WO2018225863A1 - カーボンナノチューブ複合膜及びカーボンナノチューブ分散液 - Google Patents

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Abstract

CNTネットワークにおける電気的な接続を良好にして、電気性能に優れ、かつ耐久性に優れたCNT複合膜及びCNT分散液を提供する。本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブ分散液は、カーボンナノチューブの分散剤及びドーパントとして機能する高分子酸を含み、前記カーボンナノチューブ分散液は、前記カーボンナノチューブの濃度が0.005重量%以上1重量%以下、前記高分子酸の濃度が0.005重量%以上5重量%以下、且つ前記カーボンナノチューブと前記高分子酸との重量比が1対1から1対5を備え、前記カーボンナノチューブは、前記カーボンナノチューブ同士が接触する領域を除いて、前記高分子酸が前記カーボンナノチューブの周囲を囲んでなる。

Description

カーボンナノチューブ複合膜及びカーボンナノチューブ分散液
 本発明は、カーボンナノチューブ複合膜及びカーボンナノチューブ分散液に関する。
 カーボンナノチューブ(以下、CNTとも称する)は、様々な新機能を発揮しうる新素材として大きな注目を集め世界中で活発な研究開発が行われている。今後、産業上の様々な用途に有効に使用するためには、CNTを簡便な方法で均質な薄膜又は厚膜に成形することが必須の課題である。また、この膜を導電膜や電極として活用する場合には、膜に十分な導電性を付与する必要がある。
 CNTを簡便、ローコストで膜にするために、元来不溶性であるCNTを、界面活性剤などの溶液に分散し、塗布製膜する方法が提案されている(非特許文献1)。また、たとえばゼラチンやセルロース誘導体をマトリックス高分子として用いることで(特許文献1)、複数のCNTが相互に分離した良好な状態で分散したCNT含有薄膜が提案されている。
 CNT含有薄膜が、CNTのもつ高い導電性や半導体特性を発揮するためには、薄膜内の混合物が電気特性を妨げないようにする必要がある。しかし、上記の方法では、分散のために界面活性剤やマトリックス高分子を多量に混入する必要があるが、これらが電気的に絶縁体であるため、薄膜に十分な量の電流を流すことが困難である。このため、薄膜作製後、これらの薄膜を洗浄や加熱焼成(非特許文献2)し、非導電性物質を分解除去する方法が知られている。
 しかしながら、この方法では、薄膜を高温の炉に入れる必要があるため、ロールシート状の薄膜を逐次処理するには問題がある。また、高温で加熱するため、プラスチック基板など高温で軟化又は分解する恐れのある基板を用いることができないという問題がある。
 また、CNT含有薄膜の導電性を向上させるために、マトリックス高分子として、可溶性のポリフェニレンビニレン置換体若しくはこれらの共重合体、又は可溶性のポリチオフェン置換体のような導電性高分子を用いること(特許文献2)が提案されている。
 しかしながら、この方法でも、分散のために導電性高分子を多量に入れる必要があるため、CNT同士、又はCNTバンドル同士の間に導電性高分子が挟み込まれる。このため、膜の導電性や半導体特性は導電性高分子の電気的特性に規定されることから、CNTが本来もつ高い導電性や半導体特性が発揮されない。すなわち、このような薄膜では、CNTが本来有している電子機能を十分に生かすことができないことは明らかである。
 そこで、ドーパント溶液を用いて、薄膜中に含まれる分散剤をさらにドープすること(特許文献3)も提案されている。しかし、導電性高分子の導電率はドーピングを行ったとしてもCNTの電子機能よりも劣ることから、膜全体の導電性はより劣った導電性高分子の電気的特性によって規定されるため、十分な導電性を確保することはできない。また、ドーパント溶液に浸漬させる工程、残存するドーパントを洗浄する工程、及び洗浄したCNT含有薄膜を乾燥する工程を必要とする。
 また、CNT含有薄膜の基材への密着性を向上させるために、界面活性剤とともにポリアクリル酸やカルボキシメチルセルロースをマトリックス高分子として混合し、透明導電膜を作製する方法が提案されている(非特許文献3)。
 しかしながら、この方法ではドデシル硫酸ナトリウムとTriton-X100を界面活性剤としてCNTの重量の約10倍添加してCNTを分散させ、その後ポリアクリル酸やカルボキシメチルセルロースを添加している。このため、CNTは界面活性剤に覆われており、ポリアクリル酸やカルボキシメチルセルロースは直接CNTと接しておらず、単に接着力を増すためのバインダーとして機能している。また、膜の導電性を向上させるため、製膜後、膜を洗浄して界面活性剤を除去し、硝酸水溶液に浸漬してドーピングを行う必要がある。
 また、CNTの分散剤としてポリアクリル酸を用いて伸縮性導電膜を作製する方法が提案されている(非特許文献4)。
 しかしながら、この方法では、CNTだけでは十分な導電性を得ることができず、膜に導電性を付与するために高価な銀ナノ粒子と混合し、さらにポリウレタンマトリックスに混入する工程を必要としている。
 また、CNT単独の薄膜の表面の平坦性や基材との密着性を向上させるため、CNT単独膜の上部又は下部に、CNTとポリアクリル酸の混合物の薄膜を形成させる方法が提案されている(特許文献4)。
 しかしながら、この方法では、CNT単独膜の層と、CNTとポリアクリル酸の混合膜の層を別々に形成する必要があるうえに、CNT単独膜の層から分散に要した界面活性剤を洗浄除去する工程を必要とするため、製造プロセスが複雑である。
国際公開第2005/082775号パンフレット 特開2006-265035号公報 特開2008-103329号公報 米国特許公開2009/0252967号明細書
 上述のとおり、CNTをよく分散し、かつ、該分散剤がCNT間の電気的な接続を妨げない、すなわち製膜後に分散剤を取り除く必要のないようなCNT複合膜、およびそのような複合膜を作製するためのCNT複合分散剤又は分散方法を開発できれば、CNTの柔軟性を利用して、フレキシブルな導電膜や導電シートを作製することができる。たとえば、これが薄膜の場合には、タッチパネルなどの透明電極や、有機ELや有機太陽電池の電極などに利用でき、また電磁波吸収シートとして利用することが可能となる。また、これが厚膜の場合には、金属膜や金属箔を凌ぐようなフレキシブルな電極や配線として利用することができる。以上のように、その産業的利用価値は極めて大きいが、そのような要請に応える複合膜、およびそれを作製するためのCNT分散液がまだ開発されていないのが現状である。
 本発明は、このような現状を鑑みてなされたものであって、CNTネットワークにおける電気的な接続を良好にして、電気性能に優れ、かつ耐久性に優れたCNT複合膜及びCNT分散液を提供することを目的とするものである。
[A] カーボンナノチューブの分散剤及びドーパントとして機能する高分子酸を含むカーボンナノチューブ分散液であり、前記カーボンナノチューブ分散液は、前記カーボンナノチューブの濃度が0.005重量%以上1重量%以下、前記高分子酸の濃度が0.005重量%以上5重量%以下、且つ前記カーボンナノチューブと前記高分子酸との重量比が1対1から1対5を備え、前記カーボンナノチューブは、前記カーボンナノチューブ同士が接触する領域を除いて、前記高分子酸が前記カーボンナノチューブの周囲を囲んでなるカーボンナノチューブ分散液。
[B] 前記高分子酸は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びポリ(p-スチレンスルホン酸)からなる群から選択される少なくとも一つである[A]に記載のカーボンナノチューブ分散液。
[C] 前記ポリアクリル酸は、重量平均分子量が500以上250,000以下を備えることを特徴とする[B]に記載のカーボンナノチューブ分散液。
[D] [A]乃至[C]の何れか1に記載のカーボンナノチューブ分散液が基材上に設けて形成されたカーボンナノチューブ複合膜。
[E] 前記カーボンナノチューブ複合膜体は、導電率が400 S/cm以上である[D]に記載のカーボンナノチューブ複合膜。
[F] 高分子酸とカーボンナノチューブとを含み、前記高分子酸が1本のカーボンナノチューブの単体又はカーボンナノチューブのバンドルに付着した部分とカーボンナノチューブが露出している部分の面積比が1対1から10対1であるカーボンナノチューブ複合膜。
[G] 高分子酸とカーボンナノチューブとを含むカーボンナノチューブ複合膜であって、カーボンナノチューブ複合膜の表層の炭素と酸素の原子数の比が12対1から2.5対1であるカーボンナノチューブ複合膜。
[H] 高分子酸とカーボンナノチューブとを含むカーボンナノチューブ複合膜であって、前記高分子酸と前記カーボンナノチューブとの重量比が0.8対1から5対1であり、前記カーボンナノチューブ複合膜の導電率が400 S/cm以上であるカーボンナノチューブ複合膜。
[I] 前記高分子酸は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びポリ(p-スチレンスルホン酸)からなる群から選択される少なくとも一つである[F]~[H]に記載のカーボンナノチューブ複合膜。
[J] 前記高分子酸の重量平均分子量が、500以上250,000以下である[F]~[H]に記載のカーボンナノチューブ複合膜。
[K] 前記ポリアクリル酸の繰り返し単位が、8以上3,500以下である[I]に記載のカーボンナノチューブ複合膜。
[L] 前記カーボンナノチューブ複合膜における1550 nmの波長でのカーボンナノチューブに基づく吸収の吸光度が、ポリビニルピロリドンとカーボンナノチューブとを含み550 nmの波長において同じ透過率を示す膜の1550 nmの波長での吸光度に対して、50%以上減少する[F]~[K]の何れか一に記載のカーボンナノチューブ複合膜。
[M] 高分子酸とカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ複合膜であって、前記高分子酸と前記カーボンナノチューブとの重量比が0.8対1から5対1であり、波長が550 nmにおける前記カーボンナノチューブ複合膜の透過率が90%以上であり、且つ前記カーボンナノチューブ複合膜のシート抵抗が500 Ω/□以下であるカーボンナノチューブ複合膜。
[N] 高分子酸とカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ複合膜であって、前記高分子酸と前記カーボンナノチューブとの重量比が0.8対1から5対1であり、前記カーボンナノチューブ複合膜の膜厚が1 μmであるときに、前記カーボンナノチューブ複合膜のシート抵抗が10 Ω/□以下であるカーボンナノチューブ複合膜。
[O] 前記カーボンナノチューブ複合膜に含まれるカーボンナノチューブに酸又は酸化剤が付着する[F]乃至[N]の何れか一に記載のカーボンナノチューブ複合膜。
[P] 高分子酸と、カーボンナノチューブと、溶媒とを含むカーボンナノチューブ分散液であって、前記高分子酸と前記カーボンナノチューブとの重量比が0.8対1から5対1であり、前記カーボンナノチューブ分散液から前記溶媒を除去したカーボンナノチューブ複合膜として評価した、波長が550 nmにおける前記カーボンナノチューブ複合膜の透過率が90%以上であり、且つ前記カーボンナノチューブ複合膜のシート抵抗が500 Ω/□以下であるカーボンナノチューブ分散液。
[Q] 高分子酸と、カーボンナノチューブと、溶媒とを含むカーボンナノチューブ分散液であって、前記高分子酸と前記カーボンナノチューブとの重量比が0.8対1から5対1であり、前記カーボンナノチューブ分散液から前記溶媒を除去したカーボンナノチューブ複合膜として評価した、前記カーボンナノチューブ複合膜の膜厚が1 μmであるときの前記カーボンナノチューブ複合膜のシート抵抗が10 Ω/□以下であるカーボンナノチューブ分散液。
[R] 高分子酸とカーボンナノチューブとを、重量比が0.8対1から5対1までの範囲で溶媒に分散させるカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
[S] 前記高分子酸とカーボンナノチューブとを、5℃以下に冷却しながら前記溶媒に分散させる[R]に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
[T] 前記高分子酸は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びポリ(p-スチレンスルホン酸)からなる群から選択される少なくとも一つである[R]又は[S]に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
[U] 前記高分子酸の重量平均分子量が、500以上250,000以下である[R]乃至[T]の何れか一に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
[V] 前記ポリアクリル酸の繰り返し単位が、8以上3,500以下である[T]に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
[W] 前記カーボンナノチューブを前記溶媒に分散させる前に、前記カーボンナノチューブを酸又は酸化剤で処理する[R]乃至[V]の何れか一に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
[X] [R]乃至[W]の何れか一に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法により、カーボンナノチューブ分散液を製造し、製造した前記カーボンナノチューブ分散液から前記溶媒を除去するカーボンナノチューブ複合膜の製造方法。
[Y] 前記カーボンナノチューブ複合膜を酸又は酸化剤で処理する[X]に記載のカーボンナノチューブ複合膜の製造方法。
[Z] 前記カーボンナノチューブ複合膜を加熱又はアルカリ処理し、前記高分子酸を一部又は全部を除去する[X]に記載のカーボンナノチューブ複合膜の製造方法。
 本発明によれば、CNTネットワークにおける電気的な接続を良好にして、電気性能に優れ、かつ耐久性に優れたCNT複合膜及びCNT分散液が提供される。
高分子酸が少量でCNTを均一に分散し、均質な複合膜を得ることができるうえ、製膜後分散剤を除去することなく導電性膜とすることができ、後処理工程が簡単となり製造プロセス上有利である。また、高分子酸自体がドーピング効果を示すため別途ドーパントを追加する必要がないうえに、高分子酸は安定で揮発性もないため、長期的に安定な導電性を示す導電膜が得られる。さらに、CNTのみならず高分子酸も分子構造が柔軟であるため、極めて曲げに強い膜を得ることができる。
本発明の一実施系形態に係るCNT複合膜10を説明する模式図である。 本発明の一実施例に係るCNT複合膜のシート抵抗値と、波長が550 nmにおける透過率(基材の透過率を100%としたときの相対値)の関係を示す図である。 本発明の一実施例に係るCNT複合膜のシート抵抗値と、波長が550 nmにおける透過率(基材の透過率を100%としたときの相対値)の関係を示す図である。 本発明の一実施例に係るCNT複合膜の透過光の波長に対する透過率を示す図である。 本発明の一実施例に係る透過型電子顕微鏡を示し、(b)は(a)の拡大図を示す。 本発明の一実施例に係る原子間力顕微鏡像を示し、(b)は(a)の拡大図を示す。 本発明の一実施例に係る透過型電子顕微鏡を示し、(b)は(a)の拡大図を示す。 本発明の一実施例に係る原子間力顕微鏡像を示し、(b)は(a)の拡大図を示す。 本発明の一実施例に係るCNT複合膜のXPSスペクトルを示す。 本発明の一実施例に係るCNT複合膜のXPSスペクトルを示す。 本発明の一実施例に係るCNT複合膜のXPSスペクトルのフィッティングを示す。 本発明の一実施例に係るCNT複合膜のXPSスペクトルのフィッティングを示す。 本発明の一実施例に係るCNT複合膜のXPSスペクトルを示す。 本発明の一実施例に係るCNT複合膜のXPSスペクトルを示す。
 以下、図面を参照して本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜(以下、CNT複合膜とも称する。)及びカーボンナノチューブ分散液(以下、CNT分散液とも称する。)について説明する。なお、本発明のCNT複合膜及びCNT分散液は、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態及び後述する実施例で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[CNT複合膜]
 図1は、本発明一実施系形態に係るCNT複合膜10を説明する模式図である。本発明の一実施系形態に係るCNT複合膜10は、高分子酸1とCNT3とを含む。高分子酸1が1本のCNT3の単体又はCNTのバンドル5に付着した部分とCNT3が露出している部分の面積比が1対1から10対1である。高分子酸1は、ファンデアワールス力により、CNT3の単体又はCNTのバンドル5の周囲を取り巻くように付着する。
 CNTのバンドル5は、CNT3が凝集した束状の構造体であり、局所的にCNT3同士が配向しているが、部分的にCNT3同士が分離した構造を有してもよい。また、CNT3同士が接触する部分(接触部7a)、CNTのバンドル5同士が接触する部分(接触部7b)及びCNT3とCNTのバンドル5が接触する部分(接触部7c)の一つ以上を備える。これにより、CNT3は、全体としてネットワークを構成する。このCNTのネットワークにおいては、接触部7aにおいてCNT3とCNT3との電気的接続、接触部7bにおいてバンドル5とバンドル5との電気的接続及び接触部7cにおいてCNT3とCNTのバンドル5との電気的接続を提供し、ネットワーク全体に導電性を付与する。
 CNT複合膜10は、高分子酸1とCNTのネットワークを含み、CNT3の周囲に高分子酸1が配置されながらCNT3同士の接触も確保されている。したがって、CNT複合膜10においては、CNT3とCNT3との電気的接続、バンドル5とバンドル5との電気的接続及びCNT3とCNTのバンドル5との電気的接続が高分子酸1によって妨げられない。このため、CNT複合膜10はCNTネットワークにおける電気的な接続を良好にして、電気性能に優れる。
 ここで、高分子酸1が1本のCNT3の単体又はCNTのバンドル5に付着した部分とCNT3が露出している部分の面積比は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)像とエネルギー分散型X線分光法(EDX)を組み合わせて、CNT単体又はCNTバンドルの画像上の酸素原子と炭素原子の面積比により算出することができる。または、X線光電子分光法(XPS)が試料表面の数ナノメートル~10ナノメートル程度の深さの領域(以下、表層と呼ぶ)のみを観測できることを利用して、複合膜表層の炭素と酸素の強度比により算出することができる。
 また、酸素原子と炭素原子の面積比は、CNT複合膜10の表面の炭素と酸素の原子数の比に対応する。CNT複合膜10は、表面の炭素と酸素の原子数の比が12対1から2.5対1である。CNT複合膜10の表面の炭素と酸素の原子数の比がこの範囲にあれば、十分なドーピング効果を得ることができる。CNT複合膜10の表層の炭素と酸素の原子数の比は、XPSスペクトルに基づいて算出することができる。
 本発明において、CNT3の種類は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、単層CNT(以下、SWNTとも称する。)、二層CNT(以下、DWNTとも称する。)、多層CNT(以下、MWNTとも称する。)、ロープ状CNT、リボン状CNTのいずれも用いられる。また、金属性のCNT、半導体性のCNTの分離工程を経た金属性のCNT又は半導体性のCNTを単独で用いることも可能である。
 CNTの長さや直径に特に制約されないが、高導電性のCNT複合膜を得るには、直径0.4 nm以上2.0 nm以下、長さ0.5 μm以上20 μm以下が好ましい。また、単層CNTで、結晶性が優れ、長さが長いものが好ましい。さらに、直噴熱分解合成(DIPS)法により合成した高品質の単層CNTなどを用いると、より均質な分散液が得られるため、高導電性の複合膜を得るには好ましい。
 一実施形態において、高分子酸1としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などの高分子カルボン酸、ポリ(p-スチレンスルホン酸)などの高分子スルホン酸などからなる群より選択される少なくとも1つを好ましく用いることができるが、これらに限定されない。
 一実施形態において、高分子酸1の重量平均分子量は500以上250,000以下であり、1,800以上25,000以下であることが好ましい。また、ポリアクリル酸(以下、PAAとも称する。)の繰り返し単位の平均値が、8以上3,500以下であり、25以上350以下であることが好ましい。分子量が大きい高分子酸のほうがCNTをよく分散するが、後述の実施例に示すように、分子量の小さい高分子酸のほうが、ドーピング効果が大きい傾向がみられる。
 また、ポリアクリル酸を用いる場合、分子量に特に制限はないが、同じ重量のポリアクリル酸であれば、分子量の小さいポリアクリル酸を用いるほうが、ドーピング効果が高い。重量平均分子量(MW)が25,000以下のポリアクリル酸を用いると、ドーピング効果が大きい。これは、分子量が大きいポリアクリル酸は、部分的に自己凝集を起こし、CNTと接触する面積が減少して、ドーピング効果を十分に示さないためであると推察される。
 PAAは一般に分子量分散が比較的大きな高分子であると考えられ、たとえばDubayの下記の文献によれば、Polyscience社製の重量平均分子量5000のPAAは、分子量100から100000までの高分子を含み、同社の重量平均分子量50000のPAAは、分子量1000から1000000までの高分子を含むとされている。また、同社の重量平均分子量20000のポリアクリル酸ナトリウムは、分子量100から300000までの高分子を含むとされている。(M. R. Dubay: "The Molecular Weight Effects of Poly(acrylic acid) on Calcium Carbonate Inhibition in the Kraft Pulping Process" Dissertation, the University of Minnesota, May, 2011, https://conservancy.umn.edu/handle/11299/107782)。したがって、本明細書において重量平均分子量で示されたPAAにおいては、重量平均分子量の1/10~1/100倍程度の分子量のPAAから10~100倍程度の分子量のPAAが含まれてもよいことを意図する。
 一実施形態において、高分子酸1とCNT3との重量比が0.8対1から5対1である。高分子酸1とCNT3との重量比がこの範囲にあるとき、CNT3とCNT3との電気的接続、バンドル5とバンドル5との電気的接続及びCNT3とCNTのバンドル5との電気的接続が高分子酸1によって妨げられない。
 例えば、ポリアクリル酸とCNTとの重量比は、1対1から5対1が好ましく、1対1から3対1がより好ましい。この範囲では、高分子酸がCNT又はCNTバンドルの周囲を覆うように吸着し、CNTを良好に分散するが、CNT又はCNTバンドルの表面を高分子酸がすべて覆い尽くすことができず、CNT又はCNTバンドルが露出する部分が生じる。このため、CNT同士又はCNTバンドル同士の電気的接続を妨げないため、CNT複合膜が良好な導電性を示す。一方で、高分子酸が少なすぎると、CNTを十分に分散することができない。また、高分子酸が多すぎると、CNTの周囲を高分子酸がすべて覆い尽くす。このような状態では、CNT同士又はCNTバンドル同士の接触が妨げられるため、CNT複合膜が良好な導電性を示さなくなる。
 一実施形態において、CNT複合膜10の導電率は、400 S/cm以上であり、好ましくは1,000 S/cm以上である。CNT複合膜10は、CNTネットワークにおける電気的な接続が良好であるため、電気性能に優れる。
 一実施形態において、CNT複合膜10は、1550 nm 付近の波長でのCNT3に基づく吸収の吸光度が、ポリビニルピロリドン(以下、PVPとも称する。)とCNT3とを含み550 nmの波長において同じ透過率を示す膜の1550 nmの波長での吸光度に対して、50%以上減少する。すなわち、CNT複合膜10においては、近赤外領域に存在する半導体性のCNTの吸収強度が減少し、近赤外領域の透過率が増大する。具体的には、1500 nm付近の波長の半導体性のCNTの吸収ピーク(波長は、用いるCNTの直径等に依存する)の吸光度が50%程度減少する。これは、高分子酸1のドーピング効果により、半導体性のCNT内に電荷キャリアが発生し、金属的な挙動を示すようになるためである。このような近赤外領域での吸光度の減少は、本実施形態に係るCNT複合膜10の導電性が向上する現象と関連する現象である。
 一実施形態において、CNT複合膜10は、波長が550 nmにおける透過率が90%以上となる膜厚で作製した場合に、CNT複合膜10のシート抵抗が500 Ω/□以下となる。また、一実施形態において、CNT複合膜10は、膜厚が1 μmであるときに、シート抵抗が10 Ω/□以下となる。このように、CNT複合膜10は、CNT透明導電膜において、世界トップレベルの性能を達成することができる。また、耐久性にも優れる。
 一実施形態において、CNT複合膜10は、環境耐久性試験(湿度85%、温度85℃の環境で1000時間処理)前後でのシート抵抗の変化が20%以下である。
 また、一実施形態において、CNT複合膜10は、100℃、200℃、280℃で、それぞれ2時間加熱した前後でのシート抵抗の変化が20%以下である。
 また、一実施形態において、CNT複合膜10は、基材上に配置されてもよい。CNT複合膜10を用いた透明導電膜を作製する場合は、透明基材を必要に応じて選択することができる。透明基材としては、例えば、ガラスや石英ガラスのような硬質の基材の他に、フレキシブル基板および透明で且つフレキシブルな基板を用いることができる。具体的にはポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)などからなる群から選択される基材を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、CNT複合膜10は、自立膜であってもよい。
[CNT分散液]
 上述した本発明に係るCNT複合膜は、以下に説明するCNT分散液を用いて得ることができる。本発明に係るCNT分散液は、一実施形態において、CNTの分散剤及びドーパントとして機能する高分子酸を含む。CNT分散液は、CNTの濃度が0.005重量%以上1重量%以下、高分子酸の濃度が0.005重量%以上5重量%以下、且つCNTと高分子酸との重量比が1対1から1対5を備える。CNT分散液において、CNT同士が接触する領域を除いて、高分子酸がCNTの周囲を囲んでなる。高分子酸は、CNTの単体又はCNTのバンドルの周囲を取り巻くように付着する。
 一実施形態において、CNT分散液中のCNTと高分子酸は、図1に示したCNT複合膜10中での構造に類似した構造を有する。すなわち、高分子酸1が付着しているCNT3の部分ではCNT3同士の接触が生じずによく分散した状態になる。一方、高分子酸1が付着していないCNT3の部分ではCNT同士がファンデルワールス力により凝集しやすくなり、より強い接触となる。このため、CNT分散液において、以下の3つの局所状態が存在するものと推察される。
A 高分子酸がCNTに付着し、CNT同士が接触しない状態 (安定的な分散状態)
  CNT同士が直接接触せず、CNT分散液中での分子間力が弱く、CNTが電気的に接続しにくい。
B CNT同士が接触した状態 (CNTの凝集状態)
  CNTの不安定な分散状態であり、CNTの分子間力が強く、CNTが電気的に接続している。
C 高分子酸がCNTの一部に付着し、CNT同士が接触した状態
  CNT同士が接触した部分ではCNTの安定な凝集状態となり、高分子酸が付着した部分ではCNTの安定な分散状態となる。CNT同士が接触した部分では分子間力が強く、CNTが電気的に接続している。
 CNT分散液において、CNTのバンドル5は、CNT3が凝集した束状の構造体であり、局所的にCNT3同士が配向しているが、部分的にCNT3同士が分離した構造を有してもよい。また、CNT3同士が接触する部分(接触部7a)、CNTのバンドル5同士が接触する部分(接触部7b)及びCNT3とCNTのバンドル5が接触する部分(接触部7c)の一つ以上を備える。これにより、CNT3は、全体としてネットワークを構成する。
 一方、CNTが何れの状態をとっていても、CNT分散液をCNT複合膜とする段階(溶剤が乾燥、除去される)で、CNTの分子間力により、CNT同士も選択的に、高分子酸が付着していない部分で接触する。
 CNT分散液には、上述した高分子酸とCNTが分散しているため、高分子酸とCNTについての詳細な説明は省略する。高分子酸とCNTを分散させる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、2-プロパノール、グリセリン、エチレングリコール、水とエタノール混合液、及びエタノールと2-プロパノール混合液などからなる群から選択される溶媒を好ましく用いることができる。
 一実施形態において、CNT分散液中のCNTの濃度は0.005重量%以上1重量%以下、好ましくは0.01重量%以上0.5重量%以下である。また、CNT分散液中の高分子酸の濃度は0.005重量%以上5重量%以下、好ましくは0.01重量%以上1.5重量%以下である。
 一実施形態において、高分子酸1とCNT3との重量比が0.8対1から5対1である。高分子酸1とCNT3との重量比がこの範囲にあるとき、CNT複合膜10において、CNT3とCNT3との電気的接続、バンドル5とバンドル5との電気的接続及びCNT3とCNTのバンドル5との電気的接続が高分子酸1によって妨げられない。
 CNT分散液の物性は、CNT分散液から溶媒を除去したCNT複合膜として評価することができる。CNT分散液から溶媒を除去したCNT複合膜は、波長が550 nmにおけるCNT複合膜の透過率は90%以上であるとき、CNT複合膜のシート抵抗が500 Ω/□以下である。すなわち、本実施形態に係るCNT分散液は、波長が550 nmにおけるCNT複合膜の透過率は90%以上である膜厚を有するCNT複合膜として評価した場合に、CNT複合膜のシート抵抗が500 Ω/□以下となるCNT分散液である。
 また、CNT分散液から溶媒を除去したCNT複合膜の膜厚が1 μmであるとき、CNT複合膜のシート抵抗は10 Ω/□以下である。
(CNT分散液の製造方法)
 一実施形態において、本発明に係るCNT分散液は、以下のように製造することができる。
(1)プレドーピング工程
 酸化剤などのドーパントを溶解した溶液にCNT粉末を加え、マグネチックスターラーなどで数10分~1日程度激しく攪拌する。その後、分散液をろ過し、ろ紙上に残ったCNT粉末を洗浄して、ドーピングされたCNT粉末を得る。なお、プレドーピング工程は、本発明に係るCNT分散液の製造方法においては、任意に実施される工程である。
 溶剤に分散させる前に酸や酸化剤などを用いてCNTにプレドーピングすることにより、CNTの導電性を向上させることもできる。プレドーピング工程には、硝酸、塩酸、硫酸、ヨウ素、臭素、クロロスルホン酸(超酸)、ヨウ化水素酸、臭化水素酸及びこれらの混合物からなる群から選択されるドーパントを用いることができる。
 ドーパントを溶解する溶媒としては、上述した高分子酸とCNTを分散させる溶媒を用いることができる。また、ろ紙上に残ったCNT粉末の洗浄においても、これらの溶媒を用いることができる。
(2)プレ分散工程
 分散剤である高分子酸を溶解した溶液にCNT粉末を加え、マグネチックスターラーなどで数10分~1日程度激しく攪拌する。CNTを分散させる溶媒には、上述した溶媒を用いることができる。プレ分散工程は、本発明に係るCNT分散液の製造方法においては、必須の工程である。
(3)本分散工程
 プレ分散を行った液を用いて、超音波ホモジナイザーや超音波バス、ジェットミル高圧分散などによりさらに細かくCNTを分散させ、CNTが容易に凝集・沈降しないCNT分散液を得る。本分散工程は、本発明に係るCNT分散液の製造方法においては、必須の工程である。
 本分散工程には、超音波ホモジナイザーはCNTを強力に分散するが、時間をかけすぎるとCNTや高分子酸を損傷する恐れがある。また、CNT分散液を作製する時に、高分子酸溶液が加熱されると、CNT分散液中で高分子酸が一部自己凝集し、高分子酸がCNTと接触する面積が減少して、ドーピング効果が小さくなると推察される。一般的に、超音波ホモジナイザーによるCNTの分散処理では、溶媒分子や高分子酸分子を振動させることにより、局在的に高熱が発生するため、高分子酸が激しく凝集する。そうなると、ドーピング効果が小さくなると共に、CNT同士の接触も妨げる。
 このため、超音波ホモジナイザーでの処理時間を必要最小限にする、又はプレ分散を行った液を冷却しながら超音波を照射することが有効である。たとえば、プレ分散を12時間程度行うことにより、本分散における超音波ホモジナイザー照射の時間を短縮しても均一な分散液を得ることができ、超音波ホモジナイザー照射によるCNTや高分子酸の損傷を最低限に抑えることができる。また、このように均一な分散液を得ることができた場合には、次の超遠心処理を省略することができ、製造プロセス上、大変に有利である。また、超音波ホモジナイザーでの処理時間を短縮するために、超音波ホモジナイザーでの処理に先立って、超音波バスでの処理を行うことも有効である。
(4)遠心分離工程
 本分散を行ったCNT分散液を超遠心分離装置により延伸分離を行い、得られた上澄みを製膜に用いる分散液とする。遠心分離工程は、本発明に係るCNT分散液の製造方法においては、任意の工程である。
 遠心分離において、ローターの回転数は2,000rpm以上60,000rpm以下、好ましくは45,000rpm、遠心分離時間は2時間程度である。なお、高品質なSWNTを用いてCNT分散液を作製した場合には、均質なCNT分散液を作製することができるため、超遠心処理を省略することも可能である。
(CNT複合膜の製造方法)
 一実施形態において、本発明に係るCNT複合膜は、上述したCNT分散液を用いて、以下のように製造することができる。
(5)製膜工程
 上述の製造方法で得られたCNT分散液を、スピンコート、バーコート、スプレーコートなどの方法により製膜し、必要に応じて加熱などの乾燥工程を経てCNT複合膜を得る。
 製膜方法は特に制限されないが、キャスト法、ディップコート法、スピンコート法、バーコート法、ブレードコート法、ダイコーティング法、スプレーコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法などを自由に選択することができる。製膜工程においては、上述した透明基材を用いることができる。また、製膜後、基材からはがす、あるいは気液界面や液液界面を利用するなど製膜時から基板を用いない方法などで、自立膜とすることも可能である。
 また、厚い膜が必要な場合には、分散液中のCNT濃度を高くしたり、一旦製膜し溶媒が留去されたのち再度製膜したりすること(重ね塗り)により、任意の膜厚の厚膜を作製することができる。
(6)洗浄工程
 導電性のCNT複合膜を得たい場合には、分散剤がCNTの導電性を妨げることもある。この場合には、洗浄などの方法でCNT複合膜から分散剤を除去する。洗浄工程は、本発明に係るCNT複合膜の製造方法においては、任意の工程である。
 一般に、非導電性分散剤を用いた場合には、CNT同士又はCNTバンドル同士の電気的接続を設け、CNT複合膜に導電性を発揮させるためには、製膜後にCNT複合膜の非導電性分散剤を除去する必要がある。これには、たとえば、溶剤に浸漬して除去する、などの方法が考えられる。しかしながら本願では、分散に用いる高分子酸は非導電性であるにもかかわらず、少量で分散が可能であるため、CNTに対する高分子酸の重量が数倍程度までの場合は、除去することなくそのままでCNTの高い導電性が発揮される。
(7)ポストドーピング工程
 上記の方法で得られたCNT複合膜に対し、酸化剤の蒸気にさらす、あるいは酸化剤を含む溶液に浸漬することによりドーピングを行う。ポストドーピング工程は、本発明に係るCNT複合膜の製造方法においては、任意の工程である。
 また、一般に、CNTのみからなる膜の導電性は十分ではないため、硝酸などの酸化剤などを用いてドーピングを行う方法がよく採用される。この際、一般に、酸化剤の溶液に膜を浸漬したり、酸化剤の蒸気にさらしたりする工程が必要となる。また、硝酸などの揮発性の酸化剤を用いた場合には得られた膜の導電性が不安定である。しかしながら、本発明に係るCNT複合膜の製造方法においては、分散剤である高分子酸そのものがドーピング剤として機能するため、製膜後に改めてドーピングの工程を経る必要がなく、また、高分子酸は不揮発性であるため、得られたCNT複合膜の導電性は極めて安定である。
 本発明に係るCNT複合膜の製造方法では、分散剤である高分子酸はCNTに対して1対1~5対1程度とごく少量添加するだけでよく、さらに高分子酸自体がドーパントとなるため、通常必要とされる上記(6)洗浄工程および(7)ポストドーピング工程を省略することができ、製造プロセス上、有利である。また、本発明に係るCNT複合膜の製造方法による(2)プレ分散工程や(3)本分散工程の最適化により、(4)遠心分離工程を省略することもできるので、製造プロセス上、有利である。さらに得られた膜の導電性は長期間安定である。
 上述のように、本発明に係るCNT複合膜の製造方法においては、製膜後、分散剤である高分子酸を除去することなく高導電性の膜を得ることができるが、必要に応じて製膜後に高分子酸の一部又は全部を除去することもできる。高分子酸の除去の方法は特に制限されないが、熱焼成(加熱処理)、パルス光焼成(加熱処理)、溶剤による洗浄、アルカリ現像液(アルカリ処理)による洗浄などが好ましく用いられる。
 本発明のCNT複合膜の製造方法は、基板の種類を選ばず、また、自立膜も作製可能で、大面積化が可能であり、かつ簡便で低コストであるために、多様な用途に供することが期待される。具体的には、ITOに代わる透明導電膜材料、電磁波遮蔽フィルム、フレキシブル電極材料などとして期待される。
 次に、本発明を実施例に基づいて、さらに詳述する。なお、以下の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、これに制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想に基づく変形、実施態様、他の例は、本発明に全て含まれるものである。
 なお、以下の実施例においては、名城ナノカーボン社の改良直噴熱分解合成(eDIPS)法により合成した単層CNT、あるいは産業技術総合研究所スーパーグロース(SG)法により合成した単層CNTを用いた。また、ポリアクリル酸(PAA、重量平均分子量5,000、25,000、1,000,000)は和光純薬社製の試薬を用いた。重量平均分子量が1,800、450,000のPAAはシグマアルドリッチ社製の試薬を用いた。
 最初に、実施例に用いた測定方法・装置について記載する。
[表面抵抗]
 CNT導電膜の表面抵抗率は四深針法抵抗率測定装置(ロレスター、三菱化学(株)製)により室温、大気中で測定した。
[膜厚]
 作製したCNT含有薄膜の膜厚はDektak8触針式膜厚段差・表面形状測定器(アルバック社製)で測定した。
[紫外-可視-近赤外透過スペクトル]
 紫外-可視-近赤外透過スペクトルは、V-670 紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社製)で測定した。以下、特に断らない限り、透過率は、基材の透過率を100%としたときの波長が550 nmにおける相対値である。また、赤外吸収変化率は、基材の透過率を100%としたときの波長が1550 nm(0.8 eV)におけるCNT複合膜の相対的な透過率を吸光度に換算した値(aとする)と、高分子酸の代わりにポリビニルピロリドン(PVP)を分散剤として550 nmにおける透過率が同じになるように膜厚を調整して製膜した膜で1550 nmにおいて同様に見積った吸光度の値(bとする)を用いて、a÷bとして計算した値である。
[透過型電子顕微鏡]
 透過型電子顕微鏡は、LEO EM922(カールツァイス社製)で測定した。
[X線光電子分光]
 X線光電子スペクトル(XPS)は、PHI 5000 VersaProbe(ULVAC社製)を用い、X線源としてAl Kα線(1486.6 eV)を用いて入射角度45°で測定した。得られたX線光電子スペクトルの強度比の算出には、装置に添付の解析ソフトであるPHI SUMMIT XPSを用いた。
[カーブフィッティング]
 X線光電子スペクトルのピーク形状を、E.R.Edwardsらの方法(E.R.Edwards, E.F.Antunes, E.C.Botelhoa M.R.Baldan E.J.Coratb, Evaluation of residual iron in carbon nanotubes purified by acid treatments, Applied Surface Science Volume 258, Issue 2, 1 November 2011, Pages 641-648)に従ってフィッティングした。
[原子数の比]
 X線光電子スペクトルを用い、P. Beccatらの方法(P. Beccat, P. Da Silva, Y. Huiban, S. Kasztelan, Quantitative Surface Analysis by XPS: Application to Hydrotreating Catalysts, Oil & Gas Science and Technology - Rev. IFP, Vol. 54 (1999), No. 4, pp. 487-496)に従って複合膜表層の炭素と酸素の原子数の比を算出した。
[CNTとPAAの原子数の比]
 複合膜表層に露出しているCNTとPAAの原子数の比は、PAAの原子数を1として、下記式により算出した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
ACNT:CNTの原子数の比、APAA:PAAの原子数の比、OCP:CNT複合膜表層の酸素原子の比、OC:CNT中の欠陥部分などに含まれる酸素原子の比。
なお、式中、0.40はPAAに含まれる酸素原子の比である(水素原子を除く)。
[原子間力顕微鏡]
原子間力顕微鏡は セイコーインスツルメンツ社製SPA300およびSPI3800を組み合わせて測定した。
(実施例1)
 2-プロパノールとエタノールの9対1混合溶媒30 mLにポリアクリル酸(PAA、重量平均分子量5,000)を14 mg、20 mg又は50 mg溶解し、次いでCNT(eDIPS、未精製試料)を10 mg添加し混合した。この混合液を1,500 rpmの回転スピードで一晩撹拌した(プレ分散工程)。その後本分散として、バス型の超音波処理を用いて、処理温度が5℃前後を保つよう冷却しながら超音波照射を行った。得られた混合液をさらに、超音波ホモジナイザーを用いて、処理温度が5℃前後を保つよう冷却しながら超音波照射を行ってさらに細かく分散し、CNTとPAAの均一なCNT分散液を得た。このようにして、実施例1のCNT分散液として、CNT:PAAの重量比が1:1.4、1:2及び1:5となるCNT分散液を得た。
 得られたCNT分散液を、スピンコーターを用いてガラス基板の片面に製膜した。膜厚や透過率はスピンコーターの回転数を変更することにより調整した。その後、ホットプレート(100℃、10分)で完全に乾燥させることにより実施例1のCNT複合膜を得た。
 実施例1のCNT複合膜のシート抵抗値と、波長が550 nmにおける透過率(基材の透過率を100%としたときの相対値)の関係を図2に示す。これらの値は透明電極として用いるのに十分な透明性と導電性であった。CNTとPAAの組成比が1対5のCNT複合膜は、組成比が1対2のCNT複合膜よりシート抵抗が高いが、CNTに対するPAAの量が多いと、CNTの周囲をすべてPAAが覆い尽くすようになり、CNT同士の接触を妨げるからであると推察される。
(実施例2)
 本実施例では、CNTとPAAの混合比をさらに詳細に変化させて製膜し、シート抵抗との関係を検討した。すなわち、CNT(eDIPS、未精製試料)とPAA(重量平均分子量5,000)の混合比が1対1.4から1対10になるように、30 mLの溶媒に対するPAAの添加量を14 mgから100 mgまで変化させ、上記実施例1と同様の方法で分散液を作製し、ガラス基板上にCNT複合膜を作製した。このとき、波長が550 nmにおけるCNT複合膜の透過率が90%~91%になるように膜厚を調整した。
(比較例1)
 比較例1として、PAAの代わりにポリビニルピロリドン(PVP)を用いてCNT複合膜を作製した。すなわち、水とエタノールの9対1混合溶媒30 mLにPVPを50 mg溶解し、これにCNT(eDIPS、未精製試料)を10 mg加えて実施例2と同様にCNT分散液を作製し、CNT複合膜を製膜した。
 得られた実施例2及び比較例1のCNT複合膜のCNT/PAAの組成比と、シート抵抗及び赤外吸収変化率と、の関係を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
実施例2のCNT複合膜において、組成比1対1.4から1対3ではシート抵抗が250 Ω/□~400 Ω/□と比較的小さいが、組成比1対3よりもPAAが多くなるとシート抵抗が高くなることが証明された。一方、比較例1のCNT複合膜においては、3,000 Ω/□とシート抵抗が高く、比較例1のCNT複合膜ではドーピング効果がないことが示された。
 図3は、実施例2及び比較例1のCNT複合膜のシート抵抗値と、波長が550 nmにおける透過率(基材の透過率を100%としたときの相対値)の関係を示す図である。また、図4は、実施例2及び比較例1のCNT複合膜の透過光の波長に対する透過率を示す図である。図4に示すように、実施例2のCNT複合膜においては、近赤外付近の透過率が高くなることが証明された。これは、PAAからCNTへのドーピングにより、半導体性のCNTが金属性CNTに変化したことを示している。一方で、比較例1のCNT複合膜では近赤外付近の透過率は低く、ドーピング効果を示さないことが証明された。
(実施例3)
 本実施例では、用いたPAAの分子量とCNT複合膜のシート抵抗との関係を検討した。すなわち、重量平均分子量が5,000、25,000、450,000、および、1,000,000のPAAを、それぞれ20 mg秤量して2-プロパノールとエタノールの9対1混合溶媒30 mLに溶解し、これにCNT(eDIPS、未精製試料)を10 mg加えて実施例1と同様に分散させた。また、重量平均分子量1,800のPAAを50 mg秤量して2-プロパノールとエタノールの9対1混合溶媒30 mLに溶解し、これにCNT(eDIPS、未精製試料)を10 mg加えて実施例1と同様に分散させた。これらの分散液を用いて実施例1と同様の方法でガラス基板上にCNT複合膜を作製した。このとき、波長が550 nmにおけるCNT複合膜の透過率が90%~91%になるように膜厚を調整した。
 得られたCNT複合膜の、PAAの重量平均分子量と、シート抵抗及び赤外吸収変化率との関係を表2に示す。すなわち、同じ重量のPAAを用いていても、PAAの分子量が小さいほどシート抵抗が低いCNT複合膜を得ることができることが証明された。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
(比較例2)
 CNT分散液を作製する際の温度の影響を調査した。比較例2として、2-プロパノールとエタノールの9対1混合溶媒30 mLにポリアクリル酸(PAA、重量平均分子量5,000)20 mgを溶解し、次いでCNT(eDIPS、未精製試料)を10 mg添加し混合した。この混合液を、超音波ホモジナイザーを用いて分散する際、冷却操作を行わずCNTを分散した。このCNT分散液を用いて実施例1の方法で製膜を行った。
 表3は、実施例1と比較例2のCNT複合膜のシート抵抗と赤外線吸収変化率を示す。表3に示したように、比較例2のCNT複合膜では、波長が550 nmにおける透過率が約90%のCNT複合膜のシート抵抗は約930 Ω/□となり、実施例1のとおり冷却を行ったCNT複合膜のシート抵抗(約360 Ω/□)より高くなった。このことから、分散液作製時の温度がシート抵抗値に影響を与える場合があることが証明された。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
(実施例4)
 本実施例では、CNTの前処理の有無の影響を検討した。すなわち、CNTとして、名城ナノカーボン社製の精製eDIPS(酸処理などを施してある試料)を用いて、PAA(重量平均分子量5,000)の混合比が1対1から1対10になるように、30m Lの溶媒に対するPAAの添加量を10 mgから100 mgまで変化させ、上記実施例1と同様の方法で分散液を作製し、次いで上記実施例1と同様の方法でガラス基板上にCNT複合膜を作製した。このとき、波長が550nmにおける薄膜の透過率が90%~91%になるように膜厚を調整した。
表4は、実施例4のCNT複合膜の、CNT/PAAの組成比とシート抵抗と及び赤外吸収変化率の関係を示す。すなわち、組成比1対1から1対3ではシート抵抗が250 Ω/□~300 Ω/□と比較的小さいが、組成比1対3よりもPAAが多くなるとシート抵抗が高くなった。また、実施例2に示した、未精製eDIPS試料を用いた場合と比較すると、PAAの組成が1対3より小さいCNT複合膜において、未精製の場合よりも低いシート抵抗を示すCNT複合膜を得ることができることが証明された。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
(実施例5)
 本実施例では、膜厚が1 μmを超えるCNT複合膜を作製した。すなわち、水100 mLにポリアクリル酸(PAA、重量平均分子量5,000あるいは25,000)250 mgを溶解し、次いでCNT(SG)を250 mg添加し混合した。この混合液に対して実施例1と同様の方法で分散液を作製した。
 次に、このCNT分散液を、バーコーターを用いて自動装置によりバーを一定速度で動かすことでガラス基板や樹脂基板の片面に成膜を行った。膜厚はバーに巻かれたワイヤの番手の変更や重ね塗りにより調整した。その後、ホットプレート(70℃、30分)で乾燥させることによりCNT複合膜を得た。
 表5に実施例5のCNT複合膜のポリアクリル酸の重量平均分子量及び膜厚と、シート抵抗及び導電率との関係を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 また、比較実験として、重量平均分子量5,000のPAAを用いて3 μmの膜厚で作製したCNT複合膜を300℃で2時間加熱し、次いで水酸化テトラメチルアンモニウムの水溶液で処理することによりPAAを除去したところ、表5に示すようにシート抵抗は28 Ω/□(導電率に換算すると110 S/cm)に変化し、PAAが失われるとドーピング効果が消滅することが証明された。
(実施例6)
 本実施例では、PAAを用いて作製したCNT複合膜に、さらにドーピング処理を施す(ポストドーピング工程)効果について検討した。水30 mLにポリアクリル酸(PAA、重量平均分子量25,000)15 mgを溶解し、次いでCNT(SG)を10 mg添加し混合した。この混合液に対して実施例1と同様の方法で分散液を作製した。
 次に、このCNT分散液を、ドクターブレードを用いて自動装置によりバーを一定速度で動かすことでガラス基板の片面に成膜を行った。膜厚はバーに巻かれたワイヤの番手を変更や重ね塗りにより3 μmに調整した。製膜後、ホットプレート(70℃、30分)で乾燥させることによりCNT複合膜を得た。このCNT複合膜を、濃硝酸、ヨウ素溶液、ヨウ化水素酸溶液、臭素溶液、臭化水素酸にそれぞれ30分浸漬し、引き上げたのち、水で洗浄してシート抵抗を測定した。また、これとは別に、CNT複合膜を作製した基板を濃硝酸、ヨウ素溶液、ヨウ化水素酸溶液、臭素溶液、臭化水素酸を入れた容器と共存させ密閉し、室温で2時間放置することにより、それぞれの溶液から発生する蒸気にさらした。これを引き上げて室温で乾燥した後、シート抵抗を測定した。
 表6に実施例6CNT複合膜のドーパント及び膜厚と、シート抵抗及び導電率の関係を示す。この結果から、ポストドーピングによりシート抵抗が下がり、導電率が向上することが明らかとなった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
(実施例7)
 本実施例では、PAAとの混合分散液を作製する前にCNT粉末にドーピング処理を施す(プレドーピング工程)効果について検討した。まず、CNT(未精製eDIPS)を硝酸と塩酸の混合溶液に加えて攪拌した。次に、これをろ過・洗浄・乾燥させてCNT粉末を得た。
 水30 mLにポリアクリル酸(PAA、重量平均分子量5,000)15 mgを溶解し、次いで酸処理して得たCNTを10 mg添加し混合した。この混合液に対して実施例1と同様の方法で超音波ホモジナイザー処理を行って、分散液を作製した。
 次に、このCNT分散液を、ドクターブレードを用いて自動装置によりバーを一定速度で動かすことでガラス基板の片面に成膜を行った。膜厚はバーに巻かれたワイヤの番手を変更や重ね塗りにより1 μmおよび10 μmに調整した。製膜後、ホットプレート(70℃、30分)で乾燥させることによりCNT複合膜を得た。
表7に実施例7のCNT複合膜のプレドーピング工程と、シート抵抗及び導電率の測定結果を示す。表7に示すように、膜厚1 μmの場合1.3 Ω/□(導電率に換算すると7,700 S/cm)、膜厚10 μmの場合0.12 Ω/□(導電率に換算すると8,300 S/cm)となった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
 次に、膜厚1 μmのCNT複合膜を、300℃で2時間加熱し、次いで水酸化テトラメチルアンモニウムの水溶液で処理することによりPAAを除去したところ、表7に示すようにシート抵抗は12 Ω/□(導電率に換算すると830 S/cm)となった。
 また、上記の酸処理で得たCNTをヨウ素溶液に加え、超音波処理、水での洗浄を行った後PAA水溶液と混合して実施例1と同様の方法で作製した分散液を用いて、実施例7と同様の方法で膜厚1 μmおよび10 μmとなるように製膜したCNT複合膜のシート抵抗を測定すると、表7に示したように、膜厚1 μmの場合0.7 Ω/□(導電率に換算すると14,000 S/cm)、膜厚10 μmの場合0.06 Ω/□(導電率に換算すると17,000 S/cm)となり、ヨウ素溶液処理をしない場合に比べてシート抵抗が約1/2となることが証明された。
(実施例8)
 本実施例では、CNT複合膜中での混合状態について調査した。すなわち、実施例4と同様の方法で作製した分散液(CNTとPAAの組成比は1対1)を銅メッシュに塗布し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。また、該分散液をガラスに塗布し、原子間力顕微鏡(AFM)で観察した。図5は透過型電子顕微鏡(TEM)像を示し、図5(b)は図5(a)の拡大図を示す。また、図6は原子間力顕微鏡(AFM)像を示し、図6(b)は図6(a)の拡大図を示す。図5及び図6に示したように、PAAがCNTの表面の一部にまとわりつくようにして覆っていることが証明された。
 CNTとPAAの組成比が1対5のCNT分散液を用いたCNT複合膜についても、同様に観察した。図7は透過型電子顕微鏡(TEM)像を示し、図7(b)は図7(a)の拡大図を示す。また、図8は原子間力顕微鏡(AFM)像を示し、図8(b)は図8(a)の拡大図を示す。図7及び図8に示したように、CNTとPAAの組成比が1対5のCNT複合膜では、PAAがCNTの周囲を全部覆い尽くしていることが証明された。
(実施例9)
 本実施例では、分散剤である高分子酸の分子構造の違いについて検討した。実施例1のPAAのかわりにポリメタクリル酸(PMAA)を用いて、実施例1と同様の製造方法でCNT(eDIPS未精製)の分散液を作製し、CNT複合膜を製膜した。
 表8に、実施例9のCNT複合膜のCNT/PMAAの組成比とシート抵抗及び赤外吸収変化率の関係を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
(実施例10)
 本実施例では、PAAを用いて作製したCNT複合膜の環境耐久性を測定した。CNTとして、eDIPS及びSG-CNTを用いた。アドバンテック製の電子冷熱恒温恒湿器を用いて湿度85%、温度85℃の環境で1000時間処理前後のシート抵抗の変化を測定した。
 表9に、実施例10のCNT複合膜の環境耐久性試験前後のシート抵抗を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
(実施例11)
 本実施例では、PAAを用いて作製したCNT導電膜の耐熱性を測定した。CNTとして、eDIPSを用いた。ホットプレートによりCNT膜を100℃、200℃、280℃で、それぞれ2時間加熱し、シート抵抗を測定した。表10にシート抵抗を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
(実施例12)
 上述した各工程後におけるCNT複合膜のXPSスペクトルを測定した。実施例4のように、分子量が5000のPAAを用いて、CNTとPAAの混合比を種々変化させて作製したCNT複合膜のXPSスペクトルを図9に示す。図9の左図に示す、炭素原子に由来するピークの見られる領域では、284.8 eV、285.6 eVおよび289.5 eV付近にピークが観測され、それぞれ、sp2 C=C、C-CおよびC=O結合による炭素原子に由来する。また、図9の右図に示す532 eV 付近にあるピークは酸素原子に由来する。284.8 eV(C=C)のピークはCNTに由来し、285.6 eV(C-C)および289.5 eV(C=O)のピークはPAAに由来する。また、532 eV付近にある酸素原子のピークは、ごく少量存在するCNT内の欠陥にある酸素を除いては、主にPAAに由来する。
 図9のXPSスペクトルより、CNTに対するPAAの混合比が増加するにつれて、酸素原子のピーク強度が大きくなり、XPSスペクトルがCNT複合膜の表層に存在するPAAの量を反映することが明らかとなった。
 実施例3のように、混合比を1:1に固定し、PAAの分子量を変化させて作製したCNT複合膜のXPSスペクトルを図10に示す。図10のXPSスペクトルより、添加したPAAの分子量が増加するにつれて、酸素原子のピーク強度が大きくなり、XPSスペクトルがCNT複合膜の表層に存在するPAAの分子量を反映することが明らかとなった。図10の右図に示す532 eV 付近酸素原子に由来するピーク強度の上昇から、重量平均分子量が450000及び1000000のPAAを添加したCNT複合膜の表層では、CNTに対するPAAの混合比より多くのPAAが観測されることから、PAAの顕著な凝集が生じていることを示唆した。
 図11は、CNT(eDIPS)のみのXPSスペクトルについてのカーブフィッティングの結果を示す。図12は、CNTとPAAの組成比が1対1のCNT複合膜のXPSスペクトルについてのカーブフィッティングの結果を示す。フィッティングした各ピークの面積をピーク強度として比較した。ピーク強度は、測定範囲にあるそれぞれの状態の原子の数に比例する。複合膜におけるPAAの混合比を増やすにつれて、炭素C-Cおよび炭素C-Oのピーク強度は増大し、それに伴い、酸素原子に由来するピークも増大する。
 X線光電子スペクトルからCNT複合膜の炭素と酸素の原子数の比を算出した。なお、実施例に用いたCNTに含まれる酸素原子の比は0.04であった。XPSはCNT複合膜の表面から数nm~10nm程度の深さまでの表層領域までを測定しているため、XPSスペクトルは、CNT複合膜の表層に露出している成分を反映している。したがって、XPSスペクトルから算出される酸素の割合に基づいて計算したCNTとPAAの原子数の比から、CNT複合膜の表層に露出しているCNTとPAAの面積比を推測することができる。
 CNTに対するPAAの混合比を種々変化させて作製したCNT複合膜のXPSスペクトルより求めたPAAの原子数を1としたCNTの原子数の比を表11に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000012
 図7に示したように、CNTとPAAの組成比が1対5のCNT複合膜では、PAAがCNTの周囲を全部覆い尽くす。表10より、CNT複合膜の表層において、PAAがCNTの周囲を全部覆い尽くした状態におけるCNTとPAAの原子数の比は、0.8:1となることが明らかとなった。また、CNTとPAAの組成比を1対10以上としたCNT複合膜においては、CNTの表面にPAAが凝集し、CNTの表面でのPAAの付着量が飽和する。表1に示したシート抵抗の結果からも、CNTとPAAの組成比を1対10以上とすると、CNTとCNTとの接触による導電性が得られなくなることから、CNTの表面に凝集したPAAがCNTとCNTとの接触を妨げることを示唆した。表11から、CNT複合膜の表層の炭素と酸素の原子数の比が、12対1から2.5対1であるときに、ドーピング効果が得られることが示された。
 PAAの分子量を変化させて作製したCNT複合膜のXPSスペクトルより求めたPAAの原子数を1としたCNTの原子数の比を表12に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000013
 表12から、分子量が4500000以上であるPAAを添加すると、CNTの表面にPAAが凝集することが明らかとなった。表2に示したシート抵抗の結果からも、分子量が4500000以上であるPAAを添加すると、CNTとCNTとの接触による導電性が低下したことから、CNTの表面に凝集したPAAがCNTとCNTとの接触を妨げることを示唆した。
(実施例13)
 実施例13は、XPSの入射角を変化させて、分子量5000および分子量1000000のPAAを用いて、CNTとの混合比を1:1で作製したCNT複合膜の深さ方向の均一性を評価した。入射角が大きいほど、複合膜の表面により近い部分の組成のみを反映し、入射角が小さいほど、表面から深い部分までの組成を反映する。図13に示した分子量5000のPAAを用いたCNT複合膜は、入射角を変化させてもXPSのピークは変化せず、深さ方向において高い均一性を示した。一方、図14に示した分子量1000000のPAAを用いたCNT複合膜では、入射角を増すにつれて、炭素C-Cおよび炭素C=Oのピーク強度は増大し、それに伴い、酸素原子に由来するピークも増大する。すなわち、CNT複合膜のPAAの一部が凝集し、深さ方向において成分の均一性が悪くなった。表13はXPS測定から計算した原子数の比を示す。表13の結果からも、分子量1000000のPAAを用いたCNT複合膜においては、複合膜の表層部分に酸素原子が多く分布しており、CNT複合膜の表面にPAAの凝集が増加し偏在していることを示唆した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000014
(実施例14)
実施例14は、実施例4で作製したCNT複合膜を水に2時間程度浸漬し、耐水性を評価した。表14にシート抵抗およびXPSから計算した原子数の比を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000015
表14から、CNT複合膜を水に浸漬することにより、CNT複合膜から一部のPAAが除去され、ドーピング効果が低下することが明らかとなったが、ドーピングしていないCNT膜(例えば、比較例1)と比較すると、水浸漬後のCNT複合膜は低いシート抵抗値を示した。
1:高分子酸、3:CNT、5:バンドル、7a:接触部、7b:接触部、7c:接触部、10:CNT複合膜

Claims (25)

  1. カーボンナノチューブの分散剤及びドーパントとして機能する高分子酸を含むカーボンナノチューブ分散液であり、
    前記カーボンナノチューブ分散液は、前記カーボンナノチューブの濃度が0.005重量%以上1重量%以下、前記高分子酸の濃度が0.005重量%以上5重量%以下、且つ前記カーボンナノチューブと前記高分子酸との重量比が1対1から1対5を備え、
    前記カーボンナノチューブは、前記カーボンナノチューブ同士が接触する領域を除いて、前記高分子酸が前記カーボンナノチューブの周囲を囲んでなることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液。
  2. 前記高分子酸は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びポリ(p-スチレンスルホン酸)からなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液。
  3. 前記ポリアクリル酸は、重量平均分子量が500以上250,000以下を備えることを特徴とする請求項2に記載のカーボンナノチューブ分散液。
  4. 高分子酸とカーボンナノチューブとを含み、前記高分子酸が1本のカーボンナノチューブの単体又はカーボンナノチューブのバンドルに付着した部分とカーボンナノチューブが露出している部分の面積比が1対1から10対1であることを特徴とするカーボンナノチューブ複合膜。
  5. 高分子酸とカーボンナノチューブとを含むカーボンナノチューブ複合膜であって、
    前記カーボンナノチューブ複合膜の表層の炭素と酸素の原子数の比が12対1から2.5対1であることを特徴とするカーボンナノチューブ複合膜。
  6. 高分子酸とカーボンナノチューブとを含むカーボンナノチューブ複合膜であって、前記高分子酸と前記カーボンナノチューブとの重量比が0.8対1から5対1であり、前記カーボンナノチューブ複合膜の導電率が400 S/cm以上であることを特徴とするカーボンナノチューブ複合膜。
  7. 前記高分子酸は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びポリ(p-スチレンスルホン酸)からなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項4乃至6の何れか一に記載のカーボンナノチューブ複合膜。
  8. 前記高分子酸の重量平均分子量が、500以上250,000以下であることを特徴とする請求項4乃至6の何れか一に記載のカーボンナノチューブ複合膜。
  9. 前記ポリアクリル酸の繰り返し単位が、8以上3,500以下であることを特徴とする請求項7に記載のカーボンナノチューブ複合膜。
  10. 前記カーボンナノチューブ複合膜における1550 nmの波長でのカーボンナノチューブに基づく吸収の吸光度が、ポリビニルピロリドンとカーボンナノチューブとを含み550 nmの波長において同じ透過率を示す膜の1550 nmの波長での吸光度に対して、50%以上減少することを特徴とする請求項4乃至6の何れか一に記載のカーボンナノチューブ複合膜。
  11. 前記カーボンナノチューブ複合膜に含まれるカーボンナノチューブに酸又は酸化剤が付着することを特徴とする請求項4乃至6の何れか一に記載のカーボンナノチューブ複合膜。
  12. 高分子酸とカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ複合膜であって、前記高分子酸と前記カーボンナノチューブとの重量比が0.8対1から5対1であり、波長が550 nmにおける前記カーボンナノチューブ複合膜の透過率が90%以上であり、且つ前記カーボンナノチューブ複合膜のシート抵抗が500 Ω/□以下であることを特徴とするカーボンナノチューブ複合膜。
  13. 高分子酸とカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ複合膜であって、前記高分子酸と前記カーボンナノチューブとの重量比が0.8対1から5対1であり、前記カーボンナノチューブ複合膜の膜厚が1 μmであるときに、前記カーボンナノチューブ複合膜のシート抵抗が10 Ω/□以下であることを特徴とするカーボンナノチューブ複合膜。
  14. 前記カーボンナノチューブ複合膜に含まれるカーボンナノチューブに酸又は酸化剤が付着することを特徴とする請求項12又は13に記載のカーボンナノチューブ複合膜。
  15. 高分子酸と、カーボンナノチューブと、溶媒とを含むカーボンナノチューブ分散液であって、前記高分子酸と前記カーボンナノチューブとの重量比が0.8対1から5対1であり、前記カーボンナノチューブ分散液から前記溶媒を除去したカーボンナノチューブ複合膜として評価した、波長が550 nmにおける前記カーボンナノチューブ複合膜の透過率が90%以上であり、且つ前記カーボンナノチューブ複合膜のシート抵抗が500 Ω/□以下であることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液。
  16. 高分子酸と、カーボンナノチューブと、溶媒とを含むカーボンナノチューブ分散液であって、前記高分子酸と前記カーボンナノチューブとの重量比が0.8対1から5対1であり、前記カーボンナノチューブ分散液から前記溶媒を除去したカーボンナノチューブ複合膜として評価した、前記カーボンナノチューブ複合膜の膜厚が1 μmであるときの前記カーボンナノチューブ複合膜のシート抵抗が10 Ω/□以下であることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液。
  17. 高分子酸とカーボンナノチューブとを、重量比が0.8対1から5対1までの範囲で溶媒に分散させるカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  18. 前記高分子酸とカーボンナノチューブとを、5℃以下に冷却しながら前記溶媒に分散させることを特徴とする請求項17に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  19. 前記高分子酸は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びポリ(p-スチレンスルホン酸)からなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項17又は18に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  20. 前記高分子酸の重量平均分子量が、500以上250,000以下であることを特徴とする請求項17又は18に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  21. 前記ポリアクリル酸の繰り返し単位が、8以上3,500以下であることを特徴とする請求項19に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  22. 前記カーボンナノチューブを前記溶媒に分散させる前に、前記カーボンナノチューブを酸又は酸化剤で処理することを特徴とする請求項17又は18に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  23. 請求項17又は18に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法により、カーボンナノチューブ分散液を製造し、製造した前記カーボンナノチューブ分散液から前記溶媒を除去するカーボンナノチューブ複合膜の製造方法。
  24. 前記カーボンナノチューブ複合膜を酸又は酸化剤で処理することを特徴とする請求項23に記載のカーボンナノチューブ複合膜の製造方法。
  25. 前記カーボンナノチューブ複合膜を加熱又はアルカリ処理し、前記高分子酸を一部又は全部除去することを特徴とする請求項23に記載のカーボンナノチューブ複合膜の製造方法。
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