WO2020110314A1 - 燃料遮断弁ユニット取り付け構造 - Google Patents

Abstract

本発明は、鞍乗型車両（１）の燃料タンク（３１）に設けられ、揮発燃料を外部に排出するブリーザー通路（Ｙ）が形成されると共に、液体燃料の流出を遮断するためのバルブ（５１）が設けられたバルブ装置（５０）を備える燃料遮断弁ユニット（Ｕ）の取り付け構造であって、前記燃料タンク（３１）の内部に設けられ、外部から供給される燃料を前記燃料タンク（３１）の内部に供給するためのフィラーチューブ（Ｆ）が設けられる鞍乗型車両において、前記フィラーチューブ（Ｆ）の外周面に設けられ、前記燃料遮断弁ユニット（Ｕ）を前記燃料タンク（３１）内部において支持するための支持部材（Ｂ）と、を備えることを特徴とする、燃料遮断弁ユニット（Ｕ）の取り付け構造である。

Description

燃料遮断弁ユニット取り付け構造

　本発明は、燃料遮断弁ユニット取り付け構造に関する。

　鞍乗型車両の燃料タンクには、タンク内に充満したガソリン蒸気を逃しつつ、車体が所定以上傾いた場合や転倒した場合に燃料漏れを防止するためのバルブ装置（ロールオーバーバルブ）が設けられている。このようなバルブ装置を燃料タンクに取り付ける工程では、作業性を向上させつつバルブ装置を確実に取り付けることが求められる。

　特許文献１には、燃料タンク内部にフロートバルブを取り付ける技術が開示されている。この取り付け方法によれば、燃料タンク内部に取り付けられるフロートバルブのフランジ部がホルダとカバー部材の間に配置されて締め付けられ、フロートバルブが燃料タンクに固定される。

特開２００８－１３８７３２号公報

　しかしながら、特許文献１に記載された技術によれば、リリーフバルブを燃料タンク内に設置するための部材を必要とし構造が複雑化するという課題がある。

　本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、構造を簡略化すると共に、燃料タンク内への取り付けを簡便に且つ確実に行うことができる燃料遮断弁ユニットの取り付け構造を提供することを目的の一つとする。

　上記課題の解決手段として、請求項１に記載した発明は、鞍乗型車両（１）の燃料タンク（３１）に設けられ、揮発燃料を外部に排出するブリーザー通路（Ｙ）が形成されると共に、液体燃料の流出を遮断するためのバルブ（５１）が設けられたバルブ装置（５０）を備える燃料遮断弁ユニット（Ｕ）の取り付け構造であって、前記燃料タンク（３１）の内部に設けられ、外部から供給される燃料を前記燃料タンク（３１）の内部に供給するためのフィラーチューブ（Ｆ）が設けられる鞍乗型車両において、前記フィラーチューブ（Ｆ）の外周面に設けられ、前記燃料遮断弁ユニット（Ｕ）を前記燃料タンク（３１）内部において支持するための支持部材（Ｂ）と、を備えることを特徴とする、燃料遮断弁ユニット（Ｕ）の取り付け構造である。

　請求項２に記載した発明は、前記支持部材（Ｂ）は、前記燃料遮断弁ユニット（Ｕ）を挟持して固定するように形成された一対の爪部（Ｂ６，Ｂ７）を備え、前記燃料遮断弁ユニット（Ｕ）には、前記一対の爪部（Ｂ６，Ｂ７）と嵌合して前記燃料遮断弁ユニット（Ｕ）を前記支持部材に固定する嵌合部（１１５）を備えるようにしてもよい。

　請求項３に記載した発明は、前記燃料遮断弁ユニット（Ｕ）には、平面視で前記燃料遮断弁ユニット（Ｕ）の径方向の外方に向かって突出するように形成されたフランジ部（１１３）を備え、前記一対の爪部（Ｂ６，Ｂ７）は、前記フランジ部（１１３）の下面を支持するようにしてもよい。

　請求項４に記載した発明は、前記フランジ部（１１３）の側面の一部には、平面視で径方向の外方に向かって突出するように形成されたフック部（１１６）を備え、前記支持部材（Ｂ）には、前記燃料遮断弁ユニット（Ｕ）が嵌め込まれた状態で前記フック部（１１６）が係止されるように形成された係止部（Ｂ８）を備えるようにしてもよい。

　請求項５に記載した発明は、前記フィラーチューブ（Ｆ）は、前記燃料タンク（３１）の上面から内部に向かって突出するように配置されるようにしてもよい。

　請求項６に記載した発明は、前記燃料タンク（３１）において、平面視で車両の略中央に前記フィラーチューブ（Ｆ）が配置され、前記支持部材は、前記フィラーチューブ（Ｆ）に取り付けられることにより、前記車両の略中央に配置されるようにしてもよい。

　請求項７に記載した発明は、前記燃料遮断弁ユニット（Ｕ）は、前記燃料タンク（３１）内において、車両の停止時における燃料の液面よりも上方に取り付けられるようにしてもよい。

　請求項１に記載した発明によれば、燃料タンク内のフィラーチューブに支持部材を配置することで、燃料遮断弁ユニットを組付けるための部材を低減すると共に、燃料遮断弁ユニットを燃料タンクの内部に配置することができる。また、燃料遮断弁ユニットが燃料タンクから突出しないので美観性が向上する。

　請求項２に記載した発明によれば、指示部材に形成された爪部により燃料遮断弁ユニットが係止されるので、簡潔に組付けをすることができる。

　請求項３に記載した発明によれば、フランジ部が形成されていることにより、一対の爪部の上下方向の動きが規制されるため、簡易な構造で燃料遮断弁ユニットの上下方向の位置決めをすることができる。

　請求項４に記載した発明によれば、フランジ部にフック部が形成されていることにより、フランジ部で燃料遮断弁ユニットの上下方向の位置決めをすると共に、フック部が支持部材の係止部に係止されることによって水平方向の位置決めをすることができる。

　請求項５に記載した発明によれば、燃料遮断弁ユニットが燃料タンク内に取り付けられることにより、燃料タンク内に生じた揮発燃料を効果的に捕集することができる。

　請求項６に記載した発明によれば、燃料遮断弁ユニットが車両の略中央に配置されることによって燃料タンク内に生じた揮発燃料を効果的に捕集することができる。

　請求項７に記載した発明によれば、燃料遮断弁ユニットが車両の停止時における燃料の液面よりも上方に取り付けられることによって燃料タンク内に生じた揮発燃料を効果的に捕集することができる。

実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。 自動二輪車の平面図である。 燃料遮断弁ユニットの取り付け構造を示す側面図である。 燃料遮断弁ユニットの上面方向から見た斜視図である。 燃料遮断弁ユニットの上面方向から見た分解斜視図である。 燃料遮断弁ユニットの下面方向から見た斜視図である。 燃料遮断弁ユニットの燃料タンク内の配置を示す図である。 燃料遮断弁ユニットの燃料タンク内の他の配置を示す図である。

　以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印ＦＲ、及び車両上方を示す矢印ＵＰが示されている。

＜車両全体＞
　図１及び図２は、鞍乗型車両の一例として、オフロードタイプの自動二輪車１を示す。自動二輪車１の前輪２は左右フロントフォーク３の下端部に軸支されている。左右フロントフォーク３の上部は、ステアリングステム４を介して車体フレーム５のヘッドパイプ６に操舵可能に支持されている。ステアリングステム４の上部には、バータイプのハンドル７が取り付けられている。

　車体フレーム５は、ヘッドパイプ６、左右一対のメインチューブ８、左右一対のピボットフレーム９、単一のダウンフレーム１１、左右一対のロアフレーム１２、およびシートフレーム１３を備える。

　側面視で、ヘッドパイプ６は、後側ほど上方に位置するように傾斜して延在している。左右メインチューブ８は、ヘッドパイプ６の後上部から後下がりに後方へ延びている。左右メインチューブ８の後端部は、車体前後中間部において左右ピボットフレーム９の上端部に連なっている。単一のダウンフレーム１１は、ヘッドパイプ６の後下部から左右メインチューブ８よりも急傾斜をなして斜め後下方へ延びている。

　左右ロアフレーム１２は、ダウンフレーム１１の下端部から左右に分岐して斜め後下方へ延びている。左右ロアフレーム１２の下部は、後方へ湾曲している。左右ロアフレーム１２の後部は、左右ピボットフレーム９の下端部に接続されている。シートフレーム１３は、左右メインチューブ８の後部に接続されている。

　車体フレーム５は、ツインスパー型のクレードルフレームを構成している。車体フレーム５の内側部には、自動二輪車１の原動機であるエンジン２１が搭載されている。本実施形態で用いる「中間」とは、対象の両端間の中央のみならず、対象の両端間の内側の範囲を含む意とする。

　左右ピボットフレーム９の下部には、スイングアーム１５の前端部（基端部）が上下揺動可能に支持されている。スイングアーム１５の後端部には、自動二輪車１の後輪１７が軸支されている。スイングアーム１５の前下部には、リンク機構１８を介してリアクッション（不図示）の下端部が連結されている。リアクッションの上端部は、左右メインチューブ８の後端部近傍の間に渡るクロスメンバ（不図示）に連結されている。

　エンジン２１は、車幅方向（左右方向）に平行なクランク軸を有する単気筒エンジンである。エンジン２１の下部は、クランクケース２２を構成している。クランクケース２２の前上部には、シリンダ２３が略垂直に立設している。

　シリンダ２３の後部には、エンジン吸気系のスロットルボディ（不図示）が接続されている。シリンダ２３の前部には、エンジン排気系の排気管（不図示）が接続されている。クランクケース２２の後部は、クラッチ及びトランスミッションを収容する変速機ケースを兼ねている。クランクケース２２後部の左側部には、変速機の出力軸が突出している。出力軸と後輪１７とは、チェーン式伝動機構１９を介して連結されている。

　シリンダ２３の上方であって左右メインチューブ８の間には、燃料タンク３１が設けられている。左右メインチューブ８後方であってシートフレーム１３上には、シート２４が設けられている。シート２４は、前後に延在している。シート２４の前部は、燃料タンク３１の後部上面に支持されている。

　図中符号２５はステアリングステム４のボトムブリッジに支持されるフロントフェンダ、符号２６はシート２４の後方に延びるリアフェンダ、符号２７はダウンフレーム１１の両側方に配置される左右一対のラジエータ、符号２８は燃料タンク３１の側面から左右ラジエータ２７の側面前方に至る範囲を覆う左右一対のシュラウド、をそれぞれ示す。

＜燃料遮断弁ユニット＞
　上述した自動二輪車１は、燃料遮断弁ユニットＵを備える。燃料遮断弁ユニットＵは、燃料タンク３１内の揮発燃料を外部に排出すると共に、液体燃料の流出を遮断するためのバルブ装置５０を備える。

　燃料遮断弁ユニットＵ取り付け構造は、バルブ装置５０が収容された収容容器１００を燃料タンク３１に固定するものである。

　図３から図６に示されるように、燃料タンク３１の内部には、外部から供給される燃料を内部に供給するためのフィラーチューブＦ（フィラーパイプともいう）が設けられている。フィラーチューブＦは、例えば、円筒形に形成されている。

　フィラーチューブＦの上部には、燃料キャップ（不図示）が取り付けられる。フィラーチューブＦの上部は、燃料タンクの上面に設けられた開口３１Ａの裏側から取り付けられている。即ち、フィラーチューブＦは、燃料タンク３１の内部方向に向かって突出するように取り付けられている。フィラーチューブＦの内周面Ｆ２は、燃料タンク３１の外部と内部とに連通している。

　これにより、外部から燃料を供給する際に給油ノズルがフィラーチューブＦの上部の開口Ｆ１に挿入され、燃料が燃料タンク３１の内部に供給される。

　フィラーチューブＦの外周面Ｆ３の一部には、燃料遮断弁ユニットＵを固定するための支持部材Ｂが取り付けられる。支持部材Ｂは、フィラーチューブＦの外周面Ｆ３から水平方向に突出するように取り付けられている。

　支持部材Ｂは、板状に形成されている。以下、支持部材Ｂの突出した端部を前端部とし、フィラーチューブＦが取り付けられた端部を後端部とし、前端部と後端部とを接続する一対の側端部を両側端部Ｂ１，Ｂ２とする。支持部材Ｂの両側端部Ｂ１，Ｂ２は、下方に折り曲げられてフランジが形成されている。これにより、燃料遮断弁ユニットＵを取り付けた状態における支持部材Ｂの撓み剛性が向上される。

　支持部材Ｂの後端部は、フィラーチューブＦの外周面Ｆ３の外径の形状に沿って欠円アーチ状に切り取られて形成されている。支持部材Ｂの後端部は、フィラーチューブＦの外周面Ｆ３に溶接されている。

　支持部材Ｂの前端部Ｂ４側には、燃料遮断弁ユニットＵを取り付けるためのＵ字状の切欠き部Ｂ５が形成されている。切欠き部Ｂ５は、後述の燃料遮断弁ユニットＵの嵌合部１１５の形状にあわせて切り取られて形成されている。

　支持部材Ｂの後端部Ｂ３側には、後述のように燃料遮断弁ユニットＵのフック部１１６を係止するための係止部Ｂ８が形成されている。係止部Ｂ８は、例えば、矩形の貫通孔である。

　支持部材Ｂに切欠き部Ｂ５が形成されていることにより、切欠き部Ｂ５の両側に一対の爪部Ｂ６，Ｂ７が形成されている。一対の爪部Ｂ６，Ｂ７は、燃料遮断弁ユニットＵを挟持するように形成されている。即ち、切欠き部Ｂ５は、支持部材Ｂにおいて、アーチ状のアーチ端Ｂ５Ａと、一対の爪部Ｂ６，Ｂ７の側端部となる一対の挟持端Ｂ６Ａ，Ｂ７ＡとによりＵ字状に形成されている。燃料遮断弁ユニットＵが切欠き部Ｂ５に挿入されると、支持部材Ｂに固定される。Ｕ字状の切欠き部Ｂ５によって燃料遮断弁ユニットＵの円筒状のバルブ装置５０の三方を支持すると共に、水平方向の位置規制を容易に行うことができる。

　燃料遮断弁ユニットＵは、バルブ装置５０を収容すると共に、支持部材Ｂに固定するための収容容器である。ここで、バルブ装置５０は、内部に充満した揮発燃料（べーパー）が大気に放出されるのを防止しつつ、車体が所定以上に傾いた場合や転倒した場合に燃料漏れを防止するように動作するフロートバルブ５１（バルブ）を備える装置である。

　バルブ装置５０は、フロートバルブ５１を備え、フロートバルブ５１が燃料の液面に従って上下する。出願人は、例えば、特開２００６－４６１３６号公報等において燃料漏れを防止するためのバルブ装置を提案している。本実施形態のバルブ装置５０は、既知のロールオーバーバルブと同様に構成されるため、ここでは詳細な説明を省略する。

　バルブ装置５０は、例えば、円柱状に形成されている。燃料遮断弁ユニットＵは、バルブ装置５０を収容するための収容容器１００を備える。収容容器１００は、バルブ装置５０が収容される収容空間が形成された円筒状の本体部１０１と、本体部１０１の上部の開口を塞ぐ蓋部１１０と、本体部１０１の下部の開口を塞ぐ円板状の底板１２０とを備える。

　蓋部１１０は、例えば、円板状の頂板１１１と、頂板１１１の側面から下方に垂下して、側面に沿って延在するように形成された円筒状の側壁部１１２とを備える。側壁部１１２の外径は、本体部１０１の外径よりも小さくなるように形成されている。これにより、本体部１０１の頂部と側壁部１１２の下端部との接続部分には、段差部Ｄが形成されている。

　側壁部１１２には、外方に向かって水平方向に突出した円柱状のパイプ取付部１１４が設けられている。パイプ取付部１１４には、例えば、ブリーザーチューブＰ（図１参照）の一端が接続される。ブリーザーチューブＰは、例えば、可撓性と耐油性とを兼ね備えた配管である。ブリーザーチューブＰにより、燃料タンク３１内の揮発燃料を外部に導出するためのブリーザー通路Ｙが確保される。

　ブリーザーチューブＰの他端は、例えば、チャコールキャニスター（不図示：以下、キャニスターと略す）に接続される。ブリーザーチューブＰは、タンク内の揮発したガソリンと空気との混合気体（揮発燃料）をキャニスターに導く。即ち、パイプ取付部１１４は、燃料遮断弁ユニットＵにおいて、ブリーザー通路Ｙの一部となる。

　また、側壁部１１２には、段差部Ｄから上方にオフセットされて平面視で側壁部１１２の径方向の外方に向かって水平方向に突出するように形成されたフランジ部１１３が形成されている。フランジ部１１３は、例えば、円板の一部が切り取られた形状に形成されている。円板の一部が切り取られた部分には、パイプ取付部１１４が配置されている。

　フランジ部１１３は、底面と段差部Ｄとの間の距離が、支持部材Ｂの厚さよりも若干大きくなるように配置されている。即ち、フランジ部１１３の底面と段差部Ｄとの間には、支持部材Ｂが嵌合するように嵌合部１１５が形成されている。

　フランジ部１１３において、平面視で頂板１１１を挟んだパイプ取付部１１４の反対側には、フック部１１６が形成されている。フック部１１６は、支持部材Ｂに設けられた係止部Ｂ８に係止されるように形成されている。

　フック部１１６は、平面視でフランジ部１１３の径方向の外方に向かって水平方向に突出するように形成されている。フック部１１６は、例えば、矩形の平板状に形成されている。フック部１１６の先端部には、先端に行くほど断面が減少するテーパー面１１６Ａが下方を向くように形成されている。

　テーパー面１１６Ａの後端には、テーパー面１１６Ａに連続して下方に突出する突出部１１６Ｂが形成されている。即ち、突出部１１６Ｂは、側面視でフック部１１６の下面から三角柱状に突出している。突出部１１６Ｂは、燃料遮断弁ユニットＵが支持部材Ｂの切欠き部Ｂ５に挿入された状態で、支持部材Ｂの係止部Ｂ８に対応する位置になるように形成されている。

　上記構成により、燃料遮断弁ユニットＵが支持部材Ｂの切欠き部Ｂ５に挿入される際、一対の爪部Ｂ６，Ｂ７が蓋部１１０の側壁部１１２を挟持するようにフランジ部１１３と段差部Ｄとの間に形成された嵌合部１１５に挿入される。そうすると、一対の爪部Ｂ６，Ｂ７は、フランジ部１１３と段差部Ｄとにより上下方向の移動が規制され、上下方向の位置決めを確実に行うことができる。

　この時、挿入方向とフック部１１６の軸線軸線方向が一致する方向に燃料遮断弁ユニットＵが切欠き部Ｂ５に挿入される。挿入時において、一対の爪部Ｂ６，Ｂ７の一対の挟持端Ｂ６Ａ，Ｂ７Ａと側壁部１１２とが摺動しつつ、一対の爪部Ｂ６，Ｂ７がフランジ部１１３と段差部Ｄとの間に案内されて、フック部１１６の突出部１１６Ｂが支持部材Ｂのアーチ端Ｂ５Ａに当接する。

　そして、燃料遮断弁ユニットＵを更にフィラーチューブＦに近位する方向に押し込むと、フック部１１６のテーパー面１１６Ａがアーチ端Ｂ５Ａの上方の角部に当接する。更に燃料遮断弁ユニットＵをフィラーチューブＦに近位する方向に押し込むと、テーパー面１１６Ａがアーチ端Ｂ５Ａの上方の角部を摺動し、フック部１１６が上方に反り返るように弾性変形し、突出部１１６Ｂが支持部材Ｂの上面に載置される。

　更に、更に燃料遮断弁ユニットＵをフィラーチューブＦに近位する方向に押し込むと、嵌合部１１５における壁面部１１２がアーチ端Ｂ５Ａに当接すると共に、フック部１１６の弾性変形が解放されると共に、突出部１１６Ｂが係止部Ｂ８に引っ掛かる。

　この状態で、一対の爪部Ｂ６，Ｂ７は、フランジ部１１３と段差部Ｄとによって上下方向の動きが規制されているので、フック部１１６が係止部Ｂ８から外れることは無く、燃料遮断弁ユニットＵは、支持部材Ｂに固定される。即ち、フック部１１６および係止部Ｂ８により、燃料遮断弁ユニットＵは、上下方向の軸線Ｌ周りの回転方向と、フィラーチューブＦから離間する方向に対する動きが規制される。これにより、燃料遮断弁ユニットＵの水平方向の動きが規制されると共に、水平方向の位置決めを確実に行うことができる。

　つまり、燃料遮断弁ユニットＵの取り付け時において、作業者は、燃料遮断弁ユニットＵを切欠き部Ｂ５に挿入してフック部１１６を係止部Ｂ８に係止させると共に、一対の爪部Ｂ６，Ｂ７により側壁部１１２を挟持させると、燃料遮断弁ユニットＵをフィラーチューブＦの近傍に固定することができる。

　燃料遮断弁ユニットＵは、例えば、燃料タンク３１が上下方向に分割された状態で支持部材Ｂに取り付けられる。その後、燃料タンク３１は、上下が溶接される。同様に、燃料タンク３１の上面や下面の一部などに燃料遮断弁ユニットＵが取り付け可能な開口が設けられた状態で、燃料タンク３１の内部に燃料遮断弁ユニットＵを取り付けた後、溶接やネジ止め等で開口を塞ぐようにしてもよい。

　また、燃料遮断弁ユニットＵは、フィラーチューブＦに取り付けられた状態で燃料タンク３１に取り付けられてもよい。即ち、フィラーチューブＦに取り付けられた状態の燃料遮断弁ユニットＵは、例えば、フィラーチューブＦごと燃料タンク３１に設けられた開口３１Ａ（図３参照）から燃料タンク３１の内部に挿入される。

　そして、フィラーチューブＦが燃料タンク３１の上面の内側に固定されることにより燃料遮断弁ユニットＵが燃料タンク３１の内部に設置される。フィラーチューブＦは、例えば、上部が燃料タンク３１の上面の内側に溶接される。この他、燃料遮断弁ユニットＵは、燃料タンク３１に設けられた燃料ポンプ取り付け用の開口部（不図示）から挿入されてフィラーチューブＦに設けられた支持部材Ｂに取り付けられてもよい。

　燃料遮断弁ユニットＵのパイプ取付部１１４には、ブリーザーチューブＰの一端が接続され、他端は、例えば、燃料タンク３１の底板に設けられた貫通孔（不図示）を通して燃料タンク３１の外部に引き出される。貫通孔とブリーザーチューブＰとの間の隙間は、シール材等で充填され、気密性が保たれる。

　ブリーザーチューブＰは、貫通孔を通す方法の他、燃料タンク３１の底板を貫通して溶接された接続用パイプ（不図示）に他端が接続され、燃料タンク３１の底板の外側に突出した接続用パイプに他のブリーザーチューブＰを接続するようにしてブリーザー通路を確保するようにしてもよい。上記のブリーザー通路Ｙを確保するための貫通孔や接続用パイプは燃料タンク３１の底板だけでなく、他の位置に設けられていてもよい。

　ブリーザーチューブＰは、例えば、燃料タンク３１が上下で分割された状態で燃料遮断弁ユニットＵに接続され、燃料タンク３１の外部への配管が行われる。その後、燃料タンク３１の上下が溶接される。また、ブリーザーチューブＰは、燃料遮断弁ユニットＵが燃料タンク３１内に取り付けられた状態で給油口から手や工具を入れて接続されてもよい。

　次に、燃料タンク３１の内部における燃料遮断弁ユニットＵの配置について説明する。燃料タンク３１において、フィラーチューブＦは、平面視で車体の略中央に配置される。支持部材Ｂは、フィラーチューブＦに取り付けられることにより、車体の略中央に配置される。これに伴い、燃料遮断弁ユニットＵは、車体の略中央に配置される。燃料遮断弁ユニットＵは平面視で車幅方向の中央で、且つ、メインフレームの幅内に配置されるので、幅方向をコンパクトに配置することができる。また、ハンドル７、ステップ４０を結ぶ領域Ｘよりも内側に配置されるので（図２参照）、ライダーの乗車姿勢を妨げないように構成されている。

　図７に示されるように、燃料遮断弁ユニットＵは、車両が停止した状態の燃料が満タン状態の液面（１Ｇ満タン時液面）より上方の空間に配置される。燃料の液面の角度は、急加速時や急制動時に変化する。バルブ装置５０は、上述したように燃料に一時的に浸かってもよいので、燃料遮断弁ユニットＵは、１Ｇ満タン液面より上方の空間内に配置されていればよい。

　燃料遮断弁ユニットＵは、燃料タンク３１を側面視してフィラーチューブＦに対して前後方向のいずれにも配置されてもよく、１Ｇ満タン液面より上方の空間内に配置されていればよい。

　図８に示されるように、燃料遮断弁ユニットＵは、燃料タンク３１を正面視してフィラーチューブＦに対して左右方向のいずれにも配置されてもよく、１Ｇ満タン液面より上方の空間内に配置されていればよい。このような構成により、燃料遮断弁ユニットＵは、燃料タンク３１の内部に充満した揮発燃料をバルブ装置５０により効果的に捕集して、ブリーザー通路Ｙを通して燃料タンク３１の外部に導出することができる。

　上述したように燃料遮断弁ユニットＵの取り付け構造によれば、構造を簡略化すると共に、取り付け工程を簡便に且つ確実に行うことができる。燃料遮断弁ユニットＵによれば、燃料タンク３１の内部に設けられた支持部材に燃料遮断弁ユニットＵを取り付けることで燃料遮断弁ユニットＵが外部から視認されないため、車両の美観性が向上する。

　以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。例えば、上記実施形態では、オフロード走行用の自動二輪車への適用を例に説明したが、車両の用途については何ら限定するものではない。

　燃料タンク３１はヘッドパイプから緩やかに上方に傾き頂部に到達した後、後ろ下がりに下がる形状に形成されているため、燃料遮断弁ユニットＵが頂部周辺に配置されることで揮発燃料の排出効率が高まる。

　また、前記鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車（原動機付自転車及びスクータ型車両を含む）のみならず、三輪（前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む）又は四輪の車両も含まれる。

　また、上記実施形態では、フランジ部１１３から突出したフック部１１６が支持部材Ｂの係止部Ｂ８に係止されるように形成されていたが、これに限らず、支持部材Ｂ側に突出部が設けられて、フランジ部１１３側に開口や凹部が設けられているようにしてもよい。また、燃料遮断弁ユニットＵは、フック部１１６と係止部Ｂ８とにより支持部材Ｂに固定されるように構成されていたが、これに限らず、一対の爪部Ｂ６，Ｂ７の先端が側壁部１１２を抱きかかえるように切欠き部Ｂ５を形成して、一対の爪部Ｂ６，Ｂ７で燃料遮断弁ユニットＵを固定するように構成してもよい。その場合、側壁部１１２の断面形状をＤ字状に形成すると共に、切欠き部Ｂ５もそれに合わせて形成する等の回転防止形状を設けて、燃料遮断弁ユニットＵの回転を規制してもよい。

　燃料遮断弁ユニットＵは燃料タンク３１上方で、フィラーチューブＦの下端よりも上方にパイプ取り付け部１１４が配置される。これにより燃料タンク３１内の１Ｇ満タン液面よりも上方に燃料遮断弁ユニットＵの上部を配置することができるので、揮発燃料を効率的に捕集することができる。

５０　バルブ装置
１００　収容容器
１１０　蓋部
１１３　フランジ部
１１５　嵌合部
１１６　フック部
Ｂ　支持部材
Ｂ６、Ｂ７　爪部
Ｂ８　係止部
Ｆ　フィラーチューブ
Ｐ　ブリーザーチューブ
Ｕ　燃料遮断弁ユニット

Claims (7)

1. 　鞍乗型車両（１）の燃料タンク（３１）に設けられ、揮発燃料を外部に排出するブリーザー通路（Ｙ）が形成されると共に、液体燃料の流出を遮断するためのバルブ（５１）が設けられたバルブ装置（５０）を備える燃料遮断弁ユニット（Ｕ）の取り付け構造であって、
   　前記燃料タンク（３１）の内部に設けられ、外部から供給される燃料を前記燃料タンク（３１）の内部に供給するためのフィラーチューブ（Ｆ）が設けられる鞍乗型車両において
   　前記フィラーチューブ（Ｆ）の外周面に設けられ、前記燃料遮断弁ユニット（Ｕ）を前記燃料タンク（３１）内部において支持するための支持部材（Ｂ）と、を備えることを特徴とする、
   燃料遮断弁ユニット（Ｕ）の取り付け構造。
2. 　前記支持部材（Ｂ）は、前記燃料遮断弁ユニット（Ｕ）を挟持して固定するように形成された一対の爪部（Ｂ６，Ｂ７）を備え、
   　前記燃料遮断弁ユニット（Ｕ）には、前記一対の爪部（Ｂ６，Ｂ７）と嵌合して前記燃料遮断弁ユニット（Ｕ）を前記支持部材に固定する嵌合部（１１５）を備えることを特徴とする、
   請求項１に記載の燃料遮断弁ユニット（Ｕ）の取り付け構造。
3. 　前記燃料遮断弁ユニット（Ｕ）には、平面視で前記燃料遮断弁ユニット（Ｕ）の径方向の外方に向かって突出するように形成されたフランジ部（１１３）を備え、
   　前記一対の爪部（Ｂ６，Ｂ７）は、前記フランジ部（１１３）の下面を支持することを特徴とする、
   請求項２に記載の燃料遮断弁ユニット（Ｕ）の取り付け構造。
4. 　前記フランジ部（１１３）の側面の一部には、平面視で径方向の外方に向かって突出するように形成されたフック部（１１６）を備え、
   　前記支持部材（Ｂ）には、前記燃料遮断弁ユニット（Ｕ）が嵌め込まれた状態で前記フック部（１１６）が係止されるように形成された係止部（Ｂ８）を備えることを特徴とする、
   請求項３に記載の燃料遮断弁ユニット（Ｕ）の取り付け構造。
5. 　前記フィラーチューブ（Ｆ）は、前記燃料タンク（３１）の上面から内部に向かって突出するように配置されることを特徴とする、
   請求項１から４のうちいずれか１項に記載の燃料遮断弁ユニット（Ｕ）の取り付け構造。
6. 　前記燃料タンク（３１）において、平面視で車両の略中央に前記フィラーチューブ（Ｆ）が配置され、
   　前記支持部材（Ｂ）は、前記フィラーチューブ（Ｆ）に取り付けられることにより、前記車両の略中央に配置されることを特徴とする、
   請求項１から５のうちいずれか１項に記載の燃料遮断弁ユニット（Ｕ）の取り付け構造。
7. 　前記燃料遮断弁ユニット（Ｕ）は、前記燃料タンク（３１）内において、車両の停止時における燃料の液面よりも上方に取り付けられることを特徴とする、
   請求項１から６のうちいずれか１項に記載の燃料遮断弁ユニット（Ｕ）の取り付け構造。

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