WO2021132660A1 - TGF-β1遺伝子の発現を抑制する一本鎖核酸分子 - Google Patents

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Abstract

本発明は、TGFβ-1の発現抑制活性を有する一本鎖核酸分子であって、下記式:(配列番号1)で表されるヌクレオチド配列(該配列中、Pは、下記式(I)で表されるプロリン誘導体リンカーを示す。)からなり、下線部と二重下線部のヌクレオチド配列との間でワトソン-クリック塩基対を形成し得る(但し、49番目のUには対合する塩基がない)一本鎖核酸分子において、1ないし4個の塩基対を欠失する、及び/又は、1ないし3個の塩基対が他の塩基対で置換されている(49番目のUが他の塩基に置換されている場合を含む)、一本鎖核酸分子を提供する。

Description

TGF-β1遺伝子の発現を抑制する一本鎖核酸分子
 本発明は、TGF-β1遺伝子の発現を抑制する一本鎖核酸分子及びその用途に関する。
 肺線維症は、肺胞の障害と虚脱をきっかけとして、肺の間質に線維化が起こる疾患であるが、多くの場合原因は不明である。原因不明の肺線維症は、特に特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis:IPF)と呼ばれ、線維化が進行すると、肺が硬化し、酸素交換能が低下する。現在のところ、決定的な治療法も無く、その治療法はほぼ対症療法に留まっている。
 TGF-βは、細胞増殖・分化を制御するサイトカインとして知られているが、肝臓や肺の線維化にも重要な役割を果たしていると考えられていることから、肺線維症の治療ターゲットとして注目されており、TGF-β遺伝子の発現抑制による当該疾患の治療の試みがなされている。
 遺伝子発現を抑制する手法として、アンチセンス核酸、siRNA、miRNA等の核酸医薬の使用が知られている。核酸医薬においては、核酸分子の生体内安定性や自然免疫応答の惹起等の問題がある。これらの問題に対し、siRNAやmiRNAの二本鎖核酸の末端を各種のリンカーで連結した一本鎖核酸分子が開発されている(例えば、特許文献1-5参照)。Hamasakiらは、TGF-β1の発現抑制配列を搭載した下記構造の一本鎖核酸分子(以下、「PK-0051」ともいう)を肺線維症及び急性肺傷害のモデルマウスに気管内投与すると、症状が顕著に改善されたことを報告している(非特許文献1)。
 5’-AGCAGAGUACACACAGCAUAUACC-P-GGUAUAUGCUGUGUGUACUCUGCUUC-P-G-3’(配列番号1)
 (下線はTGF-β1発現抑制配列を示す。Pは、下記式(I)で表されるプロリン誘導体リンカーを示す)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
国際公開第2012/017919号パンフレット 国際公開第2013/103146号パンフレット 国際公開第2012/005368号パンフレット 国際公開第2012/077446号パンフレット 国際公開第2013/133393号パンフレット
PLoS One, 2012, 7(8):e42655.
 本発明の目的は、PK-0051をリード核酸として、より高活性、低毒性及び/又は安価なTGF-β1遺伝子の発現を抑制する一本鎖核酸分子を提供することであり、当該核酸分子を用いて、肺線維症や急性肺傷害等のTGF-β1の発現が関与している疾患の新規な治療手段を提供することである。
 本発明者は、上記の目的を達成すべく種々のPK-0051の欠失変異(短鎖化)体や置換変異体を作製し、そのTGF-β1遺伝子発現抑制活性を網羅的に調べた結果、PK-0051と同等もしくはそれ以上の発現抑制活性を有する変異体を得ることに成功し、本発明を完成させるに至った。
 即ち、本発明は以下のものを提供する。
[1]TGFβ-1の発現抑制活性を有する一本鎖核酸分子であって、下記式:
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
で表されるヌクレオチド配列(該配列中、Pは、下記式(I)で表されるプロリン誘導体リンカーを示す。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
からなり、下線部と二重下線部のヌクレオチド配列との間でワトソン-クリック塩基対を形成し得る(但し、49番目のUには対合する塩基がない)一本鎖核酸分子において、1ないし4個の塩基対を欠失する、及び/又は、1ないし3個の塩基対が他の塩基対で置換されている(49番目のUが他の塩基に置換されている場合を含む)、一本鎖核酸分子。
[2]塩基対の欠失のみを有する、[1]に記載の一本鎖核酸分子。
[3]1ないし3個の塩基対を欠失する、[1]又は[2]に記載の一本鎖核酸分子。
[4]連続する塩基対を欠失する、[1]~[3]のいずれかに記載の一本鎖核酸分子。
[5]下線部のヌクレオチド配列の5’末端から連続する1ないし3個のヌクレオチドと、それに対合する二重下線部のヌクレオチドとからなる塩基対を欠失する、[4]に記載の一本鎖核酸分子。
[6]配列番号2~5のいずれかで表されるヌクレオチド配列からなる、[2]に記載の一本鎖核酸分子。
[7]塩基対の他の塩基対への置換のみを有する、[1]に記載の一本鎖核酸分子。
[8]A-U塩基対がU-A塩基対で、及び/又は、G-C塩基対がC-G塩基対で置換されている、[1]、[3]~[5]及び[7]のいずれかに記載の一本鎖核酸分子。
[9]1個の塩基対が他の塩基対で置換されている、[1]、[3]~[5]、[7]及び[8]のいずれかに記載の一本鎖核酸分子。
[10]連続する塩基対が他の塩基対で置換されている、[1]、[3]~[5]、[7]及び[8]いずれかに記載の一本鎖核酸分子。
[11]配列番号7~29のいずれかで表されるヌクレオチド配列からなる、[7]に記載の一本鎖核酸分子。
[12]下線部のヌクレオチド配列の5’末端から10ないし12番目のヌクレオチドと、それに対合する二重下線部のヌクレオチドとからなる塩基対が保存されている、[1]~[11]のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
[13][1]~[12]のいずれかに記載の一本鎖核酸分子を含有してなる、TGFβ-1発現抑制剤。
[14]肺線維症もしくは急性肺傷害の予防又は治療用である、[13]に記載の剤。
 PK-0051の欠失及び/又は置換型変異体である本発明の一本鎖核酸分子は、PK-0051と同等のTGF-β1遺伝子の発現抑制が可能であり、TGF-β1遺伝子の発現が原因となる疾患、例えば、肺線維症や急性肺傷害等の治療に有効である。
図1は、PK-0051(配列番号1)及びその1ないし5塩基対欠失変異体(それぞれ配列番号2ないし6)の二次構造を示す。 図2は、PK-0051及びその1塩基対置換変異体(左カラム第2段から右カラム最下段に向かって、それぞれ配列番号7ないし29)の二次構造を示す。 図3は、PK-0051及びその連続する2塩基対置換変異体(左カラム第2段から右カラム最下段に向かって、それぞれ配列番号30ないし51)の二次構造を示す。 図4は、PK-0051及びその連続する3塩基対置換変異体(左カラム第2段から右カラム最下段に向かって、それぞれ配列番号52ないし72)の二次構造を示す。
 本明細書で使用する用語は、特に言及しない限り、当該技術分野で通常用いられる意味で用いることができる。
1.本発明の一本鎖核酸分子
 本発明は、下記のヌクレオチド配列:
5’-AGCAGAGUACACACAGCAUAUACC-P-GGUAUAUGCUGUGUGUACUCUGCUUC-P-G-3’(配列番号1)
 (該配列中は、Pは下記式(I)で表されるプロリン誘導体リンカーを示す)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
で表される一本鎖核酸分子(PK-0051)の欠失及び/又は置換変異体(本明細書において、「本発明の一本鎖核酸分子」と総称する場合がある。)を提供する。
 本発明の一本鎖核酸分子のもととなるPK-0051は、上記ヌクレオチド配列中、下線を付した配列を、ヒトTGF-β1 mRNAと相補的なヌクレオチド配列として有しており、該ヌクレオチド配列を介して該mRNAと結合してRNA干渉作用を発揮することにより、TGF-β1遺伝子の発現を抑制すると考えられる。PK-0051は、該TGF-β1 mRNAに相補的な配列(以下、「TGF-β1発現抑制配列」ともいう。)を含むガイド鎖と、該ガイド鎖配列と相補的なヌクレオチド配列からなる鎖(パッセンジャー鎖)とを含み、該ガイド鎖配列と該パッセンジャー鎖配列との間でワトソン-クリック塩基対を形成することにより、下記式で表される二次構造をとることができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
(下線部は標的TGF-β1 mRNAに相補的な配列を示す。)
 TGF-β1発現抑制配列及びそれと相補的な配列は、3’末端にそれぞれUU及びUAオーバーハングを有し、ガイド鎖及びパッセンジャー鎖は他方の鎖のオーバーハングと相補的な配列を含む(但し、ガイド鎖のUUオーバーハングの3’末端側のU(配列番号1の49番目のU)に対合するヌクレオチドは存在しない)。また、ガイド鎖は、TGF-β1発現抑制配列の5’末端側に2ヌクレオチドの付加配列(GG)を含み、パッセンジャー鎖は該付加配列と相補的な配列(CC)を含む。
 本発明の一本鎖核酸分子は、PK-0051のガイド鎖のTGF-β1発現抑制配列とその3’-オーバーハング(UU)、並びにTGF-β1発現抑制配列の5’末端側に位置するパッセンジャー鎖の3’-オーバーハングに相補的な配列(UA)からなる配列(下記式の二重下線部)と、パッセンジャー鎖のTGF-β1発現抑制配列に相補的な配列とその3’オーバーハング(UA)、並びに該相補鎖配列の5’末端側に位置するガイド鎖の3’-オーバーハングに相補的な配列(-A(「-」はヌクレオチドが存在しないことを意味する))からなる配列(下記式(A)の下線部)との間で形成される分子内塩基対(上記二次構造における四角で囲んだ領域)のうちの1以上の塩基対が欠失及び/又は他の塩基対で置換されたものである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
(該配列中、「P」は上記と同義である。)
 即ち、本発明の一本鎖核酸分子は、上記式(A)で表されるヌクレオチド配列からなり、下線部と二重下線部のヌクレオチド配列との間でワトソン-クリック塩基対を形成し得る(但し、49番目のUには対合する塩基がない)一本鎖核酸分子において、該ワトソン-クリック塩基対のうち1ないし4個の塩基対を欠失する、及び/又は、1ないし3個の塩基対が他の塩基対で置換されている(49番目のUが他の塩基に置換されている場合を含む)、一本鎖核酸分子である。本発明の一本鎖核酸分子は、塩基対の欠失のみを有していてもよいし、塩基対の他の塩基対による置換のみを有していてもよい。また、塩基対の欠失及び置換の両方を有していてもよい。
 本発明の一本鎖核酸分子が塩基対の欠失を有する場合、欠失する塩基対の数は、1ないし4個のうちから適宜選択することができるが、好ましくは1ないし3個である。欠失する塩基対の位置は、前記ワトソン-クリック塩基対の領域内であれば特に制限されない。本発明の一本鎖核酸分子が2以上の塩基対を欠失する場合、各塩基対は連続していてもよいし、連続していなくてもよい。好ましい一実施態様においては、本発明の一本鎖核酸分子は、連続する塩基対を欠失する。
 好ましい実施態様において、本発明の一本鎖核酸分子は、上記式(A)の下線部のヌクレオチド配列の5’末端から連続する1ないし4個、好ましくは1ないし3個、より好ましくは1又は2個のヌクレオチドと、それに対合する二重下線部のヌクレオチドとからなる塩基対を欠失する。より具体的には、本発明の一本鎖核酸分子の好ましい例として、配列番号2~5のいずれか、好ましくは配列番号2~4のいずれか、より好ましくは配列番号2又は3で表されるヌクレオチド配列からなる一本鎖核酸分子を挙げることができる(表1)。これらの一本鎖核酸分子のとり得る二次構造を図1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
 本発明の一本鎖核酸分子が塩基対の置換を有する場合、置換される塩基対の数は、1ないし3個のうちから適宜選択することができる。好ましい一実施態様においては、置換される塩基対の数は1個である。置換される塩基対の位置は、前記ワトソン-クリック塩基対の領域内であれば特に制限されない。尚、配列番号1の49番目のUが他の塩基で置換されている場合、塩基対の置換として算入することとする。本発明の一本鎖核酸分子が2以上の塩基対の置換を有する場合、各塩基対は連続していてもよいし、連続していなくてもよい。好ましい一実施態様においては、本発明の一本鎖核酸分子は、連続する塩基対が他の塩基対で置換されている。
 置換の様式は特に限定されず、例えば、A-U塩基対であれば、U-A塩基対(UはTに置き換えてもよい。以下同様)、G-C塩基対、C-G塩基対等で置換することができる。あるいはU-G/G-U塩基対で置換することもできる。また、例えば、G-C塩基対であれば、C-G塩基対、A-U塩基対、U-A塩基対等で置換することができる。あるいはU-G塩基対で置換することもできる。好ましい一実施態様において、本発明の一本鎖核酸分子は、A-U塩基対がU-A塩基対で、及び/又は、G-C塩基対がC-G塩基対で置換されている。
 より具体的には、好ましい一実施態様として、配列番号7~29のいずれかで表されるヌクレオチド配列からなる、1塩基対置換を有する本発明の一本鎖核酸分子を挙げることができる(表2)。これらの一本鎖核酸分子のとり得る二次構造を図2に示す。図中、四角で囲んだ領域が変異した塩基対を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
 別の好ましい一実施態様として、配列番号30~51のいずれかで表されるヌクレオチド配列からなる、連続する2塩基対置換を有する本発明の一本鎖核酸分子を挙げることができる(表3)。これらの一本鎖核酸分子のとり得る二次構造を図3に示す。図中、四角で囲んだ領域が変異した塩基対を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
 さらに別の好ましい一実施態様として、配列番号52~72のいずれかで表されるヌクレオチド配列からなる、連続する3塩基対置換を有する本発明の一本鎖核酸分子を挙げることができる(表4)。これらの一本鎖核酸分子のとり得る二次構造を図4に示す。図中、四角で囲んだ領域が変異した塩基対を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000012
 後述の実施例において示されるように、上記式(A)の下線部のヌクレオチド配列の5’末端から10ないし12番目のヌクレオチドと、それに対合する二重下線部のヌクレオチドとからなる塩基対のいずれかを他の塩基対で置換すると、TGF-β1発現抑制活性を有するものの、他の位置での塩基対置換に比較すると、相対的に活性は低下する。従って、本発明の一本鎖核酸分子において、上記の連続する3塩基対は、置換又は欠失されず保存されていることが好ましい。
 本発明の一本鎖核酸分子のリンカー以外の構成単位としては、例えば、リボヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチドが挙げられる。これらのヌクレオチドは、修飾されていても(修飾されたヌクレオチド残基を「修飾ヌクレオチド残基」と称する場合がある)、非修飾であってもよい(非修飾のヌクレオチド残基を「非修飾ヌクレオチド残基」と称する場合がある)。
 本発明の核酸分子において、リンカー以外の領域の構成単位は、それぞれ、前記ヌクレオチド残基が好ましい。前記各領域は、例えば、下記(1)~(3)の残基で構成される。
(1)非修飾ヌクレオチド残基
(2)修飾ヌクレオチド残基
(3)非修飾ヌクレオチド残基および修飾ヌクレオチド残基
 本発明の一本鎖核酸分子は、例えば、前記ヌクレオチド残基のみから構成される分子、前記ヌクレオチド残基の他に前記非ヌクレオチド残基を含む分子等があげられる。本発明の核酸分子において、前記ヌクレオチド残基は、前述のように、例えば、前記非修飾ヌクレオチド残基のみでもよいし、前記修飾ヌクレオチド残基のみでもよいし、前記非修飾ヌクレオチド残基および前記修飾ヌクレオチド残基の両方でもよい。前記核酸分子が、前記非修飾ヌクレオチド残基と前記修飾ヌクレオチド残基を含む場合、前記修飾ヌクレオチド残基の個数は、特に制限されず、例えば、「1もしくは数個」であり、具体的には、例えば、1~5個、好ましくは1~4個、より好ましくは1~3個、最も好ましくは1または2個である。本発明の核酸分子が、前記非ヌクレオチド残基を含む場合、前記非ヌクレオチド残基の個数は、特に制限されず、例えば、「1もしくは数個」であり、具体的には、例えば、1~8個、1~6個、1~4個、1、2または3個である。
 前記核酸分子が、例えば、前記非修飾リボヌクレオチド残基の他に前記修飾リボヌクレオチド残基を含む場合、前記修飾リボヌクレオチド残基の個数は、特に制限されず、例えば、「1もしくは数個」であり、具体的には、例えば、1~5個、好ましくは1~4個、より好ましくは1~3個、最も好ましくは1または2個である。前記非修飾リボヌクレオチド残基に対する前記修飾リボヌクレオチド残基は、例えば、リボース残基がデオキシリボース残基に置換された前記デオキシリボヌクレオチド残基でもよい。前記核酸分子が、例えば、前記非修飾リボヌクレオチド残基の他に前記デオキシリボヌクレオチド残基を含む場合、前記デオキシリボヌクレオチド残基の個数は、特に制限されず、例えば、「1もしくは数個」であり、具体的には、例えば、1~5個、好ましくは1~4個、より好ましくは1~3個、最も好ましくは1または2個である。
 前記ヌクレオチド残基は、構成要素として、糖、塩基及びリン酸を含む。リボヌクレオチドは、糖としてリボース残基を有し、塩基として、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)及びウラシル(U)(チミン(T)に置き換えることもできる)を有し、デオキシリボヌクレオチド残基は、糖としてデオキシリボース残基を有し、塩基として、アデニン(dA)、グアニン(dG)、シトシン(dC)及びチミン(dT)(ウラシル(dU)に置き換えることもできる)を有する。以下では、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、チミンを有するヌクレオチドをそれぞれ、アデニンヌクレオチド、グアニンヌクレオチド、シトシンヌクレオチド、ウラシルヌクレオチド、チミンヌクレオチドと称する場合がある。
 前記非修飾ヌクレオチド残基は、前記各構成要素が、例えば、天然に存在するものと同一又は実質的に同一であり、好ましくは、人体において天然に存在するものと同一又は実質的に同一である。
 前記修飾ヌクレオチド残基は、例えば、前記非修飾ヌクレオチド残基の構成要素のいずれが修飾されてもよい。本発明において、「修飾」には、例えば、前記構成要素の置換、付加及び/又は欠失、前記構成要素における原子及び/又は官能基の置換、付加及び/又は欠失が挙げられる。前記修飾ヌクレオチド残基としては、例えば、天然に存在するヌクレオチド残基、人工的に修飾したヌクレオチド残基等が挙げられる。前記天然由来の修飾ヌクレオチド残基としては、例えば、リンバックら(Limbach et al., 1994, Summary:the modified nucleosides of RNA, Nucleic Acids Res.22:2183~2196)を参照できる。また、前記修飾ヌクレオチド残基としては、例えば、前記ヌクレオチドの代替物の残基が挙げられる。
 前記ヌクレオチド残基の修飾は、例えば、糖-リン酸骨格(該骨格には、塩基も含まれる)(以下、糖リン酸骨格)の修飾が挙げられる。
 前記糖リン酸骨格において、糖がリボースの場合、例えば、リボース残基を修飾できる。前記リボース残基は、例えば、2’位炭素を修飾でき、具体的には、例えば、2’位炭素に結合する水酸基をメチル基で修飾、あるいは該水酸基を水素又はフルオロ等のハロゲンに置換できる。また、前記2’位炭素の水酸基を水素に置換することで、リボース残基をデオキシリボースに置換できる。前記リボース残基は、例えば、立体異性体に置換でき、例えば、アラビノース残基に置換してもよい。以下では、前記のように糖の2’位炭素に結合する水酸基をメトキシ基で修飾した核酸を2'-O-メチル修飾核酸と称することがある。また、本発明において、「核酸」にはヌクレオチドなどの核酸モノマーが包含される。
 前記糖リン酸骨格は、例えば、非リボース残基(非デオキシリボース残基も包含されるものとする)及び/又は非リン酸を有する非リボースリン酸骨格に置換してもよく、このような置換も糖リン酸骨格の修飾に包含される。前記非リボースリン酸骨格は、例えば、前記糖リン酸骨格の非荷電体が挙げられる。前記非リボースリン酸骨格に置換された、前記ヌクレオチドの代替物は、例えば、モルホリノ、シクロブチル、ピロリジン等が挙げられる。前記代替物は、この他に、例えば、人工核酸が挙げられる。具体例として、例えば、PNA(ペプチド核酸)、架橋構造型人工核酸(BNA:Bridged Nucleic Acid)などが挙げられる。BNAとしては、例えば、ロックト人工核酸(LNA:Locked Nucleic Acid)、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA:2’-O,4’-C-Ethylenebridged Nucleic Acid)などが挙げられる。以下に、本発明に用いることができるLNA及びENAを含むBNAの具体的な構造(ヌクレオシド部分)を示す(国際公開第2016/006697号公報より引用)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
 式中、Rは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基を表す。好ましくは、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、フェニル基、またはベンジル基であり、より好ましくは、Rは、水素原子またはメチル基である。また、式中、Baseは塩基を表す。
 前記糖リン酸骨格において、例えば、リン酸基を修飾できる。前記糖リン酸骨格において、糖残基に最も隣接するリン酸基は、αリン酸基と呼ばれる。前記αリン酸基は、負に荷電し、その電荷は、糖残基に非結合の2つの酸素原子にわたって、均一に分布している。前記αリン酸基における4つの酸素原子のうち、ヌクレオチド残基間のホスホジエステル結合において、糖残基と非結合である2つの酸素原子は、以下、「非結合(non-linking)酸素」ともいう。他方、前記ヌクレオチド残基間のホスホジエステル結合において、糖残基と結合している2つの酸素原子は、以下、「結合(linking)酸素」という。前記αリン酸基は、例えば、非荷電となる修飾、又は、前記非結合酸素における電荷分布が非対称型となる修飾を行うことが好ましい。
 前記リン酸基は、例えば、前記非結合酸素を置換してもよい。前記酸素は、例えば、S(硫黄)、Se(セレン)、B(ホウ素)、C(炭素)、H(水素)、N(窒素)及びOR(Rは、アルキル基又はアリール基)のいずれかの原子で置換でき、好ましくは、Sで置換される。前記非結合酸素は、いずれか一方又は両方が置換されていてもよく、好ましくは、いずれか一方又は両方がSで置換される。より具体的には、前記修飾リン酸基として、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノホスフェートエステル、ホスホネート水素、ホスホロアミデート、アルキル又はアリールホスホネート、及びホスホトリエステル等が挙げられ、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートが好ましい。
 また、前記リン酸基はリン非含有のリンカーに置換してもよい。当該リンカーとしては、例えば、シロキサン、カーボネート、カルボキシメチル、カルバメート、アミド、チオエーテル、エチレンオキサイドリンカー、スルホネート、スルホンアミド、チオホルムアセタール、ホルムアセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンメチルイミノ、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾ、及びメチレンオキシメチルイミノなどが挙げられ、好ましくは、メチレンカルボニルアミノ基及びメチレンメチルイミノ基が挙げられる。あるいは、前記リン酸基は他のリン酸非含有のリンカーに置換してもよい。このようなリンカーとしては、例えば、“Med. Chem. Commun., 2014, 5, 1454-1471”に記載されたもの等が挙げられる。
 本発明の一本鎖核酸分子は、例えば、3’末端及び5’末端の少なくとも一方のヌクレオチド残基が修飾されてもよい。前記修飾は、例えば、3’末端及び5’末端のいずれか一方でもよいし、両方でもよい。前記修飾は、例えば、前述のとおりであり、好ましくは、末端のリン酸基に行うことが好ましい。前記リン酸基は、例えば、全体を修飾してもよいし、前記リン酸基における1つ以上の原子を修飾してもよい。前者の場合、例えば、リン酸基全体の置換でもよいし、欠失でもよい。
 前記末端のヌクレオチド残基の修飾は、例えば、他の分子の付加が挙げられる。前記他の分子としては、例えば、後述する標識物質や、保護基等の機能性分子が挙げられる。前記保護基としては、例えば、S(硫黄)、Si(ケイ素)、B(ホウ素)、エステル含有基等が挙げられる。前記標識物質等の機能性分子は、例えば、本発明の一本鎖核酸分子の検出等に利用できる。
 前記他の分子は、例えば、前記ヌクレオチド残基のリン酸基に付加してもよいし、スペーサーを介して、前記リン酸基又は前記糖残基に付加してもよい。前記スペーサーの末端原子は、例えば、前記リン酸基の前記結合酸素、又は、糖残基のO、N、SもしくはCに、付加又は置換できる。前記糖残基の結合部位は、例えば、3’位のCもしくは5’位のC、又はこれらに結合する原子が好ましい。前記スペーサーは、例えば、前記PNA等のヌクレオチド代替物の末端原子に、付加又は置換することもできる。
 前記スペーサーは、特に制限されず、例えば、-(CH2)n-、-(CH2)nN-、-(CH2)nO-、-(CH2)nS-、O(CH2CH2O)nCH2CH2OH、無塩基糖、アミド、カルボキシ、アミン、オキシアミン、オキシイミン、チオエーテル、ジスルフィド、チオ尿素、スルホンアミド、及びモルホリノ等、ならびに、ビオチン試薬及びフルオレセイン試薬等を含んでもよい。前記式において、nは、正の整数であり、n=3又は6が好ましい。
 前記末端に付加する分子は、これらの他に、例えば、色素、インターカレート剤(例えば、アクリジン)、架橋剤(例えば、ソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サッフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えば、EDTA)、親油性担体(例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コール酸、ジメトキシトリチル、又はフェノキサジン)及びペプチド複合体(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、リン酸、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG-40K)、MPEG、[MPEG]2、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射線標識マーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進剤(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン-イミダゾール複合体、テトラアザマクロ環のEu3+複合体)等が挙げられる。
 本発明の核酸分子は、前記5’末端が、例えば、リン酸基又はリン酸基アナログで修飾されてもよい。前記リン酸基は、例えば、5’一リン酸((HO)2(O)P-O-5’)、5’二リン酸((HO)2(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’)、5’三リン酸((HO)2(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’)、5’-グアノシンキャップ(7-メチル化又は非メチル化、7m-G-O-5’-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’)、5’-アデノシンキャップ(Appp)、任意の修飾又は非修飾ヌクレオチドキャップ構造(N-O-5’-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’)、5’一チオリン酸(ホスホロチオエート:(HO)2(S)P-O-5’)、5’一ジチオリン酸(ホスホロジチオエート:(HO)(HS)(S)P-O-5’)、5’-ホスホロチオール酸((HO)2(O)P-S-5’)、硫黄置換の一リン酸、二リン酸及び三リン酸(例えば、5’-α-チオ三リン酸、5’-γ-チオ三リン酸等)、5’-ホスホルアミデート((HO)2(O)P-NH-5’、(HO)(NH2)(O)P-O-5’)、5’-アルキルホスホン酸(例えば、RP(OH)(O)-O-5’、(OH)2(O)P-5’-CH2、Rはアルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル等))、5’-アルキルエーテルホスホン酸(例えば、RP(OH)(O)-O-5’、Rはアルキルエーテル(例えば、メトキシメチル、エトキシメチル等))等が挙げられる。
 前記ヌクレオチド残基において、前記塩基は、特に制限されず、例えば、天然の塩基でもよいし、非天然の塩基でもよい。前記塩基は、例えば、天然由来でもよいし、合成品でもよい。前記塩基として、例えば、一般的な塩基、その修飾アナログ、ユニバーサル塩基などが使用できる。
 前記塩基としては、例えば、アデニン及びグアニン等のプリン塩基、シトシン、ウラシル及びチミン等のピリミジン塩基が挙げられる。前記塩基としては、この他に、イノシン、チミン、キサンチン、ヒポキサンチン、ヌバラリン(nubularine)、イソグアニシン(isoguanisine)、ツベルシジン(tubercidine)等が挙げられる。前記塩基は、例えば、2-アミノアデニン、6-メチル化プリン等のアルキル誘導体;2-プロピル化プリン等のアルキル誘導体;5-ハロウラシル及び5-ハロシトシン;5-プロピニルウラシル及び5-プロピニルシトシン;6-アゾウラシル、6-アゾシトシン及び6-アゾチミン;5-ウラシル(プソイドウラシル)、4-チオウラシル、5-ハロウラシル、5-(2-アミノプロピル)ウラシル、5-アミノアリルウラシル;8-ハロ化、アミノ化、チオール化、チオアルキル化、ヒドロキシル化及び他の8-置換プリン;5-トリフルオロメチル化及び他の5-置換ピリミジン;7-メチルグアニン;5-置換ピリミジン;6-アザピリミジン;N-2、N-6、及びO-6置換プリン(2-アミノプロピルアデニンを含む);5-プロピニルウラシル及び5-プロピニルシトシン;ジヒドロウラシル;3-デアザ-5-アザシトシン;2-アミノプリン;5-アルキルウラシル;7-アルキルグアニン;5-アルキルシトシン;7-デアザアデニン;N6,N6-ジメチルアデニン;2,6-ジアミノプリン;5-アミノ-アリル-ウラシル;N3-メチルウラシル;置換1,2,4-トリアゾール;2-ピリジノン;5-ニトロインドール;3-ニトロピロール;5-メトキシウラシル;ウラシル-5-オキシ酢酸;5-メトキシカルボニルメチルウラシル;5-メチル-2-チオウラシル;5-メトキシカルボニルメチル-2-チオウラシル;5-メチルアミノメチル-2-チオウラシル;3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウラシル;3-メチルシトシン;5-メチルシトシン;N4-アセチルシトシン;2-チオシトシン;N6-メチルアデニン;N6-イソペンチルアデニン;2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン;N-メチルグアニン;O-アルキル化塩基等が挙げられる。また、プリン及びピリミジンは、例えば、米国特許第3,687,808号、「Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering」、858~859頁、クロシュビッツ ジェー アイ(Kroschwitz J.I.)編、John Wiley & Sons、1990、及びイングリッシュら(Englischら)、Angewandte Chemie、International Edition、1991、30巻、p.613に開示されるものが含まれる。ユニバーサル塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル及びチミンなどと塩基対を形成し得るヌクレオチド塩基類似体を意味する。前記ユニバーサル塩基としては、例えば、C-フェニル、C-ナフチル及び他の芳香族の誘導体、イノシン、アゾールカルボザミド(carbozamide)、ニトロアゾール誘導体(3-ニトロピロール、4-ニトロインドール、5-ニトロインドール、及び6-ニトロインドール等)(Loakes,2001,Nucleic Acids Res.29:2437)や、国際公開第2007/026485号公報に記載の塩基などが挙げられるが、これらに限定されない。
 前記修飾ヌクレオチド残基は、これらの他に、例えば、塩基を欠失する残基、すなわち、無塩基の糖リン酸骨格を含んでもよい。また、前記修飾ヌクレオチド残基は、例えば、国際公開第2004/080406号に記載された残基が使用できる。
 本発明の核酸分子の合成方法は、特に制限されず、従来公知の方法が採用できる。前記合成方法は、例えば、遺伝子工学的手法による合成法、化学合成法等があげられる。遺伝子工学的手法は、例えば、インビトロ転写合成法、ベクターを用いる方法、PCRカセットによる方法があげられる。前記ベクターは、特に制限されず、プラスミド等の非ウイルスベクター、ウイルスベクター等があげられる。前記化学合成法は、特に制限されず、例えば、ホスホロアミダイト法およびH-ホスホネート法等があげられる。前記化学合成法は、例えば、市販の自動核酸合成機を使用可能である。前記化学合成法は、一般に、アミダイトが使用される。前記アミダイトは、特に制限されず、市販のアミダイトとして、例えば、RNA Phosphoramidites(2’-O-TBDMSi、商品名、三千里製薬)、ACEアミダイト及びTOMアミダイト、CEEアミダイト、CEMアミダイト、TEMアミダイト等を用いることができる。
 発現ベクターを用いる場合、該発現ベクターは、本発明の一本鎖核酸分子をコードするDNAを含むことを特徴とする。本発明の発現ベクターは、前記DNAを含むことが特徴であり、その他の構成は、何ら制限されない。本発明の発現ベクターは、例えば、ベクターに発現可能なように前記DNAが挿入されている。前記DNAを挿入するベクターは、特に制限されず、例えば、一般的なベクターが使用でき、ウイルスベクターおよび非ウイルスベクター等があげられる。前記非ウイルスベクターは、例えば、プラスミドベクターがあげられる。
2.TGF-β1発現抑制剤
 本発明はまた、上記いずれかの本発明の一本鎖核酸分子を含有してなる、TGFβ-1発現抑制剤(以下、「本発明の発現抑制剤」ともいう。)を提供する。
 本発明の発現抑制剤は、前記本発明の核酸分子を含むことが特徴であり、その他の構成は、何ら制限されない。即ち、該核酸分子単独であってもよいし、使用目的に応じてそれぞれ許容される添加物をさらに含んでもよい。
 本発明によれば、例えば、前記TGF-β1遺伝子が存在する対象に投与することで、前記TGF-β1遺伝子の発現抑制を行うことができる。
 本発明の発現抑制剤は、例えば、前記TGF-β1遺伝子が原因となる疾患の患者に投与することで、前記遺伝子の発現を抑制し、前記疾患を治療できる。前記疾患は、例えば、前述の通りであって、急性肺傷害、間質性肺炎/肺線維症等があげられる。本発明において、「治療」は、前述のように、例えば、前記疾患の予防、疾患の改善、予後の改善の意味を含み、いずれでもよい。
 本発明の一本鎖核酸分子は単独で用いてよいし、あるいは医薬上許容される担体とともに、医薬組成物として製剤化してもよい。
 医薬上許容される担体としては、例えば、ショ糖、デンプン等の賦形剤、セルロース、メチルセルロース等の結合剤、デンプン、カルボキシメチルセルロース等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、エアロジル等の滑剤、クエン酸、メントール等の芳香剤、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の保存剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム等の安定剤、メチルセルロース、ポリビニルピロリド等の懸濁剤、界面活性剤等の分散剤、水、生理食塩水等の希釈剤、ベースワックス等が挙げられるが、それらに限定されるものではない。
 本発明の一本鎖核酸分子の標的細胞内への導入を促進するために、本発明の発現抑制剤は核酸導入用試薬をさらに含んでいてもよい。該核酸導入用試薬としては、アテロコラーゲン;リポソーム;ナノパーティクル;リポフェクチン、リプフェクタミン(lipofectamine)、DOGS(トランスフェクタム)、DOPE、DOTAP、DDAB、DHDEAB、HDEAB、ポリブレン、あるいはポリ(エチレンイミン)(PEI)等の陽イオン性脂質等を用いることができる。
 また、本発明の発現抑制剤は、本発明の一本鎖核酸分子がリポソームに封入されてなる医薬組成物であってもよい。リポソームは、1以上の脂質二重層により包囲された内相を有する微細閉鎖小胞であり、通常は水溶性物質を内相に、脂溶性物質を脂質二重層内に保持することができる。本明細書において「封入」という場合には、本発明の一本鎖核酸分子はリポソーム内相に保持されてもよいし、脂質二重層内に保持されてもよい。本発明に用いられるリポソームは単層膜であっても多層膜であってもよく、また、粒子径は、例えば10~1000nm、好ましくは50~300nmの範囲で適宜選択できる。標的組織への送達性を考慮すると、粒子径は、例えば200nm以下、好ましくは100nm以下であり得る。
 オリゴヌクレオチドのような水溶性化合物のリポソームへの封入法としては、リピドフィルム法(ボルテックス法)、逆相蒸発法、界面活性剤除去法、凍結融解法、リモートローディング法等が挙げられるが、これらに限定されず、任意の公知の方法を適宜選択することができる。
 本発明の発現抑制剤は、経口的に又は非経口的に、哺乳動物(例:ヒト、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ウマ、ブタ、ウシ、サル)に対して投与することが可能であるが、非経口的に投与するのが望ましい。
 非経口的な投与(例えば、皮下注射、筋肉注射、局所注入、腹腔内投与など)に好適な製剤としては、水性及び非水性の等張な無菌の注射液剤があり、これには抗酸化剤、緩衝液、制菌剤、等張化剤等が含まれていてもよい。また、水性及び非水性の無菌の懸濁液剤が挙げられ、これには懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、防腐剤等が含まれていてもよい。当該製剤は、アンプルやバイアルのように単位投与量あるいは複数回投与量ずつ容器に封入することができる。また、有効成分及び医薬上許容される担体を凍結乾燥し、使用直前に適当な無菌のビヒクルに溶解又は懸濁すればよい状態で保存することもできる。
 医薬組成物中の本発明の一本鎖核酸分子の含有量は、例えば、医薬組成物全体の約0.1ないし100重量%である。
 本発明の発現抑制剤の投与量は、投与の目的、投与方法、対象疾患の種類、重篤度、投与対象の状況(性別、年齢、体重など)によって異なるが、例えば、成人に全身投与する場合、通常、本発明の一本鎖核酸分子の一回投与量として2 nmol/kg以上50 nmol/kg以下、局所投与する場合、1 pmol/kg以上10 nmol/kg以下が望ましい。かかる量を、例えば1~6か月、好ましくは2~4か月、より好ましくは約3か月の間隔で投与することができる。
 以下、実施例等により、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1:一本鎖核酸分子の合成
 各一本鎖核酸分子を、ホスホロアミダイト法に基づき、核酸合成機(商品名ABI 3900 DNA Synthesizer、アプライドバイオシステムス)により3’側から5’側に向かって合成した。合成には、RNAアミダイトとしてEMMアミダイト(WO/2013/027843)を用いた。また、リンカー領域にはL-プロリンアミダイト(WO/2012/017919)を用いた。アミダイトの脱保護は、WO/2013/027843に記載の方法に従った。合成した一本鎖核酸分子は、HPLCにより精製した。精製した一本鎖核酸分子の分子量は、LC-ESIMS(SYNAPT G2、Waters)を用いて確認した。
 本発明の一本鎖核酸分子のリンカー領域には、下記L-プロリンアミダイト(以下、Pとする)を用いた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
試験例1(遺伝子発現量測定法)
 TGF-β1遺伝子発現量測定には、A549細胞(DSファーマバイオメディカル)を使用した。培地は、10%FBSを含むDMEM(Invitrogen)を使用した。培養条件は、37℃、5%CO下とした。
 まず、細胞を培地中で培養し、その細胞懸濁液を24穴プレートに400μLずつ、5×10細胞/ウェルとなるように分注した。さらに、ウェル中の細胞に、核酸分子をトランスフェクション試薬RNAiMAX(Invitrogen)を用いて、添付のプロトコールに従って、トランスフェクションした。具体的には、ウェルあたりの組成を以下のように設定しトランスフェクションを行った。下記組成において、(B)は、Opti-MEM(Invitrogen)、(C)は、核酸分子溶液であり、両者をあわせて98.5μL添加した。なお、各ウェルにおいて、核酸分子の終濃度は10nmol/Lとした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
 トランスフェクション後24時間培養した後、RNeasy Mini Kit(QIAGEN)を用い、添付のプロトコールに従って、RNAを回収した。次に、逆転写酵素(Transcriptor First Strand cDNA Synthesis Kit、Roche)を用い、添付のプロトコールに従って、RNAからcDNAを合成した。そして、以下に示すように、合成したcDNAを鋳型としてPCRを行い、TGF-β1遺伝子の発現量および内部標準であるGAPDH遺伝子の発現量を測定した。TGF-β1遺伝子の発現量は、GAPDH遺伝子の発現量により補正した。
 PCRには、試薬としてLightCycler480 SYBR Green I Master(Roche)、機器としてLight Cycler480 Instrument II(Roche)を用いた。TGF-β1遺伝子およびGAPDH遺伝子の増幅には、それぞれ、以下のプライマーセットを使用した。
TGF-β1遺伝子用プライマーセット
  5’-ttgtgcggcagtggttgagccg-3’ (配列番号73)
  5’-gaagcaggaaaggccggttcatgc-3’ (配列番号74)
GAPDH遺伝子用プライマーセット
  5’- ggagaaggctggggctcatttgc-3’ (配列番号75)
  5’-tggccaggggtgctaagcagttg-3’ (配列番号76)
 また、コントロールとして、トランスフェクションにおいて、RNA溶液を未添加とし、トランスフェクション試薬1.5μLと(B)とを合計100μL添加した以外は、同様にして処理した細胞についても、遺伝子発現量を測定した(mock)。
 補正後の各遺伝子の発現量について、コントロール(mock)の細胞における発現量を1として、各核酸分子を導入した細胞での発現量の相対値を求めた。結果を表5及び6に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000016
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000017
 本発明の一本鎖核酸分子によれば、TGF-β1遺伝子の発現抑制が可能である。このため、本発明は、TGF-β1遺伝子の発現が原因となる疾患、例えば、肺線維症および急性肺傷害等の治療に有効である。
本出願は日本で出願された特願2019-239911(出願日:2019年12月27日)を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。

Claims (14)

  1.  TGFβ-1の発現抑制活性を有する一本鎖核酸分子であって、下記式:
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    で表されるヌクレオチド配列(該配列中、Pは、下記式(I)で表されるプロリン誘導体リンカーを示す。)
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
    からなり、下線部と二重下線部のヌクレオチド配列との間でワトソン-クリック塩基対を形成し得る(但し、49番目のUには対合する塩基がない)一本鎖核酸分子において、1ないし4個の塩基対を欠失する、及び/又は、1ないし3個の塩基対が他の塩基対で置換されている(49番目のUが他の塩基に置換されている場合を含む)、一本鎖核酸分子。
  2.  塩基対の欠失のみを有する、請求項1に記載の一本鎖核酸分子。
  3.  1ないし3個の塩基対を欠失する、請求項1又は2に記載の一本鎖核酸分子。
  4.  連続する塩基対を欠失する、請求項1~3のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
  5.  下線部のヌクレオチド配列の5’末端から連続する1ないし3個のヌクレオチドと、それに対合する二重下線部のヌクレオチドとからなる塩基対を欠失する、請求項4に記載の一本鎖核酸分子。
  6.  配列番号2~5のいずれかで表されるヌクレオチド配列からなる、請求項2に記載の一本鎖核酸分子。
  7.  塩基対の他の塩基対への置換のみを有する、請求項1に記載の一本鎖核酸分子。
  8.  A-U塩基対がU-A塩基対で、及び/又は、G-C塩基対がC-G塩基対で置換されている、請求項1、3~5及び7のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
  9.  1個の塩基対が他の塩基対で置換されている、請求項1、3~5、7及び8のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
  10.  連続する塩基対が他の塩基対で置換されている、請求項1、3~5、7及び8のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
  11.  配列番号7~29のいずれかで表されるヌクレオチド配列からなる、請求項7に記載の一本鎖核酸分子。
  12.  下線部のヌクレオチド配列の5’末端から10ないし12番目のヌクレオチドと、それに対合する二重下線部のヌクレオチドとからなる塩基対が保存されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
  13.  請求項1~12のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子を含有してなる、TGFβ-1発現抑制剤。
  14.  肺線維症もしくは急性肺傷害の予防又は治療用である、請求項13に記載の剤。
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