WO2018193842A1

WO2018193842A1 - 情報処理装置、情報処理装置の制御方法、およびプログラム

Info

Publication number: WO2018193842A1
Application number: PCT/JP2018/014400
Authority: WO
Inventors: 長谷川　進
Original assignee: シャープ株式会社
Priority date: 2017-04-17
Filing date: 2018-04-04
Publication date: 2018-10-25

Abstract

ユーザが意図した強さで表示画像をスクロールできない。タッチパネル（２）の第１の方向におけるタッチの移動の速さがタッチパネルの第２の方向におけるタッチの移動の速さよりも遅い場合、第１の方向におけるタッチの移動の速さを速めるように補正するフリック速度置換処理部（３２４）補正部を備えている携帯端末（１）。

Description

情報処理装置、情報処理装置の制御方法、およびプログラム

　本発明は表示対象を表示する表示部と、ユーザのタッチ操作を受け付ける操作部と、を備える情報処理装置に関する。

　従来、表示部内の表示をスクロールさせるフリック操作を受け付ける情報処理装置が知られている。そのような情報処理装置の一例が、特許文献１に記載されている。具体的には、特許文献１に記載の情報処理装置は、タッチパネルへタッチしたまま移動する操作による複数のタッチ位置を取得する取得手段を備えている。また、該情報処理装置は、複数のタッチ位置に基づく判定条件を用いて、操作方向を判定する判定手段を備えている。また、該情報処理装置は、判定した操作方向に基づいて、操作方向の判定条件を変更する変更手段を備えている。

日本国公開特許公報「特開２０１１－１３４２６０号」（２０１１年７月７日公開）

　しかしながら、上述のような従来技術はフリック操作の方向を判定する技術であり、フリック操作の速度を補正することを前提とした技術ではない。そのため、例えば、フリック操作の軌跡が円弧を描くような軌跡となると、ユーザが意図した強さで表示画像をスクロールできないという問題がある。

　本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、フリック操作の軌跡がスクロール方向から外れた方向になった場合においても、ユーザが意図した強さでスクロールを実行することができる情報処理装置などを実現することにある。

　上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、表示部と、フリック操作を受け付ける操作部と、上記操作部上を移動するタッチの位置を検出するタッチ検出部と、上記操作部の第１の方向における上記タッチの上記操作部上の移動の速さである第１の速さと上記操作部の第２の方向における上記タッチの上記操作部上の移動の速さである第２の速さとを上記タッチ検出部が検出したタッチの位置から算出する速さ算出部と、上記第１の速さが上記第２の速さよりも遅い場合、上記第１の速さを速めるように補正する速さ補正部と、上記第１の方向はスクロールの方向と一致しており、補正された上記第１の速さに応じて、上記表示部に表示されている画像を上記第１の方向にスクロールさせるスクロール実行部と、を備えている。

　また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理装置の制御方法は、表示部とフリック操作を受け付ける操作部とを備えている情報処理装置の制御方法であって、上記操作部上を移動するタッチの位置を検出するタッチ検出ステップと、上記操作部の第１の方向における上記タッチの上記操作部上の移動の速さである第１の速さと上記操作部の第２の方向における上記タッチの上記操作部上の移動の速さである第２の速さとを上記タッチ検出ステップの検出結果から算出する速さ算出ステップと、上記第１の速さが上記第２の速さよりも遅い場合、上記第１の速さを速めるように補正する速さ補正ステップと、上記第１の方向はスクロールの方向と一致しており、補正された上記第１の速さに応じて、上記表示部に表示されている画像を上記第１の方向にスクロールさせるスクロール実行ステップと、を含む。

　本発明の一態様によれば、フリック操作の軌跡がスクロール方向から外れた方向になった場合において、スクロールが極端に進まなくなることを回避できるという効果を奏する。

実施形態１に係る携帯端末の要部構成の一例を示すブロック図である。実施形態１に係る携帯端末の外観の一例を示す図である。実施形態１に係るフリック操作補正部が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。（ａ）から（ｃ）は、実施形態１に係るタッチパネルにおけるフリック操作のタッチイベントの一例を示す図である。（ｄ）から（ｆ）は実施形態１に係るフリック速度算出部が受信するタッチイベントの座標の一例を示す図である。（ｇ）は、実施形態１に係るフリック速度算出部が行うフリック速度の算出の一例を示す図である。（ｈ）は、実施形態１に係るフリック速度置換判定部が行う速度ＶＹの補正の一例を示す図である。実施形態１の変形例に係る携帯端末の要部構成の一例を示すブロック図である。実施形態１の変形例に係る携帯端末が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。実施形態２に係る携帯端末の要部構成の一例を示すブロック図である。実施形態２に係る携帯端末が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。（ａ）から（ｄ）は、実施形態２に係るタッチパネルにおけるフリック操作のタッチイベントの一例を示す図である。（ｅ）から（ｈ）は実施形態２に係るフリック速度算出部が受信するタッチイベントの座標の一例を示す図である。また、（ｈ）は、実施形態２のフリック速度算出部が行うフリック速度の算出の一例を示す図である。（ｉ）は、実施形態２に係るフリック速度置換判定部が行うフリック速度の補正の一例を示す図である。

　〔実施形態１〕
　以下、本発明の実施形態１について、図１から図６を参照して詳細に説明する。

　（携帯端末１の概要）
　まず、本実施形態に係る携帯端末（情報処理装置）１の外観構成について、図２を参照して説明する。図２は携帯端末１の外観の一例を示す図である。携帯端末１はスマートフォンであり、ユーザＵのタッチ操作を受け付けるタッチパネル（操作部）２および画像を表示する表示部５を備えている。タッチパネル２は、特に、フリック操作を受け付ける。

　フリック操作とは、タッチパネル２にユーザＵの指が接触するタッチダウン（ＴＤ）、タッチパネル２にユーザＵの指が接触しながら移動するタッチムーブ（ＭＶ）およびタッチパネル２からユーザＵの指が離れるタッチアップ（ＴＵ）のタッチイベントから成るタッチ操作である。携帯端末１はフリック操作に応じて、表示部５に表示されている画像をスクロールする。本実施形態においては、例えば、特定のアプリケーションにより表示部５に表示されている画像はタッチパネル２の上下方向（垂直方向、第１の方向、図２に示すＹ方向）にのみスクロール可能としてもよい。

　携帯端末１は、タッチパネル２上を移動するユーザＵの指の位置（タッチの位置）を検出する。例えば、携帯端末１は、タッチパネル２上を移動するユーザＵの指の位置を所定の時間間隔にて検出する。また、携帯端末１は、タッチパネル２の上下方向におけるタッチの移動の速さ（フリック操作の速さ（第１の速さ））を、検出したタッチの位置から算出する。また、携帯端末１は、タッチパネル２の左右方向（水平方向、第２の方向、図２に示すＸ方向）におけるタッチの移動の速さ（フリック操作の速さ（第２の速さ））を、検出したタッチの位置から算出する。携帯端末１は、上下方向のフリック操作の速さが左右方向のフリック操作の速さよりも遅い場合、上下方向のフリック操作の速さを速めるように補正する。上下方向はスクロールの方向と一致しており、携帯端末１は、補正された上下方向のフリック操作の速さに応じて、表示部５に表示されている画像を上下方向にスクロールさせる。

　上記構成によれば、上下方向におけるタッチの速さが第２の方向におけるタッチの速さよりも遅い場合、携帯端末１は、上下方向におけるタッチの速さを速めるように補正する。さらに、携帯端末１は、補正後の速さに応じて、表示部５に表示された画像を上下方向にスクロールさせる。

　そのため、フリック操作の軌跡が円弧を描くような軌跡となり、該軌跡の終端がスクロール方向から外れた方向になった場合においても、フリック操作によるスクロールが極端に進まなくなることを回避できる。

　なお、本実施形態においては、携帯端末１をスマートフォンとして説明する。しかしながら、携帯端末１は、表示部５およびフリック操作を受け付けるタッチパネル２を備えていればよく、特に限定されない。なお、本実施形態における「速度」との記載は、速度の大きさ（速さ）の意味を含む。

　（携帯端末１の構成）
　次に、携帯端末１の構成について、図１を参照して説明する。図１は、携帯端末１の要部構成を示すブロック図である。図１に示すように、携帯端末１は、タッチパネル２、制御部３、携帯端末１が動作する際に使用する記憶装置であるワークメモリ４および表示部５を備えている。

　　（タッチパネル２、表示部５）
　タッチパネル２は、表示部５の表示画面に対するユーザの接触操作（タッチ操作）を受け付ける。タッチパネル２は検出した接触操作についての操作信号を、制御部３に供給する。表示部５の表示画面において、ユーザの接触した位置を検出する方法は、特に限定されない。表示部５は、画像データを表示するための表示画面を有しており、制御部３から画像信号を受信し、受信した画像信号に基づいてその表示画面に画像を表示するものである。表示部５は画像を表示する機能を備えているものであればよく、例えばＬＣＤ（Liquid Crystal Display）表示装置、ＥＬ（Electro Luminescence）表示装置等で構成することもできる。

　　（制御部３）
　制御部３は、携帯端末１の各部を統括して制御するものである。制御部３は、タッチイベント検出部（タッチ検出部）３１、フリック操作補正部３２、アプリケーション実行部（スクロール実行部）３３および表示制御部３４を備えている。

　　　（タッチイベント検出部３１）
　タッチイベント検出部３１は、タッチパネル２から接触操作についての操作信号を受信し、タッチイベント（タッチパネル２におけるタッチダウン、タッチパネル２におけるタッチムーブおよびタッチパネル２におけるタッチアップ）を検出する。例えば、タッチイベント検出部３１は所定の時間間隔にてタッチパネル２から接触操作についての操作信号を受信する（例えば、１/１２０秒で１回等）。換言すると、タッチイベント検出部３１はタッチパネル２上を移動するタッチの位置を所定の時間間隔にて検出する。

　タッチイベント検出部３１は、検出したタッチイベントを示す情報をフリック操作補正部３２のタッチイベント受信部３２１に送信する。なお、タッチイベントを示す情報には、検出されたタッチイベントのタッチパネル２における座標情報が含まれている。

　　　（フリック操作補正部３２）
　フリック操作補正部３２は、タッチイベント受信部３２１、フリック速度算出部（速さ算出部）３２２、フリック速度置換判定部３２３およびフリック速度置換処理部（速さ補正部）３２４を備えている。

　　　　（タッチイベント受信部３２１）
　タッチイベント受信部３２１は、受信したタッチイベントを示す情報をフリック速度算出部３２２に送信する。なお、タッチイベント受信部３２１は、タッチイベントを示す情報の通知時刻と共にタッチイベントを示す情報をフリック速度算出部３２２に送信してもよい。この場合、携帯端末１が時計を備える構成とし、タッチイベント受信部３２１は該時計が示す時刻を参照する構成としてもよい。

　　　　（フリック速度算出部３２２）
　フリック速度算出部３２２は、タッチパネル２の上下方向におけるタッチの移動の速度ＶＹ（第１の速さ）とタッチパネル２の左右方向におけるタッチの移動速度ＶＸ（第２の速さ）とをタッチイベント検出部３１が検出したタッチイベントの位置（検出結果）から算出する。フリック速度算出部３２２の速度ＶＹおよび速度ＶＸの算出方法の詳細については後述する。フリック速度算出部３２２は算出した速度ＶＹおよび速度ＶＸをフリック速度置換判定部３２３に送信する。

　　　　（フリック速度置換判定部３２３）
　フリック速度置換判定部３２３は受信したタッチの移動速度ＶＹがタッチの移動速度ＶＸよりも遅いか否かを判定する。詳細には、フリック速度置換判定部３２３は速度ＶＸの絶対値が速度ＶＹの絶対値よりも大きいか否かを判定する。フリック速度置換判定部３２３は該判定結果と共に速度ＶＹおよび速度ＶＸをフリック速度置換処理部３２４に送信する。

　　　　（フリック速度置換処理部３２４）
　フリック速度置換処理部３２４は、速度ＶＹが速度ＶＸよりも遅い場合、速度ＶＹを速めるように補正する。具体的には、速度ＶＹを速度ＶＸとするように補正する。なお、速度ＶＹが速度ＶＸ以上であれば、フリック速度置換処理部３２４は速度ＶＹを補正しない。換言すると、フリック速度置換処理部３２４は、速度ＶＹと速度ＶＸとの絶対値の大きい方の値を、表示部５の上下方向の速度とする。

　上記構成によれば、速度ＶＹよりも速い速度ＶＸに応じて、表示部５に表示されている画像を表示部５の上下方向にスクロールさせることができる。

　その他の速度ＶＹの補正として、例えば、フリック速度置換処理部３２４は速度ＶＹに速度ＶＸを加えることによって、速度ＶＹを補正してもよい。また、他の速度ＶＹの補正として、フリック速度置換処理部３２４は速度ＶＹを速度ＶＸ^２＋速度ＶＹ^２の平方根として補正してもよい。

　フリック速度置換処理部３２４は補正した速度ＶＹ’をアプリケーション実行部３３に送信する。なお、速度ＶＹが速度ＶＸ以上であれば、フリック速度置換処理部３２４は速度ＶＹを補正せずにアプリケーション実行部３３に送信する。

　　　（アプリケーション実行部３３）
　アプリケーション実行部３３は、携帯端末１で実行される様々なアプリを処理するものである。本実施形態においては、特に、アプリケーション実行部３３は、補正された速度ＶＹ’に応じて、表示部５に表示されている画像を上下方向にスクロールさせる。詳細には、アプリケーション実行部３３は、速度ＶＹ’に応じた画像のスクロールの表示を表示制御部３４に指示する。

　　　（表示制御部３４）
　表示制御部３４は、アプリケーション実行部３３の指示に従い、表示部５に表示する画像を制御する。

　（フリック操作補正処理の流れ）
　次に図３を参照して、フリック操作補正処理について説明する。図３は、本実施形態に係るフリック操作補正部３２が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。アプリケーション実行部３３がフリック操作に応じて表示画像をスクロールする画像を表示部５に表示すると、フリック操作補正処理が開始する。タッチイベント検出部３１が複数のタッチイベント（タッチダウン、タッチムーブおよびタッチアップ）を検知し、タッチイベント受信部３２１へ通知する（Ｓ１：タッチ検出ステップ）。

　ここで、タッチパネル２におけるフリック操作のタッチイベントの一例について、図４を参照して説明する。図４の（ａ）から（ｃ）はタッチパネル２におけるフリック操作のタッチイベントの一例を示す図である。図４の（ａ）に示すように、ユーザの指がタッチパネル２に接触するとタッチイベント検出部３１はタッチダウンを検出する。タッチイベント検出部３１はタッチダウンの位置情報である座標ＴＤ（Ｘ０,Ｙ０）をタッチイベント受信部３２１に通知する。続いて、図４の（ｂ）に示すように、ユーザの指がタッチパネル２に接触した状態でタッチパネル２を移動すると、タッチイベント検出部３１はタッチムーブを検出する。例えば、タッチイベント検出部３１は所定の時間間隔でタッチイベントを検出する。タッチイベント検出部３１はタッチムーブの位置情報である座標ＭＶ１（Ｘ１,Ｙ１）、座標ＭＶ２（Ｘ２,Ｙ２）、座標ＭＶ３（Ｘ３,Ｙ３）、座標ＭＶ４（Ｘ４,Ｙ４）をタッチイベント受信部３２１に通知する。続いて、図４の（ｃ）に示すように、ユーザの指が停止せずに勢いのある状態でタッチパネル２から離れると、タッチイベント検出部３１はタッチアップを検出する。タッチイベント検出部３１はタッチアップの位置情報である座標ＴＵ（Ｘ５,Ｙ５）をタッチイベント受信部３２１に通知する。

　Ｓ１に続き、フリック速度算出部３２２はタッチイベント受信部から通知されたタッチイベントの位置情報に基づきフリック操作の終了時（フリック操作の軌跡の終端）における速度（ＶＸ，ＶＹ）を算出する（Ｓ２：フリック速度算出ステップ）。ここで、フリック速度算出部３２２が受信するタッチムーブイベントの座標の一例について説明する。図４を参照して説明する。図４の（ｄ）から（ｆ）はフリック速度算出部３２２が受信したタッチイベントの座標の一例を示す図である。図４の（ｄ）から（ｆ）には、タッチダウンの位置情報である座標ＴＤ（Ｘ０,Ｙ０）、タッチムーブの位置情報である座標ＭＶ１（Ｘ１,Ｙ１）、座標ＭＶ２（Ｘ２,Ｙ２）、座標ＭＶ３（Ｘ３,Ｙ３）、座標ＭＶ４（Ｘ４,Ｙ４）、タッチアップの位置情報である座標ＴＵ（Ｘ５,Ｙ５）が示されている。フリック速度算出部３２２は、タッチアップの位置情報を受信することにより、フリック操作の終了を判断する。フリック操作の終了を判断すると、フリック速度算出部３２２は、受信したタッチイベントの位置情報から、フリック操作終了時の速度を算出する。フリック速度算出部３２２のフリック操作終了時の速度算出の一例について、図４の（ｇ）を参照して説明する。図４の（ｇ）は、フリック操作終了時におけるフリック速度の算出の一例を示す図である。フリック速度算出部３２２は、フリック操作の終末部に当たるタッチアップの位置座標、タッチムーブの位置座標ＭＶ３（Ｘ３,Ｙ３）、タッチムーブの位置座標ＭＶ４（Ｘ４,Ｙ４）の３つのタッチイベントの位置座標からフリック操作終了時のフリック操作の速度を算出する。

　詳細には、フリック速度算出部３２２はタッチパネル２の上下方向におけるフリック操作の速度ＶＹとタッチパネル２の左右方向におけるフリック操作の速度ＶＸとを算出する。より詳細には、図４の（ｇ）に示すように、フリック速度算出部３２２はＭＶ３－ＭＶ４間のＸ方向における速度ＶＸ１、ＭＶ４－ＴＵ間のＸ方向における速度ＶＸ２を算出する。次に、フリック速度算出部３２２は速度ＶＸ１および速度ＶＸ２の平均を算出し、フリック操作終了時におけるフリック速度であるＶＸとする。また、フリック速度算出部３２２はＭＶ３－ＭＶ４間のＹ方向における速度ＶＹ１、ＭＶ４－ＴＵ間のＹ方向における速度ＶＹ２を算出する。次に、フリック速度算出部３２２は速度ＶＹ１および速度ＶＹ２の平均を算出し、フリック操作終了時におけるフリック速度であるＶＹとする。

　例えば、上述したようにタッチイベントは所定の時間間隔にて検出される。そのため、フリック速度算出部３２２はこの時間間隔を用いてフリック操作の速度を算出してもよい。また、フリック速度算出部３２２はタッチイベント受信部３２１から受信したタッチイベントを示す情報の通知時刻を利用してフリック操作の速度を算出してもよい。

　Ｓ２に続き、フリック速度置換判定部３２３は速度ＶＸの絶対値が速度ＶＹの絶対値よりも大きいか否か（｜ＶＸ｜＞｜ＶＹ｜か？）を判定する（Ｓ３）。速度ＶＸの絶対値が速度ＶＹの絶対値よりも大きい場合（Ｓ３でＹＥＳ）、フリック速度置換判定部３２３は｜ＶＹ｜が示す値を｜ＶＸ｜が示す値に置き換える補正を行なう（Ｓ４：フリック速度補正ステップ）。ここで、フリック速度置換判定部３２３が行う速度ＶＹの補正について、図４の（ｈ）を参照して説明する。図４の（ｈ）は、フリック速度置換判定部３２３が行う速度ＶＹの補正の一例を示す図である。図４の（ｈ）に示すように、｜ＶＸ｜＞｜ＶＹ｜である場合、フリック速度置換判定部３２３は、ＶＹの大きさをＶＸの大きさに補正し、補正速度ＶＹ’とする。すなわち、補正後のフリック操作の速度は、速度（ＶＸ，ＶＹ’）となる。

　Ｓ４に続いて、アプリケーション実行部３３は、速度（ＶＸ，ＶＹ’）に応じて、表示部５に表示されている画像を上下方向（Ｙ方向に沿った方向）にスクロールさせる（Ｓ５：スクロール実行ステップ）。詳細には、アプリケーション実行部３３は速度ＶＹ’に応じた画像のスクロールの表示を表示制御部３４に指示し、スクロールが実行される。ここで、速度ＶＹ’に応じた画像のスクロールとは、｜ＶＹ’｜に応じたスピードおよび移動量の画像のスクロールを示す。すなわち、｜ＶＹ’｜が大きい場合には、画像のスクロールの初期速度は速く、移動量は大きくなる。また、｜ＶＹ’｜が小さい場合には、画像のスクロールの初期速度は遅く、移動量は小さくなる。

　なお、速度ＶＸの絶対値が速度ＶＹの絶対値以下である場合（Ｓ３でＮＯ）、フリック速度置換判定部３２３は速度ＶＹの補正を行なわない。そのため、アプリケーション実行部３３は、補正されていない速度（ＶＸ，ＶＹ）に応じて、表示部５に表示されている画像を上下方向（Ｙ方向に沿った方向）にスクロールさせる（Ｓ６）。詳細には、アプリケーション実行部３３は補正されていない速度ＶＹに応じた画像のスクロールの表示を表示制御部３４に指示し、スクロールが実行される。

　〔変形例〕
　本実施形態の変形例について、図５および図６に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態１にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。

　本変形例は、ユーザが意図的にタッチパネル２の左右方向にフリック操作した場合に、タッチパネル２の上下方向のスクロールが実行されない構成である。

　（携帯端末１ａの構成）
　本変形例に係る携帯端末１ａの構成について、図５を参照して説明する。図５は、携帯端末１ａの要部構成を示すブロック図である。図５に示すように、携帯端末１ａはフリック操作補正部３２の代わりにフリック操作補正部３２ａを備えている点で、携帯端末１と異なる。フリック操作補正部３２ａはフリック方向判定部（フリック操作方向判定部）３２５ａを備えている。

　フリック方向判定部３２５ａは、タッチイベント検出部３１が検出したタッチイベントの位置情報からフリック操作の方向がタッチパネル２の上下方向を含む所定の範囲内の方向であるか否かを判定する。

　詳細に説明すると以下の通りである。フリック方向判定部３２５ａは、タッチイベント受信部３２１から、タッチイベントを示す位置情報を含む情報を受信する。フリック方向判定部３２５ａは、フリック操作開始後のＭ個目（Ｍは任意の数）までのタッチイベントの位置の軌跡がタッチパネル２における上下方向を含む所定の範囲内の方向となっているか否かを判定する。

　具体的には、フリック方向判定部３２５ａはタッチダウンのＹ座標（例えば、図４の（ｅ）におけるＴＤのＹ０）と、Ｍ個目のタッチムーブイベントのＹ座標（例えば、図４の（ｅ）におけるＭＶ３のＹ３）の差分△Ｙを算出する。また、同様にして、フリック方向判定部３２５ａはタッチダウンのＸ座標（例えば、図４の（ｅ）におけるＸ０）と、Ｍ個目のタッチムーブイベントのＸ座標（例えば、図４の（ｅ）におけるＸ３）の差分△Ｘを算出する。フリック方向判定部３２５ａは△Ｘ＜△Ｙ、かつ、△Ｘと△Ｙとの比率が閾値Ｒ以上であれば、フリックの操作方向がタッチパネル２の上下方向であると判断する。例えば、閾値Ｒを、３に設定してもよい。

　換言すると、△Ｙが△ＸのＲ倍よりも大きい場合、フリックの操作方向がタッチパネル２の上下方向であると判断する。フリック方向判定部３２５ａは、該判定結果をフリック速度置換判定部３２３に送信する。

　例えば、タッチパネル２の左右方向に対するフリック操作の軌跡の角度が所定の角度より大きい場合にフリック操作の方向がタッチパネル２の上下方向と判定されるように、閾値Ｒを設定してもよい。

　本変形例に係るフリック速度置換判定部３２３は、フリック操作の方向がタッチパネル２における上下方向である場合に限り、受信した速度ＶＹが速度ＶＸよりも遅いか否かを判定し、判定結果をフリック速度置換処理部３２４に送信する。

　フリック操作の方向がタッチパネル２における上下方向でない場合、フリック操作の方向がタッチパネル２における上下方向でない旨を示す情報をフリック速度置換処理部３２４に送信する。

　フリック操作の方向がタッチパネル２の上下方向であり、かつ、速度ＶＹが速度ＶＸよりも遅い場合、フリック速度置換処理部３２４は速度ＶＹを速めるように補正する。

　（フリック操作補正処理の流れ）
　次に図６を参照して、本変形例に係るフリック操作補正処理について説明する。図６は、本変形例に係るフリック操作補正部３２ａが実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、Ｓ１からＳ６の処理は、上述した処理と同様のため、ここでの説明は省略する。

　Ｓ２に続き、フリック方向判定部３２５ａは、フリック操作開始後のＭ個目（Ｍは任意の数）までのタッチイベントの位置による軌跡がタッチパネル２において上下方向であるか否かを判定する（Ｓ１０ａ）。該軌跡がタッチパネル２における上下方向である場合（Ｓ１０ａでＹＥＳ）。処理はＳ３に移行する。該軌跡がタッチパネル２における上下方向でない場合（Ｓ１０ａでＮＯ）。処理はＳ６に移行する。

　なお、本例においては、Ｓ２においてフリック速度の算出を行った後に、Ｓ１０ａの判定を行う例について説明した。しかしながら、Ｓ１０ａの判定を行った後に、Ｓ２のフリック速度の算出の処理を行い、Ｓ１０ａの判定に応じてＳ３あるいはＳ６の処理に移行する構成としてもよい。

　上記構成によれば、タッチイベント検出部３１が検出したタッチの位置からフリック操作の方向がタッチパネル２の上下方向を含む所定の範囲内の方向であるか否かを判定し、タッチの移動方向がタッチパネル２の上下方向を含む所定の範囲内の方向である場合、第１の速度を補正する。そのため、ユーザが意図するフリック操作の方向が、タッチパネル２の上下の方向あると判定した場合に、タッチパネル２における上下方向のフリック操作の速度を補正することができる。

　よって、ユーザが意図的にタッチパネル２における左右方向にフリック操作を行った場合に表示画像を上下方向にスクロールするという誤動作を低減することができる。

　なお、本実施形態１においては、補正したフリック操作の速度を表示画像のスクロールに適用する例について示した。しかしながら、本実施形態に示した補正したフリック操作の速度はスクロールの実行の適用に限定されるものではない。

　〔実施形態２〕
　本発明の他の実施形態について、図７～図９に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記している。

　上述したように、従来技術はフリック操作の方向を判定する技術であり、フリック操作の速度を補正することを前提とした技術ではない。そのため、連続したフリック操作のうち、軌跡が円弧に近いフリック操作、弱いフリック操作等によるスクロールの移動距離が極端に短くなるという問題がある。

　（携帯端末１ｂの概要）
　本実施形態に係る携帯端末１ｂは、連続するフリック操作のうちフリック操作の速度が所定の速度よりも遅いフリック操作の速度を速めるように補正する構成である。

　そのため、連続したフリック操作のうち、円弧を描くような軌跡となるフリック操作、弱いフリック操作においても、該フリック操作によるスクロールが極端に進まなくなることを回避できる。よって、ユーザはスムーズに表示画像等のスクロールを実行することができる。なお、本実施形態における「速度」との記載は、速度の大きさ（速さ）の意味を含む。

　（携帯端末１ｂの構成）
　次に、携帯端末１ｂの構成について、図７を参照して説明する。図７は、携帯端末１ｂの要部構成を示すブロック図である。図７に示すように、携帯端末１ｂは、タッチパネル２、制御部３ｂ、携帯端末１ｂが動作する際に使用する記憶装置であるワークメモリ４、表示部５、時計６ｂおよび記憶部７ｂを備えている。

　　（タッチパネル２、表示部５）
　タッチパネル２は、表示部５の表示画面に対するユーザの接触操作（特に、連続したフリック操作）を受け付ける。タッチパネル２は検出した接触操作についての操作信号を、制御部３ｂに供給する。上述したように、フリック操作とは、タッチパネル２にユーザＵの指が接触するタッチダウン（ＴＤ）、タッチパネル２にユーザＵの指が接触しながら移動するタッチムーブ（ＭＶ）およびタッチパネル２からユーザＵの指が離れるタッチアップ（ＴＵ）のタッチイベントから成るタッチ操作である。携帯端末１ｂはフリック操作に応じて、表示部５に表示されている画像をスクロールする。表示部５の表示画面において、ユーザの接触した位置を検出する方法は、特に限定されない。表示部５は、画像データを表示するための表示画面を有しており、制御部３ｂから画像信号を受信し、受信した画像信号に基づいてその表示画面に画像を表示するものである。表示部５は画像を表示する機能を備えているものであればよく、例えばＬＣＤ（Liquid Crystal Display）表示装置、ＥＬ（Electro Luminescence）表示装置等で構成することもできる。

　　（制御部３ｂ）
　制御部３ｂは、携帯端末１ｂの各部を統括して制御するものである。制御部３ｂは、タッチイベント検出部３１、フリック操作補正部３２ｂ、アプリケーション実行部３３および表示制御部３４を備えている。

　　　（フリック操作補正部３２ｂ）
　フリック操作補正部３２ｂは、タッチイベント受信部３２１、フリック速度算出部３２２、フリック速度置換判定部３２３ｂおよびフリック速度置換処理部３２４ｂを備えている。

　　　　（タッチイベント受信部３２１）
　タッチイベント受信部３２１は、受信したタッチイベントを示す情報をフリック速度算出部３２２に送信する。また、タッチイベント受信部３２１は、時計６ｂを参照し、タッチイベントを示す情報の通知時刻と共にタッチイベントを示す情報をフリック速度算出部３２２に送信する。

　　　　（フリック速度算出部３２２）
　フリック速度算出部３２２は、フリック操作の速度（タッチパネル２の上下方向におけるタッチの移動する速度ＶＹｎおよびタッチパネル２の左右方向におけるタッチの移動する速度ＶＸｎ）をタッチイベント検出部３１が検出したタッチイベントの位置から算出する。フリック速度算出部３２２は算出した速度Ｖｎ（ＶＸｎ，ＶＹｎ）をフリック速度置換判定部３２３に送信する。また、フリック速度算出部３２２は速度Ｖｎの算出にタッチアップの位置情報を用いる。該タッチアップの通知時刻についてもフリック速度置換判定部３２３に送信する。フリック速度算出部３２２の速度ＶＹｎおよび速度ＶＸｎの算出方法の詳細については後述する。

　　　　（フリック速度置換判定部３２３ｂ）
　フリック速度置換判定部３２３ｂは下記の判定を行う。

　（基準速度ａＶとしての速度Ｖｎの判定）
　フリック速度置換判定部３２３ｂは、受信した速度Ｖｎの絶対値の大きさが速度閾値ＶＴ以上であるか否かを判定する。

　速度Ｖｎの絶対値の大きさが速度閾値ＶＴ以上である場合、フリック速度置換判定部３２３ｂは、速度Ｖｎ（ＶＸｎ,ＶＹｎ）を基準速度ａＶとして、記憶部７ｂに記憶させる。また、フリック速度置換判定部３２３ｂは、基準速度ａＶとして記憶させる速度Ｖｎのフリック操作のタッチアップイベントの通知時刻を基準時間ＴＴＵとして、記憶部７ｂに記憶させる。なお、速度閾値ＶＴを2000pixel／秒に設定してもよい。例えば、通常のフリック操作の速度は、画面全体を１秒で上下にフリック操作する速度となり得る。上記2000pixel／秒は中程度のフリック操作の速度といえる。

　また、フリック速度置換判定部３２３ｂは速度Ｖｎ（ＶＸｎ,ＶＹｎ）をフリック操作の速度としてアプリケーション実行部３３に送信する。

　なお、アプリケーション実行部３３は、スクロール可能な表示画像を表示させるアプリケーションの開始と共に、記憶部７ｂが記憶している基準速度ａＶ／基準時間ＴＴＵ７１ｂを０に初期化する。

　また、フリック速度置換判定部３２３ｂは記憶部７ｂに記憶されている基準速度ａＶが０であるか否かを判定する。基準速度ａＶが０である場合、フリック速度置換判定部３２３ｂは速度Ｖｎ（ＶＸｎ,ＶＹｎ）をフリック速度としてアプリケーション実行部３３に送信する。

　（補正要否判定）
　また、フリック速度置換判定部３２３ｂは下記のフリックの速度の補正要否判定を行い、フリック操作が条件に合致した場合、そのフリック操作の速度を基準速度ａＶに置き換える補正を行なう。

　（補正要否判定１：速度Ｖｎの算出に用いたタッチアップの通知時刻の判定）
　フリック速度置換判定部３２３ｂは速度Ｖｎのフリック操作のタッチアップの通知時刻が、基準時間ＴＴＵから時間閾値ＴＴ以上経過した時刻であるか否かを判定する。速度Ｖｎの算出に用いたタッチアップの通知時刻が基準時間ＴＴＵから時間閾値ＴＴ以上経過した場合、フリック速度置換判定部３２３ｂは速度Ｖｎ（ＶＸｎ,ＶＹｎ）をフリック速度としてアプリケーション実行部３３に送信する。

　（補正要否判定２：補正対象としての速度Ｖｎの判定）
　フリック速度置換判定部３２３ｂは速度Ｖｎ（ＶＹｎおよび／またはＶＸｎ）が所定の範囲内である（｜ＶＴ-Ｈｉｇｈ｜＞｜Ｖｎ｜≧｜ＶＴ-ｌｏｗ｜）か否かを判定する。

　速度Ｖｎ（ＶＹｎおよび／またはＶＸｎ）が所定の範囲内でない場合、フリック速度置換判定部３２３ｂは速度Ｖｎ（ＶＸｎ,ＶＹｎ）をフリック速度としてアプリケーション実行部３３に送信する。なお、｜ＶＴ-Ｈｉｇｈ｜を2000pixel/秒に設定し、｜ＶＴ-ｌｏｗ｜を500pixel/秒に設定してもよい。例えば、あまりに速度の速いフリック操作およびあまりに速度の遅いフリック操作には、ユーザになんらかの意図がある可能性がある。上記の構成によれば、ユーザになんらかの意図があるフリック操作について、速度の補正を除外することができる。

　速度Ｖｎ（ＶＹｎおよび／またはＶＸｎ）が所定の範囲内である場合、フリック速度置換判定部３２３ｂは速度Ｖｎ（ＶＸｎ,ＶＹｎ）の置換（補正）をフリック速度置換処理部３２４ｂに指示する。

　なお、上記「補正要否判定１」の記載から、フリック速度置換判定部３２３ｂは、タッチの速度が所定の速度以上であるフリック操作（速度ａＶのフリック操作）から所定の時間内に行われたフリック操作（タッチ）に関し、速度の補正をフリック速度置換処理部３２４ｂに指示すると表現することができる。

　　　　（フリック速度置換処理部３２４ｂ）
　フリック速度置換処理部３２４ｂは、タッチパネル２上のフリック操作の速度（タッチの移動の速さ）が所定の範囲内である場合に、タッチパネル２に対するフリック操作の速度を速めるように補正する。具体的には、フリック速度置換処理部３２４ｂは、フリック速度置換判定部３２３ｂから受信した指示に従い、記憶部７ｂの基準速度ａＶを参照して、フリック操作の速度を、前回のフリック操作までに行われたフリック操作のうち所定の速度以上であるフリック操作の速度（基準速度ａＶ）に補正する。

　フリック速度置換処理部３２４ｂは補正したフリック操作の速度をアプリケーション実行部３３に送信する。

　　　（アプリケーション実行部３３）
　アプリケーション実行部３３は、携帯端末１で実行される様々なアプリを処理するものである。本実施形態においては、特に、アプリケーション実行部３３は、フリック速度置換処理部３２４ｂまたはフリック速度置換判定部３２３ｂから受信したフリック操作の速度に応じて、表示部５に表示されている画像をスクロールさせる。詳細には、アプリケーション実行部３３は、フリック操作の速度に応じた画像のスクロールの表示を表示制御部３４に指示する。

　（記憶部７ｂ）
　記憶部７ｂは、基準速度ａＶ／基準時間ＴＴＵ７１ｂを記憶している。

　（フリック操作補正処理の流れ）
　次に図８を参照して、フリック操作補正処理について説明する。図８は、本実施形態に係るフリック操作補正部３２ｂが実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。アプリケーション実行部３３がフリック操作に応じて表示画像をスクロールする画像を表示部５に表示する（Ｓ２１）と、フリック操作補正処理が開始する。続いて、アプリケーション実行部３３は記憶部７ｂに記憶させている基準速度ａＶおよび基準時間ＴＴＵを初期化する（Ｓ２２）。そして、タッチイベント検出部３１が複数のタッチイベント（タッチダウン、タッチムーブおよびタッチアップ）を検知し、タッチイベント受信部３２１へ通知する（Ｓ２３）。

　ここで、タッチパネル２におけるフリック操作のタッチイベントの一例について、図９を参照して説明する。図９の（ａ）から（ｄ）はタッチパネル２におけるフリック操作のタッチイベントの一例を示す図である。図９の（ａ）に示すように、ユーザの指がタッチパネル２に接触するとタッチイベント検出部３１はタッチダウンイベントを検出する。タッチイベント検出部３１はタッチダウンの位置情報である座標ＴＤ1（Ｘ０,Ｙ０）をタッチイベント受信部３２１に通知する。続いて、図９の（ｂ）に示すように、ユーザの指がタッチパネル２に接触した状態でタッチパネル２を移動すると、タッチイベント検出部３１はタッチムーブイベントを検出する。例えば、タッチイベント検出部３１は所定の時間間隔でタッチイベントを検出する。タッチイベント検出部３１はタッチムーブの位置情報である座標ＭＶ１－１（Ｘ１,Ｙ１）、座標ＭＶ１－２（Ｘ２,Ｙ２）、座標ＭＶ１－３（Ｘ３,Ｙ３）、座標ＭＶ１－４（Ｘ４,Ｙ４）をタッチイベント受信部３２１に通知する。さらに、ユーザの指が停止せずに勢いのある状態でタッチパネル２から離れると、タッチイベント検出部３１はタッチアップイベントを検出する。タッチイベント検出部３１はタッチアップの位置情報である座標ＴＵ１（Ｘ５,Ｙ５）をタッチイベント受信部３２１に通知する。

　また、図９の（ｃ）に示すように、新たに、ユーザの指がタッチパネル２に接触するとタッチイベント検出部３１はタッチダウンイベントを検出する。タッチイベント検出部３１はタッチダウンの位置情報である座標ＴＤ２（Ｘ０,Ｙ０）をタッチイベント受信部３２１に通知する。続いて、図９の（ｄ）に示すように、ユーザの指がタッチパネル２に接触した状態でタッチパネル２を移動すると、タッチイベント検出部３１はタッチムーブイベントを検出する。タッチイベント検出部３１はタッチムーブの位置情報である座標ＭＶ２－１（Ｘ１,Ｙ１）、座標ＭＶ２－２（Ｘ２,Ｙ２）、座標ＭＶ２－３（Ｘ３,Ｙ３）、座標ＭＶ２－４（Ｘ４,Ｙ４）をタッチイベント受信部３２１に通知する。さらに、ユーザの指が停止せずに勢いのある状態でタッチパネル２から離れると、タッチイベント検出部３１はタッチアップイベントを検出する。タッチイベント検出部３１はタッチアップの位置情報である座標ＴＵ２（Ｘ５,Ｙ５）をタッチイベント受信部３２１に通知する。

　Ｓ２３に続き、フリック速度算出部３２２はタッチイベント受信部３２１から通知されたタッチイベントの位置情報に基づきフリック操作の終了時（フリック操作の軌跡の終端）における速度Ｖｎ（ＶＸｎ，ＶＹｎ）を算出する（Ｓ２４）。ここで、フリック速度算出部３２２が受信するタッチムーブイベントの座標の一例について説明する。図９を参照して説明する。図９の（ｅ）から（ｈ）はフリック速度算出部３２２が受信したタッチイベントの座標の一例を示す図である。例えば、図９の（ｆ）には、タッチダウンの位置情報である座標ＴＤ１（Ｘ０,Ｙ０）ｅタッチムーブの位置情報である座標ＭＶ１－１（Ｘ１,Ｙ１）、座標ＭＶ１－２（Ｘ２,Ｙ２）、座標ＭＶ１－３（Ｘ３,Ｙ３）、座標ＭＶ１－４（Ｘ４,Ｙ４）、タッチアップの位置情報である座標ＴＵ１（Ｘ５,Ｙ５）が示されている。フリック速度算出部３２２は、タッチアップの位置情報を受信することにより、フリック操作の終了を判断する。フリック操作の終了を判断すると、フリック速度算出部３２２は、受信したタッチイベントの位置情報から、フリック操作終了時の速度（タッチの速度）を算出する。フリック速度算出部３２２の速度算出の一例について、図９の（ｆ）を参照して説明する。図９の（ｆ）は、フリック操作終了時におけるフリック速度の算出の一例を示す図である。フリック速度算出部３２２は、フリック操作の終末部に当たるタッチアップの位置座標ＴＵ１（Ｘ５,Ｙ５）、タッチムーブの位置座標ＭＶ１－３（Ｘ３,Ｙ３）、タッチムーブの位置座標ＭＶ１－４（Ｘ４,Ｙ４）の３つのタッチイベントの位置座標からフリック操作終了時のフリック操作の速度を算出する。

　詳細には、フリック速度算出部３２２はタッチパネル２の上下方向におけるフリック操作の速度ＶＹｎとタッチパネル２の左右方向におけるフリック操作の速度ＶＸｎとを算出する。より詳細には、図９の（ｆ）に示すように、フリック速度算出部３２２はＭＶ１－３とＭＶ１－４との間のＸ方向における速度、ＭＶ１－４とＴＵ１との間のＸ方向における速度を算出する。次に、フリック速度算出部３２２はＭＶ１－３とＭＶ１－４との間のＸ方向における速度、ＭＶ１－４とＴＵ１との間のＸ方向における速度の平均を算出し、算出した速度をフリック操作終了時におけるフリック速度ＶＸ１とする。また、フリック速度算出部３２２はＭＶ１－３とＭＶ４との間のＹ方向における速度、ＭＶ１－４とＴＵとの間のＹ方向における速度を算出する。次に、フリック速度算出部３２２はＭＶ１－３とＭＶ４との間のＹ方向における速度およびＭＶ１－４とＴＵとの間のＹ方向における速度の平均を算出し、算出した速度をフリック操作終了時におけるフリック速度ＶＹ１とする。

　例えば、上述したようにタッチイベントは所定の時間間隔にて検出される。そのため、フリック速度算出部３２２はこの時間間隔を用いてフリック操作の速度を算出してもよい。また、フリック速度算出部３２２はタッチイベント受信部３２１から受信したタッチイベントを示す情報の通知時刻を利用してフリック操作の速度を算出してもよい。また、後述するＳ２９に続くＳ２３にて、図９の（ｈ）に示すように、フリック速度算出部３２２は、フリック速度ＶＹ１およびＶＸ１を有するフリック操作に続くフリック操作を検出すると、該フリック操作の終了時における速度ＶＸ２および速度ＶＹ２を算出する。

　Ｓ２４に続き、フリック速度置換判定部３２３ｂは、受信した速度Ｖｎの絶対値の大きさが速度閾値ＶＴ以上であるか否かを判定する（Ｓ２５）。例えば、フリック速度置換判定部３２３ｂは速度ＶｎのＶＸｎおよびＶＹｎの両方の絶対値が速度閾値ＶＴ以上である場合に、速度Ｖｎの絶対値の大きさが速度閾値ＶＴ以上であると判定してもよい。また、フリック速度置換判定部３２３ｂは、速度ＶｎのＶＸｎの絶対値の大きさに関わらず、ＶＹｎの絶対値が速度閾値ＶＴ以上である場合に速度Ｖｎの絶対値の大きさが速度閾値ＶＴ以上であると判定してもよい。

　速度Ｖｎの絶対値の大きさが速度閾値ＶＴ以上である場合（Ｓ２５でＹＥＳ）、フリック速度置換判定部３２３ｂは、速度Ｖｎ（ＶＸｎ,ＶＹｎ）を基準速度ａＶとして、記憶部７ｂに記憶させる（Ｓ２６）。また、フリック速度置換判定部３２３ｂは、基準速度ａＶとして記憶させる速度Ｖｎのフリック操作のタッチアップイベントの通知時刻を基準時間ＴＴＵとして、記憶部７ｂに記憶させる（Ｓ２７）。例えば、図９の（ｆ）に示す速度Ｖｎ（ＶＸ１,ＶＹ１）が速度閾値ＶＴ以上であれば、フリック速度置換判定部３２３ｂは速度Ｖｎ（ＶＸ１,ＶＹ１）を基準速度ａＶとして記憶部７ｂに記憶させる。

　続いて、アプリケーション実行部３３は、速度Ｖｎに応じた、画像のスクロールの表示を表示制御部３４に指示し、表示画像がスクロールされる（Ｓ２８）。Ｓ２８に続き、フリック操作に応じて表示画像がスクロールする画像の表示が終了していない場合（Ｓ２９でＮＯ）はＳ２３に戻る。また、フリック操作に応じて表示画像がスクロールする画像の表示が終了した場合（Ｓ２９でＹＥＳ）、処理は終了する。

　また、速度Ｖｎの絶対値の大きさが速度閾値ＶＴより小さい場合（Ｓ２５でＮＯ）、フリック速度置換判定部３２３ｂは記憶部７ｂに記憶されている基準速度ａＶが０であるか否かを判定する（Ｓ３０）。基準速度ａＶが０でない場合（Ｓ３０でＮＯ）、フリック速度置換判定部３２３ｂは速度Ｖｎのフリック操作のタッチアップイベントの通知時刻が、基準時間ＴＴＵから時間閾値ＴＴ以上経過した時刻であるか否かを判定する（Ｓ３１）。

　速度Ｖｎのフリック操作のタッチアップイベントの通知時刻が基準時間ＴＴＵから時間閾値ＴＴ以上経過していない場合（Ｓ３１でＮＯ）、フリック速度置換判定部３２３ｂは速度Ｖｎ（ＶＹｎおよび／またはＶＸｎ）の絶対値が、速度下限閾値ＶＴ－ｌｏｗ以上（｜Ｖｎ｜≧｜ＶＴ-ｌｏｗ｜）であるか否かを判定する（Ｓ３２）。また、速度Ｖｎの絶対値が速度下限閾値ＶＴ－ｌｏｗ以上である場合（Ｓ３２でＹＥＳ）、フリック速度置換判定部３２３ｂは速度Ｖｎの絶対値が速度上限閾値ＶＴ－Ｈｉｇｈより小さい（｜ＶＴ-Ｈｉｇｈ｜＞｜Ｖｎ｜）か否かを判定する（Ｓ３３）。速度Ｖｎの絶対値が速度上限閾値ＶＴ－Ｈｉｇｈより小さい場合（Ｓ３３でＹＥＳ）、フリック速度置換処理部３２４ｂは、速度Ｖｎを、基準速度ａＶに置換（補正）する（Ｓ３４）。例えば、図９の（ｈ）に示す速度Ｖｎ（ＶＸ２，ＶＹ２）が速度下限閾値VT-Low以上且つ、速度上限閾値ＶＴ－Ｈｉｇｈより小さい場合であり、さらに、速度Ｖｎ（ＶＸ２，ＶＹ２）のフリック操作のタッチアップの通知時刻が基準時間ＴＴＵから時間閾値ＴＴ以上経過していない場合、フリック速度置換処理部３２４ｂはフリック速度の置換処理を行う。詳細には、図９の（ｈ）および（ｉ）に示すように、フリック速度置換処理部３２４ｂは速度Ｖｎ（ＶＸ２，ＶＹ２）を、基準速度ａＶとして記憶部７ｂが記憶している基準速度ａＶ（ＶＸ１,ＶＹ１）に置換する。続いて、アプリケーション実行部３３は、基準速度ａＶに応じた（基づいた）、画像のスクロールの表示を表示制御部３４に指示し、表示画像がスクロールされる（Ｓ３５）。続いて、処理はＳ２９に移行する。

　なお、基準速度ａＶが０である場合（Ｓ３０でＹＥＳ）、速度Ｖｎのフリック操作のタッチアップの通知時刻が基準時間ＴＴＵから時間閾値ＴＴ以上経過している場合（Ｓ３１でＹＥＳ）、速度Ｖｎの絶対値が速度下限閾値ＶＴ－ｌｏｗより小さい場合（Ｓ３２でＮＯ）、速度Ｖｎの絶対値が速度上限閾値ＶＴ－Ｈｉｇｈ以上である場合（Ｓ３３でＮＯ）、処理はＳ２８に移行する。

　なお、本実施形態に係る発明は、以下のように表現することができる。

　本実施形態の態様１に係る情報処理装置は、表示部（５）と、連続したフリック操作を受け付ける操作部（タッチパネル２）と、上記操作部上を移動するタッチの位置を検出するタッチ検出部（タッチイベント検出部３１）と、上記操作部上の上記タッチの移動する速さを上記タッチ検出部が検出したタッチの位置から算出する速さ算出部（フリック速度算出部（３２２））と、上記操作部上の上記タッチの移動する速さが所定の範囲内である場合に、上記操作部に対する上記タッチの移動する速さを速めるように補正する速さ補正部（フリック速度置換処理部３２４ｂ）と、補正された上記速さに応じて、上記表示部に表示されている画像をスクロールさせるスクロール実行部（アプリケーション実行部３３）と、を備えている。

　上記の構成によれば、操作部に対するタッチ操作が、所定の範囲内の速さである場合に、速さ補正部は該速さを速めるように補正する。さらに、スクロール実行部は補正された速さに応じて、表示部に表示されている画像をスクロールさせる。そのため、例えば、連続したタッチ操作（特に、フリック操作）のうち、円弧を描くような軌跡となるタッチ操作、弱いタッチ操作においても、該タッチ操作によるスクロールが極端に進まなくなることを回避できる。

　本実施形態の態様２に係る情報処理装置は、上記態様１において、上記速さ補正部は、上記操作部上のタッチの移動する速さを、前回のフリック操作までに行われたフリック操作のタッチの移動する速さのうち所定の速さ以上であるタッチの移動する速さに補正する。

　上記の構成によれば、連続したフリック操作のうち、円弧を描くような軌跡となるフリック操作、弱いフリック操作によるスクロールを、その他のフリック操作によるスクロールと同等にすることができる。

　本実施形態の態様３に係る情報処理装置は、上記態様２において、上記速さ補正部は、タッチの移動する速さが所定の速さ以上である上記フリック操作から所定の時間内に行われた上記操作部上のタッチの移動する速さを補正する。

　上記の構成によれば、操作部上のタッチが、タッチの移動する速さが所定の速さ以上であるフリック操作から所定の時間内に行われた場合に、操作部上のタッチの移動する速さを補正する。そのため、連続していないフリック操作における速さの補正の誤作動を低減することができる。

　本実施形態の態様４に係る情報処理装置の制御方法は、表示部と連続したフリック操作を受け付ける操作部とを備えている情報処理装置の制御方法であって、上記操作部上を移動するタッチの位置を検出するタッチ検出ステップ（Ｓ２３）と、上記タッチの移動する速さを上記タッチ検出ステップにて検出したタッチの位置から算出する速さ算出ステップ（Ｓ２４）と、上記操作部上の上記タッチの移動する速さが所定の範囲内である場合に、上記操作部に対する上記タッチの移動する速さを速めるように補正する速さ補正ステップ（Ｓ３４）と、補正された上記速さに応じて、上記表示部に表示されている画像をスクロールさせるスクロール実行ステップ（Ｓ３５）と、を含む。上記の構成によれば、本実施形態の態様１と同様の効果を奏する。

　本実施形態の態様５に係るプログラムは、本実施形態の態様１の情報処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、上記タッチ検出部、上記フリック速度算出部、上記フリック速度補正部およびスクロール実行部としてコンピュータを機能させる。

　なお、本実施形態においては、補正したフリック操作の速度を表示画像のスクロールに適用する例について示した。しかしながら、本実施形態に示した補正したフリック操作の速度はスクロールの実行の適用に限定されるものではない。

　また、本実施形態２においては、補正したフリック操作の速度を表示画像のスクロールに適用する例について示した。しかしながら、本実施形態に示した補正したフリック操作の速度はスクロールの実行の適用に限定されるものではない。

　〔ソフトウェアによる実現例〕
　携帯端末１、１ａおよび１ｂの制御ブロック（特に制御部３、３ａおよび３ｂ）は、集積回路（ＩＣチップ）等に形成された論理回路（ハードウェア）によって実現してもよいし、ＣＰＵ（Central Processing Unit）を用いてソフトウェアによって実現してもよい。

　後者の場合、携帯端末１、１ａおよび１ｂは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するＣＰＵ、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ（またはＣＰＵ）で読み取り可能に記録されたＲＯＭ（Read Only Memory）または記憶装置（これらを「記録媒体」と称する）、上記プログラムを展開するＲＡＭ（Random Access Memory）などを備えている。そして、コンピュータ（またはＣＰＵ）が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体（通信ネットワークや放送波等）を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。

　〔まとめ〕
　本発明の態様１に係る情報処理装置（携帯端末１、１ａ）は、表示部（５）と、フリック操作を受け付ける操作部（タッチパネル２）と、上記操作部上を移動するタッチの位置を検出するタッチ検出部（タッチイベント検出部３１）と、上記操作部の第１の方向における上記タッチの上記操作部上の移動の速さである第１の速さと上記操作部の第２の方向における上記タッチの上記操作部上の移動の速さである第２の速さとを上記タッチ検出部が検出したタッチの位置から算出する速さ算出部（フリック速度算出部３２２）と、上記第１の速さが上記第２の速さよりも遅い場合、上記第１の速さを速めるように補正する速さ補正部（フリック速度置換処理部３２４）と、上記第１の方向はスクロールの方向と一致しており、補正された上記第１の速さに応じて、上記表示部に表示されている画像を上記第１の方向にスクロールさせるスクロール実行部（アプリケーション実行部３３）とを備えている。

　上記構成によれば、速さ補正部は、第１の方向におけるタッチの操作部上の移動の速さが第２の方向におけるタッチの操作部上の移動の速さよりも遅い場合、第１の方向のタッチの速さを速めるように補正する。さらに、スクロール実行部は、補正後の速さに応じて、表示部に表示された画像を第１の方向にスクロールさせる。

　そのため、例えば、ユーザがスクロール方向（第１の方向）へフリックするつもりで行ったタッチの軌跡が円弧を描くような軌跡となり、該軌跡の終端がスクロール方向（第１の方向）から外れた方向になった場合においても、スクロール実行部は第１の方向のタッチの速さを速めるように補正した速さに応じてスクロールを実行する。よって、フリック操作によるスクロールが極端に進まなくなることを回避できる。

　本発明の態様２に係る情報処理装置は、上記態様１において、上記速さ補正部は、上記第１の速さが上記第２の速さよりも遅い場合、上記第２の速さを上記第１の速さにするように上記第１の速さを補正してもよい。上記構成によれば、第１の方向のタッチの速さよりも速い第２の方向のタッチの速さに応じて、表示部に表示されている画像を第１の方向にスクロールさせることができる。

　本発明の態様３に係る情報処理装置（携帯端末１ａ）は、上記態様１または２において、上記タッチ検出部が検出したタッチの位置から上記フリック操作の方向が上記第１の方向を含む所定の範囲内の方向であるか否かを判定するフリック操作方向判定部（フリック方向判定部３２５ａ）を備えており、上記タッチの移動方向が上記第１の方向である場合、上記速さ補正部は、上記第１の速さを補正してもよい。

　上記構成によれば、タッチ検出部が検出したタッチの位置からフリック操作の方向が第１の方向を含む所定の範囲内の方向であるか否かを判定し、タッチの移動方向が所定の範囲内の方向である場合、第１の速さを補正する。そのため、ユーザが意図するフリック操作の方向が、第１の方向を含む所定の範囲内の方向であると判定した場合に、第１の速さを補正することができる。よって、ユーザが意図的に第２の方向にタッチを移動した場合に表示画像を第１の方向にスクロールするという誤動作を低減することができる。

　本発明の態様４に係る情報処理装置の制御方法は、表示部とフリック操作を受け付ける操作部とを備えている情報処理装置の制御方法であって、上記操作部上を移動するタッチの位置を検出するタッチ検出ステップ（Ｓ１）と、上記操作部の第１の方向における上記タッチの上記操作部上の移動の速さである第１の速さと上記操作部の第２の方向における上記タッチの上記操作部上の移動の速さである第２の速さとを上記タッチ検出ステップの検出結果から算出する速さ算出ステップ（Ｓ２）と、上記第１の速さが上記第２の速さよりも遅い場合、上記第１の速さを速めるように補正する速さ補正ステップ（Ｓ４）と、補正された上記第１の速さに応じて、上記表示部に表示されている画像を上記第１の方向にスクロールさせるスクロール実行ステップ（Ｓ５）と、を含む。上記の構成によれば、上記態様１と同様の効果を奏する。

　本発明の各態様に係る携帯端末は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記携帯端末が備える各部（ソフトウェア要素）として動作させることにより上記携帯端末をコンピュータにて実現させる携帯端末の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。

　本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。

　１、１ａ　　携帯端末（情報処理装置）
　２　　　　　タッチパネル（操作部）
　３１　　　　タッチイベント検出部（タッチ検出部）
　３３　　　　アプリケーション実行部（スクロール実行部）
　３２２　　　フリック速度算出部（速さ算出部）
　３２４　　　フリック速度置換処理部（速さ補正部）
　３２５ａ　　フリック方向判定部（フリック操作方向判定部）
　Ｓ１　　　　タッチ検出ステップ
　Ｓ２　　　　速さ算出ステップ
　Ｓ４　　　　速さ補正ステップ
　Ｓ５　　　　スクロール実行ステップ

Claims

　表示部と、
　フリック操作を受け付ける操作部と、
　上記操作部上を移動するタッチの位置を検出するタッチ検出部と、
　上記操作部の第１の方向における上記タッチの上記操作部上の移動の速さである第１の速さと上記操作部の第２の方向における上記タッチの上記操作部上の移動の速さである第２の速さとを上記タッチ検出部が検出したタッチの位置から算出する速さ算出部と、
　上記第１の速さが上記第２の速さよりも遅い場合、上記第１の速さを速めるように補正する速さ補正部と、
　上記第１の方向はスクロールの方向と一致しており、補正された上記第１の速さに応じて、上記表示部に表示されている画像を上記第１の方向にスクロールさせるスクロール実行部と、
　を備えていることを特徴とする情報処理装置。
　上記速さ補正部は、上記第１の速さが上記第２の速さよりも遅い場合、上記第２の速さを上記第１の速さにするように上記第１の速さを補正することを特徴とする請求項１に記載の情報処理装置。
　上記タッチ検出部が検出したタッチの位置から上記フリック操作の方向が上記第１の方向を含む所定の範囲内の方向であるか否かを判定するフリック操作方向判定部を備えており、
　上記タッチの移動方向が上記所定の範囲内の方向である場合、上記速さ補正部は、上記第１の速さを補正することを特徴とする請求項１または２に記載の情報処理装置。
　表示部とフリック操作を受け付ける操作部とを備えている情報処理装置の制御方法であって、
　上記操作部上を移動するタッチの位置を検出するタッチ検出ステップと、
　上記操作部の第１の方向における上記タッチの上記操作部上の移動の速さである第１の速さと上記操作部の第２の方向における上記タッチの上記操作部上の移動の速さである第２の速さとを上記タッチ検出ステップの検出結果から算出する速さ算出ステップと、
　上記第１の速さが上記第２の速さよりも遅い場合、上記第１の速さを速めるように補正する速さ補正ステップと、
　上記第１の方向はスクロールの方向と一致しており、補正された上記第１の速さに応じて、上記表示部に表示されている画像を上記第１の方向にスクロールさせるスクロール実行ステップと、
　を含むことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
　請求項１に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、上記タッチ検出部、上記速さ算出部、上記速さ補正部および上記スクロール実行部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。