WO2019116439A1

WO2019116439A1 - 液体組成物

Info

Publication number: WO2019116439A1
Application number: PCT/JP2017/044498
Authority: WO
Inventors: ダニエルロー; 健 ▲斉▼藤; 友希羽田; サンソンキム
Original assignee: 株式会社Ｅｄｏｎａ
Priority date: 2017-12-12
Filing date: 2017-12-12
Publication date: 2019-06-20

Abstract

本発明の目的は、従来よりも洗浄力、修復力、保護力、効能等が格段に向上した液体組成物を提供することにある。本発明の液体組成物は、微小気泡と、ケア成分とを含有することを特徴とする。本発明の液体組成物の好ましい実施態様において、微小気泡の気泡径は、５０，０００ｎｍ以下であることを特徴とする。また、本発明の液体組成物の好ましい実施態様において、微小気泡は、水素ガス、オゾンガス、炭酸ガス、酸素ガス、ナノバブル、マイクロナノバブル、マイクロバブルからなる群から選択される少なくとも１種であることを特徴とする。また、本発明の液体組成物の好ましい実施態様において、ケア成分は、洗浄成分、修復成分、保護成分または医用成分からなる群から選択される少なくとも１種であることを特徴とする。

Description

液体組成物

　本発明は、液体組成物に関し、特に、微小気泡とケア成分を含有する液体組成物に関する。

　現在、シャンプー等の液体洗浄剤または液体洗剤、トリートメント等の液体修復剤、リンスやコンディショナー等の液体保護剤を含めて液体ケア剤は、衛生上や健康上の理由で多くの人々にとってなくてはならない生活用品の１つとなっている。さらに、ペット等の動物が増えていることで、ペット用の液体ヘアケア剤等も重要なものとなっている。

　従来、液体ケア剤のうち、例えば、液体洗剤の洗浄力を上げようとするために、界面活性剤等の成分濃度を高めた液体洗剤が知られている。また、皮膚の衛生や健康のために、様々な生薬抽出物や漢方抽出物を含有した液体洗剤等が知られている（特許文献１、特許文献２参照）。

特開２０００－６３２４３号公報特表２０１１－５０５３５３号公報

　しかしながら、液体洗剤等の液体ケア剤の洗浄力を上げようとすると、同時に界面活性剤等の成分による皮膚への刺激も強くなり、肌の荒れ・発疹・痒み・過剰な免疫反応であるアレルギー等皮膚トラブルや肌トラブルの原因になりかねないという問題があった。これら皮膚トラブルや肌トラブルは、洗浄される側としては、例えば犬や、洗浄する側としては、例えば人、特にトリマーにとって大きな問題であった。トリマー（Ｔｒｉｍｍｅｒ）は、英語ではＧｒｏｏｍｅｒと表現し、ペットの洗浄、毛のカット、全体的な手入れ等を仕事とする職業人である。例えば、脂性の強い犬種を洗浄するには、洗浄力が強いシャンプーを使わざるを得ず、結果として、犬の皮膚トラブルや肌トラブルの他に、例えば、若いトリマーの手の表面が老人のようになってしまう等、人や犬の皮膚や肌が荒れるという問題を有していた。したがって、従来の液体洗剤等の液体ケア剤は、一定の洗浄力を限界としており、例えば、脂性の強い皮膚や毛に対しては、１度の洗浄に際し複数回の洗いと濯ぎが必要とされる等の問題があった。

　かかる事情は、シャンプー等の洗浄剤に限らず、トリートメント等の修復剤、リンスやコンディショナー等の保護剤等のヘアケア剤、皮膚用の洗浄や保護等のケア剤においても、同様の問題を有しており、修復力や保護力を過度に向上させると、洗浄剤と同様に、肌荒れ等の問題を有していた。

　また、上記特許文献１および２のように、皮膚の衛生や健康のために、様々な生薬抽出物や漢方抽出物を含有した液体洗剤が用いられているが、人や動物の皮膚や肌に関するトラブルが無くなることはなく、その作用が十分に発揮されている状況とは言えないという問題も生じていた。

　このように、従来の液体洗剤等を含め液体組成物、ひいては液体ケア剤は、とりわけ、脂性肌等の人や動物等に対し、十分な洗浄力、修復力、保護力、医薬的効能がなかった。

　本発明の目的は、上記問題点に鑑み、従来よりも洗浄力、修復力、保護力、効能等が格段に向上した液体組成物を提供することにある。

　上記目的を達成するために、本発明者は、液体組成物の種々の問題点について、鋭意検討を行った結果、本発明を見出すに至った。

　すなわち、本発明の液体組成物は、微小気泡と、ケア成分とを含有することを特徴とする。

　また、本発明の液体組成物の好ましい実施態様において、前記微小気泡の気泡径は、５０，０００ｎｍ以下であることを特徴とする。

　また、本発明の液体組成物の好ましい実施態様において、前記微小気泡は、水素ガス、オゾンガス、炭酸ガス、酸素ガス、ナノバブル、マイクロナノバブル、マイクロバブルからなる群から選択される少なくとも１種であることを特徴とする。

　また、本発明の液体組成物の好ましい実施態様において、前記微小気泡は、水素ガスであることを特徴とする。

　また、本発明の液体組成物の好ましい実施態様において、前記ケア成分は、洗浄成分、修復成分、保護成分または医用成分からなる群から選択される少なくとも１種であることを特徴とする。

　また、本発明の液体組成物の好ましい実施態様において、前記医用成分は、生薬、生薬成分、漢方薬、または漢方薬成分からなる群から選択される少なくとも１種であることを特徴とする。

　また、本発明の液体組成物の好ましい実施態様において、前記水素ガスの前記液体組成物中の溶存濃度は、３００ｐｐｂ以上であることを特徴とする。

　また、本発明の液体ケア剤は、本発明の液体組成物を含有することを特徴とする。

　また、本発明の液体ケア剤の好ましい実施態様において、前記液体ケア剤は、皮膚用または毛用であることを特徴とする。

　本発明の液体組成物および当該組成物を用いた液体ケア剤によれば、微小気泡が、界面活性剤等の含有成分よりも小さく、皮膚や毛の隅々まで行き渡るため、従来技術に比べて洗浄力、修復力、保護力等が大幅に向上するという有利な効果を奏する。また、本発明の液体組成物および当該組成物を用いた液体ケア剤の別の態様によれば、十分に洗浄等された皮膚や毛等に対し、生薬成分や漢方薬成分等の作用が働きやすくなるという有利な効果を奏する。また、本発明の液体組成物および当該組成物を用いた液体ケア剤の別の態様によれば、高い洗浄力等に加え、殺菌作用や除菌作用、臭気・悪臭の低減または除去作用、生物活性作用等も見込めるという有利な効果を奏する。また、本発明の液体組成物および当該組成物を用いた液体ケア剤においては、微小気泡の気泡径がナノバブル以下の場合は、液体中に長時間滞在できるという有利な効果を奏する。

　また、本発明の液体組成物および当該組成物を用いた液体ケア剤によれば、水素ガス等の微小気泡の量を増加してもアレルギー反応はなく、逆に、界面活性剤等のケア剤成分の量を減らすことが出来、ひいては、アレルギー反応等の問題も解決できるという有利な効果を奏する。また、本発明の液体組成物および当該組成物を用いた液体ケア剤によれば、１度の洗浄、修復、保護等で十分であるため環境負荷を低減することが可能であり、工程短縮・時間短縮・コスト低減等が可能なことから経済効果も見込め、かつ、トリマーの手も荒れないという有利な効果を奏する。さらに、本発明の液体組成物および当該組成物を用いた液体ケア剤によれば、高い洗浄力、修復力、保護力、効能等のため、犬の皮膚や肌のアレルギーが鎮静される、毛の状態が良くなる、臭わなくなる、静電気の放電による瞬間的刺激が起きない等の効果があり、かつ、その効果の持続時間が長いため、洗浄の頻度を減らすことができるという有利な効果を奏する。

　本発明の液体組成物および当該組成物を用いた液体ケア剤は、微小気泡と、ケア成分とを含有することを特徴とする。本発明において、ケア成分とは、洗浄、修復、保護、回復、治癒等を含め、広く皮膚や毛に関して使用することができる化粧品類、医薬品類、日用品類等に使用される成分とすることができる。本発明の液体組成物の好ましい実施態様において、前記ケア成分は、洗浄成分、修復成分、保護成分、または医用成分からなる群から選択される少なくとも１種であることを特徴とする。

　本発明において、例えば毛用を例にすれば、本発明の液体組成物および当該組成物を用いた液体ケア剤は、洗浄成分を使用する場合にはシャンプー等の液体洗浄剤組成物に、修復成分を使用する場合にはトリートメント等の液体修復剤組成物に、保護成分を使用する場合にはリンスやコンディショナー等の液体保護剤組成物に、それぞれ使用することができる。また、本発明において、例えば皮膚用を例にすれば、本発明の液体組成物および当該組成物を用いた液体ケア剤は、液体石鹸、家庭用洗剤、業務用洗剤、保護用のスキンミルク、ジェル等に使用することができる。

　本発明において、使用可能な洗浄成分、修復成分、保護成分、または医用成分等については常法により特に限定されない。例えば、洗浄成分としては、常法によりシャンプーや液体石鹸等の公知の洗浄剤に使用される成分を用いることができ、修復成分としては、常法によりトリートメントやジェル等の公知の修復剤に使用される成分を用いることができ、保護成分としては、常法によりリンスやコンディショナーまたはスキンミルクやジェル等の公知の保護剤に使用される成分を用いることができる。

　本発明において、洗浄成分とは、石けん等の界面活性剤、合成界面活性剤、天然界面活性剤、粘土等を含め、洗浄効果を有する成分を意味することができる。また、洗剤とは、一般には、分子内に水になじみやすい部分である親水基と、油になじみやすい部分である親油基あるいは疎水基を持ち、例えば、水に溶けにくい汚れを包みこんで水等の溶媒中に分散させる効果等があるものと定義される界面活性剤を必須成分とするものであるが、本発明においては、広義に解釈することが可能であり、本発明の液体組成物および液体ケア剤は、いわゆる界面活性剤を含まない洗剤または洗剤組成物をも含むことができる。これは、後述するように、洗浄する対象によっては、本発明における微小気泡のうち、キャビテーション効果を有する物質、例えば、水素、とりわけ水素ガスの、キャビテーション効果による洗浄力によって、十分な洗浄が可能だからである。

　したがって、キャビテーション効果等による洗浄力が所望の洗浄に対して十分であれば、洗浄成分は水等を含め、特に限定されない。

　界面活性剤は、現在市販されているシャンプーの９割以上に含有されていると推測されるが、一方で、界面活性剤を使用していないシャンプーにキャビテーション効果を有する物質として、例えば水素、とりわけ水素ガスを注入しても、キャビテーション効果が低下することなく、洗浄効果を維持または向上させることが可能である。

　本発明の液体組成物および当該組成物を用いた液体ケア剤は、肌や皮膚の脂性が強い対象に対して好適に効果を発揮することができる。肌や皮膚の脂性が強い対象としては、犬、ウサギ、馬、ハクビシン、一部の猫等を挙げることができる。

　また、本発明において、前記微小気泡の機能または作用について説明すると、以下の通りである。

１）洗浄力の向上
２）生薬成分・漢方成分の効能・効果や配合成分の効果の向上
３）生薬成分・漢方成分や配合成分との協業
４）殺菌、除菌、臭気・悪臭の低減または除去
５）生物活性
６）気泡径がナノバブル以下の場合は、液体中に長時間滞在

　上記１）について、洗浄力の向上という微小気泡の機能は、主としてキャビテーション効果によるものが挙げられる。キャビテーションとは、液体中において短時間に泡の発生と消滅が起こる物理現象で、本発明においては、例えば、微小気泡の水素ガスを核としたキャビテーションが発生することで、洗浄効果を向上させることができると考えられる。液体中においてキャビテーション効果を有する物質としては、例えば、水素ガス（Ｈ_２ガス）、オゾンガス（Ｏ_３ガス）、炭酸ガス（ＣＯ_２ガス）、酸素ガス（Ｏ_２ガス）、ナノバブル、マイクロナノバブル、マイクロバブル等が挙げられる。実用的には、例えば、ナノバブルは建築物の外壁、橋梁、厨房、トイレ、自動車、電車、バス、繊維等の、特に小さな凹凸のあるところに入り込み、頑固な汚れを剥離することができる。

　また、例えば、界面活性剤を使用していない洗浄剤として、粘土を活用したものを例に挙げれば、当該粘土を洗浄成分とする洗剤に、水素ガスを注入すると、粘土の吸着力による洗浄効果と併せて、水素ガスによるキャビテーション効果も働き、洗浄力を向上させることができる。

　また、洗浄という意味では、微小気泡は水質浄化の機能も併せ持たせることができる。例えば、マイナスの電荷を帯びているマイクロバブルは、水中に漂うプラスの電荷を帯びた汚濁物質等の微細な異物に吸着することができる。吸着後は収縮していき、マイクロバブルが潰れる圧潰という現象が起こり、数千度の熱と数千気圧の圧力を局部的に発生させることができる。このエネルギーにより汚れ等の異物が粉砕され、さらには有機物が分解する。その残滓はゆっくりと上昇するマイクロバブルに吸着して水面へと浮上し、除去されることで水質を浄化させることができる。また、汚水処理にマイクロナノバブルを活用することで、微生物を活性化し、非常に強い水質浄化作用が期待できる。

　上記２）について、生薬成分・漢方成分の効能・効果や配合成分の効果の向上という微小気泡の機能は、上記１）に挙げた洗浄力向上の二次的効果として現れたものと言うことができる。すなわち、洗浄力が向上することにより、皮膚や毛の表面等に付着している脂、油、汚れ等が十分に落ち、その結果、生薬成分・漢方成分や配合成分が皮膚や毛に直接作用しやすい状況が整うことが可能となる。逆に洗浄力が弱い場合は、皮膚や毛の汚れ等が十分に除去されていない状況となり、生薬成分・漢方成分や配合成分が皮膚や毛に直接作用することを妨げてしまう虞がある。

　なお、本発明において、微小気泡の機能または作用は同時に複数が働くこともある。例えば、後述する実施例では、上記１）および２）が同時に働いたことが確認された。従来のシャンプーでは、人の手が荒れるくらい界面活性剤をどんなに強くまたは工夫しても、１度の洗浄では、犬の脂性や油性の頑固な汚れを十分に除去することができなかった。しかし、微小気泡のＨ_２ガスとの相乗効果により、皮膚や毛の表面等に付着している脂性や油性の汚れを十分に除去することができたことにより、生薬成分が皮膚や毛に直接作用することができ、即効性のある明らかな生薬成分の効果を発揮できることが確認された。なお、犬の皮膚の厚みは、人の３分の１～５分の１程度と言われており、薄くかつ敏感なため、複数回の洗浄は犬の皮膚へダメージを与える場合があり、１度の洗浄により洗浄や生薬成分・漢方成分の効果が出ることは重要な意味を持つことができる。

　上記３）について、生薬成分・漢方成分や配合成分との協業という微小気泡の機能は、微小気泡がより積極的に生薬成分・漢方成分や配合成分に関わることを意味することができる。例えば、微小気泡の一種であるオゾンガスは、洗浄作用や殺菌作用がある他に、獣医学分野では腫瘍や癌に対するオゾン療法としても使用することができる。本発明において、液体組成物の中にオゾンガスと生薬成分・漢方成分等を含有させ協業させることにより、治療効果を高めることが期待できる。このような協業は、生薬成分・漢方成分や配合成分の種類、微小気泡の種類、使用条件等により、物理的、化学的、電気的、医学的、薬学的等、様々なものが考えられ、本発明に適用可能である。

　また、本発明において、後述する実施例では、洗浄成分を含む液体洗浄組成物に抗炎症作用や消炎作用等を有する生薬成分と、微小気泡として水素ガスを含有させることで、洗浄対象である犬の皮膚アレルギーを鎮静させることが可能であることが確認された。

　また、本発明において、修復成分を含む液体組成物の場合には、微小気泡を構成する物質、例えば水素が、他の配合成分の内部浸透を助けるという有利な効果を奏することが可能となる。また、本発明において、保護成分を含む液体組成物の場合には、微小気泡の水素等が、楔穴（くさびあな）を形成し、保護効果を向上させるという有利な効果を奏することが可能となる。

　上記４）について、殺菌、除菌、臭気・悪臭の低減または除去という微小気泡の機能または作用は、微小気泡の別な機能または作用として活用することができる。例えば、微小気泡の殺菌作用や除菌作用としては、帯電作用と圧壊時に発生するラジカルの作用により、菌、ウイルス、藻等を不活性化することができる。ここで、ラジカルとはフリーラジカルあるいは遊離基とも呼ばれ、不対電子を持つ原子、分子、またはイオンのことを示すことができる。

　例えば、殺菌作用や除菌作用のある微小気泡としては、オゾンガスが挙げられる。実用的には、例えば、食品加工分野では、マイクロナノバブル化されたオゾンガスを含む水は一定期間の除菌効果が見込めるため、食品の鮮度を保つ効果が期待できる。

　また、臭気・悪臭の低減または除去作用のある微小気泡としては、例えば、マイクロバブルやナノバブルの酸素ガスが挙げられる。例えば、工場の排水処理場や下水処理場での臭気や悪臭臭気を対策する際は、上記酸素ガスを調整槽や曝気槽等の槽底の隅々まで送り届けることで、槽底の嫌気化による腐敗を改善し、臭気や悪臭を低減または除去できる。臭いの元となる物質を分解や吸着等の方法により除去する脱臭は、臭いが発生してから対策するという意味で二次的な対策であるが、微小気泡による臭いの対策は、臭いを発生する元の物質に対して対策するため、その有効性は高い。

　上記５）について、生物活性という微小気泡の機能は、例えば、マイクロバブルの機能が挙げられる。マイクロバブルは気泡自体が含む空気を水に溶かしながら水中で消えるため、水中の溶存酸素量を増加させ、生物の生理活性化を促すという特性があり、これらの作用も本発明に適用することが可能である。

　実用的には、例えば、農業分野では、マイクロナノバブルが農作物を生理活性させることで、成長スピードを向上させたり、鮮度維持にも優れた効果を発揮することができる。また、水産分野では、例えば、酸素ナノバブルを活用し、水中の嫌気化を防ぐことで、生理活性を行い、魚貝類の鮮度を維持することが期待できる。また、畜産分野では、動物の水分補給に活用することで、生理活性の促進や感染症の予防に繋がり、さらには、抗生物質の不要化が期待できる。また、医療分野では、湯にマイクロバブルを注入した場合の入浴は、毛細血管の血流量が２～３倍になる血流促進効果を有することができる。また、美容分野では、マイクロナノバブル水を化粧水として活用することにより、生理活性が促進され、美容効果を高めることができる。

　上記６）について、気泡径がナノバブル以下の場合に微小気泡が液体中において長期滞在するという機能は、品質維持や品質保持に役立たせることができる。ストークスの式で計算すると、例えば、直径１０，０００ｎｍの微小気泡は、１分間に約３ｍｍしか上昇しない。さらに、ナノバブルの気泡径である２００ｎｍ以下の微小気泡の場合は、配合成分や保存状態等の条件によっては、浮力を受けることなく、水中でブラウン運動をしながら、水液中に長時間に亘り滞在させることができる。この事実は、例えば一般的に販売されている炭酸飲料を考えれば、経験的に理解できる。炭酸飲料は、例えば機密性を高くする目的のアルミコーティング等されていない容器、例えばポリエチレンテレフタレート製のボトル容器に入っているが、賞味期限は約半年間であり、実際に1年間程度は炭酸飲料としてほぼ十分な量の炭酸ガスが残存している。後述する実施例では、液体洗浄組成物に水素ガスを１，０００ｐｐｂまで溶存させポリエチレンテレフタレート製のボトル容器に入れて密閉すると、溶存濃度は低下するが、約２年間は３００ｐｐｂ以上で安定させることが可能であることが確認された。

　但し、例えば、動物病院等の医療現場において、水素ガス等の微小気泡を、シャンプー等の媒体にその場で高濃度で注入し、治療用等に使用することも可能である。

　このように、微小気泡は様々な種類、機能、作用があり、実施例に示した効果だけでなく、他にも様々な効果を発揮する液体組成物または液体ケア剤を配合または調合することが可能である。

　本発明の液体組成物の好ましい実施態様において、前記微小気泡は、水素ガス、オゾンガス、炭酸ガス、酸素ガス、ナノバブル、マイクロナノバブル、マイクロバブルからなる群から選択される少なくとも１種であることを特徴とする。これら水素ガス、オゾンガス、炭酸ガス、酸素ガス、ナノバブル、マイクロナノバブル、マイクロバブルからなる群から選択される少なくとも１種による、上述した微小気泡による機能または作用により、本発明者らは、これまでの技術常識に反して、優れた、洗浄、修復、保護、回復、治癒等の効果等を有することを見出したものである。

　一般的には、水素ガスの気泡径は０．２ｎｍ程度、オゾンガスの気泡径は０．２２ｎｍ程度、炭酸ガスの気泡径は０．２３ｎｍ程度、酸素ガスの気泡径は０．４ｎｍ程度、ナノバブルの気泡径は２００ｎｍ程度以下、マイクロナノバブルの気泡径は２００ｎｍ～１０，０００ｎｍ程度、マイクロバブルの気泡径は１０，０００～５０，０００ｎｍ程度である。但し、水素ガス、オゾンガス、炭酸ガスおよび酸素ガスの気泡径は、長軸方向である。

　また、本発明においては、複数の微小気泡同士を組み合わせることで、複数の効果を発揮させたり、単一の効果をさらに向上させること可能である。例えば、液体洗浄組成物や液体ケア剤に、微小気泡として水素ガスとオゾンガスを混入させることが挙げられる。オゾンガスには強い殺菌作用がある他、例えば、人の難治性の疾患に関し、感染症、皮膚病、免疫不全、老人病、慢性リウマチ、アレルギー、癌（但し補助療法）等に対して有効とすることができる。また、獣医学分野では、犬や猫に関し、腫瘍や癌に対するオゾン療法に十分な効果があり、クオリティ・オブ・ライフを改善することができる。この場合、水素ガスの洗浄力向上作用により、しっかりと洗浄した上で、オゾンガスの殺菌作用や、腫瘍や癌に対する治療作用等が働くことで、回復効果、治癒効果、治療効果等をより高めることができる。また、水素ガスとオゾンガスは双方ともキャビテーション効果を有するため、洗浄作用がさらに高まることも考えられる。

　なお、上記犬や猫のオゾン療法は、例えば、超音波やアルカリと組み合わせることで、さらに治療効果を高めることができる。したがって、本発明の液体組成物や液体ケア剤を使用する際に、さらなる効果向上を期待して、本発明の液体組成物や液体ケア剤以外のものとの組み合わせを活用することもできる。

　また、微小気泡は、それ自体でも環境負荷が低く、さらには、製造過程においても、例えば、工業用の水素水は超純水に水素ガスを溶解させて作られ、洗剤を使うよりも、環境負荷を低減できる利点がある。さらに、後述する実施例では、従来は複数回の洗浄が必要な場合でも、本発明による液体洗浄組成物または液体ケア剤では１回の洗浄で済むので、環境負荷やコスト等を低減できるという有利な効果を奏することがわかった。

　本発明の液体組成物の好ましい実施態様において、前記微小気泡の気泡径は、マイクロバブルの気泡径以下、すなわち５０，０００ｎｍ以下であることを特徴とする。

　本発明の液体組成物の好ましい実施態様において、前記微小気泡は、水素ガスとすることができる。例えば、洗浄成分を用いた本発明の液体ケア剤の場合、水素ガス（Ｈ_２ガス）のキャビテーション効果による洗浄力は、界面活性剤等の洗浄成分による洗浄力と共に働くことにより、洗浄力を向上させることができるという有利な効果を奏する。

　本発明の液体組成物の好ましい実施態様において、前記医用成分は、生薬、生薬成分、漢方薬、または漢方薬成分からなる群から選択される少なくとも１種であることを特徴とする。本発明において、生薬または生薬成分としては、生薬原体、生薬抽出物、生薬加工物等を、漢方薬または漢方薬成分としては、漢方薬原体、漢方薬抽出物、漢方薬加工物等を用いることができる。本発明の液体組成物および当該組成物を用いた液体ケア剤は服用するものではなく、基本的には、皮膚や毛の外から使用し作用させることができる。したがって、本発明においては、皮膚や毛の外から使用する生薬、生薬成分、漢方薬、漢方薬成分は全て含むことができる。

　なお、本発明において、生薬としては、例えば、天然に存在する薬効を持つ産物から有効成分を精製することなく体質の改善を目的として用いる薬を挙げることができる。世界各地の伝統医学では多くの生薬が用いられており、生薬となる天然産物には、植物由来のもの（薬用植物を含む）、動物由来のもの、菌類由来のもの、そして鉱物由来のものが含まれる。多くの場合は煎じ薬やエキス剤、チンキ剤等、加工してから薬品として用いられる。まれに、貼薬のように原体をそのまま使う場合もある。生薬は漢方薬を構成する原料であり、例えば、薬草の根・葉・皮・果実・種等を使用することができる。生薬は天然物であることから、含有されている薬効成分は一定ではなく、同じ植物であっても、産地や栽培方法、あるいは作柄によっても成分が変わる場合も多い。

　他方で、本発明において、漢方薬としては、漢方医学に基づいて生薬または生薬成分を組み合わせたものを挙げることができる。漢方薬を構成する生薬の組み合わせは、各々の生薬の分量や比率に理論や意図があり、多くの研究や経験等を経て、効果的で安全な薬として確立されたものである。

　また、本発明において、生薬成分や漢方薬成分としては、それぞれ生薬や漢方薬を構成する成分物質であり、生薬や漢方薬を原材料として加工または抽出された成分を挙げることができる。例えば、成分を抽出する方法は、化学的分離操作法として固液抽出、液液抽出、溶媒抽出、分液等があり、所望の用途や目的に応じて適宜選択することが可能であり、常法により特に限定されない。同じく、加工方法についても、所望の用途や目的に応じて適宜選択することが可能であり、常法により特に限定されない。

　なお、例えば、日本では、生薬と漢方薬を区別しているが、国によっては区別せず、表現する単語も同じである場合がある。また、例えば、国によっては、生薬を表現する単語として、未精製薬（ｃｒｕｄｅ　ｄｒｕｇ）を使用したり、民間伝承で用いられる場合等には薬用ハーブ（ｈｅｒｂａｌ　ｍｅｄｉｃｉｎｅ）を使用したりする。いずれにしても、言葉の定義が曖昧であり、本発明においては、生薬および漢方薬という単語を使用する際は、なるべく区別して表現するが、薬効を持つ天然由来の物質、抽出物、加工物、またはその成分等と広い意味を含むことができる。

　また、本発明に使用することが可能な生薬または生薬成分等としては、皮膚の保湿作用・抗炎症作用・鎮静作用等の観点から、アロエエキスを、殺菌作用・消炎作用・防痒作用等の観点から、オウバクを、傷の回復作用・消炎作用・鎮静作用・殺菌作用等の観点から、カミツレを、抗炎症作用・防痒作用・表皮と角化細胞の増殖促進作用・皮脂の過剰分泌抑制作用等の観点から、クズ根エキスを、皮膚の血行促進・鎮静作用・消炎作用等の観点から、センブリを、抗菌作用・皮膚コンディショニング作用等の観点から、アカマツ葉エキスを、フケ・痒み抑制・血流促進・ヘアサイクルの正常化等の観点から、エビネ蘭エキスを、皮膚の柔軟作用・血行促進作用等の観点から、イチョウ葉エキスを、肌荒れ防止作用・静菌作用・老化防止作用等の観点から、ヨモギ葉エキスを、抗菌作用・抗酸化作用・抗炎症作用・消炎作用・保湿作用等の観点から、ローズマリー、クララ根、サクラを、消炎作用・鎮静作用等の観点から、センキュウ根エキスを、刺激緩和作用・脱毛抑制作用等の観点から、甘草、オウゴンを、フケ・痒み防止作用等の観点から、アロエエキス、ニンジン根を、それぞれ挙げることができる。

　そのほか、本発明に使用することが可能な生薬または生薬成分等としては、アマチャヅルエキス、アマチャエキス、ウコネキス、ウメ、エゾウコギ根エキス、カミツレエキス、ショウズク種子エキス、カンゾウ根エキス、カキ葉、ヨモギエキス、ケイヒエキス、ゲッケイジュ葉エキス、コショウ種子エキス、グアバ葉エキス、ベニバナエキス、コムギフスマエキス、モッコウ根エキス、ジオウエキス、サンシュユ果実エキス、シソ種子エキス、シャクヤク根エキス、サフランエキス、サンシチニンジンエキス、チョウジエキス、タイソウエキス、トウガシエキス、オタネニンジンエキス、ニクズクエキス、ニュウコウエキス、カイコエキス、ビャクダンエキス、ユリエキス、ブクリョウエキス、モツヤクジュ油、カリンエキス、カキカラ抽出物、アケビ茎エキス、ショウズク種子油、ローズマリー油、ラベンダー油、クコエキス、オオバゲッケイエキス、ダイウイキョウ果実エキス、サンゴ末、イギスエキス、ホホバ種子油等を挙げることができる。

　また、本発明において、生薬または生薬成分等の添加量に関する計算、定量的な表示、測定、管理等は、例えば以下の通り行うことができる。すなわち、本発明において、上記添加量の定量化は、液体組成物全体または液体ケア剤全体に対して、製造時に混ぜ合わせる各生薬成分等の投入重量の割合で行うことができる。例えば、組成物全体に対して、生薬成分等の割合としては、好ましくは、０．１重量％～７０重量％、より好ましくは、５重量％～２５重量％とすることができる。

　そのほか、本発明の液体組成物には、いわゆる生薬成分を含む公知のシャンプー等に使用されている何首烏、松葉等の薬剤、黒まめ、黒ごま等の穀物、ローズマリー、セージ・グリーン等のハーブを含むことができる。

　本発明の液体組成物の好ましい実施態様において、前記微小気泡を構成する物質の液体組成物中の溶存濃度については、所望の用途に応じて適宜設定することが可能であり、特に限定されない。例えば、前記微小気泡を構成する物質として、水素ガスを例にすれば以下の通りである。例えば、前記水素ガスの液体組成物中の溶存濃度は、洗浄効果を高めることや、濯ぎの段階で泡を落ちやすくすることのほか、とりわけ、生薬成分等を使用する場合には、当該成分の作用を働きやすくするという観点から、１００ｐｐｂ以上、より好ましくは３００ｐｐｂ以上であることを特徴とする。

　なお、微小気泡を構成する物質の溶存濃度については、上述のように特に限定されないが、後述する実施例においては、微小気泡を構成する物質として、水素ガスを用いた場合、水素ガスの溶存濃度を０ｐｐｂ、１００ｐｐｂ、３００ｐｐｂの３種類で実施し、結果として、水素ガスの溶存濃度１００ｐｐｂで効果が認められ、３００ｐｐｂで十分に良い効果が得られた。

　したがって、水素ガスの溶存濃度は、例えば、経済的観点から１００ｐｐｂ程度にすることも可能であり、十分な効果を得ることを目的に３００ｐｐｂ程度にすることも可能であり、さらには、効果促進の観点から、３００ｐｐｂを超えてより高濃度にすることも可能である。

　なお、液体ケア剤、例えばシャンプーの製造過程では、水素ガスの溶存濃度を、例えば１，０００ｐｐｂまで一時的に上げることが可能であり、実際に製造直後では水素ガスが１，０００ｐｐｂ程度は溶存している。その後、溶存濃度は低下するが、約２年後に３００ｐｐｂ以上溶存していることが確認されている。これは、例えば、本発明の液体組成物または液体ケア剤等の製品の製造後、パッケージに詰めて輸送し、場合によっては保管や店頭での陳列等を経た後、消費者が購入し使用するまでの間に、数か月から長くて２年程度の時間が経過するという実用的な観点から考えると、その間において３００ｐｐｂ以上の必要濃度を維持することが可能であり、十分に実用的な溶存期間を確保できることを意味する。

　また、液体ケア剤、例えば、シャンプー等は、製造後、水素ガスの漏洩防止に効果があるアルミニウム多重コーティングされた密閉容器内等で保存することができる。さらに、必要に応じ、例えば、シャンプー等を入れた容器の出口にもアルミニウム内蔵加工等を実施したり、アルミニウム製パウチに封入することにより、水素ガスの漏洩対策をより強化することも可能である。このような方法を用いることで、５００ｐｐｂ、７００ｐｐｂ等、需要に応じて、水素ガスの溶存濃度を適宜設定することが可能である。

　本発明の液体ケア剤は、本発明の液体組成物を含有することを特徴とする。本発明の液体組成物については、上記説明を参照することができ、そのまま本発明の液体ケア剤に適用することができる。

　本発明の液体ケア剤の好ましい実施態様において、前記液体ケア剤は、皮膚用または毛用であることを特徴とする。これは後述する実施例において確認されたように、本発明の液体組成物および液体ケア剤は、毛の洗浄、修復、保護等を目的として用いることができるほかに、同時に、皮膚や肌に対しても、良好な洗浄、修復、保護の効果を有し、さらには、皮膚アレルギーや手荒れ等の問題も同時に解決できることから、回復、治癒等の効果を有することが判明したためである。

　なお、本発明の液体組成物等の安全性については、保管時や輸送時の安全性と人体や動物の健康に対する安全性の２点が考えられる。保管時や輸送時の安全性に関しては、例えば、製造直後の液体ケア剤、例えば１，０００ｐｐｂ程度の水素ガスが溶存しているシャンプーに酸素ガスを反応させて爆発させようとしても、爆発しない。本発明の液体ケア剤を作製して１年以上が経過しているが、経験的に、そのような危険性はないことが確認されている。水素ガスと酸素ガスが化学反応し、安全性が脅かされるほどの爆発が発生するには、その爆発に必要なガスの量と、着火等によるエネルギー供給等が必要であり、本発明の液体組成物の保管時や輸送時において、そのような条件は通常はあり得ない。また、人体や動物の健康に対する安全性に関しても、例えば、本発明において実施した実施例等において、安全性を損なうような危険性はないことが確認されている。

　本発明の液体組成物の製造工程の一例を、例えば微小気泡を構成する物質として水素ガスを例として、要約すると以下の通りである。まず、水素ガス以外の成分を全て配合または調合し、液体ケア剤の液体原料を製造することができる。液体原料の製造方法は、常法により特に限定されない。この得られた液体原料に水素ガスを注入することで、本発明の液体組成物を得ることができる。水素ガス等の注入方法に関しても、常法により特に限定されない。本発明においては、製造工程の最終段階において、液体等に対し、例えば、純度９９.９％のＨ_２ガス（水素ガス）を注入することができるため、注入されたＨ_２ガスのほとんどはイオン化されず、そのままの状態で存在し続けることになる。なお、本発明の液体組成物にＨ_２ガスを注入しても、液体ケア剤自体はＨ_２ガスと化学反応することがほぼ無いこと、すなわち液体ケア剤が別物性の化学物質に変化していないことが確認されている。

　後述の実施例で示すように、Ｈ_２ガス（水素ガス）を液体原料に注入した結果、液体ケア剤の中のＨ_２ガスの溶存濃度が１００ｐｐｂ以上、好ましくは３００ｐｐｂ以上であることが、液体ケア剤の洗浄力の向上や、含有されている生薬成分や漢方薬成分の効能を向上させるためには望ましい。

　ここで、本発明の液体組成物の一実施例を説明するが、本発明は、下記の実施例に限定して解釈されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であることは言うまでもない。

　まず、本発明の一実施例として、液体組成物を作製し、液体ケア剤として、毛用の液体ケア剤、すなわち、シャンプーを用いて毛に与える影響を調べると同時に、当該液体ケア剤が皮膚に与える影響（皮膚用ケア剤の効果）についても調べた。具体的には、生薬成分を含有するケア剤、およびこれら生薬成分を含有しないケア剤に対し、微小気泡を構成する物質として、水素を一例として、Ｈ_２ガス（水素ガス）を含有させた場合を調べた。当該液体ケア剤を使用する対象は、犬とした。Ｈ_２ガスの注入において、Ｈ_２ガスの溶存濃度は溶存水素計により確認した。本実験における溶存水素濃度の測定は、株式会社トラストレックス製の溶存水素計ＥＮＨ－１０００を用いて行った。

　表１に試験で使用した液体ケア剤を示す。液体ケア剤としてシャンプーを使用した。

　全部で３種類を用意し、ＡとＢは生薬成分を含むシャンプー（生薬シャンプー）、Ｃは生薬成分を含まないシャンプー（非生薬シャンプー）とした。ＡとＢは、生薬成分の種類・種類数・総重量比率・配合比率・濃縮度等が異なる。

　表１のＡの液体ケア剤は、生薬成分（生薬抽出物含む）として合計５種類を、組成物全体に対して約１０重量％含有させた液体ケア剤の原液を製造した。その他の非生薬成分については、特に限定されないが、水、公知の界面活性剤、香料等を、本発明の効果を逸脱しない範囲において、適宜選択することができる。

　また、表１のＢの液体ケア剤は、市販品のシャンプーで、生薬成分（生薬抽出物含む）として合計８種類が、組成物全体に対して、約３３重量％含有された液体ケア剤の原液を使用した。生薬成分は、具体的には、シベリアノギク（九節草）、人参、ヨモギ、桑白皮、タカサブロウ（早蓮草）、川キュウ、葛根、ツルドクダミの根（何首烏）であった。その他の非生薬成分については、特に限定されないが、水、公知の界面活性剤、香料等を、本発明の効果を逸脱しない範囲において、適宜選択することができる。

　また、表１のＣの液体ケア剤は、市販品のシャンプーで、具体的には、生薬成分（生薬抽出物含む）あるいは漢方薬成分（漢方薬抽出物含む）を含まない液体ケア剤の原液を使用した。非生薬成分については、特に限定されないが、水、公知の界面活性剤、香料等を、本発明の効果を逸脱しない範囲において、適宜選択することができる。

＜試験品＞
　表２に試験品一覧を示す。

　上記表１における３種類のシャンプーＡ～Ｃを基に、上記表２に示す計６種類の試験品を作製し、試験に使用した。

＜試験方法＞
　計４名の人に、テスターとして犬を洗浄してもらった。バランスを考え、２名をトリマー（英語ではＧｒｏｏｍｅｒ）、２名をペットの飼い主（一般人）とした。なお、データの偏りを防ぐため、テスターの中に本発明者は含まれていない。

　当該液体ケア剤、つまりシャンプーによる洗浄の対象となった被験犬は延べ１９匹であり、トリマーの場合は店へ無作為に連れて来られたペット犬と自分の飼い犬、一般人の場合は各自の飼っているペット犬であり、普段洗浄している通りの実用的な環境や条件の下で試験を実施した。

　被験犬の内訳は、プードル（１歳、４歳、６歳、１３歳、１７歳）、トイ・プードル（８歳、１４歳、１７歳）、ポメラニアン（１１歳、１４歳）、ダックスフント（６歳）、シーズー（１１歳）等であり、中には複数の異なる試験品に対し試験対象となった被験犬もいた。

　テスターに対しては、シャンプーの種類、微小気泡の有無・溶存濃度、生薬成分の有無・種類数・総重量比率・濃縮度等の試験品に関する情報は与えなかった。つまり、テスターは、微小気泡や生薬成分等に関する実験条件を一切知らず、単に試験品の試用として試験を実施してもらった。

　各被験犬に対し、試験品であるシャンプーを１度だけ使用してもらい、リンスやコンディショナー等は使用せず、洗浄を終えてもらった。洗浄中の状態、洗浄直後の状態、その後の経過を最長で３週間観察してもらった。なお、３週間以前に効果が消えた場合は、その時点で試験を終了してもらった。シャンプーの使用に際しては、洗い方や、試験品と一緒に使用する水の種類・量・温度等は一切指定せず、各自が普段実施しているような方法で被験犬を洗浄してもらった。

　試験結果は、アンケートに答える形式で、紙媒体あるいは電子媒体に記入してもらうとともに、必要に応じてヒアリングを行い、その結果を本発明者が分析・整理した。

＜試験結果と考察の概要＞
　表３に試験結果の概要を示す。

　表１の試験品Ｎｏ．２を犬のシャンプーとして試用したところ、たった１度の使用で、明確に良い効果が得られた。計７匹の犬で試用した結果、全７匹において有効性はほぼ同じであった。この効果の詳細は後述するが、本発明者が知りうる限り、医薬品・医薬部外品・一般品（動物用雑貨）の全てを含む、従来のどのシャンプーでもこの効果を実現できていない。

　具体的に、試験結果の詳細については以下の通りである。

　以下に、試験品Ｎｏ．１～６を実施例１～４と比較例１～２に分けて、試験結果の詳細を示す。洗浄力と生薬成分の効果の２事項に絞り、各々最大５点の定量的評価を実施し、表３の各評価に反映させた。

（１）比較例１（試験品Ｎｏ．１）　　総合評価　４
シャンプーの種類：Ａ
生薬成分　　　　：５種類、濃縮度２００倍、総重量比率１０％
Ｈ_２ガス　　　　：溶存濃度０ｐｐｂ
被験犬数　　　　：４匹

（ａ）洗浄力　　評価：３
　泡立ち等は良かったが、洗浄力は後述する実施例１（試験品Ｎｏ．２）に比べると弱かった。具体的には、シャンプーで洗浄後、お湯で洗い流している際に、脂や汚れが十分に落ちていなかったため手触りが異なり、試験品Ｎｏ．２に比べ洗浄力が劣るのが明確にわかった。具体的には、手で毛に触れた際、少し脂を感じる感触があり、脂が十分に洗浄されていなかった。そのため、後述する試験品Ｎｏ．２（十分な洗浄を達成）と比較した場合、例えば、ドライヤーで乾燥させた後の皮膚や毛の状態は、全く異なる状態となってしまった。試験品Ｎｏ．２の洗浄力があまりに高いため評価点は３としたが、基本的な洗浄力は、市販されている他の多くの製品に比べ遜色ない。

　なお、一般的に行われているように２度洗いを実施すれば、異なる結果が得られると推測されるが、今回の試験は１度のみの洗浄という条件で実施した。

（ｂ）生薬成分の効果　　評価：１
　いつもは犬が痒がって掻いているため肌が赤くなるが少し軽減していた、という試験結果もあるが、全体的には生薬成分の効果はあまりなかった。使用後の香りも弱く、１～２週間後にはアレルギー臭を含む体臭が気になる等、試験品Ｎｏ．２では明瞭に確認された生薬成分の効果は見られなかったため、評価点は１とした。

（ｃ）その他
　洗浄したその日に静電気が発生してしまう等、試験品Ｎｏ．２で確認されたその他の素晴らしい効果は確認できなかった。

（２）実施例１（試験品Ｎｏ．２）　　総合評価　１０
シャンプーの種類：Ａ
生薬成分　　　　：５種類、濃縮度２００倍、総重量比率１０％
Ｈ_２ガス　　　　：溶存濃度３００ｐｐｂ
被験犬数　　　　：７匹

（ａ）洗浄力　　評価：５
　今回試験した中で、最も洗浄力が高かった。一度の洗浄で、十分に汚れが落ちた。犬は動物の中で最も脂性の強い部類に入り、さらに、高齢になるほど脂性が強くなる傾向がある。試験品Ｎｏ．２の洗浄力には賞賛の声が寄せられた。例えば、トリマーのテスターによれば、長年のトリミング業務や経験の中で様々なシャンプーを試してみたが、試験品Ｎｏ．２は他のシャンプーとは違い、濯ぎの段階で洗い流している最中、毛や皮膚の汚れが脂や油の膜となって多量に出てきたのを目視で確認でき、大変に驚いたそうである。これらの結果から、試験品Ｎｏ．２は、毛の洗浄を目的としたシャンプーとして効果を発揮するだけでなく、皮膚用の液体ケア剤としての効果も発揮することが判明した。

　同時に、この試験品Ｎｏ．２の場合は、トリマーの手が荒れない。洗浄力が高い従来のシャンプーの場合、広告宣伝でどんなに「荒れない」と謳っていても、トリマーの手が全く荒れないということはなかった。テスターの表現によれば、従来、洗浄力の強いシャンプーを使うと、たった１度で老人の肌のようなシワ、ひび割れ、アカギレが手に発生していたそうである。なお、トリマーの手荒れ対策として、例えば、手袋をしてから洗浄する方法が考えられるが、洗浄中、トリマーは手で犬に直接触れることにより、細かい部分に対する洗浄度合を高めたり、また、掌・指・指先等の感触等で犬の健康状態等も確認するため、そのような対策は実用的ではない。

（ｂ）生薬成分の効果　　評価：５
　皮膚アレルギーや肌アレルギーの強い犬でも、試験品Ｎｏ．２を１度使用しただけで掻かなくなる。また、皮膚アレルギーや肌アレルギーの状態が鎮静・軽減する。現在、社会問題化しつつあるほど増えている犬の皮膚アレルギーや肌アレルギーに対し、たとえ獣医師による処方であっても即効性のある確実な手段が無いと言っても過言ではない状況の中、たった１度の使用で効果があるため、医薬品や医薬部外品の位置付けとしても十分に成り立つと考えられる。

　犬は痒いと掻いてしまい、皮膚アレルギーや肌アレルギーは余計に酷くなる傾向がある。皮膚アレルギーや肌アレルギーの犬に対しては、試験品Ｎｏ．２の使用を今回の試験条件である１回のみでなく、一定期間使い続けることにより、犬が掻かない状態をその期間保つことができる。その結果、犬の皮膚アレルギーや肌アレルギーの悪化を防ぐことができるとともに、鎮静または完治等の効果も出て来ると推測される。

　試験品Ｎｏ．２に入っている５種類の生薬成分について、今回の試験に関係する作用としては、抗炎症作用、消炎作用、抗菌作用、防痒作用、鎮静作用等が挙げられる。これらの作用が働いていることは疑問の余地がない。

　このことは、試験品Ｎｏ．１（Ｈ_２ガスの溶存濃度０ｐｐｂ）との比較でも判る。試験品Ｎｏ．１では、上記生薬成分が同じ種類と同じ重量含有されているにもかかわらず、これらの生薬成分が働いていることが判る明瞭な試験結果は得られなかった。理由は、Ｈ_２ガスが注入されておらず、洗浄力の向上が無かったため、皮膚や毛の汚れが十分に除去されておらず、皮膚や毛に生薬成分が直接かつ十分に作用できなかったことが考えられる。

　また、トリマーの手が荒れないのは、これらの生薬成分の作用が、部分的かもしれないが働いていることが推測される。手袋等を装着せず、素手で洗浄することが、人の手に対して生薬成分の効果を発揮させることに有利に働いていると考えられる。

（ｃ）その他
　総合的に見れば、テスターがアンケートに記載した通り、実施例１（試験品Ｎｏ．２）の結果は、まさに別格である。高い洗浄力の他にも、洗浄後の効果として下記１２点が得られた。

　すなわち、以下の様な有利な効果を奏することが確認された。

１）たった１度の使用で、生薬成分による作用の効果が認められ、皮膚や肌の状態（アレルギー状態を含む）が改善される。肌アレルギーや皮膚アレルギーの酷かった犬が、肌や皮膚を掻かなくなる。
２）毛の状態が良くなる。例えば、サラサラで毛並が良いため、切り易い、乾き易い、毛玉ができない、毛が絡まない等。
３）臭わなくなる。臭いが強い犬でも臭くならず、香りが良くなる。
４）静電気をほとんど帯びない。犬は毛が多いので帯電しやすく、人が触れた際に放電による瞬間的刺激を受けやすいが、帯電量がそこまで増えない。
５）洗浄力が高いにもかかわらず、人の手が荒れない。
６）２度洗いが必要ない。１度の洗浄で十分に汚れを除去できる。
７）洗浄の工程を短縮できる。具体的には、例えば、プードルを洗浄する場合の工程は、洗浄前のブラッシング、シャンプー、リンス、ブラッシングしながらの乾燥、静電気防止スプレーおよびブラッシングの５段階が必要であるが、本発明のシャンプーを使用した場合の工程は、シャンプー、ブラッシングしながらの乾燥の２段階のみで良いため、工程を大幅に短縮できる。
８）上記６）、７）により、洗浄時間の大幅な短縮が可能となる。
９）シャンプーによる洗浄の頻度を減らすことができる。例えば、通常のシャンプーは効果の持続期間が１～２週間であるのに対し、本発明のシャンプーは２～３週間と長い。
１０）上記６）、７）、９）により、環境負荷の低減が可能となる。
１１）上記６）、７）、９）により、犬の皮膚に対する刺激が少なくなり、犬の皮膚アレルギーや肌アレルギーの治癒に対しても良い。
１２）上記６）、７）、８）、９）、１１）により、トリマーと飼い主の双方にとって経済効果が見込める。

（３）比較例２（試験品Ｎｏ．３）　　総合評価　３
シャンプーの種類：Ｂ
生薬成分　　　　：８種類、濃縮度１００倍、総重量比率３３％
Ｈ_２ガス　　　　：溶存濃度０ｐｐｂ
被験犬数　　　　：２匹

（ａ）洗浄力　　評価：２
　基本的な洗浄力は、市場に出ている他の多くの製品に比べ遜色なく、洗い上がりはサッパリしている。泡立ちも悪くない。しかし、全ての試験品の中では最も低い評価となった。

　主な理由は、シャンプーＢの成分比率にあると考えられる。このシャンプーは生薬成分の総重量比率が３３％と高く、その分、界面活性剤等の洗浄に必要な成分が少ない。さらに、Ｈ_２ガスの溶存濃度は０ｐｐｂであり、洗浄力向上が見込めない。

　この試験結果は、生薬成分の量が多ければ多いほど、生薬成分の高い効能・効果が見込めるという、従来市場に出回っている宣伝文句や消費者の思い込みに対し、警鐘を鳴らすことができることを意味する。すなわち、まずしっかりと洗浄し、その後に生薬成分による作用が働くという順序でシャンプーを設計すべきであることを理解できる結果となった。

（ｂ）生薬成分の効果　　評価：１
　前述の通り、洗浄力が十分でないと生薬成分による作用は見込めない。毛はサラサラで、１週間なら香りの持続性があるという最低限の効果に止まった。これらが生薬成分の効果なのかどうかは明らかではないが、逆に生薬成分の効果を否定できる証拠もないため、評価点は１とした。

（ｃ）その他
　試験品Ｎｏ．２と比較してしまうと散々な結果に見えるが、上記の通り、市場に出ている多くの製品と比べると、一般的には、この試験品Ｎｏ．３でもシャンプーとしての基本的な洗浄力は遜色ないレベルである。

（４）実施例２（試験品Ｎｏ．４）　　総合評価　４
シャンプーの種類：Ｂ
生薬成分　　　　：８種類、濃縮度１００倍、総重量比率３３％
Ｈ_２ガス　　　　：溶存濃度１００ｐｐｂ
被験犬数　　　　：２匹

（ａ）洗浄力　　評価：３
　洗浄後は、皮膚がすっきりしていてべたつきもなく、市場に出ている多くの他の製品に比べると基本的な洗浄力は遜色ないものの、しっかりと濯がないと泡が落ちづらい等の問題があり、評価点は３に止まった。

　評価点２の試験品Ｎｏ．３と比較して洗浄力が高かった理由は、溶存濃度１００ｐｐｂのＨ_２ガスが含有されていたことと推測される。しかしながら、後述するように、Ｈ_２ガスの溶存濃度が３００ｐｐｂになると、洗浄力はさらに向上するため、１００ｐｐｂでは十分な向上度合は見込めないことがわかった。

（ｂ）生薬成分の効果　　評価：１
　洗浄後、毛はサラサラ、または良い香り等、試験品Ｎｏ．３とほぼ同じ結果となった。試験品Ｎｏ．３と同様、これらが生薬成分の効果なのかどうかは明らかではないが、逆に生薬成分の効果を否定できる証拠もないため、評価点は同じく１とした。

（ｃ）その他
特に評価につながるようなことは確認できなかった。

（５）実施例３（試験品Ｎｏ．５）　　総合評価　６
シャンプーの種類：Ｂ
生薬成分　　　　：８種類、濃縮度１００倍、総重量比率３３％
Ｈ_２ガス　　　　：溶存濃度３００ｐｐｂ
被験犬数　　　　：２匹

（ａ）洗浄力　　評価：４
　泡立ちは良く、試験品Ｎｏ．４に比較して洗浄力は高かった。

　Ｈ_２ガスの溶存濃度が３００ｐｐｂになると、洗浄力が明らかに向上することが理解できる。その理由は、下記のように生薬成分の効果が試験品Ｎｏ．４よりは現れたことである。

（ｂ）生薬成分の効果　　評価：２
　洗浄後の香りが良かったことの他に、毛がしっかりと立っていて切りやすい、あるいは皮膚の状態は良好等、生薬成分の効果が確認された。しかしながら、試験品Ｎｏ．２に比べると、洗浄後の状態や生薬成分の効果は明らかに劣り、効果の持続期間も１週間程度は短く、使用後１～２週間するとフケが目立つようになり、毛がもつれ始めた。

（ｃ）その他
　シャンプーＢ（試験品Ｎｏ．３、４、５）に含有されている生薬成分は、シャンプーＡ（試験品Ｎｏ．１、２）と比較すれば、種類は多く（５成分に対し８成分）、総重量比率も大きい（１０％に対し３３％）。濃縮度はシャンプーＡ（２００倍）の半分の１００倍だが、いずれにしても、生薬成分が多いことが大きな特徴である。本発明者が調べた限りでは、市販されている他の生薬シャンプーでもここまで多いものは見かけない。生薬成分の総重量比率については、１０％でも多い方である。

　しかしながら、その生薬成分の効果をしっかり発揮させるためには、皮膚や毛の汚れを十分に洗浄または除去することが必須であり、シャンプーＢの配合または調合では洗浄力は十分ではなかった。

　なお、観点を変えると、例えば、生薬成分を含有していないが洗浄力は十分に高いシャンプーと、生薬成分を含有しているコンディショナー（あるいはリンスやトリートメント）等との組み合わせは、高い効果を発揮する可能性が高いと推測される。なお、その際は、シャンプーやコンディショナー（あるいはリンスやトリートメント）に、Ｈ_２ガス等の微小気泡を含有させると、洗浄効果、修復効果、保護効果、医薬効果等が大幅に向上する可能性がある。

（６）実施例４（試験品Ｎｏ．６）　　総合評価　４
シャンプーの種類：Ｃ
生薬成分　　　　：なし
Ｈ_２ガス　　　　：溶存濃度３００ｐｐｂ
被験犬数　　　　：２匹

（ａ）洗浄力　　評価：４
　テスターの１人によれば、泡立ちは良く、被験犬の脂がよく洗浄できており、２週間経過しても脂っぽくならないと、かなり良い試験結果が得られた。しかし別なテスターによれば、洗浄力はある程度はあるが、泡切れが悪く、十分ではないが一応満足できるという程度の試験結果も得られた。

　試験結果にばらつきがあり、試験品Ｎｏ．２のように被験犬全てで素晴らしい洗浄力を得ることはできなかったため、評価点は４とした。

（ｂ）生薬成分の効果　　評価：０
　この試験品には生薬成分は含有されていないため、効果は見込めない。試験結果としても、皮膚アレルギーや肌アレルギーに対する効果の報告は一切なかった。

（ｃ）その他
　洗浄力に関するばらつきの原因は、例えば、犬種、あるいは犬の皮膚や毛の状態に関係していることが考えられる。また、洗浄する際や濯ぐ際の水の温度、シャンプーの量、泡の立て方、洗浄に関する技術力等、様々な要因が考えられる。

　今回行った試験に限れば、実施例２（試験品Ｎｏ．２）の洗浄力が最も高かった。なお、実施例２の洗浄力が非常に高いのは、界面活性剤の効果やＨ_２ガスの効果の他に、生薬成分の効果も僅かではあるが可能性としてあると考えられる。

　例えば、ウーロン茶に含まれているサポニンは、油や脂を分解する作用があり、このサポニンが、シャンプーＡ（試験品Ｎｏ．１、２）に配合されている生薬成分の１つに含まれている。したがって、脂性の強い犬の場合は、サポニンによる脂や油を分解する作用が、洗浄力の向上に寄与している可能性も考えられる。但し、この生薬成分の重量比率は僅か数％であり、さらに、この生薬成分に含まれるサポニンの含有量は全体から見れば極めて少ない。したがって、大きな寄与があるとは考えづらい。

＜微小気泡を構成する物質（Ｈ_２ガス等）の効果に関する考察＞
　上記試験結果より、Ｈ_２ガスの効果は以下の２点と考えられる。

（ａ）洗浄力の向上
　今回の試験で使用された液体ケア剤、つまりシャンプーは、界面活性剤による洗浄を主な目的として作成されたものであり、その界面活性剤による洗浄とＨ_２ガスのキャビテーション効果による洗浄が相乗的に機能したと考えられる。

　但し、Ｈ_２ガスは、上記試験における溶存濃度３００ｐｐｂ以下という条件の下では、界面活性剤に比べると補助的に働いているようであり、界面活性剤による洗浄力が元々不足しているシャンプーＢ（試験品Ｎｏ．３、４、５：生薬成分の総重量比率３３％）では、Ｈ_２ガスの溶存濃度が上がると共に洗浄力も高まってはいるものの、シャンプーＡ（試験品Ｎｏ．１、２：生薬成分の総重量比率１０％）に比べれば、洗浄力は低かった。

　なお、昨今健康に対する効果等が疑問視されている水素水は、飲む、つまり体内に服用することで、医学的な効果を狙ったものであり、その作用原理は上記キャビテーション効果とは全く異なるものである。本発明者が意図したのは水素ガス（Ｈ_２ガス）の物理的・化学的・電気的な効果がメインであり、体外から作用させるという点で、飲用の水素水とは全く異なる。

（ｂ）生薬成分の効能・効果の向上
　この向上に対するＨ_２ガスの貢献には、２つの種類が考えられる。

　第１の貢献は、上記洗浄力の向上により、皮膚や毛の表面および表面近く（内部）の汚れが十分に除去され、生薬成分の作用が働きやすくなったことである。逆に洗浄力が弱い場合は、皮膚や毛の汚れが十分に除去されていない状態のため、生薬成分が皮膚や毛に直接作用することを妨げてしまう虞がある。

　第２の貢献は、生薬成分を構成する物質が皮膚や毛に働きかける際に、Ｈ_２ガスが協働していることである。Ｈ_２ガスは小さく、その大きさは、精確な値は把握されていないが、水素原子核同士の結合距離（平均距離）０.０７４ｎｍの２～３倍、つまり０.２ｎｍ程度と推測される。他方で、本発明者の調査によれば、犬の細胞の大きさに関する精確な値も開示されていないが、仮にヒトの赤血球と同じ大きさである６，０００～９，０００ｎｍとすれば、Ｈ_２ガスの大きさは、犬の細胞の大きさに比べ３万分の１～５万分の１程度と、極端に小さいと考えられる。したがって、細胞に比べ極端に小さいＨ_２ガスが犬の毛や皮膚の細胞の隅々にまで行き渡り、生薬成分と共に原子レベルあるいは分子レベル等で影響を及ぼすことが可能となり、その結果として、細胞レベルの影響や目に見える形での影響、例えば、皮膚アレルギーや肌アレルギーの鎮静等に及んでいることが考えられる。

　なお、上記第１の貢献においても、Ｈ_２ガスが犬の細胞の大きさに比べ極端に小さいことは、犬の皮膚や毛の表面、表面近くの凹凸、表面近くのより内部等の隅々にまでＨ_２ガスが行き渡るため、洗浄力の向上のために非常に重要であると考えられる。

　以上の結果を総合的かつ概略的にまとめると、本発明の液体ケア剤、すなわち、シャンプーの試験品に関し、以下４つの利点が確認された。

（１）Ｈ_２ガスによる洗浄効果の向上（溶存濃度は高いほど良い）
（２）生薬成分の効能・効果の向上（但し、十分に洗浄された状態が必須）
（３）上記（１）（２）による、被験犬（洗浄される側）の皮膚アレルギーの鎮静
（４）上記（１）（２）による、テスター（洗浄する側）の手荒れの改善

　また、実施例で示した試験結果を概略的にまとめると、総合評価が最も高かったのは試験品Ｎｏ．２で、Ｈ_２ガスの溶存濃度は３００ｐｐｂ、生薬成分の総重量比率は１０％（濃縮度２００倍）であった。この試験品は洗浄力が最も高く、生薬成分の効果も最も高かった。総合評価が２番目に高かったのは試験品Ｎｏ．５で、Ｈ_２ガスの溶存濃度は３００ｐｐｂ、生薬成分の総重量比率は３３％（濃縮度１００倍）であった。試験品Ｎｏ．２との最も大きな違いは、生薬成分の総重量比率が高いことである。逆に考えれば、洗浄のために必要な成分の総重量比率は低いと言える。この試験結果より、十分に洗浄されていなければ、生薬成分による効果が十分には発揮されづらいことがわかった。また、試験品Ｎｏ．５におけるＨ_２ガスの溶存濃度が３００ｐｐｂに対し、試験品Ｎｏ．４では１００ｐｐｂ、試験品Ｎｏ．３では０ｐｐｂと減少するにつれて、洗浄力も低下し、生薬成分の効果も減少した。

　上記により、生薬成分を含有するシャンプーに対するＨ_２ガスの効果が把握された。

　また、生薬成分を含有しないシャンプーによるＨ_２ガスの効果も試験した。Ｈ_２ガスを３００ｐｐｂ溶存させた試験品Ｎｏ．６の結果は、バラツキがあるものの洗浄力は高かった。したがって、本発明の非生薬液体ケア剤においても、微小気泡のキャビテーション効果等による洗浄力向上の効果が認められた。

　以上をまとめると、本発明の液体組成物および液体ケア剤によれば、微小気泡が皮膚や毛の隅々まで行き渡りキャビテーションの核となるため、従来技術に比べて洗浄力が大幅に向上するという有利な効果を奏することが判明した。また、生薬成分や漢方薬成分等を含有する本発明の液体組成物および当該組成物を用いた液体ケア剤の別の態様によれば、十分に洗浄された皮膚や毛等に対し、生薬成分や漢方薬成分の作用が働きやすくなるという有利な効果を奏することが判明した。

　このような本発明の液体組成物および液体ケア剤は、従来技術に比べ、洗浄力、修復力、保護力、効能等を大幅に向上させることが可能であり、また複数の機能を同時に発揮させることも可能であるため、広範な分野において有益であることが期待できる。

Claims

　微小気泡と、ケア成分とを含有することを特徴とする液体組成物。
　前記微小気泡の気泡径は、５０，０００ｎｍ以下であることを特徴とする請求項１に記載の液体組成物。
　前記微小気泡は、水素ガス、オゾンガス、炭酸ガス、酸素ガス、ナノバブル、マイクロナノバブル、マイクロバブルからなる群から選択される少なくとも１種であることを特徴とする請求項１または２に記載の液体組成物。
　前記微小気泡は、水素ガスであることを特徴とする請求項１～３のいずれか１項に記載の液体組成物。
　前記ケア成分は、洗浄成分、修復成分、保護成分、または医用成分からなる群から選択される少なくとも１種であることを特徴とする請求項１～４のいずれか１項に記載の液体組成物。
　前記医用成分は、生薬、生薬成分、漢方薬、または漢方薬成分からなる群から選択される少なくとも１種であることを特徴とする請求項１～５のいずれか１項に記載の液体組成物。
　前記水素ガスの前記液体組成物中の溶存濃度は、３００ｐｐｂ以上であることを特徴とする請求項１～６のいずれか１項に記載の液体組成物。
　請求項１～７のいずれか１項に記載の液体組成物を含有する液体ケア剤。
　前記液体ケア剤は、皮膚用または毛用であることを特徴とする請求項８に記載の液体ケア剤。