伸ばしを自由に行い難くなったりする。症状がさらにひどくなると、座位から立位への動作や歩行動作が困難になる。
 例えば、特許文献1では、ヒアルロン酸オリゴ糖を有効成分とする変形性関節症の治療薬が提案されている。また、特許文献2では、変形性膝関節症に罹患した患者の歩行を補助する補助具が提案されている。また、特許文献3では、変形性膝関節症の治療に使用される治療用運動器具が提案されている。また、特許文献4では、プレート及びボルトを備える人工関節を併用する骨切り術が提案されている。このように、従来より、変形性膝関節症の治療や症状の緩和を目的とする種々の方法や装置が提案されている。
特開2007-291133号 国際公開第2017/043515号 特開2008-029583号 国際公開第2014/198279号
 しかしながら、特許文献1に記載された治療薬を使用する場合、患者ごとに治療薬の効力にばらつきが生じたり、治療効果の即効性を得難いという課題がある。また、特許文献2に記載された補助具は、患者が歩行することを可能にするものの、変形性膝関節症の症状の緩和は限定的であり、効果に乏しい。また、特許文献3に記載された治療用運動器具は、症状が比較的軽度な患者であれば使用することにより治療効果を得ることも可能であるが、既に相当程度に症状が進行している患者には使用自体が困難であると考えられる。また、特許文献4の骨切り術では、患者の骨を切除したうえ、プレート及びボルトを備える比較的大掛かりな人工関節を体内に留置することになるため、患者の身体に掛かる負担が大きく、また手術に要する手間が掛かるうえに、手術に要するコストも嵩む。
 本発明は上記のような課題に基づいてなされたものであり、簡便な構成を備え、かつ、低侵襲な手技を実現し得る変形性膝関節症用のインプラント、及び当該インプラントを使用した処置方法を提供することを目的とする。
 一の形態に係るインプラントは、大腿骨と脛骨との間に留置可能なインプラントであって、充填材を収容可能な内部空間と、前記内部空間を覆う被覆部と、を備え、前記大腿骨と前記脛骨との間に留置された状態で、前記大腿骨と前記脛骨を離間させた状態に維持するように構成されている。
 また、他の形態に係る処置方法は、変形性膝関節症に罹患した患者の大腿骨と脛骨との間に充填材が収容されたインプラントを留置し、前記インプラントにより前記大腿骨と前記脛骨とを離間させた状態に維持する、ことを有する。
 本開示によれば、充填材が収容されたインプラントを大腿骨と脛骨との間に留置することにより、大腿骨と脛骨とを離間させることが可能になる。インプラントは、大腿骨と脛骨との間で、大腿骨と脛骨の接触を防止するスペーサーとして機能する。そのため、変形性膝関節症の症状の緩和及び症状の進行の抑制を図ることが可能になる。
第1実施形態に係るインプラントの斜視図である。 図1に示す矢印2A方向から見たインプラントの正面図である。 図1に示す矢印3A方向から見たインプラントの平面図である。 図3に示す矢印4A-4A線に沿うインプラントの断面図である。 第1実施形態に係るインプラントの使用例を模式的に示す斜視図である。 第1実施形態に係るインプラントの使用例を模式的に示す断面図(膝関節の横断面図)である。 第1実施形態の変形例1に係るインプラントの断面図である。 第1実施形態の変形例2に係るインプラントの斜視図である。 図8に示す矢印9A方向から見たインプラントの正面図である。 図8に示す矢印10A方向から見たインプラントの平面図である。 第1実施形態の変形例2に係るインプラントの使用例を模式的に示す断面図(膝関節の横断面図)である。 第1実施形態の変形例3に係るインプラントの斜視図である。 図12に示す矢印13A-13Aに沿うインプラントの断面図である。 第1実施形態の変形例4に係るインプラントの斜視図である。 図14に示す矢印15A-15Aに沿うインプラントの断面図である。 第1実施形態の変形例5に係るインプラントの斜視図である。 第1実施形態の変形例5に係るインプラントの使用例を模式的に示す断面図(膝関節の横断面図)である。 第1実施形態の変形例6に係るインプラントの斜視図である。 第1実施形態の他の変形例に係るインプラントの斜視図である。 第1実施形態の他の変形例に係るインプラントの斜視図である。 第2実施形態に係るインプラントの断面図である。 第2実施形態の変形例1に係るインプラントの断面図である。 第2実施形態の変形例2に係るインプラントの断面図である。
 以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。また、本明細書において示す範囲「X~Y」は「X以上、Y以下」を意味する。
 <第1実施形態>
 図1~図4は、第1実施形態に係るインプラント100の各部の説明に供する図である。図5、図6は、第1実施形態に係るインプラント100の使用例の説明に供する図である。図5、図6中の符号B1は大腿骨を示し、符号B2は脛骨を示し、符号B3は腓骨を示し、符号L1は前十字靭帯を示し、符号L2は後十字靭帯を示し、符号M1は外側半月板を示す。
 (インプラント)
 図5、図6に示すように、インプラント100は、人体の大腿骨B1と脛骨B2の間に留置可能に構成されている。
 インプラント100は、例えば、変形性膝関節症の症状の緩和及び進行の抑制を目的として使用される医療器具である。本実施形態では、内側半月板や内側半月板付近に存在する軟骨の損傷や摩耗に伴って発症した「内側型の変形性膝関節症」に罹患した患者への適用例を説明する。ただし、インプラント100は、変形性膝関節症の症状の緩和及び進行の抑制を目的として使用される限り、具体的な使用形態(例えば、インプラント100の留置位置や留置状態の配置方向等)は特に限定されない。
 図1~図4に付した矢印Xはインプラント100の長手方向を示し、矢印Yはインプラント100の長手方向と直交する幅方向を示し、矢印Zはインプラント100の高さ方向(厚み方向)を示す。本実施形態において、インプラント100は、膝関節内に留置された状態において、インプラント100の長手方向が膝関節の前後方向(図6に示す横断面図の上下方向)に沿って配置され、インプラント100の幅方向が膝関節の左右方向(図6に示す横断面図の左右方向)に沿って配置され、インプラント100の高さ方向が膝関節の上下方向(図5の上下方向)に沿って配置される。
 図1、図4、図5、図6を参照して概説すると、インプラント100は、充填材fを収容可能な内部空間110と、内部空間110を覆う被覆部120と、を備える。インプラント100は、図5に示すように、大腿骨B1と脛骨B2の間に留置された状態で、大腿骨B1と脛骨B2を離間させた状態に維持することを可能にする。
 被覆部120は、例えば、内側に内部空間110が区画された容器構造の部材で構成することができる。被覆部120は、内部空間110内に充填材fが所定量以上充填された状態(以下、「充填状態」とする)において、図1に示す外形を呈するように構成することができる。被覆部120は、例えば、充填材fの充填量に応じて高さ方向に拡張及び収縮可能な可撓性を備える材料(例えば、弾性変形可能な材料)で構成することができる。なお、インプラント100は、例えば、非充填状態及び充填状態のいずれの状態においても長手方向及び幅方向の形状が過剰に変形しないような構造及び材料で構成することができる。
 被覆部120は、図1、図5に示すように、大腿骨B1側に配置される第1の面(上面)121aと、脛骨B2側に配置される第2の面(下面)121bと、第1の面121aと第2の面121bとの間に位置する側面121cと、を有する。
 図2に示すように、第1の面121aと第2の面121bは、充填状態において、平坦な形状を形成するよに構成することができる。また、第1の面121aと第2の面121bは、充填状態において、略平行に配置されるように構成することができる。
 第1の面121aと第2の面121bは、略同一の平面形状を有する。図1、図3に示すように、第1の面121a及び第2の面121bは、例えば、平面視において、外方側に凸状に湾曲した部分と、当該部分に対向し、かつ、内方側に凹状に湾曲した部分とが形成された略三日月状の平面形状に形成することができる。
 具体的には、第1の面121aと第2の面121bは、幅方向の中央部123aが幅方向の両端部123b、123cよりも、インプラント100の中央(平面視における幾何学的な中央)c1側に凹状に窪んでいる。より具体的には、インプラント100の側面121cの一方の側(図3の下側)は、幅方向の両端部123b、123cから幅方向の中央部123aに向けてインプラント100の幅寸法が徐々に小さくなる円弧形状を有する。一方で、インプラント100の側面121cの他方の側(図3の上側)は、幅方向の両端部123b、123cから幅方向の中央部123aに向けて略一定の曲率で湾曲した円弧状形状を有する。インプラント100は、このような形状を有することにより、膝関節内に留置した状態において大腿骨B1の形状にフィットするため、インプラント100に掛かる負荷をインプラント100の面方向の各部に分散できる。そのため、インプラント100の一部に負荷が局所的に掛かることを抑制できる。
 インプラント100は、図5、図6に示すように、膝関節の横断面上において、内側半月板が位置する領域から大腿骨B1及び脛骨B2の軟骨が露出している領域内に配置可能な形状及び大きさで構成することができる。このようにインプラント100を構成することにより、内側型の変形性膝関節症に罹患した患者にインプラント100を好適に使用することができる。
 なお、上記の「内側半月板が位置する領域から大腿骨B1及び脛骨B2の軟骨が露出している領域」とは、膝関節の横断面上において外側半月板M1が位置する領域の反対側の領域である。また、内側半月板が損傷等して一部又は全部が既に存在しない患者においては、内側半月板が過去に存在した領域を意味する。また、「内側半月板が位置する領域から大腿骨B1及び脛骨B2の軟骨が露出している領域内に配置可能な大きさ及び形状」とは、当該領域にインプラント100を配置した状態において、当該領域からインプラント100が過剰にはみ出して配置されることのない大きさ及び形状を意味する。
 図3を参照して、非充填状態及び充填状態におけるインプラント100の長手方向の寸法D1は、例えば、25mm~60mmに形成することができる。また、非充填状態及び充填状態におけるインプラント100の幅寸法W1(幅方向の中央部123a付近の幅寸法)は、例えば、25mm~50mmに形成することができる。また、非充填状態及び充填状態におけるインプラント100の幅寸法W2(幅方向の両端部123b、123c付近の幅寸法)は、例えば、10mm~30mmで形成することができる。また、充填状態におけるインプラント100の高さ寸法Z1(図4を参照)は、例えば、4mm~20mmに形成することができる。
 なお、非充填状態及び充填状態におけるインプラント100の形状や各部の寸法は、当該インプラント100を大腿骨B1と脛骨B2の間に留置可能な限り、特に限定されない。例えば、インプラント100の形状や各部の寸法は、使用対象となる患者の身体の解剖学的な構造や、変形性膝関節症の症状の程度等に応じて任意に変更することが可能である。
 また、第1の面121a及び/又は第2の面121bには、低摩擦性及び親水性を備えるコーティング、薬剤を徐放可能な構造、関節液を吸着及び放出可能な構造等を任意に付加することも可能である。また、第1の面121a及び第2の面121bは同一の平面形状を有していなくてもよい。例えば、第1の面121aが第2の面121bよりも大きく構成されていたり、第1の面121aと第2の面121bが相似形状以外の形状で形成されていてもよい。
 インプラント100は、図1、図4に示すように、支持部130を備える。
 支持部130は、図4に示すように、被覆部120の第1の面121aと、被覆部120の第2の面121bとの間に配置されている。
 インプラント100は、前述したように、充填状態において所定の形状を維持するように構成されている。インプラント100は、大腿骨B1と脛骨B2との間に留置されることにより、大腿骨B1と脛骨B2を離間させた状態に維持するスペーサーとして機能する。インプラント100の充填状態における形状保持性(インプラント100に対して外力が作用した状態において、インプラント100がどの程度形状を維持できるか)は、内部空間110に収容した充填材fの材質、物性、量などの影響を受ける。支持部130は、インプラント100の形状保持(特に、高さ方向の寸法の保持)を補助する目的で設けられている。
 支持部130は、図4に示すように、インプラント100の高さ方向に延在している。支持部130は、内部空間110内で第1の面121aと第2の面121bを支持する梁として機能する。
 インプラント100は、図5に示すように、当該インプラント100が大腿骨B1と脛骨B2の間に留置されて、大腿骨B1と脛骨B2から各面121a、121bに対して圧力が付与された状態において、内部空間110に収容された充填材fにより当該インプラント100の形状が大きく損なわれることを抑制する。また、インプラント100は、支持部130により高さを所定の大きさに調整及び維持することができる。そのため、インプラント100は、大腿骨B1と脛骨B2の間の距離を適切な大きさに保つことができる。
 上記のようにインプラント100は、支持部130を有することにより充填材fのみに形状を保持する機能が依存しないため、充填材fの材質や充填量によってインプラント100のスペーサーとしての機能が左右され難い。したがって、インプラント100に使用する充填材fの材料選択の幅が広がる。また、インプラント100を留置した状態において、インプラント100のスペーサーとしての機能を安定的に維持することができる。
 インプラント100は、図1、図3に示すように、複数の支持部130を備えるように構成することができる。
 複数の支持部130の各々は、例えば、図3に示す平面視において、長手方向や幅方向に均等な距離を空けて配置することができる。本実施形態では、幅方向の中央部123a付近に3つの支持部130を配置し、幅方向の両端部123b、123c付近の各々に1つの支持部130を配置している。
 上記のようにインプラント100の平面視上において互いに均等な間隔を設けて複数の支持部130を配置することにより、インプラント100を大腿骨B1と脛骨B2の間に留置した際、各面121a、121bに掛かる荷重を面方向の各部で分散して受けることが可能になる。そのため、各面121a、121bの一部が局所的に凹むことを防止できる。それにより、インプラント100を膝関節内に留置した状態において、インプラント100の形状が意図しない形状に変化して、大腿骨B1と脛骨B2の接触を防止するスペーサーとしての機能が損なわれてしまうことを防止できる。
 なお、支持部130の個数や配置する位置等は、インプラント100の製品仕様や使用対象となる患者の身体の解剖学的な構造等に応じて任意に変更することが可能である。また、支持部130の設置を省略することも可能である。
 支持部130は、図4に示すように、第1の面121a側に配置される一端部131と、第2の面121b側に配置される他端部132と、一端部131と他端部132との間に位置する中間部133と、を有する。
 一端部131及び他端部132は、支持部130の延在方向と直交する方向の断面(図4に示す断面)での面積が、中間部133よりも大きく形成されている。具体的には、支持部130は、中間部133から一端部131側に向けて断面積が次第に大きくなり、かつ、中間部133から他端部132側に向けて断面積が次第に大きくなっている。一端部131及び他端部132の断面積が大きく形成されていることにより、インプラント100を大腿骨B1と脛骨B2の間に留置した際、各面121a、121bに対して掛かる荷重を支持部130によりしっかりと受けて止めることができる。そのため、各面121a、121bが過剰に凹むことにより、インプラント100のスペーサーとしての機能が低下することを抑制できる。
 なお、支持部130の断面形状は、図4に示す形状に限定されることはない。例えば、支持部130は、第1の面121aと第2の面121bの間で略一定の断面積で延在してもよい。また、図4に示す形状では、支持部130は、第1の面121aと第2の面121bとの間で略垂直に延在しているが、支持部130は、第1の面121aと第2の面121bの間で斜めに延在していたり、一部が湾曲や屈曲していたりしてもよい。また、インプラント100に複数の支持部130が設けられる場合、支持部130ごとに断面形状が異なっていてもよい。また、支持部130は、一端部131及び/又は他端部132が被覆部120と接続されていなくてもよい。
 支持部130は、例えば、弾性変形可能な材料で構成することができる。支持部130を弾性変形可能な材料で構成することにより、前述したようにインプラント100に荷重が掛かった際にインプラント100が過剰に凹むことを防止でき、かつ、膝関節内にインプラント100を留置した状態において支持部130が膝関節の動作を妨げることを防止できる。
 支持部130を弾性変形可能な材料で構成する場合、例えば、その材料として、高強度ポリマーや高強度ゲルなどを用いることができる。なお、支持部130は、弾性変形可能な材料以外の材料で構成することも可能である。また、支持部130は、支持部130全体が同一の材料で構成されていなくてもよい。例えば、一端部131、他端部132、中間部133の各々が異なる材料で構成されていてもよい。また、インプラント100に複数の支持部130が備えられる場合、支持部130ごとに構成材料が異なっていてもよい。
 インプラント100は、図4に示すように、支持部130及び被覆部120を一体的に構成することができる。本実施形態では、被覆部120の第1の面121aの内面に支持部130の一端部131が一体的に接続されており、被覆部120の第2の面121bの内面に支持部130の他端部132が一体的に接続されている。前述したように、支持部130を弾性変形可能な材料で構成する場合、被覆部120は、支持部130の構成材料として例示した材料と同様の材料で構成することが可能である。
 なお、支持部130と被覆部120は別の部材で構成してもよい。つまり、被覆部120と支持部130を異なる部材で構成し、両者を接続させてもよい。このように構成する場合、被覆部120と支持部130は同一の材料で構成してもよいし、異なる材料で構成してもよい。
 インプラント100は、内部空間110に充填材fが封入されている。つまり、インプラント100は、患者の膝関節内に留置する前に、内部空間110内に充填材fが予め充填された状態で準備される。そのため、術者等は、インプラント100を留置する手技において、インプラント100内に充填材fを充填する作業を行う必要がない。したがって、インプラント100を使用した手技に要する作業を省くことができる。
 インプラント100に使用される充填材fは、インプラント100を大腿骨B1と脛骨B2との間に留置した状態において、大腿骨B1と脛骨B2を離間させた状態に維持することが可能であれば特に限定されない。充填材fとしては、例えば、流体(液体、気体、液体と気体の混合物)、ゲル状の半固形物、粉体、粒状に加工された金属等を使用することができる。充填材fとしては、例えば、PMMA、シリコンゴム、ポリウレタンゴムを使用することができる。ただし、充填材fの材料はこれらに限定されない。
 なお、内部空間110は、インプラント100の長手方向、幅方向、高さ方向で仕切られた複数の空間を有していてもよい。仕切られた空間に異なる物性の充填材fを充填することにより、インプラント100の各部における支持力や緩衝機能を異ならせることができる。そのため、解剖学的な構造の異なる様々な患者や、症状の進行状態が異なる様々な患者に一つのインプラント100で対応することも可能になる。
 (インプラントを使用した処置方法)
 術者等は、外科的な方法でインプラント100を大腿骨B1と脛骨B2の間に配置することができる。具体的には、術者等は、患者の皮膚及び皮下組織等を切開し、大腿骨B1と脛骨B2の間に位置する隙間g(図5を参照)へのアプローチを可能とした状態で、大腿骨B1と脛骨B2の間にインプラント100を配置する。前述したように、本実施形態に係るインプラント100は、内側型の変形性膝関節症の患者に適用した形状及び大きさで構成している。そのため、術者等は、図6に示す向きにインプラント100を配置することにより、インプラント100を内側半月板が位置する領域から大腿骨B1及び脛骨B2の軟骨が露出している領域のみに適切に配置することができる。
 インプラント100は、図5に示すように、大腿骨B1と脛骨B2の間に留置された状態において、大腿骨B1と脛骨B2の間に位置する隙間gが形成された状態を維持する。このようにして、インプラント100は、大腿骨B1と脛骨B2が接触することを防止する。そのため、インプラント100は、大腿骨B1と脛骨B2の接触に伴って生じ得る痛みを緩和したり、変形性膝関節症の進行を抑制したりすることができる。
 なお、本明細書における「大腿骨B1と脛骨B2を離間させた状態(大腿骨B1と脛骨B2の間に隙間gが形成された状態)」とは、インプラント100を膝関節に留置した状態においてインプラント100を間に挟んで対向する大腿骨B1の少なくとも一部の領域と脛骨B2の少なくとも一部の領域とが互いに隙間gを隔てて配置されることを意味する。例えば、インプラント100を膝関節内に留置した状態において、大腿骨B1と脛骨B2の間にインプラント100が配置されてない領域では、大腿骨B1と脛骨B2が部分的に接触していたとしても、インプラント100のスペーサーとしての機能は発揮される。
 以上説明したように、本実施形態に係るインプラント100は、大腿骨B1と脛骨B2との間に留置可能なインプラントである。インプラント100は、充填材fを収容可能な内部空間110と、内部空間110を覆う被覆部120と、を備える。インプラント100は、大腿骨B1と脛骨B2との間に留置された状態で、大腿骨B1と脛骨B2を離間させた状態に維持可能に構成されている。
 また、本実施形態に係る処置方法は、変形性膝関節症に罹患した患者の大腿骨B1と脛骨B2との間に充填材fが収容されたインプラントを留置し、当該インプラント100により大腿骨B1と脛骨B2とを離間させた状態に維持することを含む。
 本実施形態に係るインプラント100及び処置方法によれば、充填材fが収容されたインプラント100を大腿骨B1と脛骨B2との間に留置することにより、大腿骨B1と脛骨B2とを離間させることが可能になる。インプラント100は、大腿骨B1と脛骨B2との間で、大腿骨B1と脛骨B2の接触を防止するスペーサーとして機能する。そのため、変形性膝関節症の症状を緩和させたり、変形性膝関節症の進行を抑制したりすることが可能になる。特に、本実施形態に係るインプラント100は、充填材fが充填可能な被覆部120を備える簡便な構造であるため、インプラント100の製造コストを抑えることができ、かつ、膝関節内への留置も容易に実施することができる。そのため、人工関節を使用する骨切り術と比較して、手術に要する手間や費用を大幅に削減することができる。また、患者の身体に掛かる負担も大幅に軽減することができる。さらに、インプラント100を留置した後、インプラント100の機能が主に充填材fにより維持されるため、インプラント100のスペーサーとしての機能を安定的に維持することができる。
 次に、本発明の他の実施形態及び変形例を説明する。以下の説明では、第1実施形態で既に説明した部材や構成についての説明は適宜省略する。また、特に説明の無い内容は第1実施形態と同様のものとすることができる。
 <変形例1>
 図7は、変形例1に係るインプラント100Aの正面図である。図7に示す正面図は、図2に対応した図である。
 前述した第1実施形態に係るインプラント100は、第1の面(上面)121aが平坦な形状を有する(図2を参照)。ただし、第1の面121aは、例えば、図7に示すように、凹状に湾曲した形状を有していてもよい。第1の面121aをこのような形状に形成することにより、大腿骨B1と脛骨B2との間にインプラント100Aを留置した際、第1の面121aにより大腿骨B1を安定的に支持することが可能になる。それにより、大腿骨B1と脛骨B2とが離間した状態をより安定的に維持することが可能になる。
 なお、図7に示す変形例1では、第1の面121aを湾曲した形状に形成しているが、例えば、第2の面(下面)121bを高さ方向の中心側に向けて凹状に湾曲した形状に形成したり、第1の面121a及び第2の面121bの両方を高さ方向の中心側に向けて凹状に湾曲した形状に形成したりしてもよい。
 また、各面121a、121bの形状は、インプラント100が大腿骨B1と脛骨B2の間に留置された状態において、大腿骨B1と脛骨B2を離間させた状態に維持することが可能な限り、特に限定されない。例えば、各面121a、121bは、大腿骨B1側や脛骨B2側へ向けて凸状に突出していたり、凹状の部分及び凸状の部分がそれぞれ形成されていたりしてもよい。
 <変形例2>
 図8は、変形例2に係るインプラント100Bの斜視図である。図9は、図8に示す矢印9A方向から見たインプラント100Bの正面図であり、図10は、図8に示す矢印10A方向から見たインプラント100Bの平面図である。図11は、インプラント100Bを留置した状態を模式的に示す膝関節の横断面図である。
 前述した第1実施形態に係るインプラント100は、膝関節の横断面上において、内側半月板が位置する領域から大腿骨B1及び脛骨B2の軟骨が露出している領域のみに配置可能な形状及び大きさを有する(図6を参照)。一方、変形例2に係るインプラント100Bは、図11に示すように、内側半月板が位置する領域から大腿骨B1及び脛骨B2の軟骨が露出している領域及び外側半月板が位置する領域から大腿骨B1及び脛骨B2の軟骨が露出している領域に配置可能な形状を有する。
 なお、上記の「外側半月板が位置する領域から大腿骨B1及び脛骨B2の軟骨が露出している領域」とは、膝関節の横断面上において内側半月板が位置する領域の反対側の領域である。また、外側半月板が損傷等して一部又は全部が既に存在しない患者においては、外側半月板が過去に存在した領域を意味する。
 変形例2に係るインプラント100Bは、図8、図10、図11に示すように、膝関節の横断面上において内側半月板が位置する領域から大腿骨及び脛骨の軟骨が露出している領域に配置される第1部位101と、膝関節の横断面上において外側半月板が位置する領域から大腿骨B1及び脛骨B2の軟骨が露出している領域に配置される第2部位102と、第1部位101と第2部位102とを接続する第3部位103と、を有する。
 第1部位101及び第2部位102の各々は、前述した第1実施形態に係るインプラント100(図3を参照)と略同一の形状及び大きさを有する。第1部位101と第2部位102は、各部位101、102の側面121cに形成された凹状に窪んだ部分が対向するように配置されている。第3部位103は、各部位101、102の幅方向の一端部(図10の上側の端部)付近で各部位101、102同士を接続している。
 第3部位103は、図9に示すように、第1の面121aから下方に向けて窪んだ凹形状を有する。また、第3部位103は被覆部120の一部で構成されている。つまり、第1部位101、第2部位102、第3部位103は一体的に構成されている。
 第1部位101、第2部位102、第3部位103の各々は、充填材fが充填可能な内部空間110を備える。各部位101、102、103の内部空間110は互いに連通している。
 なお、各部位101、102、103の内部空間110は互いに連通していなくてもよい。そのように構成する場合、各部位101、102、103に異なる物性の充填材fを収容することが可能となる。そのため、インプラント100Bを膝関節内に留置した際、各部位101、102、103毎に支持力や各骨B1、B2に掛る圧力等を調整することができる。
 図10、図11に示すように、インプラント100Bは、インプラント100Bの長手方向(矢印Xで示す方向)を膝関節の左右方向(図11に示す横断面図の左右方向)に沿って配置することができ、インプラント100Bの幅方向を膝関節の前後方向(図11に示す横断面図の上下方向)に沿って配置することができる。また、第3部位103は、前十字靭帯L1の後方側(図11の上側)に配置することができる。
 インプラント100Bは、第1部位101及び第2部位102を備えるため、内外側の軟骨がすり減っている内外側型の変形性膝関節症に罹患した患者の症状の緩和や症状の進行の抑制を図ることが可能になる。また、第1部位101と第2部位102が第3部位103を介して連結されているため、インプラント100Bを留置する際、各部材同士の相対的な位置関係を簡単に調整することができる。
 また、第3部位103の上面が下方側に窪んだ凹形状を有するため、インプラント100Bを留置した状態において、膝関節が曲げられて第3部位103の上面側に前十字靭帯L1が倒れ込むように動いた場合においても、第3部位103と前十字靭帯L1が接触することを抑制できる。また、第3部位103と前十字靭帯L1が接触する場合においても、前十字靭帯L1に掛かる負荷を低減できる。
 変形例2に示すインプラント100Bの形状や大きさは、インプラント100Bを大腿骨B1側と脛骨B2との間に留置した際、インプラント100Bの少なくとも一部を内側半月板が位置する領域から大腿骨B1及び脛骨B2の軟骨が露出している領域と外側半月板が位置する領域から大腿骨B1及び脛骨B2の軟骨が露出している領域に配置することが可能な限り、特に限定されない。例えば、第1部位101と第2部位102は互いに異なる形状や大きさで構成されていてもよい。また、第1部位101及び第2部位102の一方のみに充填材fを収容可能な内部空間110が形成されており、他方は充填材fが充填されていない部材(例えば、弾性変形可能な部材)で構成されていたりしてもよい。また、変形例2に係るインプラント100Bは複数の支持部130を備えているが、支持部130の個数や、支持部130の設置の有無等は任意に変更することが可能である。
 なお、第1実施形態で説明したインプラント100(図1を参照)を二つ使用して、内外側型の変形性膝関節症に罹患した患者に対して、各インプラント100を内側半月板が位置する領域から大腿骨B1及び脛骨B2の軟骨が露出している領域と、外側半月板が位置する領域から大腿骨B1及び脛骨B2の軟骨が露出している領域とに留置することにより、第2実施形態に係るインプラント100Bを使用した処置方法(図11を参照)と同様の処置方法を実施することも可能である。
 <変形例3>
 図12は、変形例3に係るインプラント100Cの斜視図である。図13は、図12に示す矢印13A-13A線に沿う断面図である。
 前述した第1実施形態に係るインプラント100は、内部空間110に充填材fが封入されていた(図4を参照)。そのため、術者等が手術中や留置後に充填材fを内部空間110に注入することは想定されていない。一方で、変形例3に係るインプラント100Cは、医療現場において術者等が充填材fを注入することが可能な構成を有する。
 インプラント100Cは、図12、図13に示すように、内部空間110への充填材fの注入、及び内部空間110からの充填材fの漏洩防止を可能にする弁機構140を有する。
 弁機構140は、例えば、弾性シール部材で構成することができる。図13に示すように、充填材fを内部空間110に注入する際、弁機構140に所定の注入具300を接続して、注入具300の先端を内部空間110内に配置する。この状態で注入具300を介して充填材fを内部空間110内へ圧送する。インプラント100は、充填材fが充填されることにより、所定の形状に拡張(変形)する。弁機構140は、弁機構140から注入具300を抜去するのに伴って閉鎖する。
 術者等は、インプラント100Cを使用した手技において、充填材fの種類や量を任意に選択することができる。そのため、インプラント100Cを膝関節内に配置した状態で、患者の症状などに応じて、充填材fの種類や量を調整することにより、インプラント100Cのスペーサーとしての機能を適切に選択することが可能になる。
 なお、支持部130は、例えば、一端部131又は他端部132が被覆部120に接続されていないように構成してもよい。支持部130の一端部131又は他端部132が被覆部120に接続されていないことにより、内部空間110に充填材fを充填した際、インプラント100が高さ方向へ円滑に変形することが可能になる。
 充填材fを注入するタイミングは、インプラント100Cを膝関節内に配置する前、膝関節内に配置して留置する前、所定期間留置した後のいずれであってもよい。また、弁機構140として可逆的な開閉が可能な構造のものを採用することにより、内部空間110への充填材fの充填及び排出を複数回実施することも可能である。
 弁機構140の具体的な構成は特に限定されない。例えば、公知の流体弁(一方弁)などを利用することも可能である。また、弁機構140を設ける位置や個数も任意に変更することが可能である。また、注入具300についても、内部空間110内へ充填材fを充填することが可能な限り、具体的な構成は特に限定されない。
 <変形例4>
 図14は、変形例4に係るインプラント100Dの斜視図である。図15は、図14に示す矢印15A-15A線に沿う断面図である。
 変形例4に係るインプラント100Dは、変形例3に係るインプラント100Cと同様に弁機構140を備える。ただし、インプラント100Dには支持部130が備えられていない。このように、支持部130の設置は適宜省略することも可能である。
 <変形例5>
 図16は、変形例5に係るインプラント100Eの斜視図である。図17は、インプラント100Eを留置した状態を模式的に示す膝関節の横断面図である。
 図16に示すように、インプラント100Eは、係止部材150を備える。係止部材150は、例えば、関節包、靭帯、及び骨の一部(例えば、顆間隆起)の少なくとも一つに対して引っ掛けて係止されることにより、インプラント100Eの留置位置を保持することを可能にする。これにより、インプラント100Eが留置位置から位置ずれすることを抑制できる。
 インプラント100Eは、前述した変形例8に係るインプラント100B(図8を参照)と同様に、第1部位101と第2部位102を有する。
 係止部材150は、所定の長さを有する紐状の部材で構成している。係止部材150の材質は特に限定されないが、例えば、生体分解性吸収糸やポリエステル等である。なお、係止部材150の長さや断面形状について特に制限はない。
 係止部材150は、第1部位101に形成された二つの孔部を介して第1部位101の内部空間110を挿通している。同様に、係止部材150は、第2部位102に形成された二つの孔部を介して第2部位102の内部空間110を挿通している。
 係止部材150において各部位101、102から導出された第1部位150a、第2部位150b、及び第3部位150cは、関節包、靭帯、及び骨の一部の少なくとも一つに対して引っ掛けるようにして係止させることができる。
 係止部材150において第1部位101と第2部位102との間に配置された第3部位150cは、第1部位101と第2部位102を接続する第3部位103を構成する。
 図17には、インプラント100Eを留置した状態を示す。インプラント100Eは、例えば、前述した変形例2に係るインプラント100Bと同一の向きに沿って配置することができる(図11を参照)。このようにインプラント100Eを配置することにより、内外側型の変形性膝関節症に罹患した患者の症状の緩和や症状の進行の抑制を図ることが可能になる。
 <変形例6>
 図18には、変形例6に係るインプラント100Fの斜視図を示す。
 変形例6に係るインプラント100Fは、前述した第1実施形態に係るインプラント100と同様に、内側半月板が位置する領域から大腿骨及び脛骨の軟骨が露出している領域内に配置可能な形状及び大きさを備える(図1、図6を参照)。また、インプラント100Fは、前述した変形例5に係るインプラント100Eと同様に、関節包、靭帯、及び骨の一部の少なくとも一つ(例えば、顆間隆起、骨、関節包、関節外の組織など)に対して係止可能な係止部材151、152を備える。
 インプラント100Fは、二つの係止部材151、152を備える。各係止部材151、152は、インプラント100Fの長手方向に沿って内部空間110を挿通している。インプラント100Fは、変形例5に係るインプラント100Eと同様に、各係止部材151、152を関節包、靭帯、及び骨の一部の少なくとも一つに対して引っ掛けて係止させることにより、インプラント100Fが留置位置から位置ずれすることを抑制できる。
 なお、図19に示す他の変形例に係るインプラント100Gのように、係止部材151、152は、例えば、インプラント100Gの幅方向に沿って内部空間110を挿通するように配置してもよい。また、図20に示す他の変形例に係るインプラント100Hのように、係止部材150は、インプラント100の内部空間110の長手方向に沿って配置され、かつ、折り返すようにしてループ形状を形成するようにしてもよい。これらの変形例で示すように、インプラントに係止部材を配置する位置、方向、個数等については特に制限はない。
 <第2実施形態>
 図21には、第2実施形態に係るインプラント200の断面図を示す。第2実施形態に係るインプラント200は、所定の物性を備える部材で構成された本体部210を備える。つまり、インプラント200は、充填材fを収容可能な内部空間110、内部空間110を覆う被覆部120を備えていない。
 本体部210は、例えば、弾性変形可能な公知の材料で構成することができる。本体部210の第1の面(上面)201aには、低摩擦性及び親水性を備えるコーティング220を配置している。インプラント200は、前述した第1実施形態に係るインプラント100と同様に、大腿骨B1と脛骨B2の間に留置された状態で、大腿骨B1と脛骨B2を離間させた状態に維持するスペーサーとして使用することができる。なお、コーティング220は本体部210の第2の面(下面)201bに設けてもよいし、第1の面201a及び第2の面201bの両方に設けてもよい。また、コーティング220の具体的な材料や形成方法について特に制限なはい。
 <変形例1>
 図22には、第2実施形態の変形例1に係るインプラント200Aの断面図を示す。
 変形例1に係るインプラント200Aは、本体部210の第2の面201b付近に、関節液を吸着及び放出可能な吸着部材230を備える。吸着部材230を、例えば、マイクロポーラスを備える公知の多孔質部材で構成することができる。
 インプラント200Aは、膝関節内に留置された状態で、膝関節の動作に応じて関節液を吸着及び放出することができる。そのため、関節表面の低摩擦力を維持し、膝関節の動作を妨げることなく、インプラント200Aのスペーサーとしての機能を長期にわたって好適に維持することができる。
 <変形例2>
 図23には、第2実施形態の変形例2に係るインプラント200Bの断面図を示す。
 変形例2に係るインプラント200Bは、本体部210の高さ方向に沿って形成された循環孔240を有する。循環孔240は、第1の面201aと第2の面201bを貫通している。インプラント200Bは、膝関節内に留置された状態で、膝関節の動作に応じて循環孔240を介して関節液を吸着及び放出することができる。そのため、関節表面の低摩擦力を維持し、膝関節の動作を妨げることなく、インプラント200Bのスペーサーとしての機能を長期にわたって好適に維持することができる。なお、循環孔240の断面積や個数、位置等について特に制限はない。
 以上、実施形態を通じて本発明に係るインプラント及び処置方法を説明したが、本発明は明細書において説明した内容のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
 図示により説明したインプラントの構造は一例であり、本願発明の効果が損なわれない限り、形状、大きさ、各部の相対的な位置関係等は任意に変更することが可能である。また、インプラントを使用した処置方法は、当該インプラントを大腿骨と脛骨の間に留置することが可能な限り、具体的な手順や使用する器具等について特に制限はない。
 また、各実施形態で説明した構造や各変形例で説明した構造は、任意に組み合わせることができる。例えば、弁機構140(図12を参照)は、図8に示す構造を備えるインプラント100Bに設けることも可能である。
100、100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G、100H   インプラント
101   インプラントの第1部位
102   インプラントの第2部位
103   インプラントの第3部位
110   内部空間
120   被覆部
121a  被覆部の第1の面
121b  被覆部の第2の面
121c  被覆部の側面
123a  被覆部の幅方向の中央部
123b  被覆部の幅方向の端部
123c  被覆部の幅方向の端部
130   支持部
131   支持部の一端部
132   支持部の他端部
133   支持部の中間部
140   弁機構
150   係止部材
150a  係止部材の第1部位
150b  係止部材の第2部位
150c  係止部材の第3部位
151   係止部材
152   係止部材
200、200A、200B   インプラント
201a   本体部の第1の面
201b   本体部の第2の面
210    本体部
220    コーティング
230    吸着部材
240    循環孔
300    注入具
B1     大腿骨
B2     脛骨
B3     腓骨
L1     前十字靭帯
M1     外側半月板
f      充填材
g      大腿骨と脛骨の間の隙間

Claims (19)

  1.  大腿骨と脛骨との間に留置可能なインプラントであって、
     充填材を収容可能な内部空間と、
     前記内部空間を覆う被覆部と、を備え、
     前記大腿骨と前記脛骨との間に留置された状態で、前記大腿骨と前記脛骨を離間させた状態に維持するように構成された、インプラント。
  2.  前記被覆部の前記大腿骨側に配置される第1の面と、前記被覆部の前記脛骨側に配置される第2の面と、の間に配置され、前記大腿骨と前記脛骨の間に当該インプラントが留置された状態において、当該インプラントの高さ寸法を調整する支持部を有する、請求項1に記載のインプラント。
  3.  前記支持部は、弾性変形可能な材料で構成されている、請求項2に記載のインプラント。
  4.  複数の前記支持部を備える、請求項2又は請求項3に記載のインプラント。
  5.  前記支持部は、前記第1の面側に配置される一端部と、前記第2の面側に配置される他端部と、前記一端部と前記他端部との間に配置される中間部と、を有し、
     前記一端部及び前記他端部は、前記支持部の延在方向と直交する方向の断面での面積が、前記中間部よりも大きく形成されている、請求項2~4のいずれか1項に記載のインプラント。
  6.  前記支持部及び前記被覆部は一体的に構成されている、請求項2~5のいずれか1項に記載のインプラント。
  7.  前記内部空間に前記充填材が封入されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のインプラント。
  8.  前記内部空間への前記充填材の注入、及び前記内部空間からの前記充填材の漏洩防止を可能にする弁機構を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のインプラント。
  9.  膝関節の横断面上において内側半月板が位置する領域から前記大腿骨及び前記脛骨の軟骨が露出している領域のみに配置される、請求項1~8のいずれか1項に記載のインプラント。
  10.  膝関節の横断面上において内側半月板が位置する領域から前記大腿骨及び前記脛骨の軟骨が露出している領域に配置される第1部位と、前記膝関節の横断面上において外側半月板が位置する領域から前記大腿骨及び前記脛骨の軟骨が露出している領域に配置される第2部位と、前記第1部位と前記第2部位を接続する第3部位と、を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載のインプラント。
  11.  前記第3部位は、前記被覆部の一部又は紐状の部材で構成されている、請求項10に記載のインプラント。
  12.  関節包、靭帯、及び骨の一部の少なくとも一つに対して係止されることにより当該インプラントの留置位置を保持する係止部材を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のインプラント。
  13.  変形性膝関節症に罹患した患者の大腿骨と脛骨との間に充填材が収容されたインプラントを留置し、
     前記インプラントにより前記大腿骨と前記脛骨とを離間させた状態に維持する、処置方法。
  14.  前記インプラントは、内部空間と、前記内部空間を覆う被覆部と、前記被覆部の前記大腿骨側に配置される第1の面と、前記被覆部の前記脛骨側に配置される第2の面と、の間に配置された支持部と、を備え、
     当該処置方法は、前記大腿骨と前記脛骨の間に前記インプラントが留置された状態において、前記支持部により当該インプラントの高さ寸法を調整することを有する、請求項13に記載の処置方法。
  15.  前記インプラントに前記充填材を収容した状態で、前記インプラントを前記大腿骨と前記脛骨との間に配置することを有する、請求項13又は請求項14に記載の処置方法。
  16.  前記インプラントを前記大腿骨と前記脛骨との間に配置した後、前記インプラントに前記充填材を注入することを有する、請求項13または請求項14に記載の処置方法。
  17.  前記インプラントを、前記患者の膝関節の横断面上において内側半月板が位置する領域から前記大腿骨及び前記脛骨の軟骨が露出している領域のみに留置する、請求項13~16のいずれか1項に記載の処置方法。
  18.  前記インプラントを、前記患者の膝関節の横断面上において内側半月板が位置する領域から前記大腿骨及び前記脛骨の軟骨が露出している領域及び前記横断面上において外側半月板が位置する領域から前記大腿骨及び前記脛骨の軟骨が露出している領域に留置する、請求項13~16のいずれか1項に記載の処置方法。
  19.  前記インプラントに設けられた係止部材を前記患者の関節包、靭帯、及び骨の一部の少なくとも一つに対して係止することにより、前記インプラントの留置位置を保持することを有する、請求項13~請求項18のいずれか1項に記載の処置方法。
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