WO2021182233A1

WO2021182233A1 - 装着センサ、及び治具

Info

Publication number: WO2021182233A1
Application number: PCT/JP2021/008170
Authority: WO
Inventors: 剛士上田; 信行古園井; 文▲セイ▼ 李; 雄梧加世田; 洋海横山
Original assignee: 日東電工株式会社
Priority date: 2020-03-09
Filing date: 2021-03-03
Publication date: 2021-09-16
Also published as: JPWO2021182233A1

Abstract

短時間で装着可能な装着センサを提供する。装着センサは、センサと、前記センサを取り付けるベルトと、前記ベルト端同士を固定する固定手段と、治具に前記ベルトを仮固定する仮固定手段と、を備え、前記仮固定手段による前記ベルトの保持力は、前記固定手段による前記ベルトの保持力よりも小さい。前記仮固定手段は、前記固定手段の近傍で、前記ベルトを挟んで前記固定手段とは反対側の部分で前記治具に前記ベルトを仮固定することが好ましい。前記固定手段は、前記ベルトの一端が上側で、前記ベルトの他端が下側になるように、前記ベルト端の面同士を接触させて固定することが好ましい。

Description

装着センサ、及び治具

　本発明は、装着センサ、及び治具に関する。

　従来、家畜等の活動状態や健康状態を管理するためには、畜産事業者や獣医等が直接的に家畜の状態を把握する必要があった。しかし、管理する家畜数が多い大型の畜産事業者にとっては、家畜の状態管理は負担が大きい。そこで、近年、体温や加速度等の生体情報を取得するセンサを各家畜に装着させ、全ての家畜の状態をコンピュータシステムにより一括管理する方法が知られている（例えば、特許文献１参照）。

　また、センサ等を含む電子機器を装着させる方法として、端部に電子機器を保持した首輪状のベルトを家畜に装着させるものが開示されている（例えば、特許文献２参照）。

国際公開第２０１６／１８１６０５号公報米国特許第８６４８９７９号公報

　しかしながら従来の方法では、センサの装着に時間がかかる場合がある。

　本発明は、短時間で装着可能な装着センサを提供することを課題とする。

　上述課題を解決するために、本発明の装着センサは、センサと、前記センサを取り付けるベルトと、前記ベルト端同士を固定する固定手段と、治具に前記ベルトを仮固定する仮固定手段と、を備え、前記仮固定手段による前記ベルトの保持力は、前記固定手段による前記ベルトの保持力よりも小さい。

　本発明によれば、短時間で装着可能な装着センサを提供できる。

第１実施形態に係る装着センサの構成例を示す正面図である。第１実施形態に係る装着センサの構成例を示す側面図である。第１実施形態に係る装着センサと治具の構成例を示す斜視図である。第１実施形態に係る装着センサの装着方法例を示すフローチャートである。端部を折り返さない場合のベルト端同士の固定部の固定前の図である。端部を折り返さない場合のベルト端同士の固定部の固定後の図である。端部を折り返した場合のベルト端同士の固定部の固定前の図である。図５ＡのＡ部付近の部分拡大図である。端部を折り返した場合のベルト端同士の固定部の固定後の図である。第２実施形態に係る装着センサの構成例を示す正面図である。第２実施形態に係る装着センサの構成例を示す側面図である。第２実施形態に係る装着センサの構成例の斜視図である。第３実施形態に係る治具の端部の構成例を示す図である。固定手段の他の例のホックの図である。リベットである。固定手段の他の例のリベットの図である。治具の他の第１例の図である。治具の他の第２例の図である。伸縮部材の他の例を示す図である。固定補助部材をベルト側に設けた例を示す図である。第４実施形態に係る装着センサを装着した牛を示す図である。格納ポーチの表面側から装着センサを視た図である。格納ポーチの裏面側から装着センサを視た図である。太陽光を透過する素材を用いた格納ポーチの構成例の図である。

　以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。

　実施形態では、ベルトにセンサが取り付けられた首輪状の装着センサを牛等の家畜に装着させる。牛への装着の際には、装着センサのベルトが仮固定された治具を操作することで、牛の上方からベルトを牛の首に巻き、その後ベルト端同士を固定した後に、仮固定を解除してベルトから治具を離脱させる。ここで、治具にベルトを仮固定する保持力（固定する力）はベルト端同士を固定する保持力より小さい。これにより、ベルト端同士を固定した状態を維持したまま、治具とベルトとの間の仮固定を解除できるようになっている。実施形態では、区別のために「固定」に比べて保持力が小さい固定を「仮固定」という。

　このように治具を用いた簡単な操作によって、ベルト端同士の固定と治具からのベルトの離脱を行うことで、装着センサを短時間で牛に装着させる。

　［第１実施形態］
　＜装着センサ１の構成例＞
　まず、第１実施形態に装着センサ１の構成について、図１Ａ及び図１Ｂを参照して説明する。図１Ａは装着センサ１の構成の一例を説明する正面図、図１Ｂは装着センサ１の構成の一例を説明する側面図である。なお、図１Ａ及び図１Ｂに矢印で示す方向のうち、Ｘ方向は装着センサ１におけるベルト１１の長手方向、Ｙ方向はベルト１１の幅方向、Ｚ方向はＸ及びＹ方向の両方と直交する方向をそれぞれ示している。

　図１Ａ及び図１Ｂに示すように、装着センサ１は、ベルト１１と、センサ１２ａ，１２ｂと、面ファスナー１３ａ，１３ｂとを備えている。ベルト１１はＸ方向を長手とする帯状の部材である。センサ１２ａ，１２ｂはベルト１１の負のＺ方向側の面に取り付けられている。面ファスナー１３ａ，１３ｂは、治具にベルト１１を仮固定するための部材である。

　ベルト１１は、ナイロン等の柔らかい素材で構成され、牛の首に巻き付けるために十分な長さに形成されている。ベルト１１の正のＺ方向側の面を牛の皮膚又は皮膚を覆う体毛に接触させ、ベルト１１を首輪のようにして牛の首に巻き付けることで、牛に装着センサ１を装着できるようになっている。

　またベルト１１における正のＸ方向側の端部１１１ａは折り返し可能に構成され、端部１１１ａが折り返されることで、一点鎖線の丸で示すように折り返し部１１０を形成している。

　折り返し部１１０において、ベルト１１の正のＺ方向側の面が折り返されて、正のＺ方向側の面同士が対向する部分には、仮留め部１１０ａが設けられている。仮留め部１１０ａは面ファスナーで構成されている。面ファスナーの具体例としては、マジックテープ（登録商標）等が挙げられる。

　仮留め部１１０ａが、折り返し部１１０で対向するベルト１１の正のＺ方向側の面同士を仮留めすることで、折り返し部１１０ではベルト１１の端部１１１ａが折り返された状態を維持できるようになっている。この仮留め部１１０ａは「仮留め手段」の一例である。

　またベルト１１は、両面テープ１１２ａ，１１２ｂを備えている。両面テープ１１２ａ，１１２ｂのそれぞれは、両面が接着面を構成する接着部材である。両面テープ１１２ａは、ベルト１１の正のＸ方向側の端部１１１ａで、ベルト１１の負のＺ方向側の面が折り返されて正のＺ方向側を向いている部分に、接着により固定されている。

　一方、両面テープ１１２ｂはベルト１１の負のＸ方向側の端部１１１ｂで、ベルト１１の正のＺ方向側の面に接着により固定されている。両面テープ１１２ａ，１１２ｂのそれぞれにおける接着面とは反対側の面は、正のＺ方向に向き、他の部材を接着して固定できるようになっている。

　ベルト１１が輪状になるように端部１１１ａと端部１１１ｂとを近づけ、両面テープ１１２ａ，１１２ｂのそれぞれの正のＺ方向側の面同士を接着させることで、端部１１１ａと端部１１１ｂ同士が固定される。換言すると、両面テープ１１２ａ，１１２ｂはベルト１１のベルト端同士を固定する。ベルト端同士を固定することで、ベルト１１は牛に装着可能な首輪を構成する。

　ここで、両面テープ１１２ａ，１１２ｂのそれぞれは「固定手段」の一例である。但し、本実施形態ではベルト１１の両端に両面テープ１１２ａ，１１２ｂをそれぞれ設ける例を示すが、ベルト１１のベルト端同士を固定できるのであれば、ベルト１１の何れか一方の端部に両面テープを設ける構成にしてもよい。換言すると、ベルト１１は両端の少なくとも一方に固定手段を備えることができる。

　なお、ベルト端は必ずしもベルト１１の先端（正のＸ方向側の先端と負のＸ方向側の先端）に限定されるものではない。端部１１１ａ，１１１ｂのようにベルト１１の端部付近の領域もベルト端に含まれる。また牛の首に巻き付けるリング状の部分の長さを確保できるのであれば、端部１１１ａ，１１１ｂよりさらにベルト１１の中央寄りの部分に両面テープ１１２ａ，１１２ｂを設けて固定してもよい。従って、ベルト端にはベルト１１のより中央寄りの部分も含まれる。

　但し、ベルト１１における首輪を構成しない端部の余りの部分が長くなると、牛の活動の邪魔になったり、素材の無駄が生じたりするため、ベルト１１のより先端寄りの部分に両面テープ１１２ａ，１１２ｂを設けることが好ましい。

　両面テープ１１２ａ，１１２ｂのそれぞれの長さと幅は、接着した際に所定の固定強度が得られ、またベルト１１における牛の首に巻き付ける部分の長さが確保されるのであれば、特に制限はされない。

　また、長期間に亘って外れず安定して牛の首にベルト１１を装着させるために、両面テープ１１２ａ，１１２ｂとして、日東電工（株）製のアクリルフォーム基材強接着両面テープのハイパージョイント（登録商標）等を用いると好適である。

　次に、センサ１２ａ，１２ｂについて説明する。センサ１２ａ，１２ｂは、接着等でベルト１１の負のＺ方向側の面に取り付けられている。センサ１２ａ，１２ｂは、それぞれ筐体内に温度センサ、加速度センサ、メモリ、無線通信回路、バッテリ等を備えている。これらのうち、温度センサは、装着センサ１を装着した牛の体温を検出し、加速度センサは、この牛の活動状態を検出する。

　メモリは、温度センサ及び加速度センサの検出データや、牛の個体識別情報等を記憶する。無線通信回路は、検出データを個体識別情報とともに、外部装置であるコンピュータへ無線送信する。

　コンピュータは受信した検出データに基づき、牛の活動状態を管理できる。また複数の牛のそれぞれに装着センサ１を装着させ、検出データをコンピュータに送信することで、複数の牛の状態をコンピュータで一括管理できる。

　なお、本実施形態では、装着センサ１は、センサ１２ａ，１２ｂの２個のセンサを備える例を示すが、センサの個数は２個に限定されるものではなく、増減があってもよい。但し、牛の一方の側だけにセンサが設けられると、重さが非対称となって牛にストレスを与えるため、重さのバランスを維持できるように、牛の中心に対して対称な位置にセンサを設けると好適である。

　またセンサ１２ａ，１２ｂのうちの一方は、センサの機能を有しないダミーユニットとしてもよい。この場合、ダミーユニットとしてのセンサには、重さのバランスを維持できるように、上記のセンサ機能を有するセンサとほぼ同一の重さの重り等を付加すると好適である。

　次に、面ファスナー１３ａ，１３ｂについて説明する。面ファスナー１３ａ，１３ｂのそれぞれは、面として着脱が可能なファスナーである。面ファスナー１３ａ，１３ｂの具体例としては、マジックテープ等が挙げられる。

　面ファスナー１３ａは、端部１１１ａにおける負のＺ方向側の面に設けられ、治具側に設けられた面ファスナーと面同士が接触して両者が接合することで、ベルト１１と治具とを仮固定できるようになっている。また面ファスナー１３ａは、ベルト１１のベルト端同士を固定する両面テープ１１２ａの近傍で、ベルト１１を挟んで両面テープ１１２ａの反対側の部分で、治具にベルト１１を仮固定できるようになっている。なお、治具については別途、図２を参照して詳述する。

　面ファスナー１３ｂは、端部１１１ｂにおける負のＺ方向側の面に設けられ、治具側に設けられた面ファスナーと面同士が接触して両者が接合することで、ベルト１１と治具とを仮固定できるようになっている。また面ファスナー１３ｂは、ベルト１１におけるベルト端同士を固定する両面テープ１１２ｂの近傍で、ベルト１１を挟んで両面テープ１１２ｂの反対側の部分で、治具にベルト１１を仮固定できるようになっている。

　面ファスナー１３ａ，１３ｂはベルト１１を治具に仮固定するが、その保持力は両面テープ１１２ａ，１１２ｂの保持力より小さい。こうすることで、ベルト１１のベルト端同士を固定した状態を維持したまま、治具とベルト１１との間の仮固定が解除可能になっている。ここで、面ファスナー１３ａ，１３ｂのそれぞれは、装着センサが備える「仮固定手段」の一例である。

　なお、面ファスナー１３ａ，１３ｂのそれぞれの長さと幅は、所定の仮固定強度が得られ、また両面テープ１１２ａ，１１２ｂの保持力より小さい保持力を確保されるのであれば、特に制限はされない。

　装着センサ１は、次述する治具２に仮固定され、作業者が治具２を操作することで牛の首に装着される。なお、作業者とは、牛の首に装着センサ１を装着させる作業を行う者をいう。

　＜治具２の構成例＞
　次に、装着センサ１を牛に装着させるために使用される治具２の構成について、図２を参照して説明する。図２は、装着センサ１と治具２の構成の一例を説明する斜視図である。

　図２に示すように、治具２はアーム部材２１ａ，２１ｂを備えている。アーム部材２１ａ，２１ｂは、それぞれベルト１１より硬いプラスチック素材で構成され、湾曲形状に形成された湾曲部を少なくとも一部に含む部材である。

　アーム部材２１ａの一端には平面部２１１ａが形成され、平面部２１１ａには面ファスナー２２ａが設けられている。面ファスナー２２ａは、ベルト１１に設けられた面ファスナー１３ａと接合することでベルト１１を仮固定する。

　また、アーム部材２１ｂの一端には平面部２１１ｂが形成され、平面部２１１ｂには面ファスナー２２ｂが設けられている。面ファスナー２２ｂは、ベルト１１に設けられた面ファスナー１３ｂ（図２では図示を省略。図１Ａ及び図１Ｂ参照）と接合することでベルト１１を仮固定する。ここで、面ファスナー２２ａ，２２ｂのそれぞれは、治具が備える「仮固定手段」の一例である。

　アーム部材２１ａ，２１ｂのそれぞれの他端は、ジョイント部材２３を介して接続されている。ジョイント部材２３による接続部を中心にしたアーム部材２１ａ，２１ｂのそれぞれの回転により、アーム部材２１ａ，２１ｂのそれぞれの一端側が開閉できるようになっている。

　一端側が閉じた場合には、平面部２１１ａと平面部２１１ｂの面同士が当接する。またアーム部材２１ａ，２１ｂにおける湾曲部の内側（両者が対向する側）には、輪状の空隙部が形成された状態になる。

　アーム部材２１ａの湾曲部の内側の面には、アーム部材２１ａの長手方向に沿って、平面部２１１ａから被嵌合部２１２ａまで伸びる溝であるガイドリブ２１３ａが形成されている。同様にアーム部材２１ｂの内側の面には、アーム部材２１ｂの長手方向に沿って、平面部２１１ｂから被嵌合部２１２ｂまで伸びる溝であるガイドリブ２１３ｂが形成されている。

　このガイドリブ２１３ａ，２１３ｂは、溝内にベルト１１を収容することでベルト１１の端部以外の部分を仮固定できる。またガイドリブ２１３ａ，２１３ｂに収容されて仮固定されたベルト１１は、容易に引き出すことができ、ガイドリブ２１３ａ，２１３ｂによる仮固定の保持力は、両面テープ１１２ａ，１１２ｂ（図１Ａ及び図１Ｂ参照）の保持力より小さくなっている。

　ここで、ガイドリブ２１３ａ，２１３ｂは、「収容部」の一例であり、また「仮固定手段」の一例である。また、ガイドリブ２１３ａ，２１３ｂのそれぞれにおける溝の開放側は、「収容部」における「開口部」に対応する。

　被嵌合部２１２ａは、治具２がベルト１１を仮固定した場合に、ベルト１１の表面から突出しているセンサ１２ａが嵌合される部分である。また被嵌合部２１２ｂは、治具２がベルト１１を仮固定した場合に、ベルト１１の表面から突出しているセンサ１２ｂが嵌合される部分である。換言すると、センサ１２ａは治具２に形成された被嵌合部２１２ａに嵌合可能に構成され、センサ１２ｂは治具２に形成された被嵌合部２１２ｂに嵌合可能に構成されている。

　また、ジョイント部材２３はレバー２４に係合しており、レバー２４を矢印２４１の方向に回転させることで、アーム部材２１ａ，２１ｂのそれぞれの一端側が閉じるようになっている。またレバー２４を矢印２４１とは反対側の方向に回転させることで、アーム部材２１ａ，２１ｂのそれぞれの一端側が開くようになっている。従って作業者は、レバー２４を回転操作することで、アーム部材２１ａ，２１ｂの両方を把持しなくても、アーム部材２１ａ，２１ｂの開閉操作を行うことができる。

　＜装着センサ１の装着方法例＞
　次に、作業者による治具２を用いた装着センサ１の牛の首への装着方法について、図３を参照して説明する。図３は、装着センサ１の牛の首への装着方法の一例を示すフローチャートである。

　まず、ステップＳ３１において、作業者は、治具２にベルト１１を仮固定する。この際に、作業者は、被嵌合部２１２ａにセンサ１２ａを嵌合させ、被嵌合部２１２ｂにセンサ１２ｂを嵌合させる。そしてベルト１１の端部以外の部分をガイドリブ２１３ａ，２１３ｂに収容して仮固定する。またベルト１１の面ファスナー１３ａを面ファスナー２２ａに接合し、ベルト１１の面ファスナー１３ｂを面ファスナー２２ｂに接合して、ベルト１１の端部を仮固定する。

　但し、ベルト１１が治具２に予め仮固定された状態で、装着センサ１を作業者に提供することもできる。この場合は、ステップＳ３１の作業は省略される。

　なお、ステップＳ３１の時点では、ベルト１１のベルト端同士は固定されておらず離間した状態であり、ベルト１１はまだ首輪を構成していない。

　続いて、ステップＳ３２において、作業者はレバー２４を回転操作してアーム部材２１ａ，２１ｂの一方の端部側が開いた状態にする。そして、この状態で治具２を牛の上方から牛の首に近づけ、牛の首回りに配置して、牛の首の回りをアーム部材２１ａ，２１ｂの湾曲部で囲える状態にする。

　続いて、ステップＳ３３において、作業者はレバー２４を回転操作してアーム部材２１ａ，２１ｂの一方の端部側を閉じる。これにより、アーム部材２１ａ，２１ｂの湾曲部の内側に形成された輪状の空隙部内に牛の首が嵌った状態になる。

　また、アーム部材２１ａ，２１ｂの一方の端部側を閉じたことで、アーム部材２１ａの平面部２１１ａと、アーム部材２１ｂの平面部２１１ｂとが当接する。そして、ベルト１１のベルト端における両面テープ１１２ａと両面テープ１１２ｂ同士が当接して接着する。これにより、ベルト１１のベルト端同士が固定され、ベルト１１は首輪を構成する。

　続いて、ステップＳ３４において、作業者はレバー２４を操作してアーム部材２１ａ，２１ｂの一方の端部側を再度開く。この際に、装着センサ１側の面ファスナー１３ａ，１３ｂと治具２側の面ファスナー２２ａ，２２ｂとを用いた仮固定の保持力は、両面テープ１１２ａ，１１２ｂを用いた固定の保持力より小さい。そのため、ベルト１１のベルト端同士を固定した状態を維持したまま、治具２とベルト１１との間の仮固定は解除され、ベルト１１から治具２が離脱する。

　続いて、ステップＳ３５において、作業者は治具２をベルト１１から遠ざける。ベルト１１は牛の首に残り、装着センサ１が牛の首に装着された状態になる。

　このようにして、装着センサ１を牛の首に装着させることができる。

　＜折り返し部１１０の作用＞
　次に、装着センサ１における折り返し部１１０の作用について、図４Ａ、図４Ｂ、図５Ａ、図５Ｂ及び図５Ｃを参照して説明する。まず図４Ａは、ベルト１１の端部に折り返し部を設けない場合のベルト端同士の固定部の固定前を説明する図、図４Ｂは、ベルト１１の端部に折り返し部を設けない場合のベルト端同士の固定部の固定後を説明する図である。

　図４Ａは、ベルト１１のベルト端と、ベルト１１が仮固定されたアーム部材２１ａ，２１ｂの端部付近とを拡大して示している。ベルト端には、両面テープ１１２ａ，１１２ｂが設けられている。

　図４Ａの状態から、アーム部材２１ａ，２１ｂの端部を閉じると、両面テープ１１２ａと両面テープ１１２ｂとが当接して接着する。その後、アーム部材２１ａ，２１ｂの端部を開くと、仮固定が解除され、ベルト１１からアーム部材２１ａ，２１ｂが離脱する。図４Ｂは、アーム部材２１ａ，２１ｂが離脱した後のベルト端同士が固定された状態を示し、固定部１１２'はベルト端同士が固定された部分を拡大して示している。

　ここで、図４Ｂにおける矢印４１ａ，４１ｂは固定部１１２'における接着を剥がそうとする力を表している。このような接着を剥がそうとする力は、装着センサ１を装着した牛が装着後に成長し、首回りが太くなった際に加わる力や、装着センサ１のベルト１１が首輪の半径方向に引っ張られた際に加わる力等である。

　ベルト１１の端部に折り返し部を設けないと、両面テープ１１２ａ，１１２ｂ同士が接着する面の垂直方向に接着を剥がそうとする力が加わる。その結果、固定部１１２'における接着が剥がれやすくなる場合がある。

　これに対し、図５Ａはベルト１１の端部に折り返し部１１０を設けた場合のベルト端同士の固定部の固定前の一例を説明する図、図５Ｂは図５ＡのＡ部付近の部分拡大図、図５Ｃはベルト１１の端部に折り返し部１１０を設けた場合のベルト端同士の固定部の固定後の一例を説明する図である。

　図５Ａは、ベルト１１のベルト端と、ベルト１１が仮固定されたアーム部材２１ａ，２１ｂの端部付近とを拡大して示している。ベルト端には、両面テープ１１２ａ，１１２ｂが設けられている。

　また図５Ａに破線の矩形枠で示したＡ部付近では、図５Ｂに示すように、折り返し部１１０が設けられ、ベルト１１を挟んでアーム部材２１ａの反対側に両面テープ１１２ａが設けられている。また折り返し部１１０は仮留め部１１０ａ（図１Ａ及び図１Ｂ参照）による仮留めにより、折り返した状態が維持されている。

　図５Ａの状態から、アーム部材２１ａ，２１ｂの端部を閉じると、両面テープ１１２ａと両面テープ１１２ｂとが当接して接着する。その後、アーム部材２１ａ，２１ｂの端部を開くと、仮固定が解除され、ベルト１１からアーム部材２１ａ，２１ｂから離脱される。

　また仮留め部１１０ａも面ファスナーで構成されており、仮留めによる保持力は、両面テープ１１２ａ，１１２ｂによるベルト端同士の固定の保持力より小さい。そのため、アーム部材２１ａ，２１ｂの端部を開いた際に仮留めが解除され、折り返し部１１０における折り返した状態が解消される。

　その結果、ベルト１１におけるベルト端同士の固定部１１２は、図５Ｃに示すように、ベルト１１の一方の端部１１１ａが上側で、他方の端部１１１ｂが下側になるようにして、ベルト端の面同士が接触して固定される。

　ここで、図５Ｃにおける矢印５１ａ，５１ｂは固定部１１２における接着を剥がそうとする力を表している。折り返し部１１０の作用により、ベルト１１の一方の端部１１１ａが上側で、他方の端部１１１ｂが下側になるように固定されることで、固定部１１２では、両面テープ１１２ａ，１１２ｂ同士が接着する面のせん断方向に接着を剥がそうとする力が加わる。これにより、垂直方向に接着を剥がそうとする力が加えられる場合と比較して、ベルト端同士の固定部１１２における接着を、より剥がれにくくすることができる。

　＜装着センサ１の作用効果＞
　次に、装着センサ１の作用効果について説明する。牛の首に装着される首輪状の装着センサは、牛の首回りの皮膚や皮膚を覆う体毛に直接センサを取り付ける場合等と比較して、長期に亘ってより安定して牛の首にセンサを装着させることができる。

　しかし、動く牛に首輪状の装着センサを装着させる作業は容易ではないため、装着作業に時間がかかる場合がある。また牛が動きにくくなるように牛を押さえる柵や設備を設けると、作業スペースが狭くなることで装着作業を行いにくくなり、装着に時間がかかる場合がある。

　例えば、Ｆｅｅｄｌｏｔ（肥育場）等における牛の活動状態や健康状態を管理するために装着センサを利用する場合には、数百頭レベルのより多くの牛にセンサを装着させる必要があるため、装着時間はさらに増大する。

　これに対し、本実施形態に係る装着センサ１は、センサ１２ａ，１２ｂを取り付けるベルト１１のベルト端同士を固定する両面テープ１１２ａ，１１２ｂと、治具２にベルト１１を仮固定する面ファスナー１３ａ，１３ｂとを備える。そして、面ファスナー１３ａ，１３ｂによるベルト１１の仮固定の保持力を、両面テープ１１２ａ，１１２ｂによるベルト１１のベルト端同士の保持力よりも小さくする。

　これにより、装着センサ１のベルト１１が仮固定された治具２を操作して、牛の上方からベルトを牛の首に巻き、その後ベルト端同士を固定した後に、仮固定を解除してベルトから治具を離脱させることができる。

　治具２の開閉操作だけで簡単に装着作業を行えるため、短時間で牛の首に装着センサ１を装着させることができる。換言すると、短時間で牛の首に装着可能な装着センサ１を提供できる。装着センサ１により、例えば１０秒以内という短時間での装着が可能になる。

　また本実施形態では、ベルト１１における端部１１１ａは折り返し可能に構成され、仮留め部１１０ａを用いて折り返し部１１０を形成する。このような構成において上述した装着作業を行うことで、ベルト１１の一端が上側で他端が下側になるようにベルト端の面同士を接触させて固定することができる。

　これにより、接着を剥がそうとする力は接着面のせん断方向に加えられる状態になるため、面の垂直方向に接着を剥がそうとする力が加えられる場合と比較して、ベルト１１におけるベルト端部同士の接着を剥がれにくくすることができる。そして長期に亘ってより安定して牛の首にセンサを装着させることができる。但し、折り返し部１１０は必須の構成ではなく、折り返し部１１０を設けずに装着センサ１を構成することもできる。

　また本実施形態では、治具２は両端部の平面部２１１ａ，２１１ｂに設けられた面ファスナー２２ａ，２２ｂによりベルト１１のベルト端を面接触で仮固定する。そして、平面部２１１ａ，２１１ｂ同士を面接触させるようにしてベルト１１のベルト端同士を固定する。平面部２１１ａ，２１１ｂを用いた面接触で仮固定及び固定を行うことで、より安定してベルト１１を仮固定し、またベルト端同士を固定することができる。

　また本実施形態では、治具２はベルト１１と比較して硬い素材で構成されている。これにより剛性が確保されるため、仮固定したベルト１１を扱いやすくなり、装着作業をより簡単に行うことができる。また、治具２の操作でベルト１１を牛の首に上方から近づけやすくなるため、装着作業をより簡易化できる。

　また本実施形態では、ベルト１１の端部を面ファスナー２２ａ，２２ｂで仮固定し、ベルト１１の端部以外の部分をガイドリブ２１３ａ，２１３ｂで仮固定する。ベルト１１の端部以外の部分もガイドリブ２１３ａ，２１３ｂで仮固定することで、ベルト１１の端部以外の部分が垂れ下がって装着しにくくなることを防止できる。

　また開口部を通してガイドリブ２１３ａ，２１３ｂ内に押し込むだけで簡単にベルト１１を仮固定でき、またベルト１１を引き出すだけで簡単に仮固定を解除できるため、ベルト１１全体を面ファスナーで仮固定する場合と比較して、装着作業をより簡単に行うことができる。

　但し、これらに限定されるものではなく、ガイドリブ２１３ａ，２１３ｂを設けず、アーム部材２１ａ、２１ｂの湾曲部の内側にも面ファスナーを設け、ベルト１１の端部以外の部分も面ファスナーで仮固定するようにしてもよい。

　また本実施形態では、治具２は開閉可能に接続されたアーム部材２１ａ，２１ｂにより構成され、アーム部材２１ａ，２１ｂの開閉を制御するレバー２４を備えている。レバー２４の操作によりアーム部材２１ａ，２１ｂを開閉させることができるため、例えば両手でアーム部材２１ａ，２１ｂの両方を把持しなくても、片手でアーム部材２１ａ，２１ｂの開閉操作を行える。これにより装着作業をより簡単に行うことができる。

　なお、本実施形態では、ベルト１１側と治具２側の両方に面ファスナーを設ける例を示したが、ベルト１１が面ファスナー２２ａ，２２ｂにより保持可能な素材で構成されていれば、ベルト１１側には面ファスナー１３ａ，１３ｂを設けなくてもベルト１１を仮固定できる。

　［第２実施形態］
　次に、第２実施形態に係る装着センサ１ａを説明する。

　ここで、Ｆｅｅｄｌｏｔ等で肥育される牛は、肥育中に成長し、装着センサが装着された首回りが成長で太くなる場合がある。例えば、肥育前に装着センサを装着した時の首回りが８０ｃｍであったのに対し、４か月の肥育後に１１０ｃｍの首回りに太くなる場合等である。首回りが太くなった結果、装着センサのベルトが首を絞めつけることで牛にストレスを与えたり、またベルトに応力がかかることで装着センサが外れたりする場合がある。

　本実施形態では、装着センサ１ａにおけるベルトの少なくとも一部を伸縮部材で構成することで、牛の首回りが太くなることに応じてベルトを伸びやすくする。これにより、牛にストレスを与えたり、装着センサ１ａが外れたりすることを防止する。

　＜装着センサ１ａの構成例＞
　装着センサ１ａの構成について図６Ａ、図６Ｂ及び図７を参照して説明する。図６Ａは装着センサ１ａの構成の一例を説明する正面図、図６Ｂは装着センサ１ａの構成の一例を説明する側面図である。また図７は装着センサ１ａの構成の一例を説明する斜視図である。

　図６Ａ、図６Ｂ及び図７に示すように、装着センサ１ａはベルト１１ａを備え、ベルト１１ａは伸縮部１１３ａ，１１３ｂを含んで構成されている（斜線ハッチング部分）。伸縮部１１３ａ，１１３ｂはゴム等の伸縮しやすい素材で構成された部分である。伸縮部１１３ａ，１１３ｂは、ベルト１１ａにおけるセンサ１２ａ，１２ｂが取り付けられる部分以外の部分を構成している。

　ベルト１１ａにおける伸縮部１１３ａ，１１３ｂ以外の部分は、第１実施形態と同様にナイロン等の素材で構成されている。ゴム等で構成された伸縮部１１３ａ，１１３ｂと、ナイロン等で構成された伸縮部１１３ａ，１１３ｂ以外の部分を繋ぎ合せてベルト１１ａを形成している。

　伸縮部１１３ａ，１１３ｂを設けることで、牛の首回りが太くなった場合にも、太さに応じて伸縮部１１３ａ，１１３ｂがベルト１１ａの長手方向（図６Ａ及び図６ＢのＸ方向）に伸びる。これにより、牛の首への締め付けが低減され、またベルト１１ａにかかる応力が低減される。これにより、牛にストレスを与えたり、装着センサ１ａが牛の首から外れたりすることを防止できる。

　また本実施形態では、センサ１２ａ，１２ｂが取り付けられる部分を伸びにくいナイロン等の素材で構成している。センサ１２ａ，１２ｂが取り付けられた部分が伸びると、センサ１２ａ，１２ｂとベルト１１ａとの接着部に応力がかかり、接着部が損傷することで、センサ１２ａ，１２ｂがベルト１１ａから外れる場合がある。また、ベルト１１ａが伸びることで、牛の首におけるセンサ１２ａ，１２ｂの位置が変化し、検出されるデータに誤差を生じさせる場合がある。

　センサ１２ａ，１２ｂが取り付けられる部分を伸びにくい素材で構成することで、接着部の損傷でセンサ１２ａ，１２ｂが外れることを防止し、またセンサ１２ａ，１２ｂの位置の変化による検出データの誤差を防止することができる。

　但し、これに限定されるものではなく、ベルト１１ａ全体を伸縮可能な部材で構成してもよい。

　また本実施形態では、図７に示すように、センサ１２ａ，１２ｂの周辺領域全体を伸びにくい素材で構成する例を示したが、これに限定されるものではない。ベルト１１ａにおけるセンサ１２ａ，１２ｂがそれぞれ取り付けられる、より小さい領域のみを局所的に伸びにくい素材で構成してもよい。

　なお、上述した以外の効果は、第１実施形態で説明したものと同様である。

　［第３実施形態］
　次に、第３実施形態に係る治具２ｂを説明する。

　本実施形態では、治具のアーム部材の端部同士の間で引力を発生させる固定補助部材を備え、アーム部材を閉じる際にアーム部材の先端同士が引力で引きつけ合って位置ずれしないようにすることで、ベルト端同士を正確に固定する。この固定補助部材は、例えば磁石であり、より具体的には、異方性マグネットシートやネオジウムマグネットシート等である。

　ここで図８は、治具２ｂの構成の一例を説明する図である。図８は、治具２ｂにおけるアーム部材２１ａ，２１ｂの端部付近を拡大して示している。アーム部材２１ａの端部の平面部２１１ａには磁石２１４ａが設けられ、アーム部材２１ｂの端部の平面部２１１ｂには磁石２１４ｂが設けられている。磁石２１４ａはＮ極の磁石で、磁石２１４ａはＳ極の磁石であり、両者の間では引力が発生する。これにより、平面部２１１ａと平面部２１１ｂが相互に引きつけ合うことで、平面部２１１ａと平面部２１１ｂ同士の位置ずれを防止でき、ベルト端同士を正確に固定できる。ここで、磁石２１４ａ，２１４ｂのそれぞれは、「固定補助部材」の一例である。

　［各種変形例］
　次に、実施形態の各種の変形例を説明する。

　まず、固定手段の変形例を説明する。上述した実施形態では、固定手段として両面テープ１１２ａ，１１２ｂを用いる例を示した。これに対し、本変形例ではホック又はリベットで固定手段を構成する。図９Ａは固定手段の他の例であるホックを示す図、図９Ｂは固定手段の他の例であるリベットを示す図である。

　図９Ａのホック１１４は凸部１１４ａと凹部１１４ｂとにより構成される。凸部１１４ａをベルト端の一方に設け、凹部１１４ｂをベルト端の他方に設け、この凸部１１４ａと凹部１１４ｂとを嵌合させることで、ベルト端同士を固定できる。

　また９Ｂのリベット１１５をベルト端の一方に設け、ベルト端の他方にはリベット１１５を締結可能な孔部を設ける。リベット１１５と孔部を締結させることでベルト端同士を固定できる。リベット１１５を用いることで、より強力にベルト端同士を固定できる。

　次に、治具の変形例を説明する。図１０Ａは治具の他の例の第１例を説明する図、図１０Ｂは治具の他の例の第２例を説明する図である。

　図１０Ａにおける治具２ｃは、１つの板状の金属部材を基体とし、板状の金属部材を曲げ部２５０で折り曲げることで構成されている。

　曲げ部２５０を挟んだ一方の側がアーム部２５ａを構成し、他方の側がアーム部２５ｂを構成している。アーム部２５ａの端部には平面部２５１ａが形成され、アーム部２５ｂの端部には平面部２５１ｂが形成されている。平面部２５１ａ，２５１ｂも、金属部材を折り曲げることで形成できる。

　平面部２５１ａ，２５１ｂ同士を当接させることで、仮固定するベルト端同士を固定できるようになっている。

　図１０Ｂにおける治具２ｄは、アーム部材２６ａ，２６ｂを備えている。このアーム部材２６ａ，２６ｂは、「２つの箱状部材」の一例である。

　アーム部材２６ａ，２６ｂのそれぞれの一端は、ジョイント部材２３で開閉可能に接続されている。アーム部材２６ａの他端には平面部２６１ａが形成され、アーム部材２６ｂの他端には平面部２６１ｂが形成されている。この平面部２６１ａ，２６１ｂのそれぞれは対向面に対応し、対向面に直交する一方の面（図１０Ｂにおける手前側の面）に開口部２６２ａ,２６２ｂが形成されている。

　アーム部材２６ａ，２６ｂは、開口部２６２ａ,２６２ｂを通してベルト１１（斜線部）を内部に収容することで、ベルト１１を仮固定できる。

　また、アーム部材２６ａにおける平面部２６１ａとは反対側の面には切欠部２６３ａが形成され、アーム部材２６ｂにおける平面部２６１ｂ側の面には切欠部２６３ｂが形成されている。切欠部２６３ａ，２６３ｂは、アーム部材２６ａ，２６ｂの内から外又は外から内にベルト１１を通すことができる。

　アーム部材２６ａ内に収容されたベルト１１は、切欠部２６３ａを通って引き出され、アーム部材２６ａの外側を通って平面部２６１ａに仮固定される。このようにすることで、ベルト１１はアーム部材２６ａの外側から折り返されるようにして平面部２６１ａに仮固定されるため、ベルト１１の端部１１１ａに折り返し部を形成できる。

　一方、アーム部材２６ｂ内に収容されたベルト１１は、切欠部２６３ｂを通して引き出され、アーム部材２６ａの内側を通って平面部２６１ａに仮固定される。この場合はベルト１１の端部１１１ｂには折り返し部は形成されない。

　以上のように、アーム部材２６ａ，２６ｂの対向面に直交する一方の面に開口部２６２ａ,２６２ｂを形成することで、開口部がアーム部材２６ａ，２６ｂの内側に形成されている場合と比較して、アーム部材２６ａ，２６ｂの内部にベルト１１をより簡単に収容することができる。

　また、平面部２６１ａとは反対側に切欠部２６３ａを形成し、アーム部材２６ａ内に収容されたベルト１１を、切欠部２６３ａを通して引き出し、アーム部材２６ａの外側を通して平面部２６１ａに仮固定する。これによりベルト１１の端部に折り返し部を容易に形成することができる。

　次に、伸縮部材の変形例を説明する。上述した実施形態では、ゴム等の伸びやすい素材で構成された伸縮部材を説明したが、本変形例では伸縮部材をスプリングロープで構成する。

　図１１は伸縮部材の他の例を説明する図である。図１１に示すように、ベルト１１ｂの一部は、「伸縮部材」の一例としてのスプリングロープ１１６で構成されている。スプリングロープ１１６は、金属を素材とし、コイルが伸縮可能に連結された部材である。このように金属素材によっても伸縮部材を構成できる。またスプリングロープ１１６以外にも長さ可変のチェーン部材等を用いてもよい。

　次に、固定補助部材の変形例を説明する。上述した実施形態では、固定補助部材として治具２に設けた磁石の例を説明したが、本変形例では、固定補助部材をベルト側に設けた磁石で構成する。

　図１２は固定補助部材の他の例を説明する図であり、ベルト１１ｃの一部を拡大して示す図である。図１２では、ベルト１１ｃ上には磁石１１７が設けられ、磁石１１７上には両面テープ１１２ａが設けられている。このように、ベルト側に設けた磁石等の部材により、固定補助部材を構成することもできる。

　［第４実施形態］
　次に、第４実施形態に係る装着センサ１ｄを説明する。

　本実施形態では、ベルトと、ベルトに接続された格納ポーチとを含んで装着センサ１ｄを構成し、格納ポーチに設けられた格納部内にセンサ及び／又はバッテリを格納することで、センサ及び／又はバッテリをベルトに固定する。ここで、バッテリはセンサに駆動電力を供給する電力供給手段の一例である。

　図１３は、装着センサ１ｄを装着した牛３０の一例を示す図である。図１３に示すように、装着センサ１ｄは、ベルト１１ｄと、ベルト１１ｄに接続された格納ポーチ１４とを備えている。装着センサ１ｄは、ベルト１１ｄが牛３０の首回りに巻き付けられることで、牛３０に装着されている。

　また装着センサ１ｄは、格納ポーチ１４が牛３０の首の上部（鉛直上方の部分）に配置されるようにして牛３０に装着されている。但し、格納ポーチ１４が配置される位置は、牛３０の首の上部に限定されるものではなく、牛３０の首回りのどの位置であってもよい。

　図１４は、装着センサ１ｄの構成の一例を説明する図であり、格納ポーチ１４の表面側から装着センサ１ｄを視た図である。ここで、表面側とは、装着センサ１ｄが牛に装着された場合に、格納ポーチ１４又はベルト１１ｄにおける牛の皮膚又は皮膚を覆う体毛に接触する面とは反対側を意味する。また裏面側とは、装着センサ１ｄが牛に装着された場合に、格納ポーチ１４又はベルト１１ｄにおける牛の皮膚又は皮膚を覆う体毛に接触する面側を意味する。

　図１４において、ベルト１１ｄは、ゴム等の伸縮性を有する素材で構成され、ベルト１１と同様に、ベルト１１ｄの一方の面を牛の皮膚又は皮膚を覆う体毛に接触させて、牛の首に巻き付けられるように構成されている。

　伸縮性を有する素材でベルト１１ｄを構成することで、牛の首の太さに応じてベルト１１ｄが伸縮可能になる。これによりベルト１１ｄが巻き付けられた牛にストレスを与えたり、装着センサ１ａが外れたりすることを防止できるようになっている。

　また、牛は首に巻き付けられた装着センサのベルトを柵等に引っ掛けて引っ張ることで、ベルトを伸ばして装着センサを外そうとする場合がある。ベルト１１ｄで構成される輪が牛の頭部を通過できる状態になるまでベルト１１ｄが伸びると、装着センサ１ｄが牛から外れる。そのため、牛がベルト１１ｄを引っ張って伸ばしても、ベルト１１ｄで構成される輪が牛の頭部を通過できないような長さと伸縮性を備えるように、ベルト１１ｄを設計することが好ましい。これにより、牛に与えるストレスを抑制しながら、装着センサ１ｄが牛から外れることを防止できる。

　格納ポーチ１４は、ビニール等の樹脂や布等のシート状の素材で構成された部材であり、センサ及び／又はバッテリを格納する手段の一例である。但し、センサ及び／又はバッテリを格納できれば、この構成に限定されるものではない。格納ポーチ１４はベルト１１ｄに接続され、センサ１２ａ，１２ｂを格納する部分である格納部１４１ａ，１４１ｂを含んでいる。

　格納ポーチ１４は、接続部１４３ａ，１４３ｂの部分でベルト１１ｄに糸等で縫合されることで、ベルト１１ｄに接続されている。但し、格納ポーチ１４とベルト１１ｄの接続手段はこれに限定されるものではなく、他の手段を適用してもよい。

　格納部１４１ａは内部にセンサ及び／又はバッテリを格納可能な大きさに形成された箱状又は袋状の部分である。格納部１４１ａは、バッテリを内蔵したセンサ１２ａを格納し、格納部１４１ｂはバッテリを内蔵したセンサ１２ｂを格納できる。

　但し、格納部１４１ａはセンサ１２ａ又はセンサ１２ｂの少なくとも一方を格納し、格納部１４１ｂはバッテリを格納する構成にしてもよい。センサ及びバッテリの個数も特段の制限はなく、適宜、個数を選択できる。格納部の個数も２個に限られず、格納するセンサ及びバッテリの個数又は大きさに合わせて増減可能である。

　また格納部１４１ａ，１４１ｂに格納されたセンサ及び／又はバッテリが、牛の運動に伴って移動する場合があるため、これを防ぐために格納部１４１ａ，１４１ｂの内側の面の一部又は全部に、接着剤又は粘着剤を塗布してもよい。或いは格納部１４１ａ，１４１ｂの内側の面とセンサ及び／又はバッテリとの間の摩擦力を上げてセンサ及び／又はバッテリの移動を抑制するために、格納部１４１ａ，１４１ｂの内側の面を荒らしたり、格納部１４１ａ，１４１ｂの内側の面に凹凸部を設けたりしてもよい。

　センサとバッテリとを分けて格納部１４１ａ，１４１ｂに格納すると、サイズが大きいバッテリを格納でき、バッテリの大きさに伴って電池容量が大きく長時間使用可能なバッテリを利用できるため、好適である。

　また、センサ及び／又はバッテリの配置により、装着センサ１ｄを装着する牛にかかる重さが牛の中心に対して非対称になると、牛にストレスを与える場合がある。そのため、重さの対称性を確保できるように、格納部１４１ａが格納するセンサ又はバッテリの重さと、格納部１４１ｂが格納するセンサ又はバッテリの重さを略等しくし、且つ牛の中心に対して略対称な位置に格納部１４１ａ及び格納部１４１ｂを配置することが好ましい。

　格納部１４１ａ，１４１ｂのそれぞれの大きさは、使用するセンサ１２ａ，１２ｂ又はバッテリの大きさに合わせて適宜決定できる。格納部１４１ａ，１４１ｂをゴム等の伸縮性のある素材で構成すると、使用するセンサ１２ａ，１２ｂ又はバッテリの大きさが変更された場合にも、格納部１４１ａ，１４１ｂが伸縮してセンサ１２ａ，１２ｂ又はバッテリを格納可能になるため、より好適である。

　また図１４に示すように、格納部１４１ａ，１４１ｂの表面側には、識別部材１４２ａ，１４２ｂが設けられている。識別部材１４２ａ，１４２ｂは、牛の個体を識別する識別情報を表示するシート状部材であり、格納部１４１ａ，１４１ｂの表面側の面に接着又は縫合等によって固定されている。図１４の例では、識別情報として「３０」の数字を表示している。但し、識別情報は数字に限定されるものではなく、図形や記号、バーコード等の符号等であってもよい。

　格納部１４１ａ，１４１ｂの表面側で、牛の管理者等が視認しやすい位置に識別部材１４２ａ，１４２ｂを設けると、管理者が牛を識別しやすくなるため、より好適である。

　なお、牛の管理者等が視認して牛を識別できればよいため、識別部材１４２ａ，１４２ｂを設けずに、格納部１４１ａ，１４１ｂの表面側の面に数字等の識別情報をマジックペン等で直接書き込んだり、また印刷したりしてもよい。格納ポーチ１４が識別情報を表示することで、装着センサ１ｄを牛の個体識別手段としても利用できる。

　識別部材１４２ａ，１４２ｂの表面が汚れると、識別情報を視認できずに牛を識別できなくなる場合がある。そのため汚れを防止するために、識別部材１４２ａ，１４２ｂの表面に対して防汚処理等を施すと好適である。防汚処理として、ワックス又はシリコーン等の撥水加工剤で識別部材１４２ａ，１４２ｂの表面を処理すると、親水性の汚れの付着を抑制できる。また有機フッ素系撥油加工剤で識別部材１４２ａ，１４２ｂの表面を処理すると、親水性及び油性の汚れの付着を抑制できる。

　格納ポーチ１４を抗菌素材により構成すると、格納ポーチ１４の再利用を衛生的に行うことができる。抗菌素材は、抗菌作用のある物質を素材に練り込んだり、化学反応で結合させたりして製造可能である。抗菌作用のある物質には、カテキン等の抗菌剤や、チタン等の金属等が挙げられる。

　また格納ポーチ１４に通気用の孔を設け、格納ポーチ１４の表面側と裏面側で空気が流通できるようにすると、牛の発汗等による水分が格納ポーチ１４と牛の皮膚との間に残留すること等に起因する牛のかぶれを抑制できる。ベルト１１ｄに通気孔を設けたり、ベルト１１ｄを網状に構成したりして、ベルト１１ｄの表面側と裏面側で空気が流通できるようにすることによっても、同様に牛のかぶれを抑制できる。

　次に図１５は、格納ポーチ１４の裏面側から装着センサ１ｄを視た図である。図１５に示すように、格納ポーチ１４の裏面側には、開閉部１４４ａ，１４４ｂが設けられている。

これらのうち、開閉部１４４ａは、格納部１４１ａ内にセンサ及び／又はバッテリを格納させるための挿入口に設けられ、挿入口を開放及び閉鎖する機能を有する。同様に開閉部１４４ｂは、格納部１４１ｂ内にセンサ及び／又はバッテリを格納させるための挿入口に設けられ、挿入口を開放及び閉鎖する機能を有する。開閉部１４４ａ，１４４ｂの機能は、線ファスナーや面ファスナー等を用いて実現できる。

　開閉部１４４ａ，１４４ｂを開放した状態で、格納部１４１ａ，１４１ｂのそれぞれの内部にセンサ及び／又はバッテリを挿入する。その後、開閉部１４４ａ，１４４ｂを閉鎖することで、センサ及び／又はバッテリが飛び出さないように、格納部１４１ａ，１４１ｂのそれぞれの内部にセンサ及び／又はバッテリを格納できる。

　開閉部１４４ａ，１４４ｂは、格納ポーチ１４の裏面側に設けられているため、雨水等の水分や、粉塵等が格納部１４１ａ，１４１ｂの内部に侵入しにくくなっている。これにより、水分や粉塵等によるセンサ及び／又はバッテリの故障を好適に防止できる。開閉部１４４ａ，１４４ｂの密閉性を上げるほど、水分や粉塵等の格納部１４１ａ，１４１ｂ内への侵入をより抑制できるため、さらに好適である。

　また格納ポーチ１４内において、開閉部１４４ａから開閉部１４４ｂまでの間は繋がった１つの空間になっている。言い換えると、格納部１４１ａの内部空間と格納部１４１ｂの内部空間は連通している。格納部１４１ａと格納部１４１ｂに格納されたセンサやバッテリ間を接続する電気ケーブル等を、この内部空間内に配置可能になっている。内部空間内に配置することで電気ケーブル等を外部環境から保護でき、また格納部１４１ａと格納部１４１ｂとの間で電気ケーブルが散乱することを好適に防止できる。

　バッテリを内蔵したセンサを格納部１４１ａ，１４１ｂにそれぞれに格納し、各センサを接続する電気ケーブルを内部空間内に配置してもよい。センサ同士を電気的に接続することで、センサ間で信号やデータを送受できる。例えば同期信号の送受により、センサ同士で動作を同期させること等が可能になる。

　また、格納ポーチ１４の裏面には接着剤が塗布されており、牛に対する装着センサ１ｄの位置ずれを防止している。接着剤は格納ポーチ１４の裏面全面に塗布してもよいし、一部（例えば周縁部）のみに塗布してもよい。なお、接着剤に代えて、格納ポーチ１４の裏面側の一部に粘着剤を塗布してもよいし、粘着シートを設けてもよい。或いは、接着剤、粘着剤及び粘着シートを組み合わせて格納ポーチ１４の裏面側に設けてもよい。接着剤、粘着剤及び粘着シートの素材は特に制限されず、適宜選択可能である。

　また、電力供給手段として、太陽光等による光発電が可能な太陽電池を用い、太陽光等の光に対して透過性を有する素材により格納ポーチ１４を構成することもできる。この場合は、バッテリが光発電に利用する光を受光できるように、バッテリを格納する格納部１４１ａ及び／又は格納部１４１ｂのうち、表面側の少なくともバッテリが配置された部分を、光発電に用いる光に対して透過性を有する素材で構成すると好適である。

　なお、太陽電池が光発電に利用する光は、太陽光に限定されず、蛍光灯等の照明光であってもよい。また、電力供給手段として太陽電池を用いる場合は、太陽電池が太陽光等の光を受光しやすい位置に太陽電池が配置されるように、牛の首の上部（図１３参照）等に格納ポーチ１４を配置すると好適である。

　図１６は、光発電に用いる光に対して透過性を有する素材で格納ポーチ１４の一部を構成した場合の一例を示す図である。図１６において、格納部１４１ａの表面側は発電用の光に対して透過性を有するビニール等の素材で構成されており、ビニールを透過して内部に格納された太陽電池１４５（破線部）を視認可能になっている。太陽電池１４５はビニールを透過した光を受光することで、光発電を行うことができる。

　なお、図１６では、格納部１４１ａの表面側全体をビニールで構成した例を示したが、これに限定されるものではない。太陽電池１４５が配置された部分のみ、或いは太陽電池１４５における受光部に対応する部分のみを、光発電に用いる光に対して透過性を有する素材で構成してもよい。またバッテリが格納された格納部１４１ａ及び／又は格納部１４１ｂの全体、或いは格納ポーチ１４全体を、光発電に用いる光に対して透過性を有する素材で構成してもよい。

　このように電力供給手段として太陽電池１４５を使用することで、バッテリを交換したり、充電のためにバッテリを装着センサ１ｄから着脱したりする手間を省き、長期に亘って装着センサ１ｄを使用可能になる。

　また電力供給手段として太陽電池１４５に加えてリチウム二次電池等の蓄電手段を格納ポーチ１４に格納し、太陽電池１４５が発電した電力を蓄電手段が蓄電して、蓄電した電力をセンサに供給するように構成することもできる。太陽が出ている昼間には、太陽電池１４７による発電電力を蓄電手段が蓄電しつつ、太陽電池１４５又は蓄電手段がセンサに電力を供給する。一方、太陽が出ていない夜間には蓄電手段が蓄電した電力を供給する。これにより、昼夜問わずにセンサに電力を供給できる。

　以上説明したように、本実施形態では、ベルト１１ｄと、ベルト１１ｄに接続された格納ポーチ１４とを含んで装着センサ１ｄを構成し、格納ポーチ１４に設けられた格納部１４１ａ，１４１ｂ内にセンサ及び／又は電力供給手段を格納する。これにより、センサ及び／又は電力供給手段をベルト１１ｄに簡単、且つ安定して固定することができる。

　なお、装着センサ１ｄを治具２に固定するときには、センサ及び／又は電力供給手段を格納した格納部１４１ａを被嵌合部２１２ａに嵌合させ、センサ及び／又は電力供給手段を格納した格納部１４１ｂを被嵌合部２１２ｂに嵌合させるようにして固定できる（図２参照）。

　以上、本発明の好ましい実施の形態について詳説したが、本発明は、上述した実施の形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。

　例えば、上述した実施形態では牛を家畜とし、牛の首に装着させる装着センサの例を説明したが、これに限定されるものではない。牛以外の動物にも実施形態を適用できる。また首以外の部位に装着センサを装着させてもよい。装着させる部位によって、ベルトの長さ等を適正化することが好ましい。

　実施形態で説明した装着センサは、例えば、畜産ＩｏＴ（Internet of Things）の分野で利用可能である。特に、牛畜産において使用した場合には、牛の健康状態を人手によらず容易に検知することが可能となる。これにより、家畜の状態管理の効率化、低コスト化、家畜の病死ロスの低減等が可能となる。

　この出願は、２０２０年３月９日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第２０２０－０４０１１６号、並びに２０２０年４月２８日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第２０２０－０７８９２８号に基づいて、その優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を含む。

１　　装着センサ
１１　ベルト
１１０　折り返し部
１１０ａ　仮留め部（仮留め手段の一例）
１１１ａ，１１１ｂ　端部
１１２　固定部
１１２ａ，１１２ｂ　両面テープ（固定手段の一例）
１１３ａ，１１３ｂ　伸縮部（伸縮部材の一例）
１１４　ホック（仮固定手段の一例）
１１４ａ　凸部
１１４ｂ　凹部
１１５　リベット（仮固定手段の一例）
１１６　スプリングロープ（伸縮部材の一例）
１１７　磁石（固定補助部材の一例）
１２ａ，１２ｂ　センサ
１３ａ，１３ｂ　面ファスナー（装着センサ側の仮固定手段の一例）
１４　格納ポーチ
１４１ａ，１４１ｂ　格納部
１４２ａ，１４２ｂ　識別部材
１４３ａ，１４３ｂ　接続部
１４４ａ，１４４ｂ　開閉部
１４５　太陽電池（電力供給手段の一例）
２　治具
２１ａ，２１ｂ　アーム部材
２１１ａ，２１１ｂ　平面部
２１２ａ，２１２ｂ　被嵌合部
２１３ａ，２１３ｂ　ガイドリブ（収容部の一例、仮固定手段の一例）
２１４ａ，２１４ｂ　磁石（固定補助部材の一例）
２２ａ，２２ｂ　面ファスナー（治具側の仮固定手段の一例）
２３　ジョイント部材
２４　レバー
２５ａ，２５ｂ　アーム部
２６ａ，２６ｂ　アーム部材（２つの箱状部材の一例）
２６１ａ，２６１ｂ　平面部
２６２ａ，２６２ｂ　開口部
２６３ａ，２６３ｂ　切欠部

Claims

　センサと、
　前記センサを取り付けるベルトと、
　前記ベルト端同士を固定する固定手段と、
　治具に前記ベルトを仮固定する仮固定手段と、を備え、
　前記仮固定手段による前記ベルトの保持力は、前記固定手段による前記ベルトの保持力よりも小さい
装着センサ。
　前記仮固定手段は、前記固定手段の近傍で、前記ベルトを挟んで前記固定手段とは反対側の部分で前記治具に前記ベルトを仮固定する
請求項１に記載の装着センサ。
　前記固定手段は、前記ベルトの一端が上側で、前記ベルトの他端が下側になるように、前記ベルト端の面同士を接触させて固定する
請求項１、又は２に記載の装着センサ。
　前記ベルト端の一方は、折り返し可能に構成され、折り返した状態で仮留めする仮留め手段を備えている
請求項３に記載の装着センサ。
　前記センサは、前記治具に形成された被嵌合部と嵌合可能に構成されている
請求項１乃至４の何れか１項に記載の装着センサ。
　前記ベルトの少なくとも一部は、伸縮部材で構成されている
請求項１乃至５の何れか１項に記載の装着センサ。
　装着センサを装着させる治具であって、
　前記装着センサは、
　センサと、
　前記センサを取り付けるベルトと、
　前記ベルト端同士を固定する固定手段と、を備え、
　前記治具は、前記ベルトを仮固定する仮固定手段を備え、
　前記仮固定手段による前記ベルトの保持力は、前記固定手段による前記ベルトの保持力よりも小さい
治具。
　前記仮固定手段は、前記治具の端部で前記ベルトを仮固定する
請求項７に記載の治具。
　前記センサが嵌合する被嵌合部が形成されている
請求項７、又は８に記載の治具。
　前記仮固定手段は、面ファスナー、又は前記ベルトを収容することで仮固定する収容部の少なくとも一方である
請求項７乃至９の何れか１項に記載の治具。
　開閉可能に接続された２つの箱状部材を備え、
　前記収容部は、前記箱状部材の１つの面に設けられた開口部を通して前記箱状部材内に前記ベルトを収容する
請求項１０に記載の治具。
　前記２つの箱状部材のそれぞれは、相互に対向する対向面と直交する１つの面に前記開口部が設けられ、
　前記２つの箱状部材のうちの一方の箱状部材における対向面とは反対側の面に、前記ベルトを通す切欠部が形成され、
　前記一方の箱状部材の内部に収容された前記ベルトは、前記切欠部を通して前記一方の箱状部材の前記対向面に仮固定される
請求項１１に記載の治具。
　前記治具は、前記治具の端部同士が面接触するように構成され、
　前記治具の端部同士の間で引力を発生させることで、前記固定手段による前記ベルト端同士の固定を補助する固定補助部材を備える
請求項７乃至１２の何れか１項に記載の治具。