WO2018088174A1 - 複合焼結体 - Google Patents

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Abstract

複合焼結体は、複数のダイヤモンド粒子と、複数の立方晶窒化ホウ素粒子と、残部の結合相と、を備え、複合焼結体はダイヤモンド粒子の少なくとも一部が互いに結合して3次元的に連続している骨格構造を有し、結合相は3次元的に連続している構造を有し、立方晶窒化ホウ素粒子は、結合相中に分散しているか、ダイヤモンド粒子に結合しているか、の少なくともいずれかである。

Description

複合焼結体
 本発明は、複合焼結体に関する。本出願は、2016年11月8日に出願した日本特許出願である特願2016-218170号に基づく優先権を主張する。当該日本特許出願に記載された全ての記載内容は、参照によって本明細書に援用される。
 特開2005-239472号公報(特許文献1)は、平均粒径が2μm以下の焼結ダイヤモンド粒子と、残部の結合相とを備えた高強度・高耐摩耗性ダイヤモンド焼結体であって、ダイヤモンド焼結体中の焼結ダイヤモンド粒子の含有率は80体積%以上98体積%以下であり、結合相中の含有率が0.5質量%以上50質量%未満であるチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、およびモリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素と、結合相中の含有率が50質量%以上99.5質量%未満であるコバルトとを結合相は含み、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、およびモリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素の一部または全部が平均粒径0.8μm以下の炭化物粒子として存在し、炭化物粒子の組織は不連続であり、隣り合う焼結ダイヤモンド粒子同士は互いに結合している高強度・高耐摩耗性ダイヤモンド焼結体を開示する。
 特開平9-316587号公報(特許文献2)は、焼結ダイヤモンド粒子と、残部として結合材とを含み、焼結ダイヤモンド粒子は0.1~4μmの範囲内の粒径を有し、結合材はFe、CoおよびNiからなる群から選ばれた少なくとも1つの鉄族金属を含み、酸素含有量が0.01~0.08重量%の範囲内である高強度微粒ダイヤモンド焼結体を開示する。
 特開平1-17836号公報(特許文献3)は、体積で6~0.1%の周期律表第4a,5aまたは6a族の遷移金属、ホウ素、もしくはシリコンが均一にコーティングされたダイヤモンド原料紛体粒子を超高圧高温下で焼結せしめてなる焼結体により構成され、ダイヤモンドを体積で94~99.8%含有し、残部が上記コーティング材料の炭化物からなるダイヤモンド焼結体を開示する。
 特表2014-531967号公報(特許文献4)は、複数の一体になるように結合されたダイヤモンド結晶粒およびダイヤモンド結晶粒の間の間隙領域を含む材料ミクロ構造を含む多結晶質ダイヤモンド本体と、タングステンおよび触媒金属を含む基板と、多結晶質ダイヤモンド本体と基板との間にある、タングステンおよび触媒金属が散在する複数のチタン含有粒子を含む結晶粒成長阻止剤層と、を含み、チタン含有粒子はそのサイズが800nm未満であり、結晶粒成長阻止剤層は、その両面が基板と多結晶質ダイヤモンド本体とに結合され、厚さが約20~100μmであり、ダイヤモンド結晶粒は約1μm以下の平均サイズを有する多結晶質ダイヤモンドコンパクトを開示する。
 国際公開第2007/039955号(特許文献5)は、体積%で60%以上95%以下のcBN(立方晶窒化ホウ素)成分を有し、かつ熱伝導率が70W・m-1・K-1以上のcBN焼結体の最表面が、4a,5a,6a族元素、およびAlの中から選択される少なくとも1種以上の元素と、C,N,Oの中から選択される少なくとも1種以上の元素の化合物からなる0.5μm~12μmの厚みを有する耐熱膜で被覆されている高品位表面性状加工用cBN焼結体を開示する。
 国際公開第2005/066381号(特許文献6)は、cBN粒子とかかるcBN粒子を結合するための結合材とを含む立方晶型窒化ホウ素焼結体において、70体積%以上98体積以下のcBN粒子と、残部結合材がCo化合物、Al化合物、WCおよびこれらの固溶体からなり、焼結体中のcBN粒子がMgを0.03重量%以下、かつLiを0.001重量%以上0.05重量%以下含有する立方晶型窒化ホウ素焼結体を開示する。
特開2005-239472号公報 特開平9-316587号公報 特開平1-17836号公報 特表2014-531967号公報 国際公開第2007/039955号 国際公開第2005/066381号
 本開示の複合焼結体は、複数のダイヤモンド粒子と、複数の立方晶窒化ホウ素粒子と、残部の結合相と、を備える複合焼結体であって、複合焼結体はダイヤモンド粒子の少なくとも一部が互いに結合して3次元的に連続している骨格構造を有し、結合相は3次元的に連続している構造を有し、立方晶窒化ホウ素粒子は、結合相中に分散しているか、ダイヤモンド粒子に結合しているか、の少なくともいずれかである。
図1は、本発明のある態様にかかる複合焼結体のある断面の酸処理後の状態を示す模式図である。 図2は、本発明のある態様にかかる複合焼結体のある断面の酸処理後の状態を示す走査型電子顕微鏡写真である。
[本開示が解決しようとする課題]
 近年の航空機需要の高まりから、インコネル718(Ni基合金)やTi-6Al-4Vに代表される耐熱合金で構成されるジェットエンジンの主要部品であるタービンディスクやブリスクの高速加工が望まれているが、現状は、超硬工具で切削速度50m/min程度の低速での仕上げ加工がなされており、高速加工という市場の要求を満たす工具は現れていない。
 特開2005-239472号公報(特許文献1)、特開平9-316587号公報(特許文献2)、特開平1-17836号公報(特許文献3)および特表2014-531967号公報(特許文献4)に開示のダイヤモンド焼結体は、それらの主成分であるダイヤモンドが鉄族元素(周期律表上で第4周期の第8、9および10族の元素、すなわち、鉄、コバルトおよびニッケルの3つの元素の総称。以下同じ。)および/またはチタンを含む合金と親和性が極めて高いため反応性が高く、空気中600℃以上で炭化が始まり硬度が低下し、空気中800℃以上では燃焼することから、熱的化学安定性に劣るため、鉄族元素および/またはチタンを含む耐熱合金の高速加工に使用しないのが常識である。
 国際公開第2007/039955号(特許文献5)および国際公開第2005/066381号(特許文献6)に開示の立方晶窒化ホウ素(cBN)焼結体は、それらの主成分であるcBNが鉄族元素および/またはチタンを含む合金と親和性が低く、鉄族元素および/またはチタンを含む合金で形成される耐熱合金の高速加工においても高い耐摩耗性を示す。しかしながら、cBN焼結体は、耐欠損性が低いことから、鉄族元素および/またはチタンを含む耐熱合金の高速加工において早期にチッピングが発生するため、工具として実用的な寿命が得られていない。
 そこで、上記問題を解決して、鉄族元素および/またはチタンを含む耐熱合金の高速加工にも適用可能で、高耐摩耗性および高耐欠損性を兼ね備える複合焼結体を提供することを目的とする。
[本開示の効果]
 本開示によれば、鉄族元素および/またはチタンを含む耐熱合金の高速加工にも適用可能で、高耐摩耗性および高耐欠損性を兼ね備える複合焼結体を提供できる。
 [本発明の実施形態の説明]
 最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
 [1]本願のある実施形態にかかる複合焼結体は、複数のダイヤモンド粒子と、複数の立方晶窒化ホウ素粒子と、残部の結合相と、を備える複合焼結体であって、複合焼結体はダイヤモンド粒子の少なくとも一部が互いに結合して3次元的に連続している骨格構造を有し、結合相は3次元的に連続している構造を有し、立方晶窒化ホウ素粒子は、結合相中に分散しているか、ダイヤモンド粒子に結合しているか、の少なくともいずれかである。本実施形態の複合焼結体は、高耐摩耗性および高耐欠損性を兼ね備える。
 [2]本実施形態の複合焼結体の任意に特定される断面において、ダイヤモンド粒子同士の結合部分、立方晶窒化ホウ素粒子同士の結合部分、およびダイヤモンド粒子と立方晶窒化ホウ素粒子との結合部分を総称してネックグロスと呼ぶとき、ダイヤモンド粒子および立方晶窒化ホウ素粒子のいずれかの各粒子の外周の長さLに対する上記各粒子のネックグロスの長さNの比N/Lの平均を0.40以上0.80以下とすることができる。かかる複合焼結体は、さらなる高耐摩耗性および高耐欠損性を兼ね備える。
 [3]本実施形態の複合焼結体において、ビッカース硬度を35GPa以上50GPa以下とすることができる。かかる複合焼結体は、さらなる高耐摩耗性および高耐欠損性を兼ね備える。
 [4]本実施形態の複合焼結体において、熱伝導率を100W・m-1・K-1以上とすることができる。かかる複合焼結体は、高速加工においても、温度上昇が抑制され、高耐摩耗性および高耐欠損性を兼ね備えるとともに工具としての寿命が長い。
 [5]本実施形態の複合焼結体は、複数のダイヤモンド粒子と、複数の立方晶窒化ホウ素粒子と、残部の結合相と、を備える複合焼結体であって、複合焼結体はダイヤモンド粒子の少なくとも一部が互いに結合して3次元的に連続している骨格構造を有し、結合相は3次元的に連続している構造を有し、立方晶窒化ホウ素粒子は、結合相中に分散しているか、ダイヤモンド粒子に結合しているか、の少なくともいずれかである。また、複合焼結体の任意に特定される断面において、ダイヤモンド粒子同士の結合部分、立方晶窒化ホウ素粒子同士の結合部分、およびダイヤモンド粒子と立方晶窒化ホウ素粒子との結合部分を総称してネックグロスと呼ぶとき、ダイヤモンド粒子および立方晶窒化ホウ素粒子のいずれかの各粒子の外周の長さLに対する上記各粒子のネックグロスの長さNの比N/Lの平均が0.40以上0.80以下である。また、ビッカース硬度は35GPa以上50GPa以下であり、熱伝導率は100W・m-1・K-1以上である。かかる複合焼結体は、高速加工においても、温度上昇が抑制され、高耐摩耗性および高耐欠損性を兼ね備えるとともに工具としての寿命が長い。
 [本発明の実施形態の詳細]
 <複合焼結体>
 図1を参照して、本実施形態にかかる複合焼結体は、複数のダイヤモンド粒子と、複数のcBN(立方晶窒化ホウ素)粒子と、残部の結合相と、を備える複合焼結体であって、複合焼結体はダイヤモンド粒子の少なくとも一部が互いに結合して3次元的に連続している骨格構造を有し、結合相は3次元的に連続している構造を有し、cBN粒子は、結合相中に分散しているか、ダイヤモンド粒子に結合しているか、の少なくともいずれかである。なお、残部の結合相には、製造の際に混入する不可避不純物を含む。本実施形態の複合焼結体は、高耐摩耗性および高耐欠損性を兼ね備える。
 本発明者らは、cBN焼結体で切削工具の1種であるエンドミルを形成して、鉄族元素を含む耐熱合金(たとえばインコネル(登録商標)718)を加工した際に、刃先にチッピングが発生する直前のエンドミルを観察したところ、エンドミル内部に発生した亀裂がcBN粒子を貫通していることを見出した。これにより、鉄族元素および/またはチタンを含む耐熱合金を加工するための工具としては、cBN粒子自体の靭性および強度が不足しており、従来のcBN焼結体の改良の延長線上では大幅な性能向上が見込めないことが分かった。
 次いで、本発明者らは、エンドミルによる鉄族元素および/またはチタンを含む耐熱合金の高速加工において1刃当たりの切削距離が短く刃先温度が上昇しにくいと考えて、常識的には使用を避けるダイヤモンド焼結体でエンドミルを形成して、鉄族元素を含む耐熱合金(たとえばインコネル(登録商標)718)を加工した。その結果、ダイヤモンド焼結体で形成されたエンドミルは、cBN焼結体で形成されたエンドミルで散発するチッピングは発生しなかったが、cBN焼結体で形成されたエンドミルに比べて摩耗速度が高く、実用的な寿命が得られなかった。
 そこで、本発明者らは、耐摩耗性の高いcBN粒子と耐欠損性の高いダイヤモンド粒子の複合化を検討した。その検討の結果、ダイヤモンド粒子の少なくとも一部が互いに結合して3次元的に連続している骨格構造を有し、結合相は3次元的に連続している構造を有し、cBN粒子は、結合相中に分散しているか、ダイヤモンド粒子に結合しているか、の少なくともいずれかとなるように、ダイヤモンド粒子、cBN粒子および結合相を複合化させることにより、高耐摩耗性および高耐欠損性を兼ね備える複合焼結体を得ることに成功した。
 (ダイヤモンド粒子)
 複合焼結体は、ダイヤモンド粒子の少なくとも一部が互いに結合して3次元的に連続している骨格構造を有する。高硬度かつ高熱伝導率であるダイヤモンド粒子が骨格構造を形成することにより、複合焼結体においても高硬度かつ高熱伝導率となり、切削の際の温度上昇を抑制できるため耐摩耗性が高くなる。さらに、ダイヤモンド粒子同士の結合強度は高く、骨格構造を有することで複合焼結体の耐欠損性が高くなる。複合焼結体中でダイヤモンド粒子の少なくとも一部が互いに結合して形成される3次元的に連続している骨格構造は、複合焼結体の任意に特定される複数の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)観察により確認できる。
 複合焼結体中におけるダイヤモンド粒子の含有率は、ダイヤモンド粒子の少なくとも一部が互いに結合して連続した骨格構造を形成するのに適する観点から、30体積%以上94体積%以下が好ましく、50体積%以上70体積%以下がより好ましい。ここで、複合焼結体中におけるダイヤモンド粒子の含有率は、複合焼結体の任意に特定される断面において、EDX(エネルギー分散型X線分析)によりダイヤモンド粒子を判別し、ダイヤモンド粒子が複合焼結体中に均質に分散しているとして、その断面の全面積に対するダイヤモンド粒子の断面積の面積%を体積%とみなすことにより算出する。
 なお、ダイヤモンド粒子の平均粒径は、高耐摩耗性および高耐欠損性を兼ね備える高強度の複合焼結体を得る観点から、10μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましい。ここで、ダイヤモンド粒子の平均粒径は、クロスセクションポリッシャー(CP:Cross section Polisher)装置などを用いたCP加工により複合焼結体の任意に特定される断面を作製し、その断面においてEDX(エネルギー分散型X線分析)によりダイヤモンド粒子を判別し、ダイヤモンド粒子が複合焼結体中に均質に分散しているとして、画像解析ソフトを用いて粒子1個ごとの断面積から円相当径とその平均を算出し、平均粒径とする。
 (結合相)
 複合焼結体中において、結合相は3次元的に連続している構造を有する。これにより、複合焼結体の耐欠損性が高くなる。結合相が3次元的に連続する構造(以下、3次元連続構造ともいう)を有することで、ダイヤモンド粒子およびcBN粒子と結合材との間の接触面積が増加し、結合力が増すことため、複合焼結体の強度が向上し耐欠損性が高まる。さらに、複合焼結体中で結合相を3次元連続構造に配することにより、ダイヤモンド粒子やcBN粒子から発生する微小亀裂の進展を防ぎ靱性が向上するため、耐欠損性が大きく向上する。結合相が3次元連続構造を有することは、酸処理によって複合焼結体から結合相が全て除去されることによって確認する。ここで、酸処理による複合焼結体の結合相の除去は、たとえば、60質量%の硝酸、47質量%のフッ化水素酸、および水が体積比2:1:2で混合された混合液による140℃で48時間の酸処理により行うことができる。また、酸処理により結合相が除去されたことは、XRD(X線回折)測定により、結合相に由来する回折ピークの消滅により確認できる。
 結合相は、ダイヤモンド粒子の少なくとも一部を互いに結合する観点から、Co(コバルト)を含むことが好ましい。さらに、結合相は、複合焼結体の強度を高くする観点から、W(タングステン)、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、Cr(クロム)、Al(アルミニウム)、Si(シリコン)およびMo(モリブデン)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含む化学成分を含むことが好ましい。結合相は、XRD(X線回折)およびEDX(エネルギー分散型X線分析)により判別する。
 複合焼結体中におけるCoの含有率は、結合相が3次元的に連続する構造を有するとともにダイヤモンド粒子の少なくとも一部が互いに結合して3次元的に連続している骨格構造を形成する観点から、3体積%以上30体積以下が好ましく、10体積%以上20体積%以下がより好ましい。ここで、複合焼結体中におけるCoの含有率は、複合焼結体の任意に特定される断面において、EDX(エネルギー分散型X線分析)により結合相を構成する元素(Coなど)を判別し、結合相を構成する元素が複合焼結体中に均質に分散しているとして、その断面の全面積に対する結合相を構成する元素と判別される面積の面積%を体積%とみなすことにより算出する。
 (立方晶窒化ホウ素粒子)
 cBN(立方晶窒化ホウ素)粒子は、結合相中に分散しているか、ダイヤモンド粒子に結合しているか、の少なくともいずれかである。これにより、複合焼結体中のダイヤモンド粒子の少なくとも一部が結合して形成される3次元的に連続している骨格構造の周りにcBN粒子が配置されるため、複合焼結体の耐摩耗性が高くなる。また、cBN粒子が結合相中に分散していることで結合相の厚さを薄くすることができ、複合焼結体が高硬度かつ高強度になるため、複合焼結体の耐摩耗性および耐欠損性が向上する。
 cBN粒子が結合相中に分散していることは、複合焼結体の任意に特定される複数の断面のSEM観察により確認できる。なお、結合相中に分散しているcBN粒子には、単粒子である場合と、複数の粒子の複合体である場合とを含む。また、cBN粒子がダイヤモンド粒子に結合していることは、複合焼結体の任意に特定される複数の断面を所定の酸処理による結合相除去後にSEM観察すると、ダイヤモンドの骨格構造にcBN粒子が保持されていることにより確認できる。なお、ダイヤモンド粒子に結合しているcBN粒子には、単粒子である場合と、複数の粒子の集合体である場合とを含む。
 複合焼結体中におけるcBN粒子の含有率は、cBN粒子が結合相中に分散しているか、ダイヤモンド粒子に結合しているか、の少なくともいずれかである観点から、3体積%以上40体積%以下が好ましく、10体積%以上30体積%以下がより好ましい。ここで、複合焼結体中におけるcBN粒子の含有率は、複合焼結体の任意に特定される断面において、EDX(エネルギー分散型X線分析)によりcBN粒子を判別し、cBN粒子が複合焼結体中に均質に分散しているとして、その断面の全面積に対するダイヤモンド粒子の断面積の面積%を体積%とみなすことにより算出する。
 なお、cBN粒子の平均粒径は、高耐摩耗性および高耐欠損性を兼ね備える高強度の複合焼結体を得る観点から、2μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。ここで、cBN粒子の平均粒径は、ダイヤモンド粒子と同様の方法で算出する。
 (ネックグロス)
 図1および図2を参照して、本実施形態の複合焼結体中の任意に特定される断面において、ダイヤモンド粒子同士の結合部分、cBN粒子同士の結合部分、およびダイヤモンド粒子とcBN粒子との結合部分を総称してネックグロス10と呼ぶとき、ダイヤモンド粒子およびcBN粒子のいずれかの各粒子11,12,13,14の外周の長さLに対する上記各粒子11,12,13,14のネックグロス10の長さNの比N/Lの平均を0.40以上0.80以下とすることができる。かかる複合焼結体は、さらなる高耐摩耗性および高耐欠損性を兼ね備える。
 複合焼結体の任意に特定される断面における各粒子11,12,13,14の外周の長さLに対する上記各粒子11,12,13,14のネックグロス10の長さNの比N/Lの平均は、以下のようにして算出する。まず、複合焼結体をCP加工によりある断面を作製した後、60質量%の硝酸、47質量%のフッ化水素酸、および水が体積比2:1:2で混合された混合液による140℃で48時間の酸処理により、結合相を除去する。結合相の除去により形成された空隙20を含む上記断面をSEMを用いて観察する。複合焼結体の上記断面において、各粒子11,12,13,14に分けたときに、互いの粒子11,12,13,14が辺の長さの50%以上が直接結合(すなわち空隙20を介在させずに結合)している部分をネックグロスと呼び、ネックグロスの長さNをネックグロスを形成している空隙を含む辺の長さと定義する。たとえば、図1において、粒子12については、ネックグロスの長さN12は(N1+N2)であり、外周の長さL12は(N1+M21+M22+M23+M24+N2)であることから、比N12/L12は(N1+N2)/(N1+M21+M22+M23+M24+N2)で算出される。
 上記の比N/Lの平均は、ダイヤモンド粒子の少なくとも一部が互いに結合して3次元的に連続する骨格構造を形成するとともに結合相が3次元的に連続する構造を有する観点から、0.40以上0.80以下が好ましく、0.55以上0.65以下がより好ましい。
 (ビッカース硬度)
 本実施形態の複合焼結体のビッカース硬度は、複合焼結体がさらなる高耐摩耗性および高耐欠損性を兼ね備える観点から、35GPa以上50GPa以下が好ましく。38GPa以上45GPa以下がより好ましい。ここで、ビッカース硬度は、ビッカース硬度計を用いて荷重50kgfで測定する。
 (熱伝導率)
 本実施形態の複合焼結体の熱伝導率は、高速加工においても、温度上昇が抑制され、高耐摩耗性および高耐欠損性を兼ね備えるとともに工具としての寿命が長い観点から、100W・m-1・K-1以上が好ましく、120W・m-1・K-1以上がより好ましい。ここで、複合焼結体の熱伝導率は、レーザフラッシュ法により測定される熱拡散率および比熱と、アルキメデス法により測定される密度と、により算出する。
 (酸処理後の組成)
 本実施形態の複合焼結体は、60質量%の硝酸、47質量%のフッ化水素酸、および水が体積比2:1:2で混合された混合液による140℃で48時間の酸処理後のXRD(X線回折)測定において、結合相が残存せず、ダイヤモンド粒子およびcBN粒子のみが残存していることが好ましい。かかる複合焼結体は、結合相が全て3次元的に連続している構造を有するため、高耐摩耗性および高耐欠損性を兼ね備えるとともに、耐欠損性が特に高い。
 <複合焼結体の製造方法>
 本実施形態にかかる複合焼結体の製造方法は、特に制限がないが、本実施形態の複合焼結体を効率よく製造する観点から、ダイヤモンド粉末の各粒子の表面の少なくとも一部にCoを含む結合材を被覆することにより結合材被覆ダイヤモンド粉末を形成する第1工程と、結合材被覆ダイヤモンド粉末とcBN粉末とを混合することにより混合物を形成する第2工程と、混合物を焼結することにより複合焼結体を形成する第3工程と、を備えることが好ましい。
 (第1工程)
 第1工程において、ダイヤモンド粉末の各粒子の表面の少なくとも一部にCoを含む結合材を被覆することにより結合材被覆ダイヤモンド粉末を形成する。結合材被覆ダイヤモンド粉末とcBN粉末との混合物を後工程で焼結することにより、本実施形態の複合焼結体が得られる。
 第1工程において用いられるダイヤモンド粉末の平均粒径は、特に制限はないが、高強度であり高耐摩耗性および高耐欠損性を兼ね備える複合焼結体を形成する観点から、10μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましい。ダイヤモンド粉末の各粒子の表面の少なくとも一部にCoを含む結合材を被覆する方法は、特に制限はないが、不純物が少なく均一に被覆する観点から、無電解めっき法、アーク蒸着法、粉末スパッタ法などが好ましい。結合材は、高強度であり高耐摩耗性および高耐欠損性を兼ね備える複合焼結体を形成する観点から、Coに加えて、W、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Al、SiおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素を含む化学成分を含むことが好ましい。結合材は、後工程により、複合焼結体中の結合相を形成する。
 (第2工程)
 第2工程において、結合材被覆ダイヤモンド粉末とcBN粉末とを混合することにより混合物を形成する。かかる混合物を後工程で焼結することにより、本実施形態の複合焼結体が得られる。また、焼結体中の結合材量を調整する観点から本工程で結合材を添加することもできる。第2工程で結合材を添加する場合は、第1工程を省略することもできるが、第1工程があることが好ましい。
 第2工程において用いられるcBN粉末の平均粒径は、特に制限はないが、高強度であり高耐摩耗性および高耐欠損性を兼ね備える複合焼結体を形成する観点から、2μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。結合材被覆ダイヤモンド粉末とcBN粉末とを混合する方法は、特に制限はないが、効率よく均質に混合する観点から、ボールミル混合、ビーズミル混合、遊星ミル混合、ジェットミル混合などが好ましい。また、このとき結合材も同時に混合することが可能である。結合材被覆ダイヤモンド粉末の量(すなわちダイヤモンド粉末の量およびダイヤモンド粉末に対する結合材の量)、cBN粉末の量、結合材中のCoおよび上記化学成分の含有率を調節することにより、複合焼結体中におけるダイヤモンド粒子の所望の含有率、cBN粒子の所望の含有率およびCoの所望の含有率、ならびに結合相中におけるCoの所望の含有率および上記化学成分の所望の含有率が得られる。
 (第3工程)
 第3工程において、混合物を焼結することにより複合焼結体を形成する。混合物を焼結する条件は、特に制限はないが、効率よく本実施形態の複合焼結体を得る観点から、焼結圧力が好ましくは4GPa以上10GPa以下であり、より好ましくは6GPa以上8GPa以下であり、焼結温度が好ましくは1400℃以上2000℃以下であり、より好ましくは1500℃以上1800℃以下である。ダイヤモンド粒子の3次元連続構造(ダイヤモンド粒子の少なくとも一部が互いに結合して3次元的に連続している骨格構造をいう。以下同じ。)を形成するためには、焼結時間は長いほうが好ましく、15分以上60分以下が好ましい。通常、微粒のダイヤモンド粒子を6GPa以上および1500℃以上の高圧高温で長時間焼結すると異常粒成長が生じるが、本実施形態ではダイヤモンド粒子の3次元連続構造の周りにcBN粒子を配することで異常粒成長を抑制し、従来より長時間での焼結が可能となる。
 上記混合物の焼結において、特に制限はないが、結合相の3次元連続構造を形成しやすい観点から、複数の段階で熱処理することが好ましく、第k+1段階(kは自然数)の熱処理温度が、第k段階の熱処理温度より高いことが好ましく、1600℃以上に高いことがより好ましい。
 (実施例I)
 本実施例は、表1のNo.I-1~No.I-12に示すように、ダイヤモンド粒子、cBN粒子、および結合相の含有率を変化させた複合焼結体を作製し、XRD(X線回折)測定およびEDX(エネルギー分散型X線分析)により複合焼結体を構成する成分を同定し、ダイヤモンド粒子同士、ダイヤモンド粒子とcBN粒子、および結合相の3次元連続構造(3次元で連続している構造)の有無、各粒子の外周の長さLに対するネックグロスの長さNの比N/Lの平均、ビッカース硬度、熱伝導率を測定した。さらに、上記複合焼結体で切削工具を作製して、インコネル(登録商標)718を高速切削したときの刃先の逃げ面の摩耗および/またはチッピング幅を測定し、寿命を評価した。また、上記複合焼結体の酸処理後のXRD測定により残存する成分を確認した。
 複合焼結体の作製は、以下のようにして行なった。No.I-1~No.I-6、No.I-11およびNo.I-12については、平均粒径が1μmのダイヤモンド粉末の各粒子の表面に、無電解めっき法で、結合材としてCoをダイヤモンド粒子に対して5質量%被覆した。その後、Coを被覆したダイヤモンド粉末と平均粒径が0.5μmのcBN粉末とを、ボールミル法で湿式混合して混合物を作製し、粒子表面に付着したガスを除去するために1200℃で30分間真空熱処理した。この混合物を、WC-6%Coの超硬合金製円盤とCo箔に接した状態でTa(タンタル)製の容器に充填し、ベルト型超高圧高温発生装置を用いて、まずCo融点近傍である圧力7.0GPaの圧力および1500℃の温度で10分間保持した後、7.0GPaの圧力および1600℃の温度で15分間保持することで焼結した。かかる2段階焼結においては、1500℃での保持によりCo箔から混合物へのCoの侵入を促し、1600℃での保持によりダイヤモンド粒子の3次元連続構造をより強固にすることができるとともに結合相の3次元連続構造を形成することができると考えられた。
 No.I-7については、結合材としてCo-Ni-Al-W合金を平均粒径1μmに粉砕した粉末と、平均粒径1μmのダイヤモンド粉末と、平均粒径0.5μmのcBN粉末と、をボールミル法で湿式混合して混合物を作製した。この混合物を、WC-6%Coの超硬合金製円盤に接した状態でTa製の容器に充填し、ベルト型超高圧高温発生装置を用いて、7.0GPaの圧力および1500℃の温度で10分間保持した後、7.0GPaの圧力および1600℃の温度で15分間保持することで焼結した。
 No.I-8については、平均粒径が2μmのダイヤモンド粉末の各粒子の表面に、無電解めっき法で、結合材としてCoをダイヤモンド粒子に対して6質量%被覆した。その後、Coを被覆したダイヤモンド粉末と平均粒径が0.1μmのcBN粉末とを、ボールミル法で湿式混合して混合物を作製し、粒子表面に付着したガスを除去するために1200℃で30分間真空熱処理した。この混合物をNo.I-1~No.I-6の場合と同様にして焼結した。
 No.I-9については、結合材としてCo-WC-Al合金を平均粒径1μmに粉砕した粉末と、平均粒径1μmのダイヤモンド粉末と、平均粒径0.5μmのcBN粉末と、をボールミル法で湿式混合して混合物を作製した。この混合物を、No.I-7の場合と同様にして焼結した。
 No.I-10については、焼結の際に、7.0GPaの圧力および1500℃の温度で保持することなく、7.0GPaの圧力および1400℃の温度で1分間保持することで焼結したこと以外は、No.I-1~No.I-6の場合と同様にして、複合焼結体を作製した。
 上記焼結の際に、WC-6%Coの超硬合金製円盤あるいはWC-6%Coの超硬合金製円盤およびCo箔から、WCおよびCoを含む共晶融液が、複合焼結体に溶浸して焼結が進むため、複合焼結体中のダイヤモンド粒子およびcBN粒子の含有率ならびに結合相の組成は混合物の仕込み組成と若干変わる。このため、上記共晶融液の溶浸分を予想して、混合物の仕込み組成を設計した。
 上記のようにして作製された複合焼結体の構造、性質および物性は、以下のようにして評価した。複合焼結体のダイヤモンド粒子同士、ダイヤモンド粒子とcBN粒子および結合相の3次元連続構造の有無は、複合焼結体のCP加工により形成された断面のSEM観察により確認した。結果を表1にまとめた。
 複合焼結体中のダイヤモンド粒子同士、cBN粒子同士、およびダイヤモンド粒子とcBN粒子とのネックグロスについて、各粒子の外周の長さLに対するネックグロスの長さNの比N/Lの平均は、以下のようにして算出した。複合焼結体のCP加工により断面を形成した複合焼結体に、60質量%の硝酸、47質量%のフッ化水素酸、および水が体積比2:1:2で混合された混合液による140℃で48時間の酸処理を行なった。上記酸処理後の複合焼結体は、結合相が除去されて、その部分に空隙が形成されていた。上記酸処理後の複合焼結体の上記断面をSEMで観察して、画像処理ソフト(三谷商事株式会社製WinROOF)を用いて、ダイヤモンド粒子およびcBN粒子の各粒子の外周の長さLに対するネックグロスの長さNの比N/Lを100個の粒子について算出し、それらの算術平均を算出した。結果を表1にまとめた。
 複合焼結体のビッカース硬度は、硬度はビッカーズ硬度計を用いて荷重50kgfで測定した。複合焼結体の熱伝導率は、レーザフラッシュ法により熱拡散率と比熱を測定し、アルキメデス法により密度を測定し、熱伝導率を算出した。結果を表1にまとめた。
 上記の複合焼結体で、RSX12032RS型(加工径32mm)のエンドミルタイプのカッタとRDET1204M0型のチップとで構成される切削工具を作製した。作製した切削工具を用いて、外径95mmの円盤状のインコネル(登録商標)718(大同スペシャルメタル株式会社製、溶体化・時効硬化処理材、ロックウエル硬度HRC44、ASTM(米国材料試験協会)のE112に規定される粒度番号9の粒度のもの)のワークの上面を切削した。切削条件は、切削速度Vcが500m/min、送り量fが0.1mm/刃、切込みapが0.5mm、径方向切込みaeが0.5mm、クーラント:WET(エマルジョン20倍希釈)であった。結果を表1にまとめた。表1中の「逃げ面の摩耗および/またはチッピングの幅」は、ワークの切削長が0.45m時点での値とした。また、表1中の「寿命」は、逃げ面の摩耗および/またはチッピングの幅が0.1mmを超えた時点のワークの切削長とした。結果を表1にまとめた。表1および後述の表2において、「チッピング」とは切削可能な微小な欠けを意味し、「欠損」とは切削が不可能となる大きな欠けを意味する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1を参照して、No.I-2~No.I-4およびNo.I-8の複合焼結体は、ダイヤモンド粒子および結合相のそれぞれの3次元連続構造が存在し、各粒子の外周の長さLに対するネックグロスの長さNの比N/Lの平均が0.40以上0.80以下であり、ビッカース強度が35GPa以上50GPa以下であり、熱伝導率が100W・m-1・K-1以上であり、酸処理後のXRD測定においてダイヤモンド粒子およびcBN粒子のみが残存した。No.I-5の複合焼結体は、熱伝導率が100W・m-1・K-1未満であったこと以外は、No.I-2~No.I-4およびNo.I-8の複合焼結体と同様であった。No.I-11およびNo.I-12の複合焼結体は、ビッカース硬度が50GPaより高かったこと以外は、No.I-2~No.I-4およびNo.I-8の複合焼結体と同様であった。これらの複合焼結体で作製した工具は、インコネル(登録商標)718の切削に関して、逃げ面の摩耗およびチッピングの幅が小さく、また、寿命が長いことがわかった。すなわち、これらの複合焼結体は、高耐摩耗性および高耐欠損性を兼ね備えることがわかった。
 (実施例II)
 本実施例は、表2のNo.II-1~No.II-7に示すように、ダイヤモンド粒子、cBN粒子、および結合相の含有率を変化させた複合焼結体を作製し、XRD(X線回折)測定およびEDX(エネルギー分散型X線分析)により複合焼結体を構成する成分を同定し、ダイヤモンド粒子同士、ダイヤモンド粒子とcBN粒子、および結合相の3次元連続構造(3次元で連続している構造)の有無、各粒子の外周の長さLに対するネックグロスの長さNの比N/Lの平均、ビッカース硬度、熱伝導率を測定した。さらに、上記複合焼結体で切削工具を作製して、Ti-6Al-4V(6質量%のAlと4質量%のVとが含まれているTi)合金(ASTM B348 Gr5)を高速切削したときの刃先の逃げ面の摩耗および/またはチッピング幅を測定し、寿命を評価した。また、上記複合焼結体の酸処理後のXRD測定により残存する成分を確認した。
 複合焼結体の作製は、以下のようにして行なった。No.II-1~No.II-5およびNo.II-7については、平均粒径0.5μmのcBN粒子の平均粒径を1μmとしたこと以外は、No.I-1と同様にして作製した。No.II-6については、cBNの平均粒径を1μmとしたこと以外は、No.I-7と同様にして作製した。
 No.II-1~No.II-7で作製された複合焼結体について、ダイヤモンド粒子同士、ダイヤモンド粒子とcBN粒子、および結合相の3次元連続構造(3次元で連続している構造)の有無の確認、各粒子の外周の長さLに対するネックグロスの長さNの比N/Lの平均、ビッカース硬度、および熱伝導率の測定、ならびに酸処理後のXRD(X線回折)測定により残存する粒子の確認は、実施例Iと同様にして行った。結果を表2にまとめた。
 上記の複合焼結体で、RSX12032RS型(加工径32mm)のエンドミルタイプのカッタとRDET1204M0型のチップとで構成される切削工具を作製した。作製した切削工具を用いて、150mm×150mmの正方形板状のTi-6Al-4V合金(ASTM B348 Gr5)(ウメトク株式会社製)のワークの上面を切削した。切削条件は、切削速度Vcが1000m/min、送り量fが0.15mm/刃、切込みapが0.5mm、径方向切込みaeが0.12mm、MQL(微少量潤滑)2cm3/h(ブルーベ純正油)であった。結果を表1にまとめた。表1中の「逃げ面の摩耗および/またはチッピングの幅」は、ワークの切削長が20m時点での値とした。また、表2中の「寿命」は、逃げ面の摩耗および/またはチッピングの幅が0.1mmを超えた時点のワークの切削長とした。結果を表2にまとめた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表2を参照して、No.II-1およびNo.II-2の複合焼結体は、ダイヤモンド粒子および結合相のそれぞれの3次元連続構造が存在し、各粒子の外周の長さLに対するネックグロスの長さNの比N/Lの平均が0.40以上0.80以下であり、ビッカース強度が35GPa以上50GPa以下であり、熱伝導率が100W・m-1・K-1以上であり、酸処理後のXRD測定においてダイヤモンド粒子およびcBN粒子のみが残存した。No.II-3の複合焼結体は、熱伝導率が120W・m-1・K-1未満であったこと以外は、No.II-1およびNo.II-2の複合焼結体と同様であった。No.II-4の複合焼結体は、ビッカース強度が35GPa未満であり、熱伝導率が100W・m-1・K-1未満であったこと以外は、No.II-1およびNo.II-2の複合焼結体と同様であった。No.II-7の複合焼結体は、比N/Lの平均が0.70より高く、ビッカース強度が50GPaより高かったこと以外は、No.II-1およびNo.II-2の複合焼結体と同様であった。これらの複合焼結体で作製した工具は、Ti-6Al-4V合金(ASTM B348 Gr5)の切削に関して、逃げ面の摩耗およびチッピングの幅が小さく、また、寿命が長いことがわかった。すなわち、これらの複合焼結体は、高耐摩耗性および高耐欠損性を兼ね備えることがわかった。
 今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 ネックグロス、11,12,13,14 粒子、20 空隙、M21,M22,M23,M24 辺の長さ、N1,N2 ネックグロスの長さ。

Claims (5)

  1.  複数のダイヤモンド粒子と、複数の立方晶窒化ホウ素粒子と、残部の結合相と、を備える複合焼結体であって、
     前記複合焼結体は前記ダイヤモンド粒子の少なくとも一部が互いに結合して3次元的に連続している骨格構造を有し、
     前記結合相は3次元的に連続している構造を有し、
     前記立方晶窒化ホウ素粒子は、前記結合相中に分散しているか、前記ダイヤモンド粒子に結合しているか、の少なくともいずれかである複合焼結体。
  2.  前記複合焼結体の任意に特定される断面において、
     前記ダイヤモンド粒子同士の結合部分、前記立方晶窒化ホウ素粒子同士の結合部分、および前記ダイヤモンド粒子と前記立方晶窒化ホウ素粒子との結合部分を総称してネックグロスと呼ぶとき、前記ダイヤモンド粒子および前記立方晶窒化ホウ素粒子のいずれかの各粒子の外周の長さLに対する前記各粒子のネックグロスの長さNの比N/Lの平均が0.40以上0.80以下である請求項1に記載の複合焼結体。
  3.  ビッカース硬度が35GPa以上50GPa以下である請求項1または請求項2に記載の複合焼結体。
  4.  熱伝導率が100W・m-1・K-1以上である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の複合焼結体。
  5.  複数のダイヤモンド粒子と、複数の立方晶窒化ホウ素粒子と、残部の結合相と、を備える複合焼結体であって、
     前記複合焼結体は前記ダイヤモンド粒子の少なくとも一部が互いに結合して3次元的に連続している骨格構造を有し、
     前記結合相は3次元的に連続している構造を有し、
     前記立方晶窒化ホウ素粒子は、前記結合相中に分散しているか、前記ダイヤモンド粒子に結合しているか、の少なくともいずれかであり、
     前記複合焼結体の任意に特定される断面において、
     前記ダイヤモンド粒子同士の結合部分、前記立方晶窒化ホウ素粒子同士の結合部分、および前記ダイヤモンド粒子と前記立方晶窒化ホウ素粒子との結合部分を総称してネックグロスと呼ぶとき、前記ダイヤモンド粒子および前記立方晶窒化ホウ素粒子のいずれかの各粒子の外周の長さLに対する前記各粒子のネックグロスの長さNの比N/Lの平均が0.40以上0.80以下であり、
     ビッカース硬度が35GPa以上50GPa以下であり、
     熱伝導率が100W・m-1・K-1以上である複合焼結体。
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