JP2009514612A - 関節用スペーサインプラント - Google Patents

Abstract

柔軟組織構成要素を含んだ関節の骨の間に設置されるように設計されたスペーサインプラント（１０，１１０，１２０）が提供される。スペーサインプラントは、外周面（１８）によって規定された骨の間に配置可能なスペーサ本体（１２）を備える。スペーサインプラントは、さらに、少なくとも一つの係留部（４０）を備える。各係留部は、スペーサ本体に固定される第１の端部（４２）と、スペーサ本体の外周面から外方に延びる第２の端部（４４）とを有する。各係留部の第２の端部は、関節の骨又は柔軟組織構成要素の何れかに留められるように構成されている。

Description

本発明は、摩耗した関節軟骨を置換し関節の骨の間の空間を再建させるための補綴装置に関する。

膝関節は、大腿骨と脛骨との間の結合部である。膝関節は、一般に、大腿骨の遠位部分に位置する一対の関節顆（外側顆及び内側顆）と、脛骨の近位端部に位置し一対の関節顆と結合する形状に形成された脛骨プラトーとから形成されている。膝関節は、内側顆と脛骨プラトーにおけるそれとの結合部とによって規定される内側コンパートメント（内側区画部）と、外側顆と脛骨プラトーにおけるそれとの結合部とによって規定される外側コンパートメント（外側区画部）とを有した２コンパートメント関節（２区画関節）であると考えられている。健全な膝関節は、各コンパートメントにおいて、関節顆の関節表面と脛骨プラトーとの間に良好な比率の量の関節軟骨を含んでいる。この関節軟骨は、内側半月板及び外側半月板と呼称されることが多く、大腿顆の関節表面と脛骨プラトーとの間のクッション（緩衝体）の役割を果たす。

変形性関節症は、関節部への外傷、遺伝的素因及び／又は加齢によって起こり関節部で発症する関節炎の一般的な形態である。変形性関節症は、関節部における関節軟骨の進行性劣化及び喪失によって特徴付けられる。膝関節における変形性関節症の場合、膝関節の二つのコンパートメントにおける関節軟骨の変性が不均等で、その結果、各コンパートメントにおける軟骨量の比率が悪くなることが多い。すなわち、膝関節の一方のコンパートメントがかなり関節軟骨の減った状態のままになることがある。コンパートメント内に十分な軟骨がないことは、患者をそのコンパートメントの骨の間に適切なクッションと隙間がない状態にしておくことになる。最後には、これにより、減退のよりひどいコンパートメント側に下方へ大腿骨を傾けさせ、それによって膝関節の内反又は外反の出現となることがある。さらなる結果として、これらの何れかの出現が既に変性劣化した軟骨に付加的な圧力をかけ、それによってそのコンパートメントに残っている関節軟骨を悪化させ、おそらくはその劣化を加速させ得る。実際に、大腿骨と脛骨の関節表面の間に適正なクッションがなくなると、患者にかなりの苦痛と不快さを引き起こさせ得る。

全顆又は単顆型の膝関節置換術（大腿顆の両側又は一方の人工関節置換術）を通して関節表面を置換することによってこの状態を治療する試みがなされてきた。これらの方法は、うまくいったが、侵襲がかなり大きくなることがあり、また、著しい量の骨構造の除去を必要とすることがある。あるいはまた、適正な間隔を回復させるために膝関節の単一のコンパートメントに移植され得る人工スペーサが提案された。これら人工スペーサは、「ユニスペーサ(uni-spacer）と呼称されることが多い。ユニスペーサは、典型的には、コバルトクロム合金のような金属から形成される剛性の構造体である。

関節部に移植して、摩耗した関節軟骨を置換し、関節の間隔を再建させて、大幅な骨の再建の必要なしに痛みを緩和させることができる関節スペーサに対する必要性が存在する。

本発明は、摩耗した関節軟骨を置換し関節の骨の間の空間を再建するための人工補綴装置を提供する。一つの形態では、スペーサインプラントは、柔軟組織構成要素を含んだ関節の骨の間に設置されるように設計される。スペーサインプラントは、外周面によって規定され骨の間に配置可能であるスペーサ本体を備える。スペーサインプラントは、さらに、少なくとも一つの係留部を備える。各係留部は、スペーサ本体に固定された第１の端部と、スペーサ本体の外周面から外方に延びる第２の端部とを有する。各係留部の第２の端部は、関節の骨又は柔軟組織構成要素の何れかに留められるように構成される。

一つの実施形態として、本発明は、柔軟組織構成要素を含んだ関節の骨の間に設置するためのスペーサインプラントであって、骨の間に配置可能であり且つ第１の支持表面と該第１の支持表面に対向する第２の支持表面と第１の支持表面と第２の支持表面との間でスペーサ本体周りに延びる外周面とによって規定されているスペーサ本体と、スペーサ本体に連結された第１の端部とスペーサ本体の外周面から外方に延びる第２の端部とを有した少なくとも一つの係留部とを備え、前記少なくとも一つの係留部の各々の前記第２の端部が関節の骨又は柔軟組織構成要素の外側表面に留められるように構成されるスペーサインプラントを提供する。

スペーサ本体は、外側層とコア層とを含んだ複数の層から形成され、コア層が外側層よりも強度が高くなるように外側層とコア層とが異なる材料特性を有するようにすることができる。外側層はヒドロゲルを含むことができる。コア層はプラスチック材料を含むことができる。コア層は金属を含むことができる。複数の層は、外側層とコア層との間に配設される中間層を含むことができる。少なくとも一つの係留部は、該少なくとも一つの係留部が複数の層のうちの少なくとも一つを含むように、一つのユニットとしてスペーサ本体と一体的に形成することができる。少なくとも一つの係留部は、外周面に沿って互いから離間して設けられた複数の係留部を備えることができる。少なくとも一つの係留部は、骨成長材料を含んだ骨支持表面を含むことができる。スペーサ本体は成形された剛性材料から形成され、少なくとも一つの係留部は可撓性材料から形成されることができる。

他の実施形態として、本発明は、関節の骨の間に設置するためのスペーサインプラントであって、骨の間に配置可能であるスペーサ本体を備え、該スペーサ本体が、外側層とコア層と該外側層と該コア層との間に配設される中間層とを含んだ複数の層によって形成され、コア層が中間層よりも強度が高くなるように、コア層及び中間層の各々が異なる材料特性を有した編組材料を含むスペーサインプラントを提供する。

外側層はヒドロゲルを含むことできる。編組材料は金属を含むことができる。編組材料は合成繊維を含むことができる。スペーサ本体は、第１の支持表面と、対向する第２の支持表面と、第１の支持表面と第２の支持表面との間でスペーサ本体周りに延びる外周面とによって規定され、スペーサインプラントが、スペーサ本体に連結された第１の端部とスペーサ本体の外周面から外方に延びる第２の端部とを有した少なくとも一つの係留部をさらに備えるようにすることができる。少なくとも一つの係留部は、該少なくとも一つの係留部が前記複数の層のうちの少なくとも一つを含むように、スペーサ本体と一つのユニットとして形成されることができる。スペーサ本体は、第１の支持表面と、対向する第２の支持表面と、第１の支持表面と第２の支持表面との間でスペーサ本体周りに延びる外周面とによって規定され、第１の支持表面が、第１の支持表面から上方に延び且つ第１の支持表面の外周の少なくとも一部に沿って延びる変形可能なリップを含むようにすることができる。

さらに別の実施形態として、本発明は、柔軟組織構成要素を含んだ関節の骨の間に設置するためのスペーサインプラントであって、第１の支持表面と対向する第２の支持表面と該第１の支持表面と該第２の支持表面との間でスペーサ本体周りに延びる外周面とによって規定され且つ複数の層から形成される骨の間に設置可能なスペーサ本体と、スペーサ本体に連結された第１の端部とスペーサ本体の外周面から外方に延びる第２の端部とを有した少なくとも一つの係留部とを備え、少なくとも一つの係留部の各々の第２の端部が関節の骨又は柔軟組織構成要素の何れかの外側表面に留められるように構成されているスペーサインプラントを提供する。

複数の層のうちの少なくとも一つは編組材料を含むことができる。第１の支持表面は、第１の支持表面から上方に延び且つ外周面の少なくとも一部に沿って延びる変形可能なリップを含むことができる。

本発明の上述の及び他の特徴及び目的並びにその達成方法は、添付図面と共になされる本発明の実施形態の以下の説明を参照することによって、明らかとなり、本発明自体もより良く理解される。

複数の図面を通して、対応する参照符号は対応する部分を指している。図面は本発明の実施形態を表しているが、図面は必ずしも原寸に比例しておらず、本発明を例示し説明するために、特定の特徴が誇張されている場合もある。本願に示されている例示は本発明の実施形態を複数の形態で示しているが、以下で開示されている実施形態は包括的であることを意図したものではなく、また、本発明の範囲を開示されているまさにその形態に限定するものとして解釈されるべきことを意図したものでもない。

以下に記載される実施形態は、包括的なものではなく、本発明を以下の説明に開示されるまさにその形態に限定するものでもない。むしろ、実施形態は、他の当業者がこの教示を利用することができるように選択され説明されたものである。

最初に、図１を参照すると、膝関節の大腿骨Ｆと脛骨Ｔとの間に移植された状態で本発明のスペーサ１０が示されている。さらに詳細には、スペーサ１０は、大腿顆Ｆｃと脛骨プラトーＴｐとの間の膝関節の外側コンパートメント（外側区画部）に配置されている。スペーサ１０はスペーサ本体１２を含んでおり、スペーサ本体１２は、大腿骨支持部すなわち大腿骨支持表面１４と、脛骨支持部すなわち脛骨支持表面１６と、大腿骨支持部１４と脛骨支持部１６との間に延びる外周面１８とによって規定されている。図示されているように、スペーサ本体１２は、大腿顆Ｆｃと脛骨プラトーＴｐとの間の膝関節の単一のコンパートメントに嵌合する寸法及び形状に形成されている。

次に、図１、図２及び図２Ａを参照すると、スペーサ本体１２は、外側層２０及びコア層２４を含んだ複数の層から形成されている。外側層２０がスペーサ本体１２の最外側の層であるのに対し、コア層２４はスペーサ本体１２の最内側の層である。スペーサ本体１２は、また、外側層２０とコア層２４との間に配設された中間層２２を含んでいる。各層２０，２２，２４は、各層が強度及び／又は硬度において互いに異なるように異なる材料特性を有した材料から形成されている。すなわち、各層は、力及び摩擦に対する抵抗能力において異なっており、それによって変形、破損及び／又は摩耗を最小限に抑えている。例えば、図１、図２及び図２Ａに示されている実施形態では、各層は、外側層２０からコア層２４に強度及び／又は硬度が増加していっている。

より詳細には、外側層２０は、大腿顆Ｆｃ及び脛骨プラトーＴｐが押し付けられ摺動する関節表面を提供する。外側層２０は、平滑で、好ましくは滑りやすい関節用表面を提供することができる任意の材料から作成され得る。一つの実施形態では、外側層２０は、比較的可撓性を有しており、中間層２０及びコア層２４よりも強度及び／又は硬度が低くなっている。例えば、外側層２０は、ヒドロゲルから構成され得る。外側層２０を形成するのに適したヒドロゲルには、例えば、ポリビニルアルコールヒドロゲル、ポリビニルピロリドンヒドロゲル及びポリアクリル酸ヒドロゲルが含まれ得る。あるいはまた、外側層２０は、耐久性及び耐断裂性を付加するために補強ヒドロゲルから作成してもよい。この場合、ヒドロゲルは、金属及び／又はプラスチックを含む任意の生体適合性材料によって補強することができる。さらに、補強材料は、ヒドロゲルを支持する織地を形成するように相互に織り込まれた繊維の形態になっていてもよい。この織り網の繊維は、ステンレス鋼、コバルトクロム、チタン又はそれらの合金から形成される金属繊維としてもよい。あるいはまた、繊維には、ケブラ（登録商標）、ポリエステル，レーヨン及び繊維含有アセテートのようなプラスチック繊維（合成樹脂繊維）及び／又は他の合成繊維が含まれ得る。編組材料は、成形された格子の形態であってもよい。編組材料はヒドロゲルで被覆及び充満されている。スペーサ１０の移植を容易にするために、外側層２０のヒドロゲルは、外側層２０が挿入の際に低減された寸法を有するように脱水形態になっていてもよい。挿入後に、脱水されたヒドロゲルが水分を吸って元に戻り、外側層２０を拡張させる。

中間層２２は、外側層２０よりも高い強度及び／又は硬度を有した材料から形成されている。中間層２２は、中実材料（固体材料）又は編祖材料から形成され得る。適した中実材料には、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン又はそれらの合金のような金属が含まれる。あるいはまた、中実材料は医療用プラスチックを含んでも良い。適した編組材料は、金属繊維、プラスチック繊維（合成樹脂繊維）又は合成繊維から形成することができる。例示の合成繊維には、ケブラ（登録商標）繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維又はアセテート繊維が含まれる。中間層２２は、外側層２０の編組補強材料と組成的に類似の編組材料から形成されてもよい。この場合、中間層２２の編組材料は、より詰めて密に織った繊維及び／又はより厚く強い繊維を組み込むことによって外側層２０よりも強度及び／又は硬度を高めることができる。

コア層２４は、層のうちで最も強度が高くて硬いものであり、中実材料又は編組材料から形成することができる。例えば、コア層２４は、所定の形状に成形又は加工された剛性プラスチック又は金属から形成することができる。適した金属には、例えば、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン又はそれらの合金が含まれる。あるいはまた、コア層２４は、金属繊維、プラスチック繊維（合成樹脂繊維）又は合成繊維から形成された編組材料から形成されてもよい。例示の合成繊維には、ケブラ（登録商標）繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維又はアセテート繊維が含まれる。中間層２２よりも高い強度及び／又は硬度を達成するために、コア層２４を形成する繊維は、より密な布を形成するために、より詰めて織るようにしてもよい。それに代えて又はそれに加えて、コア層２４を形成する繊維は、中間層２２を形成する繊維よりも厚くて強度が高くてもよい。

上述した実施形態の層状のスペーサは、大腿顆と脛骨プラトーとの間に移植され、大腿骨と脛骨との間を適正な間隔にし且つ膝関節において内反又は外反が現れるのを矯正することができる。スペーサのうち比較的弾性を有した外側層は、膝関節にかかる負荷の一部を吸収するためのクッション（緩衝）を提供し、それによって即効的又は迅速に痛みを軽減させる。同時に、より剛性の高い内側層がスペーサの形状と骨の間の適正な間隔を維持することを助ける。

上述した実施形態は三つの層を有したスペーサを例示しているが、本発明のスペーサは任意の数の層を有することができることが企図されている。さらに、各層は、外側層からコア層に向かうにつれて強度及び／又は硬度が増加する必要はなく、一つの層から隣の層へと強度及び／又は硬度が増加してもよく減少してもよい。スペーサは、患者の要求される間隔に適合させ且つ所望の矯正を行うために、任意の寸法、形状及び厚さに形成されることができる。また、上述した例示の実施形態は、膝関節において使用するように構成されているが、本発明のスペーサは股関節及び足首を含む他の関節において使用されるように構成されることもできる。さらに、本発明は、椎間スペーサとして脊椎において使用されるように構成されることもできる。

次に、図３を参照すると、スペーサ１１０は、大腿骨支持部１４と脛骨支持部１６と外周面１８とによって規定されるスペーサ本体１２を含んでいる点において、スペーサ１０と類似している。スペーサ本体１１０は、また、外側層２０と、中間層２２と、外側層２４とを含んでおり、各層は、層２０，２２，２４の強度及び／又は硬度が外側層２０からコア層２４へと変化するように、異なる材料特性を有している。一つの実施形態では、外側層２０、中間層２２及びコア層２４は、外側層２０からコア層２４へと強度及び／又は硬度が増加するようになっている。

スペーサ１１０は、大腿骨支持部１４の外周に沿って、大腿骨支持部１４から上方に延びるリップ２８を含んでいる。リップ２８は、関節腔内におけるスペーサ１１０の移動を制限し、スペーサ１１０が関節腔から外れるのを防止する。リップ２８は、外側層２０と同じ材料から形成されてもよく、異なる材料からなってもよい。リップ２８は、関節腔へのスペーサ１１０の設置を容易にするために、挿入の際に変形する又は縮むことができる弾性材料から形成されてもよい。例えば、リップ２８は、ヒドロゲルから形成されることができる。

図４〜図６に示されている実施形態では、スペーサ１２０はスペーサ本体１２を含んでおり、スペーサ本体１２は、大腿骨支持部１４と、脛骨支持部１６と、スペーサ本体１２の周りに大腿骨支持部１４から脛骨支持部１６まで延びる外周面１８とにより規定されている。スペーサ本体１２は、大腿顆Ｆｃと脛骨プラトーＴｐとの間に配置されて、大腿骨支持部１４が大腿顆Ｆｃのための関節表面を提供し且つ脛骨支持部１６が脛骨プラトーＴｐのための関節表面を提供するように構成される。スペーサ１２０は、さらに、複数の細長い係留部４０を含んでいる。各係留部４０は、スペーサ本体１２に連結された第１の端部４２と、スペーサ本体１２の外周面１８から外方に延びる第２の端部４４とを含んでいる。各係留部４０の第２の端部４４は、関節腔の間から外方に延びており、関節の任意の構成要素の表面に留められ、それによってスペース本体１２の移動性を制限しスペーサ本体１２が関節腔から外れることを防止するように構成されている。例えば、図４に示されているように、係留部４０の第２の端部４４は、留め具５０を用いて脛骨Ｔに留めることができる。留め具５０は、縫合材、ねじ、ピン、釘、ステープル又は他の任意の適した留め具の形態とすることができる。

係留部４０の第２の端部４４は、膝関節における脛骨以外の構成要素に固定されてもよい。例えば、図６に示されているように、係留部の第２の端部を膝関節の靭帯に留めることができる。スペーサ１２０は、大腿顆Ｆｃと脛骨プラトーＴｐの残りの任意の内側半月との間の膝関節の内側コンパートメント内に配置される。あるいはまた、スペーサ１２０の移植に先立って、内側半月を含む任意の損傷した柔軟組織を除去してもよい。係留部４０のうちの一つの第２の端部が前十字靱帯Ｌ₁に取り付けられるのに対し、他の係留部４０の第２の端部４４は内側側副靭帯Ｌ₂に取り付けられる。他の代替実施形態では、係留部４０の第２の端部４４を後十字靱帯（図示せず）、外側側副靭帯Ｌ₃、内側半月Ｍ_m又は外側半月Ｍ_lに取り付けることもできる。

係留部４０は、可撓性を有することが好ましいが、図４に示されるように所定の位置に曲げられ得るような強度を有する。さらに、可撓性の係留部４０の張力は、所望の移動性を達成するように調整することができる。すなわち、スペーサ本体１２を関節腔に配置した後、スペーサ本体１２の移動性を最小限にするために、脛骨Ｔへの取り付けの前に係留部４０をぴんと張ってもよい。あるいはまた、かなりの移動性が所望される場合、係留部４０に少しのたるみを残したまま係留部４０の第２の端部４４を脛骨Ｔに取り付け、それによって完全に外れることを防止しつつスペーサ本体１２の移動を許容してもよい。さらに、各係留部４０は、方向ごとに異なるレベルの移動性を提供するように、異なる張力で固定されてもよい。

係留部４０は可撓性を有していることが好ましいが、本発明は、係留部が適切な関節構成要素への取り付けのために予め配置されている予め形成された剛性構造とすることができる実施形態をも企図している。

係留部４０は、スペーサ本体１２とは別体に形成されてもよく、スペーサ本体１２と一体的に形成されてもよい。別体の構成要素として形成される場合、係留部４０の第１の端部４２は、縫合材、ねじ又は他のタイプの留め具を用いて第１の端部４２をスペーサ本体１２の任意の部分に留めることによって、スペーサ本体１２に直接的又は間接的に結合される。係留部４０がスペーサ本体１２と一体的に形成される場合、スペーサ本体１２と係留部４０とは一つの成形型内で一緒にプラスチック成形されて形成することができる。係留部４０とスペーサ本体１２との間の可撓性及び他の特性の差を作ることは、スペーサ本体１２と係留部４０とに異なる厚さを持たせることにより及び／又は成形型の異なる部分に様々な硬化剤又は他の組成物を添加することによって、一体成形工程において成し遂げることができる。

スペーサ本体１２は、所定の形状に成形又は機械加工された金属、プラスチック又は他の材料から形成された中実の硬い構造とすることができる。滑らかな関節表面を提供するために、スペース本体１２の中実の硬い構造は、コーティング（被覆）で覆ってもよい。コーティングは、滑りやすい滑らかな表面を提供するために、ヒドロゲル及び／又はセラミック材料から構成してもよい。あるいはまた、スペーサ１２０のスペーサ本体１２は、上述したスペーサ１０（図２）のスペーサ本体１２に似た層状の構造とすることができる。

次に、図５を参照すると、スペーサ１２０のスペーサ本体１２は、外側層２０と中間層２２とコア層２４とを有した層状の構造体である。複数の係留部４０が、全ての層２０，２２，２４を含むように層状のスペーサ本体１２と一体的に形成されていてもよい。あるいはまた、係留部４０は、外側層２０、中間層２２及びコア層２４のうちの選択されたもの及び／又は一部のみを含むように層状のスペーサ本体１２と一体的に形成されていてもよい。例えば、係留部４０は、中間層２２及び外側層２０がスペーサ本体１２の外周面１８から漏れ出たように、スペーサ本体１２と一体的になっている。係留部４０は、骨支持表面４６と、外側表面４８とを含んでいる。図５に示されているように、外側表面４８は、外側層２０の延長部から形成され、それにより、係留部４０が周囲の柔軟組織の移動と干渉しないように滑らかで滑りやすい表面を提供することができる。これに対し、骨支持表面４６は、中間層２２の延長部のように滑らかさに劣る材料から形成されてもよい。図示されていないが、係留部４０の第２の端部４４における骨支持表面４６は、脛骨Ｔが係留部４０の第２の端部４４内に成長することを許容し、それによって固定を改善させるように、多孔性の金属又はプラスチックのような骨成長材料から形成されてもよいことも企図されている。さらに、第２の端部４４の骨支持表面４６は、係留部４０の第２の端部４４の内部への骨の成長をさらに促進するために、成長因子を含んでもよい。

スペーサ１２０は、二つの係留部４０を有するものとして図４〜図６に示されている。しかしながら、本発明は、任意の数の係留部を有するスペーサを企図している。さらに、係留部は、目標関節構成要素への係留部の取り付けを容易にするために、スペーサ本体上の任意の位置から延びるように戦略的に配置されてもよい。例えば、スペーサ本体を内側構成要素に配置し且つ係留部を前十字靱帯及び内側側副靭帯に取り付けることが所望される場合、係留部はスペーサ本体の内側と前側の両方から延びるように配置されればよい。

本発明が例示の構造を有するものとして説明されたが、本発明は本開示の精神及び範囲内でさらに改変され得る。したがって、本願は、本発明の全体的な原理を使用した本発明の任意の変化形態、用途及び適用例を網羅することを意図されている。さらに、本願は、本発明が属する技術分野における公知又は慣用の範囲内になるような本開示からの逸脱も網羅することを意図している。

本発明の一実施形態による関節スペーサインプラントが大腿顆と脛骨プラトーとの間に配置された膝関節の前面図である。 図１の関節スペーサインプラントの断面図である。 図１の関節スペーサインプラントの大腿骨支持側から見た斜視図である。 本発明の他の実施形態による関節スペーサインプラントの断面図である。 膝関節の大腿顆と脛骨プラトーとの間に関節スペーサインプラントが配置された膝関節の前面図である。 図４の関節スペーサの前部断面図である。 膝関節の大腿顆と脛骨プラトーとの間に関節スペーサが配置された膝関節の前面図である。

Claims (11)

1. 関節の骨の間に配置可能なスペーサ本体（１２）を備えた関節の骨の間に設置するためのスペーサインプラント（１０，１１０，１２０）において、前記スペーサ本体が外側層（２０）とコア層（２４）とを含んだ複数の層を備え、前記コア層が前記外側層よりも強度が高くなるように前記外側層と前記コア層が異なる材料特性を有していることを特徴とするスペーサインプラント。
2. 前記外側層がヒドロゲルを含む、請求項１に記載のスペーサインプラント。
3. 前記外側層及び前記コア層の各々が編組材料を含む、請求項１又は請求項２に記載のスペーサインプラント。
4. 前記編組材料が、金属、プラスチック材料又は合成繊維である、請求項３に記載のスペーサインプラント。
5. 前記複数の層が、前記外側層と前記コア層との間に配設された中間層（２２）を備える、請求項１から請求項４の何れか一項に記載のスペーサインプラント。
6. 前記中間層と前記コア層は、前記コア層が前記中間層よりも強度が高くなるように、異なる材料特性を有している、請求項５に記載のスペーサインプラント。
7. 前記スペーサ本体が、第１の支持表面（１４）と、対向する第２の支持表面（１６）と、前記第１の支持表面と前記第２の支持表面との間で前記スペーサ本体周りに延びる外周面（１８）とによって規定されており、前記スペーサインプラントが、前記スペーサ本体に連結された第１の端部（４２）と前記スペーサ本体の前記外周面から外方に延びる第２の端部（４４）とを有した少なくとも一つの係留部（４０）をさらに備える、請求項１から請求項６の何れか一項に記載のスペーサインプラント。
8. 前記少なくとも一つの係留部は、該少なくとも一つの係留部が前記複数の層の少なくとも一つを含むように、一つのユニットとして前記スペーサ本体と一体的に形成されている、請求項７に記載のスペーサインプラント。
9. 前記少なくとも一つの係留部は、前記外周面に沿って互いから離間して設けられた複数の係留部を含む、請求項７に記載のスペーサインプラント。
10. 前記少なくとも一つの係留部は骨支持表面（４６）を含み、前記骨支持表面が骨成長材料から構成されている、請求項７に記載のスペーサインプラント。
11. 前記第１の支持表面は、前記第１の支持表面から上方に延び且つ前記外周面の少なくとも一部に沿って延びている変形可能なリップ（２８）を含んでいる、請求項７に記載のスペーサインプラント。

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