WO2020189414A1 - 防汚塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
塗膜物性が良好で、且つ、海水浸漬後初期段階での溶出速度が良好である塗膜を形成可能な防汚塗料組成物を提供する。 本発明によれば、共重合体A、硫酸塩B、および防汚薬剤Cを含有する防汚塗料組成物であって、前記共重合体Aは、単量体(a)と、前記単量体(a)以外のエチレン性不飽和単量体(b)との共重合体であり、前記単量体(a)は、一般式(1)で表され、前記硫酸塩Bは、硫酸マグネシウムと硫酸ナトリウムの少なくとも一方であり、前記防汚薬剤Cは、2-(p-クロロフェニル)-3-シアノー4-ブロモー5-トリフルオロメチルピロールと4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-3-イソチアゾロンの少なくとも一方である、防汚塗料組成物が提供される。
Description
本発明は、防汚塗料組成物に関する。
フジツボ、セルプラ、ムラサキイガイ、フサコケムシ、ホヤ、アオノリ、アオサ、スライム等の水棲汚損生物が、船舶(特に船底部分)や漁網類、漁網付属具等の漁業具や発電所導水管等の水中構造物に付着することにより、それら船舶等の機能が害される、外観が損なわれる等の問題がある。
このような問題を防ぐために、船舶等に防汚塗料組成物を塗布して防汚塗膜を形成し、防汚塗膜から防汚薬剤を徐放させることによって、長期間に渡って防汚性能を発揮させる技術が知られている(特許文献1)。
このような問題を防ぐために、船舶等に防汚塗料組成物を塗布して防汚塗膜を形成し、防汚塗膜から防汚薬剤を徐放させることによって、長期間に渡って防汚性能を発揮させる技術が知られている(特許文献1)。
前記防汚塗料からなる防汚塗膜は、海水浸漬後の比較的初期の期間においての溶出速度が不十分であり改善の余地があった。また、海水浸漬後初期段階での溶出速度を向上させるために親水性成分を添加していくと塗膜の物性を損ねてしまうという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、塗膜物性が良好で、且つ、海水浸漬後初期段階での溶出速度が良好である塗膜を形成可能な防汚塗料組成物を提供するものである。
本発明によれば、共重合体A、硫酸塩B、および防汚薬剤Cを含有する防汚塗料組成物であって、前記共重合体Aは、単量体(a)と、前記単量体(a)以外のエチレン性不飽和単量体(b)との共重合体であり、前記単量体(a)は、一般式(1)で表され、前記硫酸塩Bは、硫酸マグネシウムと硫酸ナトリウムの少なくとも一方であり、前記防汚薬剤Cは、2-(p-クロロフェニル)-3-シアノー4-ブロモー5-トリフルオロメチルピロールと4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-3-イソチアゾロンの少なくとも一方である、防汚塗料組成物が提供される。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、共重合体A、硫酸塩B、および防汚薬剤Cを含む組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下、本発明について詳細を説明する。
1.防汚塗料組成物
本発明の防汚塗料組成物は、共重合体A、硫酸塩B、および防汚薬剤Cを含有する。
1.防汚塗料組成物
本発明の防汚塗料組成物は、共重合体A、硫酸塩B、および防汚薬剤Cを含有する。
1-1.共重合体A
共重合体Aは、単量体(a)と、単量体(a)以外のエチレン性不飽和単量体(b)との共重合体である。共重合体Aは、単量体(a)および(b)に由来する単量体単位を含む。
共重合体Aは、単量体(a)と、単量体(a)以外のエチレン性不飽和単量体(b)との共重合体である。共重合体Aは、単量体(a)および(b)に由来する単量体単位を含む。
<単量体(a)>
単量体(a)は、メタリル酸トリオルガノシリル単量体であり、一般式(1)で表される。
(式中、R1はメチル基、R2~R4はそれぞれ同一又は異なって炭素数3~8の分岐アルキル基又はフェニル基を示す)
単量体(a)は、メタリル酸トリオルガノシリル単量体であり、一般式(1)で表される。
R2~R4の炭素数3~8の分岐アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、1-エチルプロピル基、1-メチルブチル基、1-メチルペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、テキシル基、シクロヘキシル基、1,1-ジメチルペンチル基、1-メチルヘキシル基、1,1-ジメチルヘキシル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルブチル基、2-エチルブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロヘキシルメチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、3-メチルペンチル基等が挙げられる。R2~R4として好ましいものは、イソプロピル基、s-ブチル基、t-ブチル基、フェニル基、及び2-エチルヘキシル基である。特に好ましいものは、イソプロピル基、及び2-エチルヘキシル基である。
単量体(a)としては、例えば、メタクリル酸トリイソプロピルシリル、メタクリル酸トリイソブチルシリル、メタクリル酸トリs-ブチルシリル、メタクリル酸トリイソペンチルシリル、メタクリル酸トリフェニルシリル、メタクリル酸ジイソプロピルフェニルシリル、メタクリル酸ジイソプロピルイソブチルシリル、メタクリル酸ジイソプロピルs-ブチルシリル、メタクリル酸ジイソプロピルイソペンチルシリル、メタクリル酸イソプロピルジイソブチルシリル、メタクリル酸イソプロピルジs-ブチルシリル、メタクリル酸t-ブチルジイソプチルシリル、メタクリル酸t-ブチルジイソペンチルシリル、メタクリル酸t-ブチルジフェニルシリル、メタクリル酸ジイソプロピルテキシルシリル、メタクリル酸ジイソプロピルシクロヘキシルシリル、メタクリル酸トリシクロヘキシルシリル、メタクリル酸トリ1,1-ジメチルペンチルシリル、メタクリル酸トリ2,2-ジメチルプロピルシリル、メタクリル酸トリシクロヘキシルメチルシリル、メタクリル酸ジイソプロピルシクロヘキシルメチルシリル、メタクリル酸トリ2-エチルヘキシルシリル、メタクリル酸トリ2-プロピルペンチルシリル等が挙げられる。好ましくは、メタクリル酸トリイソプロピルシリル、メタクリル酸トリs-ブチルシリル、メタクリル酸t-ブチルジフェニルシリル、メタクリル酸トリ2-エチルヘキシルシリル等が挙げられる。これらの単量体(a)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
<単量体(b)>
単量体(b)は、単量体(a)以外のエチレン性不飽和単量体であり、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、ビニル化合物、芳香族化合物、二塩基酸のジアルキルエステル化合物等が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステル、又はメタアクリル酸エステルを意味する。
単量体(b)は、単量体(a)以外のエチレン性不飽和単量体であり、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、ビニル化合物、芳香族化合物、二塩基酸のジアルキルエステル化合物等が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステル、又はメタアクリル酸エステルを意味する。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸2一エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロピレングリコールモノメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、
メタクリル酸2-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル、こはく酸モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル、N,N'-ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸2-(2-メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-(アセトアセチルオキシ)エチル、メタクリル酸2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル、N-ビニル-2-ピロリドン、アクリル酸2-[2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ]エチル、
4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、N-イソポロピルアクリルアミド、アクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸2-(2-エトキシエトキシ)エチル、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-[2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ]エチル、N,N'-ジエチルアクリルアミド、アクリル酸3-メトキシブチル、等のアクリル酸エステル類、
等が挙げられる。
メタクリル酸2-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル、こはく酸モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル、N,N'-ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸2-(2-メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-(アセトアセチルオキシ)エチル、メタクリル酸2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル、N-ビニル-2-ピロリドン、アクリル酸2-[2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ]エチル、
4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、N-イソポロピルアクリルアミド、アクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸2-(2-エトキシエトキシ)エチル、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-[2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ]エチル、N,N'-ジエチルアクリルアミド、アクリル酸3-メトキシブチル、等のアクリル酸エステル類、
等が挙げられる。
ビニル化合物としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルブチレート、ブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、N-ビニルピロリドン等の官能基を有するビニル化合物が挙げられる。
芳香族化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン等が挙げられる。
二塩基酸のジアルキルエステル化合物としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジメチル等が挙げられる。
本発明においては、これら単量体(b)を単独又は二種以上で用いることができる。特に、単量体(b)としては、塗膜物性の観点から、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、特に耐クラック性の観点から、メタクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸2一エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等がより好ましい。
共重合体A中の単量体(a)は、5~75質量%が好ましく、30~60質量%が更に好ましい。単量体(a)の含有量は、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
前記範囲内の共重合体Aを本発明の塗料組成物として使用した場合、特に塗膜溶解性が良好となる。
共重合体Aの重量平均分子量(Mw)は5000~300000であることが望ましい。分子量が5000未満であれば、防汚塗料の塗膜が脆弱となり、剥離やクラックを起こし易く、また、300000を超えると、重合体溶液の粘度が上昇し、取扱いが困難となるからである。このMwは、具体的には例えば、5000、10000、20000、30000、40000、50000、60000、70000、80000、90000、100000、200000、300000であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
Mwの測定方法としては、例えばゲル浸透クロマトグラフィー(GPC法)が挙げられる。
共重合体Aは、単量体(a)と単量体(b)とのランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、又はブロック共重合体のいずれの共重合体であってもよい。
共重合体Aは、例えば、重合開始剤の存在下、単量体(a)及び単量体(b)を重合させることにより得ることができる。
前記重合開始剤としては、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2'-アゾビスイソブチレート、ジメチル2,2'-アゾビスイソブチレート、2,2'-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-t-ヘキシルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカルボネート、ジ-t-ブチルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、t-アミルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-アミルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等の過酸化物等が挙げられる。これら重合開始剤は、単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。前記重合開始剤としては、特に、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2'-アゾビスイソブチレート及び1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートが好ましい。重合開始剤の使用量を適宜設定することにより、共重合体Aの分子量を調整することができる。
重合方法としては、例えば、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合、非水分散重合等が挙げられる。この中でも特に、簡便に、且つ、精度良く、共重合体Aを得ることができる点で、溶液重合、又は非水分散重合が好ましい。
前記重合反応においては、必要に応じて有機溶媒を用いてもよい。有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶剤;脂肪族炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸メトキシプロピル等のエステル系溶剤;イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤;ジオキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられる。
その中でも、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート、トルエン、キシレンが好ましい。これら溶媒については、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。
その中でも、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート、トルエン、キシレンが好ましい。これら溶媒については、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。
重合反応における反応温度は、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよく、通常50~160℃であり、好ましくは60~150℃である。
重合反応は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。
1-2.硫酸塩B
硫酸塩Bは、硫酸マグネシウムと硫酸ナトリウムの少なくとも一方である。
硫酸塩Bとしては、市販品として、例えば、硫酸マグネシウム(無水)(富士フイルム和光純薬株式会社製)、硫酸ナトリウム(無水)(富士フイルム和光純薬株式会社製)、硫酸マグネシウム七水和物(富士フイルム和光純薬)、硫酸ナトリウム十水和物(富士フイルム和光純薬)等が挙げられる。
中でも硫酸マグネシウムや硫酸ナトリウムの無水物が本願発明の効果を顕著に発現する点から好ましい。
硫酸塩Bは、硫酸マグネシウムと硫酸ナトリウムの少なくとも一方である。
硫酸塩Bとしては、市販品として、例えば、硫酸マグネシウム(無水)(富士フイルム和光純薬株式会社製)、硫酸ナトリウム(無水)(富士フイルム和光純薬株式会社製)、硫酸マグネシウム七水和物(富士フイルム和光純薬)、硫酸ナトリウム十水和物(富士フイルム和光純薬)等が挙げられる。
中でも硫酸マグネシウムや硫酸ナトリウムの無水物が本願発明の効果を顕著に発現する点から好ましい。
本発明の組成物中における硫酸塩Bの含有量は特に制限されないが、固形分換算で、通常0.1~2.0質量%であり、好ましくは0.3~1.5質量%である。硫酸塩Bを前記範囲内で使用した場合、特に浸漬後初期における塗膜溶解性が著しく良好となる。硫酸塩Bの含有量は、具体的には例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
1-3.防汚薬剤C
防汚薬剤Cは、2-(p-クロロフェニル)-3-シアノー4-ブロモー5-トリフルオロメチルピロールと4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-3-イソチアゾロンの少なくとも一方である。
2-(p-クロロフェニル)-3-シアノー4-ブロモー5-トリフルオロメチルピロールの市販品としては、例えば、Econea 028(ヤンセンPMP製)が挙げられる。
4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-3-イソチアゾロンの市販品としては、例えば、SEA-NINE 211N(ダウ・ケミカル製)が挙げられる。
本発明の組成物中における防汚薬剤Cの含有量は特に制限されないが、固形分換算で、通常0.1~10.0質量%であり、好ましくは0.5~7.0質量%であり、特に好ましくは4.0~6.0質量%である。防汚薬剤Cの含有量は、具体的には例えば、0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
防汚薬剤Cは、2-(p-クロロフェニル)-3-シアノー4-ブロモー5-トリフルオロメチルピロールと4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-3-イソチアゾロンの少なくとも一方である。
2-(p-クロロフェニル)-3-シアノー4-ブロモー5-トリフルオロメチルピロールの市販品としては、例えば、Econea 028(ヤンセンPMP製)が挙げられる。
4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-3-イソチアゾロンの市販品としては、例えば、SEA-NINE 211N(ダウ・ケミカル製)が挙げられる。
本発明の組成物中における防汚薬剤Cの含有量は特に制限されないが、固形分換算で、通常0.1~10.0質量%であり、好ましくは0.5~7.0質量%であり、特に好ましくは4.0~6.0質量%である。防汚薬剤Cの含有量は、具体的には例えば、0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
1-4.他の添加剤
さらに本発明の防汚塗料用樹脂には、必要に応じて、共重合体A以外の樹脂成分、溶出調整剤、可塑剤、防汚薬剤C以外の防汚薬剤、顔料、染料、消泡剤、脱水剤、揺変剤、有機溶剤等を添加して防汚塗料とすることができる。
さらに本発明の防汚塗料用樹脂には、必要に応じて、共重合体A以外の樹脂成分、溶出調整剤、可塑剤、防汚薬剤C以外の防汚薬剤、顔料、染料、消泡剤、脱水剤、揺変剤、有機溶剤等を添加して防汚塗料とすることができる。
他の樹脂成分としては、例えば、重合体Pなどが挙げられる。
重合体Pは、前記単量体(b)を重合することにより得られる重合体である。単量体(b)は、単量体(a)以外の任意のエチレン性不飽和単量体である。重合体Pの重合に用いる単量体(b)は、共重合体Aの重合に用いる単量体(b)と同一の組成であっても異なる組成であってもよい。
本発明においては、単量体(b)を単独又は二種以上で用いることができ、特に、共重合体Aとの相溶性の観点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸2一エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ベンジルが好ましい。
重合方法、開始剤、溶媒、温度、その他の条件、Mwの測定方法等は、共重合体Aで既記の手法が適用できる。
本発明の組成物中における重合体Pの含有量は特に制限されないが、共重合体Aとの含有割合が、固形分換算で、質量比(重合体P/共重合体A)は、通常0.1~9.0であり、好ましくは0.1~4.0である。
重合体Pは、前記単量体(b)を重合することにより得られる重合体である。単量体(b)は、単量体(a)以外の任意のエチレン性不飽和単量体である。重合体Pの重合に用いる単量体(b)は、共重合体Aの重合に用いる単量体(b)と同一の組成であっても異なる組成であってもよい。
本発明においては、単量体(b)を単独又は二種以上で用いることができ、特に、共重合体Aとの相溶性の観点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸2一エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ベンジルが好ましい。
重合方法、開始剤、溶媒、温度、その他の条件、Mwの測定方法等は、共重合体Aで既記の手法が適用できる。
本発明の組成物中における重合体Pの含有量は特に制限されないが、共重合体Aとの含有割合が、固形分換算で、質量比(重合体P/共重合体A)は、通常0.1~9.0であり、好ましくは0.1~4.0である。
前記溶出調整剤としては、例えば、ロジン、ロジン誘導体、ナフテン酸、シクロアルケニルカルボン酸、ビシクロアルケニルカルボン酸、バーサチック酸、トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸、及びこれらの金属塩等の、モノカルボン酸及びその塩、又は前記脂環式炭化水素樹脂が挙げられる。これらは単独又は2種以上で使用できる。
前記ロジン誘導体としては、水添ロジン、不均化ロジン、マレイン化ロジン、ホルミル化ロジン、重合ロジン等を例示できる。
前記脂環式炭化水素樹脂としては、市販品として、例えば、クイントン1500、1525L、1700(商品名、日本ゼオン社製)等が挙げられる。
この中でもロジン、ロジン誘導体、ナフテン酸、バーサチック酸、トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸、又はこれらの金属塩が好ましく、ロジン、ロジン誘導体が更に好ましい。
ロジン、ロジン誘導体を使用することにより、前記(A)、(B)および(C)成分を含む防汚塗料組成物の奏する塗膜の耐剥離性の向上性、および塗膜溶解性(特に初期段階における)の向上性が顕著となる。
前記ロジン誘導体としては、水添ロジン、不均化ロジン、マレイン化ロジン、ホルミル化ロジン、重合ロジン等を例示できる。
前記脂環式炭化水素樹脂としては、市販品として、例えば、クイントン1500、1525L、1700(商品名、日本ゼオン社製)等が挙げられる。
この中でもロジン、ロジン誘導体、ナフテン酸、バーサチック酸、トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸、又はこれらの金属塩が好ましく、ロジン、ロジン誘導体が更に好ましい。
ロジン、ロジン誘導体を使用することにより、前記(A)、(B)および(C)成分を含む防汚塗料組成物の奏する塗膜の耐剥離性の向上性、および塗膜溶解性(特に初期段階における)の向上性が顕著となる。
前記可塑剤としては、例えば、燐酸エステテル類、フタル酸エステル類、アジピン酸エステル類、セバシン酸エステル類、エポキシ化大豆油、アルキルビニルエーテル重合体、ポリアルキレングリコール類、t-ノニルペンタスルフィド、ワセリン、ポリブテン、トリメリット酸トリス(2-エチルヘキシル)、シリコーンオイル、塩素化パラフィン等が挙げられる。これらは単独又は2種以上で使用できる。
前記防汚薬剤としては、例えば無機薬剤及び有機薬剤が挙げられる。
無機薬剤としては、例えば、亜酸化銅、チオシアン酸銅(一般名:ロダン銅)、銅粉等が挙げられる。この中でも特に、亜酸化銅とロダン銅が好ましく、亜酸化銅はグリセリン、ショ糖、ステアリン酸、ラウリン酸、リシチン、鉱物油などで表面処理されているものが、貯蔵時の長期安定性の点でより好ましい。
有機薬剤としては、例えば、2-メルカプトピリジン-N-オキシド銅(一般名:カッパーピリチオン)、2-メルカプトピリジン-N-オキシド亜鉛(一般名:ジンクピリチオン)、ジンクエチレンビスジチオカーバメート(一般名:ジネブ)、3,4-ジクロロフェニル-N-N-ジメチルウレア(一般名:ジウロン)、2-メチルチオ-4-t-ブチルアミノ-6-シクロプロピルアミノ-s-トリアジン(一般名:イルガロール1051)、4-[1-(2,3-ジメチルフェニル)エチル]-1H-イミダゾール(一般名:メデトミジン)等が挙げられる。
これらの防汚薬剤は1種又は2種以上併用して使用できる。
無機薬剤としては、例えば、亜酸化銅、チオシアン酸銅(一般名:ロダン銅)、銅粉等が挙げられる。この中でも特に、亜酸化銅とロダン銅が好ましく、亜酸化銅はグリセリン、ショ糖、ステアリン酸、ラウリン酸、リシチン、鉱物油などで表面処理されているものが、貯蔵時の長期安定性の点でより好ましい。
有機薬剤としては、例えば、2-メルカプトピリジン-N-オキシド銅(一般名:カッパーピリチオン)、2-メルカプトピリジン-N-オキシド亜鉛(一般名:ジンクピリチオン)、ジンクエチレンビスジチオカーバメート(一般名:ジネブ)、3,4-ジクロロフェニル-N-N-ジメチルウレア(一般名:ジウロン)、2-メチルチオ-4-t-ブチルアミノ-6-シクロプロピルアミノ-s-トリアジン(一般名:イルガロール1051)、4-[1-(2,3-ジメチルフェニル)エチル]-1H-イミダゾール(一般名:メデトミジン)等が挙げられる。
これらの防汚薬剤は1種又は2種以上併用して使用できる。
前記脱水剤としては、例えば、硫酸カルシウム、合成ゼオライト系吸着剤、オルソエステル類、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のシリケート類やイソシアネート類、カルボジイミド類、カルボジイミダゾール類等が挙げられる。これらは単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
2.防汚塗料組成物の製造方法
本発明の防汚塗料組成物は、例えば、共重合体A、硫酸塩B及び防汚薬剤C、他の添加剤等を含有する混合液を、分散機を用いて混合分散することにより製造できる。また、共重合体A及び防汚薬剤C、他の添加剤等を含有する混合液を、分散機を用いて混合分散した後に、硫酸塩Bを添加して製造することもできる。
前記混合液としては、共重合体A、硫酸塩B及び防汚薬剤C等の各種材料を溶媒に溶解または分散させたものであることが好ましい。
前記分散機としては、例えば、微粉砕機として使用できるものを好適に用いることができる。例えば、市販のホモミキサー、サンドミル、ビーズミル、ディスパー等を使用することができる。また、撹拌機を備えた容器に混合分散用のガラスビーズ等を加えたものを用い、前記混合液を混合分散してもよい。
本発明の防汚塗料組成物は、例えば、共重合体A、硫酸塩B及び防汚薬剤C、他の添加剤等を含有する混合液を、分散機を用いて混合分散することにより製造できる。また、共重合体A及び防汚薬剤C、他の添加剤等を含有する混合液を、分散機を用いて混合分散した後に、硫酸塩Bを添加して製造することもできる。
前記混合液としては、共重合体A、硫酸塩B及び防汚薬剤C等の各種材料を溶媒に溶解または分散させたものであることが好ましい。
前記分散機としては、例えば、微粉砕機として使用できるものを好適に用いることができる。例えば、市販のホモミキサー、サンドミル、ビーズミル、ディスパー等を使用することができる。また、撹拌機を備えた容器に混合分散用のガラスビーズ等を加えたものを用い、前記混合液を混合分散してもよい。
3.防汚処理方法、防汚塗膜、および塗装物
本発明の防汚処理方法は、上記防汚塗料組成物を用いて被塗膜形成物の表面に防汚塗膜を形成する。本発明の防汚処理方法によれば、前記防汚塗膜が表面から徐々に溶解し塗膜表面が常に更新されることにより、水棲汚損生物の付着防止を図ることができる。
被塗膜形成物としては、例えば、船舶(特に船底)、漁業具、水中構造物等が挙げられる。
防汚塗膜の厚みは、被塗膜形成物の種類、船舶の航行速度、海水温度等に応じて適宜設定すればよい。例えば、被塗膜形成物が船舶の船底の場合、防汚塗膜の厚みは通常50~700μm、好ましくは100~600μmである。
本発明の防汚処理方法は、上記防汚塗料組成物を用いて被塗膜形成物の表面に防汚塗膜を形成する。本発明の防汚処理方法によれば、前記防汚塗膜が表面から徐々に溶解し塗膜表面が常に更新されることにより、水棲汚損生物の付着防止を図ることができる。
被塗膜形成物としては、例えば、船舶(特に船底)、漁業具、水中構造物等が挙げられる。
防汚塗膜の厚みは、被塗膜形成物の種類、船舶の航行速度、海水温度等に応じて適宜設定すればよい。例えば、被塗膜形成物が船舶の船底の場合、防汚塗膜の厚みは通常50~700μm、好ましくは100~600μmである。
以下に、実施例等を示し本発明の特徴とするところをより一層明確にする。ただし、本発明は実施例等に限定されるものではない。
各製造例、実施例及び比較例中の%は質量%を示す。
重量平均分子量(Mw)は、GPCにより求めた値(ポリスチレン換算値)である。GPCの条件は下記の通りである。
装置・・・ 東ソー株式会社製 HLC-8220GPC
カラム・・・ TSKgel SuperHZM-M 2本
流量・・・ 0.35mL/min
検出器・・・ RI
カラム恒温槽温度・・・ 40℃
溶離液・・・ THF
加熱残分は、JIS K 5601-1-2:1999(ISO 3251:1993)「塗料成分試験方法-加熱残分」に準拠して測定した値である。
各製造例、実施例及び比較例中の%は質量%を示す。
重量平均分子量(Mw)は、GPCにより求めた値(ポリスチレン換算値)である。GPCの条件は下記の通りである。
装置・・・ 東ソー株式会社製 HLC-8220GPC
カラム・・・ TSKgel SuperHZM-M 2本
流量・・・ 0.35mL/min
検出器・・・ RI
カラム恒温槽温度・・・ 40℃
溶離液・・・ THF
加熱残分は、JIS K 5601-1-2:1999(ISO 3251:1993)「塗料成分試験方法-加熱残分」に準拠して測定した値である。
<製造例1(共重合体溶液A-1の製造)>
温度計、冷却器、攪拌装置及び滴下ロートを備えた四ツ口フラスコに、キシレン230g(初期溶媒)を仕込み、窒素ガスを導入し、攪拌しながら88℃を保持した。そこへ、メタクリル酸トリイソプロピルシリル270g、メタクリル酸2-メトキシエチル130g、アクリル酸2-メトキシエチル30g、メタクリル酸メチル30g、アクリル酸エチル20g、アクリル酸n-ブチル20g、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート4.0g(初期添加)の混合液を100℃で保持しながら3時間かけて滴下した。その後、100℃で1時間攪拌を行った後、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.0g(後添加)を1時間毎に3回添加し、さらに同温度で2時間攪拌を行った後、キシレン270g(希釈溶媒)添加し室温に冷却し、メタクリル酸トリイソプロピルシリル含有共重合体を含有する共重合体溶液A-1を得た。A-1の粘度、加熱残分、Mwおよびガラス転移温度を表1に示す。
温度計、冷却器、攪拌装置及び滴下ロートを備えた四ツ口フラスコに、キシレン230g(初期溶媒)を仕込み、窒素ガスを導入し、攪拌しながら88℃を保持した。そこへ、メタクリル酸トリイソプロピルシリル270g、メタクリル酸2-メトキシエチル130g、アクリル酸2-メトキシエチル30g、メタクリル酸メチル30g、アクリル酸エチル20g、アクリル酸n-ブチル20g、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート4.0g(初期添加)の混合液を100℃で保持しながら3時間かけて滴下した。その後、100℃で1時間攪拌を行った後、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.0g(後添加)を1時間毎に3回添加し、さらに同温度で2時間攪拌を行った後、キシレン270g(希釈溶媒)添加し室温に冷却し、メタクリル酸トリイソプロピルシリル含有共重合体を含有する共重合体溶液A-1を得た。A-1の粘度、加熱残分、Mwおよびガラス転移温度を表1に示す。
<製造例2(共重合体溶液A-2の製造)>
表1に示す単量体、重合開始剤及び溶媒を用いて、各反応温度条件下、製造例1と同様の操作で重合反応を行うことにより、メタクリル酸トリイソプロピルシリル含有共重合体を含有する共重合体溶液A-2を得た。A-2の粘度、加熱残分、Mwおよびガラス転移温度を表1に示す。なお、表1中の配合の数値の単位は、指定がない場合はgである。
表1に示す単量体、重合開始剤及び溶媒を用いて、各反応温度条件下、製造例1と同様の操作で重合反応を行うことにより、メタクリル酸トリイソプロピルシリル含有共重合体を含有する共重合体溶液A-2を得た。A-2の粘度、加熱残分、Mwおよびガラス転移温度を表1に示す。なお、表1中の配合の数値の単位は、指定がない場合はgである。
<比較製造例1~2(共重合体溶液H-1、H-2の製造)>
表1に示す単量体、重合開始剤及び溶媒を用いて、各反応温度条件下、製造例1と同様の操作で重合反応を行うことにより、アクリル酸トリイソプロピルシリル含有共重合体を含有する共重合体溶液H-1と、エチレン性不飽和モノマー含有共重合体を含有する共重合体溶液H-2を得た。H-1、H-2の粘度、加熱残分、Mwおよびガラス転移温度を表1に示す。
表1に示す単量体、重合開始剤及び溶媒を用いて、各反応温度条件下、製造例1と同様の操作で重合反応を行うことにより、アクリル酸トリイソプロピルシリル含有共重合体を含有する共重合体溶液H-1と、エチレン性不飽和モノマー含有共重合体を含有する共重合体溶液H-2を得た。H-1、H-2の粘度、加熱残分、Mwおよびガラス転移温度を表1に示す。
<製造例3(ロジン亜鉛塩溶液の製造)>
温度計、還流冷却器、及び攪拌機を備えたフラスコに、中国産ガムロジン(WW)240gとキシレン360gをフラスコに入れ、更に、前記ロジン中の樹脂酸が全て亜鉛塩を形成するように酸化亜鉛120gを加え、70~80℃で3時間、減圧下で還流脱水した。その後、冷却しろ過を行うことにより、ロジン亜鉛塩のキシレン溶液(濃褐色透明液体、固形分50%)を得た。得られた溶液の加熱残分は、50.2%であった。
温度計、還流冷却器、及び攪拌機を備えたフラスコに、中国産ガムロジン(WW)240gとキシレン360gをフラスコに入れ、更に、前記ロジン中の樹脂酸が全て亜鉛塩を形成するように酸化亜鉛120gを加え、70~80℃で3時間、減圧下で還流脱水した。その後、冷却しろ過を行うことにより、ロジン亜鉛塩のキシレン溶液(濃褐色透明液体、固形分50%)を得た。得られた溶液の加熱残分は、50.2%であった。
<製造例4(水添ロジン亜鉛塩溶液の製造)>
温度計、還流冷却器、及び攪拌機を備えたフラスコに、ハイペールCH(水添ロジン)240gとキシレン360gをフラスコに入れ、更に、前記ロジン中の樹脂酸が全て亜鉛塩を形成するように酸化亜鉛120gを加え、70~80℃で3時間、減圧下で還流脱水した。その後、濃縮、冷却しろ過を行うことにより、水添ロジン亜鉛塩のキシレン溶液(濃褐色液体、固形分50%)を得た。得られた溶液の加熱残分は、50.3%であった。
温度計、還流冷却器、及び攪拌機を備えたフラスコに、ハイペールCH(水添ロジン)240gとキシレン360gをフラスコに入れ、更に、前記ロジン中の樹脂酸が全て亜鉛塩を形成するように酸化亜鉛120gを加え、70~80℃で3時間、減圧下で還流脱水した。その後、濃縮、冷却しろ過を行うことにより、水添ロジン亜鉛塩のキシレン溶液(濃褐色液体、固形分50%)を得た。得られた溶液の加熱残分は、50.3%であった。
<実施例及び比較例(塗料組成物の製造)>
表2~表4に示す成分を当該表に示す割合(質量%)で配合し、直径1.5~2.5mmのガラスビーズと混合分散することにより塗料組成物を製造した。
表2~表4に示す成分を当該表に示す割合(質量%)で配合し、直径1.5~2.5mmのガラスビーズと混合分散することにより塗料組成物を製造した。
表中の硫酸塩B、その他の硫酸塩、防汚薬剤C、その他の防汚薬剤、その他の添加剤の詳細は、以下の通りである。
<硫酸塩B>
硫酸マグネシウム:硫酸マグネシウム(無水)(富士フイルム和光純薬株式会社製)
硫酸ナトリウム:硫酸ナトリウム(無水)(富士フイルム和光純薬株式会社製)
<硫酸塩B>
硫酸マグネシウム:硫酸マグネシウム(無水)(富士フイルム和光純薬株式会社製)
硫酸ナトリウム:硫酸ナトリウム(無水)(富士フイルム和光純薬株式会社製)
<その他の硫酸塩>
硫酸カルシウム:硫酸カルシウム(無水)(富士フイルム和光純薬株式会社製)
硫酸カルシウム:硫酸カルシウム(無水)(富士フイルム和光純薬株式会社製)
<防汚薬剤C>
Econea 028:2-(p-クロロフェニル)-3-シアノ-4-ブロモ-5-トリフルオロメチルピロール、商品名「Econea 028」(ヤンセンPMP製)
SEA-NINE 211N:4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-3-イソチアゾロン、商品名「SEA-NINE 211N」、有効成分30%キシレン溶液(ダウ・ケミカル製)
Econea 028:2-(p-クロロフェニル)-3-シアノ-4-ブロモ-5-トリフルオロメチルピロール、商品名「Econea 028」(ヤンセンPMP製)
SEA-NINE 211N:4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-3-イソチアゾロン、商品名「SEA-NINE 211N」、有効成分30%キシレン溶液(ダウ・ケミカル製)
<その他の防汚薬剤>
亜酸化銅:商品名「NC-301」、平均粒径3μm(日進ケムコ株式会社製)
カッパーピリチオン:商品名「カッパーオマジン」(LONZA株式会社製)
ジンクピリチオン:商品名「ジンクオマジン」(LONZA株式会社製)
メデトミジン:商品名「Selektope」(アイテック製)
亜酸化銅:商品名「NC-301」、平均粒径3μm(日進ケムコ株式会社製)
カッパーピリチオン:商品名「カッパーオマジン」(LONZA株式会社製)
ジンクピリチオン:商品名「ジンクオマジン」(LONZA株式会社製)
メデトミジン:商品名「Selektope」(アイテック製)
<その他の添加剤>
ガムロジン溶液:中国産ガムロジン(WW)の固形分50%キシレン溶液
ロジン亜鉛塩溶液:製造例3で製造したものを使用
水添ロジン溶液:商品名「ハイペールCH」(荒川化学工業株式会社製)の固形分50%キシレン溶液。
水添ロジン亜鉛塩溶液:製造例4で製造したものを使用
塩素化パラフィン:商品名「トヨパラックスA40S」(東ソー株式会社製)
エポキシ化大豆油:商品名「サンソサイザーE-2000H」(新日本理化株式会社製)
フタル酸ビス(2-エチルヘキシル):試薬(富士フイルム和光純薬工業株式会社)
タルク:商品名「タルクMS」(日本タルク株式会社製)
酸化亜鉛:商品名「酸化亜鉛2種」(正同化学工業株式会社製)
ベンガラ:商品名「ベンガラキンギョク」(森下弁柄工業株式会社製)
酸化チタン:商品名「FR-41」(古河機械金属株式会社製)
テトラエトキシシラン:試薬特級(キシダ化学株式会社製)
脂肪酸アマイド系揺変剤:商品名「ディスパロンA603-20X」、有効成分20%キシレンペースト(楠本化成株式会社製)
ガムロジン溶液:中国産ガムロジン(WW)の固形分50%キシレン溶液
ロジン亜鉛塩溶液:製造例3で製造したものを使用
水添ロジン溶液:商品名「ハイペールCH」(荒川化学工業株式会社製)の固形分50%キシレン溶液。
水添ロジン亜鉛塩溶液:製造例4で製造したものを使用
塩素化パラフィン:商品名「トヨパラックスA40S」(東ソー株式会社製)
エポキシ化大豆油:商品名「サンソサイザーE-2000H」(新日本理化株式会社製)
フタル酸ビス(2-エチルヘキシル):試薬(富士フイルム和光純薬工業株式会社)
タルク:商品名「タルクMS」(日本タルク株式会社製)
酸化亜鉛:商品名「酸化亜鉛2種」(正同化学工業株式会社製)
ベンガラ:商品名「ベンガラキンギョク」(森下弁柄工業株式会社製)
酸化チタン:商品名「FR-41」(古河機械金属株式会社製)
テトラエトキシシラン:試薬特級(キシダ化学株式会社製)
脂肪酸アマイド系揺変剤:商品名「ディスパロンA603-20X」、有効成分20%キシレンペースト(楠本化成株式会社製)
実施例・比較例の塗料組成物について、以下に示す試験を行った。
<試験例1(ウェット&ドライサイクル試験)>
ガラス板に400μmのアプリケーターを用い、防汚塗料組成物を塗装し、試験板を得た。
この試験板を12時間の40℃淡水浸漬試験と12時間の空中曝露とを繰り返す試験を6か月行った後、目視にて該試験板の物性評価を行った。
剥離の無いものを○、剥離のあるものを×とした。
<試験例1(ウェット&ドライサイクル試験)>
ガラス板に400μmのアプリケーターを用い、防汚塗料組成物を塗装し、試験板を得た。
この試験板を12時間の40℃淡水浸漬試験と12時間の空中曝露とを繰り返す試験を6か月行った後、目視にて該試験板の物性評価を行った。
剥離の無いものを○、剥離のあるものを×とした。
<試験例2(ロータリー試験)>
水槽の中央に直径515mmおよび高さ440mmの回転ドラムを取付け、これをモーターで回転できるようにした。また、海水の温度を一定に保つための冷却装置、及び海水のpHを一定に保つためのpH自動コントローラーを取付けた。
試験板を下記の方法に従って作製した。
まず、チタン板(71×100×0.5mm)上に、防錆塗料(エポキシビニル系A/C)を乾燥後の厚みが約100μmとなるよう塗布し乾燥させることにより防錆塗膜を形成した。その後、実施例及び比較例で得られた塗料組成物を、それぞれ前記防錆塗膜の上に、乾燥後の厚みが約400μmとなるよう塗布した。得られた塗布物を40℃で3日間乾燥させることにより、厚みが約400μmの乾燥塗膜を有する試験板を作製した。
作製した試験板を上記装置の回転装置の回転ドラムに海水と接触するように固定して、20ノットの速度で回転ドラムを回転させた。その間、海水の温度を10~15℃、pHを8.0~8.2に保ち、一週間毎に海水を入れ換えた。
各試験板の初期の膜厚と毎6か月後の残存膜厚をレーザーフォーカス変位計で測定し、その差から溶解した塗膜厚を計算することにより塗膜溶解量を求めた。塗膜溶解量は、1か月あたりの塗膜溶解量(μm/月)で表した。
水槽の中央に直径515mmおよび高さ440mmの回転ドラムを取付け、これをモーターで回転できるようにした。また、海水の温度を一定に保つための冷却装置、及び海水のpHを一定に保つためのpH自動コントローラーを取付けた。
試験板を下記の方法に従って作製した。
まず、チタン板(71×100×0.5mm)上に、防錆塗料(エポキシビニル系A/C)を乾燥後の厚みが約100μmとなるよう塗布し乾燥させることにより防錆塗膜を形成した。その後、実施例及び比較例で得られた塗料組成物を、それぞれ前記防錆塗膜の上に、乾燥後の厚みが約400μmとなるよう塗布した。得られた塗布物を40℃で3日間乾燥させることにより、厚みが約400μmの乾燥塗膜を有する試験板を作製した。
作製した試験板を上記装置の回転装置の回転ドラムに海水と接触するように固定して、20ノットの速度で回転ドラムを回転させた。その間、海水の温度を10~15℃、pHを8.0~8.2に保ち、一週間毎に海水を入れ換えた。
各試験板の初期の膜厚と毎6か月後の残存膜厚をレーザーフォーカス変位計で測定し、その差から溶解した塗膜厚を計算することにより塗膜溶解量を求めた。塗膜溶解量は、1か月あたりの塗膜溶解量(μm/月)で表した。
<試験結果>
試験例1および2の結果より、共重合体A、硫酸塩B、および防汚薬剤Cを含む組成物を用いて形成した塗膜は、塗膜物性が良好で、且つ、海水浸漬後初期段階での溶出速度が良好であることが分かった。
試験例1および2の結果より、共重合体A、硫酸塩B、および防汚薬剤Cを含む組成物を用いて形成した塗膜は、塗膜物性が良好で、且つ、海水浸漬後初期段階での溶出速度が良好であることが分かった。
Claims (1)
- 共重合体A、硫酸塩B、および防汚薬剤Cを含有する防汚塗料組成物であって、
前記共重合体Aは、単量体(a)と、前記単量体(a)以外のエチレン性不飽和単量体(b)との共重合体であり、
前記単量体(a)は、一般式(1)で表され、
前記硫酸塩Bは、硫酸マグネシウムと硫酸ナトリウムの少なくとも一方であり、
前記防汚薬剤Cは、2-(p-クロロフェニル)-3-シアノー4-ブロモー5-トリフルオロメチルピロールと4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-3-イソチアゾロンの少なくとも一方である、防汚塗料組成物。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019-048088 | 2019-03-15 | ||
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