WO2018088323A1 - 太陽電池裏面側封止シートセット、太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュールの製造方法 - Google Patents

太陽電池裏面側封止シートセット、太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュールの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の太陽電池裏面側封止シートセットは、太陽電池素子と裏面側保護部材との間に配置させて上記太陽電池素子の非受光面側を封止するために用いられ、かつ、透明封止シートと着色封止シートとを備える。そして、上記透明封止シートがエチレン・α-オレフィン共重合体およびエチレン・極性モノマー共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体を含み、上記着色封止シートがエチレン・α-オレフィン共重合体およびエチレン・極性モノマー共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体と着色剤とを含み、上記太陽電池素子を封止する際に上記透明封止シートと上記着色封止シートとを積層させて使用する。

Description

太陽電池裏面側封止シートセット、太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュールの製造方法
 本発明は、太陽電池裏面側封止シートセット、太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュールの製造方法に関する。
 地球環境問題やエネルギーの問題等が深刻さを増す中、クリーンかつ枯渇の恐れの無いエネルギー生成手段として太陽電池が注目されている。太陽電池を建物の屋根部分等の屋外で使用する場合、太陽電池モジュールの形で使用することが一般的である。
 太陽電池モジュールは、例えば、以下の手順によって製造される。
 まず、太陽電池モジュール用保護シート(表面側透明保護部材)/太陽電池封止材(以下、シート状の太陽電池封止材を封止シートとも呼ぶ。)/太陽電池素子/太陽電池封止材/太陽電池モジュール用保護シート(裏面側保護部材)の順に積層する。
 その後、これらを真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等を利用することにより、太陽電池モジュールが製造される。このようにして製造される太陽電池モジュールは、耐候性を有し、建物の屋根部分等の屋外での使用にも適したものとなっている。
 太陽電池素子を封止するために使用される封止シートには、例えば、エチレン・α-オレフィン共重合体やエチレン・極性モノマー共重合体等のエチレン系共重合体が用いられている(例えば、特許文献1~3参照)。
特開2010-53298号公報 特開2006-210906号公報 国際公開第2011/162324号
 ここで、光反射能により太陽電池モジュールの変換効率を向上させたり、封止シートの意匠性や熱伝導性等を向上させたりする観点から、太陽電池素子の非受光面側(以下、裏面側とも呼ぶ。)には着色剤を含む着色封止シートが用いられることがある。
 しかし、本発明者らの検討によれば、太陽電池素子の非受光面側に用いられ、エチレン系共重合体および着色剤を含む着色封止シートは、成形後からラミネートされるまでの間に裏面側保護部材に対する接着性が経時的に低下してしまうことが明らかになった。
 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、裏面側保護部材に対する接着性の経時的安定性に優れた太陽電池裏面側封止シートを提供するものである。
 本発明者らは、裏面側保護部材に対する接着性の経時的安定性に優れた太陽電池裏面側封止シートを実現するために鋭意検討した。その結果、本発明者らは、着色剤を含まない透明封止シートと、着色剤を含む着色封止シートと、を別々に準備し、太陽電池素子を封止する段階でこれらのシートを積層して使用することにより、裏面側保護部材に対する太陽電池裏面側封止シートの接着性の経時的安定性を向上できることを見出した。
 すなわち、本発明によれば、以下に示す太陽電池裏面側封止シートセット、太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュールの製造方法が提供される。
[1]
 太陽電池素子と裏面側保護部材との間に配置させて上記太陽電池素子の非受光面側を封止するために用いられ、透明封止シートと着色封止シートとを備える太陽電池裏面側封止シートセットであって、
 上記透明封止シートがエチレン・α-オレフィン共重合体およびエチレン・極性モノマー共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体を含み、
 上記着色封止シートがエチレン・α-オレフィン共重合体およびエチレン・極性モノマー共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体と着色剤とを含み、
 上記太陽電池素子を封止する際に上記透明封止シートと上記着色封止シートとを積層させて使用する太陽電池裏面側封止シートセット。
[2]
 上記[1]に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
 上記着色封止シートが上記太陽電池素子側に配置されるものであり、上記透明封止シートが上記裏面側保護部材側に配置されるものである太陽電池裏面側封止シートセット。
[3]
 上記[1]または[2]に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
 上記着色封止シートの厚みが10μm以上400μm未満である太陽電池裏面側封止シートセット。
[4]
 上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
 上記着色封止シートに含まれる上記着色剤が酸化チタン、カーボンブラックおよび赤外線反射顔料から選択される少なくとも一種を含む太陽電池裏面側封止シートセット。
[5]
 上記[4]に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
 上記着色封止シート中の上記着色剤の含有量が、上記着色封止シート中の上記エチレン系共重合体100質量部に対して、0.5質量部以上50質量部以下である太陽電池裏面側封止シートセット。
[6]
 上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
 上記透明封止シートがシランカップリング剤を含む太陽電池裏面側封止シートセット。
[7]
 上記[6]に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
 上記透明封止シート中の上記シランカップリング剤の含有量が、上記透明封止シート中の上記エチレン系共重合体100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下である太陽電池裏面側封止シートセット。
[8]
 上記[1]乃至[7]のいずれか一つに記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
 上記透明封止シートおよび上記着色封止シートの少なくとも一方が上記エチレン系共重合体として上記エチレン・α-オレフィン共重合体を含み、上記エチレン・α-オレフィン共重合体が以下の要件a1)およびa2)のうち少なくとも1つを満たす太陽電池裏面側封止シートセット。
 a1)ASTM D1505に準拠して測定される密度が0.865~0.895g/cmである。
 a2)ASTM D2240に準拠して測定されるショアA硬度が60~95である。
[9]
 上記[1]乃至[7]のいずれか一つに記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
 上記透明封止シートおよび上記着色封止シートの少なくとも一方が上記エチレン系共重合体として上記エチレン・極性モノマー共重合体を含み、
 上記エチレン・極性モノマー共重合体がエチレン・酢酸ビニル共重合体を含む太陽電池裏面側封止シートセット。
[10]
 上記[9]に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
 上記エチレン・酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニルに由来する構成単位の含有割合が10質量%以上47質量%以下である太陽電池裏面側封止シートセット。
[11]
 上記[1]乃至[10]のいずれか一つに記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
 ASTM D1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重の条件で測定される、上記着色封止シートに含まれる上記エチレン系共重合体のMFRが0.01g/10分以上5.5g/10分未満である太陽電池裏面側封止シートセット。
[12]
 上記[1]乃至[11]のいずれか一つに記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
 上記透明封止シートおよび上記着色封止シートの少なくとも一方が有機過酸化物をさらに含む太陽電池裏面側封止シートセット。
[13]
 上記[12]に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
 上記有機過酸化物の含有量が、上記有機過酸化物を含むシート中の上記エチレン系共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上3質量部以下である太陽電池裏面側封止シートセット。
[14]
 上記[1]乃至[13]のいずれか一つに記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
 上記着色封止シートが上記太陽電池素子に接するように配置され、上記透明封止シートが上記裏面側保護部材に接するように配置される太陽電池裏面側封止シートセット。
[15]
 上記[1]乃至[14]のいずれか一つに記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
 上記裏面側保護部材がガラス板である太陽電池裏面側封止シートセット。
[16]
 表面側透明保護部材と、
 裏面側保護部材と、
 太陽電池素子と、
 上記太陽電池素子を上記表面側透明保護部材と上記裏面側保護部材との間に封止する封止層と、
を備え、
 上記封止層が受光面側に配置される受光面側封止層と非受光面側に配置される裏面側封止層とを含み、
 上記裏面側封止層が上記[1]乃至[15]のいずれか一つに記載の太陽電池裏面側封止シートセットにより形成されており、
 上記着色封止シートにより構成された裏面側着色封止層が上記太陽電池素子側に配置されており、上記透明封止シートにより構成された裏面側透明封止層が上記裏面側保護部材側に配置されている太陽電池モジュール。
[17]
 上記[16]に記載の太陽電池モジュールにおいて、
 上記裏面側着色封止層が上記太陽電池素子に接しており、上記裏面側透明封止層が上記裏面側保護部材に接している太陽電池モジュール。
[18]
 上記[16]または[17]に記載の太陽電池モジュールにおいて、
 上記表面側透明保護部材および上記裏面側保護部材がそれぞれガラス板であり、
 当該太陽電池モジュールが合わせガラス型太陽電池モジュールである太陽電池モジュール。
[19]
 上記[16]乃至[18]のいずれか一つに記載の太陽電池モジュールを製造するための製造方法であって、
 上記太陽電池素子を太陽電池受光面側封止シートと太陽電池裏面側封止シートとで挟んだ状態で加熱し、上記太陽電池素子を上記太陽電池受光面側封止シートと上記太陽電池裏面側封止シートとの間に封止する工程を含み、
 上記太陽電池裏面側封止シートが上記[1]乃至[15]のいずれか一つに記載の太陽電池裏面側封止シートセットを含み、
 上記透明封止シートと上記着色封止シートとを別々に準備し、上記太陽電池素子を封止する上記工程において、上記透明封止シートと上記着色封止シートとを積層する太陽電池モジュールの製造方法。
 本発明によれば、裏面側保護部材に対する接着性の経時的安定性に優れた太陽電池裏面側封止シートを実現することができる。
 上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
本発明の太陽電池モジュールの代表的な実施形態を模式的に示した断面図である。
 以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、数値範囲の「A~B」は特に断りがなければ、A以上B以下を表す。
1.太陽電池裏面側封止シートセットについて
 本実施形態に係る太陽電池裏面側封止シートセットは、太陽電池素子と裏面側保護部材との間に配置させて上記太陽電池素子の非受光面側を封止するために用いられ、かつ、透明封止シートと着色封止シートとを備える。
 上記透明封止シートがエチレン・α-オレフィン共重合体およびエチレン・極性モノマー共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体を含み、上記着色封止シートがエチレン・α-オレフィン共重合体およびエチレン・極性モノマー共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体と着色剤とを含む。
 そして、本実施形態に係る太陽電池裏面側封止シートセットは、上記太陽電池素子を封止する際に上記透明封止シートと上記着色封止シートとを積層させて使用する。
 前述したように、本発明者らの検討によれば、太陽電池素子の非受光面側に用いられ、エチレン系共重合体および着色剤を含む着色封止シートは、成形後からラミネートされるまでの間に裏面側保護部材に対する接着性が経時的に低下してしまうことが明らかになった。
 そこで、本発明者らは、裏面側保護部材に対する接着性の経時的安定性に優れた太陽電池裏面側封止シートを実現するために鋭意検討した。その結果、本発明者らは、着色剤を含まない透明封止シートと、着色剤を含む着色封止シートと、を別々に準備し、太陽電池素子を封止する段階でこれらのシートを積層して使用することにより、裏面側保護部材に対する太陽電池裏面側封止シートの接着性の経時的安定性を向上できることを見出した。
 すなわち、本実施形態に係る太陽電池裏面側封止シートセットによれば、着色剤を含まない透明封止シートと着色封止シートとを太陽電池素子を封止する段階で積層して用いることにより、裏面側保護部材に対する太陽電池裏面側封止シートの接着性の経時的安定性を良好にすることができる。
 さらに、本実施形態に係る太陽電池裏面側封止シートセットによれば、着色封止シートを備えることにより光反射能により太陽電池モジュールの変換効率を向上させたり、封止シートの意匠性や熱伝導性等を向上させたりすることができる。
 本実施形態に係る太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、光反射能により太陽電池モジュールの変換効率をより向上させる観点から、着色封止シートが太陽電池素子側に配置され、透明封止シートが裏面側保護部材側に配置されることが好ましく、着色封止シートが太陽電池素子に接するように配置され、透明封止シートが裏面側保護部材に接するように配置されることがより好ましい。
 本実施形態に係る透明封止シートおよび着色封止シートの合計の厚みは特に限定されないが、200μm以上2000μm以下が好ましく、300μm以上1200μm以下がより好ましい。厚みがこの範囲内であると、ラミネート工程における、裏面側保護部材、太陽電池素子、薄膜電極等の破損が抑制できる。さらには、低温での太陽電池モジュールのラミネート成形ができるので好ましい。
 また、本実施形態に係る着色封止シートの厚みは、接着性を良好に保ちつつ、着色封止シートが太陽電池素子や配線等の表面へ回り込むことをより一層良好に抑制できる観点から、10μm以上400μm未満が好ましく、20μm以上300μm未満がより好ましく、50μm以上250μm未満がさらに好ましい。
 ここで、本発明者らの検討によれば、太陽電池素子の非受光面側に用いられ、エチレン系共重合体および着色剤を含む着色封止シートは、太陽電池モジュールを作製するときに、着色封止シートが太陽電池素子や配線等の表面へ回り込んでしまう場合があることが明らかになった。
 着色封止シートが太陽電池素子や配線等の表面側に回り込むことによって、太陽電池モジュールの歩留まりが悪化してしまったり、太陽電池素子に入射する光を遮る結果、太陽電池素子の発電性能が低下してしまったりする懸念がある。
 そこで、本発明者らは、太陽電池素子や配線等の表面への回り込みが抑制された着色封止層を実現するために鋭意検討した。その結果、本発明者らは、着色封止シートの厚みを上記上限値未満とすることにより、太陽電池素子や配線等の表面への回り込みがより抑制された裏面側封止層が得られることを見出した。
 すなわち、本実施形態に係る太陽電池裏面側封止シートセットによれば、着色封止シートの厚みを上記上限値未満とすることにより、太陽電池素子や配線等の表面への裏面側封止層の回り込みをより抑制することができる。
 以下、本実施形態に係る透明封止シートおよび着色封止シートを構成する各成分について説明する。
<エチレン系共重合体>
 本実施形態に係る透明封止シートおよび着色封止シートは必須成分としてエチレン・α-オレフィン共重合体およびエチレン・極性モノマー共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体を含む。
 本実施形態に係る透明封止シートおよび着色封止シートにおいて、上記エチレン系共重合体の含有量は、当該透明封止シートおよび着色封止シートにそれぞれ含まれる樹脂成分の全体を100質量%としたとき、それぞれ、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、そして、特に好ましくは100質量%である。これにより、透明性、接着性、耐熱性、柔軟性、外観、架橋特性、電気特性および押出成形性等の諸特性のバランスにより優れた封止シートを得ることができる。
 本実施形態に係る透明封止シートにおいて、上記樹脂成分の含有量は、当該透明封止シートの全体を100質量%としたとき、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。これにより、透明性、接着性、耐熱性、柔軟性、外観、架橋特性、電気特性および押出成形性等の諸特性のバランスにより優れた透明封止シートを得ることができる。
 また、本実施形態に係る着色封止シートにおいて、上記樹脂成分の含有量は、当該着色封止シートの全体を100質量%としたとき、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。これにより、接着性、耐熱性、柔軟性、外観、架橋特性、電気特性および押出成形性等の諸特性のバランスにより優れた着色封止シートを得ることができる。
 本実施形態に係る透明封止シートにおいて、ASTM D1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるエチレン系共重合体のメルトフローレ-ト(MFR)は、例えば0.1g/10分以上50g/10分以下であり、好ましくは1g/10分以上40g/10分以下であり、より好ましくは2g/10分以上30g/10分以下であり、さらに好ましくは5g/10分以上10g/10分以下である。
 また、本実施形態に係る着色封止シートにおいて、ASTM D1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるエチレン系共重合体のメルトフローレ-ト(MFR)は、例えば0.01g/10分以上30g/10分以下、より好ましくは0.05g/10分以上10g/10分以下、特に好ましくは0.5g/10分以上5.0g/10分未満である。
 また、本実施形態に係る着色封止シートにおいて、ASTM D1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるエチレン系共重合体のMFRの下限値は、着色封止シートの加工性の観点から、好ましくは0.01g/10分以上、より好ましくは0.05g/10分以上、さらに好ましくは0.1g/10分以上、さらにより好ましくは0.2g/10分以上、特に好ましくは0.5g/10分以上である。
 また、本実施形態に係る着色封止シートにおいて、ASTM D1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるエチレン系共重合体のMFRの上限値は、着色封止シートが太陽電池素子や配線等の表面へ回り込むことをより良好に抑制できる観点から、好ましくは5.5g/10分未満、より好ましくは5.0g/10分未満、さらに好ましくは4.0g/10分未満、さらにより好ましくは3.0g/10分未満、特に好ましくは2.0g/10分未満である。
 ここで、本実施形態において、封止シートにMFRが異なるエチレン系共重合体が2種類以上含まれる場合、エチレン系共重合体の上記MFRは、理論式により算出される値を採用することができる。例えば、封止シートがエチレン系共重合体としてエチレン系共重合体1とエチレン系共重合体2の2種類を含む場合、エチレン系共重合体1のMFRをMFRとし、エチレン系共重合体2のMFRをMFRとした場合、エチレン系共重合体1とエチレン系共重合体2の混合物のMFRは、下記式(1)により算出することができる。
ln(MFR)=φln(MFR)+φln(MFR)+Aφφ (1)
 ここで、lnは自然対数、φは混合物中のエチレン系共重合体1の質量割合、φは混合物中のエチレン系共重合体2の質量割合をそれぞれ示す。相溶系では、通常A=0である。
 エチレン系共重合体のMFRは、重合反応の際の重合温度、重合圧力、並びに重合系内のエチレンのモノマー濃度と水素濃度のモル比率等を調整することにより、調整することができる。
(エチレン・α-オレフィン共重合体)
 本実施形態に係るエチレン・α-オレフィン共重合体は、例えば、エチレンと、炭素数3~20のα-オレフィンとを共重合することによって得られる。α-オレフィンとしては、通常、炭素数3~20のα-オレフィンを1種類単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
 炭素数3~20のα-オレフィンとしては、直鎖状または分岐状のα-オレフィン、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン等を挙げることができる。これらの中でも好ましいのは、炭素数が10以下であるα-オレフィンであり、特に好ましいのは炭素数が3~8のα-オレフィンである。入手の容易さからプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテンおよび1-オクテンが好ましい。なお、エチレン・α-オレフィン共重合体はランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよいが、柔軟性の観点からランダム共重合体が好ましい。
 さらに、上記エチレン・α-オレフィン共重合体は、エチレンと、炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとを含む共重合体であってもよい。α-オレフィンは前述と同様であって、非共役ポリエンとしては、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、ジシクロペンタジエン(DCPD)等が挙げられる。これら非共役ポリエンを1種単独、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
 上記エチレン・α-オレフィン共重合体は、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、メトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、p-クロロスチレン、ジビニルベンゼン、3-フェニルプロピレン、4-フェニルプロピレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン等の炭素数が3~20の環状オレフィン類等を併用してもよい。
 ここで、エチレン・α-オレフィン共重合体としては、例えば、三井化学社製のタフマー(商標登録)、DOW社製のENGAGE(商標登録)、エクソンモービル社製のEXACT(商標登録)、日本ポリエチレン社製のカーネル(商標登録)等が挙げられる。
 上記エチレン・α-オレフィン共重合体は、以下の要件a1)およびa2)のうち少なくとも1つを満たすことが好ましい。
(要件a1)
 ASTM D1505に準拠して測定されるエチレン・α-オレフィン共重合体の密度は好ましくは0.865~0.895g/cmであり、より好ましくは0.866~0.890g/cm、さらに好ましくは0.866~0.884g/cm、特に好ましくは0.867~0.880g/cmである。
 エチレン・α-オレフィン共重合体の密度は、エチレン単位の含有割合とα-オレフィン単位の含有割合とのバランスにより調整することができる。すなわち、エチレン単位の含有割合を高くすると結晶性が高くなり、密度の高いエチレン・α-オレフィン共重合体を得ることができる。一方、エチレン単位の含有割合を低くすると結晶性が低くなり、密度の低いエチレン・α-オレフィン共重合体を得ることができる。
 エチレン・α-オレフィン共重合体の密度が上記上限値以下であると、結晶性がより適度となり、得られる封止シートの透明性をより高くすることができる。さらに、架橋性をより良好なものとすることができる。また柔軟性により優れ、ラミネート成形をする際に太陽電池素子の割れや、薄膜電極のカケ等が発生することをより抑制することができる。
 一方、エチレン・α-オレフィン共重合体の密度が上記下限値以上であると、エチレン・α-オレフィン共重合体の結晶化速度を速くできるため、押出機より押し出されたシートがベタつきにくく、冷却ロールでの剥離が容易になり、封止シートを容易に得ることができる。また、シートにベタツキが発生しにくくなるのでブロッキングの発生を抑制し、シートの繰り出し性を向上させることができる。また、十分に架橋させられるため、封止シートの耐熱性の低下を抑制することができる。
(要件a2)
 ASTM D2240に準拠して測定される、エチレン・α-オレフィン共重合体のショアA硬度は好ましくは60~95であり、より好ましくは62~90、さらに好ましくは62~85、特に好ましくは65~80である。エチレン・α-オレフィン共重合体のショアA硬度は、エチレン・α-オレフィン共重合体のエチレン単位の含有割合や密度を上述の数値範囲に制御することにより、調整することができる。すなわち、エチレン単位の含有割合が高く、密度が高いエチレン・α-オレフィン共重合体は、ショアA硬度が高くなる。一方、エチレン単位の含有割合が低く、密度が低いエチレン・α-オレフィン共重合体は、ショアA硬度が低くなる。
 ショアA硬度が上記下限値以上であると、シート化しやすく耐ブロッキング性が良好なシートが得られ、さらに耐熱性も向上させることができる。
 一方、ショアA硬度が上記上限値以下であると、透明性および柔軟性を向上させるとともに、シート成形を容易にすることができる。
(エチレン・極性モノマー共重合体)
 本実施形態に係るエチレン・極性モノマー共重合体としては、例えば、エチレン・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸プロピル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸ヘキシル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・マレイン酸ジメチル共重合体、エチレン・マレイン酸ジエチル共重合体、エチレン・フマル酸ジメチル共重合体、エチレン・フマル酸ジエチル共重合体等のエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体;エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・マレイン酸共重合体、エチレン・フマル酸共重合体、エチレン・クロトン酸共重合体等のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体およびそれらの塩;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン・酪酸ビニル共重合体、エチレン・ステアリン酸ビニル共重合体等のエチレン・ビニルエステル共重合体:エチレン・スチレン共重合体等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
 これらの中でも、上記エチレン・極性モノマー共重合体としては、その入手容易性と性能とのバランスからエチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体から選択される一種または二種以上を含むことが好ましく、エチレン・酢酸ビニル共重合体を含むことが特に好ましい。
 上記エチレン・酢酸ビニル共重合体は、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体であり、通常はランダム共重合体である。
 上記エチレン・酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニルに由来する構成単位の含有割合は、好ましくは10質量%以上47質量%以下、より好ましくは13質量%以上35質量%以下である。酢酸ビニルの含有量がこの範囲にあると、封止シートの接着性、耐候性、透明性、機械的性質のバランスにより一層優れる。また、封止シートを成膜する際にも、成膜性が良好となる。
 酢酸ビニル含有量は、JIS K6730に準拠して測定可能である。
 なお、エチレン・酢酸ビニル共重合体は、エチレンおよび酢酸ビニルのみからなる二元共重合体が好ましいが、エチレンおよび酢酸ビニルの他に、例えばギ酸ビニル、グリコール酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、或いはこれらの塩もしくはアルキルエステル等のアクリル系単重体;等から選択される一種または二種以上を共重合成分として含んでもよい。上記エチレンおよび酢酸ビニル以外の共重合成分を含む場合、エチレン・酢酸ビニル共重合体中の上記エチレンおよび酢酸ビニル以外の共重合成分の量を0.5質量%以上5質量%以下とすることが好ましい。
 上記エチレン・極性モノマー共重合体の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができる。例えば、ラジカル発生剤の存在下、500~4000気圧、100~300℃で溶媒や連鎖移動剤の存在下または不存在下で、エチレン、極性モノマー、必要に応じて他の共重合成分を共重合させることにより製造することができる。
<シランカップリング剤>
 本実施形態に係る透明封止シートは、シランカップリング剤をさらに含有することが好ましい。また、本実施形態に係る着色封止シートは、シランカップリング剤をさらに含有してもよい。
 シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシシラン)、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アクロキシプロピルトリメトキシシラン等を使用することができる。3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランは、接着性が向上するためより好ましい。
 本実施形態に係る透明封止シートおよび着色封止シート中のシランカップリング剤の含有量は、上記シランカップリング剤を含むシート中のエチレン系共重合体100質量部に対して、それぞれ0.01質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上2質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以上1質量部以下であることがさらに好ましく、0.1質量部以上0.6質量部以下であることが特に好ましい。
 シランカップリング剤の含有量が上記下限値以上であると、封止シートと他の部材との接着強度をより良好なものとすることができる。一方、シランカップリング剤の含有量が上記上限値以下であると、コストと性能のバランスがよく、透湿性の低下も防止できる。また、太陽電池素子や電極、裏面側保護部材との密着性が良好となり、接着性も向上する。また、シランカップリング剤自体が縮合反応を起こし、封止シートに白い筋として存在し、製品外観が悪化することを抑制できる。
<着色剤>
 本実施形態に係る着色封止シートは必須成分として着色剤を含む。
 着色剤を含むことにより、光反射能により太陽電池モジュールの変換効率を向上させたり、着色封止シートの意匠性や熱伝導性等を向上させたりすることができる。
 着色剤としては、例えば、天然マイカ(雲母)、合成マイカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、カオリナイト、珪藻土、カーボンブラック、赤外線反射顔料等が挙げられる。これらは一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、カーボンブラック、赤外線反射顔料が好ましく、酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、カーボンブラック、赤外線反射顔料がより好ましく、酸化チタン、カーボンブラック、赤外線反射顔料がさらに好ましく、酸化チタンが特に好ましい。
 ここで、赤外線反射顔料としては、例えば、銅/クロム/マンガンの複合酸化物、鉄/クロムの複合酸化物、マンガン/ビスマスの複合酸化物、カルシウム/チタン/マンガンの複合酸化物等が挙げられる。
 本実施形態に係る着色封止シート中の着色剤の含有量は、着色封止シート中のエチレン系共重合体100質量部に対して0.5質量部以上50質量部以下が好ましく、1質量部以上50質量部以下がより好ましく、1質量部以上30質量部以下がさらに好ましく、1質量部以上20質量部以下が特に好ましい。
<架橋剤>
 本実施形態に係る透明封止シートは、架橋剤(有機過酸化物)をさらに含有することが好ましい。また、本実施形態に係る着色封止シートは、架橋剤をさらに含有してもよい。
 封止シートに有機過酸化物を含有させることによって、上記エチレン系共重合体にシランカップリング剤をグラフトすることができ、また上記エチレン系共重合体を架橋することができる。これにより、得られる封止シートの耐熱性および耐候性がより良好となる。
 また、封止シートに有機過酸化物を含有させることによって、封止後の太陽電池素子の位置がずれてしまうことを抑制できる。
 上記有機過酸化物は、太陽電池モジュールの生産性を考慮すると、有機過酸化物としては、半減期が10時間以下であり、かつ分解温度が105℃以下であるものが好ましい。また安全性の面から、最高保存温度が10℃以上であるものが好ましい。
 また、上記有機過酸化物は、押出成形、カレンダ成形等のシート成形での生産性と太陽電池モジュールのラミネート成形時の架橋速度のバランスから、有機過酸化物の1分間半減期温度が100℃以上170℃以下であるものが好ましい。有機過酸化物の1分間半減期温度が100℃以上であると、シート成形を容易にし、かつ、封止シートの外観をより良好にすることができる。また、得られる封止シートの絶縁破壊電圧の低下を防ぐことができ、透湿性の低下も防止でき、さらに接着性も向上する。有機過酸化物の1分間半減期温度が170℃以下であると、太陽電池モジュールのラミネート成形時の架橋速度の低下を抑制できるため、太陽電池モジュールの生産性の低下を防ぐことができる。また、封止シートの耐熱性や接着性の低下を防ぐこともできる。
 上記有機過酸化物の例としては、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジベンゾイルパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーフタレート、クメンヒドロパーオキシド、t-ブチルヒドロパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキセン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、1,1-ジ(t-アミルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-アミルパーオキシ)シクロヘキサン、t-アミルパーオキシイソノナノエート、t-アミルパーオキシノルマルオクトエート、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-アミル-パーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソノナノエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、2,2-ジ(ブチルパーオキシ)ブタン、n-ブチル-4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブチレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、エチル-3,3-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブチレート、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等が挙げられる。上記有機過酸化物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
 これらのうち好ましくは、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキセン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、t-ブチルパーオキシベンゾエートである。
 本実施形態に係る透明封止シートおよび着色封止シート中の上記有機過酸化物の含有量は、上記有機過酸化物を含むシート中の上記エチレン系共重合体100質量部に対して、それぞれ0.1質量部以上3質量部以下が好ましく、0.2質量部以上2質量部以下がより好ましい。
 有機過酸化物の含有量が上記下限値以上であると、封止シートの架橋特性がより良好となり、封止シートの耐熱性がより一層向上する。また、シランカップリング剤のエチレン系共重合体の主鎖へのグラフト反応をより良好にして、耐熱性や接着性がより一層良好となる。
 また、有機過酸化物の含有量が上記上限値以下であると、上記の架橋特性、耐熱性、接着性がより良好な上に、シート成形時のゲル化をより一層抑制でき、外観がより良好な封止シートを得ることができる。さらに、有機過酸化物の分解生成物等の発生量が一層低下し、封止シート中に気泡が発生するのをより一層抑制することができる。
<架橋助剤>
 本実施形態に係る透明封止シートおよび着色封止シートは、架橋性を向上させる観点から、架橋助剤を含有してもよい。
 上記架橋助剤としては、例えばジビニル芳香族化合物、シアヌレート化合物、ジアリル化合物、アクリレート化合物、トリアリル化合物、オキシム化合物およびマレイミド化合物からなる群より選択される一種または二種以上を用いることができる。
 本実施形態に係る透明封止シートおよび着色封止シート中の架橋助剤の含有量は、上記架橋助剤を含むシート中のエチレン系共重合体100質量部に対して、それぞれ3.0質量部以下であることが好ましく、2.0質量部以下であることがより好ましく、1.5質量部以下であることが特に好ましい。
 また、本実施形態に係る透明封止シートおよび着色封止シート中の架橋助剤の含有量は、上記架橋助剤を含むシート中のエチレン系共重合体100質量部に対して、それぞれ0.1質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましく、0.5質量部以上であることが特に好ましい。これにより、適度な架橋構造とすることができ、封止シートの耐熱性、機械物性、および接着性を向上できる。
 ジビニル芳香族化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジ-i-プロペニルベンゼン等が挙げられる。
 シアヌレート化合物としては、例えば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
 ジアリル化合物としては、例えば、ジアリルフタレート等が挙げられる。
 トリアリル化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等が挙げられる。
 アクリレート化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 オキシム化合物としては、例えば、p-キノンジオキシム、p-p'-ジベンゾイルキノンジオキシム等が挙げられる。
 マレイミド化合物としては、例えば、m-フェニレンジマレイミド等が挙げられる。
 架橋助剤としてはビニル基等の架橋性不飽和結合を1分子中に3官能以上有する化合物が好ましく、中でも、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートが、架橋性が良好で好ましい。
<紫外線吸収剤、光安定剤、耐熱安定剤>
 本実施形態に係る透明封止シートおよび着色封止シートは、紫外線吸収剤、光安定剤および耐熱安定剤から選択される少なくとも一種の添加剤をさらに含有してもよい。これらの添加剤の合計配合量は、これらの添加剤を含むシート中のエチレン系共重合体100質量部に対して、0.005質量部以上5質量部以下であることが好ましい。上記三種から選ばれる少なくとも二種の添加剤を含有することがより好ましく、上記三種の全てが含有されていることが特に好ましい。上記添加剤の配合量が上記範囲にあると、耐候安定性および耐熱安定性を向上する効果を十分に確保し、かつ、太陽電池素子や裏面側保護部材との接着性の低下を防ぐことができるので好ましい。
 紫外線吸収剤としては、例えば、2-ヒドロキシ-4-ノルマル-オクチルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2-カルボキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-N-オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;フェニルサリチレート、p-オクチルフェニルサリチレート等のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤等から選択される一種または二種以上を用いることができる。
 光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系化合物、ヒンダードピペリジン系化合物等から選択される一種または二種以上を用いることができる。
 耐熱安定剤としては、例えば、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス[2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4'-ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のホスファイト系酸化防止剤;3-ヒドロキシ-5,7-ジ-tert-ブチル-フラン-2-オンとo-キシレンとの反応生成物等のラクトン系酸化防止剤;3,3',3",5,5',5"-ヘキサ-tert-ブチル-a,a',a"-(メチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジルベンゼン、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;硫黄系酸化防止剤;アミン系酸化防止剤等から選択される一種または二種以上を用いることができる。これらの中でも、ホスファイト系酸化防止剤、およびヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
<透明封止シートおよび着色封止シートの製造方法>
 本実施形態に係る透明封止シートおよび着色封止シートの製造方法は特に限定されないが、公知の各種の成形方法(キャスト成形、押出シート成形、インフレーション成形、射出成形、圧縮成形、カレンダ成形等)を採用することが可能である。特に、押出成形とカレンダ成形が好ましい。
 本実施形態に係る透明封止シートおよび着色封止シートの製造方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、エチレン系共重合体と、必要に応じて、シランカップリング剤と、着色剤と、架橋剤と、架橋助剤と、紫外線吸収剤と、光安定剤と、耐熱安定剤と、その他添加剤とを、例えば、ポリ袋等の袋の中で人力でのブレンドや、ヘンシェルミキサー、タンブラー、スーパーミキサー等の攪拌混合機を用いてブレンドする。次いで、得られた樹脂組成物を、例えば、押出シート成形機のホッパーに投入し、溶融混練を行いつつ押出シート成形機のTダイから樹脂組成物をシート状に押出して封止シートを得る。
 なお、押出シート成形機に投入後、溶融混練の途中に添加剤の一部を添加することもできる。またシート成形法としてはカレンダ成形を採用してもよい。
 成形は、T-ダイ押出機、カレンダ成形機、インフレーション成形機等を使用する公知の方法によって行なうことができる。
2.太陽電池モジュールについて
 本実施形態に係る太陽電池裏面側封止シートセットは、太陽電池モジュールにおいて、太陽電池素子の非受光面側を封止するために用いられる。
 太陽電池モジュールの構成としては、例えば表面側透明保護部材/受光面側封止層/太陽電池素子/裏面側封止層/裏面側保護部材(バックシート)をこの順に積層した構成が挙げられるが、特に限定されない。
 本実施形態に係る太陽電池裏面側封止シートセットは上記裏面側封止層に用いられる。
 図1に、本実施形態に係る太陽電池モジュール10の断面図の一例を示す。
 太陽電池モジュール10は、表面側透明保護部材14と、裏面側保護部材(バックシート)15と、太陽電池素子13と、太陽電池素子13を表面側透明保護部材14と裏面側保護部材15との間に封止する封止層1と、を備える。封止層1が受光面側に配置される受光面側封止層11と非受光面側に配置される裏面側封止層12とを含み、裏面側封止層12が本実施形態に係る太陽電池裏面側封止シートセットにより形成されている。そして、本実施形態に係る着色封止シートにより構成された裏面側着色封止層12Aが太陽電池素子13側に配置されており、本実施形態に係る透明封止シートにより構成された裏面側透明封止層12Bが裏面側保護部材15側に配置されている。
 ここで、本実施形態に係る太陽電池モジュール10において、裏面側封止層12の太陽電池素子13および裏面側保護部材15に対する接着性を良好にする観点から、裏面側着色封止層12Aが太陽電池素子13に接しており、裏面側透明封止層12Bが裏面側保護部材15に接していることが好ましい。
(太陽電池素子)
 太陽電池素子13としては、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等のシリコン系、ガリウム-砒素、銅-インジウム-セレン、カドミウム-テルル等のIII-V族やII-VI族化合物半導体系等の各種太陽電池素子を用いることができる。
 太陽電池モジュール10においては、複数の太陽電池素子13は、導線および半田接合部を備えたインターコネクタ16を介して電気的に直列に接続されている。
(表面側透明保護部材)
 表面側透明保護部材14としては、例えば、ガラス板;アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、フッ素含有樹脂等により形成された樹脂板等が挙げられる。
(裏面側保護部材)
 裏面側保護部材(バックシート)15としては、例えば、金属や各種熱可塑性樹脂フィルム等の単体もしくは多層のシートが挙げられる。例えば、錫、アルミ、ステンレススチール等の金属;ガラス等の無機材料;ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィン等により形成された各種熱可塑性樹脂フィルム等が挙げられる。
 裏面側保護部材15は、単層であってもよく、多層であってもよい。
 ここで、表面側透明保護部材14および裏面側保護部材15にガラス板を用いた合わせガラス型太陽電池モジュールは防湿性に優れるため、裏面側保護部材15に樹脂シート等を用いた一般的な太陽電池モジュールに比べて長期信頼性に優れている。
 一方で、ガラス板は光透過性に優れるものの光反射能に劣るため、合わせガラス型太陽電池モジュールは一般的に発電効率に劣っているという課題を有する。しかし、本実施形態に係る太陽電池裏面側封止シートセットを用いることによって、着色封止シートの光反射能により太陽電池モジュールの変換効率を向上できるため、合わせガラス型太陽電池モジュールは発電効率の上記課題を解決することが可能である。
 以上から、本実施形態に係る太陽電池裏面側封止シートセットによれば、長期信頼性および発電効率のバランスに優れた本実施形態に係る合わせガラス型太陽電池モジュールを実現することができる。すなわち、太陽電池裏面側封止シートセットは、表面側透明保護部材14および裏面側保護部材15にガラス板を用いた合わせガラス型太陽電池モジュールに対して好適に用いることができる。
 また、表面側透明保護部材14および裏面側保護部材15に用いられるガラス板としては、合わせガラス型太陽電池モジュールや合わせガラスに一般的に用いられているガラス板を用いることができる。
(太陽電池モジュールの製造方法)
 本実施形態に係る太陽電池モジュール10の製造方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
 まず、インターコネクタ16を用いて電気的に接続した複数の太陽電池素子13を太陽電池受光面側封止シートと太陽電池裏面側封止シートとで挟み、さらにこれら太陽電池受光面側封止シートと太陽電池裏面側封止シートを表面側透明保護部材14と裏面側保護部材15とで挟んで積層体を作製する。次いで、太陽電池素子13を太陽電池受光面側封止シートと太陽電池裏面側封止シートとで挟んだ状態で加熱し、太陽電池素子13を太陽電池受光面側封止シートと太陽電池裏面側封止シートとの間に封止する。すなわち、得られた積層体を加熱して太陽電池受光面側封止シートおよび太陽電池裏面側封止シートをそれぞれ架橋して受光面側封止層11および裏面側封止層12をそれぞれ形成することにより太陽電池素子13を受光面側封止層11と裏面側封止層12との間に封止する。さらに、受光面側封止層11と裏面側封止層12、受光面側封止層11と表面側透明保護部材14、裏面側封止層12と裏面側保護部材15とを接着する。ここで、本実施形態に係る太陽電池裏面側封止シートセットは太陽電池裏面側封止シートに用いられ、裏面側封止層12を形成する。
 より具体的には、太陽電池受光面側封止シートおよび太陽電池裏面側封止シートに含まれる架橋剤が実質的に分解せず、かつ、エチレン系共重合体が溶融するような温度に太陽電池受光面側封止シートおよび太陽電池裏面側封止シートを加熱し、受光面側封止層11と裏面側封止層12、受光面側封止層11と表面側透明保護部材14、裏面側封止層12と裏面側保護部材15とをそれぞれ仮接着する。次いで昇温して、充分な接着を行い、さらに封止層内のエチレン系共重合体の架橋を行う。接着および架橋の温度は、満足すべき架橋速度が得られ、かつ膨れが発生しないような温度であればよく、例えば100~180℃程度の温度範囲とすることができる。
 ここで、本実施形態に係る透明封止シートと着色封止シートとは別々に準備し、太陽電池素子13を受光面側封止層11と裏面側封止層12との間に封止する上記工程において、本実施形態に係る透明封止シートと着色封止シートとを積層することが好ましい。
 以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
 以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)エチレン・α-オレフィン共重合体
 エチレン・α-オレフィン共重合体としては、三井化学社製のタフマー(登録商標)A-4070S、A-4085S、A-1085S、およびA-20085Sを使用した。使用したエチレン・α-オレフィン共重合体の物性を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
(2)透明封止シートおよび着色封止シートの作製
 実施例および比較例で使用した透明封止シートおよび着色封止シートについて、次のようにそれぞれ作製した。
 まず、表2に示す処方で配合して樹脂組成物をそれぞれ得た。
 得られた樹脂組成物をTダイ付押出機にて封止シートにそれぞれ押出成形した。
 なお、表2中における各成分の配合割合の単位は質量部である。また、表2中におけるエチレン・α-オレフィン共重合体以外の各成分の詳細は下記のとおりである。
・エチレン・酢酸ビニル共重合体1:酢酸ビニルに由来する構成単位の含有割合:28質量%、MFR:15g/10分、密度:0.950g/cm
・エチレン・酢酸ビニル共重合体2:酢酸ビニルに由来する構成単位の含有割合:28質量%、MFR:1g/10分、密度:0.950g/cm
・シランカップリング剤1:3-メタクリロキシプロピル トリメトキシシラン
・着色剤1:酸化チタン
・架橋剤1:t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート
・架橋助剤1:トリアリルイソシアヌレート
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表2に記載の着色封止シートW-5中のエチレン系共重合体(A-4085S:70質量部とA-20085S:30質量部との混合物)のMFRは、前述した式(1)で算出した場合、5.8g/10分である。
(3)評価
<接着強度の経時安定性>
 得られた封止シートを40℃90%RHの条件で2ヶ月保管した。初期と2ヶ月保管後の封止シートセットの接着強度を以下の方法で測定し、評価は初期に対する2ヶ月保管後の接着強度の保持率で行った。
 〇:2ヶ月後の接着強度保持率が80%以上
 ×:2ヶ月後の接着強度保持率が80%未満
<裏面側保護部材に対する接着強度>
 表3に示す封止シートを裏面側保護部材(ガラス)上に積層し、真空ラミネーター内の150℃に温調したホットプレート上に載せて、3分間真空減圧した後、10分間加熱した。これにより、裏面側保護部材/封止シートの積層体を作製した。ここで、各封止シートは裏面側保護部材上に積層する際に互いに積層した(ただし、比較例4は除く)。
 この積層体上にある封止シートを10mm幅に切断し、被着体である裏面側保護部材に対する180度ピールによる剥離強度を測定した。180度ピールによる剥離強度は、島津社製引張試験機を用いて、23℃、引張速度300mm/分で測定し、3回の測定の平均値を採用して、「裏面側保護部材に対する接着強度」とした。
 ここで、封止シートとして、透明封止シートと着色封止シートのシートセットを使用する場合は、透明封止シートを裏面側保護部材側にした。
<回り込み試験>
 エンボスガラス板/太陽電池受光面側封止シート(厚み:450μm)/アルミ板および金属板からなる疑似太陽電池素子/着色封止シート/透明封止シート/エンボスガラス板の構成で、真空ラミネーター内に仕込み、150℃で、3分間真空減圧した後、10分間加熱し、積層体を得た。その後、積層体における疑似太陽電池素子への着色封止シートの回り込みを観察した。回り込みの評点は、以下の通りとした。
 ◎:疑似太陽電池素子上への回り込みなし
 ○:疑似太陽電池素子上への回り込みがわずかにあるが実用上問題なし
 ×:疑似太陽電池素子上への回り込みがあり、実用上問題あり
[実施例1~7および比較例1~3]
 表3に示す封止シートセットを用いて上記評価をおこなった。
 得られた評価結果を表3に示す。
[比較例4]
 表2に示す透明封止シートC-1および着色封止シートW-3を積層し、150℃、0.1MPaで各封止シートを圧着し、多層封止シート1を得た。
 封止シートセットの代わりにこの多層封止シート1を用いた以外は実施例1と同様にして上記評価をおこなった。ここで、透明封止シートC-1側を裏面側保護部材側にした。
 得られた評価結果を表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表3から明らかなように、透明封止シートおよび着色封止シートを含む実施例の太陽電池裏面側封止シートセットは裏面側保護部材に対する接着性の経時的安定性に優れていた。
 一方、着色封止シートのみを用いた比較例1~3の太陽電池裏面側封止シートセットや、透明封止シートおよび着色封止シートを事前に積層して作製した比較例4の多層封止シートは裏面側保護部材に対する接着性の経時的安定性に劣っていた。
 この出願は、2016年11月10日に出願された日本出願特願2016-219864号、2016年11月22日に出願された日本出願特願2016-226889号、および2017年3月29日に出願された日本出願特願2017-064699号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

Claims (19)

  1.  太陽電池素子と裏面側保護部材との間に配置させて前記太陽電池素子の非受光面側を封止するために用いられ、透明封止シートと着色封止シートとを備える太陽電池裏面側封止シートセットであって、
     前記透明封止シートがエチレン・α-オレフィン共重合体およびエチレン・極性モノマー共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体を含み、
     前記着色封止シートがエチレン・α-オレフィン共重合体およびエチレン・極性モノマー共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体と着色剤とを含み、
     前記太陽電池素子を封止する際に前記透明封止シートと前記着色封止シートとを積層させて使用する太陽電池裏面側封止シートセット。
  2.  請求項1に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
     前記着色封止シートが前記太陽電池素子側に配置されるものであり、前記透明封止シートが前記裏面側保護部材側に配置されるものである太陽電池裏面側封止シートセット。
  3.  請求項1または2に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
     前記着色封止シートの厚みが10μm以上400μm未満である太陽電池裏面側封止シートセット。
  4.  請求項1乃至3のいずれか一項に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
     前記着色封止シートに含まれる前記着色剤が酸化チタン、カーボンブラックおよび赤外線反射顔料から選択される少なくとも一種を含む太陽電池裏面側封止シートセット。
  5.  請求項4に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
     前記着色封止シート中の前記着色剤の含有量が、前記着色封止シート中の前記エチレン系共重合体100質量部に対して、0.5質量部以上50質量部以下である太陽電池裏面側封止シートセット。
  6.  請求項1乃至5のいずれか一項に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
     前記透明封止シートがシランカップリング剤を含む太陽電池裏面側封止シートセット。
  7.  請求項6に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
     前記透明封止シート中の前記シランカップリング剤の含有量が、前記透明封止シート中の前記エチレン系共重合体100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下である太陽電池裏面側封止シートセット。
  8.  請求項1乃至7のいずれか一項に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
     前記透明封止シートおよび前記着色封止シートの少なくとも一方が前記エチレン系共重合体として前記エチレン・α-オレフィン共重合体を含み、前記エチレン・α-オレフィン共重合体が以下の要件a1)およびa2)のうち少なくとも1つを満たす太陽電池裏面側封止シートセット。
     a1)ASTM D1505に準拠して測定される密度が0.865~0.895g/cmである。
     a2)ASTM D2240に準拠して測定されるショアA硬度が60~95である。
  9.  請求項1乃至7のいずれか一項に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
     前記透明封止シートおよび前記着色封止シートの少なくとも一方が前記エチレン系共重合体として前記エチレン・極性モノマー共重合体を含み、
     前記エチレン・極性モノマー共重合体がエチレン・酢酸ビニル共重合体を含む太陽電池裏面側封止シートセット。
  10.  請求項9に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
     前記エチレン・酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニルに由来する構成単位の含有割合が10質量%以上47質量%以下である太陽電池裏面側封止シートセット。
  11.  請求項1乃至10のいずれか一項に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
     ASTM D1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重の条件で測定される、前記着色封止シートに含まれる前記エチレン系共重合体のMFRが0.01g/10分以上5.5g/10分未満である太陽電池裏面側封止シートセット。
  12.  請求項1乃至11のいずれか一項に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
     前記透明封止シートおよび前記着色封止シートの少なくとも一方が有機過酸化物をさらに含む太陽電池裏面側封止シートセット。
  13.  請求項12に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
     前記有機過酸化物の含有量が、前記有機過酸化物を含むシート中の前記エチレン系共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上3質量部以下である太陽電池裏面側封止シートセット。
  14.  請求項1乃至13のいずれか一項に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
     前記着色封止シートが前記太陽電池素子に接するように配置され、前記透明封止シートが前記裏面側保護部材に接するように配置される太陽電池裏面側封止シートセット。
  15.  請求項1乃至14のいずれか一項に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにおいて、
     前記裏面側保護部材がガラス板である太陽電池裏面側封止シートセット。
  16.  表面側透明保護部材と、
     裏面側保護部材と、
     太陽電池素子と、
     前記太陽電池素子を前記表面側透明保護部材と前記裏面側保護部材との間に封止する封止層と、
    を備え、
     前記封止層が受光面側に配置される受光面側封止層と非受光面側に配置される裏面側封止層とを含み、
     前記裏面側封止層が請求項1乃至15のいずれか一項に記載の太陽電池裏面側封止シートセットにより形成されており、
     前記着色封止シートにより構成された裏面側着色封止層が前記太陽電池素子側に配置されており、前記透明封止シートにより構成された裏面側透明封止層が前記裏面側保護部材側に配置されている太陽電池モジュール。
  17.  請求項16に記載の太陽電池モジュールにおいて、
     前記裏面側着色封止層が前記太陽電池素子に接しており、前記裏面側透明封止層が前記裏面側保護部材に接している太陽電池モジュール。
  18.  請求項16または17に記載の太陽電池モジュールにおいて、
     前記表面側透明保護部材および前記裏面側保護部材がそれぞれガラス板であり、
     当該太陽電池モジュールが合わせガラス型太陽電池モジュールである太陽電池モジュール。
  19.  請求項16乃至18のいずれか一項に記載の太陽電池モジュールを製造するための製造方法であって、
     前記太陽電池素子を太陽電池受光面側封止シートと太陽電池裏面側封止シートとで挟んだ状態で加熱し、前記太陽電池素子を前記太陽電池受光面側封止シートと前記太陽電池裏面側封止シートとの間に封止する工程を含み、
     前記太陽電池裏面側封止シートが請求項1乃至15のいずれか一項に記載の太陽電池裏面側封止シートセットを含み、
     前記透明封止シートと前記着色封止シートとを別々に準備し、前記太陽電池素子を封止する前記工程において、前記透明封止シートと前記着色封止シートとを積層する太陽電池モジュールの製造方法。
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