WO2020183680A1

WO2020183680A1 - 処置具

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Publication number: WO2020183680A1
Application number: PCT/JP2019/010399
Authority: WO
Inventors: 庸高銅
Original assignee: オリンパス株式会社
Priority date: 2019-03-13
Filing date: 2019-03-13
Publication date: 2020-09-17

Abstract

処置具は、生体組織を処置する処置面と、処置面と表裏の関係を持つ実装面とを有するブレードと、電気絶縁性を有する材料によって構成された基板１５と、通電によって発熱する発熱部を有する導電部とを有するシートヒータ１３であって、基板１５が互いに表裏の関係を持つ第１の板面１５０ａ及び第２の板面１５０ｂを有し、導電部が第１の板面１５０ａ上において基板１５の長手方向に沿って延在するシートヒータ１３と、複数の金属繊維が互いに絡み合った金属シート１８と、を備える。シートヒータ１３は、第１の板面１５０ａがシートヒータ１３の外表面を構成する状態で、基板１５の長手方向に交差する折り返し線に沿って折り返され、発熱部が実装面に対向する状態で設置される。金属シート１８は、シートヒータ１３に対して折り返し線を跨ぐ状態で取り付けられている。

Description

処置具

　本発明は、処置具に関する。

　従来、生体組織における処置の対象となる部位（以下、対象部位と記載）に対してエネルギを付与することによって当該対象部位を処置する処置具が知られている（例えば、特許文献１参照）。
　特許文献１に記載の処置具は、対象部位を把持する一対の把持部材を備える。当該把持部材には、通電によって発熱するシートヒータと、一対の把持部材によって対象部位を把持した際に当該対象部位に対して接触するブレードとが設けられている。そして、当該処置具では、ブレードを経由することによって、一対の把持部材によって把持された対象部位に対してシートヒータの熱を伝達させる。これによって、対象部位は、処置される。

　また、特許文献１に記載のシートヒータは、基板と、当該基板上に設けられた導電部とを備える。当該導電部は、配線部材がそれぞれ電気的に接続される第１，第２の接続部と、通電によって発熱する発熱部とを備える。当該第１，第２の接続部は、基板の基端側において、当該基板の幅方向に並設されている。また、当該発熱部は、基板上において、基端側から先端側に向けて延在するとともに、先端側において折り返し、基端側に向けて延在する略Ｕ字形状を有する。そして、当該発熱部の両端は、第１，第２の接続部に対してそれぞれ接続する。すなわち、導電部は、基板の幅方向に並列した２本の電気経路を有する。

特開２０１５－２０８４１５号公報

　ところで、特許文献１に記載のシートヒータでは、基板の幅方向に並列した２本の電気経路を有する。そして、当該２本の電気経路の短絡を防止するためには、当該２本の電気経路を十分に離間する必要がある。すなわち、基板の幅寸法が大きくなってしまう、という問題がある。

　そこで、上述した問題を解消するために、以下の構成を有するシートヒータ（以下、折り返し型シートヒータと記載）を採用することが考えられる。
　折り返し型シートヒータでは、導電部は、基板の長手方向に沿って延在する。そして、折り返し型シートヒータは、第１の板面が当該折り返し型シートヒータの外表面を構成する状態で、基板の長手方向に交差する折り返し線に沿って折り返される。
　以上の構成を採用することによって、基板の幅方向に２本の電気経路を並列する必要がなく、当該基板の幅寸法を小さくすることができる。
　しかしながら、折り返し型シートヒータでは、折り返し部分の曲率が小さくなり過ぎると、導電部に断線が生じてしまう虞がある、という問題がある。

　本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、基板の幅寸法を小さくすることができ、かつ、導電部の断線を防止することができる処置具を提供することを目的とする。

　上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る処置具は、生体組織を処置する処置面と、前記処置面と表裏の関係を持つ実装面とを有するブレードと、電気絶縁性を有する材料によって構成された基板と、通電によって発熱する発熱部を有する導電部とを有するシートヒータであって、前記基板が互いに表裏の関係を持つ第１の板面及び第２の板面を有し、前記導電部が前記第１の板面上において前記基板の長手方向に沿って延在するシートヒータと、複数の金属繊維が絡み合った金属シートと、を備え、前記シートヒータは、前記第１の板面が前記シートヒータの外表面を構成する状態で、前記長手方向に交差する折り返し線に沿って折り返され、前記発熱部が前記実装面に対向する状態で設置され、前記金属シートは、前記シートヒータに対して前記折り返し線を跨ぐ状態で取り付けられている。

　本発明に係る処置具によれば、基板の幅寸法を小さくすることができ、かつ、導電部の断線を防止することができる。

図１は、実施の形態に係る処置システムを示す図である。図２は、把持部を示す図である。図３は、第１の把持部材を示す図である。図４は、第１の把持部材を示す図である。図５は、シートヒータを示す図である。図６は、シートヒータを示す図である。図７は、金属シートを拡大した図である。

　以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態（以下、実施の形態）について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。

　〔処置システムの概略構成〕
　図１は、本実施の形態に係る処置システム１を示す図である。
　処置システム１は、生体組織における処置の対象となる部位（以下、対象部位と記載）に対してエネルギを付与することによって、当該対象部位を処置する。ここで、当該処置とは、例えば、対象部位の凝固及び切開を意味する。この処置システム１は、図１に示すように、処置具２と、制御装置３とを備える。

　〔処置具の構成〕
　処置具２は、例えば、腹壁を通した状態で対象部位を処置するための外科医療用処置具である。この処置具２は、図１に示すように、ハンドル５と、シャフト６と、把持部７とを備える。
　ハンドル５は、術者が手で持つ部分である。そして、このハンドル５には、図１に示すように、操作ノブ５１と、スイッチ５２とが設けられている。
　操作ノブ５１は、術者による開閉操作を受け付ける。
　スイッチ５２は、術者による出力開始操作を受け付ける。そして、スイッチ５２は、電気ケーブルＣ（図１）を経由することによって、制御装置３に対して当該出力開始操作に応じた操作信号を出力する。

　シャフト６は、略円筒形状を有する。なお、以下では、シャフト６の中心軸を中心軸Ａｘ（図１）と記載する。また、以下では、中心軸Ａｘに沿う一方側を先端側Ａｒ１（図１）と記載し、他方側を基端側Ａｒ２（図１）と記載する。そして、シャフト６は、基端側Ａｒ２の端部がハンドル５に対して接続されている。また、シャフト６における先端側Ａｒ１の端部には、把持部７が取り付けられている。そして、このシャフト６の内部には、術者による操作ノブ５１への開閉操作に応じて、把持部７を構成する第１，第２の把持部材８，９（図１）を開閉する開閉機構（図示略）が設けられている。また、このシャフト６の内部には、電気ケーブルＣがハンドル５を経由することによって基端側Ａｒ２から先端側Ａｒ１まで配設されている。

　〔把持部の構成〕
　図２は、把持部７を示す図である。
　把持部７は、対象部位を把持した状態で当該対象部位を処置する部分である。この把持部７は、図１または図２に示すように、第１，第２の把持部材８，９を備える。
　第１，第２の把持部材８，９は、術者による操作ノブ５１への開閉操作に応じて、矢印Ｒ１（図２）方向に開閉可能に構成されている。

　〔第１の把持部材の構成〕
　図３及び図４は、第１の把持部材８を示す図である。具体的に、図３は、中心軸Ａｘを含む平面によって第１の把持部材８を切断した断面図である。図４は、中心軸Ａｘに直交する平面によって第１の把持部材８を切断した断面図である。
　第１の把持部材８は、第２の把持部材９に対向する位置に配設されている。この第１の把持部材８は、図２ないし図４に示すように、第１のジョー１０と、第１の支持部材１１と、ブレード１２と、シートヒータ１３（図３，図４）と、ブロック１４（図３，図４）と、金属シート１８（図５，図６参照）と、カバー部材１９（図６参照）と、を備える。
　なお、図３及び図４では、説明の便宜上、金属シート１８及びカバー部材１９の図示を省略している。

　第１のジョー１０は、シャフト６の一部を先端側Ａｒ１に延在させた部分であり、中心軸Ａｘに沿って延在する長尺状に形成されている。この第１のジョー１０は、例えば、ステンレス合金やチタン合金等の金属材料によって構成されている。
　第１の支持部材１１は、中心軸Ａｘに沿って延在する長尺形状を有し、第１のジョー１０における図３及び図４中、上方側の面に固定される。
　この第１の支持部材１１において、図３及び図４中、上方側の面には、当該第１の支持部材１１の基端から先端側Ａｒ１に向けて延在した凹部１１１が形成されている。そして、第１の支持部材１１は、凹部１１１内において、ブレード１２、シートヒータ１３、ブロック１４、金属シート１８、及びカバー部材１９を支持する。

　以上説明した第１の支持部材１１を構成する材料としては、ＰＥＥＫ（ポリエーテルエーテルケトン）等の電気絶縁性を有し、かつ、低い熱伝導率を有する樹脂材料等を例示することができる。すなわち、ブレード１２及びシートヒータ１３と第１のジョー１０との間に熱伝導率の低い第１の支持部材１１を配設することによって、シートヒータ１３から第１のジョー１０に向かう熱の伝達を制限し、当該シートヒータ１３からの熱を効率良くブレード１２に伝達することが可能となる。

　ブレード１２は、中心軸Ａｘに沿って延在する長尺形状を有し、凹部１１１内に固定されている。このブレード１２は、例えば銅、アルミニウム、銅合金、アルミニウム合金等のように導電性を有し、熱伝導に優れた材料によって構成されている。
　このブレード１２において、図３及び図４中、上方側の面は、第１，第２の把持部材８，９によって対象部位を把持した状態で、当該対象部位に対して接触する。すなわち、当該面は、当該対象部位を処置する処置面１２１（図２～図４）として機能する。本実施の形態では、処置面１２１は、第１，第２の把持部材８，９によって対象部位を把持した状態で当該第１，第２の把持部材８，９が互いに対向する方向Ａ１（図２～図４）に対して直交する平坦面によって構成されている。
　なお、処置面１２１は、平坦面によって構成されているが、これに限らず、凸形状や凹形状等のその他の形状によって構成しても構わない。第２の把持部材９における後述する把持面９３１も同様である。

　また、ブレード１２において、処置面１２１と表裏の関係を持つ実装面１２２には、当該ブレード１２の基端から先端まで延在した凹部１２３（図３，図４）が形成されている。そして、ブレード１２は、凹部１２３の底面によって、シートヒータ１３、ブロック１４、金属シート１８、及びカバー部材１９を支持する。

　図５及び図６は、シートヒータ１３を示す図である。具体的に、図５は、シートヒータ１３を折り返す前の状態を基板１５における第１の板面１５０ａ側から見た図である。図６は、シートヒータ１３を折り返した後の状態を当該シートヒータ１３の幅方向（図４中、左右方向）に直交する平面によって切断した断面図である。なお、図５では、説明の便宜上、金属シート１８も図示している。また、図６では、説明の便宜上、ブロック１４、金属シート１８、及びカバー部材１９も図示している。
　シートヒータ１３は、通電によって一部が発熱する。このシートヒータ１３は、図５または図６に示すように、基板１５と、導電部１６とを備える。

　基板１５は、ポリイミド等の電気絶縁性を有する樹脂材料によって構成されたシート状のフレキシブル基板である。この基板１５は、長尺状に形成され、長手方向（図５中、左右方向）の両端にそれぞれ位置する第１，第２の幅広部１５１，１５２と、当該第１，第２の幅広部１５１，１５２間に位置するとともに、当該第１，第２の幅広部１５１，１５２を接続する幅狭部１５３とを備える。
　ここで、幅狭部１５３は、その幅寸法（図４中、上下方向の長さ寸法）が基板１５の長手方向に沿って略均一に設定されている。また、幅狭部１５３における幅寸法は、第１，第２の幅広部１５１，１５２よりも小さく設定されている。

　導電部１６は、基板１５における互いに表裏の関係を持つ第１の板面１５０ａ（図５，図６）及び第２の板面１５０ｂ（図６）のうち第１の板面１５０ａ上に、蒸着やスパッタ等で成膜した金属薄膜をフォトリソグラフィーによりパターンニングすることによって形成されている。この導電部１６は、図５または図６に示すように、第１，第２の接続部１６１，１６２と、発熱部１６３と、電気経路部１６４とを備える。

　第１の接続部１６１は、図５に示すように、導電部１６における図５中、右側の端部に位置し、第１の幅広部１５１に設けられている。そして、第１の接続部１６１には、電気ケーブルＣを構成する第１のリード線Ｃ１（図６）が電気的に接続される。
　第２の接続部１６２は、図５に示すように、導電部１６における図５中、左側の端部に位置し、第２の幅広部１５２に設けられている。そして、第２の接続部１６２には、電気ケーブルＣを構成する第２のリード線Ｃ２（図６）が電気的に接続される。

　発熱部１６３は、一端が第１の接続部１６１に対して接続するとともに、他端側が第２の接続部１６２側に向けて、例えば、波状に蛇行しながら延在する。なお、発熱部１６３は、波状に蛇行しながら延在する形状に限らず、第１の接続部１６１から第２の接続部１６２側に向けて直線状に延在する形状としても構わない。
　電気経路部１６４は、第２の接続部１６２と発熱部１６３との間の通電経路となる部分である。すなわち、電気経路部１６４の一端は、発熱部１６３の他端に対して接続する。以下、当該一端側の端部を発熱側端部１６４ａ（図５，図６）と記載する。また、電気経路部１６４は、発熱側端部１６４ａから第２の接続部１６２側に向けて直線状に延在するとともに、他端が第２の接続部１６２に対して接続する。

　以上のように、導電部１６は、第１の板面１５０ａ上において、基板１５の長手方向に沿って延在する。より具体的に、導電部１６は、基板１５の長手方向に沿って、第１の接続部１６１、発熱部１６３、電気経路部１６４、及び第２の接続部１６２の順に直列に接続する状態で第１の板面１５０ａ上に設けられている。

　そして、発熱部１６３の抵抗値は、第１，第２の接続部１６１，１６２、発熱部１６３、及び電気経路部１６４を所定の全長及び断面積にそれぞれ設定することによって、第１，第２の接続部１６１，１６２及び電気経路部１６４よりも高く設定されている。具体的に、第１，第２の接続部１６１，１６２及び電気経路部１６４は、発熱部１６３よりも断面積が大きい。このため、制御装置３による制御の下、第１，第２のリード線Ｃ１，Ｃ２を経由することによって、第１，第２の接続部１６１，１６２に対して電圧が印加されると、発熱部１６３が主に発熱する。

　以上説明したシートヒータ１３は、折り返された状態で、接着シート１７（図３，図４）によって凹部１２３の底面に対して固定される。
　ここで、接着シート１７は、凹部１２３の底面とシートヒータ１３との間に位置し、当該底面とシートヒータ１３とを接着する。この接着シート１７としては、熱伝導率が高く、かつ、高温に耐え、接着性を有する材料、例えば、エポキシ樹脂に、アルミナや窒化アルミニウム等の熱伝導率の高いセラミックが混合されることによって形成されている。
　シートヒータ１３は、図６に示すように、第１の板面１５０ａがシートヒータ１３の外表面を構成する状態で、基板１５の長手方向に直交するとともに当該長手方向の略中央に位置する折り返し線Ｌｎ（図５）に沿って折り返される。言い換えれば、シートヒータ１３は、第２の板面１５０ｂが内側に位置する状態で、折り返し線Ｌｎに沿って折り返される。この状態では、第１，第２の幅広部１５１，１５２同士が互いに対向する。
　なお、折り返し線Ｌｎとしては、基板１５の長手方向に対して厳密に直交するもののみに限らず、所定の角度の範囲において、当該長手方向に対して交差するものも含むものである。

　以下では、説明の便宜上、折り返し線Ｌｎに対して第１の接続部１６１側の領域を処置側領域Ｓｐ１とし、折り返し線Ｌｎに対して第２の接続部１６２側の領域を背面側領域Ｓｐ２とする。
　電気経路部１６４は、図５に示すように、折り返し線Ｌｎを跨ぐ状態で設けられている。このため、処置側領域Ｓｐ１には、第１の接続部１６１と、発熱部１６３と、発熱側端部１６４ａとが位置する。また、背面側領域Ｓｐ２には、第２の接続部１６２と、電気経路部１６４のうち発熱側端部１６４ａ以外の領域とが位置する。
　そして、シートヒータ１３は、上述したように折り返し線Ｌｎに沿って折り返されるとともに処置側領域Ｓｐ１が凹部１２３の底面に対向する状態で接着シート１７によって当該底面に対して固定される。

　ブロック１４は、中心軸Ａｘに沿って延在する長尺状の平板であり、図６に示すように、折り返されたシートヒータ１３の内側に配置されている。そして、ブロック１４は、シートヒータ１３における折り返された部分での導電部１６の断線を防止する。
　このブロック１４において、先端側Ａｒ１の端面は、特定の曲率半径を有し、曲率中心が折り返し線Ｌｎに平行となる曲面１４１によって構成されている。そして、当該曲面１４１は、図６に示すように、シートヒータ１３における折り返された部位に当接する。すなわち、シートヒータ１３は、ブロック１４の曲面１４１に沿って折り返されている。
　なお、曲面１４１の曲率半径は、ヒータ実装領域内でできる限り大きくとることにより、断線を防ぐことができる。φ５程度のトロッカに組み合わせるデバイスの場合であれば、例えば、０．２～０．６ｍｍ程度の範囲とすることができる。このようにすることで、ヒータが大型化することを防ぎつつ、折り返し線Ｌｎで電気経路部１６４が急激な角度で折れ曲がることを防止することができる。また、発熱部１６３と電気経路部１６４との距離を確保することができるので、短絡を防止することができる。

　また、ブロック１４は、曲面１４１から基端側Ａｒ２に向けて第１の接続部１６１に対向する位置まで延在している。そして、第１，第２の接続部１６１，１６２（第１，第２の幅広部１５１，１５２）の各一部は、ブロック１４から基端側Ａｒ２にそれぞれ張り出した状態となる。
　以上説明したブロック１４を構成する材料としては、電気絶縁性及び耐熱性を有する材料が好ましく、ＰＥＥＫ等の樹脂材料やセラミック等を例示することができる。

　金属シート１８は、図５に示すように、基板１５の長手方向に沿って延在する長尺形状を有し、折り返し線Ｌｎを跨ぐ状態で第１の板面１５０ａ上に取り付けられている。具体的に、金属シート１８は、発熱側端部１６４ａから第２の接続部１６２側に向けて所定の隙間を空けた位置から第２の接続部１６２側に延在し、電気経路部１６４の表面を覆う。また、金属シート１８は、電気経路部１６４に対して当接した状態で、抵抗溶接によって当該電気経路部１６４に対して接合されている。すなわち、金属シート１８は、シートヒータ１３における折り返し部分に取り付けられている。なお、図５及び図６中、符号「Ｐ１」及び符号「Ｐ２」は、抵抗溶接によって接合された第１，第２の接合位置をそれぞれ示している。第１の接合位置Ｐ１は、処置側領域Ｓｐ１に位置する。一方、第２の接合位置Ｐ２は、背面側領域Ｓｐ２に位置する。すなわち、第１，第２の接合位置Ｐ１，Ｐ２は、折り返し線Ｌｎを挟む両側にそれぞれ位置する。より具体的に、第１，第２の接合位置Ｐ１，Ｐ２は、図６に示すように、曲率のない部分に位置するように設定されている。このようにすることで、溶接箇所への負荷を減らすことができる。図５及び図６では、第１，第２の接合位置Ｐ１，Ｐ２の２箇所の接合位置を例示しているが、接合位置は、金属シート１８の大きさによっては、２箇所以上設けても構わない。

　なお、本実施の形態では、金属シート１８の幅寸法（図５中、上下方向の長さ寸法）を電気経路部１６４よりも大きく設定しているが、これに限らず、金属シート１８の幅寸法を電気経路部１６４と同一に設定してもよく、あるいは、電気経路部１６４よりも小さく設定しても構わない。また、金属シート１８は、抵抗溶接に限らず、その他の溶接（例えば、レーザ溶接等）や半田付け等によって、電気経路部１６４に対して接合されても構わない。

　図７は、金属シート１８を拡大した図である。
　以上説明した金属シート１８は、図７に示すように、複数の金属繊維ＦＩが互いに絡み合った不織布からなり、当該金属繊維ＦＩ間に多数の空隙を有する。すなわち、金属シート１８は、メッシュ等の複数の金属繊維ＦＩを織った織布、及び金属箔とは異なるものである。なお、本発明に係る金属シートとしては、不織布に限らず、複数の金属繊維ＦＩを織った織布を採用しても構わない。
　ここで、金属繊維ＦＩの材料としては、特に限定されないが、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、金、白金、鉛等の金属、及び、ステンレス、真ちゅう等の合金を例示することができる。このうち、適度な導電性と酸化のし難さ、加工適正等からステンレスを好適に採用することができる。なお、金属繊維ＦＩは、１種類のみによって構成してもよく、あるいは、複数種類を併用しても構わない。
　本実施の形態では、導電部１６と金属シート１８とは、同一の材料（例えばステンレス）によって構成されている。

　カバー部材１９は、基板１５の長手方向に沿って延在する長尺形状を有し、第１の板面１５０ａ上において、折り返し線Ｌｎを跨ぐ状態で設けられている。具体的に、カバー部材１９は、発熱側端部１６４ａから第２の接続部１６２側に向けて所定の隙間を空けた位置から第２の接続部１６２側に延在し、電気経路部１６４の表面及び金属シート１８を覆う。
　以上説明したカバー部材１９は、カバーレイ、シーリング材、または、ポリイミドの溶融層等の電気絶縁性を有する材料によって構成されている。また、カバー部材１９は、電気経路部１６４及び金属シート１８よりも広い幅寸法を有する。すなわち、電気絶縁性を有するカバー部材１９で電気経路部１６４と金属シート１８とを覆うことにより、発熱部１６３との間で短絡することを防止している。

　〔第２の把持部材の構成〕
　第２の把持部材９は、図２に示すように、第２のジョー９１と、第２の支持部材９２と、対向板９３とを備える。
　第２のジョー９１は、中心軸Ａｘに沿って延在する長尺形状を有する。そして、第２のジョー９１は、基端側Ａｒ２の端部が支点Ｐ０（図２）を中心としてシャフト６に対して回動可能に軸支され、回動することによって第１の把持部材８に対して開閉する。
　なお、本実施の形態では、第１の把持部材８がシャフト６に固定され、第２の把持部材９がシャフト６に軸支された構成としているが、これに限らない。例えば、第１，第２の把持部材８，９の双方がシャフト６に軸支され、それぞれ回動することによって第１，第２の把持部材８，９が開閉する構成を採用しても構わない。また、例えば、第１の把持部材８がシャフト６に軸支され、第２の把持部材９がシャフト６に固定され、第１の把持部材８が回動することによって第２の把持部材９に対して開閉する構成を採用しても構わない。

　第２の支持部材９２は、例えばＰＥＥＫ等の電気絶縁性を有し、かつ、低い熱伝導率を有する樹脂材料等によって構成され、第２のジョー９１と対向板９３との間に配設されている。
　対向板９３は、例えば銅等の導電性材料によって構成され、第２の支持部材９２における第１の把持部材８に対向する面上に固定されている。
　この対向板９３において、第１の把持部材８側の面は、処置面１２１との間で対象部位を把持する把持面９３１（図２）として機能する。

　〔制御装置の構成〕
　制御装置３には、電気ケーブルＣによって、処置具２が着脱自在に接続される。そして、制御装置３は、電気ケーブルＣを経由することによって、スイッチ５２と電気的に接続する。また、制御装置３は、電気ケーブルＣ（第１，第２のリード線Ｃ１，Ｃ２）を経由することによって、導電部１６と電気的に接続する。さらに、制御装置３は、電気ケーブルＣを経由することによって、ブレード１２及び対向板９３とそれぞれ電気的に接続する。そして、制御装置３は、スイッチ５２からの操作信号に応じて、以下に示す処置制御を実行する。

　制御装置３は、第１，第２のリード線Ｃ１，Ｃ２を経由することによって、第１，第２の接続部１６１，１６２に対して電圧を印加する。ここで、制御装置３は、導電部１６に対して供給している電圧値及び電流値から例えば電圧降下法を用いて導電部１６の抵抗値（以下、ヒータ抵抗と記載）を計測する。また、制御装置３は、予め測定された抵抗温度特性を参照する。なお、抵抗温度特性は、ヒータ抵抗と発熱部１６３の温度（以下、ヒータ温度と記載）との関係を示す特性である。そして、制御装置３は、導電部１６に対して供給する電力を変更しながら、当該ヒータ抵抗を当該抵抗温度特性における目標温度に対応する目標抵抗値に制御する。これによって、ヒータ温度は、目標温度に制御される。当該目標温度に制御された発熱部１６３からの熱は、ブレード１２を経由することによって、第１，第２の把持部材８，９の間に把持された対象部位に伝達される。言い換えれば、当該対象部位には、熱エネルギが付与される。

　また、制御装置３は、上述した対象部位への熱エネルギの付与と略同時に、電気ケーブルＣを経由することによって、ブレード１２及び対向板９３に対して高周波電力を供給する。これによって、ブレード１２及び対向板９３の間に把持された対象部位には、高周波電流が流れる。言い換えれば、当該対象部位には、高周波エネルギが付与される。すなわち、ブレード１２及び対向板９３は、高周波電力が供給され、対象部位に高周波電流を流す電極としての機能も有する。
　そして、対象部位は、上述した熱エネルギの付与によって加熱される。また、当該対象部位には、高周波電流が流れることによって、ジュール熱が発生する。これによって、当該対象部位が処置される。

　以上説明した本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
　本実施の形態に係る処置具２では、導電部１６は、第１の板面１５０ａ上において、基板１５の長手方向に沿って延在している。そして、シートヒータ１３は、第１の板面１５０ａが外表面を構成する状態で、折り返し線Ｌｎに沿って折り返される。
　すなわち、基板１５の幅方向に２本の電気経路を並列する必要がなく、当該基板１５の幅寸法を小さくすることができる。
　また、金属シート１８は、シートヒータ１３に対して折り返し線Ｌｎを跨ぐ状態で取り付けられている。すなわち、金属シート１８は、シートヒータ１３における折り返し部分に取り付けられている。
　このため、金属シート１８によってシートヒータ１３における折り返し部分を補強することができる。すなわち、シートヒータ１３における折り返し部分の曲率が小さくなり過ぎることを制限することができ、導電部１６の断線を防止することができる。

　特に、金属シート１８は、第１の板面１５０ａ上に取り付けられ、電気経路部１６４に対して当接する。また、カバー部材１９を設けることによって、金属シート１８は、電気経路部１６４に対してより安定して密着するようになる。さらに、金属シート１８は、折り返し線Ｌｎを挟む第１，第２の接合位置Ｐ１，Ｐ２において、抵抗溶接によって電気経路部１６４に対して接合されている。
　このため、仮に導電部１６の折り返し線Ｌｎに近接した位置において断線が生じ、導電部１６が処置側領域Ｓｐ１と背面側領域Ｓｐ２との２つの領域に分断された場合であっても、当該分断された２つの領域を金属シート１８によって導通することができる。

　さらに、金属シート１８は、導電部１６と同一の材料によって構成されている。
　このため、異種金属間において生じる電蝕を回避し、導電部１６の断線をより確実に防止することができる。

　また、本実施の形態に係る処置具２では、折り返されたシートヒータ１３の内側には、ブロック１４が配置されている。このため、金属シート１８とブロック１４とを併用することによって、シートヒータ１３における折り返し部分の曲率が小さくなり過ぎることを回避することができ、導電部１６の断線を効果的に防止することができる。
　特に、シートヒータ１３は、ブロック１４の曲面１４１に沿って折り返されている。このため、シートヒータ１３における折り返し部分の曲率を曲面１４１の曲率と同一の曲率に設定することができる。すなわち、当該折り返し部分の曲率を所望の曲率に設定することができ、導電部１６の断線をより確実に防止することができる。

　また、本実施の形態に係る処置具２では、ブロック１４は、電気絶縁性を有する材料によって構成されている。また、ブロック１４は、曲面１４１から基端側Ａｒ２に向けて第１の接続部１６１に対向する位置まで延在している。
　すなわち、導電部１６における処置側領域Ｓｐ１と導電部１６における背面側領域Ｓｐ２との間には、電気絶縁性をそれぞれ有する基板１５及びブロック１４が存在する。このため、導電部１６における処置側領域Ｓｐ１と導電部１６における背面側領域Ｓｐ２との沿面距離を十分に確保することができ、当該処置側領域Ｓｐ１と当該背面側領域Ｓｐ２との間で短絡が生じることを防止することができる。

　また、本実施の形態に係る処置具２では、シートヒータ１３には、カバー部材１９が設けられている。
　このため、カバー部材１９によって、導電部１６における背面側領域Ｓｐ２の水密性を向上させることができる。また、カバー部材１９が電気絶縁性を有するため、凹部１１１内に液体が浸入した場合であっても、導電部１６における処置側領域Ｓｐ１と導電部１６における背面側領域Ｓｐ２との間で短絡が生じることを防止することができる。
　また、カバー部材１９は、電気経路部１６４のうち発熱側端部１６４ａ以外の領域と金属シート１８とを覆う。すなわち、高温になり易い発熱側端部１６４ａを避けた位置にカバー部材１９が設けられているため、当該カバー部材１９が高温になることがなく、第１の板面１５０ａから当該カバー部材１９が剥がれてしまうことを回避することができる。

（その他の実施形態）
　ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。
　上述した実施の形態において、金属シート１８は、第１の板面１５０ａ上に取り付けられていたが、これに限らず、シートヒータ１３における折り返し部分に取り付けられていれば、第２の板面１５０ｂ上に取り付けても構わない。
　上述した実施の形態において、ブロック１４は、シートヒータ１３における折り返し部分に対して当接する構成に限らず、当該折り返し部分に当接していない構成を採用しても構わない。また、上述した実施の形態において、ブロック１４を採用しない構成としても構わない。
　上述した実施の形態に係る処置具２では、対象部位に対して熱エネルギ及び高周波エネルギの双方を付与していたが、これに限らず、熱エネルギのみを付与する構成（シートヒータ１３からの熱によってのみ対象部位を処置する構成）を採用しても構わない。

　１　処置システム
　２　処置具
　３　制御装置
　５　ハンドル
　６　シャフト
　７　把持部
　８　第１の把持部材
　９　第２の把持部材
　１０　第１のジョー
　１１　第１の支持部材
　１２　ブレード
　１３　シートヒータ
　１４　ブロック
　１５　基板
　１６　導電部
　１７　接着シート
　１８　金属シート
　１９　カバー部材
　５１　操作ノブ
　５２　スイッチ
　９１　第２のジョー
　９２　第２の支持部材
　９３　対向板
　１１１　凹部
　１２１　処置面
　１２２　実装面
　１２３　凹部
　１４１　曲面
　１５０ａ　第１の板面
　１５０ｂ　第２の板面
　１５１　第１の幅広部
　１５２　第２の幅広部
　１５３　幅狭部
　１６１　第１の接続部
　１６２　第２の接続部
　１６３　発熱部
　１６４　電気経路部
　１６４ａ　発熱側端部
　９３１　把持面
　Ａ１　方向
　Ａｒ１　先端側
　Ａｒ２　基端側
　Ａｘ　中心軸
　Ｃ　電気ケーブル
　Ｃ１　第１のリード線
　Ｃ２　第２のリード線
　ＦＩ　金属繊維
　Ｌｎ　折り返し線
　Ｐ０　支点
　Ｐ１　第１の接合位置
　Ｐ２　第２の接合位置
　Ｒ１　矢印
　Ｓｐ１　処置側領域
　Ｓｐ２　背面側領域

Claims

　生体組織を処置する処置面と、前記処置面と表裏の関係を持つ実装面とを有するブレードと、
　電気絶縁性を有する材料によって構成された基板と、通電によって発熱する発熱部を有する導電部とを有するシートヒータであって、前記基板が互いに表裏の関係を持つ第１の板面及び第２の板面を有し、前記導電部が前記第１の板面上において前記基板の長手方向に沿って延在するシートヒータと、
　複数の金属繊維が互いに絡み合った金属シートと、を備え、
　前記シートヒータは、
　前記第１の板面が前記シートヒータの外表面を構成する状態で、前記長手方向に交差する折り返し線に沿って折り返され、前記発熱部が前記実装面に対向する状態で設置され、
　前記金属シートは、
　前記シートヒータに対して前記折り返し線を跨ぐ状態で取り付けられている処置具。
　前記金属シートは、
　前記第１の板面上に取り付けられ、前記導電部に対して当接する請求項１に記載の処置具。
　前記金属シート及び前記導電部は、
　同一の材料によって構成されている請求項２に記載の処置具。
　電気絶縁性を有する材料によって構成され、前記導電部のうち前記発熱部以外の領域と前記金属シートとを覆うカバー部材をさらに備える請求項２に記載の処置具。
　前記金属シートは、
　前記折り返し線を挟む両側において、前記導電部に対して溶接によってそれぞれ接合されている請求項２に記載の処置具。
　電気絶縁性を有する材料によって構成され、前記第１の板面と前記実装面とを接着する接着シートをさらに備える請求項１に記載の処置具。
　前記折り返し線に沿って折り返された前記シートヒータの内側に配置されたブロックをさらに備える請求項１に記載の処置具。
　前記シートヒータは、
　前記ブロックの外形に沿って折り返されている請求項７に記載の処置具。
　前記ブロックには、
　曲率中心が前記折り返し線に平行となる特定の曲率半径を有する曲面が設けられ、
　前記シートヒータは、
　前記曲面に沿って折り返されている請求項８に記載の処置具。
　前記ブロックは、
　電気絶縁性を有する材料によって構成されている請求項７に記載の処置具。