WO2019189133A1 - スフィンゴミエリン誘導脂質およびその製造方法 - Google Patents

スフィンゴミエリン誘導脂質およびその製造方法 Download PDF

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Definitions

  • R 1 represents an alkyl group having 13 to 17 carbon atoms
  • R 2 represents an acyl group having 12 to 24 carbon atoms.
  • R 1 represents an alkyl group having 13 to 17 carbon atoms
  • R 2 represents an acyl group having 12 to 24 carbon atoms.
  • ⁇ 2> The sphingomyelin-derived lipid according to ⁇ 1>, wherein R 1 is an alkyl group having 15 carbon atoms.
  • R 2 is an acyl group having 16 to 20 carbon atoms.

Abstract

本発明は、ウイルスに対して膜融合促進効果を示さない、DDSキャリア用リポソームの構成成分を提供することを目的とする。 本発明は、式(1):(式中、Rは、炭素数13~17のアルキル基を示し、かつRは、炭素数12~24のアシル基を示す。) で表されるスフィンゴミエリン誘導脂質、およびその製造方法に関する。

Description

スフィンゴミエリン誘導脂質およびその製造方法
 本発明は、医薬品用途、化粧品用途に使用できるスフィンゴミエリン誘導脂質およびその製造方法に関する。
 ドラッグデリバリーシステム(DDS)の分野では、リン脂質やスフィンゴ脂質、コレステロール等から構成されるリポソームをキャリアとして用いた医薬品の研究が盛んに行われており、いくつかの製品が上市されている。リポソームは内封した薬物の副作用を抑制したり、体内で不安定な化合物の分解を防いだりすることができる。また、リポソーム表面を修飾することで、様々な機能を付与することができる。例えば、ポリエチレングリコールで修飾されたリポソームは、そうでないリポソームに比べ血中滞留性を向上させることができる。
 リポソームに内封される薬物の中には、血中滞留中の化学的安定性を保持するために、pH2~4の酸性環境を必要とするものがある。リポソームの構成成分として最も多く用いられているのはリン脂質であるが、リン脂質はエステル結合を有しており、エステル結合は酸性環境において容易に分解することから、エステル結合を有しないスフィンゴ脂質、特に、スフィンゴミエリンの使用が検討されている。
 例えば、特許文献1では、スフィンゴミエリンとコレステロールから成るリポソームと、ジステアロイルグリセロホスホコリンとコレステロールから成るリポソームをpH2の水溶液中で保管し、経時的な加水分解量を測定している。これによると、ジステアロイルグリセロホスホコリンは、4時間で40%程度加水分解しているのに対し、スフィンゴミエリンは、20時間後でも加水分解量は5%未満であり、酸性溶液中では、エステル結合を有しないスフィンゴミエリンが、リン脂質に比べ優位に安定であることが示されている。
 このように、スフィンゴミエリンは、リポソームの構成成分として有用であることが分かっているが、その一方で、一部の膜融合性ウイルスの膜融合を促進することも報告されている。蚊によって媒介されるセムリキ森林ウイルスはエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれた後、膜融合タンパクの作用によりエンドソーム膜と膜融合して細胞質内にウイルスゲノムを放出する。この膜融合の際に、スフィンゴミエリンもしくはセラミドが必要であることが、非特許文献1で報告されている。更に、非特許文献2では、セラミド類縁体を合成し、その類縁体の膜融合促進効果を評価している。非特許文献2によると、二級水酸基もしくは二重結合を有しないセラミド類縁体は、セラミドに比較して膜融合促進効果が著しく低下することが報告されている。スフィンゴミエリンを構成成分としたリポソームを投与すると、スフィンゴミエリンの見かけ上の体内濃度が上昇するため、ウイルスの膜融合を促進するおそれがある。そのため、酸性溶液中で安定であり、且つセムリキ森林ウイルス等の膜融合性ウイルスの膜融合を促進しないリポソームの構成成分が求められている。
特開平10-501534号公報
EMBO J., 13, 2797-2804 (1994) Journal of Virology, Vol.69, No.5, 3220-3223 (1995)
 スフィンゴミエリンと同等の酸性溶液中での安定性を有し、ウイルスに対して膜融合促進効果を示さない、DDSキャリア用リポソームの構成成分の開発が求められている。
 本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、シクロヘキセン存在下、スフィンゴミエリンとパラジウムカーボンを低級アルコール中で攪拌することにより、スフィンゴミエリン中の炭素-炭素二重結合が転移し、さらにケト-エノール互変異性により、より安定なケト型へと構造が変化した下記式(1)で表されるスフィンゴミエリン誘導脂質が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
 すなわち、本発明は、式(1):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
(式中、Rは、炭素数13~17のアルキル基を示し、かつRは炭素数12~24のアシル基を示す。)
で表されるスフィンゴミエリン誘導脂質およびその製造方法に関する。
 具体的には、本発明は、以下の通りである。
<1> 式(1):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
(式中、Rは、炭素数13~17のアルキル基を示し、かつRは、炭素数12~24のアシル基を示す。)
で表されるスフィンゴミエリン誘導脂質(以下、「本発明の化合物(1)」と称することもある。)。
<2> Rが、炭素数15のアルキル基である、上記<1>に記載のスフィンゴミエリン誘導脂質。
<3> Rが、炭素数16~20のアシル基である、上記<1>又は<2>に記載のスフィンゴミエリン誘導脂質。
<4> シクロヘキセン存在下、低級アルコール中でスフィンゴミエリンとパラジウムカーボンを混合する工程を含む、上記<1>~<3>のいずれかに記載のスフィンゴミエリン誘導脂質の製造方法。
<5> スフィンゴミエリンが、卵黄由来のスフィンゴミエリンである、上記<4>に記載の製造方法。
<6> 低級アルコールが、炭素数1~3の一価のアルコールである、上記<4>又は<5>に記載の製造方法。
 前記式(1)で表されるスフィンゴミエリン誘導脂質は、二級水酸基や炭素-炭素二重結合を有していないことから、スフィンゴミエリンに類似の構造を有しつつ、膜融合性ウイルスの膜融合を促進しないリポソーム構成成分として有用である。
図1は、実施例1で得られたスフィンゴミエリン誘導脂質の化学構造、H-NMRチャート、および各ピークの帰属を示す。 図2は、実施例1で得られたスフィンゴミエリン誘導脂質のIRスペクトルチャート、および各ピークの帰属を示す。
 以下、本発明について詳細に説明する。
(定義)
 本明細書中、「炭素数13~17のアルキル基」とは、直鎖状または分岐鎖状の炭素数13~17のアルキル基を意味する。好ましくは、直鎖状の炭素数13~17のアルキル基(例、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基等)であり、中でも、直鎖状の炭素数15のアルキル基(例、ペンタデシル基)が特に好ましい。
 本明細書中、「炭素数12~24のアシル基」とは、直鎖状または分岐鎖状の炭素数12~24のカルボン酸のカルボキシ基から水酸基を除いてできる一価の基を意味する。好ましくは、直鎖状の炭素数12~24のアシル基(例、ラウロイル基、ミリストイル基、ミリストレオイル基、パルミトイル基、パルミトレオイル基、ステアロイル基、オレオイル基、リノレオイル基、リノレノイル基、エイコサノイル基、エイコサジエノイル基、エイコサトリエノイル基、エイコサテトラエノイル基、ドコサノイル基、テトラコサノイル基等)であり、中でも、直鎖状の炭素数14~20のアシル基(例、ミリストイル基、ミリストレオイル基、パルミトイル基、パルミトレオイル基、ステアロイル基、オレオイル基、リノレオイル基、リノレノイル基、エイコサノイル基、エイコサジエノイル基、エイコサトリエノイル基、エイコサテトラエノイル基等)がより好ましく、直鎖状の炭素数16~20のアシル基(例、パルミトイル基、パルミトレオイル基、ステアロイル基、オレオイル基、リノレオイル基、リノレノイル基、エイコサノイル基、エイコサジエノイル基、エイコサトリエノイル基、エイコサテトラエノイル基等)が特に好ましい。
 本明細書中、「低級アルコール」とは、炭素数1~6の一価のアルコールを意味し、好ましくは、炭素数1~3の一価のアルコールである。具体的には、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等が挙げられる。
(本発明の化合物(1))
 本発明の化合物(1)としては、以下の化合物が好適である。
[化合物(1A)]
 前記式(1)中のRが、炭素数15のアルキル基(例、ペンタデシル基)であり、かつRが、炭素数14~20のアシル基(例、ミリストイル基、ミリストレオイル基、パルミトイル基、パルミトレオイル基、ステアロイル基、オレオイル基、リノレオイル基、リノレノイル基、エイコサノイル基、エイコサジエノイル基、エイコサトリエノイル基、エイコサテトラエノイル基)である、化合物(1)。
[化合物(1B)]
 前記式(1)中のRが、炭素数15のアルキル基(例、ペンタデシル基)であり、かつRが、炭素数16~20のアシル基(例、パルミトイル基、パルミトレオイル基、ステアロイル基、オレオイル基、リノレオイル基、リノレノイル基、エイコサノイル基、エイコサジエノイル基、エイコサトリエノイル基、エイコサテトラエノイル基)である、化合物(1)。
 本発明の化合物(1)の好ましい具体例としては、例えば、後述する実施例1により得られる下記式:
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
で表される化合物が挙げられる。
 本発明の化合物(1)は、スフィンゴミエリンに類似の構造を有しつつも、分子内に二級水酸基や炭素-炭素二重結合を有していないことから、前述した非特許文献2(Journal of Virology, Vol.69, No.5, 3220-3223 (1995))の記載によれば、膜融合性ウイルスの膜融合を促進しないことが明らかである。
(本発明の化合物(1)の製造方法)
 本発明の化合物(1)は、シクロヘキセン存在下、低級アルコール中でスフィンゴミエリンとパラジウムカーボンを混合する工程に付すことにより製造することができる。
 原料として使用するスフィンゴミエリンは、天然物であっても合成品であってもよい。天然物の場合は、入手性の観点から卵黄由来のスフィンゴミエリンが好ましい。
 卵黄スフィンゴミエリンを原料として使用する場合、前記式(1)におけるRは、炭素数15のアルキル基である。また、前記式(1)におけるRは、原料となる鶏卵を生産する際に消費された鶏の餌や生育環境によって若干の変動はあるが、一般的には、炭素数16のアシル基が70~90%、炭素数18のアシル基が5~15%、および炭素数16、18を除く炭素数12~24のアシル基である。炭素数16のアシル基は、具体的には、パルミトイル基、パルミトレオイル基である。炭素数18のアシル基は、具体的にはステアロイル基、オレオイル基、リノレオイル基、リノレノイル基である。炭素数16、18を除く炭素数12~24のアシル基は、具体的には、ラウロイル基、ミリストイル基、ミリストレオイル基、エイコサノイル基、エイコサジエノイル基、エイコサトリエノイル基、エイコサテトラエノイル基、ドコサノイル基、テトラコサノイル基等が挙げられる。
 合成品のスフィンゴミエリンを原料として使用する場合、前記式(1)におけるRは、炭素数13~17のアルキル基であるが、好ましくは、炭素数15のアルキル基である。また、前記式(1)におけるRは炭素数12~24のアシル基であるが、好ましくは、炭素数14~20のアシル基であり、より好ましくは、炭素数16~20のアシル基である。具体的には、ラウロイル基、ミリストイル基、ミリストレオイル基、パルミトイル基、パルミトレオイル基、ステアロイル基、オレオイル基、リノレオイル基、リノレノイル基、エイコサノイル基、エイコサジエノイル基、エイコサトリエノイル基、エイコサテトラエノイル基、ドコサノイル基、テトラコサノイル基等が挙げられる。
 前記式(1)で表される化合物としては、前記式(1)中のRが同じ鎖長のアシル基のみで構成される単一化合物のみならず、Rが異なる鎖長のアシル基を有する複数の化合物の混合物も包含される。
 本発明の化合物(1)を製造する際に使用するシクロヘキセンは、一般的に入手できるものであれば特に制限されず、市販品をそのまま使用することができる。シクロヘキセンの使用量としては、少なすぎると反応が進行せず、多すぎると経済性が低下する。よって、原料であるスフィンゴミエリンに対して、0.5~5重量倍が好ましく、1~3重量倍がより好ましい。
 溶媒として使用する低級アルコールは、好ましくは、炭素数1~3の一価のアルコール(例、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等)である。低級アルコールの使用量としては、少なすぎると反応溶液の攪拌が困難となり、多すぎると経済性が低下する。よって、原料であるスフィンゴミエリンに対して、3~50重量倍が好ましく、5~20重量倍がより好ましい。
 パラジウムカーボンは、水素添加反応用触媒として一般的に入手できるものであれば特に制限されない。パラジウムカーボン中のパラジウム含量についても特に制限はないが、一般的に入手できるものは、2~10%である。パラジウムカーボンは、乾燥した状態では発火の危険性があるため、通常は含水品として販売されている。
 パラジウムカーボンの使用量は、多いほど反応が進行しやすいが、多すぎると経済性が低下するため好ましくない。それ故、原料であるスフィンゴミエリンに対して、0.01~1.0重量倍が好ましく、0.05~0.5重量倍がより好ましい。
 本発明の化合物(1)の製造は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガス雰囲気下とは、反応系に存在する空気を不活性ガスで置換した状態を示す。使用する不活性ガスとしては、化学的に安定で反応系中の化合物と反応しないものであれば特に制限されないが、具体的には、窒素またはアルゴンである。
 反応温度は、溶媒として使用する低級アルコールが液体として存在し、かつ原料のスフィンゴミエリンが溶解する温度であれば特に制限されない。反応温度は、好ましくは、室温~60℃である。ここで、室温とは、特記しない限り、15~30℃の温度を表す。
 反応時間は、用いられる原料や溶媒の種類や量によって異なるが、通常、30分から24時間である。
 反応後は、パラジウムカーボンをろ別した後、溶媒を留去し、式(1)で表されるスフィンゴミエリン誘導脂質の粗生成物を得る。粗生成物は、精製工程を経ることで、スフィンゴミエリン誘導脂質の純度を高めることができる。精製工程としては、当該分野での化学合成時に一般的に実施される晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー等から単独または複数選択することができるが、高純度のスフィンゴミエリン誘導脂質を得るためにはカラムクロマトグラフィーによる精製が好ましい。
 カラムクロマトグラフィーで使用する固定相は、未修飾のシリカゲルが好ましい。シリカゲルの形状および粒径は特に制限されない。シリカゲルの使用量は、少なすぎると不純物の分離が悪く、多すぎると大量の溶媒と時間が必要となる。よって、粗生成物に対して、5~50重量倍が好ましく、10~30重量倍がより好ましい。
 カラムクロマトグラフィーの移動相に用いる溶媒(溶出液)は、リン脂質のカラムクロマトグラフィーで一般的に使用されている溶媒であれば、特に制限されない。代表的なものとしては、クロロホルム/メタノールまたはクロロホルム/メタノール/水の混合溶媒である。
 反応中における仕込みスフィンゴミエリンに対する式(1)で表されるスフィンゴミエリン誘導脂質の生成率、および得られたスフィンゴミエリン誘導脂質の純度は、H-NMRスペクトルの測定によって算出することができる。H-NMR測定で用いる重溶媒は、スフィンゴミエリン誘導脂質が可溶で溶媒ピークが脂質のピークと重ならないものであれば特に限定されない。
 以下に実施例1を挙げて、本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例1では、内部標準としてテトラメチルシランが添加された重メタノールを使用した。各ピークの積分値は、0.88ppmのアルキル基およびアシル基の末端メチル基のプロトンに由来するピークを6として算出した(図1)。スフィンゴミエリン誘導脂質の生成は、2.58ppmに現れるケトン基の隣接するメチレンのピークの積分値(理論値:2.0)から算出した。
 IRスペクトルの測定は、加圧錠剤法にて行った。
スフィンゴミエリン誘導脂質の合成
 500mL四つ口フラスコに卵黄スフィンゴミエリン(日油株式会社製;COATSOME NM-10;Rは、炭素数15のアルキル基、Rは炭素数16のアシル基が81%、炭素数18のアシル基が7%)40g、パラジウムカーボン(エヌ・イー・ケムキャット株式会社製、パラジウム含量5wt%)10g、エタノール200g、シクロヘキセン(関東化学株式会社製)60gを加え、窒素雰囲気下、55℃で6時間反応を行った。反応溶液をろ過し、ろ液を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール/水の混合溶媒)により精製することにより、標題化合物を白色固体として得た(収量:1.96g、収率:4.9%)。
 H-NMR(600MHz、δppm、CDOD):0.88(6H,t),1.2~1.4(48H,t),1.55(2H,m),1.64(2H,m),2.29(2H,m),2.58(2H,m),3.22(9H,s),3.62(2H,t),4.09(1H,m),4.21(3H,m),4.56(1H,t)
 実施例1で得られたスフィンゴミエリン誘導脂質のH-NMRの測定結果(図1)によれば、5~7ppmの範囲にオレフィンプロトン由来のピークが存在しないことから、本化合物が二重結合を有していないことが分かった。また、2.58ppmのピーク(図1のdのプロトン)の積分値が、1.7070であったことから、式(1)で表されるスフィンゴミエリン誘導脂質が純度85%で得られていることが確認された。
 実施例1で得られたスフィンゴミエリン誘導脂質のIRスペクトルの測定結果(図2)によれば、アミドカルボニル基の由来のピーク(1641cm-1)の隣にケトン基由来のピーク(1715cm-1)が生成していることが確認できた。
 本発明の式(1)のスフィンゴミエリン誘導脂質は、二級水酸基や炭素-炭素二重結合を有していないことから、スフィンゴミエリンに類似の構造を有しつつ、膜融合性ウイルスの膜融合を促進しないリポソーム構成成分として有用である。
 本出願は、特願2018-060896を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。

Claims (6)

  1.  式(1):
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    (式中、Rは、炭素数13~17のアルキル基を示し、かつRは、炭素数12~24のアシル基を示す。)
    で表されるスフィンゴミエリン誘導脂質。
  2.  Rが、炭素数15のアルキル基である、請求項1に記載のスフィンゴミエリン誘導脂質。
  3.  Rが、炭素数16~20アシル基である、請求項1又は2に記載のスフィンゴミエリン誘導脂質。
  4.  シクロヘキセン存在下、低級アルコール中でスフィンゴミエリンとパラジウムカーボンを混合する工程を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のスフィンゴミエリン誘導脂質の製造方法。
  5.  スフィンゴミエリンが、卵黄由来のスフィンゴミエリンである、請求項4に記載の製造方法。
  6.  低級アルコールが、炭素数1~3の一価のアルコールである、請求項4又は5に記載の製造方法。
PCT/JP2019/012785 2018-03-27 2019-03-26 スフィンゴミエリン誘導脂質およびその製造方法 WO2019189133A1 (ja)

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