WO2021090647A1 - 自動販売機 - Google Patents

Abstract

自動販売機は、通貨投入口から投入される通貨を受け入れる通貨受入部と、通貨の受け入れに基づいて商品を払い出す商品払出部と、通貨受入部および商品払出部の制御を行う制御部と、外部から入力される電力を変換して通貨受入部および制御部に供給する電力変換部と、を備え、制御部は、外部からの電力変換部への電力の入力が停電により停止された場合に、制御部への電力の供給が停止するまでの間に、通貨受入部による通貨の受け入れを停止する制御を行うように構成されている。

Description

自動販売機

　この発明は、自動販売機に関し、特に、通貨を受け入れる通貨受入部を備える自動販売機に関する。

　従来、通貨を受け入れる通貨受入部を備える自動販売機が開示されている。このような自動販売機は、特許第６０６５７７７号公報に開示されている。

　上記特許第６０６５７７７号公報には、硬貨（通貨）を受け入れる硬貨処理装置（通貨受入部）を備える自動販売機が開示されている。この特許第６０６５７７７号公報の硬貨処理装置は、電源からの電力の供給により動作するように構成されている。

特許第６０６５７７７号公報

　上記特許第６０６５７７７号公報に記載の自動販売機では、硬貨処理装置（通貨受入部）は、電源からの電力の供給により動作しているため、停電などにより電力の供給が停止した場合に、動作できなくなる。このため、硬貨処理装置への硬貨（通貨）の投入中に停電が発生した場合に、投入された硬貨が硬貨処理装置の途中に詰まったり、投入された硬貨が所定の収納位置に振り分けられなかったりする場合がある。このため、電力の供給が再開された場合に硬貨処理装置が正しく（適切に）動作しない場合がある。そこで、停電などにより自動販売機への電力の供給が停止した後、電力の供給が再開された場合に、通貨受入部が適切に動作する自動販売機が望まれている。

　この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の１つの目的は、停電などにより自動販売機への電力の供給が停止した後、電力の供給が再開された場合に、通貨受入部を適切に動作させることが可能な自動販売機を提供することである。

　上記目的を達成するために、この発明の一の局面による自動販売機は、通貨投入口から投入される通貨を受け入れる通貨受入部と、通貨の受け入れに基づいて商品を払い出す商品払出部と、通貨受入部および商品払出部の制御を行う制御部と、外部から入力される電力を変換して通貨受入部および制御部に供給する電力変換部と、を備え、制御部は、外部からの電力変換部への電力の入力が停電により停止された場合に、制御部への電力の供給が停止するまでの間に、通貨受入部による通貨の受け入れを停止する制御を行うように構成されている。

　この発明の一の局面による自動販売機では、上記のように、制御部を、外部からの電力変換部への電力の入力が停電により停止された場合に、制御部への電力の供給が停止するまでの間に、通貨受入部による通貨の受け入れを停止する制御を行うように構成する。これにより、電力変換部への電力の入力が停止されてから、電力変換部から制御部への電力の供給が停止するまでの間において、通貨受入部に電力が供給されている間に、通貨受入部への通貨の受け入れを停止させることができるので、通貨受入部の動作中に電力の供給が停止して動作が途中で停止されるのを抑制することができる。これにより、通貨受入部に投入された通貨が途中で詰まったり、投入された通貨が所定の収納位置に振り分けられなかったりするのを抑制することができる。その結果、停電などにより自動販売機への電力の供給が停止した後、電力の供給が再開された場合に、通貨受入部を適切に動作させることができる。

　上記一の局面による自動販売機において、好ましくは、電力変換部は、外部から交流電力が入力され、入力された交流電力を直流電力に変換して通貨受入部および制御部に供給するように構成されており、制御部は、電力変換部に入力される交流電力の電力値が所定値以下となったこと基づいて、電力変換部への電力の入力の停止を検知するように構成されている。このように構成すれば、電力変換部に供給される交流電力が停電などにより停止されるのを、直流電力が供給されて動作している制御部により迅速に検知することができる。これにより、制御部への直流電力の供給が停止されるまでの間に制御部による対応する制御を行うことができる。

　この場合、好ましくは、制御部は、電力変換部に入力する交流電力の値が不安定であることを検知した場合に、通貨受入部による通貨の受け入れを停止する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、電力変換部に入力する交流電力の値が不安定であり停電となるおそれがある場合に、通貨受入部による通貨の受け入れを迅速に停止することができるので、通貨受入部に投入された通貨が途中で詰まったり、投入された通貨が所定の収納位置に振り分けられなかったりするのを効果的に抑制することができる。

　上記電力変換部が入力された交流電力を直流電力に変換する構成の自動販売機において、好ましくは、制御部は、電力変換部に入力する交流電力の値が不安定であることを検知した場合に、通貨受入部により受入済および受入途中の通貨を返却する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、電力変換部に入力する交流電力の値が不安定であり停電となるおそれがある場合に、通貨受入部による受け入れた通貨を通貨受入部が動作できるうちに返却することができるので、その後の停電により通貨受入部が動作しなくなったとしても、受け入れた通貨が返却されずに通貨受入部に保持された状態となるのを抑制することができる。

　この場合、好ましくは、制御部は、電力変換部に入力する電力の値が不安定であることを検知した場合に、電力変換部に入力する電力の値が安定するまで、商品の販売を中止する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、電力変換部に入力する交流電力の値が不安定であり停電となるおそれがある場合に、商品の販売が中止されるので、商品の販売の途中において停電することに起因して商品が自動販売機の途中に詰まったりする不具合が発生するのを抑制することができる。

　上記制御部が通貨受入部により受入済および受入途中の通貨を返却する制御を行う構成の自動販売機において、好ましくは、制御部は、電力変換部に入力する電力の値が不安定であることを検知した後、電力変換部への電力の入力が停電により停止された場合に、通貨受入部により受入済の通貨の返却を停止する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、通貨受入部により受入済の通貨を返却する途中で停電により通貨受入部の動作が停止することに起因して通貨受入部に通貨が途中で詰まるのを抑制することができる。

　上記制御部が通貨受入部により受入済および受入途中の通貨を返却する制御を行う構成の自動販売機において、好ましくは、電力変換部は、電力変換部への電力の入力が停電により停止された場合に、通貨受入部により受入済の通貨を返却するための電力を貯留する電力貯留部を含む。このように構成すれば、停電により通貨受入部への電力の供給が停止した場合でも電力貯留部から通貨受入部に電力が供給されるので、停電した場合でも通貨受入部を動作させて受入済の通貨を返却することができる。

　上記一の局面による自動販売機において、好ましくは、電力変換部への電力の入力が停電により停止されたことの履歴、および、電力変換部に入力する電力の値が不安定であることの履歴を記憶する記憶部をさらに備える。このように構成すれば、停電および停電となる前の電力値が不安定であることの履歴を記録することにより、自動販売機をより安定して運転させるための電源環境を改善することができる。また、停電や電力が不安定であることに起因する商品や通貨の詰まりなどの情報を合わせて記憶すれば、停電や電力が不安定であることに起因する不具合の原因を推定することができる。

　上記一の局面による自動販売機において、好ましくは、制御部は、電力変換部に入力する電力の値が不安定であることを検知した場合に、照明、商品を冷却する冷却部および商品を加温する加温部のうち少なくとも１つに供給する電力を停止させるとともに、商品の販売を継続する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、電力変換部に入力する電力の値が不安定であり停電となるおそれがある場合に、照明、冷却部または加温部に供給する電力を停止することができるので、供給される電力の過負荷や負荷変動の発生を抑制することができる。これにより、電力の値が不安定な状態から停電となるリスクを低減させることができる。これにより、自動販売機を動作させて商品の販売を継続させることができるので、商品を購入したいユーザに対する販売機会が喪失されるのを抑制することができる。

　この場合、好ましくは、制御部は、商品を冷却する冷却部および商品を加温する加温部のうち少なくとも１つに供給する電力を停止させながら商品の販売を継続している場合に、商品の温度が適温の範囲でなくなった際に、商品が適温でないことを通知する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、適温の範囲外で商品が販売されていることを商品を購入するユーザに認識させることができる。

　上記制御部が照明、商品を冷却する冷却部および商品を加温する加温部のうち少なくとも１つに供給する電力を停止させるとともに、商品の販売を継続する制御を行う構成の自動販売機において、好ましくは、制御部は、照明に供給する電力を停止させながら商品の販売を継続している場合に、外部の照度が所定の値よりも小さくなった際に、照明に電力を供給して照明を点灯させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、暗すぎることに起因して、自動販売機の存在が認識されなかったり、商品を選択できなかったり、通貨を投入できなかったりすることを抑制することができる。

　本発明によれば、上記のように、停電などにより自動販売機への電力の供給が停止した後、電力の供給が再開された場合に、通貨受入部を適切に動作させることができる。

本発明の一実施形態による自動販売機を示した図である。 本発明の一実施形態による自動販売機の制御的な構成を示したブロック図である。 本発明の一実施形態による停電による電力の入力の停止を説明するための図である。 本発明の一実施形態による電力の入力が不安定な状態を説明するための図である。 本発明の一実施形態による自動販売機の主制御部および通貨受入部の第１通信例を説明するための図である。 本発明の一実施形態による自動販売機の主制御部および通貨受入部の第２通信例を説明するための図である。 本発明の一実施形態による自動販売機の主制御部および通貨受入部の第３通信例を説明するための図である。 本発明の一実施形態による自動販売機の販売中の表示例を示した図である。 本発明の一実施形態による自動販売機の常温販売中の表示例を示した図である。 本発明の一実施形態による自動販売機の主制御部による販売中止処理を説明するためのフローチャートである。 本発明の一実施形態による自動販売機の主制御部による給電制御処理を説明するためのフローチャートである。 本発明の一実施形態の変形例による自動販売機の構成を示したブロック図である。

　以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。

　図１～図９を参照して、本発明の一実施形態による自動販売機１００の構成について説明する。自動販売機１００は、飲料、食料、物品等の商品を販売するための機器である。

　図１に示すように、自動販売機１００は、商品選択部１１、商品取出口１２、通貨投入口１３、表示部１４、販売表示部１５、通貨返却口１６を備えている。

　商品選択部１１には、商品の見本と、ユーザ（自動販売機１００の利用者）が商品を選択するための複数の商品選択ボタン１１ａと、が設けられている。商品取出口１２は、ユーザが選択して購入した商品が搬出されるように構成されている。通貨投入口１３は、ユーザが商品を購入するための通貨（硬貨）を投入するための投入口である。

　表示部１４は、ユーザに対するメッセージや自動販売機１００の状態等が表示されるように構成されている。表示部１４は、液晶ディスプレイまたは有機ＥＬディスプレイを含んでいる。販売表示部１５は、商品を販売中であることを表示するように構成されている。販売表示部１５は、図８に示すように、冷却または加温された状態で販売されている場合に、「販売中」と表示するように構成されている。また、販売表示部１５は、図９に示すように、商品が常温で販売されている場合に、「常温販売中」と表示するように構成されている。販売表示部１５は、ＬＥＤなどの照明を含み、照明を点灯させることにより、「販売中」または「常温販売中」を表示させるように構成されている。

　通貨返却口１６は、投入された通貨を返却する場合、および、釣銭を返却する場合に、通貨が払い出されるように構成されている。

　図２に示すように、自動販売機１００は、主制御部１７と、本体スレーブ１８と、通貨受入部１９と、電力変換部２０と、電力測定部２１と、リモコン２２と、商品払出部２３と、照明２４と、冷却部２５と、加温部２６と、照度検知部２７と、温度検知部２８と、を備えている。なお、主制御部１７は、請求の範囲の「制御部」の一例である。

　主制御部１７は、自動販売機１００の各部を制御するように構成されている。主制御部１７は、本体スレーブ１８、通貨受入部１９、リモコン２２、表示部１４、商品選択部１１を制御するように構成されている。主制御部１７は、本体スレーブ１８を介して商品払出部２３、照明２４、冷却部２５および加温部２６を制御するように構成されている。主制御部１７は、ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ　Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ　Ｕｎｉｔ）１７ａと、ＲＯＭ（Ｒｅａｄ　Ｏｎｌｙ　Ｍｅｍｏｒｙ）およびＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ　Ａｃｃｅｓｓ　Ｍｅｍｏｒｙ）などの記憶部１７ｂと、時計１７ｃとを含んでいる。また、主制御部１７は、電力変換部２０により変換された電力が供給されて動作するように構成されている。

　本体スレーブ１８は、主制御部１７の制御に基づいて、商品払出部２３、照明２４、冷却部２５および加温部２６の制御を行うように構成されている。本体スレーブ１８は、ＣＰＵなどのプロセッサ、ＲＯＭおよびＲＡＭなどの記憶部を含んでいる。また、本体スレーブ１８は、電力変換部２０により変換された電力が供給されて動作するように構成されている。

　通貨受入部１９は、通貨投入口１３から投入される通貨（硬貨）を受け入れるように構成されている。また、通貨受入部１９は、投入された通貨を識別するとともに、識別した通貨（硬貨）を金種毎に収納するように構成されている。また、通貨受入部１９は、収納された通貨を通貨返却口１６に払い出すように構成されている。通貨受入部１９は、通貨を受け入れる場合は、通貨を識別して、識別した通貨を収納する。一方、通貨受入部１９は、通貨を受け入れない場合（受け入れを停止している場合）は、通貨投入口１３から投入された通貨をそのまま通貨返却口１６に払い出すように構成されている。

　電力変換部２０は、外部から入力される電力を変換して通貨受入部１９および主制御部１７に供給するように構成されている。また、電力変換部２０は、外部から入力される電力を変換して本体スレーブ１８、リモコン２２、表示部１４、商品選択部１１、商品払出部２３、照明２４に電力を供給するように構成されている。電力変換部２０は、外部から交流電力（ＡＣ電力）が入力され、入力された交流電力を直流電力（ＤＣ電力）に変換して通貨受入部１９および主制御部１７に供給するように構成されている。

　電力変換部２０は、交流電力を直流電力に変換するためのスイッチング素子２０ａと、キャパシタ２０ｂとを含んでいる。つまり、電力変換部２０に供給される交流電力が停止されてからも、キャパシタ２０ｂに貯められた電荷が直流電力として供給されるため、直流電力が停止されるまでに時間的な猶予がある。

　電力測定部２１は、外部から電力変換部２０に供給される交流電力の値を測定するように構成されている。電力測定部２１は、図３および図４に示すように、交流電力（ＡＣ電力）の電力が所定のしきい値以上である場合に、ＡＣ電源周波数に応じたパルス波形を生成する。パルス波形は、主制御部１７に送信される。主制御部１７は、図３に示すように、規定数以上のパルス欠けがある場合に、外部からのＡＣ電力が停止して停電となったと判定する。また、主制御部１７は、図４に示すように、規定数未満のパルス欠けがある場合に、外部からのＡＣ電力の出力が不安定であると判定する。

　リモコン２２は、自動販売機１００の設定を操作したり、売り上げを管理したりするために用いられる。リモコン２２は、自動販売機１００の外扉の内側に配置されている。リモコン２２は、自動販売機１００の管理者（商品を補充したり、通貨を回収したりする作業者）により、操作されるように構成されている。

　商品払出部２３は、通貨の受け入れに基づいて商品を払い出すように構成されている。商品払出部２３は、商品収納部を含み、ユーザの選択に応じて選択された商品を、商品取出口１２に払い出すように構成されている。

　照明２４は、自動販売機１００の商品選択部１１を照らすように構成されている。照明２４を点灯させることにより、商品選択部１１の商品見本を鮮明に見せることが可能である。照明２４は、ＬＥＤ素子を含んでいる。

　冷却部２５は、商品を冷却するように構成されている。冷却部２５は、冷媒を循環させて、自動販売機１００内を冷却させる冷凍サイクルを含んでいる。冷却部２５は、商品払出部２３に収納されている商品を冷却する。これにより、低温に冷やされた商品を販売することが可能である。冷却部２５は、外部から供給されるＡＣ電力により駆動するように構成されている。

　加温部２６は、商品を加温するように構成されている。加温部２６は、商品払出部２３に収納されている商品を加温する。これにより、高温に温められた商品を販売することが可能である。加温部２６は、外部から供給されるＡＣ電力により駆動するように構成されている。

　照度検知部２７は、外部の照度を検知するように構成されている。照度検知部２７は、外部の照度の検知結果を主制御部１７に送信するように構成されている。

　温度検知部２８は、商品払出部２３の商品収納部内の温度（商品の温度）を検知するように構成されている。温度検知部２８は、温度の検知結果を主制御部１７に送信するように構成されている。

　ここで、本実施形態では、主制御部１７は、外部からの電力変換部２０への電力の入力が停電により停止された場合に、主制御部１７への電力の供給が停止するまでの間に、通貨受入部１９による通貨の受け入れを停止する制御を行うように構成されている。また、主制御部１７は、電力変換部２０に入力される交流電力の電力値が所定値以下となったこと基づいて、電力変換部２０への電力の入力の停止を検知するように構成されている。図３に示す例では、時間ｔ１において、外部からのＡＣ電力に応じたパルスが欠ける。また、時間ｔ２において、規定数以上のパルス欠けを検知したことにより、主制御部１７は、電力変換部２０への電力の入力の停止（停電）を検知する。

　また、主制御部１７は、電力変換部２０に入力する交流電力の値が不安定であることを検知した場合に、通貨受入部１９による通貨の受け入れを停止する制御を行うように構成されている。図４に示す例では、時間ｔ１１において、外部からのＡＣ電力に応じたパルスが欠ける。また、時間ｔ１２において、規定数未満のパルス欠けを検知したことにより、主制御部１７は、電力変換部２０への交流電力の値が不安定であることを検知する。

　また、主制御部１７は、電力変換部２０に入力する交流電力の値が不安定であることを検知した場合に、通貨受入部１９により受入済および受入途中の通貨を返却する制御を行うように構成されている。この場合、通貨受入部１９は、受入済の通貨と同額の通貨を、収納されている通貨の中から払い出すように構成されている。

　また、主制御部１７は、電力変換部２０に入力する電力の値が不安定であることを検知した場合に、電力変換部２０に入力する電力の値が安定するまで、商品の販売を中止する制御を行うように構成されている。主制御部１７は、ＡＣ電力に応じたパルス欠けが無くなってから、数分（たとえば、５分程度）経過した場合に、電力の値が安定したと判断する。

　また、主制御部１７は、電力変換部２０に入力する電力の値が不安定であることを検知した後、電力変換部２０への電力の入力が停電により停止された場合に、通貨受入部１９により受入済の通貨の返却を停止する制御を行うように構成されている。

　また、記憶部１７ｂは、電力変換部２０への電力の入力が停電により停止されたことの履歴、および、電力変換部２０に入力する電力の値が不安定であることの履歴を記憶するように構成されている。主制御部１７は、記憶部１７ｂの履歴に基づいて、停電からの復帰後に所定の処理を実行する。たとえば、主制御部１７は、返却中の通貨を返却する処理を再開する。

　記憶部１７ｂは、フラッシュメモリやＥＥＰＲＯＭなどの不揮発性のメモリ、または、ＳＲＡＭなどの揮発性のメモリが用いられる。揮発性のメモリの場合、バッテリーを設けてバックアップする。記憶部１７ｂに記憶される履歴は、停電や電力の不安定が発生した日時、自動販売機１００の負荷状況（冷却中、加温中、照明ＯＮ／ＯＦＦ）を含む。自動販売機１００の管理者は、操作やメンテナンスの際に、停電や電圧不安定状態となった履歴が多数ある場合、電源の容量アップや、配電の不備の点検、周囲の電気機器のチェックなどを行い、自動販売機１００の電源の改善を検討する。

　記憶部１７ｂの記憶処理を時系列で説明する。まず、自動販売機１００へのＡＣ電力の値が低下すると、電力変換部２０から本体スレーブ１８に電力低下（パルス欠落）を伝達する。本体スレーブ１８は、主制御部１７にＡＣ電力が不安定（電力の値が低下）であることを通知する。主制御部１７は、時計１７ｃにより現在の時間を確認する。主制御部１７は、本体スレーブ１８に負荷可動状況を問い合わせる。本体スレーブ１８は、照明２４、冷却部２５、加温部２６などの負荷可動状況を確認する。本体スレーブ１８は、確認した負荷可動状況を主制御部１７に伝達する。主制御部１７は、記憶部１７ｂにＡＣ電力低下履歴を時間や負荷可動状況とともに書き込み記憶する。

　また、主制御部１７は、電力変換部２０に入力する電力の値が不安定であることを検知した場合に、照明２４、商品を冷却する冷却部２５および商品を加温する加温部２６のうち少なくとも１つに供給する電力を停止させるとともに、商品の販売を継続する制御を行うように構成されている。

　また、主制御部１７は、商品を冷却する冷却部２５および商品を加温する加温部２６のうち少なくとも１つに供給する電力を停止させながら商品の販売を継続している場合に、商品の温度が適温の範囲でなくなった際に、商品が適温でないことを通知する制御を行うように構成されている。具体的には、主制御部１７は、温度検知部２８により検知した温度に基づいて、商品の温度が適温の範囲でない場合に、図９に示すように、販売表示部１５に「常温販売中」を表示させる。ホットの商品であれば、適温の範囲より低い場合、コールドの商品であれば、適温の範囲より高い場合に、販売表示部１５に「常温販売中」が表示される。

　また、主制御部１７は、照明２４に供給する電力を停止させながら商品の販売を継続している場合に、外部の照度が所定の値よりも小さくなった際に、照明２４に電力を供給して照明２４を点灯させる制御を行うように構成されている。具体的には、主制御部１７は、照度検知部２７により検知した外部の照度に基づいて、商品の見本が判別不可能となる程度に暗い場合に、照明２４を点灯させる。

　図５～図７を参照して、主制御部１７および通貨受入部１９の通信例について説明する。

　図５に示す第１通信例では、主制御部１７と通貨受入部１９とは、シリアル通信制御を行う。通貨受入部１９は、主制御部１７の指示により動作する。たとえば、主制御部１７が通貨受入部１９に情報を要求した場合、通貨受入部１９が１００円を受け入れた場合に、通貨受入部１９は、１００の受入情報を主制御部１７に送信する。また、主制御部１７が停電を検知した場合、主制御部１７は、通貨受入部１９に、通貨受入禁止の指示を行う。通貨受入禁止の指示を受信した通貨受入部１９は、受入禁止処理を行う。そして、通貨受入部１９の動作が不可となる。その後、主制御部１７および通貨受入部１９への電力の供給が停止されて、自動販売機１００が停止する。

　図６に示す第２通信例では、停電という緊急事態に一刻も早く通貨の受け入れを禁止を行うために、通信を通貨受入禁止を伝達するための専用線により行う。具体的には、主制御部１７は、停電を検知すると、直ちに通貨受入部１９による通貨の受け入れを禁止させるために送信ラインの信号を「Ｌ」に切り替えて固定する。通貨受入部１９は、通常の通信において「０」が続く通信（たとえば、００ｈ）よりも長い時間「Ｌ」レベルの信号を受信した場合、「緊急受付禁止」と判断して、通貨受入を禁止する処理を行う。たとえば、通信速度が４８００ＢＰＳの場合、００ｈデータ（０が１０ビット継続）は、２ｍｓ程度である。この場合、通貨受入部１９は、５ｍｓ程度Ｌレベルが継続した場合、通貨の受け入れを禁止する。

　図７に示す第３通信例では、主制御部１７や通貨受入部１９の回路上の制約により、シリアル通信ポートが一般的なポートに切り替え使用できない場合は、一般ポートと通信を併用する回路構成としている。

　図１０を参照して、主制御部１７による販売中止処理について説明する。

　図１０のステップＳ１において、電力の不安定が検知されたか否かが判断される。電力の不安定が検知されなければ、ステップＳ１の判断を繰り返す。電力の不安定が検知されれば、ステップＳ２に進む。ステップＳ２において、商品が払出中か否かが判断される。商品が払出中であれば、ステップＳ３に進み、商品が払出中でなければ、ステップＳ５に進む。

　ステップＳ３において、商品払出の動作が継続される。ステップＳ４において、商品の払出が終了したか否かが判断される。商品の払出が終了すれば、ステップＳ１１に進み、商品の払出が終了していなければ、ステップＳ３に戻る。

　ステップＳ５において、釣銭が返却中か否かが判断される。釣銭が返却中であれば、ステップＳ８に進み、釣銭が返却中でなければ、ステップＳ６に進む。ステップＳ６において、投入金があるか否かが判断される。投入金があれば、ステップＳ７に進み、投入金がなければ、ステップＳ１０に進む。

　ステップＳ７において、通貨の返却が開始される。ステップＳ８において、通貨の返却が終了したか否かが判断される。通貨の返却が終了していれば、ステップＳ１０に進み、通貨の返却が終了していなければ、ステップＳ９に進む。

　ステップＳ９において、停電を検知したか否かが判断される。停電を検知すれば、ステップＳ１０に進み、停電を検知しなければ、ステップＳ８に戻る。ステップＳ１０において、通貨の返却が停止（中断）される。

　ステップＳ１１において、商品の販売が中止される。ステップＳ１２において、電源が回復したか否かが判断される。電源が回復しなければ、ステップＳ１２に戻り、電源が回復すれば、ステップＳ１３に進む。

　ステップＳ１３において、所定の時間Ｎ分（たとえば、５分）以上経過したか否かが判断される。Ｎ分経過すれば、ステップＳ１４に進み、Ｎ分経過しなければ、ステップＳ１２に戻る。ステップＳ１４において、商品の販売を再開する。その後、ステップＳ１に戻る。

　図１１を参照して、主制御部１７による給電制御処理について説明する。

　図１１のステップＳ２１において、電力の不安定が検知されたか否かが判断される。電力の不安定が検知されなければ、ステップＳ２１の判断を繰り返す。電力の不安定が検知されれば、ステップＳ２２に進む。ステップＳ２２において、冷却部２５および加温部２６への電力の供給が停止される。

　ステップＳ２３において、商品の温度が適温の範囲か否かが判断される。適温の範囲であれば、ステップＳ２４に進み、適温の範囲外であれば、ステップＳ２５に進む。ステップＳ２４において、販売表示部１５に「販売中」が表示される。ステップＳ２５において、販売表示部１５に「常温販売中」が表示される。

　ステップＳ２６において、周囲が明るいか否かが判断される。周囲が明るければ、ステップＳ２７に進み、周囲が暗ければ、ステップＳ２８に進む。ステップＳ２７において、照明２４が消灯される。ステップＳ２８において、照明２４が点灯される。

　ステップＳ２９において、電源が回復したか否かが判断される。電源が回復しなければ、ステップＳ２３に戻り、電源が回復すれば、ステップＳ３０に進む。ステップＳ３０において、所定の時間Ｎ分（たとえば、５分）以上経過したか否かが判断される。Ｎ分経過すれば、ステップＳ３１に進み、Ｎ分経過しなければ、ステップＳ２３に戻る。ステップＳ３１において、商品の販売を再開する。その後、ステップＳ２１に戻る。

（本実施形態の効果）
　本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。

　本実施形態では、上記のように、主制御部１７を、外部からの電力変換部２０への電力の入力が停電により停止された場合に、主制御部１７への電力の供給が停止するまでの間に、通貨受入部１９による通貨の受け入れを停止する制御を行うように構成する。これにより、電力変換部２０への電力の入力が停止されてから、電力変換部２０から主制御部１７への電力の供給が停止するまでの間において、通貨受入部１９に電力が供給されている間に、通貨受入部１９への通貨の受け入れを停止させることができるので、通貨受入部１９の動作中に電力の供給が停止して動作が途中で停止されるのを抑制することができる。これにより、通貨受入部１９に投入された通貨が途中で詰まったり、投入された通貨が所定の収納位置に振り分けられなかったりするのを抑制することができる。その結果、停電などにより自動販売機１００への電力の供給が停止した後、電力の供給が再開された場合に、通貨受入部１９を適切に動作させることができる。

　また、本実施形態では、上記のように、電力変換部２０を、外部から交流電力が入力され、入力された交流電力を直流電力に変換して通貨受入部１９および主制御部１７に供給するように構成する。また、主制御部１７を、電力変換部２０に入力される交流電力の電力値が所定値以下となったこと基づいて、電力変換部２０への電力の入力の停止を検知するように構成する。これにより、電力変換部２０に供給される交流電力が停電などにより停止されるのを、直流電力が供給されて動作している主制御部１７により迅速に検知することができる。これにより、主制御部１７への直流電力の供給が停止されるまでの間に主制御部１７による対応する制御を行うことができる。

　また、本実施形態では、上記のように、主制御部１７を、電力変換部２０に入力する交流電力の値が不安定であることを検知した場合に、通貨受入部１９による通貨の受け入れを停止する制御を行うように構成する。これにより、電力変換部２０に入力する交流電力の値が不安定であり停電となるおそれがある場合に、通貨受入部１９による通貨の受け入れを迅速に停止することができるので、通貨受入部１９に投入された通貨が途中で詰まったり、投入された通貨が所定の収納位置に振り分けられなかったりするのを効果的に抑制することができる。

　また、本実施形態では、上記のように、主制御部１７を、電力変換部２０に入力する交流電力の値が不安定であることを検知した場合に、通貨受入部１９により受入済および受入途中の通貨を返却する制御を行うように構成する。これにより、電力変換部２０に入力する交流電力の値が不安定であり停電となるおそれがある場合に、通貨受入部１９による受け入れた通貨を通貨受入部１９が動作できるうちに返却することができるので、その後の停電により通貨受入部１９が動作しなくなったとしても、受け入れた通貨が返却されずに通貨受入部１９に保持された状態となるのを抑制することができる。

　また、本実施形態では、上記のように、主制御部１７を、電力変換部２０に入力する電力の値が不安定であることを検知した場合に、電力変換部２０に入力する電力の値が安定するまで、商品の販売を中止する制御を行うように構成する。これにより、電力変換部２０に入力する交流電力の値が不安定であり停電となるおそれがある場合に、商品の販売が中止されるので、商品の販売の途中において停電することに起因して商品が自動販売機１００の途中に詰まったりする不具合が発生するのを抑制することができる。

　また、本実施形態では、上記のように、主制御部１７を、電力変換部２０に入力する電力の値が不安定であることを検知した後、電力変換部２０への電力の入力が停電により停止された場合に、通貨受入部１９により受入済の通貨の返却を停止する制御を行うように構成する。これにより、通貨受入部１９により受入済の通貨を返却する途中で停電により通貨受入部１９の動作が停止することに起因して通貨受入部１９に通貨が途中で詰まるのを抑制することができる。

　また、本実施形態では、上記のように、電力変換部２０への電力の入力が停電により停止されたことの履歴、および、電力変換部２０に入力する電力の値が不安定であることの履歴を記憶する記憶部１７ｂを設ける。これにより、停電および停電となる前の電力値が不安定であることの履歴を記録することにより、自動販売機１００をより安定して運転させるための電源環境を改善することができる。また、停電や電力が不安定であることに起因する商品や通貨の詰まりなどの情報を合わせて記憶すれば、停電や電力が不安定であることに起因する不具合の原因を推定することができる。

　また、本実施形態では、上記のように、主制御部１７を、電力変換部２０に入力する電力の値が不安定であることを検知した場合に、照明２４、商品を冷却する冷却部２５および商品を加温する加温部２６のうち少なくとも１つに供給する電力を停止させるとともに、商品の販売を継続する制御を行うように構成する。これにより、電力変換部２０に入力する電力の値が不安定であり停電となるおそれがある場合に、照明２４、冷却部２５または加温部２６に供給する電力を停止することができるので、供給される電力の過負荷や負荷変動の発生を抑制することができる。これにより、電力の値が不安定な状態から停電となるリスクを低減させることができる。これにより、自動販売機１００を動作させて商品の販売を継続させることができるので、商品を購入したいユーザに対する販売機会が喪失されるのを抑制することができる。

　また、本実施形態では、上記のように、主制御部１７を、商品を冷却する冷却部２５および商品を加温する加温部２６のうち少なくとも１つに供給する電力を停止させながら商品の販売を継続している場合に、商品の温度が適温の範囲でなくなった際に、商品が適温でないことを通知する制御を行うように構成する。これにより、適温の範囲外で商品が販売されていることを商品を購入するユーザに認識させることができる。

　また、本実施形態では、上記のように、主制御部１７を、照明２４に供給する電力を停止させながら商品の販売を継続している場合に、外部の照度が所定の値よりも小さくなった際に、照明２４に電力を供給して照明２４を点灯させる制御を行うように構成する。これにより、暗すぎることに起因して、自動販売機１００の存在が認識されなかったり、商品を選択できなかったり、通貨を投入できなかったりすることを抑制することができる。

（変形例）
　今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更（変形例）が含まれる。

　たとえば、上記実施形態では、通貨受入部１９が通貨としての硬貨を受け入れる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、通貨受入部は、通貨としての紙幣を受け入れてもよい。

　また、図１２に示す変形例のように、上記実施形態の構成に加えて、電力変換部に２０に、電力変換部２０への電力の入力が停電により停止された場合に、通貨受入部１９により受入済の通貨を返却するための電力を貯留する電力貯留部２０ｃを設けてもよい。電力貯留部２０ｃは、スーパーキャパシタにより構成してもよい。これにより、停電により通貨受入部１９への電力の供給が停止した場合でも電力貯留部２０ｃから通貨受入部１９に電力が供給されるので、停電した場合でも通貨受入部１９を動作させて受入済の通貨を返却することができる。

　また、上記実施形態では、電力変換部により交流電力を直流電力に変換する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電力変換部により交流電力の電圧を変換して交流電力にしてもよいし、直流電力の電圧を変換して直流電力にしてもよいし、直流電力を交流電力に変換してもよい。

　また、上記実施形態では、説明の便宜上、主制御部（制御部）の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型（イベントドリブン型）の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。

　１３　通貨投入口
　１７　主制御部（制御部）
　１７ｂ　記憶部
　１９　通貨受入部
　２０　電力変換部
　２０ｃ　電力貯留部
　２３　商品払出部
　２４　照明
　２５　冷却部
　２６　加温部
　１００　自動販売機

Claims (11)

1. 　通貨投入口から投入される通貨を受け入れる通貨受入部と、
   　通貨の受け入れに基づいて商品を払い出す商品払出部と、
   　前記通貨受入部および前記商品払出部の制御を行う制御部と、
   　外部から入力される電力を変換して前記通貨受入部および前記制御部に供給する電力変換部と、を備え、
   　前記制御部は、外部からの前記電力変換部への電力の入力が停電により停止された場合に、前記制御部への電力の供給が停止するまでの間に、前記通貨受入部による通貨の受け入れを停止する制御を行うように構成されている、自動販売機。
2. 　前記電力変換部は、外部から交流電力が入力され、入力された交流電力を直流電力に変換して前記通貨受入部および前記制御部に供給するように構成されており、
   　前記制御部は、前記電力変換部に入力される交流電力の電力値が所定値以下となったこと基づいて、前記電力変換部への電力の入力の停止を検知するように構成されている、請求項１に記載の自動販売機。
3. 　前記制御部は、前記電力変換部に入力する交流電力の値が不安定であることを検知した場合に、前記通貨受入部による通貨の受け入れを停止する制御を行うように構成されている、請求項２に記載の自動販売機。
4. 　前記制御部は、前記電力変換部に入力する交流電力の値が不安定であることを検知した場合に、前記通貨受入部により受入済および受入途中の通貨を返却する制御を行うように構成されている、請求項２または３に記載の自動販売機。
5. 　前記制御部は、前記電力変換部に入力する電力の値が不安定であることを検知した場合に、前記電力変換部に入力する電力の値が安定するまで、商品の販売を中止する制御を行うように構成されている、請求項４に記載の自動販売機。
6. 　前記制御部は、前記電力変換部に入力する電力の値が不安定であることを検知した後、前記電力変換部への電力の入力が停電により停止された場合に、前記通貨受入部により受入済の通貨の返却を停止する制御を行うように構成されている、請求項４または５に記載の自動販売機。
7. 　前記電力変換部は、前記電力変換部への電力の入力が停電により停止された場合に、前記通貨受入部により受入済の通貨を返却するための電力を貯留する電力貯留部を含む、請求項４または５に記載の自動販売機。
8. 　前記電力変換部への電力の入力が停電により停止されたことの履歴、および、前記電力変換部に入力する電力の値が不安定であることの履歴を記憶する記憶部をさらに備える、請求項１～７のいずれか１項に記載の自動販売機。
9. 　前記制御部は、前記電力変換部に入力する電力の値が不安定であることを検知した場合に、照明、商品を冷却する冷却部および商品を加温する加温部のうち少なくとも１つに供給する電力を停止させるとともに、商品の販売を継続する制御を行うように構成されている、請求項１～８のいずれか１項に記載の自動販売機。
10. 　前記制御部は、商品を冷却する前記冷却部および商品を加温する前記加温部のうち少なくとも１つに供給する電力を停止させながら商品の販売を継続している場合に、商品の温度が適温の範囲でなくなった際に、商品が適温でないことを通知する制御を行うように構成されている、請求項９に記載の自動販売機。
11. 　前記制御部は、前記照明に供給する電力を停止させながら商品の販売を継続している場合に、外部の照度が所定の値よりも小さくなった際に、前記照明に電力を供給して前記照明を点灯させる制御を行うように構成されている、請求項９または１０に記載の自動販売機。

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