WO2019155864A1 - ストラドルドビークル用情報提示支援装置、及びストラドルドビークル用情報提示システム - Google Patents

Abstract

本発明の課題は、より多くの情報をライダーへ効果的に提供可能なストラドルドビークル用情報提示支援装置を提供することである。ストラドルドビークル用情報提示支援装置であって、ストラドルドビークル用情報提示支援装置は、ストラドルドビークル又はストラドルドビークルのライダーの装備品に設けられ且つ利用可能な状態にある複数の情報提示部に関する有効提示部情報を取得する、有効提示部情報取得部と、出力情報の種類に関する分類情報を取得する、分類情報取得部と、複数の出力情報を時間的に互いに重複するように提示する場合に、利用可能な状態にある複数の情報提示部の中から、複数の出力情報の各々の提示先となる、少なくとも１つの情報提示部を、少なくとも複数の出力情報に係る複数の分類情報の互いの関係に基づいて選択する、選択部と、複数の出力情報の各々が、選択部により選択された情報提示部によって提示されるように提示指令を出力する、提示指令出力部とを備える。

Description

ストラドルドビークル用情報提示支援装置、及びストラドルドビークル用情報提示システム

　本発明は、鞍乗型車両用情報提示支援装置、及び鞍乗型車両用情報提示システムに関する。

　従来、メータにおける各種情報の表示領域がコンパクトに配置された自動二輪車が提案されている（例えば特許文献１参照）。また、ライダーに提供される各種情報の表示を変更可能な自動二輪車が提案されている（例えば特許文献２参照）。

特開２０１２－０１３４５２号公報 特開２０１７－０６１１７２号公報

　自動二輪車等の鞍乗型車両では、より多くの情報がライダーへ効果的に提供されることが望まれている。

　本発明は、より多くの情報をライダーへ効果的に提供可能な鞍乗型車両用情報提示支援装置、及び鞍乗型車両用情報提示システムを提供することを目的とする。

　鞍乗型車両では、各種の出力情報が、ライダーへ提示される。例えば、車速、燃料の残量、エンジン回転速度等は、それぞれ、メータ（インストルメント・パネル）の所定位置に表示される。油圧異常、ブレーキ異常等は、それぞれ、メータ内に設けられたランプの点灯により出力される。音楽やナビ音声等は、車体に設けられたスピーカから出力される。このように、鞍乗型車両では、通常、出力情報の出力先となる装置は、出力情報ごとに定められている。

　近年、インターネット等の通信技術やセンシング技術の発展に伴って、人々は、外出中に、移動中であっても、多くの情報を取得することが可能になっている。鞍乗型車両のライダーに対しても、多くの出力情報を提供することが望まれている。多くの出力情報を提供することにより、利便性を高めたり、鞍乗型車両及びその運転に対する関心を高めたりすることが可能となる。そこで、本発明者らは、より多くの出力情報を提供するために、出力先となる装置を増やすことを検討した。

　鞍乗型車両は、ライダーの体重移動によって走行乃至旋回を行うように構成されている。走行中、鞍乗型車両の姿勢が、ライダーの体重移動によって制御される。鞍乗型車両のサイズ（特に車幅）は、一般的な自動四輪車等と比較して小さい。結果として、出力情報の出力先となる装置の設置スペースは限られている。そのため、出力情報の増加に応じて、出力先となる装置を増やすことは物理的に困難である。

　また、鞍乗型車両では、ライダーは、走行乃至旋回時に、体重移動によって姿勢制御を行う必要がある。一般的な自動四輪車等では、ドライバーは、体重移動による姿勢制御を行う必要が無い。そのため、鞍乗型車両の運転中、ライダーは、一般的な自動四輪車等のドライバーと比べて、より多くの脳の処理リソースを、鞍乗型車両の操縦に使用しなければならない。その結果、鞍乗型車両の運転中には、ライダーの脳の処理リソースにおける余裕部分が小さくなる。例えば、鞍乗型車両を運転しているライダーの有効視野は、一般的な自動四輪車等のドライバーと異なり、多くの出力情報が提示された場合には、その認知のために影響を受けることが考えられる。

　以上のように、鞍乗型車両は、装置の設置スペースの物理的制約と、脳の処理リソースの余裕部分とに関して、一般的な自動四輪車と異なる。そのため、鞍乗型車両では、ライダーが出力情報を速やかに認知できるように装置を設置するためのスペースを広く確保することは困難である。結果として、複数の出力情報を同時にライダーに対して提示する時に、いずれかの出力情報を認知され易い位置に提示すると、他の出力情報を比較的認知され難い位置に提示しなければならない場合がある。この場合、ライダーは、当該一つの出力情報に注目してしまい、当該他の出力情報を認知し難くなる場合が考えられる。また、一つの出力情報を認知されやすい位置に提示している状況下で、他の出力情報を提示し始める場合もある。この場合、ライダーが当該一つの出力情報に注目し続け、結果として、当該他の出力情報を認知し難くなる場合が考えられる。このように、鞍乗型車両において、ライダーの余裕部分の小ささは、複数の出力情報が時間的に互いに重複するように提示される状況において、特に課題と考えられる。本発明者らは、上述した鞍乗型車両に特有の課題に対処するために鋭意検討を行い、本発明を完成させた。

　本発明は、以下の構成を採用する。
　（１）　鞍乗型車両用情報提示支援装置であって、
　前記鞍乗型車両用情報提示支援装置は、
　前記鞍乗型車両又は前記鞍乗型車両のライダーの装備品に設けられ且つ利用可能な状態にある複数の情報提示部に関する有効提示部情報を取得する、有効提示部情報取得部と、
　出力情報の種類に関する分類情報を取得する、分類情報取得部と、
　前記複数の出力情報を時間的に互いに重複するように提示する場合に、前記利用可能な状態にある複数の情報提示部の中から、前記複数の出力情報の各々の提示先となる、少なくとも１つの情報提示部を、少なくとも前記複数の出力情報に係る複数の分類情報の互いの関係に基づいて選択する、選択部と、
　前記複数の出力情報の各々が、前記選択部により選択された前記情報提示部によって提示されるように提示指令を出力する、提示指令出力部と
を備える。

　（１）の構成によれば、複数の出力情報を時間的に互いに重複するように提示する場合、出力先となる情報提示部は、複数の出力情報の分類情報の関係に基づいて設定される。時間的に互いに重複するように提示される複数の出力情報の組合せは、鞍乗型車両の走行中に変化する。そのため、分類情報の関係も、複数の出力情報の組合せが変化する毎に変化する。従って、各出力情報の出力先となる情報提示部は、出力情報の種類ごとに固定されず、分類情報の関係に応じて変化する。そのため、走行中に提示される可能性のある出力情報の種類ごとに、情報提示部を設ける必要が無い。その結果、（１）の構成によれば、走行中にライダーへ提示可能な出力情報として、情報提示部の数よりも多い種類数の出力情報を受け入れることが可能になる。これにより、鞍乗型車両における情報提示部の設置スペースの物理的制約がある状況下において、より多くの出力情報をライダーへ提供することが可能となる。

　また、複数の出力情報の組合せが走行中に変更されていく過程において、選択部は、各組合せにおける分類情報の関係に基づいて、例えば、高い優先順位が割り当てられた分類に属する出力情報が、高い優先順位が割り当てられた情報提示部により提示されるように、各出力情報の提示先となる情報提示部を選択することが可能となる。具体的には、例えば、ライダーにとって関心の高い分類に属する出力情報が、ライダーにとって認知し易い態様で提示され得る。これにより、出力情報を効果的に提示することが可能となる。

　このように、上記（１）の構成によれば、鞍乗型車両用情報提示支援装置は、複数の情報提示部に対する複数の出力情報の提示を統合的に制御する。これにより、より多くの情報をライダーへ効果的に提供することが可能となる。

　また、本発明は、以下の構成を採用してもよい。
　（２）　（１）の鞍乗型車両用情報提示支援装置であって、
　前記鞍乗型車両用情報提示支援装置は、更に、
　前記分類情報と、前記分類情報に対して設定された第一パラメータとの対応関係を示す第一データを記憶する第一データ記憶部を備え、
　前記選択部は、前記複数の分類情報の互いの関係を、前記複数の分類情報の各々に設定された前記第一パラメータを互いに比較することにより特定する。

　（２）の構成では、各分類情報に対して、第一パラメータが設定されている。第一パラメータは、分類情報の優先順位を特定するために用いられるパラメータである。第一パラメータを採用することにより、新たな出力情報を受け入れて提示することが可能になる。例えば、鞍乗型車両用情報提示支援装置によって当該新たな出力情報を提示させる場合には、当該新たな出力情報に係る分類情報に対しても第一パラメータを付与又は設定すればよい。これにより、選択部は、当該新たな出力情報に係る分類情報と、他の分類情報との関係を、各分類情報を互いに対比することにより特定できる。その結果、選択部は、特定された複数の分類情報の互いの関係に基づいて、当該新たな出力情報の提示先となる情報提示部を選択できる。これにより、これまでに提示したことがない新たな出力情報の提示が可能になる。従って、提供可能な出力情報を増加させることができる。より多くの情報をライダーへ効果的に提供することが可能になる。

　（３）　（１）又は（２）の鞍乗型車両用情報提示支援装置であって、
　前記鞍乗型車両用情報提示支援装置は、更に、
　前記情報提示部と、前記情報提示部に対して設定された第二パラメータとの対応関係を示す第二データを記憶する第二データ記憶部を備え、
　前記選択部は、少なくとも、前記複数の出力情報に係る複数の分類情報の互いの関係と、前記第二パラメータとに基づいて、前記複数の出力情報の各々の提示先となる、少なくとも１つの情報提示部を選択する。

　（３）の構成では、各情報提示部に対して、第二パラメータが設定されている。第二パラメータは、情報提示部の優先順位を特定するために用いられるパラメータである。第二パラメータを採用することにより、新たな機器を、情報提示部として機能させることができる。例えば、当該新たな機器を情報提示部として機能させる場合、当該新たな機器にも第二パラメータを割り当てておけばよい。これにより、選択部は、複数の分類情報の互いの関係と、当該新たな情報提示部及び他の情報提示部に割り当てられた第二パラメータとに基づいて、出力情報の提示先として、当該新たな情報提示部を選択できる。これにより、後付けされるオプション品又はライダーの装備品に含まれる機器を、情報提示部として機能させることが可能になる。上述したように、鞍乗型車両は、装置の設置スペースの物理的制約という鞍乗型車両に特有の課題を有している。従って、オプション品又はライダーの装備品に含まれる機器を、情報提示部として機能させることにより、ライダーの好みに応じた形で装置の設置スペースの物理的制約を解消しつつ、より多くの情報をライダーへ効果的に提供することが可能になる。

　（４）　（１）～（３）のいずれか１の鞍乗型車両用情報提示支援装置であって、
　前記選択部は、前記複数の出力情報の各々の提示先となる、少なくとも１つの情報提示部を、少なくとも、前記複数の出力情報に係る複数の分類情報の互いの関係と、ライダー認知時間とに基づいて、前記出力情報ごとに選択し、前記ライダー認知時間は、各前記情報提示部が前記出力情報を提示し始めてから前記出力情報がライダーによって認知されるまでに要する時間である。

　（４）の構成によれば、複数の出力情報の組合せが走行中に変更されていく過程において、選択部は、各組合せにおける分類情報の関係と、ライダー認知時間とに基づいて、例えば、ライダーにとって関心の高い分類に属する出力情報が、ライダー認知時間が短い情報提示部により提示されるように、各出力情報の提示先となる情報提示部を選択することが可能となる。また、選択部は、例えば、ライダーにとって関心の低い分類に属する出力情報が、ライダー認知時間が長い情報提示部により提示されるように、情報提示部を選択することも可能となる。鞍乗型車両では、上述したように、ライダーの脳の処理リソースにおける余裕部分が小さくなり易いので、ライダー認知時間に基づいて出力情報の提示先となる情報提示部を選択することにより、出力情報をより効果的に提示することが可能となる。

　（５）　（４）の鞍乗型車両用情報提示支援装置であって、
　前記鞍乗型車両用情報提示支援装置は、更に、
　ライダーによって運転される前記鞍乗型車両の運転状態に関する運転状態情報を取得する、運転状態情報取得部を備え、
　前記選択部は、前記複数の出力情報の各々の提示先となる、少なくとも１つの情報提示部を、少なくとも、前記複数の出力情報に係る複数の分類情報の互いの関係と、前記ライダー認知時間と、前記運転状態情報取得部によって取得された前記運転状態情報とに基づいて、前記出力情報ごとに選択する。

　鞍乗型車両では、例えば、高速走行時やリーンしながら旋回している時に、ライダーの脳の処理リソースのうち、多くのリソースが、姿勢制御等の運転操作に用いられるため、ライダーの脳の処理リソースにおける余裕部分が小さくなり易い。また、ライダーが興奮している時やライダーの集中力が低下している時には、ライダーの脳の処理リソース自体が少なくなるため、ライダーの脳の処理リソースにおける余裕部分が小さくなり易い。（５）の構成によれば、選択部は、例えば、ライダーの脳の処理リソースにおける余裕部分が小さい運転状態においては、複数の出力情報のうち、相対的にライダーにとって関心の低い分類に属する出力情報が、ライダー認知時間の短い情報提示部に提示されないように、出力情報ごとに情報提示部を選択できる。

　（６）　（１）～（３）のいずれか１の鞍乗型車両用情報提示支援装置であって、
　前記鞍乗型車両用情報提示支援装置は、更に、
　ライダーによって運転される前記鞍乗型車両の運転状態に関する運転状態情報を取得する、運転状態情報取得部を備え、
　前記選択部は、前記複数の出力情報の各々の提示先となる、少なくとも１つの情報提示部を、少なくとも、前記複数の出力情報に係る複数の分類情報の互いの関係と、前記運転状態情報取得部によって取得された前記運転状態情報とに基づいて、前記出力情報ごとに選択する。

　（６）の構成によれば、選択部は、例えば、ライダーの脳の処理リソースにおける余裕部分が小さい運転状態においては、複数の出力情報のうち、相対的にライダーにとって関心の低い分類に属する出力情報を提示しないように、出力情報ごとに情報提示部を選択できる。

　（７）　（１）～（６）のいずれか１の鞍乗型車両用情報提示支援装置であって、
　前記複数の情報提示部は、互いに出力情報の表示位置が異なる、少なくとも２つの表示部を含む。

　（７）の鞍乗型車両用情報提示支援装置では、互いに異なる複数の出力情報が少なくとも２つの表示部の各々に時間的に重複するように提示される時に、出力情報の出力先となる情報提示部が、複数の出力情報の分類情報の関係に基づいて、決定される。少なくとも２つの表示部は、互いに異なる位置に出力情報を表示するように設けられている。そのため、例えば、ライダーにとって関心の高い分類に属する出力情報が、より認知容易な位置の表示部に表示されるように、各出力情報の提示先となる情報提示部を選択することが可能となる。従って、時間的に重複するように提示される複数の出力情報の組合せが走行中に変化していく過程において、出力情報を効果的に提示することが可能となる。

　（８）　（１）～（７）のいずれか１の鞍乗型車両用情報提示支援装置であって、
　前記鞍乗型車両用情報提示支援装置は、更に、
　前記出力情報を取得する出力情報取得部と、
　前記提示指令出力部による前記提示指令に基づいて、前記複数の出力情報の各々を、前記選択部により選択された前記情報提示部に提示させる、情報提示制御部と
を備える。

　（８）の構成では、出力情報取得部が、時間的に互いに重複するように提示される複数の出力情報を取得する。情報提示制御部は、提示指令に基づいて、複数の出力情報の各々を、選択部により選択された情報提示部に提示させる。このように、（８）の構成によれば、鞍乗型車両用情報提示支援装置自身が、出力情報の入出力も行い、より多くの情報をライダーへ効果的に提供することが可能となる。

　（９）　鞍乗型車両用情報提示システムであって、
　前記鞍乗型車両用情報提示システムは、
　前記鞍乗型車両に設けられた、（８）の鞍乗型車両用情報提示支援装置と、
　前記鞍乗型車両又は前記装備品に設けられた前記複数の情報提示部と
　を含む。

　（９）の鞍乗型車両用情報提示システムによれば、より多くの情報をライダーへ効果的に提供することが可能となる。

　（１０）　鞍乗型車両用情報提示システムであって、
　前記鞍乗型車両用情報提示システムは、
　前記鞍乗型車両又は前記装備品と異なる位置に設けられた、（１）～（７）のいずれか１の鞍乗型車両用情報提示支援装置と、
　前記鞍乗型車両又は前記装備品に設けられ、前記提示指令出力部による前記提示指令に基づいて、前記複数の出力情報の各々を、前記選択部により選択された前記情報提示部に提示させる、情報提示制御部と、
　前記鞍乗型車両又は前記装備品に設けられた前記複数の情報提示部とを含む。

　（１０）の鞍乗型車両用情報提示システムによれば、より多くの情報をライダーへ効果的に提供することが可能となる。

　鞍乗型車両用情報提示支援装置は、鞍乗型車両又は鞍乗型車両のライダーの装備品に設けられた複数の情報提示部による出力情報の提示を支援する装置である。鞍乗型車両用情報提示支援装置は、情報提示制御部に対して提示指令を出力することにより、出力情報の提示を支援する。情報提示制御部は、前記提示指令に基づいて、複数の情報提示部による出力情報の提示を制御する。

　鞍乗型車両用情報提示支援装置は、情報提示制御部を含んでいてもよい。この場合、鞍乗型車両用情報提示支援装置は、例えば、鞍乗型車両が備えるＥＣＵ（Ｅｌｅｃｔｒｏｎｉｃ　ｃｏｎｔｒｏｌ　ｕｎｉｔ）である。鞍乗型車両用情報提示システムは、例えば、鞍乗型車両に設けられた鞍乗型車両用情報提示支援装置と、鞍乗型車両又はライダーの装備品に設けられた複数の情報提示部とを含む。鞍乗型車両において、鞍乗型車両用情報提示支援装置は、提示指令を生成し、当該提示指令に基づいて、複数の情報提示部による出力情報の提示を制御する。この例については、第一及び第三実施形態にて説明する。

　鞍乗型車両用情報提示支援装置は、情報提示制御部を含まなくてもよい。この場合、情報提示制御部は、鞍乗型車両用情報提示支援装置と別個の装置に設けられる。鞍乗型車両用情報提示支援装置は、例えば、外部サーバである。当該別個の装置は、例えば、鞍乗型車両が備えるＥＣＵである。鞍乗型車両用情報提示システムは、例えば、鞍乗型車両又は装備品と異なる位置に設けられた鞍乗型車両用情報提示支援装置（外部サーバ）と、鞍乗型車両又は装備品に設けられた情報提示制御部と、鞍乗型車両又は装備品に設けられた複数の情報提示部とを含む。具体的には、例えば、外部サーバは、ＥＣＵに対して提示指令を出力する。ＥＣＵは、提示指令に基づいて、複数の情報提示部による出力情報の提示を制御する。この例については、第二及び第四実施形態にて説明する。

　外部サーバと鞍乗型車両とが通信可能に構成されている場合、又は外部サーバと鞍乗型車両とライダーの装備品とが通信可能に構成されている場合、鞍乗型車両用情報提示支援装置の各構成は、外部サーバに設けられてもよく、鞍乗型車両若しくは装備品に設けられてもよい。即ち、有効提示情報取得部は、外部サーバ又は鞍乗型車両若しくは装備品のいずれに設けられてもよい。分類情報取得部は、外部サーバ又は鞍乗型車両若しくは装備品のいずれに設けられてもよい。選択部は、外部サーバ又は鞍乗型車両若しくは装備品のいずれに設けられてもよい。提示指令出力部は、外部サーバ又は鞍乗型車両若しくは装備品のいずれに設けられてもよい。第一データ記憶部は、外部サーバ又は鞍乗型車両若しくは装備品のいずれに設けられてもよい。第二データ記憶部は、外部サーバ又は鞍乗型車両若しくは装備品のいずれに設けられてもよい。出力情報取得部は、外部サーバ又は鞍乗型車両若しくは装備品のいずれに設けられてもよい。情報提示制御部は、外部サーバ又は鞍乗型車両若しくは装備品のいずれに設けられてもよい。運転状態情報取得部は、外部サーバ又は鞍乗型車両若しくは装備品のいずれに設けられてもよい。

　鞍乗型車両（ストラドルドビークル）とは、ライダーがサドルに跨って着座する形式の車両をいう。鞍乗型車両は、ライダーの体重移動によって走行乃至旋回を行うように構成されている。鞍乗型車両は、ライダーにより把持されるハンドルバーを備える。鞍乗型車両は、ライダーが、走行乃至旋回時に、両手でハンドルバーを把持しながら体重移動による姿勢制御を行うように構成されている。鞍乗型車両としては、特に限定されず、例えば、自動二輪車、自動三輪車、ＡＴＶ（Ａｌｌ－Ｔｅｒｒａｉｎ　Ｖｅｈｉｃｌｅ）、スノーモービルが挙げられる。

　鞍乗型車両のライダーの装備品とは、ライダーが鞍乗型車両に乗っている時に装着又は所持しており、通信可能であり且つ出力情報の提示が可能な装置をいう。なお、ここでいうライダーとは、鞍乗型車両に乗っている人をいう。従って、ライダーは、鞍乗型車両を運転している人だけではなく、パッセンジャーを含む。パッセンジャーは、例えば、タンデムライダーである。装備品としては、特に限定されず、例えば、ＨＭＤ、インカム（ヘッドセット）、シューズ、グローブ、ヘルメット、ウェア、スマートフォン、電子キー、イヤホン、骨伝導イヤホンが挙げられる。

　情報提示部は、出力情報を提示するように構成されている。出力情報の提示は、例えば、視覚的又は聴覚的に行われる。出力情報の提示は、これらに限定されず、例えば、触覚（皮膚感覚）又は嗅覚を介して伝達されるように行われてもよい。

　鞍乗型車両又は鞍乗型車両のライダーの装備品に設けられる情報提示部としては、特に限定されず、例えば、以下の装置が挙げられる。以下の情報提示部は、出力情報が入力されることができるとともに、出力情報を提示できるように構成されている。
・メータ（インストルメント・パネル）（視覚的な出力情報の提示）
・ＨＭＤ（Ｈｅａｄ－Ｍｏｕｎｔｅｄ　Ｄｉｓｐｌａｙ）（視覚的な出力情報の提示）
・スクリーンエッジ（ライト等による視覚的な出力情報の提示）
・スピーカ（聴覚的な出力情報の提示）
・ブザー（聴覚的な出力情報の提示）
・インカム（ヘッドセット）（聴覚的な出力情報の提示）
・ミラー（ライト等による視覚的な出力情報の提示）
・フラッシャ（視覚的な出力情報の提示）
・テールライト（視覚的な出力情報の提示）
・シート（振動による触覚的な出力情報の提示）
・路面照射ライト（視覚的な出力情報の提示）
・シューズ（振動による触覚的な出力情報の提示）
・グローブ（振動による触覚的な出力情報の提示）
・ハンドルレバー（操作に対する反力による触覚的な出力情報の提示）
・アクセルスロットル（操作に対する反力による触覚的な出力情報の提示）
・路肩ディスプレイ（視覚的な出力情報の提示）
・ステップ（振動による触覚的な出力情報の提示）
・グリップ（振動による触覚的な出力情報の提示）
・ヘルメット外装（視覚的な出力情報の提示）
・ウェア（振動による触覚的な出力情報の提示）
・ＨＵＤ（Ｈｅａｄ－Ｕｐ　Ｄｉｓｐｌａｙ）コンバイナ（視覚的な出力情報の提示）
・ＨＵＤスクリーン（視覚的な出力情報の提示）
・スマートフォン（視覚的又は聴覚的な出力情報の提示）
・グラブバー（振動による触覚的な出力情報の提示）
・ヘルメット内装（振動による触覚的な出力情報の提示、又は香りによる嗅覚的な出力情報の提示）
・電子キー（振動による触覚的な出力情報の提示）
・イヤホン（聴覚的な出力情報の提示）
・骨伝導イヤホン（聴覚的な出力情報の提示）
・指圧突起（触覚的な出力情報の提示）
・温冷パッド（触覚的な出力情報の提示）
　なお、１つのディスプレイに、出力情報を表示可能な複数の表示領域が設定されている場合、各表示領域は、情報提示部に相当する。この場合、１つのディスプレイが、複数の情報提示部を有する。なお、指圧突起は、一般的なマッサージ機に設けられる指圧突起のように移動可能又は伸縮可能に構成されており、その動作によりライダーに出力情報を提示する。指圧突起は、鞍乗型車両において、ライダーと接触する位置に設けられる。ライダーと接触する位置としては、特に限定されず、例えば、シート、グリップが挙げられる。温冷パッドは、温度上昇又は下降の少なくとも一方が可能であるように構成され、温度変化によりライダーに出力情報を提示する。温冷パッドは、鞍乗型車両又はライダーの装備品において、その温度変化がライダーに伝達され得る位置に設けられる。具体的に、温冷パッドは、例えば、グリップ、ウェアラブル・デバイスに設けられる。温冷パッドは、例えば、ヒータやペルチェ素子等を備えていてもよい。

　出力情報とは、ライダーへ提示されるための情報をいう。出力情報は、言語情報であってもよく、非言語情報であってもよい。出力情報の情報源は、鞍乗型車両の内部に位置していてもよく、鞍乗型車両の外部に位置していてもよい。出力情報の情報源としては、特に限定されず、例えば、車載型ナビゲーション装置、携帯電話機、ＧＰＳ等の衛星測位システム、インターネット、鞍乗型車両が備える各種センサ、Ｃ－ＩＴＳ等の高度交通システム等が挙げられる。出力情報の内容は、特に限定されず、例えば、鞍乗型車両の状態に関する情報、ライダーの状態に関する情報、鞍乗型車両の周囲の状況に関する情報が挙げられる。また、ナビゲーションの表示及び音声、並びにオーディオも、出力情報に該当する。出力情報は、情報源から取得されてから情報提示部によって提示されるまでの間に加工されてもよい。複数の情報源から取得された複数の出力情報から１つの出力情報が生成されてもよい。このような出力情報の加工又は生成については、特に限定されない。出力情報の具体例としては、例えば、エンジン回転速度、車速、燃料残量、携帯電話機の着信表示、走行中の各種アラート、メンテナンス案内等が挙げられる。また、出力情報の別の具体例としては、例えば、変速操作タイミング案内、一時停止操作案内、ターン・バイ・ターン・ナビゲーション、オドメータ、タイヤ力、ギア段、制限速度、地図、瞬間燃料効率、各種アイコン、各種インジケータ、メッセージング・アプリケーション内のメッセージ、機能セッティング、平均燃料効率、車両情報、運転ログ等も挙げられる。さらに、出力情報の別の具体例としては、例えば、車線逸脱警告、ブラインドスポット警告、緊急地震速報、路面状況、緊急車両警告、冷却水温度警告、エンジン警告、タイヤ空気圧、燃料残量警告、ニュートラルポジション、トリップメータ等が挙げられる。

　利用可能な状態とは、出力情報を提示可能な状態をいう。利用可能な状態にある情報提示部は、当該情報提示部の外部から出力情報が提供されることが可能な状態にあり、提供された出力情報を受け入れ可能な状態であり、且つ受け入れた出力情報を提示可能な状態である。ここで、従来の鞍乗型車両の一つを例に挙げて説明する。従来の鞍乗型車両では、車体スピーカが利用可能な状態である状況下において、ライダーの装備品としてのイヤホンとの無線通信接続が確立された場合、出力情報の出力先は、車体スピーカからイヤホンに切り替わる。その後、出力情報は、車体スピーカに供給されず、イヤホンに供給される。この時、車体スピーカは、利用可能な状態にはない。

　有効提示部情報とは、鞍乗型車両又は鞍乗型車両のライダーの装備品に設けられ且つ利用可能な状態にある複数の情報提示部を特定するための情報をいう。有効提示部情報は、情報提示部ごとに割り当てられた情報であってもよい。また、例えば、鞍乗型車両に設けられ且つ利用可能な状態にある１つのディスプレイが複数の情報提示部を有している場合、当該ディスプレイの端末を特定するための情報が、有効提示部情報に該当し得る。当該ディスプレイの端末を特定するための情報を取得することにより、複数の情報提示部が利用可能な状態であることが特定可能である。

　出力情報の種類は、例えば、出力情報の内容に基づいて定められる。出力情報の種類の設定については、特に限定されない。例えば、出力情報「エンジン回転速度」及び「車速」が、異なる種類「エンジン回転速度」及び「車速」に属してもよく、同じ種類「車両情報」に属してもよい。

　分類情報は、出力情報の種類を特定するための情報である。分類情報は、出力情報に含まれるか又は付されていてもよく、分類情報取得部によって生成されてもよい。即ち、分類情報取得部は、出力情報を読み取り、その結果から、分類情報を生成することにより、分類情報を取得してもよい。

　時間的に互いに重複するように提示するとは、複数の出力情報が同時に提示される期間を有するように提示されることをいう。以下の態様は、複数の出力情報を時間的に互いに重複するように提示することに該当する。
　複数の出力情報が同時に提示され始めること。
　複数の出力情報のうち、いずれかの出力情報が提示されている時に、残りの出力情報が提示され始めること。

　第一パラメータとは、分類情報の優先順位を特定するために用いられるパラメータをいう。第一パラメータは、分類情報ごとに設定されている。複数の分類情報の各々に設定された第一パラメータを互いに対比することにより、分類情報の優先順位を特定することが可能となる。例えば、第一パラメータが小さいほど、優先順位が高いと設定されている場合において、分類情報Ａ、Ｂ、Ｃの第一パラメータが、それぞれ１、２、３であれば、優先順位は、Ａ、Ｂ、Ｃの順になる。第一パラメータと分類情報との対応関係については、特に限定されない。当該対応関係は、メーカによって予め設定されてもよく、ライダーによって設定（カスタマイズ）されてもよい。当該対応関係は、出力情報又はその分類に対するライダーの関心度に応じて設定又は変更されてもよい。出力情報又はその分類に対するライダーの関心度は、ライダーによる出力情報へのアクセス頻度又は時間等によって適宜設定され得る。なお、第一パラメータは、必ずしも設定される必要は無い。例えば、第一パラメータに代えて、分類情報の組合せごとに、互いの優先順位が設定されていてもよい。

　提示指令とは、複数の出力情報の各々を、選択部により選択された情報提示部によって提示させるための指令である。情報提示制御部は、提示指令に基づいて、出力情報を、情報提示部に提示させるための制御を行う。情報提示制御部は、鞍乗型車両に搭載された鞍乗型車両用情報提示支援装置（例えばＥＣＵ）に含まれていてもよく、外部サーバに設けられていてもよい。

　第二パラメータとは、情報提示部の優先順位を特定するために用いられるパラメータをいう。第二パラメータは、情報提示部ごとに設定されている。複数の情報提示部の各々に設定された第二パラメータを互いに対比することにより、情報提示部の優先順位を特定することが可能となる。例えば、第二パラメータが小さいほど、優先順位が高いと設定されている場合において、情報提示部ａ、ｂ、ｃの第二パラメータが、それぞれ１、２、３であれば、優先順位はａ、ｂ、ｃの順になる。第二パラメータと情報提示部との対応関係については、特に限定されない。当該対応関係は、メーカによって予め設定されてもよく、ライダーによって設定（カスタマイズ）されてもよい。なお、第二パラメータは、必ずしも設定される必要は無い。例えば、第二パラメータに代えて、情報提示部の組合せごとに、互いに優先順位が設定されていてもよい。

　ライダー認知時間とは、情報提示部が出力情報を提示し始めてから出力情報がライダーによって認知されるまでに要する時間をいう。但し、ライダー認知時間は、必ずしも正確な時間である必要はなく、具体的な時間である必要もない。ライダー認知時間は、情報提示部の認知され易さに関する指標である。ライダー認知時間は、複数の情報提示部の各々に設定されたライダー認知時間を互いに対比することにより各情報提示部の認知され易さを順位付けできるように設定されることが好ましい。ライダー認知時間における認知に関する感覚は、特に限定されず、視覚、聴覚、触覚等のいずれであってもよい。ライダー認知時間は、第二パラメータとして設定されてもよい。

　運転状態は、鞍乗型車両の状態であってもよく、ライダーの状態であってもよい。また、運転状態として、鞍乗型車両の状態と、ライダーの状態とが用いられてもよい。鞍乗型車両の状態に関する運転状態情報としては、例えば、車速、車両のリーン角、車両の加速度、又はこれらの少なくとも一つに基づいて定められるパラメータが挙げられる。ライダーの状態に関する運転状態情報としては、例えば、心拍、視線、ライダー姿勢又はこれらの少なくとも一つに基づいて定められるパラメータが挙げられる。

　運転状態情報取得部としては、特に限定されない。鞍乗型車両の状態に関する運転状態情報取得部としては、例えば、鞍乗型車両に設けられる各種センサが挙げられる。各種センサについては、特に限定されず、例えば、後述する実施形態が参照される。ライダーの状態に関する運転状態情報取得部としては、特に限定されず、例えば、心拍センサ、視線検出装置、モーションセンサが挙げられる。ライダーの興奮、疲労、集中力低下等は、例えば、心拍数の増加、視線の散逸、姿勢の変化に表れるので、これらのセンサにより、ライダーの状態に関する運転状態情報を取得できる。視線検出装置は、例えば、ヘルメットに設けられる。モーションセンサは、例えば、ヘルメットや、ジャケット等のウェアに設けられる。

　本明細書にて使用される専門用語は特定の実施例のみを定義する目的であって発明を制限する意図を有しない。本明細書にて使用される用語「および/または」はひとつの、または複数の関連した列挙された構成物のあらゆるまたはすべての組み合わせを含む。本明細書中で使用される場合、用語「含む、備える（including）」「含む、備える（comprising）」または「有する（having）」およびその変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分および/またはそれらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、および/またはそれらのグループのうちの１つまたは複数を含むことができる。本明細書中で使用される場合、用語「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」および/またはそれらの等価物は広く使用され、直接的および間接的な取り付け、接続および結合の両方を包含する。さらに、「接続された」および「結合された」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、直接的または間接的な電気的接続または結合を含むことができる。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語（技術用語および科学用語を含む）は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術および本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されることはない。本発明の説明においては、技術および工程の数が開示されていると理解される。これらの各々は個別の利益を有し、それぞれは、他の開示された技術の１つ以上、または、場合によっては全てと共に使用することもできる。したがって、明確にするために、この説明は、不要に個々のステップの可能な組み合わせをすべて繰り返すことを控える。それにもかかわらず、明細書および特許請求の範囲は、そのような組み合わせがすべて本発明および請求項の範囲内にあることを理解して読まれるべきである。以下の説明では、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細を述べる。しかしながら、当業者には、これらの特定の詳細なしに本発明を実施できることが明らかである。本開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。

　本発明によれば、より多くの情報（出力情報）をライダーへ効果的に提供できる。

第一実施形態に係る出力情報の提示に関する説明図である。 第一実施形態に係る鞍乗型車両を模式的に示す側面図である。 第一実施形態に係る鞍乗型車両用情報提示支援装置としての制御装置の機能ブロック図である。 第一実施形態に係る鞍乗型車両用情報提示支援装置としての制御装置のブロック図である。 有効提示部情報取得ルーチンを示すフローチャートである。 （ａ）～（ｄ）は、取得された有効提示部情報を示す説明図である。 提示指令出力ルーチンを示すフローチャートである。 （ａ）～（ｃ）は、取得された分類情報を示す説明図である。 分類情報の関係と、ライダー認知時間とについての説明図である。 （ａ）～（ｃ）は、対応付けられた有効情報部情報と分類情報との関係を示す説明図である。 出力情報提示ルーチンを示すフローチャートである。 第二実施形態に係る鞍乗型車両用情報提示システムの機能ブロック図である。 第三実施形態に係る鞍乗型車両用情報提示支援装置としての鞍乗型車両の制御装置の機能ブロック図である。 第四実施形態に係る鞍乗型車両用情報提示システムの機能ブロック図である。 第五実施形態に係る提示指令出力ルーチンを示すフローチャートである。 第五実施形態に係る分類情報の関係と、補正後のライダー認知時間とについての説明図である。

　以下、実施形態に基づいて図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。

　図１は、第一実施形態に係る出力情報の提示に関する説明図である。図１の左部分は、ライダーに向けて提示される出力情報のタイムチャートを示す。図中、路面状況、着信通知、特定積算距離、エンジン回転速度、制限速度及び燃料残量が、出力情報に該当する。路面状況は、対象となる路面の状況（例えば、悪路等）に関してライダーへ通知されるための情報である。特定積算距離は、節目の距離として設定された距離である。特定積算距離としては、特に限定されないが、例えば、１００００ｋｍのように最高桁の数字が変わる時の距離や、７７７７ｋｍのようにゾロ目の距離が挙げられる。制限速度は、走行中の道路に対して設定された制限速度である。制限速度は、天候等によって変更される場合がある。また、本実施形態では、これらの出力情報について説明するが、実際には、より多くの出力情報がライダーに提示される。

　図１の右部分は、ヘルメット５０に搭載されたＨＭＤ５１（図２参照）を介したライダーＲの視野Ｖを示す。右上部分は、時刻Ｔ１における視野Ｖを示す。右中部分は、時刻Ｔ２における視野Ｖを示す。右下部分は、時刻Ｔ３における視野Ｖを示す。視野Ｖ内には、それぞれ情報提示部に該当するＨＭＤ５１の左領域ＸＬ及び右領域ＸＲ、ＨＵＤスクリーン６０、並びにメータ１０が含まれている。

　時刻Ｔ１では、路面状況が左領域ＸＬに提示され、エンジン回転速度が右領域ＸＲに提示され、制限速度がＨＵＤスクリーン６０に提示され、燃料残量がメータ１０に提示される。これらの出力情報は、時間的に重複するように提示されている。各出力情報と、出力情報の提示先としての情報提示部との対応関係は、少なくとも各出力情報の分類情報の関係に基づいて定められている。分類情報の関係については、後述する。

　時刻Ｔ２で、積算走行距離が７７７７ｋｍに達する。積算走行距離７７７７ｋｍは、本実施形態において、特定積算距離に該当する。本実施形態において、特定積算距離は、ライダーに対して提示されるべき出力情報である。即ち、時刻Ｔ２において、時間的に互いに重複するように提示される出力情報が増加している。そのため、各出力情報と、出力情報の提示先としての情報提示部との対応関係が、少なくとも各出力情報の分類情報の関係に基づいて、改めて定められる。その結果、特定積算距離７７７７ｋｍは、ＨＭＤ５１の右領域ＸＲに提示される。そのため、時刻Ｔ２以前に右領域ＸＲに提示されていたエンジン回転速度は、ＨＵＤスクリーン６０に移動している。時刻Ｔ２以前にＨＵＤスクリーン６０に提示されていた制限速度は、メータ１０に移動している。時刻Ｔ２以前にメータ１０に提示されていた燃料残量は、視野Ｖに含まれていないが、ライダーＲのウェアラブル・デバイス７０（図２参照）に表示されている。

　時刻Ｔ３で、ライダーＲの装備品としての携帯電話機８０（図４参照）に着信がある。着信通知は、本実施形態において、ライダーに対して提示されるべき出力情報である。即ち、時刻Ｔ３において、ライダーＲに対して提示されるべき出力情報が増加している。このように、時間的に互いに重複するように提示される出力情報が変更される毎に、各出力情報と、出力情報の提示先としての情報提示部との対応関係が、少なくとも各出力情報の分類情報の関係に基づいて、改めて定められる。その結果、着信通知は、ＨＭＤ５１の右領域ＸＲに提示される。そのため、時刻Ｔ３以前に右領域ＸＲに提示されていた特定積算距離７７７７ｋｍは、ＨＵＤスクリーン６０に移動している。時刻Ｔ３以前にＨＵＤスクリーン６０に提示されていたエンジン回転速度は、メータ１０に移動している。その結果、エンジン回転速度は、制限速度と共に、メータ１０において提示されている。

　図２は、第一実施形態に係る鞍乗型車両１を模式的に示す側面図である。鞍乗型車両１は、自動二輪車である。鞍乗型車両１は、ライダーＲの体重移動によって走行乃至旋回を行うように構成されている。鞍乗型車両１は、動力源としてのエンジン６を備えている。鞍乗型車両１は、制御装置２０（ＥＣＵ）を備えている。制御装置２０は、後述する鞍乗型車両用情報提示支援装置の一例である。鞍乗型車両１は、シート２と、車幅方向に延びる棒状のハンドル３（グリップ）と、前輪４と、後輪５とを備えている。シート２の内部には、指圧突起４４が設けられている。指圧突起４４は、制御装置２０により制御され、伸縮又は移動するように構成されており、その動作により出力情報を提示する。ハンドル３は、バーハンドルであってもよく、セパレートであってもよい。鞍乗型車両１は、ライダーＲが両手でハンドル３を把持して体重移動を行うことにより運転されるように構成されている。鞍乗型車両１は、クラッチレバー７ａと、アクセル操作子７ｂと、シフトペダル７ｃとを備えている。クラッチレバー７ａ及びアクセル操作子７ｂは、ライダーＲの手によって操作されるようにハンドル３に設けられる。シフトペダル７ｃは、ライダーＲの足によって操作されるように設けられている。シフトペダル７ｃに対するライダーＲの操作は、多段変速機（図示せず）に入力される。ハンドル３には、温冷パッド４５が設けられている。温冷パッド４５は、温度変化により出力情報を提示するように構成されている。指圧突起４４及び温冷パッド４５は、情報提示部の一例である。

　鞍乗型車両１は、メータ１０を備えている。メータ１０は、図１に示すように、メータ１０の前面が全体的に表示画面として機能するように構成されている。また、鞍乗型車両１は、メータ１０の近くに、車体スピーカ１１（図４参照）を備えている。
鞍乗型車両１は、ＨＵＤスクリーン６０を備えている。ＨＵＤスクリーン６０は、鞍乗型車両１の標準装備ではなく、ライダーＲの要望により後付けされたオプション品である。ＨＵＤスクリーン６０は、既存のスクリーンと、当該スクリーンに対して映像を投影する投影機（図示せず）とにより構成されている。投影機が後付けされることにより、ＨＵＤスクリーン６０が構成されている。鞍乗型車両用情報提示支援装置２０は、このように後付けされたＨＵＤスクリーン６０も、情報提示部として、出力情報の提示に関する統合的な制御の対象に加えることができる。

　ライダーＲは、ＨＭＤ５１付きのヘルメット５０を頭に装着している。ヘルメット５０には、ＨＭＤ５１以外に、イヤホン５２（図４参照）が取り付けられている。ライダーＲは、ウェアラブル・デバイス７０を手首に装着している。ウェアラブル・デバイス７０は、ディスプレイ７１と、スピーカ７２（図４参照）と、バイブレータ７３（図４参照）とを備えている。ライダーＲは、上着のポケットに、携帯電話機８０を所持している。携帯電話機８０は、ディスプレイ８１（図４参照）と、スピーカ８２（図４参照）と、バイブレータ８３（図４参照）とを備えている。ライダーＲは、ズボンのポケットに、電子キー９０を所持している。電子キー９０は、バイブレータ９３（図４参照）を備えている。ヘルメット５０、ウェアラブル・デバイス７０、携帯電話機８０及び電子キー９０は、ライダーＲの装備品に該当する。イヤホン５２、ＨＭＤ５１、ディスプレイ７１、８１、スピーカ７２、８２、及びバイブレータ７３、８３、９３は、ライダーＲの装備品に設けられた情報提示部に該当する。これらの装備品については、ライダーＲが鞍乗型車両１を運転する時にこれらの装備品を装着又は所持する場合と、装着又は所持しない場合とがある。鞍乗型車両用情報提示支援装置２０は、このようなライダーＲの装備品に設けられた情報提示部も、出力情報の提示に関する統合的な制御の対象に加えることができる。

　図３は、第一実施形態に係る鞍乗型車両用情報提示支援装置２０の機能ブロック図である。鞍乗型車両１は、鞍乗型車両用情報提示支援装置２０（制御装置）を備えている。鞍乗型車両用情報提示支援装置２０は、出力情報取得部２０ａ、分類情報取得部２０ｂ、有効提示部情報取得部２０ｃ、選択部２０ｄ、提示指令出力部２０ｅ及び情報提示制御部２０ｆを備えている。

　出力情報取得部２０ａは、情報源１００、１０１、１０２から、出力情報Ｏを取得する。情報源１００は、鞍乗型車両１の外部に存在する。情報源１００としては、例えば、インターネットを介して鞍乗型車両１の制御装置２０と通信可能な外部サーバが挙げられる。情報源１０１は、鞍乗型車両１の内部に存在する。情報源１０１としては、例えば、鞍乗型車両１に設けられた各種のセンサ（図４参照）が挙げられる。情報源１０２は、装備品３０３に存在する。なお、装備品３０３は、情報提示部４０２と共に、情報源１０２を備えている。装備品３０３としては、例えば、ウェアラブル・デバイス等が挙げられる。情報源１０２としては、例えば、ウェアラブル・デバイスに設けられる心拍数センサ等の各種センサ、又は通信機器が挙げられる。一方、装備品３０２は、情報提示部４０２を備えているが、情報源１０２を備えていない。装備品３０２としては、例えば、ＨＵＤ等が挙げられる。

　分類情報取得部２０ｂは、出力情報取得部２０ａにより取得された各出力情報Ｏから、分類情報Ｃを取得する。

　有効提示部情報取得部２０ｃは、利用可能な複数の情報提示部４０１、４０２から、複数の有効提示部情報Ｅを取得する。情報提示部４０１は、鞍乗型車両１に設けられている。情報提示部４０２は、装備品３０２、３０３に設けられている。

　選択部２０ｄは、有効提示部情報取得部２０ｃにより取得された複数の有効提示部情報Ｅによって特定される複数の情報提示部４０１、４０２の中から、出力情報Ｏの提示先となる情報提示部４０１、４０２を、少なくとも分類情報Ｃに基づいて選択する。なお、複数の出力情報Ｏを時間的に互いに重複するように提示する場合、選択部２０ｄは、複数の情報提示部４０１、４０２の中から、複数の出力情報Ｏの各々の提示先となる、少なくとも１つの情報提示部４０１、４０２を、少なくとも複数の分類情報Ｃの互いの関係に基づいて、出力情報Ｏごとに選択する。結果として、各出力情報Ｏと、出力先となる情報提示部４０１、４０２との対応関係が特定される。

　提示指令出力部２０ｅは、選択部２０ｄによる選択結果Ｓを取得する。そして、提示指令出力部２０ｅは、複数の出力情報Ｃの各々が、選択部２０ｄにより選択された情報提示部４０１、４０２によって提示されるように提示指令Ｐを出力する。

　情報提示制御部２０ｆは、提示指令出力部２０ｅによる提示指令Ｐに基づいて、複数の出力情報Ｏの各々を、選択部２０ｄにより選択された情報提示部４０１、４０２に提示させる。

　図４は、第一実施形態に係る鞍乗型車両用情報提示支援装置、即ち制御装置２０のブロック図である。

　制御装置２０は、ＣＰＵ２１、記憶装置２２及び入出力ポート２４を備えている。
制御装置２０は、記憶装置２２として、不揮発性メモリと、揮発性メモリとを備えている。不揮発性メモリは、補助記憶装置として、制御プログラム及び演算に必要なデータを記憶している。揮発性メモリは、主記憶装置として、ＣＰＵ２１の動作中にデータを一時的に記憶する。ＣＰＵ２１は、記憶装置２２から制御プラグラム及びデータを適宜読み出し、演算処理・制御処理を実行する。入出力ポート２４は、信号の入出力を行う。ＣＰＵ２１は、制御プログラムを実行することにより、図３に示す出力情報取得部２０ａ、分類情報取得部２０ｂ、有効提示部情報取得部２０ｃ、選択部２０ｄ、提示指令出力部２０ｅ及び情報提示制御部２０ｆとして機能する。制御装置２０には、近距離無線通信Ｉ／Ｆ２５が接続されている。近距離無線通信の規格は、特に限定されず、例えば、ブルートゥース（登録商標）である。

　入出力ポート２４には、車輪速センサ３１と、加速度センサ３２と、角速度センサ３３と、前方センシング部３４と、エンジン回転速度センサ３５と、燃料タンクセンサ３６とが接続されている。車輪速センサ３１（ＡＢＳセンサ）は、鞍乗型車両１の前輪４及び後輪５の回転速度を検出する。鞍乗型車両１の積算距離は、例えば、車輪速センサ３１から入力される情報に基づいて制御装置２０において生成され、記憶装置２２に記憶される。加速度センサ３２は、例えば、互いに直交する各３軸方向の加速度を検出する。角速度センサ３３は、例えば、互いに直交する各３軸回りの角速度を検出する。なお、３軸は、例えば、鞍乗型車両１の前後方向、垂直方向及び車幅方向である。加速度センサ３２及び角速度センサ３３は、慣性計測装置（ＩＭＵ／Ｉｎｅｒｔｉａｌ　Ｍｅａｓｕｒｅｍｅｎｔ　Ｕｎｉｔ）を構成する。前方センシング部３４は、例えば、カメラ、ミリ波レーダー、マイクロ波レーダー、レーザーレーダー、超音波センサ、音響センサ、赤外センサ、電波／電界センサ、磁気センサ、距離画像センサのうち、１つ又は複数の機器を含む。カメラは、単眼であっても、複眼であってもよい。このようなレーダー及びセンサは、例えば、鞍乗型車両１の前方に向かって、鞍乗型車両１の前方からミリ波等を照射し、前方の車両等に反射して鞍乗型車両１に向かって戻ってくる反射波を受信するように構成されている。エンジン回転速度センサ３５は、エンジン６の回転速度を検出する。燃料タンクセンサ３６は、燃料残量を検出する。これらのセンサ３１～３６以外のセンサが、入出力ポート２４に接続されていてもよい。これらのセンサ３１～３６等による検出結果は、出力情報として制御装置２０に入力されてもよく、制御装置２０によって出力情報になるように処理又は加工されてもよい。例えば、出力情報としてのエンジン回転速度は、エンジン回転速度センサ３５から制御装置２０に入力される。また、出力情報としての燃料残量は、燃料タンクセンサ３６から制御装置２０に入力される。

　入出力ポート２４には、アクセル検出器３７、クラッチ検出器３８及び変速段検出器３９が接続されている。アクセル検出器３７は、アクセル操作子７ｂに対してライダーＲによって行われる操作を検出する。クラッチ検出器３８は、クラッチレバー７ａに対してライダーＲによって行われる操作を検出する。変速段検出器３９は、多段変速機（図示せず）の変速段を検出する。これらのセンサ３７～３９以外の検出器が、入出力ポート２４に接続されていてもよい。これらのセンサ３７～３９等による検出結果は、出力情報として制御装置２０に入力されてもよく、制御装置２０によって出力情報になるように処理又は加工されてもよい。

　入出力ポート２４には、車載ナビゲーション装置４０と、インターネット通信ユニット４２とが接続されている。車載ナビゲーション装置４０は、ＧＮＳＳ（Ｇｌｏｂａｌ　Ｎａｖｉｇａｔｉｏｎ　Ｓａｔｅｌｌｉｔｅ　Ｓｙｓｔｅｍ）受信機４１を備えている。ＧＮＳＳの規格としては、特に限定されず、例えば、ＧＰＳ（Ｇｌｏｂａｌ　Ｐｏｓｉｔｉｏｎｉｎｇ　Ｓｙｓｔｅｍ）が挙げられる。車載ナビゲーション装置４０は、図示しないが、ＣＰＵ、ＲＯＭ、ＲＡＭ等を備えている。車載ナビゲーション装置４０は、ライダーＲによる操作に応じて鞍乗型車両１の目的地を設定する。ＧＮＳＳ受信機４１は、鞍乗型車両１の位置情報を取得可能である。車載ナビゲーション装置４０は、ＧＮＳＳにより取得される信号に基づいて、鞍乗型車両１の現在地から目的地までの経路に関する航行情報を生成して出力する。出力された航行情報は、出力情報として制御装置２０に入力され、メータ１０により提示される。なお、本実施形態では、車載ナビゲーション装置４０自体が、航行情報をライダーＲに提示する装置（ディスプレイ又はスピーカ）を備えていないが、車載ナビゲーション装置４０が、航行情報をライダーに提示する装置を備えていてもよい。車載ナビゲーション装置４０は、車載ナビゲーション装置４０自体が備える装置により航行情報をライダーに提示しつつ、航行情報又は鞍乗型車両１の位置情報を制御装置（鞍乗型車両用情報提示支援装置）に出力するように構成されていてもよい。また、本実施形態では、ＧＮＳＳ受信機４１が車載ナビゲーション装置４０に設けられているが、ＧＮＳＳ受信機は、車載ナビゲーション装置とは別に、鞍乗型車両に設けられていてもよい。インターネット通信ユニット４２は、インターネットを介して、各種の情報を取得することが可能である。車車間・路車間通信ユニット４３は、周囲の車両及び／又は路側機との通信を行い、各種の情報を取得することが可能である。これらのユニット４０、４２～４３以外の検出器が、入出力ポート２４に接続されていてもよい。これらのユニット４０、４２～４３等による検出結果は、出力情報として制御装置２０に入力されてもよく、制御装置２０によって出力情報になるように処理又は加工されてもよい。出力情報としての路面状況及び制限速度は、例えば、車載ナビゲーション装置４０、インターネット通信ユニット４２又は車車間・路車間通信ユニット４３から制御装置２０に入力される。

　入出力ポート２４には、メータ１０と、車体スピーカ１１とが接続されている。メータ１０は、画像の表示により、視覚的に出力情報を提示する。車体スピーカ１１は、聴覚的に出力情報を提示する。メータ１０及び車体スピーカ１１は、鞍乗型車両１の標準装備である。メータ１０及び車体スピーカ１１の各々の識別情報は、予め記憶装置２２に記憶されている。

　入出力ポート２４には、ＨＵＤスクリーン６０が接続されている。ＨＵＤスクリーン６０は、画像の投影により、視覚的に出力情報を提示する。ＨＵＤスクリーン６０は、鞍乗型車両１のオプション品である。ＨＵＤスクリーン６０の識別情報は、ＨＵＤスクリーン６０（投影機）の後付けが行われる時に記憶装置２２に記憶される。入出力ポート２４には、オプション品としての指圧突起４４及び温冷パッド４５も接続されている。指圧突起４４及び温冷パッド４５は、情報提示部として機能する。

　入出力ポート２４には、近距離無線通信Ｉ／Ｆ２５を介して、ヘルメット５０のＨＭＤ５１及びイヤホン５２、ウェアラブル・デバイス７０、並びに携帯電話機８０が接続されている。ＨＭＤ５１及びイヤホン５２は、近距離無線通信Ｉ／Ｆ２５を介して、制御装置２０から出力情報を受信し、出力情報を提示する。ウェアラブル・デバイス７０は、ＣＰＵ、ＲＯＭ及びＲＡＭ等を有するとともに、ディスプレイ７１、スピーカ７２及びバイブレータ７３を有している。携帯電話機８０は、ＣＰＵ、ＲＯＭ及びＲＡＭ等を有するとともに、ディスプレイ８１、スピーカ８２及びバイブレータ８３を有している。ヘルメット５０、ウェアラブル・デバイス７０及び携帯電話機８０は、ライダーＲの装備品である。なお、ヘルメット５０のＨＭＤ５１及びイヤホン５２、ウェアラブル・デバイス７０、並びに携帯電話機８０については、ライダーＲの操作により、制御装置２０とのペアリングが完了している。言い換えると、これらの機器は、鞍乗型車両１の通信対象として、記憶装置２２に登録されている。各機器の識別情報は、登録時に記憶装置２２に記憶される。各機器にも、制御装置２０の識別情報が記憶される。ウェアラブル・デバイス７０若しくは携帯電話機８０から制御装置２０へ入力される情報、又は当該情報が制御装置２０において処理若しくは加工されることにより生成された情報が、出力情報として用いられてもよい。

　入出力ポート２４には、車両用近距離無線通信Ｉ／Ｆ２６を介して、電子キー９０が接続されている。電子キー９０は、マイコンを含む制御回路を有するとともに、バイブレータ９３を有している。

　次に、鞍乗型車両用情報提示支援装置、即ち制御装置２０により実行される処理について説明する。なお、以下においては、ライダーＲの装備品と制御装置２０とのペアリングが既に完了している場合について説明する。

　図５は、有効提示部情報取得ルーチンを示すフローチャートである。有効提示部情報取得ルーチンは、例えば、制御装置２０への電力供給が開始された時に実行され、その後、所定の周期で実行される。

　ＣＰＵ２１は、問合信号を送信する（ステップＳ１０）。ＣＰＵ２１は、制御装置２０と有線で接続された情報提示部に対して問合信号を送信する。本実施形態において、有線で接続された情報提示部は、メータ１０、車体スピーカ１１及びＨＵＤスクリーン６０である。なお、指圧突起４４及び温冷パッド４５も、有線により接続されているが、本実施形態では、それらの機能はＯＦＦされている。メータ１０、車体スピーカ１１及びＨＵＤスクリーン６０は、利用可能な状態にある時に問合信号を受け取った場合には、有効提示部情報を含む応答信号を制御装置２０に送信する。有効提示部情報は、当該情報提示部が利用可能な状態にあることを示す。一方、指圧突起４４及び温冷パッド４５の機能はＯＦＦされているので、ＣＰＵ２１は、指圧突起４４及び温冷パッド４５の有効提示部情報を取得できない。このように、ＣＰＵ２１は、ステップＳ１０において、利用可能な状態にある情報提示部の情報を取得する。このとき、ＣＰＵ２１は、有効提示部情報取得部として機能する。

　さらに、ステップＳ１０において、ＣＰＵ２１は、無線通信の範囲内に位置する情報提示部又は当該情報提示部を備えた装備品に対して、無線通信により問合信号を送信する。無線通信による問合信号の送信対象は、ヘルメット５０のＨＭＤ５１及びスピーカ５２、ウェアラブル・デバイス７０、携帯電話機８０及び電子キー９０である。ＨＭＤ５１、スピーカ５２、ウェアラブル・デバイス７０、携帯電話機８０及び電子キー９０は、利用可能な状態にある時に問合信号を受け取った場合には、有効提示部情報を含む応答信号を制御装置２０に送信する。

　次に、ＣＰＵ２１は、応答信号を受信したか否かを判断する（ステップＳ１２）。ＣＰＵ２１が応答信号を受信していない場合（ステップＳ１２：ＮＯ）、本サブルーチンを終了する。一方、ＣＰＵ２１が応答信号を受信した場合（ステップＳ１２：ＹＥＳ）、ＣＰＵ２１は、応答信号に含まれる有効提示部情報を取得する（ステップＳ１４）。図６（ａ）～（ｄ）は、取得された有効提示部情報を示す説明図である。鞍乗型車両１が標準装備のみを備える場合、図６（ａ）に示すように、メータ１０及び車体スピーカ１１に関する有効提示部情報が記憶装置２２に記憶される。ＨＵＤスクリーン６０が後付けされた場合、図６（ｂ）に示すように、更に、ＨＵＤスクリーン６０に関する有効提示部情報が記憶装置２２に記憶される。更に、ライダーＲが装備品を有している場合には、記憶装置２２に記憶される有効提示部情報が追加される。ステップＳ１４の処理後、本サブルーチンを終了する。

　図７は、提示指令出力ルーチンを示すフローチャートである。提示指令出力ルーチンは、例えば、制御装置２０への電力供給が開始された時に実行され、その後、所定の周期で実行される。

　ＣＰＵ２１は、提示される出力情報の増減が有るか否かを判断する（ステップＳ２０）。本実施形態において、出力情報は、例えば、制御装置２０に接続された各種機器３１～４３等から入力されたり、各種機器３１～４３等から入力された情報が制御装置２０において処理又は加工されることにより生成されたりする。出力情報は、例えば、記憶装置２２に記憶されている。これらの出力情報については、例えば、ライダーに対して提示される期間、提示が開始されるタイミング、提示が終了するタイミング等が定められている。例えば、路面状況の提示は、鞍乗型車両１が提示対象となる位置（例えば、悪路等）から所定距離（例えば、１ｋｍ）離れた位置に到達した時に開始され、鞍乗型車両１が提示対象となる位置を通過した時に終了する。着信通知の提示は、携帯電話機８０への着信が開始した時に開始され、着信が終了した時に終了する。特定積算距離は、鞍乗型車両１の積算距離が特定値に達した時に開始され、所定時間経過後に終了する。エンジン回転速度は、常時提示される。制限速度は、制限速度が設定されている道路を走行中に継続的に提示される。燃料残量は、常時提示される。出力情報の提示の開始又は終了時に、提示される出力情報が増減する。

　提示される出力情報の増減がない場合（ステップＳ２０：ＮＯ）、本サブルーチンを終了する。その結果、現状の出力情報の提示が継続される。提示される出力情報の増減する場合（ステップＳ２０：ＹＥＳ）、ＣＰＵ２１は、提示される出力情報が存在するか否かを判断する（ステップＳ２１）。提示される出力情報がない場合（ステップＳ２１：ＮＯ）、本サブルーチンを終了する。その結果、出力情報が提示されない状態が継続される。
提示される出力情報が存在する場合（ステップＳ２１：ＹＥＳ）、処理をステップＳ２２に進める。なお、ステップＳ２１において、存在の有無が判断される出力情報は、制御装置２０（鞍乗型車両用情報提示支援装置）による統合的な制御の対象となる出力情報である。鞍乗型車両１では、制御装置２０による統合的な制御の対象となる出力情報以外の出力情報もライダーに提示されてもよい。即ち、制御装置２０は、鞍乗型車両１で提示される全ての種類の出力情報のうち、少なくとも一部の種類の出力情報を提示するように構成される。例えば、制御装置２０は、提示先が選択される出力情報に加えて、提示先となる情報提示部が固定された出力情報を、当該情報提示部に提示するように提示指令を出力してもよい。また、鞍乗型車両１が、制御装置２０による統合的な制御の対象となる出力情報以外の出力情報をライダーに提示するように構成されていてもよい。

　ステップＳ２２において、ＣＰＵ２１は、出力情報の分類情報を取得する。ＣＰＵ２１は、例えば、記憶装置２２に記憶された出力情報から分類情報を取得する。このとき、ＣＰＵ２１は、分類情報取得部として機能する。取得された分類情報は記憶装置２２に記憶される。図８（ａ）～（ｃ）は、記憶装置２２に記憶された分類情報を示す説明図である。図８（ａ）に示す分類情報は、図１に示す時刻Ｔ１に対応する分類情報である。時刻Ｔ１では、路面状況、エンジン回転速度、制限速度及び燃料残量に関する分類情報が取得されている。図８（ｂ）に示す分類情報は、図１に示す時刻Ｔ２に対応する分類情報である。時刻Ｔ２では、特定積算距離に関する分類情報が追加されている。図８（ｃ）に示す分類情報は、図１に示す時刻Ｔ３に対応する分類情報である。記憶装置２２に記憶された分類情報が、ライダーに対して提示される出力情報に対応している。なお、ライダーに対する提示が終了した出力情報に対応する分類情報は、記憶情報２２から削除される。

　ステップＳ２２の後、ＣＰＵ２１は、時間的に重複するように提示される出力情報の有無を判断する（ステップＳ２４）。図８（ａ）～（ｃ）に示すように、複数の分類情報が記憶装置２２に記憶されている場合、時間的に互いに重複するように提示される複数の出力情報が存在する。一方、１つの分類情報が記憶装置２２に記憶されている場合、時間的に互いに重複するように提示される出力情報は存在しない。このように、記憶装置２２に記憶された分類情報に基づいて、時間的に重複するように提示される出力情報の有無が判断され得る。ＣＰＵ２１は、記憶装置２２に記憶された分類情報に基づいて、時間的に重複するように提示される出力情報の有無を判断する。

　時間的に重複するように提示される出力情報が存在しない場合（ステップＳ２４：ＮＯ）、ＣＰＵ２１は、分類情報に基づいて、出力情報の提示先となる情報提示部を選択する（ステップＳ２６）。出力情報の提示先となる情報提示部は、記憶装置２２に記憶された有効提示部情報（図６（ａ）～（ｄ）参照）に対応する情報提示部の中から選択される。

　本実施形態では、図９の上部分に示すように、情報提示部ごとにライダー認知時間が設定されている。ライダー認知時間は、第二パラメータの一例である。そして、情報提示部とライダー認知時間とが対応付けられ、第二データとして、記憶装置２２に記憶されている。第二データを記憶する記憶装置２２は、第二データ記憶部として機能する。なお、図９に示されるライダー認知時間は、上述したように、情報提示部が出力情報を提示し始めてから出力情報がライダーによって認知されるまでに要する時間である。

　また、図９の下部分に示すように、分類情報ごとに優先度が設定されている。優先度は、第一パラメータの一例である。そして、分類情報と優先度とが対応付けられ、第一データとして、記憶装置２２に記憶されている。第一データを記憶する記憶装置２２は、第一データ記憶部として機能する。例えば、出力情報としての路面状況には、比較的高い優先度が対応付けられている。路面状況が提示される時には、短いライダー認知時間が対応付けられた情報提示部、即ちＨＭＤが選択される。なお、分類情報ごとに、当該出力情報の提示態様も対応付けられている。着信通知が提示される時には、図１に示すようにＨＭＤが選択されると共に、聴覚的な情報提示部としてイヤホンが選択され、触覚的な情報提示部としてバイブレータが選択される。

　時間的に重複するように提示される出力情報が存在する場合（ステップＳ２４：ＹＥＳ）、ＣＰＵ２１は、分類情報の関係に基づいて、出力情報の提示先となる情報提示部を選択する（ステップＳ２８）。ステップＳ２８においても、ステップＳ２６と同様に、図９に示されるライダー認知時間及び優先度に基づいて、分類情報ごとに、出力情報の提示先となる、少なくとも１つの情報提示部を選択する。ステップＳ２６又はＳ２８において、ＣＰＵ２１は、選択部として機能する。

　ステップＳ２６又はＳ２８の後、ＣＰＵ２１は、提示指令を出力する（ステップＳ３０）。提示指令は、例えば、図１０（ａ）～（ｃ）に示すように、有効提示部情報と、有効提示部情報に対応付けられた分類情報とを含む。図１０（ａ）は、図１に示す時刻Ｔ１における提示指令である。図１０（ｂ）は、時刻Ｔ２における提示指令である。図１０（ｃ）は、時刻Ｔ３における提示指令である。提示指令における分類情報と有効提示部情報との対応関係は、出力情報と、出力先として選択された情報提示部との対応関係に相当する。本実施形態において、ＣＰＵ２１により出力された提示指令は、記憶装置２２に記憶される。その後、本サブルーチンを終了する。

　図１１は、出力情報提示ルーチンを示すフローチャートである。出力情報提示ルーチンは、提示指令出力ルーチンと同様に、所定の周期で実行される。本サブルーチンでは、ＣＰＵ２１は、記憶装置２２に記憶された提示指令に基づいて、各情報提示部に出力情報を提示させるように、各情報提示部を制御する（ステップＳ４０）。その結果、例えば、図１に示すように、出力情報が情報出力部に提示される。また、提示指令出力ルーチンにおいて、新たな提示指令が生成されると、その後に実施される出力情報提示ルーチンにおいて、新たな提示指令に基づく出力情報の提示が行われる。その結果、提示される出力情報が変化する。

以上、本実施形態の制御装置２０（鞍乗型車両用情報提示支援装置）は、複数の情報提示部に対する複数の出力情報の提示を統合的に制御する。図９に示すように、着信通知の優先度は、特定積算距離の優先度よりも高い。また、ＨＭＤ５１のライダー認知時間は、ＨＵＤスクリーン６０のライダー認知時間よりも短い。そのため、ＨＭＤ５１の右領域ＸＲに特定積算距離が提示されている状況下において着信通知が提示され始める場合には（図１に示す時刻Ｔ２及びＴ３参照）、着信通知が特定積算距離に代えてＨＭＤ５１の右領域ＸＲに提示され、特定積算距離はＨＵＤスクリーン６０に提示される。これにより、特定積算距離は認知され難くなるが、着信通知は認知され易い態様で提示され始める。このように、制御装置２０は、複数の出力情報の認知容易性及び認知困難性を制御することができる。これにより、多くの情報をライダーへ効果的に提供することが可能となる。

　本実施形態では、複数の分類情報の互いの関係は、各分類情報に設定された優先度（図９参照）によって特定される。また、各分類情報に設定された優先度は、記憶装置２２に記憶されている。複数の情報提示部の互いの関係は、各情報提示部に設定されたライダー認知時間（図９参照）によって特定される。また、各情報提示部に設定されたライダー認知時間は、記憶装置２２に記憶されている。このように、本実施形態では、分類情報に対して優先度が設定され、情報提示部に対してライダー認知時間が設定される。より高い優先度が設定された分類情報に対応する出力情報に対して、より短いライダー認知時間が設定された情報提示部が選択される。優先度は、分類情報に設定される第一パラメータの一例である。ライダー認知時間は、情報提示部に設定される第二パラメータの一例である。即ち、好ましい実施形態に係る鞍乗型車両用情報提示支援装置では、分類情報に対して第一パラメータが設定され、情報提示部に対して第二パラメータが設定される。第一パラメータ及び第二パラメータの各々は、上述した優先度又はライダー認知時間と同様に、高低が特定され得るパラメータである。

　図１２は、第二実施形態に係る鞍乗型車両用情報提示システムの機能ブロック図である。鞍乗型車両用情報提示システムは、鞍乗型車両用情報提示支援装置としての外部サーバ２００と、鞍乗型車両１とを含む。また、第二実施形態に係る鞍乗型車両用情報提示システムは、装備品３０２、３０３を含むが、当該システムにとって、装備品３０２、３０３は、必ずしも、必須の構成ではない。外部サーバ２００は、鞍乗型車両１の制御装置２０´と通信可能である。外部サーバ２００は、機能部として、出力情報取得部２００ａ、分類情報取得部２００ｂ、有効提示部情報取得部２００ｃ、選択部２００ｄ及び提示指令出力部２００ｅを備えている。なお、外部サーバ２００は、制御装置（ＣＰＵ）、記憶装置、及び鞍乗型車両１等と通信するための通信装置を有している。外部サーバ２００において、制御装置は、記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、上述した各機能部として機能する。

　鞍乗型車両１は、制御装置２０´を備えている。本実施形態における制御装置２０´は、鞍乗型車両用情報提示支援装置に該当しない。制御装置２０´は、出力情報取得部２０ａ´、有効提示部情報取得部２０ｃ´及び情報提示制御部２０ｆ´を備えている。鞍乗型車両１は、更に、複数の情報源１０１と、複数の情報提示部４０１とを備えている。また、ライダーの装備品３０２、３０３は、鞍乗型車両１の制御装置２０´と通信可能である。装備品３０２は、情報提示部４０２を備えている。装備品３０３は、情報提示部４０２及び情報源１０２を備えている。

　出力情報取得部２００ａは、外部の情報源１００から出力情報Ｏを取得し、取得された出力情報Ｏを、鞍乗型車両１の情報提示制御部２０ｆ´に供給する。また、出力情報取得部２００ａは、鞍乗型車両１の制御装置２０´内の出力情報取得部２０ａ´を介して、鞍乗型車両１の情報源１０１及び／又は装備品３０３の１０２から、出力情報Ｏを取得する。分類情報取得部２００ｂは、出力情報取得部２００ａにより取得された出力情報Ｏから分類情報Ｃを取得する。また、有効提示部情報取得部２００ｃは、鞍乗型車両１の制御装置２０´内の有効提示部情報取得部２０ｃ´を介して、情報提示部４０１、４０２から、有効提示部情報Ｅを取得する。選択部２００ｄは、複数の出力情報Ｏを時間的に互いに重複するように提示する場合、複数の情報提示部４０１、４０２の中から、出力情報Ｏの提示先となる情報提示部４０１、４０２を、少なくとも複数の分類情報Ｃの互いの関係に基づいて、出力情報Ｏごとに選択する。提示指令出力部２００ｅは、選択部２００ｄによる選択結果Ｓを取得する。そして、提示指令出力部２００ｅは、提示指令Ｐを、鞍乗型車両１の制御装置２０´内の情報提示制御部２０ｆ´へ出力する。

　外部の情報源１００から供給される出力情報Ｏは、外部サーバ２００の出力情報取得部２００ａを介して、鞍乗型車両１の情報提示制御部２０ｆ´に供給される。鞍乗型車両１の情報源１０１及び装備品３０３の情報源１０２から供給される出力情報Ｏは、鞍乗型車両１の制御装置２０´の出力情報取得部２０ａ´を介して、鞍乗型車両１の情報提示制御部２０ｆ´に供給される。情報提示制御部２０ｆ´は、外部サーバ２００の提示指令出力部２００ｅによる提示指令Ｐに基づいて、複数の出力情報Ｏの各々を、選択部２００ｄにより選択された情報提示部４０１、４０２に提示させる。

　図１３は、第三実施形態に係る鞍乗型車両用情報提示支援装置としての制御装置２０の機能ブロック図である。第三実施形態に係る制御装置２０は、以下の事項を除いて、第一実施形態に係る制御装置２０（図３参照）と同様の構成を有している。第三実施形態の制御装置２０は、出力情報取得部２０ａ及び情報提示制御部２０ｆと別に、出力情報取得部２０ａ－２及び情報提示制御部２０ｆ－２を備えている。外部の情報源１００及び装備品３０３の情報源１０２からの出力情報Ｏについては、第一実施形態と同様に、複数の情報提示部４０１、４０２の中から、出力情報Ｏの提示先となる情報提示部４０１、４０２が、少なくとも複数の分類情報Ｃの互いの関係に基づいて、出力情報Ｏごとに選択される。その結果、外部の情報源１００及び装備品の情報源１０２からの出力情報Ｏは、選択された情報提示部４０１、４０２に提示される。一方、鞍乗型車両１の情報源１０１からの出力情報Ｏは、出力情報取得部２０ａ－２により取得され、情報提示制御部２０ｆ－２によって情報提示部４０１に提示される。

　このように、第三実施形態では、鞍乗型車両１の情報源１０１からの出力情報Ｏは、予め定められた情報提示部４０１に提示される。一方、情報源１００、１０２からの出力情報Ｏについては、複数の分類情報Ｃの互いの関係に基づいて、提示先となる情報提示部４０１、４０２が選択される。情報源１００、１０２からの出力情報Ｏは、選択された情報提示部４０１、４０２に提示される。

　図１４は、第四実施形態に係る鞍乗型車両用情報提示システムの機能ブロック図である。第四実施形態に係るシステムは、以下の事項を除いて、第二実施形態に係るシステム（図１２参照）と同様の構成を有している。第四実施形態に係るシステムでは、鞍乗型車両１の制御装置２０´は、出力情報取得部２０ａ´及び情報提示制御部２０ｆ´と別に、出力情報取得部２０ａ´－２及び情報提示制御部２０ｆ´－２を備えている。
外部の情報源１００からの出力情報Ｏは、外部サーバ２００の出力情報取得部２００ａによって取得され、鞍乗型車両１の出力情報取得部２０ａ´に供給される。装備品３０３の情報源１０２からの出力情報Ｏは、鞍乗型車両１の出力情報取得部２０ａ´によって取得され、外部サーバ２００の出力情報取得部２００ａに供給される。外部サーバ２００では、複数の情報提示部４０１、４０２の中から、出力情報Ｏの提示先となる情報提示部４０１、４０２が、少なくとも複数の分類情報Ｃの互いの関係に基づいて、出力情報Ｏごとに選択される。外部サーバ２００の提示指令出力部２００ｅは、選択結果Ｓに基づいて、提示指令Ｐを、鞍乗型車両１の情報提示制御部２０ｆ´に供給する。鞍乗型車両１では、出力情報取得部２０ａ´が、情報源１００、１０２からの出力情報Ｏを、情報提示制御部２０ｆ´に供給する。情報提示制御部２０ｆ´は、出力情報Ｏを、出力情報Ｏごとに選択された情報提示部４０１、４０２に提示する。一方、鞍乗型車両１の情報源１０１からの出力情報Ｏは、出力情報２０ａ´－２により取得され、情報提示制御部２０ｆ´－２によって情報提示部４０１に提示される。

　第四実施形態においても、第三実施形態と同様に、鞍乗型車両１の情報源１０１からの出力情報Ｏは、予め定められた情報提示部４０１に提示される。一方、情報源１００、１０２からの出力情報Ｏについては、複数の分類情報Ｃの互いの関係に基づいて、提示先となる情報提示部４０１、４０２が選択される。情報源１００、１０２からの出力情報Ｏは、選択された情報提示部４０１、４０２に提示される。

　第三実施形態及び第四実施形態に係る鞍乗型車両では、出力情報の一部が、予め定められた情報提示部により提示され、その一方で、他の出力情報は、鞍乗型車両用情報提示支援装置によって選択された情報提示部により提示される。これにより、例えば、表示位置が変更されないことが好ましい出力情報を、予め定められた情報提示部により提示しつつ、鞍乗型車両用情報提示支援装置によって多くの出力情報を効果的に提示することができる。このように、鞍乗型車両用情報提示支援装置は、必ずしも、鞍乗型車両又はライダーの装備品により提示される全ての出力情報に対して、統合的な制御を行う必要は無い。

　上述した各実施形態では、選択部が、複数の出力情報の各々の提示先となる情報提示部を、第一パラメータ（優先度）によって特定される複数の分類情報の互いの関係と、第二パラメータ（ライダー認知時間）とに基づいて選択する場合について説明した。選択部の動作は、上述した実施形態における動作に限定されず、例えば、以下の第五実施形態における動作であってもよい。

　次に、第五実施形態について、図１５及び図１６を参照して説明する。第五実施形態では、選択部が、複数の出力情報の各々の提示先となる情報提示部を、第一パラメータ（優先度）によって特定される複数の分類情報の互いの関係と、第二パラメータ（ライダー認知時間）と、運転状態とに基づいて選択する。第五実施形態に係る鞍乗型車両用情報提示支援装置のハードウェア構成は、第一実施形態と同じである。

　図１５は、第五実施形態に係る提示指令出力ルーチンを示すフローチャートである。図１５に示すフローチャートは、ステップＳ２００～Ｓ２０２を除いて、図７に示すフローチャートと同じである。そこで、ここでは、ステップＳ２００～Ｓ２０２について説明する。

　ステップＳ２２の後、ステップＳ２００において、ＣＰＵ２１は、運転状態情報を取得する。このとき、ＣＰＵ２１は、運転状態情報取得部として機能する。本実施形態における運転状態情報は、鞍乗型車両の状態を示す。運転状態情報は、図４に示される各種機器３１～４３により得られる情報、又は該情報に対して処理若しくは加工が施されることにより得られる情報である。得られた情報は、記憶装置２２に記憶される。

　ステップＳ２０１において、ＣＰＵ２１は、現状の運転状態が特定の運転状態であるか否かを判断する。特定の運転状態としては、特に限定されず、例えば、車速が所定速度以上である状態、リーン角が所定角度以上である状態等である。現状の運転状態が特定の運転状態ではない場合（ステップＳ２０１：ＮＯ）、処理をステップＳ２４に進める。この場合、ステップＳ２６又はＳ２８において、図９に示す複数の分類情報の互いの関係とライダー認知時間とに基づいて、情報提示部が選択される。

　一方、現状の運転状態が特定の運転状態である場合（ステップＳ２０１：ＹＥＳ）、ステップＳ２０２において、ＣＰＵ２１は、ライダー認知時間を補正する。補正方法としては、特に限定されず、例えば、以下の例が挙げられる。

　車速が高い時及び／又はリーン角が大きい時には、ライダーの脳の処理リソースにおける余裕部分が小さくなる。結果として、ライダーにとって、ライダー認知時間が長い情報提示部により提示される出力情報は、より認知し難くなる。そこで、ステップＳ２０２において、ＣＰＵ２１は、図１６に示すように、ライダー認知時間が長い情報提示部が選択対象から除外されるように、ライダー認知時間を補正する。図１６に示す例では、ウェアラブル・デバイス７０のディスプレイ７１が、選択対象から除外されている。ステップＳ２０２の後、処理をステップＳ２４に進める。この場合、ステップＳ２６又はＳ２８において、ＣＰＵ２１は、ウェアラブル・デバイス７０のディスプレイ７１を選択しない。結果として、提示先の情報提示部としてディスプレイ７１が選択されるはずであった出力情報は提示されなくなる。

　第五実施形態によれば、出力情報の提示先の情報提示部が、第一パラメータによって特定される複数の分類情報の互いの関係と、第二パラメータと、運転状態とに基づいて選択される。具体的には、第二パラメータが、運転状態に応じて補正され、出力情報の提示先の情報提示部が、補正後の第二パラメータと、運転状態とに基づいて選択される。これにより、ライダーの脳の処理リソースにおける余裕部分が小さい状況下において、ライダーにとって認知が難しい情報提示部による出力情報の提示や、ライダーにとって関心の低い出力情報の提示が行われないように制御可能となる。ライダーへの情報の提示をより効果的に行うことが可能となる。なお、第五実施形態では、第二パラメータが運転状態に応じて補正される場合について説明したが、第一パラメータによって特定される複数の分類情報の互いの関係が、運転状態に応じて補正されてもよい。具体的には、ライダーの脳の処理リソースにおける余裕部分が小さくなるような運転状態においては、ライダーにとって比較的関心の低い分類に属する出力情報が提示されないように、当該関係が補正されてもよい。

１　鞍乗型車両
２　シート
３　ハンドル
４　前輪
５　後輪
６　エンジン
７ａ　クラッチレバー
７ｂ　アクセル操作子
７ｃ　シフトペダル
１０　メータ（インストルメント・パネル）
２０　制御装置（鞍乗型車両用情報提示支援装置）
２１　ＣＰＵ
２２　記憶装置
５０　ヘルメット
５１　ＨＭＤ
６０　ＨＵＤスクリーン
７０　ウェアラブル・デバイス
８０　携帯電話機
１００、１０１、１０２　情報源
３０２、３０３　装備品
４０１、４０２　情報提示部

Claims (10)

1. 　鞍乗型車両用情報提示支援装置であって、
   　前記鞍乗型車両用情報提示支援装置は、
   　前記鞍乗型車両又は前記鞍乗型車両のライダーの装備品に設けられ且つ利用可能な状態にある複数の情報提示部に関する有効提示部情報を取得する、有効提示部情報取得部と、
   　出力情報の種類に関する分類情報を取得する、分類情報取得部と、
   　前記複数の出力情報を時間的に互いに重複するように提示する場合に、前記利用可能な状態にある複数の情報提示部の中から、前記複数の出力情報の各々の提示先となる、少なくとも１つの情報提示部を、少なくとも前記複数の出力情報に係る複数の分類情報の互いの関係に基づいて選択する、選択部と、
   　前記複数の出力情報の各々が、前記選択部により選択された前記情報提示部によって提示されるように提示指令を出力する、提示指令出力部と
   を備える。
2. 　請求項１に記載の鞍乗型車両用情報提示支援装置であって、
   　前記鞍乗型車両用情報提示支援装置は、更に、
   　前記分類情報と、前記分類情報に対して設定された第一パラメータとの対応関係を示す第一データを記憶する第一データ記憶部を備え、
   　前記選択部は、前記複数の分類情報の互いの関係を、前記複数の分類情報の各々に設定された前記第一パラメータを互いに比較することにより特定する。
3. 　請求項１又は２に記載の鞍乗型車両用情報提示支援装置であって、
   　前記鞍乗型車両用情報提示支援装置は、更に、
   　前記情報提示部と、前記情報提示部に対して設定された第二パラメータとの対応関係を示す第二データを記憶する第二データ記憶部を備え、
   　前記選択部は、少なくとも、前記複数の出力情報に係る複数の分類情報の互いの関係と、前記第二パラメータとに基づいて、前記複数の出力情報の各々の提示先となる、少なくとも１つの情報提示部を選択する。
4. 　請求項１～３のいずれか１に記載の鞍乗型車両用情報提示支援装置であって、
   　前記選択部は、前記複数の出力情報の各々の提示先となる、少なくとも１つの情報提示部を、少なくとも、前記複数の出力情報に係る複数の分類情報の互いの関係と、ライダー認知時間とに基づいて、前記出力情報ごとに選択し、前記ライダー認知時間は、各前記情報提示部が前記出力情報を提示し始めてから前記出力情報がライダーによって認知されるまでに要する時間である。
5. 　請求項４に記載の鞍乗型車両用情報提示支援装置であって、
   　前記鞍乗型車両用情報提示支援装置は、更に、
   　ライダーによって運転される前記鞍乗型車両の運転状態に関する運転状態情報を取得する、運転状態情報取得部を備え、
   　前記選択部は、前記複数の出力情報の各々の提示先となる、少なくとも１つの情報提示部を、少なくとも、前記複数の出力情報に係る複数の分類情報の互いの関係と、前記ライダー認知時間と、前記運転状態情報取得部によって取得された前記運転状態情報とに基づいて、前記出力情報ごとに選択する。
6. 　請求項１～３のいずれか１に記載の鞍乗型車両用情報提示支援装置であって、
   　前記鞍乗型車両用情報提示支援装置は、更に、
   　ライダーによって運転される前記鞍乗型車両の運転状態に関する運転状態情報を取得する、運転状態情報取得部を備え、
   　前記選択部は、前記複数の出力情報の各々の提示先となる、少なくとも１つの情報提示部を、少なくとも、前記複数の出力情報に係る複数の分類情報の互いの関係と、前記運転状態情報取得部によって取得された前記運転状態情報とに基づいて、前記出力情報ごとに選択する。
7. 　請求項１～６のいずれか１に記載の鞍乗型車両用情報提示支援装置であって、
   　前記複数の情報提示部は、互いに出力情報の表示位置が異なる、少なくとも２つの表示部を含む。
8. 　請求項１～７のいずれか１に記載の鞍乗型車両用情報提示支援装置であって、
   　前記鞍乗型車両用情報提示支援装置は、更に、
   　前記出力情報を取得する出力情報取得部と、
   　前記提示指令出力部による前記提示指令に基づいて、前記複数の出力情報の各々を、前記選択部により選択された前記情報提示部に提示させる、情報提示制御部と
   を備える。
9. 　鞍乗型車両用情報提示システムであって、
   　前記鞍乗型車両用情報提示システムは、
   　前記鞍乗型車両に設けられた、請求項８に記載の鞍乗型車両用情報提示支援装置と、
   　前記鞍乗型車両又は前記装備品に設けられた前記複数の情報提示部と
   　を含む。
10. 　鞍乗型車両用情報提示システムであって、
    　前記鞍乗型車両用情報提示システムは、
    　前記鞍乗型車両又は前記装備品と異なる位置に設けられた、請求項１～７のいずれか１に記載の鞍乗型車両用情報提示支援装置と、
    　前記鞍乗型車両又は前記装備品に設けられ、前記提示指令出力部による前記提示指令に基づいて、前記複数の出力情報の各々を、前記選択部により選択された前記情報提示部に提示させる、情報提示制御部と、
    　前記鞍乗型車両又は前記装備品に設けられた前記複数の情報提示部とを含む。

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