WO2020241841A1

WO2020241841A1 - 車両用内装品の回転装置および車両用シートの回転装置

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Publication number: WO2020241841A1
Application number: PCT/JP2020/021399
Authority: WO
Inventors: 治希望月; 晃三好; 卓治金田; 阿部　浩久
Original assignee: テイ・エステック株式会社
Priority date: 2019-05-31
Filing date: 2020-05-29
Publication date: 2020-12-03
Also published as: EP3978308A1; EP3978308A4; CN116985682A; EP4335692A2; CN113891817A; EP4335692A3; US20220227264A1; US20230365032A1

Abstract

回転支持部を有するベース部材側に係止手段が設けられ、車両用内装品を支持するとともに回転転支持部で回転自在に支持される回転部材側に、係止手段に係合して回転部材の前記ベース部材からの剥離を抑制する状態ならびに回転部材が回転可能状態となったときには係止手段との係合を解除する状態を切り替え可能とした係合手段が設けられる車両用内装品の回転装置において、係止手段（６２）および係合手段（６３）が、少なくとも回転部材（２３）が非回転状態にあるときの平面視で回転部材（２３）よりも外側に配置される。これにより、車両用内装品の非回転時の剥離を抑止しつつ高さが増大するのを抑えることができる。

Description

車両用内装品の回転装置および車両用シートの回転装置

　本発明は、回転支持部を有するベース部材と、車両用内装品を支持するとともに前記回転転支持部で回転自在に支持されて前記ベース部材の上方に配置される回転部材と、前記回転部材の回転可能状態および回転不能状態を切り替え可能な回転ロック手段と、前記ベース部材側に設けられる係止手段と、前記回転部材の非回転状態で前記係止手段に係合して前記回転部材の前記ベース部材からの剥離を抑制する状態ならびに前記回転部材が回転可能状態となったときには前記係止手段との係合を解除する状態を切り替え可能として前記回転部材側に設けられる係合手段とを備える車両用内装品の回転装置、ならびに車両用内装品を車両用シートとした車両用シートの回転装置に関する。

　車両用内装品である車両用シートを支持する回転部材がベース部材で回転自在に支持され、回転部材の非回転時には回転部材側のロックピンをベース部材側のロック孔に係合することで車両用シートの回転を規制するとともに車両用シートに大きな負荷が作用したときの車両用シートの剥離を抑制し、回転部材すなわち車両用シートを回転させるときにはロックピンをロック孔から離脱させることで剥離抑制を解除するとともに車両用シートの回転を可能とした車両用シートの回転装置が、特許文献１で知られている。

日本特開平０５－３３０３７１号公報日本特開２０１０－１７３４９１号公報日本特開２００４－１２３０４４号公報

＜第１の課題＞
　ところで車両用シートに近年要求される要素の増加に伴い車両用シートの小型化が求められているが、上記特許文献１で開示されるように剥離抑制手段を備えるものでは、その剥離抑制手段の分だけ高さが高くなりがちであり、剥離抑制手段を備えていたとしても、車両用シート等の車両内装品の回転装置が高くなってしまわないように構成すること、即ち第１の課題を解決することが望まれている。

　本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、車両用シート等の車両用内装品の非回転時の剥離を抑止しつつ高さが増大するのを抑え得るようにして、第１の課題を解決可能とした車両用内装品の回転装置、ならびに車両用内装品が車両用シートであるときの車両用シートの回転装置を提供することを第１の目的とする。

＜第２の課題＞
　また、シートクッションを支持するシートクッションフレームが取付けられる回転部材ならびに当該回転部材を下方から回転可能に支持するベース部材を有し、フロアに対してシートを回転可能とするための回転機構を備える車両用シート装置は、特許文献２等で知られている。

　ところでシートクッションの下方に配置される回転機構の作動を円滑化するために、回転機構内への異物の侵入は極力抑制されるべきであるが、特許文献２には、回転機構内への異物の侵入を抑制する、といった第２の課題を解決した構造は開示されていない。

　本発明は、回転機構内への異物の侵入を抑制して第２の課題を解決可能とした車両用シート装置を提供することを第２の目的とする。

＜第３の課題＞
　また、シートクッションを支持するシートクッションフレームと、そのシートクッションフレームを支持する回転部材ならびにその回転部材を下方から回転可能に支持するベース部材を有してシートクッションフレームの下方に配置される回転機構と、電気機器と、その電気機器の作動を制御するＥＣＵとを備える車両用シート装置において、上記回転部材が、電動モータの作動に応じて回転することを可能としてベース部材で支持されるようにした車両用シート装置は、たとえば特許文献３等で知られている。

　ところで電動モータ等の電気機器を備える車両用シート装置においては、その電気機器の作動を制御するＥＣＵの配置スペースを確保するために、シートクッションが高くなるのは回避したい、といった第３の課題がある。

　本発明は、ＥＣＵの配置によってもシートクッションの位置が高くなるのを避け得るようにして、第３の課題を解決可能とした車両用シート装置を提供することを第３の目的とする。

＜第４の課題＞
　また、シート本体を支持するシートフレームと、シートフレームを支持する回転部材と、その回転部材を回転可能に支持するベース部材と、前記回転部材を回転駆動する電動モータ等の電装品とを備える車両用回転シート装置は、たとえば特許文献３等で知られている。

　このような車両用回転シート装置では、シートフレーム側に電装品が取付けられることが多いが、シート本体およびシートフレームの回転時に、電装品に連なる電線に撓みが生じたり、無理な負荷がかかって損傷が生じたりすることは回避したい、といった第４の課題がある。

　本発明は、シート本体の回転時に電装品に連なる電線に撓みが生じたり、損傷が生じたりすることを回避し得るようにして、第４の課題を解決可能とした車両用シート回転装置を提供することを第４の目的とする。

＜第１の課題の解決手段及び効果＞
　上記第１の目的を達成するために、本発明は、回転支持部を有するベース部材と、車両用内装品を支持するとともに前記回転支持部で回転自在に支持されて前記ベース部材の上方に配置される回転部材と、前記回転部材の回転可能状態および回転不能状態を切り替え可能な回転ロック手段と、前記ベース部材側に設けられる係止手段と、前記回転部材の非回転状態で前記係止手段に係合して前記回転部材の前記ベース部材からの剥離を抑制する状態ならびに前記回転部材が回転可能状態となったときには前記係止手段との係合を解除する状態を切り替え可能として前記回転部材側に設けられる係合手段とを備える車両用内装品の回転装置において、前記係止手段および前記係合手段が、少なくとも前記回転部材が非回転状態にあるときの平面視で前記回転部材よりも外側に配置されることを第１の特徴とする。この第１の特徴によれば、係止手段および係合手段が、回転部材の少なくとも非回転時には、平面視で回転部材よりも外側に配置されるので、高さ方向で前記係止手段および前記係合手段が前記回転部材と重なることはなく、係止手段および係合手段で回転部材の剥離を抑制しつつ回転装置を高さ方向でコンパクトに構成することができる。

　また本発明は、第１の特徴の構成に加えて、前記係合手段が、当該係合手段の少なくとも一部を側面視で前記回転部材と重ねる位置に配置されることを第２の特徴とする。この第２の特徴によれば、係合手段の少なくとも一部が側面視で回転部材に重なるので、係合手段の配置による回転装置の高さ増大を抑制することができる。

　本発明は、第１または第２の特徴の構成に加えて、前記係止手段が、車両フロアに支持される前記ベース部材に当該係止手段の少なくとも一部を側面視で重ねる位置で前記ベース部材に固定されることを第３の特徴とする。この第３の特徴によれば、車両フロアに支持されるベース部材に係止手段が固定されることで、回転装置を車両フロアに組み付ける際に係止手段をベース部材に予め取付けておくことができ、組み付け作業性を高めることができるとともに、係止手段の配置による回転装置の高さ増大を抑制できる。

　本発明は、第１～第３の特徴の構成のいずれかに加えて、前記係合手段が、前記回転部材に直接もしくは間接に固定される軸支持部材と、当該軸支持部材で支持される軸部材と、回動可能として前記軸部材で軸支されるフック部材とを備え、前記係止手段が、前記フック部材を係合可能としたストライカと、当該ストライカを支持して前記ベース部材に直接もしくは間接に固定されるストライカ支持部材とを備え、前記フック部材が前記ストライカに係合する部位が平面視で前記軸支持部材の外側に設定されることを第４の特徴とする。この第４の特徴によれば、係合手段のフック部材と、係止手段のストライカとの係合部位が、回転部材に直接もしくは間接に固定される軸支持部材の平面視で外側に設定されるので、剥離荷重が作用する際の荷重をストライカで受けやすくすることができる。

　本発明は、第４の特徴の構成に加えて、前記ストライカが、側面視で前記回転部材の下端よりも下方に配置されることを第５の特徴とする。この第５の特徴によれば、ストライカが側面視で回転部材の下端よりも下方に在るので、回転装置の高さ増大を抑えつつ回転部材の回転時にストライカと干渉するのを防止することができる。

　本発明は、第４または第５の特徴の構成に加えて、前記軸支持部材が、前記軸部材が固定されつつ平面視で前記回転部材の外側に配置される軸支持壁部と、前記軸部材を相互間に挟む位置で前記軸支持壁部に連設されて前記回転部材側に延出される一対の延出壁部とを備え、それらの延出壁部が前記回転部材に直接もしくは間接に固定されることを第６の特徴とする。この第６の特徴によれば、軸部材を相互間に挟んで軸支持部の一部を構成する一対の延出壁部が回転部材に直接もしくは間接に固定されるので、回転部材に荷重が作用した際の軸支持部材の踏ん張り強度を高めることができる。

　本発明は、第１～第６の特徴の構成のいずれかに加えて、前記ベース部材を車両前後方向に移動可能とした移動手段を有し、前記係合手段が、平面視で前記移動手段を避けた位置に配置されることを第７の特徴とする。この第７の特徴によれば、車両用内装品を車両前後方向に移動可能とした移動手段を平面で避けた位置に係合手段が配置されるので、移動手段および係合手段が高さ方向で重ならないようにして、回転装置の高さ増大を抑制することができる。

　本発明は、第７の特徴の構成に加えて、前記係合手段が、平面視で前記移動手段の外側に配置されることを第８の特徴とする。この第８の特徴によれば、係合手段が平面視で移動手段の外側に在るので、回転装置のより外側寄りに係合手段が配置されることになり、車両内装品側からかかる荷重をベース部材のより外側で受けることができる。

　本発明は、第７または第８の特徴の構成に加えて、前記移動手段が、車両フロアおよび前記ベース部材間に配置され、前記係止手段は、平面視で前記移動手段よりも外側に配置されることを第９の特徴とする。この第９の特徴によれば、車両フロアおよびベース部材間に配置される移動手段の平面視で外側に係止手段が配置されるので、移動手段との干渉を回避して係止手段を配置しつつ、車両内装品側からかかる荷重をベース部材のより外側で受けることができる。

　本発明は、第４の特徴の構成に加えて、前記フック部材を前記ストライカに係合する方向に回動付勢する付勢部材が、前記軸支持部材および前記フック部材間に設けられることを第１０の特徴とする。この第１０の特徴によれば、フック部材が付勢部材でストライカに係合する方向に回動付勢されるので、フック部材のストライカとの係合状態を保持することができる。

　本発明は、第１～第１０の特徴の構成のいずれかに加えて、前記係止手段および前記係合手段が、車両前後方向に間隔をあけるとともに車幅方向から見た側面視で前記回転部材の前端よりも後方かつ後端よりも前方に配置されつつ、車幅方向で前記ベース部材および前記回転部材の両側の２箇所にそれぞれ配設されることを第１１の特徴とする。この第１１の特徴によれば、係合状態にある係止手段および係合手段が、車両前後方向に間隔をあけつつ車幅方向でベース部材および回転部材の両側の２箇所にそれぞれ配設されることによって、車両用内装品を１８０度回転した２つの姿勢で保持することを可能としつつ、回転部材の前端よりも後方かつ後端より前方に配置することで、係止手段および係合手段をコンパクトに配置することができる。

　本発明は、第１１の特徴の構成に加えて、車両前後方向に間隔をあけて配置される一対の前記係合手段が、それらの係合手段のフック部材の下端部を前記回転不能状態で相互に離反させる側への回動で、それらのフック部材が個別に係合していた前記ストライカとの係合を解除可能とした構造に構成されることを第１２の特徴とする。この第１２の特徴によれば、車両前後方向に間隔をあけた一対の係合手段が、それらのフック部材の下端部を回転部材の回転不能状態で相互に離反する側に回動することでストライカとの係合を解除するように構成されるので、回転不能状態でストライカとの係合を解除する際に、フック部材同士が相互に干渉することを防止することができる。

　本発明は、第１～第１２の特徴の構成のいずれかに記載の車両用内装品の回転装置の前記車両用内装品が、シートクッションと、そのシートクッションの上方に配置されるシートバックとを有する車両用シートである車両用シートの回転装置であって、前記係合手段が、当該係合手段の少なくとも上部を側面視で前記シートクッションに重ねる位置に配置されることを第１３の特徴とする。この第１３の特徴によれば、係合手段の少なくとも上部が車両用シートのシートクッションに側面視で重なるので、車両用シートの高さ増大を抑えることができる。

　本発明は、第１３の特徴の構成に加えて、前記シートクッションに対して傾動可能な前記シートバックの傾動を可能とする状態ならびにその傾動を規制する状態を切り替え操作するリクライニングレバーを備え、複数の前記係合手段のうち少なくとも１つである特定の係合手段の少なくとも一部が、側面視で前記リクライニングレバーと重なって配置されることを第１４の特徴とする。この第１４の特徴によれば、シートバックの傾動状態を切り替え操作するリクライニングレバーに、複数の係合手段のうち少なくとも１つである特定の係合手段の少なくとも一部が側面視で重なるので、リクライニングレバーを備える車両用シートの回転装置の高さ増大を抑制することができる。

　本発明は、第１４の特徴の構成に加えて、前記シートクッションを支持するシートクッションフレームは、相互に離間した位置に並んで直線状に延びる一対のサイドフレームと、それらのサイドフレームの両端部間を連結する一対の連結フレームとから成り、前記係合手段の少なくとも一部が側面視で前記サイドフレームに重なる位置に配置されることを第１５の特徴とする。この第１５の特徴によれば、シートクッションフレームの一部を構成する一対のサイドフレームに、係合手段の少なくとも一部が側面視で重なるので、車両用シートの回転装置の高さ増大を抑制することができる。

　さらに本発明は、第１４の特徴の構成に加えて、前記リクライニングレバーは、前記一対のサイドフレームのうち一方のサイドフレームの平面視で外側に配置され、前記特定の係合手段の少なくとも一部が、平面視で前記リクライニングレバーよりも外側に配置されることを第１６の特徴とする。この第１６の特徴によれば、一対のサイドフレームのうち一方のサイドフレームの平面視で外側に配置されるリクライニングレバーの外側に特定の係合手段の少なくとも一部が在るので、車両内装品側からかかる荷重をベース部材のより外側で受けることができる。

＜第２の課題の解決手段及び効果＞
　また、前記第２の目的を達成するために、本発明は、シートクッション（１１２，１７２）を支持するシートクッションフレーム（１１９）が取付けられる回転部材（１３０）ならびに当該回転部材（１３０）を下方から回転可能に支持するベース部材（１２９）を有する回転機構（１１７）を備える車両用シート装置において、前記回転部材（１３０）の上部外周の周方向に沿う少なくとも一部が、カバー（１６５，１７５，１７８）で外側方から覆われることを第１の特徴とする。この第１の特徴によれば、回転部材の上部外周の周方向に沿う少なくとも一部が外側方からカバーで覆われることにより、少なくともカバーで覆われている部位では異物が回転機構内に侵入することを抑制することができる。

　また本発明は、第１の特徴に加えて、前記カバー（１６５，１７５，１７８）が、前記シートクッション（１１２，１７２）に座った乗員が車両前後方向前向きとなる状態では、前記回転部材（１３０）の上部外周を後方から覆う位置に配置されることを第２の特徴とする。この第２の特徴によれば、シートクッションに座った乗員が車両前後方向前向きとなる状態ではカバーが回転部材の上部外周を後方から覆うので、運転席や助手席が前向きとなる状態での後方の同乗者席側からの異物の回転機構への侵入を抑制することができる。

　また本発明は、第２の特徴に加えて、前記シートクッション（１７２）の表皮（１７２ａ）を延長して前記カバー（１７５）が形成されることを第３の特徴とする。この第３の特徴によれば、シートクッションの表皮でカバーが形成されるので、異物が回転機構内に侵入することを抑制するにあたって部品点数が増大するのを回避することができる。

　また本発明は、第１又は第２の特徴に加えて、前記シートクッション（１１２）に座った乗員が車両前後方向前向きとなる状態で前記回転部材（１３０）の上端部後端縁に、前記シートクッション（１１２）の表皮（１１２ａ）が前記カバー（１６５，１７８）の外面に接触しつつ連結されることを第４の特徴とする。この第４の特徴によれば、シートクッションに座った乗員が車両前後方向前向きとなる状態での回転部材の上端部後端縁にシートクッションの表皮が連結され、しかも表皮がカバーの外面に接触するので、カバーの上部をシートクッションの表皮に連接することができ、運転席や助手席が前向きとなる状態での後方の同乗者席側からの異物の回転機構への侵入をより効果的に抑制することができる。

　また本発明は、第１、第２又は第４の特徴に加えて、前記シートクッションフレーム（１１９）が、直線状に延びるとともに前記回転部材（１３０）に支持される一対のサイドフレーム（１１９ａ）を有し、前記カバー（１６５）がそれらのサイドフレーム（１１９ａ）に取付けられることを第５の特徴とする。この第５の特徴によれば、シートクッションフレームが有する一対のサイドフレームにカバーが取付けられるので、簡単な構造でカバーをシートとともに回転させるようにすることができる。

　また本発明は、第１、第２、第４又は第５の特徴に加えて、前記カバー（１６５，１７８）の外側面が、前記回転部材（１３０）の外側方に膨らんだ円弧状に形成されることを第６の特徴とする。この第６の特徴によれば、カバーの外側面が回転部材の外側方に膨らんだ円弧状であるので、シートとともにカバーが回転する際に、車室内のフロア上にある荷物等とカバーが接触したとしてもカバーひいてはシートの円滑な回転を実現することができる。

　また本発明は、第１～第６の何れかの特徴に加えて、前記シートクッション（１１２，１７２）に座った乗員が車両前後方向前向きとなる状態で少なくとも前記ベース部材（１２９）を後方から覆う固定カバー部材（１６７，１７７）が、前記カバー（１６５，１７５，１７８）の下方に固定配置されることを第７の特徴とする。この第７の特徴によれば、カバーの下方に、シートクッションに座った乗員が車両前後方向前向きとなる状態で少なくともベース部材を後方から覆う固定カバー部材が固定配置されるので、運転席や助手席が前向きとなる状態での後方の同乗者席側からの異物の回転機構への侵入を抑制することができる。

　また本発明は、第７の特徴に加えて、前記シートクッション（１１２）に座った乗員が車両前後方向前向きとなる状態で、前記固定カバー部材（１６７）が、前記カバー（１６５，１７８）の下部に相対摺動可能に接触するように形成されることを第８の特徴とする。この第８の特徴によれば、固定カバー部材がカバーの下部に相対摺動可能に接触するので、運転席や助手席が前向きとなる状態での後方の同乗者席側からの異物の回転機構への侵入をより効果的に抑制することができる。

　また本発明は、第７又は第８の特徴に加えて、前記サイドフレーム（１１９ａ）を外側方から覆うサイドカバー（１１４）の下端位置が、前記カバー（１６５，１７８）の下端位置と同一に設定されることを第９の特徴とする。この第９の特徴によれば、サイドカバーの下端位置がカバーの下端位置と同一であることによって、運転席や助手席が車幅方向に向いた状態での後方の同乗者席側からの異物の回転機構への侵入を抑制することができる。

　また本発明は、第９の特徴に加えて、前記カバー（１７８）が、一対の前記サイドカバー（１１４）の少なくとも一方と一体に形成されることを第１０の特徴とする。この第１０の特徴によれば、カバーが、一対のサイドカバーの少なくとも一方と一体に形成されるので、カバーの配設による部品点数の増大を避けると共にカバーの組付けを容易とすることができる。

＜第３の課題の解決手段及び効果＞
　前記第３の目的を達成するために、本発明は、シートクッション（２１１ａ）を支持するシートクッションフレーム（２１６）と、当該シートクッションフレーム（２１６）を支持する回転部材（２３０）ならびに当該回転部材（２３０）を下方から回転可能に支持するベース部材（２２９）を有して前記シートクッションフレーム（２１６）の下方に配置される回転機構（２１４）と、電気機器（２５３，２６５）と、当該電気機器（２５３，２６５）の作動を制御するＥＣＵ（２７０，２７１）とを備える車両用シート装置において、前記回転部材（２３０）の中央部に少なくとも上方に開放する円形の収容部（２４１）が形成され、前記ＥＣＵ（２７０，２７１）が、平面視で前記収容部（２４１）内に在るとともに当該ＥＣＵ（２７０，２７１）の少なくとも一部が側面視で前記回転部材（２３０）に重なる位置に配置されることを第１の特徴とする。この第１の特徴によれば、回転部材の中央部に形成されて少なくとも上方に開放する円形の収容部内に平面視でＥＣＵが収容され、ＥＣＵの少なくとも一部が側面視で回転部材に重なる位置に在るので、回転部材からのＥＣＵの上方への突出を抑えることで、ＥＣＵの配置によってシートクッションの高さが高くなるのを回避しつつ、回転部材の回転軸線に直交する方向で車両用シート装置が大型化することも回避することができる。

　また本発明は、第１の特徴に加えて、前記回転部材（２３０）が、上方に向かうにつれて大径となるように形成されるテーパ部（２３０ａ）と、そのテーパ部（２３０ａ）と協働して前記収容部（２４１）を形成するようにして当該テーパ部（２３０ａ）の上端部から上方に立ち上がる円筒状の側壁部（２３０ｂ）と、その側壁部（２３０ｂ）から外側方に張り出す鍔部（２３０ｃ）とを有するように形成され、前記ＥＣＵ（２７０，２７１）が前記テーパ部（２３０ａ）に沿って傾斜した姿勢で配置されることを第２の特徴とする。この第２の特徴によれば、回転部材が有するテーパ部に沿って傾斜した姿勢でＥＣＵが配置されることで、回転部材からのＥＣＵの上方への突出をより効果的に抑え、シートクッションの高さをより効果的に抑えることができる。

　また本発明は、第２の特徴に加えて、前記回転部材（２３０）に、平面視で当該回転部材（２３０）の外周（２３０ｄ）よりも内側に配置される取付け部材（２５８）が取付けられ、前記ＥＣＵ（２７０，２７１）が前記取付け部材（２５８）に取付けられることを第３の特徴とする。この第３の特徴によれば、平面視で回転部材の外周よりも内側に配置されて回転部材に取付けられる取付け部材にＥＣＵが取付けられるので、ＥＣＵを取付けるための取付け部材の配置によって回転部材の回転軸線に直交する方向で車両用シート装置が大型化するのを回避することができる。

　また本発明は、第３の特徴に加えて、前記取付け部材（２５８）が、前記テーパ部（２３０ａ）に沿って傾斜して前記収容部（２４１）内に配置される傾斜板部（２５８ｂ）を有し、前記ＥＣＵ（２７０，２７１）が前記傾斜板部（２５８ｂ）に取付けられることを第４の特徴とする。この第４の特徴によれば、収容部内に配置されるようにして取付け部材が有する傾斜板部にＥＣＵが取付けられるので、ＥＣＵを回転部材のテーパ部に沿わせた傾斜姿勢で取付け部材に容易に取付けて、回転部材からのＥＣＵの上方への突出を抑えることができる。

　また本発明は、第４の特徴に加えて、前記取付け部材（２５８）が、前記回転部材（２３０）の回転軸線（２Ｃ）よりも前方で前記回転部材（２３０）の前記鍔部（２３０ｃ）に結合され、前記ＥＣＵ（２７０，２７１）は、前記シートクッション（２１１ａ）の上方からの荷重を受けるようにして前記シートクッションフレーム（２１６）に取付けられるクッション側受圧部材（２１９）との干渉を避ける位置で前記傾斜板部（２５８ｂ）に取付けられることを第５の特徴とする。この第５の特徴によれば、取付け部材が回転部材の回転軸線よりも前方で回転部材の鍔部に結合され、シートクッションの上方からの荷重を受けるようにしてシートクッションフレームに取付けられるクッション側受圧部材との干渉を避ける位置でＥＣＵが傾斜板部に取付けられるので、車両用シート装置が上下方向に大型化することを回避することができる。

　また本発明は、第５の特徴に加えて、前記ＥＣＵ（２７０，２７１）が、側面視で前記クッション側受圧部材（２１９）の最下端（２１９ａ）の直下を避けて配置されることを第６の特徴とする。この第６の特徴によれば、ＥＣＵが側面視でクッション側受圧部材の最下端の直下には配置されないことにより、ＥＣＵとクッション側受圧部材との干渉をより容易に避けることができる。

　また本発明は、第１又は第２の特徴に加えて、前記ベース部材（２２９）および前記回転部材（２３０）のうち一方側に、前記回転部材（２３０）を回転駆動する動力を発揮する電動モータ（２５３）と、前記ＥＣＵ（２７０，２７１）とが取付けられることを第７の特徴とする。この第７の特徴によれば、ベース部材および回転部材のうち一方側に、電動モータおよびＥＣＵが取付けられるので、電動モータおよびＥＣＵを接続し易くすることができる。

　また本発明は、第７の特徴に加えて、前記ベース部材（２２９）および前記回転部材（２３０）のうち上下方向での長さが大きい側に、前記電動モータ（２５３）および前記ＥＣＵ（２７０，２７１）が取付けられることを第８の特徴とする。この第８の特徴によれば、ベース部材および回転部材のうち上下方向での長さが大きい側に電動モータおよびＥＣＵが取付けられるので、車両用シート装置の高さが高くなるのを抑制しつつ、電動モータおよびＥＣＵを配置するスペースを容易に確保することができる。

　また本発明は、第７又は第８の特徴に加えて、平面視で前記回転部材（２３０）の外周（２３０ｄ）よりも内側に配置されて前記ベース部材（２２９）および前記回転部材（２３０）の一方に取付けられる取付け部材（２５８）に、前記電動モータ（２５３）および前記ＥＣＵ（２７０，２７１）が取付けられることを第９の特徴とする。この第９の特徴によれば、平面視で回転部材の外周よりも内側に配置される取付け部材に電動モータおよびＥＣＵが取付けられるので、ＥＣＵおよび電動モータを取付けるための取付け部材の配置によって回転部材の回転軸線に直交する方向で車両用シート装置が大型化するのを回避することができる。

　また本発明は、第９の特徴に加えて、前記回転部材（２３０）に前記取付け部材（２５８）が取付けられることを第１０の特徴とする。この第１０の特徴によれば、取付け部材が回転部材に取付けられるので、回転部材の回転時に電動モータおよびＥＣＵもベース部材に対して回転することになり、電動モータと、その電動モータの作動を制御するＥＣＵとの接続配線をコンパクトに集約することができる。

　なお、後述する第３の課題の解決手段の実施形態における第２のテーパ部２３０ａが本発明のテーパ部に対応し、同じく第４の側壁部２３０ｂが本発明の側壁部に対応し、同じく第２の鍔部２３０ｃが本発明の鍔部に対応し、同じく電動モータ２５３およびブロワー２６５が本発明の電気機器に対応する。

＜第４の課題の解決手段及び効果＞
　前記第４の目的を達成するために、本発明は、シート本体（３１１）を支持するシートフレーム（３１５）と、当該シートフレーム（３１５）を支持する回転部材（３３０）と、その回転部材（３３０）を下方から回転可能に支持するベース部材（３２９）と、前記シートフレーム（３１５）および前記回転部材（３３０）の少なくとも一方に取付けられる電装品（３５０，３６５，３７４，３７８）とを備える車両用回転シート装置において、前記電装品（３５０，３６５，３７４，３７８）に連なる電線（３５９，３６９，３７６，３８０）が、前記回転部材（３３０）の回転中心（３Ｃ）に固定配置される電線保持部材（３６０，３８４，３８６）で保持されることを第１の特徴とする。この第１の特徴によれば、シートフレームおよび回転部材の少なくとも一方に取付けられる電装品に連なる電線が、回転部材の回転中心に在る電線保持部材で保持されるので、シート本体の回転時に電装品に連なる電線に撓みが生じたり、損傷が生じたりすることを回避することができる。

　また本発明は第１の特徴に加えて、複数の前記電装品（３５０，３６５，３７４，３７８）に個別に連なる複数の前記電線（３５９，３６９，３７６，３８０）が、単一の前記電線保持部材（３６０，３８４，３８６）に集約して保持されることを第２の特徴とする。この第２の特徴によれば、複数の前記電装品に個別に連なる複数の電線が、単一の電線保持部材に集約して保持されるので、複数の電線をコンパクトに集約して配線することができる。

　また本発明は、第１又は第２の特徴に加えて、前記シート本体（３１１）の一部を構成するシートクッション（３１１ａ）の上方からの荷重を受けるクッション側受圧部材（３１９）が、前記シートフレーム（３１５）の一部を構成して前記回転部材（３３０）に支持されるシートクッションフレーム（３１６）に取付けられ、前記電線保持部材（３６０，３８４，３８６）が前記クッション側受圧部材（３１９）の下方で前記電線（３５９，３６９，３７６，３８０）を保持する位置に配置されることを第３の特徴とする。この第３の特徴によれば、シートフレームの一部を構成するシートクッションフレームに取付けられるクッション側受圧部材の下方で電線を保持する位置に電線保持部材が配置されるので、乗員の座面側への電線保持部材の突出を抑え、座面に座った乗員への電線保持部材の干渉を避けることができる。

　また本発明は第３の特徴に加えて、前記電線保持部材（３６０）が前記クッション側受圧部材（３１９）に直接取付けられることを第４の特徴とする。この第４の特徴によれば、電線保持部材がクッション側受圧部材の下方で電線を保持しつつクッション側受圧部材に直接取付けられるので、座面に座った乗員への電線保持部材の干渉を避けることができるとともに、電線保持部材を取り付けるための部材を新たに設けることなく、部品点数の増大を回避しながら電線保持部材を回転部材の回転中心に効率的に配置することができる。

　また本発明は第１又は第２の特徴に加えて、前記シート本体（３１１）の一部を構成するシートクッション（３１１ａ）の上方からの荷重を受けるクッション側受圧部材（３１９）が、前記シートフレーム（３１５）の一部を構成して前記回転部材（３３０）に支持されるシートクッションフレーム（３１６）に取付けられ、前記電線保持部材（３６０）が前記クッション側受圧部材（３１９）に直接取付けられることを第５の特徴とする。この第５の特徴によれば、電線保持部材がクッション側受圧部材に直接取付けられるので、電線保持部材を取り付けるための部材を新たに設けることなく、部品点数の増大を回避しながら電線保持部材を回転部材の回転中心に効率的に配置することができる。

　また本発明は第３～第５の何れかの特徴に加えて、前記シートフレーム（３１５）が、前記回転部材（３３０）に支持されるシートクッションフレーム（３１６）と、当該シートクッションフレーム（３１６）もしくは前記回転部材（３３０）に支軸（３１２）を介して傾動可能に取付けられるシートバックフレーム（３１７）とを備え、前記電装品である傾動用電気アクチュエータ（３７８）が、前記シートバックフレーム（３１７）を傾動駆動することを可能として前記シートバックフレーム（３１７）の下部に取付けられ、前記傾動用電気アクチュエータ（３７８）に連なる前記電線（３８０）が、前記支軸（３１２）の近傍で前記シートバックフレーム（３１７）もしくは前記回転部材（３３０）に取付けられる中間保持部材（３８１）を経て前記電線保持部材（３６０）に保持されることを第６の特徴とする。この第６の特徴によれば、シートクッションフレームもしくは回転部材に支軸を介して傾動可能に取付けられるシートバックフレームを傾動駆動するための傾動用電気アクチュエータがシートバックフレームの下部に取付けられ、その傾動用電気アクチュエータに連なる電線が、支軸の近傍でシートクッションフレームもしくは回転部材に取付けられる中間保持部材を経て電線保持部材に保持されるので、シート本体の回転およびシートバックフレームの傾動時に電線保持部材および傾動用電気アクチュエータ間の電線に撓みや損傷が生じないようにすることができる。

　また本発明は第３の特徴に加えて、前記ベース部材（３２９）に保持部材用支持部材（３８３，３８５）が取付けられ、当該保持部材用支持部材（３８３，３８５）に、前記電線保持部材（３８４，３８６）が取付けられることを第７の特徴とする。この第７の特徴によれば、電線保持部材が、その当該電線保持部材の上方で保持して前記保持部材用支持部材に取付けられるベース部材に取付けられる保持部材用支持部材に電線保持部材が取付けられるので、シート回転装置の組み立て時に電線保持部材を容易に組み付けることができ、作業性が向上する。

　また本発明は第７の特徴に加えて、前記電線保持部材（３８４）が、前記電線（３５９，３６９，３７６，３８０）を前記保持部材用支持部材（３８３）の上方で保持して当該保持部材用支持部材（３８３）に取付けられることを第８の特徴とする。この第８の特徴によれば、電線保持部材が保持部材用支持部材の上方で電線を保持するので、電線をシート回転装置内にコンパクトに纏めて配線することができる。

　また本発明は第７の特徴に加えて、前記電線保持部材（３８６）が、前記電線（３５９，３６９，３７６，３８０）を前記保持部材用支持部材（３８５）の下方で保持して当該保持部材用支持部材（３８５）に取付けられることを第９の特徴とする。第９の特徴によれば、電線保持部材が保持部材用支持部材の下方で電線を保持するので、シート回転装置の組み立て時にシート回転装置の横倒し状態で作業を行なうことで電線を電線保持部材に容易に保持することができ、作業性が向上する。

＜第１の課題の解決手段の実施形態を示す図面の説明＞
図１は車両用シートの回転装置の斜視図である。図２は車両用シートを省略した状態での車両用シートの回転装置の側面図である。図３はシートクッションを省略した状態での図２の３矢視図である。図４は図３の４矢視図である。図５は図３の５－５線断面図である。図６は回転ロック機構の構成を、ロック状態（ａ）およびロック解除状態（ｂ）に分けて示す断面図である。図７は図６（ａ）の７－７線断面図である。図８は車両用シート装置の要部を示す斜視図である。図９は図４の９矢示部拡大図である。図１０は図２の１０矢示部拡大図である。図１１は図３の１１矢示部拡大図である。

＜第２の課題の解決手段の実施形態を示す図面の説明＞
図１２は第１の実施の形態の車両用シート装置の斜視図である。図１３は図１２の１３矢視方向から見た斜視図である。図１４は図１２からシートクッション、シートバックおよびサイドカバーを除いた状態での斜視図である。図１５はスライドレールおよび回転機構の一部を示す断面図であって図１６の１５－１５線に沿う断面図である。図１６はスライドレールおよび回転機構を図１５の１６矢視方向から見た図である。図１７は図１６の１７－１７線に沿う断面図である。図１８は図１７の１８－１８線断面図である。図１９は車両用シート装置の一部を図１６の１９－１９線に沿って示す断面図である。図２０は第２の実施の形態の図１９に対応した断面図である。図２１は第３の実施の形態の図１３に対応した斜視図である。

＜第３の課題の解決手段の実施形態を示す図面の説明＞
図２２はシート本体を省略した状態で車両用シート装置を示す斜視図である。図２３は車両用シート装置の要部を上方から見た平面図である。図２４は図２３の２４－２４線断面図である。図２５はライドレールおよび回転機構を図２３と同一方向から見た図である。図２６はスライドレールおよび回転機構を図２５と反対側から見た図である。図２７は図２５の２７－２７線断面図である。

＜第４の課題の解決手段の実施形態を示す図面の説明＞
図２８は第１の実施の形態のシート本体を省略した状態で車両用シート回転装置を示す斜視図である。図２９は車両用シート回転装置の要部を上方から見た平面図である。図３０は図２９の３０－３０線に沿うシート回転装置の断面図である。図３１はシートクッションフレームおよびクッション側受圧部材を省略した状態での図３０の３１矢視図である。図３２は図３１の３２－３２線に沿うシート回転装置の断面図である。図３３は第２の実施の形態の図３０に対応した断面図である。図３４はシートクッションフレームおよびクッション側受圧部材を省略した状態での図３３の３４矢視図である。図３５は第３の実施の形態の図３０に対応した断面図である。

＜第１の課題の解決手段の実施形態を示す図面の符号の説明＞
１１・・・車両用内装品である車両用シート
１２・・・シートクッション
１３・・・シートバック
１５・・・シートクッションフレーム
１７・・・リクライニングレバー
１８・・・サイドフレーム
１９・・・連結フレームであるパンフレーム
２０・・・連結フレームであるリヤパイプ
２２・・・ベース部材
２３・・・回転部材
３０・・・回転支持部
３５・・・車両フロア
３６・・・移動手段
４５・・・回転ロック手段
６２・・・係止手段
６３・・・係合手段
６６・・・軸支持部材
６６ａ・・・軸支持壁部
６６ｂ・・・延出壁部
６７・・・軸部材
６９・・・フック部材
７０・・・ストライカ
７１・・・ストライカ支持部材
７４・・・付勢部材である第２のコイルばね

＜第２の課題の解決手段の実施形態を示す図面の符号の説明＞
１１０・・・車両用シート装置
１１２・・・シートクッション
１１２ａ・・・表皮
１１４・・・サイドカバー
１１７・・・回転機構
１１９・・・シートクッションフレーム
１１９ａ・・・サイドフレーム
１２９・・・ベース部材
１３０・・・回転部材
１６５，１７５，１７８・・・カバー
１６７，１７７・・・固定カバー部材

＜第３の課題の解決手段の実施形態を示す図面の符号の説明＞
２１１ａ・・・シートクッション
２１４・・・回転機構
２１６・・・シートクッションフレーム
２１９・・・クッション側受圧部材
２１９ａ・・・クッション側受圧部材の最下端
２２９・・・ベース部材
２３０・・・回転部材
２３０ａ・・・テーパ部
２３０ｂ・・・側壁部
２３０ｃ・・・鍔部
２３０ｄ・・・回転部材の外周
２４１・・・収容部
２５３・・・電気機器である電動モータ
２５８・・・取付け部材
２５８ｂ・・・傾斜板部
２６５・・・電気機器であるブロワー
２７０，２７１・・・ＥＣＵ
２Ｃ・・・回転軸線

＜第４の課題の解決手段の実施形態を示す図面の符号の説明＞
３１１・・・シート本体
３１１ａ・・・シートクッション
３１２・・・支軸
３１５・・・シートフレーム
３１６・・・シートクッションフレーム
３１７・・・シートバックフレーム
３１９・・・クッション側受圧部材
３２９・・・ベース部材
３３０・・・回転部材
３５０・・・電装品である回転用電気アクチュエータ
３５９，３６９，３７６，３８０・・・電線
３６０，３８４，３８６・・・電線保持部材
３６５・・・電装品であるブロワー
３７４・・・電装品である昇降用電気アクチュエータ
３７８・・・電装品である傾動用電気アクチュエータ
３８１・・・中間保持部材
３８３，３８５・・・保持部材用支持部材
３Ｃ・・・回転中心

＜第１の課題の解決手段の実施形態＞
　以下、本発明の実施の形態を、添付の図面を参照しながら説明する。以下の説明で「前後」、「左右」および「上下」は、座った乗員が前向きとなる姿勢に車両シートがある状態で当該乗員から見た方向を言うものとする。

　先ず図１において、車両用内装品である車両用シート１１は、乗員を座らせるシートクッション１２と、シートクッション１２に座った乗員の背中を支持するシートバック１３と、上下位置を調整可能として前記シートバック１３の上部に設けられるヘッドレスト１４とを備える。

　図２～図４を併せて参照して、前記シートクッション１２は、シートクッションフレーム１５で支持され、前記シートバック１３は、前記車両用シート１１が基準方向を向いた状態すなわち前記シートクッション１２に座った乗員を車両前後方向前向きとする状態に前記車両用シート１１が在るときに前記シートクッションフレーム１５の後部にリクライニング機構（図示せず）を介して傾動可能に連結されるシートバックフレーム（図示せず）で支持される。

　前記シートクッションフレーム１５は、相互に離間した位置に並んで車両前後方向に直線状に延びる一対のサイドフレーム１８と、それらのサイドフレーム１８の両端部間を連結する一対の連結フレームとから成り、この実施の形態で一対の前記連結フレームの一方は前記車両用シート１１が基準方向を向いた状態で前記一対のサイドフレーム１８の前端部間を連結するパンフレーム１９であり、他方の連結フレームは前記サイドフレーム１８の後端部間を連結するリヤパイプ２０である。

　また前記一対のサイドフレーム１８のうち一方のサイドフレーム１８の平面視で外側、この実施の形態では前記車両両用シート１１が前記基準方向を向いた状態で左側に配置される前記サイドフレーム１８の平面視で外側には、前記リクライニング機構を操作するリクライニングレバー１７が配設される。

　図５を併せて参照して、前記シートクッションフレーム１５は回転機構２１上に設けられており、この回転機構２１は、ベース部材２２と、前記シートクッションフレーム１５を支持して前記ベース部材２２に回転可能に支持される環状の回転部材２３と、当該回転部材２３の一部を上方から覆って前記ベース部材２２に固定されるカバー部材２４とを備える。

　前記ベース部材２２は、環状である第１底壁部２２ａと、第１底壁部２２ａの外周部から上方に立ち上がる円筒状の第１側壁部２２ｂと、第１側壁部２２ｂの上端部から外側方に張り出す第１鍔部２２ｃと、第１鍔部２２ｃの車幅方向両側端から下方に延びる左右一対の第１鍔部２２ｃとを有し、第１鍔部２２ｃは矩形状に形成される。

　また前記カバー部材２４は、前記ベース部材２２の第１底壁部２２ａに上方から当接される環状の第２底壁部２４ａと、その第２底壁部２４ａの外周からわずかに上方に立ち上がる円筒状の第２側壁部２４ｂと、上方に向かうにつれて大径となるように形成されて第２側壁部２４ｂの上端部に連設される第１テーパ部２４ｃと、第１テーパ部２４ｃの上端部に連なる環状の第１平坦壁部２４ｄと、第１平坦壁部２４ｄの外周から上方に立ち上がる円筒状の第３側壁部２４ｅとを有し、前記第２底壁部２４ａは前記ベース部材２２の前記第１底壁部２２ａに複数のリベット２５で結合される。

　前記回転部材２３は、前記カバー部材２４の前記第１テーパ部２４ｃに外側方から対向する位置に配置されて上方に向かうにつれて大径となるように形成される第２テーパ部２３ａと、前記カバー部材２４の前記第３側壁部２４ｅに外側方から対向するようにして前記第２テーパ部２３ａの上端部から上方に立ち上がる円筒状の第４側壁部２３ｂと、第４側壁部２３ｂから外側方に張り出す第２鍔部２３ｃとを有し、第２鍔部２３ｃは矩形状に形成される。また車幅方向で前記第２鍔部２３ｃの両側にフレーム支持板２６が複数ずつの第１のボルト２７および第１のナット２８で締結されており、それらのフレーム支持板２６に、前記シートクッションフレーム１５のサイドフレーム１８が取付けられる。

　前記回転部材２３は、前記ベース部材２２が有する環状の回転支持部３０に軸受３１を介して回転可能に支持されており、前記回転支持部３０は、前記ベース部材２２における第１底壁部２２ａと、前記第１側壁部２２ｂとで横断面形状が略Ｌ字状となるようにして環状に形成される。

　前記軸受３１は、環状のリテーナ３２の周方向複数箇所にボール３３が保持されて成り、前記回転部材２３における前記第１テーパ部２４ｃには、前記ボール３３を転動させるための環状凹部３４が形成される。

　前記ベース部材２２は、移動手段３６によって車両前後方向に移動可能であり、この移動手段３６は、車両フロア３５および前記ベース部材２２間に配置される。

　前記移動手段３６は、左右方向に間隔をあけて車両前後方向に延びる左右一対の固定レール３７と、それらの固定レール３７にそれぞれ摺動可能に嵌合される左右一対の可動レール３８とを備え、前記固定レール３７は、車両前後方向に間隔をあけて配置される前部レール支持部材３９および後部レール支持部材４０を介して前記車両フロア３５に固定され、前記前部レール支持部材３９の高さが前記後部レール支持部材４０よりも高く形成されることにより、前記固定レール３７は後ろ下がりに傾斜した姿勢で前記車両フロア３５に支持される。

　前記可動レール３８には、図５で明示するように、支持ブラケット４２が溶接等でそれぞれ固着されており、それらの支持ブラケット４２が、前記ベース部材２２の第１鍔部２２ｃにおける車幅方向両側に、複数ずつの第２のボルト４３および第２のナット４４でそれぞれ締結される。すなわち前記ベース部材２２は、前記支持ブラケット４２および前記移動手段３６を介して前記車両フロア３５に支持される。

　図６および図７を併せて参照して、前記回転部材２３の回転可能状態および回転不能状態は回転ロック手段４５で切り替え可能であり、この回転ロック手段４５は、前記回転部材２３に支持されるロック部材４６と、前記カバー部材２４が有する第３側壁部２４ｅならびに前記回転部材２３が有する第４側壁部２３ｂ間に配置されて前記ロック部材の作動に連動する環状の押し出し部材４７と、当該押し出し部材４７の周方向に間隔をあけた複数箇所に配置されるがたつき抑制部材４８とを備える。

　前記押し出し部材４７の周方向に間隔をあけた複数箇所には、当該押し出し部材４７の周方向に長く延びる収容孔４９が設けられており、前記がたつき抑制部材４８が前記収容孔４９に収容される。

　一方、前記回転部材２３が有する第２鍔部２３ｃには、前記パンフレーム１９から外方に一部を突出させる前記ロック部材４６が軸５９を介して回動可能に支持される。このロック部材４６は、図６（ａ）で示すように前記カバー部材２４の前記第３側壁部２４ｅに係合して前記回転部材２３の回転を不能とするロック位置と、図６（ｂ）で示すように前記第３側壁部２４ｅとの係合を解除して前記回転部材２３の回転を可能とするロック解除位置との間での回動が可能である。しかも図３で明示するように、前記第２鍔部２３ｃに固定される第１のばね支持部材５０と、前記ロック部材４６との間に設けられるばね５１により、前記ロック部材４６は前記ロック位置側に回動付勢され、この実施の形態で前記ばね５１はコイルばねであり、２つの前記ばね５１が、前記ロック部材４６および前記第１のばね支持部材５０間に張設される。

　前記ロック部材４６が有する連結腕部４６ａは、前記回転部材２３の前記第４側壁部２３ｂに形成された挿通孔５２に挿通され、前記連結腕部４６ａの先端部は、前記押し出し部材４７に形成される連結孔５３に挿通可能であり、前記連結腕部４６ａの先端部を前記連結孔５３に挿通させることで前記押し出し部材４７に前記ロック部材４６が連結される。この連結腕部４６ａは、図６（ｂ）で示すように、前記ロック部材４６がロック解除位置となったときに前記連結孔５３に連結され、前記押し出し部材４７にその回動方向への押圧力が前記連結腕部４６ａから作用することになる。

　また前記ロック部材４６が有する係合腕部４６ｂは、図６（ａ）で示す前記ロック位置では、前記回転部材２３における前記第４側壁部２３ｂに形成された第１の貫通孔５４と、前記カバー部材２４の第３側壁部２４ｅに形成された第２の貫通孔５５に係合するものの、図６（ｂ）で示すロック解除位置では前記第２の貫通孔５５から離脱して前記カバー部材２４との係合を解除するものであり、前記ロック位置および前記ロック解除位置間で前記係合腕部４６ｂは前記押し出し部材４７を跨ぐように作動する。

　前記回転部材２３における前記第４側壁部２３ｂには、前記がたつき抑制部材４８の一部を収容する凹部５６が前記がたつき抑制部材４８を緊密に嵌合させることを可能として形成される。

　前記がたつき抑制部材４８は、前記ロック部材４６の前記ロック解除位置から前記ロック位置側への作動に応じた前記押し出し部材４７の移動方向５７に進むにつれて高さが次第に低くなる斜面４８ａを有するようにして楔形に形成され、前記がたつき抑制部材４８を緊密に嵌合させることを可能とした前記凹部５６は、前記斜面４８ａに対向する凹部側斜面５６ａを有しつつ当該がたつき抑制部材４８の一部を収容するようにして三角形状に形成される。

　また前記押し出し部材４７に形成された前記収容孔４９の長手方向両端部のうち前記移動方向に沿う前端部と、前記がたつき抑制部材４８との間には、第１のコイルばね５８が縮設されており、この第２のコイルばね５８が発揮するばね力で前記がたつき抑制部材４８は前記移動方向５７とは逆方向に付勢される。

　而して前記ロック部材４６が前記ロック位置にあるときには、図６（ａ）で示すように、前記がたつき抑制部材４８の前記斜面４８ａが、前記凹部５６の前記凹部側斜面５６ａに緊密に当接することで前記がたつき抑制部材４８が前記回転部材２３および前記カバー部材２４に緊密に接触することになり、それにより回転部材２３のがたつきが阻止される。

　また前記ロック部材４６が前記ロック解除位置となったときには、図６（ｂ）で示すように、前記収容孔４９の長手方向両端部のうち前記移動方向５７に沿う後端部が前記がたつき抑制部材４８に当接し、前記第１のコイルばね５８の付勢力に抗して前記がたつき抑制部材４８は前記移動方向に押されることになり、前記がたつき抑制部材４８の前記斜面４８ａが前記凹部側斜面５６ａから離反する側に前記がたつき抑制部材４８が移動し、がたつき防止状態が解除されることになる。

　図８を併せて参照して、回転不能状態に在る前記回転部材２３に負荷が作用して当該回転部材２３が前記ベース部材２２から剥離することは剥離抑制機構６１で抑制されるものであり、この剥離抑制機構６１は、前記ベース部材２２側に設けられる係止手段６２と、前記回転部材２３の非回転状態で前記係止手段６２に係合して前記回転部材２３の前記ベース部材２２からの剥離を抑制する状態ならびに前記回転部材２３が回転可能状態となったときには前記係止手段６２との係合を解除する状態を切り替え可能として前記回転部材２３側に設けられる係合手段６３とを備える。

　前記ベース部材２２側には、４つの前記係止手段６２が、前記ベース部材２２の車幅方向に沿う両側で前後方向に間隔をあけて一対ずつ配設され、前記回転部材２３側には、前記係止手段６２に係合し得る４つの係合手段６３が設けられる。前記係止手段６２および前記係合手段６３は、車両前後方向に間隔をあけるとともに車幅方向から見た側面視（図２参照）で前記回転部材２３の前端よりも後方かつ後端よりも前方に配置される。すなわち前記回転部材２３の前端を通る第１の仮想鉛直面ＩＶＡ（図２参照）ならびに前記回転部材２３の後端を通る第２の仮想鉛直面ＩＶＢ（図２参照）間に前記係止手段６２および前記係合手段６３が配置される。しかも前記係止手段６２および前記係合手段６３は、少なくとも前記回転部材２３が非回転状態にあるときの平面視で、図３で明示するように、前記回転部材２３よりも外側に配置される。

　図９～図１１を併せて参照して、前記係合手段６３は、前記回転部材２３に直接もしくは間接に固定される軸支持部材６６と、当該軸支持部材６６で支持される軸部材６７と、回動可能として前記軸部材６７で軸支されるフック部材６８とを備える。

　前記軸支持部材６６は、前記軸部材６７が固定されつつ平面視で前記回転部材２３の外側に配置される軸支持壁部６６ａと、前記軸部材６７を相互間に挟む位置で前記軸支持壁部６６ａに連設されて前記回転部材２３側に延出される一対の延出壁部６６ｂとを備える。前記延出壁部６６ｂが前記回転部材２３に直接もしくは間接に固定されるものであり、この実施の形態では、前記回転部材２３における第２鍔部２３ｃの下面に溶接等で固着される支持板６９に前記延出壁部６６ｂが溶接等で固定される。また前記フック部材６８は、前記軸支持壁部６６ａの外側に配置されて前記軸部材６７に回動可能に支持される。

　また前記係合手段６３は、それらの係合手段６３の少なくとも一部（この実施の形態では一部）を側面視で前記回転部材２３と重ねる位置に配置されるとともに、平面視で前記移動手段３６を避けた位置に配置されており、特に、平面視で前記移動手段３６の外側に配置される。さらに前記係合手段６３は、図２で示すように、それらの係合手段６３の少なくとも上部を側面視で前記シートクッション１２に重ねるとともに、それらの係合手段６３の少なくとも一部（この実施の形態では一部）を前記サイドフレーム１８に側面視で重ねる位置に配置される。

　また前記係合手段６３は、それらの係合手段のうち前記回転部材２３の車両前後方向前側に配設される係合手段６３のフック部材６８の下部と、前記回転部材２３の車両前後方向後側に配設される係合手段６３のフック部材６８の下部とを相互に離隔する側に回動することで前記係止手段６２との係合を解除するように構成される。

　一方、前記係止手段６２は、車両前後方向に間隔をあけて前記ベース部材２２の車幅方向両側にそれぞれ配設されており、前記フック部材６８を係合可能な棒状のストライカ７０と、当該ストライカ７０を支持して前記ベース部材２２に直接もしくは間接に固定されるストライカ支持部材７１とを備え、この実施の形態では、前記ストライカ支持部材７１は、前記支持ブラケット４２を介して前記ベース部材２２に固定される。

　前記第２の係止手段６２は、前記フック部材６８を係合可能なストライカ７０と、当該ストライカ７０を支持して前記ベース部材２２に直接もしくは間接に固定される第２のストライカ支持部材７１とを備え、この実施の形態では、前記第２のストライカ支持部材７１は、前記支持ブラケット４２を介して前記ベース部材２２に固定される。

　前記第１のストライカ支持部材７１は、前記フック部材６８を挿脱可能としつつ略Ｕ字状の横断面形状を有するように形成され、前記ストライカ７０は前記ストライカ支持部材７１を跨ぐようにして当該ストライカ支持部材７１に固定される。

　しかも前記係止手段６２のうち前記ベース部材２２の車両前後方向前側に配置される係止手段６２の前記ストライカ支持部材７１は車両前後方向前方側に向かって開いた姿勢で前記ベース２２側に固定され、前記ベース部材２２の車両前後方向後側に配置される係止手段６２の前記ストライカ支持部材７１は車両前後方向後方側に向かって開いた姿勢で前記ベース２２側に固定される。

　また前記ストライカ７０は、側面視で前記回転部材２３の下端よりも下方に配置される。すなわち図４で明示するように前記回転部材２３の下端を通る仮想水平面ＩＨよりも下方に前記ストライカ７０が配置される。

　前記回転部材２３における前記第２鍔部２３ｃの車幅方向両側の前後方向両端部には、第２のばね支持部材がそれぞれ固着されており、それらの第２のばね支持部材と、前記係合手段６３がそれぞれ有する前記フック部材６８との間には、それらのフック部材６８を前記ストライカ７０に係合する方向に回動付勢する付勢部材である第２のコイルばね７４が設けられる。

　前記ストライカ支持部材７１は、前記移動手段３６における前記固定レール３７の車幅方向外側に配置されるものであり、前記支持ブラケット４２に溶接等で固着される取付け部材７５に前記ストライカ支持部材７１が固着される。

　而して前記軸支持部材６６の外側に前記フック部材６８が配置されているので、前記フック部材６８が前記ストライカ７０に係合する部位は平面視で前記軸支持部材６６の外側に設定されることになる。

　また前記係止手段６２は、前記ベース部材２２にそれらの係止手段６２の少なくとも一部を（この実施の形態では一部）を側面視で重ねる位置で前記ベース部材２２に前記支持ブラケット４２を介して固定され、平面視では、図３で示すように、前記移動手段３６よりも外側に配置される。

　また前記うちの少なくとも１つである特定の係合手段６３、この実施の形態では前記係合手段６３のうち車両前後方向後側に配置される係合手段６３の少なくとも一部（この実施の形態では下部）が、図２示すように、側面視で前記リクライニングレバー１７と重なって配置される。しかも前記特定の係合手段６３の少なくとも一部は、図３で明示するように、平面視で前記リクライニングレバー１７よりも外側に配置される。すなわち前記ライニングレバー１７の前記車両用シート１１とは反対側の端部を通って車両前後法に延びる第３の仮想鉛直面ＩＶＣよりも外側に前記特定の係合手段６３の少なくとも一部が配置される。

　前記係合手段６３の前記フック部材６８は、前記回転ロック手段４５における前記ロック部材４６の操作に応じて回動するものであり、前記ロック部材４６を前記ロック位置から前記ロック解除位置側に回動したときに前記フック部材６８を前記第２のコイルばね７４のばね力に抗して回動する動力を前記フック部材６８に伝達する４本のケーブル７６が、前記ロック部材６８および前記フック部材６８間に設けられる。

　前記ケーブル７６は、アウターケーブル７６ａ内に，ンナーケーブル７６ｂが移動可能に挿通されて成るものである。４本のアウターケーブル７６ａの一端部は、前記ロック部材４６に対向して前記回転部材２３の前記第２鍔部２３ｃに固定される共通ケーブル保持部材７７に固定され、各アウターケーブル７６ａの一端部から突出した前記インナーケーブル７６ｂの一端部は前記ロック部材４６に連結される。また４つの前記係合手段６３に対応する部分で前記回転部材２３の前記第２鍔部２３ｃには、個別ケーブル保持部材７８が固定され、それらの個別保持部材７８の前記アウターケーブル７６ａの他端部が固定される。さらに各アウターケーブル７６ａの他端部から突出した前記インナーケーブル７６ｂの他端部が前記フック部材６８にそれぞれ連結される。

　次にこの実施の形態の作用について説明すると、車両用シート１１を支持する回転部材２３を回転自在に支持する回転支持部３０を有するベース部材２２側に設けられる係止手段６２と、前記回転部材２３の非回転状態で前記係止手段６２に係合して前記回転部材２３の前記ベース部材２２からの剥離を抑制する状態ならびに前記回転部材２３が回転可能状態となったときには前記係止手段６２との係合を解除する状態を切り替え可能として前記回転部材２３側に設けられる係合手段６３とが、少なくとも前記回転部材２３が非回転状態にあるときの平面視で前記回転部材２３よりも外側に配置されるので、高さ方向で前記係止手段６２および前記係合手段６３が前記回転部材と重なることはなく、前記係止手段６２および前記係合手段６３で前記回転部材２３の剥離を抑制しつつ回転装置を高さ方向でコンパクトに構成することができる。

　また前記係合手段６３が、当該係合手段６３の少なくとも一部を側面視で前記回転部材２３と重ねる位置に配置されるので、前記係合手段６３の配置による回転装置の高さ増大を抑制することができる。

　また前記係止手段６２が、車両フロア３５に支持される前記ベース部材２２に当該係止手段６２の少なくとも一部を側面視で重ねる位置で前記ベース部材２２に固定されるので、回転装置を車両フロア３５に組み付ける際に前記係止手段６２を前記ベース部材２２に予め取付けておくことができ、組み付け作業性を高めることができるとともに、前記係止手段６２の配置による回転装置の高さ増大を抑制することができる。

　また前記係合手段６３が、前記回転部材２３に直接もしくは間接に固定される軸支持部材６６と、当該軸支持部材６６で支持される軸部材６７と、回動可能として前記軸部材６７で軸支されるフック部材６８とを備え、前記係止手段６２が、前記フック部材６８を係合可能としたストライカ７０と、当該ストライカ７０を支持して前記ベース部材２２に直接もしくは間接に固定されるストライカ支持部材７１とを備え、前記フック部材６８が前記ストライカ７０に係合する部位が平面視で前記軸支持部材６６の外側に設定されるので、剥離荷重が作用する際の荷重を前記ストライカ７０で受けやすくすることができる。

　また前記ストライカ７０が、側面視で前記回転部材２３の下端よりも下方に配置されるので、回転装置の高さ増大を抑えつつ前記回転部材２３の回転時に前記ストライカ７０と干渉するのを防止することができる。

　また前記軸支持部材６６が、前記軸部材６７が固定されつつ平面視で前記回転部材２３の外側に配置される軸支持壁部６６ａと、前記軸部材６７を相互間に挟む位置で前記軸支持壁部６６ａに連設されて前記回転部材２３側に延出される一対の延出壁部６６ｂとを備え、それらの延出壁部６６ｂが前記回転部材２３に直接もしくは間接に固定されるので、回転部材２３に荷重が作用した際の前記軸支持部材６６の踏ん張り強度を高めることができる。

　また前記ベース部材２２を車両前後方向に移動可能とした移動手段３６を有し、前記係合手段６３が、平面視で前記移動手段３６を避けた位置に配置されるので、前記移動手段３６および前記係合手段６３が高さ方向で重ならないようにして、回転装置の高さ増大を抑制することができる。

　しかも前記係合手段６３が、平面視で前記移動手段３６の外側に配置されるので、回転装置のより外側寄りに前記係合手段６３が配置されることになり、車両用シート１１からかかる荷重を前記ベース部材２２のより外側で受けることができる。

　また前記移動手段３６が、車両フロア３５および前記ベース部材２２間に配置され、前記係止手段６２は、平面視で前記移動手段３６よりも外側に配置されるので、前記移動手段３６との干渉を回避して前記係止手段６２を配置しつつ、車両用シート１１からかかる荷重を前記ベース部材２２のより外側で受けることができる。

　また前記フック部材６８を前記ストライカ７０に係合する方向に回動付勢する第２のコイルばね７４が、前記軸支持部材６６および前記フック部材６８間に設けられるので、前記フック部材６８の前記ストライカ７０との係合状態を保持することができる。

　また前記係止手段６２および前記係合手段６３が、車両前後方向に間隔をあけるとともに車幅方向から見た側面視で前記回転部材２３の前端よりも後方かつ後端よりも前方に配置されつつ、車幅方向で前記ベース部材２２および前記回転部材２３の両側の２箇所にそれぞれ配設されるので、車両用シート１１を１８０度回転した２つの姿勢で保持することを可能としつつ、前記回転部材２３の前端よりも後方かつ後端より前方に配置することで、前記係止手段６２および前記係合手段６３をコンパクトに配置することができる。

　また車両前後方向に間隔をあけて配置される一対の前記係合手段６３が、それらの係合手段６３のフック部材６８の下端部を前記車両用シート１１の回転不能状態で相互に離反させる側への回動で、それらのフック部材６８が個別に係合していた前記ストライカ７０との係合を解除可能とした構造に構成されるので、回転不能状態で前記ストライカ７０との係合を解除する際に、前記フック部材６８同士が相互に干渉することを防止することができる。

　また前記係合手段６３が、当該係合手段６３の少なくとも上部を車両用シート１１の前記シートクッション１２に側面視で重ねる位置に配置されるので、車両用シート１１の高さ増大を抑えることができる。

　また複数の前記係合手段６３のうち少なくとも１つである特定の係合手段６３の少なくとも一部が、前記シートクッション１２に対して傾動可能なシートバック１３の傾動を可能とする状態ならびにその傾動を規制する状態を切り替え操作するリクライニングレバー１７に、側面視で重なって配置されるので、リクライニングレバー１７を備える車両用シート１１の回転装置の高さ増大を抑制することができる。

　また前記シートクッション１２を支持するシートクッションフレーム１５は、相互に離間した位置に並んで直線状に延びる一対のサイドフレーム１８と、それらのサイドフレーム１８の両端部間を連結するパンフレーム１９およびリヤパイプ２０とから成り、前記係合手段６３の少なくとも一部が前記サイドフレーム１８に側面視で重なる位置に配置されるので、車両用シート１１の回転装置の高さ増大を抑制することができる。

　さらに前記リクライニングレバー１７は、前記一対のサイドフレーム１８のうち一方のサイドフレーム１８の平面視で外側に配置され、前記特定の係合手段６３の少なくとも一部が、平面視で前記リクライニングレバー１７よりも外側に配置されるので、車両内シート１１側からかかる荷重を前記ベース部材２２のより外側で受けることができる。

　以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。

　上述の実施の形態では車両用内装品として車両用シート１１を取り上げて説明したが、車両用シート１１に限定されるものではない。

＜第２の課題の解決手段の実施形態＞
　以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら説明する。以下の説明で「前後」、「左右」および「上下」は、座った乗員が前向きとなる姿勢にシートがある状態で当該乗員から見た方向を言うものとする。

　本発明の第１の実施の形態について図１２～図１９を参照しながら説明すると、先ず図１２および図１３において、車両に搭載される車両用シート装置１１０のシート１１１は、乗員の座部を構成するシートクッション１１２と、そのシートクッション１１２の上方に配置されるシートバック１１３とを備え、前記シートクッション１１２の両側にはサイドカバー１１４がそれぞれ配設され、前記シートバック１１３の上部には乗員の頭部を受け止めるヘッドレスト１１５が配設される。

　図１４を併せて参照して、車両用シート装置１１０は、前記シート１１１をスライド可能とするために左右方向に間隔をあけつつ相互に平行に並んで直線状に延びる一対のスライドレール１１６と、前記シート１１１を回転可能に支持しつつ前記スライドレール１１６に沿って移動可能な回転機構１１７とを備える。

　前記車両用シート装置１１０のシートフレーム１１８は、前記シートクッション１１２を支持するシートクッションフレーム１１９と、前記シートクッション１１２の上方に配置されるシートバック１１３を支持するようにして前記シートクッションフレーム１１９に連結されるシートバックフレーム１２０とを備える。

　シートクッションフレーム１１９は、相互に左右方向に離間した位置に並ぶようにして前後方向に直線状に延びるように配置される一対のサイドフレーム１１９ａと、それらのサイドフレーム１１９ａの前端部間を連結するパンフレーム１１９ｂと、一対の前記サイドフレーム１１９ａの後端部間を連結するリヤパイプ１１９ｃとを有する。

　前記パンフレーム１１９ｂおよび前記リヤパイプ１１９ｃ間には、クッション側受圧部材１２１が架け渡される。このクッション側受圧部材１２１は、金属線を左右に蛇行するようにジグザグに湾曲して成る複数（この実施の形態では４個）のシートスプリング１２２を有し、それらのシートスプリング１２２は、隣接するシートスプリング１２２同士が左右対称となるように配置され、インサート成形によってそれらのシートスプリング１２２と一体に成形される樹脂製の複数の中間部連結部材１２３で、隣接のシートスプリング１２２同士が連結される。

　複数の前記シートスプリング１２２の前端部は、前記シートフレーム１１８における前記パンフレーム１１９ｂに設けられる係止部１２４にそれぞれ係合される。また相互に隣接するシートスプリング１２２の後端部は、前記シートフレーム１１８の前記リヤパイプ１１９ｃに係合されるとともに、インサート成形によってシートスプリング１２２と一体に成形される樹脂製の後端部連結部材１２５で連結されており、前記後端部連結部材１２５が、前記リヤパイプ１１９ｃを覆うように形成される。

　前記シートバックフレーム１２０は、相互に左右方向に離間した位置に並ぶようにして上下方向に延びる一対のシートバックサイドフレーム１２０ａと、それらのシートバックサイドフレーム１２０ａの上端部間を連結するアッパーフレーム１２０ｂと、一対の前記シートバックサイドフレーム１２０ａの下端部間を連結するロアフレーム１２０ｃとを有する。

　一対の前記シートバックサイドフレーム１２０ａ間には、樹脂等によって弾性変形可能に形成されるバック側受圧部材１２６が配置されており、このバック側受圧部材１２６は、上部連結ワイヤ１２７および下部連結ワイヤ１２８を介して左右の前記シートバックサイドフレーム１２０ａ間に架け渡される。

　図１５および図１６を併せて参照して、前記シートフレーム１１８は、前記回転機構１１７上に載置されており、この回転機構１１７は、前記スライドレール１１６に沿って移動可能なベース部材１２９と、前記シートフレーム１１８を支持して前記ベース部材１２９に回転可能に支持される環状の回転部材１３０と、当該回転部材１３０の一部を上方から覆って前記ベース部材１２９に固定されるカバー部材１３１とを備える。

　前記ベース部材１２９は、環状である第１底壁部１２９ａと、第１底壁部１２９ａの外周部から上方に立ち上がる円筒状の第１側壁部１２９ｂと、第１側壁部１２９ｂの上端部から外側方に張り出す第１鍔部１２９ｃとを有し、第１鍔部１２９ｃは矩形状に形成される。このベース部材１２９は、平面視で一対の前記スライドレール１１６の幅方向中央部よりも内側で前記クッション側受圧部材１２１よりも下方に配置される。

　また前記カバー部材１３１は、前記ベース部材１２９の第１底壁部１２９ａに上方から当接される環状の第２底壁部１３１ａと、その第２底壁部１３１ａの外周からわずかに上方に立ち上がる円筒状の第２側壁部１３１ｂと、上方に向かうにつれて大径となるように形成されて第２側壁部１３１ｂの上端部に連設される第１テーパ部１３１ｃと、第１テーパ部１３１ｃの上端部に連なる環状の第１平坦壁部１３１ｄと、第１平坦壁部１３１ｄの外周から上方に立ち上がる円筒状の第３側壁部１３１ｅとを有し、前記第２底壁部１３１ａは前記ベース部材１２９の前記第１底壁部１２９ａに複数のリベット１３２で結合される。

　前記回転部材１３０は、前記カバー部材１３１の前記第１テーパ部１３１ｃに外側方から対向する位置に配置されて上方に向かうにつれて大径となるように形成される第２テーパ部１３０ａと、前記カバー部材１３１の前記第２側壁部１３１ｂに外側方から対向するようにして前記第２テーパ部１３０ａの上端部から上方に立ち上がる円筒状の第３側壁部１３０ｂと、第３側壁部１３０ｂから外側方に張り出す第２鍔部１３０ｃとを有し、第２鍔部１３０ｃは矩形状に形成される。また第２鍔部１３０ｃに、前記シートフレーム１１８におけるシートクッションフレーム１１９の前記サイドフレーム１１９ａが複数ずつの第１のボルト１３４および第２のナット１３５で締結される。

　前記回転部材１３０は、前記ベース部材１２９が有する環状の回転支持部１３６に軸受１３７を介して回転可能に支持されており、前記回転支持部１３６は、前記ベース部材１２９における第１底壁部１２９ａと、前記第１側壁部１２９ｂとで横断面形状が略Ｌ字状となるように形成される。

　前記軸受１３７は、環状のリテーナ１３８の周方向複数箇所にボール１３９が保持されて成り、前記回転部材１３０における前記第１テーパ部１３１ｃには、前記ボール１３９を転動させるための環状凹部１４０が形成される。

　前記スライドレール１１６は、車両の床面１３３に固定される固定レール１４１と、その固定レール１４１に摺動可能に嵌合される可動レール１４２とから成る。前記床面１３３には、車両の前後方向に延びつつ上方に突出する突状部１３３ａが形成されており、この突状部１３３ａ上に前記固定レール１４１が固定されることで、前記回転機構１１７の下部を上下方向で前記スライドレール１１６の下端よりも下方に配置することが可能となる。

　前記可動レール１４２には、一対の前記スライドレール１１６の内側に延びて当該可動レール１４２と一体もしくは別体（この実施の形態では別体）に形成される支持ブラケット１４３が連設され、前記ベース部材１２９は、第２のボルト１４５と、その第２のボルト１４５に螺合される第２のナット１４６とで前記支持ブラケット１４３に締結される。すなわち前記ベース部材１２９は、前記支持ブラケット１４３を介して前記可動レール１４２に固定的に連結される。

　前記支持ブラケット１４３は、前記可動レール１４２に下面が溶接等で固着されるようにして当該可動レール１４２上に配置される平板状の取付け板部１４３ａと、前記スライドレール１１６の内側に隣接した位置で上下方向に延びて前記取付け板部１４３ａに直角に連なる側板部１４３ｂと、その側板部１４３ｂの下端から前記スライドレール１１６と反対側に延びて前記ベース部材１２９における第１鍔部１２９ｃに下方から当接する平板状の連結板部１４３ｃとを一体に有するように形成されており、前記連結板部１４３ｃが前記ベース部材１２９の前記第１鍔部１２９ｃに締結される。

　前記支持ブラケット１４３の前記側板部１４３ｂには第１フック部材１４７が溶接等で固定され、前記可動レール１４２に対する前記回転部材１３０の上方への浮き上がりを抑制する変形抑制機構１４９を前記第１フック部材１４７と協働して構成する第２フック部材１４８が、前記回転部材１３０における前記第３側板部１３０ｂに溶接等で固定されるとともに当該回転部材１３０の回転を許容して前記第１フック部材１４７に係合される。

　前記第１フック部材１４７は、左右一対の前記可動レール１４２の前端部および後端部にそれぞれ対応する部位の合計４箇所で前記支持ブラケット１４３に固定され、第２フック部材１４８は、前記回転部材１３０における前記第３側板部１３０ｂの前記第１フック部材１４７に対応する４箇所に固定される。

　図１７および図１８を併せて参照して、前記回転部材１３０の前記ベース部材１２９および前記カバー部材１３１に対するロック状態ならびにロック状態解除は、前記回転部材１３０に支持されるロック部材１５２の操作で切替えられるものであり、このロック部材１５２の作動に連動するがたつき抑制部材１５３が前記カバー部材１３１および前記回転部材１３０間に配置される。

　前記カバー部材１３１が有する第１テーパ部１３１ｃと、前記回転部材１３０が有する第２テーパ部１３０ａとの間には、上方に向かうにつれて大径となるテーパ状の押し出し部材１５４が配置される。この押し出し部材１５４の周方向に間隔をあけた複数箇所には、当該押し出し部材１５４の周方向に長く延びる収容孔１５５が設けられており、前記カバー部材１３１の前記第１テーパ部１３１ｃおよび前記回転部材１３０の第２テーパ部１３０ａ間に介在するがたつき抑制部材１５３が前記収容孔１５５に収容される。

　一方、前記回転部材１３０には、前記ロック部材１５２が鉛直な軸線を有する軸１５１を介して回動可能に支持されており、このロック部材１５２は、図１７（ａ）で示すように前記カバー部材１３１の前記第１テーパ部１３１ｃに係合して前記回転部材１３０の回転を阻止するロック位置と、図１７（ｂ）で示すように前記第１テーパ部１３１ｃとの係合を解除して前記回転部材１３０の回転を許容するロック解除位置との間での回動が可能であり、ばね１５６によって前記ロック位置側に回動付勢される。

　前記ロック部材１５２が有する連結腕部１５２ａは、前記回転部材１３０の前記第２テーパ部１３０ａに形成された挿通孔１５７に挿通され、前記連結腕部１５２ａの先端部は、前記押し出し部材１５４に形成される連結孔１５８に挿通可能であり、前記連結腕部１５２ａの先端部を前記連結孔１５８に挿通させることで前記押し出し部材１５４に前記ロック部材１５２が連結される。この連結腕部１５２ａは、図１７（ｂ）で示すように、前記ロック部材１５２がロック解除位置となったときに前記連結孔１５８に連結され、前記押し出し部材１５４にその回動方向への押圧力が前記連結腕部１５２ａから作用することになる。

　また前記ロック部材１５２が有する係合腕部１５２ｂは、図１７（ａ）で示す前記ロック位置では、前記回転部材１３０における前記第２テーパ部１３０ａに形成された第１の貫通孔１５９と、前記カバー部材１３１の第１テーパ部１３１ｃに形成された第２の貫通孔１６０に係合するものの、図１７（ｂ）で示すロック解除位置では前記第２の貫通孔１６０から離脱して前記カバー部材１３１との係合を解除するものであり、前記ロック位置および前記ロック解除位置間で前記係合腕部１５２ｂは前記押し出し部材１５４を跨ぐように作動する。

　前記回転部材１３０における前記第２テーパ部１３０ａには、前記がたつき抑制部材１５３の一部を収容する凹部１６１が前記がたつき抑制部材１５３を緊密に嵌合させることを可能として形成される。

　前記がたつき抑制部材１５３は、前記ロック部材１５２の前記ロック解除位置から前記ロック位置側への作動に応じた前記押し出し部材１５４の移動方向１６２に進むにつれて高さが次第に低くなる斜面１５３ａを有するようにして楔形に形成され、前記がたつき抑制部材１５３を緊密に嵌合させることを可能とした前記凹部１６１は、前記斜面１５３ａに対向する凹部側斜面１６１ａを有しつつ当該がたつき抑制部材１５３の一部を収容するようにして三角形状に形成される。

　また前記押し出し部材１５４に形成された前記収容孔１５５の長手方向両端部のうち前記移動方向１６２に沿う前端部と、前記がたつき抑制部材１５３との間には、コイルばね１６３が縮設されており、このコイルばね１６３が発揮するばね力で前記がたつき抑制部材１５３は前記移動方向１６２とは逆方向に付勢される。

　而して前記ロック部材１５２が前記ロック位置にあるときには、図１７（ａ）で示すように、前記がたつき抑制部材１５３の前記斜面１５３ａが、前記凹部１６１の前記凹部側斜面１６１ａに緊密に当接することで前記がたつき抑制部材１５２が前記回転部材１３０および前記カバー部材１３１に緊密に接触することになり、それにより回転部材１３０のがたつきが阻止される。

　また前記ロック部材１５２が前記ロック解除位置となったときには、図１７（ｂ）で示すように、前記収容孔１５１５の長手方向両端部のうち前記移動方向１６２に沿う後端部が前記がたつき抑制部材１５３に当接し、前記コイルばね１６３の勢力に抗して前記がたつき抑制部材１５３は前記移動方向１６２に押されることになり、前記がたつき抑制部材１５３の前記斜面１５３ａが前記凹部側斜面１６１ａから離反する側に前記がたつき抑制部材１５３が移動し、がたつき防止状態が解除されることになる。

　図１９を併せて参照して、前記回転機構１１７における前記回転部材１３０の上部外周の周方向に沿う少なくとも一部は、カバー１６５で外側方から覆われており、この実施の形態では、前記シートクッション１１２に座った乗員が車両前後方向前向きとなる状態では、前記回転部材１３０における前記第３側壁部１３０ｂの上部および第２鍔部１３０ｃを後方から覆う位置に前記カバー１６５が配置される。

　しかも前記シートクッション１１２に座った乗員が車両前後方向前向きとなる状態で前記回転部材１３０の上端部後端縁すなわち第２鍔部１３０ｃの後端縁には、前記シートクッション１１２の表皮１１２ａが連結されており、その表皮１１２ａの前記第２鍔部１３０ｃへの連結部に前記カバー１６５の上部が連接される。

　また前記カバー１６５は、前記シートクッションフレーム１１９の一部を構成する一対のサイドフレーム１１９ａに取付け腕１６６（図１６参照）を介して取付けられる。

　しかも前記カバー１６５は、平板状である上板１６５ａと、その上板１６５ａに下方から対向する下板１６５ｂと、前記上板１６５ａおよび前記下板１６５ｂの前記回転部材１３０とは反対側の端部間を連結する連結板１６５ｃと、前記上板１６５ａ、前記下板１６５ｂおよび前記連結板１６５ｃの幅方向両端を連結する端壁１６５ｄとを一体に有しており、このカバー１６５の外側面すなわち前記連結板１６５ｃの外側面は、前記回転部材１３０の外側方に膨らんだ円弧状に形成される。

　また前記シートクッション１１２に座った乗員が車両前後方向前向きとなる状態で少なくとも前記ベース部材１２９を後方から覆う固定カバー部材１６７が、前記カバー１６５の下方に固定配置されており、この固定カバー部材１６７は、たとえば前記スライドレール１１６における固定レール１４１の車両前後方向後端部に取付けられる。

　前記固定カバー部材１６７は、上記カバー１６５と同様に、平板状である上板１６７ａと、その上板１６７ａに下方から対向する下板１６７ｂと、前記上板１６７ａおよび前記下板１６７ｂの前記回転部材１３０とは反対側の端部間を連結する連結板１６７ｃと、前記上板１６７ａ、前記下板１６７ｂおよび前記連結板１６７ｃの幅方向両端を連結する端壁１６７ｄとを一体に有しており、前記連結板１６７ｃの外側面は、前記回転部材１３０の外側方に膨らんだ円弧状に形成される。

　しかも前記固定カバー部材１６７は、前記カバー１６５の下部に相対摺動可能に接触するものであり、前記固定カバー部材１６７の上端部の上板部１６７ａが前記カバー１６５における前記下板１６５ｂの下面に相対摺動可能に接触する。

　ところで前記サイドフレーム１１９ａは、サイドカバー１１４で外側方から覆われるのであるが、このサイドカバー１１４の下端位置は、図１５で示すように、前記支持ブラケット１４３における前記取付け板部１４３ａの上面よりも上下方向でわずかに上方にあるように設定され、図１３で示すように、上下方向での位置が前記カバー１６５の下端位置と同一である。

　次にこの第１の実施の形態の作用について説明すると、車両用シート装置１１０が備える回転機構１１７の一部を構成する回転部材１３０の上部外周の周方向に沿う少なくとも一部が、カバー１６５で外側方から覆われるので、少なくとも前記カバー１６５で覆われている部位では異物が回転機構１１７内に侵入することを抑制することができる。

　また前記カバー１６５が、前記シートクッション１１２に座った乗員が車両前後方向前向きとなる状態では前記回転部材１３０の上部外周を後方から覆う位置に配置されるので、運転席や助手席が前向きとなる状態での後方の同乗者席側からの異物の回転機構１１７への侵入を抑制することができる。

　またシートクッション１１２に座った乗員が車両前後方向前向きとなる状態で前記回転部材１３０の上端部後端縁に、前記シートクッション１１２の表皮１１２ａが前記カバー１６５の外面に接触しつつ連結されるので、前記カバー１６５の上部を前記シートクッション１１１２の表皮１１２ａに連接することができ、運転席や助手席が前向きとなる状態での後方の同乗者席側からの異物の回転機構１１７への侵入をより効果的に抑制することができる。

　また前記シートクッションフレーム１１９が、直線状に延びるとともに前記回転部材１３０に支持される一対のサイドフレーム１１４を有しており、前記カバー１６５がそれらのサイドフレーム１１４に取付けられるので、簡単な構造で前記カバー１６５をシート１１１とともに回転させるようにすることができる。

　また前記カバー１６５の外側面が、前記回転部材１３０の外側方に膨らんだ円弧状に形成されるので、シート１１１とともに前記カバー１６５が回転する際に、車室内のフロア上にある荷物等と前記カバー１６５が接触したとしても前記カバー１６５ひいてはシート１１１の円滑な回転を実現することができる。

　また前記シートクッション１１２に座った乗員が車両前後方向前向きとなる状態で少なくとも前記ベース部材１２９を後方から覆う固定カバー部材１６７が前記カバー１６５の下方に固定配置されるので、運転席や助手席が前向きとなる状態での後方の同乗者席側からの異物の回転機構１１７への侵入を抑制することができる。

　しかも前記固定カバー部材１６７が前記カバー１６５の下部に相対摺動可能に接触するので、運転席や助手席が前向きとなる状態での後方の同乗者席側からの異物の回転機構１１７への侵入をより効果的に抑制することができる。また前記固定カバー部材１６７の外側面が、その上方の前記カバー１６５と同様に前記回転部材１３０の外側方に膨らんだ円弧状に形成されるので、前記シート１１１の回転途中で、前記カバー１６５を含む前記シート１１１と、前記固定カバー部材１６７との間に隙間が生じることを極力抑制し、異物の回転機構１１７への侵入を効果的に抑制することができる。

　また前記シートクッション１１２を外側方から覆うサイドカバー１１４の下端位置が、前記カバー１６５の下端位置と同一に設定されるので、運転席や助手席が車幅方向に向いた状態での後方の同乗者席側からの異物の回転機構１１７への侵入を抑制することができる。

　図２０は本発明の第２の実施の形態を示すものであり、上記第１の実施の形態に対応する部分には、同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。

　シートバック１１３とともにシート１７１を構成するシートクッション１７２の下方には回転機構１１７が配置されており、この回転機構１１７の一部を構成する回転部材１３０が有する第２テーパ部１３０ａには、前記シートクッション１７２に座った乗員が車両前後方向前向きとなる状態で車両前後方向後方に突出するカバー取付け板１７４が固着される。

　一方、前記シートクッション１７２の表皮１７２ａの一部は、前記シートクッション１７２に座った乗員が車両前後方向前向きとなる状態では、前記回転部材１３０の上部外周を後方から覆うカバー１７５を形成するようにして下方に延長されており、このカバー１７５の下端縁部が前記カバー取付け板１７４に固定的に連結されるものであり、この実施の形態では縫着によって前記カバー１７５の下端縁部に固着されたフック１７６が、前記カバー取付け板１７４の端縁部に係合される。これにより前記カバー１７５は、前記シートクッション１７２に座った乗員が車両前後方向前向きとなる状態では、前記回転部材１３０の上部外周を後方から覆いつつ前記カバー取付け板１７４に固定的に連結されることになるが、前記カバー１７５の下端縁が前記カバー取付け板１７４に接着等で直接固着されるようにしてもよい。

　また前記カバー１７５の下方には、前記シートクッション１７２に座った乗員が車両前後方向前向きとなる状態で少なくとも前記ベース部材１２９を後方から覆う固定カバー部材１７７が固定配置される。

　この固定カバー部材１７７は、たとえば前記スライドレール１１６における固定レール１４１の車両前後方向後端部に取付けられるものであり、前記スライドレール１１６の長手方向と直交する平面に沿って上下に延びる平板状の縦壁部１７７ａと、この縦壁部１７７ａの上端から車両前後方向後方に張り出す平板状の張り出し板部１７７ｂとを一体に有するように形成される。

　前記張り出し板部１７７ｂの車両前後方向に沿う後端縁は、前記フック１７６に接触し、回転部材１３０とともに回転する前記フック１７６の回転を円滑化するために前記回転部材１３０の回転軸線を中心とする円弧状に形成される。

　この第２の実施の形態によれば、シートクッション１７２の表皮１７２ａでカバー１７５が形成されるので、異物が回転機構１１７内に侵入することを抑制するにあたって部品点数が増大するのを回避することができる。

　図２１は本発明の第３の実施の形態を示すものであり、上記第１および第２の実施の形態に対応する部分には、同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。

　回転機構１１７における回転部材１３０（第１および第２の実施の形態参照）の上部外周の周方向に沿う少なくとも一部は、カバー１７８で外側方から覆われており、この実施の形態ではシートクッション１１２に座った乗員が車両前後方向前向きとなる状態では後方からカバー１７８で覆われる。

　このカバー１７８は、基本的には上述の第１の実施の形態のカバー１６５と同様に構成されるのであるが、前記シートクッションフレーム１１２の一部を構成する一対のサイドフレーム１１２（第１の実施の形態参照）を外側方から覆う一対のサイドカバー１１４の少なくとも一方と一体に形成される。しかも前記サイドカバー１１４の下端位置と、前記カバー１７７の下端位置と同一に設定され、前記カバー１７８の下方には固定カバー部材１６７が固定配置される。

　たとえば上述の実施の形態では、カバー１６５，１７８がシート１１１，１７１とともに回転するように構成されていたが、カバー１６５，１７８が固定位置に在るようにすることも可能である。

＜第３の課題の解決手段の実施形態＞
　以下、本発明の実施の形態を、添付の図面を参照しながら説明する。以下の説明で「前後」、「左右」および「上下」は、通常姿勢で着座した着座者の正面方向を前方としつつその状態で着座者から見た方向を言うものとする。

　先ず図２２において、車両用シート装置は、シート本体２１１をスライド可能とするために左右方向に間隔をあけつつ相互に平行に並んで直線状に延びる一対のスライドレール２１３と、前記シート本体２１１を回転可能に支持しつつ前記スライドレール２１３に沿って移動可能な回転機構２１４とを含む。

　前記シート本体２１１は、シートクッションフレーム２１６に支持されるシートクッション２１１ａと、前記シートクッションフレーム２１６に連結されるシートバックフレーム２１７に支持されて前記シートクッション２１１ａの上方に配置されるシートバック２１１ｂと、前記シートバックフレーム２１６に設けられるガイド筒２１８で高さ調整を可能として支持されるヘッドレスト２１１ｃとを備える。

　前記シートクッションフレーム２１６は、相互に左右方向に離間した位置に並ぶようにして前後方向に直線状に延びるように配置される一対のサイドフレーム２１６ａと、それらのサイドフレーム２１６ａの前端部間を連結するパンフレーム２１６ｂと、一対の前記サイドフレーム２１６ａの後端部間を連結するリヤパイプ２１６ｃとを有する。

　図２３および図２４を併せて参照して、前記シートクッションフレーム２１６には、前記シートクッション２１１ａの上方からの荷重を受けるクッション側受圧部材２１９が取付けられており、このクッション側受圧部材２１９は、金属線を左右に蛇行するようにジグザグに湾曲して成る複数（この実施の形態では４個）のシートスプリング２２０を有し、それらのシートスプリング２２０は、隣接するシートスプリング２２０同士が左右対称となるように配置され、インサート成形によってそれらのシートスプリング２２０と一体に成形される樹脂製の複数の中間部連結部材２２１で、隣接のシートスプリング２２０同士が連結される。

　複数の前記シートスプリング２２０の前端部は、前記シートクッションフレーム２１６における前記パンフレーム２１６ｂに設けられる係止部２２２にそれぞれ係合される。また相互に隣接するシートスプリング２２０の後端部は、前記シートクッションフレーム２１６の前記リヤパイプ２１６ｃに係合されるとともに、インサート成形によってシートスプリング２２０と一体に成形される樹脂製の後端部連結部材２２３で連結されており、前記後端部連結部材２２３が、前記リヤパイプ２１６ｃを覆うように形成される。

　すなわち前記クッション側受圧部材２１９は、前記シートクッションフレーム２１６の前記パンフレーム２１６ｂおよび前記リヤパイプ２１６ｃ間に架け渡されており、平面視で一対の前記サイドフレーム２１６ａ間に配置される。しかも図２４で示すように、前記クッション側受圧部材２１９の最下端２１９ａがシートクッションフレーム２１６がその後端部に備える前記リヤパイプ２１６ｃの近傍に在るようにして、前記クッション側受圧部材２１９の大部分は後下がりに傾斜して前記パンフレーム２１６ｂおよび前記リヤパイプ２１６ｃ間に架け渡される。

　再び図２２に注目して、前記シートバックフレーム２１７は、相互に左右方向に離間した位置に並ぶようにして上下方向に延びる一対のシートバックサイドフレーム２１７ａと、それらのシートバックサイドフレーム２１７ａの上端部間を連結するアッパーフレーム２１７ｂと、一対の前記シートバックサイドフレーム２１７ａの下端部間を連結するロアフレーム２１７ｃとを有する。

　一対の前記シートバックサイドフレーム２１７ａ間には、樹脂等によって弾性変形可能に形成されるバック側受圧部材２２４が配置されており、このバック側受圧部材２２４は、上部連結ワイヤ２２５および下部連結ワイヤ２２６を介して左右の前記シートバックサイドフレーム２１７ａ間に架け渡される。

　図２５～図２７を併せて参照して、前記シートクッションフレーム２１６は、前記回転機構２１４上に載置されており、この回転機構２１４は、前記スライドレール２１３に沿って移動可能なベース部材２２９と、前記シートクッションフレーム２１６を支持して前記ベース部材２２９に回転可能に支持される回転部材２３０と、当該回転部材２３０の一部を上方から覆って前記ベース部材２２９に固定されるカバー部材２３１とを備える。

　前記ベース部材２２９は、環状である第１の底壁部２２９ａと、第１の底壁部２２９ａの外周部から上方に立ち上がる円筒状の第１の側壁部２２９ｂと、第１の側壁部２２９ｂの上端部から外側方に張り出す第１の鍔部２２９ｃとを有し、第１の鍔部２２９ｃは矩形状に形成される。

　また前記カバー部材２３１は、前記ベース部材２２９の第１の底壁部２２９ａに上方から当接される環状の第２の底壁部２３１ａと、第２の底壁部２３１ａの外周から上方にわずかに立ち上がる円筒状の第２の側壁部２３１ｂと、上方に向かうにつれて大径となるように形成されて第２の側壁部２３１ｂの上端部に連なる第１のテーパ部２３１ｃと、第１のテーパ部２３１ｃの上端部から側方に張り出す環状の第１の平坦壁部２３１ｄと、第１の平坦壁部２３１ｄの外周から上方に立ち上がる円筒状の第３の側壁部２３１ｅとを有し、前記第２の底壁部２３１ａは前記ベース部材２２９の前記第１の底壁部２２９ａに複数のリベット２３２で結合される。

　前記回転部材２３０は、前記カバー部材２３１の前記第１のテーパ部２３１ｃに外側方から対向する位置に配置されて上方に向かうにつれて大径となるように形成される第２のテーパ部２３０ａと、前記カバー部材２３１の前記第３の側壁部２３１ｅに外側方から対向するようにして前記第２のテーパ部２３０ａの上端部から上方に立ち上がる円筒状の第４の側壁部２３０ｂと、第４の側壁部２３０ｂから外側方に張り出す第２の鍔部２３０ｃとを有し、第２の鍔部２３０ｃは矩形状に形成される。また第２の鍔部２３０ｃに、前記スライドレール２１３と平行に延びる連結部材２３３が複数ずつの第１のボルト２３４および第２のナット２３５で締結される。この連結部材２３３には、前記シートクッションフレーム２１６の前記サイドフレーム２１６ａが連結され、当該サイドフレーム２１６ａは、相互に離間した位置で並ぶようにしつつ直線状に延びて前記回転部材２３０の前記第２の鍔部２３０ｃ上に前記連結部材２３３を介して固定配置されることになる。

　前記回転部材２３０は、前記ベース部材２２９が有する環状の回転支持部２３６に軸受２３７を介して回転可能に支持されており、前記回転支持部２３６は、前記ベース部材２２９における第１の底壁部２２９ａと、前記第１の側壁部２２９ｂとで横断面形状が略Ｌ字状となるように形成される。

　前記軸受２３７は、環状のリテーナ２３８の周方向複数箇所にボール２３９が保持されて成り、前記回転部材２３０における前記第１のテーパ部２３１ｃには、前記ボール２３９を転動させるための環状凹部２４０が形成される。

　ところで、前記回転部材２３０の中央部には、少なくとも上方に開放する収容部２４１が形成される。この実施の形態で前記収容部２４１は、前記回転部材２３０における前記第２のテーパ部２３０ａおよび前記第４の側壁部２３０ｂによって、上方に開放するとともに下方にも開放するように構成されており、前記カバー部材２３１はその収容部２４１内に収容、配置される。

　ところで前記スライドレール２１３は、車両の前後方向に延びる固定レール２４５と、その固定レール２４５に摺動可能に嵌合される可動レール２４６とから成り、前記ベース部材２２９の前記第１の鍔部２２９ｃが、複数ずつの第２のボルト２４７および第２のナット２４８で前記可動レール２４６に締結される。

　前記回転部材２３０は、当該回転部材２３０および前記ベース部材２２９間に設けられる回転駆動装置２４９で回転駆動されるものであり、この回転駆動装置２４９は、アクチュエータ２５０と、当該アクチュエータ２５０が発揮する回転動力で回転する出力ギヤ２５１と、当該出力ギヤ２５１に噛合する入力ギヤ２５２とを備える。

　前記アクチュエータ２５０および前記出力ギヤ２５１は、前記回転部材２３０および前記ベース部材２２９の一方側に取付けられ、前記入力ギヤ２５２は、前記回転部材２３０および前記ベース部材２２９の他方側に固定される。

　しかも前記アクチュエータ２５０は、前記ベース部材２２９および前記回転部材２３０のうち上下方向での長さが大きい方に取付けられるものであり、この実施の形態では、前記アクチュエータ２５０は前記回転部材２３０側に取付けられ、前記入力ギヤ２５２は前記ベース部材２２９に固定される。

　前記アクチュエータ２５０は、車幅方向に延びる回転軸線を有する電動モータ２５３と、当該電動モータ２５３のケース２５４に連結されるギヤボックス２５５と、回転軸線を前記回転部材２３０の回転軸線２Ｃと平行にして前記ギヤボックス２５５から突出される出力軸２５６とを備え、前記出力ギヤ２５１は前記出力軸２５６に設けられる。前記ギヤボックス２５５内には、前記電動モータ２５３の回転動力を減速しながら回転方向を９０度変換して前記出力軸２５６に伝達するようにしたギヤ減速機構（図示せず）が収容され、このギヤ減速機構は、出力軸２５６側からの回転動力が前記電動モータ２５３側に伝達されるのを阻止するようにしてウォームギヤを含む構成とされている。

　前記回転部材２３０は１８０度の範囲で回転駆動されるものであり、前記入力ギヤ２５２は、内周部にギヤ部２５２ａを有して略１８０度にわたる円弧状に形成され、前記ベース部材２２９が備える第１の底壁部２２９ａの内周部下面に前記ギヤ部２５２ａを前記第１の底壁部２２９ａの内周から半径方向内方に突出させるようにして固定される。これにより前記ギヤ部２５２ａは、前記回転部材２３０の回転軸線２Ｃ側を向いて配置されることになる。

　前記入力ギヤ２５２の前記ベース部材２２９への固定にあたっては、前記カバー部材２３１の前記第２の底壁部２３１ａを前記ベース部材２２９の前記第１の底壁部２２９ａに結合するようにした複数のリベット２３２の一部が、前記第１の底壁部２２９ａを挟んで前記第２の底壁部２３１ａおよび前記入力ギヤ２５２を前記第１の底壁部２２９ａに共に結合するために用いられる。この際、前記入力ギヤ２５２の周方向端部が、前記第２の底壁部２３１ａおよび前記入力ギヤ２５２を前記第１の底壁部２２９ａに共に結合するため前記リベット２３２に対応する部位に配置される場合には、入力ギヤ２５２の周方向長さを無駄に長くすることを回避するために、図２６で示すように、前記入力ギヤ２５２の周方向端部に切欠き２５７が形成されるようにしてもよい。

　ところで前記回転部材２３０には、平面視で前記回転部材２３０の外周２３０ｄよりも内側に配置される取付け部材２５８が取付けられ、前記電動モータ２５３を含む前記アクチュエータ２５０が前記取付け部材２５８に取付けられる。すなわち前記アクチュエータ２５０の前記ギヤボックス２５５が前記取付け部材２５８の上面に取付けられ、前記取付け部材２５８を貫通する前記出力軸２５６に前記出力ギヤ２５１が設けられる。

　前記取付け部材２５８は、前記回転部材２３０の回転軸線２Ｃよりも前方に配置される。この取付け部材２５８は、前記回転部材２３０における前記第３鍔部２３０ｃの上面に結合される被結合板部２５８ａを両端部に有して前記スライドレール２１３の長手方向と直交するように延びるものであり、一対の前記被結合板部２５８ａと、前記回転部材２３０の半径方向内方に向かうにつれて下方位置となるように傾斜しつつ上端部が前記被結合板部２５８ａに連設される左右一対の傾斜板部２５８ｂと、それらの傾斜板部２５８ｂの下端間を結ぶ平坦な支持板部２５８ｃを一体に有するように形成される。

　ところで前記傾斜板部２５８ｂは、前記カバー部材２３１における第１のテーパ部２３１ｃに内方から対向しつつ前記回転部材２３０の中央部の前記収容部２４１内に配置されるものであり、前記回転部材２３０の第２のテーパ部２３０ａは前記第１のテーパ部２３１ｃに外方から対向するものであるので、前記傾斜板部２５８ｂは、前記回転部材２３０の前記第２のテーパ部２３０ａに沿って傾斜して前記収容部２４１内に配置されることになる。

　前記アクチュエータ２５０は、前記取付け部材２５８における前記支持板部２５８ｃの上面に取付けられ、前記取付け板部２５８に取付けられた状態で前記アクチュエータ２５０は、前記クッション側受圧部材２１９との干渉を回避しつつ当該クッション側受圧部材２１９の下方に配置される。

　ところで前記カバー部材２３１の前記第１のテーパ部２３１ｃと、前記回転部材２３０の前記第２のテーパ部２３０ａとの間には、それらのテーパ部２３１ｃ，２３０ａにそれぞれ摺接する環状のスライダー２６０が介装される。このスライダー２６０は、前記アクチュエータ２５０による電動力に代えて前記回転機構２１４に人力を作用させることで前記回転部材２３０を回転させるようにした車両用シート装置と、前記カバー部材２３１および前記回転部材２３０を共用化させるために用いられるものであり、人力による回転を可能とした車両用シート装置では回転部材２３０の回転を阻止するロック状態において前記回転部材２３０のがたつきを抑制するための機構の一部を構成する環状の部材が、前記スライダー２６０に代えて前記第１のテーパ部２３１ｃおよび前記第２のテーパ部２３０ａ間に介装される。

　前記シートクッションフレーム２１６の前部を構成するパンフレーム２１６ｂの前端縁よりも後方にはブロワー２６５が配置されており、このブロワー２６５に一端部２６６ａが接続されるダクト２６６の他端部２６６ｂに吹き出し口となる開口部２６７が形成される。

　前記ブロワー２６５は、図２４で示すように、前記パンフレーム２１６ｂの下部に支持部材２６８を介して取付けられており、前記開口部２６７は、平面視で前記環状回転部材２３０の径方向内側であって前記カバー部材２３１の径方向内側に配置される。しかも前記開口部２６７は、前記シートクッション２１１ａ側に向けて開口するものであり、平面視では図２３で明示するように、前記クッション側受圧部材２１９を構成する複数のシートスプリング２２０のうち相互に隣接する一対のシートスプリング２２０相互間に配置される。

　また前記ダクト２６６の他端部２６６ｂは、前記クッション側受圧部材２１９よりも上方にわずかに突出するものであり、前記開口部２６７の上端開口縁２６７ａが、側面視で前記環状回転部材２３０よりも上方に配置される。

　また前記ダクト２６６の一端部２６６ａは、前記環状回転部材２３０の上端よりも上方で平面視では前記環状回転部材２３０と重なるようにして前記ブロワー２６５に接続され、当該ダクト２６６の中間部が、側面視で前記環状回転部材２３０と重なるように配置されて前記収容部２４１に収容される。

　ところで第１の電気機器である前記電動モータ２５３の作動は第１のＥＣＵ２７０で制御され、第２の電気機器である前記ブロワー２６５の作動は第２のＥＣＵ２７１で制御されるものであり、第１および第２のＥＣＵ２７０，２７１は、平面視で前記回転部材２３０の中央部の収容部２４１内に在るとともにそれらのＥＣＵ２７０，２７１の少なくとも一部（この実施の形態では全部）が側面視で前記回転部材２３０に重なる位置に配置される。

　しかも前記第１のＥＣＵ２７０および前記第２のＥＣＵ２７１は、前記回転部材２３０が有する第２のテーパ部２３０ａに沿って傾斜した姿勢で配置されるものであり、前記電動モータ２５３を含む前記アクチュエータ２５０を取付けるために前記回転部材２３０に取付けられた前記取付け部材２５８に、前記第１のＥＣＵ２７０および前記第２のＥＣＵ２７１が取付けられる。すなわち前記取付け部材２５８は、前記第２のテーパ部２３０ａに沿うように傾斜しつつ前記回転部材２３０の中央部の前記収容部２４１内に配置された一対の傾斜板部２５８ｂを有しており、前記第１のＥＣＵ２７０および前記第２のＥＣＵ２７１は、前記第２のテーパ部２３０ａに沿うように傾斜して前記収容部２４１内に配置される一対の前記傾斜板部２５８ｂにそれぞれ取付けられる。

　前記第１のＥＣＵ２７０および前記第２のＥＣＵ２７１は、前記アクチュエータ２５０と同様に、前記クッション側受圧部材２１９との干渉を回避しつつ当該クッション側受圧部材２１９の下方に配置され、前記傾斜板部２５８ｂに取付けられる。しかも図２４で示すように、前記アクチュエータ２５０と、前記第１のＥＣＵ２７０および前記第２のＥＣＵ２７１が取付けられる前記取付け部材２５８は、側面視で前記クッション側受圧部材２１９の最下端２１９ａよりも前方で前記クッション側受圧部材２１９の下方に在り、前記第１のＥＣＵ２７０および前記第２のＥＣＵ２７１は、側面視で前記クッション側受圧部材２１９の最下端２１９ａの直下を避けた位置に配置されることになる。

　次にこの実施の形態の作用について説明すると、回転機構２１４の一部を構成する回転部材２３０の中央部に少なくとも上方に開放する円形の収容部２４１が形成され、電動モータ２５３の作動を制御する第１のＥＣＵ２７０ならびにブロワー２６５の作動を制御する第２のＥＣＵ２７１が、平面視で前記収容部２４１内に在るとともにそれらのＥＣＵ２２７０，２７１の少なくとも一部が側面視で前記回転部材２３０に重なる位置に配置されるので、前記回転部材２３０からの前記第１のＥＣＵ２７０および前記第２のＥＣＵ２７１の上方への突出を抑えることで、前記第１および第２のＥＣＵ２７０，２７１の配置によってシートクッション２１１ａの高さが高くなるのを回避しつつ、回転部材２３０の回転軸線２Ｃに直交する方向で車両用シート装置が大型化することも回避することができる。しかもこの実施の形態では、第１および第２のＥＣＵ２７０，２７１の全部が側面視で前記回転部材２３０に重なる位置に配置されるので、前記回転部材２３０からの前記第１のＥＣＵ２７０および前記第２のＥＣＵ２７１の上方への突出を抑えてシートクッション２１１ａの高さが高くなるのをより効果的に抑えて前記第１のＥＣＵ２７０および前記第２のＥＣＵ２７１を配置することができる。

　また前記回転部材２３０が、上方に向かうにつれて大径となるように形成される第２のテーパ部２３０ａと、その第２のテーパ部２３０ａと協働して前記収容部２４１を形成するようにして当該第２のテーパ部２３０ａの上端部から上方に立ち上がる円筒状の第４の側壁部２３０ｂと、その第４の側壁部２３０ｂから外側方に張り出す第２の鍔部２３０ｃとを有するように形成され、前記第１および第２のＥＣＵ２７０，２７１が前記第２のテーパ部２３０ａに沿って傾斜した姿勢で配置されるので、前記回転部材２３０からの前記第１および第２のＥＣＵ２７０，２７１の上方への突出をより効果的に抑え、前記シートクッション２１１ａの高さをより効果的に抑えることができる。

　また前記ベース部材２２９および前記回転部材２３０のうち上下方向での長さが大きい方である前記回転部材２３０側に、前記電動モータ２５３と、前記第１および第２のＥＣＵ２７０，２７１とが取付けられており、車両用シート装置の高さが高くなるのを抑制しつつ前記電動モータ２５３と、前記第１および第２のＥＣＵ２７０，２７１とを配置するスペースを容易に確保することができる。

　また前記回転部材２３０に、平面視で当該回転部材２３０の外周２３０ｄよりも内側に配置される取付け部材２５８が取付けられ、前記第１および第２のＥＣＵ２７０，２７１が前記取付け部材２５８に取付けられるので、前記第１および第２のＥＣＵ２７０，２７１を取付けるための前記取付け部材２５８の配置によって回転部材２３０の回転軸線２Ｃに直交する方向で車両用シート装置が大型化するのを回避することができる。

　しかも前記取付け部材２５８には、前記第１のＥＣＵ２７０および前記第２のＥＣＵ２７１だけでなく、前記回転部材２３０を回転駆動する動力を発揮する電動モータ２５３も取付けられているので、電動モータ２５３を取付けるための前記取付け部材２５８の配置によっても回転部材２３０の回転軸線２Ｃに直交する方向で車両用シート装置が大型化するのを回避しつつ、前記電動モータ２５３と、その電動モータ２５３の作動を制御する第１のＥＣＵ２７０とを接続し易くすることができる。

　しかも前記取付け部材２５８が前記回転部材２３０に取付けられることにより、前記回転部材２３０の回転時に、前記電動モータ２５３と、前記第１および第２のＥＣＵ２７０，２７１とも前記ベース部材２２９に対して回転することになり、前記電動モータ２５３と、その電動モータ２５３の作動を制御する第１のＥＣＵ２７０との接続配線をコンパクトに集約することができる。

　また前記取付け部材２５８が、前記回転部材２３０の前記第２のテーパ部２３０ａに沿って傾斜して前記収容部２４１内に配置される傾斜板部２５８ｂを有し、前記第１および第２のＥＣＵ２７０，２７１が前記傾斜板部２５８ｂに取付けられるので、前記第１および第２のＥＣＵ２７０，２７１を前記回転部材２３０の前記第２のテーパ部２３０ａに沿わせた傾斜姿勢で前記取付け部材２５８に容易に取付けて、前記回転部材２３０からの前記第１および第２のＥＣＵ２７０，２７１の上方への突出を抑えることができる。

　また前記取付け部材２５８が、前記回転部材２３０の回転軸線２Ｃよりも前方で前記回転部材２３０の前記第２の鍔部２３０ｃに結合され、前記第１および第２のＥＣＵ２７０，２７１は、前記シートクッション２１１ａの上方からの荷重を受けるようにしてシートクッションフレーム２１６に取付けられるクッション側受圧部材２１９との干渉を避ける位置で前記傾斜板部２５８ｂに取付けられるので、車両用シート装置が上下方向に大型化することを回避することができる。

　さらに前記電動モータ２５０と、前記第１および第２のＥＣＵ２７０，２７１とが、側面視で前記クッション側受圧部材２１９の最下端２１９ａの直下を避けて配置されるので、前記電動モータ２５３と、前記第１および第２のＥＣＵ２７０，２７１とが、前記クッション側受圧部材２１９と干渉するのをより容易に避けることができる。しかも前記電動モータ２５０と、前記第１および第２のＥＣＵ２７０，２７１とは、前記クッション側受圧部材２１９の最下端２１９ａよりも前方で前記クッション側受圧部材２１９の下方に配置されており、クッション側受圧部材２１９の下方のスペースを有効利用して、前記電動モータ２５０と、前記第１および第２のＥＣＵ２７０，２７１とを配置することができる。

　たとえば上述の実施の形態では、電動モータ２５３の作動を制御する第１のＥＣＵ２７０ならびにブロワー２６５の作動を制御する第２のＥＣＵ２７１を取り上げて説明したが、本発明は、車両用シート装置が備える電気機器の作動を制御するＥＣＵに広く適用することができる。

　また上述の実施の形態では、回転部材２３０に取付けられる取付け部材２５８に第１および第２のＥＣＵ２７０，２７１が取付けられるようにしたが、ＥＣＵが回転部材２３０に直接取付けられるようにしてもよい。

＜第４の課題の解決手段の実施形態＞
　以下、本発明の実施の形態を、添付の図面を参照しながら説明する。以下の説明で「前後」、「左右」および「上下」は、通常姿勢で着座した着座者の正面方向を前方としつつその状態で着座者から見た方向を言うものとする。

　本発明の第１の実施の形態について図２８～図３３を参照しながら説明すると、先ず図２８において、車両に搭載される車両用シートのシート本体３１１は、シートクッション３１１ａと、そのシートクッション３１１ａの上方に配置されるシートバック３１１ｂとを備え、シートバック３１１ｂの上部には乗員の頭部を受け止めるヘッドレスト３１１ｃが配設される。

　前記シート本体３１１を支持するシートフレーム３１５は、前記シートクッション３１１ａを支持するシートクッションフレーム３１６と、前記シートバック３１１ｂを支持しつつ前記シートクッションフレーム３１６の後部に支軸３１２を介して連結されるシートバックフレーム３１７とを備え、車両前後方向に延びて車両の床面に設けられる左右一対のスライドレール３１３で車両前後方向にスライド可能なシート回転装置３１４を介して支持される。

　前記シートクッションフレーム３１６は、前記シート回転装置３１４が乗員を車両前後方向前方に向く姿勢とした状態で、前記スライドレール３１３の長手方向に沿って延びる左右一対のサイドフレーム３１６ａと、それらのサイドフレーム３１６ａの前端部間を連結するパンフレーム３１６ｂと、前記一対のサイドフレーム３１６ａの後部間を連結する連結パイプ３１６ｃとを備える。

　前記シートバックフレーム３１７は、上下方向に延びるとともに前記サイドフレーム３１６ａの後端部に前記支軸３１２を介して下端部が傾動可能に連結される左右一対のシートバックサイドフレーム３１７ａと、それらのシートバックサイドフレーム３１７ａの上端部間を連結するアッパーフレーム３１７ｂと、前記一対のシートバックサイドフレーム３１７ａの下端部間を連結するロアフレーム３１７ｃとを備え、前記アッパーフレーム３１７ｂには、前記ヘッドレスト３１１ｃの上下移動を案内する左右一対の管部材３１８が固定される。

　図２９および図３０を併せて参照して、前記シートクッションフレーム３１６の前記パンフレーム３１６ｂおよび前記リヤパイプ３１６ｃ間には、前記シートクッション３１１ａの上方からの荷重を受けるクッション側受圧部材３１９が掛け渡される。このクッション側受圧部材３１９は、金属線を左右に蛇行するようにジグザグに湾曲して成る複数（この実施の形態では４個）のシートスプリング３２０を有し、それらのシートスプリング３２０は、隣接するシートスプリング３２０同士が左右対称となるように配置され、インサート成形によってそれらのシートスプリング３２０と一体に成形される樹脂製の複数の中間部連結部材３２１で、隣接のシートスプリング３２０同士が連結される。

　複数の前記シートスプリング３２０の前端部は、前記シートフレーム３１５における前記パンフレーム３１６ｂに設けられる係止部３２２にそれぞれ係合される。また相互に隣接するシートスプリング３２０の後端部は、前記シートフレーム３１５および前記シートバックフレーム３１７間の前記支軸３１２に係合されるとともにインサート成形によってシートスプリング３２０と一体に成形される樹脂製の後端部連結部材３２３で連結されており、前記後端部連結部材３２３が、前記支軸３１２を覆うように形成される。

　再び図２８に注目して、前記シートバックフレーム３１７が備える一対のシートバックサイドフレーム３１７ａ間には、樹脂等によって弾性変形可能に形成されるバック側受圧部材３２４が配置されており、このバック側受圧部材３２４は、上部連結ワイヤ３２５および下部連結ワイヤ３２６を介して左右の前記シートバックサイドフレーム３１７ａ間に架け渡される。

　ところで前記スライドレール３１３は、車両前後方向に延びる固定レール３４５と、その固定レール３４５に摺動可能に嵌合される可動レール３４６とから成り、前記固定レール３４５の前部は車両の床面３４７に前部ブラケット３４８を介して固定され、前記固定レール３４５の後部は前記床面３４７に後部ブラケット３４９を介して固定される。しかも前記前部ブラケット３４８は、前記後部ブラケット３４９よりも高く形成されており、前記固定レール３４５すなわち前記スライドレール３１３は、車両前後方向後方に向かうにつれて低くなるように傾斜して車両前後方向に延びる。

　図３１および図３２を併せて参照して、前記シートクッションフレーム３１６は、前記シート回転装置３１４上に載置されており、このシート回転装置３１４は、前記スライドレール３１３に沿って移動可能なベース部材３２９と、前記シートクッションフレーム３１６を支持して前記ベース部材３２９に回転可能に支持される環状の回転部材３３０と、当該回転部材３３０の一部を上方から覆って前記ベース部材３２９に固定されるカバー部材３３１とを備える。

　前記ベース部材３２９は、環状である第１の底壁部３２９ａと、第１の底壁部３２９ａの外周部から上方に立ち上がる円筒状の第１の側壁部３２９ｂと、第１の側壁部３２９ｂの上端部から外側方に張り出す第１の鍔部３２９ｃとを有し、第１の鍔部３２９ｃは矩形状に形成される。

　また前記カバー部材３３１は、前記ベース部材３２９の第１の底壁部３２９ａに上方から当接される環状の第２の底壁部３３１ａと、第２の底壁部３３１ａの外周から上方にわずかに立ち上がる円筒状の第２の側壁部３３１ｂと、上方に向かうにつれて大径となるように形成されて第２の側壁部３３１ｂの上端部に連なる第１のテーパ部３３１ｃと、第１のテーパ部３３１ｃの上端部から側方に張り出す環状の第１の平坦壁部３３１ｄと、第１の平坦壁部３３１ｄの外周から上方に立ち上がる円筒状の第３の側壁部３３１ｅとを有し、前記第２の底壁部３３１ａは前記ベース部材３２９の前記第１の底壁部３２９ａに複数のリベット３３２で結合される。

　前記回転部材３３０は、前記カバー部材３３１の前記第１のテーパ部３３１ｃに外側方から対向する位置に配置されて上方に向かうにつれて大径となるように形成される第２のテーパ部３３０ａと、前記カバー部材３３１の前記第３の側壁部３３１ｅに外側方から対向するようにして前記第２のテーパ部３３０ａの上端部から上方に立ち上がる円筒状の第４の側壁部３３０ｂと、第４の側壁部３３０ｂから外側方に張り出す第２の鍔部３３０ｃとを有し、第２の鍔部３３０ｃは矩形状に形成される。

　前記回転部材３３０における前記第２の鍔部３３０ｃには、前記シートクッションフレーム３１６の前記サイドフレーム３１６ａと平行に延びるフレーム支持部材３３３が複数ずつの第１のボルト３３４および第２のナット３３５で締結される。このフレーム支持部材３３３には、前記サイドフレーム３１６ａが、昇降可能かつ相対回転不能に支持される。

　前記回転部材３３０は、前記ベース部材３２９が有する環状の回転支持部３３６に軸受３３７を介して回転可能に支持されており、前記回転支持部３３６は、前記ベース部材３２９における第１の底壁部３２９ａと、前記第１の側壁部３２９ｂとで横断面形状が略Ｌ字状となるように形成される。

　前記軸受３３７は、環状のリテーナ３３８の周方向複数箇所にボール３３９が保持されて成り、前記回転部材３３０における前記第１のテーパ部３３１ｃには、前記ボール３３９を転動させるための環状凹部３４０が形成される。

　ところで、前記回転部材３３０の中央部には、前記回転部材３３０における前記第２のテーパ部３３０ａおよび前記第４の側壁部３３０ｂによって、上方に開放するとともに下方にも開放するように構成されており、前記カバー部材３３１はその収容部３４１内に収容、配置される。

　また前記ベース部材３２９の前記第１の鍔部３２９ｃが、複数ずつの第２のボルト３４２および第２のナット３４３で前記可動レール３４６に締結される。

　前記回転部材３３０は、前記シートフレーム３１５および前記回転部材３３０の少なくとも一方（この実施の形態では前記回転部材３３０）に取付けられる第１の電装品としての回転用電気アクチュエータ３５０が発揮する動力で回転駆動されるものであり、この回転用電気アクチュエータ３５０が備える出力ギヤ３５１に、前記ベース部材３２９に設けられる入力ギヤ３５２が噛合される。

　前記回転用電気アクチュエータ３５０は、車幅方向に延びる回転軸線を有する電動モータ３５３と、当該電動モータ３５３のケース３５４に連結されるギヤボックス３５５と、回転軸線を前記回転部材３３０の回転中心３Ｃと平行にして前記ギヤボックス３５５から突出される出力軸３５６とを備え、前記出力ギヤ３５１は前記出力軸３５６に設けられる。前記ギヤボックス３５５内には、前記電動モータ３５３の回転動力を減速しながら回転方向を９０度変換して前記出力軸３５６に伝達するようにしたギヤ減速機構（図示せず）が収容され、このギヤ減速機構は、出力軸３５６側からの回転動力が前記電動モータ３５３側に伝達されるのを阻止するようにしてウォームギヤを含む構成とされている。

　前記回転部材３３０は１８０度の範囲で回転駆動されるものであり、前記入力ギヤ３５２は、内周部にギヤ部３５２ａを有して略１８０度にわたる円弧状に形成され、前記ベース部材３２９が備える第１の底壁部３２９ａの内周部下面に前記ギヤ部３５２ａを前記第１の底壁部３２９ａの内周から半径方向内方に突出させるようにして固定される。

　前記入力ギヤ３５２の前記ベース部材３２９への固定にあたっては、前記カバー部材３３１の前記第２の底壁部３３１ａを前記ベース部材３２９の前記第１の底壁部３２９ａに結合するようにした複数のリベット３２の一部が、前記第１の底壁部３２９ａを挟んで前記第２の底壁部３３１ａおよび前記入力ギヤ３５２を前記第１の底壁部３２９ａに共に結合するために用いられる。

　ところで前記回転部材３３０には、平面視で前記回転部材３３０の外周３３０ｄよりも内側に配置される取付け部材３５８が取付けられ、前記電動モータ３５３を含む前記アクチュエータ３５０が前記取付け部材３５８に取付けられる。すなわち前記アクチュエータ３５０の前記ギヤボックス３５５が前記取付け部材３５８の上面に取付けられ、前記取付け部材３５８を貫通する前記出力軸３５６に前記出力ギヤ３５１が設けられる。

　前記取付け部材３５８は、前記回転部材３３０の回転中心３Ｃよりも前方に配置される。この取付け部材３５８は、前記回転部材３３０における前記第３鍔部３３０ｃの上面に結合される被結合板部３５８ａを両端部に有して前記スライドレール３１３の長手方向と直交するように延びるものであり、一対の前記被結合板部３５８ａと、前記回転部材３３０の半径方向内方に向かうにつれて下方位置となるように傾斜しつつ上端部が前記被結合板部３５８ａに連設される左右一対の傾斜板部３５８ｂと、それらの傾斜板部３５８ｂの下端間を結ぶ平坦な支持板部３５８ｃを一体に有するように形成される。

　前記回転用電気アクチュエータ３５０の前記電動モータ３５３に連なる電線３５９は、前記回転部材３３０の回転中心３Ｃに固定配置される電線保持部材３６０で保持される。

　ところで前記カバー部材３３１の前記第１のテーパ部３３１ｃと、前記回転部材３３０の前記第２のテーパ部３３０ａとの間には、それらのテーパ部３３１ｃ，３３０ａにそれぞれ摺接する環状のスライダー３６１が介装される。このスライダー３６１は、前記回転用電気アクチュエータ３５０による電動力に代えて前記シート回転装置３１４に人力を作用させることで前記回転部材３３０を回転させるようにした車両用シート装置と、前記カバー部材３３１および前記回転部材３３０を共用化させるために用いられるものであり、人力による回転を可能とした車両用シート装置では回転部材３３０の回転を阻止するロック状態において前記回転部材３３０のがたつきを抑制するための機構の一部を構成する環状の部材が、前記スライダー３６１に代えて前記第１のテーパ部３３１ｃおよび前記第２のテーパ部３３０ａ間に介装される。

　また前記シートフレーム３１５および前記回転部材３３０の少なくとも一方、この実施の形態では前記シートフレーム３１５における前記シートクッションフレーム３１６の前記パンフレーム３１６ｂには、第２の電装品であるブロワー３６５が取付けられており、このブロワー３６５に一端部３６６ａが接続されるダクト３６６の他端部３６６ｂに吹き出し口となる開口部３６７が形成される。

　前記ブロワー３６５は、図３０で示すように、前記パンフレーム３１６ｂの下部にブロワー支持部材３６８を介して取付けられており、前記開口部３６７は、平面視で前記環状回転部材３３０の径方向内側であって前記カバー部材３３１の径方向内側に配置される。しかも前記開口部３６７は、前記シートクッション３１１ａ側に向けて開口するものであり、平面視では図２９で明示するように、前記クッション側受圧部材３１９を構成する複数のシートスプリング３２０のうち相互に隣接する一対のシートスプリング３２０相互間に配置される。

　また前記ダクト３６６の他端部３６６ｂは、前記クッション側受圧部材３１９よりも上方にわずかに突出するものであり、前記開口部３６７の上端開口縁３６７ａが、側面視で前記環状回転部材３３０よりも上方に配置される。

　前記ブロワー３６５の電動モータ（図示せず）に連なる電線３６９は、前記回転部材３３０の回転中心３Ｃに固定配置される前記電線保持部材３６０で保持される。

　図２８に注目して、前記シート回転装置３１４の前記回転部材３３０および前記シートフレーム３１５間にはリンク機構３７１が設けられており、このリンク機構３７１は、前記シートフレーム３１５における前記シートクッションフレーム３１６が有する一対のサイドフレーム３１６ａの内側で前記連結パイプ３１６ｃに一端部が回動可能に連結される左右一対のリンク部材３７２を備え、それらのリンク部材３７２の他端部は、前記回転部材３３０に固定される前記フレーム支持部材３３３に連結ピン３７３を介して回動可能に連結される。すなわち前記シートフレーム３１５における前記シートクッションフレーム３１６の前記サイドフレーム３１６ａは、前記回転部材３３０に固定された前記フレーム支持部材３３３に昇降可能に支持される。

　前記シートフレーム３１５および前記回転部材３３０の少なくとも一方、この実施の形態では前記シートフレーム３１５における一対の前記サイドフレーム３１６ａの一方の外側面には、第３の電装品である昇降用電気アクチュエータ３７４が、前記シートフレーム３１５を昇降させる動力を発揮することを可能として取付けられる。

　前記回転部材３３０に固定されるフレーム支持部材３３３および前記シートフレーム３１５間に設けられる前記リンク機構３７１が有する一対のリンク部材３７２のうち前記一方のサイドフレーム３１６ａ側のリンク部材３７２には、前記連結ピン３７３の軸線まわり回転し得るセクタギヤ（図示せず）が一体に設けられており、前記昇降用電気アクチュエータ３７４は前記セクタギヤに噛合する駆動ギヤ（図示せず）を備え、その駆動ギヤの回転によって前記セクタギヤを前記リンク部材３７２とともに前記連結ピン３７３の軸線まわりに回動駆動し、それによって前記シートフレーム３１５を昇降することができる。

　前記昇降用電気アクチュエータ３７４が有する電動モータ３７５に連なる電線３７６は、前記一方のサイドフレーム３１６ａに形成された挿通孔３７７から前記シート回転装置３１４の内側に導かれ前記電線保持部材３６０で保持される。

　前記シートフレーム３１５の前記シートバックフレーム３１７の下部には、第４の電装品である傾動用電気アクチュエータ３７８が取付けられる。この実施の形態では前記シートバックフレーム３１７が備える一対のシートバックサイドフレーム３１７ａの一方の下部に、前記傾動用電気アクチュエータ３７８が取付けられる。

　前記傾動用電気アクチュエータ３７８が有する電動モータ３７９に連なる電線３８０は前記シート回転装置３１４の内側に延出され、前記電線保持部材３６０で保持される。

　また前記シートクッションフレーム３１５に前記シートバックフレーム３１７を傾動可能に連結する前記支軸３１２の近傍で、前記シートバックフレーム３１７もしくは前記回転部材３３０（この実施の形態では前記シートバックフレーム３１７における前記一方のシートバックサイドフレーム３１７ａの下部）には、中間保持部材３８１が取付けられ、前記電線３８０はこの電線保持部材３８１を経て前記電線保持部材３６０に保持される。

　ところで第１の電装品である前記回転用電気アクチュエータ３５０、第２の電装品である前記ブロワー３６５、第３の電装品である前記昇降用電気アクチュエータ３７４ならびに第４の電装品である前記傾動用電気アクチュエータ３７８に個別に連なる電線３５９，３６９，３７６，３８０は、単一の前記電線保持部材３６０に集約して保持される。

　しかも前記電線保持部材３６０は、前記クッション側受圧部３１９の下方で前記電線３５９，３６９，３７６，３８０を保持する位置に配置されるものであり、前記クッション側受圧部材３１９に直接取付けられる。

　次にこの実施の形態の作用について説明すると、シート本体３１１を支持するシートフレーム３１５ならびに当該シートフレーム３１５を支持する回転部材３３０の少なくとも一方に取付けられる電装品が取付けられるものであり、この実施の形態では、前記シートフレーム３１５に電装品であるブロワー３６５、昇降用電気アクチュエータ３７４および傾動用電気アクチュエータ３７８が取り付けられ、前記回転部材３３０に電装品である回転用電気アクチュエータ３５０が取り付けられるのであるが、前記回転用電気アクチュエータ３５０に連なる電線３５９、前記ブロワー３６５に連なる電線３６９、前記昇降用電気アクチュエータ３７４に連なる電線３７６ならびに前記傾動用電気アクチュエータ３７８に連なる電線３８０が、前記回転部材３３０の回転中心３Ｃに固定配置される電線保持部材３６０で保持されるので、シート本体３１１の回転時に電線３５９，３６９，３７６，３８０に撓みが生じたり、損傷が生じたりすることを回避することができる。

　また複数の電装品である前記回転用電気アクチュエータ３５０、前記ブロワー３６５、前記昇降用電気アクチュエータ３７４および前記傾動用電気アクチュエータ３７８に個別に連なる電線３５９，３６９，３７６，３８０が、単一の前記電線保持部材３６０に集約して保持されるので、複数の前記電線３５９，３６９，３７６，３８０をコンパクトに集約して配線することができる。

　また、シートクッション３１１ａの上方からの荷重を受けるクッション側受圧部材３１９が、前記シートフレーム３１５の一部を構成して前記回転部材３３０に支持されるシートクッションフレーム３１６に取付けられ、前記電線保持部材３６０が前記クッション側受圧部材３１９の下方で前記電線３５９，３６９，３７６，３８０を保持する位置に配置されるので、乗員の座面側への前記電線保持部材３６０の突出を抑え、座面に座った乗員への前記電線保持部材３６０の干渉を避けることができる。

　しかも前記電線保持部材３６０が前記クッション側受圧部材３１９に直接取付けられるので、前記電線保持部材３６０を取り付けるための部材を新たに設けることなく、部品点数の増大を回避しながら前記電線保持部材３６０を前記回転部材３３０の回転中心３Ｃに効率的に配置することができる。

　さらに前記シートフレーム３１５が、前記回転部材３３０に支持されるシートクッションフレーム３１５と、当該シートクッションフレーム３１５に支軸３１２を介して傾動可能に取付けられるシートバックフレーム３１７とを備え、電装品である傾動用電気アクチュエータ３７８が、前記シートバックフレーム３１７を傾動駆動することを可能として前記シートバックフレーム３１７の下部に取付けられ、前記傾動用電気アクチュエータ３７８に連なる前記電線３８０が、前記支軸３１２の近傍で前記シートバックフレーム３１７に取付けられる中間保持部材３８１を経て前記電線保持部材３６０に保持されるので、シート本体３１１の回転およびシートバックフレーム３１７の傾動時に前記電線保持部材３６０および前記傾動用電気アクチュエータ３７８間の電線３８０に撓みや損傷が生じないようにすることができる。

　本発明の第２の実施の形態について図３３および図３４を参照しながら説明するが、上記第１の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。

　シート回転装置３１４におけるベース部材３２９には、保持部材用支持部３８３が取り付けられ、当該保持部材用支持部材３８３に、電線保持部材３８４が取付けられる。

　前記保持部材用支持部材３８３は、前記回転部材３３０の回転中心３Ｃを通るようにして前記ベース部材３２９に取り付けられており、前記電線保持部材３８４は、前記回転中心３Ｃに配置されるようにしつつ、電装品である回転用電気アクチュエータ３５０、ブロワー３６５、昇降用電気アクチュエータ３７４および傾動用電気アクチュエータ３７８に個別に連なる電線３５９，３６９，３７６，３８０を、前記保持部材用支持部材３８３の上方で保持して当該保持部材用支持部材３８３に取り付けられる。

　この第２の実施の形態によれば、上述の第１の実施の形態と同様に、シート本体３１１の回転時に電線３５９，３６９，３７６，３８０に撓みが生じたり、損傷が生じたりすることを回避することができるとともに、複数の前記電線３５９，３６９，３７６，３８０をコンパクトに集約して配線することができる。それに加えてシート回転装置３１４の組み立て時に電線保持部材３８４を容易に組み付けることができ、作業性が向上し、電線保持部材３８４が保持部材用支持部材３８３の上方で電線３５９，３６９，３７６，３８０を保持するので、電線３５９，３６９，３７６，３８０をシート回転装置３１４内にコンパクトに纏めて配線することができる。

　本発明の第３の実施の形態として、図３５で示すように、電装品である回転用電気アクチュエータ３５０、ブロワー３６５、昇降用電気アクチュエータ３７４および傾動用電気アクチュエータ３７８に個別に連なる電線３５９，３６９，３７６，３８０を保持する電線保持部材３８６が、シート回転装置３１４におけるベース部材３２９に取り付けられた保持部材用支持部材３８５に取り付けられ、前記電線３５９，３６９，３７６，３８０が、当該保持部材用支持部材３８５の下方かつ前記回転部材３３０の回転中心３Ｃに在るようにして前記電線保持部材３８６で保持される。

　この第３の実施の形態によれば、上述の第２の実施の形態と同様の効果を奏することができる上に、シート回転装置３１４の組み立て時にシート回転装置３１４の横倒し状態で作業を行なうことで電線３５９，３６９，３７６，３８０を電線保持部材３８６に容易に保持することができ、作業性が向上する。

Claims

　回転支持部（３０）を有するベース部材（２２）と、車両用内装品（１１）を支持するとともに前記回転支持部（３０）で回転自在に支持されて前記ベース部材（２２）の上方に配置される回転部材（２３）と、前記回転部材（２３）の回転可能状態および回転不能状態を切り替え可能な回転ロック手段（４５）と、前記ベース部材（２２）側に設けられる係止手段（６２）と、前記回転部材（２３）の非回転状態で前記係止手段（６２）に係合して前記回転部材（２３）の前記ベース部材（２２）からの剥離を抑制する状態ならびに前記回転部材（２３）が回転可能状態となったときには前記係止手段（６２）との係合を解除する状態を切り替え可能として前記回転部材（２３）側に設けられる係合手段（６３）とを備える車両用内装品（１１）の回転装置において、前記係止手段（６２）および前記係合手段（６３）が、少なくとも前記回転部材（２３）が非回転状態にあるときの平面視で前記回転部材（２３）よりも外側に配置されることを特徴とする車両用内装品の回転装置。
　前記係合手段（６３）が、当該係合手段（６３）の少なくとも一部を側面視で前記回転部材（２３）と重ねる位置に配置されることを特徴とする請求項１に記載の車両用内装品の回転装置。
　前記係止手段（６２）が、車両フロア（３５）に支持される前記ベース部材（２２）に当該係止手段（６２）の少なくとも一部を側面視で重ねる位置で前記ベース部材（２２）に固定されることを特徴とする請求項１または２に記載の車両用内装品の回転装置。
　前記係合手段（６３）が、前記回転部材（２３）に直接もしくは間接に固定される軸支持部材（６６）と、当該軸支持部材（６６）で支持される軸部材（６７）と、回動可能として前記軸部材（６７）で軸支されるフック部材（６８）とを備え、前記係止手段（６２）が、前記フック部材（６８）を係合可能としたストライカ（７０）と、当該ストライカ（７０）を支持して前記ベース部材（２２）に直接もしくは間接に固定されるストライカ支持部材（７１）とを備え、前記フック部材（６８）が前記ストライカ（７０）に係合する部位が平面視で前記軸支持部材（６６）の外側に設定されることを特徴とする請求項１～３のいずれか１項に記載の車両用内装品の回転装置。
　前記ストライカ（７０）が、側面視で前記回転部材（２３）の下端よりも下方に配置されることを特徴とする請求項４に記載の車両用内装品の回転装置。
　前記軸支持部材（６６）が、前記軸部材（６７）が固定されつつ平面視で前記回転部材（２３）の外側に配置される軸支持壁部（６６ａ）と、前記軸部材（６７）を相互間に挟む位置で前記軸支持壁部（６６ａ）に連設されて前記回転部材（２３）側に延出される一対の延出壁部（６６ｂ）とを備え、それらの延出壁部（６６ｂ）が前記回転部材（２３）に直接もしくは間接に固定されることを特徴とする請求項４または５に記載の車両用内装品の回転装置。
　前記ベース部材（２２）を車両前後方向に移動可能とした移動手段（３６）を有し、前記係合手段（６３）が、平面視で前記移動手段（３６）を避けた位置に配置されることを特徴とする請求項１～６のいずれか１項に記載の車両用内装品の回転装置。
　前記係合手段（６３）が、平面視で前記移動手段（３６）の外側に配置されることを特徴とする請求項７に記載の車両用内装品の回転装置。
　前記移動手段（３６）が、車両フロア（３５）および前記ベース部材（２２）間に配置され、前記係止手段（６２）は、平面視で前記移動手段（３６）よりも外側に配置されることを特徴とする請求項７または８に記載の車両用内装品の回転装置。
　前記フック部材（６８）を前記ストライカ（７０）に係合する方向に回動付勢する付勢部材（７４）が、前記軸支持部材（６６）および前記フック部材（６８）間に設けられることを特徴とする請求項４に記載の車両用内装品の回転装置。
　前記係止手段（６２）および前記係合手段（６３）が、車両前後方向に間隔をあけるとともに車幅方向から見た側面視で前記回転部材（２３）の前端よりも後方かつ後端よりも前方に配置されつつ、車幅方向で前記ベース部材（２２）および前記回転部材（２３）の両側の２箇所にそれぞれ配設されることを特徴とする請求項１～１０のいずれか１項に記載の車両用内装品の回転装置。
　車両前後方向に間隔をあけて配置される一対の前記係合手段（６３）が、それらの係合手段（６３）のフック部材（６８）の下端部を前記回転不能状態で相互に離反させる側への回動で、それらのフック部材（６８）が個別に係合していた前記ストライカ（７０）との係合を解除可能とした構造に構成されることを特徴とする請求項１１に記載の車両用内装品の回転装置。
　請求項１～請求項１２のいずれか１項に記載の車両用内装品の回転装置の前記車両用内装品が、シートクッション（１２）と、そのシートクッション（１２）の上方に配置されるシートバック（１３）とを有する車両用シート（１１）である車両用シートの回転装置であって、前記係合手段（６３）が、当該係合手段（６３）の少なくとも上部を側面視で前記シートクッション（１２）に重ねる位置に配置されることを特徴とする車両用シートの回転装置。
　前記シートクッション（１２）に対して傾動可能な前記シートバック（１３）の傾動を可能とする状態ならびにその傾動を規制する状態を切り替え操作するリクライニングレバー（１７）を備え、複数の前記係合手段（６３）のうち少なくとも１つである特定の係合手段（６３）の少なくとも一部が、側面視で前記リクライニングレバー（１７）と重なって配置されることを特徴とする請求項１３に記載の車両用シートの回転装置。
　前記シートクッション（１２）を支持するシートクッションフレーム（１５）は、相互に離間した位置に並んで直線状に延びる一対のサイドフレーム（１８）と、それらのサイドフレーム（１８）の両端部間を連結する一対の連結フレーム（１９，２０）とから成り、前記係合手段（６３）の少なくとも一部が前記サイドフレーム（１８）に側面視で重なる位置に配置されることを特徴とする請求項１４に記載の車両用シートの回転装置。
　前記リクライニングレバー（１７）は、前記一対のサイドフレーム（１８）のうち一方のサイドフレーム（１８）の平面視で外側に配置され、前記特定の係合手段（６３）の少なくとも一部が、平面視で前記リクライニングレバー（１７）よりも外側に配置されることを特徴とする請求項１４に記載の車両用シートの回転装置。