WO2019188589A1 - 局部洗浄装置 - Google Patents

Abstract

本局部洗浄装置は、斜め方向に進出した状態で人体局部の洗浄を行う洗浄ノズル（３）と、前記斜め方向に進出した前記洗浄ノズルの表面に水を供給して水膜を形成する水膜形成部（６）と、を有し、前記水膜形成部は、前記洗浄ノズルの後端部側から前端部側に向かって、前記洗浄ノズルの上方から前記洗浄ノズルに前記水を供給する。

Description

局部洗浄装置

　本発明は、局部洗浄装置に関する。本願は、２０１８年３月２６日に、日本に出願された特願２０１８－０５８６７９号、特願２０１８－０５８６８０号、特願２０１８－０５８６８１号、特願２０１８－０５８６８２号、および特願２０１８－０５８６８３号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

　従来、便座に着座した使用者の局部を洗浄する局部洗浄装置が知られている。局部洗浄装置の洗浄ノズルは、局部洗浄を行う際に前方へ斜め下側に向かって進出し、局部洗浄が終わると後退するように構成されている。
　特許文献１に開示された局部洗浄装置は、前方へ進出した洗浄ノズルの表面に水を供給して洗浄ノズルの表面に水膜を形成し、局部洗浄によって飛散した水や汚物などが洗浄ノズルの表面に付着することを防止できる。

　局部洗浄装置は、便器の上部に設置されたケースに収容されていて、洗浄ノズルがケースに形成された開口部を通って前側に進出するように構成されている。ケースには、開口部を開閉するシャッタが設けられている。シャッタは、洗浄ノズルが前側に進出する際に開いて開口部を開放し、洗浄ノズルが後退してケースに収容されると閉じて開口部を閉鎖している。

　特許文献２および特許文献３には、洗浄ノズルに汚水や汚物が付着することを防止したり、付着した汚水や汚物を洗い流したりするために、洗浄ノズルを洗浄するノズル洗浄手段を有する局部洗浄装置が開示されている。
　特許文献２に開示されたノズル洗浄手段は、洗浄ノズルの前端面に直接吐水するように構成されている。
　特許文献３に開示された局部洗浄装置は、洗浄ノズルを洗浄するためにノズル洗浄手段から洗浄ノズルに供給された水と、洗浄ノズルから吐水された局部洗浄用の水とが干渉することを防止するために、洗浄ノズルにおける吐水口よりも洗浄ノズルを洗浄するための水の流れの上流側に、凸条または凹条からなる条部が設けられている。

日本国特開平１１－１９３５６７号公報 日本国特開２０１２－６７５４３号公報 日本国特開２００１－８１８３８号公報

　洗浄ノズルは、前端面のみでなく外周面などにも汚水や汚物が付着する恐れがあるため、洗浄ノズルの前端面のみでなく外周面も洗浄する必要がある。

　特許文献１に開示された局部洗浄装置では、洗浄ノズルに水膜を形成するための水を、洗浄ノズルの後端側において一方の側方から供給している。このため、洗浄ノズルの他方の側方や前端部分に水が行き渡らず、水膜が形成されない虞がある。
　これにより、洗浄ノズルの表面の水膜が形成されない部分に、局部洗浄によって飛散した水や汚物などが付着する虞がある。

　ところで、洗浄ノズルの前端部分には、局部洗浄を行うための洗浄水が吐出する吐水口が形成されている。このため、洗浄ノズルの表面の水膜が形成されると、吐水口にも水膜を形成する水が流れてくる。水膜には局部洗浄によって飛散した水や汚物などが接触している可能性があるため、ノズルの表面に水膜を形成するための水が局部洗浄用の水に混ざって局部に到達することを防ぐ必要がある。

　特許文献１に開示されたような洗浄ノズルの表面に水膜を形成する局部洗浄装置において、前方へ進出した洗浄ノズルとシャッタとが当接していると、洗浄ノズルの表面に供給された水がシャッタに接触し、シャッタよりも下方に水膜が形成されない虞がある。

　特許文献２に開示されたようなノズル洗浄手段では、洗浄ノズルの前端面に直接吐水する手段とは別に洗浄ノズルの外周面に吐水する手段を設ける必要がある。その結果、局部洗浄装置の構造が複雑となり、局部洗浄装置の製造コストがかかるとともに、メンテナンスにも手間がかかるという問題がある。

　特許文献３の条部は、複数の吐水口の上流側に一体に設けられ、洗浄ノズルを洗浄するための水を吐水口に向かわないように側方にガイドする。このため、特許文献３の局部洗浄装置は、洗浄ノズルの前端部まで洗浄ノズルを洗浄するための水が行き渡らず、洗浄ノズルの前端部が洗浄できない虞がある。

　そこで、本発明は、洗浄ノズルの表面全体に水膜を形成することができる局部洗浄装置を提供することを目的とする。

　さらに、本発明は、水膜を形成するための水が局部洗浄用の水に混ざって局部に到達することを防止できる局部洗浄装置を提供することを目的とする。

　さらに、本発明は、簡便な構造で洗浄ノズルの外周面および前端面を洗浄できる局部洗浄装置を提供することを目的とする。

　さらに、本発明は、洗浄ノズルを洗浄するための水と局部洗浄用の水との干渉を防止できるとともに、洗浄ノズルを前端部まで洗浄できる局部洗浄装置を提供することを目的とする。

　本発明の第１の態様に係る局部洗浄装置は、前方下側に向かう斜め方向に進出した状態で人体局部の洗浄を行う洗浄ノズルと、前記斜め方向に進出した前記洗浄ノズルの表面に水を供給して水膜を形成する水膜形成部と、を有し、前記水膜形成部は、前記洗浄ノズルの前端部側に向かって、前記洗浄ノズルの上方から前記洗浄ノズルに前記水を供給することを特徴とする。

　上記構成によれば、水膜形成部は、洗浄ノズルの前端部側に向かって、洗浄ノズルの上方から洗浄ノズルに水を供給する。これにより、洗浄ノズルの表面に供給された水は、洗浄ノズルの上面に沿って前端部まで流れるとともに、洗浄ノズルの上面から両側方を伝わって下側に流れるため、洗浄ノズルの表面全体に水を行き渡らせることができ、洗浄ノズルの表面全体に水膜を形成できる。

　水膜とは、所定の厚さの膜状に広がって流れる水を指し、洗浄ノズルの表面（外周面）に形成される水膜とは、洗浄ノズルの表面を膜状に広がって流れる水を指す。

　本発明の第２の態様に係る局部洗浄装置では、前記水膜形成部は、前記洗浄ノズルが進出する前記斜め方向に対して鋭角に交差する方向に前記水を吐出してもよい。

　このような構成とすることにより、水膜形成部が吐出した水が、洗浄ノズルの表面で跳ね返ることなく洗浄ノズルの表面に沿って流れやすい。このため、洗浄ノズルの表面全体に確実に水膜を形成できる。

　本発明の第３の態様に係る局部洗浄装置では、前記洗浄ノズルは、便器に設置されたケースに収容され、前記ケースに形成された開口部を介して前記ケースから前記斜め方向に進出した状態で前記人体局部の洗浄を行うように構成され、前記ケースには、前記開口部を開閉するシャッタが設けられ、前記洗浄ノズルが前記ケースから進出した状態において、前記洗浄ノズルは前記シャッタと離間していてもよい。

　上記構成によれば、洗浄ノズルがケースから進出した状態において、洗浄ノズルはシャッタと離間している。これにより、洗浄ノズルの表面に供給された水は、シャッタと当たることがなく、シャッタよりも下方にも流れて洗浄ノズルの表面に水膜を形成できる。

　本発明の第４の態様に係る局部洗浄装置では、前記洗浄ノズルは、第１洗浄ノズルと、第２洗浄ノズルとを有し、前記水膜形成部は、少なくとも前記第１洗浄ノズルの表面に前記水を供給し、前記シャッタは、前記第２洗浄ノズルの進退によって開閉してもよい。

　このような構成とすることにより、第２洗浄ノズルをシャッタの開閉機構として使用できるため、シャッタの開閉に専用の機構を設ける必要がなく、局部洗浄装置を簡便な構造とすることができる。そして、第２洗浄ノズルをシャッタの開閉機構として使用する局部洗浄装置においても、第１洗浄ノズルの表面に水膜を形成できる。

　本発明の第５の態様に係る局部洗浄装置では、前記洗浄ノズルは、前端部分に局部洗浄用の洗浄水を吐出する吐水口を有し、前記吐水口から吐出する前記洗浄水の水勢は、前記水膜を形成する水の水勢よりも大きくてもよい。

　上記構成によれば、吐水口から吐出する洗浄水の水勢は、水膜を形成する水の水勢よりも大きい。これにより、水膜を形成する水が吐水口を横切る場合でも、吐水口から吐出する洗浄水は、水膜を突き破って局部に到達させられるため、水膜を形成する水が局部洗浄用の洗浄水に混ざることを防止できる。　水勢とは、吐出する水や流れる水の勢いを示し、吐出する水や流れる水の量や速さによって決定される。

　本発明の第６の態様に係る局部洗浄装置では、前記水膜形成部は、前記斜め方向に進出した前記洗浄ノズルの外周面に前記水を供給して水膜を形成するように構成され、前記洗浄ノズルの前端面は、少なくとも上部側が前側に向かって、前記斜め方向よりも下側に向かう方向に傾斜した傾斜面に形成されていてもよい。

　上記構成によれば、水膜形成部から洗浄ノズルの外周面に供給された水は、洗浄ノズルの外周面に沿って斜め方向に流れ、洗浄ノズルの外周面から前端面に流れて前端面に沿って下側に流れる。そして、洗浄ノズルの前端面の少なくとも上部側が、前側に向かって、洗浄ノズルが延びる方向である斜め方向よりも下側に向かう方向に傾斜した傾斜面に形成されていることにより、洗浄ノズルの外周面から前端面に流れた水を前端面に沿わせて流すことができる。これにより、洗浄ノズルの外周面と前端面に連続して水膜を形成できる。その結果、洗浄ノズルの外周面および前端面を洗浄でき、洗浄ノズルの外周面および前端面に汚水や汚物が付着することを防止できる。
　このように、局部洗浄装置は、洗浄ノズルの外周面と前端面とを同じ機構で洗浄できる簡便な構造で、洗浄ノズルの外周面および前端面を洗浄できる。
　洗浄ノズルの外周面とは、洗浄ノズルの長さ方向（軸線方向）に沿って延びる面を指す。また、洗浄ノズルの前端面の傾斜面とは、平面となる傾斜面および湾曲面となる傾斜面の両方を含む。

　本発明の第７の態様に係る局部洗浄装置では、前記洗浄ノズルの前端面は、少なくとも前記上部側が前側に膨らむように湾曲する湾曲面に形成されていてもよい。

　このような構成とすることにより、洗浄ノズルの外周面に沿って斜め方向に流れて前端面に流れた水を、湾曲面となる前端面に沿ってスムーズに流すことができるため、洗浄ノズルの前端面に水膜を形成できる。

　本発明の第８の態様に係る局部洗浄装置では、前記洗浄ノズルの前端面は、前記上部側が前側に向かって、前記斜め方向の下側に向かう方向に傾斜した傾斜面に形成され、下部側が下側に向かって、後側に向かう傾斜面に形成されていてもよい。

　このような構成とすることにより、洗浄ノズルの外周面に沿って斜め方向に流れて前端面に流れた水を上部側から下部側に回り込ませるようにして流すことができる。このため、水膜形成部は、前端面の下部側にも水が行き渡り、洗浄ノズルの前端面全体にわたって水膜を形成できる。

　本発明の第９の態様に係る局部洗浄装置では、前記洗浄ノズルの前端面は、上下全体にわたって前記斜め方向に膨らむ湾曲面に形成されていてもよい。

　このような構成とすることにより、洗浄ノズルの外周面に沿って斜め方向に流れて前端面に流れた水を湾曲面となる前端面に沿って下側に向かってスムーズに回り込ませるようにして流すことができる。このため、前端面の下部側にも水が行き渡り、洗浄ノズルの前端面全体にわたって水膜を形成できる。

　本発明の第１０の態様に係る局部洗浄装置では、前記水膜形成部は、前記斜め方向に進出した前記洗浄ノズルの外周面に前記水を供給して水膜を形成するように構成され、前記洗浄ノズルは、局部洗浄用の水を吐水する複数の吐水口と、前記複数の吐水口それぞれの少なくとも後側に設けられ前記洗浄ノズルの外周面から上側に突出する突出部と、を有してもよい。

　上記構成によれば、洗浄ノズルは、複数の吐水口それぞれの少なくとも後側に上側に突出する突出部を有することにより、洗浄ノズルの外周面を流れる洗浄ノズルを洗浄するための水が突出部にガイドされて吐水口を避けるように流れる。この結果、洗浄ノズルを洗浄するための水と、局部洗浄用の水との干渉を防止できる。
　上記構成によれば、洗浄ノズルの外周面を流れる洗浄ノズルを洗浄するための水を、隣り合う突出部の間を通って前側まで流すことができるため、水膜形成部から供給された水を洗浄ノズルの前端面まで流すことができ、洗浄ノズルの外周面および前端面に水膜を形成できる。その結果、洗浄ノズルを前端部まで洗浄できる。
　洗浄ノズルにおける吐水口の後側とは、吐水口に対して洗浄ノズルが延びる斜め方向の後側で、洗浄ノズルを洗浄するために洗浄ノズルに供給された水の流れの上流側を指す。

　本発明の第１１の態様に係る局部洗浄装置では、前記突出部は、前記洗浄ノズルの外周面から上側に突出する壁体であり、前記突出部は前記吐水口の後側のみに設けられていてもよい。

　このような構成とすることにより、洗浄ノズルの外周面を流れる洗浄ノズルを洗浄するための水が壁体にガイドされて吐水口を避けるように流れる。この結果、洗浄ノズルを洗浄するための水と、局部洗浄用の水との干渉を防止できる。

　本発明の第１２の態様に係る局部洗浄装置では、前記突出部は、前記洗浄ノズルの外周面から上側に突出する筒状体であり、前記突出部は、前記吐水口を囲むように設けられ、前記吐水口から吐水された前記水が、前記筒状体の内側を上方に向かって通過するように構成されていてもよい。

　このような構成とすることにより、洗浄ノズルの外周面を流れる洗浄ノズルを洗浄するための水が、吐水口を囲むように設けられた筒状体にガイドされて吐水口を避けるように流れる。このため、洗浄ノズルを洗浄するための水と、局部洗浄用の水との干渉を確実に防止できる。

　本発明の第１３の態様に係る局部洗浄装置では、前記突出部は、前記水膜の上面よりも上側に突出していてもよい。

　このような構成とすることにより、洗浄ノズルの外周面を流れる洗浄ノズルを洗浄するための水が、突出部を乗り越えて吐水口へ流れることを確実に防止できる。このため、洗浄ノズルを洗浄するための水と、局部洗浄用の水との干渉を防止できる。

　本発明の第１４の態様に係る局部洗浄装置では、前記水膜形成部は、前記洗浄ノズルが局部洗浄を行う際に前記洗浄ノズルに前記水を供給するように構成されていてもよい。

　このような構成とすることにより、洗浄ノズルの使用中に洗浄ノズルに汚水や汚物が付着することを防止できる。

　本発明によれば、洗浄ノズルの表面全体に水（洗浄水）を行き渡らせることができ、洗浄ノズルの表面全体に水膜を形成できるため、局部洗浄によって飛散した水や汚物などが洗浄ノズルの表面に付着することを防止できる。

　本発明によれば、水膜を形成するための水が局部洗浄用の水に混ざって局部に到達することを防止できる。

　本発明によれば、簡便な構造で洗浄ノズルの外周面および前端面を洗浄できる。

　本発明によれば、洗浄ノズルを洗浄するための水と局部洗浄用の水との干渉を防止できるとともに、洗浄ノズルを前端部まで洗浄できる。

本発明の第１実施形態に係る局部洗浄装置を備える便器の一例を示す斜視図である。 本発明の第１実施形態に係る局部洗浄装置を示す斜視図であり、第１洗浄ノズルが後退している様子を示す図である。 本発明の第１実施形態に係る局部洗浄装置を示す斜視図であり、第１洗浄ノズルが進出している様子を示す図である。 図２におけるケースを省略した局部洗浄装置の斜視図である。 図３におけるケースを省略した局部洗浄装置の斜視図である。 図２のＡ－Ａ線断面図である。 図３のＢ－Ｂ線断面図である。 図２のＣ－Ｃ線断面図である。 図３のＤ－Ｄ線断面図である。 シャッタを前方から見た斜視図である。 シャッタを後方から見た斜視図である。 第２実施形態に係る局部洗浄装置を示す斜視図である。 図１２Ａの第１洗浄ノズルを前端部側から見た図である。 第３実施形態に係る局部洗浄装置を示す斜視図である。 図１３Ａの第１洗浄ノズルを幅方向から見た図である。 本発明の第４実施形態に係る局部洗浄装置の一例を示す斜視図で、第１洗浄ノズルが進出している様子を示す図である。 図２のケースを省略した斜視図である。 図３のケースを省略した斜視図である。 図２のＡ－Ａ線断面図と同じ位置における図１４の局部洗浄装置の断面図である。 図１４のＥ－Ｅ線断面図である。 図２のＣ－Ｃ線断面図と同じ位置における図１４の局部洗浄装置の断面図である。 図１４のＦ－Ｆ線断面図である。 本発明の第５実施形態に係る局部洗浄装置の一例を示す斜視図で、第１洗浄ノズルが進出している様子を示す図である。 図２１のケースを省略した斜視図である。 図２のＡ－Ａ線断面図と同じ位置における図２１の局部洗浄装置の断面図である。 図２１のＧ－Ｇ線断面図である。 第６実施形態に係る局部洗浄装置の一例を示す斜視図である。 本発明の第７実施形態に係る局部洗浄装置の一例を示す斜視図で、第１洗浄ノズルが進出している様子を示す図である。 第８実施形態に係る局部洗浄装置の一例を示す斜視図である。 第１洗浄ノズルおよび第２洗浄ノズルの変形例を示す斜視図である。 第１洗浄ノズルおよび第２洗浄ノズルの他の変形例を示す斜視図である。 第１洗浄ノズルおよび第２洗浄ノズルの変形例を示す側面図である。 第１洗浄ノズルおよび第２洗浄ノズルの他の変形例を示す側面図である。 第１洗浄ノズルの変形例を示す側面図である。 第１洗浄ノズルの他の変形例を示す側面図である。

（第１実施形態）
　以下、本発明の第１実施形態に係る局部洗浄装置について、図１乃至図１１に基づいて説明する。
　図１に示すように、第１実施形態に係る局部洗浄装置１は、便器１１に設けられている。便器１１は、便器本体１２と、機能部１３と、便座１４および便蓋１５と、を有している。機能部１３は、便器本体１２に取り付けられている。便座１４および便蓋１５は、機能部１３を介して便器本体１２に取付けられている。
　便器本体１２は、便鉢１２１が形成されている。便器本体１２は、床面１６に設置されて排水配管（不図示）に接続されるように構成されている。
　機能部１３は、局部洗浄を行う局部洗浄装置１と、局部洗浄装置１を収容するケース２と、を有している。機能部１３は、局部洗浄装置１に加えて、温風乾燥を行う温風乾燥装置（不図示）や、脱臭を行う脱臭装置（不図示）、これらの装置に電力を供給する電力供給装置（不図示）などを適宜有していてよい。機能部１３に設けられている装置は、ケース２に収容され、ケース２によって外部に露出しないように覆われている。

　機能部１３は、便器１１を使用する使用者側から見て便器本体１２の奥側に取り付けられている。手前側に便器本体１２の便鉢１２１が配置されている。便器本体１２に対して機能部１３が取り付けられている側を後側と称し、その反対側を前側と称し、前側と後側とを結ぶ方向を前後方向と称する。この前後方向に直交する水平方向を幅方向と称する。

　図２および図３に示すように、局部洗浄装置１は、肛門洗浄用の第１洗浄ノズル３と、ビデ用の第２洗浄ノズル４と、支持部５と、局部洗浄用温水供給部（不図示）と、水膜形成部６と、制御部（不図示）と、を有している。第１洗浄ノズル３および第２洗浄ノズル４は、洗浄水を吐水して人体局部の洗浄が可能に構成されるノズルである。支持部５は、第１洗浄ノズル３および第２洗浄ノズル４を支持する。局部洗浄用温水供給部は、第１洗浄ノズル３および第２洗浄ノズル４に局部洗浄用の温水を供給する。水膜形成部６は、第１洗浄ノズル３の表面３９（図３参照）に水を供給して水膜を形成する。制御部は、局部洗浄および水膜形成部６による水膜の形成を制御する。
　水膜とは、所定の厚さの膜状に広がって流れる水を指す。第１洗浄ノズル３の表面３９に形成される水膜とは、第１洗浄ノズル３の表面３９を膜状に広がって流れる水を指す。
　局部洗浄装置１は、機能部１３の幅方向の略中央部に配置されている（図１参照）。

　図２乃至図５に示すように、第１洗浄ノズル３および第２洗浄ノズル４は、それぞれ断面形状が略円形である丸棒状に形成されている。第１洗浄ノズル３および第２洗浄ノズル４は、それぞれの延びる方向（長さ方向）が前側に向かって漸次下側に向かう斜め方向となるように配置されている。第１洗浄ノズル３および第２洗浄ノズル４は、第１洗浄ノズル３が幅方向の一方側、第２洗浄ノズル４が幅方向の他方側となるように幅方向に並列配置されている。
　上記のように配置された状態における第１洗浄ノズル３および第２洗浄ノズル４の前側かつ下側の端部を前端部３ａ，４ａ（図３乃至図５参照）とし、後側かつ上側の端部を後端部３ｂ，４ｂと称する。

　図５に示すように、第１洗浄ノズル３には、給水口３１と、洗浄吐水口３２と、流通管３３と、が設けられている。給水口３１は、後端部３ｂ近傍に設けられ、局部洗浄用の温水が供給される開口である。洗浄吐水口３２は、前端部３ａ近傍に洗浄水を吐出する。流通管３３は、第１洗浄ノズル３の内部に設けられ、給水口３１と洗浄吐水口３２とを繋ぎ、温水が流通する。洗浄吐水口３２は、上方かつ前側に向かう斜め方向に開口している。洗浄吐水口３２は、上方かつ前側に斜め方向に向かって洗浄水を吐出可能に構成されている。
　第１洗浄ノズル３の前端面３ｃは、第１洗浄ノズル３の長さ方向に直交する平面状に形成されている。

　図６および図７に示すように、第１洗浄ノズル３の下側には、第１洗浄ノズル３の長さ方向に沿って第１ラック（ギア）３４が設けられている。第１ラック３４は下側に突出する歯３４１が第１洗浄ノズル３の長さ方向に複数配列されている。
　第１ラック３４は、第１洗浄ノズル３の前端部３ａ近傍には設けられておらず、第１ラック３４は、第１洗浄ノズル３における前端部３ａよりも後側に少し間隔をあけた長さ方向の中間部から後端部３ｂまでの範囲に設けられている。

　図５に示すように、第２洗浄ノズル４には、給水口４１と、洗浄吐水口４２と、流通管４３と、が設けられている。給水口４１は、後端部４ｂ近傍に設けられ、局部洗浄用の温水が供給される開口である。洗浄吐水口４２は、前端部４ａ近傍に設けられ、洗浄水（局部洗浄用の温水）を吐出する。流通管４３は、第２洗浄ノズル４の内部に設けられ、給水口４１と洗浄吐水口４２とを繋ぎ、温水が流通する。洗浄吐水口４２は、上方かつ前側に向かう斜め方向に開口し、上方かつ前側に斜め方向に向かって洗浄水（局部洗浄用の温水）を吐出可能に構成されている。
　第２洗浄ノズル４の前端面４ｃは、それぞれ第２洗浄ノズル４の長さ方向に直交する平面状に形成されている。
　図８および図９に示すように、第２洗浄ノズル４の下側には第２ラック４４（ギア）が設けられている。第２ラック４４は、第２洗浄ノズル４の長さ方向に沿って設けられている。第２ラック４４は下側に突出する歯４４１が第２洗浄ノズル４の長さ方向に複数配列されている。
　第２ラック４４は、第２洗浄ノズル４の前端部４ａ近傍には設けられておらず、第２ラック４４は、第２洗浄ノズル４における前端部４ａよりも後側に少し間隔を空けた長さ方向の中間部から後端部４ｂまでの範囲に設けられている。

　図４および図５に示すように、支持部５は、第１洗浄ノズル３および第２洗浄ノズル４を、それぞれ前側に向かって漸次下側に向かう斜め方向に進退可能に支持している。第１洗浄ノズル３および第２洗浄ノズル４が進退する方向の洗浄ノズル進退方向と称する。洗浄ノズル進退方向は、第１洗浄ノズル３および第２洗浄ノズル４の長さ方向と同じ方向に設定されている。
　支持部５は、支持部本体５１と、第１ピニオン５２と、第２ピニオン５３と、モータ５４と、を有している。支持部本体５１は、第１洗浄ノズル３および第２洗浄ノズル４が出し入れされる。第１ピニオン５２は、第１洗浄ノズル３の第１ラック３４（図６および図７参照）と噛み合い第１ラック３４とともにラックアンドピニオン機構を構成する。第２ピニオンは、第２洗浄ノズル４の第２ラック４４（図８および図９参照）と噛み合い第２ラック４４とともにラックアンドピニオン機構を構成する。モータ５４は、第１ピニオン５２および第２ピニオン５３を回転駆動する。

　支持部本体５１は、第１洗浄ノズル挿入部５１１と、第２洗浄ノズル挿入部５１２と、を有している。第１洗浄ノズル挿入部５１１は、第１洗浄ノズル３を出し入れ可能に構成されている挿通孔である。第２洗浄ノズル挿入部５１２は、第２洗浄ノズル４を出し入れ可能に構成されている。第１洗浄ノズル挿入部５１１と第２洗浄ノズル挿入部５１２とは、平行に設けられている。

　第１洗浄ノズル挿入部５１１は、洗浄ノズル進退方向に支持部本体５１を貫通するように形成され、洗浄ノズル進退方向の前側の下部（前端部）の開口５１５から第１洗浄ノズル３が進退可能に構成されている。本実施形態では、支持部本体５１には、第１洗浄ノズル挿入部５１１の前端部近傍の上側の部分に切欠き部５１３が形成されている。切欠き部５１３は、第１洗浄ノズル挿入部５１１の上側に開口している。切欠き部５１３からは、第１洗浄ノズル挿入部５１１に挿入された第１洗浄ノズル３の上面が上方に露出している。

　第２洗浄ノズル挿入部５１２は、洗浄ノズル進退方向に支持部本体５１を貫通するように形成されている。第２洗浄ノズル挿入部５１２は、洗浄ノズル進退方向の前端部の開口５１６から第２洗浄ノズル４が進退可能に構成されている。

　図６および図７に示すように、第１ピニオン５２は、円板状に形成され、外周部全体に歯５２１が形成されている。
　第１ピニオン５２は、回転軸が幅方向に延びる向きで第１ラック３４の下側に配置されている。第１ピニオン５２は、外周部に形成された歯５２１が第１ラック３４の歯３４１と噛み合うように構成されている。第１ピニオン５２は、モータ５４（図４および図５参照）の駆動によって回転軸回りに回転することによって、第１ラック３４を斜め方向、すなわち線状ラックの進退方向に移動させるように構成されている。

　第２ピニオン５３は、円板状に形成され、外周部全体に歯５３１が形成されている。
　第２ピニオン５３は、回転軸が幅方向に延びる向きで第２ラック４４の下側に配置されている。第２ピニオン５３は、外周部に形成された歯５３１が第２ラック４４の歯４４１と噛み合うように構成されている。第２ピニオン５３は、モータ５４（図４および図５参照）の駆動によって回転軸回りに回転することによって、第２ラック４４を斜め方向、すなわち洗浄ノズルの進退方向に移動させるように構成されている。

　図４乃至図７に示すように、水膜形成部６は、水膜形成用給水管６１と、水膜形成用水供給部（不図示）と、を有している。水膜形成用給水管６１は、第１洗浄ノズル３の表面（外周面）３９（図５参照）に水を供給する管である。水膜形成用水供給部は、水膜形成用給水管６１に水を供給する。

　水膜形成用給水管６１は、支持部本体５１の上部に設置されている。水膜形成用給水管６１の水膜吐水口６２は、支持部本体５１に形成された切欠き部５１３の上方に配置されている。水膜形成用給水管６１の水膜吐水口６２は、前側かつ下側に向かって開口し、前側かつ下側の方向に水膜形成用の水を吐出するように構成されている。水膜吐水口６２から吐水される水の方向と、第１洗浄ノズル３の進退方向（長さ方向）とは、鋭角を成すように交差している。

　水膜形成部６は、第１洗浄ノズル３が進出した状態となると、第１洗浄ノズル３に水膜吐水口６２から吐水するように制御されている。本実施形態では、水膜形成部６は、第１洗浄ノズル挿入部５１１に収容された状態の第１洗浄ノズル３が第１洗浄ノズル挿入部５１１から進出し始めた状態から、進出したノズルが後退し第１洗浄ノズル挿入部５１１に収容される直前まで、第１洗浄ノズル３の表面（外周面）３９に水膜吐水口６２から吐水するように制御されている。

　水膜吐水口６２から第１洗浄ノズル３に吐水されると、吐水された水が第１洗浄ノズル３の表面（外周面）３９に沿って前端部３ａに向かって流れるとともに、側面に沿って第１洗浄ノズル３の下側に流れ、第１洗浄ノズル３の表面３９に水膜を形成するように構成されている。

　水膜吐水口６２から吐水されて第１洗浄ノズル３の洗浄吐水口３２の周りに水膜を形成している水の水勢は、第１洗浄ノズル３の洗浄吐水口３２から吐水される洗浄水（局部洗浄用の温水）の水勢よりも弱くなるように設定されている。
　水勢とは、吐出する水や流れる水の勢いを指し、吐出する水や流れる水の量や速さによって決定される。

　制御部は、使用者が操作する操作部からの信号を受信可能に構成されている。操作部には、肛門洗浄、ビデ洗浄、温風乾燥などの開始・停止や、肛門洗浄、ビデ洗浄、温風乾燥などの強弱などを操作できるボタンなどの操作手段が設けられている。

　図２および図３に示すように、機能部１３のケース２のうち、局部洗浄装置１の前側に配置される部分を前板部２１と称する。前板部２１は、板面が洗浄ノズルの進退方向と略同じ方向を向くように配置されている。前板部２１のうちの便鉢１２１（図１参照）の内部を臨む面を前面２１ａと称し、その反対側の局部洗浄装置１と対向する面を後面２１ｂと称する。
　前板部２１の幅方向の略中央部には、開口部２１ｃが形成されている。開口部２１ｃは、洗浄ノズルの進退方向に進退する第１洗浄ノズル３および第２洗浄ノズル４が通過する。開口部２１ｃは、洗浄ノズルの進退方向と略同じ方向に開口している。開口部２１ｃは、上下方向よりも幅方向に長い開口形状を有する。

　ケース２には、回動することで開口部２１ｃを開閉可能なシャッタ２２が設けられている。
　シャッタ２２は、シャッタ本体２３と、回動軸部２４と、一対の連結アーム２５と、を有している。シャッタ本体２３は、開口部２１ｃを前側から開閉する。回動軸部２４は、ケース２に支持されている。一対の連結アーム２５は、シャッタ本体２３と回動軸部２４とを連結する。

　図２、図３、図１０および図１１に示すように、シャッタ本体２３は、ケース２の開口部２１ｃ（図２参照）よりもやや大きく、開口部２１ｃを閉塞可能な大きさの板状に形成されている。シャッタ本体２３は、開口部２１ｃを閉塞すると、前板部２１と重なり、シャッタ本体２３の板面が洗浄ノズル進退方向と略同じ方向を向くように配置される。
　シャッタ本体２３は、開口部２１ｃを閉塞した際に便鉢１２１（図１参照）の内部を向く面を前面２３ａと称し、その反対側の面であって開口部２１ｃと対向する面を後面２３ｂと称する。シャッタ本体２３の後面２３ｂには、幅方向の中央寄りも第２外縁寄りで第２洗浄ノズル４と対向する位置に突起部２３１（図３および図１１参照）が形成されている。突起部２３１は、後面２３ｂにおける第２洗浄ノズル４と対向する位置に形成されていればよい。

　回動軸部２４は、軸線が直線となる棒状に形成され、軸線方向が幅方向に沿う向きに配置されている。回動軸部２４は、前板部２１の後側に配置されている。前板部２１の後側において、開口部２１ｃの上方に設けられた軸支持部２６（図２および図３参照）に回動軸部２４の両端部が支持されている。回動軸部２４は、軸支持部２６に支持されると幅方向に延びる軸線回りに回動可能に構成されている。

　一対の連結アーム２５は、それぞれ略Ｃ字形状に形成されている。一対の連結アーム２５は、Ｃ字形の両端部のうち第１の端部２５ａが回動軸部２４と接続され、第２の端部２５ｂがシャッタ本体２３の上縁部と接続されている。
　一対の連結アーム２５のうちの第１の連結アーム２５は、シャッタ本体２３および回動軸部２４の幅方向の第１端部近傍と接続され、第２の連結アーム２５は、シャッタ本体２３および回動軸部２４の幅方向の第２端部近傍と接続されている。一対の連結アーム２５は、回動軸部２４を中心とした回動によって、開口部２１ｃの内部に挿通可能な位置に配置されている。

　図２に示すように、シャッタ本体２３が開口部２１ｃを閉鎖している状態では、一対の連結アーム２５は、それぞれ前板部２１の後側（ケース２の内部）に配置され、シャッタ本体２３側の第２の端部２５ｂが回動軸部２４側の第１の端部２５ａよりも下側かつ後側に配置され、外形のＣ字形が前側かつ下側を向く斜め方向に開口する向きに配置されている。

　この状態から、回動軸部２４を中心にシャッタ２２が前側に回動すると、図３に示すように、一対の連結アーム２５の回動軸部２４側の第１の端部２５ａよりもシャッタ本体２３側の第２の端部２５ｂが上側かつ前側となり、外形のＣ字形が前側かつ上側を向く斜め方向に開口する向きとなり、シャッタ本体２３が前板部２１から離れて開口部２１ｃを開口した状態となる。
　この状態では、一対の連結アーム２５それぞれの内側（外形のＣ字形の内部）に前板部２１における開口部２１ｃの上側の部分が配置されている。シャッタ本体２３は、前面２３ａが前側かつ上側となる斜め方向を向き、後面２３ｂが後側かつ下側となる斜め方向を向いている。

　シャッタ２２は、開口部２１ｃを閉鎖している状態を保持するように付勢されている。このため、シャッタ２２に対して、開口部２１ｃを開口する方向への外力が作用すると、シャッタ２２が回動して開口部２１ｃを開口する。シャッタ２２に対して、開口部２１ｃを開口する方向への外力が解除されると、シャッタ２２は元の位置に復元されて開口部２１ｃを閉鎖している。

　続いて、本実施形態の局部洗浄装置１による局部洗浄を行う際の動作について説明する。
　操作部が操作されて、制御部が肛門洗浄開始の信号を受信すると、図９に示すように、第２洗浄ノズル４が洗浄ノズルの進退方向の前側に進出する。第２洗浄ノズル４の前端部４ａがシャッタ２２の突起部２３１と当接し、さらに前側に進出すると、シャッタ２２を回動させて押し上げ、シャッタ２２が開口部２１ｃを開口した状態となる。第２洗浄ノズル４は、シャッタ２２を押し上げて開口部２１ｃを開口する位置となると、前方へのさらなる進出が停止される。このとき、第２洗浄ノズル４は、前端部４ａが突起部２３１と当接し、シャッタ本体２３の前端部よりも後側に配置されている。

　第２洗浄ノズル４の進出と同時または少し遅れて、第１洗浄ノズル３が洗浄ノズル進退方向の前側に進出する。このとき、シャッタ２２は開口部２１ｃを開口している状態であるため、図７に示すように、第１洗浄ノズル３は、ケース２の開口部２１ｃから進出し、シャッタ２２と当接せずに開口部２１ｃを通過し、第１洗浄ノズル３は、シャッタ２２の下側を通って前端部３ａがシャッタ２２よりも前側となる位置に進出する。
　進出した第１洗浄ノズル３は、シャッタ本体２３の後面２３ｂの下側に配置され、シャッタ本体２３の後面２３ｂと上下方向に離間している。第１洗浄ノズル３は、開口部２１ｃの縁部とも離間している。
　第１洗浄ノズル３が最前端まで進出すると、第１洗浄ノズル３の洗浄吐水口３２から局部洗浄用温水が吐水され、肛門洗浄動作（局部洗浄動作）が行われる。

　肛門洗浄動作が開始してから所定の時間が経過する、または制御部が肛門洗浄動作を停止する信号を受信すると、第１洗浄ノズル３の洗浄吐水口３２からの吐水が終了する。
　局部洗浄動作が終了すると、第１洗浄ノズル３は、洗浄ノズルの進退方向の後側に後退し、支持部５の第１洗浄ノズル挿入部５１１に収容される。第１洗浄ノズル３が第１洗浄ノズル挿入部５１１に収容されると、第２洗浄ノズル４も洗浄ノズルの進退方向の後側に後退し、支持部５の第２洗浄ノズル挿入部５１２に収容される。
　上述したように、シャッタ２２は、開口部２１ｃを閉鎖している状態となるように付勢されているため、第２洗浄ノズル４が後退し、シャッタ２２に開口部２１ｃを開口する方向への外力が作用しなくなると、シャッタ２２は開口部２１ｃを閉鎖する方向に回動して開口部２１ｃを閉鎖する。

　第１洗浄ノズル３の進出が開始してから、第１洗浄ノズル３が後退して支持部５の第１洗浄ノズル挿入部５１１に収容されるまでの間、図５に示すように、水膜形成部６が駆動し、水膜吐水口６２から第１洗浄ノズル３に上方から水膜を形成するための水を吐水する。
　水膜吐水口６２から吐出された水は、第１洗浄ノズル３の前端部３ａに向かって流れるとともに、第１洗浄ノズル３の外周面を通って下側に流れ、第１洗浄ノズル３の表面３９に水膜を形成する。第１洗浄ノズル３が最前端に進出している状態では、水膜吐水口６２から吐出された水は、第１洗浄ノズル３の後端部３ｂ近傍の上側に供給される。

　上述したように、水膜吐水口６２から吐水されて第１洗浄ノズル３の洗浄吐水口３２の周りに水膜を形成している水の水勢は、第１洗浄ノズル３の洗浄吐水口３２から吐水される洗浄水（局部洗浄用の温水）の水勢よりも弱くなるように設定されている。この結果、第１洗浄ノズル３から洗浄水が吐水されている際に、第１洗浄ノズル３から吐水された洗浄水（局部洗浄用の温水）に水膜を形成する水が混ざることを防止できる。

　操作部が操作されて、制御部がビデ洗浄開始の信号を受信すると、図９に示すように、第２洗浄ノズル４が洗浄ノズルの進退方向の前側に進出する。第２洗浄ノズル４がシャッタ２２の突起部２３１と当接し、さらに前側に進出すると、シャッタ２２を押し上げてシャッタ２２が開口部２１ｃを開口した状態となる。第２洗浄ノズル４は、さらに前方へ進出し、最前端（図９の二点鎖線の位置）まで進出すると、第２洗浄ノズル４の洗浄吐水口４２から局部洗浄用温水が吐水され、ビデ洗浄動作（局部洗浄動作）が行われる。

　ビデ洗浄動作が開始してから所定の時間が経過する、または制御部がビデ洗浄を停止する信号を受信すると、第２洗浄ノズル４の洗浄吐水口４２からの吐水が終了する。
　ビデ洗浄動作が終了すると、第２洗浄ノズル４は、洗浄ノズルの進退方向の後側に後退し、支持部５の第２洗浄ノズル挿入部５１２に収容される。上述したように、シャッタ２２は、開口部２１ｃを閉鎖している状態となるように付勢されているため、第２洗浄ノズル４が後退し、シャッタ２２に開口部２１ｃを開口する方向への外力が作用しなくなると、シャッタ２２は開口部２１ｃを閉鎖する方向に回動して開口部２１ｃを閉鎖する。
　本実施形態では、第２洗浄ノズル４に対しては水膜形成部６から吐水して水膜を形成するようには構成されていない。

　次に、上述した第１実施形態に係る局部洗浄装置１の作用・効果について図面を用いて説明する。
　上述した第１実施形態に係る局部洗浄装置１では、水膜形成部６は、第１洗浄ノズル３の後端部３ｂ側の領域に上方から吐水し、第１洗浄ノズル３の後端部３ｂ側の領域から前端部３ａ側に向かって吐水している。これにより、第１洗浄ノズル３の表面３９に供給された水は、第１洗浄ノズル３の上面に沿って後端部３ｂ側から前端部３ａまで流れるとともに、第１洗浄ノズル３の上面から両側方を伝わって下側に流れるため、第１洗浄ノズル３の表面３９全体（上下全体）に水を行き渡らせることができ、第１洗浄ノズル３の表面３９全体に水膜を形成できる。
　その結果、局部洗浄によって飛散した水や汚物などが第１洗浄ノズル３の表面３９に付着することを防止できる。

　水膜形成部６は、第１洗浄ノズル３の進退方向に対して鋭角に交差する方向に水を吐出することにより、水膜形成部６が吐出した水が、第１洗浄ノズル３の表面３９で跳ね返ることなく第１洗浄ノズル３の表面３９に沿って流れやすい。このため、水膜形成部６は、第１洗浄ノズル３の表面３９全体に確実に水膜を形成できる。

　第１実施形態に係る局部洗浄装置１では、第１洗浄ノズル３は、ケース２から進出した状態において、シャッタ２２と離間している。これにより、第１洗浄ノズル３の表面３９に供給された水は、シャッタ２２と当たることがなく、シャッタ２２よりも下方にも流れて第１洗浄ノズル３の表面３９に水膜を形成できる。

　第２洗浄ノズル４をシャッタ２２の開閉機構として使用できるため、シャッタ２２の開閉に専用の機構を設ける必要がなく、局部洗浄装置１を簡便な構造にできる。

　第１実施形態に係る局部洗浄装置１では、水膜吐水口６２から吐水されて第１洗浄ノズル３の洗浄吐水口３２のまわりに水膜を形成している水の水勢は、水膜吐水口６２から吐水される水勢よりも大きい。これにより、水膜を形成する水が洗浄吐水口３２を横切る場合でも、洗浄吐水口３２から吐出する洗浄水は水膜を突き破って局部に到達させることができる。このため、水膜を形成する水が局部洗浄用の洗浄水に混ざることを防止できる。
　第１実施形態に係る局部洗浄装置１では、水膜を形成する水が局部洗浄用の洗浄水に混ざることを防止するために、洗浄吐水口３２の近傍に壁部を形成したり、洗浄吐水口３２を高い位置に設けたりする必要がないため、局部洗浄装置１を簡便な構造にできる。

　次に、他の実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第１実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第１実施形態と異なる構成について説明する。

（第２実施形態）
　図１２Ａ及び図１２Ｂに示すように、第２実施形態に係る局部洗浄装置１Ｂは、第１洗浄ノズル３Ｂの形状が第１実施形態と異なっている。第１洗浄ノズル３Ｂは、上面３ｄおよび下面３ｅが平坦面となり、幅方向の両側面３ｆが曲面に形成されている。なお、第２洗浄ノズル４Ｂも第１洗浄ノズル３Ｂと同じ形状に形成されている。
　第２実施形態に係る局部洗浄装置１Ｂでは、第１洗浄ノズル３Ｂに突出された水膜形成用の水が第１洗浄ノズル３Ｂの上面に沿って前端部３ａまで流れるとともに、両側面に沿って下方に流れるため、第１洗浄ノズル３Ｂの表面３９Ｂ全体に水膜を形成できる。

（第３実施形態）
　図１３Ａおよび図１３Ｂに示すように、第３実施形態に係る局部洗浄装置１Ｃは、第１洗浄ノズル３Ｃの形状が第２実施形態に係る局部洗浄装置１Ｂの第１洗浄ノズル３Ｂのように、上面３ｄおよび下面３ｅが平坦面であり、両側面３ｆが曲面に形成されている。第３実施形態では、第１洗浄ノズル３Ｃの前端面３ｇは、中央部が前側かつ下側に向かって突出する曲面に形成されている。なお、第２洗浄ノズル４Ｃも第１洗浄ノズル３Ｃと同じ形状に形成されている。
　第３実施形態による局部洗浄装置１Ｃでは、第１洗浄ノズル３Ｃの表面３９Ｃを通って前端部３ａに到達した水膜形成水が、第１洗浄ノズル３の前端面３ｇの曲面に沿って下側まで回り込むように構成されている。このため、第１洗浄ノズル３の前端面３ｇ全体に水膜を形成できる。

（第４実施形態）
　図１４乃至図２０に第４実施形態に係る局部洗浄装置１Ｄを示す。本実施形態に係る局部洗浄装置１Ｄは、第１洗浄ノズル３Ｄの形状が第１実施形態と異なっている。

　水膜形成部６は、第１洗浄ノズル３の外周面３９（図１４参照）に水を供給して第１洗浄ノズル３Ｄの外周面３９および前端面３ｃに水膜を形成する。
　第１洗浄ノズル３の外周面３９とは、第１洗浄ノズル３の前端部３ａと、後端部３ｂとを結ぶ面であり、第１洗浄ノズル３の長さ方向（軸線方向）に沿った面を指す。

　第１洗浄ノズル３Ｄの前端面３ｃは、前側下方に突出する半球面状に形成されている。つまり、図１７に示すように、第１洗浄ノズル３Ｄの前端面３ｃは、第１洗浄ノズル３Ｄが延びる方向の前側に突出する半球面形状（斜め方向に膨らむ湾曲面）を有する。この結果、前端面３ｃの上部側は、突状の湾曲面を有する。

　水膜形成用給水管６１の水膜吐水口６２は、第１洗浄ノズル３Ｄの軸線の鉛直方向上側に配置されている。水膜吐水口６２から吐水された水は、第１洗浄ノズル３Ｄの軸線の上方となる外周面３９の上部側３９ａに落ちるように構成されている。

　水膜吐水口６２は、水膜吐水口６２から第１洗浄ノズル３Ｄに吐水されると、吐水された水が第１洗浄ノズル３の外周面３９の上部側３９ａに沿って斜め方向に前端面３ｃに向かって流れ、前端面３ｃに到達した水が前端面３ｃの半球面に沿って下側に流れるとともに、第１洗浄ノズル３の外周面３９の上部側３９ａ側から幅方向の両側に流れ、外周面３９に沿って外周面３９の下部側３９ｂに流れるように構成されている。これにより、水膜吐水口６２は、水膜吐水口６２から第１洗浄ノズル３Ｄに吐水された水によって、第１洗浄ノズル３Ｄの外周面３９および前端面３ｃに水膜を形成する。

　第１洗浄ノズル３Ｄの進出が開始してから、第１洗浄ノズル３Ｄが後退して支持部５の第１洗浄ノズル挿入部５１１に収容されるまでの間、図１４に示すように、水膜形成部６が駆動し、水膜吐水口６２から第１洗浄ノズル３Ｄの外周面３９の上部側３９ａに上方から水膜を形成するための水を吐水する。
　水膜吐水口６２から吐出された水は、第１洗浄ノズル３Ｄの外周面３９に沿って上部側３９ａから斜め方向に前端面３ｃに向かって流れ、前端面３ｃに到達した水が前端面３ｃの半球面に沿って下側に流れるとともに、第１洗浄ノズル３Ｄの外周面３９の上部側３９ａ側から幅方向の両側に流れ、外周面３９に沿って外周面３９の下部側に流れる。この結果、水膜吐水口６２から第１洗浄ノズル３Ｄに吐水された水によって、第１洗浄ノズル３Ｄの外周面３９および前端面３ｃに水膜が形成される。第１洗浄ノズル３Ｄが最前端に進出している状態では、水膜吐水口６２から吐出された水は、第１洗浄ノズル３Ｄの後端部３ｂ近傍の上側に供給される。

　次に、上述した本実施形態に係る局部洗浄装置１Ｄの作用・効果について図面を用いて説明する。
　上述した本実施形態に係る局部洗浄装置１Ｄでは、水膜吐水口６２から吐出された水は、第１洗浄ノズル３Ｄの外周面３９に沿って上部側３９ａから斜め方向に前端面３ｃに向かって流れ、前端面３ｃに到達した水が前端面３ｃの半球面に沿って下側に流れるとともに、第１洗浄ノズル３Ｄの外周面３９の上部側３９ａ側から幅方向の両側に流れ、外周面３９に沿って外周面３９の下部側に流れる。これにより、水膜吐水口６２から第１洗浄ノズル３に吐水された水によって、第１洗浄ノズル３の外周面３９および前端面３ｃに水膜が形成される。その結果、第１洗浄ノズル３Ｄの外周面３９および前端面３ｃを洗浄でき、外周面３９および前端面３ｃに汚水や汚物が付着することを防止できる。
　このように、本実施形態では、第１洗浄ノズル３Ｄの外周面３９および前端面３ｃを一体に洗浄することができる簡便な構造で、第１洗浄ノズル３Ｄの外周面３９および前端面３ｃを洗浄できる。

　本実施形態に係る局部洗浄装置１Ｄでは、第１洗浄ノズル３Ｄの前端面３ｃは半球面に形成されている。これにより、第１洗浄ノズル３Ｄの外周面３９に沿って斜め方向に流れて前端面３ｃに到達した水を湾曲面となる前端面３ｃに沿って下側に向かって回り込ませるように流すことができる。このため、前端面３ｃの下部側にも水が行き渡り、第１洗浄ノズル３Ｄの前端面３ｃの全体にわたって水膜を形成できる。

　本実施形態に係る局部洗浄装置１Ｄでは、水膜形成部６は、第１洗浄ノズル３Ｄが局部洗浄を行う際に第１洗浄ノズル３Ｄに水を供給しているため、第１洗浄ノズル３Ｄの使用中に第１洗浄ノズル３Ｄに汚水や汚物が付着することを防止できる。

（第５実施形態）
　以下、本発明の第５実施形態に係る局部洗浄装置について、図２１乃至図２４に基づいて説明する。

　図２１に示すように、水膜形成部６は、第１洗浄ノズル３の外周面３９（図２１参照）に水を供給して第１洗浄ノズル３の外周面３９および前端面３ｃに水膜を形成する。

　図２２に示すように、第１洗浄ノズル３Ｅには、局部洗浄用の温水を吐出する複数の洗浄吐水口（吐水口）３２が前端部３ａ近傍に設けられている。流通管３３は、第１洗浄ノズル３Ｅの内部に設けられ、給水口３１と複数の洗浄吐水口３２とを繋ぎ、温水が流通する。複数の洗浄吐水口３２は、上方かつ前側に向かう斜め方向に開口している。
　第１洗浄ノズル３Ｅには、各洗浄吐水口３２に近接した位置に円弧板状の突出壁（突出部、壁体）３５が形成されている。突出壁３５は、複数の洗浄吐水口３２それぞれの後側（第１洗浄ノズル３Ｅが延びる斜め方向における上方後側）に第１洗浄ノズル３Ｅの外周面３９から突出して形成されている。近接する突出壁３５同士は、互いに離間している。
　突出壁３５は、第１洗浄ノズル３Ｅの外周面３９からの突出高さ寸法が、水膜形成部６が形成する水膜の厚さ寸法よりも大きくなるように設定されている。
　第１洗浄ノズル３の前端面３ｃは、第１洗浄ノズル３の長さ方向（軸線方向）に直交する平面状に形成されている。

　図２２に示すように、第２洗浄ノズル４Ｅには、局部洗浄用の温水を吐出する複数の洗浄吐水口４２が前端部４ａ近傍に設けられている。流通管４３は、流通管４３は、第２洗浄ノズル４Ｅの内部に給水口４１と複数の洗浄吐水口４２とを繋ぎ温水が流通する。複数の洗浄吐水口４２は、上方かつ前側に向かう斜め方向に開口している。洗浄吐水口４２は、上方かつ前側に向かう斜め方向に向かって局部洗浄用の温水を吐出可能に構成されている。
　第２洗浄ノズル４Ｅの前端面４ｃは、第２洗浄ノズル４Ｅの長さ方向、つまり軸線方向に直交する平面状に形成されている。

　水膜形成用給水管６１の水膜吐水口６２は、支持部本体５１に形成された切欠き部５１３の上部に配置されている。水膜吐水口６２は、第１洗浄ノズル３の軸線の鉛直方向上側に配置されている。水膜吐水口６２から吐水された水は、第１洗浄ノズル３Ｅの軸線の上方となる外周面３９の上部側３９ａに落ちるように構成されている。

　水膜吐水口６２から第１洗浄ノズル３Ｅに吐水されると、吐水された水が第１洗浄ノズル３Ｅの外周面３９に沿って上部側３９ａから斜め方向に前端面３ｃに向かって流れ、前端面３ｃに到達した水が前端面３ｃに沿って下側に流れるとともに、第１洗浄ノズル３Ｅの外周面３９の上部側３９ａ側から幅方向の両側に流れ、外周面３９に沿って外周面３９の下部側３９ｂに流れるように構成されている。これにより、水膜吐水口６２から第１洗浄ノズル３Ｅに吐水された水によって、第１洗浄ノズル３Ｅの外周面３９および前端面３ｃに水膜が形成される。
　第１洗浄ノズル３Ｅの外周面３９を流れる水は、後側（上流側）から突出壁３５に当たると、突出壁３５に沿って前側（下流側）に流れ、洗浄吐水口３２に流入しないように流れる。近接する突出壁３５は互いに離間しているため、第１洗浄ノズル３Ｅの外周面３９を流れる水は、近接する突出壁３５同士の間を通って第１洗浄ノズル３Ｅの前端面３ｃまで流れる。

　第１洗浄ノズル３Ｅの進出が開始してから、第１洗浄ノズル３Ｅが後退して支持部５の第１洗浄ノズル挿入部５１１に収容されるまでの間、図２２に示すように、水膜形成部６が駆動し、水膜吐水口６２から第１洗浄ノズル３Ｅの外周面３９の上部側３９ａに上方から水膜を形成するための水を吐水する。
　水膜吐水口６２から吐出された水は、第１洗浄ノズル３Ｅの外周面３９の上部側３９ａに沿って斜め方向に前端面３ｃに向かって流れ、前端面３ｃに到達した水が前端面３ｃに沿って下側に流れるとともに、第１洗浄ノズル３Ｅの外周面３９の上部側３９ａ側から幅方向の両側に流れ、外周面３９に沿って外周面３９の下部側に流れる。第１洗浄ノズル３の外周面３９を流れる水は、後側（上流側）から突出壁３５に当たると、突出壁３５に沿って前側（下流側）に流れ、洗浄吐水口３２に流入しないように流れる。近接する突出壁３５は互いに離間しているため、第１洗浄ノズル３Ｅの外周面３９を流れる水は、近接する突出壁３５同士の間を通って第１洗浄ノズル３Ｅの前端面３ｃまで流れる。水膜吐水口６２から第１洗浄ノズル３に吐水された水によって、第１洗浄ノズル３Ｅの外周面３９および前端面３ｃに水膜を形成する。第１洗浄ノズル３Ｅが最前端に進出している状態では、水膜吐水口６２から吐出された水は、第１洗浄ノズル３Ｅの後端部３ｂ近傍の上側に供給される。

　次に、上述した第５実施形態に係る局部洗浄装置１Ｅの作用・効果について図面を用いて説明する。
　第５実施形態に係る局部洗浄装置１Ｅでは、第１洗浄ノズル３Ｅは、外周面３９から上方に突出する突出壁３５を複数の洗浄吐水口３２それぞれの少なくとも上側に有する。これにより、第１洗浄ノズル３Ｅの外周面３９を流れる第１洗浄ノズル３Ｅを洗浄するための水が突出壁３５にガイドされて洗浄吐水口３２を避けるように流れる。この結果、第１洗浄ノズル３Ｅを洗浄するための水と、局部洗浄用の水との干渉を防止できる。
　第１洗浄ノズル３Ｅの外周面３９を流れる第１洗浄ノズル３Ｅを洗浄するための水を、隣り合う突出壁３５の間を通って前側まで流すことができる。このため、水膜形成部６から供給された水を第１洗浄ノズル３Ｅの前端面３ｃまで流すことができ、第１洗浄ノズル３Ｅの外周面３９および前端面３ｃに水膜を形成できる。その結果、第１洗浄ノズル３Ｅを前端面３ｃまで洗浄できる。

　突出壁３５は、第１洗浄ノズル３Ｅの外周面３９からの突出高さ寸法が、水膜形成部６が形成する水膜の厚さ寸法よりも大きくなるように設定され、水膜の上面よりも上側に突出する。これにより、第１洗浄ノズル３Ｅの外周面３９を流れる第１洗浄ノズル３Ｅを洗浄するための水が突出壁３５を乗り越えて洗浄吐水口３２へ流れることを確実に防止できる。この結果、第１洗浄ノズル３を洗浄するための水と、局部洗浄用の水との干渉を防止できる。

（第６実施形態）
　図２５に示すように、第６実施形態に係る局部洗浄装置１Ｆは、第１洗浄ノズル３Ｆの形状が第１実施形態に係る局部洗浄装置１の第１洗浄ノズル３のように断面形状が円形となる丸棒状に形成されている。第６実施形態では、第１洗浄ノズル３Ｆの洗浄吐水口３２Ｆの上側に第１洗浄ノズル３Ｆの表面３９Ｆから突出する円弧板状の突出壁３５Ｆが形成されている。突出壁３５Ｆの上端部は、形成される水膜の上面よりも上側に突出するように設定されている。
　突出壁３５Ｆは、水膜を形成する水が洗浄吐水口３２Ｆを通過しないように設けられている。
　第６実施形態に係る局部洗浄装置１Ｆでは、水膜を形成する水が第１洗浄ノズル３Ｆの洗浄吐水口３２Ｆに入り込むことがない。このため、水膜形成用の水が局部洗浄用の水と混ざって、局部洗浄に使用されることを確実に防止できる。

（第７実施形態）
　次に、第７実施形態について、図２６を参照して説明する。　図２６に示すように、第７実施形態に係る局部洗浄装置１Ｇは、第１洗浄ノズル３Ｇの複数の洗浄吐水口３２Ｇのそれぞれの周囲に、第１洗浄ノズル３Ｇの外周面３９から上側に突出する筒状体（突出部）３６が形成されている。筒状体３６は、洗浄吐水口３２Ｇに近接した位置に設けられている。近接する筒状体３６は、互いに離間している。
　洗浄吐水口３２Ｇから吐水された局部洗浄用の水は、筒状体３６の内部を通って上方に吐出されるように構成されている。筒状体３６では、第１洗浄ノズル３Ｇの外周面３９からの突出高さ寸法が、水膜形成部６が形成する水膜の厚さ寸法よりも大きくなるように設定されている。

　第７実施形態では、水膜吐水口６２から吐出された水は、第１洗浄ノズル３Ｇの外周面３９の上部側３９ａに沿って斜め方向に前端面３ｃに向かって流れ、前端面３ｃに到達した水が前端面３ｃに沿って下側に流れるとともに、第１洗浄ノズル３Ｂの外周面３９の上部側３９ａ側から幅方向の両側に流れ、外周面３９に沿って外周面３９の下部側３９ｂに流れる。第１洗浄ノズル３の外周面３９を流れる水は、後側（上流側）から筒状体３６に当たると、筒状体３６に沿って洗浄吐水口３２Ｇに流入しないよう前側、つまり下流側に流れる。なお、近接する筒状体３６は、互いに離間しているため、第１洗浄ノズル３の外周面３９を流れる水は、近接する筒状体３６の間を通って第１洗浄ノズル３の前端面３ｃまで流れる。そして、水膜吐水口６２から第１洗浄ノズル３Ｇに吐水された水によって、第１洗浄ノズル３Ｇの外周面３９および前端面３ｃに水膜を形成する。

　第７実施形態に係る局部洗浄装置１Ｇでは、第５実施形態と同様の効果を奏する。さらに、第１洗浄ノズル３Ｇの外周面３９を流れる第１洗浄ノズル３Ｇを洗浄するための水が洗浄吐水口３２Ｇを囲むように設けられた筒状体３６にガイドされて洗浄吐水口３２Ｇを避けるように流れる。このため、第１洗浄ノズル３ＧＢを洗浄するための水と、局部洗浄用の温水とが干渉することを確実に防止できる。

（第８実施形態）
　図２７に示すように、第８実施形態に係る局部洗浄装置１Ｈは、第１洗浄ノズル３Ｈの形状が第１実施形態に係る局部洗浄装置１の第１洗浄ノズル３のように断面形状が円形となる丸棒状に形成されている。第８実施形態では、第１洗浄ノズル３Ｈの洗浄吐水口３２Ｈが第１洗浄ノズル３Ｈの表面３９Ｈから上側に突出する筒状に形成されている。筒状の洗浄吐水口３２Ｈの上端部は、形成される水膜の上面よりも上側に突出するように設定されている。
　第８実施形態に係る局部洗浄装置１Ｈでは、水膜を形成する水が第１洗浄ノズル３Ｈの洗浄吐水口３２Ｈに入り込むことがない。このため、水膜形成用の水が局部洗浄用の水と混ざって、局部洗浄に使用されることを確実に防止できる。

　以上、本発明に係る局部洗浄装置の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
　例えば、上記の各実施形態では、水膜形成部６は、第１洗浄ノズル３に水膜を形成するように構成されているが、第１洗浄ノズル３に加えて第２洗浄ノズル４に水膜を形成するように構成されていてもよいし、第１洗浄ノズル３に代わって第２洗浄ノズル４に水膜を形成するように構成されていてもよい。

　上記実施形態では、シャッタ２２を備える例を示したが、洗浄ノズルに水膜を形成する目的において、シャッタ２２は必須の構成ではない。

　上記各実施形態では、シャッタ本体２３の後面２３ｂに突起部２３１が形成され、第２洗浄ノズル４が突起部２３１と当接してシャッタ２２を押し上げることで開口部２１ｃを開口するように構成されている。しかし、シャッタ本体２３には突起部２３１が形成されておらず、第２洗浄ノズル４に突起部が設けられ。突起部がシャッタ本体２３と当接してシャッタ本体２３を押し上げて開口部２１ｃを開口するように構成されていてもよい。
　この他、局部洗浄装置に、シャッタ本体２３を押し上げるためのリンク機構が設けられていて、第２洗浄ノズル４の進退によってリンク機構が作動し、シャッタ２２を回動させるように構成されていてもよい。

　上記の各実施形態では、第２洗浄ノズル４の進退によってシャッタ２２を開閉するように構成されているが、第１洗浄ノズル３の進退によってシャッタ２２を開閉するように構成されていてもよい。
　例えば、シャッタ本体２３の後面２３ｂにおける第１洗浄ノズル３と対向する位置に突起部が設けられていて、進退する第１洗浄ノズル３がこの突起部を押し上げたり、突起部と離間したりすることでシャッタ２２を開閉するように構成されていてもよい。第１洗浄ノズル３に表面３９から突出する突起部が設けられていて、進退する第１洗浄ノズル３の突起部がシャッタ本体２３を押し上げたりシャッタ本体２３と離間したりすることでシャッタ２２を開閉するように構成されていてもよい。

　このような場合も、第１洗浄ノズル３の表面３９は、シャッタ本体２３と当接することがなく、第１洗浄ノズル３の表面３９に形成された水膜にシャッタ本体２３が干渉しない。
　局部洗浄装置１には、シャッタ２２を開閉するモータなどが設けられていて、第１洗浄ノズル３や第２洗浄ノズル４の進退によらずモータの駆動によってシャッタ２２を開閉するように構成されていてもよい。

　上記各実施形態では、第１洗浄ノズル３および第２洗浄ノズル４の進退機構は、第１洗浄ノズル３および第２洗浄ノズル４の下側に設けられた線状のラック３４，４４とそれぞれのラック３４，４４の下側に設けられたピニオン５２，５３とで構成されている例を示した。この他の例として、第１洗浄ノズル３および第２洗浄ノズル４の進退機構は、第１洗浄ノズル３および第２洗浄ノズル４に接続されたベルト状のラックがそれぞれピニオンに巻き取り巻き出しされることで第１洗浄ノズル３および第２洗浄ノズル４を進退させるように構成されていてもよい。

　上記の各実施形態では、水膜形成部６は、洗浄ノズルが進出する斜め方向、すなわち洗浄ノズル進退方向に対して鋭角に交差する方向に水を吐出する様に構成されている例を示したが、水膜吐水口６２が水膜を形成するための水を吐水する方向が適宜設定されてよい。
　上記の実施形態では、支持部本体５１に切欠き部５１３が形成され、水膜吐水口６２は支持部本体５１に形成された切欠き部５１３の上部に配置されている例を示した。しかし、第１洗浄ノズル３の上面に水膜を形成するための水を吐水可能であれば、支持部本体５１に切欠き部５１３が形成されていなくてもよく、切欠き部５１３から水膜を形成するための水を吐水しなくてもよい。

　上記の実施形態では、第１洗浄ノズル３は、長さ方向全体にわたって略同じ断面形状に形成されている例を示した。これに対し、図２８Ａに示す第１洗浄ノズル３Ｉのように、前端部分３７Ｉ以外は断面形状が円形となるように形成され、前端部分３７Ｉの上面３６１Ｉのみが平坦面を有するように形成されていてもよい。また、図２８Ｂに示す第１洗浄ノズル３Ｊのように、前端部分３７Ｊは、断面形状が円形となるように形成され、前端部分３７Ｊ以外の上面３６１Ｊおよび下面３６２Ｊが平坦面となり、両側面３６３Ｊが曲面に形成されていてもよい。

　上記の実施形態では、第１洗浄ノズル３の前端面３ｃ，３ｇは、第１洗浄ノズル３の軸線に直交する平面状や、中央部分が前側に突出する曲面状に形成されているが、図２９Ａに示す第１洗浄ノズル３Ｋのように、前端面３ｋが前側に向かって漸次下側に向かうように傾斜した曲面状に形成されていてもよい。また、図２９Ｂに示す第１洗浄ノズル３Ｌのように、前端面３ｌが前側に向かって、第１洗浄ノズル３Ｌの傾斜方向よりも下側に向かうように傾斜した平面状に形成されていてもよい。

　第５実施形態では、第１洗浄ノズル３の前端面３ｃは半球面上に形成されているが、少なくとも前端面３ｃの上部側が、前側に向かって、第１洗浄ノズル３が延びる斜め方向よりも下側に向かう方向に傾斜した傾斜面に形成されていればよい。
　例えば、図３０Ａに示すように、第１洗浄ノズル３Ｍの前端面３ｃの上部側３ｈが、前側に向かって、第１洗浄ノズル３Ｍが延びる斜め方向よりも下側に向かう方向に傾斜した曲面状に形成され、第１洗浄ノズル３Ｍの前端面３ｃの下部側３ｕが、第１洗浄ノズル３Ｍが延びる斜め方向に直交する平面状に形成されていてもよい。
　この他、図３０Ｂに示すように、第１洗浄ノズル３Ｎの前端面３ｃの上部側３ｈが、前側に向かって、第１洗浄ノズル３Ｎが延びる斜め方向よりも下側に向かう方向に傾斜した平面状に形成され、第１洗浄ノズル３Ｎの前端面３ｃの下部側３ｕが、第１洗浄ノズル３Ｎが延びる斜め方向に直交する平面状に形成されていてもよい。

　以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の各実施形態及び各変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。

　洗浄ノズルの表面全体に水膜を形成することができる局部洗浄装置を提供できる。
　水膜を形成するための水が局部洗浄用の水に混ざって局部に到達することを防止できる局部洗浄装置を提供できる。
　簡便な構造で洗浄ノズルの外周面および前端面を洗浄できる局部洗浄装置を提供できる。
　洗浄ノズルを洗浄するための水と局部洗浄用の水との干渉を防止できるとともに、洗浄ノズルを前端部まで洗浄できる局部洗浄装置を提供できる。

　１，１Ｂ～１Ｎ　局部洗浄装置
　２　ケース
　３，３Ｂ～３Ｎ　第１洗浄ノズル（洗浄ノズル）
　３ａ　前端部
　３ｂ　後端部
　３ｃ　前端面
　３ｄ　上部側
　６　水膜形成部
　１１　便器
　２１ｃ　開口部
　２２　シャッタ
　３４　洗浄吐水口（吐水口）
　３５　突出壁（突出部、壁体）
　３６　筒状体（突出部）
　３９，３９Ｂ～３９Ｅ　表面（外周面）

Claims (14)

1. 　前方下側に向かう斜め方向に進出した状態で人体局部の洗浄を行う洗浄ノズルと、
   　前記斜め方向に進出した前記洗浄ノズルの表面に水を供給して水膜を形成する水膜形成部と、を有し、
   　前記水膜形成部は、前記洗浄ノズルの前端部側に向かって、前記洗浄ノズルの上方から前記洗浄ノズルに前記水を供給することを特徴とする局部洗浄装置。
2. 　前記水膜形成部は、前記洗浄ノズルが進出する前記斜め方向に対して鋭角に交差する方向に前記水を吐出する請求項１に記載の局部洗浄装置。
3. 　前記洗浄ノズルは、便器に設置されたケースに収容され、前記ケースに形成された開口部を介して前記ケースから前記斜め方向に進出した状態で前記人体局部の洗浄を行うように構成され、
   　前記ケースには、前記開口部を開閉するシャッタが設けられ、
   　前記洗浄ノズルが前記ケースから進出した状態において、前記洗浄ノズルは前記シャッタと離間している請求項１に記載の局部洗浄装置。
4. 　前記洗浄ノズルは、第１洗浄ノズルと、第２洗浄ノズルとを有し、
   　前記水膜形成部は、少なくとも前記第１洗浄ノズルの表面に前記水を供給し、
   　前記シャッタは、前記第２洗浄ノズルの進退によって開閉する請求項３に記載の局部洗浄装置。
5. 　前記洗浄ノズルは、前端部分に局部洗浄用の洗浄水を吐出する吐水口を有し、
   　前記吐水口から吐出する前記洗浄水の水勢は、前記水膜を形成する水の水勢よりも大きい請求項１に記載の局部洗浄装置。
6. 　前記洗浄ノズルは、前記斜め方向に延びる棒状に形成され、
   　前記水膜形成部は、前記斜め方向に進出した前記洗浄ノズルの外周面に前記水を供給して水膜を形成するように構成され、
   　前記洗浄ノズルの前端面は、少なくとも上部側が前側に向かって、前記斜め方向よりも下側に向かう方向に傾斜した傾斜面に形成されている請求項１に記載の局部洗浄装置。
7. 　前記洗浄ノズルの前端面は、少なくとも前記上部側が前記斜め方向に膨らむ湾曲面に形成されている請求項６に記載の局部洗浄装置。
8. 　前記洗浄ノズルの前端面は、前記上部側が前側に向かって、前記斜め方向の下側に向かう方向に傾斜した傾斜面に形成され、下部側が下側に向かって、後側に向かう傾斜面に形成されている請求項６または請求項７に記載の局部洗浄装置。
9. 　前記洗浄ノズルの前端面は、上下全体にわたって前記斜め方向に膨らむ湾曲面に形成されている請求項６乃至請求項８のいずれか一項に記載の局部洗浄装置。
10. 　前記水膜形成部は、前記斜め方向に進出した前記洗浄ノズルの外周面に前記水を供給して水膜を形成するように構成され、
    　前記洗浄ノズルは、
    　　局部洗浄用の水を吐水する複数の吐水口と、
    　　前記複数の吐水口それぞれの少なくとも後側に設けられ前記洗浄ノズルの外周面から上側に突出する突出部と、
    　を有する請求項１に記載の局部洗浄装置。
11. 　前記突出部は、前記洗浄ノズルの外周面から上側に突出する壁体であり、
    　前記突出部は、前記吐水口の後側のみに設けられている請求項１０に記載の局部洗浄装置。
12. 　前記突出部は、前記洗浄ノズルの外周面から上側に突出する筒状体であり、
    　前記突出部は、前記吐水口を囲むように設けられ、
    　前記吐水口から吐水された前記水が、前記筒状体の内側を上方に向かって通過するように構成されている請求項１０に記載の局部洗浄装置。
13. 　前記突出部は、前記水膜の上面よりも上側に突出している請求項１０乃至請求項１２のいずれか一項に記載の局部洗浄装置。
14. 　前記水膜形成部は、前記洗浄ノズルが局部洗浄を行う際に前記洗浄ノズルに前記水を供給する請求項１乃至請求項１３のいずれか一項に記載の局部洗浄装置。

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