WO2019239599A1

WO2019239599A1 - 医療用処置具

Info

Publication number: WO2019239599A1
Application number: PCT/JP2018/023006
Authority: WO
Inventors: 雅浩藤井
Original assignee: オリンパス株式会社
Priority date: 2018-06-15
Filing date: 2018-06-15
Publication date: 2019-12-19
Also published as: CN112165912A; US20210093346A1

Abstract

長手軸を有する管状のシース（２）と、シース（２）の先端に長手軸回りに回転可能に支持された処置部（３）と、シース（２）の基端側に接続された操作部（４）と、操作部（４）に加えられた操作量を伝達して処置部（３）を長手軸回りに回転させる伝達機構（５）とを備え、伝達機構（５）が、操作部（４）において加える２種類の異なる操作に応じて異なる大きさの回転量を処置部（３）に伝達する２系統の伝達部（９）を備え、少なくとも一方の伝達部（９）が、操作部（４）において加えた長手軸方向の操作量を操作部（４）と処置部（３）との間で長手軸回りの回転量に変換して処置部（３）に伝達する医療用処置具（１）である。

Description

医療用処置具

　本発明は、医療用処置具に関するものである。

　長手軸を有する軟性の管状のシースの先端に、長手軸回りに回転可能に支持された処置部を備える処置具が知られている（例えば、特許文献１参照。）。
　この処置具においては、一対の処置片を備える処置部に、シース内に挿通される操作ワイヤの先端が接続され、操作ワイヤの基端には操作部が接続されている。操作部を操作して、操作ワイヤに牽引力を供給することにより、一対の処置片を開閉し、操作部を操作して操作ワイヤに回転量を供給することにより、処置部をシースに対して長手軸回りに回転させる。

特許第６１３０１３４号公報

　特許文献１の処置具では、操作ワイヤの基端の操作部において操作ワイヤに加える回転量のみによって、シースの先端の処置部を回転させているため、軟性のシースが湾曲している場合には、摩擦によって回転量が伝達されにくくなって、処置部の回転が不連続となってしまうという不都合がある。
　本発明は、軟性のシースの先端に配置されている処置部をシースの長手軸回りにスムーズに回転させることができる医療用処置具を提供することを目的としている。

　本発明の一態様は、長手軸を有する管状のシースと、該シースの先端に前記長手軸回りに回転可能に支持された処置部と、前記シースの基端側に接続された操作部と、該操作部に加えられた操作量を伝達して前記処置部を前記長手軸回りに回転させる伝達機構とを備え、該伝達機構が、前記操作部において加える２種類の異なる操作に応じて異なる大きさの回転量を前記処置部に伝達する２系統の伝達部を備え、少なくとも一方の前記伝達部が、前記操作部において加えた前記長手軸方向の操作量を前記操作部と前記処置部との間で前記長手軸回りの回転量に変換して前記処置部に伝達する医療用処置具である。

　本態様によれば、シースの基端側において操作部を操作して、操作部を操作すると、加えられた操作量が伝達機構により伝達されて、シースの先端において処置部が長手軸回りに回転させられる。この場合において、操作部において加える２種類の異なる操作に応じて異なる大きさの回転量が２系統の伝達部を経由して処置部に伝達される。これにより、操作部に加える動作を切り替えることによって、より大きな回転量を伝達して処置部を大きく回転させる粗動動作と、より小さな回転量を伝達して処置部を回転させる微動動作とを切り替えて実施することができる。

　また、少なくとも一方の伝達部の伝達部が、長手軸方向の操作量を伝達する途中において長手軸回りの回転量に変換するので、シースが湾曲することにより回転量が伝達されにくい状況でも、長手軸方向の操作量により処置部近傍まで効果的に伝達した力を回転量に変換して、軟性のシースの先端に配置されている処置部をシースの長手軸回りにスムーズに回転させることができる。

　上記態様においては、他方の前記伝達部が、前記操作部において加えた回転量をそのまま前記処置部に伝達してもよい。
　この構成により、操作部において加えた回転量によって、処置部を長手軸線回りに大きく回転させる粗動動作を実施し、操作部において加えた長手軸方向の操作量によって、処置部を長手軸線回りに小さく回転させる微動動作を実施することができる。

　また、上記態様においては、前記操作部が、前記シースの基端に固定された操作部本体と、該操作部本体に対して、前記長手軸方向に移動可能に支持された第１入力部と、前記操作部本体に対して、前記長手軸回りに回転可能に支持された第２入力部とを備え、前記第１入力部が、一方の前記伝達部に接続され、前記第２入力部が、他方の前記伝達部に接続されていてもよい。

　この構成により、操作部本体に対して第１入力部を長手軸方向に移動させることにより、一方の伝達部を経由して長手軸方向の操作量が伝達され、伝達の途中で長手軸回りの回転量に変換されて処置部を長手軸回りに回転させることができる。また、操作部本体に対して第２入力部を長手軸回りに回転させることにより、回転量が他方の伝達部を経由してそのまま処置部に伝達され処置部を長手軸回りに回転させることができる。

　また、上記態様においては、２系統の前記伝達部が、前記操作部において加えた前記長手軸方向の２種類の操作量を、前記操作部と前記処置部との間で、異なる変換効率で前記長手軸回りの回転量に変換して前記処置部に伝達してもよい。
　この構成により、操作部において加えた２種類の長手軸方向の操作量が、２系統の伝達部によって異なる伝達効率で長手軸回りの回転量に変換され、より変換効率の高い伝達部により処置部が粗動動作させられる一方、より変換効率の低い伝達部により処置部が微動動作させられる。

　また、上記態様においては、前記操作部が、前記シースの基端に固定された操作部本体と、該操作部本体に対して、前記長手軸方向に移動可能に支持された入力部とを備え、前記伝達機構が、前記入力部の前記長手軸方向の位置に応じて、前記変換効率を異ならせてもよい。
　この構成により、単一の入力部の長手軸方向の位置に応じて、変換効率の異なる２系統の伝達部により異なる大きさの回転量を処置部に伝達することができる。

　また、上記態様においては、前記操作部が、前記長手軸回りの回転量を前記長手軸方向の操作量に変換してもよい。
　この構成により、操作部に長手軸回りの回転量を加えると、操作部において回転量が長手軸方向の操作量に変換され、伝達機構によって処置部に伝達される。

　また、上記態様においては、前記操作部が、前記シースの基端に固定された操作部本体と、該操作部本体に対して、前記長手軸回りに回転可能に支持された単一の入力部とを備え、該入力部への回転量の入力を、２系統の前記伝達部のいずれかへの入力に選択的に切り替える切替部を備えていてもよい。
　この構成により、２系統の伝達部の内、切替部によって切り替えられた一方の伝達部のみに入力部に加えた回転量を入力することができ、粗動動作と微動動作を確実に独立させることができる。

　また、上記態様においては、他方の前記伝達部が前記シースであってもよい。
　この構成により、シースを他方の伝達部として機能させることができ、構成要素を少なくして構造を単純化するとともに、細径化を図ることができる。

　また、上記態様においては、前記切替部が、前記操作部本体に対する２つの前記入力部の回転を選択的にロックするロック機構であってもよい。
　この構成により、ロック機構の作動によりいずれかの入力部の回転が選択的にロックされ、ロックされていない方の入力部への回転量の入力により、粗動動作あるいは微動動作のいずれかを独立して実施することができる。

　本発明によれば、軟性のシースの先端に配置されている処置部をシースの長手軸回りにスムーズに回転させることができるという効果を奏する。

本発明の一実施形態に係る医療用処置具を示す正面図である。図１の医療用処置具の縦断面図である。図１の医療用処置具の動作を説明する拡大縦断面図である。図１の医療用処置具の第１の変形例を示す縦断面図である。図４の医療用処置具に用いられる変換カムの一例を示す側面図である。図１の医療用処置具の第２の変形例を示す縦断面図である。図１の医療用処置具の第３の変形例を示す縦断面図である。図１の医療用処置具の第４の変形例を示す縦断面図である。図１の医療用処置具の第５の変形例を示す縦断面図である。図１の医療用処置具の第６の変形例を示す縦断面図である。図１の医療用処置具の第７の変形例を示す縦断面図である。図１の医療用処置具の第８の変形例を示す縦断面図である。図１の医療用処置具の第９の変形例におけるロック解除状態を示す縦断面図である。図１３の医療用処置具におけるロック状態を示す縦断面図である。図１の医療用処置具の第１０の変形例におけるロック状態を示す縦断面図である。図１５の医療用処置具におけるロック解除状態を示す縦断面図である。図１の医療用処置具の第１１の変形例を示す縦断面図である。

　本発明の一実施形態に係る医療用処置具１について図面を参照して以下に説明する。
　本実施形態に係る医療用処置具１は、図１および図２に示されるように、長手軸を有するコイルシース（シース）２と、コイルシース２の先端に長手軸回りに回転可能に支持された把持部（処置部）３と、コイルシース２の基端側に接続された操作部４と、操作部４に加えた力（操作量）を伝達して把持部３を長手軸回りに回転させる伝達機構５とを備えている。

　コイルシース２は、管状に形成され、曲げ方向には柔軟に湾曲する可撓性を有している。
　把持部３は、コイルシース２の先端面に対して長手軸回りに摺動可能に配置された回転ベース６と、回転ベース６に、長手軸に直交する軸線回りに揺動可能に支持された２つの把持片７とを備えている。把持片７の基端にはそれぞれコイルシース２の基端側において加えられる牽引力を伝達するワイヤ８が接続されている。ワイヤ８の牽引力によって２つの把持片７を揺動させることにより、把持片７間に処置対象物を把持することができる。

　本実施形態において、伝達機構５は、トルク伝達性を有する撚り線（伝達部）９により構成されている。撚り線９は、コイルシース２内を長手方向に貫通させられており、先端が回転ベース６に固定され、基端が操作部４に接続されている。
　撚り線９は、基端に接続された操作部４により長手軸回りの回転トルクが入力されると、その回転トルクを先端まで伝達して回転ベース６を長手軸回りに回転させる。

　他方、撚り線９は、基端に接続された操作部４により、長手軸に沿う方向の牽引力が入力されると、牽引力によって撚りがほどかれる結果、ほどかれた撚りを戻す方向に先端が回転させられる。すなわち、撚り線９は、２系統の伝達部を構成しており、操作部４により基端に加えられる２種類の操作量に応じて、異なる大きさの回転量（回転角度）を把持部３に伝達する。

　操作部４は、コイルシース２の基端に固定された操作部本体１０と、操作部本体１０に対して長手軸回りに回転可能に支持された第１ダイヤル（第２入力部）１１と、第２ダイヤル（第１入力部）１２とを備えている。操作部本体１０には、スライダ１３が長手軸方向に移動可能に取り付けられており、スライダ１３には、把持部３に接続されたワイヤ８の基端が接続されている。
　第１ダイヤル１１および第２ダイヤル１２は、図３に示されるように、中央孔１１ａ，１２ａを有する円環状に形成され、中央孔１１ａ，１２ａに撚り線９を貫通させている。　　

　第１ダイヤル１１は、中央孔１１ａを貫通している撚り線９の外周面に固定されている横断面正方形の内部材１１ｂと、該内部材１１ｂの外径よりも若干大きい寸法の嵌合孔１１ｃを有する外部材１１ｄとを備えている。また、外部材１１ｄの嵌合孔１１ｃに内部材１１ｂを嵌合した際に、内部材１１ｂの外面と外部材１１ｄの内面との間に若干の隙間があることが好ましい。これにより、第１ダイヤル１１は、撚り線９に対して長手軸方向の動作は干渉せず、長手軸回りの動作は同期する。

　また、第１ダイヤル１１には、所定以上の回転量が入力されない状態では第１ダイヤル１１を長手軸回りに回転させないために、ラチェット機構１４が設けられている。ラチェット機構１４は、例えば、図３に示されるように、第１ダイヤル１１の外周面に周方向に複数配列された凹部１５と、凹部１５の径方向外方からバネ１６により径方向内方に付勢されて、凹部１５に噛みあうボール１７とを備えている。ボール１７が凹部１５に噛み合っている状態では、第１ダイヤル１１の長手軸回りの回転がロックされている。また、この状態において、所定以上の回転量を第１ダイヤル１１に入力すると、ボール１７が凹部１５から離脱してロック状態が解除され、第１ダイヤル１１を長手軸回りに回転させることができる。

　第１ダイヤル１１の基端には長手軸方向に延びる雄ネジ１８が設けられ、第２ダイヤル１２には第１ダイヤル１１の雄ネジ１８に締結される雌ネジ１９が設けられている。これにより、第１ダイヤル１１が静止している状態で第２ダイヤル１２を長手軸回りに回転させると、第２ダイヤル１２は第１ダイヤル１１に対して長手軸回りに相対回転しながら、長手軸に沿う方向に移動する。

　撚り線９の基端には、径方向外方に延びるフランジ状の係合片２０が固定されている。係合片２０は第２ダイヤル１２の基端面に摺動可能に接触している。これにより、第２ダイヤル１２が第１ダイヤル１１に対して長手軸回りに回転させられると、第２ダイヤル１２が長手軸に沿う方向に、例えば、基端側に移動する結果、第２ダイヤル１２の基端面に接触している係合片２０を基端側に押圧し、係合片２０に固定されている撚り線９の基端に、基端側に向かう牽引力が入力される。

　すなわち、操作部本体１０に対して第１ダイヤル１１を長手軸回りに回転させると、その回転量が、第１ダイヤル１１に固定されている撚り線９に直接入力されて、撚り線９の基端に長手軸回りの回転量が入力される。一方、第１ダイヤル１１に対して第２ダイヤル１２を長手軸回りに回転させると、その回転量が雄ネジ１８と雌ネジ１９との締結によって第２ダイヤル１２を長手軸に沿う方向に移動させる操作量に変換され、第２ダイヤル１２に押された係合片２０を経由して、撚り線９に長手軸方向に沿う牽引力が入力される。

　撚り線９の基端に回転量を入力することにより、撚り線９の先端に固定されている把持部３を長手軸回りに回転させる場合と比較して、撚り線９の基端に牽引力を入力することにより、撚り線９の撚りを利用して把持部３を長手軸回りに回転させる場合には、把持部３には、小さい回転量が作用する。したがって、操作部本体１０に対して第１ダイヤル１１を長手軸回りに回転させる場合には、把持部３は、比較的大きな粗動動作を行い、第１ダイヤル１１に対して第２ダイヤル１２を長手軸回りに回転させる場合には、把持部３は比較的小さな微動動作を行う。
　すなわち、伝達機構５は、操作部４において加える２種類の異なる操作に応じて異なる大きさの回転量を把持部３に伝達する２系統の伝達部を備えていることになる。

　このように、本実施形態に係る医療用処置具１によれば、第１ダイヤル１１の操作による把持部３の長手軸回りの大まかな位置合わせと、第２ダイヤル１２の操作による把持部３の長手軸回りの精細な位置合わせとを組み合わせて、軟性のコイルシース２の先端に配置されている把持部３を、コイルシース２の長手軸回りに回転させることができる。

　撚り線９により伝達する張力は、軟性のコイルシース２が湾曲している場合であっても、より確実に伝達されるので、把持部３の微動動作をより確実に行うことができる。すなわち、回転量を直接伝達して行う比較的大きな粗動動作と、伝達した張力（操作量）を回転量に変換する比較的小さな微動動作とを組み合わせることにより、コイルシース２の湾曲に関わらず、把持部３をスムーズに回転させることができるという利点がある。

　なお、本実施形態においては、第１ダイヤル１が撚り線９に対して長手軸方向の動作は干渉せず、長手軸回りの動作は同期する構造として、内部材１１ｂの横断面が正方形のものを用いて例示したが、これに代えて、横断面が多角形、切り欠きを有する円形または突起を有する円形等であるものを用いてもよい。
　また、本実施形態においては、操作部４に設けた２つのダイヤル１１，１２をそれぞれ長手軸回りに回転させるという、２種類の異なる操作に応じて異なる大きさの回転量を把持部３に伝達したが、これに代えて、図４に示されるように、２つのハンドル２１，２２を長手軸に沿う方向に移動させる操作により、把持部３を長手軸回りに回転させてもよい。

　すなわち、図４に示す例では、伝達機構５が、撚り線９と、撚り線９の内部を長手軸方向に貫通して長手軸方向の操作量を伝達する軟性のチューブ（伝達部）２３と、チューブ２３の先端と把持部３との間に配置され、チューブ２３により伝達された長手軸方向の操作量を回転量に変換する変換カム２４とを備えている。チューブ２３の基端には第１ハンドル（第１入力部）２１が固定されている。第１ハンドル２１を長手軸に沿う方向に移動させることにより、チューブ２３に長手軸方向の操作量を供給し、把持部３を比較的大きな回転角度で長手軸回りに回転（粗動動作）させることができる。

　一方、撚り線９の基端には第２ハンドル（第２入力部）２２が固定され、第２ハンドル２２を長手軸に沿う方向に移動させることにより、撚り線９に牽引力を加えることにしている。撚り線９によって伝達した牽引力により、撚り線９の撚りがほどける方向に発生する回転量によって、把持部３を比較的小さい回転角度で長手軸回りに回転（微動動作）させることができる。
　すなわち、チューブ２３に加えた長手軸方向の操作量を回転量に変換する変換カム２４と、基端に加えた牽引力を先端の回転量に変換する撚り線９とでは変換効率が相違し、変換カム２４により比較的大きな粗動動作を実現し、撚り線９により比較的小さな微動動作を実現することができる。

　変換カム２４は、例えば、図５に示されるように、チューブ２３の先端に径方向に突出して設けられた突起２５と、把持部３の基端側に周方向に間隔をあけて配置され突起２５を収容可能な複数のカム溝２６とを備えている。突起２５を長手軸方向に一往復させると、突起２５が収容されるカム溝２６が周方向に隣接するカム溝２６に切り替わることにより、把持部３を長手軸回りに断続的に回転させることができる。

　また、チューブ２３により伝達した長手軸方向の操作量によって把持部３を粗動動作させ、撚り線９によって伝達した牽引力によって把持部３を微動動作させることに代えて、図６に示されるように、撚り線９の基端に固定された単一のハンドル（入力部）２７により撚り線９に加えた長手軸方向の操作量によって変換カム２４により、把持部３を粗動動作させ、ハンドル２７により撚り線９に加えた牽引力によって把持部３を微動動作させることにしてもよい。

　また、図７において、２つのダイヤル１１，１２により回転量および牽引力を加えていた撚り線９に代えて、長手軸方向の途中位置まで、回転量および牽引力を伝達可能なチューブ（伝達部）２８を採用し、チューブ２８と把持部３との間に撚り線９を配置することにしてもよい。撚り線９を短くすることにより、回転量を伝達しやすくすることができるとともに、撚り線９による微動動作の回転量を制限することができる。
　この場合に、図８に示されるように、撚り線９に代えて、牽引力によって伸びることにより先端に回転量を発生させる形状に形成された折り紙からなる筒体（伝達部）２９を採用してもよい。

　また、図９に示されるように、回転量についてはチューブ（伝達部）３０により伝達し、牽引力については撚り線９により伝達することにしてもよい。すなわち、第１ダイヤル１１と把持部３との間にコイルシース２の全長にわたってトルク伝達可能なチューブ３０を配置することにより、撚り線９のみの場合よりも長手軸方向の耐圧縮性を向上することができるという利点がある。

　この場合に、図１０に示されるように、チューブ３０の基端に固定された第１ダイヤル１１を長手軸回りに回転させることにより回転量を入力し、撚り線９の基端に固定されたハンドル（第１入力部）３１を長手軸方向の移動させることにより牽引力を入力してもよい。粗動動作と微動動作とを異なる操作により実施することができ、誤操作を防止することができる。

　図９においては、コイルシース２の内側にチューブ３０を配置したが、これに代えて、図１１に示されるように、コイルシース２をなくし、チューブ（他方の伝達部）３０のみによりシースを構成してもよい。

　また、図３においては、撚り線９に回転量を入力する第１ダイヤル１１と、撚り線９に牽引力を入力する第２ダイヤル１２とを別個に設けたが、これに代えて、図１２に示されるように、単一のダイヤル（入力部）３２により回転量および牽引力を入力可能にしてもよい。この場合、ダイヤル３２は長手軸方向に移動するので、ラチェット機構１４を構成している凹部１５も長手軸方向に長く形成されている必要がある。

　また、この場合に、図１３および図１４に示されるように、ダイヤル３２を長手軸方向の各位置において係止可能なロック機構３３を設けておくことが好ましい。図１３および図１４に示す例では、操作部本体１０に長手軸方向に配列された複数の周溝３４を設け、ダイヤル３２に、周溝３４に噛み合う係合片３５を設けている。符号３６は係合片３５を周溝３４に係合する方向に付勢するバネである。

　図１３に示されるように、バネ３６に抗して係合片３５を押圧することにより、係合片３５と周溝３４との係合を解除し、ダイヤル３２を長手軸方向に移動させ、図１４に示されるように、任意の位置で係合片３５と周溝３４とを係合させることにより、ダイヤル３２を長手方向の各位置において停止させることができる。

　また、図１５および図１６に示されるように、第１ダイヤル１１に代えて、撚り線９の基端に固定された筒状部材３７に、第２ダイヤル（入力部）１２の雌ネジ１９に締結される雄ネジ１８を設けるとともに、筒状部材３７を任意の回転位置で固定可能なロック機構（切替部）３８を設けることにしてもよい。

　この場合には、図１６に示されるように、ロック機構３８が解除されている状態では、筒状部材３７は長手軸回りに回転可能であり、締結されている雄ネジ１８と雌ネジ１９との摩擦によって、第２ダイヤル１２の操作により長手軸回りに回転させられる。一方、図１５に示されるように、ロック機構３８が作動している状態では、筒状部材３７の長手軸回りの回転は係止されており、第２ダイヤル１２を長手軸回りに回転させると、筒状部材３７の雄ネジ１８と第２ダイヤル１２の雌ネジ１９とが相対回転して、第２ダイヤル１２が長手軸方向に移動し、撚り線９に牽引力を入力することができる。これにより、単一の第２ダイヤル１２の操作によって、回転量の入力と牽引力の入力とを切り替えることができる。

　また、本実施形態においては、図１７に示されるように、把持部３を開閉駆動するワイヤ８を長手軸回りに回転させることにより、把持部３を粗動動作させてもよい。
　また、上記各実施形態においては、先端に把持部３を備える場合を例示したが、これに代えて、他の任意の処置部を備える医療用処置具１に適用してもよい。

　１　医療用処置具
　２　コイルシース（シース）
　３　把持部（処置部）
　４　操作部
　５　伝達機構
　９　撚り線（伝達部）
　１０　操作部本体
　１１　第１ダイヤル（第２入力部）
　１２　第２ダイヤル（第１入力部、入力部）
　２１　第１ハンドル（第１入力部）
　２２　第２ハンドル（第２入力部）
　２３，２８，３０　チューブ（伝達部、シース）
　２７，３１　ハンドル（入力部、第１入力部）
　２９　筒体（伝達部）
　３２　ダイヤル（入力部）
　３８　ロック機構（切替部）

Claims

　長手軸を有する管状のシースと、
　該シースの先端に前記長手軸回りに回転可能に支持された処置部と、
　前記シースの基端側に接続された操作部と、
　該操作部に加えられた操作量を伝達して前記処置部を前記長手軸回りに回転させる伝達機構とを備え、
　該伝達機構が、前記操作部において加える２種類の異なる操作に応じて異なる大きさの回転量を前記処置部に伝達する２系統の伝達部を備え、
　少なくとも一方の前記伝達部が、前記操作部において加えた前記長手軸方向の操作量を前記操作部と前記処置部との間で前記長手軸回りの回転量に変換して前記処置部に伝達する医療用処置具。
　他方の前記伝達部が、前記操作部において加えた回転量をそのまま前記処置部に伝達する請求項１に記載の医療用処置具。
　前記操作部が、前記シースの基端に固定された操作部本体と、該操作部本体に対して、前記長手軸方向に移動可能に支持された第１入力部と、前記操作部本体に対して、前記長手軸回りに回転可能に支持された第２入力部とを備え、
　前記第１入力部が、一方の前記伝達部に接続され、
　前記第２入力部が、他方の前記伝達部に接続されている請求項２に記載の医療用処置具。
　２系統の前記伝達部が、前記操作部において加えた前記長手軸方向の２種類の操作量を、前記操作部と前記処置部との間で、異なる変換効率で前記長手軸回りの回転量に変換して前記処置部に伝達する請求項１に記載の医療用処置具。
　前記操作部が、前記シースの基端に固定された操作部本体と、該操作部本体に対して、前記長手軸方向に移動可能に支持された入力部とを備え、
　前記伝達機構が、前記入力部の前記長手軸方向の位置に応じて、前記変換効率を異ならせる請求項４に記載の医療用処置具。
　前記操作部が、前記長手軸回りの回転量を前記長手軸方向の操作量に変換する請求項１に記載の医療用処置具。
　前記操作部が、前記シースの基端に固定された操作部本体と、該操作部本体に対して、前記長手軸回りに独立に回転可能に支持された２つの入力部とを備える請求項６に記載の医療用処置具。
　前記操作部が、前記シースの基端に固定された操作部本体と、該操作部本体に対して、前記長手軸回りに回転可能に支持された単一の入力部とを備え、
　該入力部への回転量の入力を、２系統の前記伝達部のいずれかへの入力に選択的に切り替える切替部を備える請求項６に記載の医療用処置具。
　他方の前記伝達部が前記シースである請求項１に記載の医療用処置具。
　前記切替部が、前記操作部本体に対する２つの前記入力部の回転を選択的にロックするロック機構である請求項８に記載の医療用処置具。