WO2019078018A1 - 減速機 - Google Patents

Abstract

動力伝達時に出力軸および出力ギヤと一体的に回転する転がり軸受の状態を検出することができる軸受状態検出装置を備えた減速機を提供する。軸受状態検出装置は、外周面にはすば（３５ａ、３７ａ）が形成された出力ギヤ（２６、２７）の側方において相互に異なる位置に配置され、当該出力ギヤの側面の軸方向の変位量を検出する複数の変位センサ（１、２、１１、１２）と、連結機構（３２）により出力軸（２５）に連結された状態における出力ギヤ（２６、２７）の回転時の、複数の変位センサ（１、２、１１、１２）により検出された前記変位量に基づいて、前記ギヤ（２６、２７）の傾き量を求める処理部（５）と、を備えている。

Description

減速機

　本発明は、出力軸に設けられた転がり軸受の状態を検出する検出装置を備えた減速機に関する。

　樹脂、ゴムなどを混練、押出しする混練押出機の減速機として、例えば特許文献１に記載の二速切換式減速機が知られている。混練押出機のロータの回転速度が、この二速切換式減速機により、高速条件と低速条件との間で切換えられることで、混練物の処理量、混練温度、混練品質が調整される。

　この二速切換式減速機は、低速側ピニオンおよび高速側ピニオンが固定された外周面を有する入力軸と、この入力軸に対して平行に配置される出力軸と、回転速度切換機構と、を備える。出力軸には、低速側ピニオンと噛合う低速側ギヤと、高速側ピニオンと噛合う高速側ギヤとが、それぞれ軸受を介して空転自在に装着されている。回転速度切換機構は、低速側ギヤおよび高速側ギヤを選択的に出力軸に連結する。

　低速側ギヤが出力軸に連結された場合、入力軸の回転（動力）は、低速側ピニオンおよび低速側ギヤを介して出力軸に伝達され、その結果、出力軸は低速で回転する。一方、高速側ギヤが出力軸に連結された場合、入力軸の回転（動力）は、高速側ピニオンおよび高速側ギヤを介して出力軸に伝達され、その結果、出力軸は高速で回転する。なお、いずれの場合も、低速側ギヤおよび高速側ギヤのうち出力軸に連結されていない方のギヤは、回転する出力軸の周りを出力軸とは異なる回転速度で空転する。

特開２０１０－１５９８２６号公報

　ここで、低速側ギヤと出力軸との間の軸受、および高速側ギヤと出力軸との間の軸受は、動力伝達時にいずれも出力軸および各ギヤと一体的に回転する。このため、軸受を構成する内輪と外輪との間に相対速度は生じない。内輪と外輪との間に相対速度が生じないため、軸受の転動体は、荷重を受けた状態で、内輪および外輪と同一箇所で接触し続ける。また、その接触箇所には機械振動が加わり、フレッチングコロージョン（接触２面間に微小な相対運動が周期的に繰り返し作用することで生じる表面損傷（摩耗））と呼ばれる損傷が時間の経過とともに発生、進行する。

　軸受の異常診断として、通常、軸受箱（内輪・外輪）の振動を計測し、内輪疵や外輪疵に起因する周波数（軸受損傷周波数）の振動を監視することで、軸受の異常の有無を判断することが知られている。

　しかしながら、特許文献１に記載のような構造の二速切換式減速機では、ギヤ（低速側ギヤおよび高速側ギヤ）の内部に軸受が位置するため、当該軸受の振動を計測することは困難である。また、動力伝達時に軸受の内輪と外輪とが相対回転しないことから、異常判定に用いる軸受損傷周波数が発現しないため、軸受の前記した通常の異常診断方法を適用することができない。そのため、軸受の異常を診断するために、従来とは異なる、軸受の状態検出方法を確立することが望まれていた。

　本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、動力伝達時に出力軸および出力ギヤと一体的に回転する転がり軸受の状態を検出することができる軸受状態検出装置を備えた減速機を提供することである。

　本発明によって提供されるのは減速機であって、当該減速機は、ケーシングと、前記ケーシングに回転可能に支持された入力軸と、前記入力軸に固定され、前記入力軸とともに回転する少なくとも一つの入力ギヤと、前記入力軸に対して平行に配置されるように前記ケーシングに回転可能に支持された出力軸と、前記出力軸に固定された内輪と前記内輪に対して相対回転可能な外輪とを含む、少なくとも一つの転がり軸受と、前記少なくとも一つの転がり軸受の前記外輪に固定され、前記少なくとも一つの入力ギヤと噛み合う、少なくとも一つの出力ギヤと、前記少なくとも一つの出力ギヤと前記出力軸とが一体回転するように前記少なくとも一つの転がり軸受を迂回して前記少なくとも一つの出力ギヤを前記出力軸に連結する連結状態と、前記少なくとも一つの出力ギヤと前記出力軸との連結を解除する解除状態との間で切換可能な連結機構と、前記少なくとも一つの転がり軸受の状態を検出する検出装置と、を備え、前記少なくとも一つの入力ギヤは、はすばが形成された入力ギヤ外周部を含み、前記少なくとも一つの出力ギヤは、前記入力ギヤ外周部の前記はすばと噛み合うはすばが形成された出力ギヤ外周部と、前記出力軸の軸方向と直交する出力ギヤ側面と、を含み、前記検出装置は、前記出力軸の回転軸から半径方向に所定の距離をおいた位置で前記少なくとも一つの出力ギヤの前記出力ギヤ側面にそれぞれ対向し、前記出力ギヤ側面の前記軸方向の変位量を検出する複数の変位センサと、前記連結機構によって前記出力軸に連結された前記出力ギヤの回転時に、前記複数の変位センサによって検出された前記出力ギヤ側面の前記変位量に基づいて、前記出力ギヤ側面の前記回転軸に対する傾き量を取得し、当該傾き量から前記転がり軸受の状態を検出する処理部と、を備える。

図１は、本発明の一実施形態に係る減速機の平断面図である。 図２は、本発明の一実施形態に係る減速機の連結機構のクラッチギヤの斜視図である。 図３は、本発明の一実施形態に係る連結機構の斜視図である。 図４は、図１の連結機構のＩ－Ｉ断面図である。 図５Ａは、摩耗などにより発生した転がり軸受の軌道輪と転動体との間の隙間δを模式的に示す図である。 図５Ｂは、図５Ａに示す隙間δおよび動力伝達時の低速側出力ギヤに作用するスラスト力により低速側出力ギヤが傾いて回転する状態を模式的に示す図である。 図６は、低速側出力ギヤの側方に４個の変位センサが配置された状態を示す、軸方向から見たときの低速側出力ギヤの模式図である。 図７Ａは、低速側出力ギヤの側方に３個の変位センサが配置された状態を示す、軸方向から見たときの低速側出力ギヤの模式図である。 図７Ｂは、図７Ａに示す３個の変位センサにより検出された出力ギヤ側面の計測位置の変動量をベクトルで示した低速側出力ギヤの斜視図である。

　以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。以下の説明では、本発明の軸受状態検出装置が適用される減速機として、二速切換式減速機を例にしている。この二速切換式減速機は、例えば樹脂やゴムなどを混練、押出しする混練押出機に用いられる減速機である。なお、本発明の軸受状態検出装置は、二速切換式減速機に限らず、速度切換機構を特に有さない減速機にも適用することができる。

　まず、本発明の軸受状態検出装置の適用対象の一例として示す二速切換式減速機の構成と、その動作について説明する。図１は、本実施形態に係る二速切換式減速機１００の平断面図である。

　（二速切換式減速機の構成）
　図１に示すように、二速切換式減速機１００は、ケーシング３１と、低速側ピニオン２２および高速側ピニオン２３を有する入力軸２１と、入力軸２１に対して平行に配置された出力軸２５と、を備えている。入力軸２１および出力軸２５は、それぞれケーシング３１に回転可能に支持されている。低速側ピニオン２２（入力ギヤ、低速側入力ギヤ）および高速側ピニオン２３（入力ギヤ、高速側入力ギヤ）は、入力軸２１に固定され、入力軸２１とともに回転する。出力軸２５には、低速側ピニオン２２と噛合う低速側ギヤ２６（出力ギヤ、低速側出力ギヤ）、および高速側ピニオン２３と噛合う高速側ギヤ２７（出力ギヤ、高速側出力ギヤ）が、それぞれ、一対の転がり軸受２９、３０を介することで空転自在に装着されている。

　一対の転がり軸受２９（３０）は、低速側ギヤ２６（高速側ギヤ２７）の内方であって、低速側ギヤ２６（高速側ギヤ２７）と出力軸２５との間に配置されている。すなわち、一対の転がり軸受２９（３０）は、出力軸２５に固定された内輪と前記内輪に対して相対回転可能な外輪とをそれぞれ含む。また、低速側ギヤ２６（高速側ギヤ２７）は、転がり軸受２９（３０）の外輪に固定されている。

　また、入力軸２１は、ケーシング３１に固定された軸受２４で回転自在に支持され、出力軸２５は、ケーシング３１に固定された軸受２８で回転自在に支持されている。なお、入力軸２１は、図示を省略する電動モーターなどの駆動部によって回転される。

　ここで、低速側ピニオン２２は、はすば歯車であり、高速側ピニオン２３は、低速側ピニオン２２よりも大径のはすば歯車である。具体的に、低速側ピニオン２２は、はずばが形成された外周部２２ａ（入力ギヤ外周部）を含み、高速側ピニオン２３は、はずばが形成された外周部２３ａ（入力ギヤ外周部）を含む。高速側ピニオン２３の歯数は、低速側ピニオン２２の歯数よりも大きい。

　なお、低速側ピニオン２２および高速側ピニオン２３、すなわちこれらピニオンギヤ（２２、２３）と、入力軸２１とは、一つの素材から削り出し加工などで形成された一体品であってもよいし、それぞれ別に形成されたのち、ピニオンギヤ（２２、２３）が入力軸２１に圧入されるなどして相互に固定されたものであってもよい。

　一方、低速側ギヤ２６の外周面（出力ギヤ外周部）には、低速側ピニオン２２と噛合うはすば３５ａが形成されており、高速側ギヤ２７の外周面（出力ギヤ外周部）には、高速側ピニオン２３と噛合うはすば３７ａが形成されている。低速側ギヤ２６の外径は、高速側ギヤ２７の外径よりも大きい。また、低速側ギヤ２６の歯数は、高速側ギヤ２７の歯数よりも大きい。低速側ギヤ２６は、出力軸２５の軸方向と直交する側面２６ａ（出力ギヤ側面）を有し、高速側ギヤ２７は、出力軸２５の軸方向と直交する側面２７ａ（出力ギヤ側面）を有する。

　なお、低速側ピニオン２２、高速側ピニオン２３、低速側ギヤ２６および高速側ギヤ２７の各ギヤの外径はそれぞれ軸方向に沿って同じであり、図１の低速側ピニオン２２および高速側ピニオン２３、図３の低速側ギヤ２６に示すように、それぞれの外周面に形成されたギヤ歯が回転方向に沿って傾斜している。

　また、二速切換式減速機１００は、低速側ギヤ２６および高速側ギヤ２７を出力軸２５に選択的に連結する連結機構としての回転速度切換機構３２を備えている。図２は、本実施形態に係る二速切換式減速機１００の回転速度切換機構３２のクラッチギヤ３３の斜視図である。図３は、回転速度切換機構３２の斜視図である。図４は、図１の回転速度切換機構３２のＩ－Ｉ断面図である。回転速度切換機構３２は、低速側ギヤ２６と出力軸２５とが一体回転するように軸受２９を迂回して低速側ギヤ２６を出力軸２５に連結する連結状態と、低速側ギヤ２６と出力軸２５との連結を解除する解除状態との間で切換可能である。また、回転速度切換機構３２は、高速側ギヤ２７と出力軸２５とが一体回転するように軸受３０を迂回して高速側ギヤ２７を出力軸２５に連結する連結状態と、高速側ギヤ２７と出力軸２５との連結を解除する解除状態との間で切換可能である。

　なお、本発明に係る軸受状態検出装置を備えた減速機は、はすば歯車とされた入力ギヤを有する入力軸と、この入力軸に対して平行に配置され、当該入力ギヤと噛合う出力ギヤ（外周面にはすばが形成されたギヤ）が転がり軸受を介することで空転自在に装着された出力軸と、当該出力ギヤを出力軸に連結する連結機構と、を備えていればよく、図１に示すような、１組の入力ギヤ（２２、２３）、およびこれと噛合う１組の出力ギヤ（２６、２７）を備える二速切換式減速機１００に限定されることはない。すなわち、本発明に係る減速機は、少なくとも一つの入力ギヤ、少なくとも一つの出力ギヤおよび少なくとも一つの転がり軸受を備えるものであればよい。

　ここで、低速側ギヤ２６は、大径部３５と、大径部３５と同軸の小径部３６とを有する。大径部３５の外周面には、低速側ピニオン２２と噛合う前記したはすば３５ａが形成されている。大径部３５の内周面には、転がり軸受２９を構成する軌道輪２９ｂ（外輪、図５Ａ・図５Ｂ参照）が固定される。また、大径部３５よりも径が小さい小径部３６の内周面には、後述するクラッチギヤ３３の外はすば４１ａと噛合わされる（嵌合される）内はすば３６ａが形成されている。なお、内はすば３６ａ部分は、はすばではなく、スプライン（雌スプライン）でもよい。また、クラッチギヤ３３の外はすば４１ａ部分は、当該雌スプラインに嵌合されるスプライン（雄スプライン）でもよい。すなわち、内はすば３６ａ部分および外はすば４１ａ部分は、はすばではなく、スプラインでもよい。

　低速側ギヤ２６と同様に、高速側ギヤ２７は、大径部３７と、大径部３７と同軸の小径部３８とを有する。大径部３７の外周面には、高速側ピニオン２３と噛合う前記したはすば３７ａが形成されている。大径部３７の内周面には、転がり軸受３０を構成する軌道輪（外輪）が固定される。また、大径部３７よりも径が小さい小径部３８の内周面には、後述するクラッチギヤ３３の外はすば４２ａと噛合わされる（嵌合される）内はすば３８ａが形成されている。なお、内はすば３８ａ部分は、はすばではなく、スプライン（雌スプライン）でもよい。また、クラッチギヤ３３の外はすば４２ａ部分は、当該雌スプラインに嵌合されるスプライン（雄スプライン）でもよい。すなわち、内はすば３８ａ部分および外はすば４２ａ部分は、はすばではなく、スプラインでもよい。

　更に、回転速度切換機構３２は、クラッチギヤ３３と、クラッチギヤ３３を出力軸２５の軸方向に移動させる操作部３４とを備えている。

　出力軸２５のうち低速側ギヤ２６と高速側ギヤ２７との間の部分の外周面には、雄スプライン２５ａが形成されている。一方、クラッチギヤ３３の中心部に形成された孔の内周面には、雌スプライン３３ａが形成されている。クラッチギヤ３３の雌スプライン３３ａは、出力軸２５の雄スプライン２５ａに軸方向に沿って移動可能に嵌合される。

　また、このクラッチギヤ３３は、低速側クラッチギヤ部４１と、高速側クラッチギヤ部４２と、を有している。低速側クラッチギヤ部４１の外周面には、低速側ギヤ２６の小径部３６の内はすば３６ａに嵌合するように、外はすば４１ａが形成されている。高速側クラッチギヤ部４２の外周面には、高速側ギヤ２７の小径部３８の内はすば３８ａに嵌合するように、外はすば４２ａが形成されている。また、低速側クラッチギヤ部４１と高速側クラッチギヤ部４２との間には、溝４３が設けられている。

　図３、図４などに示すように、クラッチギヤ３３を軸方向に移動させる操作部３４は、所定長さの切換レバー５１と、切換レバー５１を固定するための位置固定ピン５２と、回動軸５３と、一対のアーム５４と、カムフォロア５５（押部材）と、を備えている。回動軸５３は、切換レバー５１の端部に連結され、平面視において入力軸２１および出力軸２５と直交する方向に延び、回動可能にケーシング３１に取り付けられている。一対のアーム５４は、クラッチギヤ３３を挟むように対向配置されており、その基端側が回動軸５３に固定されている。カムフォロア５５は、クラッチギヤ３３の溝４３内に配置された状態でアーム５４の先端部に取り付けられ、ギヤ切換に際し、溝４３の内側面を押してクラッチギヤ３３を出力軸２５の軸方向に移動させる。なお、カムフォロア５５は、例えば円柱形状とされ、回転自在にアーム５４の先端部に取り付けられている。

　（二速切換式減速機の動作）
　入力軸２１の回転停止状態において、作業者が切換レバー５１を操作して、例えば、一対のアーム５４を低速側ギヤ２６側へ回動させると、一対のカムフォロア５５によってクラッチギヤ３３が押され、当該クラッチギヤ３３は出力軸２５上を中立位置から低速側ギヤ２６側へ移動したのち、低速側ギヤ２６の小径部３６内に嵌まり込む。これにより、低速側ギヤ２６の内はすば３６ａとクラッチギヤ３３の低速側クラッチギヤ部４１の外はすば４１ａとが噛合わされる。なお、上記中立位置とは、クラッチギヤ３３が低速側ギヤ２６および高速側ギヤ２７のいずれにも回転を伝達することのない位置である。

　その後、電動モーターなどの駆動部により入力軸２１が回転されることで、低速側ピニオン２２と噛合う低速側ギヤ２６が回転し、この低速側ギヤ２６に嵌合しているクラッチギヤ３３が出力軸２５と一体的に回転する。すなわち、所定の減速比をもって入力軸２１から出力軸２５に回転駆動力が伝達される。

　なお、入力軸２１の回転停止状態において、作業者が切換レバー５１を操作して、一対のアーム５４を高速側ギヤ２７側へ回動させると、高速側ギヤ２７の内はすば３８ａとクラッチギヤ３３の高速側クラッチギヤ部４２の外はすば４２ａとが噛合わされる。その後、電動モーターなどの駆動部により入力軸２１が回転されることで、高速側ピニオン２３と噛合う高速側ギヤ２７が回転し、この高速側ギヤ２７に嵌合しているクラッチギヤ３３が出力軸２５と一体的に回転する。

　（軸受状態検出装置）
　前記した二速切換式減速機１００では、入力軸２１から出力軸２５への動力伝達時、低速側ギヤ２６（または高速側ギヤ２７）と出力軸２５との間の転がり軸受２９（または転がり軸受３０）は、低速側ギヤ２６（または高速側ギヤ２７）および出力軸２５と一体的に回転する。そして、転がり軸受２９（または転がり軸受３０）を構成する軌道輪２９ｂ（内輪・外輪）同士の間に相対速度は生じない。このため、転がり軸受２９（または転がり軸受３０）の転動体２９ａは、荷重を受けた状態で、軌道輪２９ｂと同一箇所で接触し続ける。

　従来、軸受の異常診断として、軸受箱（内輪・外輪）の振動を計測し、内輪疵や外輪疵に起因する周波数（軸受損傷周波数）の振動を監視することで、軸受の異常の有無を判断する場合が多かった。しかしながら、上記のように、二速切換式減速機１００では、動力伝達時に、軌道輪２９ｂ（内輪・外輪）同士が相対回転しないので、異常判定に用いる軸受損傷周波数が発現せず、従来の軸受の異常診断方法を適用することができない。また、転がり軸受２９（３０）の振動を仮に計測しようとしても、当該転がり軸受２９（３０）は、低速側ギヤ２６（高速側ギヤ２７）の内部に位置するため、その振動を計測することは困難であった。本実施形態では、このような問題を解決するために、二速切換式減速機１００が、軸受状態検出装置１００Ｓを備える。

　ここで、前記した二速切換式減速機１００では、入力軸２１に設けられたピニオンギヤ（２２、２３）、およびこれに対応する出力軸２５に設けられたギヤ（２６、２７）は、はすば歯車とされているため、動力伝達時にスラスト力（軸方向への力）が発生する。本実施形態に係る軸受状態検出装置１００Ｓは、このスラスト力によってギヤ２６（２７）が傾く現象を利用して、転がり軸受２９（３０）の状態（損傷の程度）を検出する。ギヤ２６（２７）は、転がり軸受２９（３０）の径方向外側に位置し、その径は、転がり軸受２９（３０）の径よりも大きいので、転がり軸受２９（３０）の僅かな摩耗が、ギヤ２６（２７）の傾きとして拡大されて、比較的大きな変位（軸方向の移動量）として現れる。

　＜第１実施形態＞
　本実施形態に係る軸受状態検出装置１００Ｓは、複数の変位センサ１、２、１１、１２と、データ処理部５（処理部）と、を備えている。複数の変位センサのうち、変位センサ１、２は、低速側ギヤ２６の側方に配置され、変位センサ１１、１２は高速側ギヤ２７の側方に配置されている。データ処理部５（処理部）には各変位センサ１、２、１１、１２からの信号が入力され、データ処理部５（処理部）は当該信号を処理する。複数の変位センサ１、２、１１、１２は、出力軸２５の回転軸から半径方向に所定の距離の位置で、ギヤ２６（２７）の側面２６ａ（２７ａ）（図１、図５Ａ）に対向して配置され、当該側面２６ａ（２７ａ）の軸方向の変位量（所定期間中の移動量）を検出する。１つのギヤ２６（２７）の側方に、少なくとも２つの変位センサが、相互に異なる位置に配置される。なお、転がり軸受２９、３０のうちの一方の軸受を、状態検出の対象としない場合には、その側の変位センサ１、２（または１１、１２）の設置は不要である。すなわち、変位センサは、低速側ギヤ２６および高速側ギヤ２７のうちの少なくとも一方のギヤの側方に配置されればよい。データ処理部５は、回転速度切換機構３２によって出力軸２５に連結された低速側ギヤ２６（高速側ギヤ２７）の回転時に、複数の変位センサ１、２（１１、１２）によって検出された前記変位量に基づいて、出力軸２５の回転軸に対する側面２６ａ（２７ａ）の傾き量を演算し、当該傾き量から軸受２９（３０）の状態を検出する。

　変位センサ１、２、１１、１２としては、渦電流式変位センサ、超音波式変位センサ、光学式変位センサ、静電容量式変位センサなどの非接触式変位センサが用いられる。変位センサ１、２、１１、１２は、例えば、ねじ込み式とされ、ケーシング３１にあけられた孔にねじ込まれてケーシング３１に固定される。

　以下、軸受（転がり軸受）の状態が検出される方法について具体的に説明する。なお、変位センサ１、２を用いた低速側の転がり軸受２９の状態検出と、変位センサ１１、１２を用いた高速側の転がり軸受３０の状態検出とは、同じ構成・方法によるため、代表して、変位センサ１、２を用いた低速側の転がり軸受２９の状態検出について説明する。

　本実施形態に係る２つの変位センサ１、２は、出力軸２５の軸周りに（出力軸２５の回転方向に沿って）互いに１８０°間隔で配置されている。また、本実施形態では、出力軸２５の回転軸と平行な方向から見て、これらの対向する２個の変位センサ１、２同士を結ぶ方向と、低速側ピニオン２２（の中心）と低速側ギヤ２６（の中心）とを結ぶ方向とが同じ方向とされている。

　ここで、図５Ａは、摩耗などにより発生した転がり軸受２９の軌道輪２９ｂと転動体２９ａとの間の隙間δ（隙間量）を模式的に示す図である。また、図５Ｂは、図５Ａに示す隙間δおよび動力伝達時の低速側ギヤ２６に作用するスラスト力により低速側ギヤ２６が傾いて回転する状態を模式的に示す図である。

　図５Ｂに示すように、変位センサ１、２は、例えば、出力軸２５の中心（回転軸）から半径方向にｒの距離の位置の低速側ギヤ２６の側面２６ａの軸方向の変位量（移動量）を検出できるように配置されている。なお、出力軸２５から変位センサ１までの距離と、出力軸２５から変位センサ２までの距離とは、異なっていてもよい。

　図５Ｂ中に示す二点鎖線は、低速側ギヤ２６が回転速度切換機構３２により出力軸２５に連結された状態における減速機組立後の運転初期（転がり軸受２９に摩耗等が特に発生していない初期状態）の回転する低速側ギヤ２６の側面２６ａの位置を示す。変位センサ１、２にて、このときの回転する低速側ギヤ２６の側面２６ａの位置（基準位置）が計測され、データ処理部５は、その計測値を基準値として記憶する。

　減速機が使用され続けていくと、摩耗などにより、転がり軸受２９の軌道輪２９ｂと転動体２９ａとの間の隙間δが大きくなっていく。変位センサ１、２は、運転初期の上記基準位置に対する、低速側ギヤ２６が回転速度切換機構３２により出力軸２５に連結された状態における回転する低速側ギヤ２６の側面２６ａの位置、すなわち、低速側ギヤ２６側面２６ａの軸方向の移動量（変位量）を検出する。図５Ｂ中に示すＤ１は、変位センサ１により検出された移動量（変位量）であり、図５Ｂ中に示すＤ２は、変位センサ２により検出された移動量（変位量）である。

　なお、変位センサ１、２は、そのセンサ部と、測定点との間の距離を測定するものであるので、Ｄ１およびＤ２は、データ処理部５にて演算により求められる。また、変位センサ１、２により検出される変位（移動量）には、出力軸２５の回転に応じた低速側ギヤ２６の振れ回り成分も含まれる。この振れ回り成分の影響を低減するために、データ処理部５が平均化処理を実行し、検出された変位の平均値がデータ処理部５にて記憶され、且つ演算で使用される。

　ここで、図５Ａに示すように、出力軸２５と低速側ギヤ２６との間に配置された２つの転がり軸受２９の中心間の距離をａとすると、ａ、δ、Ｄ１、Ｄ２の間には、次の式１の関係が成立する。
（Ｄ１＋Ｄ２）／２ｒ≒２δ／ａ ・・・・・・（式１）

　（Ｄ１＋Ｄ２）／２ｒは、低速側ギヤ２６の傾き量である。データ処理部５は、回転速度切換機構３２により出力軸２５に連結された状態における、変位センサ１、２により検出された低速側ギヤ２６回転時の移動量Ｄ１、Ｄ２に基づいて、低速側ギヤ２６の傾き量＝（Ｄ１＋Ｄ２）／２ｒを演算により求める。

　低速側ギヤ２６の上記傾き量（（Ｄ１＋Ｄ２）／２ｒ）をｉとすると、上記（式１）より、隙間δは、次の式２で表される。
δ＝ｉ×ａ／２ ・・・・・・・・・・・・・（式２）

　データ処理部５は、さらに、演算により求めた上記傾き量ｉに基づいて、上記（式２）より、転がり軸受２９の軌道輪２９ｂと転動体２９ａとの間の隙間δ（隙間量）を演算により推定する。なお、出力軸２５と低速側ギヤ２６との間に配置された２つの転がり軸受２９のうちの片側の転がり軸受２９のみにδの隙間が生じる場合は、δ＝ｉ×ａとなる。

　上記方法で、データ処理部５が、定期的に隙間δを推定することで、転がり軸受２９の状態を検出する。そして、例えば、データ処理部５は、推定した隙間δが所定の閾値を超えるように大きく変化した場合、転がり軸受２９の状態が異常であると判断し、軸受異常情報に関する信号を出力する。当該信号は、二速切換式減速機１００または当該減速機が備えられた機械が有する表示部に入力され、作業者が視認可能なように表示される。なお、転がり軸受２９の状態異常の判断は、データ処理部５などによって自動で行われてもよいし、データ処理部５が出力する隙間δの情報を作業員が定期的にチェックすることによって行われてもよい。この場合、演算された隙間δの値がデータ処理部５によって出力され、上記の表示部に表示される。

　なお、隙間δと、低速側ギヤ２６の傾き量ｉとは、一対一の関係にある。そのため、データ処理部５は、隙間δを演算により推定することを省略し、低速側ギヤ２６の傾き量ｉを演算により求めることのみでも、転がり軸受２９の状態を把握することができる。すなわち、データ処理部５にて、軌道輪２９ｂと転動体２９ａとの間の隙間δ（隙間量）を演算により推定することは必ずしも必要ではなく、データ処理部５は、低速側ギヤ２６の傾き量ｉに基づいて転がり軸受２９の状態を把握してもよい。しかしながら、傾き量ｉよりも隙間δに基づく推定の方が、軸受２９の状態をより直接的に表すため、好ましい。

　本実施形態に係る軸受状態検出装置１００Ｓを備えた二速切換式減速機１００によると、動力伝達時に相対回転せず、且つ状態を直接観測しづらい転がり軸受２９（３０）であっても、その状態を把握することができる。

　また、本実施形態では、１つのギヤ（２６、２７）当たり、２個の変位センサを用いており、３個以上の変位センサを用いる場合よりも、構成が簡易、且つデータ処理部５での複雑な演算を要しない。

　また、本実施形態では、２個の変位センサ１、２同士を結ぶ方向と、低速側ピニオン２２と低速側ギヤ２６とを結ぶ方向とが同方向とされている（変位センサ１１、１２についても同様）。ここで、低速側ピニオン２２と低速側ギヤ２６とを結ぶ線上には、ギヤ同士の噛合い部があり、この噛合い部でスラスト力が発生し、このスラスト力によって低速側ギヤ２６が傾く。このため、上記構成による計測によると、変位センサ１１、１２により検出される移動量が比較的大きくなり易く、データ処理部５が取得する低速側ギヤ２６の傾き量も大きくなり易いので、ギヤの振れ回り現象などによるノイズ成分がキャンセルされ易く、転がり軸受２９の状態をより正確に検出することができる。

　なお、低速側ギヤ２６は、低速側ピニオン２２と低速側ギヤ２６とを結ぶ方向に対して傾きやすい傾向にあるが、この方向に対する傾き量が、どのような減速機でも最大になるとは言えない。低速側ギヤ２６、高速側ギヤ２７などのギヤの傾き量が最も大きくなる方向は、減速機の形状、作用する荷重の大きさなどにより決まる。そのため、検出精度をより高めるためには、対向する２個の変位センサ１、２の配置が、実験、過去の実績、または解析に基づいて、低速側ギヤ２６の傾き量が最大となる配置とされていることがより好ましい。

　また、変位センサ１、２の計測位置は、低速側ギヤ２６の側面２６ａのうち、できるだけ外周に近い位置とされることが好ましい。換言すれば、変位センサ１、２の計測位置は、低速側ギヤ２６の側面２６ａの最小外径部よりも最大外径部に近い位置に配置されることが望ましい。この場合、より大きな移動量が検出されるため、低速側ギヤ２６の側面２６ａの傾きを精度良く検出することができる。

　＜隙間δのさらなる推定方法＞
　上記の実施形態では、データ処理部５が、演算により求めた傾き量ｉに基づいて、転がり軸受２９の軌道輪２９ｂと転動体２９ａとの間の隙間δ（隙間量）を演算により推定している。隙間δの推定方法として、傾き量ｉからの推定結果と、これとは別の推定結果とから、隙間δを推定することも好ましい。

　具体的には、データ処理部５は、傾き量ｉに基づいて演算により推定した隙間量を隙間δ１として一旦記憶する。一方で、データ処理部５は、変位センサ１、２によりそれぞれ検出された前記変位量（所定期間中の軸方向の移動量）の平均値に基づいて隙間δ２を演算により推定する。そして、隙間δ１と隙間δ２とを比較して大きい方の隙間（隙間量）を、転がり軸受２９の状態を検出するための隙間δ（隙間量）として選択する。

　すなわち、データ処理部５は、演算により求めた傾き量ｉに基づいて隙間δ１（隙間量）を演算により推定し、且つ、変位センサ１、２により検出された前記移動量の平均値に基づいて、隙間δ２（隙間量）を演算により推定し、これら２つの方法で推定した隙間δ１、δ２のうちの大きい方の隙間量を、転がり軸受２９の隙間量とする。

　荷重条件によっては、低速側ギヤ２６の傾きよりも、低速側ギヤ２６の軸方向の移動量の方に、転がり軸受２９の隙間に起因して発生する変化が顕著に現れる場合がある。そのため、隙間δ１と隙間δ２とを比較して大きい方の隙間（隙間量）を、転がり軸受２９の隙間δ（隙間量）とした方が、軸受の状態把握としてより安全となる。

　転がり軸受２９が例えば、テーパコロ軸受であるとする。このテーパコロ軸受の接触角をα、変位センサ１、２により検出された前記移動量の平均値をｂとすると、隙間δ２＝ｂ×ｔａｎαとなる。

　＜第２実施形態＞
　第１実施形態では、ギヤ（２６、２７）の側方に、２個の変位センサ１、２（１１、１２）を配置している。これに代えて、ギヤ（２６、２７）の側方に、４個の変位センサが配置されてもよい。図６は、低速側ギヤ２６の側方であって、出力軸２５の回転軸周りに、互いに９０°間隔で４個の変位センサ１～４が配置されている例が示されている。変位センサ１、２および変位センサ３、４は、それぞれ、出力軸２５の回転軸を挟んで互いに対向して配置されている。

　データ処理部５は、２組の対向する変位センサ１、２および３、４により検出された出力ギヤの側面２６ａの軸方向の移動量に基づいて直角２方向のギヤの傾き量ｉ１、ｉ２を演算により求め、求めた直角２方向の傾き量ｉ１、ｉ２を演算により合成する。傾き量ｉ１、ｉ２のそれぞれの求め方は、第１実施形態の場合と同じである。傾き量ｉ１と傾き量ｉ２との合成は、例えば、傾き量ｉ１と傾き量ｉ２との二乗和ルートを求めることである。

　本実施形態によると、データ処理部５にて求まる低速側ギヤ２６の傾き量が大きくなり易いので、転がり軸受２９の状態をより精度良く検出することができる。

　本実施形態では、４個の変位センサが、出力軸２５の回転軸周りにおいて、同心円上に配置されているが、４個の変位センサは、必ずしも同心円上に配置される必要はない。

　＜第３実施形態＞
　第１実施形態では、ギヤ（２６、２７）の側方に、２個の変位センサ１、２（１１、１２）が配置され、第２実施形態では、ギヤ（２６、２７）の側方に、４個の変位センサが配置されている。これに代えて、ギヤ（２６、２７）の側方に、３個の変位センサが配置されてもよい。

　図７Ａには、低速側ギヤ２６の側方であって、出力軸２５の軸周りに、互いに１２０°間隔で３個の変位センサ１～３が配置されている例が示されている。

　ここで、図７Ｂは、図７Ａに示す３個の変位センサ１～３により検出されたギヤ側面の計測位置の変動量がベクトルで示された低速側ギヤの斜視図である。ベクトルＰ１、Ｐ２、およびＰ３は、それぞれ、変位センサ１、２、および３で検出された、前述の運転初期の回転する低速側ギヤ２６の側面２６ａ（基準面）に対する、低速側ギヤ２６の側面２６ａの軸方向の変動量（移動量）を大きさとするベクトルである。

　ベクトルＰ１、Ｐ２、およびＰ３のｘ、ｙ、ｚ方向における成分が、それぞれ、Ｐ１（ｘ１、ｙ１、ｚ１）、Ｐ２（ｘ２、ｙ２、ｚ２）、およびＰ３（ｘ３、ｙ３、ｚ３）と表記される。

　ベクトルａ１２＝ベクトルＰ２－ベクトルＰ１＝（ｘ２－ｘ１、ｙ２－ｙ１、ｚ２－ｚ１）、ベクトルａ１３＝ベクトルＰ３－ベクトルＰ１＝（ｘ３－ｘ１、ｙ３－ｙ１、ｚ３－ｚ１）となり、Ｐ１、Ｐ２、Ｐ３を含む面の法線ベクトルｎは、ベクトルａ１２とベクトルａ１３との外積により、次の式３のように求められる。

　法線ベクトルｎ＝ベクトルａ１２×ベクトルａ１３
＝（（ｙ２－ｙ１）×（ｚ３－ｚ１）－（ｙ３－ｙ１）×（ｚ２－ｚ１
）、（ｘ３－ｘ１）×（ｚ２－ｚ１）－（ｘ２－ｘ１）×（ｚ３－ｚ１）、（ｘ２－ｘ１）×（ｙ３－ｙ１）－（ｙ２－ｙ１）×（ｘ３－ｘ１））　・・・（式３）

　そして、法線ベクトルｎのｚ軸に対する傾きθ（＝低速側ギヤ２６の傾き量）は、内積計算に基づいて次の式４から求まる。

　ｚベクトルを（０、０、１）とおくと、
ｃｏｓθ＝ｎ・ｚ／｜ｎ｜｜ｚ｜
＝［（ｘ２－ｘ１）×（ｙ３－ｙ１）－（ｙ２－ｙ１）×（ｘ３－ｘ１）］／｜ｎ｜　・・・（式４）

　データ処理部５は、上記演算をおこなって、低速側ギヤ２６の傾きθ（傾き量）を求める。

　なお、出力軸２５と低速側ギヤ２６との間に配置された２つの転がり軸受２９のうちの両方の転がり軸受２９でδの隙間が生じる場合、δ（隙間量）＝ａ／２×ｔａｎθとなり、片側の転がり軸受２９のみにδの隙間が生じる場合は、δ（隙間量）＝ａ×ｔａｎθとなる。データ処理部５は、上記の演算をおこなって、δ（隙間量）を推定する。

　本実施形態では、３個の変位センサが、出力軸２５の回転軸周りにおいて、同心円上に等間隔（１２０°間隔）で配置されているが、３個の変位センサは、必ずしも同心円上、且つ等間隔に配置される必要はない。なお、３個の変位センサが、出力軸２５の回転軸周りにおいて、同心円上に等間隔（１２０°間隔）で配置されていることで、計測精度が向上する。

　以上、本発明の実施形態について説明した。なお、その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行うことは可能である。

　本発明によって提供されるのは、減速機であって、当該減速機は、ケーシングと、前記ケーシングに回転可能に支持された入力軸と、前記入力軸に固定され、前記入力軸とともに回転する少なくとも一つの入力ギヤと、前記入力軸に対して平行に配置されるように前記ケーシングに回転可能に支持された出力軸と、前記出力軸に固定された内輪と前記内輪に対して相対回転可能な外輪とを含む、少なくとも一つの転がり軸受と、前記少なくとも一つの転がり軸受の前記外輪に固定され、前記少なくとも一つの入力ギヤと噛み合う、少なくとも一つの出力ギヤと、前記少なくとも一つの出力ギヤと前記出力軸とが一体回転するように前記少なくとも一つの転がり軸受を迂回して前記少なくとも一つの出力ギヤを前記出力軸に連結する連結機構と、前記少なくとも一つの転がり軸受の状態を検出する検出装置と、を備える。前記少なくとも一つの入力ギヤは、はすばが形成された入力ギヤ外周部を含み、前記少なくとも一つの出力ギヤは、前記入力ギヤ外周部の前記はすばと噛み合うはすばが形成された出力ギヤ外周部と、前記出力軸の軸方向と直交する出力ギヤ側面と、を含み、前記検出装置は、前記出力軸の回転軸から半径方向に所定の距離をおいた位置で前記少なくとも一つの出力ギヤの前記出力ギヤ側面にそれぞれ対向し、前記出力ギヤ側面の前記軸方向の変位量を検出する複数の変位センサと、前記連結機構によって前記出力軸に連結された前記出力ギヤの回転時に、前記複数の変位センサによって検出された前記出力ギヤ側面の前記変位量に基づいて、前記出力ギヤ側面の前記回転軸に対する傾き量を取得する処理部と、を備える。

　上記の構成において、前記複数の変位センサは、前記出力軸の回転軸回りに互いに９０°間隔で配置された４つの変位センサを含み、前記処理部は、前記４つの変位センサのうち前記回転軸を挟んで互いに対向する変位センサ対によって検出された前記出力ギヤ側面の前記変位量に基づいて前記出力ギヤ側面の直角２方向の前記傾き量をそれぞれ演算し、当該演算された直角２方向の前記傾き量を合成することが望ましい。

　上記の構成において、前記複数の変位センサは、前記出力軸の回転軸回りに互いに間隔を隔てて配置された３つの変位センサを含み、前記処理部は、前記３つの変位センサによってそれぞれ検出された前記出力ギヤ側面の前記変位量に基づいて前記出力ギヤ側面の前記傾き量を演算するものでもよい。

　上記の構成において、前記３つの変位センサは、前記出力軸の回転軸回りに互いに１２０°間隔で配置されているものでもよい。

　上記の構成において、前記複数の変位センサは、前記出力軸の回転軸回りに互いに１８０°間隔で配置された２つの変位センサを含み、前記出力軸の前記回転軸と平行な方向から見て、前記２つの変位センサを結ぶ方向と、前記入力ギヤと前記出力ギヤとを結ぶ方向とが同じ方向であることが望ましい。

　上記の構成において、前記転がり軸受は、前記内輪と前記外輪との間に配置された転動体を更に有し、前記処理部は、前記出力ギヤ側面の前記傾き量に基づいて、前記転がり軸受の前記内輪または前記外輪と前記転動体との間の隙間量を推定することが望ましい。

　上記の構成において、前記転がり軸受は、前記内輪と前記外輪との間に配置された転動体を更に有し、前記処理部は、前記出力ギヤ側面の前記傾き量に基づいて、前記転がり軸受の前記内輪または前記外輪と前記転動体との間の隙間量を推定する一方、前記複数の変位センサによって検出された前記出力ギヤ側面の前記変位量の平均値に基づいて前記隙間量を推定し、当該推定された２つの隙間量のうちの大きい方の隙間量を、最終的な前記隙間量として選択することが望ましい。

　上記の構成において、前記少なくとも一つの入力ギヤは、低速側入力ギヤと、高速側入力ギヤとを含み、前記少なくとも一つの出力ギヤは、前記低速側入力ギヤと噛合う低速側出力ギヤと、前記高速側入力ギヤと噛合う高速側出力ギヤとを含み、前記連結機構は、前記低速側出力ギヤおよび前記高速側出力ギヤのうちの一方を前記出力軸に選択的に連結し、前記複数の変位センサは、前記低速側出力ギヤおよび前記高速側出力ギヤのうちの少なくとも一方の出力ギヤの前記出力ギヤ側面に対向して配置されていることが望ましい。
 

Claims (8)

1. 　ケーシングと、
   　前記ケーシングに回転可能に支持された入力軸と、
   　前記入力軸に固定され、前記入力軸とともに回転する少なくとも一つの入力ギヤと、
   　前記入力軸に対して平行に配置されるように前記ケーシングに回転可能に支持された出力軸と、
   　前記出力軸に固定された内輪と前記内輪に対して相対回転可能な外輪とを含む、少なくとも一つの転がり軸受と、
   　前記少なくとも一つの転がり軸受の前記外輪に固定され、前記少なくとも一つの入力ギヤと噛み合う、少なくとも一つの出力ギヤと、
   　前記少なくとも一つの出力ギヤと前記出力軸とが一体回転するように前記少なくとも一つの転がり軸受を迂回して前記少なくとも一つの出力ギヤを前記出力軸に連結する連結機構と、
   　前記少なくとも一つの転がり軸受の状態を検出する検出装置と、
   を備え、
   　前記少なくとも一つの入力ギヤは、はすばが形成された入力ギヤ外周部を含み、
   　前記少なくとも一つの出力ギヤは、前記入力ギヤ外周部の前記はすばと噛み合うはすばが形成された出力ギヤ外周部と、前記出力軸の軸方向と直交する出力ギヤ側面と、を含み、
   　前記検出装置は、
   　前記出力軸の回転軸から半径方向に所定の距離をおいた位置で前記少なくとも一つの出力ギヤの前記出力ギヤ側面にそれぞれ対向し、前記出力ギヤ側面の前記軸方向の変位量を検出する複数の変位センサと、
   　前記連結機構によって前記出力軸に連結された前記出力ギヤの回転時に、前記複数の変位センサによって検出された前記出力ギヤ側面の前記変位量に基づいて、前記出力ギヤ側面の前記回転軸に対する傾き量を取得する処理部と、
   を備える、減速機。
2. 　請求項１に記載の減速機であって、
   　前記複数の変位センサは、前記出力軸の回転軸回りに互いに９０°間隔で配置された４つの変位センサを含み、
   　前記処理部は、前記４つの変位センサのうち前記回転軸を挟んで互いに対向する２組の変位センサ対によって検出された前記出力ギヤ側面の前記変位量に基づいて前記出力ギヤ側面の直角２方向の前記傾き量をそれぞれ演算し、当該演算された直角２方向の前記傾き量を合成する、減速機。
3. 　請求項１に記載の減速機であって、
   　前記複数の変位センサは、前記出力軸の回転軸回りに互いに間隔を隔てて配置された３つの変位センサを含み、
   　前記処理部は、前記３つの変位センサによってそれぞれ検出された前記出力ギヤ側面の前記変位量に基づいて前記出力ギヤ側面の前記傾き量を演算する、減速機。
4. 　請求項３に記載の減速機であって、
   　前記３つの変位センサは、前記出力軸の回転軸回りに互いに１２０°間隔で配置されている、減速機。
5. 　請求項１に記載の減速機であって、
   　前記複数の変位センサは、前記出力軸の回転軸回りに互いに１８０°間隔で配置された２つの変位センサを含み、
   　前記出力軸の前記回転軸と平行な方向から見て、前記２つの変位センサを結ぶ方向と、前記入力ギヤと前記出力ギヤとを結ぶ方向とが同じ方向である、減速機。
6. 　請求項１～５のいずれか１項に記載の減速機であって、
   　前記転がり軸受は、前記内輪と前記外輪との間に配置された転動体を更に有し、
   　前記処理部は、前記出力ギヤ側面の前記傾き量に基づいて、前記転がり軸受の前記内輪または前記外輪と前記転動体との間の隙間量を推定する、減速機。
7. 　請求項１～５のいずれか１項に記載の減速機であって、
   　前記転がり軸受は、前記内輪と前記外輪との間に配置された転動体を更に有し、
   　前記処理部は、前記出力ギヤ側面の前記傾き量に基づいて、前記転がり軸受の前記内輪または前記外輪と前記転動体との間の隙間量を推定する一方、前記複数の変位センサによって検出された前記出力ギヤ側面の前記変位量の平均値に基づいて前記隙間量を推定し、当該推定された２つの隙間量のうちの大きい方の隙間量を、最終的な前記隙間量として選択する、減速機。
8. 　請求項１～５のいずれか１項に記載の減速機であって、
   　前記少なくとも一つの入力ギヤは、低速側入力ギヤと、高速側入力ギヤとを含み、
   　前記少なくとも一つの出力ギヤは、前記低速側入力ギヤと噛合う低速側出力ギヤと、前記高速側入力ギヤと噛合う高速側出力ギヤとを含み、
   　前記連結機構は、前記低速側出力ギヤおよび前記高速側出力ギヤのうちの一方を前記出力軸に選択的に連結し、
   　前記複数の変位センサは、前記低速側出力ギヤおよび前記高速側出力ギヤのうちの少なくとも一方の出力ギヤの前記出力ギヤ側面に対向して配置されている、減速機。

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