WO2021144846A1 - スクロール圧縮機および冷凍サイクル装置 - Google Patents

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鉄郎 平見
雷人 河村
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    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
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    • F04C18/00Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids
    • F04C18/02Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids of arcuate-engagement type, i.e. with circular translatory movement of co-operating members, each member having the same number of teeth or tooth-equivalents

Abstract

固定スクロールおよび揺動スクロールは、それぞれ固定側渦巻歯および揺動側渦巻歯の歯先に、シール材を保持するためのシール溝が形成され、シール溝は、側面部としてのシール材落下防止壁と、底面部と、を有し、シール材落下防止壁は、固定側渦巻歯および揺動側渦巻歯の外向面側に形成され、底面部は、固定台板および揺動台板側に位置する歯底から底面部の固定側渦巻歯および揺動側渦巻歯における内向面側の端部までの高さが、歯底から底面部の固定側渦巻歯および揺動側渦巻歯における外向面側の端部までの高さよりも高く設定されている。これにより、渦巻歯の歯厚を薄肉化させることで、渦巻取り込み容積を拡大し、圧縮機の能力の上限を拡大でき、シール材を配置する底面部において高圧側を高くすることにより、運転中のシール材落下を未然に防止できる。よって、信頼性を確保しつつ、性能の向上を図ることができる。

Description

スクロール圧縮機および冷凍サイクル装置
 本開示は、スクロール圧縮機およびそれを備えた冷凍サイクル装置に関する。
 スクロール圧縮機は、固定台板上に突出して形成されたインボリュート形状の渦巻歯を有する固定スクロールと、揺動台板上に突出して形成されたインボリュート形状の渦巻歯を有する揺動スクロールと、を互いの渦巻歯が噛み合うように備えている。このとき、固定スクロールおよび揺動スクロールは、互いの渦巻歯の位相が相対的に180°ずれた状態で、互いの渦巻側面が接触している。そして、固定スクロールに対して揺動スクロールを公転運動させ、これら固定スクロールと揺動スクロールとにより構成される複数の圧縮室を外方側から内方側に向かって次第に減少させることで、圧縮機内部の冷媒ガスを圧縮する。これにより、スクロール圧縮機は、圧縮室内部の圧縮した冷媒ガスを、中心部の吐出口から吐出させる。
 このようなスクロール圧縮機では、圧縮した冷媒ガスが隣接する圧縮室へ漏れるのを抑制する目的で、固定スクロールおよび揺動スクロールが、互いの渦巻歯の歯先を相手側の台板に密接させた状態で噛み合わされる。そのため、固定スクロールおよび揺動スクロールの渦巻歯は、圧縮過程において圧縮された冷媒ガスによる荷重を受けることにより、それぞれの台板である固定台板側および揺動台板側に位置する根元部に応力が発生する。そこで、このようなスクロール圧縮機では、渦巻中心における根元部の角隅と、これに対向する相手側の渦巻歯の歯先とに、それぞれ湾曲形状を形成する加工、所謂、Rをつける加工が施されていた。
 ここで、空気調和装置、冷凍機、および、給湯機等に搭載されるスクロール圧縮機には、シェル外被に触れる空間が圧縮工程後の高圧冷媒で満たされる高圧シェルと、圧縮工程前の低圧冷媒で満たされる低圧シェルと、の2つのタイプがある。従来、低圧シェルを有するスクロール圧縮機の渦巻歯の歯先には、圧縮室間の漏れを防止するためシール材を設ける必要がある。そのため、このようなスクロール圧縮機では、稼動時にシール材が渦巻歯の歯先から滑落するのを防止するべく、シール材の両側にシール材落下防止壁を設けていた。ところが、この場合、シール材保持のためにシール材落下防止壁の厚みを確保しなければならず、シール材落下防止壁を設けることが渦巻歯の厚さの薄肉化における制限となっていた。
 そこで、渦巻歯の歯厚の薄肉化を行うため、シール材落下防止壁をシール材の片側のみに形成するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のスクロール圧縮機では、シール材落下防止壁をシール材の片側にのみ設けることで、渦巻歯の歯厚を薄肉化して圧縮室を大きく構成し、同一サイズの圧縮機と比較して取り込み容積の大容量化を図っていた。
特開平11-230064号公報
 ところが、特許文献1に記載の圧縮機では、シール材落下防止壁をシール材の片側のみで構成したため、相対する歯底面との引っ掛かり、または、過圧縮状態における高低圧漏れ方向の逆転により、シール材が溝から落下する可能性があった。このように、特許文献1に記載の圧縮機では、信頼性の面で懸念する課題があった。
 本開示は、上述した課題を解決するためのものであり、信頼性を確保しつつ、性能の向上を図ることが可能なスクロール圧縮機およびそれを備えた冷凍サイクル装置を提供することを目的とするものである。
 本開示に係るスクロール圧縮機は、固定台板上に突出して形成されたインボリュート形状の固定側渦巻歯と、前記固定側渦巻歯の歯先に設けられたシール材と、を有する固定スクロールと、揺動台板上に突出して形成されたインボリュート形状の揺動側渦巻歯と、前記揺動側渦巻歯の歯先に設けられたシール材と、を有する揺動スクロールと、を備え、前記固定スクロールと前記揺動スクロールとが、互いの前記固定側渦巻歯と前記揺動側渦巻歯とを噛み合うように組み合わされ、前記固定スクロールと前記揺動スクロールとの間に冷媒を圧縮する圧縮室が形成されたスクロール圧縮機であって、前記固定スクロールおよび前記揺動スクロールは、それぞれ前記固定側渦巻歯および前記揺動側渦巻歯の歯先に、前記シール材を保持するためのシール溝が形成され、前記シール溝は、底部となる底面部と、前記底面部から連続して側壁部となるシール材落下防止壁と、を有し、前記シール材落下防止壁は、前記固定側渦巻歯および前記揺動側渦巻歯における外向面側に形成されており、前記固定側渦巻歯における前記底面部は、前記固定台板側に位置する歯底から前記固定側渦巻歯における内向面側の端部までの高さが、前記歯底から前記固定側渦巻歯における外向面側の端部までの高さよりも高く設定されており、前記揺動側渦巻歯における前記底面部は、前記揺動台板側に位置する歯底から前記揺動側渦巻歯における内向面側の端部までの高さが、前記歯底から前記揺動側渦巻歯における外向面側の端部までの高さよりも高く設定されているものである。
 また、本開示に係る冷凍サイクル装置は、少なくとも圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器を有する冷媒回路を備え、前記圧縮機として上記のスクロール圧縮機を用いたものである。
 本開示によれば、シール材落下防止壁を固定側渦巻歯および揺動側渦巻歯のシール溝における外向面側のみに設けることにより、渦巻歯の歯厚を薄肉化させることで、渦巻取り込み容積を拡大し、圧縮機の能力の上限を拡大できる。また、底面部は、固定台板および揺動台板側に位置する歯底から底面部の固定側渦巻歯および揺動側渦巻歯における内向面側の端部までの高さが、歯底から底面部の固定側渦巻歯および揺動側渦巻歯における外向面側の端部までの高さよりも高く設定されている。すなわち、シール材を配置する底面部において高圧側を高くすることにより、運転中のシール材落下を未然に防止できる。かくして、本開示に係るスクロール圧縮機およびそれを備えた冷凍サイクル装置によれば、信頼性を確保しつつ、性能の向上を図ることができる。
実施の形態1に係るスクロール圧縮機の縦断面を概略的に示す説明図である。 図1のスクロール圧縮機における圧縮室の横断面を概略的に示す説明図である。 図1のスクロール圧縮機における圧縮室の一部を拡大して概略的に示す縦断面図である。 図3の圧縮室における要部を示す拡大断面図である。 図1のスクロール圧縮機における固定スクロールを概略的に示す縦断面図である。 図5の固定スクロールの要部を示す拡大断面図である。 図1のスクロール圧縮機における揺動スクロールを概略的に示す縦断面図である。 図7の揺動スクロールの要部を示す拡大断面図である。 従来のスクロール圧縮機における圧縮室の90°毎の状態変化を比較例として示す説明図である。 実施の形態1に係るスクロール圧縮機の圧縮室における90°毎の状態変化を示す説明図である。 図2のスクロール圧縮機における揺動側渦巻歯の中心側に位置する歯先に形成されたシール溝の形状を示す概略断面図である。 実施の形態1および2に係るスクロール圧縮機の渦巻取り込み容積を比較して示すグラフである。 実施の形態1および2に係るスクロール圧縮機の回転数と能力の相関を示すグラフである。 実施の形態1の変形例に係るスクロール圧縮機の揺動側渦巻歯の歯先におけるシール溝の形状を示す概略断面図である。 実施の形態2に係るスクロール圧縮機の固定スクロールを概略的に示す縦断面図である。 実施の形態2に係るスクロール圧縮機の揺動スクロールを概略的に示す縦断面図である。 実施の形態3に係るスクロール圧縮機の揺動側渦巻歯の歯先におけるシール溝の形状を示す概略断面図である。 実施の形態4に係る冷凍サイクル装置の一例を示す冷媒回路図である。
 以下、本開示に係るスクロール圧縮機および冷凍サイクル装置の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、明細書全文および図面に示す構成要素の形態は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。すなわち、本開示は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能である。また、そのような変更を伴うスクロール圧縮機および冷凍サイクル装置も本開示の技術思想に含まれる。さらに、各図において、同一の符号を付したものは、各図において、同一の符号を付したものは、同一のまたはこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
実施の形態1.
<スクロール圧縮機1の構成>
 図1~図3を参照しながら、実施の形態1に係るスクロール圧縮機1について説明する。図1は、実施の形態1に係るスクロール圧縮機1の縦断面を概略的に示す説明図である。図2は、図1のスクロール圧縮機1における圧縮室31の横断面を概略的に示す説明図である。図3は、図1のスクロール圧縮機1における圧縮室31の一部を拡大して概略的に示す縦断面図である。
 図1に示すように、スクロール圧縮機1は、密閉容器であるシェル2の内部に、圧縮機構部10と、当該圧縮機構部10を駆動する電動機構としてのモータ20と、を備えている。本実施の形態1の場合、スクロール圧縮機1は、シェル2内が圧縮機構部10で圧縮される前の冷媒で満たされる、いわゆる低圧シェル型の圧縮機である。スクロール圧縮機1で圧縮される冷媒には、例えば二酸化炭素が用いられる。なお、冷媒は二酸化炭素に限定するものはなく、他の冷媒を広く適用できる。
 シェル2は、アッパーシェル2aと、ロアーシェル2bと、胴部シェル2cとを有してスクロール圧縮機1の外殻を構成し、下部に油溜り部9を有する。シェル2は、有底円筒状であり、ドーム状のアッパーシェル2aによって胴部シェル2cの上部が塞がれ、ロアーシェル2bによって胴部シェル2cの下部が塞がれている。
 圧縮機構部10は、固定スクロール11と揺動スクロール12とを有して構成されている。図1に示すように、固定スクロール11は、固定台板110と、この固定台板110上に設けられたインボリュート形状の固定側渦巻歯111と、を備えている。揺動スクロール12は、揺動台板120と、この揺動台板120上に設けられたインボリュート形状の揺動側渦巻歯121と、を備えている。また、図2および図3に示すように、これら固定側渦巻歯111および揺動側渦巻歯121の歯先111aおよび121aには、後述するシール材3が配置されている。そして、圧縮機構部10は、固定スクロール11の固定側渦巻歯111と、揺動スクロール12の揺動側渦巻歯121と、を主軸8の回転中心に対して逆位相で噛み合わせた対称渦巻形状の状態でシェル2内に配置されている。
 圧縮機構部10は、フレーム6によって支持されている。フレーム6は、焼嵌めまたは溶接等によってシェル2の内周面に固着されている。フレーム6は、シェル2内において圧縮機構部10とモータ20との間に配置されている。フレーム6の中央部には軸孔6aが形成されており、この軸孔6aに主軸8が通されている。シェル2内において、モータ20の下方には、サブフレーム7が設けられている。サブフレーム7は、焼嵌めまたは溶接等によってシェル2の内周面に固着されている。
 モータ20は、回転子としてのロータ21と固定子としてのステータ22とを有して構成されており、シェル2の内部にて、フレーム6とサブフレーム7との間に設置され、主軸8を介して圧縮機構部10を駆動する。ロータ21は、ステータ22の内周側に設けられ、主軸8に取り付けられる。ステータ22は、外部から電力を得るために、フレーム6とステータ22との間に存在する不図示のガラス端子に不図示のリード線で接続されている。そして、ステータ22は、外部から供給された電力によってロータ21を回転させる。ロータ21は、自転することにより、主軸8を回転させる。
 主軸8は、モータ20のロータ21が焼嵌めなどの手法によって固定され、ロータ21の回転に伴って回転することで、圧縮機構部10を駆動させる。また、スクロール圧縮機1の下部に位置する油溜り部9には冷凍機油9aが貯油されている。主軸8の下端部には給油機構としてのオイルポンプ81が固着されている。オイルポンプ81は、例えばトロコイドポンプなどの容積型ポンプである。オイルポンプ81は、主軸8の回転に従い、油溜り部9に溜められている冷凍機油9aを、主軸8の内部に形成された給油通路82を通して汲み上げる。汲み上げられた冷凍機油9aは、揺動軸受123の潤滑および圧縮室31の隙間のシールを目的として、揺動軸受123および圧縮室31に供給される。
 主軸8において、偏心軸部83よりも下方には、主軸部84が設けられている。偏心軸部83は、主軸部84に対して偏心した位置に配置されている。主軸部84は、スリーブ14を介して主軸受15に嵌入しており、冷凍機油9aによる油膜を介して主軸受15に対し摺動する。主軸受15は、銅鉛合金などの滑り軸受に使用される軸受材料を圧入するなどしてフレーム6に固定されている。
 スリーブ14は、フレーム6と主軸受15との間に設けられる筒状の部材である。スリーブ14は、フレーム6と主軸8との傾斜を吸収する。
 スライダ4aは、主軸8の上部の外周面に取り付けられる筒状の部材である。スライダ4aは、揺動スクロール12の下部の内側面に位置する。すなわち、揺動スクロール12は、スライダ4aを介して主軸8に取り付けられる。これにより、主軸8の回転に伴って揺動スクロール12が回転する。なお、揺動スクロール12とスライダ4aとの間には、揺動軸受123が設けられる。
 第一バランサ4bは、主軸8に取り付けられる。第一バランサ4bは、フレーム6とロータ21との間に位置する。第一バランサ4bは、揺動スクロール12およびスライダ4aによって生じるアンバランスを相殺する。
 第二バランサ8aは、主軸8に取り付けられる。第二バランサ8aは、ロータ21とサブフレーム7との間に位置し、ロータ21の下面に取り付けられる。第二バランサ8aは、揺動スクロール12およびスライダ4aによって生じるアンバランスを相殺する。
 サブフレーム7は、シェル2の内部におけるモータ20の下方に設けられ、副軸受16を介して主軸8を回転自在に支持する。サブフレーム7の中央部は、玉軸受からなる副軸受16を備え、モータ20の下方で主軸8を半径方向に軸支する。なお、副軸受16は、玉軸受以外の別の軸受構成としてもよい。主軸8においてモータ20よりも下方の副軸部85は、副軸受16と嵌め合わされ、冷凍機油9aによる油膜を介して副軸受16に対し摺動する。主軸部84および副軸部85の軸心は、主軸8の軸心と一致している。
 シェル2には、冷媒を吸入するための吸入管101と、冷媒を吐出するための吐出管102と、が設けられている。吸入管101は、シェル2の側壁部に設けられる。吸入管101は、ガス状態の冷媒をシェル2の内部に吸入する管である。シェル2内において、フレーム6よりも下方には、吸入管101から流入した吸入冷媒で満たされる低圧の吸入空間70が形成されている。
 吐出管102は、シェル2の上部に設けられる。吐出管102は、圧縮された冷媒をシェル2の外部に吐出する管である。また、シェル2内において、圧縮機構部10の固定スクロール11における固定台板110より上方に位置する吐出管102側には、圧縮機構部10から吐出された吐出冷媒で満たされる高圧の吐出空間71が形成されている。シェル2の上方には、外部から導入される冷媒を、後述する揺動側渦巻歯12bの外周側に位置する冷媒の吸入空間73、または、後述する圧縮室31内に噴射するインジェクション機構40のインジェクション管103が接続されていることが好ましい。
<圧縮機構部10>
 次に、前述した図1~図3に加え、図4~図8を用いて、本実施の形態1に係るスクロール圧縮機1の圧縮機構部10について説明する。図4は、図3の圧縮室31における要部Aを示す拡大断面図である。図5は、図1のスクロール圧縮機1における固定スクロール11を概略的に示す縦断面図である。図6は、図5の固定スクロール11の要部Bを示す拡大断面図である。図7は、図1のスクロール圧縮機1における揺動スクロール12を概略的に示す縦断面図である。図8は、図7の揺動スクロール12の要部を示す拡大断面図である。なお、以下の説明では、固定側渦巻歯111および揺動側渦巻歯121を便宜上、各渦巻歯111および121として説明する場合がある。
 図1に示すように、スクロール圧縮機1の圧縮機構部10は、固定スクロール11と揺動スクロール12とを有して構成されている。固定スクロール11は、フレーム6に対して固定配置されている。揺動スクロール12は、固定スクロール11とフレーム6との間の空間に配置されている。揺動スクロール12とフレーム6との間には、揺動スクロール12の自転を防止するためのオルダムリング13が配置されている。
 オルダムリング13は、揺動スクロール12の揺動側渦巻歯121の形成される上面とは反対側の面であるスラスト面に配置され、揺動スクロール12の自転運動を阻止する。すなわち、オルダムリング13は、揺動スクロール12の自転運動を阻止すると共に、揺動スクロール12の揺動運動を可能とする機能を果たす。オルダムリング13の上下面には、それぞれ互いに直交するように突設された不図示の爪部が形成される。オルダムリング13の爪部は、揺動スクロール12およびフレーム6に形成される不図示のオルダム溝にそれぞれ嵌入される。
 そして、固定スクロール11と揺動スクロール12とが、固定側渦巻歯111と揺動側渦巻歯121とを互いに噛み合うように対向させて設置されることで、これら固定側渦巻歯111と揺動側渦巻歯121とが噛み合った空間に圧縮室31が形成される。揺動スクロール12が主軸8によって揺動運動されると、圧縮室31にてガス状態の冷媒が圧縮される。なお、圧縮室31の詳細については後述する。
 具体的に、図1に示すように、固定側渦巻歯111は、固定スクロール11の組付状態において、固定台板110の下面側に下方に延びて配置される。また、固定スクロール11の中央部には、圧縮された加熱媒体としてのガスを吐出する吐出口11aが貫通して形成されている。さらに、固定スクロール11の吐出口11aの出口部には、当該出口部を覆うようにリード弁50が設置される。リード弁50は、吐出口11aを開閉し、流体の逆流を防止するものである。弁押え51は、リード弁50よりも厚みのある長板状の部材であり、リード弁50の開弁時にリード弁50を背面側から支持することで、リード弁50の可動範囲を規制しつつ、リード弁50が変形しないように保護する。
 また、揺動側渦巻歯121は、揺動スクロール12の組付状態において、揺動台板120の上面側に上方に延びて配置される。揺動スクロール12は、固定スクロール11に対して公転旋回運動、換言すれば揺動運動を行い、オルダムリング13によって自転運動が規制される。
 揺動スクロール12の揺動台板120において、揺動側渦巻歯121の形成面とは反対側の背面の中心部には、円筒状のボス部122が形成されている。ボス部122の内側には揺動軸受123が固定されている。揺動軸受123は、銅鉛合金などの滑り軸受に使用される軸受材料で構成され、軸受材料がボス部122の内側に圧入されて固定されている。
 そして、揺動軸受123の内側にはバランサ付スライダ4が回転自在に配置されている。バランサ付スライダ4は、筒状のスライダ4aと、第一バランサ4bと、を有して構成され、これらは焼嵌めなどの手法を用いて接合されている。スライダ4aは、主軸8の上端部に設けられた後述の偏心軸部83に対して相対移動可能に嵌め合わされ、揺動スクロール12の揺動半径を自動的に調整する。スライダ4aは、揺動スクロール12の揺動時に常に固定側渦巻歯111と揺動側渦巻歯121とが互いに接した状態となるように設けられている。第一バランサ4bは、スライダ4aの側方に位置し、揺動スクロール12の遠心力を打ち消して圧縮要素の振動を抑えるために設けられている。
 このように、揺動スクロール12は、主軸8の偏心軸部83にバランサ付スライダ4を介して連結されており、バランサ付スライダ4によって揺動半径が自動的に調整されつつ、主軸8の回転に伴って揺動運動される。揺動スクロール12の揺動台板120における背面とフレーム6との間には、筒状の軸受動作空間72が形成されている。揺動軸受123は、揺動スクロール12の揺動運動中、バランサ付スライダ4と共に軸受動作空間72内を回転するようになっている。なお、バランサ付スライダ4に替えて、バランサ機能を有さないスライダが搭載されていてもよい。
 揺動スクロール12は、主軸8の回転数に応じて公転運動されるため、高速運転条件下において主軸8の偏心軸部83に加わる遠心力が増加する。このため、揺動スクロール12の素材には鋳物ではなく、アルミニウム材などの軽量素材を用いることが好ましい。つまり、揺動スクロール12が軽ければ第一バランサ4b、ひいてはバランサ付スライダ4を軽量化でき、コスト削減またはスクロール圧縮機1のサイズダウンを図ることができる。また、運転時の揺動スクロール12による遠心力を小さくすることで、揺動軸受123にかかる荷重を低減でき、摺動性を向上できる、といった多くのメリットを有する。なお、揺動スクロール12の素材はアルミニウム材に限定されるものではなく、鋳物系素材、または、樹脂系素材等も適用できる。
 また、図1および図2に示すように、固定側渦巻歯111と揺動側渦巻歯121との間には、主軸8の回転に伴い、半径方向外周側から内側の渦巻中心側へ向かうにしたがって、容積が縮小される複数の圧縮室31が形成される。各圧縮室31は、それぞれ横断面が三日月形状をなし、外周側から取り込まれた冷媒が、渦巻中心に向かって連続的かつ滑らかに圧縮されることにより昇圧し、渦巻体中心に近づくほど高温となる。
 すなわち、これら複数の圧縮室31は、固定側渦巻歯111および揺動側渦巻歯121の渦巻中心側が高圧側圧縮室31aとなり、反対に冷媒が取り込まれる外周側が低圧側圧縮室31bとなる。このような圧縮工程に伴い圧縮室31の内部温度は上昇し、固定側渦巻歯111と揺動側渦巻歯121とが熱膨張することで、これら固定側渦巻歯111および揺動側渦巻歯121の歯高が増加する。
 ここで、歯高とは、固定側渦巻歯111の場合、後述する固定スクロール11の固定側渦巻歯111における固定台板110側に位置する歯底112から歯先111aまでの高さを意味する。また、揺動側渦巻歯121の場合、歯高とは、後述する揺動スクロール12の揺動側渦巻歯121における揺動台板120側に位置する歯底124から歯先121aまでの高さを意味する。
 前述のように、固定側渦巻歯111および揺動側渦巻歯121の歯高が熱膨張により増加するため、図3および図4に示すように、固定側渦巻歯111および揺動側渦巻歯121の歯先111aおよび121aには隙間が設けられている。具体的に、固定スクロール11と揺動スクロール12とが、固定側渦巻歯111と揺動側渦巻歯121とを噛み合わせた際、これらの歯先111aおよび121aと、それらに対向する歯底124および112との間には、微小な歯先隙間33が形成されるようになっている。
 この歯先隙間33は、熱膨張により、歯先111aと歯底124との接触、および、歯先121aと歯底112との接触を、それぞれ未然に防ぐことを目的として設けられる。この場合、高圧側圧縮室31aから低圧側圧縮室31bへの冷媒漏れは、図2に示すように、歯先隙間33による径方向漏れ(図2中、実線矢印で示す)と、固定側渦巻歯111と揺動側渦巻歯121との側面同士が接した際に発生する微小な周方向隙間34による周方向漏れ(図2中、破線矢印で示す)と、がある。
 そこで、本実施の形態1の圧縮機構部10では、図2~図4に示すように、固定側渦巻歯111および揺動側渦巻歯121の歯先111aおよび121aに、渦巻形状に沿って連続するシール材3が設けられている。シール材3は、一般に樹脂系素材の成型品が適用されることが多く、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)系樹脂が用いられる。なお、シール材3の材質は、PPSに限定されるものではなく、使用する用途に応じて適宜、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂およびポリイミド系樹脂を含む群から選択された一種を用いて形成される最適な樹脂材を適用可能となっている。また、シール材3は、樹脂成型品のため、断面形状、全長および巻き数を任意に設定できるものであり、搭載される圧縮機用途に適したものを使用できる。シール材3は、固定側渦巻歯111および揺動側渦巻歯121の歯先111aおよび121aに形成されたシール溝113および125に配置され保持される。
 ここで、固定側渦巻歯111および揺動側渦巻歯121の歯先111aおよび121aに形成されたシール溝113および125について、図4~図8を用いて説明する。
 図4~図6に示すように、固定側渦巻歯111の歯先111aに形成されたシール溝113は、底部となる底面部115と、底面部115から連続した側壁部となるシール材落下防止壁114と、を有している。この場合、シール材落下防止壁114は、固定側渦巻歯111における外向面側のみに形成されている。また、シール溝113は、底面部115から連続したシール材落下防止壁114の内周側に位置するシール材3との接面である側面部116が、固定台板110に対して垂直に形成されている。
 図4、図7および図8に示すように、揺動側渦巻歯121の歯先121aに形成されたシール溝125は、底部となる底面部127と、底面部127から連続して側壁部となるシール材落下防止壁126と、を有している。この場合、シール材落下防止壁126は、揺動側渦巻歯121における外向面側のみに形成されている。また、シール溝125は、底面部127から連続したシール材落下防止壁126の内周側に位置するシール材3との接面である側面部128が、揺動台板120に対して垂直に形成されている。
 固定側渦巻歯111における底面部115は、図4に示すように、固定台板110側に位置する歯底112から固定側渦巻歯111における内向面側の端部までの高さh1が、歯底112から固定側渦巻歯111における外向面側の端部までの高さh2よりも高く設定されている。
 揺動側渦巻歯121における底面部127は、図4に示すように、揺動台板120側に位置する歯底124から揺動側渦巻歯121における内向面側の端部までの高さh3が、歯底124から揺動側渦巻歯121における外向面側の端部までの高さh4よりも高く設定されている。
 換言すれば、底面部115および127は、固定側渦巻歯111および揺動側渦巻歯121における内向面側から外向面側に進むにつれ、歯底112および124に向かって傾斜している。
 固定側渦巻歯111の歯先111aに設置されたシール材3は、径方向および周方向に隣接する圧縮室31間の高低圧差圧により浮上し、図4に示すように、相対する歯底124と、シール材落下防止壁114と、に押し付けられる。また、揺動側渦巻歯121の歯先121aに設置されたシール材3は、径方向および周方向に隣接する圧縮室31間の高低圧差圧により浮上し、図4に示すように、相対する歯底112と、シール材落下防止壁126と、に押し付けられる。これにより、図2に示すような径方向および周方向に隣接する圧縮室31間における高低圧間の冷媒漏れを防ぐ。
 ここで、図示省略するが、歯先において、シール溝が外向面側と内向面側との両サイドにシール材落下防止壁を有する従来形状の渦巻歯では、相対する歯底側の根元部と歯先との接触を避ける必要があった。根元部は、渦巻歯の強度確保のため、歯底に向かって湾曲した形状で接続されていることが一般的である。つまり、渦巻歯の根元部には、いわゆるR加工が施されている。このため、従来では、渦巻歯の根元部におけるR加工の曲率半径より大きい曲率半径で歯先にR加工および面取り加工を施していた。
 これに対し、本実施の形態1の固定側渦巻歯111および揺動側渦巻歯121であればシール材3が、それぞれ相対する揺動側渦巻歯121および固定側渦巻歯111の歯底124および112と接した状態で摺動する。すわなち、本実施の形態1の場合、歯先111aおよび121aに設けられたシール材3が、それらに対向する揺動側渦巻歯121および固定側渦巻歯111の歯底124および112側の根元部に沿った状態で摺動する。このため、従来のような、渦巻歯の根元部におけるR加工の曲率半径より大きい曲率半径で歯先にR加工および面取り加工を施す必要はない。その上、従来のスクロール圧縮機と比較し、圧縮工程において高圧側圧縮室31aから低圧側圧縮室31bへの冷媒漏れを低減させることが可能となっている。
 図9は、従来のスクロール圧縮機における圧縮室330の90°毎の状態変化を比較例として示す説明図である。図10は、実施の形態1に係るスクロール圧縮機1の圧縮室31における90°毎の状態変化を示す説明図である。なお、図9および図10では、渦巻歯320または121が渦巻歯310または111に対して旋回することにより、圧縮室330または31が状態変化する様子を、それぞれ上から順次90°毎に示している。
 図9に示すように、従来、各渦巻歯310および320のシール溝310aおよび320aは、各渦巻歯310および320の外向面側にシール材落下防止壁311および321を、同じく内向面側にシール材落下防止壁312および322を、有していた。これにより、シール溝310aおよび320aは、各渦巻歯310および320の外向面側と内向面側との両側からシール材3を保持することで、運転中にシール材3が落下するのを防止していた。ここで、従来のシール材落下防止壁311、312および321、322を単純に外向面側の片側のシール材落下防止壁311および321のみとした場合、内向面側のシール材落下防止壁312および322を取り除いただけとなる。したがって、シール材3を保持するシール材落下防止壁311および321の接面形状が、平坦なシール溝の底面部(不図示)と、それに続く側面部(不図示)のみとなる。よって、相対する歯底との引っ掛かり、または、過圧縮状態における高低圧漏れ方向の逆転等により、シール材3がシール溝310aおよび320aから落下する可能性がある。また、シール材3が落下した場合、異物噛み込みによる渦巻歯および吐出ポート座面の損傷による性能低下、並びに、圧縮機破損等が懸念される。
 これに対し、図4に示すように、本実施の形態1の固定側渦巻歯111のシール溝113は、歯底112から底面部115における内向面側の端部までの高さh1が、歯底112から底面部115における外向面側の端部までの高さh2よりも高く設定されている。また、揺動側渦巻歯121のシール溝125は、歯底124から底面部127における内向面側の端部までの高さh3が、歯底124から底面部127における外向面側の端部までの高さh4よりも高く設定されている。つまり、本実施の形態1のシール溝113および125は、それぞれ底面部115および127が、内向面側の端部から外向面側の端部に進むにつれ、歯底112および124へ向かって傾斜している。そのため、シール材3を保持するシール材落下防止壁114および126の接面形状の一部である底面部115および127は、内向面側の端部と外向面側の端部との間に高低差h1-h2およびh3-h4を有した形状となっている。
 これにより、シール材落下防止壁114および126を、各渦巻歯111および121における外向面側の片側のみに設けるようにしても、相対する歯底124および112との引っ掛かりによるシール材3の落下を未然に防止できる。また、過圧縮状態における高低圧漏れ方向の逆転に起因したシール材3の落下を未然に防止できる。よって、本実施の形態1のスクロール圧縮機1では、信頼性の向上を図ることができる。その上、シール材落下防止壁114および126を、各渦巻歯111および121における外向面側の片側のみに設けることで、図9に示す従来の両側に設ける形状と比較して各渦巻歯111および121の厚みである歯厚をシール材落下防止壁片側分、薄肉化できる。これにより、図10に示す本実施の形態1のスクロール圧縮機1では、図9に示す従来形状と比較して圧縮室31を大きく構成して容積を拡大できる分、同一サイズの圧縮機と比較して取り込み容積の大容量化を図ることができる。
 図4に示すように、シール溝113および125における底面部115および127と、シール材3と、の間には隙間35が形成されている。この隙間35の寸法dは、一方の渦巻歯121のシール材落下防止壁126の中心側に位置する最も低い部分と、他方の台板(固定台板110)と、の間の間隔から、シール材3の最も長い部分を引いた長さとなる。そして、シール溝113および125における底面部115および127の高低差h1-h2およびh3-h4は、底面部115および127の外向面側の端部におけるシール材3との間に形成される隙間35の寸法dよりも大きいことが望ましい。
 換言すれば、固定側渦巻歯111において、シール溝113は、歯底112から底面部115の内向面側の端部までの高さh1と、歯底112から底面部115の外向面側の端部までの高さh2と、の差h1-h2が、底面部115の外向面側の端部におけるシール材3との間の隙間35の寸法dよりも大きく設定されることが望ましい。また、揺動側渦巻歯121において、シール溝125は、歯底124から底面部127の内向面側の端部までの高さh3と、歯底124から底面部127の外向面側の端部までの高さh4と、の差h3-h4が、底面部127の外向面側の端部におけるシール材3との間の隙間35の寸法dよりも大きく設定されることが望ましい。
 シール材3は、圧縮室31間の高低圧差圧により浮上し、シール材3の浮上量が底面部115および127の前述した高低差h1-h2およびh3-h4以上となった場合、シール材3をシール溝113および125の内向面側で保持する要素がなくなってしまう。そのため、相対する歯底112および124との引っ掛かり、および、過圧縮状態における高低圧漏れ方向の逆転により、シール材3が落下する虞がある。
 これに対し、本実施の形態1のスクロール圧縮機1では、前述した高低差h1-h2およびh3-h4を、底面部115および127とシール材3との間に形成される隙間35の寸法dよりも大きく設定することにより、シール材の落下を未然に防止できる。なお、シール材3は、熱伸縮するため温度が低くなると、隙間35の寸法dが大きくなることがある。また、摩耗によっても隙間35の寸法dが大きくなることがある。したがって、高低差h1-h2およびh3-h4は、隙間35の寸法dの数倍程度の大きさとすることがより望ましい。
 また、図示省略するが、シール材落下防止壁がシール材の外向面側と内向面側との両側に設けられる場合、シール材落下防止壁の端部と、相対する渦巻歯の根本部と、が接触し、金属接触に伴う異常昇温および焼き付きに起因した渦巻破損が発生する。そのため、シール材の両側にシール材落下防止壁を設ける場合、歯先に面取り加工を施したり、根元部にR加工および面取り加工を施したりしていた。しかしながら、面取り加工を施した部位に隙間が発生し、その隙間から渦巻歯の周方向への冷媒漏れを引き起こし、圧縮機の性能を低下させる点が懸念されていた。
 これに対し、本実施の形態1の各渦巻歯111および121では、歯先111aおよび121aにおける内向面側がシール材3によって構成されるため、相対する根本部にシール材3を接触させた状態での運転が可能となる。これにより、従来形状の渦巻歯に対し内向面側の漏れ隙間を無くすことができるため、スクロール圧縮機1の性能向上を図ることができる。特に、低速運転時の高低圧間での冷媒漏れが圧縮機に大きく影響する条件下では、容積増加による能力増加に加えて漏れ損失を大幅に低減できることから、低速条件下での大幅な性能向上を図ることができる。
 なお、シール材3において、相対する渦巻歯111または121の根本部と接触する部位に対し、当該根元部と同様の曲率半径でR加工、若しくは面取り加工を施してもよい。
 ここで、各渦巻歯111および121の渦巻中心側におけるシール溝113および125の形状について、図2および図11を用いて説明する。図11は、図2のスクロール圧縮機1における揺動側渦巻歯121の中心側に位置する歯先121aに形成されたシール溝125の形状を示す概略断面図である。なお、各渦巻歯111および121における渦巻中心側のシール溝113および125は同じ形状であるため、以下の図11に関わる説明では、便宜上、揺動側渦巻歯121のみ図示し、固定側渦巻歯111については、その説明および図示を割愛する。
 図2および図11に示すように、本実施の形態1のスクロール圧縮機1の場合、揺動側渦巻歯121の渦巻中心側に配置されるシール溝125は、歯先121aにおける内向面側にもシール材落下防止壁129が形成されていることが望ましい。つまり、前述したシール材落下防止壁の端部と、相対する渦巻歯の根本部と、が接触し易い領域では、シール溝125の外向面側のみシール材落下防止壁126を形成する。そして、そのような接触の可能性が低い渦巻中心側では、シール溝125の外向面側と内向面側との両側にシール材落下防止壁126および129を形成する。このような構成により、揺動側渦巻歯121の渦巻中心側に配置されるシール溝125では、シール材3を外向面側と内向面側との両側から確実に保持できるため、シール材3の落下を効果的に防止できる。
 ここで、スクロール圧縮機1における各渦巻歯111および121における冷媒の取り込み容積の増加と性能改善、および、渦巻強度増加について、前述した図5および図7と、図12および図13と、を用いて説明する。図12は、実施の形態1および2に係るスクロール圧縮機1の渦巻取り込み容積を比較して示すグラフである。図13は、実施の形態1および2に係るスクロール圧縮機1の回転数と能力の相関を示すグラフである。なお、図12には、便宜上、後述する実施の形態2に係るスクロール圧縮機1の渦巻取り込み容積が比較例として示されているが、ここでは詳細な説明は割愛するものとする。
 図5に示すように、固定スクロール11は、固定側渦巻歯111の渦巻中心側となる内向面が固定台板110に対して歯先111aに進むにつれ、先細りとなるように傾斜している。つまり、固定側渦巻歯111は、内向面側が歯底112に対して傾斜している。また、図7に示すように、揺動スクロール12は、揺動側渦巻歯121の冷媒吸入側となる外向面が揺動台板120に対して歯先に進むにつれ、先細りとなるように傾斜している。つまり、揺動側渦巻歯121は、外向面側が歯底124に対して傾斜している。この場合、各渦巻歯111および121の傾斜角θは4°以下の範囲に設定することが好ましい。これにより、各渦巻歯111および121における歯底112および124側の歯厚を増加でき、各渦巻歯111および121の強度向上を図ることができる。なお、各渦巻歯111および121において傾斜した内向面側および外向面側の反対側となる外向面側および内向面側は、歯底112および124に対して垂直に形成されるのが好ましい。
 ここで、強度向上を目的として各渦巻歯111および121の片面側を前述のごとく傾斜させた場合、従来は垂直であった各渦巻歯111および121における歯底112および124側の歯厚が増加される。このとき、傾斜角θが4°以下であれば歯厚の増加量は微小であり、シール材落下防止壁114および126の片側化による取り込み容積増加に対する容積低減の寄与度は少ない。また、相対する渦巻歯121および111と重なり合うことで実際の圧縮室31の構成にかかる歯厚の増加分は、歯底112および124側で増加した歯厚の片側分のみとなる。したがって、シール材落下防止壁114および126を片側化し、各渦巻歯111および121を片側テーパ形状とすることで、渦巻を構成するインボリュート範囲および基礎円が同一であっても渦巻ピッチが大きくなる。このため、図12の実施の形態1および実施の形態2に示すように、圧縮室31の取り込み容積を拡大できる。しかも、他部品の改良および構成部品の追加が不要であり、同一インボリュートでの取り込み容積増加が可能である。このため、図13の実施の形態1および実施の形態2に示すように、製造コストの増加なくスクロール圧縮機1単体での最大能力向上が可能である。
 スクロール圧縮機1に要求される運転範囲が拡大され、吸入圧力と吐出圧力との差が大きい高圧縮比状態の運転条件となる場合、隣り合う圧縮室31の圧力差が大きくなる。この圧力差により、各渦巻歯111および121における根本部に発生する応力が素材の耐力を上回る、若しくは繰り返し印加された場合、各渦巻歯111および121が破損し、スクロール圧縮機1が停止する虞がある。前述したように、単純にシール材落下防止壁を片側のみにした従来の渦巻歯においては、シール材落下防止壁を片側化することで渦巻歯を単純に薄くした形状となるため、冷媒の取り込み容積の大容量化を達成している反面、渦巻強度は低下する。このため、圧縮機の信頼性が低下する。したがって、渦巻強度の向上には、渦巻歯の根本部に対する応力集中を避けるため、当該根本部に施すR加工の曲率半径を拡大化することで、強度面に対する信頼性を確保する必要がある。しかし、渦巻歯の根本部に対するR加工の曲率半径の拡大は、相対する渦巻歯の歯先に施すR加工または面取り加工も拡大化する必要を招き、この根本部のR加工部と、歯先のR加工部または面取り加工部と、の間に隙間が形成される。そして、この隙間が、圧縮室間の周方向漏れを生じさせるため、高圧側から低圧側に圧縮された冷媒が漏れ、圧縮機の損失となり、性能低下に対する大きな要因となっていた。
 そこで、本実施の形態1のスクロール圧縮機1では、前述したように、各渦巻歯111および121の片面側をテーパ形状とすることで、各渦巻歯111および121の根本部における強度向上を可能としている。特に、本実施の形態1のスクロール圧縮機1では、揺動スクロール12の素材軽量化に伴い、材料剛性が低下する揺動側渦巻歯121の外向面側に傾斜を持たせることで、高低差圧により揺動側渦巻歯121の根本部に発生する応力をより効率的に低減できる。
 また、各渦巻歯111および121の片面側に傾斜角θを付加することで、同一歯高の渦巻歯でも従来形状の渦巻歯と比較して、各渦巻歯111および121の根本部における断面二次モーメントが増加する。このため、各渦巻歯111および121の根本部にR加工を施した場合、当該R加工の曲率半径が小さくても、十分に強度を確保することができる。この場合、各渦巻歯111および121の根本部におけるR加工部の曲率半径が小さくなることで、相対する渦巻歯121および111の歯先121aおよび111aのR加工部および面取り加工部の形状も小さく構成することができる。よって、周方向の漏れ隙間を、より小さくすることができるため、圧縮工程における漏れが低減し、性能改善につながる。なお、固定スクロール11および揺動スクロール12の歯厚は同一でなくてもよい。
<スクロール圧縮機1の動作>
 次に、スクロール圧縮機1の動作について説明する。ステータ22に電力が供給されると、ロータ21がトルクを発生し、フレーム6の主軸受15とサブフレーム7の副軸受16とで支持された主軸8が回転する。主軸8の偏心軸部83によりボス部を駆動される揺動スクロール12は、オルダムリング13により自転が規制され、公転運動する。つまり、フレーム6のオルダム溝方向に往復動するオルダムリング13により自転を規制される状態で、揺動スクロール12のボス部が主軸8の偏心軸部83により駆動されることにより、揺動スクロール12が固定スクロール11に対して偏心旋回運動する。これにより、固定スクロール11の固定側渦巻歯111と揺動スクロール12の揺動側渦巻歯121との組み合せで形成される複数の圧縮室31の容積が順次縮小される。
 揺動スクロール12の偏心旋回運動に伴い、吸入管101からシェル2内に吸入されるガス状態の冷媒は、固定スクロール11と揺動スクロール12との両渦巻歯111および121間に形成される圧縮室31に取り込まれ、中心に向かいつつ圧縮される。そして、圧縮された冷媒は、固定スクロール11の吐出口11aからリード弁50を開弁させて吐出され、吐出管102からスクロール圧縮機1の外部、すなわち冷媒回路へ排出される。
 なお、揺動スクロール12とオルダムリング13との運動に伴うアンバランスは、主軸8に取り付けられた第一バランサ4bと、ロータ21側に取り付けられた第二バランサ8aと、により釣り合わせて安定させる。また、シェル2の下部の油溜り部9に貯留する冷凍機油9aは、主軸8内に設けられた給油通路82を通って、主軸受15、副軸受16およびスラスト面などの各摺動部に供給される。
<実施の形態1の効果>
 以上、説明したように、本実施の形態1のスクロール圧縮機1では、シール材落下防止壁114および126を固定側渦巻歯111および揺動側渦巻歯121のシール溝113および125における外向面側のみに設けるようにした。このとき、シール溝113は、歯底112から底面部115における内向面側の端部までの高さh1が、歯底112から底面部115における外向面側の端部までの高さh2よりも高く設定されている。また、揺動側渦巻歯121のシール溝125は、歯底124から底面部127における内向面側の端部までの高さh3が、歯底124から底面部127における外向面側の端部までの高さh4よりも高く設定されている。つまり、シール溝113および125は、それぞれシール材3を配置する底面部115および127が、内向面側の端部から外向面側の端部に進むにつれ、歯底112および124へ向かって傾斜していることで、低圧側より高圧側を高くするように設定されている。
 したがって、本実施の形態1のスクロール圧縮機1によれば、シール材落下防止壁114および126をシール溝113および125における外向面側のみに設けることにより、各渦巻歯111および121の歯厚を薄肉化でき、渦巻取り込み容積を拡大して、圧縮機の能力の上限を拡大することができる。また、シール材3を配置する底面部115および127において高圧側を高くすることにより、運転中におけるシール材3の落下を未然に防止できる。かくして、本実施の形態1のスクロール圧縮機1によれば、信頼性を確保しつつ、性能の向上を図ることができる。
 さらに、本実施の形態1のスクロール圧縮機1によれば、各渦巻歯111および121に傾斜角θを持たせることにより、各渦巻歯111および121の根本部に加わる応力に対抗可能なように、各渦巻歯111および121の強度を向上できる。
<実施の形態1の変形例>
 ここで、実施の形態1の変形例について、図14を用いて説明する。図14は、実施の形態1の変形例に係るスクロール圧縮機1の揺動側渦巻歯121の歯先121aにおけるシール溝125の形状を示す概略断面図である。なお、ここでは、固定側渦巻歯111および揺動側渦巻歯121におけるシール溝113および125の形状が実質的に同じであることから、便宜上、変形例としては、揺動側渦巻歯121のみを図14に示し、説明するが、固定側渦巻歯111についても同様に構成されている。
 前述した実施の形態1の場合、シール溝113は、図5および図6に示すように、底面部115から連続したシール材落下防止壁114の内周側に位置するシール材3との接面である側面部116が、固定台板110に対して垂直に形成されている場合について述べた。また、シール溝125は、図7および図8に示すように、底面部127から連続したシール材落下防止壁126の内周側に位置するシール材3との接面である側面部128が、揺動台板120に対して垂直に形成されている場合について述べた。しかしながら、これら側面部116および128は、固定台板110および揺動台板120に対して垂直に形成されることに限定されることはない。
 すなわち、例えば図8との対応部分に同一符号を付した図14に示すように、渦巻歯121の歯先121aにおけるシール溝125は、シール材落下防止壁126の内周側に位置するシール材3との接面である側面部128が、底面部127に対して垂直であってもよい。つまり、この場合、側面部128は、揺動台板120に対して垂直ではなく、傾斜した状態となる。このように、シール材3を保持するシール材落下防止壁126の接面形状の一部である側面部128が揺動台板120に対して傾斜することで、当該側面部128が揺動台板120に対して垂直である場合と比較して、シール材3の保持力を向上できる。よって、運転中におけるシール材3の脱落防止力を格段に向上できる。
実施の形態2.
 次に、図15および図16を参照しながら、本開示の実施の形態2に係るスクロール圧縮機1について説明する。図15は、実施の形態2に係るスクロール圧縮機1の固定スクロール11を概略的に示す縦断面図である。図16は、実施の形態2に係るスクロール圧縮機1の揺動スクロール12を概略的に示す縦断面図である。なお、図15および図16は、それぞれ前述した図5および図7との対応部分に同一符号を付して示すものであり、以下、前述した実施の形態1と同様の構成部分に関する詳細な説明を割愛する。
 図15に示すように、本実施の形態2において、固定スクロール11は、固定側渦巻歯111の渦巻中心側となる内向面のみならず、その背面側の外向面も固定台板110に対して歯先111aに進むにつれ、先細りとなるように傾斜している。つまり、固定側渦巻歯111は、内向面側および外向面側が、それぞれ歯底112に対して傾斜している。また、図16に示すように、揺動スクロール12は、揺動側渦巻歯121の冷媒吸入側となる外向面のみならず、その背面側の内向面もが揺動台板120に対して歯先に進むにつれ、先細りとなるように傾斜している。つまり、揺動側渦巻歯121は、外向面側および内向面側が歯底124に対して傾斜している。
<実施の形態2における効果>
 以上、説明したように、本実施の形態2のスクロール圧縮機1では、各渦巻歯111および121の内向面および外向面の両側をテーパ形状とすることで、実施の形態1の場合と比較して各渦巻歯111および121の強度を増強できる。よって、スクロール圧縮機1の信頼性も向上する。
 この場合、各渦巻歯111および121の傾斜角θは、4°以下の範囲に設定することが好ましい。これにより、各渦巻歯111および121における歯底112および124側の歯厚を更に増加でき、各渦巻歯111および121の更なる強度向上を図ることができる。なお、ここでは、各渦巻歯111および121における内向面側と外向面側の傾斜角θを同等としているが、各々の大小関係は任意に設定できるものとする。
実施の形態3.
 次に、図17を参照しながら、本開示の実施の形態3に係るスクロール圧縮機1について説明する。図17は、実施の形態3に係るスクロール圧縮機1の揺動側渦巻歯121の歯先121aにおけるシール溝125の形状を示す概略断面図である。なお、図17は、前述した図8との対応部分に同一符号を付して示すものであり、以下、前述した実施の形態1と同様の構成部分に関する詳細な説明を割愛する。また、ここでは、揺動側渦巻歯121についてのみ図示して説明するが、固定側渦巻歯111についても図17と同様の構成であってもよい。
 本実施の形態3の場合、揺動側渦巻歯121の歯先121aには、その全体を覆うように、当該歯先121aの全域に亘ってシール材3が配置されている。
 従来形状では、シール材落下防止壁311、312および321、322が、各渦巻歯310および320の内向面と外向面との両側に存在するため、歯先の端部が金属で構成されている(図9参照)。そのため、歯先および歯底には、相対する渦巻歯320および310の歯底との金属接触を防止することを目的として、それぞれ任意のR加工および面取り加工が施されている。しかしながら、このR加工および面取り加工が重なり合った際に生じる微小な周方向隙間34(図4参照)が、各渦巻歯310および320における周方向の漏れ経路になり圧縮機性能低下の要因となっている。そこで、本実施の形態3では、シール材3が歯先121aの全域に亘って存在するように配置している。
<実施の形態3における効果>
 以上、説明したように、本実施の形態3のスクロール圧縮機1では、シール材3が歯先121aの全域に亘って存在するように配置し、揺動側渦巻歯121の先端に位置する端部は、金属ではなくシール材3の樹脂となる。このため、相対する固定側渦巻歯111(図4参照)の根本部と接触した状態での運転が可能となり、周方向漏れによる損失を低減させることができる。
実施の形態4.
<冷凍サイクル装置200の構成>
 次に、図18を用いて実施の形態4を説明する。図18は、実施の形態4に係る冷凍サイクル装置の一例を示す冷媒回路図である。冷凍サイクル装置200は、例えば、冷媒を介して外気と室内の空気との間で熱を移動させることにより、冷房または暖房運転を行って室内の空気調和を行う空気調和装置として機能する。
 図18に示すように、冷凍サイクル装置200は、スクロール圧縮機1と、凝縮器201と、減圧装置としての膨張弁202と、蒸発器203とを備えている。また、冷凍サイクル装置200は、凝縮器201と膨張弁202との間から分岐し、スクロール圧縮機1に接続されるインジェクション回路204を備えている。インジェクション回路204には、流量調整弁205が設けられている。スクロール圧縮機1には、前述した実施の形態1~実施の形態3のスクロール圧縮機1を適用できる。
<冷凍サイクル装置200の動作例>
 このように構成された冷凍サイクル装置200において、スクロール圧縮機1から吐出されたガス冷媒は凝縮器201に流入し、凝縮器201を通過する空気と熱交換して高圧液冷媒となって流出する。凝縮器201を流出した高圧液冷媒は、膨張弁202で減圧されて低圧の気液二相冷媒となり、蒸発器203に流入する。蒸発器203に流入した低圧の気液二相冷媒は、蒸発器203を通過する空気と熱交換して低圧ガス冷媒となり、再びスクロール圧縮機1に吸入される。
 また、スクロール圧縮機1から吐出され、凝縮器201を通過した冷媒の一部であるインジェクション冷媒は、インジェクション回路204に流入し、流量調整弁205を経てスクロール圧縮機1のインジェクション管103に流入する。インジェクション管103に流入した液体または気液二相のインジェクション冷媒は、渦巻側吸入空間73または圧縮室31に噴射される。
 このように構成された冷凍サイクル装置200は、前述したスクロール圧縮機1を備えることで、渦巻取り込み容積の増加と相乗し、より圧縮機能力の向上を図ることができる。
 なお、かかるスクロール圧縮機1を搭載した冷凍サイクル装置200は、冷蔵庫、冷凍庫、自動販売機、空気調和装置、冷凍装置または給湯機等に適用できる。
 1 スクロール圧縮機、2 シェル、2a アッパーシェル、2b ロアーシェル、2c 胴部シェル、3 シール材、4 バランサ付スライダ、4a スライダ、4b 第一バランサ、6 フレーム、6a 軸孔、7 サブフレーム、8 主軸、8a 第二バランサ、9 油溜り部、9a 冷凍機油、10 圧縮機構部、11 固定スクロール、11a 吐出口、12 揺動スクロール、12b 揺動側渦巻歯、13 オルダムリング、14 スリーブ、15 主軸受、16 副軸受、20 モータ、21 ロータ、22 ステータ、31 圧縮室、31a 高圧側圧縮室、31b 低圧側圧縮室、33 歯先隙間、34 周方向隙間、35 隙間、40 インジェクション機構、50 リード弁、51 弁押え、70 吸入空間、71 吐出空間、72 軸受動作空間、73 渦巻側吸入空間、81 オイルポンプ、82 給油通路、83 偏心軸部、84 主軸部、85 副軸部、101 吸入管、102 吐出管、103 インジェクション管、110 固定台板、111 固定側渦巻歯、111a 歯先、112 歯底、113 シール溝、114 シール材落下防止壁、115 底面部、116 側面部、120 揺動台板、121 揺動側渦巻歯、121a 歯先、122 ボス部、123 揺動軸受、124 歯底、125 シール溝、126 シール材落下防止壁、127 底面部、128 側面部、129 シール材落下防止壁、200 冷凍サイクル装置、201 凝縮器、202 膨張弁、203 蒸発器、204 インジェクション回路、205 流量調整弁、310 渦巻歯、310a シール溝、311 シール材落下防止壁、312 シール材落下防止壁、320 渦巻歯、330 圧縮室、d 寸法、h1 高さ、h2 高さ、h3 高さ、h4 高さ、θ 傾斜角。

Claims (12)

  1.  固定台板上に突出して形成されたインボリュート形状の固定側渦巻歯と、前記固定側渦巻歯の歯先に設けられたシール材と、を有する固定スクロールと、
     揺動台板上に突出して形成されたインボリュート形状の揺動側渦巻歯と、前記揺動側渦巻歯の歯先に設けられたシール材と、を有する揺動スクロールと、を備え、
     前記固定スクロールと前記揺動スクロールとが、互いの前記固定側渦巻歯と前記揺動側渦巻歯とを噛み合うように組み合わされ、前記固定スクロールと前記揺動スクロールとの間に冷媒を圧縮する圧縮室が形成されたスクロール圧縮機であって、
     前記固定スクロールおよび前記揺動スクロールは、
     それぞれ前記固定側渦巻歯および前記揺動側渦巻歯の歯先に、前記シール材を保持するためのシール溝が形成され、
     前記シール溝は、
     底部となる底面部と、前記底面部から連続して側壁部となるシール材落下防止壁と、を有し、
     前記シール材落下防止壁は、
     前記固定側渦巻歯および前記揺動側渦巻歯における外向面側に形成されており、
     前記固定側渦巻歯における前記底面部は、
     前記固定台板側に位置する歯底から前記固定側渦巻歯における内向面側の端部までの高さが、前記歯底から前記固定側渦巻歯における外向面側の端部までの高さよりも高く設定されており、
     前記揺動側渦巻歯における前記底面部は、
     前記揺動台板側に位置する歯底から前記揺動側渦巻歯における内向面側の端部までの高さが、前記歯底から前記揺動側渦巻歯における外向面側の端部までの高さよりも高く設定されている、スクロール圧縮機。
  2.  前記シール溝の前記底面部と、前記シール材との間には隙間が形成されており、
     前記シール溝は、前記固定側渦巻歯および前記揺動側渦巻歯のそれぞれにおいて、
     前記歯底から前記底面部の内向面側の端部までの高さと、
     前記歯底から前記底面部の外向面側の端部までの高さと、の差が、
     前記底面部の外向面側の端部における前記シール材との間の前記隙間の寸法よりも大きい、請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3.  前記固定スクロールは、
     前記固定側渦巻歯の内向面が前記固定台板に対し前記歯先に進むにつれ先細りとなるように傾斜しており、
     前記揺動スクロールは、
     前記揺動側渦巻歯の外向面が前記揺動台板に対し前記歯先に進むにつれ先細りとなるように傾斜している、請求項1または2に記載のスクロール圧縮機。
  4.  前記固定スクロールは、
     前記固定側渦巻歯の内向面および外向面が前記固定台板に対し前記歯先に進むにつれ先細りとなるように傾斜しており、
     前記揺動スクロールは、
     前記揺動側渦巻歯の内向面および外向面が前記揺動台板に対し前記歯先に進むにつれ先細りとなるように傾斜している、請求項1または2に記載のスクロール圧縮機。
  5.  前記固定側渦巻歯および前記揺動側渦巻歯の前記傾斜する内向面および外向面の傾斜角が、4°以下である、請求項3または4に記載のスクロール圧縮機。
  6.  前記シール溝は、
     前記シール材落下防止壁の内周側に位置する前記シール材との接面が、前記固定台板および前記揺動台板に対して垂直である、請求項1~5のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
  7.  前記シール溝は、
     前記シール材落下防止壁の内周側に位置する前記シール材との接面が、前記底面部に対して垂直である、請求項1~5のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
  8.  前記シール材は、
     ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂およびポリイミド系樹脂を含む群から選択された一種を用いて形成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
  9.  前記シール材は、
     前記固定側渦巻歯および前記揺動側渦巻歯の前記歯先における全域に亘って配置されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
  10.  前記固定側渦巻歯および前記揺動側渦巻歯の中心側に位置する前記シール溝は、
     前記シール材落下防止壁が、
     前記固定側渦巻歯および前記揺動側渦巻歯の内向面側にも形成される、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
  11.  前記固定スクロールおよび前記揺動スクロールを収容する密閉容器を更に備え、
     前記密閉容器は、
     前記揺動側渦巻歯の外周側における前記冷媒の吸入空間または圧縮中の前記圧縮室に、前記冷媒を噴射するインジェクション機構を有する、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
  12.  少なくとも圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器を有する冷媒回路を備え、前記圧縮機として請求項1~11のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機を用いた、冷凍サイクル装置。
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