WO2019187907A1 - 樹脂積層光学体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微細凹凸構造由来の光学特性以外の光学特性を容易に調整することができ、ひいては、光学装置の製造コストを低減することが可能な、新規かつ改良された樹脂積層光学体及びその製造方法を提供する。 【解決手段】上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、曲面を有する光学基材と、光学基材の曲面上に設けられる樹脂層と、を備える樹脂積層光学体であって、樹脂層の表面には、微細凹凸構造が形成され、樹脂積層光学体は、微細凹凸構造に由来する第1の光学特性と、樹脂層の微細凹凸構造以外の特性に由来し、かつ光学基材の光学特性と異なる第2の光学特性とを有することを特徴とする、樹脂積層光学体が提供される。

Description

樹脂積層光学体及びその製造方法
 本発明は、樹脂積層光学体及びその製造方法に関する。
 近年、多数の光学素子を内包する光学機器(例えば各種の画像投影装置、撮像装置等)の開発、普及が進んできている。これらの光学機器には、人体への装着、各種機器あるいは車両などのインフラへの組み込みという観点から、小型軽量化が強く要望されている。このような要望に応えるべく、例えば特許文献1、2に開示されるように、複数の光学素子を複合化させる技術が提案されている。具体的には、特許文献1、2では、微細凹凸構造を有する樹脂層を光学レンズの表面に複合化させる。特許文献1、2によれば、光学レンズに微細凹凸構造由来の光学特性を付与することができる。
特開2013-256015号公報 特開2001-300944号公報
 このように、特許文献1、2に開示される複合レンズ(光学レンズの表面に樹脂層が複合化されたもの)は、微細凹凸構造由来の光学特性を有する。しかしながら、複合レンズの他の光学特性(例えば焦点距離)は、もとの光学レンズと同様であった。このため、他の光学特性を調整するためには、他の光学特性が異なる光学レンズを光路上に配置する必要があった。具体的には、光学レンズを作製するための金型を複数種類準備し、これらの金型を用いて所望の光学特性を有する光学レンズを作製する必要があった。このため、他の光学特性の調整に非常に手間がかかり、結果として、装置の大型化や、光学装置の製造コストが増大するという問題があった。
 そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、元の光学基材に対して、微細凹凸構造に由来する光学特性を付与するだけではなく、微細凹凸構造由来の光学特性以外の光学特性を同時に付与且つ容易に調整することができ、ひいては、光学装置の省スペース化と、製造コストの低減を実現し得る、新規かつ改良された樹脂積層光学体及びその製造方法を提供することにある。
 上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、曲面を有する光学基材と、光学基材の曲面上に設けられる樹脂層と、を備える樹脂積層光学体であって、樹脂層の表面には、微細凹凸構造が形成され、樹脂積層光学体は、微細凹凸構造に由来する第1の光学特性と、樹脂層の微細凹凸構造以外の特性に由来し、かつ光学基材の光学特性と異なる第2の光学特性とを有することを特徴とする、樹脂積層光学体が提供される。
 ここで、第2の光学特性は、樹脂層の微細凹凸構造以外の形状によって樹脂積層光学体に付与されてもよい。
 また、樹脂層は、光学基材の曲面の領域毎に異なる厚さを有してもよい。
 また、樹脂層の最小厚さと最大厚さとの比Tが1より小さくてもよい。
 また、樹脂層の表面は曲面となっており、樹脂層の表面の曲率半径は光学基材の曲面の曲率半径と異なってもよい。
 また、樹脂層の表面の曲率半径と光学基材の曲面の曲率半径との比Rが1より大きくてもよい。
 また、樹脂層の屈折率は光学基材の屈折率と異なってもよい。
 また、微細凹凸構造は、モスアイ構造、光拡散構造、マイクロレンズアレイ構造、または回折格子構造のいずれか1種類以上であってもよい。
 本発明の他の観点によれば、樹脂積層光学体の製造方法であって、曲面を有する光学基材を準備する第1の工程と、光学基材の曲面上に未硬化樹脂層を形成する第2の工程と、表面に微細凹凸構造の反転構造が形成され、かつ、可撓性を有する可撓性原盤を準備する第3の工程と、可撓性原盤を未硬化樹脂層に近接させる第4の工程と、可撓性原盤に印圧を加えることで、可撓性原盤を変形させながら可撓性原盤の反転構造を未硬化樹脂層に押し当てる第5の工程と、可撓性原盤の反転構造を未硬化樹脂層に押し当てた状態で、未硬化樹脂層を硬化させることで、光学基材の曲面上に樹脂層を形成する第6の工程と、を含み、第5の工程では、印圧を調整することで、樹脂層の微細凹凸構造以外の形状を調整し、樹脂層の微細凹凸構造以外の形状によって樹脂積層光学体に付与される光学特性は、光学基材の光学特性と異なることを特徴とする、樹脂積層光学体の製造方法が提供される。
 ここで、第5の工程では、可撓性原盤の表面と光学基材の曲面との距離を、光学基材の曲面の領域毎に異なる値としてもよい。
 また、第5の工程では、印圧を調整することで、可撓性原盤の表面と光学基材の曲面との最小距離と最大距離との比を1より小さな値としてもよい。
 また、第5の工程では、印圧を調整することで、可撓性原盤の曲率半径を光学基材の曲率半径と異なる値としてもよい。
 また、第5の工程では、印圧を調整することで、可撓性原盤の曲率半径を光学基材の曲率半径との比を1より大きな値としてもよい。
 また、樹脂層の屈折率は光学基材の屈折率と異なってもよい。
 また、微細凹凸構造は、モスアイ構造、光拡散構造、マイクロレンズアレイ、または回折格子のいずれか1種類以上であってもよい。
 以上説明したように本発明によれば、元の光学基材に対して、微細凹凸構造に由来する第1の光学特性を付与することができる。さらに、樹脂層の特性を調整することで、第2の光学特性(すなわち、微細凹凸構造由来の光学特性以外の光学特性)を上記第1の光学特性と同時に樹脂積層光学体に付与することができる。したがって、第2の光学特性を調整したい場合に、第2の光学特性毎に異なる光学基材を用意する必要がない。つまり、第2の光学特性を調整するために光学基材の金型を複数種類準備する必要がない。したがって、第2の光学特性を容易に調整することができる。さらには、樹脂積層光学体を光学装置に適用することで、光学装置の省スペース化と製造コストの低減を実現することができる。
本発明実施形態に係る樹脂積層光学体の一例を示す断面図である。 同実施形態に係る樹脂積層光学体の表面に形成された微細凹凸構造の一例を示す断面図である。 樹脂積層光学体の他の例を示す断面図である。 樹脂積層光学体の製造方法を説明するための断面図である。 樹脂積層光学体の製造方法を説明するための断面図である。 樹脂積層光学体の製造方法を説明するための断面図である。 樹脂積層光学体の製造方法を説明するための断面図である。 樹脂積層光学体の製造方法を説明するための断面図である。 樹脂積層光学体の製造方法を説明するための断面図である。 樹脂積層光学体の製造方法を説明するための断面図である。 本実施形態に係る原盤の外観例を示す斜視図である。 露光装置の構成例を示すブロック図である。 可撓性原盤をロールツーロールで製造する転写装置の一例を示す模式図である。 印圧(プレス圧力)(MPa)とR(樹脂層の表面の曲率半径と光学基材の曲面の曲率半径との比)との対応関係を示すグラフである。 印圧(プレス圧力)(MPa)とT(樹脂層の最小厚さと最大厚さとの比)との対応関係を示すグラフである。
 以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
 <1.樹脂積層光学体の構成>
 まず、図1~図2に基づいて、本実施形態に係る樹脂積層光学体1の構成について説明する。図1に示すように、樹脂積層光学体1は、光学基材10と樹脂層20とを備える。光学基材10は、凸レンズであり、凸型の曲面11を有する。なお、図1の例では光学基材10は平凸レンズ(片面が平面となっている凸レンズ)となっているが、両凸レンズ(両面が凸面となっている凸レンズ)であってもよい。光学基材10の材料は特に制限されず、光学レンズに使用される材料であればよい。光学基材10の材料の一例として、ポリカーボネート、アクリレート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリプロピレン、ガラス等が挙げられる。光学基材10の材料は、樹脂積層光学体1の用途等に応じて適宜選択されれば良い。
 曲面11には、樹脂層20との密着性を向上させるために、各種の前処理(樹脂層20を曲面11に積層する前の処理)を施しても良い。このような前処理としては、例えば、コロナ処理、エキシマ処理、UVオゾン処理、加熱処理、火炎処理(火炎を曲面11に当てる処理)、溶剤洗浄、プライマー塗布処理等が挙げられる。
 樹脂層20は、光学基材10の曲面11上に設けられる。樹脂層20の表面21には、図2に示すように、微細凹凸構造30が形成されている。微細凹凸構造30は、多数の微細凸部30a及び微細凹部30bで構成される。微細凹凸構造30は、具体的には、例えば、モスアイ構造、光拡散構造、マイクロレンズアレイ構造、または回折格子構造であってもよい。微細凹凸構造30がモスアイ構造となる場合、微細凸部30aまたは微細凹部30bは、可視光波長以下の平均周期で表面21に配列される。これにより、表面21における外光の反射が抑制される。微細凹凸構造30が光拡散構造を有する場合、光学基材10内を通って微細凹凸構造30に到達した光が拡散して外部に放射されるように、微細凸部30aまたは微細凹部30bの形状が調整される。微細凹凸構造30がマイクロレンズアレイ構造となる場合、微細凸部30aまたは微細凹部30bがミクロンオーダーのマイクロレンズとなっている。微細凹凸構造30が回折格子構造となる場合、微細凸部30aまたは微細凹部30bが回折格子の形状を有している。もちろん、微細凹凸構造30は上記の例に限定されない。また、樹脂層20の表面21上には、前記で例示した複数種類の構造が混在ないし配列されていてもよい。さらに、同種のパターンでも光学特性は異なるように調整された微細凹凸構造30が樹脂層20の表面21上に混在ないし配列されていてもよい。例えば光拡散構造を樹脂層20の表面21上に配置する場合、設計上の必要に応じて、表面21の中央部と周辺部とで拡散特性が異なった構造を配列するということも可能である。
 樹脂層20は、硬化性樹脂の硬化物で構成される。硬化性樹脂の硬化物は、透明性を有することが好ましい。硬化性樹脂は、重合性化合物と硬化開始剤とを含む。重合性化合物は、硬化開始剤によって硬化する樹脂である。重合性化合物としては、例えばエポキシ重合性化合物、及びアクリル重合性化合物等が挙げられる。エポキシ重合性化合物は、分子内に1つまたは2つ以上のエポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、またはプレポリマーである。エポキシ重合性化合物としては、各種ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型、F型等)、ノボラック型エポキシ樹脂、ゴムおよびウレタン等の各種変性エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、及びこれらのプレポリマー等が挙げられる。
 アクリル重合性化合物は、分子内に1つまたは2つ以上のアクリル基を有するモノマー、オリゴマー、またはプレポリマーである。ここで、モノマーは、さらに分子内にアクリル基を1つ有する単官能モノマー、分子内にアクリル基を2つ有する二官能モノマー、分子内にアクリル基を3つ以上有する多官能モノマーに分類される。
 「単官能モノマー」としては、例えば、カルボン酸類(アクリル酸等)、ヒドロキシ類(2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート)、アルキル又は脂環類のモノマー(イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート)、その他機能性モノマー(2-メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、2-(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-パーフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピル-アクリレート、2-(パーフルオロデシル)エチル-アクリレート、2-(パーフルオロ-3-メチルブチル)エチルアクリレート)、2,4,6-トリブロモフェノールアクリレート、2,4,6-トリブロモフェノールメタクリレート、2-(2,4,6-トリブロモフェノキシ)エチルアクリレート)、2-エチルヘキシルアクリレートなどが挙げられる。
 「二官能モノマー」としては、例えば、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、トリメチロールプロパン-ジアリルエーテル、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
 「多官能モノマー」としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートなどが挙げられる。
 上記で列挙したアクリル重合性化合物以外の例としては、アクリルモルフォリン、グリセロールアクリレート、ポリエーテル系アクリレート、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルカプロラクトン、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、脂肪族ウレタンオリゴマー、ポリエステルオリゴマー等が挙げられる。
 硬化性樹脂の構成単位、すなわちモノマー、オリゴマー、またはプレポリマーの種類、配合比等を調整することで、樹脂層20の特性、例えば屈折率、粘度等を調整することができる。
 硬化開始剤は、硬化性樹脂を硬化させる材料である。硬化開始剤の例としては、例えば、熱硬化開始剤、光硬化開始剤等が挙げられる。硬化開始剤は、熱、光以外の何らかのエネルギー線(例えば電子線)等によって硬化するものであってもよい。硬化開始剤が熱硬化開始剤となる場合、硬化性樹脂は熱硬化性樹脂となり、硬化開始剤が光硬化開始剤となる場合、硬化性樹脂は光硬化性樹脂となる。
 ここで、樹脂層20の透明性の観点からは、硬化開始剤は、紫外線硬化開始剤であることが好ましい。紫外線硬化開始剤は、光硬化開始剤の一種である。紫外線硬化開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。したがって、硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂であることが好ましい。透明性の観点から、硬化性樹脂は、紫外線硬化性アクリル樹脂であることがより好ましい。
 上記硬化性樹脂は、光学基材10を構成する材料の光学特性や、装置の光学設計に合わせて適宜選択・調整することができる。例えば、光学基材10と同等の屈折率を有する硬化性樹脂を用いて曲率を変更させて焦点距離を調整だけでなく、光学基材10とは異なる屈折率波の波長分散特性を有する硬化性樹脂を用いることで、焦点距離や収差特性の調整効果も期待できる。このように、硬化性樹脂の材料によっても樹脂積層光学体1に光学基材10の光学特性と異なる光学特性を付与することができる。
 樹脂積層光学体1は、上述した樹脂層20を有するので、微細凹凸構造30由来の第1の光学特性(例えば反射防止特性)を有する。さらに、樹脂積層光学体1は、光学基材10の光学特性とは異なる第2の光学特性を有する。
 ここで、第2の光学特性は、樹脂層20の微細凹凸構造30以外の特性(例えば、形状、屈折率等)によって樹脂積層光学体1に付与される。より具体的には、図1に示すように、樹脂層20は、光学基材10の曲面11の領域毎に異なる厚さを有する。より具体的には、光学基材10の光軸(中心軸)上の厚さT1が最も小さく、外縁部における厚さT2が最も大きい。つまり、樹脂層20の最小厚さT1と最大厚さT2との比T1/T2(以下、「厚さの比T」とも称する)が1より小さい。厚さの測定方法は後述する。
 したがって、樹脂層20の表面21は曲面となっており、表面21の曲率半径は光学基材10の曲面11の曲率半径と異なっている。より具体的には、表面21の曲率半径は光学基材10の曲面11の曲率半径よりも大きい。つまり、樹脂層20の表面21の曲率半径R1と光学基材10の曲面11の曲率半径R2との比R1/R2(以下、「曲率半径の比R」とも称する)が1より大きい。
 ここで、上述したように、樹脂層20の表面21には微細凹凸構造30が形成されているので平坦ではない。そこで、樹脂層20の表面21の曲率半径及び樹脂層20の厚さは、例えば以下の方法により測定される。樹脂積層光学体1の中心の断面(光軸を通り、かつ光軸に平行な断面)を観察する。そして、得られた表面21の曲線を最小二乗法により球面フィッティングする。これにより表面21の曲線を取得し、この曲線に基づいて、表面21の曲率半径を算出する。
 さらに、光学基材10(つまり、加工前)の中心の断面(光軸を通り、かつ光軸に平行な断面)を観察し、得られた画像を樹脂積層光学体1の中心の断面と対比することで樹脂層20の領域を特定する。そして、上述した球面フィッティングにより得られた表面21の曲線から曲面11の曲線までの距離を樹脂層20の厚さとする。樹脂層20の厚さは、樹脂層20の領域毎に測定される。
 曲率半径及び厚さの測定に使用される測定装置としては、例えば各種の3次元測定器(例えば、Panasonic社製3次元測定器UA3P)が挙げられる。後述の実施例では、上記の方法により曲率半径及び厚さを測定した。
 したがって、図1の例では、樹脂積層光学体1の焦点距離(あるいは収差特性)は、光学基材10の焦点距離(あるいは収差特性)と異なっている。したがって、焦点距離(あるいは収差特性)が第2の光学特性となっている。もちろん、第2の光学特性はこの例に限られず、樹脂層20の形状によって樹脂積層光学体1に付与されるものであればどのようなものであってもよい。つまり、本実施形態では、樹脂層20の形状を調整することで、樹脂積層光学体1に第2の光学特性を付与することができる。なお、第2の光学特性は、樹脂層20の形状によって樹脂積層光学体1に付与されるので、所謂幾何光学特性であることが多い。
 また、第2の光学特性は、必ずしも樹脂層20の形状によって樹脂積層光学体1に付与されるものに限られない。例えば、樹脂層20の屈折率(より詳細には、硬化後の屈折率)を光学基材10の屈折率と異なる値とすることで、樹脂積層光学体1に第2の光学特性(具体的には焦点距離あるいは収差特性)を付与することができる。この場合、樹脂層20の表面21の曲率半径は光学基材10の曲率半径と同じであってもよいが、異なっていることが好ましい。
 このように、本実施形態では、元の光学基材10に対して、微細凹凸構造30由来による第1の光学特性を付与することができる。さらに、樹脂層20の特性(具体的には、形状、屈折率等)を調整することで、第2の光学特性(例えば焦点距離あるいは収差特性)を上記第1の光学特性と同時に樹脂積層光学体1に付与することができる。より具体的には、樹脂層20の曲率半径あるいは屈折率を調整することで、樹脂積層光学体1の焦点距離あるいは収差特性を調整することができる。したがって、第2の光学特性を調整したい場合に、第2の光学特性毎に異なる光学基材10を用意する必要がない。つまり、第2の光学特性を調整するために光学基材10の金型を複数種類準備する必要がない。したがって、第2の光学特性を容易に調整することができる。さらには、樹脂積層光学体1を光学装置に適用することで、光学装置の省スペース化と製造コストの低減を実現することができる。
 なお、図1の例では光学基材10は凸レンズとなっていたが、図3に示すように凹レンズであってもよいことは勿論である。つまり、光学基材10は曲面11を有しているものであればどのようなものであってもよい。図3では光学基材10は平凹レンズ(片面が平面となっている凹レンズ)となっているが、両凹レンズ(両面が凹面となっている凹レンズ)であってもよい。この例でも、樹脂層20の表面には微細凹凸構造30が形成されている。さらに、樹脂層20は、光学基材10の曲面11の領域毎に異なる厚さを有する。より具体的には、光学基材10の光軸(中心軸)上の厚さT2が最も大きく、外縁部における厚さT1が最も小さい。つまり、厚さの比Tが1より小さい。
 したがって、樹脂層20の表面21は曲面となっており、表面21の曲率半径は光学基材10の曲面11の曲率半径よりも大きい。つまり、曲率半径の比Rが1より大きい。
 <2.樹脂積層光学体の製造方法>
 樹脂積層光学体1は、所謂インプリンティング法により作製することが可能である。以下、図4~図8に基づいて、樹脂積層光学体1の製造方法について詳細に説明する。なお、図4~図8の例では、光学基材10は両凸レンズとなっている。
 (2-1.第1の工程)
 まず、上述した光学基材10を準備する。
 (2-2.第2の工程)
 ついで、図4に示すように、光学基材固定治具600に光学基材10をセットする。ついで、塗布装置700を用いて、光学基材10の曲面11(ここでは片側の凸面)上に未硬化の硬化性樹脂を塗布する。これにより、光学基材10の曲面11上に未硬化樹脂層20aを形成する。ここで、硬化性樹脂の屈折率は、光学基材10の屈折率と異なっていても良い。塗布装置700の種類は特に制限されず、例えばスピンコータ、ディスペンサ、インクジェット装置等であってもよい。塗布装置700の種類は未硬化樹脂層20aの性状等に応じて選択されれば良い。光学基材10に対する未硬化樹脂層20aの密着性、未硬化樹脂層20aの粘度等を調整するために、塗布の前あるいは塗布の間に光学基材10を加熱してもよい。また、未硬化樹脂層20aの種類に応じて塗布後に未硬化樹脂層20aに加熱処理を施してもよい。なお、塗布装置700は後述のチャンバー装置500に組み込んでもよいし、チャンバー装置500とは別体であってもよい。
 (2-3.第3の工程)
 第3の工程では、図5に示す可撓性原盤400を準備する。ここで、可撓性原盤400は可能性を有するフィルムであり、その表面には微細凹凸構造30の反転構造(以下、「反転凹凸構造430」とも称する)が形成されている。可撓性原盤400はソフトモールドと称されることもある。反転凹凸構造430は図13に示される。可撓性原盤400の製造方法については後述する。第3の工程は、少なくとも後述の第4の工程が行われる前に行われれば良い。
 (2-4.第4の工程)
 第4の工程は光学基材・可撓性原盤セット工程及び光学基材アプローチ工程で構成される。
 (光学基材・可撓性原盤セット工程)
 図5に示すように、チャンバー装置500に光学基材固定治具600及び光学基材10をセットする。ここで、チャンバー装置500は、中空の装置であり、上チャンバーボックス510、下チャンバーボックス520、フィルム固定治具530、及び可動テーブル540を有する。上チャンバーボックス510は、下側に開口した箱型の部材であり、下チャンバーボックス520は上側に開口した箱型の部材である。
 上チャンバーボックス510及び下チャンバーボックス520には真空ポンプあるいは圧空ポンプが接続されており、各々の内部空間を陰圧または陽圧状態にすることができる。ここで、各チャンバーボックス内の空間を陽圧状態にする際には、各種の流体を各チャンバーボックス内の空間に導入する。ここで、流体の例は例えば空気等のガスであるが、液体であってもよい。各チャンバーボックス内の圧力の具体的な値、そのような圧力を保持する時間は任意に調整可能である。また、上チャンバーボックス510内には図示しない紫外線照射装置が設けられる。紫外線照射装置は下チャンバーボックス520内に設けられても良い。紫外線の強度、照射時間は任意に調整可能である。なお、この例では未硬化樹脂層20aが紫外線硬化性樹脂であることが前提となっているが、他の種類の硬化性樹脂となる場合には、その硬化性樹脂を硬化させるための装置が上チャンバーボックス510あるいは下チャンバーボックス520内に設けられればよい。また、各チャンバーボックスには加熱装置が設けられていてもよい。フィルム固定治具530は後述する可撓性原盤400を下チャンバーボックス520の開口面に固定する治具である。可動テーブル540は下チャンバーボックス520内に配置され、図示しない駆動装置により上下に移動可能となっている。
 光学基材10は、具体的には、光学基材固定治具600ごと可動テーブル540にセットされる。ついで、フィルム固定治具530に可撓性原盤400を固定する。可撓性原盤400によって下チャンバーボックス520の開口面が閉塞される。可撓性原盤400は、反転凹凸構造430が光学基材10を向くようにフィルム固定治具530に固定される。
(光学基材アプローチ工程)
 ついで、図6に示すように、上チャンバーボックス510と下チャンバーボックス520とを連結する。これにより、チャンバー装置500内の空間が密閉される。この際、チャンバー装置500内を昇温してもよい。ついで、チャンバー装置500内の空間を真空引きする。ついで、可動テーブル540を上昇させることで、可撓性原盤400と光学基材10とを近接させる。可撓性原盤400と光学基材10との距離は光学基材10の形状等に応じて適宜調整されれば良い。図6中の矢印は、可動テーブル540の移動方向を示す。
 (2-5.第5の工程(プレス工程))
 ついで、上チャンバーボックス510に流体を導入することで、上チャンバーボックス510内の空間を陽圧状態にする。これにより、可撓性原盤400に印圧を加える。図7中の矢印は印圧の方向を示す。この工程によって、可撓性原盤400を変形させながら可撓性原盤400の反転凹凸構造430を未硬化樹脂層20aに押し当てる。これにより、未硬化樹脂層20aが曲面11(片側の凸面)の全体に広がり、反転凹凸構造430の微細凸部間に未硬化樹脂層20aが侵入する。ここで、未硬化樹脂層20aと可撓性原盤400との間にはなるべく隙間を形成しないことが好ましい。隙間が残っていると、気泡の噛みこみや、反転凹凸構造430が十分に樹脂層20に転写されない、という現象が発生する可能性があるからである。
 (2-6.第6の工程(硬化工程))
 そして、この状態で未硬化樹脂層20aを硬化させる。具体的には、未硬化樹脂層20aに紫外線を照射させる。これにより、未硬化樹脂層20aが樹脂層20となり、かつ、樹脂層20の表面に反転凹凸構造430が転写される。すなわち、樹脂層20の表面21に反転凹凸構造430の反転構造、すなわち微細凹凸構造30が形成される。以上の工程により、樹脂積層光学体1が作製される。
 ここで、本実施形態では、可撓性原盤400に加える印圧を調整することで、樹脂層20の微細凹凸構造30以外の形状を調整する。具体的には、可撓性原盤400の表面(反転凹凸構造430が形成されている表面)と光学基材10の曲面11との距離を、光学基材10の曲面11の領域毎に異なる値とする。より具体的には、可撓性原盤400の表面と光学基材10の曲面11との最小距離と最大距離との比を1より小さな値とする。
 より具体的には、可撓性原盤400の曲率半径を光学基材10の曲率半径と異なる値とする。より具体的には、可撓性原盤400の曲率半径を光学基材10の曲率半径よりも大きくする。つまり、可撓性原盤400の表面の曲率半径と光学基材10の曲面11の曲率半径との比を1より大きくする。
 これにより、樹脂層20に上述した形状を付与することができる。つまり、樹脂層20の厚さを、光学基材10の曲面11の領域毎に異なる値とすることができる。より具体的には、光学基材10の光軸(中心軸)上の厚さT1を最も小さく、外縁部における厚さT2を最も大きくすることができる。つまり、厚さの比Tを1より小さくすることができる。
 より具体的には、樹脂層20の表面21を曲面とすることができ、かつ、表面21の曲率半径を光学基材10の曲面11の曲率半径よりも大きくすることができる。つまり、曲率半径の比Rを1より大きくすることができる。
 なお、後述する実施例で示される通り、可撓性原盤400に加える印圧が大きいほど、厚さの比T、曲率半径の比Rがいずれも1に近づく。つまり、樹脂層20の表面21の形状が光学基材10の曲面11の形状に近づく。印圧の具体的な範囲は可撓性原盤400の可撓性、未硬化樹脂層20aを構成する硬化性樹脂等に応じて調整すればよいが、一例として、0.1MPa~1.0MPaであってもよい。なお、後述する実施例で示される通り、未硬化樹脂層20aの粘度、可撓性原盤400を構成する可撓性基材410の厚さ等を調整することによっても、樹脂層20の表面21の曲率半径を調整することができる。
 (2-7.第7の工程(剥離工程))
 ついで、図8に示すように、可動テーブル540を下降させることで、可撓性原盤400から樹脂積層光学体1を剥離させる。なお、この工程では、可撓性原盤400と樹脂積層光学体1との剥離を促進させるための剥離補助工程を行っても良い。このような剥離補助工程としては、可撓性原盤400と樹脂積層光学体1との間にブレードを差し込む、可撓性原盤400と樹脂積層光学体1との間に空気等のガスを吹き込む等が挙げられる。
 その後、チャンバー装置500内の空間を大気圧状態として上チャンバーボックス510を取り外す。ついで、可撓性原盤400及び樹脂積層光学体1を下チャンバーボックス520から取出す。なお、樹脂層20の硬化促進を目的としてさらなる紫外線照射処理を行ってもよいし、樹脂層20内の応力緩和を目的として加熱処理を行ってもよい。
 以上の工程により光学基材10の片側の曲面11に樹脂層20を形成することができる。必要に応じて逆側の曲面にも上記と同様の工程により樹脂層20を形成してもよい。
 なお、光学基材10が凹レンズとなる場合も上記と同様の工程により樹脂積層光学体1を作成することができる。工程の概要を図9及び図10に示す。図9に示すように、光学基材10の曲面11上に未硬化樹脂層20aを形成する。ついで、チャンバー装置500内に光学基材10及び可撓性原盤400をセットする。ついで、可撓性原盤400と光学基材10とを近接させる。ついで、図10に示すように、可撓性原盤400に印圧を加える。図10中の矢印は印圧の方向を示す。この工程によって、可撓性原盤400を変形させながら可撓性原盤400の反転凹凸構造430を未硬化樹脂層20aに押し当てる。これにより、未硬化樹脂層20aが曲面11の全体に広がり、反転凹凸構造430の微細凸部間に未硬化樹脂層20aが侵入する。ここで、未硬化樹脂層20aと可撓性原盤400との間にはなるべく隙間を形成しないことが好ましい。この状態で未硬化樹脂層20aを硬化させる。具体的には、未硬化樹脂層20aに紫外線を照射させる。これにより、未硬化樹脂層20aが樹脂層20となり、かつ、樹脂層20の表面に反転凹凸構造430が転写される。すなわち、樹脂層20の表面21に反転凹凸構造430の反転構造、すなわち微細凹凸構造30が形成される。以上の工程により、樹脂積層光学体1が作製される。
 ここで、本実施形態では、可撓性原盤400に加える印圧を調整することで、樹脂層20の微細凹凸構造30以外の形状を調整することができる。詳細は上述したとおりである。ついで、可撓性原盤400から樹脂積層光学体1を剥離させ、可撓性原盤400及び樹脂積層光学体1をチャンバー装置500から取出す。
 以上の工程により光学基材10の片側の曲面11に樹脂層20を形成することができる。必要に応じて逆側の曲面にも上記と同様の工程により樹脂層20を形成してもよい。上述した樹脂積層光学体1の製造方法によれば、可撓性原盤400に加える印圧を調整することによって樹脂層20の形状、ひいては樹脂積層光学体1の第2の光学特性を調整することができる。したがって、樹脂積層光学体1の第2の光学特性を容易に調整することができる。
 <3.可撓性原盤の詳細構成及び製造方法>
 つぎに、可撓性原盤400の詳細構成及び製造方法について説明する。図13に示すように、可撓性原盤400は、可撓性基材410と、可撓性基材410の表面に形成された樹脂層425とを備える。可撓性基材410は、可撓性を有する平板状の基材である。可撓性基材410を構成する材料としては、例えば、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート等)、ポリカーボネート、PET(ポリエチレンテレフタレート。なお、PETの性状は特に問われず、非晶質であってもよいし、延伸したものであっても良い)、TAC(トリアセチルセルロース)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、塩化ビニル等が挙げられる。
 樹脂層425は、硬化性樹脂で構成される。硬化性樹脂の種類は特に制限されず、例えば樹脂層20を構成する硬化性樹脂と同様の硬化性樹脂であってもよい。樹脂層425には、反転凹凸構造430が形成される。反転凹凸構造430は、多数の微細凸部430a及び微細凹部430bで構成される。
 つぎに、可撓性原盤400の製造方法について説明する。可撓性原盤400の製造方法は、反転凹凸構造430の反転構造を有する転写型を作製する第1の原盤作製工程と、可撓性基材410の表面に未硬化樹脂層420を形成する第2の原盤作製工程と、未硬化樹脂層420を硬化させるとともに、転写型の凹凸構造を硬化後の樹脂層425に転写する第3の原盤作製工程と、を含む。
 (3-1.第1の原盤作製工程)
 第1の原盤作製工程は、反転凹凸構造430の反転構造を有する転写型を作製する工程である。転写型は、例えば図11に示す原盤100である。
 (3-1-1.原盤の構成)
 そこで、原盤100の構成について説明する。原盤100は、円筒形状となっている。原盤100は円柱形状であっても、他の形状(例えば平板状)であってもよい。ただし、原盤100が円柱または円筒形状である場合、ロールツーロール方式によって原盤100の凹凸構造(すなわち、原盤凹凸構造)120を樹脂基材等にシームレス的に転写することができる。これにより、可撓性基材410の表面に反転凹凸構造430を高い生産効率で形成することができる。このような観点からは、原盤100の形状は、円筒形状または円柱形状であることが好ましい。
 原盤100は、原盤基材110と、原盤基材110の周面に形成された原盤凹凸構造120とを備える。原盤基材110は、例えば、ガラス体であり、具体的には、石英ガラスで形成される。ただし、原盤基材110は、SiO純度が高いものであれば、特に限定されず、溶融石英ガラスまたは合成石英ガラス等で形成されてもよい。原盤基材110は、金属母材上に上記の材料を積層したものや金属母材(例えば、Cu、Ni、Cr、Al)であってもよい。原盤基材110の形状は円筒形状であるが、円柱形状、他の形状であってもよい。ただし、上述のように、原盤基材110は円筒形状または円柱形状であることが好ましい。原盤凹凸構造120は、反転凹凸構造430の反転構造を有する。
 (3-1-2.原盤の製造方法)
 つぎに、原盤100の製造方法を説明する。まず、原盤基材110上に、基材レジスト層を形成(成膜)する。ここで、基材レジスト層を構成するレジスト材は特に制限されず、有機レジスト材及び無機レジスト材のいずれであってもよい。有機レジスト材としては、例えば、ノボラック系レジスト、または化学増幅型レジストなどが挙げられる。また、無機レジスト材としては、例えば、タングステン(W)またはモリブデン(Mo)などの1種または2種以上の遷移金属を含む金属酸化物等が挙げられる。その他、無機レジスト材としては、Cr、Au等が挙げられる。ただし、熱反応リソグラフィを行うためには、基材レジスト層は、金属酸化物を含む熱反応型レジストで形成されることが好ましい。
 有機レジスト材を使用する場合、基材レジスト層は、スピンコーティング、スリットコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、またはスクリーン印刷等を用いることで原盤基材110上に形成されてもよい。また、基材レジスト層に無機レジスト材を使用する場合、基材レジスト層は、スパッタ法を用いることで形成されてもよい。有機レジスト材、無機レジスト材は併用されても良い。
 次に、露光装置200(図12参照)により基材レジスト層の一部を露光することで、基材レジスト層に潜像を形成する。具体的には、露光装置200は、レーザ光200Aを変調し、レーザ光200Aを基材レジスト層に対して照射する。これにより、レーザ光200Aが照射された基材レジスト層の一部が変性するため、基材レジスト層に原盤凹凸構造120に対応する潜像を形成することができる。
 続いて、潜像が形成された基材レジスト層上に現像液を滴下することで、基材レジスト層を現像する。これにより、基材レジスト層に凹凸構造が形成される。ついで、基材レジスト層をマスクとして原盤基材110及び基材レジスト層をエッチングすることで、原盤基材110上に原盤凹凸構造120を形成する。なお、エッチングの方法は特に制限されないが、垂直異方性を有するドライエッチングであることが好ましく、例えば、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)であることが好ましい。以上の工程により、原盤100を作製する。エッチングはウエットエッチングであっても良い。
 (3-1-3.露光装置の構成)
 次に、図12に基づいて、露光装置200の構成について説明する。露光装置200は、基材レジスト層を露光する装置である。露光装置200は、レーザ光源201と、第1ミラー203と、フォトダイオード(Photodiode:PD)205と、偏向光学系と、制御機構230と、第2ミラー213と、移動光学テーブル220と、スピンドルモータ225と、ターンテーブル227とを備える。また、原盤基材110は、ターンテーブル227上に載置され、回転することができるようになっている。
 レーザ光源201は、レーザ光200Aを発する光源であり、例えば、固体レーザまたは半導体レーザなどである。レーザ光源201が発するレーザ光200Aの波長は、特に限定されないが、例えば、400nm~500nmの青色光帯域の波長であってもよい。また、レーザ光200Aのスポット径(レジスト層に照射されるスポットの直径)は、原盤凹凸構造120の凹部の開口面の直径より小さければよく、例えば200nm程度であればよい。レーザ光源201から発せられるレーザ光200Aは制御機構230によって制御される。
 レーザ光源201から出射されたレーザ光200Aは、平行ビームのまま直進し、第1ミラー203で反射され、偏向光学系に導かれる。
 第1ミラー203は、偏光ビームスプリッタで構成されており、偏光成分の一方を反射させ、偏光成分の他方を透過させる機能を有する。第1ミラー203を透過した偏光成分は、フォトダイオード205によって受光され、光電変換される。また、フォトダイオード205によって光電変換された受光信号は、レーザ光源201に入力され、レーザ光源201は、入力された受光信号に基づいてレーザ光200Aの位相変調を行う。
 また、偏向光学系は、集光レンズ207と、電気光学偏向素子(Electro Optic Deflector:EOD)209と、コリメータレンズ211とを備える。
 偏向光学系において、レーザ光200Aは、集光レンズ207によって、電気光学偏向素子209に集光される。電気光学偏向素子209は、レーザ光200Aの照射位置を制御することが可能な素子である。露光装置200は、電気光学偏向素子209により、移動光学テーブル220上に導かれるレーザ光200Aの照射位置を変化させることも可能である(いわゆる、Wobble機構)。レーザ光200Aは、電気光学偏向素子209によって照射位置を調整された後、コリメータレンズ211によって、再度、平行ビーム化される。偏向光学系から出射されたレーザ光200Aは、第2ミラー213によって反射され、移動光学テーブル220上に水平かつ平行に導かれる。
 移動光学テーブル220は、ビームエキスパンダ(Beam expader:BEX)221と、対物レンズ223とを備える。移動光学テーブル220に導かれたレーザ光200Aは、ビームエキスパンダ221により所望のビーム形状に整形された後、対物レンズ223を介して、原盤基材110上に形成された基材レジスト層に照射される。また、移動光学テーブル220は、原盤基材110が1回転する毎に矢印R方向(送りピッチ方向)に1送りピッチ(トラックピッチ)だけ移動する。ターンテーブル227上には、原盤基材110が設置される。スピンドルモータ225はターンテーブル227を回転させることで、原盤基材110を回転させる。これにより、レーザ光200Aを基材レジスト層上で走査させる。ここで、レーザ光200Aの走査方向に沿って、基材レジスト層の潜像が形成される。
 また、制御機構230は、フォーマッタ231と、ドライバ233とを備え、レーザ光200Aの照射を制御する。フォーマッタ231は、レーザ光200Aの照射を制御する変調信号を生成し、ドライバ233は、フォーマッタ231が生成した変調信号に基づいて、レーザ光源201を制御する。これにより、原盤基材110へのレーザ光200Aの照射が制御される。
 フォーマッタ231は、基材レジスト層に描画する任意のパターンが描かれた入力画像に基づいて、基材レジスト層にレーザ光200Aを照射するための制御信号を生成する。具体的には、まず、フォーマッタ231は、基材レジスト層に描画する任意の描画パターンが描かれた入力画像を取得する。入力画像は、軸方向に基材レジスト層の外周面を切り開いて一平面に伸ばした、基材レジスト層の外周面の展開図に相当する画像である。この展開図には、原盤100の周面形状に相当する画像が描かれている。この画像は、反転凹凸構造430の反転構造を示す。なお、原盤100の原盤凹凸構造120が転写された転写用フィルムを作製し、この転写用フィルムを転写型として用いて可撓性基材410上に反転凹凸構造430を形成しても良い。この場合、原盤凹凸構造120は反転凹凸構造430と同じ凹凸構造を有することになる。
 次に、フォーマッタ231は、入力画像を所定の大きさの小領域に分割し(例えば、格子状に分割し)、小領域の各々に凹部描画パターン(つまり、原盤100の凹部に相当するパターン)が含まれるか否かを判断する。続いて、フォーマッタ231は、凹部描画パターンが含まれると判断した各小領域にレーザ光200Aを照射するよう制御する制御信号に生成する。この制御信号(すなわち、露光信号)は、スピンドルモータ225の回転と同期されることが好ましいが、同期されていなくてもよい。また、制御信号とスピンドルモータ225の回転との同期は原盤基材110が1回転する毎に取り直されても良い。さらに、ドライバ233は、フォーマッタ231が生成した制御信号に基づいてレーザ光源201の出力を制御する。これにより、基材レジスト層へのレーザ光200Aの照射が制御される。なお、露光装置200は、フォーカスサーボ、レーザ光200Aの照射スポットの位置補正等のような公知の露光制御処理を行ってもよい。フォーカスサーボはレーザ光200Aの波長を用いてもよく、他の波長を参照用に用いても良い。
 また、レーザ光源201から照射されたレーザ光200Aは、複数系統の光学系に分岐された後に基材レジスト層に照射されても良い。この場合、複数の照射スポットが基材レジスト層に形成される。この場合、一方の光学系から出射されたレーザ光200Aが他方の光学系によって形成された潜像に到達した際に、露光を終了すればよい。
 したがって、本実施形態によれば、入力画像の描画パターンに応じた潜像をレジスト層に形成することができる。そして、レジスト層を現像し、現像後のレジスト層をマスクとして原盤基材110及び基材レジスト層をエッチングすることで、原盤基材110上に入力画像の描画パターンに応じた原盤凹凸構造120を形成する。すなわち、描画パターンに応じた任意の原盤凹凸構造120を形成することができる。したがって、描画パターンとして、反転凹凸構造430の反転構造が描かれた描画パターンを準備すれば、反転凹凸構造430の反転構造を有する原盤凹凸構造120を形成することができる。
 なお、本実施形態で使用可能な露光装置は露光装置200に制限されず、露光装置200と同様の機能を有するものであればどのような露光装置を使用しても良い。
 (3-1-4.原盤を用いた凹凸構造の形成方法について)
 次に、図13を参照して、原盤100を用いた反転凹凸構造430の形成方法の一例について説明する。反転凹凸構造430は、原盤100を用いたロールツーロール方式の転写装置300によって可撓性基材410上に形成可能である。図13に示す転写装置300では、樹脂層425を構成する硬化性樹脂が所謂紫外線硬化性樹脂となっている。転写装置300を用いて、上述した第2および第3の原盤作製工程が行われる。
 転写装置300は、原盤100と、基材供給ロール301と、巻取りロール302と、ガイドロール303、304と、ニップロール305と、剥離ロール306と、塗布装置307と、光源309とを備える。
 基材供給ロール301は、長尺な可撓性基材410がロール状に巻かれたロールであり、巻取りロール302は、可撓性原盤400を巻き取るロールである。また、ガイドロール303、304は、可撓性基材410を搬送するロールである。ニップロール305は、未硬化樹脂層420が積層された可撓性基材410、すなわち被転写フィルム450を原盤100に密着させるロールである。剥離ロール306は、可撓性原盤400を原盤100から剥離するロールである。
 塗布装置307は、コーターなどの塗布手段を備え、未硬化の硬化性樹脂を可撓性基材410に塗布し、未硬化樹脂層420を形成する。塗布装置307は、例えば、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター、またはダイコーターなどであってもよい。また、光源309は、未硬化樹脂を硬化可能な波長の光を発する光源であり、例えば、紫外線ランプなどであってもよい。
 転写装置300では、まず、基材供給ロール301からガイドロール303を介して、可撓性基材410が連続的に送出される。なお、送出の途中で基材供給ロール301を別ロットの基材供給ロール301に変更してもよい。送出された可撓性基材410に対して、塗布装置307により未硬化樹脂が塗布され、可撓性基材410に未硬化樹脂層420が積層される。これにより、被転写フィルム450が作製される。被転写フィルム450は、ニップロール305により、原盤100と密着させられる。光源309は、原盤100に密着した未硬化樹脂層420に紫外線を照射することで、未硬化樹脂層420を硬化する。これにより、未硬化樹脂層420が樹脂層425となり、かつ、樹脂層425の表面に原盤凹凸構造120が転写される。すなわち、樹脂層425の表面に原盤凹凸構造120の反転構造、すなわち反転凹凸構造430が形成される。続いて、反転凹凸構造430が形成された可撓性基材410は、剥離ロール306により原盤100から剥離される。ついで、反転凹凸構造430が形成された可撓性基材410は、ガイドロール304を介して、巻取りロール302によって巻き取られる。なお、原盤100は縦置きであっても横置きであってもよく、原盤100の回転時の角度、偏芯を補正する機構を別途設けても良い。例えば、チャッキング機構に偏芯チルト機構を設けても良い。転写は圧空転写により行われても良い。
 このように、転写装置300では、被転写フィルム450をロールツーロールで搬送する一方で、原盤100の周面形状を被転写フィルム450に転写する。これにより、可撓性基材410上に反転凹凸構造430が形成される。
 なお、可撓性基材410を熱可塑性樹脂フィルムとした場合、塗布装置307及び光源309は不要となる。この場合、原盤100よりも上流側に加熱装置を配置する。この加熱装置によって可撓性基材410を加熱して柔らかくし、その後、可撓性基材410を原盤100に押し付ける。これにより、原盤100の周面に形成された原盤凹凸構造120が可撓性基材410に転写される。なお、可撓性基材410を熱可塑性樹脂以外の樹脂で構成されたフィルムとし、可撓性基材410と熱可塑性樹脂フィルムとを積層してもよい。この場合、積層フィルムは、加熱装置で加熱された後、原盤100に押し付けられる。したがって、転写装置300は、可撓性基材410上に反転凹凸構造430が形成された転写物を連続的に作製することができる。
 また、原盤100の原盤凹凸構造120が転写された転写用フィルムを作製し、この転写用フィルムを転写型として用いて可撓性基材410上に反転凹凸構造430を形成しても良い。転写用フィルムの凹凸構造をさらに転写した転写用フィルムを転写型としてもよい。この場合、樹脂層425に形成される微細凹凸構造が反転凹凸構造となるように、原盤凹凸構造120が形成される。また、電鋳や熱転写などにより原盤100を複製し、この複製品を転写型として用いてもよい。さらに、原盤100の形状はロール形状に限られる必要は無く平面状の原盤でもよく、レーザ光200Aをレジスト照射する方法のほか、マスクを用いた半導体露光、電子線描画、機械加工、陽極酸化等、種々の加工方法を選択することができる。
 <1.実施例1>
 つぎに、本実施形態の実施例について説明する。実施例1では、以下の工程により樹脂積層光学体1を作製した。
 (1-1.可撓性原盤の作製)
 上述した第1~第3の原盤作製工程を行うことで、可撓性原盤400を作製した。具体的には、可撓性基材410として、厚さ75μmのPETフィルムを準備した。そして、図13に示す転写装置300を用いて可撓性基材410の一方の表面に樹脂層425を形成した。ここで、紫外線硬化性樹脂として、デクセリアルズ社製の紫外線硬化性アクリル樹脂組成物SK1120を使用した。樹脂層425の表面に形成された反転凹凸構造430は所謂モスアイ構造とした。つまり、微細凸部430a及び微細凹部430bが可視光波長以下の平均周期で表面21に配列されている。
 (1-2.光学基材の準備)
 光学基材10として、丸型平凸レンズを使用した。ここで、光学基材10の直径(φ)は50mm、材質はBK7、曲率半径は102mmであった。また、光学基材10の屈折率は1.52であった。ここで、曲率半径はPanasonic社製3次元測定器UA3Pにより測定し、屈折率はアタゴ社製のアッベ屈折率計により測定した。なお、屈折率は波長587nmに対する屈折率とした。
 (1-3.紫外線硬化樹脂の準備)
 樹脂層20を構成する紫外線硬化性樹脂として、以下の組成のアクリル系紫外線硬化性樹脂を準備した。アクリル系紫外線硬化性樹脂の未硬化時の粘度(cP)は1240cPであり、屈折率は1.52であった。ここで、粘度はブルックフィールド社製の回転粘度計により測定し、屈折率は硬化後にアタゴ社製のアッベ屈折率計により測定した。屈折率は、波長587nmに対する屈折率とした。
 モノマー:東亞合成 アロニックスM305:45質量部
 オリゴマー:日本合成化学 UV-1700 :20質量部
 反応性希釈剤:KJケミカル DMAA  :30質量部
 光重合開始剤:イルガキュア184   :5質量部
 (1-4.樹脂積層光学体の作製)
 上述した第1~第7の工程を行うことで、樹脂積層光学体1を作製した。ここで、可撓性原盤400は可撓性基材410の厚さが75μmのものを使用した。第5の工程における印圧(可撓性原盤400に加える印圧(プレス圧))を0.2MPaとした。これにより、樹脂積層光学体1を作製した。樹脂層20の表面21の曲率半径を上述した方法により測定したところ、曲率半径は111.4mmであった。したがって、曲率半径の比Rは1.092であった。さらに、樹脂層20の最小厚さT1、最大厚さT2を上述した方法により測定したところ、最小厚さT1は0.062mm、最大厚さT2は0.332mmであった。したがって、厚さの比Tは0.187であった。測定装置は、Panasonic社製3次元測定器UA3Pを使用した。
 (1-5.焦点距離の測定)
 第2の光学特性として、焦点距離を評価した。具体的には、光学基材10の焦点距離、及び樹脂積層光学体1の焦点距離をノーダルスライド法により測定した。以上の結果を表1にまとめて示す。
 <2.実施例2>
 第5の工程における印圧(可撓性原盤400に加える印圧(プレス圧))を0.4MPaとした他は実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
 <3.実施例3>
 第5の工程における印圧(可撓性原盤400に加える印圧(プレス圧))を0.6MPaとした他は実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
 <4.実施例4>
 樹脂層20を構成する紫外線硬化性樹脂の粘度を1150cPとし、屈折率を1.57とした他は実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。なお、紫外線硬化性樹脂の粘度及び屈折率は、上記各成分の配合比を調整することで変更した。
 <5.実施例5>
 可撓性原盤400を構成する可撓性基材410の厚さを125μmとした他は実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
 <6.実施例6>
 光学基材10として、丸型平凹レンズを使用した。ここで、光学基材10の直径(φ)は50mm、材質はBK7、曲率半径は102mmであった。また、光学基材10の屈折率は1.52であった。このような光学基材10を使用した他は実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
 <7.実施例7>
 第5の工程における印圧(可撓性原盤400に加える印圧(プレス圧))を0.4MPaとした他は実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
 <8.実施例8>
 第5の工程における印圧(可撓性原盤400に加える印圧(プレス圧))を0.6MPaとした他は実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
 <9.実施例9>
 第5の工程における印圧(可撓性原盤400に加える印圧(プレス圧))を0.7MPaとした他は実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
 <10.比較例1>
 Dry-AR(反射防止)の例として、実施例1で使用した光学基材10の曲面11に、スパッタリングにてZrOを134nm、MgFを100nm順次成膜した。これにより作製されたDry-AR複合光学体の曲率半径を測定したが、曲率半径を変更することはできなかった。結果を表1にまとめて示す。
 <11.比較例2>
 Wet-AR(反射防止)の例として、実施例1で使用した光学基材10の曲面11に、コーティング材を厚さ100nmで塗布した。コーティング材の屈折率(波長587nmに対するもの)は1.38であった。これにより作製されたWet-AR複合光学体の曲率半径を測定したが、曲率半径を変更することはできなかった。結果を表1にまとめて示す。
 <12.比較例3>
 光学基材10を実施例6で使用したものに変更した他は比較例1と同様の処理を行った。これにより作製されたDry-AR複合光学体の曲率半径を測定したが、曲率半径を変更することはできなかった。結果を表1にまとめて示す。
 <13.比較例4>
 光学基材10を実施例6で使用したものに変更した他は比較例2と同様の処理を行った。これにより作製されたWet-AR複合光学体の曲率半径を測定したが、曲率半径を変更することはできなかった。結果を表1にまとめて示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 <14.考察>
 実施例1~9によれば、印圧、可撓性基材410の厚さ、及び樹脂層20を構成する紫外線硬化性樹脂の粘度の何れかを調整することで、樹脂層20の形状、より具体的には、曲率半径の比R、厚さの比Tを調整できることが明らかになった。さらに、このように樹脂層20の形状を調整することで、焦点距離を調整できることが明らかになった。したがって、実施例1~9によれば、光学基材10を変更しなくても焦点距離を調整することができるので、焦点距離を調整するために光学基材10の金型を複数種類用意する必要がない。したがって、光学機器の製造コストが低減される。一方、比較例1~4では、結果物である光学体の曲率半径が元の光学基材10の曲率半径と同じであり、焦点距離を調整することができなかった。したがって、このような光学体において焦点距離を調整したい場合、焦点距離毎に異なる金型を用いて光学基材を作製する必要がある。
 つぎに、実施例1~9に基づいて、印圧と曲率半径の比Rまたは厚さの比Tとの相関について考察した。結果を図14及び図15に示す。横軸は印圧(プレス圧)(MPa)を示し、縦軸は曲率半径の比Rまたは厚さの比Tを示す。グラフL1、L3は、実施例1~5(すなわち光学基材10として平凸レンズをしようしたもの)の結果を示し、グラフL2、L4は、実施例6~9(すなわち光学基材10として平凹レンズをしようしたもの)の結果を示す。これらの図から明らかな通り、印圧を高めるほど、曲率半径の比Rまたは厚さの比Tが1に近づく。つまり、樹脂層20の表面21の形状が光学基材10の曲面11の形状に近づく。したがって、印圧を調整することで、曲率半径の比Rまたは厚さの比Tを調整することができる。
 以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
  1   樹脂積層光学体
 10   光学基材
 11   光学基材の曲面
 20   樹脂層
 21   樹脂層の表面
 30   微細凹凸構造
 30a  微細凸部
 30b  微細凹部
 400  可撓性原盤
 410  可撓性基材
 425  樹脂層
 430  反転凹凸構造
 500  チャンバー装置

Claims (15)

  1.  曲面を有する光学基材と、
     前記光学基材の曲面上に設けられる樹脂層と、を備える樹脂積層光学体であって、
     前記樹脂層の表面には、微細凹凸構造が形成され、
     前記樹脂積層光学体は、前記微細凹凸構造に由来する第1の光学特性と、前記樹脂層の前記微細凹凸構造以外の特性に由来し、かつ前記光学基材の光学特性と異なる第2の光学特性とを有することを特徴とする、樹脂積層光学体。
  2.  前記第2の光学特性は、前記樹脂層の前記微細凹凸構造以外の形状によって前記樹脂積層光学体に付与されることを特徴とする、請求項1記載の樹脂積層光学体。
  3.  前記樹脂層は、前記光学基材の曲面の領域毎に異なる厚さを有することを特徴とする、請求項2記載の樹脂積層光学体。
  4.  前記樹脂層の最小厚さと最大厚さとの比Tが1より小さいことを特徴とする、請求項3記載の樹脂積層光学体。
  5.  前記樹脂層の表面は曲面となっており、
     前記樹脂層の表面の曲率半径は前記光学基材の曲面の曲率半径と異なることを特徴とする、請求項3または4に記載の樹脂積層光学体。
  6.  前記樹脂層の表面の曲率半径と前記光学基材の曲面の曲率半径との比Rが1より大きいことを特徴とする、請求項5記載の樹脂積層光学体。
  7.  前記樹脂層の屈折率は前記光学基材の屈折率と異なることを特徴とする、請求項1~6の何れか1項に記載の樹脂積層光学体。
  8.  前記微細凹凸構造は、モスアイ構造、光拡散構造、マイクロレンズアレイ構造、または回折格子構造のいずれか1種類以上であることを特徴とする、請求項1~7の何れか1項に記載の樹脂積層光学体。
  9.  樹脂積層光学体の製造方法であって、
     曲面を有する光学基材を準備する第1の工程と、
     前記光学基材の曲面上に未硬化樹脂層を形成する第2の工程と、
     表面に微細凹凸構造の反転構造が形成され、かつ、可撓性を有する可撓性原盤を準備する第3の工程と、
     前記可撓性原盤を前記未硬化樹脂層に近接させる第4の工程と、
     前記可撓性原盤に印圧を加えることで、前記可撓性原盤を変形させながら前記可撓性原盤の前記反転構造を前記未硬化樹脂層に押し当てる第5の工程と、
     前記可撓性原盤の前記反転構造を前記未硬化樹脂層に押し当てた状態で、前記未硬化樹脂層を硬化させることで、前記光学基材の曲面上に樹脂層を形成する第6の工程と、
    を含み、
     前記第5の工程では、前記印圧を調整することで、前記樹脂層の前記微細凹凸構造以外の形状を調整し、
     前記樹脂層の前記微細凹凸構造以外の形状によって前記樹脂積層光学体に付与される光学特性は、前記光学基材の光学特性と異なることを特徴とする、樹脂積層光学体の製造方法。
  10.  前記第5の工程では、前記可撓性原盤の表面と前記光学基材の曲面との距離を、前記光学基材の曲面の領域毎に異なる値とすることを特徴とする、請求項9記載の樹脂積層光学体の製造方法。
  11.  前記第5の工程では、前記印圧を調整することで、前記可撓性原盤の表面と前記光学基材の曲面との最小距離と最大距離との比を1より小さな値とすることを特徴とする、請求項10記載の樹脂積層光学体の製造方法。
  12.  前記第5の工程では、前記印圧を調整することで、前記可撓性原盤の曲率半径を前記光学基材の曲率半径と異なる値とすることを特徴とする、請求項10または11に記載の樹脂積層光学体の製造方法。
  13.  前記第5の工程では、前記印圧を調整することで、前記可撓性原盤の曲率半径を前記光学基材の曲率半径との比を1より大きな値とすることを特徴とする、請求項12記載の樹脂積層光学体の製造方法。
  14.  前記樹脂層の屈折率は前記光学基材の屈折率と異なることを特徴とする、請求項9~13の何れか1項に記載の樹脂積層光学体の製造方法。
  15.  前記微細凹凸構造は、モスアイ構造、光拡散構造、マイクロレンズアレイ、または回折格子のいずれか1種類以上であることを特徴とする、請求項9~14の何れか1項に記載の樹脂積層光学体の製造方法。
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