WO2017057183A1

WO2017057183A1 - 切断機の集塵カバー

Info

Publication number: WO2017057183A1
Application number: PCT/JP2016/077997
Authority: WO
Inventors: 英治武藤; 潤一岩上; ▲高▼橋　誠
Original assignee: 株式会社マキタ
Priority date: 2015-10-01
Filing date: 2016-09-23
Publication date: 2017-04-06
Also published as: JP2018187768A

Abstract

石材やコンクリートの切断作業に用いる切断機には、粉塵を効率よく集塵するための集塵カバーが用いられる。本発明は、この集塵カバーについて、別途集塵機（強制集塵）を用いるまでもなく自己集塵によって十分な集塵がなされるようにする。集塵カバーの内部に２つの集塵路（１１，１２）を設ける。外周側の第１集塵路（１１）で粗い粉塵を集塵し、内周側の第２集塵路でより微細な粉塵を集塵する。第１集塵路（１１）と第２集塵路（１２）を区画する集塵壁部（１３）の前端を、切断部位（Ｃ）を通る接線（Ｓ）上付近に位置させて粗い粉塵の跳ね返りを防止する。

Description

切断機の集塵カバー

　本発明は、例えば石材やコンクリートの主として切断加工に用いられるグラインダ、あるいは木材の切断加工に用いられる丸鋸等の切断機に用いられる集塵カバーであって、切断部位で発生する粉塵等の飛散を防止するための集塵カバーに関する。

　この種の切断機は、回転する円形の刃具(回転刃具）を備えている。グラインダは刃具として円形の砥石を備え、丸鋸は円形の鋸刃を備えている。切断加工は、回転刃具を加工材に対して縦向きに切り込ませて行われる。切断加工の際には、多くの粉塵が発生する。このため、従来よりこの種の切断機については、加工により発生する粉塵を効率よく集塵して作業環境を良好に維持し、これにより作業効率を高めるための工夫がなされている。

　例えば特開平１０－１１３９０５号公報には、刃具の回転方向の上流側と下流側に二つの吸込口を設けて集塵効率を高める技術が記載されている。

　しかしながら、石材やコンクリートの切断作業といったように粉塵の発生が特に問題となる作業ではその集塵効率をより一層高める必要があった。本発明は、石材やコンクリートの切断作業等、粉塵の発生が特に問題となる作業においても、集塵機（強制集塵）を用いるまでもなく集塵カバー自体の集塵能力（自己集塵）によって十分な集塵がなされるようにすることを目的とする。

　上記した課題は、以下の各発明によって解決される。第１の発明は、回転する円形の刃具を備えた切断機に用いる集塵カバーである。第１の発明では、刃具の周囲に沿って集塵壁部を設け、この集塵壁部により内周側と外周側に区画された２つの集塵路を備えた構成となっている。

　第１の発明によれば、切断部位から吹き上げられた粉塵のうち、比較的重量の大きな粗い粉塵が刃具の回転による慣性力で外周側の集塵路に進入し、比較的重量が小さく微細な粉塵が刃具の回転により発生する風で内周側の集塵路に分けて進入させることができ、これにより粉塵の集塵効率を高めることができる。外周側の集塵路に進入した粗い粉塵は、集塵壁部によって切断部位にまで戻されてしまうことが防止され、この点でも集塵効率を高めることができる。

　第２の発明は、第１の発明において、集塵壁部の上流側端部を、刃具の面直方向となる側面視で、刃具の刃先と当該集塵カバーの開口端との前側の交点を通る接線上に位置させた構成を備えている。これにより第２の発明では、集塵壁部の上流側端部の外周側を外周側の集塵路の集塵口とし、この外周側の集塵路の集塵口の内周側に内周側の集塵路の集塵口を並列配置した構成を備えている。

　第２の発明によれば、集塵カバーの開口端を切断材の上面に当接させた状態でなされる切断作業において、側面視で当該集塵カバーの開口端と刃具の外周縁（刃先）との前側の交点に一致する切断部位から接線方向に吹き上げられた粉塵のうち、重量の大きな粗い粉塵を刃具の回転による慣性力で外周側の集塵路へ進入させ、重量が小さく微細な粉塵を刃具の回転により発生する風で内周側の集塵路へ分けて進入させることができ、これにより粉塵の集塵効率を高めることができる。

　第２の発明によれば、２つの集塵路の集塵口のうち、外周側の集塵路の集塵口が、切断部位を通る接線上もしくはその近傍に配置され、内周側の集塵路の集塵口が外周側の集塵路の集塵口の内周側に横並び状態で配置されることにより、切断部位の近傍において刃具の回転による慣性力若しくは風力を効率よく利用して粗い粉塵と微細な粉塵に分けて集塵することができる。外周側の集塵路の集塵口は、厳密に接線上に位置させる構成の他、当該接線に対してやや側方（上流側若しくは下流側）へずれた位置（接線付近）に配置することにより同等の作用効果を得ることができる。

　第３の発明は、第１又は第２の発明において、２つの集塵路の下流側端部に集塵袋を接続可能な排出口が設けられた集塵カバーである。第３の発明では、排出口を刃具の回転中心よりも後方に位置させた構成となっている。

　第３の発明によれば、２つの集塵路について刃具の回転中心に対して前方側から後方側に至る十分な長さの集塵経路を確保することができ、これにより集塵効率を高めることができる。

　第４の発明は、第３の発明において、排出口に向けて２つの集塵路の流路断面積が大きくなる構成となっている。

　第４の発明によれば、下流側に向けて流路断面積が大きくなることにより粉塵の排出口への流入抵抗を小さくすることができ、その結果上流側において粉塵の集塵路内への進入を促進して集塵効率を高めることができる。

　第５の発明は、第３又は第４の発明において、刃具の面方向に沿った側壁部を有し、この側壁部に、当該集塵カバーの外部と内部を連通する吸気口を有する集塵カバーである。第５の発明では、吸気口は、刃具の面直方向となる側面視で当該刃具の径方向中間から外周縁に至る領域、かつ排出口よりも前側の領域に位置する構成となっている。

　第５の発明によれば、刃具の回転により発生する風により吸気口を経て集塵カバー内に外気が導入され、これにより粉塵が十分な風量の風により集塵路内に効率よく集塵される。第５の発明によれば、吸気口は、側面視で刃具の径方向中間から外周縁に至る領域であって排出口よりも前側の領域に設けられている。このため、当該刃具の回転により発生する風（旋回流）により吸気口から十分な風量の外気を効率よく導入することができ、ひいては粉塵の集塵を効率よく行うことができる。

　第６の発明は、第５の発明において、集塵路の下流側に接続した集塵袋を吸気口に接続する通気部材を有する集塵カバーである。

　第６の発明によれば、集塵袋内の空気が通気部材を経て集塵カバー内に還流される。これにより集塵袋内の圧力上昇が抑制されて、集塵路から集塵袋内に至る粉塵の流れをスムーズにすることができ、この点で集塵効率を高めることができる。

　第７の発明は、第５又は第６の発明において、吸気口の内側開口部に、流入した外気若しくは通気部材を経て流入した還流風を集塵路に案内する案内リブを有する集塵カバーである。

　第７の発明によれば、吸気口を経て外気とともに集塵カバー内に流入した粉塵が効率よく集塵路に案内され、若しくは吸気口を経て還流風（通気部材を経て流入する風）とともに集塵カバー内に還流された集塵袋内の粉塵が効率よく集塵路に案内されて、当該集塵カバー内の粉塵を効率よく集塵路を経て集塵することができる。

　第８の発明は、第３～第７の何れか１つの発明において、集塵路の下流側に接続した集塵袋の内部に、集塵路から流入した粉塵の流れを阻害する遮蔽部を設けた集塵カバーである。

　第８の発明によれば、集塵袋内に流入した粉塵のうち主として重量の大きな粗い粉塵が遮蔽部に吹き当てられて下方へ落下する。集塵袋内に流入した粉塵のうち主として重量の小さな微細な粉塵が遮蔽部に吹き当てられた後、その後方へ吹き飛ばされて当該集塵袋の奥側に堆積される。このように遮蔽部により、粗い粉塵が前側（排出口側）堆積され、微細な粉塵が奥側に堆積されるように振り分けられることにより、当該集塵袋の目詰まりを抑制することができる。

　第９の発明は、第８の発明において、集塵袋の両側壁部を相互に結合して遮蔽部とした集塵カバーである。

　第９発明によれば、簡略な構成及び低コストで遮蔽部を設けることができる。遮蔽部は、集塵袋の両側壁部を例えば相互に縫い合わせることにより、あるいは相互に接着することにより設けることができる。

　第９の発明によれば、集塵袋の内部上面に遮蔽板を張り出すように設けて遮蔽部としてもよい。遮蔽部は、粉塵の流入方向に対して面直に位置させる構成の他、下部側ほど奥側へ変位する方向に傾斜させて設けることもできる。係る方向に傾斜して設けることにより、当該遮蔽部による流入抵抗の上昇を抑制することができる。

　第１０の発明は、回転する円形の刃具を有する切断機に取り付けられて刃具の周囲を覆う集塵カバーである。第１０の発明に係る集塵カバーは、刃具の回転により発生する切断粉を集塵する集塵路の下流側に設けた排出口に集塵袋を接続可能であり、集塵カバーの内部と集塵袋の内部とを通気可能に連通する通気部材を備えており、通気部材に集塵袋を吊り下げて支持させる構成となっている。

　第１０の発明によれば、布製の集塵袋が通気部材に吊り下げられて展張状態に保持される。このため、集塵袋が型崩れ等して排出口から垂れ下がることにより被削材等の他部位に接触若しくは干渉するといった問題を生じないことから、当該集塵袋ひいては集塵カバーの使い勝手若しくは作業性を高めることができる。また、集塵袋が展張状態に保持されることにより、その本来の内容積が確保される結果、粉塵のスムーズな流入が促進され、これにより当該集塵カバーの集塵効率を高めることができる。通気部材は、集塵袋の上部に沿って配置されていることから、集塵袋の下側に堆積される比較的重量が大きく粗い粉塵が除かれた空気が通気部材に流入する。

　第１１の発明は、回転する円形の刃具を有する切断機に取り付けられて刃具の周囲を覆う集塵カバーに用いられる集塵補助ユニットである。第１１の発明に係る集塵補助ユニットは、集塵カバーの排出口に接続される集塵袋と、集塵カバーの内部と集塵袋の内部とを通気可能に連通する通気部材を備えており、通気部材に集塵袋を吊り下げて支持させる構成となっている。

　第１１の発明によれば、集塵袋と通気部材が、集塵カバーに用いられる集塵補助ユニットとして取り扱われる。係る集塵補助ユニットを集塵カバーに用いることにより、集塵袋内に流入した空気が通気部材により集塵カバー内に戻されて、当該集塵袋内の圧力上昇が抑制される結果、当該集塵袋内への空気の流入抵抗の上昇が抑制されて、その高い集塵効率が維持される。

　第１２の発明は、回転する円形の刃具を有する切断機に取り付けられて刃具の周囲を覆う集塵カバーに用いる通気部材である。第１２の発明に係る集塵カバーは、刃具の回転により発生する切断粉を集塵する集塵路の下流側に排出口を備えており、排出口には集塵袋を取り付け可能となっている。第１２の発明に係る通気部材は、集塵袋の内部と集塵カバーの内部とを通気可能に連通し、集塵袋を吊り下げて支持可能な構成となっている。

　第１２の発明によれば、通気部材により集塵袋の内部の圧力上昇が抑制されて、当該集塵袋の高い集塵効率が維持される。

　第１３の発明は、第１０～第１２の何れか一つの発明に係る通気部材であって、集塵袋の内部に流入した空気を集塵カバーの内部に還流するための還流路を形成する通気部材である。

　第１３の発明によれば、集塵袋の内部に流入した空気の一部が通気部材を経て集塵カバーの内部に還流されて、当該集塵袋内の圧力上昇が抑制され、これにより当該集塵袋の内部への空気の流入抵抗の上昇が抑制されてその高い集塵効率を維持することができる。

　第１４の発明は、第１０～第１３の何れか一つの発明に係る通気部材であって、集塵袋の奥まで延在された通気部材である。

　第１４の発明によれば、通気部材が骨材として機能することにより、集塵袋のほぼ全体が吊り下げられて展張状態に保持される。これにより、当該集塵袋の内部の圧力上昇が抑制されて、その高い集塵効率が維持される。

　第１５の発明は、第１４の発明に係る通気部材であって、パイプ材を素材とし、空気を吸入する還流口を集塵袋の奥側に有する通気部材である。

　第１５の発明によれば、集塵袋の奥側に吹き込んだ空気が還流口を経て通気部材内に流入することにより集塵袋内の圧力上昇が効率よく抑制され、ひいては集塵袋の高い集塵効率が維持される。

　第１６の発明は、第１～第１５の発明の何れか１つの発明に係る集塵カバーを備えた切断機である。

　第１６の発明によれば、上記した第１～第１５の発明の何れか１つの発明による作用効果を切断機について得ることができる。

本発明の第１実施形態に係る集塵カバーの縦断面図である。本図は、集塵カバー及び切断機を正面側から見た状態を示している。切断機及び集塵カバーを背面側から見た側面図である。切断機の縦断面図である。本図は、背面側から見た状態を示している。切断機及び集塵カバーの平面図である。本発明の第２実施形態に係る集塵カバーを正面側から見た側面図である。第２実施形態に係る集塵カバーの縦断面図である。本図は、背面側から見た状態を示している。第３実施形態に係る集塵カバーを取り付けた切断機の平面図である。第３実施形態に係る集塵カバーの縦断面図である。本図は、正面側から見た状態を示している。第３実施形態に係る集塵カバーの縦断面図である。本図は、背面側から見た状態を示している。第４実施形態に係る集塵カバーの縦断面図である。本図は、背面側から見た状態を示している。第５実施形態に係る集塵カバーの縦断面図である。本図は、背面側から見た常態を示している。第５実施形態に係る集塵カバーを図１１中矢印(XII)方向から見た上面図である。第６実施形態に係る集塵カバーを正面側から見た側面図である。集塵袋を分離した状態における集塵カバーの全体斜視図である。第６実施形態に係る集塵カバーの縦断面図である。袋結合部材の斜視図である。図１３の(XVII)-(XVII)線断面矢視図であって、袋結合部材の縦断面図である。第６実施形態に係る通気部材を図１３中矢印(XVIII)方向から見た下面図である。通気部材を取り外して接続口をキャップで塞いだ状態の集塵カバーの斜視図である。

　次に、本発明の実施形態を図１～図１９に基づいて説明する。以下の説明では、部材等の前後方向については、切断加工が進行する方向（切断方向）を前側とする。当該切断機１の後ろ側に使用者が位置する。従って、部材等の左右方向については使用者を基準にして用いる。切断が進行する方向に向かって右側は正面側とも言い、左側は背面側とも言う。以下説明する各実施形態では、切断機１としていわゆるグラインダを例示する。

　図１～図４に示すようにこの切断機１は、円筒形の本体ケース２に電動モータ３を内装した本体部４と、本体部４の前部に結合されたギヤヘッド５を備えている。ギヤヘッド５から突き出されたスピンドル６に円形の刃具（砥石）７が取り付けられている。本体部４の後部からは交流電源供給用の電源コード８が引き出されている。本体部４（本体ケース２）は、使用者が把持するグリップ部として機能させるために適切な太さに設定されている。本体部４を把持した手の指先で、当該本体部４に設けた起動スイッチをオン操作すると、電動モータ３が起動して刃具７が回転する。

　切断機１には、切断加工により発生する粉塵の周囲への飛散を防止するための集塵カバー１０が取り付けられている。集塵カバー１０は刃具７の上部側を覆う状態に取り付けられている。集塵カバー１０の下部から刃具７の下部側が突き出されている。この突き出し部分が被切断材Ｗに切り込まれて切断加工がなされる。図１に示すように刃具７が反時計回り方向に回転することにより、切断部位Ｃ（刃具７が被切断材Ｗに切り込まれる部位であって、被切断材Ｗの上面と刃具７の刃先との前側の交差部）から粉塵が、刃具７の回転により発生する風（集塵風）に乗って上方へ吹き上げられる。上方へ吹き上げられた粉塵は、集塵カバー１０内に集塵されて周囲への飛散が防止される。本発明は、この集塵カバー１０について従来にない特徴を備えている。以下、集塵カバーについて様々な実施形態を説明する。

　第１実施形態の集塵カバー１０は、刃具７の正面側を覆う正面部１０ａと背面側を覆う背面部１０ｂと周囲を覆う周囲部１０ｃを備えたケース構造を有している。正面部１０ａと背面部１０ｂは相互に一定の間隔をおいて平行に位置している。正面部１０ａと背面図１０ｂの下端（当該集塵カバー１０の開口端）は、図示するように切断加工時に被切断材Ｗの上面に当接される。これにより切断部位Ｃの左右両側方が正面図１０ａと背面部１０ｂで覆われる。正面部１０ａと背面図１０ｂの周縁間に跨って周囲部１０ｃが設けられている。周囲部１０ｃは、正面部１０ａと背面部１０ｂの周縁の前端から後端に至る全領域にわたって設けられている。このため、周縁部１０ｃの前端と後端も切断加工時において被切断材Ｗの上面に当接される。これにより切断部位Ｃの前方が周囲部１０ｃにより覆われる。

　図４に示すように背面部１０ｂの下部にねじ止め式のクランプ部１０ｄが設けられている。このクランプ部１０ｄが、切断機１のギヤヘッド５に設けた取り付けボス部５ａに締め付けられて当該集塵カバー１０が切断機１に取り付けられている。クランプ部１０ｄのねじ止めを緩めることにより、当該集塵カバー１０を切断機１から取り外すことができる。集塵カバー１０の後部には、円筒形の排出口１４が一体に設けられている。排出口１４には集塵袋９が取り付けられている。

　図１に示すように集塵カバー１０の内部には、集塵壁部１３が一体に設けられている。集塵壁部１３は、切断部位Ｃの上方から排出口１４の後端に至る範囲に設けられている。集塵壁部１３の前端は、切断部位Ｃを通る接線Ｓ上にほぼ至っている。切断部位Ｃは、当該集塵カバー１０の開口端を被切断材Ｗの上面に当接させた状態では、側面視で刃具７の刃先と正面部１０ａの下端（当該集塵カバー１０の開口端）との前側の交点に一致する。この集塵壁部１３の外周側であって周囲部１０ｃとの間が第１集塵路１１とされている。集塵壁部１３の内周側が第２集塵路１２とされている。集塵壁部１３の前端の外周側が第１集塵路１１の集塵口１１ａとされ、内周側が第２集塵路１２の集塵口１２ａとされている。

　刃具７の図示反時計回り方向の回転により切断加工がなされる段階では切断部位Ｃで粉塵（切断粉）が発生する。切断部位Ｃで発生した粉塵は、刃具７の回転する勢いによって接線Ｓ方向へ吹き飛ばされる。粉塵のうち比較的重量が大きな粗い粉塵は、刃具７の回転により発生する慣性力により接線Ｓ方向に沿って吹き飛ばされる。吹き飛ばされた粗い粉塵は、集塵口１１ａを経て第１集塵路１１内に至る。粉塵のうち比較的重量が小さな微細な粉塵は、刃具７の回転する勢いによってその周方向に沿って上方へ吹き上げられる。吹き上げられた微細な粉塵は、集塵口１２ａを経て第２集塵路１２内に進入する。このように、２つの集塵路１１，１２が刃具７の外周側に径方向に並んで配置されていることにより、比較的重量の大きな粗い粉塵は、外周側の第１集塵路１１に集塵され、比較的重量の小さな微細な粉塵は、内周側の第２集塵路１２に集塵される。

　第１及び第２集塵路１１，１２に集塵された粉塵は、排出口１４を経て集塵袋９に集塵される。第１及び第２集塵路１１，１２を経て集塵袋９に集塵されなかった一部の粉塵は、引き続き刃具７の回転による風の流れに乗って前側に戻され、最終的に集塵袋９に集塵される。

　第１集塵路１１と第２集塵路１２を区画する集塵壁部１３は、切断部位Ｃを通る接線Ｓ付近を基点として上方へ湾曲形状に延びている。このため、集塵口１１ａを経て一旦第１集塵路１１内に進入した後に、周囲部１０ｃに吹き当てられて跳ね返った主として粗い粉塵についても、集塵壁部１３により切断部位Ｃ側に戻されてしまうことが防止される。この点で特に粗い粉塵について効率のよい集塵を行うことができる。

　集塵袋９は、接続口９ａを有するフレーム９ｂに布地９ｃを被せたダストバックで、集塵カバー１０から取り外して集塵した内部の粉塵を接続口９ａから廃棄できるようになっている。

　以上のように構成した第１実施形態の集塵カバー１０によれば、切断部位Ｃで発生した粉塵を集塵するための集塵路として第１集塵路１１と第２集塵路１２を備えていることにより集塵性能をより一層高めることができる。例示した集塵カバー１０によれば、切断部位Ｃから接線Ｓ方向に吹き上げられた粉塵のうち、重量の大きな粗い粉塵は主として刃具７の回転による慣性力で外周側の第１集塵路１１に進入し、重量が小さく微細な粉塵は主として刃具７の回転により発生する風力で内周側の第２集塵路１２に進入することにより、当該集塵カバー１０の粉塵の集塵効率を高めることができる。

　また、例示した第１実施形態の集塵カバー１０によれば、集塵壁部１３の上流側の前端部が、切断部位Ｃを通る接線Ｓ上若しくはその近傍を基点として後方へ延びる状態に設けられていることにより、第１集塵路１１の集塵口１１ａと第２集塵路１２の集塵口１２ａがともに、切断部位Ｃを通る接線Ｓ上若しくはその近傍に並列配置され、これにより切断部位Ｃの近傍において刃具７の回転による慣性力若しくは風力を効率よく利用して粗い粉塵と微細な粉塵に分けて集塵することができる。

　また、第１実施形態の集塵カバー１０によれば、刃具７の回転による慣性力により第１集塵路１１内に進入した粗い粉塵が周囲部１０ｃに当たって跳ね返った場合であっても、集塵壁部１３によって切断部位Ｃにまで戻されてしまうことが防止され、この点でも集塵効率を高めることができる。

　以上説明した第１実施形態には種々変更を加えることができる。例えば図５及び図６には第２実施形態の集塵カバー２０が示されている。第１実施形態と同様の部材及び変更を要しない構成については同位の符号を用いてその説明を省略する。第２実施形態の集塵カバー２０は、第１実施形態の集塵カバー１０に吸気口２１を追加した構成を備えている。

　図５に示すように吸気口２１は、刃具７の面方向に沿った側壁部（正面部１０ａ）に設けられている。吸気口２１は、正面部１０ａを貫通して設けられている。刃具７の中心を通る法線方向の位置について、吸気口２１は、刃具７の側方であって当該刃具７の面直方向となる側面視で当該刃具７の径方向中間から外周縁（刃先）に至る領域に設けられている。図示するように第２実施形態では、吸気口２１は側面視で刃具７の刃先寄りに沿った位置であって第２集塵路１２よりも径方向内周側に設けられている。吸気口２１は、刃具７の刃先に沿った円弧形状に設けられている。しかも、この吸気口２１は刃具７の周方向の位置については切断部位Ｃの上方であって粉塵の流れについて上流側に設けられている。

　吸気口２１によって、当該集塵カバー２０の内側と外側が連通されている。刃具７が図５において反時計回り方向に回転する状態では、その回転により発生する風の流れによりこの吸気口２１を経て当該集塵カバー２０内に外気が吸引される。吸気口２１から当該集塵カバー２０内に外気が吸引されることにより、当該集塵カバー２０内に十分な風量の風の流れを発生させることができることから、発生した粉塵を効率よく第１及び第２集塵路１１，１２内を経て集塵袋９側に導くことができ、これにより当該集塵カバー２０の集塵効率を一層高めることができる。

　図７～図９には、第３実施形態の集塵カバー３０が示されている。第３実施形態の集塵カバー３０は、第２実施形態の集塵カバー２０に通気部材３１を追加した構成を備えている。前記例示した同様の部材及び構成については同位の符号を付してその説明を省略する。第３実施形態において、通気部材３１は、集塵カバー３０の正面部１０ａに設けた吸気口２１と集塵袋９と間に設けられている。集塵袋９内に吹き込んだ空気がこの通気部材３１を経て集塵カバー３０内に還流される。通気部材３１は、集塵袋９内に吹き込んだ空気を集塵カバー３０内に戻す（還流する）ための還流路として機能する。通気部材３１により集塵カバー３０内と集塵袋９内との間において風が還流されることにより、集塵袋９内の圧力上昇が抑制されることから切断部位Ｃから集塵袋９内に至る風のスムーズな流れを確保することができ、これにより高い集塵効率を長時間にわたって維持することができる。また、集塵袋９内の圧力上昇が抑制されることにより、主として布地９ｃの目詰まりを低減できる。

　通気部材３１の下流側は、吸気口２１に接続されている。このため、集塵袋９内の風は、第２実施形態における外気と同じく、側面視で刃具７の径方向内周側に還流される。図８及び図９に示すように吸気口２１には、２つの案内リブ３２，３３が設けられている。２つの案内リブ３２，３３は、それぞれ通気部材３１側と第２集塵路１２側の双方に延びている。

　図８に示すように通気部材３１側（集塵カバー３０の外側）において、２つの案内リブ３２，３３は、Ｌ字形に屈曲している。２つの案内リブ３２，３３の上流側屈曲部３２ａ，３３ａにより、集塵袋９からほぼ水平に還流された風（還流風）の流れが上方（第２集塵路１２）へ向けられる。これに対して図９に示すように２つの案内リブ３２，３３の下流側は円弧形状に湾曲している。２つの案内リブ３２，３３の下流側湾曲部３２ｂ，３３ｂにより、下方の吸気口２１から吸気された還流風が刃物７の面方向に沿って刃先側に向けて流されてスムーズに第２集塵路１２の集塵風に合流される。吸気口２１に設けた２つの案内リブ３２，３３により、通気部材３１を経て当該集塵カバー３０内に還流された空気がスムーズに第２集塵路１２内の集塵風に合流され、これにより第１及び第２集塵路１１，１２内におけるスムーズな集塵風の流れが確保され、ひいては当該集塵カバー３０の高い集塵効率をより一層確保しやすくなる。

　図１０には、第４実施形態の集塵カバー４０が示されている。第４実施形態の集塵カバー４０は、排出口１４に向けて第１集塵路１１の流路断面積が大きくなる構成を備える点で第３実施形態の集塵カバー３０とは異なっている。第４実施形態の集塵カバー４０では、第１集塵路１１を区画する外周側壁部（周囲部１０ｃ）の肉厚は、その流路途中において下流側ほど徐々に小さくなっている。集塵口１１ａ付近の肉厚ｄ０は、排出口１４付近では肉厚ｄ１（＜ｄ０）になっている。これにより、第１集塵路１１の流路断面積が下流側に至るほど大きくなっている。第１集塵路１１の流路断面積が下流側に至るほど大きくなることにより、排出口１４付近での流入抵抗が低減されることから、粉塵を含む風の流れがスムーズになる。このため、風力が低下する排出口１４付近においても風のスムーズな流れを確保して集塵袋９への集塵効率を確保することができる。

　図１１及び図１２には第５実施形態の集塵カバー５０が示されている。第５実施形態の集塵カバー５０は、第４実施形態と同じく排出口１４に向けて第１集塵路１１の流路断面積が大きくなる構成を備えている。但し、第５実施形態では、第１集塵路１１を区画する正面側の側壁部（正面部１０ａ）の肉厚が下流側に至るほど小さくなることにより流路断面積が大きくなる構成である点で第４実施形態とは異なっている。第５実施形態の場合、集塵口１１ａ付近の側壁部の肉厚ｄ２は、下流側に至るほど小さくなって排出口１４付近で肉厚ｄ３（＜ｄ２）となっている。係る構成によっても第１集塵路１１の流路断面積が下流側に至るほど大きくなることから、風力が低下する排出口１４付近での流入抵抗が低減され、これにより粉塵の集塵袋９へのスムーズな流入を確保して集塵効率を高めることができる。

　上記例示した第４、第５実施形態では、第１集塵路１１の流路断面積を下流側に至るほど小さくして排出口１４付近での流路抵抗を低減させる構成を例示したが、係る構成に代え若しくは加えて例えば集塵壁部１３の肉厚を小さくし、若しくは正面部１０ａの肉厚を小さくすることにより第２集塵路１２の流路断面積を下流側に至るほど大きくすることによっても下流側の流路抵抗を低減して集塵効率を高めることができる。

　図１０には、内部に遮蔽部９ｄを設けた集塵袋９が示されている。この遮蔽部９ｄは、当該集塵袋９の左右側壁部をなす布地を左右間で縫い合わせることにより設けることができる。図示するように遮蔽部９ｄは、集塵袋内部の上部（天板部）から下方へ張り出す状態に設けられている。また、遮蔽部９ｄは、下部側ほど奥部に至る方向に傾斜した状態に設けられている。この遮蔽部９ｄによれば、第１、第２集塵路１１，１２から風の流れに乗って流入した粉塵が吹き当てられる。遮蔽部９ｄに吹き当てられた粉塵のうち、主として重量の大きな粗い粉塵が下方へ落下して底部に堆積される。遮蔽部９ｄに吹き当てられた粉塵のうち、重量の小さな微細な粉塵は吹き当てられた風の流れに乗ってそのまま奥部に流れる。

　このように遮蔽部９ｄによれば、粗い粉塵と微細な粉塵を大まかに分けて集塵することができ、これにより当該集塵袋９（布地９ｃ）の目詰まりが抑制され、この点で当該集塵袋９ひいては当該集塵カバー４０の集塵効率を高めることができる。係る遮蔽部９ｄは、第４実施形態の集塵カバー４０に限らず、他の形態の集塵カバー１０，２０，３０，５０に接続する集塵袋９についても適用することができ、同様の作用効果を得ることができる。

　遮蔽部９ｄは、上記例示したように布地９ｃを左右間で縫い合わせて設ける構成とする他、遮蔽板をフレーム９ｂの天板部から下方へぶら下げて遮蔽部としてもよい。この場合遮蔽板は、前後に傾動可能に設けてもよいし、一定の傾斜角度に固定して設けてもよい。

　以上説明した各実施形態にはさらに変更を加えることができる。例えば、切断機１として主として石材やコンクリートの切断加工に用いるグラインダを例示したが、刃具として円形の鋸刃を備える主として木材切断用の丸鋸に例示した集塵カバーを適用することができる。この点は、後述する第６実施形態に係る集塵カバー６０についても同様である。

　また、周囲部１０ｃに沿って設けた集塵壁部１３の外周側を第１集塵路１１、内周側を第２集塵路１２とする構成を例示したが、集塵壁部１３の内周側に沿って補助集塵壁部を追加して、周囲部１０ｃと集塵壁部１３との間を第１集塵路１１とし、集塵壁部１３と補助集塵壁部との間を第２集塵路１２として、第２集塵路１２の内周側についても区画する構成としてもよい。

　また、集塵袋９の遮蔽部９ｄは省略してもよい。例示したように集塵袋９内に遮蔽部９ｄを設ける場合には、遮蔽部９ｄの後方（集塵袋９の奥側）に通気部材３１を接続することで粗い粉塵が集塵袋内で下方へ落下して底部に堆積されることにより、主として粗い粉塵が通気部材を経て集塵カバー内に戻されてしまうことを防止することができ、この点でも当該集塵カバーの集塵効率を高めることができる。

　また、当該集塵カバーの内部と外部を連通する吸気口として、刃具７の刃先に沿った円弧形状の吸気口２１を１つ設けた構成を例示したが、複数の吸気口を設けた構成としてもよく、その形状については円弧形の長溝孔（スリット形）ではなく、円形孔、角孔等その他の形状の吸気口を１つ若しくは複数設けた構成としてもよい。

　さらに、上記例示した吸気口２１及び通気部材３１については、第１及び第２集塵路１１，１２を有しない集塵カバーについて適用することができる。

　図１３～図１９には、前記第３実施形態の通気部材３１に変更を加えた第６実施形態に係る集塵カバー６０が示されている。この第６実施形態の集塵カバー６０も、図では見えていない背面側（使用者から見て左側面）のクランプ部を介して切断機１に取り付けられる。同様の部材及び構成については説明を省略する。第６実施形態の集塵カバー６０には、刃具７の交換作業の便宜を図るための開閉ドア６７が設けられている。開閉ドア６７は、集塵カバー６０の右側部の下側半分程度の領域を開閉可能に設けられている。開閉ドア６７を上方へ回動させて開放すると、スピンドル６に対する取り付け部周辺を含めて刃具７の下側半周程度の範囲が露出される。

　集塵カバー６０の上部には、排出口６３が後方へ突き出す状態に設けられている。排出口６３は、先端側が僅かに小径となるテーパ形の円筒形状を有している。この排出口６３には、樹脂製の袋結合部材７２を介して集塵袋７０が取り付けられている。集塵カバー６０と集塵袋７０との間には、通気部材７１が接続されている。集塵袋７０と通気部材７１は、集塵カバー６０の集塵効率を高めるための集塵補助ユニットを構成している。図１４に示すように集塵袋７０と通気部材７１は、集塵カバー６０に対して１セットで取り付け、取り外しされる。

　図１５に示すように集塵カバー６０の内部外周側には、第３実施形態と同じく集塵壁部６６が周囲部６０ａに沿って設けられている。集塵壁部６６と周囲部６０ａとの間に第１集塵路６１が設けられている。集塵壁部６６の内周側が第２集塵路６２とされている。刃具７の回転により切断部位Ｃから吹き上げられた粉塵のうち、比較的重量が大きな粗い粉塵が外周側の第１集塵路６１内に集塵され、比較的重量の小さな微細な粉塵が内周側の第２集塵路６２に沿って集塵される。第１及び第２集塵路６１，６２の下流側（後部側）は、排出口６３に至っている。排出口６３の内周側は、集塵壁部６６の後部側により上段側の第１集塵路６１と下段側の第２集塵路６２に区画されている。

　集塵袋７０の前部かつ上部に袋結合部材７２が取り付けられている。袋結合部材７２は、集塵袋７０の開口縁部を挟み込み若しくは接着して取り付けられている。図１６及び図１７に示すように袋接続部材７２の下部には、排出口６３を差し込むための差し込み口７２ａが設けられている。この差し込み口７２ａに排出口６３を差し込んで、当該袋接続部材７２ひいては集塵袋７０が排出口６３に結合される。

　袋接続部材７２の上部には、通気部材７１を挿通するための通気部材挿通孔７２ｂが設けられている。通気部材７１は、この通気部材挿通孔７２ｂを経て集塵袋７０の内部に差し込まれている。図１８に示すように通気部材７１の外周面には２つのシールリング７３が装着されている。この２つのシールリング７３が通気部材挿通孔７２ｂの内周面との間に挟み込まれて、当該通気部材７１が通気部材挿通孔７２ｂに対して気密に挿通されている。

　通気部材７１は、樹脂製のパイプ材で、その後端部側（差し込み先端側）は、集塵袋７０の奥部に延びている。通気部材７１の後部には、還流口７１ａが設けられている。還流口７１ａは、下方に向けて開口されている。図１３及び図１４に示すように、通気部材７１は、袋結合部材７２から後方へ延びる部分（直線部７１Ｓ）は、集塵袋７０の上部に沿って真っすぐに延びている。この直線部７１Ｓは、集塵袋７０を後方へ広げられた展張状態に保持する骨材として機能している。通気部材７１の直線部７１Ｓにより集塵袋７０が後方へ広げられた展張状態（吊り下げ支持状態）に保持されることにより、当該集塵袋７０の他部位への干渉が回避され、また空気がスムーズに流入されることによる高い集塵能力が維持される。

　通気部材７１の袋結合部材７２から前方へ延びる部分（湾曲部７１Ｃ）は、図示するように右方へ湾曲しながら集塵カバー６０の右側面に至っている。集塵カバー６０の右側面であって開閉ドア６７の上側には、吸気口６４が設けられている。通気部材７１の前端部に設けた接続部７１ｂがこの吸気口６４に差し込まれて、当該通気部材７１の前部が集塵カバー６０の右側面に接続されている。図１８に示すように通気部材７１の接続部７１ｂには、シールリング７４が装着されている。このシールリング７４により、通気部材７１の接続部７１ｂは、集塵カバー６０の吸気口６４に対して気密に接続されている。集塵袋７０内に吹き込んだ空気の一部がこの通気部材７１を経て集塵カバー６０内に還流される。このことから、通気部材７１は集塵袋７０の内部と集塵カバー６０の内部を、排出口６３とは別の経路で通気可能に連通する通気部材として機能する。

　図１４に示すように集塵カバー６０から集塵袋７０を取り外す際には、通気部材７１も集塵カバー６０から取り外される。このため、通気部材７１の接続部７１ｂが吸気口６４から取り外される。図１９に示すように通気部材７１の接続部７１ｂが取り外された吸気口６４にはゴム製のキャップ６５を気密に嵌め込んでおくことができる。空いた吸気口６４をキャップ６５で気密に塞いでおくことにより、集塵カバー６０内の集塵風及び粉塵の洩れが防止される。集塵カバー６０から集塵袋７０及び通気部材７１を取り外して、排出口６３に、例えば集塵機を接続して強制集塵を行うことができる。この際、吸気口６４はキャップで塞いでおくことができる。

　以上のように構成した第６実施形態の集塵カバー６０によれば、集塵袋７０内に吹き込んだ空気がこの通気部材７１を経て集塵カバー６０内に還流される。通気部材７１により集塵カバー６０内と集塵袋７０との間において空気が還流されることにより、集塵袋７０内の圧力上昇が抑制されることから切断部位Ｃから集塵袋７０内に至る風のスムーズな流れを確保することができ、これにより高い集塵効率が長時間にわたって維持される。

　特に、第６実施形態の集塵袋６０によれば、袋結合部材７２の差し込み口７２ａから排出口６３を引き抜き、かつ通気部材７１の接続部７１ｂを吸気口６４から外すことにより、集塵カバー６０から集塵袋７０及び通気部材７１を取り外すことができ、この点で当該集塵カバー６０及び集塵袋７０の高いメンテナンス性が確保される。

　また、第６実施形態の場合、第３実施形態とは異なって通気部材７１の直線部７１Ｓが集塵袋７０の上部内側に沿って配置される。この点、第３実施形態では、通気部材３１が集塵袋９の底部に沿って配置される。通気部材７１の還流口７１ａが集塵袋７０の奥部かつ上部に沿って配置されていることから、当該通気部材７１内へは主として微細な粉塵が還流される。

　さらに、集塵袋７０の上部内側に沿って通気部材７１の直線部７１Ｓが延びて当該直線部７１Ｓが集塵袋７０の骨材として機能することから、集塵袋７０を後方へ広げた展張状態（吊り下げ支持状態）を維持することができる。これにより作業中における集塵袋７０の被削材等に対する接触を回避することができる。また、通気部材７１の直線部７１Ｓが骨材として機能することから、集塵袋７０が後方へ広げられた展張状態に維持され、これにより粉塵を当該集塵袋７０内にスムーズに流入させて高い集塵効率を確保することができる。

　図では省略されているが、第６実施形態に係る集塵袋７０の内部に、前記遮蔽部９ｄと同様の遮蔽部を設ける構成としてもよい。係る遮蔽部により、主として粗い粉塵についてはより確実に集塵袋７０の底部に堆積させ、集塵袋７０内に吹き込んだ空気を還流口７１ａを経て集塵カバー６０側に還流させて集塵効率を一層高めることができる。

　また、前記通気部材３１と同じく第６実施形態に係る通気部材７１は、第１集塵路６１及び第２集塵路６２に区画された複数経路の集塵路を有しない集塵カバーについて適用することができる。

　さらに、第６実施形態に係る通気部材７１は、被切断材Ｗを切断するときに、図１３に示すように被切断材Ｗの上面に対して略平行に延在する。具体的には、通気部材７１は集塵カバー６０から離れるにつれて被切断材Ｗから離れるように延在する。

Claims

回転する円形の刃具を備えた切断機に用いる集塵カバーであって、
　前記刃具の周囲に沿って集塵壁部を設け、該集塵壁部により内周側と外周側に区画された２つの集塵路を備えた集塵カバー。
請求項１記載の集塵カバーであって、前記集塵壁部の上流側端部を、前記刃具の面直方向となる側面視で、前記刃具の刃先と当該集塵カバーの開口端との前側の交点を通る接線上に位置させて、該集塵壁部の上流側端部の外周側を前記外周側の集塵路の集塵口とし、該外周側の集塵路の集塵口の内周側に前記内周側の集塵路の集塵口を並列配置した集塵カバー。
請求項１又は２記載の集塵カバーであって、前記２つの集塵路の下流側端部に集塵袋を接続可能な排出口が設けられており、該排出口を前記刃具の回転中心よりも後方に位置させた集塵カバー。
請求項３記載の集塵カバーであって、前記排出口に向けて前記２つの集塵路の流路断面積が大きくなる構成とした集塵カバー。
請求項３又は４記載の集塵カバーであって、前記刃具の面方向に沿った側壁部を有し、該側壁部に、当該集塵カバーの外部と内部を連通する吸気口を有し、該吸気口は、前記側面視で当該刃具の径方向中間から外周縁の刃先に至る領域、かつ前記排出口よりも前側の領域に位置させた集塵カバー。
請求項５記載の集塵カバーであって、前記排出口に接続した集塵袋を前記吸気口に接続する通気部材を有する集塵カバー。
請求項５又は６記載の集塵カバーであって、前記吸気口の内側開口部に、流入した外気若しくは前記通気部材を経て流入する還流風を前記集塵路に案内する案内リブを有する集塵カバー。
請求項３～７の何れか１項に記載した集塵カバーであって、前記集塵袋の内部に、前記２つの集塵路から流入した粉塵の流れを阻害する遮蔽部を設けた集塵カバー。
請求項８記載の集塵カバーであって、前記集塵袋の両側壁部を相互に結合して前記遮蔽部とした集塵カバー。
回転する円形の刃具を有する切断機に取り付けられて前記刃具の周囲を覆う集塵カバーであって、
　前記刃具の回転により発生する切断粉を集塵する集塵路の下流側に設けた排出口に集塵袋を接続可能であり、前記集塵カバーの内部と前記集塵袋の内部とを通気可能に連通する通気部材を備えており、該通気部材に前記集塵袋を吊り下げて支持させる構成とした集塵カバー。
回転する円形の刃具を有する切断機に取り付けられて前記刃具の周囲を覆う集塵カバーに用いられる集塵補助ユニットであって、前記集塵カバーの排出口に接続される集塵袋と、前記集塵カバーの内部と前記集塵袋の内部とを通気可能に連通する通気部材を備えており、該通気部材に前記集塵袋を吊り下げて支持させる構成とした集塵補助ユニット。
回転する円形の刃具を有する切断機に取り付けられて前記刃具の周囲を覆う集塵カバーに用いる通気部材であって、
　前記集塵カバーは、前記刃具の回転により発生する切断粉を集塵する集塵路の下流側に排出口を備えており、該排出口には集塵袋を取り付け可能であり、前記集塵袋の内部と前記集塵カバーの内部とを通気可能に連通し、前記集塵袋を吊り下げて支持可能に構成された通気部材。
請求項１０～１２の何れか１項に記載した通気部材であって、前記集塵袋の内部に流入した空気を前記集塵カバーの内部に還流するための還流路を形成する通気部材。
請求項１０～１３の何れか１項に記載した通気部材であって、集塵袋の奥まで延在された通気部材。
請求項１４に記載した通気部材であって、パイプ材を素材とし、空気を吸入する還流口を前記集塵袋の奥側に有する通気部材。
請求項１～１５の何れか１項に記載した集塵カバーを備えた切断機。