WO2020067102A1 - モールド、及び、経皮吸収シートの製造方法 - Google Patents

モールド、及び、経皮吸収シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

ポリマー層を均一に形成することができるモールド、及び、経皮吸収シートの製造方法を提供する。アレイ状に配置された複数の針状凹部(42)と、複数の針状凹部(42)が形成された領域(48)の周囲に、針状凹部(42)が形成された領域より高い段差部(52)と、針状凹部(42)が形成された領域(48)と、段差部(52)と、の間に凹状の溝部(44)と、を有するモールドである。また、このモールドを用いた経皮吸収シートの製造方法である。

Description

モールド、及び、経皮吸収シートの製造方法
 本発明は、モールド、及び、経皮吸収シートの製造方法に係り、特に、針状凹部が形成されたモールド、及び、このモールドを用いて形状転写により経皮吸収シートを製造する方法に関する。
 近年、痛みを伴わずにインシュリン(Insulin)及びワクチン(Vaccines)及びhGH(human Growth Hormone)などの薬剤を皮膚内に投与可能な新規剤型として、マイクロニードルアレイ(Micro-Needle Array)が知られている。マイクロニードルアレイは、薬剤を含み、生分解性のあるマイクロニードル(微細針、又は、微小針ともいう)をアレイ状に配列したものである。このマイクロニードルアレイを皮膚に貼付することにより、各マイクロニードルが皮膚に突き刺さり、これらマイクロニードルが皮膚内で吸収され、各マイクロニードル中に含まれた薬剤を皮膚内に投与することができる。マイクロニードルアレイは経皮吸収シートとも呼ばれる。
 上述のようなマイクロニードルアレイのような微細な突起状パターンを有する成形品を作製するため、微細な突起状パターンを有する原版から樹脂性の反転形状のモールドを形成し、このモールドから成形品を作製することが行われている。このような微細なパターンを有する成形品の生産性を向上させることが求められており、種々の提案がなされている。
 例えば、下記の特許文献1には、モールドに、針状凹部が形成された領域より高い段差部を備え、ポリマー層形成液を段差部に固定(ピニング)した後、乾燥を行うことで、形状の安定した経皮吸収シートの製造方法が記載されている。
特開2016-168325号公報
 しかしながら、特許文献1に記載の方法においては、ポリマー層形成液をモールドに供給し、ポリマー層形成液が濡れ広がる際に、針状凹部が形成された領域の端部に気泡が巻き込まれる場合がある。そして、この巻き込んだ気泡が浮き上がる際に、段差部とポリマー層形成液とのピニングを阻害することがある。ピニングが阻害された経皮吸収シートは形状が安定せず、ポリマー層形成得率が下がるという課題があった。
 本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ポリマー層形成時の段差部へのピニングを安定化させ、ポリマー層を均一に形成することができるモールド、及び、経皮吸収シートの製造方法を提供することを目的とする。
 本発明の目的を達成するために、本発明に係るモールドは、アレイ状に配置された複数の針状凹部と、複数の針状凹部が形成された領域の周囲に、針状凹部が形成された領域より高い段差部と、針状凹部が形成された領域と、段差部と、の間に凹状の溝部と、を有する。
 本発明の目的を達成するために、本発明に係る経皮吸収シートの製造方法は、針状凹部を有するモールドの針状凹部に薬液を充填し、乾燥させて薬剤層を形成する工程と、モールドは、針状凹部が形成された領域の周囲に針状凹部が形成された領域より高い段差部と、針状凹部が形成された領域と段差部との間に凹状の溝部と、を備え、段差部と、溝部から段差部に向かって形成される壁部と、の接点を接触位置としたとき、ポリマー層形成液を、針状凹部が形成された領域から接触位置を超えてポリマー層形成液を供給する工程と、ポリマー層形成液を収縮させながら接触位置に固定する工程と、ポリマー層形成液を乾燥させて、ポリマー層を形成する工程と、を有する。
 本発明のモールドを用いて経皮吸収シートを製造することで、モールドに供給したポリマー層形成液中に、気泡を巻き込んだとしても、気泡をモールドの溝部に保持することができる。したがって、良好なピニング状態を維持することができ、ポリマー層形成得率を上げることができる。
モールドを製造する手順を示す工程図である。 モールドを製造する手順を示す工程図である。 モールドを製造する手順を示す工程図である。 モールドを製造する手順を示す工程図である。 モールドを製造する手順を示す工程図である。 他のモールドを製造する手順に用いられる大判原版を示す図である。 経皮吸収シートを製造する手順を示す工程図である。 経皮吸収シートを製造する手順を示す工程図である。 経皮吸収シートを製造する手順を示す工程図である。 経皮吸収シートを製造する手順を示す工程図である。 経皮吸収シートを製造する手順を示す工程図である。 経皮吸収シートを製造する手順を示す工程図である。 ポリマー層形成液の収縮を説明する図である。 ポリマー層形成液の収縮を説明する図である。 ポリマー層形成液の収縮を説明する図である。 ポリマー層形成液の塗布形状による収縮を説明する図である。 ポリマー層形成液の塗布形状による収縮を説明する図である。 ポリマー層形成液の塗布形状による収縮を説明する図である。 モールドの段差部の拡大図である。 従来のモールドの課題を説明する図である。 従来のモールドの課題を説明する図である。 従来のモールドの課題を説明する図である。 気泡の維持状態を説明する図である。
 以下、添付図面に従って、本発明に係るモールド、及び、経皮吸収シートの製造方法について説明する。
 <モールド>
 [モールドの製造方法]
 図1から図5は、モールドの製造方法の手順を示す工程図である。モールド50は、原版10から、樹脂原盤にインプリントにより、第1モールド20を形成する。第1モールド20を形成した後、電鋳処理により、複製金型30を形成する。次に複製金型30から樹脂膜を用いて、複製金型30の反転型である凹状パターン46を有するモールドシート40を形成する。最後に、モールドシート40を打抜き、各パターン毎に切断することで、モールド50を形成する。以下、各工程について説明する。
 まず、図1に示すように、突起状パターン12が形成された原版10を用意する。突起状パターン12の周囲には、作成されるモールドに設けられる溝部に対応する形状及び位置に凸部14を備える。突起状パターン12及び凸部14により凸状パターン16が構成される。凸状パターン16が形成された原版10の作製方法は、特に限定されないが、例えば、ステンレスなどの金属基板に、ボールエンドミルなどの切削工具を用いた機械切削で加工することにより、原版10の表面に複数の突起状パターン12及びその周囲に凸部14を作成することができる。
 他の方法として、Si基板状にフォトレジストを塗布した後、露光、現像を行う。そしてRIE(リアクティブイオンエッチング:Reactive Ion Etching)などによるエッチングを行うことにより、原版10の表面に、突起状パターン12及び凸部14を作製する。なお、原版10の表面に突起状パターン12を形成するためにRIEなどのエッチングを行う際には、Si基板を回転させながら斜め方向からのエッチングを行うことにより、突起状パターンを形成することが可能である。
 次に図2に示すように、インプリント方式により、原版10を利用して針状凹部22及び凹部24からなる凹状パターン26を有する第1モールド20を作製する。第1モールド20を作製する方法としては、熱可塑性樹脂等の第1モールド20の材料から構成される樹脂原盤を準備する。この樹脂原盤に、加熱した原版10を、樹脂原盤の表面にプレスし、冷却等をして樹脂原盤を硬化させ、樹脂原盤表面に凹状パターン26を形成する。その後、原版10を樹脂原盤から剥離し、必要に応じて樹脂原盤を成形し、第1モールド20を製造することができる。なお、図2においては、凹状パターン26を2つ形成する図を示しているが、凹状パターン26の数は限定されない。3つ以上の凹状パターン26が形成された第1モールドを製造してもよい。
 次に図3に示すように、第1モールド20を用いて突起状パターン32及び凸部34から成る凸状パターン36を有する複製金型30を製作する。複製金型30は電鋳処理により製作されることが好ましい。
 電鋳処理においては、まず、第1モールド20に対して、導電化処理を行う。第1モールド20に、金属(例えば、ニッケル)をスパッタし、第1モールド20の表面、凹状パターン26に金属を付着する。
 次いで、導電化処理を経た第1モールド20を陰極に保持する。金属ペレットを金属製のケースに保持し陽極とする。第1モールド20を保持する陰極と金属ペレットを保持する陽極とを電鋳液中に浸漬し、通電することで、第1モールド20の凹状パターン26に金属が埋め込まれ、剥離することで凸状パターン36を有する複製金型30が製作される。
 また、凸状パターン36を有する複製金型30の製作は、電鋳処理に限定されず、第1モールド20に樹脂を供給し、硬化させることで製作することもできる。供給する樹脂に金属粒子を分散させることで、複製金型30に金属を含ませることができる。
 次に図4に示すように、複製金型30を用いて、モールドシート40を製造する。モールドシート40の製造は、複製金型30に医療グレードのシリコーン材料(例えば、ダウ・コーニング社製MDX4-4210)を流し込み、150℃で加熱処理し硬化した後に、複製金型30からモールドシート40を剥離することで製造することができる。また、別の方法としては、紫外線を照射することにより硬化するUV硬化樹脂を複製金型30に流し込み、窒素雰囲気中で紫外線を照射した後に、複製金型30からモールドシート40を剥離することにより製造することができる。さらに、別の方法として、ポリスチレン及びPMMA(ポリメチルメタクリレート:polymethyl methacrylate)等のプラスチック樹脂を有機溶剤に溶解させたものを剥離剤の塗布された複製金型30に流し込み、乾燥させることにより有機溶剤を揮発させて硬化させた後に、複製金型30からモールドシート40を剥離することにより製造することができる。複製金型30の突起状パターン32が、モールドシート40の針状凹部42に対応して形成され、凸部34が溝部44に対応して形成される。針状凹部42と溝部44により凹状パターン46が形成される。
 次に図5に示すように、モールドシート40を凹状パターン46毎に切断することで、モールド50を製造する。これにより、原版10の反転型であり、アレイ状に配置された複数の針状凹部42と、針状凹部42が形成された領域48の周囲に形成された段差部52と、針状凹部42が形成された領域48と段差部52との間の溝部44と、を有するモールド50を形成することができる。
 なお、モールド50の製造方法は、図1から図5に示す工程に限定されず、図6に示すように、原版10と同様の方法で製作された大判原版60を用いることもできる。大判原版60にも、原版10と同様に、突起状パターン62及び凸部64からなる凸状パターン66を形成する。なお、図6においては、凸状パターン66が2つ形成されている図を示しているが、凸状パターン66の数は限定されない。3つ以上の凸状パターン66が形成された大判原版を用いることもできる。この大判原版60を、図4に示す複製金型30の代わりに用いて、モールドシート40及びモールド50を製造することもできる。しかしながら、機械切削での加工は、微細で複雑なパターン形状になるほどコストがかかるため、大判の原版を作製することはコストがかかる。また、突起状パターンの形状が異なることも懸念される。したがって、図1から図5に示すように、原版10からインプリントにより複数の凹状パターン26を有する第1モールド20を作製し、モールド50を作製することで、低コストでモールド50を製作することができる。
 [経皮吸収シートの製造方法]
 次に、上記の製造方法で製造されたモールド50を用いて、経皮吸収シートを製造する方法について説明する。図7から図12は、経皮吸収シート120を製造する工程図である。
 まず、図7に示すようにモールド50を用意する。次に、図8に示すように、薬液を針状凹部42に供給し、乾燥することで、針状凹部内に薬剤を含む薬剤層110を形成する。薬剤層110の形成は、薬剤を含む薬液を針状凹部42が形成された領域48に塗布する。塗布する方法は、特に限定されないが、例えば、ノズルにより供給することができる。また、点着方法を用いてもよい。薬液を供給後、モールド50の裏面から吸引することで薬液を吸引でき、針状凹部42内へ薬液の充填を促進させることができる。
 薬液を針状凹部42内に充填した後、薬液を乾燥し、薬剤層110を形成する。薬剤の乾燥は、温湿度条件を制御して乾燥速度を最適化することにより、針状凹部42の壁面に薬液が固着することを低減することができ、乾燥により薬液が針状凹部42の先端に集まりながら乾燥を進めることができる。
 薬液を乾燥させることで、薬液が固化し、薬液を充填した際の状態よりも収縮させることができる。これにより、モールド50から経皮吸収シート120を剥離する際に針状凹部42から薬剤層110を容易に剥離することができる。
 次に、図9に示すように、所定量の薬剤を含む薬剤層110の上にポリマー層形成液112を供給し、ポリマー層形成液112を針状凹部42及び針状凹部42が形成された領域48上に供給する。ポリマー層形成液112は、ポリマー層114を形成するポリマー溶解液である。ポリマー層形成液112の供給は、ディスペンサーによる塗布、バー塗布やスピン塗布、スプレーなどによる塗布、また、点着による塗布などを適用することができるがこれに限定されない。薬剤層110は乾燥により固化されているので、薬剤層110に含まれる薬剤がポリマー層形成液112に拡散することを抑制できる。
 ポリマー層形成液112の供給は、図9に示すように、針状凹部42が形成された領域48の周囲に設けられた段差部52の少なくとも一部を覆い、針状凹部42が形成された領域48側から接触位置56を超えて、ポリマー層形成液112を供給手段90により供給する。供給されたポリマー層形成液112は、モールド50により弾かれ、表面張力により収縮する。収縮したポリマー層形成液112は、図10に示すように、モールド50の段差部52と、溝部44から段差部52に向かって形成される壁部54と、の接点である接触位置56で固定(ピニング)される。接触位置56で固定された状態で、ポリマー層形成液112を乾燥することで、経皮吸収シートのポリマー層114の形状を安定して形成することができる。また、ポリマー層形成液112の乾燥を行う前に、モールド50の針状凹部42が形成された領域48の反対側から吸引を行ってもよい。吸引を行うことで、ポリマー層形成液112を針状凹部42内に充填することができる。また、ポリマー層形成液112内に気泡を有する場合、吸引することで気泡を除去することができる。
 ポリマー層形成液112をモールド50に供給した後、ポリマー層形成液112を乾燥固化させる。これにより、図11に示すように、ポリマー層114を薬剤層110の上に形成することができ、薬剤層110とポリマー層114とを有する経皮吸収シート120が製造される。
 なお、ポリマー層形成液112の乾燥は、ポリマー層形成液112が接触位置56に固定された状態で開始してもよく、ポリマー層形成液112が段差部52に残っている状態で開始してもよい。段差部52にポリマー層形成液112が残った状態で、乾燥を開始する場合は、段差部52のポリマー層形成液112を速く乾燥することが有効である。段差部52のポリマー層形成液112を乾燥させることで、ポリマー層形成液112を接触位置56で固定することができる。
 ポリマー層形成液112が乾燥することで、ポリマー層形成液112は体積が縮小する。ポリマー層形成液112が乾燥中にモールド50に密着していれば体積の縮小はシートの膜厚方向に起こり、膜厚が薄くなる。
 乾燥による経皮吸収シート120の水分量等は適宜設定される。なお、乾燥により、ポリマー層114の水分量が低くなりすぎると剥離しにくくなるため、弾性力を維持している状態の水分量を残存させておくことが好ましい。
 次に、乾燥後の経皮吸収シート120をモールド50から剥離する(図12)。経皮吸収シート120をモールド50から剥離する方法は限定されるものではない。剥離の際に針状凸部が曲がったり折れたりしないことが望まれる。例えば、経皮吸収シート120の裏面に吸盤を設置し、エアーで吸引しながら垂直に引き上げることで、剥離することができる。
 製造される経皮吸収シート120の針状凸部122の形状は、先端が先細り形状となっていれば、特に限定されないが、例えば、円錐上、又は、三角錐、四角錐等の角錐状の形状とすることができる。また、先細り形状のニードル部と、ニードル部と接続された錐台部とにより形成することができる。
 突起状パターンの針状凸部122の高さHは、100μm以上2000μm以下の範囲であり、好ましくは、200μm以上1500μm以下である。また、凸部124の高さHは、20μm以上200μm以下の範囲である。凸部124の高さHを上記範囲とすることで、経皮吸収シート120に形成された針状凸部122を周囲の凸部124が邪魔になることなく、皮膚に穿刺することができ、薬剤を注入することができる。
 製造される針状凸部122を有する経皮吸収シート120は、突起状パターン12及び凸部14を有する原版10、又は、突起状パターン62及び凸部64を有する大判原版60の複製であるため、原版10の突起状パターン12の形状、又は、大判原版60の突起状パターン62の形状を所望の形状とすることで、製造される経皮吸収シート120の針状凸部122を所望の形状とすることができる。
 [ポリマー層形成液の収縮の説明]
 図13から図15、及び、図16から18は、ポリマー層形成液の収縮を説明する図である。図13は、針状凹部42が形成された領域48が円形であり、針状凹部42が形成された領域48に沿って円形に段差部52が形成されたモールド50に、ポリマー層形成液112を円形状に塗布した図である。ポリマー層形成液112は、図14に示すように、等方的に収縮するため、段差部52の少なくとも一部を覆うように塗布されたポリマー層形成液112は、接触位置56で固定することができる(図15)。
 図16は、針状凹部42が形成された領域48が円形であり、針状凹部42が形成された領域48に沿って円形に段差部52が形成されたモールド50に、ポリマー層形成液112を四角形状に塗布した図である。ポリマー層形成液112を四角形状に塗布した場合においても、図17に示すように、段差部52上に塗布されたポリマー層形成液112は、等方的に収縮する。段差部52上に、はじき残しはあるものの、接触位置56で、ポリマー層形成液112を固定することができる(図18)。
 針状凹部42が形成された領域48は円形状とし、段差部52も針状凹部42が形成された領域48に沿って円形状に形成されていることが好ましい。円形状とすることで、図13から図18に示すように、段差部52上のポリマー層形成液112を収縮させ、接触位置56で固定することができる。針状凹部42が形成された領域48を四角形状とした場合、角部でポリマー層形成液112を固定することができず、接触位置56からぬれ落ちてしまう場合がある。この場合、さらに、ぬれ落ちたポリマー層形成液の収縮が進行し、経皮吸収シートが安定して形成されない場合がある。針状凹部42が形成された領域48と段差部52との境界の形状を多角形で形成する場合、すべての角が120°以上の多角形とすることが好ましい。
 [ポリマー層形成液]
 本実施形態に使用されるポリマー樹脂の溶解液であるポリマー層形成液について説明する。
 ポリマー層形成液に用いられる樹脂ポリマーの素材としては、生体適合性のある樹脂を用いることが好ましい。このような樹脂としては、グルコース、マルトース、プルラン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルデンプンなどの糖類、ゼラチンなどのタンパク質、ポリ乳酸、乳酸・グリコール酸共重合体などの生分解性ポリマーを使用することが好ましい。これらの中でもゼラチン系の素材は多くの基材と密着性をもち、ゲル化する材料としても強固なゲル強度を持つため、モールドから経皮吸収シートを剥離する際に、基材と密着させることができ、モールドから基材を用いて経皮吸収シートの剥離を容易に行うことができ、好適に利用することができる。濃度は材料によっても異なるが、ポリマー層形成液中に樹脂ポリマーが10~50質量%含まれる濃度とすることが好ましい。また、溶解に用いる溶媒は、温水以外であっても揮発性を有するものであればよく、メチルエチルケトン(MEK:methyl ethyl ketone)、アルコールなどを用いることができる。
 ポリマー層形成液の調製方法としては、水溶性の高分子(ゼラチンなど)を用いる場合は、水溶性粉体を水に溶解することで行うことができる。水に溶解しにくい場合は、加温して溶解してもよい。温度は高分子材料の種類により、適宜選択可能であるが、約60℃以下の温度で加温することが好ましい。ポリマー層形成液の粘度は、2000Pa・s以下であることが好ましく、より好ましくは1000Pa・s以下とすることが好ましい。ポリマー層形成液の粘度を適切に調整することにより、モールドの針状凹部に容易にポリマー層形成液を注入することが容易となる。ポリマー層形成液の粘度は、例えば、細管式粘度計、落球式粘度計、回転式粘度計又は振動式粘度計で測定することができる。
 [薬液]
 薬剤層110を形成する薬液について説明する。薬液は、上記のポリマー層形成液に所定量の薬剤を含有した液である。所定量の薬剤を含むか否かは、体表に穿刺した際に薬効を発揮できるか否かで判断される。したがって、所定量の薬剤を含むとは、体表に穿刺した際に薬効を発揮する量の薬剤を含むことを意味する。
 薬液に含有させる薬剤は、薬剤としての機能を有するものであれば限定されない。特に、ペプチド、タンパク質、核酸、多糖類、ワクチン、水溶性低分子化合物に属する医薬化合物、又は化粧品成分から選択することが好ましい。
 薬液中のポリマー濃度(薬剤自体がポリマーである場合は薬剤を除いたポリマーの濃度)としては、0~30質量%含まれることが好ましい。また、薬液の粘度は、100Pa・s以下であることが好ましく、より好ましくは10Pa・s以下とすることが好ましい。
 [モールドの溝部の形状]
 図19は、モールド50の溝部の拡大図である。本実施形態のモールド50は、針状凹部42が形成された領域48と、段差部52と、針状凹部42が形成された領域48と段差部52との間に溝部44を備える。溝部44を設けることで、経皮吸収シートを製造する際にポリマー層形成液が濡れ広がる際に、巻き込んだ気泡を溝部44にため込むことができ、良好なピニングを維持することができる。
 図20から図22は、溝部を有さない場合のポリマー層形成液112の供給時の課題を説明する図である。ポリマー層形成液112を、モールド150の針状凹部142が形成された領域148内に供給する際に、例えば、図20に示すように、針状凹部142が形成された領域148の中心からずれて供給される場合がある。このような場合、図21に示すように、ポリマー層形成液112内に、気泡が巻き込まれ、この気泡が、壁部154に沿って浮き上がる。気泡が、壁部154に沿って浮き上がると、その壁部154と段差部152との接点である接触位置156において、ポリマー層形成液112とモールド150とのピニングが外れ、図22に示すように、製造される経皮吸収シートのシート部の形状が安定しない場合がある。
 図23は、本実施形態のモールド50を用いた場合において、ポリマー層形成液112を供給する際に、気泡を巻き込んだ状態を示す図である。本実施形態のモールド50を用いることで、巻き込んだ気泡を溝部44で維持することができ、気泡により接触位置56でのポリマー層形成液112のピニングが外れることを防止でき、安定した形状の経皮吸収シートを製造することができる。
 図19に戻り、溝部44の底部44aと針状凹部42が形成された領域48側の壁部48aとのなす角度αは、30°以上100°以下であることが好ましい。より好ましくは、40°以上90°以下である。角度αを上記範囲とすることで、気泡を溝部44で維持することができる。特に、40°以上90°以下とすることで、気泡を維持し易くなる。
 溝部44の深さは、20μm以上200μm以下とすることが好ましい。溝部44の深さを200μm以下とすることで、経皮吸収シート120に設けられた針状凸部122を皮膚に穿刺する際に、経皮吸収シート120に形成された凸部124が邪魔することを防止することができる。また、20μm以上とすることで、気泡の保持をすることができる。
 溝部44の深さを変化させて、ポリマー層形成液のピニング状態、気泡の維持状態を確認した。表1はその結果を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 ピニング状態の評価は、A:ポリマー層形成液の固定は問題無く、溝部で気泡を維持することができる、B:ポリマー層形成液の固定は問題無いが、溝部で維持される気泡が大きい、とした。溝部44の深さが20μmの場合は、溝部44で維持される気泡が大きくなり、気泡が浮き上がりそうであった。したがって、溝部44の深さは20μm以上とすることが好ましい。
 また、溝部44の幅は、20μm以上450μm以下とすることが好ましい。溝部44の幅を上記範囲とすることで、気泡を溝部44内に維持し、浮き上がることを防止することができるので好ましい。
 表2は、溝部44の幅、深さ、及び角度を変化させて、ポリマー層形成液のピニングを確認した結果を示す。なお、溝部44は、針状凹部42が形成された領域48の周囲に形成されており、表2に示す溝部の幅はその一周のうちで最も広い幅である。また、ポリマー層形成液としては、コンドロイチン硫酸ナトリウム40%水溶液を用い、界面活性剤の添加の有無により2種類の材料で行った。ポリマー層形成液を供給し、接触位置56でピニングできた場合を成功とした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表2に示すように、溝部44の幅が20μmから350μmにおいては、ポリマー層形成液の固定を高い確率で行うことができた。幅を550μmとしたところ、気泡を溝部44で維持することができず、ポリマー層形成液を接触位置56で固定することができなかった。溝部44の幅は、350μmと550μmの中間である450μmとすることが好ましいと考えられる。
 なお、溝部44で保持された気泡は、ポリマー層形成液を針状凹部42内に充填するためにモールド50の裏面(針状凹部42が形成された領域48の反対側)から吸引する際に、気泡も吸引されることで除去される。したがって、溝部44での気泡の維持は、ポリマー層形成液を供給してから、モールドの裏面側から吸引するまでの間でよい。
 本発明のモールド、及び、このモールドを用いた経皮吸収シートの製造方法によれば、経皮吸収シートを製造する際に、ポリマー層形成液中に気泡を巻き込んだとしても、気泡をモールドの溝部にため込み、保持することができる。したがって、気泡によりポリマー層形成液のピニングが外れることがないので、良好な形状の経皮吸収シートを製造することができる。
10 原版
12、32、62 突起状パターン
14、34、64 凸部
16、36、66 凸状パターン
20 第1モールド
22、42、142 針状凹部
24 凹部
26、46 凹状パターン
30 複製金型
40 モールドシート
44 溝部
44a 底部
48、148 針状凹部が形成された領域
48a 壁部
50、150 モールド
52、152 段差部
54、154 壁部
56、156 接触位置
60 大判原版
90 供給手段
110 薬剤層
112 ポリマー層形成液
114 ポリマー層
120 経皮吸収シート
122 針状凸部
124 凸部

Claims (7)

  1.  アレイ状に配置された複数の針状凹部と、
     前記複数の針状凹部が形成された領域の周囲に、前記針状凹部が形成された領域より高い段差部と、
     前記針状凹部が形成された領域と、前記段差部と、の間に凹状の溝部と、を有するモールド。
  2.  前記溝部の深さが20μm以上200μm以下である請求項1に記載のモールド。
  3.  前記溝部の幅が20μm以上450μm以下である請求項1又は2に記載のモールド。
  4.  前記溝部の底部と、前記針状凹部が形成された領域側の壁部と、のなす角度が30°以上100°以下である請求項1から3のいずれか1項に記載のモールド。
  5.  針状凹部を有するモールドの前記針状凹部に薬液を充填し、乾燥させて薬剤層を形成する工程と、
     前記モールドは、前記針状凹部が形成された領域の周囲に針状凹部が形成された領域より高い段差部と、前記針状凹部が形成された領域と前記段差部との間に凹状の溝部と、を備え、前記段差部と、前記溝部から前記段差部に向かって形成される壁部と、の接点を接触位置としたとき、ポリマー層形成液を、前記針状凹部が形成された領域から前記接触位置を超えて前記ポリマー層形成液を供給する工程と、
     前記ポリマー層形成液を収縮させながら前記接触位置に固定する工程と、
     前記ポリマー層形成液を乾燥させて、ポリマー層を形成する工程と、を有する経皮吸収シートの製造方法。
  6.  前記ポリマー層形成液を供給する工程において、巻き込んだ気泡を前記溝部で保持する請求項5に記載の経皮吸収シートの製造方法。
  7.  前記ポリマー層形成液を供給した後、前記モールドの前記針状凹部が形成された領域の反対側から吸引を行う請求項5又は6に記載の経皮吸収シートの製造方法。
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