WO2017033768A1 - 光電変換素子及び光電変換モジュール - Google Patents

光電変換素子及び光電変換モジュール Download PDF

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Abstract

光電変換素子(1)は、第1の表面(11a)と第1の表面(11a)と反対側の第2の表面(11b)とを有する半導体基板(11)と、半導体基板(11)の第1の表面(11a)上に設けられる複合誘電体層(16)とを備える。複合誘電体層(16)は、各々が窒化シリコンで形成された3層以上の誘電体層(16a,16b,16c)を含む。複合誘電体層(16)中の互いに隣接する一組の誘電体層の各々において、半導体基板(11)側に位置する一方の誘電体層は、半導体基板(11)側とは反対側に位置する他方の誘電体層よりも小さな、窒化シリコン中の窒素のモル分率を有する。そのため、光電変換素子(1)は、入射光に対してさらに低減された反射率を有するとともに、向上されたパッシベーション特性を有する。

Description

光電変換素子及び光電変換モジュール
 本出願は、2015年8月21日に出願された特願2015-163677号及び特願2015-163678号に対して、優先権の利益を主張するものであり、それを参照することにより、その内容のすべてを本書に含める。
 本発明の一態様は、光電変換素子及び光電変換モジュールに関する。
 太陽光などの光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換素子は、近年、地球環境問題の観点から、次世代のエネルギー源としての期待が高まっている。光の入射面に、第1の窒化シリコン層と第2の窒化シリコン層とからなる反射防止膜が設けられた光電変換素子が知られている(たとえば特許文献1参照)。
特開2002-270879号公報
 しかし、特許文献1に記載された光電変換素子は、入射光に対して十分に低い反射率を有しておらず、十分なパッシベーション特性を有していなかった。
 本発明の一態様は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、入射光に対してさらに低減された反射率を有するとともに、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子を提供することである。
 本発明の一態様の別の目的は、入射光に対してさらに低減された反射率を有するとともに、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子を備える光電変換モジュールを提供することである。
 本発明の第1の態様の光電変換素子は、第1の表面と第1の表面と反対側の第2の表面とを有する半導体基板と、半導体基板の第1の表面上に設けられる複合誘電体層とを備える。複合誘電体層は、各々が窒化シリコンで形成された3層以上の誘電体層を含む。複合誘電体層中の互いに隣接する一組の誘電体層の各々において、半導体基板側に位置する一方の誘電体層は、半導体基板側とは反対側に位置する他方の誘電体層よりも小さな、窒化シリコン中の窒素のモル分率を有する。
 本発明の第1の態様の光電変換モジュールは、以上述べた第1の態様の光電変換素子と、複合誘電体層上に設けられた封止層と、封止層上に設けられた透明部材とを備える。
 本発明の第2の態様の光電変換素子は、第1の表面と第1の表面と反対側の第2の表面とを有する半導体基板と、半導体基板の第1の表面上に設けられるとともに、窒化シリコンで形成された誘電体層とを備える。誘電体層のうち半導体基板に最も近い第1の部分は、誘電体層において最も小さな窒化シリコン中の窒素のモル分率を有する。誘電体層のうち半導体基板から最も遠い第2の部分は、誘電体層において最も大きな窒化シリコン中の窒素のモル分率を有する。誘電体層は、第1の部分と第2の部分との間に第1の領域を含む。第1の領域のうち半導体基板に最も近い第3の部分から第1の領域のうち半導体基板から最も遠い第4の部分に向かうにつれて、窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に増加する。
 本発明の第2の態様の光電変換モジュールは、以上述べた第2の態様の光電変換素子と、誘電体層上に設けられた封止層と、封止層上に設けられた透明部材とを備える。
 本発明の第1及び第2の態様の光電変換素子によれば、入射光に対してさらに低減された反射率を有するとともに、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 本発明の第1及び第2の態様の光電変換モジュールによれば、入射光に対してさらに低減された反射率を有するとともに、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子を備える光電変換モジュールが提供され得る。
実施の形態1に係る光電変換素子の概略断面図である。 実施の形態1に係る光電変換素子の複合誘電体層における、窒素のモル分率の変化を示す図である。 窒化シリコン中の窒素のモル分率に対する窒化シリコンの屈折率を示す図である。 実施の形態1に係る光電変換素子の複合誘電体層における、屈折率の変化を示す図である。 実施の形態1及び実施の形態3から実施の形態9に係る光電変換素子の製造方法における一工程を示す概略断面図である。 実施の形態1及び実施の形態3から実施の形態9に係る光電変換素子の製造方法における、図5に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態1及び実施の形態5から実施の形態7に係る光電変換素子の製造方法における、図6に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態1及び実施の形態5から実施の形態7に係る光電変換素子の製造方法における、図7に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態1及び実施の形態5から実施の形態7に係る光電変換素子の製造方法における、図8に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態1及び実施の形態5から実施の形態7に係る光電変換素子の製造方法における、図9に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態1及び実施の形態5から実施の形態7に係る光電変換素子の製造方法における、図10に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態1及び実施の形態5から実施の形態7に係る光電変換素子の製造方法における、図11に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態1に係る光電変換素子の製造方法における、図12に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態1に係る光電変換モジュールの概略断面図である。 実施の形態2に係る光電変換素子の概略断面図である。 実施の形態2に係る光電変換素子の複合誘電体層における、窒素のモル分率の変化を示す図である。 実施の形態2に係る光電変換素子の複合誘電体層における、屈折率の変化を示す図である。 実施の形態2に係る光電変換モジュールの概略断面図である。 実施の形態3に係る光電変換素子の概略断面図である。 実施の形態3及び実施の形態8に係る光電変換素子の製造方法における、図6に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態3及び実施の形態8に係る光電変換素子の製造方法における、図20に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態3及び実施の形態8に係る光電変換素子の製造方法における、図21に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態3及び実施の形態8に係る光電変換素子の製造方法における、図22に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態3及び実施の形態8に係る光電変換素子の製造方法における、図23に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態3及び実施の形態8に係る光電変換素子の製造方法における、図24に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態3及び実施の形態8に係る光電変換素子の製造方法における、図25に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態3に係る光電変換素子の製造方法における、図26に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態3に係る光電変換素子の製造方法における、図27に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態3に係る光電変換モジュールの概略断面図である。 実施の形態4に係る光電変換素子の概略断面図である。 実施の形態4及び実施の形態9に係る光電変換素子の製造方法における、図6に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態4及び実施の形態9に係る光電変換素子の製造方法における、図31に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態4に係る光電変換素子の製造方法における、図32に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態4に係る光電変換素子の製造方法における、図33に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態4に係る光電変換モジュールの概略断面図である。 実施の形態5に係る光電変換素子の概略断面図である。 実施の形態5に係る光電変換素子の誘電体層における、窒化シリコン中の窒素のモル分率の変化を示す図である。 実施の形態5に係る光電変換素子の誘電体層における、屈折率の変化を示す図である。 実施の形態5から実施の形態7に係る光電変換素子の製造方法における、図12に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態5から実施の形態7に係る光電変換モジュールの概略断面図である。 実施の形態6に係る光電変換素子の誘電体層における、窒化シリコン中の窒素のモル分率の変化を示す図である。 実施の形態6に係る光電変換素子の誘電体層における、屈折率の変化を示す図である。 実施の形態7に係る光電変換素子の誘電体層における、窒化シリコン中の窒素のモル分率の変化を示す図である。 実施の形態7に係る光電変換素子の誘電体層における、屈折率の変化を示す図である。 実施の形態8に係る光電変換素子の概略断面図である。 実施の形態8に係る光電変換素子の製造方法における、図26に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態8に係る光電変換素子の製造方法における、図46に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態8に係る光電変換モジュールの概略断面図である。 実施の形態9に係る光電変換素子の概略断面図である。 実施の形態9に係る光電変換素子の製造方法における、図32に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態9に係る光電変換素子の製造方法における、図50に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 実施の形態9に係る光電変換モジュールの概略断面図である。
 (実施の形態1)
 図1を参照して、実施の形態1に係る光電変換素子1を説明する。本実施の形態の光電変換素子1は、ヘテロ接合型バックコンタクト光電変換素子である。本実施の形態の光電変換素子1は、半導体基板11と、第1の非晶質半導体層13と、第2の非晶質半導体層15と、複合誘電体層16と、第1の電極17と、第2の電極18とを主に備える。
 半導体基板11は、n型またはp型の半導体基板であってもよい。本実施の形態では、半導体基板11として、n型単結晶シリコン基板が用いられている。半導体基板11は、第1の表面11aと、第1の表面11aと反対側の第2の表面11bとを有する。半導体基板11の第1の表面11aは、光の入射面である。半導体基板11の第2の表面11bは、光の入射面である第1の表面11aと反対側の裏面である。
 半導体基板11は、第1の表面11aに凹凸構造を有してもよい。光の入射面である半導体基板11の第1の表面11a上に凹凸構造を設けることによって、半導体基板11の第1の表面11aにおいて入射光が反射されることが抑制され得て、より多くの光が光電変換素子1内に入射され得る。光電変換素子1において光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 半導体基板11の第1の表面11aの上に、複合誘電体層16が設けられる。複合誘電体層16は、各々が窒化シリコンで形成された3層以上の誘電体層を含む。本実施の形態の光電変換素子1では、複合誘電体層16は、y1の窒素のモル分率を有する窒化シリコン(Si1-y1y1)で形成された第1の誘電体層16aと、y2の窒素のモル分率を有する窒化シリコン(Si1-y2y2)で形成された第2の誘電体層16bと、y3の窒素のモル分率を有する窒化シリコン(Si1-y3y3)で形成された第3の誘電体層16cとを含む。第1の誘電体層16aと、第2の誘電体層16bと、第3の誘電体層16cとは、複合誘電体層16の厚さ方向に積層されている。
 複合誘電体層16中の互いに隣接する一組の誘電体層の各々において、半導体基板11側に位置する一方の誘電体層は、半導体基板11側とは反対側に位置する他方の誘電体層よりも小さな、窒化シリコン中の窒素のモル分率を有する。特定的には、第1の誘電体層16aと第3の誘電体層16cとは、互いに隣接する一組の誘電体層である。第1の誘電体層16aは、第3の誘電体層16cよりも半導体基板11側に位置する。図2を参照して、第1の誘電体層16aは、第3の誘電体層16cよりも小さな窒素のモル分率を有する。第2の誘電体層16bと第3の誘電体層16cとは、互いに隣接する一組の誘電体層である。第3の誘電体層16cは、第2の誘電体層16bよりも半導体基板11側に位置する。図2を参照して、第3の誘電体層16cは、第2の誘電体層16bよりも小さな窒素のモル分率を有する。複合誘電体層16中の窒素のモル分率は、半導体基板11に近づくにつれて階段状に減少する。
 複合誘電体層16のうち半導体基板11に最も近い第1の誘電体層16aにおける窒素のモル分率y1は、0.03より大きく0.20以下、好ましくは、0.05以上0.17以下、より好ましくは0.075以上0.1以下であってもよい。複合誘電体層16のうち半導体基板11から最も遠い第2の誘電体層16bにおける窒素のモル分率y2は、0.38以上、好ましくは0.38以上0.44以下、より好ましくは0.38以上0.42以下、さらにより好ましくは0.38以上0.40以下であってもよい。第3の誘電体層16cにおける窒素のモル分率y3は、0.20よりも大きく0.38よりも小さくてもよい。複合誘電体層16中の窒素のモル分率は、ラザフォード後方散乱分光法(RBS)、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法または二次イオン質量分析法(SIMS)によって測定され得る。
 図3を参照して、窒化シリコンにおける窒素のモル分率が減少するにつれて、窒化シリコンの屈折率は増加する。本実施の形態では、第1の誘電体層16aは、第3の誘電体層16cよりも小さな窒素のモル分率を有するため、第1の誘電体層16aは、第3の誘電体層16cよりも大きな屈折率を有する(図4を参照)。第3の誘電体層16cは、第2の誘電体層16bよりも小さな窒素のモル分率を有するため、第3の誘電体層16cは、第2の誘電体層16bよりも大きな屈折率を有する(図4を参照)。複合誘電体層16中の屈折率は、半導体基板11に近づくにつれて階段状に増加する(図4を参照)。
 複合誘電体層16のうち半導体基板11に最も近い第1の誘電体層16aの屈折率n1は、半導体基板11の屈折率よりも小さくてもよい。複合誘電体層16のうち半導体基板11に最も近い第1の誘電体層16aの屈折率n1を最も大きくすることによって、複合誘電体層16のうち半導体基板11に最も近い第1の誘電体層16aの屈折率n1が、半導体基板11の屈折率に近づき得る。複合誘電体層16の第1の誘電体層16aと半導体基板11の第1の表面11aとの界面において、光電変換素子1に入射する光が反射することが抑制され得る。
 第1の誘電体層16aの屈折率n1は、3.0以上4.0以下、より好ましくは、3.2以上3.9以下、さらに好ましくは3.6以上3.7以下であってもよい。複合誘電体層16のうち半導体基板11から最も遠い第2の誘電体層16bの屈折率n2は、第2の誘電体層16bに接する、光電変換素子1の周囲に存在する物質の屈折率よりも大きくてもよい。複合誘電体層16のうち半導体基板11から最も遠い第2の誘電体層16bの屈折率n2を最も小さくすることによって、複合誘電体層16のうち半導体基板11から最も遠い第2の誘電体層16bの屈折率が、光電変換素子1の周囲に存在する物質の屈折率に近づき得る。複合誘電体層16の第2の誘電体層16bと光電変換素子1の周囲に存在する物質との界面において、光電変換素子1に入射する光が反射することが抑制され得る。
 第2の誘電体層16bの屈折率n2は、2.0以下、好ましくは1.7以上2.0以下、より好ましくは1.8以上2.0以下、さらにより好ましくは1.9以上2.0以下であってもよい。第3の誘電体層16cの屈折率n3は、2.0よりも大きく3.0よりも小さくてもよい。
 複合誘電体層16のうち半導体基板11に最も近い第1の誘電体層16aの厚さは、複合誘電体層16に含まれる他の各誘電体層(第2の誘電体層16b、第3の誘電体層16c)の厚さよりも薄くてもよい。第1の誘電体層16aは、1nm以上15nm以下の厚さを有してもよい。第2の誘電体層16bは、20nm以上40nm以下の厚さを有してもよい。第3の誘電体層16cは、20nm以上40nm以下の厚さを有してもよい。
 半導体基板11の裏面である第2の表面11b上に、第1の非晶質半導体層13が設けられている。第1の非晶質半導体層13は、第1の導電型を有する。第1の非晶質半導体層13は、n型またはp型の非晶質半導体層であり得る。本実施の形態では、第1の非晶質半導体層13として、p型の非晶質シリコン層が用いられている。第1の非晶質半導体層13は、図1の紙面垂直方向に延在してもよい。本明細書において「非晶質半導体」は、半導体を構成する原子の未結合手(ダングリングボンド)が水素で終端されていない非晶質半導体だけでなく、水素化非晶質シリコンなどの半導体を構成する原子の未結合手が水素で終端された非晶質半導体も含む。第1の非晶質半導体層13は、図1の紙面垂直方向に延在してもよい。
 半導体基板11の第2の表面11b上に、第1の電極17が設けられる。特定的には、第1の非晶質半導体層13上に、第1の電極17が設けられる。第1の電極17は、図1の紙面垂直方向に延在してもよい。第1の電極17は、第1の非晶質半導体層13と電気的に接続されている。第1の電極17として、金属電極が例示され得る。本実施の形態では、第1の電極17として、銀(Ag)が用いられている。本実施の形態では、第1の電極17は、p型電極であってもよい。
 半導体基板11の第2の表面11b上に、第2の非晶質半導体層15が設けられている。第2の非晶質半導体層15は、第1の非晶質半導体層13が有する第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する。第2の非晶質半導体層15は、n型またはp型の非晶質半導体層であり得る。本実施の形態では、第2の非晶質半導体層15として、n型の非晶質シリコン層が用いられている。第2の非晶質半導体層15は、図1の紙面垂直方向に延在してもよい。第2の非晶質半導体層15の縁部は、第1の非晶質半導体層13の縁部を覆い、第1の非晶質半導体層13の縁部上に積層されてもよい。
 半導体基板11の第2の表面11b上に、第2の電極18が設けられる。特定的には、第2の非晶質半導体層15上に、第2の電極18が設けられる。第2の電極18は、図1の紙面垂直方向に延在してもよい。第2の電極18は、第2の非晶質半導体層15と電気的に接続されている。第2の電極18として、金属電極が例示され得る。本実施の形態では、第2の電極18として、銀(Ag)が用いられている。本実施の形態では、第2の電極18は、n型電極であってもよい。
 半導体基板11と第1の非晶質半導体層13との間に、第1のi型非晶質半導体層12が設けられてもよい。半導体基板11と第2の非晶質半導体層15との間に、第2のi型非晶質半導体層14が設けられてもよい。第1のi型非晶質半導体層12及び第2のi型非晶質半導体層14は、半導体基板11の第1の表面11a側から入射する光によって半導体基板11内に生成されたキャリアが半導体基板11の第2の表面11bにおいて再結合することが抑制され得る。本明細書において「i型半導体」は、完全な真性の半導体だけでなく、十分に低濃度(n型不純物濃度が1×1015個/cm3未満、かつp型不純物濃度が1×1015個/cm3未満)のn型またはp型の不純物が混入された半導体も含む。本実施の形態では、第1のi型非晶質半導体層12及び第2のi型非晶質半導体層14として、i型の非晶質シリコン層が用いられている。
 本実施の形態の光電変換素子1では、第2のi型非晶質半導体層14の縁部と第2の非晶質半導体層15の縁部とは、第1のi型非晶質半導体層12の縁部と第1の非晶質半導体層13の縁部を覆い、第1のi型非晶質半導体層12の縁部及び第1の非晶質半導体層13の縁部上に積層されてもよい。第1の導電型を有する第1の非晶質半導体層13と第2の導電型を有する第2の非晶質半導体層15とは、第2のi型非晶質半導体層14によって分離されており、互いに接していない。そのため、本実施の形態の光電変換素子1は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 第1のi型非晶質半導体層12及び第2のi型非晶質半導体層14が形成されない場合には、半導体基板11は、第1の非晶質半導体層13及び第2の非晶質半導体層15と接してもよい。第1のi型非晶質半導体層12及び第2のi型非晶質半導体層14が形成される場合には、半導体基板11は、第1のi型非晶質半導体層12及び第2のi型非晶質半導体層14と接してもよい。本実施の形態の光電変換素子1では、半導体基板11と非晶質半導体層(第1の非晶質半導体層13及び第2の非晶質半導体層15、または、第1のi型非晶質半導体層12及び第2のi型非晶質半導体層14)とがヘテロ接合する。そのため、本実施の形態の光電変換素子1は、向上されたパッシベーション特性と高い開放電圧VOCとを有する。
 図5から図13を参照して、本実施の形態の光電変換素子1の製造方法の一例について以下説明する。
 図5を参照して、第1の表面11aと第1の表面11aと反対側の第2の表面11bとを有する半導体基板11が用意される。図6を参照して、半導体基板11の第1の表面11aに凹凸構造が形成される。例えば、n型単結晶シリコン基板である半導体基板11の第1の表面11aを水酸化カリウム(KOH)を用いて異方性的にエッチングすることによって、半導体基板11の第1の表面11aに凹凸構造が形成されてもよい。
 図7を参照して、半導体基板11の第2の表面11b上に、第1の導電型を有する第1の非晶質半導体層13が形成される。半導体基板11と第1の非晶質半導体層13との間に第1のi型非晶質半導体層12を備える光電変換素子1を製造する場合には、第1の非晶質半導体層13を形成する前に、半導体基板11の第2の表面11b上に第1のi型非晶質半導体層12が形成され、それから、第1のi型非晶質半導体層12上に第1の非晶質半導体層13が形成されてもよい。第1のi型非晶質半導体層12及び第1の導電型を有する第1の非晶質半導体層13の形成方法は、特に限定されないが、たとえばプラズマ化学的気相堆積(CVD)法であり得る。
 図8を参照して、第1の非晶質半導体層13の一部の上に、第1の非晶質半導体層13をエッチングすることができる成分を含有するエッチングペースト21が形成される。第1のi型非晶質半導体層12を備える光電変換素子1を製造する場合には、エッチングペースト21は、第1の非晶質半導体層13及び第1のi型非晶質半導体層12をエッチングすることができる成分を含有する。エッチングペースト21は、スクリーン印刷法などによって、第1の非晶質半導体層13上に形成されてもよい。エッチングペースト21に含まれる、第1の非晶質半導体層13及び第1のi型非晶質半導体層12をエッチングすることができる成分として、リン酸が例示され得る。エッチングペースト21は、さらに、水、有機溶媒および増粘剤を含んでもよい。
 図9を参照して、エッチングペースト21を用いて、第1の非晶質半導体層13の一部が除去される。第1のi型非晶質半導体層12を備える光電変換素子1を製造する場合には、エッチングペースト21を用いて、第1の非晶質半導体層13及び第1のi型非晶質半導体層12の一部が除去される。より特定的には、エッチングペースト21が形成された半導体基板11に加熱処理を施して、半導体基板11の第2の表面11b上の第1の非晶質半導体層13及び第1のi型非晶質半導体層12のうちエッチングペースト21が形成された部分が除去されてもよい。加熱処理の温度は200℃以上400℃以下であることが好ましい。
 加熱処理の温度が200℃未満である場合には、第1の非晶質半導体層13及び第1のi型非晶質半導体層12が不十分にエッチングされて、第1の非晶質半導体層13及び第1のi型非晶質半導体層12が残ってしまう可能性がある。加熱処理の温度が400℃を超える場合には、エッチングペースト21が半導体基板11の第2の表面11bに焦げ付いて、加熱処理の後の工程において、エッチングペースト21を半導体基板11の第2の表面11bから完全に除去することが困難になるおそれがある。
 本実施の形態の光電変換素子1の製造方法では、エッチングペースト21に含まれる、第1の非晶質半導体層13及び第1のi型非晶質半導体層12をエッチングする成分として、リン酸が用いられている。リン酸は、常温及び加熱処理の温度においても、気化しにくい。そのため、エッチングペースト21が形成された部分以外の第1の非晶質半導体層13及び第1のi型非晶質半導体層12がエッチングされることを防ぐことができる。エッチングペースト21を用いることによって、フォトリソグラフィ工程と同程度に高い精度で、第1の非晶質半導体層13及び第1のi型非晶質半導体層12がパターニングされ得る。エッチングペースト21は印刷等の方法によって第1の非晶質半導体層13上に形成され得るため、フォトリソグラフィ工程よりも安価に光電変換素子1が製造され得る。加熱処理の後、半導体基板11の第2の表面11bを洗浄することによって、エッチングペースト21が除去される。このようにして、第1の非晶質半導体層13及び第1のi型非晶質半導体層12の一部が除去されて、半導体基板11の第2の表面11bの一部が露出する。
 図10を参照して、第1の非晶質半導体層13上と、第1の非晶質半導体層13が除去された半導体基板11の第2の表面11b上とに、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の非晶質半導体層15が形成される。半導体基板11と第2の非晶質半導体層15との間に第2のi型非晶質半導体層14を備える光電変換素子1を製造する場合には、第2の非晶質半導体層15を形成する前に、第1の非晶質半導体層13上と、第1の非晶質半導体層13が除去された半導体基板11の第2の表面11b上とに、第2のi型非晶質半導体層14が形成され、それから、第2のi型非晶質半導体層14上に第2の非晶質半導体層15が形成されてもよい。第2のi型非晶質半導体層14及び第2の導電型を有する第2の非晶質半導体層15の形成方法は、特に限定されないが、たとえばプラズマ化学的気相堆積(CVD)法であり得る。
 図11及び図12を参照して、第2の非晶質半導体層15の一部を除去する。第2のi型非晶質半導体層14を備える光電変換素子1を製造する場合には、第2の非晶質半導体層15及び第2のi型非晶質半導体層14の一部が除去される。具体的には、図11を参照して、第2の非晶質半導体層15の一部の上に、エッチングマスク23が形成される。エッチングマスク23は、図9に示される半導体基板11が露出した部分上と、第1の非晶質半導体層13の縁部上とに設けられる。エッチングマスク23は、マスキングペーストを塗布する方法などによって、第2の非晶質半導体層15の一部の上に形成されてもよい。図12を参照して、エッチングマスク23によって覆われていない領域にある、第2の非晶質半導体層15及び第2のi型非晶質半導体層14は、ドライエッチングまたはウエットエッチングなどの方法によって除去される。エッチングマスク23が除去されて、第2の非晶質半導体層15の表面が露出する。
 図13を参照して、半導体基板11の第1の表面11a上に、各々が窒化シリコンで形成された3層以上の誘電体層(第1の誘電体層16a、第2の誘電体層16b、第3の誘電体層16c)を含む複合誘電体層16が形成される。具体的には、半導体基板11の第1の表面11a上に、第1の誘電体層16a、第3の誘電体層16c及び第2の誘電体層16bをこの順に形成する。複合誘電体層16の形成方法は、特に限定されないが、たとえばプラズマ化学的気相堆積(CVD)法であり得る。第1の誘電体層16aは、第3の誘電体層16cよりも小さな窒素のモル分率を有し、第3の誘電体層16cは、第2の誘電体層16bよりも小さな窒素のモル分率を有する(図2を参照)。例えば、プラズマ化学的気相堆積(CVD)法において、シランガスの流量と、アンモニアまたは窒素のガスの流量との比率を変化させることによって、第1の誘電体層16a、第2の誘電体層16b及び第3の誘電体層16cの間で窒素のモル分率を異ならせることができる。
 それから、半導体基板11の第2の表面11b上に、第1の非晶質半導体層13と電気的に接続される第1の電極17が設けられる。より特定的には、第1の非晶質半導体層13上に第1の電極17が設けられる。半導体基板11の第2の表面11b上に、第2の非晶質半導体層15と電気的に接続される第2の電極18が設けられる。より特定的には、第2の非晶質半導体層15上に第2の電極18が設けられる。こうして、図1に示される本実施の形態の光電変換素子1が製造され得る。
 図14を参照して、実施の形態1に係る光電変換モジュール2を説明する。
 本実施の形態の光電変換モジュール2は、光電変換素子1と、封止層26と、透明部材28とを主に備える。
 封止層26は、光電変換素子1を封止するために、複合誘電体層16上に設けられる。光電変換素子1にできるだけ多くの光を入射させるために、封止層26は高い光透過率を有することが好ましい。封止層26に用いられる材料として、エチレン酢酸ビニル(EVA)が例示され得る。封止層26の屈折率は、複合誘電体層16のうち半導体基板11から最も遠い第2の誘電体層16bの屈折率n2よりも小さくてもよい。
 光電変換素子1側とは反対側の封止層26の表面に、透明部材28が設けられる。光電変換素子1にできるだけ多くの光を入射させるために、透明部材28は高い光透過率を有することが好ましい。透明部材28は、周囲の環境や衝撃などから光電変換素子1を保護してもよい。透明部材28は、板状であってもよいし、シート状であってもよい。透明部材28として、ガラス板が例示され得る。透明部材28の屈折率は、封止層26の屈折率よりも小さくてもよい。
 本実施の形態の光電変換素子1及び光電変換モジュール2の効果を説明する。
 本実施の形態の光電変換素子1は、第1の表面11aと第1の表面11aと反対側の第2の表面11bとを有する半導体基板11と、半導体基板11の第1の表面11a上に設けられる複合誘電体層16とを備える。複合誘電体層16は、各々が窒化シリコンで形成された3層以上の誘電体層(第1の誘電体層16a、第2の誘電体層16b、第3の誘電体層16c)を含む。本実施の形態の光電変換素子1は、さらに、第1の電極17と、第2の電極18とを備える。複合誘電体層16中の互いに隣接する一組の誘電体層の各々において、半導体基板11側に位置する一方の誘電体層は、半導体基板11側とは反対側に位置する他方の誘電体層よりも小さな、窒化シリコン中の窒素のモル分率を有する。
 本実施の形態の光電変換素子1は、3層以上の誘電体層(第1の誘電体層16a、第2の誘電体層16b、第3の誘電体層16c)を含む複合誘電体層16を備えている。本実施の形態の光電変換素子1は、2層以下の誘電体層を備える比較例の光電変換素子よりも多くの層数の誘電体層を、半導体基板11の第1の表面11a上に備える。本実施の形態の光電変換素子1では、互いに隣接する2つの誘電体層の間の屈折率差を小さくすることができる。本実施の形態の光電変換素子1は、入射光に対してさらに低減された反射率を有し、光電変換素子1において光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 複合誘電体層16を備える本実施の形態の光電変換素子1は、半導体基板11の第1の表面11a上に、2層以下の誘電体層を備える比較例の光電変換素子よりも多くの層数の窒化シリコンで形成された誘電体層を備える。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1に、3.0以上の屈折率を有する窒化シリコンの単層膜が有するキャリアの捕獲断面積と、3.0以上の屈折率を有する窒化シリコン層と2.0以下の屈折率を有する窒化シリコン層とからなる二層膜が有するキャリアの捕獲断面積とを示す。キャリアの捕獲断面積は、深準位過渡分光(DLTS)法により測定される。二層膜の総厚さは、単層膜の厚さと同じである。表1を参照して、シリコン基板上に積層される窒化シリコン層の層数を増やすと、キャリアの捕獲断面積が減少する。そのため、シリコン基板上に積層される窒化シリコン層の層数を増やすと、窒化シリコン層のパッシベーション特性が向上することが分かる。本実施の形態の光電変換素子1によれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 複合誘電体層16を備える本実施の形態の光電変換素子1は、半導体基板11の第1の表面11aの近くに、2層以下の誘電体層を備える比較例の光電変換素子よりも多くの層数の、小さな窒素のモル分率を有する窒化シリコンで形成された誘電体層を備え得る。窒化シリコンは、窒素のモル分率が減少するとパッシベーション特性が向上するという性質を有する。複合誘電体層16を備える本実施の形態の光電変換素子1では、半導体基板11の第1の表面11aの近くに、高いパッシベーション特性を有する窒化シリコン層がより大きな厚さで形成され得る。本実施の形態の光電変換素子1によれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 複合誘電体層16を備える本実施の形態の光電変換素子1は、2層以下の誘電体層を備える比較例の光電変換素子よりも、互いに隣接する2つの誘電体層の間の屈折率差を小さくすることができる。第1の誘電体層16aの屈折率n1を高くして、複合誘電体層16のうち半導体基板11に最も近い第1の誘電体層16aの屈折率n1と、複合誘電体層16のうち半導体基板11から最も遠い第2の誘電体層16bの屈折率n2との差が大きくなっても、入射光に対する光電変換素子1の反射率が低くなり得る。
 複合誘電体層16を備える本実施の形態の光電変換素子1では、互いに隣接する2つの誘電体層の間の屈折率差を小さくすることができるため、入射光に対する光電変換素子1の反射率を大きく増加させることなく、複合誘電体層16のうち半導体基板11に最も近い第1の誘電体層16aの窒化シリコン中の窒素のモル分率y1が低くなり得る。窒化シリコンは、窒素のモル分率が減少するとパッシベーション特性が向上するという性質を有する。複合誘電体層16を備える本実施の形態の光電変換素子1では、半導体基板11の第1の表面11aの近くに、高いパッシベーション特性を有する窒化シリコン層が形成され得る。本実施の形態の光電変換素子1によれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 本実施の形態の光電変換素子1では、複合誘電体層16中の窒素のモル分率は、半導体基板11に近づくにつれて、階段状に減少してもよい。本実施の形態の光電変換素子1では、互いに隣接する2つの誘電体層の間の屈折率差を小さくすることができる。本実施の形態の光電変換素子1は、入射光に対してさらに低減された反射率を有し、光電変換素子1において光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 複合誘電体層16を備える本実施の形態の光電変換素子1は、多くの層数の窒化シリコンで形成された誘電体層を備える。基板上に積層される窒化シリコン層の層数を増やすと、窒化シリコン層のパッシベーション特性が向上する。本実施の形態の光電変換素子1によれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。本実施の形態の光電変換素子1では、半導体基板11の第1の表面11aの近くに、高いパッシベーション特性を有する窒化シリコン層がより大きな厚さで形成され得る。本実施の形態の光電変換素子1によれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 本実施の形態の光電変換素子1では、互いに隣接する2つの誘電体層の間の屈折率差を小さくすることができるため、入射光に対する光電変換素子1の反射率を大きく増加させることなく、複合誘電体層16のうち半導体基板11に最も近い第1の誘電体層16aの窒化シリコン中の窒素のモル分率y1が低くなり得る。本実施の形態の光電変換素子1では、半導体基板11の第1の表面11aの近くに、高いパッシベーション特性を有する窒化シリコン層が形成され得る。本実施の形態の光電変換素子1によれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 本実施の形態の光電変換素子1では、複合誘電体層16のうち半導体基板11に最も近い第1の誘電体層16aにおける窒素のモル分率y1は、0.20以下であってもよい。第1の誘電体層16aにおける、窒化シリコン中の窒素のモル分率y1を0.20以下とすることによって、第1の誘電体層16aの屈折率が、半導体基板11の屈折率に近づき得る。第1の誘電体層16aと半導体基板11との界面において、光電変換素子1に入射する光が反射することが抑制され得る。本実施の形態の光電変換素子1は、入射光に対してさらに低減された反射率を有し、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率をさらに向上させることができる。
 また、窒化シリコンは、窒素のモル分率が減少するとパッシベーション特性が向上するという性質を有する。複合誘電体層16のうち半導体基板11に最も近い第1の誘電体層16aにおける窒素のモル分率y1を0.20以下とすることによって、光電変換素子1のパッシベーション特性がさらに向上され得る。本実施の形態の光電変換素子1によれば、さらに向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 本実施の形態の光電変換素子1では、第1の誘電体層16aの厚さは、複合誘電体層16に含まれる他の各誘電体層(第2の誘電体層16b、第3の誘電体層16c)の厚さよりも薄くてもよい。窒化シリコンは、窒化シリコンにおける窒素のモル分率が減少するにつれて、窒化シリコンのエネルギーギャップが小さくなるという性質を有する。複合誘電体層16のうち、最も低い窒素のモル分率を有する第1の誘電体層16aが、光電変換素子1への入射光を最も吸収しやすい。第1の誘電体層16aの厚さを、複合誘電体層16に含まれる他の各誘電体層(第2の誘電体層16b、第3の誘電体層16c)の厚さよりも薄くすることによって、光電変換素子1への入射光が複合誘電体層16で吸収されることが抑制され得て、より多くの光が光電変換素子1内に入射され得る。本実施の形態の光電変換素子1は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 複合誘電体層16のうち半導体基板11に最も近い第1の誘電体層16aは、1nm以上15nm以下の厚さを有してもよい。複合誘電体層16の第1の誘電体層16aが1nm以上の厚さを有するため、本実施の形態の光電変換素子1のパッシベーション特性がさらに向上され得る。また、窒化シリコンは、窒化シリコンにおける窒素のモル分率が減少するにつれて、窒化シリコンのエネルギーギャップが小さくなるという性質を有する。複合誘電体層16のうち、最も低い窒素のモル分率を有する第1の誘電体層16aが、光電変換素子1への入射光を最も吸収しやすい。複合誘電体層16の第1の誘電体層16aの厚さを15nm以下とすることによって、光電変換素子1への入射光が複合誘電体層16で吸収されることが抑制され得て、より多くの光が光電変換素子1内に入射され得る。
 本実施の形態の光電変換素子1では、複合誘電体層16のうち半導体基板11から最も遠い第2の誘電体層16bにおける窒素のモル分率y3は、0.38以上であってもよい。第2の誘電体層16bにおける窒素のモル分率y1を0.38以上とすることによって、第2の誘電体層16bの屈折率が、光電変換素子1の周囲に存在する物質の屈折率に近づき得る。第2の誘電体層16bと光電変換素子1の周囲に存在する物質との界面において、光電変換素子1に入射する光が反射することが抑制され得る。本実施の形態の光電変換素子1は、入射光に対してさらに低減された反射率を有し、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率をさらに向上させることができる。
 本実施の形態の光電変換素子1は、半導体基板11の第2の表面11b上に設けられるとともに第1の導電型を有する第1の非晶質半導体層13と、半導体基板11の第2の表面11b上に設けられるとともに第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の非晶質半導体層15とをさらに備えてもよい。第1の電極17は、半導体基板11の第2の表面11b上に設けられてもよく、第1の非晶質半導体層13と電気的に接続されてもよい。第2の電極18は、半導体基板11の第2の表面11b上に設けられてもよく、第2の非晶質半導体層15と電気的に接続されてもよい。
 本実施の形態の光電変換素子1では、第1の電極17及び第2の電極18は、光の入射面である半導体基板11の第1の表面11a側に設けられていない。光電変換素子1に入射する光が第1の電極17及び第2の電極18によって遮られない。本実施の形態の光電変換素子1によれば、高い短絡電流JSCが得られ、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 また、本実施の形態の光電変換素子1では、半導体基板11は、非晶質半導体層(第1の非晶質半導体層13及び第2の非晶質半導体層15)と接してもよい。そのため、半導体基板11の第1の表面11a側から入射する光によって半導体基板11内に生成されたキャリアが半導体基板11の第2の表面11bにおいて再結合することが低減され得る。本実施の形態の光電変換素子1によれば、さらに向上されたパッシベーション特性と高い開放電圧VOCとを有する光電変換素子が提供され得る。
 本実施の形態の光電変換素子1は、半導体基板11と第1の非晶質半導体層13との間に第1のi型非晶質半導体層12をさらに備えてもよい。本実施の形態の光電変換素子1では、半導体基板11は、非晶質半導体層(第1のi型非晶質半導体層12)と接してもよい。そのため、半導体基板11の第1の表面11a側から入射する光によって半導体基板11内に生成されたキャリアが半導体基板11の第2の表面11bにおいて再結合することが低減され得る。本実施の形態の光電変換素子1によれば、さらに向上されたパッシベーション特性と高い開放電圧VOCとを有する光電変換素子が提供され得る。
 本実施の形態の光電変換素子1は、半導体基板11と第2の非晶質半導体層15との間に第2のi型非晶質半導体層14をさらに備えてもよい。本実施の形態の光電変換素子1では、半導体基板11は、非晶質半導体層(第2のi型非晶質半導体層14)と接してもよい。そのため、半導体基板11の第1の表面11a側から入射する光によって半導体基板11内に生成されたキャリアが半導体基板11の第2の表面11bにおいて再結合することが低減され得る。本実施の形態の光電変換素子1によれば、さらに向上されたパッシベーション特性と高い開放電圧VOCとを有する光電変換素子が提供され得る。
 また、本実施の形態の光電変換素子1では、第1の非晶質半導体層13と第2の非晶質半導体層15とは、第2のi型非晶質半導体層14によって分離されてもよく、第1の非晶質半導体層13は第2の非晶質半導体層15に接しなくてもよい。そのため、本実施の形態の光電変換素子1によれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 本実施の形態の光電変換素子1では、半導体基板11の第1の表面11aに、第1の表面11aにおける光反射率を低下させる凹凸構造が設けられてもよい。光の入射面である半導体基板11の第1の表面11a上に凹凸構造を設けることによって、より多くの光が光電変換素子1内に入射され得る。本実施の形態の光電変換素子1によれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 本実施の形態の光電変換モジュール2は、光電変換素子1と、光電変換素子1の複合誘電体層16上に設けられた封止層26と、封止層26上に設けられた透明部材28とを備える。本実施の形態の光電変換モジュール2によれば、入射光に対する反射率をさらに低減することができるとともに、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子1を備える光電変換モジュールが提供され得る。
 封止層26の屈折率は、複合誘電体層16のうち半導体基板11から最も遠い第2の誘電体層16bの屈折率よりも小さくてもよい。封止層26の屈折率を、複合誘電体層16のうち半導体基板11から最も遠い第2の誘電体層16bの屈折率よりも小さくすることによって、半導体基板11と封止層26との間の屈折率の変化が緩やかになり得る。本実施の形態の光電変換モジュール2によれば、入射光に対する反射率をさらに低減することができ、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 透明部材28の屈折率は、封止層26の屈折率よりも小さくてもよい。透明部材28の屈折率を封止層26の屈折率よりも小さくすることによって、半導体基板11と透明部材28との間の屈折率の変化が緩やかになり得る。本実施の形態の光電変換モジュール2によれば、入射光に対する反射率をさらに低減することができ、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 (実施の形態2)
 図15から図18を参照して、実施の形態2の光電変換素子1a及び光電変換モジュール2aについて説明する。図15に示す本実施の形態の光電変換素子1aは、基本的に、図1に示す実施の形態1の光電変換素子1と同様の構成を備え、図18に示す光電変換モジュール2aは、基本的に、図14に示す光電変換モジュール2と同様の構成を備えるが、以下の点で異なる。
 本実施の形態の光電変換素子1aの複合誘電体層16は、各々が窒化シリコンで形成された4層以上の誘電体層を含む。特定的には、本実施の形態の光電変換素子1aでは、半導体基板11の第1の表面11a上に設けられた複合誘電体層16は、y1の窒素のモル分率を有する窒化シリコン(Si1-y1y1)で形成された第1の誘電体層16aと、y2の窒素のモル分率を有する窒化シリコン(Si1-y2y2)で形成された第2の誘電体層16bと、y3の窒素のモル分率を有する窒化シリコン(Si1-y3y3)で形成された第3の誘電体層16cと、y4の窒素のモル分率を有する窒化シリコン(Si1-y4y4)で形成された第4の誘電体層16dとを含む。
 複合誘電体層16中の互いに隣接する一組の誘電体層の各々において、半導体基板11側に位置する一方の誘電体層は、半導体基板11側とは反対側に位置する他方の誘電体層よりも小さな、窒化シリコン中の窒素のモル分率を有する。本実施の形態では、第1の誘電体層16aと第3の誘電体層16cとは、互いに隣接する一組の誘電体層である。第1の誘電体層16aは、第3の誘電体層16cよりも半導体基板11側に位置する。図16を参照して、第1の誘電体層16aは、第3の誘電体層16cよりも小さな窒素のモル分率を有する。
 第3の誘電体層16cと第4の誘電体層16dとは、互いに隣接する一組の誘電体層である。第3の誘電体層16cは、第4の誘電体層16dよりも半導体基板11側に位置する。図16を参照して、第3の誘電体層16cは、第4の誘電体層16dよりも小さな窒素のモル分率を有する。第2の誘電体層16bと第4の誘電体層16dとは、互いに隣接する一組の誘電体層である。第4の誘電体層16dは、第2の誘電体層16bよりも半導体基板11側に位置する。図16を参照して、第4の誘電体層16dは、第2の誘電体層16bよりも小さな窒素のモル分率を有する。複合誘電体層16中の窒素のモル分率は、半導体基板11に近づくにつれて階段状に減少する。
 複合誘電体層16のうち半導体基板11に最も近い第1の誘電体層16aの窒素のモル分率y1は、0.03より大きく0.20以下、好ましくは、0.05以上0.17以下、より好ましくは0.075以上0.1以下であってもよい。複合誘電体層16のうち半導体基板11から最も遠い第2の誘電体層16bにおける窒素のモル分率y2は、0.38以上、好ましくは0.38以上0.44以下、より好ましくは0.38以上0.42以下、さらにより好ましくは0.38以上0.40以下であってもよい。第3の誘電体層16cにおける窒素のモル分率y3は、0.20よりも大きく、0.28以下であってもよい。第4の誘電体層16dにおける窒素のモル分率y4は、0.28よりも大きく、0.38より小さくてもよい。
 図3を参照して、窒化シリコンにおける窒素のモル分率が減少するにつれて、窒化シリコンの屈折率は増加する。本実施の形態では、第1の誘電体層16aは、第3の誘電体層16cよりも小さな窒素のモル分率を有するため、第1の誘電体層16aは、第3の誘電体層16cよりも大きな屈折率を有する(図17を参照)。第3の誘電体層16cは、第4の誘電体層16dよりも小さな窒素のモル分率を有するため、第3の誘電体層16cは、第4の誘電体層16dよりも大きな屈折率を有する(図17を参照)。第4の誘電体層16dは、第2の誘電体層16bよりも小さな窒素のモル分率を有するため、第4の誘電体層16dは、第2の誘電体層16bよりも大きな屈折率を有する(図17を参照)。複合誘電体層16中の屈折率は、半導体基板11に近づくにつれて階段状に増加する(図17を参照)。
 複合誘電体層16のうち半導体基板11に最も近い第1の誘電体層16aの屈折率n1は、半導体基板11の屈折率よりも小さくてもよい。第1の誘電体層16aの屈折率n1は、3.0より大きく4.0以下、より好ましくは、3.2以上3.9以下、さらに好ましくは3.6以上3.7以下であってもよい。複合誘電体層16のうち半導体基板11から最も遠い第2の誘電体層16bの屈折率n2は、第2の誘電体層16bに接する、光電変換素子1の周囲に存在する物質の屈折率よりも大きくてもよい。第2の誘電体層16bの屈折率n2は、2.0以下、好ましくは1.7以上2.0以下、より好ましくは1.8以上2.0以下、さらにより好ましくは1.9以上2.0以下であってもよい。第3の誘電体層16cの屈折率n3は、2.5以上3.0未満であってもよい。第4の誘電体層16dの屈折率n4は、2.0より大きく2.5未満であってもよい。
 本実施の形態の光電変換素子1a及び光電変換モジュール2aの効果について説明する。本実施の形態の光電変換素子1a及び光電変換モジュール2aは、実施の形態1の光電変換素子1及び光電変換モジュール2と同様の効果を有するが、以下の点で異なる。
 本実施の形態の光電変換素子1aにおける複合誘電体層16は、各々が窒化シリコンで形成された4層以上の誘電体層(第1の誘電体層16a、第2の誘電体層16b、第3の誘電体層16c、第4の誘電体層16d)である。本実施の形態の光電変換素子1aにおける複合誘電体層16は、実施の形態1の光電変換素子1における複合誘電体層16よりも多くの層数の誘電体層を有する。そのため、本実施の形態の光電変換素子1aでは、互いに隣接する2つの誘電体層の間の屈折率差をさらに小さくすることができる。本実施の形態の光電変換素子1aは、入射光に対してさらに低減された反射率を有し、光電変換素子1aにおいて光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率をさらに向上させることができる。
 本実施の形態の光電変換素子1aにおける複合誘電体層16は、実施の形態1の光電変換素子1における複合誘電体層16よりも多くの層数の窒化シリコンで形成された誘電体層を有する。表1を参照して、シリコン基板上に積層される窒化シリコン層の層数を増やすと、深準位過渡分光(DLTS)法により測定される、キャリアの捕獲断面積が減少する。そのため、シリコン基板上に積層される窒化シリコン層の層数を増やすと、窒化シリコン層のパッシベーション特性が向上することが分かる。本実施の形態の光電変換素子1aによれば、さらに向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 本実施の形態の光電変換素子1aにおける複合誘電体層16は、実施の形態1の光電変換素子1における複合誘電体層16よりも多くの層数の、小さな窒素のモル分率を有する窒化シリコンで形成された誘電体層を含み得る。窒化シリコンは、窒素のモル分率が減少するとパッシベーション特性が向上するという性質を有する。本実施の形態の光電変換素子1aでは、実施の形態1の光電変換素子1よりも、半導体基板11の第1の表面11aの近くに、高いパッシベーション特性を有する窒化シリコン層がさらに大きな厚さで形成され得る。本実施の形態の光電変換素子1aによれば、さらに向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 本実施の形態の光電変換素子1aは、実施の形態1の光電変換素子1よりも、互いに隣接する2つの誘電体層の間の屈折率差をさらに小さくすることができる。第1の誘電体層16aの屈折率n1を高くして、複合誘電体層16のうち半導体基板11に最も近い第1の誘電体層16aの屈折率n1と、複合誘電体層16のうち半導体基板11から最も遠い第2の誘電体層16bの屈折率n2との差が大きくなっても、入射光に対する光電変換素子1aの反射率が低くなり得る。
 複合誘電体層16を備える本実施の形態の光電変換素子1aでは、互いに隣接する2つの誘電体層の間の屈折率差を小さくすることができる。入射光に対する光電変換素子1aの反射率を大きく増加させることなく、複合誘電体層16のうち半導体基板11に最も近い第1の誘電体層16aの窒化シリコン中の窒素のモル分率y1が低くなり得る。窒化シリコンは、窒素のモル分率が減少するとパッシベーション特性が向上するという性質を有する。本実施の形態の光電変換素子1aでは、半導体基板11の第1の表面11aの近くに、高いパッシベーション特性を有する窒化シリコン層が形成され得る。本実施の形態の光電変換素子1aによれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 本実施の形態の光電変換モジュール2aによれば、入射光に対する反射率をさらに低減することができるとともに、さらに向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子1aを備える光電変換モジュールが提供され得る。
 (実施の形態3)
 図19を参照して、実施の形態3の光電変換素子1bについて説明する。本実施の形態の光電変換素子1bは、基本的に、実施の形態2の光電変換素子1aと同様の構成を備えるが、以下の点で異なる。
 図19を参照して、本実施の形態の光電変換素子1bは、裏面電極型光電変換素子である。本実施の形態の光電変換素子1bは、実施の形態2の光電変換素子1aにおける、第1の非晶質半導体層13と、第2の非晶質半導体層15と、第1のi型非晶質半導体層12と、第2のi型非晶質半導体層14とに代えて、第1の導電型を有する第1の不純物含有領域33と、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の不純物含有領域35と、第5の誘電体層32とが設けられている。
 半導体基板11は、半導体基板11の第2の表面11bに、第1の導電型を有する第1の不純物含有領域33と、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の不純物含有領域35とを含む。第1の不純物含有領域33は、p型を有してもよいし、n型を有してもよい。本実施の形態では、第1の不純物含有領域33は、p型を有する。第2の不純物含有領域35は、p型を有してもよいし、n型を有してもよい。本実施の形態では、第2の不純物含有領域35は、n型を有する。第1の電極17は、半導体基板11の第2の表面11b上に設けられるとともに、第1の不純物含有領域33と電気的に接続される。第1の電極17はp型電極であってもよい。第2の電極18は、半導体基板11の第2の表面11b上に設けられるとともに、第2の不純物含有領域35と電気的に接続される。第2の電極18はn型電極であってもよい。
 半導体基板11の裏面となる第2の表面11b上に、第5の誘電体層32が設けられてもよい。第5の誘電体層32は、例えば、酸化シリコンまたは窒化シリコン層等で形成されてもよい。半導体基板11の第2の表面11b上に第5の誘電体層32を形成することによって、半導体基板11の第1の表面11a側から入射する光によって半導体基板11内に生成されたキャリアが半導体基板11の第2の表面11bにおいて再結合することが低減され得る。本実施の形態の光電変換素子1bによれば、さらに向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 本実施の形態では、実施の形態2と同様に、半導体基板11の第1の表面11a上に設けられた複合誘電体層16は、y1の窒素のモル分率を有する窒化シリコン(Si1-y1y1)で形成された第1の誘電体層16aと、y2の窒素のモル分率を有する窒化シリコン(Si1-y2y2)で形成された第2の誘電体層16bと、y3の窒素のモル分率を有する窒化シリコン(Si1-y3y3)で形成された第3の誘電体層16cと、y4の窒素のモル分率を有する窒化シリコン(Si1-y4y4)で形成された第4の誘電体層16dとを含む。
 図5、図6、図20から図28を参照して、本実施の形態の光電変換素子1bの製造方法について説明する。
 図5及び図6に示す工程によって、半導体基板11の第1の表面11aに凹凸構造が形成される。図20を参照して、第1の表面11a及び第2の表面11bを含む半導体基板11の全表面に、第1の拡散防止マスク36が形成される。第1の拡散防止マスク36は、第1の導電型(例えばp型)を有する不純物が半導体基板11に拡散することを防止するためのマスクである。第1の拡散防止マスク36として、酸化シリコン層が例示され得る。第1の拡散防止マスク36は、スチーム酸化法などによって、半導体基板11の全表面を熱酸化することによって形成されてもよい。
 図21を参照して、半導体基板11の第2の表面11b上の第1の拡散防止マスク36の一部の上に、第1の拡散防止マスク36をエッチングすることができる成分を含有する第1のエッチングペースト37が印刷される。第1のエッチングペースト37は、たとえばスクリーン印刷法などによって、第1の不純物含有領域33が形成される箇所に相当する第1の拡散防止マスク36の部分の上に形成される。第1のエッチングペースト37に含まれる、第1の拡散防止マスク36をエッチングする成分として、リン酸が例示され得る。第1のエッチングペースト37は、さらに、水、有機溶媒および増粘剤を含んでもよい。
 図22を参照して、第1のエッチングペースト37が形成された半導体基板11に第1の加熱処理を施して、半導体基板11の第2の表面11b上の第1の拡散防止マスク36のうち第1のエッチングペースト37が形成された部分が除去される。第1の加熱処理の後、半導体基板11の第2の表面11bを水等で洗浄することによって、第1のエッチングペースト37が除去される。このようにして、図22に示すように、第1の拡散防止マスク36の一部が除去されて、第1の拡散防止マスク36の一部に開口部36aが形成される。第1の拡散防止マスク36の開口部36aにおいて、半導体基板11の第2の表面11bの一部が露出する。
 図23を参照して、第1の拡散防止マスク36から露出した半導体基板11の第2の表面11bに、第1の導電型を有する第1の不純物含有領域33が形成される。第1の導電型を有する第1の不純物含有領域33は、第1の導電型を有する不純物を半導体基板11の第2の表面11bに拡散させることによって形成されてもよい。例えば、BBr3を用いた気相拡散によって、第1の拡散防止マスク36から露出した半導体基板11の第2の表面11bにp型不純物であるボロンを、950℃の温度で30分間拡散させて、第1の導電型を有する第1の不純物含有領域33が形成されてもよい。第1の不純物含有領域33は、第1の拡散防止マスク36から露出した半導体基板11の第2の表面11bにボロンを含む溶剤を塗布し、ボロンを含む溶剤が塗布された半導体基板11を加熱することによって形成されてもよい。その後、フッ化水素水溶液などを用いて、第1の拡散防止マスク36が除去される。
 図24を参照して、半導体基板11の第2の表面11bの一部を除く半導体基板11の全表面上に、第2の拡散防止マスク38が形成される。第2の拡散防止マスク38は、第2の導電型(例えばn型)を有する不純物が半導体基板11に拡散することを防止するためのマスクである。第2の拡散防止マスク38は、半導体基板11の第2の表面11b上において、第1の不純物含有領域33を覆う。半導体基板11の第2の表面11b上において、第2の拡散防止マスク38は開口部38aを有する。半導体基板11の第2の表面11bのうち、第2の拡散防止マスク38の開口部38aに対応する領域は、第2の拡散防止マスク38から露出している。半導体基板11の第2の表面11b側から平面視したときに、第2の拡散防止マスク38の開口部38aは、第1の不純物含有領域33と重ならない位置に形成される。第2の拡散防止マスク38は、マスキングペーストを用いて形成されてもよい。例えば、半導体基板11の第2の表面11bの一部を除く半導体基板11の全表面上に、二酸化珪素(SiO2)前駆体を含有するマスキングペーストを施し、マスキングペーストを焼結することによって、開口部38aを有する第2の拡散防止マスク38が形成されてもよい。マスキングペーストを用いることによって、安価に光電変換素子1bが製造され得る。
 図25を参照して、第2の拡散防止マスク38から露出した半導体基板11の第2の表面11bに、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の不純物含有領域35が形成される。第2の導電型を有する第2の不純物含有領域35は、半導体基板11の第2の表面11bに第2の導電型を有する不純物を拡散させることによって形成されてもよい。例えば、POCl3を用いた気相拡散によって、第2の拡散防止マスク38から露出した半導体基板11の第2の表面11bにn型不純物である燐を、800℃の温度で30分間拡散させて、第2の導電型を有する第2の不純物含有領域35が形成されてもよい。第2の導電型を有する第2の不純物含有領域35は、第2の拡散防止マスク38から露出した半導体基板11の第2の表面11bに燐を含む溶剤を塗布し、燐を含む溶剤が塗布された半導体基板11を加熱することによって形成されてもよい。その後、フッ化水素水溶液などを用いて、第2の拡散防止マスク38が除去される。
 図26を参照して、第1の導電型を有する第1の不純物含有領域33及び第2の導電型を有する第2の不純物含有領域35が形成された半導体基板11の第2の表面11b上に、第5の誘電体層32が形成される。第5の誘電体層32は、酸化珪素または窒化珪素で形成されてもよい。第5の誘電体層32の形成方法は、特に限定されないが、たとえばプラズマ化学的気相堆積(CVD)法またはスパッタ法であり得る。
 図27を参照して、半導体基板11の第1の表面11a上に、各々が窒化シリコンで形成された4層以上の誘電体層(第1の誘電体層16a、第2の誘電体層16b、第3の誘電体層16c、第4の誘電体層16d)を含む複合誘電体層16が形成される。具体的には、半導体基板11の第1の表面11a上に、第1の誘電体層16a、第3の誘電体層16c、第4の誘電体層16d及び第2の誘電体層16bがこの順に形成される。複合誘電体層16の形成方法は、特に限定されないが、たとえばプラズマ化学的気相堆積(CVD)法であり得る。
 第1の誘電体層16aは、第3の誘電体層16cよりも小さな窒素のモル分率を有し、第3の誘電体層16cは、第4の誘電体層16dよりも小さな窒素のモル分率を有し、第4の誘電体層16dは、第2の誘電体層16bよりも小さな窒素のモル分率を有する(図16を参照)。例えば、プラズマ化学的気相堆積(CVD)法において、シランガスの流量と、アンモニアまたは窒素のガスの流量との比率を変化させることによって、第1の誘電体層16a、第2の誘電体層16b、第3の誘電体層16c及び第4の誘電体層16dの間で窒素のモル分率を異ならせることができる。
 図28を参照して、第5の誘電体層32に貫通孔32aが形成される。それから、半導体基板11の第2の表面11b上に、第1の電極17及び第2の電極18が形成される。第1の電極17は、貫通孔32a内に形成されて、第1の導電型を有する第1の不純物含有領域33と電気的に接続される。第2の電極18は、貫通孔32a内に形成されて、第2の導電型を有する第2の不純物含有領域35と電気的に接続される。こうして、図19に示される本実施の形態の光電変換素子1bが製造され得る。
 図29を参照して、本実施の形態の光電変換モジュール2bについて説明する。本実施の形態の光電変換モジュール2bは、実施の形態2の光電変換モジュール2aと同様の構成を有するが、封止層26と、透明部材28とに加えて、本実施の形態の光電変換素子1bを備える点で異なる。
 本実施の形態の光電変換素子1b及び光電変換モジュール2bの効果について説明する。
 本実施の形態の光電変換素子1bでは、半導体基板11は、半導体基板11の第2の表面11bに、第1の導電型を有する第1の不純物含有領域33と、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の不純物含有領域35とを含んでもよい。第1の電極17は、半導体基板11の第2の表面11b上に設けられるとともに、第1の不純物含有領域33と電気的に接続されてもよい。第2の電極18は、半導体基板11の第2の表面11b上に設けられるとともに、第2の不純物含有領域35と電気的に接続されてもよい。
 本実施の形態の光電変換素子1b及び光電変換モジュール2bは、実施の形態2の光電変換素子1a及び光電変換モジュール2aと同様の効果を有する。例えば、本実施の形態の光電変換素子1bでは、第1の電極17及び第2の電極18は、光の入射面である半導体基板11の第1の表面11a側に設けられていない。光電変換素子1に入射する光が第1の電極17及び第2の電極18によって遮られない。本実施の形態の光電変換素子1によれば、高い短絡電流JSCが得られ、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。本実施の形態の光電変換モジュール2bによれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上された光電変換素子1bを備える光電変換モジュールが提供され得る。
 (実施の形態4)
 図30を参照して、実施の形態4の光電変換素子1cについて説明する。本実施の形態の光電変換素子1cは、基本的に、実施の形態2の光電変換素子1aと同様の構成を備えるが、以下の点で異なる。
 図30を参照して、本実施の形態の光電変換素子1cは、両面電極型光電変換素子である。本実施の形態では、半導体基板11は、第1の導電型を有する。第1の導電型はp型であってもよい。半導体基板11は、p型の多結晶シリコン基板またはp型の単結晶シリコン基板であってもよい。
 半導体基板11の第2の表面11b上に、第6の誘電体層41及び第7の誘電体層42の少なくとも1つが設けられてもよい。本実施の形態では、半導体基板11の第2の表面11b上に、第6の誘電体層41及び第7の誘電体層42が設けられ、第6の誘電体層41上に、第7の誘電体層42が設けられている。第6の誘電体層41は、酸化シリコンであってもよい。第7の誘電体層42は、窒化シリコンであってもよい。半導体基板11の第2の表面11b上に第6の誘電体層41及び第7の誘電体層42の少なくとも1つを形成することによって、半導体基板11の第1の表面11a側から入射する光によって半導体基板11内に生成されたキャリアが半導体基板11の第2の表面11bにおいて再結合することが低減され得る。本実施の形態の光電変換素子1cは、さらに向上されたパッシベーション特性を有する。
 半導体基板11は、半導体基板11の第1の表面11aに、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の不純物含有領域45を含んでもよい。第2の導電型はn型であってもよい。
 半導体基板11の第2の表面11b上に、第1の電極17が設けられてもよい。第1の電極17は、第1の導電型を有する半導体基板11と電気的に接続される。第1の電極17は、アルミニウム(Al)で形成されてもよい。半導体基板11の第1の表面11a上に、第2の電極18が設けられてもよい。第2の電極18は、第2の導電型を有する第2の不純物含有領域45と電気的に接続される。第2の電極18は、銀(Ag)で形成されてもよい。
 半導体基板11は、半導体基板11の第2の表面11bに、第1の導電型を有する不純物を半導体基板11よりも多く含む第1の不純物含有領域43をさらに含んでもよい。第1の不純物含有領域43は、半導体基板11の第2の表面11bのうち第1の電極17に対応する領域に形成されてもよい。第1の不純物含有領域43はp型を有してもよい。
 第1の不純物含有領域43は第1の導電型を有する不純物を半導体基板11よりも多く含むため、第1の不純物含有領域43は、裏面電界層として機能してもよい。半導体基板11と第1の不純物含有領域43との界面において第1のエネルギーバンド(例えば伝導帯)に形成された障壁と電界とによって、半導体基板11と第1の不純物含有領域43との界面に近づく半導体基板11中の少数キャリア(例えば電子)は、半導体基板11の内部に押し戻される。半導体基板11の第2の表面11bにおいて、半導体基板11中の少数キャリアと多数キャリア(例えば正孔)とが再結合することが抑制され得る。半導体基板11と第1の不純物含有領域43との界面において第2のエネルギーバンド(例えば価電子帯)に形成される電界によって、半導体基板11中の多数キャリアを高い効率で第1の電極17に導くことができる。
 本実施の形態では、実施の形態2と同様に、半導体基板11の第1の表面11a上に設けられた複合誘電体層16は、y1の窒素のモル分率を有する窒化シリコン(Si1-y1y1)で形成された第1の誘電体層16aと、y2の窒素のモル分率を有する窒化シリコン(Si1-y2y2)で形成された第2の誘電体層16bと、y3の窒素のモル分率を有する窒化シリコン(Si1-y3y3)で形成された第3の誘電体層16cと、y4の窒素のモル分率を有する窒化シリコン(Si1-y4y4)で形成された第4の誘電体層16dとを含む。
 図5、図6、図31から図34を参照して、本実施の形態の光電変換素子1cの製造方法について説明する。
 図5及び図6に示す工程によって、第1の導電型を有する半導体基板11の第1の表面11aに凹凸構造が形成される。図31を参照して、半導体基板11の第1の表面11aに、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の不純物含有領域45が形成される。第2の導電型を有する第2の不純物含有領域45は、半導体基板11の第1の表面11aに第2の導電型を有する不純物を拡散させることによって形成されてもよい。例えば、POCl3を用いた気相拡散によって、半導体基板11の第1の表面11aにn型不純物である燐を、800℃の温度で30分間拡散させて、第2の導電型を有する第2の不純物含有領域45が形成されてもよい。第2の導電型を有する第2の不純物含有領域45は、半導体基板11の第1の表面11aに燐を含む溶剤を塗布し、燐を含む溶剤が塗布された半導体基板11を加熱することによって形成されてもよい。
 図32を参照して、半導体基板11の第2の表面11b上に、第6の誘電体層41及び第7の誘電体層42の少なくとも1つが形成される。本実施の形態では、半導体基板11の第2の表面11b上に、第6の誘電体層41及び第7の誘電体層42が形成される。第6の誘電体層41と第7の誘電体層42とは、化学気相堆積(CVD)法、スパッタ法などを用いて形成されてもよい。
 図33を参照して、半導体基板11の第1の表面11a上に、各々が窒化シリコンで形成された4層以上の誘電体層(第1の誘電体層16a、第2の誘電体層16b、第3の誘電体層16c、第4の誘電体層16d)を含む複合誘電体層16が形成される。具体的には、半導体基板11の第1の表面11a上に、第1の誘電体層16a、第3の誘電体層16c及び第4の誘電体層16d、第2の誘電体層16bがこの順に形成される。複合誘電体層16の形成方法は、特に限定されないが、たとえばプラズマ化学的気相堆積(CVD)法であり得る。
 第1の誘電体層16aは、第3の誘電体層16cよりも小さな窒素のモル分率を有し、第3の誘電体層16cは、第4の誘電体層16dよりも小さな窒素のモル分率を有し、第4の誘電体層16dは、第2の誘電体層16bよりも小さな窒素のモル分率を有する(図16を参照)。例えば、プラズマ化学的気相堆積(CVD)法において、シランガスの流量と、アンモニアまたは窒素のガスの流量との比率を変化させることによって、第1の誘電体層16a、第2の誘電体層16b、第3の誘電体層16c及び第4の誘電体層16dの間で窒素のモル分率を異ならせることができる。
 図34を参照して、半導体基板11の第2の表面11b上に、第1の電極前駆体17aが形成されるとともに、半導体基板11の第1の表面11a上に、第2の電極前駆体18aが形成される。特定的には、第7の誘電体層42上に、第1の電極前駆体17aが形成されるとともに、複合誘電体層16上に、第2の電極前駆体18aが形成される。
 第1の電極前駆体17aは、半導体基板11に対してオーミックコンタクトをとることができる第1の金属を含むペーストを塗布することによって形成されてもよい。半導体基板11に対してオーミックコンタクトをとることができる第1の金属として、アルミニウム(Al)、銀(Ag)およびチタン(Ti)が例示され得る。本実施の形態では、第1の電極前駆体17aは、第1の金属として、アルミニウム(Al)を含む。
 第2の電極前駆体18aは、第2の導電型を有する第2の不純物含有領域45に対してオーミックコンタクトをとることができる第2の金属を含むペーストを塗布することによって形成されてもよい。第2の不純物含有領域45に対してオーミックコンタクトをとることができる第2の金属として、銀(Ag)およびチタン(Ti)が例示され得る。本実施の形態では、第2の電極前駆体18aは、第2の金属として、銀(Ag)を含む。
 第1の電極前駆体17a及び第2の電極前駆体18aが形成された半導体基板11を、例えば、500~800℃の温度で熱処理することによって、第1の電極前駆体17a及び第2の電極前駆体18aが焼成されて、第1の電極17及び第2の電極18が形成される。この熱処理によって、半導体基板11に対してオーミックコンタクトをとることができる第1の金属が第6の誘電体層41及び第7の誘電体層42を貫通して(ファイアスルー)、第1の電極17は、半導体基板11と電気的に接続される。また、この熱処理によって、半導体基板11に対してオーミックコンタクトをとることができる第2の金属が複合誘電体層16を貫通して(ファイアスルー)、第2の電極18は、第2の不純物含有領域45と電気的に接続される。
 半導体基板11に対してオーミックコンタクトをとることができる第1の金属が第6の誘電体層41及び第7の誘電体層42を貫通する際、半導体基板11に対してオーミックコンタクトをとることができる第1の金属が半導体基板11に拡散されて、半導体基板11の第2の表面11bに、第1の導電型を有する第1の不純物含有領域43が形成されてもよい。第1の不純物含有領域43は、半導体基板11よりも、多くの第1の導電型を有する不純物を含む。第1の不純物含有領域43は、裏面電界層として機能してもよい。こうして、図30に示される本実施の形態の光電変換素子1cが製造され得る。
 図35を参照して、本実施の形態の光電変換モジュール2cについて説明する。本実施の形態の光電変換モジュール2cは、実施の形態2の光電変換モジュール2aと同様の構成を有するが、封止層26と、透明部材28とに加えて、本実施の形態の光電変換素子1cを備える点で異なる。
 本実施の形態の光電変換素子1c及び光電変換モジュール2cの効果について説明する。
 本実施の形態の光電変換素子1cでは、第1の電極17は、半導体基板11の第2の表面11b上に設けられるとともに、第1の導電型を有する半導体基板11と電気的に接続されてもよい。半導体基板11は、半導体基板11の第1の表面11aに、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の不純物含有領域45を含んでもよい。第2の電極18は、半導体基板11の第1の表面11a上に設けられるとともに、第2の不純物含有領域45と電気的に接続されてもよい。本実施の形態の光電変換素子1c及び光電変換モジュール2cは、実施の形態2の光電変換素子1a及び光電変換モジュール2aと同様に、4層以上の誘電体層(第1の誘電体層16a、第2の誘電体層16b、第3の誘電体層16c、第4の誘電体層16d)を含む複合誘電体層16を半導体基板11の第1の表面11a上に備える。本実施の形態の光電変換素子1cによれば、入射光に対してさらに低減された反射率を有するとともに、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。本実施の形態の光電変換モジュール2cによれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子1cを備える光電変換モジュールが提供され得る。
 本実施の形態の光電変換素子1cでは、半導体基板11は、半導体基板11の第2の表面11bに、第1の導電型を有する第1の不純物含有領域43をさらに含んでもよい。第1の不純物含有領域43は第1の導電型を有する不純物を半導体基板11よりも多く含むため、第1の不純物含有領域43は、裏面電界層として機能することができる。半導体基板11と第1の不純物含有領域43との界面において第1のエネルギーバンドに形成された障壁と電界とによって、半導体基板11と第1の不純物含有領域43との界面に近づく半導体基板11中の少数キャリア(例えば電子)は、半導体基板11の内部に押し戻される。半導体基板11の第2の表面11bにおいて、半導体基板11中の少数キャリアと多数キャリア(例えば正孔)とが再結合することが抑制され得る。半導体基板11と第1の不純物含有領域43との界面において第2のエネルギーバンドに形成される電界によって、半導体基板11中の多数キャリアを第1の電極17へ高い効率で導くことができる。本実施の形態の光電変換素子1cは、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。本実施の形態の光電変換モジュール2cによれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上された光電変換素子1cを備える光電変換モジュールが提供され得る。
 (実施の形態5)
 図36を参照して、実施の形態5に係る光電変換素子3を説明する。本実施の形態の光電変換素子3は、ヘテロ接合型バックコンタクト光電変換素子である。本実施の形態の光電変換素子3は、半導体基板11と、第1の非晶質半導体層13と、第2の非晶質半導体層15と、第1の誘電体層66と、第1の電極17と、第2の電極18とを主に備える。
 半導体基板11は、n型またはp型の半導体基板であってもよい。本実施の形態では、半導体基板11として、n型単結晶シリコン基板が用いられている。半導体基板11は、第1の表面11aと、第1の表面11aと反対側の第2の表面11bとを有する。半導体基板11の第1の表面11aは、光の入射面である。半導体基板11の第2の表面11bは、光の入射面である第1の表面11aと反対側の裏面である。
 半導体基板11は、第1の表面11aに凹凸構造を有してもよい。光の入射面である半導体基板11の第1の表面11a上に凹凸構造を設けることによって、半導体基板11の第1の表面11aにおいて入射光が反射されることが抑制され得て、より多くの光が光電変換素子3内に入射され得る。光電変換素子3において光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 半導体基板11の第1の表面11aの上に、第1の誘電体層66が設けられる。第1の誘電体層66は、第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aと、第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bとを有する。第1の誘電体層66の第1の部分66aから第1の誘電体層66の第2の部分66bに向かう方向は、第1の誘電体層66の厚さ方向である。第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aは、第1の誘電体層66において最も小さな窒化シリコン中の窒素のモル分率y1を有する。第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bは、第1の誘電体層66において最も大きな窒化シリコン中の窒素のモル分率y2を有する。
 第1の誘電体層66は、第1の部分66aと第2の部分66bとの間に、第1の領域66fを含む。第1の領域66fのうち半導体基板11に最も近い第3の部分から第1の領域66fのうち半導体基板11から最も遠い第4の部分に向かうにつれて、窒化シリコン中の窒素のモル分率は連続的に増加する(図37を参照)。第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aは、第1の誘電体層66において最も小さな窒化シリコン中の窒素のモル分率y1を有してもよい。第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bは、第1の誘電体層66において最も大きな窒化シリコン中の窒素のモル分率y2を有してもよい。窒化シリコンで形成された第1の誘電体層66の、第1の部分から第2の部分に向かう方向の任意の2つの部分のうち、半導体基板11側に位置する一方の部分の窒化シリコン中の窒素のモル分率は、半導体基板11と反対側に位置する他方の部分の窒化シリコン中の窒素のモル分率以下であってもよい。
 第1の領域66fのうち半導体基板11に最も近い第3の部分は、第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aであってもよい。第1の領域66fのうち半導体基板11から最も遠い第4の部分は、第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bであってもよい。窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に変化する第1の領域66fは、第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aと、第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bとの間にわたる領域であってもよい。第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aから第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bに向かうにつれて、窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に増加してもよい(図37を参照)。第1の誘電体層66の第1の領域66fにおける、窒化シリコン中の窒素のモル分率の連続的な変化は、特に限定されないが、線形的な変化であってもよい。
 第1の誘電体層66の第1の部分66aにおける、窒化シリコン中の窒素のモル分率y1は、0.03より大きく0.20以下、好ましくは、0.05以上0.17以下、より好ましくは0.075以上0.1以下であってもよい。第1の誘電体層66の第2の部分66bにおける窒素のモル分率y2は、0.38以上、好ましくは0.38以上0.44以下、より好ましくは0.38以上0.42以下、さらにより好ましくは0.38以上0.40以下であってもよい。第1の誘電体層66中の窒素のモル分率は、ラザフォード後方散乱分光法(RBS)、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法または二次イオン質量分析法(SIMS)によって測定され得る。
 図3を参照して、窒化シリコンにおける窒素のモル分率が増加するにつれて、窒化シリコンの屈折率は減少する。第1の誘電体層66の第1の部分66aは、第1の誘電体層66において最も小さな窒化シリコン中の窒素のモル分率y1を有するため、第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aは、第1の誘電体層66において最も大きな屈折率n1を有する。第1の誘電体層66の第2の部分66bは、第1の誘電体層66において最も大きな窒化シリコン中の窒素のモル分率y2を有するため、第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bは、第1の誘電体層66において最も小さな屈折率n2を有する。
 第1の誘電体層66は、第1の部分66aと第2の部分66bとの間に、第1の領域66fを含む。第1の領域66fのうち半導体基板11に最も近い第3の部分から第1の領域66fのうち半導体基板11から最も遠い第4の部分に向かうにつれて、窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に増加する。第1の領域66fのうち半導体基板11に最も近い第3の部分から第1の領域66fのうち半導体基板11から最も遠い第4の部分に向かうにつれて、第1の誘電体層66の第1の領域66fの屈折率は連続的に減少する(図38を参照)。第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aは、第1の誘電体層66において最も大きな屈折率n1を有してもよい。第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bは、第1の誘電体層66において最も小さな屈折率n2を有してもよい。窒化シリコンで形成された第1の誘電体層66の、第1の部分から第2の部分に向かう方向の任意の2つの部分のうち、半導体基板11側に位置する一方の部分の屈折率は、半導体基板11と反対側に位置する他方の部分の窒化シリコン中の屈折率以上であってもよい。
 第1の領域66fのうち半導体基板11に最も近い第3の部分は、第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aであってもよい。第1の領域66fのうち半導体基板11から最も遠い第4の部分は、第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bであってもよい。窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に変化する第1の領域66fは、第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aと、第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bとの間にわたる領域であってもよい。第1の誘電体層66の屈折率は、第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aから第1の誘電体層66のうちうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bに向かうにつれて連続的に減少してもよい(図38を参照)。第1の誘電体層66の第1の領域66fにおける屈折率の連続的な変化は、線形的な変化であってもよいが、それに限られない。
 第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aの屈折率n1は、半導体基板11の屈折率よりも小さくてもよい。第1の誘電体層66において、半導体基板11に最も近い第1の部分66aの屈折率を最も大きくすることによって、第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aの屈折率が、半導体基板11の屈折率に近づき得る。第1の誘電体層66の第1の部分66aと半導体基板11の第1の表面11aとの界面において、光電変換素子3に入射する光が反射することが抑制され得る。第1の誘電体層66の第1の部分66aの屈折率n1は、3.0以上4.0以下、より好ましくは、3.2以上3.9以下、さらに好ましくは3.6以上3.7以下であってもよい。
 第1の誘電体層66のうち半導体基板11の最も遠い第2の部分66bの屈折率n2は、第1の誘電体層66の第2の部分66bに接する、光電変換素子3の周囲に存在する物質の屈折率よりも大きくてもよい。第1の誘電体層66において、半導体基板11から最も遠い第2の部分66bの屈折率を最も小さくすることによって、第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bの屈折率が、光電変換素子3の周囲に存在する物質の屈折率に近づき得る。第1の誘電体層66の第2の部分66bと光電変換素子3の周囲に存在する物質との界面において、光電変換素子3に入射する光が反射することが抑制され得る。第1の誘電体層66の第2の部分66bの屈折率n2は、2.0以下、好ましくは1.7以上2.0以下、より好ましくは1.8以上2.0以下、さらにより好ましくは1.9以上2.0以下であってもよい。
 本実施の形態の光電変換素子3の第1の誘電体層66は、半導体基板11と光電変換素子3の周囲に存在する物質との間の屈折率の変化を緩やかにすることができる(図38を参照)。本実施の形態の光電変換素子3は、入射光に対してさらに低減された反射率を有する。さらに、第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aの屈折率n1を高くして、第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aの屈折率と、第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bの屈折率との差が大きくなっても、入射光に対する光電変換素子3の反射率が低くなり得る。
 本実施の形態の光電変換素子3の第1の誘電体層66は、半導体基板11と光電変換素子3の周囲に存在する物質との間の屈折率の変化を緩やかにすることができる。入射光に対する光電変換素子3の反射率を大きく増加させることなく、第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aの窒化シリコン中の窒素のモル分率y1が低くなり得る。本実施の形態では、第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aの窒化シリコン中の窒素のモル分率y1が低くなり得る。窒化シリコンは、窒素のモル分率が減少するとパッシベーション特性が向上するという性質を有する。本実施の形態の光電変換素子3では、半導体基板11の第1の表面11aの近くに、高いパッシベーション特性を有する窒化シリコン層が形成され得る。本実施の形態の光電変換素子3は、向上されたパッシベーション特性を有する。
 窒化シリコンは、窒化シリコンにおける窒素のモル分率が減少するにつれて、窒化シリコンのエネルギーギャップが小さくなるという性質を有する。第1の誘電体層66のうち、最も低い窒素のモル分率y1を有する第1の部分66aが、光電変換素子3への入射光を最も吸収しやすい。本実施の形態の光電変換素子3では、第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aから第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bに向かうにつれて、窒化シリコンにおける窒素のモル分率が増加するため、第1の誘電体層66における、光電変換素子3への入射光の吸収量が減少し得る。本実施の形態の光電変換素子3によれば、より多くの光が光電変換素子3内に入射され得て、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 半導体基板11の裏面である第2の表面11b上に、第1の非晶質半導体層13が設けられている。第1の非晶質半導体層13は、第1の導電型を有する。第1の非晶質半導体層13は、n型またはp型の非晶質半導体層であり得る。本実施の形態では、第1の非晶質半導体層13として、p型の非晶質シリコン層が用いられている。第1の非晶質半導体層13は、図36の紙面垂直方向に延在してもよい。本明細書において「非晶質半導体」は、半導体を構成する原子の未結合手(ダングリングボンド)が水素で終端されていない非晶質半導体だけでなく、水素化非晶質シリコンなどの半導体を構成する原子の未結合手が水素で終端された非晶質半導体も含む。第1の非晶質半導体層13は、図36の紙面垂直方向に延在するストライプ状に設けられてもよい。
 半導体基板11の第2の表面11b上に、第1の電極17が設けられる。特定的には、第1の非晶質半導体層13上に、第1の電極17が設けられる。第1の電極17は、図36の紙面垂直方向に延在してもよい。第1の電極17は、第1の非晶質半導体層13と電気的に接続されている。第1の電極17として、金属電極が例示され得る。本実施の形態では、第1の電極17として、銀(Ag)が用いられている。本実施の形態では、第1の電極17は、p型電極であってもよい。
 半導体基板11の第2の表面11b上に、第2の非晶質半導体層15が設けられている。第2の非晶質半導体層15は、第1の非晶質半導体層13が有する第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する。第2の非晶質半導体層15は、n型またはp型の非晶質半導体層であり得る。本実施の形態では、第2の非晶質半導体層15として、n型の非晶質シリコン層が用いられている。第2の非晶質半導体層15は、図36の紙面垂直方向に延在してもよい。第2の非晶質半導体層15の縁部は、第1の非晶質半導体層13の縁部を覆い、第1の非晶質半導体層13の縁部上に積層されてもよい。
 半導体基板11の第2の表面11b上に、第2の電極18が設けられる。特定的には、第2の非晶質半導体層15上に、第2の電極18が設けられる。第2の電極18は、図36の紙面垂直方向に延在してもよい。第2の電極18は、第2の非晶質半導体層15と電気的に接続されている。第2の電極18として、金属電極が例示され得る。本実施の形態では、第2の電極18として、銀(Ag)が用いられている。本実施の形態では、第2の電極18は、n型電極であってもよい。
 半導体基板11と第1の非晶質半導体層13との間に、第1のi型非晶質半導体層12が設けられてもよい。半導体基板11と第2の非晶質半導体層15との間に、第2のi型非晶質半導体層14が設けられてもよい。第1のi型非晶質半導体層12及び第2のi型非晶質半導体層14は、半導体基板11の第1の表面11a側から入射する光によって半導体基板11内に生成されたキャリアが半導体基板11の第2の表面11bにおいて再結合することが抑制され得る。本明細書において「i型半導体」は、完全な真性の半導体だけでなく、十分に低濃度(n型不純物濃度が1×1015個/cm3未満、かつp型不純物濃度が1×1015個/cm3未満)のn型またはp型の不純物が混入された半導体も含む。本実施の形態では、第1のi型非晶質半導体層12及び第2のi型非晶質半導体層14として、i型の非晶質シリコン層が用いられている。
 本実施の形態の光電変換素子3では、第2のi型非晶質半導体層14の縁部と第2の非晶質半導体層15の縁部とは、第1のi型非晶質半導体層12の縁部と第1の非晶質半導体層13の縁部を覆い、第1のi型非晶質半導体層12の縁部及び第1の非晶質半導体層13の縁部上に積層されてもよい。第1の導電型を有する第1の非晶質半導体層13と第2の導電型を有する第2の非晶質半導体層15とは、第2のi型非晶質半導体層14によって分離されており、互いに接していない。そのため、本実施の形態の光電変換素子3は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 第1のi型非晶質半導体層12及び第2のi型非晶質半導体層14が形成されない場合には、半導体基板11は、第1の非晶質半導体層13及び第2の非晶質半導体層15と接してもよい。第1のi型非晶質半導体層12及び第2のi型非晶質半導体層14が形成される場合には、半導体基板11は、第1のi型非晶質半導体層12及び第2のi型非晶質半導体層14と接してもよい。本実施の形態の光電変換素子3では、半導体基板11と非晶質半導体層(第1の非晶質半導体層13及び第2の非晶質半導体層15、または、第1のi型非晶質半導体層12及び第2のi型非晶質半導体層14)とがヘテロ接合する。そのため、本実施の形態の光電変換素子3は、向上されたパッシベーション特性と高い開放電圧VOCとを有する。
 図5から図12及び図39を参照して、本実施の形態の光電変換素子3の製造方法の一例について以下説明する。図5から図12に示される本実施の形態の光電変換素子3の製造工程は、図5から図12に示される実施の形態1の光電変換素子1の製造工程と同様である。
 それから、図39を参照して、半導体基板11の第1の表面11a上に、窒化シリコンで形成された第1の誘電体層66が形成される。第1の誘電体層66の形成方法は、特に限定されないが、たとえばプラズマ化学的気相堆積(CVD)法であり得る。第1の誘電体層66は、窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に変化する第1の領域66fを含む(図37を参照)。例えば、プラズマ化学的気相堆積(CVD)法において、シランガスの流量と、アンモニアまたは窒素のガスの流量との比率を連続的に変化させることによって、窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に変化する第1の領域66fを含む第1の誘電体層66が形成され得る。
 それから、半導体基板11の第2の表面11b上に、第1の非晶質半導体層13と電気的に接続される第1の電極17が設けられる。より特定的には、第1の非晶質半導体層13上に第1の電極17が設けられる。半導体基板11の第2の表面11b上に、第2の非晶質半導体層15と電気的に接続される第2の電極18が設けられる。より特定的には、第2の非晶質半導体層15上に第2の電極18が設けられる。こうして、図36に示される本実施の形態の光電変換素子3が製造され得る。
 図40を参照して、実施の形態5に係る光電変換モジュール4を説明する。
 本実施の形態の光電変換モジュール4は、光電変換素子3と、封止層26と、透明部材28とを主に備える。
 封止層26は、光電変換素子3を封止するために、第1の誘電体層66上に設けられる。光電変換素子3にできるだけ多くの光を入射させるために、封止層26は高い光透過率を有することが好ましい。封止層26に用いられる材料として、エチレン酢酸ビニル(EVA)が例示され得る。封止層26の屈折率は、第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bの屈折率n2よりも小さくてもよい。
 光電変換素子3側とは反対側の封止層26の表面に、透明部材28が設けられる。光電変換素子3にできるだけ多くの光を入射させるために、透明部材28は高い光透過率を有することが好ましい。透明部材28は、周囲の環境や衝撃などから光電変換素子3を保護してもよい。透明部材28は、板状であってもよいし、シート状であってもよい。透明部材28として、ガラス板が例示され得る。透明部材28の屈折率は、封止層26の屈折率よりも小さくてもよい。
 本実施の形態の光電変換素子3及び光電変換モジュール4の効果を説明する。
 本実施の形態の光電変換素子3は、第1の表面11aと第1の表面11aと反対側の第2の表面11bとを有する半導体基板11と、半導体基板11の第1の表面11a上に設けられるとともに、窒化シリコンで形成された第1の誘電体層66と、第1の電極17と、第2の電極18とを備える。第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aは、第1の誘電体層66において最も小さな窒化シリコン中の窒素のモル分率を有する。第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bは、誘電体層において最も大きな窒化シリコン中の窒素のモル分率を有する。第1の誘電体層66は、第1の部分66aと第2の部分66bとの間に第1の領域66fを含む。第1の領域66fのうち半導体基板11に最も近い第3の部分から第1の領域66fのうち半導体基板11から最も遠い第4の部分に向かうにつれて、窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に増加する。
 第1の誘電体層66は、窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に変化する第1の領域66fを含むため、第1の誘電体層66は、半導体基板11と光電変換素子3の周囲に存在する物質との間の屈折率の変化を緩やかにすることができる(図38を参照)。本実施の形態の光電変換素子3は、入射光に対してさらに低減された反射率を有し、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 また、本実施の形態の光電変換素子3の第1の誘電体層66は、半導体基板11と光電変換素子3の周囲に存在する物質との間の屈折率の変化を緩やかにすることができるため、入射光に対する光電変換素子3の反射率を大きく増加させることなく、第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aの窒化シリコン中の窒素のモル分率y1が低くなり得る。窒化シリコンは、窒素のモル分率が減少するとパッシベーション特性が向上するという性質を有する。本実施の形態の光電変換素子3では、半導体基板11の第1の表面11aの近くに、高いパッシベーション特性を有する窒化シリコン層が形成され得る。本実施の形態の光電変換素子3によれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 実施の形態1の表1を参照して、シリコン基板上に積層される窒化シリコン層の層数を増やすと、キャリアの捕獲断面積が減少する。そのため、シリコン基板上に積層される窒化シリコン層の層数を増やすと、窒化シリコン層のパッシベーション特性が向上することが分かる。
 本実施の形態の光電変換素子3では、第1の誘電体層66は、窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に変化する第1の領域66fを含む。窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に変化する第1の領域66fは、各々が微小厚さを有するとともに、窒素のモル分率が互いに異なる、非常に多数の窒化シリコン層が積層された複合誘電体層であると近似的にみなすことができる。窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に変化する第1の領域66fを含む第1の誘電体層66は、向上されたパッシベーション特性を有する。本実施の形態の光電変換素子3によれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 本実施の形態の光電変換素子3では、第1の誘電体層66の第1の部分66aにおける窒素のモル分率y1は、0.20以下であってもよい。第1の誘電体層66の第1の部分66aにおける、窒化シリコン中の窒素のモル分率y1を0.20以下とすることによって、第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aの屈折率が、半導体基板11の屈折率に近づき得る。第1の誘電体層66の第1の部分66aと半導体基板11の第1の表面11aとの界面において、光電変換素子3に入射する光が反射することが抑制され得る。本実施の形態の光電変換素子3は、入射光に対してさらに低減された反射率を有し、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率をさらに向上させることができる。
 また、窒化シリコンは、窒素のモル分率が減少するとパッシベーション特性が向上するという性質を有する。第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aにおける窒素のモル分率y1を0.20以下とすることによって、光電変換素子3のパッシベーション特性がさらに向上され得る。本実施の形態の光電変換素子3によれば、さらに向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 本実施の形態の光電変換素子3では、第1の誘電体層66の第2の部分66bにおける窒素のモル分率y3は、0.38以上であってもよい。第1の誘電体層66の第2の部分66bにおける窒素のモル分率y1を0.38以上とすることによって、第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bの屈折率が、光電変換素子3の周囲に存在する物質の屈折率に近づき得る。第1の誘電体層66の第2の部分66bと光電変換素子3の周囲に存在する物質との界面において、光電変換素子3に入射する光が反射することが抑制され得る。本実施の形態の光電変換素子3は、入射光に対してさらに低減された反射率を有し、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率をさらに向上させることができる。
 本実施の形態の光電変換素子3は、半導体基板11の第2の表面11b上に設けられるとともに第1の導電型を有する第1の非晶質半導体層13と、半導体基板11の第2の表面11b上に設けられるとともに第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の非晶質半導体層15とをさらに備えてもよい。第1の電極17は、半導体基板11の第2の表面11b上に設けられてもよく、第1の非晶質半導体層13と電気的に接続されてもよい。第2の電極18は、半導体基板11の第2の表面11b上に設けられてもよく、第2の非晶質半導体層15と電気的に接続されてもよい。
 本実施の形態の光電変換素子3では、第1の電極17及び第2の電極18は、光の入射面である半導体基板11の第1の表面11a側に設けられていない。光電変換素子3に入射する光が第1の電極17及び第2の電極18によって遮られない。そのため、本実施の形態の光電変換素子3によれば、高い短絡電流JSCが得られ、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 また、本実施の形態の光電変換素子3では、半導体基板11は、非晶質半導体層(第1の非晶質半導体層13及び第2の非晶質半導体層15)と接してもよい。そのため、半導体基板11の第1の表面11a側から入射する光によって半導体基板11内に生成されたキャリアが半導体基板11の第2の表面11bにおいて再結合することが低減され得る。本実施の形態の光電変換素子3によれば、さらに向上されたパッシベーション特性と高い開放電圧VOCとを有する光電変換素子が提供され得る。
 本実施の形態の光電変換素子3は、半導体基板11と第1の非晶質半導体層13との間に第1のi型非晶質半導体層12をさらに備えてもよい。本実施の形態の光電変換素子3では、半導体基板11は、非晶質半導体層(第1のi型非晶質半導体層12)と接してもよい。そのため、半導体基板11の第1の表面11a側から入射する光によって半導体基板11内に生成されたキャリアが半導体基板11の第2の表面11bにおいて再結合することが低減され得る。本実施の形態の光電変換素子3によれば、さらに向上されたパッシベーション特性と高い開放電圧VOCとを有する光電変換素子が提供され得る。
 本実施の形態の光電変換素子3は、半導体基板11と第2の非晶質半導体層15との間に第2のi型非晶質半導体層14をさらに備えてもよい。本実施の形態の光電変換素子3では、半導体基板11は、非晶質半導体層(第2のi型非晶質半導体層14)と接してもよい。そのため、半導体基板11の第1の表面11a側から入射する光によって半導体基板11内に生成されたキャリアが半導体基板11の第2の表面11bにおいて再結合することが低減され得る。本実施の形態の光電変換素子3によれば、さらに向上されたパッシベーション特性と高い開放電圧VOCとを有する光電変換素子が提供され得る。
 また、本実施の形態の光電変換素子3では、第1の非晶質半導体層13と第2の非晶質半導体層15とは、第2のi型非晶質半導体層14によって分離されてもよく、第1の非晶質半導体層13は第2の非晶質半導体層15に接しなくてもよい。そのため、本実施の形態の光電変換素子3によれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 本実施の形態の光電変換素子3では、半導体基板11の第1の表面11aに、第1の表面11aにおける光反射率を低下させる凹凸構造が設けられてもよい。光の入射面である半導体基板11の第1の表面11a上に凹凸構造を設けることによって、より多くの光が光電変換素子3内に入射され得る。本実施の形態の光電変換素子3によれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 本実施の形態の光電変換モジュール4は、光電変換素子3と、光電変換素子3の第1の誘電体層66上に設けられた封止層26と、封止層26上に設けられた透明部材28とを備える。本実施の形態の光電変換モジュール4によれば、入射光に対する反射率をさらに低減することができるとともに、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子3を備える光電変換モジュールが提供され得る。
 封止層26の屈折率は、第1の誘電体層66の第2の部分66bの屈折率よりも小さくてもよい。封止層26の屈折率を、第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bの屈折率よりも小さくすることによって、半導体基板11と封止層26との間の屈折率の変化が緩やかになり得る。本実施の形態の光電変換モジュール4によれば、入射光に対する反射率をさらに低減することができ、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 透明部材28の屈折率は、封止層26の屈折率よりも小さくてもよい。透明部材28の屈折率を封止層26の屈折率よりも小さくすることによって、半導体基板11と透明部材28との間の屈折率の変化が緩やかになり得る。本実施の形態の光電変換モジュール4によれば、入射光に対する反射率をさらに低減することができ、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 (実施の形態6)
 図36及び図40から図42を参照して、実施の形態6の光電変換素子3a及び光電変換モジュール4aについて説明する。本実施の形態の光電変換素子3a及び光電変換モジュール4aは、基本的に、実施の形態5の光電変換素子3及び光電変換モジュール4と同様の構成を備えるが、第1の誘電体層66における窒素のモル分率の変化の態様が異なる。
 図36及び図41を参照して、本実施の形態の光電変換素子3aでは、第1の誘電体層66は、第1の誘電体層66の厚さ方向に沿って窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に変化する第1の領域66fに加えて、第1の誘電体層66の第1の部分66aから第1の誘電体層66の第2の部分66bに向かう方向、すなわち第1の誘電体層66の厚さ方向に沿って窒化シリコン中の窒素のモル分率が一定である第2の領域66sをさらに含む。第2の領域66sは、第1の誘電体層66の第1の部分66aと第2の部分66bとの間のいずれの場所に位置してもよい。第2の領域66sは、第1の誘電体層66の第1の部分66aと第2の部分66bとの間に、1つ以上存在してもよい。第2の領域66sは、第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aを含んでもよい。第1の誘電体層66の第2の領域66sは、第1の誘電体層66において最も小さな窒化シリコン中の窒素のモル分率y1を有してもよい。第1の誘電体層66の第2の領域66sにおける、窒化シリコン中の窒素のモル分率y1は、0.03より大きく0.20以下、好ましくは、0.05以上0.17以下、より好ましくは0.075以上0.1以下であってもよい。
 図42を参照して、第1の誘電体層66の第2の領域66sは、第1の誘電体層66において最も大きな屈折率n1を有してもよい。第1の誘電体層66の第2の領域66sの屈折率n1は、半導体基板11の屈折率よりも小さくてもよい。半導体基板11に最も近い第1の部分66aを含む第2の領域66sの屈折率を第1の誘電体層66の中で最も大きくすることによって、第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第2の領域66sの屈折率が、半導体基板11の屈折率に近づき得る。第1の誘電体層66の第2の領域66sと半導体基板11の第1の表面11aとの界面において、光電変換素子3に入射する光が反射することが抑制され得る。第1の誘電体層66の第2の領域66sの屈折率n1は、3.0より大きく4.0以下、より好ましくは、3.2以上3.9以下、さらに好ましくは3.6以上3.7以下であってもよい。
 第1の誘電体層66の第2の領域66sは、1nm以上15nm以下の厚さを有してもよい。第1の誘電体層66の第2の領域66sが1nm以上の厚さを有するため、本実施の形態の光電変換素子3aのパッシベーション特性がさらに向上され得る。また、窒化シリコンは、窒化シリコンにおける窒素のモル分率が減少するにつれて、窒化シリコンのエネルギーギャップが小さくなるという性質を有する。第1の誘電体層66のうち、最も低い窒素のモル分率を有する第2の領域66sが、光電変換素子3aへの入射光を最も吸収しやすい。第1の誘電体層66の第2の領域66sの厚さを15nm以下とすることによって、第1の誘電体層66における、光電変換素子3aへの入射光の吸収量が少し得て、より多くの光が光電変換素子3a内に入射され得る。
 図5から図12、図39、図41及び図42を参照して、実施の形態6の光電変換素子3aの製造方法は、基本的に、実施の形態5の光電変換素子3の製造方法と同様の工程を備えるが、第1の誘電体層66における窒素のモル分率の変化の態様が異なる。第1の誘電体層66における窒素のモル分率を図41に示されるように変化させるために、例えば、プラズマ化学的気相堆積(CVD)法において、シランガスの流量と、アンモニアまたは窒素のガスの流量との比率を連続的に変化させてもよい。
 本実施の形態の光電変換素子3a及び光電変換モジュール4aの効果について説明する。本実施の形態の光電変換素子3a及び光電変換モジュール4aは、実施の形態5の光電変換素子3及び光電変換モジュール4と同様の効果を有するが、以下の点で異なる。
 本実施の形態の光電変換素子3aにおける第1の誘電体層66は、第1の誘電体層66の第1の部分66aから第1の誘電体層66の第2の部分66bに向かう方向、すなわち第1の誘電体層66の厚さ方向に沿って窒化シリコン中の窒素のモル分率が一定である第2の領域66sをさらに含む。第2の領域66sは、第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aを含む。
 本実施の形態の光電変換素子3aによれば、第1の誘電体層66のうち第1の部分66aを含む領域(第2の領域66s)に、最も小さな窒素のモル分率y1を有する窒化シリコンが厚く形成され得る。窒化シリコンは、窒素のモル分率が減少するとパッシベーション特性が向上するという性質を有する。本実施の形態の光電変換素子3aでは、半導体基板11の第1の表面11aの近くに、高いパッシベーション特性を有する窒化シリコン層がより大きな厚さで形成される。本実施の形態の光電変換素子3aによれば、さらに向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子をが提供され得る。本実施の形態の光電変換モジュール4aによれば、さらに向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子3aを備える光電変換モジュールが提供され得る。
 本実施の形態の光電変換素子3aにおいて、第1の誘電体層66の第1の部分66aを含む第1の誘電体層66の第2の領域66sは、1nm以上15nm以下の厚さを有してもよい。第1の誘電体層66の第1の部分66aを含む第1の誘電体層66の第2の領域66sが1nm以上15nm以下の厚さを有するため、光電変換素子3aのパッシベーション特性がさらに向上され得るとともに、多くの光が光電変換素子3a内に入射され得る。本実施の形態の光電変換素子3aによれば、さらに向上されたパッシベーション特性を有するとともに、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上された光電変換素子が提供され得る。
 (実施の形態7)
 図36、図40、図43及び図44を参照して、実施の形態7の光電変換素子3b及び光電変換モジュール4bについて説明する。本実施の形態の光電変換素子3b及び光電変換モジュール4bは、基本的に、実施の形態5の光電変換素子3及び光電変換モジュール4と同様の構成を備えるが、第1の誘電体層66における窒素のモル分率の変化の態様が異なる。
 図36及び図43を参照して、本実施の形態の光電変換素子3bでは、第1の誘電体層66の第1の領域66fのうち半導体基板11から最も遠い第4の部分から、第1の誘電体層66の第1の領域66fのうち半導体基板11に最も近い第3の部分に向かうにつれて、窒素のモル分率の増加率が減少する。窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に変化する第1の領域66fは、第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aと、第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bとの間にわたる領域であってもよい。第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bから第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aに向かうにつれて、窒素のモル分率の増加率が減少してもよい(図43を参照)。
 図44を参照して、第1の誘電体層66の第1の領域66fの第4の部分から第1の領域66fの第3の部分に向かうにつれて、第1の誘電体層66の屈折率の減少率が減少する。窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に変化する第1の領域66fは、第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aと、第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bとの間にわたる領域であってもよい。第1の誘電体層66のうち半導体基板11から最も遠い第2の部分66bから第1の誘電体層66のうち半導体基板11に最も近い第1の部分66aに向かうにつれて、第1の誘電体層66の屈折率の減少率が減少してもよい。
 図5から図12、図39、図43及び図44を参照して、本実施の形態の光電変換素子3bの製造方法は、基本的に、実施の形態5の光電変換素子3の製造方法と同様の工程を備えるが、第1の誘電体層66における窒素のモル分率の変化の態様が異なる。第1の誘電体層66における窒素のモル分率を図43に示されるように変化させるために、例えば、プラズマ化学的気相堆積(CVD)法において、シランガスの流量と、アンモニアまたは窒素のガスの流量との比率を連続的に変化させてもよい。
 本実施の形態の光電変換素子3b及び光電変換モジュール4bの効果について説明する。本実施の形態の光電変換素子3b及び光電変換モジュール4bは、実施の形態5の光電変換素子3及び光電変換モジュール4と同様の効果を有するが、以下の点で異なる。
 本実施の形態の光電変換素子3bでは、第1の誘電体層66の第1の領域66fのうち半導体基板11から最も遠い第4の部分(第1の誘電体層66の第2の部分66b)から、第1の誘電体層66の第1の領域66fのうち半導体基板11に最も近い第3の部分(第1の誘電体層66の第1の部分66a)に向かうにつれて、窒素のモル分率の増加率は減少する。そのため、本実施の形態の光電変換素子3bによれば、第1の誘電体層66のうち第1の部分66aを含む領域に、比較的小さな窒素のモル分率を有する窒化シリコンが厚く形成され得る。窒化シリコンは、窒素のモル分率が減少するとパッシベーション特性が向上するという性質を有する。本実施の形態の光電変換素子3bでは、半導体基板11の第1の表面11aの近くに、高いパッシベーション特性を有する窒化シリコン層がより大きな厚さで形成される。本実施の形態の光電変換素子3bによれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。本実施の形態の光電変換モジュール4bによれば、さらに向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子3bを備える光電変換モジュールが提供され得る。
 (実施の形態8)
 図45を参照して、実施の形態8の光電変換素子3cについて説明する。本実施の形態の光電変換素子3cは、基本的に、実施の形態5の光電変換素子3と同様の構成を備えるが、以下の点で異なる。
 図45を参照して、本実施の形態の光電変換素子3cは、裏面電極型光電変換素子である。本実施の形態の光電変換素子3cは、実施の形態5の光電変換素子3における、第1の非晶質半導体層13と、第2の非晶質半導体層15と、第1のi型非晶質半導体層12と、第2のi型非晶質半導体層14とに代えて、第1の導電型を有する第1の不純物含有領域33と、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の不純物含有領域35と、第5の誘電体層32とが設けられている。
 半導体基板11は、半導体基板11の第2の表面11bに、第1の導電型を有する第1の不純物含有領域33と、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の不純物含有領域35とを含む。第1の不純物含有領域33は、p型を有してもよいし、n型を有してもよい。本実施の形態では、第1の不純物含有領域33は、p型を有する。第2の不純物含有領域35は、p型を有してもよいし、n型を有してもよい。本実施の形態では、第2の不純物含有領域35は、n型を有する。第1の電極17は、半導体基板11の第2の表面11b上に設けられるとともに、第1の不純物含有領域33と電気的に接続される。第1の電極17はp型電極であってもよい。第2の電極18は、半導体基板11の第2の表面11b上に設けられるとともに、第2の不純物含有領域35と電気的に接続される。第2の電極18はn型電極であってもよい。
 半導体基板11の裏面となる第2の表面11b上に、第5の誘電体層32が設けられてもよい。第5の誘電体層32は、例えば、酸化シリコンまたは窒化シリコン層等で形成されてもよい。半導体基板11の第2の表面11b上に第5の誘電体層32を形成することによって、半導体基板11の第1の表面11a側から入射する光によって半導体基板11内に生成されたキャリアが半導体基板11の第2の表面11bにおいて再結合することが低減され得る。本実施の形態の光電変換素子3cは、さらに向上されたパッシベーション特性を有する。
 本実施の形態の光電変換素子3cでは、実施の形態5の光電変換素子3と同様に、半導体基板11の第1の表面11a上に設けられた第1の誘電体層66は、半導体基板11に最も近い第1の部分66aと、半導体基板11から最も遠い第2の部分66bと、第1の部分66aと第2の部分66bとの間に第1の領域66fを含む。第1の領域66fのうち半導体基板11に最も近い第3の部分から第1の領域66fのうち半導体基板11から最も遠い第4の部分に向かうにつれて、窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に増加する。第1の誘電体層66は、半導体基板11と光電変換素子3の周囲に存在する物質との間の屈折率の変化を緩やかにすることができる。本実施の形態の第1の誘電体層66は、実施の形態6または実施の形態7の第1の誘電体層66と同様の構成を備えてもよい。
 図5、図6、図20から図26、図46及び図47を参照して、本実施の形態の光電変換素子3cの製造方法について説明する。図5、図6及び図20から図26に示される本実施の形態の光電変換素子3cの製造工程は、図5、図6及び図20から図26に示される実施の形態3の光電変換素子1bの製造工程と同様である。図24に示される本実施の形態の光電変換素子3cの製造工程では、例えば、半導体基板11の第2の表面11bの一部を除く半導体基板11の全表面上に、二酸化珪素(SiO2)前駆体を含有するマスキングペーストをスクリーン印刷などの方法によって施し、マスキングペーストを焼結することによって、開口部38aを有する第2の拡散防止マスク38が形成されてもよい。
 それから、図46を参照して、半導体基板11の第1の表面11a上に、窒化シリコンで形成された第1の誘電体層66が形成される。第1の誘電体層66の形成方法は、特に限定されないが、たとえばプラズマ化学的気相堆積(CVD)法であり得る。第1の誘電体層66は、窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に変化する第1の領域66fを含む(図37を参照)。例えば、プラズマ化学的気相堆積(CVD)法において、シランガスの流量と、アンモニアまたは窒素のガスの流量との比率を連続的に変化させることによって、窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に変化する第1の領域66fを含む第1の誘電体層66が形成され得る。
 図47を参照して、第5の誘電体層32に貫通孔32aが形成される。それから、半導体基板11の第2の表面11b上に、第1の電極17及び第2の電極18が形成される。第1の電極17は、貫通孔32a内に形成されて、第1の導電型を有する第1の不純物含有領域33と電気的に接続される。第2の電極18は、貫通孔32a内に形成されて、第2の導電型を有する第2の不純物含有領域35と電気的に接続される。こうして、図45に示される本実施の形態の光電変換素子3cが製造され得る。
 図48を参照して、本実施の形態の光電変換モジュール4cについて説明する。本実施の形態の光電変換モジュール4cは、実施の形態5の光電変換モジュール4と同様の構成を有するが、封止層26と、透明部材28とに加えて、本実施の形態の光電変換素子3cを備える点で異なる。
 本実施の形態の光電変換素子3c及び光電変換モジュール4cの効果について説明する。
 本実施の形態の光電変換素子3cでは、半導体基板11は、半導体基板11の第2の表面11bに、第1の導電型を有する第1の不純物含有領域33と、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の不純物含有領域35とを含んでもよい。第1の電極17は、半導体基板11の第2の表面11b上に設けられるとともに、第1の不純物含有領域33と電気的に接続されてもよい。第2の電極18は、半導体基板11の第2の表面11b上に設けられるとともに、第2の不純物含有領域35と電気的に接続されてもよい。
 本実施の形態の光電変換素子3c及び光電変換モジュール4cは、実施の形態5の光電変換素子3及び光電変換モジュール4と同様の効果を有する。例えば、本実施の形態の光電変換素子3cでは、第1の電極17及び第2の電極18は、光の入射面である半導体基板11の第1の表面11a側に設けられていない。光電変換素子3に入射する光が第1の電極17及び第2の電極18によって遮られない。本実施の形態の光電変換素子3によれば、高い短絡電流JSCが得られ、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。本実施の形態の光電変換モジュール4cによれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上された光電変換素子3cを備える光電変換モジュールが提供され得る。
 (実施の形態9)
 図49を参照して、実施の形態9の光電変換素子3dについて説明する。本実施の形態の光電変換素子3dは、基本的に、実施の形態5の光電変換素子3と同様の構成を備えるが、以下の点で異なる。
 図49を参照して、本実施の形態の光電変換素子3dは、両面電極型光電変換素子である。本実施の形態では、半導体基板11は、第1の導電型を有する。第1の導電型はp型であってもよい。半導体基板11は、p型の多結晶シリコン基板またはp型の単結晶シリコン基板であってもよい。
 半導体基板11の第2の表面11b上に、第6の誘電体層41及び第7の誘電体層42の少なくとも1つが設けられてもよい。本実施の形態では、半導体基板11の第2の表面11b上に、第6の誘電体層41及び第7の誘電体層42が設けられ、第6の誘電体層41上に、第7の誘電体層42が設けられている。第6の誘電体層41は、酸化シリコンであってもよい。第7の誘電体層42は、窒化シリコンであってもよい。半導体基板11の第2の表面11b上に第6の誘電体層41及び第7の誘電体層42の少なくとも1つを形成することによって、半導体基板11の第1の表面11a側から入射する光によって半導体基板11内に生成されたキャリアが半導体基板11の第2の表面11bにおいて再結合することが低減され得る。本実施の形態の光電変換素子3dは、さらに向上されたパッシベーション特性を有する。
 半導体基板11は、半導体基板11の第1の表面11aに、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の不純物含有領域45を含んでもよい。第2の導電型はn型であってもよい。
 半導体基板11の第2の表面11b上に、第1の電極17が設けられてもよい。第1の電極17は、第1の導電型を有する半導体基板11と電気的に接続される。第1の電極17は、アルミニウム(Al)で形成されてもよい。半導体基板11の第1の表面11a上に、第2の電極18が設けられてもよい。第2の電極18は、第2の導電型を有する第2の不純物含有領域45と電気的に接続される。第2の電極18は、銀(Ag)で形成されてもよい。
 半導体基板11は、半導体基板11の第2の表面11bに、第1の導電型を有する不純物を半導体基板11よりも多く含む第1の不純物含有領域43をさらに含んでもよい。第1の不純物含有領域43は、半導体基板11の第2の表面11bのうち第1の電極17に対応する領域に形成されてもよい。第1の不純物含有領域43はp型を有してもよい。
 第1の不純物含有領域43は第1の導電型を有する不純物を半導体基板11よりも多く含むため、第1の不純物含有領域43は、裏面電界層として機能してもよい。半導体基板11と第1の不純物含有領域43との界面において第1のエネルギーバンド(例えば伝導帯)に形成された障壁と電界とによって、半導体基板11と第1の不純物含有領域43との界面に近づく半導体基板11中の少数キャリア(例えば電子)は、半導体基板11の内部に押し戻される。半導体基板11の第2の表面11bにおいて、半導体基板11中の少数キャリアと多数キャリア(例えば正孔)とが再結合することが抑制され得る。半導体基板11と第1の不純物含有領域43との界面において第2のエネルギーバンド(例えば価電子帯)に形成される電界によって、半導体基板11中の多数キャリアを高い効率で第1の電極17に導くことができる。
 本実施の形態では、実施の形態5と同様に、半導体基板11の第1の表面11a上に設けられた第1の誘電体層66は、半導体基板11に最も近い第1の部分66aと、半導体基板11から最も遠い第2の部分66bと、第1の部分66aと第2の部分66bとの間に第1の領域66fを含む。第1の領域66fのうち半導体基板11に最も近い第3の部分から第1の領域66fのうち半導体基板11から最も遠い第4の部分に向かうにつれて、窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に増加する。第1の誘電体層66は、半導体基板11と光電変換素子3の周囲に存在する物質との間の屈折率の変化を緩やかにすることができる。本実施の形態の第1の誘電体層66は、実施の形態6または実施の形態7の第1の誘電体層66と同様の構成を備えてもよい。
 図5、図6、図31、図32、図50及び図51を参照して、本実施の形態の光電変換素子3dの製造方法について説明する。図5、図6、図31及び図32に示される本実施の形態の光電変換素子3dの製造工程は、図5、図6、図31及び図32に示される実施の形態4の光電変換素子1cの製造工程と同様である。
 それから、図50を参照して、半導体基板11の第1の表面11a上に、窒化シリコンで形成された第1の誘電体層66が形成される。第1の誘電体層66の形成方法は、特に限定されないが、たとえばプラズマ化学的気相堆積(CVD)法であり得る。第1の誘電体層66は、窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に変化する第1の領域66fを含む(図37を参照)。例えば、プラズマ化学的気相堆積(CVD)法において、シランガスの流量と、アンモニアまたは窒素のガスの流量との比率を連続的に変化させることによって、窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に変化する第1の領域66fを含む第1の誘電体層66が形成され得る。
 図51を参照して、半導体基板11の第2の表面11b上に、第1の電極前駆体17aが形成されるとともに、半導体基板11の第1の表面11a上に、第2の電極前駆体18aが形成される。特定的には、第7の誘電体層42上に、第1の電極前駆体17aが形成されるとともに、第1の誘電体層66上に、第2の電極前駆体18aが形成される。
 第1の電極前駆体17aは、半導体基板11に対してオーミックコンタクトをとることができる第1の金属を含むペーストを塗布することによって形成されてもよい。半導体基板11に対してオーミックコンタクトをとることができる第1の金属として、アルミニウム(Al)、銀(Ag)およびチタン(Ti)が例示され得る。本実施の形態では、第1の電極前駆体17aは、第1の金属として、アルミニウム(Al)を含む。
 第2の電極前駆体18aは、第2の導電型を有する第2の不純物含有領域45に対してオーミックコンタクトをとることができる第2の金属を含むペーストを塗布することによって形成されてもよい。第2の不純物含有領域45に対してオーミックコンタクトをとることができる第2の金属として、銀(Ag)およびチタン(Ti)が例示され得る。本実施の形態では、第2の電極前駆体18aは、第2の金属として、銀(Ag)を含む。
 第1の電極前駆体17a及び第2の電極前駆体18aが形成された半導体基板11を、例えば、500~800℃の温度で熱処理することによって、第1の電極前駆体17a及び第2の電極前駆体18aが焼成されて、第1の電極17及び第2の電極18が形成される。この熱処理によって、半導体基板11に対してオーミックコンタクトをとることができる第1の金属が第6の誘電体層41及び第7の誘電体層42を貫通して(ファイアスルー)、第1の電極17は、半導体基板11と電気的に接続される。また、この熱処理によって、半導体基板11に対してオーミックコンタクトをとることができる第2の金属が第1の誘電体層66を貫通して(ファイアスルー)、第2の電極18は、第2の不純物含有領域45と電気的に接続される。
 半導体基板11に対してオーミックコンタクトをとることができる第1の金属が第6の誘電体層41及び第7の誘電体層42を貫通する際、半導体基板11に対してオーミックコンタクトをとることができる第1の金属が半導体基板11に拡散されて、半導体基板11の第2の表面11bに、第1の導電型を有する第1の不純物含有領域43が形成されてもよい。第1の不純物含有領域43は、半導体基板11よりも、多くの第1の導電型を有する不純物を含む。第1の不純物含有領域43は、裏面電界層として機能してもよい。こうして、図49に示される本実施の形態の光電変換素子3dが製造され得る。
 図52を参照して、本実施の形態の光電変換モジュール4dについて説明する。本実施の形態の光電変換モジュール4dは、実施の形態5の光電変換モジュール4と同様の構成を有するが、封止層26と、透明部材28とに加えて、本実施の形態の光電変換素子3dを備える点で異なる。
 本実施の形態の光電変換素子3d及び光電変換モジュール4dの効果について説明する。
 本実施の形態の光電変換素子3dでは、第1の電極17は、半導体基板11の第2の表面11b上に設けられるとともに、第1の導電型を有する半導体基板11と電気的に接続されてもよい。半導体基板11は、半導体基板11の第1の表面11aに、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の不純物含有領域45を含んでもよい。第2の電極18は、半導体基板11の第1の表面11a上に設けられるとともに、第2の不純物含有領域45と電気的に接続されてもよい。本実施の形態の光電変換素子3d及び光電変換モジュール4dでは、実施の形態5の光電変換素子3及び光電変換モジュール4と同様に、半導体基板11の第1の表面11a上に設けられた第1の誘電体層66は、窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に変化する第1の領域66fを含む。本実施の形態の光電変換素子3dによれば、入射光に対してさらに低減された反射率を有するとともに、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。本実施の形態の光電変換モジュール4dによれば、入射光に対してさらに低減された反射率を有するとともに、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子3dを備える光電変換モジュールが提供され得る。
 本実施の形態の光電変換素子3dでは、半導体基板11は、半導体基板11の第2の表面11bに、第1の導電型を有する第1の不純物含有領域43をさらに含んでもよい。第1の不純物含有領域43は第1の導電型を有する不純物を半導体基板11よりも多く含むため、第1の不純物含有領域43は、裏面電界層として機能することができる。半導体基板11と第1の不純物含有領域43との界面において第1のエネルギーバンド(例えば伝導帯)に形成された障壁と電界とによって、半導体基板11と第1の不純物含有領域43との界面に近づく半導体基板11中の少数キャリア(例えば電子)は、半導体基板11の内部に押し戻される。半導体基板11の第2の表面11bにおいて、半導体基板11中の少数キャリアと多数キャリア(例えば正孔)とが再結合することが抑制され得る。半導体基板11と第1の不純物含有領域43との界面において第2のエネルギーバンド(例えば価電子帯)に形成される電界によって、半導体基板11中の多数キャリアを第1の電極17へ高い効率で導くことができる。本実施の形態の光電変換素子3dは、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。本実施の形態の光電変換モジュール4dによれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上された光電変換素子3dを備える光電変換モジュールが提供され得る。
 [付記]
 (1)ここで開示された実施形態の光電変換素子は、第1の表面と第1の表面と反対側の第2の表面とを有する半導体基板と、半導体基板の第1の表面上に設けられる複合誘電体層とを備える。複合誘電体層は、各々が窒化シリコンで形成された3層以上の誘電体層を含む。ここで開示された実施形態の光電変換素子は、さらに、第1の電極と、第2の電極とを備える。複合誘電体層中の互いに隣接する一組の誘電体層の各々において、半導体基板側に位置する一方の誘電体層は、半導体基板側とは反対側に位置する他方の誘電体層よりも小さな、窒化シリコン中の窒素のモル分率を有する。
 ここで開示された実施形態の光電変換素子は、半導体基板の第1の表面上に、より多くの層数の誘電体層を備える。そのため、ここで開示された実施形態の光電変換素子では、互いに隣接する2つの誘電体層の間の屈折率差を小さくすることができる。ここで開示された実施形態の光電変換素子は、入射光に対してさらに低減された反射率を有し、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 ここで開示された実施形態の光電変換素子は、半導体基板の第1の表面上に、より多くの層数の窒化シリコンで形成された誘電体層を備える。基板上に積層される窒化シリコン層の層数を増やすと、窒化シリコン層のパッシベーション特性が向上する。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 ここで開示された実施形態の光電変換素子は、半導体基板の第1の表面の近くに、より多くの層数の、小さな窒素のモル分率を有する窒化シリコンで形成された誘電体層を備え得る。窒化シリコンは、窒素のモル分率が減少するとパッシベーション特性が向上するという性質を有する。ここで開示された実施形態の光電変換素子では、半導体基板の第1の表面の近くに、高いパッシベーション特性を有する窒化シリコン層がより大きな厚さで形成される。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 ここで開示された実施形態の光電変換素子は、互いに隣接する2つの誘電体層の間の屈折率差を小さくすることができる。そのため、ここで開示された実施形態の光電変換素子では、入射光に対する光電変換素子の反射率を大きく増加させることなく、複合誘電体層のうち半導体基板に最も近い第1の誘電体層の窒化シリコン中の窒素のモル分率が低くなり得る。窒化シリコンは、窒素のモル分率が減少するとパッシベーション特性が向上するという性質を有する。ここで開示された実施形態の光電変換素子では、半導体基板の第1の表面の近くに、高いパッシベーション特性を有する窒化シリコン層が形成され得る。ここで開示された実施の形態の光電変換素子によれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 (2)ここで開示された実施形態の光電変換素子では、複合誘電体層中の窒素のモル分率は、半導体基板に近づくにつれて、階段状に減少してもよい。ここで開示された実施形態の光電変換素子では、互いに隣接する2つの誘電体層の間の屈折率差を小さくすることができる。ここで開示された実施形態の光電変換素子は、入射光に対してさらに低減された反射率を有し、光電変換素子において光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 複合誘電体層を備えるここで開示された実施形態の光電変換素子は、多くの層数の窒化シリコンで形成された誘電体層を備える。基板上に積層される窒化シリコン層の層数を増やすと、窒化シリコン層のパッシベーション特性が向上する。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 ここで開示された実施形態の光電変換素子では、半導体基板の第1の表面の近くに、高いパッシベーション特性を有する窒化シリコン層がより大きな厚さで形成され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 ここで開示された実施形態の光電変換素子では、互いに隣接する2つの誘電体層の間の屈折率差を小さくすることができるため、入射光に対する光電変換素子の反射率を大きく増加させることなく、複合誘電体層のうち半導体基板に最も近い第1の誘電体層の窒化シリコン中の窒素のモル分率が低くなり得る。そのため、ここで開示された実施形態の光電変換素子では、半導体基板の第1の表面の近くに、高いパッシベーション特性を有する窒化シリコン層が形成され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 (3)ここで開示された実施形態の光電変換素子において、複合誘電体層のうち半導体基板に最も近い第1の誘電体層における窒素のモル分率は、0.20以下であってもよい。第1の誘電体層における窒素のモル分率を0.20以下とすることによって、第1の誘電体層の屈折率が、半導体基板の屈折率に近づき得る。第1の誘電体層と半導体基板との界面において、光電変換素子に入射する光が反射することが抑制され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子は、入射光に対してさらに低減された反射率を有し、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率をさらに向上させることができる。
 窒化シリコンは、窒素のモル分率が減少するとパッシベーション特性が向上するという性質を有する。複合誘電体層のうち半導体基板に最も近い第1の誘電体層における窒素のモル分率を0.20以下とすることによって、光電変換素子のパッシベーション特性がさらに向上され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 (4)ここで開示された実施形態の光電変換素子において、第1の誘電体層の厚さは、複合誘電体層に含まれる他の各誘電体層の厚さよりも薄くてもよい。窒化シリコンは、窒化シリコンにおける窒素のモル分率が減少するにつれて、窒化シリコンのエネルギーギャップが小さくなるという性質を有する。複合誘電体層のうち、最も低い窒素のモル分率を有する第1の誘電体層が、光電変換素子への入射光を最も吸収しやすい。第1の誘電体層の厚さを、複合誘電体層に含まれる他の各誘電体層の厚さよりも薄くすることによって、光電変換素子への入射光が複合誘電体層で吸収されることが抑制され得て、より多くの光が光電変換素子内に入射され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 (5)ここで開示された実施形態の光電変換素子において、複合誘電体層のうち半導体基板に最も近い第1の誘電体層は、1nm以上15nm以下の厚さを有してもよい。第1の誘電体層が1nm以上15nm以下の厚さを有するため、光電変換素子のパッシベーション特性がさらに向上され得るとともに、多くの光が光電変換素子内に入射され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたパッシベーション特性を有するとともに、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上された光電変換素子が提供され得る。
 (6)ここで開示された実施形態の光電変換素子において、複合誘電体層のうち半導体基板から最も遠い第2の誘電体層における窒素のモル分率は、0.38以上であってもよい。第2の誘電体層における窒素のモル分率を0.38以上とすることによって、第2の誘電体層の屈折率が、光電変換素子の周囲に存在する物質の屈折率に近づき得る。第2の誘電体層と光電変換素子の周囲に存在する物質との界面において、光電変換素子に入射する光が反射することが抑制され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子は、入射光に対してさらに低減された反射率を有し、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率をさらに向上させることができる。
 (7)ここで開示された実施形態の光電変換素子において、複合誘電体層は、各々が窒化シリコンで形成された4層以上の誘電体層であってもよい。ここで開示された実施形態の光電変換素子における複合誘電体層は、より多くの層数の誘電体層を有する。そのため、ここで開示された実施形態の光電変換素子では、互いに隣接する2つの誘電体層の間の屈折率差をさらに小さくすることができる。ここで開示された実施形態の光電変換素子は、入射光に対してさらに低減された反射率を有し、光電変換素子において光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率をさらに向上させることができる。
 ここで開示された実施形態の光電変換素子は、さらに多くの層数の窒化シリコンで形成された誘電体層を有する。基板上に積層される窒化シリコン層の層数を増やすと、窒化シリコン層のパッシベーション特性が向上する。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 ここで開示された実施形態の光電変換素子における複合誘電体層は、より多くの層数の、小さな窒素のモル分率を有する窒化シリコンで形成された誘電体層を含み得る。窒化シリコンは、窒素のモル分率が減少するとパッシベーション特性が向上するという性質を有する。ここで開示された実施形態の光電変換素子では、半導体基板の第1の表面の近くに、高いパッシベーション特性を有する窒化シリコン層がさらに大きな厚さで形成され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 ここで開示された実施形態の光電変換素子は、互いに隣接する2つの誘電体層の間の屈折率差をさらに小さくすることができる。そのため、入射光に対する光電変換素子の反射率を大きく増加させることなく、複合誘電体層のうち半導体基板に最も近い第1の誘電体層の窒化シリコン中の窒素のモル分率が低くなり得る。窒化シリコンは、窒素のモル分率が減少するとパッシベーション特性が向上するという性質を有する。ここで開示された実施形態の光電変換素子では、半導体基板の第1の表面の近くに、高いパッシベーション特性を有する窒化シリコン層が形成され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 (8)ここで開示された実施形態の光電変換素子は、半導体基板の第2の表面上に設けられるとともに、第1の導電型を有する第1の非晶質半導体層と、半導体基板の第2の表面上に設けられるとともに、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の非晶質半導体層とをさらに備えてもよい。第1の電極は、半導体基板の第2の表面上に設けられるとともに、第1の非晶質半導体層と電気的に接続されてもよい。第2の電極は、半導体基板の第2の表面上に設けられるとともに、第2の非晶質半導体層と電気的に接続されてもよい。ここで開示された実施形態の光電変換素子では、第1の電極及び第2の電極は、光の入射面である半導体基板の第1の表面側に設けられていない。光電変換素子に入射する光が第1の電極及び第2の電極によって遮られない。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、高い短絡電流JSCが得られ、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 また、ここで開示された実施形態の光電変換素子では、半導体基板は、非晶質半導体層(第1の非晶質半導体層及び第2の非晶質半導体層)と接してもよい。そのため、半導体基板の第1の表面側から入射する光によって半導体基板内に生成されたキャリアが半導体基板の第2の表面において再結合することが低減され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたパッシベーション特性と高い開放電圧VOCとを有する光電変換素子が提供され得る。
 (9)ここで開示された実施形態の光電変換素子は、半導体基板と第1の非晶質半導体層との間に第1のi型非晶質半導体層をさらに備えてもよい。ここで開示された実施形態の光電変換素子1では、半導体基板は、非晶質半導体層(第1のi型非晶質半導体層)と接してもよい。そのため、半導体基板の第1の表面側から入射する光によって半導体基板内に生成されたキャリアが半導体基板の第2の表面において再結合することが低減され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたパッシベーション特性と高い開放電圧VOCとを有する光電変換素子が提供され得る。
 (10)ここで開示された実施形態の光電変換素子は、半導体基板と第2の非晶質半導体層との間に第2のi型非晶質半導体層をさらに備えてもよい。ここで開示された実施形態の光電変換素子では、半導体基板は、非晶質半導体層(第2のi型非晶質半導体層)と接してもよい。そのため、半導体基板の第1の表面側から入射する光によって半導体基板内に生成されたキャリアが半導体基板の第2の表面において再結合することが低減され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたパッシベーション特性と高い開放電圧VOCとを有する光電変換素子が提供され得る。また、ここで開示された実施形態の光電変換素子では、第1の非晶質半導体層と第2の非晶質半導体層とは、第2のi型非晶質半導体層によって分離されてもよく、第1の非晶質半導体層は第2の非晶質半導体層に接しなくてもよい。そのため、ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 (11)ここで開示された実施形態の光電変換素子では、半導体基板は、半導体基板の第2の表面に、第1の導電型を有する第1の不純物含有領域と、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の不純物含有領域とを含んでもよい。第1の電極は、半導体基板の第2の表面上に設けられるとともに、第1の不純物含有領域と電気的に接続されてもよい。第2の電極は、半導体基板の第2の表面上に設けられるとともに、第2の不純物含有領域と電気的に接続されてもよい。ここで開示された実施形態の光電変換素子では、第1の電極及び第2の電極は、光の入射面である半導体基板の第1の表面側に設けられていない。光電変換素子に入射する光が第1の電極及び第2の電極によって遮られない。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、高い短絡電流JSCが得られ、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 (12)ここで開示された実施形態の光電変換素子では、第1の電極は、半導体基板の第2の表面上に設けられるとともに、第1の導電型を有する半導体基板と電気的に接続されてもよい。半導体基板は、半導体基板の第1の表面に、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の不純物含有領域を含んでもよい。第2の電極は、半導体基板の第1の表面上に設けられるとともに、第2の不純物含有領域と電気的に接続されてもよい。ここで開示された実施形態の光電変換素子は、3層以上の誘電体層を含む複合誘電体層を半導体基板の第1の表面上に備える。そのため、ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、入射光に対してさらに低減された反射率を有するとともに、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 (13)ここで開示された実施形態の光電変換素子では、半導体基板は、半導体基板の第2の表面に、第1の導電型を有する不純物を半導体基板よりも多く含む第1の不純物含有領域をさらに含んでもよい。第1の不純物含有領域は第1の導電型を有する不純物を半導体基板よりも多く含むため、第1の不純物含有領域は、裏面電界層として機能することができる。半導体基板と第1の不純物含有領域との界面において第1のエネルギーバンドに形成された障壁と電界とによって、半導体基板と第1の不純物含有領域との界面に近づく半導体基板中の少数キャリアは、半導体基板の内部に押し戻される。半導体基板の第2の表面において、半導体基板中の少数キャリアと多数キャリアとが再結合することが抑制され得る。半導体基板と第1の不純物含有領域との界面において第2のエネルギーバンドに形成される電界によって、半導体基板中の多数キャリアを第1の電極へ高い効率で導くことができる。ここで開示された実施形態の光電変換素子は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 (14)ここで開示された実施形態の光電変換素子では、半導体基板の第1の表面に、第1の表面における光反射率を低下させる凹凸構造が設けられてもよい。光の入射面である半導体基板の第1の表面上に凹凸構造を設けることによって、より多くの光が光電変換素子内に入射され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 (15)ここで開示された実施形態の光電変換モジュールは、以上に述べた光電変換素子と、複合誘電体層上に設けられた封止層と、封止層上に設けられた透明部材とを備える。ここで開示された実施形態の光電変換モジュールが備える光電変換素子は、3層以上の誘電体層を含む複合誘電体層を半導体基板の第1の表面上に備える。そのため、ここで開示された実施形態の光電変換モジュールによれば、向上されたパッシベーション特性を有するとともに、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子を備える光電変換モジュールが提供され得る。
 (16)ここで開示された実施形態の光電変換モジュールでは、封止層の屈折率は、複合誘電体層のうち半導体基板から最も遠い第2の誘電体層の屈折率よりも小さくてもよい。封止層の屈折率を、複合誘電体層のうち半導体基板から最も遠い第2の誘電体層の屈折率よりも小さくすることによって、半導体基板と封止層との間の屈折率の変化が緩やかになり得る。ここで開示された実施形態の光電変換モジュールによれば、入射光に対する反射率をさらに低減することができ、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 (17)ここで開示された実施形態の光電変換素子は、第1の表面と第1の表面と反対側の第2の表面とを有する半導体基板と、半導体基板の第1の表面上に設けられるとともに、窒化シリコンで形成された誘電体層とを備える。誘電体層のうち半導体基板に最も近い第1の部分は、誘電体層において最も小さな窒化シリコン中の窒素のモル分率を有する。誘電体層のうち半導体基板から最も遠い第2の部分は、誘電体層において最も大きな窒化シリコン中の窒素のモル分率を有する。誘電体層は、第1の部分と第2の部分との間に第1の領域を含む。第1の領域のうち半導体基板に最も近い第3の部分から第1の領域のうち半導体基板から最も遠い第4の部分に向かうにつれて、窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に増加する。
 誘電体層は、窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に変化する第1の領域を含むため、誘電体層は、半導体基板と光電変換素子の周囲に存在する物質との間の屈折率の変化を緩やかにすることができる。ここで開示された実施形態の光電変換素子は、入射光に対してさらに低減された反射率を有し、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 また、ここで開示された実施形態の光電変換素子の誘電体層は、半導体基板と光電変換素子の周囲に存在する物質との間の屈折率の変化を緩やかにすることができるため、入射光に対する光電変換素子の反射率を大きく増加させることなく、誘電体層のうち半導体基板に最も近い第1の部分の窒化シリコン中の窒素のモル分率が低くなり得る。窒化シリコンは、窒素のモル分率が減少するとパッシベーション特性が向上するという性質を有する。ここで開示された実施形態の光電変換素子では、半導体基板の第1の表面の近くに、高いパッシベーション特性を有する窒化シリコン層が形成され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 ここで開示された実施形態の光電変換素子では、誘電体層は、窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に変化する第1の領域を含む。第1の領域は、各々が微小厚さを有するとともに、窒素のモル分率が互いに異なる、非常に多数の窒化シリコン層が積層された複合誘電体層であると近似的にみなすことができる。基板上に積層される窒化シリコン層の層数を増やすと、窒化シリコン層のパッシベーション特性が向上する。そのため、第1の領域を含む誘電体層は、向上されたパッシベーション特性を有する。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 (18)ここで開示された実施形態の光電変換素子において、誘電体層の第1の部分における窒素のモル分率は、0.20以下であってもよい。誘電体層の第1の部分における窒素のモル分率を0.20以下とすることによって、誘電体層のうち半導体基板に最も近い第1の部分の屈折率が、半導体基板の屈折率に近づき得る。誘電体層の第1の部分と半導体基板の第1の表面との界面において、光電変換素子に入射する光が反射することが抑制され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子は、入射光に対してさらに低減された反射率を有し、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率をさらに向上させることができる。
 また、窒化シリコンは、窒素のモル分率が減少するとパッシベーション特性が向上するという性質を有する。誘電体層のうち半導体基板に最も近い第1の部分における窒素のモル分率を0.20以下とすることによって、光電変換素子のパッシベーション特性がさらに向上され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 (19)ここで開示された実施形態の光電変換素子において、誘電体層の第2の部分における窒素のモル分率は、0.38以上であってもよい。誘電体層の第2の部分における窒素のモル分率を0.38以上とすることによって、誘電体層のうち半導体基板から最も遠い第2の部分の屈折率が、光電変換素子の周囲に存在する物質の屈折率に近づき得る。誘電体層の第2の部分と光電変換素子の周囲に存在する物質との界面において、光電変換素子に入射する光が反射することが抑制され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子は、入射光に対してさらに低減された反射率を有し、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率をさらに向上させることができる。
 (20)ここで開示された実施形態の光電変換素子において、誘電体層は、誘電体層の第1の部分から誘電体層の第2の部分に向かう方向、すなわち誘電体層の厚さ方向に沿って窒化シリコン中の窒素のモル分率が一定である第2の領域をさらに含んでもよい。第2の領域は誘電体層の第1の部分を含んでもよい。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、誘電体層のうち第1の部分を含む領域に、最も小さな窒素のモル分率を有する窒化シリコンが厚く形成され得る。窒化シリコンは、窒素のモル分率が減少するとパッシベーション特性が向上するという性質を有する。ここで開示された実施形態の光電変換素子では、半導体基板の第1の表面の近くに、高いパッシベーション特性を有する窒化シリコン層がより大きな厚さで形成される。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 (21)ここで開示された実施形態の光電変換素子において、誘電体層の第2の領域は、1nm以上15nm以下の厚さを有してもよい。誘電体層の第2の領域が1nm以上15nm以下の厚さを有するため、光電変換素子のパッシベーション特性がさらに向上され得るとともに、多くの光が光電変換素子内に入射され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子の光電変換素子によれば、さらに向上されたパッシベーション特性を有するとともに、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上された光電変換素子が提供され得る。
 (22)ここで開示された実施形態の光電変換素子において、第1の領域の第4の部分から第1の領域の第3の部分に向かうにつれて、窒素のモル分率の増加率が減少してもよい。誘電体層の第1の領域のうち半導体基板から最も遠い第4の部分から誘電体層の第1の領域のうち半導体基板に最も近い第3の部分に向かうにつれて、窒素のモル分率の増加率が減少するため、誘電体層のうち第1の部分を含む領域に、比較的小さな窒素のモル分率を有する窒化シリコンが厚く形成され得る。窒化シリコンは、窒素のモル分率が減少するとパッシベーション特性が向上するという性質を有する。ここで開示された実施形態の光電変換素子では、半導体基板の第1の表面の近くに、高いパッシベーション特性を有する窒化シリコン層がより大きな厚さで形成され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 (23)ここで開示された実施形態の光電変換素子は、半導体基板の第2の表面上に設けられるとともに、第1の導電型を有する第1の非晶質半導体層と、半導体基板の第2の表面上に設けられるとともに、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の非晶質半導体層とをさらに備えてもよい。第1の電極は、半導体基板の第2の表面上に設けられるとともに、第1の非晶質半導体層と電気的に接続されてもよい。第2の電極は、半導体基板の第2の表面上に設けられるとともに、第2の非晶質半導体層と電気的に接続されてもよい。
 ここで開示された実施形態の光電変換素子では、第1の電極及び第2の電極は、光の入射面である半導体基板の第1の表面側に設けられていない。光電変換素子に入射する光が第1の電極及び第2の電極によって遮られない。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、高い短絡電流JSCが得られ、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 また、ここで開示された実施形態の光電変換素子では、半導体基板は、非晶質半導体層(第1の非晶質半導体層及び第2の非晶質半導体層)と接してもよい。そのため、半導体基板の第1の表面側から入射する光によって半導体基板内に生成されたキャリアが半導体基板の第2の表面において再結合することが低減され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたパッシベーション特性と高い開放電圧VOCとを有する光電変換素子が提供され得る。
 (24)ここで開示された実施形態の光電変換素子は、半導体基板と第1の非晶質半導体層との間に第1のi型非晶質半導体層をさらに備えてもよい。ここで開示された実施形態の光電変換素子3では、半導体基板は、非晶質半導体層(第1のi型非晶質半導体層)と接してもよい。そのため、半導体基板の第1の表面側から入射する光によって半導体基板内に生成されたキャリアが半導体基板の第2の表面において再結合することが低減され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたパッシベーション特性と高い開放電圧VOCとを有する光電変換素子が提供され得る。
 (25)ここで開示された実施形態の光電変換素子は、半導体基板と第2の非晶質半導体層との間に第2のi型非晶質半導体層をさらに備えてもよい。ここで開示された実施形態の光電変換素子では、半導体基板は、非晶質半導体層(第2のi型非晶質半導体層)と接してもよい。そのため、半導体基板の第1の表面側から入射する光によって半導体基板内に生成されたキャリアが半導体基板の第2の表面において再結合することが低減され得る。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたパッシベーション特性と高い開放電圧VOCとを有する光電変換素子が提供され得る。
 また、ここで開示された実施形態の光電変換素子では、第1の非晶質半導体層と第2の非晶質半導体層とは、第2のi型非晶質半導体層によって分離されてもよく、第1の非晶質半導体層は第2の非晶質半導体層に接しなくてもよい。そのため、ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 (26)ここで開示された実施形態の光電変換素子では、半導体基板は、半導体基板の第2の表面に、第1の導電型を有する第1の不純物含有領域と、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の不純物含有領域とを含んでもよい。第1の電極は、半導体基板の第2の表面上に設けられるとともに、第1の不純物含有領域と電気的に接続されてもよい。第2の電極は、半導体基板の第2の表面上に設けられるとともに、第2の不純物含有領域と電気的に接続されてもよい。ここで開示された実施形態の光電変換素子では、第1の電極及び第2の電極は、光の入射面である半導体基板の第1の表面側に設けられていない。光電変換素子に入射する光が第1の電極及び第2の電極によって遮られない。ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、高い短絡電流JSCが得られ、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 (27)ここで開示された実施形態の光電変換素子では、第1の電極は、半導体基板の第2の表面上に設けられるとともに、第1の導電型を有する半導体基板と電気的に接続されてもよい。半導体基板は、半導体基板の第1の表面に、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2の不純物含有領域を含んでもよい。第2の電極は、半導体基板の第1の表面上に設けられるとともに、第2の不純物含有領域と電気的に接続されてもよい。ここで開示された実施形態の光電変換素子では、半導体基板の第1の表面上に設けられた誘電体層は、窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に変化する第1の領域を含む。そのため、ここで開示された実施形態の光電変換素子によれば、入射光に対してさらに低減された反射率を有するとともに、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子が提供され得る。
 (28)ここで開示された実施形態の光電変換素子では、半導体基板は、半導体基板の第2の表面に、第1の導電型を有する不純物を半導体基板よりも多く含む第1の不純物含有領域をさらに含んでもよい。第1の不純物含有領域は第1の導電型を有する不純物を半導体基板よりも多く含むため、第1の不純物含有領域は、裏面電界層として機能することができる。半導体基板と第1の不純物含有領域との界面において第1のエネルギーバンドに形成された障壁と電界とによって、半導体基板と第1の不純物含有領域との界面に近づく半導体基板中の少数キャリアは、半導体基板の内部に押し戻される。半導体基板の第2の表面において、半導体基板中の少数キャリアと多数キャリアとが再結合することが抑制され得る。半導体基板と第1の不純物含有領域との界面において第2のエネルギーバンドに形成される電界によって、半導体基板中の多数キャリアを第1の電極へ高い効率で導くことができる。ここで開示された実施形態の光電変換素子は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 (29)ここで開示された実施形態の光電変換素子では、半導体基板の第1の表面に、第1の表面における光反射率を低下させる凹凸構造が設けられてもよい。光の入射面である半導体基板の第1の表面上に凹凸構造を設けることによって、より多くの光が光電変換素子内に入射され得る。ここで開示された実施形態実施の形態の光電変換素子によれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 (30)ここで開示された実施形態の光電変換モジュールは、以上に述べた光電変換素子と、誘電体層上に設けられた封止層と、封止層上に設けられた透明部材とを備える。そのため、ここで開示された実施形態の光電変換モジュールによれば、入射光に対する反射率をさらに低減することができるとともに、向上されたパッシベーション特性を有する光電変換素子を備える光電変換モジュールが提供され得る。
 (31)ここで開示された実施形態の光電変換モジュールでは、封止層の屈折率は、誘電体層の第2の部分の屈折率よりも小さくてもよい。封止層の屈折率を、誘電体層の第2の部分の屈折率よりも小さくすることによって、半導体基板と封止層との間の屈折率の変化が緩やかになり得る。ここで開示された実施形態の光電変換モジュールによれば、入射光に対する反射率をさらに低減することができ、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 (32)ここで開示された実施形態の光電変換モジュールでは、透明部材の屈折率は、封止層の屈折率よりも小さくてもよい。透明部材の屈折率を封止層の屈折率よりも小さくすることによって、半導体基板と透明部材の変化が緩やかになり得る。ここで開示された実施形態の光電変換モジュールによれば、入射光に対する反射率をさらに低減することができ、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
 今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。例えば、実施の形態1及び実施の形態2の1つの変形例では、半導体基板11、第1の非晶質半導体層13、第2の非晶質半導体層15は、それぞれ、p型半導体基板、n型非晶質半導体層、p型非晶質半導体層であってもよい。実施の形態3の1つの変形例では、半導体基板11、第1の不純物含有領域33、第2の不純物含有領域35は、それぞれ、p型半導体基板、n型の不純物含有領域、p型の不純物含有領域であってもよい。実施の形態4の1つの変形例では、半導体基板11、第1の不純物含有領域43、第2の不純物含有領域45は、それぞれ、n型半導体基板、n型の不純物含有領域、p型の不純物含有領域であってもよい。実施の形態3及び4の別の変形例では、複合誘電体層16は、3層以上の誘電体層であってもよい。実施の形態5から実施の形態7の1つの変形例では、半導体基板11、第1の非晶質半導体層13、第2の非晶質半導体層15は、それぞれ、p型半導体基板、n型非晶質半導体層、p型非晶質半導体層であってもよい。実施の形態8の1つの変形例では、半導体基板11、第1の不純物含有領域33、第2の不純物含有領域35は、それぞれ、p型半導体基板、n型の不純物含有領域、p型の不純物含有領域であってもよい。実施の形態9の1つの変形例では、半導体基板11、第1の不純物含有領域43、第2の不純物含有領域45は、それぞれ、n型半導体基板、n型の不純物含有領域、p型の不純物含有領域であってもよい。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
 1,1a,1b,1c,3,3a,3b,3c,3d 光電変換素子、2,2a,2b,2c,4,4a,4b,4c,4d 光電変換モジュール、11 半導体基板、11a 第1の表面、11b 第2の表面、12 第1のi型非晶質半導体層、13 第1の非晶質半導体層、14 第2のi型非晶質半導体層、15 第2の非晶質半導体層、16 複合誘電体層、16a 第1の誘電体層、16b 第2の誘電体層、16c 第3の誘電体層、16d 第4の誘電体層、17 第1の電極、17a 第1の電極前駆体、18 第2の電極、18a 第2の電極前駆体、21 エッチングペースト、23 エッチングマスク、26 封止層、28 透明部材、32 第5の誘電体層、32a 貫通孔、33,43 第1の不純物含有領域、35,45 第2の不純物含有領域、36 第1の拡散防止マスク、36a 開口部、37 第1のエッチングペースト、38 第2の拡散防止マスク、38a 開口部、41 第6の誘電体層、42 第7の誘電体層、66 第1の誘電体層、66a 第1の部分、66b 第2の部分、66f 第1の領域、66s 第2の領域。

Claims (18)

  1.  第1の表面と前記第1の表面と反対側の第2の表面とを有する半導体基板と、
     前記半導体基板の前記第1の表面上に設けられる複合誘電体層とを備え、前記複合誘電体層は、各々が窒化シリコンで形成された3層以上の誘電体層を含み、さらに、
     第1の電極と、
     第2の電極とを備え、
     前記複合誘電体層中の互いに隣接する一組の前記誘電体層の各々において、前記半導体基板側に位置する一方の前記誘電体層は、前記半導体基板側とは反対側に位置する他方の前記誘電体層よりも小さな、前記窒化シリコン中の窒素のモル分率を有する、光電変換素子。
  2.  前記複合誘電体層中の窒素のモル分率は、前記半導体基板に近づくにつれて、階段状に減少する、請求項1に記載の光電変換素子。
  3.  前記複合誘電体層のうち前記半導体基板に最も近い第1の誘電体層における前記窒素のモル分率は、0.20以下である、請求項1または請求項2に記載の光電変換素子。
  4.  前記第1の誘電体層の厚さは、前記複合誘電体層に含まれる他の各誘電体層の厚さよりも薄い、請求項3に記載の光電変換素子。
  5.  前記複合誘電体層のうち前記半導体基板に最も近い前記第1の誘電体層は、1nm以上15nm以下の厚さを有する、請求項3または請求項4に記載の光電変換素子。
  6.  前記複合誘電体層のうち前記半導体基板から最も遠い第2の誘電体層における前記窒素のモル分率は、0.38以上である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  7.  前記複合誘電体層は、各々が窒化シリコンで形成された4層以上の誘電体層である、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  8.  請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光電変換素子と、
     前記複合誘電体層上に設けられた封止層と、
     前記封止層上に設けられた透明部材とを備える、光電変換モジュール。
  9.  請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光電変換素子と、
     前記複合誘電体層上に設けられた封止層と、
     前記封止層上に設けられた透明部材とを備え、
     前記封止層の屈折率は、前記複合誘電体層のうち前記半導体基板から最も遠い第2の誘電体層の屈折率よりも小さい、光電変換モジュール。
  10.  第1の表面と前記第1の表面と反対側の第2の表面とを有する半導体基板と、
     前記半導体基板の前記第1の表面上に設けられるとともに、窒化シリコンで形成された誘電体層と、
     第1の電極と、
     第2の電極とを備え、
     前記誘電体層のうち前記半導体基板に最も近い第1の部分は、前記誘電体層において最も小さな前記窒化シリコン中の窒素のモル分率を有し、
     前記誘電体層のうち前記半導体基板から最も遠い第2の部分は、前記誘電体層において最も大きな前記窒化シリコン中の窒素のモル分率を有し、
     前記誘電体層は、前記第1の部分と前記第2の部分との間に第1の領域を含み、前記第1の領域のうち前記半導体基板に最も近い第3の部分から前記第1の領域のうち前記半導体基板から最も遠い第4の部分に向かうにつれて、前記窒化シリコン中の窒素のモル分率が連続的に増加する、光電変換素子。
  11.  前記誘電体層の前記第1の部分における前記窒素のモル分率は、0.20以下である、請求項10に記載の光電変換素子。
  12.  前記誘電体層の前記第2の部分における前記窒素のモル分率は、0.38以上である、請求項10または請求項11に記載の光電変換素子。
  13.  前記誘電体層は、前記誘電体層の前記第1の部分から前記誘電体層の前記第2の部分に向かう方向に沿って前記窒化シリコン中の窒素のモル分率が一定である第2の領域をさらに含み、前記第2の領域は前記第1の部分を含む、請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  14.  前記誘電体層の前記第2の領域は、1nm以上15nm以下の厚さを有する、請求項13に記載の光電変換素子。
  15.  前記第1の領域の前記第4の部分から前記第1の領域の前記第3の部分に向かうにつれて、前記窒素のモル分率の増加率が減少する、請求項10から請求項14のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  16.  請求項10から請求項15のいずれか一項に記載の光電変換素子と、
     前記誘電体層上に設けられた封止層と、
     前記封止層上に設けられた透明部材とを備える、光電変換モジュール。
  17.  前記封止層の屈折率は、前記誘電体層の前記第2の部分の屈折率よりも小さい、請求項16に記載の光電変換モジュール。
  18.  前記透明部材の屈折率は、前記封止層の屈折率よりも小さい、請求項8または請求項16に記載の光電変換モジュール。
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