JP7452957B2 - 共重合体、組成物、シート、および太陽電池用封止材 - Google Patents

共重合体、組成物、シート、および太陽電池用封止材 Download PDF

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Description

本発明は、シート、および太陽電池用封止材、ならびにこれらに好ましく用いることのできるエチレン・プロピレン・α-オレフィン系共重合体を含む材料等に関する。
オレフィン系エラストマーは、その柔軟性、耐衝撃性、機械強度などの特徴から、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の改質材として用いられている。さらにオレフィン系エラストマーは、透明性、架橋性および電気絶縁性が良好なことから、近年、太陽電池モジュールの太陽電池素子の上部透明保護材として用いられている。
太陽電池モジュールは、一般にシリコン、ガリウム-砒素、銅-インジウム-セレンなどの太陽電池素子の両面を太陽電池封止材で保護し、該封止材を上部透明保護材と下部基板保護材とで保護し、パッケージ化したものである。このため太陽電池封止材には、発電効率を高めるためにも、高い透明性が求められている。さらに、太陽電池モジュールには、使用時の温度上昇に伴い、封止材の流動や変形を生じることがあるため耐熱性を有することも要求され、近年では、太陽電池素子の薄肉化に伴い、一層の柔軟性に優れた封止材も求められている。
特許文献1では、太陽電池封止材として、オレフィン系エラストマーであるエチレン・プロピレン・C5-C20α-オレフィン共重合体を含む樹脂組成物の使用が検討されている。特許文献1には、エチレン・プロピレン・C5-C20α-オレフィン共重合体の具体例としてエチレン・プロピレン・1-オクテン三元共重合体を使用することにより、エチレン・プロピレン・1-ブテン共重合体等を用いた場合よりも機械強度が向上することが示されている。
国際公開第2018/180483号
しかしながら、特許文献1に記載の太陽電池封止材には、接着強度、長期信頼性等の観点からさらなる機械強度(引張特性)の向上を求められることがあることが判明した。
そこで、本発明は、引張特性に優れた太陽電池封止材を好適に得ることができるオレフィン系エラストマー、樹脂組成物、該組成物を含むシート、該シートを含む太陽電池封止材および該太陽電池封止材を含む太陽電池モジュールを提供することを目的とする。また、太陽電池封止材に好適なシートの製造方法を提供することも目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、オレフィン系エラストマーとして所定のエチレン・プロピレン・分岐α-オレフィン系共重合体(A)を用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、たとえば以下の[1]~[8]に関する。
[1]
下記の要件(x-1)を満たすエチレン・プロピレン・分岐α-オレフィン系共重合体[X]。
要件(x-1):エチレンに由来する構成単位(i)が74~92モル%、プロピレンに由来する構成単位(ii)が5~16モル%、および分岐α-オレフィンに由来する構成単位(iii)が3~10モル%含まれる(ただし、構成単位(i)、(ii)および(iii)の合計を100モル%とする。)。
[2]
さらに下記の要件(x-2)および/または(x-3)を満たす前記[1]の共重合体[X]。
要件(x-2):密度が850~900kg/m3である。
要件(x-3):ASTM D1238に準拠して190℃、2.16kg荷重の条件下で測定したメルトフローレートが、0.1~50g/10分である。
[3]
前記[1]または[2]の共重合体[X]を含む樹脂組成物。
[4]
前記[1]もしくは[2]の共重合体[X]もしくはその架橋体、または前記[3]の樹脂組成物もしくはその架橋体を含有するシート。
[5]
厚さが0.01~3.0mmである前記[4]のシート。
[6]
前記[4]または[5]のシートを含む太陽電池封止材。
[7]
前記[6]の太陽電池封止材を含む太陽電池モジュール。
[8]
前記[1]もしくは[2]の共重合体[X]または前記[3]の樹脂組成物からシートを製造する工程を含む、太陽電池封止材用シートの製造方法。
本発明に係る太陽電池封止材は引張特性に優れる。また、本発明の共重合体、組成物、あるいはシート等を用いることにより、引張特性に優れた太陽電池封止材、太陽電池モジュールなどを得ることができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
〔エチレン・プロピレン・分岐α-オレフィン系共重合体[X]〕
本発明に係るエチレン・プロピレン・分岐α-オレフィン系共重合体[X](以下、「共重合体[X]」と略称する場合がある。)は、エチレン、プロピレン、および分岐α-オレフィンの共重合体であり、且つ、下記要件(x-1)を満たす共重合体である。
要件(x-1)(組成):
エチレンに由来する構成単位(i)が74~92モル%、好ましくは76~90モル%、プロピレンに由来する構成単位(ii)が5~16モル%、好ましくは7~16モル%、および分岐α-オレフィンに由来する構成単位(iii)が3~10モル%、好ましくは3~8モル%含まれる(ただし、構成単位(i)、(ii)および(iii)の合計を100モル%とする。)。
前記共重合体[X]は、エチレンに由来する構成単位、プロピレンに由来する構成単位および分岐α-オレフィンに由来する構成単位を上記範囲で含むことにより、高い透明性、優れた機械強度および良好な柔軟性を有するシートに成形することができる。共重合体[X]は、分岐α-オレフィンに由来する構成単位を含むことにより、直鎖α-オレフィンに由来する構成単位のみを含む場合よりもエチレン結晶への取り込まれる確率が低く、エチレン結晶が強固になり、優れた機械強度が発現すると推定される。さらに、分岐α-オレフィンに由来する構成単位を含むことにより、直鎖α-オレフィンに由来する構成単位のみを含む場合よりもエチレン結晶間を繋ぐタイ分子の存在確率を高めることができ、引張時にタイ分子に応力を集中することで配向結晶化を促進し、優れた機械強度が発現すると推測される。
前記分岐α-オレフィンとしては、たとえば3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセンなどの炭素数が5~10の分岐α-オレフィンが挙げられ、これらの中でも4-メチル-1-ペンテンが好ましい。
前記共重合体[X]を構成する分岐α-オレフィンの種類は、共重合体[X]を製造する際のコモノマーの種類により明確である。コモノマーの含有量は、実施例に記載の方法を用いて定量できる。
前記共重合体[X]は、好ましくは、下記要件(x-2)および/または(x-3)を満たす。
要件(x-2)(密度):
前記共重合体[X]の、ASTM D1505により23℃で測定される密度は、850~900kg/m3である。
前記共重合体[X]の密度の下限は、好ましくは855kg/m3、より好ましくは865kg/m3、さらに好ましくは870kg/m3である。密度の上限は、好ましくは895kg/m3、より好ましくは890kg/m3である。密度の値は、共重合体[X]中のコモノマーの種類や含有率を選択することにより、調整することが可能である。
密度が前記範囲にある共重合体[X]を用いることで、より透明性に優れるシートを得ることができる。
要件(x-3)(メルトフローレート(MFR)):
前記共重合体[X]の、ASTM D1238に準拠して190℃、2.16kg荷重の条件下で測定されるメルトフローレート(MFR)は、0.1~50g/10分、好ましくは0.1~40g/10分、より好ましくは0.1~30g/10分である。MFRが上記範囲にある共重合体[X]を用いることで、成形性と機械強度とがバランスよく優れるシートを得ることができる。
前記共重合体[X]は、好ましくは、下記要件(x-4)を満たす。
要件(x-4)(極限粘度[η]):
前記共重合体[X]の135℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]は、0.7~3.0dl/g、好ましくは0.8~3.0dl/g、より好ましくは0.9~3.0dl/gである。極限粘度[η]が上記範囲にある共重合体[X]を用いることで、成形性と機械強度とがバランスよく優れるシートを得ることができる。
前記共重合体[X]は、好ましくは、さらに下記要件(x-5)および/または要件(x-6)を満たす。
要件(x-5)(分子量分布(Mw/Mn)):
前記共重合体[X]の分子量分布(Mw/Mn)は、3.0以下であり、好ましくは2.5以下である。MwおよびMnは、それぞれゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される、EPR(エチレン・プロピレン共重合体)換算の重量平均分子量および数平均分子量である。EPR換算の分子量は、特許文献1の[0140]-[0141]に記載の方法で算出される。Mw/Mnが前記範囲にある共重合体[X]は、耐ブロッキング性の点で好ましい。
要件(x-6)(重量平均分子量(Mw)):
前記共重合体[X]の重量平均分子量(Mw)(EPR換算)は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、10000以上、好ましくは20000以上、さらに好ましくは30000以上である。
Mwが前記範囲にある共重合体[X]は、フィルム・シート成形性および機械強度にバランスよく優れる。
密度およびMwが前記範囲にある共重合体[X]を用いることで、良好な成形性で透明性の高いシートを製造することができる。
前記共重合体[X]は、さらに好ましくは、下記要件(x-7)を満たす。
要件(x-7)(不飽和結合量):
前記共重合体[X]の、1H-NMR測定により求められる炭素数1000個あたりの、下式で表されるビニル型二重結合(ビニル基)、ビニリデン型二重結合(ビニリデン基)(本発明において、これらの二重結合を併せて分子末端二重結合とも称す。)、2置換オレフィン型二重結合および3置換オレフィン型二重結合(本発明において、これらの二重結合を併せて分子内部二重結合とも称す。)の合計含有量は、0.40個未満であり、好ましくは0.38個未満であり、より好ましくは0.35個未満である。
Figure 0007452957000001
各式中、*は水素原子以外の原子との結合手を示す。
前記共重合体[X]の分子末端二重結合および分子内部二重結合の含有量が上記範囲にあることで、前記共重合体[X]からのシートの製造時のフィッシュアイ生成を低減でき、高い歩留りでシートを製造することができる。
前記共重合体[X]を用いることで、優れた機械強度を有するシートまたは太陽電池封止材用シートを好適に得ることができる。
〈エチレン・プロピレン・分岐α-オレフィン系共重合体[X]の製造方法〉
前記エチレン・プロピレン・分岐α-オレフィン系共重合体[X]の製造方法は、何ら限定されるものではない。例えば、下記触媒成分〔A〕および〔B〕を含有するオレフィン重合用触媒の存在下に、エチレン、プロピレンおよび分岐α-オレフィンを共重合することにより、共重合体[X]を製造することができる。
<触媒成分〔A〕>
触媒成分〔A〕は、一般式[I]で表されるメタロセン化合物である。
Figure 0007452957000002
式[I]中、Mは遷移金属であり、pは遷移金属の原子価を表し、Xは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R1およびR2はそれぞれ独立にMに配位したπ電子共役配位子である。
Mで表される遷移金属としては、例えば、Zr、Ti、Hf、V、Nb、TaおよびCrが挙げられ、好ましい遷移金属はZr、TiまたはHfであり、さらに好ましい遷移金属はZrまたはHfである。
1およびR2で表されるπ電子共役配位子としては、例えば、η-シクロペンタジエニル構造、η-ベンゼン構造、η-シクロヘプタトリエニル構造、η-シクロオクタテトラエン構造を有する配位子が挙げられ、特に好ましい配位子はη-シクロペンタジエニル構造を有する配位子である。η-シクロペンタジエニル構造を有する配位子として、例えば、シクロペンタジエニル基、インデニル基、水素化インデニル基、フルオレニル基が挙げられる。これらの基は、ハロゲン原子;アルキル、アリール、アラルキル等の炭化水素基;アルコキシ基、アリールオキシ基等の酸素原子含有基;トリアルキルシリル基等の炭化水素基含有シリル基などでさらに置換されていてもよく、2つ以上のこれらの置換基(互いに同一であっても異なっていてもよい。)が互いに結合して環構造を形成していてもよい。
触媒成分〔A〕としては、例えばビス(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-1,2,3,4,7,8,9,10-オクタヒドロジベンズ(b,h)-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドが挙げられるが、前記化合物に限定されるものではない。このような触媒成分〔A〕は、触媒成分〔B〕とともにオレフィン重合用触媒として用いることが好ましい。
<触媒成分〔B〕>
触媒成分〔B〕は、(b-1)有機アルミニウムオキシ化合物(以下「成分(b-1)」とも記載する。)、(b-2)触媒成分〔A〕と反応してイオン対を形成する化合物(以下「成分(b-2)」とも記載する。)、および(b-3)有機アルミニウム化合物(以下「成分(b-3)」とも記載する。)から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
触媒成分〔B〕は、重合活性と生成オレフィン重合体との性状の視点から、
[1]有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)のみ、
[2]有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)と有機アルミニウム化合物(b-3)、
[3]化合物(b-2)と有機アルミニウム化合物(b-3)、
[4]有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)と化合物(b-2)、
のいずれかの態様で好ましく用いられる。
触媒成分〔B〕の詳細は、例えば特許文献1の[0042]~[0070]に記載されており、触媒成分〔B〕の具体例として、メチルアルミノキサンとトリイソブチルアルミニウムとの組み合わせが挙げられる。
<重合条件>
共重合体[X]は、上述のオレフィン重合用触媒の存在下に、エチレン、プロピレンおよび分岐α-オレフィンを共重合させることにより好適に製造することができる。共重合は、特に限定されるものではないが、オレフィン重合用触媒の存在下に、50~180℃の温度で溶媒の共存下で溶液重合することによって行うことが好ましい。
重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、例えば触媒成分〔A〕および触媒成分〔B〕を任意の順序で重合器に添加する方法を例示することができる。上記方法においては、各触媒成分の2つ以上が予め接触されていてもよい。
オレフィン重合用触媒を用いて、エチレン、プロピレンおよび分岐α-オレフィンの共重合を行い、共重合体[X]を製造する場合、触媒成分〔A〕は、反応容積1リットル当り、通常1×10-9~1×10-1モル、好ましくは1×10-8~1×10-2モルとなるような量で用いることができる。
成分(b-1)は、成分(b-1)と成分〔A〕中の全遷移金属原子(M)とのモル比[(b-1)/M]が通常1~10000、好ましくは10~5000となるような量で用いることができる。成分(b-2)は、成分(b-2)と成分〔A〕中の全遷移金属原子(M)とのモル比[(b-2)/M]が、通常0.5~50、好ましくは1~20となるような量で用いることができる。成分(b-3)は、重合容積1リットル当り、通常0~5ミリモル、好ましくは約0~2ミリモルとなるような量で用いることができる。
エチレンと、プロピレンおよび分岐α-オレフィンとの仕込みモル比は、目的とする共重合体[X]の特性に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。通常エチレン:(プロピレンおよび分岐α-オレフィン)=10:90~99.9:0.1、好ましくはエチレン:(プロピレンおよび分岐α-オレフィン)=30:70~99.9:0.1、さらに好ましくはエチレン:(プロピレンおよび分岐α-オレフィン)=50:50~95.0:5.0である。
共重合体[X]の製造に好ましく採用される「溶液重合」とは、共重合反応に不活性な炭化水素溶媒中にポリマーが溶解した状態で重合を行う方法の総称である。溶液重合における重合温度は、通常50~180℃、好ましくは70~150℃、更に好ましくは90~130℃である。
溶液重合では、重合温度が上記範囲であると、重合活性および重合熱の除熱の観点から好ましい。具体的には、上記範囲の下限値以上であると、生産性の点で好ましく、上記範囲の上限値以下であると、ポリマー中に分岐が生成しにくく耐ブロッキング性の点で好ましい。
重合圧力は、通常常圧~10MPaゲージ圧、好ましくは常圧~8MPaゲージ圧の条件下であり、共重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。反応時間(共重合反応が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なり適宜選択することができるが、通常1分間~3時間、好ましくは10分間~2.5時間である。
重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
得られる共重合体[X]の分子量は、重合系中の水素濃度または重合温度を変化させることによっても調節することができる。さらに、使用する触媒成分〔B〕の量により調節することもできる。重合系に水素を添加する場合、その量は生成する共重合体[X]1kgあたり0.001~5,000NL程度が適当である。また、得られる共重合体[X]の密度は、プロピレンおよび分岐α-オレフィンのフィード量で調整することができる。
溶液重合で用いられる溶媒は、通常、不活性炭化水素溶媒であり、好ましくは常圧下における沸点が50~200℃の飽和炭化水素である。具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素が挙げられる。また、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素も、「不活性炭化水素溶媒」の範疇に入り、その使用を制限するものではない。
物性値のばらつきを抑制するため、重合反応により得られた共重合体[X]および所望により添加される他の成分は、任意の方法で溶融され、混練、造粒などを施されることが好ましい。
〔樹脂組成物〕
本発明に係る樹脂組成物は、本発明に係るエチレン・プロピレン・分岐α-オレフィン系共重合体[X]を含む組成物であり、好ましくは有機過酸化物[Y]を特定量で含む。
(有機過酸化物[Y])
前記有機過酸化物[Y]は、後述する、共重合体[X]を含むシート(以下、フィルムおよびシートを特に区別せずに「シート」とも記載する。)、あるいは太陽電池封止材用シートの作製、太陽電池モジュールのラミネート成形時の架橋反応の際のラジカル開始剤として用いられる。共重合体[X]を有機過酸化物[Y]で架橋することで高い透明性、優れた耐熱性、高い機械強度および良好な柔軟性を有するシートあるいは太陽電池封止材用シートが得られる。
有機過酸化物[Y]としては、共重合体[X]を架橋することが可能なものであれば特に限定されないが、例えば、シートの成形性、押出成形での生産性と太陽電池モジュールのラミネート成形時の架橋速度とがバランスよく優れることから、1分間半減期温度が100~190℃、好ましくは100~180℃の範囲にある有機過酸化物(Y)が好ましい。
有機過酸化物[Y]の1分間半減期温度が前記下限値以上であると、シート成形時に、押出機内で発生したゲル物によるシート表面の凹凸の発生もなく、外観も良好となる。また、電圧をかけた場合にも、クラックなどが生じず、絶縁破壊抵抗も良好となる。さらに、透湿性も起きにくくなる。また、太陽電池モジュールのラミネート加工時にガラス、薄膜電極、バックシートとの密着性および接着性も良好となる。有機過酸化物[Y]の1分間半減期温度が前記上限値以下であると、太陽電池モジュールのラミネート成形時に適切な速度で架橋を行うことができる。
有機過酸化物[Y]の配合量は、共重合体[X]100質量部に対して、通常0.1~3質量部、好ましくは0.2~3質量部、さらに好ましくは0.2~2.5質量部である。有機過酸化物[Y]の配合量が前記下限値以上であると、太陽電池モジュールのラミネート成形時に十分に架橋を行うことができ、耐熱性、ガラス接着性に優れた架橋体を得ることができる。有機過酸化物[Y]の配合量が前記上限値以下であると、樹脂組成物からシートを成形する際に、押出機内で発生したゲル物によるシート表面の凹凸の発生もなく、外観も良好となる。また、電圧をかけた場合にも、クラックなどが生じず、絶縁破壊抵抗も良好となる。さらに、透湿性も起きにくくなる。また、太陽電池モジュールのラミネート加工時にガラス、薄膜電極、バックシートとの密着性および接着性も良好となる。
有機過酸化物としては公知のものが使用でき、その具体例としては、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジベンゾイルパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーフタレート、t-ブチルヒドロパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、1,1-ジ(t-アミルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-アミルパーオキシ)シクロヘキサン、t-アミルパーオキシイソノナノエート、t-アミルパーオキシノルマルオクトエート、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-アミル-パーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソノナノエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、2,2-ジ(ブチルパーオキシ)ブタン、n-ブチル-4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)プチレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、エチル-3,3-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブチレート、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、アセチルアセトンパーオキサイド等が挙げられる。好ましくは、ジラウロイルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソノナノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、t-ブチルパーオキシベンゾエートが挙げられる。
有機過酸化物[Y]は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(エチレン性不飽和シラン化合物(C))
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、エチレン性不飽和シラン化合物(C)を含むことが、良好な架橋性を有し、優れた耐熱性を有するシートまたは太陽電池封止材用シートを得ることができる点から好ましい。
エチレン性不飽和シラン化合物(C)としては、従来公知のものが使用でき、特に制限はない。具体的には、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシシラン)、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが使用できる。好ましくは、接着性が良好な、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。エチレン性不飽和シラン化合物(C)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物は、好ましくは、共重合体[X]100質量部に対して、有機過酸化物[Y]を0.1~3質量部、およびエチレン性不飽和シラン化合物(C)を0.1~5質量部含む。より好ましくは、共重合体[X]100質量部に対して、有機過酸化物[Y]を0.2~3質量部、およびエチレン性不飽和シラン化合物(C)を0.1~4質量部含み、さらに好ましくは共重合体[X]100質量部に対して、有機過酸化物[Y]を0.2~2.5質量部、およびエチレン性不飽和シラン化合物(C)を0.1~3質量部含む。これらの成分を上記の割合で含む樹脂組成物は、ガラスに対する接着性が良好であり、樹脂組成物のコストと性能とのバランスも良好である。また、シート成形時において、押出機内で発生したゲル物によるシート表面の凹凸の発生もなく、外観も良好となる。また、電圧をかけた場合にも、クラックなどが生じず、絶縁破壊抵抗も良好となる。さらに、透湿性も起きにくくなる。また、太陽電池モジュールのラミネート加工時にガラス、薄膜電極、バックシートとの密着性および接着性も良好となる。
(紫外線吸収剤(D)、光安定化剤(E)、耐熱安定剤(F))
本発明の樹脂組成物は、好ましくは、紫外線吸収剤(D)、光安定化剤(E)および耐熱安定剤(F)からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有する。上記添加剤の配合量は、共重合体[X]100質量部に対して、0.005~5質量部であることが好ましい。さらに、上記3種から選ばれる少なくとも2種の添加剤を含有することが好ましく、特には上記3種全てが含有されていることが好ましい。上記添加剤の配合量が上記範囲にあると、高温高湿への耐性、ヒートサイクルの耐性、耐候安定性および耐熱安定性を向上する効果を十分に確保し、かつ、樹脂組成物の透明性やガラス、バックシート、薄膜電極、アルミニウムとの接着性の低下を防ぐことができるので好ましい。
紫外線吸収剤(D)としては、具体的には、2-ヒドロキシ-4-ノルマル-オクチルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-2-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4-カルボキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアリゾール系、フェニルサルチレート、p-オクチルフェニルサルチレート等のサリチル酸エステル系のものが用いられる。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
光安定化剤(E)としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系、またはヒンダードピペリジン系の化合物などが好ましく使用される。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
耐熱安定剤(F)としては、具体的には、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス[2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスフォナイト、およびビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のホスファイト系耐熱安定剤、3-ヒドロキシ-5,7-ジ-tert-ブチル-フラン-2-オンとo-キシレンとの反応生成物等のラクトン系耐熱安定剤、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a”-(メチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジルベンゼン、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のヒンダードフェノール系耐熱安定剤、硫黄系耐熱安定剤、アミン系耐熱安定剤などを挙げることができる。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
中でも、ホスファイト系耐熱安定剤およびヒンダードフェノール系耐熱安定剤が好ましい。
(その他の添加剤)
本発明の樹脂組成物は、以上詳述した諸成分以外の各種成分を、本発明の目的を損なわない範囲において、適宜含有してもよい。
このような成分としては、例えば、共重合体[X]以外の各種ポリオレフィン、例えば、共重合体[X]とは異なる組成のエチレン・α-オレフィン系共重合体、スチレン系やエチレン系のブロック共重合体、プロピレン系(共)重合体などが挙げられる。これらの含有量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、上記共重合体[X]100質量部に対して、通常0.0001質量部~50質量部、好ましくは0.001質量部~40質量部である。またポリオレフィン以外の各種樹脂、各種ゴム、酸化防止剤、可塑剤、充填剤、顔料、染料、帯電防止剤、抗菌剤、防黴剤、難燃剤、架橋助剤(G)、及び分散剤等から選ばれる1種類または2種類以上の添加剤を適宜含有することができるが、これらに限定されるものではない。
特に、架橋助剤(G)の配合量は、共重合体[X]100質量部に対して、0.01~5質量部であると、適度な架橋構造を有することができ、耐熱性、機械物性、接着性を向上できるため好ましい。
架橋助剤(G)としては、オレフィン系樹脂で一般に使用される従来公知のものが使用できる。このような架橋助剤(G)としては、分子内に二重結合を2個以上有する化合物であり、具体的には、t-ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート等のモノアクリレート、t-ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、メトキシエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート等のモノメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート等のジアクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレートネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等のジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のトリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート等のテトラアクリレート、ジビニルベンゼン、ジ-i-プロペニルベンゼン等のジビニル芳香族化合物、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のシアヌレート、ジアリルフタレート等のトリアリル化合物やジアリル化合物、p-キノンジオキシム、p-p’-ジベンゾイルキノンジオキシム等のオキシム、フェニルマレイミド等のマレイミドが挙げられる。これらの架橋助剤(G)の中でも、ジアクリレート、ジメタクリレート、およびジビニル芳香族化合物がより好ましい。
(樹脂組成物の製造方法)
本発明の樹脂組成物は、公知の任意の方法を採用して製造することができる。たとえば、所定量の、共重合体[X]と、必要に応じて、有機過酸化物[Y]、エチレン性不飽和シラン化合物(C)、紫外線吸収剤(D)、光安定化剤(E)、耐熱安定剤(F)などを、種々公知の方法、たとえば、ヘンシェルミキサー、V-ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラブレンダー等で混合する方法、あるいは混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で通常60~140℃、好ましくは80~120℃で溶融混練した後、造粒あるいは粉砕する方法を採用して製造することができる。
〔シート、および太陽電池封止材〕
(シート)
本発明に係るシートは、前記共重合体[X]またはその架橋体、あるいは前記組成物またはその架橋体を含むことを特徴としている。
本発明に係るシートは、前記共重合体[X]または本発明の樹脂組成物から公知の方法で、たとえば粉末、顆粒またはペレットである前記共重合体[X]または本発明の樹脂組成物を溶融押出し成形、またはプレス成形することで得られる。前記共重合体[X]および前記樹脂組成物は架橋してもよい。
前記共重合体[X]または樹脂組成物から得られるシートおよび前記共重合体または前記樹脂組成物を架橋してなるシート(以下「架橋シート」と略称する場合がある。)は、ガラス、バックシート、太陽電池セル、薄膜電極などとの接着性、耐熱性、成形性および架橋特性のバランスに優れ、さらに、耐候性、体積固有抵抗、電気絶縁性、透湿性、電極腐食性、プロセス安定性に優れており、太陽電池モジュールの太陽電池封止材用シートとして好適に用いられる。
本発明に係るシート(架橋シートも包含される。)の厚さは、通常0.01~3.0mm、好ましくは、0.01~2.5mm、より好ましくは0.01~2.0mm、より一層好ましくは0.01~1.5mm、さらに好ましくは0.01~1.0mm、さらに一層好ましくは0.01~0.5mm、特に好ましくは、0.01~0.3mm、最も好ましくは0.01~0.2mmである。なお、本発明においては、一般に「フィルム」と称されることのある薄い態様のものも含めて「シート」と称するものとする。厚さがこの範囲内であると、本発明に係るシートを用いて太陽電池モジュールを製造する場合に、太陽電池素子に本発明に係るシートをラミネートする工程において、ガラス、太陽電池セル、薄膜電極等の破損が抑制でき、かつ、十分な光線透過率を確保することにより高い光発電量を得ることができ、かつ、低温での太陽電池モジュールのラミネート成形ができるので好ましい。
本発明に係るシート(架橋シートも包含される。)の成形方法としては、特に制限は無いが、公知の各種の成形方法(キャスト成形、押出シート成形、インフレーション成形、射出成形、圧縮成形、カレンダー成形等)を採用することが可能である。例えば、押出機中で共重合体[X]と、必要に応じて、有機過酸化物(Y)、エチレン性不飽和シラン化合物(C)、紫外線吸収剤(D)、光安定化剤(E)、耐熱安定剤(F)、その他添加剤との溶融混練を行いつつ押出シート成形を行い、シート状の太陽電池封止材(以下「太陽電池封止材用シート」とも記載する。)を得ることができる。押出温度範囲としては、押出温度が通常100~150℃である。押出温度が前記範囲にあると、シート成形の際に、押出機内で発生したゲル物によるシート表面の凹凸の発生もなく、外観も良好となる。また、電圧をかけた場合にも、クラックなどが生じず、絶縁破壊抵抗も良好となる。さらに、透湿性も起きにくくなる。また、太陽電池モジュールのラミネート加工時にガラス、薄膜電極、バックシートとの密着性および接着性も良好となる。
また、太陽電池封止材用シート表面にはエンボス加工を施すことが可能であり、エンボス加工によりこの層の表面を装飾することで太陽電池封止材用シート同士、または太陽電池封止材用シートと他のシート等とのブロッキングを防止し、さらに、エンボスが、ラミネート時の太陽電池素子等に対するクッションとなって、これらの破損を防止するので好ましい。
さらに、太陽電池封止材用シートは、太陽電池モジュールサイズに合わせて裁断された枚葉形式、または太陽電池モジュールを作製する直前にサイズに合わせて裁断可能なロール形式にて太陽電池封止材として用いることができる。
(太陽電池封止材)
本発明の太陽電池封止材は、本発明に係るシート(具体的には、太陽電池封止材用シート)を含むことを特徴としている。
本発明の太陽電池用封止材は、本発明の太陽電池封止材用シートからなる層を少なくとも1層有している。従って、本発明の太陽電池封止材用シートからなる層の数は、1層であっても良いし、2層以上であっても良い。構造を単純にしてコストを下げる観点、および、層間での界面反射を極力小さくし光を有効に活用する観点等からは、1層であることが好ましい。
本発明の太陽電池封止材は、本発明の太陽電池封止材用シートからなる層のみで構成されていても良いし、本発明の太陽電池封止材用シートからなる層以外の層(以下「その他の層」とも記載する。)を有していても良い。
その他の層の例としては、目的で分類するならば、表面または裏面保護のためのハードコート層、接着層、反射防止層、ガスバリア層、防汚層が挙げられる。材質で分類するならば、紫外線硬化性樹脂からなる層、熱硬化性樹脂からなる層、ポリオレフィン樹脂からなる層、カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂からなる層、フッ素含有樹脂からなる層、環状オレフィン(共)重合体からなる層、無機化合物からなる層が挙げられる。
本発明の太陽電池封止材用シートからなる層と、その他の層との位置関係には特に制限はなく、発明の目的との関係で好ましい層構成が適宜選択される。すなわち、その他の層は、2以上の本発明の太陽電池封止材用シートからなる層の間に設けられても良いし、太陽電池封止材用シートの最外層に設けられても良いし、それ以外の箇所に設けられても良い。本発明の太陽電池封止材用シートからなる層の片面にのみその他の層が設けられても良いし、両面にその他の層が設けられても良い。その他の層の層数に特に制限はなく、任意の数のその他の層を設けることができるし、その他の層を設けなくともよい。
構造を単純にしてコストを下げる観点、および、界面反射を極力小さくし光を有効に活用する観点等からは、その他の層を設けず、本発明の太陽電池封止材用シートからなる層のみで、太陽電池用封止材を作製すればよいし、目的との関係で必要又は有用なその他の層があれば、適宜そのようなその他の層を設ければよい。
他の層を設ける場合の本発明の太陽電池封止材用シートからなる層と他の層との積層方法については特に制限はないが、キャスト成形機、押出シート成形機等の公知の溶融押出機を用いて共押出して積層体を得る方法、あるいはあらかじめ成形された一方の層上に他方の層を溶融あるいは加熱ラミネートして積層体を得る方法が好ましい。また、適当な接着剤(たとえば、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(たとえば、三井化学(株)社製のアドマー(登録商標)、三菱化学社製のモディック(登録商標)など)、不飽和ポリオレフィンなどの低(非)結晶性軟質重合体、エチレン/アクリル酸エステル/無水マレイン酸3元共重合体(たとえば、住化シーディエフ化学製のボンダイン(登録商標)など)をはじめとするアクリル系接着剤、エチレン/酢酸ビニル系共重合体またはこれらを含む接着性樹脂組成物など)を用いたドライラミネート法あるいはヒートラミネート法などにより積層してもよい。接着剤としては、通常120℃~150℃程度の耐熱性があるものが好ましく使用され、ポリエステル系あるいはポリウレタン系接着剤などが好適なものとして例示される。また、両層の接着性を改良するために、たとえば、シラン系カップリング処理、チタン系カップリング処理、コロナ処理、プラズマ処理等を用いても良い。
本発明の太陽電池封止材用シート(非架橋シート)は、本発明の樹脂組成物を押出シート成形して得られる厚さ0.5mmの試料で測定したときの内部ヘイズが、通常60%以下、好ましくは50%以下の範囲にあることが望ましい。
本発明の太陽電池封止材用シート(非架橋シート)は、本発明の樹脂組成物を押出シート成形して得られる厚さ0.3mmの試料で測定したときの光線透過率(波長400~700nmの平均値)が、通常85%以上、好ましくは88%~100%の範囲、より好ましくは90~100%にある。
本発明の樹脂組成物からなる太陽電池封止材用シートをその一部として含む太陽電池封止材は、例えば、太陽電池モジュールより該封止材用シートサンプル1gを採取し、沸騰キシレンでのソックスレー抽出を10時間行い、30メッシュでのステンレスメッシュでろ過後、メッシュを110℃にて8時間減圧乾燥を行い、メッシュ上の残存量より算出した場合、ゲル分率が70~95%、好ましくは、70~90%の範囲にある。ゲル分率が70%未満であると、太陽電池封止材の耐熱性が不十分であり、85℃×85%Rhでの恒温恒湿試験、ブラックパネル温度83℃での高強度キセノン照射試験、-40℃~90℃でのヒートサイクル試験または耐熱試験での、接着性が低下する傾向にある。ゲル分率が95%超過であると、太陽電池封止材の柔軟性が低下し、-40℃~90℃でのヒートサイクル試験での温度追従性が低下するため、剥離等が発生する場合がある。
〔太陽電池モジュール〕
本発明の太陽電池モジュールは、本発明の太陽電池封止材を含むことを特徴としている。
本発明の太陽電池封止材は、上述のような優れた特性を有する。従って、前記太陽電池封止材を用いて得られた太陽電池モジュールにおいては、前記太陽電池封止材の効果を活用することが可能である。
太陽電池モジュールは、例えば、通常、多結晶シリコン等により形成された太陽電池素子を太陽電池封止材用シートで挟み積層し、さらに表裏両面を保護シートでカバーした結晶系太陽電池モジュールが挙げられる。すなわち典型的な太陽電池モジュールは、太陽電池モジュール用保護シート(表面保護シート)/シート状の太陽電池封止材(太陽電池封止材用シート)/太陽電池素子/シート状の太陽電池封止材(太陽電池封止材用シート)/太陽電池モジュール用保護シート(裏面保護シート)という構成を有している。もっとも、本発明の好ましい実施形態の1つである太陽電池モジュールは、上記の構成には限定されず、本発明の目的を損なわない範囲で、上記の各層の一部を適宜省略し、又は、上記以外の層を適宜設けてもよい。典型的には、接着層、衝撃吸収層、コーティング層、反射防止層、裏面再反射層、光拡散層等を設けてもよい。これらの層を設ける位置には特に限定はなく、これらの層を設ける目的および特性を考慮のうえ、適切な位置にこれらの層を設けることができる。
さらに、例えば、シランガスから化学気相成長(CVD)させてできるアモルファスシリコンをガラスやフィルムの基板上に数μmの薄いシリコン膜を形成し、必要に応じてさらに銀等の電極をスパッタした太陽電池素子をシート状の太陽電池封止材(太陽電池封止材用シート)、太陽電池モジュール用保護シート(裏面保護シート)の順でカバーした薄膜系(アモルファス系)太陽電池モジュールも本発明の好ましい実施形態の1つである。
また、その他太陽電池モジュールとして、太陽電池セルにシリコンを用いた太陽電池モジュールとして、結晶シリコンとアモルファスシリコンを積層したハイブリッド型(HIT型)太陽電池モジュール、吸収波長域の異なるシリコン層を積層した多接合型(タンデム型)太陽電池モジュール、無数の球状シリコン粒子(直径1mm程度)と集光能力を上げる直径2~3mmの凹面鏡(電極を兼ねる)を組み合わせた球状シリコン型太陽電池モジュール、従来のpin接合構造を持つアモルファスシリコン型のp型窓層の役割を絶縁された透明電極から電界効果によって誘起される反転層に置き換えた構造を持つ電界効果型太陽電池モジュール等が挙げられる。また、単結晶のGaAsを太陽電池セルに用いたGaAs系太陽電池モジュール、光吸収層の材料として、シリコンの代わりに、Cu、In、Ga、Al、Se、Sなどから成るカルコパイライト系と呼ばれるI-III-VI族化合物を太陽電池セルとして用いたCISまたはCIGS系(カルコパイライト系)太陽電池モジュール、Cd化合物薄膜を太陽電池セルとして用いたCdTe-CdS系太陽電池、Cu2ZnSnS4(CZTS)太陽電池モジュール等が挙げられる。本発明の太陽電池封止材または太陽電池封止材用シートは、これら全ての太陽電池モジュールに好適に用いることができる。特に、本発明の太陽電池モジュールは、吸湿性に優れるため、水分浸透に弱い薄膜系太陽電池のモジュールとして好適に用いることができる。
(太陽電池モジュール用保護シート(表面保護シート))
本発明の好ましい実施形態である太陽電池モジュールにおいて好ましく用いられる表面保護シートには特に制限はないが、太陽電池モジュールの最表層に位置するため、耐候性、撥水性、耐汚染性、機械強度をはじめとして、太陽電池モジュールの屋外暴露における長期信頼性を確保するための性能を具備することが好ましい。また、太陽光を有効に活用するために、光学ロスの小さい、透明性の高いシートであることが好ましい。
太陽電池モジュールに好適に用いられる表面保護シートの材料としては、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、アクリル樹脂、環状オレフィン(共)重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等からなる樹脂フィルムの他、ガラス基板などが挙げられる。
樹脂フィルムとして特に好適なのは、透明性、強度、コスト等の点で優れたポリエステル樹脂、とりわけポリエチレンテレフタレート樹脂である。
また、特に耐侯性の良いフッ素系樹脂も好適に用いられる。具体的には、四フッ化エチレン-エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン樹脂(TFE)、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂(CTFE)がある。耐候性の観点ではポリフッ化ビニリデン樹脂が優れているが、耐候性および機械的強度の両立では四フッ化エチレン-エチレン共重合体が優れている。また、太陽電池封止材用シートからなる層等の他の層を構成する材料との接着性の改良のために、コロナ処理、プラズマ処理を表面保護シートに行うことが望ましい。また、機械的強度向上のために延伸処理が施してあるシート、例えば2軸延伸のポリプロピレンシートを用いることも可能である。
表面保護シートとしてガラス基板を用いる場合には、ガラス基板の波長350~1400nmの光の全光線透過率は好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。かかるガラス基板としては赤外部の吸収の少ない白板ガラスを使用することが一般的であるが、青板ガラスであっても厚さが3mm以下であれば太陽電池モジュールの出力特性への影響は少ない。また、ガラス基板の機械的強度を高めるために熱処理により強化ガラスを得ることができるが、熱処理無しのフロート板ガラスを用いてもよい。また、ガラス基板の受光面側に反射を抑えるために反射防止のコーティングをしても良い。
(太陽電池モジュール用保護シート(裏面保護シート))
本発明の好ましい実施形態である太陽電池モジュールにおいて用いられる裏面保護シートには特に制限はないが、太陽電池モジュールの最表層に位置するため、上述の表面保護シートと同様に、耐候性、機械強度等の諸特性を求められる。従って、表面保護シートと同様の材質で裏面保護シートを構成しても良い。すなわち、表面保護シートにおいて用いることができる上述の各種材料を、裏面保護シートにおいても、用いることができる。特に、ポリエステル樹脂、およびガラスを好ましく用いることができる。
また、裏面保護シートは、太陽光の通過を前提としないため、表面保護シートで求められていた透明性は必ずしも要求されない。そこで、太陽電池モジュールの機械的強度を増すために、あるいは、温度変化による歪、反りを防止するために、補強板を張り付けても良い。例えば、鋼板、プラスチック板、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)板等を好ましく使用することができる。
(太陽電池素子)
本発明の太陽電池モジュールにおける太陽電池素子は、半導体の光起電力効果を利用して発電できるものであれば特に制限はなく、たとえば、シリコン(単結晶系、多結晶系、非結晶(アモルファス)系)太陽電池、化合物半導体(3-5族、2-6族、その他)太陽電池、湿式太陽電池、有機半導体太陽電池などを用いることができる。この中では発電性能とコストとのバランスなどの観点から、多結晶シリコン太陽電池が好ましい。
シリコン、化合物半導体とも、太陽電池素子として優れた特性を有しているが、外部からの応力、衝撃等により破損しやすいことで知られている。本発明の太陽電池封止材用シートは、柔軟性に優れているので、太陽電池素子への応力、衝撃等を吸収して、太陽電池素子の破損を防ぐ効果が大きい。従って、本発明の好ましい実施形態である太陽電池モジュールにおいては、本発明の太陽電池封止材における太陽電池封止材用シートからなる層が、直接太陽電池素子と接合されていることが望ましい。
また、太陽電池封止材用シートが熱可塑性を有していると、一旦太陽電池モジュールを作製した後であっても、比較的容易に太陽電池素子を取り出すことが可能であり、リサイクル性に優れている。本発明の太陽電池封止材用シートの必須成分は熱可塑性を有しているので、太陽電池封止材全体としても熱可塑性を付与することが容易であり、リサイクル性の観点からも好ましい。
(太陽電池モジュールの製造方法)
太陽電池モジュールは、本発明のシート状の太陽電池封止材(太陽電池封止材用シート)を、従来同様のラミネート方法、すなわち該シートが溶融する温度(ラミネート温度、通常120~170℃)で太陽電池素子に圧着するという方法によって製造することができる。この場合、シート状の太陽電池封止材(太陽電池封止材用シート)は、有機過酸化物(Y)を含有することで優れた架橋特性を有し、モジュールの形成において2段階の接着工程を経る必要はなく、高温度で短時間に圧着させることができ、モジュールの生産性を格段に改良することができる。
〔発電設備〕
本発明の好ましい実施形態である太陽電池モジュールは、生産性、発電効率、寿命等に優れている。このため、本発明の太陽電池モジュールを用いた発電設備は、コスト、発電効率、寿命等に優れ、実用上高い価値を有する。
上記の発電設備は、家屋の屋根に設置する、キャンプなどアウトドア向けの移動電源として利用する、自動車バッテリーの補助電源として利用する等の、屋外、屋内を問わず長期間の使用に好適である。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
各種物性の測定方法は、以下のとおりである。
(エチレン・プロピレン・分岐α-オレフィン系共重合体等)
〈密度〉
密度は、ASTM D1505に従い、23℃にて測定した。
〈MFR〉
MFRは、ASTM D1238に従い、190℃、2.16kg荷重にて測定した。
〈極限粘度[η]〉
極限粘度[η]は135℃のデカリン中で測定した。
具体的には、約20mgの樹脂をデカリン25mlに溶解させた後、ウベローデ粘度計を用い、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリンを5ml加えて希釈した後、前記と同様にして比粘度ηspを測定した。
この希釈操作を更に2回繰り返し、濃度(C)と比粘度(ηsp)との関係をプロットし、下式のとおり濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位:dl/g)として求めた。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
〈コモノマー含有量(組成)〉
日本電子製JNM GX-400型NMR測定装置を用いて、共重合体中のコモノマー含有量を測定した。具体的には、試料0.35gをヘキサクロロブタジエン2.0mlに加熱溶解させ、この溶液をグラスフィルター(G2)濾過した後、重水素化ベンゼン0.5mlを加え内径10mmのNMRチューブに装入して、120℃で13C-NMR測定を行った。積算回数は8000回以上とした。得られた13C-NMRスペクトルにより、共重合体中のエチレン含量(モル%)、プロピレン含量(モル%)およびα-オレフィン含量(モル%)を定量した。
〈引張特性〉
実施例等で製造されたシートをJIS K6251 3号ダンベルに打ち抜き、試験片を作製した。JIS K6251に準拠して、この試験片の引張特性(切断時引張強さ(Tb)および切断時伸び(Eb))を測定した。
(エチレン・プロピレン・分岐α-オレフィン系共重合体の実施例)
[実施例1]
攪拌羽根を備えた内容積2Lのステンレス製重合器(攪拌回転数=700rpm)を用いて、重合温度100℃、重合圧力3.6MPaGで連続的にエチレン、プロピレンおよび4-メチル-1-ペンテンとの共重合を行った。重合器下部より、エチレンを70NL/h、プロピレンを310ml/h、4-メチル-1-ペンテンを690ml/hの速度で、また水素を0.01NL/h、重合器上部より、脱水精製したヘキサンを1.0L/h、ビス(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-1,2,3,4,7,8,9,10-オクタヒドロジベンズ(b,h)-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.0012mmol/h、メチルアルミノキサンをアルミニウム換算で0.6mmol/h、トリイソブチルアルミニウムを0.5mmol/hの速度で連続的に供給し、平均滞留時間が18分の条件の下、共重合反応を行った。生成したエチレン・プロピレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体のヘキサン溶液を、重合器上部のヘキサン供給口と逆側に設けられた排出口を介して、重合圧力を維持するように排出口の開度を調節しながら連続的に排出した。得られたエチレン・プロピレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体のヘキサン溶液2Lをメタノール6Lに添加し、ポリマー成分を析出、回収し、100℃の減圧乾燥機にて乾燥し、エチレン・プロピレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体を得た。
得られたエチレン・プロピレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体を、プレス温度=190℃で、加熱時間=5分、7.5MPaゲージ圧での加圧時間=2分、20℃の冷却プレスで7.5MPaゲージ圧での加圧冷却時間=4分の条件でプレス成形し、厚さ=2.0mmのシートを得た。共重合体の物性およびシートの評価結果を表1に示す。
[実施例2~6]
プロピレンフィード量、4-メチル-1-ペンテン量および水素フィード量を適宜変更したこと以外は実施例1と同様にして、エチレン・プロピレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体および厚さ2.0mmのシートを得た。共重合体の物性およびシートの評価結果を表1に示す。
[比較例1]
攪拌羽根を備えた内容積2Lのステンレス製重合器(攪拌回転数=700rpm)を用いて、重合温度100℃、重合圧力3.6MPaGで連続的にエチレン、プロピレンおよび1-オクテンとの共重合を行った。重合器下部より、エチレンを100NL/h、プロピレンを330ml/h、1-オクテンを1050ml/hの速度で、また水素を1.3NL/h、重合器上部より毎時、脱水精製したヘキサンを1.1L/h、ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを0.003mmol/h、メチルアルミノキサンをアルミニウム換算で0.9mmol/h、トリイソブチルアルミニウムを0.5mmol/hの速度で連続的に供給し、共重合反応を行った。生成したエチレン・プロピレン・1-オクテン共重合体のヘキサン溶液を、重合器上部のヘキサン供給口と逆側に設けられた排出口を介して、重合圧力を維持するように排出口の開度を調節しながら連続的に排出した。得られたエチレン・プロピレン・1-オクテン共重合体のヘキサン溶液2Lをメタノール6Lに添加し、ポリマー成分を析出、回収し、100℃の減圧乾燥機にて乾燥し、エチレン・プロピレン・1-オクテン共重合体を得た。エチレン・プロピレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体をこのエチレン・プロピレン・1-オクテン共重合体に変更したこと以外は実施例1と同様にして、厚さ2.0mmのシートを得た。共重合体の物性およびシートの評価結果を表1に示す。
[比較例2~5]
プロピレンフィード量、1-オクテンフィード量および水素フィード量を適宜変更したこと以外は比較例1と同様にして、エチレン・プロピレン・1-オクテン共重合体および厚さ2.0mmのシートを得た。共重合体の物性およびシートの評価結果を表1に示す。
Figure 0007452957000003

Claims (8)

  1. エチレン、プロピレンおよび分岐α-オレフィンのみの共重合体であり、下記の要件(x-1)および(-4)を満たすエチレン・プロピレン・分岐α-オレフィン系共重合体[X]。
    要件(x-1):エチレンに由来する構成単位(i)が74~92モル%、プロピレンに由来する構成単位(ii)が5~16モル%、および分岐α-オレフィンに由来する構成単位(iii)が3~10モル%含まれる(ただし、構成単位(i)、(ii)および(iii)の合計を100モル%とする。)。
    要件(x-4):前記共重合体[X]の135℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]が0.7~3.0dl/gである。
  2. さらに下記の要件(x-2)および/または(x-3)を満たす請求項1に記載の共重合体[X]。
    要件(x-2):密度が850~900kg/m3である。
    要件(x-3):ASTM D1238に準拠して190℃、2.16kg荷重の条件下で測定したメルトフローレートが、0.1~50g/10分である。
  3. 請求項1または2に記載の共重合体[X]を含む樹脂組成物。
  4. 請求項1もしくは2に記載の共重合体[X]、または請求項3に記載の樹脂組成物もしくはその架橋体を含有するシート。
  5. 厚さが0.01~3.0mmである請求項4に記載のシート。
  6. 請求項4または5に記載のシートを含む太陽電池封止材。
  7. 請求項6に記載の太陽電池封止材を含む太陽電池モジュール。
  8. 請求項1もしくは2に記載の共重合体[X]または請求項3に記載の樹脂組成物からシートを製造する工程を含む、太陽電池封止材用シートの製造方法。
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